平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(中平均君) 民主・県民会議の中平均です。
 先輩・同僚議員の御配慮によりまして、本日、一般質問の登壇の機会を得たことに感謝を申し上げます。
 一般質問最終日でもあり、重複する項目もございますが、御了承いただきまして、知事初め執行部には、明快な御答弁をお願いいたします。
 まず、地方主権に向けた県の取り組みについてお伺いします。
 達増知事におかれましては、知事職に就任してから1年8カ月が過ぎ、来年4月には早くも任期の折り返しとなるところです。
 そこでお伺いいたしますが、就任前に想像していた知事職と当事者になられてからの知事職とでは、その認識にどのような差があったでしょうか、率直な感想を御披瀝願います。
 また、理想としている地方主権による岩手県の自治のあり方について、現状の認識と、どのあたりまで知事の理想に近づくことができたのかをお伺いいたします。
 その上で、2回目となる来年度の予算編成に当たり、厳しい財政状況にある中で、いかにしてさらなる知事のオリジナリティーを発揮していく考えであるのか、知事の決意のほどをお伺いします。
 次に、予算執行の改善等に向けた取り組みについて伺います。
 国の予算制度について、私は、平成15年6月定例会におきまして、当時の増田知事に対して初めて行った一般質問で、予算処理上、原則として繰り越しを認めない単年度主義の決算制度により、予算を使い切らなければならないという意識が存在し、予算消化のための事業執行という、手段と目的が変わってしまうおそれがあります。抜本的な制度改革、意識改革を国に対して求めていくことが財政再建の観点からも必要であり、県としても発信していくべきではないかと質問したところ、増田前知事の答弁は、会計原則の根幹にかかわる問題というのは動かせないが、運用の適正化を十分に図って御指摘いただいたような懸念がないようにしていきたい。なお、予算の使い切り意識は大変問題であり、予算枠の配分に当たって、経費節減分を翌年度以降の配分枠に加算するなど、予算節約のインセンティブとなる仕組みの導入を検討していく必要があるだろうと答弁がありました。
 あれから実に5年と6カ月が経過し、残念ながら、国の制度、運用については、遅々として改善が進んでいないのが現状であります。
 そこでお伺いいたしますが、知事は、現行の予算制度や補助制度等に起因する問題点はどこにあると認識し、課題があるとすれば、その解決に向けて国に対して、また県庁内部に対してどのように行動されるお考えなのか、お示し願います。
 また、平成20年10月2日付の総務部長からの平成21年度予算要求・調整要領においては、節減加算制度、つまり前年度の一般行政経費の自主的経費の執行に当たり、節減を予定している予算額等を翌年度の予算に加算することができる制度でありますが、これを当面凍結するが、制度の有無にかかわらず、引き続き、執行段階における経費の節減に全庁挙げて取り組むようにと記載されているところであります。この通知を読む限りでは、予算の適正かつ効率的な執行を職員のモラルや意識の向上にのみ期待しているかにも思えます。
 そこでお伺いいたしますが、節減加算制度が創設されてから凍結されるまでの間に、どの程度の節減効果があったと認識しているのでしょうか。
 また、効果があったとすれば、これを当面凍結していく理由は何でしょうか。凍結するのであれば、事務事業費の節減にインセンティブの働く、これにかわる何らかの予算執行上の仕組み、例えば、現行の繰越要件の見直し等といったものを考える必要があると考えますが、いかがでしょうか。予算の適正執行に向けての今後の具体的な仕組みづくりについてお伺いいたします。
 次に、入札契約関連の情報公開について伺います。
 現在、県では、行政文書の公開を初めとして行政情報の公開に取り組んでおり、ことし4月からは、物品、委託の契約も一定金額以上の案件を公開しています。こうした情報公開の拡大により、より透明性は高まってきているとは思いますが、この際、思い切って、入札契約関連については、すべて公開してもよいのではないかと考えます。少額の物品等では業務量が多大で繁雑になる懸念もありますが、予算執行過程において策定されるデータなどを活用して、月1回、一括でホームページに公開するなどすれば、業務量の増大にはつながらないと考えます。それこそゼロ予算でできることではないでしょうか。実施する考えはあるかどうか、御所見をお伺いいたします。
 次に、移動県庁について伺います。
 知事からは、前回の一般質問において、県北・沿岸振興本部会議を現地で開催する新たな試みを実施したい旨の答弁があり、今年度早々のことし5月には、移動県庁が現地において実施されました。その成果については、地域が持つ地域資源の再認識と、それを活用した地域振興の方向性を共有、体感し、施策の方向性を確認できたなど、一定の成果を得ることができたと伺っておりますが、移動県庁を実施しての知事の所感をお伺いいたします。
 また、来年度以降も継続していくことが県北・沿岸振興に弾みをつけ、新地域主義戦略を知事初め県庁の幹部が目に見える形で実践している証左と言えますが、移動県庁の取り組みを今後どのように進展させていくお考えか、お伺いいたします。
 次に、市町村への権限移譲について伺います。
 この件につきましては、9月決算特別委員会において、工藤大輔議員から同趣旨の質問があったところではありますが、改めてお伺いいたします。
 現在、岩手県から市町村に対しての権限移譲が進んでいます。平成18年度には3、499事務、事務処理交付金3、600万円余であったものが、今年度は1万69事務、7、600万円余になっています。県職員の派遣状況も今年度20人であり、権限と人と財源の3点セットでの移譲が進んでいるものと考えます。
 しかし、県のみならず市町村でも人員削減が進んでいる中で、県からの派遣職員も一定年度で引き揚げられることを考えると、業務量が増大していく状況にあって、市町村において、将来にわたって移譲された事務を担っていけるのかという危惧があります。
 そこでお伺いいたしますが、今後の権限移譲のあり方について、これを持続可能なものとして市町村に定着させていくためには、たゆまざるフィードバックによる工夫、改善を重ねる必要があると考えますが、いかがでしょうか、御所見を伺います。
 次に、広域振興局体制と県北・沿岸振興についてお伺いいたします。
 まず、広域振興局体制について伺います。
 さきの9月定例会における五日市議員の質問に対して、必要な機能、組織規模を十分に検討し、最終的な案として来年2月には公表したい旨の答弁がありましたが、これに変更はないのでしょうか。県民の関心が高く、十分な議論を行うために、できるだけ早い機会に最終的な姿の案を示すべきと考えますが、平成22年度からの4広域振興局体制移行に向けてのスケジュールをどう考えているのかお伺いします。
 また、再編案をまとめていく中で、地域の声を丁寧に聞く努力をするとともに、職員との意識共有も大切と考えますが、どのように進めていくのか、あわせて伺います。
 また、広域振興局体制への移行に伴い現場主義をより徹底させるということですが、行政センター化となった地域では、結果的に行政サービスなどが低下するのではないかという懸念に対して、どう対応しようとしているのか、お伺いいたします。
 次に、県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向についてお伺いいたします。
 県においては、県北・沿岸振興本部が中心となって、平成18年11月に県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向を取りまとめたところであり、その内容は、その後策定された、いわて希望創造プランに反映されているものと認識しております。そのいわて希望創造プランに関して、随時の検証、修正の必要性をことし2月定例会での一般質問で伺いましたところ、宮舘副知事から、随時検証と修正を行い、今後とも地域の方々と協働し、目的達成に向け全力を尽くしたい旨の答弁がありました。
 県北・沿岸圏域における産業振興について、明確な計画工程表をきちんと作成し、修正すべき計画については早急に対応していくことの必要性は言うまでもありません。平成20年度も残り3カ月余りとなりましたこの時期であれば、成果の検討結果を受けた計画の随時の修正等が可能であり、行政のスピード感が求められている今、その検証結果を踏まえて早急に対応していくことが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向に掲げられた取り組みや数値目標に係る現在の進捗状況に関しての認識と、今後の取り組みや工程の修正等について、県北・沿岸振興本部長である宮舘副知事にお伺いいたします。
 次に、1次産業の振興について伺います。
 最近の世界経済の後退傾向は、海外に新たな販路を求め、生産者の所得向上につなげることにより、1次産業の振興を図ろうとする計画に影響を及ぼすことが危惧されます。例えば、本年11月分のアワビの平均入札価格は、香港市場の干しアワビが在庫過剰なことなどから、平成19年度と比較して約4割減となっています。
 先般、知事は、トップセールスで香港に行かれていますが、その成果は、香港政府関係者や流通関係業者等に対し、安全・安心な県産農林水産物や岩手の食文化、さらには観光など、岩手を総合的にPRできたことであったと伺っています。やはり、県北・沿岸地域の主要な産業である1次産業の振興には有用な販売先の確保が重要でありますが、今年度の成果を踏まえ、平成21年度における海外への販路拡大に向けた実行計画をどのように考えているのか、お伺いいたします。
 次に、防災体制の整備についてお伺いします。
 ことしは2度の大きな地震が岩手を襲いました。被災された皆様には、心よりお見舞いを申し上げます。
 さて、今回2度の地震、また釜石の山林火災等も含めて、非常時、災害時の体制構築の重要性がより認識されたところです。過去の一般質問においても、情報伝達の手法や防災計画の見直し、各組織間の連携や地域における防災力の向上、自治体間の連携といった項目について質問があったところであり、その質疑を踏まえて質問させていただきます。
 まず、災害時の現地連絡調整体制の整備について伺います。
 組織の命令系統をどのように構築していくかの重要性は、今回の災害対応に係る実体験で改めて認識されることになりました。災害現場における混乱の中、何を優先するべきかの判断に迫られる中で、県、国、市町村、消防、警察、自衛隊、医療関係等といった、災害時においての対応で優先順位のそれぞれ違う組織が一致協力し、最大限の効果を発揮していかなければなりません。
 県においても、県庁に調整本部を設置し、各組織の連絡調整担当者を県庁に配置してもらうなどして、緊急時の連携が円滑に行われるようにしているとのことでありますが、被災地においても同様の組織化が必要で、一刻を争う場面において的確な判断をして、それが実行される緊急時の体制が必要です。
 過日、自衛隊の幹部の方と懇談する機会があり、伺ったところでは、自衛隊は、基本的には行政からの依頼で活動する、しかし、人員体制に限りがあることは理解してほしいと話されていました。このことは、広範囲で大規模な災害が発生した場合、一次展開できる限られた人員をどこに投入するかは、行政の判断ということです。
 このことから言えるのは、派遣要請は知事の判断であり、この点については2度の地震における対応は適切であったと感じていますが、現地での運用はどうなっていたかといえば、大変に心もとないものでした。例えれば、自衛隊で言えば、宿営地をどこにするかも決まっていなかった、受け入れる側もそこまでの認識がなかったということであり、このような事例は、このほかにもさまざまあったと聞いています。
 これらの教訓を踏まえ、災害時の各組織の現地での連絡調整及び情報の共有化の体制を今後どのようにしていくのか伺います。
 次に、広域的な防災体制構築の必要性をどう考えているのか伺います。
 近い将来発生が予測されている宮城県沖地震、これにより津波が襲来した場合、例えば、沿岸地域の病院での被災者対応は、実質的には難しい現実があります。災害時においての病院機能を維持するためのインフラ整備は、いまだ完全なものとはなっていませんし、被災時における診療能力が大きく減少することは、過去の例からも容易に予想されます。にもかかわらず、現在の医療連携の体制は二次医療圏内がメーンであることから、自治体間の連携等、特に沿岸部と内陸部との連携をどのように構築していくかが課題と考えます。
 今、一例として災害時の医療連携の広域化を挙げましたが、こうしたことも含めて、現在行っている災害対応訓練の実践的な精度を上げるとともに、自治体間の行政境を越えた、各組織の垣根を越えた、より広域的、横断的な合同訓練の実施等による防災体制の構築が必要と考えますが、どのように考えているのでしょうか。
 また、そのような広域的調整を図ることこそが県としての果たすべき役割と考えますが、御見解をお伺いいたします。
 次に、災害時における各部各課の事務量の調整について伺います。
 今回の地震において、保健福祉部と県土整備部の各課の超過勤務時間には、大きなばらつきが見られました。専門分野でなければ対応できない、あるいは日常業務の多忙等といった問題もあるのは承知していますが、ある課においては、1人当たりの災害対応の超勤が月40時間を超えているときに、別の課では1けた前半であったりしています。
 事務量の配分に関して、災害時などの非常時においては、県庁挙げて部局の垣根を越えた横断的な調整を行い、特定の課や特定の個人に負担をかけ過ぎない体制を構築する必要があると感じますが、この点についてどのように考えているか、今後の方針はどうするのかをお伺いいたします。
 次に、医療体制の整備についてお伺いします。
 まず、県立病院改革について伺います。
 当初予定しておりました公立病院改革推進指針案と県立病院の新しい経営計画案の策定背景等については、きのうまでの一般質問でそれに対する知事の答弁をお伺いしておりますので、この場では割愛させていただきます。
 今回の県立病院の新しい経営計画案の提示により、全県的に医療体制に対する不安が出てきています。久慈市においても、医師がさらに引き揚げられるのではないかという懸念も出ています。これは、久慈に限らず、二次医療圏内の基幹病院、また災害拠点病院についてですが、今後の診療科体制について、より充実させていくといったなどのメッセージを県が発信し不安を払拭させる必要があると考えますが、この点について見解を伺います。
 次に、地域医療福祉の連携について伺います。
 今回の公立病院改革推進指針案や県立病院の新しい経営計画案では、各県立病院の果たすべき役割は明確化されていますが、療養病床や訪問診療等の県立病院と相互連携して地域医療の体制を構築していく計画になっていないのが、大きな問題ではないかと考えます。言うなれば、地域の安心感を導き出すものが今回の計画では見えてきていません。
 例えば、高齢者が県立病院で治療し、医療中心のサービスから介護中心のサービスが必要になったとしても、その後の行き先もなく、結果として、症状が悪化する事例が多いという現実があります。
 これらのことを考えますと、県として総合的な医療福祉連携の体制に対する明確な方向性と具体的な対策を打ち出し、県民に対して説明をしていくことが必要ではないかと考えますが、御見解をお伺いいたします。
 次に、コンビニ受診対策についてであります。
 県立病院の救急患者の実態を見ますと、平成19年に救急搬送された方のうち、約4割の方は軽症者とされ、また、県立病院を受診する救急患者の8割以上が入院を要しない軽症者、さらに、夜間、休日の救急病院の受診者についても、相当数が軽症者であると伺っています。いわゆるコンビニ受診についての正確なデータはないとのことでありますが、こうした受診のあり方が、さらなる医師の過重労働を強いていることは言うまでもありません。
 先月28日、県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議が設立されました。その場において、発起人を代表して達増知事から、全国に先駆けて、県民が安心して医療を受けることができる地域づくりを進めていきたいとのあいさつがあったと報道されています。
 そこで伺いますが、県として、いわゆるコンビニ受診の減少に向けて、今後どのような体制のもとで、どのような対策を講じていくのか、数値目標まで設定して県民の意識改革に臨む必要もあると考えますが、御見解をお伺いいたします。
 次に、教育環境の整備について伺います。
 最初に、人材育成事業について伺います。
 教育委員会においては、本県の将来を支える人材育成に係る予算については、平成19年度までの県北・沿岸地域と県央地域とで別建ての予算となっていたところを、今年度からは進学支援ネットワーク事業に統合され事業が実施されています。今年度の指定校は31校、合同事業、独自事業の二つの事業で構成されているところであり、参加した生徒からのアンケートでは、95%がためになったとの回答があったと伺っています。また、他校の生徒との交流や外部講師のハイレベルな講義による刺激が、意欲向上に向かっていると聞いているところです。
 そこで伺いますが、各高校においては、この事業を来年度も実施してもらいたいとの意向が強いと私は感じていますが、教育委員会では、平成21年度の予算編成に臨んでいくこの時期、どのように考えているのでしょうか。外部講師のレベルを上げる、講座や講演会などの開催回数を多くするためにも、予算の拡充をしていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、教員のスキルアップについて伺います。
 現在、中学、高校教諭の英語、数学のスキルアップについては、学力向上のための学校訪問指導や授業研究会を行っています。特にも、昨年度からは、内陸、沿岸にそれぞれ指導主事を配置したことによる教員の授業力向上や、中学、高校連携での授業研究会では、中学、高校間の垣根が下がったことにより相互理解が深まった、連携が可能になった等の、指導力向上に一定の成果があったと伺っています。
 また、教育事務所においては、指導主事が小・中学校に赴いて教員を指導されていますが、担当する管内の学校数等を考えれば、どうしても懇切丁寧な指導が行えない状況ではないかとも思えます。
 そこで伺いますが、これらの点を勘案した上で、さらなる教員の授業力向上への取り組み、例えば、いわゆるスーパーティーチャーによるモデル授業の実施や中学、高校での英語、数学以外の教科の授業力の向上、あるいは小・中学校の小規模校教員の授業力の向上の方法等も検討していく必要があると考えますが、この点について教育長の見解をお伺いします。
 また、指導力のすぐれた教員をできるだけ多く確保していくことが必要ですが、そのための方法をどのように考えているのでしょうか。私は、各年代、各地域の一定数の教員を対象に、集中的に指導力向上のための研修を実施していけば、一定年で一巡し、指導力の高い教員が確実にふえていくのではないかと考えます。今の話は、一つの例ではありますが、指導力、言いかえれば授業力を向上させていくためには、現在の研修制度のさらなる拡充が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、教員の配置等について伺います。
 ことし3月に、私の一般質問に対して教育長から、県北・沿岸地域への教員配置について是正していく旨の答弁をいただきました。現在、全県的な人事異動を促進するために、人事異動基準を変更し、全県4ブロックの各ブロックの学校を経験することを来年度の人事異動から徹底するべく準備しているとのことであり、また、いわゆるスーパーティーチャーの配置についても、すぐれた指導能力を最も発揮できる学校に配置するとのことであり、教育環境のより一層の向上に向けて努力いただいていることに感謝を申し上げるところです。
 さて、来年度からは、学校教育法の改正によって指導教諭といった新たな職もできます。本県においても、主任指導教諭として任用していく予定と伺っていますが、この主任指導教諭の任用、配置はどのような方針で行うのでしょうか。あわせて、県北・沿岸地域の5校に配置している副校長2人制も、来年度以降どのようにする考えであるのかお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきますが、最後に、達増知事におかれましては、今般の経済状況や医師不足に起因した医療崩壊寸前の現実など、予想もし得ない問題、先日の知事の答弁での言葉をかりれば、岩手県民の、また岩手県の責任ではないところの問題が多く噴出している現状のこの大きな危機を乗り越え、希望に導くためにも、今後もひるむことなくリーダーシップを発揮され、また、県民の理解を得まして岩手を導いていくことを御期待申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 中平均議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、知事に就任しての認識についてでありますが、事前に想像していた以上に、知事と職員が一体となって仕事をしているという感じがしておりまして、盛んに議論しながら政策を決定していくことができるなという印象を持っております。
 次に、岩手県の自治のあり方についてですが、私は、地方自治の本旨は自立と共生ということであり、地方自治体がその地域の自立と地域住民の共生を目指し、みずからの判断と責任で地域を経営していくことが自治のあり方であると考えておりまして、国と自治体との関係が真に対等なものとなることによって、初めて実現するものと考えます。
 こうした考えのもと、自立した特色ある地域づくりに向けて、新地域主義戦略に基づく広域振興圏の確立や地域コミュニティの機能強化など、さまざまな取り組みを進めているところでありますが、国の地方分権改革は進まず、権限や財源は依然として国に集中している状態であり、また、共生の土台となる地域社会は、国のいわゆる構造改革路線による影響などを受け、人口の流出や経済格差の拡大などの課題を抱えている状況にあります。こうしたことから、制度的には、私の考える理想にはまだ遠い状況にありますが、一方、県民意識の面では、ものづくり産業の集積に向けた産学官の連携でありますとか、地域医療を支える推進体制の構築でありますとか、全国的な先進事例となるような県民の総力を結集した取り組みが進んできておりまして、今後とも、県民の参画をいただきながら、自立と共生の実現に向けて取り組んでいきたいと思います。
 次に、来年度の予算編成についてでありますが、自立と共生の理念のもとで、希望ある岩手を実現していくために、地域経営を基本視点として、県民所得の向上や雇用環境の改善などを重点目標として掲げたいわて希望創造プランを策定し、その着実な推進に努めているところであります。
 こうした中、今般の世界経済の減速が、日本経済、ひいては地域経済に波及し、本県においても有効求人倍率が一層低い水準で推移するなど、プラン策定時にも増して県民生活は一段と厳しさを増してきています。
 このような状況を踏まえて、来年度の予算編成に当たりましては、県民の仕事や暮らしの現場を守っていく観点から、いわて希望創造プランを着実に推進していくことを基本方針としながら、特にも、直面する課題であります経済、雇用、金融、生活支援対策や地震災害からの復旧・復興、地域医療の確保などの課題に的確に対応していきたいと考えております。具体的な内容につきましては、国の経済対策の動向なども踏まえ、予算編成の中で検討してまいりたいと思います。
 次に、予算執行の改善などに向けた取り組みについてでありますが、不適切な事務処理の原因究明の中で明らかになりました原因の一つは、単年度予算制度や国庫補助金を通じた国への財源依存という状況の中で、予算は使い切ることが望ましく、特に国庫補助金については、残額返還は生じさせるべきではないという意識が県の組織に広く存在していたことであります。こうした意識は不適切な事務処理につながったものであり、早急に意識改革が必要なものでありますが、これまでの制度や運用の中で、残額を不用額とするとか、翌年度に繰り越すとかといった手続を現実的には選択しにくい状況にあったことが背景となって形成されてきた意識であったとも感じております。
 このため、今回の問題の再発防止策の一つの柱として、予算に関するシステムの見直しを盛り込んだところであり、節減効果を翌年度予算の需用費に上乗せする節減加算システム、不用残となった需用費を財源として総務部予算に一括計上して各部に配分できる仕組み、年度末での納品ができなかった場合の需用費の事故繰越、こうしたことを実施しまして、県としてのシステムを改善していく考えであります。また、国に対しては、地方に自由度の高い財源を配分することが不適切な事務処理の防止にもつながりますことから、国庫補助金の制度の見直しとあわせて財政システムの分権改革の推進について、問題提起をしてまいりたいと思います。
 次に、移動県庁についてでありますが、ことしの5月に、県北・沿岸振興にかける私の思いを地域の皆さんと共有するため、移動県庁を実施したところであります。私自身、地域で起きていることをこの目で見、この耳で聞くことによりまして、通常、盛岡の県庁では思い描けないような県北・沿岸圏域の地域振興のあり方を肌で感じることができたと思っております。また、私自身、改めまして、すぐれた景観や安全・安心な高品質の農林水産物など、それぞれの地域が有する地域資源を再認識するとともに、地域の皆さんとの活発な意見交換を通じまして、そうした地域資源を活用した県北・沿岸圏域における地域振興の方向性を共有できたと思います。
 このようなことから、例えば県北圏域にありましては、八戸圏域とのより一層の交流・連携による広域観光の展開や、豊かな自然環境を生かした体験型観光、教育旅行の一層の推進、さらには環境に優しい北いわてエコランドの地域イメージの構築に取り組んでいるところであります。このように、今回の移動県庁は一定の成果を得ることができたと考えておりまして、県北・沿岸振興の大きな弾みとなりました。私は、今後ともこの移動県庁を継続的に実施し、地域の皆さんとの対話を一層重ねながら、いわて希望創造プランに掲げる振興施策の成果の検証や新たな振興施策に取り組んでまいりたいと思います。また、県北・沿岸振興本部会議などもできるだけ現地で開催して、県北・沿岸圏域の実情の把握に努め、いわて希望創造プランに掲げる将来像の実現に向けて全力を尽くしてまいります。
 次に、市町村への権限移譲についてでありますが、本県においては、これまで、市町村との間で住民本位の行政サービスを提供するという目的を共有した上で、その意向に基づいて移譲する事務権限を選定し、県は、事務処理に要する財源の措置、事務処理方法の習得のための派遣や交流などを通じ、受け入れ側の人的体制を支援することにより、権限移譲に努めてまいりました。
 また、昨年度、岩手県分権推進会議の議論を踏まえ権限移譲等推進計画を定め、これに基づいて、現在、各市町村ごとに権限移譲推進プログラムの策定を進めているところでありますが、このプログラムは、それぞれの人的体制などを踏まえた上で策定するものであり、移譲される事務については十分担っていけるものと考えております。
 しかしながら、市町村における今後の事務処理の定着に向けた処理能力向上が課題となっていますことから、市町村職員の人材育成、事務処理に必要な知識、技術の習得のための研修や、単独の市町村では処理が難しい事務の共同処理機関への県職員の派遣などの支援策の検討を進めております。さらには、事務移譲後においても、定着に係る課題については岩手県分権推進会議などにおいて検証するとともに、派遣職員の意見、提言なども活用し、効果的な方法についても検討を重ねてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
 岩手が、今、直面している危機は非常に大きなものでありますけれども、県民と危機意識を共有し、そして危機を克服する体制をともに築き上げ、希望につなげていきたいと思います。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) 県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向についてでありますが、いわて希望創造プランにおける県北・沿岸圏域の産業振興施策は、県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向を反映した内容となっており、圏域別に、農業生産額や製造品出荷額などの成果指標とともに、具体的な推進方策として4年間の工程表や取り組み指標を掲げ、各般の産業振興施策を展開してきているところであります。
 その進捗状況につきましては、平成19年度には、例えば企業誘致は二戸市などで3社、企業増設は久慈市、陸前高田市など6社で、雇用創出約130名となっており、また、久慈市における教育旅行等の受け入れ人数は、前年比で倍近い延べ6、053人となっているなど、一定の成果が出てきているものもありますが、その一方で、ものづくり産業における起業家の育成や新事業への取り組み支援、水産業における量販店と水産加工業者とのマッチング支援など、今後、一層力を入れて取り組んでいかなければならない課題もあるものと認識しております。今後におきましても、各圏域において、業務方針の取り組み状況について四半期ごとに分析を行うとともに、産業人などからなる地域産業戦略会議等において進捗状況について意見交換するなど、地域との協働で、取り組み目標の達成度も含めた検証、見直しを行っていくこととしております。
 また、私もできる限り現地に出向き、産業関係団体や市町村などの地域の皆様と意思疎通を図りながら、県北・沿岸振興本部を中心として、本庁関係部、地方振興局の総力を挙げて、いわて希望創造プランに掲げた目標の達成に向けて取り組んでまいる考えであります。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 節減加算制度と予算の適正執行に向けた仕組みづくりについてでございますが、節減加算制度につきましては、各部局の管理運営などに要する事務費につきまして、職員の自主性及びコスト意識を醸成し、執行面からの経費節減を促し、事務経費の効率的な執行を図る趣旨で、平成13年度予算から平成19年度予算まで実施していたものでございます。この間、県においては、予算編成方法を逐次変更しており、また、これに伴い節減加算制度の手法や仕組みも年々変化しておりますし、制度創設時点からの総体の効果額や具体的な事業ごと、節ごとの内訳などにつきましては、現在残っている資料からお示しすることは難しい状況でございますけれども、現在残っている資料から把握できる効果額といたしましては、各部局における管理運営などの経常的に執行される経費に振り向けますいわゆる自主的経費につきまして、2月補正で減額した額をベースとして、翌年度の予算に加算することが可能な枠として整理された金額という性質のものとなりますけれども、平成15年度末には6、700万円余、平成16年度末には1億9、700万円余、平成17年度末には1億2、700万円余、平成18年度末には1億2、900万円余といった額が、このシステムによる加算枠として算定されていたところでございます。
 この制度を平成19年度末から凍結しました理由でございますが、本県の財政状況が多額の財源不足に見舞われておりまして、全庁的に経費節減に努めた結果といたしまして生み出された財源につきましては、加算をするよりも財源不足の解消のほうに振り向けることを優先したいという事情によるものでございました。
 予算の適正執行に向けての今後の具体的な仕組みづくりに関しましては、二度と今回のような不適切な事務処理を発生させないという観点から、御指摘いただきました節減加算制度につきまして、全庁調査結果等を踏まえて再設計の上、再開することといたしております。このため、御指摘いただきました10月の通知を改めまして、適用の再開を庁内に周知してまいりたいと考えているところでございます。また、この節減加算制度に加えまして、年度末でなければ額が確定しないなど、構造的な要因により執行残となった需用費につきまして、翌年度配分に配慮いたしますとともに、需用費の事故繰越としての処理を徹底するなど、予算の適正執行に向けた予算執行システムの見直しを進めていくことといたしております。
 次に、災害時の現地における各組織の連絡調整及び情報の共有化についてでございますが、御指摘いただきましたように、岩手・宮城内陸地震における対応を踏まえまして、次の沿岸北部を震源とする地震の際には、消防、警察、自衛隊などの実力部隊やDMATが速やかに必要な地域に展開できるよう県庁の災害対策本部に総合調整所を設置し、情報の共有化を図りながら必要な調整を行ったところでございます。また、大規模災害の発生時には、被災現場における消防、警察、自衛隊、海上保安庁、医療機関、関係事業者等の活動が円滑に行われますよう必要に応じて現地調整所を設置し、関係機関相互の情報を共有しながら調整を図ることが重要でございますことから、さきに大船渡市で実施されました総合防災訓練の際にも現地調整所を設置し、現地関係機関の連携のもとで対応を行う訓練を実施したところであります。こうした防災関係機関相互の連携をさらに強化し、災害発生時に迅速な対応が十分に行えるよう、日ごろから関係機関との連絡調整を密にしながら、現地調整機能の充実を図ってまいります。
 合同訓練の実施と県の役割という点についてでございますが、大規模な災害が発生いたしました場合には、県と被災市町村の連携はもとより、県内の他の消防本部や他県から応援に来ていただく消防機関、さらに警察関係機関や自衛隊、海上保安庁などの防災関係機関との連携が重要であり、そのかなめとなる県の役割は非常に大きいと、ことしの災害の経験からも再認識しているところでございます。このため、毎年実施しております総合防災訓練におきまして、県、市町村、防災関係機関が一体となり、総合的かつ実践的な訓練を実施しておりますが、これに加えまして、今年度は、自衛隊が宮城県沖地震を想定して実施した実践的な震災対処訓練に、県及び沿岸地域の7市町が参加し、現地での各種訓練を行いますとともに、傷病者の広域搬送に対応するため、いわて花巻空港を広域医療搬送拠点に設定しながらDMATの訓練を行うなど、関係機関の連携のもとでの人命救助や民生支援活動についても訓練を行ったところでございます。今後も、国や市町村、関係機関に限らず、さまざまな防災関係機関が連携した合同訓練や、おのおのの訓練への相互参加などの機会をふやしますとともに、日常的な連絡調整を一層深めていきたいと考えております。
 県は、災害応急対策の総合的かつ円滑な実施を図る上で中心的な役割を担うものでございますので、市町村及び防災関係機関との十分な連携のもとに、関係の救助や応急対策に当たる実力部隊が速やかに展開できるよう、速やかな派遣要請や、県レベル、現地レベルでの調整を行いますとともに、救援物資の手配や医療の確保などにつきまして広域的な対応を行う必要がありますので、その能力を一層高めていくことができるように、訓練等に全力で取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、災害時における各部各課の事務量調整についてでございますが、事務量を平準化しながら効率的に業務を進めることは、組織運営上、重要なポイントでございまして、平時の通常業務におきましても、職員の分担事務の調整が必要となった場合には、随時、グループ内の事務分担の見直しを行いますほか、必要に応じてグループを超える所属内での調整も実施し、業務の平準化に努めているところでございます。
 さらに、非常時にありましては、緊急的な対応として、本庁関係課や他の振興局からの出張による応援職員の派遣のほか、配置がえによらずに支援業務に専従させる臨時暫定的な専従応援体制の仕組みを設けているところでございますが、これに加えまして、岩手・宮城内陸地震のような大規模災害にありましては、年度途中においても、人事異動による職員体制の強化について、弾力的かつ機動的に対応してきているところでございます。職員数の縮減に取り組まざるを得ないなど一定の制約はございますけれども、今後においても、災害の規模、内容に応じまして、室課また部局を超えた調整を行いながら、効率的に災害対応ができますように、さらに適切な人員調整等に努めてまいりたいと存じます。
   〔総合政策部長菊池秀一君登壇〕
〇総合政策部長(菊池秀一君) 入札契約関連の情報公開についてでありますが、今年度から実施しております入札契約情報の公表制度は、予定価格が会計規則に定める随意契約可能額を超えるものについて公表しているものでありますが、御提言の入札契約関連情報をすべて公開するとした場合には、今年度から始めた制度の対象となる件数約5、000件が約18万件に増大すること、これに伴い職員の業務量が増大すること、業務量軽減のために財務会計システムを活用する場合には、システム開発に多額の経費が見込まれることなどの課題がありますことから、現時点では難しいものと考えております。
 しかしながら、物品の購入状況に限った場合には、今般の不適切な経理処理に対する再発防止策の一環といたしまして、出納局が財務会計システムの既存のデータを加工して庁内に公開するとしたところでございます。これを活用する方法が考えられますが、県民公表用に切りかえることに伴う情報の改ざん防止や職員の業務量への影響などの課題もありますので、その可能性について検討してまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 広域振興局体制についてであります。今後のスケジュールについてですが、平成21年3月ごろまでには最終案である基本的考え方案を公表し、6月にその成案と実施案を公表した上で、9月に関連条例を県議会へ提案したいと考えております。
 また、議員の御指摘と同様に、ことしの6月に公表した素案に対するパブリックコメント等におきましても、最終案を早期に示すべきとの意見を多数いただいておりますことから、その中間報告として、本局や行政センターの位置の考え方、内部体制や業務内容をできるだけ早期に公表し、広く御意見をちょうだいしながら検討を重ね、本局や行政センターの具体的な場所を含めて最終案を固めたいと考えております。
 次に、地域の声や職員との意識共有についてでありますが、広域振興局体制は、地域経営の視点に立ち、各主体の総力を結集してつくり上げるため、今後、基本的考え方の中間報告、最終案、実施案の各段階でパブリックコメント、地域説明会、市町村等との意見交換を丁寧に実施し、広く各方面からの御意見もいただくとともに、本庁及び各振興局等の単位で職員との意見交換を行うことで意識共有に努めてまいる考えであります。
 次に、行政サービスについてでありますが、本局に移行しない地方振興局等の各部門の行政センター化に伴い、県民や事業者の方々の利便性が一部低下するのではないかとの懸念があることは十分認識しているところであります。したがいまして、県としては、できる限り地域の利便性の維持、確保に努めることとし、まずは、それぞれの行政センターにおいて、可能な限り業務が完結できるよう必要な権限を付与する方向で検討するとともに、加えて、広域振興局全体の業務運営の中で、本局職員が行政センターなど現地に出向いて行う臨時受付の拡充、どの本局、行政センターでも、わざわざ足を運ばなくても申請等ができるなどの仕組みの整備、住民に身近なサービスの市町村との連携による提供など、きめ細かい対応についても検討しているところであります。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 県産農林水産物の海外販路の拡大についてでございますが、国内市場が飽和傾向となる中で、安全・安心で高品質な県産農林水産物の輸出を促進することは、生産拡大を通じた生産者の所得向上にとどまらず、国内市場における本県農林水産物の評価向上にもつながるものであり、本県1次産業の振興にとって、海外販路の拡大は重要な課題と考えているところでございます。
 一方で、最近の世界経済の減速や円高などから輸出環境は厳しさを増しており、加えて、輸出先におきましては、国内他産地との競争も激化しておりますことから、より戦略的な輸出の展開が重要となっております。このため、平成21年度におきましては、本年3月に策定いたしました輸出戦略に基づき、官民で構成する輸出促進協議会が主体となり、東アジア等をターゲットとし、知事のトップセールスや、品目を絞り込んだプロモーション活動の展開による継続的な取引の拡大、商社等の専門家で構成する輸出コーディネーターを活用した新規市場の開拓を促進するとともに、新たに県産高級牛肉の輸出に取り組むこととしており、今後とも、民間ノウハウを活用しながら、官民一体となって海外での県産農林水産物の販路拡大に努めてまいります。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 新しい経営計画案に関する県民へのメッセージについてでありますが、議員御指摘のとおり、圏域の基幹的な病院においても医師の配置が必ずしも十分とは言えないことから、県民の皆様に御心配をおかけしているものと思っております。
 医療局においては、このような医師不足の状況にあって、即戦力医師の招聘や臨床研修医の積極的受け入れと県内への定着化、現在勤務中の医師の離職防止に向けた勤務環境の改善などに取り組んでおりますが、今後とも、これらの対策にしっかり取り組むことにより、医師の絶対数の確保と診療体制の充実を図り、県民の不安の払拭に一層努めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長岩渕良昭君登壇〕
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) まず、地域における医療と福祉の連携についてでありますが、急性期医療から回復期、そして在宅医療や介護、福祉サービスまで、切れ目のない連携体制を構築することは極めて重要な課題であると考えております。このため、具体的な方向性としては、高齢者等の状態に応じた適切な保健、医療、福祉のサービスが効果的に提供されるケア体制を構築するため、本年、地域ケア体制整備構想を策定したところであり、この中で、医療サービスと介護サービスをつなぐ役割を担う地域包括支援センターの機能充実に努めることとしております。
 また、本年策定した医療計画を踏まえ、二次医療圏ごとの圏域連携会議において、がんや脳卒中などの4疾病6事業に係る医療機関の機能分担と連携ネットワーク化を進めることとしております。
 今後、これらの連携をさらに充実し県民に広く啓発していくほか、地域連携クリティカルパスの導入やIT機器を利用した脳卒中患者情報共有システムの構築も図るなど、先進的な取り組みも進めながら、県民の安心感の醸成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、いわゆるコンビニ受診対策についてでありますが、自分の都合で夜間や休日に救急病院を受診するなどの患者の受診行動は、勤務医の業務の過重負担を招き、また、重症患者に対する必要な医療の提供に支障を来す要因ともなっていると言われております。
 このことから、医療機関の適切な受診等に関する県民への意識啓発を初めとした取り組みを全県的に推進するため、県内の産学官等84団体の参画による、県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議を設置したところであります。
 今後は、シンポジウムの開催や啓発用DVD、リーフレット等による意識啓発を図るとともに、地域において企業や学校等への出前講座を実施するなど、きめ細やかな啓発活動を行っていくこととしております。
 また、数値目標としては、かかりつけ医を持っている人の割合の増加や救急搬送における軽症者の割合の減少などを目指すこととしておりますが、今後、県民の医療に関する意識調査を行うこととしていることから、これらの調査結果を踏まえ、新たな数値目標も検討してまいります。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) まず、人材育成に係る予算についてのお尋ねでありますが、進学支援ネットワーク事業を含め、生徒の進路希望の実現を支援する事業は、議員御案内のように、参加した生徒を初め、各高等学校現場からの高い評価を受けておりますので、次年度の予算編成に関しましては十分配慮してまいりたいと考えています。
 次に、教員の授業力向上の取り組みについてでありますが、児童生徒の学力向上対策として、教員の授業力向上は重要課題と認識しております。
 これまでにもさまざまな授業力向上対策に取り組んでまいりましたが、今後におきましても、議員御指摘のありました内容を含めて、学力調査の分析結果や学校ごとの課題に対応した指導や新たな小学校を含めた小中高連携など、教員の授業力向上の取り組みを一層充実させてまいります。
 次に、研修制度のさらなる拡充についてでありますが、教員の研修は、これまでも教員研修体系に基づき、時代の要請やライフステージに即応できるように、絶えず研修内容の見直しを図ってきております。
 今般、教員免許更新制度が来年度から導入されることにより、教員として必要な資質、能力を保持するため、定期的に更新講習を受講することが必要となってきております。
 このため、更新講習を含めた一貫した考え方で研修体系を見直し、教科指導に係る研修内容を質量とも充実させるとともに、教科研修については、指導主事等による指導の成果の検証を確実に行うとともに、一人一人の教員の授業力改善への意識を高めるなど、指導力、授業力の一層の向上を図ってまいりたいと考えています。
 次に、副校長及び主任指導教諭の配置等についてでありますが、平成18年度から県立学校に指導担当の教頭を配置してまいりましたが、来年度からは、これを見直し、主任指導教諭という職名で任用を予定しております。
 主任指導教諭の任用については、すぐれた指導力を有する職員個人に着目して行うものとし、その配置については、任用する職員の能力を最も発揮できる学校に配置することとしております。
 お尋ねのありました県北・沿岸地区5校の副校長2人制については、平成18年度から3年間行ってきたところでありますが、学校現場からは、より一層の授業の充実を目指し、副校長1人に加えて教科指導に専念できる教諭1人の配置を希望したいという声が上がってきております。それゆえに、それを見直し、来年度からは副校長1人に教科指導に専念できる教諭1人という体制で配置することとしております。
〇16番(中平均君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、2項目、再質問をさせていただきます。
 防災の関係について総務部長にお伺いいたします。
 情報を共有化していく、そして、その経験を踏まえてやられているという御答弁でありました。それは当然やっていっていただきたいという点はもちろんですが、どんなに訓練を重ねても、いざ災害ということになると混乱してしまうというのは、これは現実としてあると思うんです。その中で、いかにその混乱を少なくしてやっていくかということが、この災害に対する対応として求められているところなんだと思います。
 そういった点を踏まえて、今やっている訓練、聞いているとちょっと足りないところもあるのかなと。やはり縦割りですかね。自治体なり、各組織の縦割りがまだ残っている点もあるやに聞いていますが、その点を踏まえた訓練を今後やっていっていただきたいんですが、その所感と、あと、情報の共有というところで、今回2度の地震等でいろいろな事例がありましたけれども、その事例一つ一つというのは省きますが、それに対して県の側で思っている認識と、各対応した機関とか、応援に来てくれた組織とかで持っている認識が非常にずれているのではないかと。
 県としては適正にやって、これは仕方なかったという事例に関しても、実際動いたところから見れば、いや、ちょっと調整がとれていなかったんだという話も、同じことでも、聞く側が県になったり、別のところに聞くと、全く違う答えが返ってきていて、今回の事例等に関する、こういう点がよかった、悪かったという共有をもう少しやっていかないと、いざ次に災害が―来ないことが一番ですが、来た場合の対応というのが大変なのではないかと思いますので、事後の共有という点についてもどう考えていくのか、お伺いいたします。
 あと、医療局長に一つ、先ほどメッセージをどう発信していくのかという形で質問したところ、御答弁いただきました。ちょっと今回の新しい計画案という中で、知事から昨日来の答弁で、命を守る診療ですか、医療体制を構築するためには、今回の計画案がベストだという答弁があった中で、例えば二次医療圏内の基幹病院、拠点病院、ここも医師不足で大変だというのは私も承知していますけれども、そういった新しい計画の体制の中では、この基幹病院が充実していなければ成り立たないわけですよね。
 そういったところも含めた、この計画に対する、また地域に対する、県民に対するメッセージというのを発信すべきではないかという趣旨での質問でしたので、そこら辺、本当に、診療所の次は、今度は基幹病院でまた減らされていくのではないか、そういうことになるのではないかという不安がどうしても各地域あると思うんですね。それを、そうではないんだということをはっきり示していかなければならないのではないかと思うんですが、その点についてもう一度お考えを聞きたいと思います。
〇総務部長(川窪俊広君) 災害の関係で、1点目の訓練の足りない部分、あるいは縦割りでは不十分であるのではないかという部分についてでございますけれども、まず、この点につきましては、縦割りのような形で、ある関係機関とはある部署としかつながりがない、あるいは現場でもそういうラインでしか連携がとれないということではいけないと私も感じておりまして、担当の係あるいは担当者が、一つの窓口に、一つの関係機関との間はここだけというような問題にならないように、さまざまな組織の中の各担当者から組織の管理監督者まで含めまして、組織同士でお互いによく知っていて、互いの仕事ぶり、あるいは、いざというときの動き方について理解し共有できているというような形での日ごろからの連絡調整が重要だと考えておりまして、その方向でやっていこうと思っております。
 あわせまして、訓練のやり方としても、ここ数年、図上訓練という訓練手法をできる限り導入してやっています。この図上訓練といいますのは、実際に災害が発生したときに、どのような情報が順次飛び込んで来るかということを、飛び込んで来る情報をいわば伏せておいて、訓練の際にカード化して、そのカードを急に持ってくるみたいな形でやる訓練でございます。こういう訓練を積み重ねることによりまして、実際の災害のときには、どんな関係機関からのどんな情報が、どういうタイミングでやってくる可能性があるかということを訓練することができるようなりますことから、そういう訓練をやっていくためにも、関係機関が参加してやっていくことが必要だということが起きてまいります。
 そういった形での訓練を重視して、回数をふやしてやっていこうと考えておりまして、御指摘を踏まえまして、さらに取り組んでいこうと思います。
 また、よかった点、悪かった点、事後的情報共有という御指摘につきましては、特に内陸地震のときの反省点といたしましては、DMATの関係で、県の側、あるいは現地の消防機関からDMATのほうへの参集していただく場所、出動していただく場所、あるいはそのあり方等についての連絡調整が、改善の余地があるというか、十分ではなかったのではないかという事後的な反省がございましたし、また、海上保安庁のほうからも、かなりヘリコプターで活動していただいたわけでございますけれども、さらに、海上保安庁の実力部隊としては、さまざま協力できる余地があるというような話を事後的にもいただいたりしたことがございます。
 こうした点につきまして、それぞれ、どのような連絡調整体制をとっておくかということについてのあらかじめの仕組みづくりでありますとか、訓練を通じてその仕組みが実効的に動くかどうかの検証でありますとか、そういうことをさらに積み重ねていきたいと考えてございます。
〇医療局長(田村均次君) ちょっと質問の趣旨をよく理解できなくて申しわけございませんでした。
 議員御指摘のとおり、二次医療圏全体で、その医療圏の医療を守っていくことが基本と思っております。例えば、今回の議論の中で、いろいろ今までもお話ししてきているんですけれども、県北の某診療センターが、常勤医師が1人しかいないというような状況があって、それに伴って、基幹病院の診療応援が、平成16年度と19年度対比で2倍に膨らんでいる。400件ぐらいが800件を超えているというようなことで、そういうようなことがありまして、やはり全体で守っていくんだという仕組みづくりを今回しているということでございます。
 それから、やはり地域に説明が足りないと言われれば、私もそのとおりだと思っておりますので、議会終了後、それぞれの地域に行って、まず首長さんにしっかりと説明をしたいと考えております。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時18分 休憩
出席議員(46名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 比奈子 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
43  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時37分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。高橋雪文君。
   〔22番高橋雪文君登壇〕(拍手)

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