平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇41番(佐々木一榮君) 民主・県民会議の佐々木一榮でございます。
 通告に従い、質問させていただきます。
 まず初めに、我が国の置かれている現状認識と本県の今後の展望について伺います。
 米国のサブプライムローン問題を発端に米国金融界の金融危機はあっという間に全世界に広がりを見せ、世界同時株安という我が国においても戦後経験したことのない経済不況に突入いたしました。輸出産業を中心に我が国経済を牽引してきた自動車、鉄鋼、半導体など急激な円高に見舞われ、今期の決算予想も当初予想を大幅に修正せざるを得ず、日本を代表するトヨタ自動車を初め多くの大企業において人員削減が行われています。厚生労働省によりますと、労働者の3分の1を占める非正規労働者も、10月から来年3月までに失業したか、失業する見通しは3万人を超えるとしています。大きく報道されるのは大企業でありますが、その協力会社や下請企業を合わせますと大変な数であり、雇用不安は今後も続くものと大変懸念されます。
 内閣府がまとめたことし7月から9月の国内総生産の実質成長率は0.1%減、年率換算で0.4%の減となっています。金融危機の発端となったリーマンショックが9月半ばでありますから、10月~12月期は経済情勢が悪化することは間違いないと考えられます。また、大手銀行を初め地方の金融機関への影響も大きく、地方銀行では上場87行のうち3分の1に当たる27行が中間決算で赤字となっております。昨日までの上場企業倒産も31件に達し、今後、戦後最多の29件を大きく上回る予想となっております。今後の日本経済は減速を続けるという見方が大勢を占めています。こういった環境下、知事は、我が国の現状と本県経済への影響をどう認識されているでしょうか。
 また、政府が8月29日に発表した総合経済対策、そして現在、国会において、提出時期が1月とも言われている全世帯への総額2兆円給付金を柱とする追加経済対策についてでありますが、ニーズの高まる社会保障では、待遇改善が急務な約120万人の介護従事者の月給を2万円上げるための費用は年額2、880億円であり、医師確保対策を含む五つの安心プラン具体化に向けた予算要求枠も3、890億円であります。つまり2兆円あれば介護報酬アップに必要な保険料引き上げは不要であり、医師不足対策も充実させられるとの意見もあり、雇用創出対策や日本が得意する地球温暖化対策、そして新エネルギーや省エネ技術開発や設備投資支援も効果があるとも言われております。
 このような中、私は、定額給付金の議論は世論も大きく分かれており、まだまだ議論の余地はあると思いますが、現下の厳しい状況を考えますと、生活者支援、金融経済対策等の法案等追加経済対策は待ったなしで早期に提案していただきたいものと考えておりますが、今回の追加経済対策に対する認識と、地方の立場から見た知事の見解をお伺いいたします。
 県においては、最近の厳しい経済情勢を踏まえ、6月補正予算以降に、新たに、県民生活の不安解消に向けた支援、中小企業の経営安定に向けた支援、農林漁業者の経営安定に向けた支援、地震対策がんばろう岩手予算を取りまとめましたが、先ほど申し上げております急激な景気減速は雇用に大きな影響を与えます。
 岩手労働局が発表した10月の有効求人倍率は0.49倍と6カ月連続で前月を下回っております。これは、東北6県で前月比最大の下落幅であります。恐らく、今後ますます厳しくなることが予想されます。中でも誘致企業が多数立地し、本県産業のリーディング地域であった北上地域の落ち込みが顕著であります。この傾向は全県に広がりを見せています。株安・円高は今後も当分続くものと思われ、企業業績が回復するにはしばらくの時間を要するものと考えます。
 県では、昨年、安定的な雇用促進を図るため、今後の雇用対策の方向を策定し、具体的な目標数値、雇用の場の創出や雇用の確保について力を入れてこられましたが、目標達成は大変厳しい状況下にあります。目標数値の見直しも迫られております。
 私は、このような環境から考えても、部局横断的に、その過去に実績のあった雇用対策局を庁内に復活させ、国の雇用安定策とリンクした迅速な対応と、市町村また新規学卒者を含む教育機関との密接な連携を一元的に行う組織を、今こそ早急に立ち上げるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、新年度の予算編成について伺います。
 県では、ことし1月、県民総力を結集し、県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出の歯どめ、地域医療の確保の四つの課題の解決に向けての取り組みとして、いわて希望創造プランを推進する第一歩の予算としての位置づけで、希望の芽を守り育てる希望創造予算を編成いたしました。この中で、予算編成の基本的な考え方として、今後3年間の歳入見込みや財源対策のもとで収支の均衡する見通しとなったことから、政策的事業については、これまでの減少傾向に歯どめをかけ、平成21年度から平成22年度までの間、平成20年度当初予算とほぼ同様の規模での展開が可能としています。
 そこで、まずお尋ねいたしますが、新年度予算規模は中期財政見通しどおりの6、494億円と考えてよろしいでしょうか。過日の地元紙で、県退職手当債208億円、借金頼み浮き彫りという見出しで報道がありました。確認のためにお伺いいたしますが、知事部局で来年度から2年間だけでも90億円程度の発行が見込まれるとされていますが、中期財政見通しへの影響はないと考えてよろしいでしょうか。
 10月2日の宮舘副知事名による平成21年度の予算編成についての通知の中では、景気低迷による県税収入の減少、地方交付税の大幅な削減、国の要請に沿って行ってきた経済対策に伴い発行した県債の償還が、当分の間、高い水準で推移すること、主要3基金の残高が大きく減少していることなどから、今後の財政運営は依然として厳しいものが見込まれるとしていますが、現下の経済状況を踏まえますと、県税を初めとする自主財源は、中期財政見通しよりかなり厳しいものとなると予想されますが、いかがでしょうか。
 また、通知では六つの点に十分留意した予算編成とすることとしています。特にも、この中で平成21年度の施策の企画・立案に当たっては、いわて希望創造プランを着実に推進する成果重視の観点から、政策評価や事務事業評価の過程での分析、検証した内容を十分に活用し、その結果を踏まえつつ、より戦略的に検討を進めることとしています。あわせて、県政懇談会における提言、県民の要請を十分に検討することとしています。新年度予算はこれまで以上に厳しい編成作業に入ると認識しておりますが、来年2月の定例県議会にその予算が示されるわけでありますが、その際、さまざまな危機に直面している現状をかんがみ、全体枠のみならず編成課程での調整、取り組み内容など予算編成のプロセスについても明らかにしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。また、地域課題に対応した施策を可能な限り反映させるよう、広域振興局等との協議・調整を十分に図ることとしています。
 そこで、関連してお伺いいたします。県は、市町村との二重行政解消に向けて、来年度、(仮称)広域振興局・市町村政策調整会議を設立することとしていますが、まず、広域振興局が県南広域振興局しかない現在、なぜ先行してスタートさせようとするのでしょうか。また、振興局再編時と同様、他地域のモデルとするためでしょうか。
 私は、市町村との政策調整会議設立は一歩前進したとの感を持っております。国においても、地方分権改革推進委員会が、地方分権と行政改革の両方の観点から、国の出先機関の事務や権限を都道府県に移管する重要性を指摘し、国の出先機関の見直しに関する報告をいたしました。国の場合は政策調整までは踏み込めないと思いますが、地方においては可能かと思います。行政事務の重複の解消のみならず、それぞれの市町村の政策と県の政策が同じ方向性と目標を共有していくことが、財政も厳しい現在、肝要と考えます。特にも、市町村合併により、合併市の役割は今まで以上に重要になってきており、住民本位の自治の基本でもあります。現在検討されている政策調整会議は、広域振興局と市町村の共同設置とし、首長と広域振興局長のほか民間の有識者等で構成し、市町村と県の施策について企画・立案・調整を行い、地域振興策の効率化を図るとしていますが、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。
 県に対する市町村要望は、知事への直接要望を初め各部局単位に行われており、私どもも同席する機会もありますが、実際のところ、厳しい県財政状況により、期待できるような回答はいただけないのが現実であります。政策調整会議の設立により、今までより具体的に市町村と事業の優先順位、波及効果を共有し、課題解決に向け、関係者が胸襟を開き議論することはとても重要なことだと認識しています。
 そこで、改めて伺いますが、本調整会議を通じて、県と市町村の具体的財政措置、広域振興局への予算配分、権限移譲はどのようになるとお考えでしょうか。また、新年度から導入予定の合併新法下で合併する市町村への合併市町村自立支援交付金の検討状況と、県が想定している市町村はどの程度でしょうか、あわせてお知らせ願います。
 次に、会計検査院による決算検査報告について伺います。
 先月7日、会計検査院は、平成19年度決算検査報告書を内閣総理大臣に提出いたしましたが、これによりますと、本県の国庫事業に関し、不正または補助対象外と指摘された額は国庫補助分が1億770万円で、県費分を合わせると2億374万円となり、国は、年度内にも指摘を受けた国庫補助分の返還を求めることとしています。
 今回の会計検査院の平成14年度から18年度までの農林水産省、国土交通省の補助事業における事務費について、任意の12道府県の調査結果、すべての道府県で目的外の使用に充てていた不正の実態が明らかとなり、調査対象外の自治体あるいは県内の自治体においても不適切な経理処理が明らかになってきており、補助金行政のあり方が大きな問題となっております。特にも、本県と愛知県は、毎年度、恒常的な不正経理が明らかとなりました。一概に県の予算規模で判断するわけにはいきませんが、愛知県の予算規模は約2兆2、500億円であり、対象額が1億3、000万円であります。本県は、指摘があったほかの道府県と比べて突出した金額となっています。
 そこで、まずお尋ねいたしますが、このような本県の不適切処理の実態をどう認識されているでしょうか。
 10月27日から実施している県の内部調査によりますと、知事部局では、出納局を除くすべての部と教育委員会、県警察本部において、預け、差しかえ、一括払い、年度越え、先払い、前年度納品の実態が公表されました。昭和50年代からこのような処理が行われてきたとの指摘もあり、その根は深いものと考えます。
 県では、実態解明と今後の再発防止の取り組みに向け、先月7日と25日に、5人の外部有識者による需用費等調査検証委員会を開催、それを受け、不適切な事務処理に関する全庁調査報告書を取りまとめ、先月27日の決算特別委員会での説明に至ったところでありますが、私は、実態の解明には、まだ、なお不足との印象を強く持っております。しかし、その一方で、実態解明は大変重要とは思いますが、全く先の見えないエンドレス状態になることを懸念いたします。私は、起こったことは仕方ないとは申しませんが、今後の対応を明確にして、現在、達増県政の危機認識のもと、危機を希望に変える政策の推進には、後ろ向きの仕事に早くけじめをつけて前進していくことが、多くの岩手の将来を担う若手の県職員の士気高揚にも大事だと思っております。知事は、けじめのあり方、そして、その時期をどうお考えでしょうか。この際、これまでの監査のあり方を含め、監査委員の認識もあわせてお尋ねいたします。
 また、今回の問題を転嫁するわけではありませんが、国にも責任の一端があると私は思います。補助金を出す省庁は、翌年の予算編成で、財務省の減額査定の対象となるため余剰分の返納を嫌い、地方自治体への予算消化を進めてきた経過があります。地方分権議論の中では、補助金を減らし、自治体が自由に使えるお金をふやす方向で検討を進めている現在、今回の不正経理問題は、この議論を後退させる心配があります。私は、今回の問題を正面からとらえ、全国の自治体が問題を明らかにして、全国知事会を初め地方6団体が国と真っ向から議論を尽くすべきと思いますが、知事はどのような行動をおとりになるお考えでしょうか。
 次に、観光振興策について伺います。
 県議会では、来年2月定例県議会での制定を目指し、ことし2月から、政策的議員提出条例発議案、(仮称)観光条例について取り組んでおり、10月27日の県内各団体、事業者等との意見交換会を皮切りに、盛岡、花巻、奥州、久慈、宮古の5カ所での県民説明会、議会ホームページを活用してのパブリックコメントを募集しております。
 この条例を制定しようとする趣旨は、国においては観光立国推進基本法を制定し、ことし10月には国土交通省に観光庁を設立し、観光立国に向け総合的かつ計画的に取り組もうとしている中、都道府県におきましても、近年、地域経済の発展または地域振興、活性化のため観光に関する条例制定を行い、取り組みを強化する例がふえ、現在8道県において条例制定されており、本県におきましても、今まで以上の一層の観光振興の取り組み強化が望まれているとの認識によるものであります。
 基本理念、県、市町村、県民、観光に関係する団体及び観光事業者の役割や、施策の基本方針などを定めて観光振興の施策を総合的かつ計画的に進めるため条例を制定するものであり、これにより、自然、歴史、文化など、本県の持つかけがえのない資産の価値を改めて認識し、県、市町村、県民、観光に関係する団体及び事業者が一丸となって連携し、観光産業を農林水産業や製造業などに広く波及効果をもたらす総合産業としてつくり育てていこうとするものであります。
 知事が、先月17日の記者会見におきまして、宮舘副知事を本部長とする岩手県観光産業振興本部の設置について発表の際、県議会の条例制定の動きも触れられましたことは、大変うれしく思っております。
 そこで、まず伺いますが、会見において、知事は、平泉の世界遺産登録関係で部局横断的な体制の試みがなされていて、かなりうまくいったとの評価をされていますが、その具体的連携と評価を伺います。
 観光産業振興本部について伺います。
 その主な取り組みとして、観光産業振興に係る計画の推進、観光客誘致、観光関連企業の育成、観光産業に従事する人材の育成強化、観光産業に関する社会資本の維持管理及び整備、観光資源の創出、育成の六つを柱としています。本部長、副本部長、本部員は、本庁の課長職以上の方々で構成されていますが、これら六つの取り組むべき課題は、当然ながら地域密着、現場主義でなければ実行は困難かと思いますが、振興本部の具体的な観光振興施策展開への取り組み方法について伺います。
 県においては、これまで観光に関する基本計画は策定されておりません。各地の県民説明会で特に感じますのは、やはり四国4県に匹敵されると言われる県土の広大さ、公共交通機関や道路等インフラの整備等不利な条件の中で、どう地域振興、産業振興に結びつけるかであり、きめ細かい政策の必要性を感じます。外国人や県外観光客を県全体でとらえていくことも必要ですが、地域によっては県内観光客で90%というところもあります。
 先ほど、県、市町村の政策調整会議の質問をさせていただきましたが、私は、このような県民一丸となって取り組む課題こそ、余り大ぶろしきを広げず、身の丈に合った地域の現状に即した戦略を綿密に展開することが肝要と思いますが、いかがでしょうか。
 (仮称)観光振興条例では、基本計画の策定、評価、検証と、その結果を反映した次年度への取り組みを明記させていただきましたが、現在、県において、観光振興計画策定についてどういう認識をお持ちでしようか。
 関連いたしまして、本県のブランドについて伺います。
 今回の(仮称)観光振興条例は、当初、(仮称)黄金の國いわて観光振興条例という条例名で、全くの素案段階で県内の観光関係者の意見を聞きたく、本年5月16日、岩手県観光協会の総会時、時間をいただきまして説明をさせていただきましたが、黄金の國いわてというコピーが全県的に知られていないのか、抵抗の感を持たれたところであります。現在、議会のみならず、多くの県民の方々から御提案をいただこうとしている真っ最中でもあります。県は、黄金の國いわてのコピーを、岩手のイメージアップと岩手ブランドの構築に向けて、平泉を初めとした岩手の誇る歴史や文化、恵まれた自然、高品質な農林水産物、各地で伝承される伝統芸能、伝統工芸、実直で勤勉な人材など、県全体の豊かさと信頼をイメージ、表現したとしています。
 そこでお尋ねいたしますが、銀河系いわて、イーハトーブ、岩手ナチュラル百貨店、人と環境にやさしい純情産地いわて、いわて環境王国などなど、本県をイメージするコピーはたくさんありますし、県職員の方々の名刺を見ても多種多様でありますが、それぞれどういう位置づけで、どういう経過で設定されてきているのでしょうか。また、その使用基準、期限等の定めがあるのでしょうか。
 それぞれの担当部局において、岩手のPRを展開することは意義あることではありますが、それぞれがばらばらの印象を受けるのは、特にも全国への発信という観点からは、ある程度統一性を持ったほうがよいと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、公立病院改革推進指針案と県立病院の新しい経営計画案について伺います。
 先月17日、それぞれの指針案と経営計画案が公表されたところでありますが、まずもって、公表後、自治体、医療審議会、医師会等からの県に対する反応をどう認識しているか、お伺いいたします。
 公立病院改革案は、今月16日までのパブリックコメントを経て、来年1月中には成案を、県立病院の経営計画案は、今月19日までのパブリックコメントを経て、来年2月の策定を目指したいとしていますが、基本理念に、県下にあまねく良質な医療の均てんを、より信頼され、愛される病院づくりを掲げる県立病院として、余りにも早急で一方的スタンスではないでしょうか。師走に入り、年末年始を迎える慌ただしい時期に、どう県民への説明責任を果たされていくお考えでしょうか。
 宮舘副知事は、県町村会懇談会において、あくまで計画案であり、これで決まりではない。計画案を示し、地域で議論し、パブリックコメントを行い、最終的なものをつくり上げていくことと述べていますが、一方で、田村医療局長は、常勤医師不足は深刻で、県立病院がこれまでと同様の機能・規模を維持することは困難で、今後も県立病院がその役割を果たしていくには、新しい計画案を実行していくことが必要と説明されています。時間的にも大変厳しい中でありますが、どう進めていかれるお考えでしょうか。
 平成16年における5病院の有床診療所化の際も、大きな議論になりました。本県のみならず、全国の自治体病院が、現在大変厳しい経営環境下にあり、それぞれが民間への譲渡や、最悪の場合、閉鎖するなどの状況下にあることは、多くの県民がテレビや新聞等を通じて知っていることと思いますが、だからこそ、私は県営医療の置かれている現状を詳細にまず理解してもらい、地域医療をみんなでどう守っていくかという徹底的議論の場が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 県内それぞれの保健医療圏域の公立病院、民間病院、民間診療所、介護老人保健・福祉施設など、設置状況は異なります。あわせて、そこに勤める医師、看護師、職員等の賃金体系を初め、待遇も一様ではありません。
 昨年の質問でも、医療局の再編、分社化、中核病院長への権限委譲、公設民営等を提言させていただきました。知事は、提言の趣旨を踏まえ、経営形態についてさらに検討していかなければならないと御答弁をされましたが、その後、どのように検討されているのでしょうか、お伺いいたします。
 宮古医師会が、県立病院に医師を派遣することを決めたと伺っておりますが、まさに地域医療をみんなで守るというすばらしいことだと思います。このような動きからも、私は、圏域ごとの医療資源を活用できる地域はもっと連携、協力し合い、どうしても医師確保や条件不利地域においては、仮に単体で損益上赤字であっても地域医療を守るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 あわせて、先月28日設立された、83団体の構成による県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議の目指すところは何でしょうか。具体的活動目標と推進会議の位置づけはどうなっているのでしょうか。
 次に、平泉の文化遺産の世界遺産登録に向けての今後の取り組みについて伺います。
 まことに残念ながら、平泉の文化遺産の世界遺産登録が延期ということになりましたが、国においては、次回、平成23年の登録を目指すことを決め、改めてスタートを切ったところであります。
 9月22日に文化庁において、推薦書作成委員会の第1回目の会合を開きましたが、来年9月に予定する国連教育科学文化機関―ユネスコ世界遺産センターへの暫定推薦書提出に向けては、大変タイトなスケジュールになっていると認識しております。
 タイトルである浄土思想を基調とする文化的景観の浄土思想の明確な定義や、さらなる比較研究が必要と指摘された浄土庭園の価値、また、構成資産としても初代清衡公が造営した中尊寺で建物として現存するのは金色堂のみであり、2代基衡公の毛越寺は庭園のみで、礎石により当時の建物の概略はわかりますが、復元はできない状況下にあります。3代秀衡公の無量光院も御案内のとおりであります。
 平泉世界遺産推進調査特別委員会でも訪問いたしました金鶏山、柳之御所遺跡、達谷窟、白鳥舘遺跡、長者ケ原廃寺跡、骨寺村荘園遺跡を含む九つで構成されたわけですが、それぞれの構成資産の再度の検討が必要との声も聞かれます。来年7月まで5回程度の推薦書作成委員会を予定していると伺っておりますが、今後の取り組むべき課題を、どうスケジュールにのっとり進めていかれるお考えでしょうか。
 あわせて、本年を平泉元年としてさまざま部局横断的事業も行われてきたところでありますが、この火を消してはいけないと考えます。3年後に向け、ぜひ継続して、県民一丸となった世界遺産登録に向けての運動を展開すべきと考えますが、県の今後の取り組みを具体的にお知らせいただきたいと思います。
 平泉に関連いたしまして、過去にも質問させていただいておりますが、御当地ナンバーへの取り組みについて伺います。
 平成18年の省令改正から全国19カ所で御当地ナンバーが運用され、東北においても、仙台、会津で導入されています。青森県では、以前から青森、八戸、山形県では、山形、庄内と、全県一つは、東北においては秋田県と本県であります。青森県の弘前では、三つ目の申請をいたしましたが、登録自動車数が少なく断念しています。平泉ナンバーとして想定される一関市、平泉町、奥州市だけでも登録台数は約11万台あり、国土交通省の定めた要綱の対象となり得る地域の基準、地域名の規準をクリアしており、導入には全く問題ないと言えます。あとは、要綱を満たす地域の市町村が、住民の意向を踏まえた上で、都道府県を通じ地方運輸局に要望する手続となっています。
 以前、酒井県南広域振興局長が関係市町の首長との意見交換もされており、県議会においても、藤尾地域振興部長は、御当地ナンバーについて、県の認識として、地域の活性化、観光振興あるいは全国への知名度向上の観点からも効果があるとの答弁をされ、世界遺産登録関係として、千載一遇という言葉で、県として思い切って、今まで取り組んでこなかったことも含めて、とにかく前向きにスピード感を持って取り組んでいくとの決意を表明されております。
 そこでお尋ねいたしますが、その決意に伴うこれまでの取り組み状況と、今後の導入に向けてのスケジュールについてお尋ねいたします。
 結びに、勝部県南広域振興局長は、去る9月10日の水沢日本外交協会の講演で、次のようにエピソードを紹介しています。
 平成19年の夏真っ盛りの時期に、知事室で希望創造プランを策定していたとき、知事は、岩手の現状をブラームスの交響曲第1番に例え、この曲は、序盤はとんでもなく、どうしようもないほど暗い曲だが、進むにつれてだんだんと明るくなっていく。また、第4楽章まであり、知事の任期の4年と同じでもある。
 第1楽章の任期1年目は、どうしようもないほど物悲しい雰囲気の曲調。岩手の現状、危機をあらわしている。県民所得の落ち込み、雇用環境の悪化、人口減少、医師不足。第2楽章の2年目はまだ暗さが残る。第3楽章、第3年目になると少し明るくなる。だから、知事の3年目に期待してよい。そして、第4楽章の4年目に入ると、歓喜の世界を思わせるような盛り上がりを見せると。
 私も、ぜひ現実にそうなってほしいと強く期待をしています。恐らく、昨年夏時点とは予想もつかない、現下の厳しい状況下での希望王国マニフェストの実現には、過去から引き継いだ大きな問題や多くの困難も予想されますが、達増知事には、何事にも真正面から正々堂々と、岩手県民のトップリーダーとして、その手腕を発揮されますことを御期待申し上げ、質問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木一榮議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、我が国の現状と本県経済への影響についてでありますが、アメリカ大手証券会社の経営破綻に端を発した世界的な金融危機に伴い、世界経済が減速する中、外需に依存してきた我が国の経済は、企業の業績見通しの下方修正が相次ぐとともに、有効求人倍率が一層低い水準となるなど景気後退局面に入っており、今後、国内需要の停滞により、景気後退が長期化、深刻化するおそれが高まっているものと認識しております。
 本県経済への影響については、政府による適切な経済政策や主要国による有効な国際協調が行われなかった場合には、実体経済への影響が顕在化して地域経済に広がり、県内におけるさらなる生産活動の低下や設備投資の抑制、雇用環境の悪化、個人消費の低迷につながるなど、本県の企業や県民、行政等による努力を上回るマイナス要因となりかねないと考えております。
 次に、追加経済対策等についてでありますが、今、日本が直面している経済的な危機は、これまで輸出などの外需に依存して、自律的な内需拡大による確実な経済成長へ体質を転換させてこなかったことや、国の財政再建に軸足が置かれた地方切り捨て的な経済財政政策により、地方経済が脆弱化していることなどによるものであり、日本の経済社会の構造的な問題によるものと考えております。こうしたことから、景気の悪化や所得の低下など、暮らしや仕事の現場に関係する生活者本位の経済対策の実施はもちろん、それ以上に日本の経済社会の構造を変えていく、政治や行政のあり方を変えていく、そういうこともあわせて実施していく必要があると考えております。
 今回の対策を見ますと、中小企業の資金繰り支援など一定の効果が期待できるものもありますが、定額給付金のように、政策として疑問が付されているものもあり、日本経済に必要な構造改革や体質改善を促す長期的な効果や地域の活性化が期待できるかどうかは、わからないと考えております。
 国においては、厳しさを増す地方の実情をしっかりととらえ、生活者の暮らしや仕事の不安を取り除くための追加経済対策が実効性あるものとなるよう、その具体化を早急に進めるとともに、必要な第2次補正予算案等の提案について、スピードある対応を期待するものであります。
 次に、雇用対策のための組織についてでありますが、雇用対策については喫緊の課題であると認識しており、国のさきの補正予算に盛り込まれた雇用確保や就労支援対策に呼応するとともに、県内企業の経営状況やそれに伴う雇用への影響を随時把握しながら、鋭意取り組んでいるところであります。また、国は、今後の補正予算において、都道府県に対する新たな特別交付金を創設するなど、地域における雇用機会を創出するための雇用強化対策を準備していると聞いております。
 こうした国の動向や刻一刻変わる厳しい雇用情勢に即応して、県として雇用対策を一層強力に推進する必要があると考えています。このため、教育部門を含む庁内の横断的な連携組織である緊急雇用対策本部を直ちに設置するとともに、職業能力開発を含めた雇用対策を一体的かつ強力に推進するための体制の整備について早急に検討を進めます。
 次に、新年度の予算規模と退職手当債の中期財政見通しへの影響についてでありますが、今後、年末にかけて検討される地方財政対策の動向によっては、本県の予算編成へも大きな影響が生じるところではありますが、ことしは地方交付税が減少するとの夏の段階での国の試算があった一方で、地方活性化のための地方への財源配分の拡大論も出ており、その動向が明確に見込めないのが現状です。このため、来年度の本県の財源の動向もはっきりと見通すことが難しい段階でありますが、今のところ、中期財政見通しで想定していた予算規模を目安として、平成21年度当初予算編成作業を取り進めているところです。
 また、退職手当債については、現時点では平成21年度に40億円程度、平成22年度に50億円程度、2年間で合計90億円程度の発行を想定していますが、この数字は、中期財政見通しに織り込み済みであります。
 次に、自主財源の見通しについてでありますが、現段階では、まだ来年度の県税の見込み等を正確に推計することは困難ですが、中期財政見通しを策定した段階では想定していなかった現在の世界的な金融不安の高まりなどに伴う非常に厳しい経済情勢等を勘案すれば、本県の県税収入にも大きく影響が及ぶことが懸念されるところであり、来年度の県税を中心とする自主財源の規模については、中期財政見通しの水準を下回ることが想定されるところです。このため、地方における住民生活の安定や地域経済の活性化のための必要な財源が確保できるよう、地方交付税の増額を初め、地方の実情を踏まえた国の予算編成や地方財政対策を進めていただく必要があり、この点について国に強く働きかけていきたいと思います。
 次に、政策調整会議の設立についてでありますが、地方分権改革の進展や行財政資源を効果的に活用し、行政サービスを極力維持していくことが喫緊の課題となっていることなどを踏まえ、県と市町村の二重行政の解消や連携・協働のあり方など、地域における政策を総合的かつ効率的に推進するための協議・調整を行う場として設置することとしたところです。これは、これまでにない新たな取り組みであること、また、県と市町村それぞれの各行政分野における数千とも想定される事務を対象として精査検証する必要があり、多大な時間を要することなどから、まずは企画総務部門が充実している県南局とその管内の意欲ある市と町をモデルとして、より効率的な方法も模索しつつ、平成21年度から先行して試行することとしたものです。
 なお、その他の地域については、県南局での取り組み結果を踏まえ、平成22年度以降実施してまいります。
 次に、不適切処理の認識についてでありますが、このたび、会計検査院による決算検査報告において、本県の国庫補助事業にかかわる事務費の不適切な経理処理や、補助対象とならない用途への支出について指摘され、その指摘額は国庫補助相当額で1億774万円余で、今回の検査対象である12道県の中でも、愛知県に次ぐ多額なものでありました。このことは、予算の使い切り意識など、本県の組織の気風を背景として生じたものでありますが、職員に会計規則等の関係法令を遵守した適正な会計経理に関する認識が不十分であったことや、不適切な事務処理の発生を未然に防ぐ内部牽制体制が構築されなかったことなどから、結果として、他県に比べ不適切な事務処理が継続して行われ、指摘額が多額になったものと認識しております。まことに遺憾であり、県民の皆様に対し改めておわびを申し上げます。
 次に、この問題のけじめについてでありますが、これまで事実関係の全体像の把握などの全庁調査に全力を尽くしてまいりましたが、先般、その調査結果がまとまったことから、全庁調査報告書においては、その調査結果とあわせて、再発防止策や責任のあり方についても盛り込んだところです。この報告書に沿って、二度とこうした問題が発生しないように、職員一人一人が今回の問題の背景、原因が何であったかを自覚し、再発防止に向けた取り組みをしっかりと進めていくことが、県民の信頼回復の第一歩であると考えており、今回まとめた再発防止策を早急に実施するよう、関係部局に指示しています。
 また、責任のあり方については、今回まとめた基本的な考え方をベースに、職員の処分に関する具体的な検討や、損害の発生状況の詳しい算定に向けた作業などに取り組み、年度内には結論を出せるよう進めてまいりたいと思います。
 今回の問題の発生を機に、県の職員が携わる仕事は、公金を預かり、県民全体の奉仕者として働くことだという原点に立ち返り、それぞれの業務に積極的に取り組むよう、私も先頭に立って努力してまいります。
 次に、知事の国に対する行動についてでありますが、今回の問題は、県において発生した不適切な事務処理として、地方側で反省し是正しなければならないものでありますが、地方の自由度が高い財政システムに転換していくことによって、こうした問題の発生が少なくなる面もありますことから、私も、今回の問題を地方への財源移転のブレーキとしてはならず、むしろ、地方の判断で使える財源を、より多く地方に配分していく形での分権改革を加速する必要があると考えます。
 こうした意味からも、地方分権の流れを確実なものとしていくための地方税財源の確保などとともに、これまで続いてきたさまざまな制度や運用に関する国との間の課題について、問題に直面し、その実情を知る地方団体が、積極的に発言していくことは重要であると考えています。
 全国には、同様の問題意識を持っている都道府県があると考えられますので、全国知事会の場などを含め、さまざまな機会をとらえ、他県とも連携しながら問題提起をしてまいりたいと思います。
 次に、観光振興施策についてであります。
 まず、世界遺産登録に向けた部局横断的体制についてですが、世界遺産登録に関連するさまざまな事業を関係部局が連携して取り組むため、本年1月に部局横断チームを設置し、4月からは総合政策部を窓口として、全庁一丸となって登録に向けた活動や保存・活用などの取り組みを進めてきたところです。
 具体的には、それまでそれぞれの部局が個別に行ってきたものを、役割分担を明確にして一体的に取り組む体制としたことによりまして、例えば、平泉の価値をコンパクトにまとめた共通して使える啓発用しおりの作成、展示パネルなどの資材の共有や日程の調整によるイベントの充実、黄金米等の平泉をイメージした商品の開発、東京事務所と連携した首都圏などでの普及啓発活動などの連携が図られたものと考えています。また、こうした県の取り組みに加え、民間、地域の団体、マスコミなど多くの方々が県内各地で平泉の登録に向けて積極的にかかわっていただいており、これらのことが観光振興にも結びついているものと評価しています。
 次に、公立病院改革推進指針と県立病院の新しい経営計画に関連し、県内自治体から、あるいは医療審議会等での反応に対する認識についてでありますが、公立病院改革推進指針案に対しては、病床の削減あるいは診療所化の検討が必要としている点について、過疎地の医療を採算性、効率性だけで考えていいのか、県が狭い旧町村単位を診療圏とする病院までも運営するのは困難ではないかなどの御意見が、県立病院等の新しい経営計画案に対しては、無床診療所への移行を内容としている点について、事前の相談もなく唐突ではないか、経営改善に努力する一定の期間を設けるべきではないかなどの御意見があったと承知しています。本県の医療は、医師不足を中心に危機的状況にあり、これを乗り越えるため、私は、県民の皆様に、このような状況を理解していただき、県全体としてどのような地域医療を目指していくのか真剣に考え、決めていかなければならないと考えております。
 次に、県立病院の経営形態の検討状況についてでありますが、地方公営企業として効率的な運営を図るため、管理者を置き、医療局全体のスケールメリットを生かし運営できる体制としながら、広域基幹病院の院長には、二次保健医療圏内の病院について、職員の人事配置や高度医療器械購入の調整などの権限を委譲してきているところであります。今回の経営計画案では、県立病院の機能や規模の見直しを進めることとしており、そのためには、開設者である知事と管理者である医療局長が一体となって進める必要があることから、当面、現在の経営形態のもとで運営を行うことが適切と考えております。
 次に、世界遺産登録の今後の課題等についでありますが、平泉の文化遺産の平成23年の世界遺産登録を目指すためには、来年9月までに推薦書を提出する必要があり、その作成に当たっての課題は、イコモス勧告及び世界遺産委員会の議論を踏まえ、平泉の顕著な普遍的価値をより明確にすることであると認識しております。このため、現在、推薦書作成委員会において、国内の専門家により平泉の顕著な普遍的価値について議論を進めているところであり、今後、年明けにも開催する予定の国際専門家会議においても、その議論を踏まえて、さらに検証を重ねてまいりたいと考えています。また、来年度早々には、文化庁及び奈良文化財研究所と連携を図りながら、中国及び韓国の浄土庭園との比較研究に関する研究集会を開催することとしています。
 以上のような取り組みを進めることにより、平泉の文化遺産の世界遺産登録に向けて万全を尽くしてまいりたいと考えます。
 次に、今後の具体的な取り組みについてでありますが、世界遺産関連事業を推進する部局横断チームについては、登録実現まで運動を続けることとしており、今後一層平泉の価値を県内全域に波及し、県民運動的な盛り上げを図るとともに、世界遺産にふさわしい価値があることを国内外へ積極的に情報発信していくこととしています。
 具体的な取り組みについては、来年度の予算編成に向けて現在検討している段階ですが、チーム員がそれぞれの分野に応じた役割を果たすことに加え、新たに職員提案を通じた事業の企画・立案に取り組んでおり、提案のあった事案について、プロジェクトチームの中で実施の可能性や効果等の検討をしているところです。こうした取り組みに加え、民間や地域の団体により行われているさまざまな活動が県内各地に一層広がるよう、県民に対する呼びかけや取り組み事例の提供などを行うことによって、県民一丸となった運動につなげていきたいと考えています。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事、企画理事及び関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) 岩手県観光産業振興本部の観光振興施策への取り組み方法についてでありますが、岩手県観光産業振興本部は、国における観光庁の創設や県議会における観光振興に係る条例立案の動きに呼応し、本県における観光産業の育成を一層推進するため、今般、部局横断的な組織として設けたものであります。この振興本部におきましては、今月、観光庁の幹部職員を招いて国内外の状況について講演をいただくとともに、平泉の文化遺産など県内の地域資源の現状を直接見る機会を設け、国際観光も含めた全国的な視点から意見をいただくこととしております。
 また、今後、複数の部局による合同チームを編成いたしまして、できるだけ県内各地域に出かけ、二次交通や観光客の受け入れ態勢の状況を把握するとともに、地元の観光関係の事業者やNPOの皆様と意見交換するなど、さまざまな活動を通して、本県の抱える課題の洗い出しや地域の実情に応じた取り組み方向を絞り込んでいきたいと考えております。
 現在、本県の観光産業をめぐる環境は、2度の地震による風評被害や先行き不透明な経済状況など大変厳しいものと認識しておりますが、県の各部門の施策や人的資源を結集し、振興本部長である私がしっかりとリードしながら、本県の観光産業が総合産業として発展するように積極的に取り組んでまいる考えであります。
   〔企画理事勝部修君登壇〕
〇企画理事(勝部修君) 平泉ナンバーについてでありますが、平泉ナンバーの導入につきましては、平泉の文化遺産の世界遺産登録を契機とした取り組みの一環として、昨年度来、地元市町長との連絡調整会議の場において検討を進めてきたところでございますが、御案内のとおり、本年7月のユネスコ世界遺産委員会において登録延期と決定されたこともあり、7月以降現在までは、具体的な行動や運動を展開するまでには至っておらない状況にございます。また、国の動向について情報収集に努めておりますが、国土交通省においては、御当地ナンバーの新たな地域へのさらなる拡大については、既に導入された19の地域での導入効果等を見きわめながら、今後、改めて検討すると伺っているところでございます。
 御当地ナンバーの導入に当たりましては、何よりも地域での機運の盛り上がりが必要でございます。既に導入された地域の例を見ますと、当初期待したほど普及せず、ねらいどおりの効果を上げていないとされる例も見受けられるところでございます。このため、本県といたしましては、3年後の世界遺産登録を地域が一体となって目指していく、そうした取り組み自体が、地域への誇り、地域への愛着、住民意識の自立につながるものと考えておりまして、御当地ナンバーの導入機運の醸成にもつながっていくものと考えます。今後、国の動向を踏まえながら、世界遺産登録に向けた取り組みの中で、平泉ナンバー実現のための具体的取り組みをしっかりと位置づけて、地域の関係団体と連携し、地域全体としての運動を展開してまいりたいと考えております。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 予算編成プロセスの透明化についてでございますが、本県にあっては、地方交付税などの依存財源の割合が高く、特に近年は、収支不足に対応しながら、限られた財源の範囲内に必要な予算をどうおさめるかに腐心する予算編成が続いている状況にあり、また、政策的な予算については、知事まで協議を尽くしながら計上内容を決定しておりますことから、予算編成の最終段階まで、いわばすべての事業が未確定ないし調整途上という状況にございますので、予算編成の途中段階において、その時点までの予算計上見込みといった形で具体的な事業内容や金額を公表することは難しい面がございますが、一方、御指摘のように、予算編成プロセスについて、県民や関係の方々に御理解いただくことも重要でございますので、本県では、予算編成作業が始まる10月に、新年度における予算編成の方針と予算要求・調整の要領を、また、12月には各部局からの予算要求の概要をそれぞれ公表しておりますほか、2月に新年度予算案として公表する際にも、できるだけわかりやすい説明に努めることとしております。今後とも、こうした予算編成時期の積極的な情報提供や、予算決定後の執行段階における関係者への丁寧な説明等を通じまして、予算編成への県民理解や透明性の向上に努めてまいりたいと存じます。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 政策調整会議(仮称)の今後の取り組みについてでありますが、平成21年度からの試行に向けて、現在、モデルとなる市と町の選定方法や、企画総務、環境生活、保健福祉など、七つ程度の行政分野別の事務レベルの検討組織の設置方法など、会議の設置運営のあり方を中心に検討を進めているところであります。
 この会議での協議・調整に当たりましては、まず、県、市町村の全事務事業や施設をリストアップし、廃止すべき分、民間に移管すべき分、県が行うべき分、市町村が行うべき分の四つに仕分けをした上で、二重行政となっている事務事業等につきましては、県が担うべき分、市町村が担うべき分に仕分けするとともに、さらには、県と市町村が連携・協働することにより相乗効果が期待できる事務事業等については、それらの効果的な連携・協働の具体的あり方について検討を行いたいと考えております。
 これらの結果を踏まえ、県、市町村のそれぞれの事務事業等に反映させていくこととし、次年度以降も調整会議で定期的な点検、見直しを行い、限られた行財政資源のもとで、良質な行政サービスの効率的な提供を図ってまいりたいと考えております。
 次に、政策調整会議(仮称)による財政措置等の方向性についてでありますが、県と市町村が協議・調整を進めることにより、具体的財政措置の面では、県と市町村の二重行政の解消に伴う財源の効率化や施策の優先度を共有することにより選択と集中が徹底され、これまで以上に効率的な財政運営が期待でき、また、市町村との間で適切な役割分担が進むことにより、広域振興局への予算配分につきましては、本来、県がこれまで以上に重点的に取り組むべき広域的な産業振興施策等への重点化が図られ、また、権限移譲の面におきましては、市町村行政の総合性を高める方向での移譲が数多く期待できるものと考えているところであります。
 次に、合併市町村自立交付金についてでありますが、県では、合併新法下において、地域説明会や住民との合併議論を重ねてきたところでありますけれども、この中で、合併後に周辺部が寂れるのではないかと不安を感じる住民が少なくないことから、今後合併する市町村におきましては、合併後の周辺部の活性化が課題になるものと考えております。
 一方、平成20年1月に行われた岩手日報社と県立大学との共同研究のアンケート結果によりますと、旧法下で合併した市町村におきましては、多くの住民が、市町村合併が住民の自治意識の高まりにつながったと感じており、また、住民の自治活動には財政的支援が必要と回答しているところであります。
 このようなことから、新法下で合併する市町村におきましては、合併を契機として住民の自治意識は確実に高まるものと考えられますけれども、これを具体的な行動に移し、周辺部の活性化につなげていくためには、一定の財政的な支援も必要ではないかと考えられるところであります。
 したがいまして、新法下での合併市町村を対象とした交付金につきましては、旧法下での合併市町村自立支援交付金の効果検証や他県の状況等も踏まえながら、合併に向けた周辺部の懸念の払拭という合併の障害の除去と、合併後の地域づくりを円滑に進め、特に周辺部における住民自治を促進することを主な目的として、今後における合併に向けた各地域の議論の状況なども注視しながら、来年度の予算編成に向けて検討してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 次に、観光振興施策ついてでありますが、まず、地域の現状に即した戦略についてであります。県では、平成18年に岩手県産業成長戦略を策定し、観光産業を地域資源型産業の一つとして位置づけ、国際観光、国内観光、日帰り観光などの旅行形態や、旅行者の年代層に応じた施策を進めることとしております。また、各市町村や観光事業者、関係団体の意見を反映した地域別戦略を策定したところであり、これらの戦略に基づき、例えば、沿岸部におきましては観光ネットワークの形成に向けたコーディネーターの育成、県南部におきましては教育旅行などの特定の観光客層に向けた誘客や受け入れ態勢の整備など、地域の状況に応じたさまざまな取り組みを行っているところであります。
 次に、観光振興計画の策定についてでありますが、観光産業の振興を図るためには、県民が一体となって取り組むことが重要であると考えており、現在、議会において進められております観光振興に係る条例立案の動きを心強く受けとめております。県といたしましては、こうした議会の動向に呼応し、観光産業をめぐる環境の大きな変化にしっかりと対応していくため、このたび設置いたしました岩手県観光産業振興本部や、県内経済界や行政、関係機関によりますいわて世界遺産観光推進会議における議論をもとにしながら、今後の観光産業の振興に向けた中長期の戦略を検討してまいりたいと考えております。
   〔総合政策部長菊池秀一君登壇〕
〇総合政策部長(菊池秀一君) 本県のイメージアップについてでありますが、これらは、それぞれの行政目的に応じて県内外に広く親しまれることを目的として決定し、使われているものでありますが、具体的には、岩手ナチュラル百貨店といわて銀河プラザは、観光のイメージアップや県産品の販売促進などを目的として、公募により決定したものであり、ひとと環境にやさしい純情産地いわてといわて環境王国は、県が施策を推進するに当たって、目指す姿をわかりやすく表現するため、県が決定したものであります。銀河系いわては、宮澤賢治の銀河鉄道からイメージされ、県全体を表現するものとして、県を中心に使われてきたものであり、イーハトーブは、宮澤賢治が表現した理想郷として、県のみならず一般的に使われてきたものと考えております。
 また、使用基準等につきましては、岩手ナチュラル百貨店につきましては、県産品の信頼性確保という観点から、使用上の注意を定めているところでございますが、それ以外につきましては、幅広く使用されるよう特に定めはございませんで、期限につきましても、いずれのイメージコピーについても、定めはないものでございます。
 次に、全国発信についてでございますが、本県における県外への情報発信の考え方といたしましては、個別の分野での情報発信と、岩手そのものの情報発信という二つの考え方のもとに取り組みを進めております。具体的には、個別の分野の情報発信といたしましては、農林水産物や伝統工芸品、観光といった分野において、そのよさをあらわし、周知を図ることを目的としたロゴマークやイメージコピーを使った取り組みについて、それぞれの行政目的に応じて進めているところでございます。
 一方、岩手そのものの情報発信といたしましては、県全体の豊かさと信頼を黄金の國いわてと表現いたしまして、これを本県の統一イメージコピーとして全国に向けて発信し、岩手を強く印象づけていくこととしておりまして、岩手ブランドの構築による競争力の強化に向けて、こうした二つの取り組みが相乗効果を発揮することを期待しているところでございます。
 こうした考えのもと、例えば、いわて純情黄金米やいわてりんご黄金シリーズといった新たな展開も見られ、効果を上げているところでございますが、県の情報発信がより効果を発揮するよう庁内での考え方を共有し、連携を図るとともに、黄金の國いわてにつきましては、より多くの県民にも理解され、親しまれるよう、県内への周知についても一層努めていきたいと考えております。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 県立病院の新しい経営計画案についてでありますが、まず、余りにも早急ではないかなどとの御指摘については、計画案は、平成21年4月からの地域診療センターの無床化を含む内容となっており、地元市町村などから、唐突ではないか、拙速ではないか、約束違反ではないかなどの御批判も出ていることは承知いたしております。
 無床診療所への移行の背景には、県立病院全体で常勤医師が平成15年と比べ75人減少し、超過勤務が月平均約54時間にも及び、本院での当直勤務のほか当直応援も重なり、過酷な勤務環境となっていることや、地域診療センターの常勤医師の当直回数も月平均8回、多い場合には月20回にも及び、負担がかなり大きくなっていることから、現場の医師からも、現在の勤務形態の継続は厳しいとの訴えがあります。計画の実施がおくれればおくれるほど事態が深刻になる状況であることから、できる限り早急に実施したいと考えており、無床診療所へ移行する地域の皆様には御不便をおかけしますが、御理解を賜りたいと考えております。
 次に、県民への説明責任と経営計画策定の進め方についてでありますが、計画案については、現在、12月19日までパブリックコメントを実施し、広く意見を募集しているところであります。その後も、1月下旬までに、無床診療所に移行する地域において、地元市町村と相談しながら地域で説明する機会を設けるほか、リーフレットを作成し、医師不足による過酷な勤務環境や厳しい経営環境など、県立病院の現状や計画案の内容について御理解をいただくよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、徹底的議論の場の必要性についてでありますが、岩手の地域医療を守っていくためには、県立病院のあり方の議論のみならず地域医療のあり方を県民一人一人が考え、医療関係者はもとより、さまざまな立場の方々が一体となって議論していくことが重要となってきていることから、11月28日に設立された県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議の中で、医療局としても、県営医療の置かれている現状を理解していただくよう取り組んでいくとともに、地域懇談会や病院だよりなどによる情報発信や市町村の広報事業を通じ、きめ細やかな情報提供に努めていく考えであります。
 次に、医療資源活用のための連携協力と地域医療の確保についてでありますが、医師不足による限られた医療資源と厳しい経営環境の中で、市町村単位などの地域で完結できる医療提供体制を構築していくことが困難となってきており、二次保健医療圏を基本に、県立病院のみならず市町村や民間の医療機関との役割分担と連携をより一層進めることにより、二次保健医療圏全体で地域医療を守っていくべきものと考えております。
 そのためには、宮古地域で発足した宮古地域医療連絡協議会のように、県立、市町村立、民間の医療機関、行政、医師会等医療関係団体、介護施設などが医療連携体制を構築し、それぞれが必要な役割を果たしていくことが重要であることから、県立病院としても、このような二次保健医療圏全体で地域医療を守る取り組みに、関係機関と一緒になって取り組んでまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長岩渕良昭君登壇〕
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) 県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議の目指すところ、位置づけについてでありますが、医師不足や診療科の地域偏在等、本県の医療を取り巻く環境が厳しさを増している中で、県民が将来にわたり必要な医療を適切に受けながら地域で安心して生活していくためには、県民も医療の一方の担い手であるという意識のもと、相互に信頼できるかかりつけ医を持つことや、症状や医療機関の役割分担に応じて受診することなどにより、県民一人一人が地域の医療を支えていくことが必要であると考えたところであります。
 このため、県内の保健・医療関係団体や産業界、学校関係団体、行政等の参画により、この推進会議を設置し、本県の地域医療を支えていくための取り組みを県民運動として推進していくものであります。県といたしましては、今後、推進会議構成団体と一体となり、県民総参加型の地域医療体制づくりに取り組んでまいる考えであります。
   〔監査委員菊池武利君登壇〕
〇監査委員(菊池武利君) 一連の不適正経理問題についてお尋ねがありました。
 最初に、これまでの監査のあり方についてでありますけれども、平成20年度の定期監査は337機関の監査対象機関のうち283機関となっており、84%の監査を行うこととしております。これまでの実績なんですが、決算前監査は、前倒し前の平成16年度は61%ありました。しかし、前倒しとなった後の平成17年度なんですが、56.3%と低下し、監査委員事務局の職員が減員となりました平成19年度は、41.3%まで低下しております。平成20年度は職員が増加され、50.5%、143機関まで上昇していますが、相対的に見ますと監査対象機関のおよそ半数にとどまっております。さらに、すべてを監査しているわけではありませんで、一部を抽出して監査を行っております。その抽出率は10%程度と認識しております。こうした現状を踏まえますと、決算前監査の実施率を60%から70%まで高める必要があると考えております。
 次に、不適切な事務処理について監査委員の認識でありますが、農林水産部及び県土整備部では、賃金、旅費について、会計検査院から指摘された平成14年度から18年度までと同様の事務処理で、平成19年度も執行したと。このため、国庫補助の対象性について、点検、確認する必要がありました。あわせて、平成19年度には、不適正支出はないものとされていた需用費の執行についても、確認を行うこととしたものであります。
 その結果なんですが、旅費及び需用費について、不適当なものがあったことは議員の皆様にさきに示したとおりであり、まことに遺憾であります。
 監査委員として、賃金及び旅費について、これまでの監査は支給額の適否などを関係帳票により点検、確認する方法をとってきたところでありますが、今後、国庫補助に係るものについては、関係省庁における補助対象性の見解を踏まえ、補助対象になるかどうか確認を行っていく必要があると思っております。
 また、需用費について、外部確認など手法を検討しながら不正を見抜く監査のあり方を検証し、県民の信頼にこたえられるよう、責務を果たしていきたいと思っております。
〇41番(佐々木一榮君) それでは再質問をさせていただきます。
 まず、雇用対策の関係でありますが、知事のほうから、緊急雇用対策本部を早急に設置するというお話がありました。そこで、いずれ部局横断で設置されるわけでありますが、質問でも申し上げましたけれども、今まで勝部県南局長が経験されていますが、雇用対策局、これはきちっとした形で、本部の位置づけをするためにも雇用対策局の設置が必要だと思いますが、本部設置後、そういったことを視野に置かれていらっしゃるのか、再度お尋ねしたいと思います。
 それから二つ目は、政策調整会議についてお尋ねしたいと思いますが、県南広域局は花巻、遠野、北上、西和賀、金ケ崎、奥州、平泉、一関、藤沢、九つの市町があるわけでありますけれども、先ほど藤尾部長の答弁によりますと、意欲のある市といいますか地域でしょうか、それをモデルにしたいということでありました。これは来年から進めるということでありますが、今後、この九つからどの程度を選んで、どういうスケジュールで進めるお考えか、また、対象となっている県南の市町には現在どのような問いかけをしているか、お尋ねしたいと思います。
 それから、この政策調整会議には、市議会議員また県議会議員もメンバーに想定していると報道が過日ありましたけれども、我々も定例会等ありますが、県議会議員もそのメンバーに入れるという報道は間違いないか、お尋ねしておきたいと思います。
 それから、3番目に不正経理の問題で、知事から、けじめ、また処分等のお話もありましたが、非常に残念だったのは、今、議会でも、まだ来週は決算特別委員会なんですけれども、きょうの中央紙でありますが、返還、県費で実施へ、職員負担は1割程度かというような報道がありました。この中で、具体的に財源に県費を充てる理由ですとか、それから、大体預けなどについては通常よりも高く購入したというようなことで、職員に負担を求める案を検討しているというようなことが出ております。さっき知事は、しっかりと再発防止はもうすぐ進めるし、これについては検証しながらやっていきたいという中でこういう報道が出ておりますが、この報道は事実でしょうか。それとも、報道機関が勝手に書いたという理解でよろしいでしょうか、お尋ねしておきます。
 それから、次に最後でありますが、医療関係についてお尋ねしたいと思います。
 まず、1点目ですけれども、先ほど御答弁をいただきましたが、きっちり県民の方々に説明するということでありましたが、きのう、一関市議会で反対の意見書が採択されました。けさ、この提案理由を述べた議員に確認しましたら、県医療局のほうからは、一切、一関市議会には説明がなかったというようなことで、大分この意見書もやわらかくしたとは言っていましたけれども、全然そういった説明がないということでこれが上がっています。
 それから、けさでありますけれども、花巻市の大石市長さん初め一関市の浅井市長、それから岩手町の町長さん、それぞれの議長さんが、やっぱり説明をきっちりしてほしいという要望書を上げているわけですね。ですからこれを、パブコメはパブコメで今やっていますが、今後どうきっちりやられるお考えなのか、また、再度確認をしておきたいと思います。
 それから、最後でありますけれども、岩渕保健福祉部長から、地域医療をみんなで支える推進会議の設置についての御答弁をいただきました。私は、これはぜひ、広い県土でもありますけれども、保健医療圏ごとに、こういった推進会議をきめ細かく立ち上げていただきたいものだなと思っております。それにはやはり医療と福祉の連携というものがこれから非常に必要になってくる中で、県立病院の将来を考えますと、一般会計から繰入金が140億円ぐらいあるわけでありますし、今後、職員の退職金の問題やらさまざま出てまいりますが、義務的経費が非常に多いというのが問題なんですね。民間病院また診療所と比較して、ここにやはり手がつけられない、公務員の方々だから一切手をつけられないというのは、これは法律上、地方公務員法でわかるんでありますが、このような公立病院を26も持っているのは恐らく全国でも岩手県だけなんですよね。ですから、今回の総務省のこの計画の指摘についても、岩手県は、私は全国とは合わないと思っていまして、ぜひ、これは国に対して何か特区なり、そういった意味での新たな提案を、県として県立病院の経営について考えていくべきではないのかなと思いますけれども、この辺について知事のお考えをお伺いして終わりたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 総務省の公立病院改革ガイドラインは、増田寛也総務大臣のときにつくられましたので、岩手のことも念頭に置いた上でつくったガイドラインなのかとは思うんですけれども、今回の新しい経営計画案については、ガイドラインは参考にしますけれども、基本的に岩手の実情を踏まえて、岩手としての必要な改革という考え方で、これは医療局の計画案もそうですし、また、県保健福祉部でまとめた県全体の公立病院改革案についてもそういう趣旨でございます。そういう中で、国に対してやはり医療政策、言うべきことは多々あるし、少なくとも岩手について国の政策を変えていってほしい、恐らくそれは全国に対しても共通する部分もあるのかとは思うんですけれども、国に対して言うべきことはきちんと言っていきたいと思います。
 緊急雇用対策本部についても質問をいただいておりました。可及的速やかに立ち上げたいと思います。
 緊急雇用対策本部とともに、職業能力開発を含めた雇用対策を一体的かつ強力に推進するための体制の整備について再質問がありました。
 災害対策本部のようなものだと思っておりますので、災害対策本部、全庁的な体制の事務局機能を総務部内の防災対策室が担うわけでありまして、そうした機能を今は労政能力開発課が務めているわけでありますけれども、まず、緊急的には、労政能力開発課に司令塔役は務めてもらわなければならないんですが、そこを強化していくことは、これは走りながら取り組んでいきたいと思います。
〇地域振興部長(藤尾善一君) 政策調整会議(仮称)につきまして何点かお尋ねがございました。
 県南局からどの程度の市町をモデルとして選定するのかというお尋ねがございました。これは、これまでにない新たな取り組みということでございまして、効率的に、まずは協議・調整する市町を構築する必要があるといったようなことがございます。
 それから、先ほど知事が答弁申し上げましたように、全事務事業を対象としてやるといったようなことで、相当の事務量が見込まれるといったようなこともございますので、大体県南局九つの市町があるわけですけれども、市一つ、町一つをモデルとして選定したいと考えてございます。
 それから、現在どういう問いかけをしているのかという御質問でございましたけれども、正式な問いかけ等につきましては、今現在の段階で、いわゆるやり方そのものを検討いたしておるわけでございますので、それを固めつつ、正式にはこれからということになります。
 それから3点目、議員をメンバーに入れるかどうかということでございますけれども、この協議・調整に当たりましては、住民視点を踏まえるということが何よりも重要でございます。したがって、民間の方々には参画いただくということでございますが、これは事業仕分けなど、その過程が非常に大事だと考えておりますので、モデル以外の市町村、住民の方々にも広く公開する予定といたしておりますけれども、現段階で議員の当該会議への参画等につきましては、今、なお、検討させていただきたいということでございます。
〇総務部長(川窪俊広君) 不適切経理問題に関する報道についてでございますけれども、私のところに取材があったことがございまして、そこで私のほうから御説明申し上げましたのが、1点目が、職員の負担のあり方についてという取材でございまして、これにつきましては、決算特別委員会で申し上げましたように、他県の例を参考としながら検討させていただきたいということを申し上げたところでございます。
 そこで他県の例の内容ということで御説明申し上げたのが、預け、差しかえ、一括払いの3類型につきましては、入札をかけて購入するよりも高く買い過ぎてしまっている結果が起きている可能性があるということで、他県の例では、それを購入金額の十数%程度ということで算定をした例があるということを御説明申し上げまして、こういった他県の例を参考にしながら、職員の負担のあり方については検討したいということを御説明申し上げております。
 それから、別の話ということでございますが、国庫の返還につきましてこれからどうなるのかという御質問がございまして、これにつきましては、これから交付をした省庁と協議をしますということを申し上げましたが、あわせまして、聞かれたことといたしまして、仮に返還となった場合―これは金額はこれから協議ということを御説明しておりますけれども―仮に返還となった場合に、その財源はどうなるのかという御質問がございまして、これにつきましては、県に交付された補助金の県からの返還となりますので、県で予算措置をして返還する必要があるということ。その際、地方債等が対象となるものではありませんことから、県としては、一般財源による予算措置をせざるを得ないものと考えているということをお話し申し上げたところでございます。
 いずれにいたしましても、職員の負担問題につきましては、報告書に取りまとめました基本的な考え方をベースとしてこれから検討していくということでございますし、また、国庫の返還につきましても、各省との協議がそもそもこれからという状態でございますので、返還の時期や額などについても、まだ未定であるというようなことをお話し申し上げたところでございます。
〇医療局長(田村均次君) 市議会に計画案の説明がないというお話でございますけれども、公表の前に地元のそれぞれの関係する市町村長には、当方で出向いて説明しておりますけれども、その後の部分はこれからということで、これからそれぞれの市町村と相談をして対応させていただきたいと考えております。
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) 保健医療圏ごとの地域医療推進会議の必要性についてでありますが、地域によりましては、例えば、気仙地域の診療時間内の受診により救命救急センターを守ろうという取り組み、あるいは、広報紙によって住民への適切な受診行動等の呼びかけを行っている自治体の例もあり、地域医療を支えるための取り組みが既に始まっている圏域もございます。
 今後、保健医療圏ごとにシンポジウムを開催したり、圏域版リーフレットを作成する予定としておりますし、また、保健医療圏域におけます医療機関の役割分担とネットワークのあり方について協議するために、圏域連携会議というものを設置しております。これは、地域の保健・医療、介護・福祉施設等の関係機関で構成されたものでございまして、この組織と推進会議構成団体がその地域地域で一体となって、県民運動的に取り組んでいくことができるものと考えております。

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