平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇12番(熊谷泉君) 自由民主クラブの熊谷泉です。
 私は、自由民主クラブを代表し、以下の理由により、請願陳情受理番号第48号、50号、51号、52号、53号及び54号の採択に賛成する立場から討論いたします。
 県医療局は、本年11月、岩手県立病院等の新しい経営計画案を公表し、住田、紫波、大迫、花泉、九戸の各診療センターの無床診療所化、及び沼宮内病院の無床診療所化を発表しました。同計画案は、その基本理念として、県下にあまねく良質な医療の均てんをうたい、より信頼され、愛される病院づくりを掲げ、基本方針として、患者本位、地域との協働を示しながら、当該地域、市町村との十分な協議や説明がないまま、4カ月余りで即実施する拙速な計画を強行しようとしています。
 医師不足、医業収益の減少など、県立病院が置かれている状況が大変厳しいものであることは承知しておりますが、本請願の6病院は、いずれも当該地域唯一の病床を有する医療機関であり、その無床診療所化は住民生活に甚大な影響を及ぼすものであります。それにもかかわらず、同計画案は、地域との事前の協議としては、公表直前になって市町村長への説明等がなされただけであり、パブリックコメントを実施する前提となるべき説明会がいまだに開催されていないことなど、その政策形成過程に大きな問題を抱えていると言わざるを得ません。
 総務省は、昨年12月に同計画案の根拠となる公立病院改革ガイドラインを都道府県に通知しており、その1カ月前には、同ガイドラインの中間の取りまとめが本県にも照会されております。しかしながら、庁内の同計画案の策定プロジェクトは本年4月からの開始となっており、初動がおくれてしまったことが、結果として、当該診療センターの経営形態、地域福祉との連携、財政負担のあり方など、政策選択の幅を大幅に狭めることになってしまったことは重大な問題であります。
 医師不足や医業収益の減少など、公立病院をめぐる諸問題は、本県の県立病院だけの問題でなく、全国的にもさまざまな取り組みがなされており、本県でも、県立釜石病院へ統合された釜石市民病院の施設に複数の民間医療機関を設置した例、産婦人科医の集約化を乗り切るために同病院に院内助産を導入するなど、全国的に見ても先進的な取り組みがなされているところであります。また、一般的に病院経営においては、医業費用における人件費比率が60%を超えれば経営が成り立たないとされており、本県県立病院の人件費比率が63%であることから、さらなる経営の効率化の余地も残されていると考えられます。
 このように、無床診療所化の前に取り組むことができる施策の余地はまだ残されており、十分な時間さえあれば、前向きな知恵を出すことは可能なのであります。
 達増知事は、先般の一般質問で、同計画案がベストの案であると答弁していますが、地域の知恵と力、十分な住民の理解を得ずして作成された計画が、どうしてベストの案と言えるのでしょうか。これまでの有床診療所の検証、基幹病院への交通アクセスの確保、地元市町村、福祉施設、他の医療機関との連携など、無床化する前に行わなければならないことが山積しています。知事及び医療局は拙速を避け、住田、紫波、大迫、花泉、九戸の各診療センター及び沼宮内病院の無床化とあわせ、遠野、千厩、大船渡、高田、宮古、久慈、二戸の各県立病院の病床削減を行おうとする来年4月からの同計画案の実施を凍結し、広範な協議を尽くすべきであります。
 ついては、住民との合意形成を図りつつ、その不安の払拭に努め、県民に良質な医療を持続的に提供していくため、本議会といたしましては、地域住民の願いが込められた本請願を満場で一致すべきと考えるところであります。
 以上をもって、自由民主クラブを代表し、診療センター及び沼宮内病院無床診療所化に対する請願陳情に対する賛成討論といたします。議員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、飯澤匡君。
   〔25番飯澤匡君登壇〕

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