平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇36番(柳村岩見君) 議席番号36番、自由民主クラブの柳村岩見でございます。
 先輩・同僚議員皆様の御配慮によりまして、11回目となります一般質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。
 通告に従い質問してまいりますが、詳細に通告いたしておりますので、明快な御答弁をお願いいたします。
 県は10月18日、午後9時半より緊急記者会見を開き、会計検査院が指摘した不正経理について、出席者が一斉に、心よりおわびをしたいと陳謝をいたしました。そこに、達増知事はおりませんでした。県職員の皆さんは、おらほのおやじがいない、いなかったんだと、大変寂しい思いをされたと思います。もちろん、会見に臨んだ幹部職員の皆様は、そんなことは言っておりません。私は、知事は、岩手県全職員のおやじ役であり、ひとしく135万1、760県民のおやじだと思います。そのおやじ役の出るべき場があるとも考えます。どうしてそれができないのでしょうか。褒められるところには出なくても、謝るところには出る、それは帝王学であります。それを何が邪魔をしているのでしょうか。
 知事が初めて県民に陳謝したのは10月22日、決算特別委員会において、発覚した不正経理に関する集中審議に出席を求められ、その冒頭に発言を求め、陳謝をいたしました。緊急記者会見から4日になろうとしているときであり、大変遅い対応であります。
 知事は、昨年6月定例県議会での一般質問において、知事の政治姿勢の質問に対して、政治家達増拓也の信念として、まず知事は、行政の長として、行政の執行の際には、公正中立、不偏不党でなければならないと考えております。それを貫いていれば、政治活動を含め、あとは自由だと考えております。これは、憲法の理念に従い、法令を遵守していれば難しいことではないと考えておりますと、答弁しておられます。
 このことは、知事の仕事を通して、岩手県のさらなる発展とともに実証して見せていただきたいと思いますが、県職員すべての最高上司であること、職員とともにあること、危機を希望に変えるというなどのマニフェストに基づく、いわて希望創造プランの実現に向けて職員が頑張ってくれているという自覚。岩手県の代表として、各方面、各省庁へ岩手の願いを十分プレゼンテーションすることは、大変重要なことであると思います。今後、県政運営に当たって、どのような姿勢で臨まれるのか、知事のお考えをお伺いしておきたいと思います。
 11月7日、平成19年度決算検査報告書が、会計検査院長より内閣総理大臣に提出されました。この中で、会計検査院が無作為で調査対象とした全国12道府県の調査で、平成14年から18年度における農林水産省及び国土交通省所管の国庫補助金に係る事業費の経理事務処理に関し、すべての調査対象県で不正経理が見つかり、岩手県でも、国庫補助金相当額ベースで1億700万円の指摘がされたところであります。11月27日に、決算特別委員会が開会され、県の不正経理に関する全庁調査結果が公表されました。私からも何点かについてお伺いをいたします。
 改めて、このたびの会計検査院決算検査報告の中で、岩手県が国庫補助金事務費処理について不適切として指摘されたことに対して、知事はどのように受けとめられ、県民に対してどんな気持ちでおられるのか、お伺いをいたします。
 次に、会計検査院から指摘された全容についてお伺いをいたします。また、指摘された全容の中で、会計処理についての見解が相違する点と、そのことは今後どのような協議を経て、いつ決定を見ると予想されているのかについても、お伺いをいたします。
 マスコミ報道後の調査によると、県単独事業にも不正経理が見つかっておりますことと、全庁調査では、8部局にわたって不正経理があったとのことであります。どのような調査結果となったかについても、お伺いをいたします。
 全庁調査に当たって、農林水産部、県土整備部の調査において、預け金から用備品を納入してもらった際の納品書が廃棄されていたケースがあることをわかっておりながら、納品書の有無について調査項目に入れていなかった、調査項目に入っていなかったので調べていないとされることについて、どうして調査項目に入れなかったのかについてお伺いをいたします。
 農林水産部、県土整備部の調査において、納品書廃棄の事実がわかったのは、会計検査院の検査ではなく、両部に対する県の調査でわかったことであります。全庁調査でそこまで踏み込んだ調査が行われるのは当然であり、調査が公平に行われる観点からも重要なことと考えており、このことを含めて調査すべきと考えますが、どういう考えによるものなのか、お伺いをしておきます。
 農林水産部と県土整備部の自主調査の中で、納品書の廃棄されたもの、預けで購入した備品の所在がわからないものがあることがわかっておりますが、流用がないことを証明するには、納品書があるか、当初、事実としてあったが廃棄したなどの確認と、備品に至っては所在が確認される必要があると思いますが、私的流用、キックバックがないという結論はどのような調査プロセスによって確認されたことなのか、お伺いをいたします。
 県内市町村の中では、補助金の不正経理について、県内35市町村中26市町村が調査、調査予定、9市町村が調査していないとしております。対応にばらつきがあります。私はこの際、全市町村が調査をし、その結果を公表し再発防止策を講じていくべきと考えますし、その旨、県は市町村に対して助言すべきと考えますが、県の方針についてお伺いをいたします。
 県は、平成18年度以降、平成19年度の国庫補助金における事務費経理で、預け等の不正経理はほとんどの所属では解消されているとしておりますが、それは今まで行われてきた不正経理がどのようなプロセスによって解消されたのか、大変疑問であります。
 会計検査院の検査が入ったのは平成20年2月と6月の2回でありますが、最初に会計検査院が検査に入ってから、急遽、調整してなくしたのではないでしょうか、お伺いをいたします。
 加えて、預け金等は、解消の際どのように処理されたのでしょうか、お伺いをいたします。
 知事は、定例記者会見において、補助金の返還や職員の処分について、不正内容を個別具体的に把握して判断していくこと、国の関係省との協議で返還対象が固まっていくこともあり、きめ細かく見ていかなければならないと説明。返還対象や方法等について、県のほうでもこの事業については目的外だと認めざるを得ないものもある。原因の究明が責任の問題にもつながっていくので、処分の問題と関連づけながら公正な対応を決めていきたいと述べ、今の時点では白紙の状態としながらも、職員の処分は不可避と考えていると述べております。
 県は、第三者委員会、第1回需用費等調査検証委員会において、不正経理は30年ほど前から続いていたと報告されました。その意味では、組織的な面もありますし、今回発覚した不正経理担当職員を処分すれば、処分の件は終わりとはなりません。もちろん、30年前にさかのぼって、当該する元職員を処分するということも基本的には考えられないところであります。30年も前から続けられていた不正経理の責任は、行政トップを継承した現知事がまず先にとるべきものではないかと考えますが、知事のお考えをお伺いしておきたいと思います。
 今後、返還金をどうするかの問題に入っていくものと思います。返還額はどの程度になるのか、どういう返還方法が求められておりますか、お伺いをいたしますし、全額返還については、国の補助金制度も背景にあるとの意見も出ているようですが、協議の長期化、法律による年10.95%の加算金が発生しますが、現段階での予測についてお伺いをいたします。
 不正経理が多年にわたるということは組織的であるということにつながっておりますが、そういう状況で返還金が県民の税金で賄われることには大変抵抗感があります。既に知事は、11月27日の定例記者会見において、県の不正経理問題の全庁調査結果を踏まえ、職員の責任について、職員の一定の負担を含め、同様の事例が他県にもあるので参考にしたいと述べております。このように述べられる根拠と、県幹部を初め職員の皆様にも伝えておられるのか、現在は記者会見だけでの話となっておられるのかについてもお伺いをしておきます。
 再発防止策についてでありますが、県は既に物品の発注と検収を別の担当者が行うよう、会計規則の運用を見直し、関係機関に通知する等を行っておりますが、現段階での再発防止策についてお伺いをいたします。
 監査委員にお伺いをいたします。
 監査委員は、不正経理問題を受け、決算前監査が終了している平成19年度の決算について随時監査をし、11月27日にその結果を報告いたしました。随時監査を実施するに至った考え方についてお伺いをいたしますし、今後の監査において、指摘された不正経理の存在についての視点をどのように生かしていかれるかについても、お伺いをしておきたいと思います。
 県が行う事業執行は、国庫補助による事業であれ、県単独事業であれ、その原資は税金であります。そのことは昔も今も同じであり、いわゆる公金を扱う者の厳格な姿勢、自覚が求められるところであります。予算を有効に使おうとの動機であっても、不正経理は、結果として事業予算見積もり能力、予算要求の真摯な姿勢、事業執行姿勢等において甘さが出てしまうことになりがちであります。このことは、県勢発展上において返還額以上に作用し、職員皆様の本来あるべき体質を弱めてしまうのではないかと心配されるところであります。全庁調査のてんまつとともに、第三者機関の調査結果を受けて、しっかりした再発防止策と、その精神が全職員に醸成されていくことを期待しております。
 次に、入札契約制度についてお伺いをいたします。
 本県においては、平成19年7月の入札・契約制度の改正で、原則、すべての県営建設工事に条件付一般競争入札と予定価格の事前公表が導入されました。この結果、平均落札額は平成19年度が83.7%、今年度7月末での結果は79.3%となっており、落札率の低下が急速に進んでいる状況であります。これらの背景には、公共工事の激減等に伴い価格競争が激化していることがあり、予定価格の事前公表のもとでは、応札企業が、施工場所と設計書の内容を具体的に調査した上で入札価格を決め入札参加するべきものを、予定価格から落札すると思われる価格を推測して入札する傾向にあり、ダンピング受注を招いており、さらに下請へのしわ寄せや工事品質の低下という問題を引き起こしかねないとの指摘があります。
 また、総務省と国土交通省においても、今年3月、地方自治体に対して、予定価格の事前公表は積算能力のない業者の参入を助長するため、事後公表への移行を促進するとの通達をしており、さらに9月には、予定価格事前公表の取りやめを含む適正価格での契約の推進のため、公共工事の入札及び契約の改善を早急に行うよう、緊急要請があったところであります。
 10月24日、東北建設業協会ブロック会議が仙台市で開催されました。この席上、東北各県の土木部長が、自県の低価格受注への対策を紹介いたしました。本県からは佐藤文夫県土整備部長が出席、岩手・宮城内陸地震における地元企業の懸命な復旧作業に感謝を述べ、県内の業界関係者に謝意を表したほかは、入札制度改革については必要な見直しを早急に行う方向で検討していると手短に述べるにとどまりました。それも当然のこと、県土整備部長は入札を所管する部の長ではありません。当日の会議の趣旨では、川窪総務部長が出席する必要があったのではないでしょうか、お伺いいたします。東北他県の入札制度情報に入札業務を所管する総務部長が直接接することができないのなら、入札業務を県土整備部に移す必要が既に出ているのではないでしょうか、お伺いします。
 東北各県の改善を見ますと、今年度に調査基準価格の引き上げ改正を行っているのは、宮城、秋田、山形の3県。宮城県は8月1日から改正し、純工事費が改正前85%を90%に、現場管理費60%を70%に、一般管理費50%を60%に引き上げており、これにより標準モデルが予定価格の78%から84%までアップしております。秋田県は本年10月から改正。山形県は7月から公共調達基本条例を施行、6月30日以降の発注工事の調査基準価格を国の中央公契連モデルに準拠した形で見直し、直接工事費の75%などの積算内訳書に基づく失格数値基準を設け、年明けから低入札への強化策を打ち出すとしております。青森県では数値的判断基準をモデル並みに、福島県では失格基準を設けております。
 岩手県だけが制度改正がおくれております。入札契約制度は、経済状況や競争環境等、時代の変化に対応して見直されてきた経緯がありますが、本県では、国の通達や要請、低入札契約で起きている現象等をどのように受けとめ、いつまでにどのように改善していくお考えか、改定に際しての課題とともにお伺いいたします。
 県は、市町村との二重行政解消などに向けて、既に7月31日と11月5日に開催された岩手県分権推進会議で審議の上、来年度、広域振興局・市町村政策調整会議(仮称)を設置する方針と聞いております。政策調整会議は広域振興局と市町村の共同設置とし、報道によれば、首長と広域振興局長のほか、市町村、県職員、県議や市町村議、民間の有識者らで構成するとされております。その上で、本年度は県南広域振興局と管内の1市1町でそれぞれ設置、成果を検証、他地域へも拡大するとしております。
 二重行政の解消や県と市町村との連携、諸施策の統合・分担相乗効果は多年のテーマであったと思います。日ごろの事業推進の中で自然に疑問に感じたことを調整して解決に結びつけていく姿は既に以前から求められていたものではないでしょうか。新しい法律の施行によるものでもなく、調整会議なるものを設置しないと調整がつかないということに、県と市町村との関係とはそういうものであったのかと大変残念に思うところであります。
 まず、政策調整会議設立の基本的考え方についてお伺いいたします。
 初年度は県南広域振興局と管内の1市1町でモデル的に試行するとしていることに対して、岩手県分権推進会議で多くの委員から、全県で統一的に協議調整すべき、なぜモデル的に試行するのか、4広域圏で走らせるのが合理的等々の意見が出されました。今日の県北・沿岸地域が抱えている課題と解決手法の手詰まり感の切迫した状況を考えますと、むしろこうした地域から二重行政解消等への強い意思が示される可能性が非常に高いと考えられます。そうした地域に取り組む機会を与える意味でも、すべての地方振興局単位にスタートさせたらいかがでしょうか。分権推進会議での御意見に対する所見とともにお伺いいたします。
 農業振興や岩手の農業を考えるとき、農業普及員の存在は大きいものがあります。平成17年4月、農業改良助長法が改正されました。改正の趣旨は、農業者の高度で多様なニーズに対応できる普及事業の展開を図るため、専門技術員と改良普及員の2種類の普及職員を普及指導員に一元化するとともに、都道府県が自主性を発揮できるよう、地域農業改良普及センターの必置規制を廃止する等の措置が講じられたところであります。
 県では、この改正に対応して、平成18年4月に現場主義の徹底、農家等の顧客ニーズの重視、普及指導機能の人的資源の集中投入を視点に普及センターを再編いたしました。改良普及センターが統合される地域、改良普及センターからサブセンターにかわる地域、普及センターがなくなる地域等から要望が出され、議会の場で多くの質疑があったところであります。
 必置規制の廃止、協同農業普及事業交付金の税源移譲による一般財源化に伴って普及事業の県単要素が高くなっていくこと、普及要員の確保、普及職員が一元化された中での普及指導技術の向上等の課題があると思いますが、農業改良助長法が改正されて4年目、農業改良普及センター再編3年目でありますが、現在の普及センターの状況、頑張りの姿、さきに述べました考えられます課題への対応、役割の向上と存在への決意についてまとめてお伺いいたします。
 岩手県には、東北横断自動車道釜石秋田線、三陸縦貫自動車道、八戸・久慈自動車道が高規格幹線道路として路線の計画や整備が進められております。それぞれに延長では秋田県、宮城県、青森県とのかかわりがあります。それぞれの路線の岩手県と他県との延長比較を見ますと、極端に岩手県内延長が長いわけではありません。ところが、供用率で見ますと隣県に比べて大きな差があり、岩手県内供用率が悪く、東北横断自動車道釜石秋田線では、秋田県分98.5キロメートルは既に全線供用されている状況であります。それぞれに整備促進期成同盟会や沿線市町村が要望活動を展開しておりますが、その中で知事さんに頑張ってほしいという逆陳情を受けると言われます。他県にも同じように路線の整備促進の課題を抱えて要望活動がある中で、岩手県知事の活動が見えないのではないでしょうか。平成20年度において知事が具体的に関係省庁にどのような要望活動を岩手県単独でなされたのか、整備促進に向けた知事の役割の御認識とともにお伺いいたします。
 担当部には3路線の整備状況についてお伺いいたします。
 これらの路線は、当該県に対する整備負担率が低いこと、沿線市町村には負担金がないこともあり、県内公共工事が激減している中で、負担金の少ない公共工事として整備促進は意味のあるものと存じます。御認識と、それぞれの路線の県負担率をさきの質問にあわせてお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。御答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 柳村岩見議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私の県政運営に当たっての姿勢についてでありますが、御指摘のあった今回の不適切な経理処理問題の発覚当初において、私自身の県民の皆様に対する説明がおくれてしまったことについては大いに反省をしているところであり、今後においては、一層の危機管理意識を持って職務を遂行していく考えであります。
 また、今後の県政運営における基本的考え方としましては、私は、地域で暮らす人々の豊かな生活を実現していくことが私に課せられた責務であるとの考えのもと、積極的に県内各地に出向き、県民との対話を通じ、県民の暮らしや仕事の現状を把握することが重要であると考えております。
 これに加えて、県職員一人一人が私と同じ意識で行政運営に当たることが県の組織力を高め、県民サービスの向上につながりますことから、職員との対話についても十分に行っていきたいと考えます。こうしたことを通じて、岩手が今どうなっているのか、県民が何に困っているのかということをしっかり把握し、職員ともども知恵を出し合いながらその解決策を考えるとともに、国内外におけるトップセールスや国に対する政策提言なども行いながら、知事として常に先頭に立ち、県民一人一人が確かな希望を抱くことのできる県土づくりに向けて全力を傾けていく考えであります。
 次に、会計検査院の指摘に関する所感についてでありますが、会計検査院の検査の結果、本県の国庫補助事業に係る事務費について、不適切な経理処理や補助対象とならない用途への執行があったことはまことに遺憾であります。今般の不適切な経理処理は、予算の使い切り意識など本県の組織の気風を背景として生じたものでありますが、職員に会計規則等の関係法令を遵守した適正な会計経理に関する認識が不十分であったことや、不適切な事務処理の発生を未然に防ぐ内部牽制体制が構築されなかったことなどから結果としてそうした事務処理が継続して行われてきたものであり、会計検査院の指摘を重く受けとめております。
 今後は、指摘された国庫補助金等の取り扱いについて関係省庁と協議を行うとともに、今般の全庁調査により取りまとめられた再発防止の徹底や関係した職員の責任問題の処理などについて真摯に取り組み、県民に信頼される県政の推進に全力で取り組んでまいりたいと思います。
 次に、この問題の責任についてでありますが、今回の問題は県政に対する県民の信頼を大きく損なうものであり、県の最高責任者として県民の皆様に大変申しわけなく感じているところです。
 需用費の執行について、不適切な事務処理が長期間、複数の部局で行われてきたことを踏まえますと、一連の不適切な事務処理の背景には組織全体の意識や風土に問題があったと考えられ、この点の意識改革と再発防止策を徹底し、二度とこのような事態が起こらないよう、私が先頭に立って取り組み、県行政のトップとしての役割を果たしていかなければならないと考えております。
 次に、職員の負担に関する検討についてでありますが、預け金など発注と実際に異なった物品が納入された場合には、複数業者による入札や見積もりをして調達する場合に比べ競争性が働かず、高コストで調達した結果となるケースの発生も懸念されるところであります。こうした考え方で、県に損害が生じていたとして一定の負担を職員に求めていた他県の事例が既にありますことから、そうした事例も参考にして、損害の内容を整理した上で、職員に一定の負担を求めることについて検討していく方向としているものであります。
 こうした基本的考え方を全庁調査報告書の中でも示しておりますけれども、この報告書については庁議でも報告され、また、全庁の職員にも周知を図っているところです。
 次に、高規格幹線道路の私の要望活動、整備促進に向けた役割の認識についてでありますが、これまで関係省庁に対し、さまざまな機会を通じてその整備促進について要望を行ってきたところであります。
 今年度におきましては、7月に総務省と財務省に対し、道路特定財源の一般財源化に当たっては高規格幹線道路を含む道路の整備がおくれないように配慮するよう要望したほか、国の新たな中期計画の作成に当たり、10月に国土交通省に対し、高規格幹線道路等の未整備区間については国の責任において全区間を早期に整備することが必要であると意見を述べたところであります。
 県内の高規格幹線道路網の構築は、地域の活性化や救急医療等、産業振興や県民生活のために極めて重要であると認識しており、今後ともその整備促進について強く国に働きかけてまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 会計検査院からの指摘内容等のお尋ねについてでございます。
 まず、会計検査院から指摘された全容は、農林水産省及び国土交通省に係る需用費、賃金、旅費についての不適切な事務処理で、事業費の指摘総額が2億374万円余でありまして、その内訳は、需用費につきましては、預け金や翌年度納入など不適切な事務処理による支出が1億1、318万円余、賃金につきましては、国庫補助対象業務以外の業務に従事していた臨時職員の賃金など4、392万円余、旅費につきましては、国庫補助対象業務以外の用務での出張など4、663万円余となっております。
 また、会計検査院との見解の相違についてでございますが、会計検査院の検査がほぼ完了いたしました6月時点と比べ、国会報告された内容はかなり本県の主張が認められたところではございますが、指摘された案件の中には、需用費におきましては、事情があり、やむなく翌年度納入や前年度納入せざるを得なかったもの、また、賃金、旅費につきましては、補助事業の円滑な遂行上必要であり関連性が高いものが含まれておりまして、これらについて見解が相違しているところでございます。
 このような本県の主張につきましては、11月7日の国会報告によって会計検査院としての判断が確定されましたことから、今後は、補助金を所管する農林水産省及び国土交通省と協議していくこととなるものでございます。この見通しにつきましては、現在、各省庁と具体的な協議方法やスケジュールを調整中でございまして、現時点で協議の完了時期をお示しすることは難しい状況にございますが、可能な限り早期に確定するよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、預け金の解消のプロセスについてでございますが、農林水産部及び県土整備部におきましては、公共事業費の減少に伴い、預け金の多くを占めておりました公共事業の事務費自体が減少していったことなどから年度を追うごとに減少していたところでございますが、近年の公金の取り扱いに対する社会的な関心の高まりや、各所属におけるコンプライアンスの浸透に向けた努力などを背景に経理処理の適正化が図られたことなどもございまして、新たな預け金が発生しなくなったものと考えられます。
 なお、平成20年2月に会計検査院が農林水産部と県土整備部に検査に入ったことが、その検査の対象となりました該当所属において平成19年度末以降新たな預け金等が発生していないことにつながっているという面もあると認識いたしております。
 また、預け金につきましては、今回の調査の結果、一部新たに判明した残金を除き、事業者から預け金の残額に見合った物品が納入されたことによって解消されていることを確認したところでございます。
 次に、返還金についてでございますが、返還金及び加算金につきましては、補助金交付省庁との間で返還協議が調い次第、額が確定することとなっておりますことから、現時点でどの程度の額になるかを見通すことは困難でございます。今後の返還協議におきましては、交付省庁が厳しいスタンスで臨んでくることも考えられますが、本県といたしましては、今後とも特別な事由があるものについて十分説明を尽くし、交付省庁の理解が得られるよう最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。
 また、補助金返還につきましては、補助金適正化法に基づき行われることとなり、今後、本県と補助金交付省庁との間で返還額及び加算金の免除の扱い等について協議を行い、その協議成立後、補助金適正化法に基づく交付決定取り消し命令及び補助金返還命令がなされ、その命令後、国に納付するという手続とされております。
 次に、農業改良普及センターについてでございますが、農業改良普及センターは、平成18年4月の再編を契機といたしまして、プロジェクトチーム活動による地域の重要課題の解決、市町村や農協との連携強化による地域協働の産地づくり、高度な専門技術指導体制の充実による新技術の迅速な普及などに重点的に取り組んでいるところでございます。この結果、八幡平普及センターの高原野菜振興チームによる岩手町のキャベツなど土地利用型野菜の産地づくりや、一関市における農協や地域のベテラン農家と連携した地域協働による小菊、トマトの産地づくり、中央普及センターと各地域の普及センターが連携した本県独自の大豆小畦立て栽培技術の普及指導による大豆の単収向上などの成果があらわれているところでございます。
 また、普及センターは、地域の要望にこたえるための農業普及員の確保とその資質向上が課題となっておりますことから、集中改革プログラムを推進する中にあっても必要な農業改良普及員の確保に努めるとともに、技術レベルに応じた専門研修や現場活動を通じた研さんにより農業普及員の指導力の向上を図っているところでございます。
 今後におきましても、普及センターが農家にとって身近な組織として、経営感覚にすぐれた担い手の育成や消費者ニーズを起点とした環境と共生する産地づくりなど、地域の多様なニーズに的確に対応できるよう、地域協働による支援体制の構築をさらに進めるとともに、農業普及員の指導力強化に努め、地域課題に的確かつきめ細やかに対応できる岩手ならではの普及事業を展開してまいります。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 全庁調査の結果についてでございますが、今回の全庁調査の結果、平成14年度から20年度までの間における需用費の不適切な事務処理の発生総額は1億5、163万円余で、知事部局及び教育委員会の8部局94所属において確認されたところであります。このうち、会計検査院から指摘された額を除いた発生総額は3、845万円余であります。
 預け金につきましては、ほとんどの所属において平成19年度までに解消されていることが確認されましたが、2所属において合わせて5万5、621円の残高があることが確認されたところでございます。
 発注した物品と異なる物品が納入されました預け金、差しかえ、一括払いの三つのカテゴリーにおける納入につきましては、さまざまな事務用品や備品として公的に使用される物品が納入されたということが確認されております。また、賃金、旅費につきましては、平成14年度から18年度と同様な指摘が会計検査院から行われるとすれば平成19年度にも指摘を受ける対象となり得ると整理されたものが賃金で1、277万円余、旅費で586万円余それぞれ存在したところでございます。
 次に、納品書に関する調査項目についてでございますが、全庁調査におきましては、需用費については、調査対象年度の全所属の担当者に対する聞き取り調査と業者さんへの訪問調査を通じまして、不適切な事務処理の発生状況を把握することを第1段階として行いまして、次に、県の支出関係書類と業者の帳簿等を突合する作業を第2段階として行うことによりまして具体的な事実関係を確認したところでございます。
 この第1段階での聞き取り調査におきましては、不適切な事務処理の発生の有無を確認することが目的でありましたことから、預け金等によって実際に納品された物品の納品書の取り扱いに関する調査項目は設定していなかったものでございますけれども、その全庁調査におきましては、第2段階までの調査で、預け金、差しかえ、一括払いに該当する不適切な事務処理が確認された年度の該当する所属につきまして、その年度に需用費の執行を担当していた職員に対し第3段階としての調査を行っておりまして、その中で御指摘の納品書の取り扱いや廃棄の有無、廃棄時期などについても調査項目として実情を確認したところでございます。
 次に、私的流用等がないという結論の確認についてでございますが、預け金、差しかえ、一括払いにつきましては、発注した物品と実際に納入されているものとが異なりますため、実際の納入が備品や消耗品によって県に確実に納品されたかどうかを確認することが重要であり、今回の全庁調査では、業者さんに御協力をいただきまして、納品書の控えや売り上げ台帳などの提供を受けまして具体的な納品状況を調査いたしましたほか、県側におきましても、納品された物品の一つ一つにつきまして、県における使用状況や廃棄状況、備品の存在状況などを確認、整理する作業を行ったところでございます。
 こうした調査を通じまして公的に使用された物品の納入を確認したところでありますが、不適切な事務処理にかかわった67の業者からも、当時の営業担当者、経理担当者、責任者などから当時の状況について説明をいただいており、また、預け金等が生じた所属の担当者からも追加の聞き取り調査を実施しておりますが、そうした調査を進めていく中で、職員の私的流用やキックバックを疑わせるような情報や不整合な点は出てこなかったものでございます。
 次に、再発防止策についてでございますが、再発防止策を進めていくに当たりましては、個人のコンプライアンスの確立や正しい会計処理の研修などに加えまして、システムの面からも確実に再発を防止できるようにする必要があると考えております。
 具体的には、預け金等につきましては、今後は、物品検収や決裁の仕組みの中でそういう行為が見逃されることがないようなチェック体制を構築することが基本になると考えておりまして、例といたしましては、発注と検収の分離、納品検収における現物確認の徹底、物品発注状況についての出納局からの全庁への状況の公開、4月に旧年度予算で購入票を入力したケースについての一覧的な出力とその事実関係のチェックなどを予定しております。また、年度越え等につきましては、使い切りの防止につながる予算システムや納品おくれの場合の事務処理のあり方などについて対応が必要となると考えておりまして、例といたしましては、節減加算システムの再開、また、納品おくれのケースについての事故繰り越し処理の徹底などを予定しております。
 こうした再発防止策につきましては、物品調達システムの見直し、内部統制の強化、業者への協力依頼、予算システムの見直し、職員の意識改革、国への制度改善要請という形で、先ほど申し上げましたものを含めまして、六つの体系で再発防止策を取りまとめているところでございまして、速やかに、順次、実行に移していきたいと存じます。
 次に、東北建設業協会ブロック会議の出席の件についてでございますが、この会議は、東北各県の建設業協会を構成員とする東北建設業協会連合会の主催でございまして、建設業界の当面する諸問題について意見交換を行うため、国土交通省や東北各県の建設行政を担当している部長に対して出席の御案内をいただいたものでありまして、本県も建設行政を担当している県土整備部長が出席しているところでございます。この御指摘の会議を含めまして、建設業の状況や、また、入札制度に関係する議論があるものにつきましては県土整備部と連携を密にいたしまして、その会議内容や関連情報を把握、確認をいたしながら、総務部が入札担当としての職責を適切に果たせますように、取り組んでいきたいと考えております。
 また、入札業務の所管についてでございますが、本県では、入札事務の担当部局につきましては、発注部局と分離し、よい意味での相互牽制のもとに円滑に執行していく観点から、総務部で担当しているところでございまして、今後とも、発注部局と必要な連携をしっかりとりながら、適切な事務の執行に当たっていきたいと考えているところでございます。
 入札契約制度の改善等についてでございますが、これまで現行制度のもとでの低入札対策の効果の検証作業を行ってきたところでございますが、現在の調査基準価格や失格制度は一定の効果を発揮していることが確認されました一方で、低入札が昨年を上回るペースで発生しておりますことや、予定価格の3分の2を下回る極端な低価格での落札も見られたところでございます。
 予定価格の公表につきましては、事前公表を継続していくことが適当と考えておりますけれども、低入札対策の一層の強化を図りますために、調査基準価格及び失格基準価格の算定式や、数値的判断基準に用いる割合の値を、それぞれ改正する準備を進めているところでございます。
 具体的には、一つ目は調査基準価格でございますが、国のモデルが―公契連モデルと言われているものでございますが、これが、従前は直接工事費と共通仮設費のそれぞれ全額に現場管理費の5分の1を加えたものとなっておりましたのが、モデルの改正後は、直接工事費の95%、共通仮設費の90%、現場管理費の60%に、さらに一般管理費の30%を加えるという形に改定をされておりますので、この国のモデル改正内容に準拠して、県の調査基準価格についても改定することを検討しております。
 また、二つ目に失格基準価格でございますが、これにつきましては変動方式を維持しつつ、過度な低入札での落札を防止いたしますため、現在の計算式から算出されます失格基準価格が一定の水準を下回った場合には、現行方式の場合に算出される失格基準価格の金額に一定の補正額を加算いたしまして、多数の者が低い価格で入札した場合にも、失格基準価格が単純に連動して限りなく低下するような事態を防ぐ形の計算式に改正するということを予定しております。
 また、三つ目でございますが、数値的判断基準―この数値的判断基準と申しますのは、1億円以上の金額の工事につきまして、変動型失格基準によって失格とならなかった場合におきましても、工事費内訳書の積算内訳の状況に応じて失格判定を行う仕組みでございますが、この判定の際に用いるパーセンテージの値につきまして、調査基準価格とのバランスを考慮して引き上げる方向で見直すことを予定してございます。これらの見直しにつきましては、今月中にも関係業界の皆様方への説明や、また、電子入札システムの改修などの作業を開始いたしまして、適切な準備期間を置いて、できるだけ早期に実施したいと考えているところでございます。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 市町村の不適切経理に係る調査についての県の方針についてでありますが、11月20日現在で照会したところ、県内35市町村のうち、宮古市など24団体が調査済みであり、残り11団体はすべて調査を実施中であるか、あるいは近々調査を実施する予定であることを確認いたしておるところでございます。
 市町村の不適切経理に係る調査や結果の公表、再発防止策などの対応につきましては、現在、各市町村の責任においてみずから実施しているものでございますが、県としては、これまで市町村から相談があった際に助言したほか、県の取りまとめた再発防止策を提供するなど必要な支援をしてきたところであります。今後とも、市町村が適切に対応できるよう支援してまいる考えであります。
 次に、広域振興局・市町村政策調整会議(仮称)設立の基本的考え方についてでありますが、地方分権の進展や市町村合併等による市町村中心の行財政システムの構築を進める中で、県と市町村が明確な役割分担のもとで権限移譲について協議する際に、特に二重行政などの問題が顕在化してきたものであります。二重行政については、財源や人材の重複投資や、地域で行政サービスが調整されず過剰となるおそれがあるなどの非効率が指摘されており、岩手県分権推進会議においても、行財政資源を効果的に活用していく観点から、二重行政の解消に向けて、早急に取り組むべきとの意見があったところでございます。
 県と市町村との間では、これまでもいわて希望創造プラン、地域計画編の策定や市町村総合補助金、あるいは地域振興推進費の活用などを通じ、諸施策の協議・調整はその都度行ってきたものであると認識いたしておりますけれども、国、県、市町村を通じて事務事業の二重行政の解消を初め、効果的な連携・協働のあり方などの視点をもって、互いに協議・調整する仕組みはこれまではなかったものであります。
 このようなことから、県、市町村の政策を体系的、総合的に協議・調整することによって、限られた行財政資源のもとで行政サービスの効率化を図り、さらには、事務事業の相乗的な効果を発揮することができるよう、本県独自の取り組みとして、新たに政策調整会議(仮称)を設置することとしたものであります。
 次に、分権推進会議での意見に対する所見等についてでありますが、本年7月と11月に開催した会議におきましては、いわゆる二重行政の解消方策等について、2回にわたり御審議いただいているところでございます。この会議におきましては、二重行政の解消に向け、県と市町村の協議・調整の場が必要であるとされ、また、政策調整会議(仮称)の設置のあり方につきましては、来年度から4広域振興圏ごとに、あるいは35市町村ごとに設置すべきではないか。協議・調整の過程を広く公開し情報を共有することにより、県南局のみの設置であっても、全県のモデルとなり得るのではないかなどの趣旨の御意見があり、分権推進会議としては、二重行政の解消に向け、積極的かつ早急に対応すべしとの認識でまとまったものと受けとめているところであります。
 このようなことから、さらに検討したところでございますが、政策調整会議(仮称)におきましては、県と市町村の全事務事業を対象に精査検証を行う必要があり、人的に対応が困難な市町村も出てくると懸念されることから、まずは県南局においてモデル市町を選定し効率的な方法を模索し、決めた上で、平成22年度以降に、全市町村に適用していくことが得策ではないかと考えているものであります。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 県内の高規格幹線道路3路線の整備状況、県の負担率などについてでありますが、まず進捗率ですが、供用している延長は、基本計画の延長に対しまして東北横断自動車道釜石秋田線では56%、三陸縦貫自動車道では24%、八戸・久慈自動車道では11%となっております。県の負担率は、東北横断自動車道釜石秋田線では11.5%、三陸縦貫自動車道と八戸・久慈自動車道では17.4%となっております。
 高規格幹線道路の整備を初めとする直轄事業は、県内の根幹的な社会資本整備の役割を担っていただいており、また、県内の公共事業の全体から見ますと、少ない負担額で相当規模の事業量を確保することができることから、予算編成などに際しましては、直轄事業の県負担金へ優先的に配分するよう努めているところであります。
 県内の高規格幹線道路網の構築はまだ道半ばの状況にありまして、今後とも、このような予算編成の考え方で整備を促進してまいりたいと考えております。
   〔監査委員菊池武利君登壇〕
〇監査委員(菊池武利君) 監査に関しまして二つの御質問があったと思います。
 まず、随時監査に至った考え方についてでありますが、今般、農林水産部及び県土整備部が執行した平成14年度から平成18年度までの国庫補助金に係る事務費の支出について、会計検査院から不適正なものがあるとの指摘がありました。両部では、平成19年度の賃金及び旅費についても、従来の考え方で執行したということでありました。したがって、補助対象外とされるものが含まれているおそれがあるため、今回、随時監査を実施したものであります。
 なお、あわせて、平成19年度には、不適正な支出はないものとされていた需用費の執行についても、確認を行うこととしたものであります。
 次に、不正経理の存在についての視点を今後の監査にどのように生かしていくかということでありますが、現在、決算前監査は、対象機関のおよそ50%程度となっております。まずは、その実施率を高める必要があると思っております。また、定期監査では、消耗品などについて在庫している現物との照合、確認を強化するとともに、物品などの修繕については修繕箇所の確認を行うこととしております。また、消耗品などの購入についても業者の協力を求め、外部から確認を行いたいと思っております。
 一方、賃金及び旅費について、これまでの監査では、支給額の適否などを関係帳票により点検、確認する方法をとってきたところでありますが、今後、国庫補助に係るものについては、関係省庁の見解を踏まえ、監査を行っていきたいと思っております。
〇36番(柳村岩見君) 全庁調査結果の範疇に入る質問と思い、そこで答弁があると思いましたが、第1回需用費等調査検証委員会の会議録を見ますと、翌年度納入を行ったと回答された所属一覧の中に、総合政策部2課が入っております。これは、ここの総合政策部というところには、私から見れば不正経理、皆さんから見れば不適切な経理、こういうことになろうと思いますが、不適切な経理、私から見れば不正経理があったものと、そこでここに統計として出てくるのだと、こう私は判断するのでありますが、そのことはどのように説明すればいいものなのか、御質問申し上げたいと思います。
 といいますのは、翌年度納入という正規な姿におけるものがない。そこで、翌年度納入してもらったというような行為については、不適切ではなくて、理由があれば通常あり得ること。それはここの統計にあらわれるべきものではなくて、不適正な会計処理が行われたことを調査したら、翌年度納入を行ったことがあると回答された所属に一覧をされたということは、そこに、私が思うには、預け等のお金があるがゆえに、その預けに伴った、それを原資としたものの納品が翌年度納入とか、そういうものがあったと解釈されてここに統計が出てこなければならないので、普通の正しい姿であればここにあらわす必要がない、統計上。出したという以上は、ここにも私から見る不正経理が存在すると解釈されるのでしょうか、御答弁をお願いしたいと思います。
 総務部長にお尋ねをいたします。
 岩手県の、特にも低入札に対する対策の入札契約制度の改正がおくれております。私の質問の中には、その改正を行うときの課題についてどういう障害があるのか、なぜ岩手県が遅くなるのかということも質問を申し上げたと思います。答弁がございません。他県では既に、あるいは一部、低入札に対する対策に入札契約制度が改正されておりますけれども、岩手県が出されていないのは、何が障害でそのようになるのかという課題についてお話をいただきたいと、こう質問したところであります。その答弁がございません。
 加えて、今日までその改正がおくれますと、答弁に一歩踏み込んで、いつまでという仕切りをつける必要があろうかと思います。余りにも遅いから、そう質問をするのであります。少しばかりのことでは申し上げません。なぜ岩手県は遅いのか、その課題は何なのか。そして、今の時点になったら、もう仕切りをつくるべき、例えば年内あるいは年度内。もちろん、改正案に対して関係者に対する説明が必要となろうと思います。その作業もあると思います。当然、私も承知しておりますけれども、電子入札におけるプログラムを変えるという、そういう作業。しかし、私はその作業は余りかからない認識でおります。金額もそんなに膨大な予算が必要とならないという認識を私自身は持っておりますけれども、部長、いかがでしょうか、お尋ねをいたします。
〇総務部長(川窪俊広君) 最初の全庁調査の件でございますけれども、全庁調査の中では、不適切な事務処理があったといういわば証言といいますか、証言をもとに、あとは突合作業をして額を確定するという作業をやっております。その際の証言はあったけれども、文書の保存の問題等があって、数字の確認に至っていないところについては、そういう事実があったという証言があったところの一覧という形で、そこは所属の名前だけをすべて挙げるという形で載せさせていただいているというものでございます。
 御指摘の総合政策部といいますか総合政策室の二つの所属につきましても、そういう翌年度納入、いわゆる年度越えが過去にあったということが報告されてはおりますが、金額としての確認作業の対象になっていなかった年度の部分であったということで、所属名だけが掲げられているということでございます。この部分につきましても、不適切な事務処理の類型としての翌年度納入でございますので、不適切な事務処理のかつて存在した、あったということについての事実関係の把握という意味では、やはり不適切な事務処理があったものという整理でございます。
 それから、低入札の件についてでございますけれども、これにつきましては、本県の場合、1年前、平成19年の7月に入札制度を改正した際に、低入札の対策についても幾つか既に、いわば今回予定している改正に先んじて進めていた部分もございまして、そういったところの効果の検証ということをやりつつ検討を進めてきておりまして、その結果といたしまして、実際、1年前の7月の新制度に基づく入札の動向というものを、その後の1年間程度にわたりましてさまざま分析をいたしまして、その分析結果も踏まえて、今回のこの後予定している改正案を考えてきていたというのが、今の時期に至っている主な理由でございます。
 しからば、いつまでということでございますけれども、まさに御指摘いただきましたようなプログラム改正とか、最低限の周知準備期間というものも必要と思っておりますが、できるだけ案を固めましたら早く御説明し、早く実施したいと考えておりまして、新年度ということにならないように、今年度中のどこかの時期にはスタートさせられるように対応したいと考えているものでございます。
〇36番(柳村岩見君) 調査の公平性からいきますと、金額が調べにくいと。しかしながら、翌年度納入を行ったことがあると。これはまさしく不正経理、こちらから見ると不正経理。不適正な経理処理であったと認められました。それなら、小額であろうと全庁調査の不備という観点から、当然、調査がすべて100点になるはずはないのであります。不備、やってみたら不備があって、そこの金額を見出すことが簡単じゃない。だから日にちをかけて調べる。それをしないと、他部との関係で、あったようなないような、答弁ではあったと言ったって、金額があらわれない。小額だ。そんないろいろ要素がある。一定の結果を出さなければならないんだと思うんですよ、ほかの部と同じように。それが大事だと思います。その決意。
 それから、もう、ここまで入札契約制度の改正がおくれますと、総務部長、よそより立派な改正を行うという決意を御披瀝いただきませんと、座りにくい。それはもう、いろいろお考えがあるでしょうから、前の人の質問もありますし、私に答えづらいのでしょうが、よその方ならちゃんと答えたでしょうが、もう腹をくくってやっておられるお仕事ですから、本当にそろそろ立派な答弁をなさってもいいころですよ。御本人は、さっきあれで精いっぱいと思っているでしょうが、御決意を。
〇総務部長(川窪俊広君) 前段の全庁調査の件につきましては、翌年度納入もそうですし、それから預け金等についてもそうなんでございますけれども、それぞれ金額の調査については、過去どこまでさかのぼれるかということがございまして、金額的に確認がさかのぼれない時期のことにつきましては、ある部だけを調査、金額確認から外しているというようなやり方ではなくて、どこの部のどこの所属についても、一定の年度以降は全部確認するというような形でやってございまして、その結果として、数字を確認した年度のほうには名前が上がらなかったけれども、その以前の年度に問題事例があったということが確認されたところについては、それをいわば包み隠さず、所属名でお知らせするという形で載せさせていただいているものでございます。
 それから、入札制度のほうにつきましては、現在の岩手県の改正すべき内容として、最も適切なる内容に改正をしたいということで準備作業をしているところでございますので、最も適切なる内容で実施できるように努めたいと考えております。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時32分 散会

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