平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇32番(佐々木博君) 民主・県民会議の佐々木博です。
 請願陳情受理番号第48号及び第50号から第54号までの6件に対し、採択に反対の議員諸兄を代表して討論いたします。
 これら6件の請願の主要な項目は、県立大船渡病院附属住田地域診療センターほか4地域診療センターの平成21年度からの無床診療所化及び平成22年度からの県立沼宮内病院の無床診療所化の撤回であります。この無床診療所化は、本年11月に策定された岩手県立病院等の新しい経営計画案で新たに盛り込まれたものでありますが、この経営計画案は、現行の県立病院改革プランが平成20年度までとなっていることや、総務省が平成19年12月に策定した公立病院改革ガイドラインで、平成20年度中に公立病院改革プランを策定する必要があることから、平成21年度を初年度とする5カ年計画として策定されたものであります。
 県立病院の現状は医師不足が危機的状況になっており、平成16年度から平成19年度までの4年間で140人が退職し、常勤の医師は、平成15年と比較すると、広域基幹病院2病院分に匹敵する75人も減少している状況となっております。医師が退職していく大きな要因は勤務医の過酷な勤務状況にあり、平均超過勤務時間が54時間にも及び、このうち、厚生労働省の過労死認定基準である100時間を超える医師が12.3%にも達するほか、宿直に引き続く翌日の勤務、いわゆる36時間勤務をせざるを得ない状況にもなっております。また、労働基準法に基づく国の宿日直許可基準では、当直回数として、宿直は週1回、日直は月1回が限度とされていますが、無床診療所化を計画している地域診療センターでは、常勤医師の当直回数が月平均8回、多い場合には月20回と、宿日直の許可基準を大幅に上回っている状況にあるほか、本院等からの診療応援が月平均26回にも及び、常勤医師、応援する医師ともに大きな負担となっております。
 また、採算を度外視しても医療を守るべきとの意見もありますが、平成19年度の決算を見ても、一般会計から資本的収支を含め177億円余の繰り入れをしても単年度で10億円余の赤字で、累積赤字は138億円余に達しており、さらには、患者数の減少、診療報酬のマイナス改定など、県立病院を取り巻く環境が一段と厳しさを増してきていることや、本県の厳しい財政状況を考え合わせると、これまでと同様の機能や規模を維持していくことが極めて困難となってきていることから、県民に良質な医療を持続的に提供するためには、県としてもやむにやまれぬ計画として策定したものと承知しております。
 県立病院の現状や計画案の内容については、県民に対する説明不足は否めず、唐突過ぎるとの批判があることも十分承知しておりますが、現在、パブリックコメントを実施中であり、また、無床診療所に移行する地域では、地域で説明する機会を設けるほか、報道によると、開設者でもある知事自身も、必要であれば直接現地に赴いて説明する意向を示していること、さらには、この計画案を受けて、民間での活用に向け動き出している地域もあることなども考慮すると、なお十分な審議をすべきであったと考えるものであり、早急な請願の採択に反対するものであります。
 議員各位の御賛同を心からお願いを申し上げ、私の反対討論とさせていただきます。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、熊谷泉君。
   〔12番熊谷泉君登壇〕

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