平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(関根敏伸君) 民主・県民会議の関根敏伸でございます。
 登壇の機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げながら、昨日来の質問と重複する部分につきましてはあらかじめ御了承をお願いし、順次、質問をさせていただきます。
 初めに、県出資法人について概略的に伺います。
 このたび示されました平成20年度の岩手県出資等法人評価レポートによりますと、対象となった45法人の経営目標達成状況については、事業目標、経営改善目標等の取り組みが進んでいる旨の総合的な評価概要が示されております。また、運営費補助金、短期貸付金、損失補償などの県の財政的関与が前年度から減少することなどから、法人の自律的経営が進んでいるとの評価も示されております。しかしながら、それぞれの単年度収支や繰越損益の状況を見てみますと、特別法や会社法による法人を中心に、単年度損益が17億円余減少し、また、繰越損益でも10億円余の減少と、同様の傾向が見られます。
 また、示された評価は、各法人と県の所管部署による1次、2次評価をもとに総合政策部がまとめたものでありますが、目標達成による県の施策への貢献が明らかでないもの、目標設定数値が低いものや、達成が容易なものを目標に定めている傾向、また、経営改善目標が抽象的で検証困難なものなどが散見されるなど、評価そのものの妥当性にかかわる指摘もなされております。
 以上のことを踏まえ、まず、県では、総合的に県出資法人の健全性及び経営状況等をどう判断しているのか、お伺いをいたします。
 評価対象45法人の資本金等は総額で414億円余であり、このうちの県の出資等は181億円余となっております。また、運営費や運転資金としての短期貸付金で23億3、000万円、4億7、000万円の損失補償もしており、合計200億円以上の県費がこれら法人に投じられていることにもなります。
 県出資法人は、民法や会社法等を根拠とし、県が直接事業を行うよりも法人が役割を担うことが適切な場合など必要に応じ設立し、あるいは出資されているものと理解をしており、189人に上る県職員が派遣をされているのも、その理由からだと思われます。である以上、県の貴重な財源と人材をより有効に生かす観点からも、出資法人の評価、出資と派遣の妥当性を今まで以上に厳しく見ていく必要があるものと考えます。
 今議会には、県の住宅供給公社の解散案件が提案をされております。また、公共施設などの土地の先行取得などを目的につくられた全国の土地開発公社では、土地の売却損や金利負担などにより多額の損失を計上していることが明らかになり、その存在意義に対する議論も出始めていると聞いております。
 県住宅供給公社は、さまざまな問題はあるにせよ、幸いにも清算後は約8億円の現金と時価換算で10億円程度の宅地が、県を初めとする出資団体に分配されることになる予定と伺っておりますが、土地開発公社は、昨年、一昨年に続く2年連続の赤字を計上し、法人の目的性に対しても厳しい評価がなされております。環境変化の激しい現在、その出資法人の存続、解散も含めた判断時期の是非が、自治体財政に大きな影響を与えかねない状況になっております。
 そこでお伺いをいたしますが、財団法人など出資法人等の出資引き揚げなど、判断はどのような手順で実施をされるのでしょうか。国では、緊急の経済対策などの財源に、当初、その存在を強く否定していた特別会計の、いわゆる埋蔵金を充てる案が浮上しているとも聞いておりますが、現下の厳しい地方財政事情の中で、これらの出資金や法人が所有する財産等を、より有効に活用するための検討も必要と考えるものでありますが、いかがでしょうか。
 続きまして、県内の経済状況等に関連してお伺いをいたします。
 最近の報道等に示されます生産、消費、雇用、物価といった各種経済指標は、軒並み厳しい傾向を示しております。9月の景気ウォッチャー調査による景況感は、過去2番目の低水準になっているとも言われ、国内景気の悪化が加速していることが読み取れます。県内における製造業等、企業の生産調整や消費の減退、雇用者報酬の低下などは県内総生産額の低下に直結し、知事が希望創造プランのシンボル的指標と掲げております県民所得の目標値にも、大きな影響を与えるものと危惧を抱いているものであります。
 そこでお伺いをいたしますが、個人消費、建設投資、生産活動、企業倒産などの状況から、県内景気の最新動向をどのようにとらえ、また、消費者物価指数の状況、年末の県内各企業等の賞与支給の状況などを勘案し、年末から年明けを迎える県民生活をどう見ているのでしょうか。
 政府は10月30日に、麻生総理みずから、介護報酬の引き上げ、住宅ローン減税、高速道路料金の引き下げなどからなる、総額27兆円余りの追加の経済対策を発表いたしました。しかし、その後は、定額給付金や道路特定財源から地方へ配る1兆円の問題など、具体の個別政策の中身をめぐって与党内で議論が迷走。先週、国会で行われた党首討論において、麻生総理は、今臨時国会への緊急経済対策の提出を見送る考えを改めて示しております。
 100年に一度と言われる世界的経済危機が、いよいよ国内や地方に影響を及ぼしかねない中で、議論を尽くし、最も効果のある経済対策の一日も早い実現を望む国民や地方にとっては、選挙を先延ばしした上の今回の結論は、到底理解を得られないものと考えるものでありますが、政府の対応に対する知事の所感をお聞かせください。
 続きまして、金融対策関連についてお伺いをいたします。
 アメリカ発の金融危機の影響を受ける形で、国内の各金融機関の業績が急速に減速しております。中間決算を迎えた県内の地銀3行も、有価証券の評価損や不良債権処理費用の増額などにより、大幅な利益の減少が予想されております。国では、国内に営業を限定した地域銀行や信用金庫などについては、保有株式の評価損を資本金などから差し引かないようにする緊急対応を行うことや、金融機関への資本注入などを具体化しながら、金融機関の貸し渋り防止につなげることとしております。また、金融機関に対し、責任共有制度等を口実として融資を拒否しないよう要請を行い、各地に貸し渋り110番を開設されるなど、具体の動きをしているとも承知をしております。しかしながら、さまざまな現場からは、金融機関の融資に対する厳しい姿勢が聞こえてくるところであります。
 そこでお伺いをいたしますが、県内での貸し渋り、貸しはがしの顕在化の動きなどは見られないでしょうか。また、新たに設けられたセーフティネット資金、原油高騰対応の県単融資制度などの緊急融資制度に対する相談の状況はどのようになっているのでしょうか。さらに、市町村から認定を受けた企業が、着実に融資を受けるに至っているのかなどの実態をどう把握しているのか、お示しください。
 国では、最も資金繰りの厳しい年末年始を迎えようとしている今、1次補正の対応で十分と、追加の資金繰り対策に動き出すことは当面期待できない状況にあります。今後は、既存資金の融資枠の拡大や要件緩和、また、新規制度の創設など、国の動きとは別に、県としての資金繰り対策を急ぐ必要があるとも考えますが、いかがでしょうか。
 金融支援策の創設、拡大などには、信用保証協会の役割が大きなものになります。しかしながら、全国的な企業の倒産件数の増大に伴い、代位弁済の額が相当大きくなっていると聞いておりますが、代位弁済がふえることによる経営への影響は、どのようになるのでしょうか。また、審査の緩和によって、仮に代位弁済がふえることになるとした場合、税金投入、県民負担との関連はどうなるのでしょうか、お聞きをいたします。
 また、国の所管官庁の関係から、中小企業の信用保証を行うために信用保証協会があり、農林水産業部分への対応として農業信用基金協会、漁業信用基金協会がその役割を担っていると承知をしております。しかし、最近では、これらの業種の複合化などが促進されるに及び、いわゆる縦割り行政の弊害が言われるようになっておりますが、県の認識についてはいかがでしょうか。
 他県では、例えば農業を営む会社組織が信用保証等の対象外になっていることなどの現状を踏まえ、またがる業種への弾力的信用保証を検討する予定とも聞いておりますが、弊害除去に向けての取り組みについてのお考え、また、法的な問題点等についての認識をお知らせください。
 県では、来年3月、農商工連携ファンドを組成することになっております。食産業を初め、いわゆる1次産業の6次産業化を実現することは、県の長いスパンでの地域戦略を考えたとき、なくてはならないものと考えます。そのことから、この事業が有効に機能することを大いに期待するものであります。
 ことし立ち上げられたいわて希望ファンドとこの二つのファンドを直接的に運営していくことになるいわて産業振興センターには、3億円余の基本財産のうち、1億5、500万円が県より出資され、職員30名のうち9名が県からの派遣となっております。新産業創出や企業への総合的支援など、県の産業振興上、大きな役割を担っていることは承知をしておりますが、長期、短期の貸付金と損失補償を合わせますと、142億円以上の大きな県からの財政的関与を受けている当センターに対する財務、組織両面における総合的な評価を、担当部署並びに評価部署よりお聞かせ願います。
 次に、雇用情勢と具体の対応について伺います。
 10月の県内の有効求人倍率は6カ月連続での減少で0.49倍となっており、全国においても0.80倍の調査結果が示されております。また、県が昨年策定した今後の雇用対策の方向における9月現在の目標達成状況は、全体の求人不足数、正規雇用求人不足数など、いずれも計画と大幅に乖離していることが報告されております。
 厚生労働省の発表によりますと、製造業での従事者を中心に、全国で約3万人の非正規雇用労働者が失業しているとの報道もなされております。本県でも、半導体関連企業などで、期間工や派遣労働者などの契約打ち切りについての報道がなされるとともに、各企業は雇用の余剰感をさらに強めているとの観測もなされ、一層の雇用環境の悪化が懸念されるところであります。
 そこでお伺いをいたしますが、県では、自動車関連などの情報も含め、製造業、その下請関連企業等を中心とした今後の雇用の打ち切りなどの実態をどのように把握をしているのでしょうか。国では、非正規雇用者の雇用安定などを含む緊急雇用対策をまとめる動きもあるようでありますが、いまだ具体のものとはなっておりません。
 雇用計画に対する大幅な乖離の現状と下がり続ける有効求人倍率、そして雇用目標達成の柱である誘致企業の急激な環境変化等を踏まえ、県では、これからの雇用対策をどうとられようとしているのでしょうか。目標の見直しの可能性も含め、お伺いをいたします。
 また、全国では、高校生や大学生などの内定取り消しが相次いでいるとの報道がされておりますが、県内の実態はどうでしょう。県としてとり得る対策とあわせてお伺いをいたします。
 雇用環境の整備、改善等を推進することによって、地域人材の確保、育成、定住に寄与することを目的に設立されているふるさといわて定住財団についてお伺いをいたします。
 この財団は、県内に就職を希望する学生やU・Iターン希望の社会人などに対する面接会などを行っていると承知をしておりますが、組織体制は、理事長が商工労働観光部長の兼任で職員は1名、基金2億1、200万円余のうち、2億円が県からの出資によっており、約25億円の財産を運用しながらの運営となっております。評価担当部署では、雇用面での貢献の有無を含め、当財団をどう評価されているのでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、誘致企業に関連してお伺いをいたします。
 我が県の産業振興の2本柱であり、県が策定する産業成長戦略の中心を担う自動車と半導体関連産業に対する逆風が、県のさまざまな長期戦略にも影響を与えかねない状況になってまいりました。このことは、ようやく増加基調にあった県の法人税とともに、雇用の打ち切り、新規雇用の抑制などの要因による個人住民税など、税収全般に対する影響も必至となります。しかしながら、両業種に関連した生産調整、雇用調整、新工場創業開始時期などに対するさまざまな情報が報道先行の形で流されている印象が否めませんが、県は実態をどうとらえているのでしょうか。また、このような時期に、プラスの情報はもとより、マイナスの情報などをいち早くキャッチし、早急な手だてを打つことにより悪影響を最小限に抑えるといった、危機管理の一環としての情報収集体制等の構築が必要と考えるものでありますが、県のお考えをお聞かせください。
 続きまして、公立病院改革推進指針案と県立病院の新経営計画案についてお伺いをいたします。
 両案の提示後は、大きな衝撃を伴った中で、無床化を示された5地域診療センターや自治体病院を有する地域の首長や住民が中心となって、病床存続に向けた活動が早くも展開されていると聞いております。県では、先月末、県民総参加型の地域医療体制づくりを目指すための推進会議が開催され、達増知事を先頭に県内83団体が力を合わせ、地域医療を確保するための取り組みに動かれたと報道されておりますが、広大な県土を持つ岩手県の地域医療をいかに守っていくのか、その方向性と具体の方策について、両案へのパブリックコメントなどの結果とあわせ、議会でも大きな議論が展開されることになろうと存じます。
 そこで、まず達増知事にお伺いをいたします。
 地域医療の確保を希望創造プランの大きな柱に据えている知事が、地域からの反対活動などを十二分に予測しながらも、地域医療センター等の無床化を含む病院機能の縮小を含んだ新計画案を、あえて次年度まで半年を切ったこの時期に、苦渋の決断として提出するに至った背景と思いとは何なのか、改めてお聞かせ願います。
 まとめて数点お聞きをいたします。
 県立病院の新計画案は、国の公立病院改革ガイドラインによる改革プランに該当するとされておりますが、公立病院改革推進指針案の位置づけとはいかになるのでしょうか。国のガイドラインによって、病院等を有する各自治体は、独自でプラン作成を義務づけられると思いますが、この指針案に示された方向性に沿わない現状の機能維持などを明確にしたときはどうなるのでしょうか。その場合、県立病院からの医師派遣などにより、病院機能の維持を図っている県内公立病院等に対しての配慮は十分担保されることになるのでしょうか、お伺いをいたします。
 仮に、今回示された診療センターの無床化が見送られた場合、5年間の収支はどのように予測しているのでしょうか。あわせて、新計画期間内での病院の改修や耐震化、また、高度医療機器導入等の予算をどのように試算され、仮に無床化の見送りによって収支が改善しないとされた場合、これらを踏まえ、医療の質の確保にどのような影響が出てくるとお考えでしょうか。
 また、新計画案策定には、勤務医など職員の方々の声がどのように反映されたのでしょうか。計画案に対する医師たちの評価とあわせてお示しください。
 最後に、仮に来年からの無床化となれば、入院患者等の利便性に最大限配慮し、交通アクセスの確保を実現していく必要があると考えるものでありますが、市町村や関係者との話し合い、事業の予算化も当然必要になってくることを考えた場合、スケジュール的に相当の無理が生じると思われますが、これらの点をどのように進めるお考えでしょうか、お示し願います。
 続きまして、不正経理問題について伺います。
 県では、先週、今回の不正経理問題についての全庁調査結果を発表。需用費、賃金、旅費、それぞれにおける事実関係、今事案が発生した背景と原因分析、再発防止策、並びに責任と負担のあり方に関する基本的な考え方を示しました。この報告により、警察本部、教育委員会を含め8部局等94所属での、まさに全庁での需用費関連の不適正支出が明らかになり、大きな衝撃を県民に与えてしまう結果となってしまいました。今後は、さらに9日に予定されている集中審査等を経て、さらなる議論を深めながら平成19年度の決算認定を含め、この問題の根本的解決の方向性を探ることになろうかと思います。
 そこでお尋ねをいたします。
 この問題の解明と再発防止等に向けて全庁的な取り組みを行い、短期間のうちに今回の中間報告に至ったことには一定の評価をするものでありますが、やはり私は、県みずからが全容解明を行うことに関する限界や弊害もあるのではないかと考えるものであります。具体には、私的流用がないとの報告に対し、議会、県民を含め、どうしてもその合理性が十分ではないという認識をぬぐえないことであります。そして、全庁調査における延べ5、800人以上に及ぶ職員への聞き取り調査、業者への訪問調査と資料の徴集、並びに膨大な保存資料との突合と報告資料の作成という、今日の調査結果を導き出すまでの職員の時間的・精神的負担感、並びに、より重大な県政課題へ取り組むべき時間のロスとの比較の上での大幅な機会損失への懸念などであります。
 また、需用費等調査検証委員会では、県の作業は正確で不正流用はなかったことを確認した旨の報告を行っておりますが、報道によれば、庁内の作業への確認を中心とした調査権限の限界に対する無念の思いも口にされているようであります。
 そこで、改めて、庁内での調査を選択したことへの意味と第三者委員会の位置づけ、権限について伺うとともに、今後の最終的結論を導き出すまでの手法についてお聞かせください。
 私は、この問題の根本的解決とは、問題の背景を含めた実態の全容究明と合理的な再発防止策の策定、補助金返還の考え方と財源に対する十分な県民理解、そして、処分等の責任と補助金返還の負担に関する職員理解、並びに一連の問題解決後、さらなる県政推進に向けた職員のモチベーションの維持などが、総合的、一体的になし得ることだと考えるものであります。いわば、県民の代表として、県民目線での厳しい対応を、知事みずからと組織に対しては決して崩さず、かつ、職員に対しては、県庁のトップとしてそれを納得させることの作業を丁寧に行い、この問題の職務上の影響を最小限に食いとめることと言えるのかもしれません。
 県民にとっての最も大きな痛手は、補助金返還の財政的負担と同時に、長期的に見て、県政の停滞を招くことによる改革のおくれや行政サービスの低下であると考えるからであります。そして、それを実現することは、県民と職員に対する知事のしっかりとしたメッセージと強いリーダーシップの発揮が不可欠と考えるものでありますが、改めて、知事の今後の根本解決に向けた考え方と最終結論の時期のめどをお示しいただきたいと思います。
 政府・与党は、会計検査院の機能強化を目的に、不正経理防止法案の素案をまとめたとの報道がなされております。税金の不適切な経理処理に関しては、やはり国民、県民目線で、より厳格な対応を求める制度設計は当然必要になるものと考えます。しかし、この法案作成のきっかけが、今回の全国各地での不正経理問題に起因するものだとすれば、同時に、この問題の背景にある国と地方の関係をしっかりと議論し、国の目線からだけではなく、地方の実情を国民に知らしめる必要があると強く思うものであります。
 私は、やはりこの根本にあるのは、現下の地方財政軽視の国の財政政策と、補助金適正化法に象徴される、補助金で地方を縛る国の中央集権体制意識であろうと考えるものであります。全国知事会、並びに同様の問題を抱える県内市町村長等と連携をとりながら、問題の本質を国民と県民とに理解をしてもらう努力とともに、国に対し、制度設計の見直しや本物の地方分権を求めることが知事の大きな責務と考えるものでありますが、お考えをお聞かせ願います。
 最後に、岩手競馬について伺います。
 5月に日本ユニシスが最優秀企画提案に決定し、大きく民間委託拡大に向け期待が膨らんだことしの岩手競馬でありましたが、十数回に及ぶ交渉の末、最終的な民間委託拡大に対する合意に至らなかったのは御承知のとおりであります。新たな可能性を探るため、最後まで誠実に交渉に臨んだ組合と県当局、並びにこの問題の議論を重ねられた競馬議員の皆様には敬意を表するものであります。
 民と官とのさまざまな慣習や考え方、手法を乗り越え、何とか知事の言う劇的に事態を改善するための野心的取り組みのため費やした時間とすれば、6カ月近い日数というものは決して無駄ではなかったと言えるのかもしれません。しかし、交渉の入り口をわずかに入り込んだ程度で、本質の議論の場が持たれず最終結論を迎えてしまったことを考えますと、この間の貴重な時間と経験を何とか次につなげるための糧としていただきたいと強く念願するものであります。
 そこで伺いますが、来年度以降、民間委託方式でいくにせよ、現行での直営方式のままにせよ、岩手競馬の経営継続を実現し、県初め構成団体への融資返還をなし遂げていくために今回の交渉をプラスに転じていかなければならないと考えるものでありますが、日本ユニシスとの一連の交渉の中で得たものは何であったのか知事にお伺いいたします。
 来年度は現行方式での事業開催となりますが、ますます厳しさが予想される現下の経済情勢の中では、相当の厳しい見通しを持っての事業運営が必要と考えます。今回の交渉の中では、日本ユニシスは平成21年度の売り上げ見通しを200億円に設定していたようでありますが、民間らしい数値であると個人的には考えております。今期は、ここ数カ月間売り上げの落ち込み幅が縮小しているとの報告も受けておりますが、現状のさまざまな要因を踏まえ、来年度の競馬の売り上げをどの程度に見込み、競馬存続の大前提である収支均衡実現のためのポイントをどうとらえているのでしょうか。
 今回の交渉が本来的議論に踏み込めなかったのは、お互いの信頼感の欠如、不信感が根底にあったと考えます。企画提案に応募する際の条件に明確に示されていたはずではありますが、報道等から推測すると、民間側には委託料の先取り方式、収益保証の考え方に最後まで根本的に理解を持っていなかったものと考えられます。また、事業説明の段階では説明会に訪れた十数社が最終的には2社にとどまったことから見ても、民間側の受けとめ方がある程度推測されます。これは知事も言っているように、民間であっても、大きな当面の赤字覚悟で資金投入に踏み切ることにちゅうちょを覚えるということのあらわれだろうと思います。また、経費削減に取り組む際に、どうしても委託料、賃借料等で大きな割合を占める業者への交渉が不可欠になってくるわけでありますが、この部分に対しての環境整備を組合がしていかなければならないということもあるのではないかと考えるものであります。
 これらを踏まえ、来年度以降も知事は民間委託の方向も引き続き模索する予定とされておりますが、見直しのポイントをどのように整理しているのでしょうか。また、再募集の時期と方法等をあわせ、お考えをお聞かせください。
 最後に、仮に当面、元金返済が見込めないとした場合の構成団体への財政影響をどのようにとらえているのでしょうか。
 岩手競馬は昨年3、900万円余の利益を計上し、今年度も現在の予測では約4、200万円程度の利益が見込める予想が示されておりますが、県民から認められた単年度収支均衡ルールを厳守する中で、最低限の投資的経費を確保し、競馬再生の可能性を広げる視点から、例えば金利の軽減等による内部留保の増大策を探ることも一つの方向性とは考えますが、現行ルールでの可能性と所感についてお伺いさせていただきます。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 関根敏伸議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県内経済情勢と対応についてでありますが、本県の県内景況等については、個人消費は、大型小売店販売額が2カ月連続で前年水準を下回るなど全体として弱い動きとなっており、建設投資は、新規住宅着工戸数が4カ月連続で前年水準を上回っているものの、公共事業請負金額は7カ月連続で前年水準を下回って推移しています。生産活動は、鉱工業生産指数が7カ月連続で前年水準を下回るなど低下傾向となっており、負債額1、000万円以上の企業倒産件数は、6月以降、前年水準を上回る傾向にあります。このように、本県の景気は停滞しているとの数値が出てきています。
 また、県民生活については、盛岡市の消費者物価指数は対前年同月比で昨年12月から11カ月連続で上昇を続けており、ことし6月からは3%台の高い上昇率になっています。ことしの冬のボーナスは、財団法人岩手経済研究所の推計によりますと、昨年と比べ金額で55億円、3.4%下回ることが見込まれています。このようなことから、年末から年明けの県民生活は、原油価格下落による物価上昇率の鈍化は見込まれますが、厳しさが増していくことが懸念される状況にあると考えています。
 次に、政府の経済対策の動向についてでありますが、金融危機が世界的規模で深まり世界経済が減速し、我が国の景気も後退局面に入っていますので、今、景気対策に全力を挙げなければならない状況にあります。こうした中、政府においては追加経済対策を発表はしましたが、第1次補正予算で年内の対応が可能であるとして、追加経済対策に必要な第2次補正予算案等の提案を先送りしたところであります。
 本県を含めた地方の経済情勢は、ただいま申し上げたさまざまな経済指標が示すとおり一段と厳しさを増してきており、実効性ある追加経済対策を必要としている地方や多くの国民の声にこたえていない対応と言わざるを得ないと考えます。
 政府は、厳しさを増す地方の実情をしっかりととらえ、国民の声に耳を傾け、生活者の暮らしや仕事の不安を取り除くよう必要な対策を早急に具体化すべきと考えます。
 次に、県立病院等の新しい経営計画案についてでありますが、地域医療の確保についてはいわて希望創造プランにおける重点目標として位置づけ、医師確保対策の推進、質の高い医療提供体制の整備、救急医療体制の整備に取り組んできました。また、医療従事者のみならず、県民も医療の一方の担い手であるとの意識のもとに、県民一人一人が地域医療を支えていく必要があることから、県民総参加型の地域医療体制づくりを進めることとしています。
 地域医療を今後ともしっかり確保していくためには、県立病院の果たすべき役割は非常に大きく、その県立病院の改革プランが最終年度となっている今、岩手県は医師不足が危機的な状況となっているなど、県全体の医療崩壊も招きかねない事態に直面しています。
 国分謙吉知事が亡くなる直前に中村直さんをまくら元に招いて、そして県立病院は大丈夫かということをお話しされたということを聞いているんですけれども、その県立病院は大丈夫かという意味は、かまどけえってねぇかということで、県が財政破綻していないかということだったそうであります。国分謙吉、戦後初代の民選知事のもとで岩手の各諸団体が経営していた病院が一度に県立病院とされたわけでありますが、その際、これによって県は財政破綻してしまうことになるんではないかということを国分知事は非常に懸念していたそうであります。そして、実際システムをつくったのは阿部千一副知事、後の知事、そして中村直、その後の知事が医療局長として切り盛りしたわけでありますけれども、最初からまず財政的に県財政を破綻させてはならないという中で、その効率性、きちんと財政赤字が膨れていかないような形で、ぎりぎりの中で県民の健康、命を守っていくシステムを、その県立病院ネットワークを守っていかなければならないということが千田知事、工藤知事も含め歴代知事の最大の関心であり、そして岩手県民全体でそれを守ってきたのが岩手の県立病院の歴史だと思います。
 それが、岩手県民の失敗でもなく、岩手県民が怠けたからとか、岩手県民が何かしくじりをしたからということではなくて、このような岩手全体の医療崩壊直前という事態に陥っているというのは、これはひとえに国の政策のミスによってこうなっているわけでありまして、これでみすみす今、岩手が医療崩壊してしまうということは許せないじゃないですか。ですから私は、今、岩手の医療システムを守ることが喫緊の最重要課題ということで、県民に良質な医療を持続的に提供して、役割分担と連携のもとで必要な医療を適切に受けることができる体制の実現を目指すという観点から今回のこの計画案を策定したものということで、今般の計画案はできるだけ早く実施していく必要があると考えております。
 次に、不適切経理に関する問題の根本解決に向けた考え方についてでありますが、今回の問題は、組織全体の意識や前例なども含めた意味でのこれまでの県の会計処理や予算執行の仕組みに起因して生じた問題でありますので、今回のような問題を二度と起こすことがないよう、先日取りまとめた再発防止策をそれぞれ具体的に実行し、徹底していくことが県民の皆様からの信頼回復のスタートラインと認識しております。
 また、処分や責任のあり方については、基本的な方向は示したところでありますが、県民の皆様に御理解をいただきつつ、この問題を解決していくために、職員間の公平性にも配慮しながら、今後、具体的な内容を検討していくこととしています。
 今回の問題へのこうした対応だけではなく、根本的には、問題のある事案が生じたときに、組織自体がその兆候をキャッチし、それを隠すことなく、内容を解明して解決していく自浄作用が組織風土として着実に根づいていくことが必要と考えます。職員には、それぞれの持ち場における取り組みを確実に行うとともに、組織の本来あるべき姿についてよく理解し、職場を刷新していってもらいたいと考えており、私がその先頭に立って努力していく所存です。
 なお、御指摘いただいた意味での最終結論の時期については、国庫補助金の返還に関しては、関係省庁との協議の動向によるため現時点でははっきりしませんが、職員の責任のあり方については、今回まとめた全庁調査報告書をベースに、処分に関する具体的な検討や損害の発生状況の算定に向けた作業に取り組み、年度内には結論を出せるように進めたいと考えており、私としては、この問題に関するさまざまな対応については今年度中を一つの目途として迅速に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、制度見直し等に係る国への働きかけについてでありますが、県内市町村の中にも不適切な事務処理が判明した団体があると承知しておりますが、現時点では、それぞれ実態の把握、原因究明などをしている段階と聞いています。それぞれの市町村においても、発生した問題について原因などの整理とあわせて再発防止策についての検討が進められると思いますが、国との関係については、地方の事務事業に対する国のコントロールが強く行われるこれまでの仕組みがこの問題の背景の一つとも考えられますことから、今回のような問題の発生が少なくなるという観点からも、私は、地方の自由度の高い財政システムに転換して、地方の判断で使える財源をより多く地方に配分していく分権改革を加速する必要があると考えます。
 こうした認識に立ちまして、県内市町村や、また同様の問題意識を持っている都道府県とも連携しながら、全国知事会などの場を含め、さまざまな機会をとらえて問題提起をしてまいりたいと思います。
 次に、岩手競馬についてでありますが、まず、今回の民間企業との交渉で得たものについてでありますが、当該企業の当初の企画提案では、民間のノウハウを活用しつつ売り上げとコストを徹底して見直し、経営改善を図るという考え方が示され、その具体的内容をめぐって協議・交渉を行ったところでありますが、内容面等で合意に至らなかったことはともかくとしまして、現在の厳しい経済情勢の中では、民間企業が、自己資金の投入や、みずからリスクを負いつつビジネスとして競馬事業に本格参入することは相当に困難であるということが改めて理解できたところであります。
 同時に、今後は、このような厳しい現状を競馬関係者が共有しながら、まずは現行の運営方式のもとで、岩手競馬の経営の安定を図るための着実な改革・改善にこれまで以上に積極的に取り組んでいくことが重要であることについても関係者間の共通認識が深まったのではないかと感じておりまして、そうした努力を積み重ねながら、競馬事業の存続のために、関係者と力を合わせて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、民間委託に関する見直しのポイント等についてでありますが、今回は企画提案の応募企業が2社にとどまり、また、今回、交渉相手となった民間企業との協議・交渉では、実現可能な民間委託の具体的な案がまとまるに至らなかったことなどを踏まえますと、経済情勢が厳しさを増す中、再度民間委託拡大を検討する場合には、委託可能な業務を一括委託するという委託業務の範囲でありますとか、売り上げに応じた委託料の算定方法でありますとか、そうした委託条件のところから改めて検討することが必要ではないかと考えておりまして、再募集などの時期や、また実施方法についてもこうした課題を整理しながら検討していかなければならないのではないかと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総合政策部長菊池秀一君登壇〕
〇総合政策部長(菊池秀一君) 県出資等法人についてでありますが、まず、経営の健全性等につきましては、県出資等法人の運営評価は、県の出資割合や補助金支出、職員派遣の有無など県関与の度合いを考慮しながら、法人の経営状況、経営目標の達成状況、マネジメントの状況などについて総合的に評価しているものであります。
 県出資等法人は、法人自身による業務見直しに加え、運営評価を踏まえながら自主財源の確保や経費節減などの経営改善に取り組んできており、その効果が経営の安全性や健全性を示す財務指標等にあらわれてきているなど全体としては健全性が保たれておりまして、平成15年度から18年度までの旧改革プランで取り組んだような経営上の大きな問題を抱えた法人や直ちに経営の継続が難しくなるような法人はないと考えております。
 なお、収支がプラスからマイナスに転じるなど大きな変化があった法人につきましては、ヒアリング等を通じて、その原因を探りながら対応策の検討について必要な指導を行うこととしております。
 次に、出資引き揚げ等の判断手順についてでありますが、運営評価などにより、県の出資目的が既に達成されている、あるいは県施策推進上における役割が極めて低くなっていると考えられる法人につきましては、法人の経営状況や他の出資者等に十分配意しながら、所管部局との協議等を経て県として出資引き揚げ等の判断をしていくものでありますが、判断に当たっての統一的な基準があるものではございませんで、個々の法人ごとに関係者間で協議していくものでございます。
 また、出資金等の有効活用につきましては、県の出資は、法人の事業が県民生活の向上や産業の振興につながる場合など行政関与の必要性に着目して行われてきたものであり、出資金の引き揚げについてはこれらの点を総合的に判断して行われるべきものと考えております。このような考えのもと、新改革プランでは、株式会社岩手朝日テレビや岩手県オイルターミナル株式会社など五つの法人を将来的な出資引き揚げを検討する法人と位置づけ、所管部局において出資引き揚げに向けて取り組んでいるところでございます。
 また、さらなる出資引き揚げや法人が所有する財産の活用につきましては、財団法人と社団法人への出資金の場合は法人の財産として法人の設立目的の事業遂行のため管理されるものでございまして、出資者として出資金の返還請求が制度上できないとされておりますことから対象は特別法法人や会社法法人に限定されるものでありますが、法人の意向や今後の経営への影響等について関係部局等と十分に協議しながら検討していく必要があると考えております。
 次に、いわて産業振興センターの評価についてでありますが、財務面では、旧プランにおいて経営改善を要する団体に指定され、経営改善計画に基づく経営改善を進めておりますが、平成16年度以降4期連続で当期剰余金を計上しておりまして、経営状況は順調に推移しております。組織面につきましても、副知事の副理事長就任を取りやめるなど、自主的な経営に向け県の関与についても積極的に見直しを行っていると評価しております。また、マネジメントの面では、経営基本方針の周知徹底や計画と実績の差異分析による事業の進行管理を行っている点、あるいは顧客ニーズ・満足度の把握、顧客対応マニュアルによる顧客対応などの点で評価が高くなっております。
 次に、ふるさといわて定住財団の評価についてでありますが、運営評価結果に基づきまして、その改善に向けた取り組みについて経営計画に反映させている経営計画管理の面や、アンケートを通じて顧客満足度の把握に努めている事業管理の面などの取り組みについては評価できる一方で、財務面では、当面は正味財産を切り崩して事業を実施する予定でありますが、財産の取り崩しに関する中長期的な基本的な方針を定める必要があること、組織面では、常勤役員がおらず、県職員が非常勤で理事長、専務理事を兼務しておりますが、県と法人の役割分担の明確化や経営責任の明確化の観点から、今後の法人の組織体制のあり方について検討が必要と考えております。
 厳しい雇用情勢の中で、若年者の雇用対策やすぐれた人材の誘致、定住の促進にふるさといわて定住財団に期待される役割は大きいものと考えております。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、金融情勢とその対応についてでありますが、県内金融機関の貸し渋り、貸しはがしの実態につきましては、県としましては、金融機関等を交えた会議等、あるいは直接現地の金融機関、商工団体等を訪問し、県内の中小企業者の経営状況を把握してきているところですけれども、現時点では金融機関の目立った貸し渋り、貸しはがしの状況については確認していないところであります。
 緊急融資制度等に対します相談の状況でございますが、10月31日から開始されました原材料価格高騰対応等緊急保証制度の相談件数は、12月1日現在、市町村で319件、信用保証協会で197件となっており、主に制度認定の手続に関する相談であります。また、昨年12月から開始しました原油高対策の中小企業経営安定資金に係る相談件数は、制度創設からことし12月1日まで89件で、燃料費の高騰、価格転嫁が困難等によります資金の相談が主なものであります。
 市町村から認定を受けた企業が着実に融資を受けているかとの御質問に対しましては、原材料価格高騰対応等緊急保証制度の11月28日現在の市町村での認定件数は378件であり、現在、審査中のものもありますが、信用保証協会での保証承諾件数は271件、46億円余となっており、認定を受けた中小企業者への融資はおおむね着実に進んでいると聞いております。
 次に、資金繰り対策についてでありますが、県としましては、原油高対策、原材料高対策を含めました中小企業経営安定資金の融資枠を年度当初から180億円確保しており、現在、その約半分の融資枠が残っているところであります。原材料高対策の中小企業経営安定資金は、融資枠として別枠8、000万円、保証料率は原材料価格高騰対応等緊急保証制度の0.8%から0.2%の引き下げを行うなど配慮をしているところであります。
 今後におきましては、県内中小企業の資金需要をしっかりと把握しながら、国の2次補正の動向などを見きわめながら必要な対応をしてまいる考えであります。
 次に、信用保証協会についてでありますが、信用保証協会の代位弁済額は、今年度の10月末現在では昨年同月比で8.5%増、31億円余となっており増加傾向にありますが、財務状況につきましては、平成19年度の決算においては3億円余の黒字となっており、近年、黒字基調で推移しております。協会の審査は適正に行われており、保証協会に対する出捐も平成17年度を最後に行われていないところであります。
 しかしながら、今後の経済状況の推移によりましては、代位弁済額が急激に増加することも考えられますので、その際は、経営基盤の強化のための出捐等の検討も必要となってくるものと考えております。
 次に、金融に係る縦割りの弊害についてでありますが、中小企業者、農林水産業者も含めました信用保証につきましては、中小企業信用保険法、農業信用保証保険法などでそれぞれの対象業種が定められ、風俗関係営業など一部の例外を除き、おおむねほとんどの業種が該当する制度となっております。そのため、実際の保証に当たりましては、対象業種ごとにそれぞれの区分に従い、信用保証協会、農業信用基金協会、漁業信用基金協会などで取り扱うこととしておりますので、県としましては、各機関密接な連携のもとで、中小企業者への金融面での支援に支障が生じることがないよう努めているところであります。
 しかしながら、保証制度につきましては、利用者に対して情報提供が不足している点もありますことから、今後は制度を円滑に利用できますよう周知に努めてまいりたいと考えております。
 次に、いわて産業振興センターの評価についてでありますが、当法人は、県政の重要課題であります産業振興を着実に実施していくため、新産業の創出や中小企業の振興などを総合的に支援する中核機関として、県内中小企業の経営基盤確立や成長支援に大きく貢献してきているところであり、県としても欠かすことのできないパートナーであると認識しております。
 財務状況につきましては、収益事業の一つであります機械類貸与事業におきまして4年連続で黒字を計上するなどおおむね良好な状況にありますが、設備貸与事業等の収益事業は企業の設備投資動向に大きく左右されますことから、引き続き堅実な経営に努めていく必要があると考えております。
 組織体制につきましては、法人職員と県派遣職員がそれぞれの持つ専門性を生かすことによりまして、多様化する県内企業のニーズに一体となって対応する体制を維持していく必要があると考えております。
 当法人が産業振興上の中核的支援機関として、その機能が十分発揮できるような緊密な連携を図りながら、健全な財務運営と効率的な組織運営がなされるよう当法人の指導監督に努めてまいりたいと考えております。
 次に、雇用情勢、そして今後の対策についてでありますが、非正規雇用の雇いどめにつきましては、岩手労働局によりますと、10月から来年3月までに契約満了時期を迎えます期間従業員や派遣労働者のうち、7事業所356人が雇いどめになると見込まれております。その後も新たな雇いどめが発生しており、今後さらに増加する可能性もありますことから、県としましても、知事をトップといたしました緊急雇用対策本部を直ちに設置いたしますとともに、雇用・経営安定緊急対策チームを設置し、各部局、広域振興局、市町村などが連携して情報収集に努め、即時に迅速な対応をとることができる体制の整備を図ることと考えております。
 また、今後の雇用対策につきましては、こうした厳しい雇用情勢を踏まえまして、既に取り組んでおります内容に加えて、雇用の維持確保、相談対応などのマッチング支援、そして新規雇用の創出などを中心に取り組んでいくこととしております。
 昨年11月に策定いたしました今後の雇用対策の方向につきましては、その後の雇用情勢の厳しさが増しておりますことから、目標数値などを含めて見直しを行ってまいります。
 次に、高校生、大学生等の求人取りやめについてでありますが、岩手労働局の調査によりますと、現時点では高校生、大学生等の就職内定の取り消しは発生しておりませんが、新卒高校生の求人について、企業が求人を行った後に求人を取り下げたものは県内で7社、延べ51人と把握しております。今後、例年に比較し、大幅に求人数が減少することが懸念されております。県としましても、新卒高校生等を積極的に採用するよう、産業団体や企業に対しまして緊急に要請していく考えであります。
 次に、誘致企業の業績等に係る実態把握と情報収集体制についてでありますが、県といたしましては、日ごろから、誘致企業のフォローアップを企業誘致活動の重要な柱に位置づけており、地元市町村との密接な連携のもと、必要に応じて合同での企業訪問等も行いますなど、適時的確な情報収集に努めているところですが、今後は、先ほど述べました雇用・経営安定緊急対策チームを活用し、各企業の経営状況、雇用実態等につきまして、さらなる情報収集を積極的に行うことと考えております。
   〔保健福祉部長岩渕良昭君登壇〕
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) 公立病院改革推進指針についてでありますが、今般お示しした指針案は、公立病院改革ガイドラインを踏まえ、各病院の公立病院改革プランの策定に当たり、民間病院や他の公立病院との機能重複を避け、効率的なネットワークを形成できるよう、公立病院の機能の調整や規模の適正化など、県全体として一定の方向性を示すものとして策定したものであります。
 各病院の改革プランは、原則、本年度中に策定することとされており、限られた時間内に一定の方向性を示す必要があったため、関係市町とも意見交換を行いながら策定を進めてきたところであります。この指針では、各病院の経営や機能などについて客観的な状況から改革の方向性を示しており、関係市町においては、この指針を踏まえて適切に判断していただきたいと考えております。
 なお、医師派遣につきましては、これまでも個別の事情をお伺いしながら実施してきたものでありますので、今後も適切に対応していくこととなるものと考えております。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 県立病院の無床化を行わなかった場合の影響についてでありますが、無床化に伴う収支については、5診療センターで平成21年度が約10億円、平成22年度が沼宮内病院を含めて約12億円、平成21年度から平成25年度までの5年間で約57億円、計画に対してマイナスの影響があると試算しているところであります。
 計画期間内における病院の改修等については、大規模な施設改修工事等は見込んでおりませんが、施設の老朽化の程度や経営の状況などを見ながら、病院機能を維持するために必要な整備を行い、また、医療機器についても、経営収支の状況を十分に精査・考慮した上で効率的な整備を行うこととし、これに要する予算として、単年度25億円程度を見込んでいるところであります。無床化を行わない場合には、設備投資や人員配置に十分に対応しかねるほか、資金繰りの面からも医療局の経営に影響を及ぼすことが懸念されると考えております。
 次に、計画案に対する医師の意見の反映についてでありますが、計画案の策定に当たっては、各病院に対し、今後の方向性について意識調査を実施し、院長会や県立病院に勤務する医師の団体を初め、各職域の代表で構成する検討委員会、全病院長会議などで議論を重ねてきたところであります。議論の中では、現在の医師数では機能や規模の見直しは避けられず、無床診療所化もやむを得ない。交通アクセスを確保する必要がある。臨床研修制度充実や人材育成に力を入れるべきだなど、さまざまな意見が出されており、こういった議論を踏まえ、最終的に全病院長会議で了承されたものであります。
 次に、交通アクセスの確保等についてでありますが、地域診療センターを利用する患者さんや家族の中には御高齢の方も多いことなどから、無床化に伴って、本院に入院する場合の地域診療センターと本院との交通手段について、具体的な方策を医療局が主体となって早急に検討し、無床化に間に合わせたいと考えております。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 不適切な経理処理についての庁内で調査をすることを選択したこと及び第三者委員会の位置づけについてでございますが、今回の問題は、県の会計事務に関する不適切な事務処理であり、多年にわたり、多くの職場で多数の職員が関係していた問題でありますことから、県としてこの問題の全体像を確認し、県民の皆様に明らかにする責任があるものでございますし、また、現実の調査におきましても、多数の職員からの聞き取り調査や業者側の記憶との突合作業などが不可欠でありまして、そうした網羅的な作業を尽くす観点からも、県が主体的に調査を行うことが必要であったところでございます。
 この調査につきましては、会計検査院の調査と同様の調査手法で実施したところでございます。
 この調査を客観的に進めるため、業者への訪問調査等を総務部職員が直接担当いたしましたほか、第三者からなる需用費等調査検証委員会を設置し、県が実施する事実関係に関する調査のチェックや原因の整理、再発防止策に関する審議などを行っていただき、客観的な立場から、県が実施する全庁調査について、確認、検証する役割をお願いしたところでございます。
 次に、今後の取り組みについてでございますが、今回の調査におきまして、事実関係の全体像を確認いたしますとともに、具体的な再発防止策や責任のあり方についての基本的考え方などを取りまとめたところでございますが、この再発防止策の各項目についての早急な実施に全力を挙げる必要がありますほか、国庫補助金の取り扱いについての国との協議を初め、順次、対応しなければならない課題も多くございますことから、一つずつ、迅速かつ適切に実行していきたいと考えております。
 いずれにしても、この問題が解決したと言えるためには、県民の皆様から十分に信頼をいただけるような事務処理を確立し、それを継続していける組織に生まれ変わることが必要でございまして、そのためにも、今回取りまとめた再発防止策を確実に行い、実効を上げるとともに、一層の県民サービスの向上を図るよう、職員が心を一つにして取り組んでまいりたいと存じます。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、岩手競馬の来年度の売り上げ見込みと収支均衡実現のポイントについてでございますが、今年度の岩手競馬発売額は、第1期の発売実績を踏まえて、6月に見直した収支計画をこれまでのところ達成しており、このまま推移すれば今年度の収支計画の達成は可能と考えており、したがって、来年度の売り上げ見込みにつきましては、今年度の見直し後の売り上げ見通しを基準として、これまでの発売動向や全国の地方競馬の発売状況、他の主催者との広域委託・広域受託発売の調整状況等を勘案しながら、現在、検討を進めているところでございます。
 また、来年度は公営企業金融公庫からの還付金収入がなくなり、さらに厳しい経営環境となることが見込まれますことから、収支均衡の実現に向けましては、収入面では、他の主催者との連携の一層の強化やインターネット運営会社との連携による発売額の拡大を図るとともに、支出面では、委託業務のあり方なども含めて、改めて徹底した支出の見直しを行うなどがポイントになると考えております。
 次に、構成団体の財政への影響等についてでございますが、競馬組合から構成団体への返済は、1億円以上の黒字が生じた場合に一定の基準に従って返済するというスキームになっており、現在の経営状況を踏まえると、当面、組合からの返済は困難と見込まれますが、構成団体では、このように1億円以上の黒字とならなかった年度においては、組合からの元金返済は行われないという事情も想定した上で融資スキームを決定したところでございまして、構成団体の財政運営は、当面、競馬組合からの元金返済に依存する形とはせず、組合への融資実行後の基金残高等を前提としながら財政見通しを立て、厳しい財政事情を踏まえた慎重な財政運営を行っていると存じております。
 また、金利の軽減についてでございますが、新計画におきましては、経常損益で黒字または収支均衡が存続の条件となっており、構成団体に利息を支払った上で収支均衡をさせる仕組みとしているところでございます。しかしながら、災害の発生など、予測しがたい臨時的な損失の発生などにより、経常損益の黒字では賄い切れないような資金が必要となった場合に、その資金不足で事業継続が困難となる事態を避けるための一つの方策として、やむを得ない事情に限って、現行ルールのもとで構成団体融資の利息を軽減する方法につきましても、今後、検討する必要があると考えております。
〇副議長(佐々木大和君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時1分 休憩
出席議員(46名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 比奈子 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(2名)
47  番 菊 池   勲 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時19分 再開
〇議長(渡辺幸貫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。柳村岩見君。
   〔36番柳村岩見君登壇〕(拍手)

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