平成20年12月定例会 第8回岩手県議会定例会会議録

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〇44番(小野寺研一君) 自由民主クラブの小野寺研一であります。
 12月定例会で一般質問の機会を与えていただいた同僚議員の皆さんに心から感謝を申し上げます。
 通告に従い、順次質問してまいりますので、明快な答弁をお願いいたします。
 まず、岩手の方向性を示す新しい長期計画の策定についてお伺いいたします。
 知事は、次期総合計画となる新しい長期計画の策定を行うことを9月議会前に発表し、岩手県総合計画審議会に諮問を行うなど、鋭意、その策定作業を進めてまいりました。現在、原油、原材料価格は一時期より落ちついたものの、依然として原材料などは高水準で推移しており、また、金融不安を契機とした世界経済の減速感はますます強くなり、日本は他国と比較して相対的にその影響が小さいと言われているものの、円高そして株価の下落は、製造業を主力とする本県経済に対して、ますます厳しい影響を及ぼすものと思われます。また、県の作成している人口移動報告によれば、本県における人口の自然減少、社会減少とも、近年、その減少幅が拡大傾向にあり、まさに岩手県は存亡の危機に立っているのではないかと危惧するものでもあります。
 このような状況を打開するためには、県民や企業などが一体となった総合的な取り組みを行う以外になく、そのためにも、知事が述べるように、あるべき将来像やビジョンを共有し、その実現に向けて努力することが不可欠であると私も考えており、ここで、改めて新しい長期計画にかける知事の思いを伺いたいと存じます。
 新しい長期計画は、10年程度の長期ビジョンと、その実現のための4年間のアクションプランとする構成など、現段階でも骨格は大まかに示されているところでありますが、達増知事は、平成20年9月16日の定例記者会見において、新しい長期計画に位置づけるアクションプランは希望創造プランの微修正となるとの説明を行っております。これまで述べたように、長期計画の必要性については理解しているものの、取り組み内容や事業は既に決まっていて、その上にかぶさる理念を後から決めるというのは順番が逆ではないかという思いがしますが、改めて、希望創造プランと、新たに策定するアクションプランの関係についてもお伺いいたします。
 また、新たなアクションプランの内容についてでありますが、現在の希望創造プランでは、今後の主要課題の一つとして県北・沿岸圏域の振興も掲げ、達増知事は、県北・沿岸振興なくして県政の成功なし、あるいは発展なしというスタンスで県政運営に当たられており、これに基づき、現在、県北・沿岸振興のためのさまざまな取り組みが進められているものと考えています。依然として厳しい県北・沿岸の社会経済状況を考えると、こうした方針は今後とも引き続き強力に推進すべきものであると考えていますが、県北・沿岸地域の現状や、県北・沿岸振興の今後の方針についてどのようにお考えになっているのか、見解を御披露いただきたいと存じます。
 次に、岩手県の復活は第1次産業、すなわち農林水産の充実振興しかないと私は考えます。農林水産業の活性化についてお伺いしてまいります。
 まず第一に農業についてでありますが、食の安全に心がけ、安心できる食料を提供し、好評を博している岩手の農業ですが、その産出額は、昭和60年の3、595億円をピークに減少し、平成18年は2、544億円と3割近くも落ち込んでおります。それに対して、県の平成22年の目標産出額が2、600億円というのは、いささか少な過ぎるのではないでしょうか。安全・安心な食材が求められている現在、せめて3、000億円程度の目標を掲げ、しっかりとした対策を示していくべきと思いますが、ぜひ、もっと積極的な目標と、しっかりした対応策をお聞かせいただければと存じます。
 また、最近の肥料等生産資材の価格高騰で農業経営は大変厳しい状況にあり、このままでは経営がもたない、さらには、リンドウ岩手県育成品種の種子が不足し、来年の植えつけが心配だなどの声が県北の生産現場から出されていますが、ぜひ、前向きな対応策をお示し願います。
 次に、水産業についてでございますが、本県沿岸では、沿岸漁業や養殖業が盛んに営まれ、サケ、アワビ、ワカメなど高品質な水産物が生産されておりますが、平成18年の沿岸漁業、養殖業の生産量は14万5、000トン、生産額は321億円、生産量では平成8年の22万1、000トンを、生産額では平成4年の517億円をピークに大きく減少しています。こうした中、中国産の冷凍ギョーザ問題や鳴門ワカメの産地偽装問題など、食品をめぐるさまざまな事件を契機に、消費者の食の安全・安心への関心がかつてないほど高まっており、安全・安心で高品質な本県水産物に追い風が吹いている今こそ、生産の拡大に積極的に取り組む好機であると考えており、特にも、本県漁業生産の拡大に向けては秋サケが重要と考えております。
 そこでお伺いしますが、秋サケ漁の現状をどのようにとらえ、ふ化・放流事業の課題と、今後どのように取り組んでいくのか、力強い対策をお示し願いたいと思います。
 次に林業ですが、最近の木材の需給状況を見ると、中国での木材需要の増加やロシアの丸太輸出の関税強化など、外材をめぐる国際情勢が一段と不透明さを増す中、国産材に目が向けられ、本県においても、合板や集成材での県産材利用が増加した結果、素材生産量はこの5年間で95万立米から121万立米へと急増しているところであります。こうした中、北海道に次ぐ豊かな森林資源を有する本県は、戦後に造林された人工林が伐採時期を迎えようとしており、本県林業、さらには中山間地域の活性化につながる大きなビジネスチャンスが訪れているのではないでしょうか。この好機をとらえ、低迷してきた本県林業の新たな時代を築くためには、その担い手の育成が何よりも重要と考えますが、県はどのように取り組むお考えか、お伺いいたします。
 次に、市町村財政と健全化判断比率についてお伺いいたします。
 2007年度決算から算定と公表が義務づけられた地方自治体の健全化判断比率について、総務省が先ごろまとめた資料によりますと、全国1、810市区町村のうち、北海道夕張市、同赤平市、長野県王滝村の2市1村が、地方公共団体財政健全化法に基づく財政再生基準を上回ったほか、北海道、青森、島根など13道府県の43市町村には、破綻への警告段階となる早期健全化基準を超えたとされております。旧財政健全化法による再建団体として既に再建中の夕張市以外にも、病院事業や第三セクターに対する債務などの隠れ赤字が一部自治体の財政を圧迫している実態が浮き彫りとなりました。2008年度決算で健全化法上の再生団体とならないためには、行財政改革や人件費カットなどで捻出した財源を債務の償還に充てるほか特例債の発行などの措置が必要となり、いずれにしても、住民サービスへの影響は免れません。一方で、地方税収や地方交付税の見通しもますます不透明となっているところから、各地方公共団体においては、健全化に向けた着実な取り組みが迫られるものと思います。
 そこでお伺いしますが、県内市町村の財政健全化判断比率の状況はどうなっているのでしょうか。県内の市町村財政も公債費等義務的経費の増加で硬直化が進展していると思いますが、財政健全化に向けた取り組みはどのようになっているか、お伺いいたします。
 また、今回示された早期健全化基準以上の団体においては、公営企業等を連結した指標において数値が悪化している団体が見受けられますが、本県市町村においても同様の事例があるのでしょうか。あるとすれば、県として今後どのように指導していくのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、地域医療の充実・確保対策についてお伺いします。
 ただいま指摘した市町村財政悪化の要因ともなっている病院事業への財政負担の問題は、地域医療確保の観点から、各地方自治体がやむにやまれず支援している面があることも否定できないところであります。医療は地域住民の生活を支える根幹であり、民間の医療現場から採算の悪い産科や小児科などが減少していることを考えれば、公立病院の事業会計で赤字が出たとしても、住民は病院を維持する予算を選択すると考えますし、同じ赤字でも住民の対応は違ってくるはずであります。
 ところが、現実には、財政悪化を解消するために診療所などが廃止され、地域医療に悲劇的な状況が生じております。言うまでもなく、本県の医師数は地域的に偏在している状況にあり、問題としては、医師が盛岡市周辺と県央部に集中し、特に県北・沿岸部の医師数が少ない状況となっております。例えば、平成18年度の調査では、盛岡医療圏医師数、10万人に対し276.6名に対して、久慈・二戸医療圏は10万人に対し110名から120名、その半分以下になっているという状況にあります。さらに特定診療科の医師不足の問題もあり、特に産婦人科医は、盛岡医療圏医師数、これも10万人に対して9人、岩手中部医療圏あるいは久慈医療圏においては3人ないし4人と、特に少ない状況となっているのが現状であります。
 そこでお伺いします。県は、これまでも地域医療の充実・確保についてさまざまな対策を講じてきたところでありますが、地域格差が拡大している現状を踏まえて、今後どのような点に重点的に取り組もうとしているのか、地域医療の確保に有効な施策があれば、お示し願いたい。
 また、地域医療の充実に向けて、医療機関や市町村との協議の状況はどうなっているのでしょうか。岩手県地域医療対策協議会のこれまでの成果、特にも、医師確保対策等の施策への反映状況についてお伺いいたします。
 次に、医療局の新しい経営計画案についてお伺いします。
 地域医療の確保を考えているときに、我が目を疑うような記事が突然掲載されました。それは11月14日の記事でございましたが、医療局では2009年度から、花泉、紫波、大迫、九戸、住田の5地域診療センターを無床化し、加えて2010年度からは沼宮内病院も無床診療所化する方針を固めたというものでございました。今回の経営計画の発表は余りにも唐突で、地域住民の納得など到底得られるとは思いませんが、この先、どのようにしてこの計画を周知し、県民の納得を得ようとしているのでしょうか。また、納得が得られない場合は変更もあり得るという判断をしてよろしいのでございましょうか。
 さらに、数日後の新聞には、県立病院の医師の退職が4年間で140人に上っており、それは過酷な勤務が背景にあると報じておりました。県は、医師確保対策室を設置し、新規の医師の確保を進めてきましたが、医療現場の足元が崩れ、医師確保のあり方が違っていたのではないでしょうか。医療局では、後を絶たない医師の退職に対して、今までどのような対策を講じてきたのでしょうか。また、これからどのようにしていくおつもりなのか、御見解を伺います。
 次に、入札制度の見直しについてお伺いいたします。
 公共事業などの建設投資額はピーク時の半分以下に激減し、県内建設業の衰退は目を覆うばかりであり、また、条件つき一般競争入札の導入とも相まって価格競争が激化し、低入札の案件も増加しております。それにあわせて工事の落札率も低下の一途をたどり、ついに今年度7月末現在の平均落札率は80%を切るところまで落ち込みました。特に、私の二戸地区においては、平均の落札率が71パーセントと著しく低下するなど、採算性度外視のまさにたたき合いといった危機的状況があらわれています。これといった産業の少ない県北部あるいは沿岸部にとっても、建設業は大切な産業でありました。地域の建設業が雇用を守り、地域経済を支え、地域のお祭りや伝統行事の担い手であり、さらには地域の除雪、清掃活動などにも、頼まれなくてもやっていたのが建設業であったと私は記憶しております。今、低入札の多発、落札率の低下は、技術力の低下や工事の品質への懸念のほか、従業員の解雇、賃金の低下に影響し、優秀な技術者の離職や県外流出、若者の建設業離れを引き起こし、地域の過疎化、地域コミュニティの衰退を加速させていると考えます。
 岩手県建設業協会から提出された入札制度の改善に関する請願は、さきの6月県議会において全会一致で採択されたところであり、9月議会で同僚議員から入札制度の見直し状況について質問されたところであります。この間、本県における建設業者の倒産はこの5年間で最多ペースで推移しており、事は急を要する問題と考えます。
 そこで伺いますが、本県における低入札調査基準価格、変動型失格基準価格などの低入札対策の見直しはどのようになっているのか、あるいは国の指導、あるいは国との話し合いの中で、もし何か指導があったとしたならば、その状況もお示しいただきたい。
 次に、いわて子どもの森の運営についてお伺いします。
 いわて子どもの森は、五十数億円を投じて建設し、平成15年4月にオープンいたしました県内唯一の大型児童館であり、建設するまでは、その投資金額の大きさはもとより、設置目的や設置場所などについていろいろな意見がありましたが、初年度の入館者が見込みの3倍近い30万人近かったことや、子どもの森ならではの体験事業などが評価され、順調に運営されてきているように思います。
 そこで、改めて県立児童館の役割を考えてみると、子どもの森の利用満足度の向上を図ることはもちろんのこと、県内の児童館を支援する先導的役割や、それらのネットワークの中核として、子供の健やかな成長を願って活動する人々や機関をつなぐ役割もあると考えますが、子供と親、それに関係者のネットワークがどのように構築され、機能しているのか伺います。また、子どもの森で地域ふれあい事業を行っているわけですが、その中でどのような課題が多く出されているのでしょうか。また、その課題に対してどう対処しているのか、あわせて伺います。
 次に、子どもの森の運営の将来見通しを伺います。
 今回の議案に提出されている子どもの森の指定管理者の指定に関して、3年で5億2、200万円必要とされる運営経費や、これから傷んでくるであろう施設の修繕のための経費、また、遊具も新しいものに更新していかなければ、リピーターをつなぎとめるどころか、子供たちに飽きられてしまうのではないでしょうか。また、障がい者用に設置したリフトもなかなか稼働しません。いつになったら稼働するのでしょうか。早急に稼働されるべきではないでしょうか。せっかく今まで順調に運営してきたものの、本県の財政状況を見るにつけ、子どもの森に十分な財政措置などなかなか期待できないと将来を危惧しているのは私だけではないと考えます。県は、子どもの森の運営の将来見通しをどのように考えているのでしょうか。
 入場料は今まで無料にしてきましたが、利用者に応分の入場料をお願いし、将来の遊具の購入などに積み立てるなどの工夫をするときに来ているのではないでしょうか。また、負担の方法としては、岩手県民の税金で運営している以上、県外からの利用者には入場料をいただく方法や、あるいはいろいろな方法があると思われます。その利用者の子供たちのためにも、ぜひこれを継続して、いい形で存続・継続させるようにお願いを申し上げたいと、そのように思います。これから先も、一戸町に設置されたいわて子どもの森が、子供たちに愛されながら順調に運営されていくことを願うものであります。
 次に、地方振興局の再編についてお伺いします。
 県では、県と市町村の適切な役割分担による質の高い行政サービスの提供や、地域経済の強化による県民生活の維持・向上に向け、いわて希望創造プランを策定し、新地域主義戦略として、明確な顔を持った4広域振興圏の確立を目指し、広域振興局を設置するとしました。9月議会で、広域振興局体制の姿や本局設置基準などの質問が出されましたが、なかなかはっきりせず、今度の12月議会までには明確な顔が見えるかと期待しておりましたが、いまだに霧の中という感じがしております。
 私は、1年前の本会議で、振興局にランクづけは、少なくとも県北・沿岸にあっては、絶対にあってはならない、そういうことを考えておりまして、地域の協力体制にも支障が出ると主張してまいりましたし、その気持ちは今もいささかも変わっておりません。それから1年たちましたが、県はどのように考え、いつ発表し、そして住民の方々あるいは自治体にどう説明するおつもりなのか、お伺いいたしたいと思います。
 仄聞するところによると、県南局では各総合支局の支出審査事務を集中したために、書類の運搬のためだけに広い管内に車を走らせていると聞きますし、支出証拠書類も県南局に集中しているため、会計検査のときなどは、逆に借りにいく必要が生じるとのことでもあります。この先、入札業務も集中しようとしていると聞きますが、災害工事の発注などは現場に近いところのほうが迅速な対応が可能と思われます。また、工事などの入札や契約も本局だけとなると、幾ら電子入札とはいえ、業者に不便を強いることとなり、そうでなくても建設業者は、少ない工事量の中で、地域貢献も行いながら、やっと生き延びている状況です。将来、センターを廃止していくならともかく、9月議会では、今度の体制は将来とも維持するとの答弁がありました。遠野合同庁舎では、センターになって職員が50人も減ったと聞きます。県北・沿岸振興を立ち上げて3年、ようやく目標に向かって本格的に活動しようというやさき、本局だ、センターだと、自治体、住民の意に反する振興局再編は極めて危険な要素を含んでいると思います。県土の均衡ある発展など望むべくもないと危惧しますが、どのようにお考えでしょうか。
 最後に、改めてお伺いいたします。
 知事は、当選以来、県内をくまなく回られ、鋭意業務を遂行し、いよいよ後半戦に突入しようとしております。ここで、知事が岩手県のため、135万県民のため、ぜひやり遂げなければならないと思っていることがあると思いますので、その決意のほどをお伺いし、一般質問を終わらせていただきたいと思います。
 答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小野寺研一議員の質問にお答え申し上げます。
 まず、新しい長期計画にかける私の思いについてでありますが、グローバル化の進展など社会経済情勢が目まぐるしく変化する中、日本や岩手の先行きが極めて不透明であると感じられております。こうした先を見通しにくい時代であるからこそ、私は、長期的な視点に立った岩手のあるべき姿を示し、その実現に向けた取り組みを、県民、企業、NPOなど、地域社会の構成主体が一体となって展開していくことが必要であると考え、おおむね10年を計画期間とする新しい長期計画を策定することとしたところであります。
 私は、この計画は、岩手にゆかりのある人を含めた県民一人一人が、10年後どうありたいかを考えて、それぞれの希望に向かって行動していく羅針盤としての性格を有する、いわば岩手県民計画にしていきたいと考えておりまして、総合計画審議会を初め、次代を担う若者や、また、仕事や暮らしの現場の声など、広く県民の御意見を伺いながら、県民の総力を結集して策定していきたいと考えております。
 次に、いわて希望創造プランと新しい長期計画のアクションプランの関係についてですが、私は、知事就任後、新しい総合計画を策定して、基本理念や将来像と、その実現に向けた取り組みを同時に示すことも考えたところでありますが、県民所得の低下や地域医療の確保を初めとした緊急的な課題への待ったなしの対応が強く求められていること、また、総合計画を策定するためにはある程度の期間を必要とすることから、まず、喫緊の課題に対する道筋を早急にお示しすることとして、いわて希望創造プランを総合計画の後期実施計画として策定したものであります。
 こうした経緯のもと、今般、おおむね10年後を見据えた新しい長期計画を策定することとしたところでありますが、4年間に重点的に取り組むこととして、いわて希望創造プランに盛り込んだ取り組みそのものは、今後も引き続き推進していく必要があると考えております。したがいまして、新しい長期計画の実施計画に当たるアクションプランは、白紙から新しくつくり上げるのではなくて、長期ビジョンに基づいた必要な見直しを行ったものとして策定していくと考えております。
 次に、県北・沿岸振興の今後の方針についてでありますが、県北・沿岸圏域は、他圏域に比べて雇用吸収力のある企業の集積度合いが少なく、求人が少ない状況にあり、また、すぐれた農林水産物や観光資源を有してはいるものの、これらの地域資源を生かした取り組みが、必ずしも十分ではなかったものと考えております。
 私は、このように、産業基盤が脆弱で人口減少と高齢化が進行している県北・沿岸圏域においてこそ、危機を希望に変える取り組みが求められていると強く考えておりまして、いわて希望創造プランにおいては、県北・沿岸地域の振興を主要課題の一つと位置づけて、各般の産業振興施策を展開してきたところです。その結果、新たな企業立地や既存の企業の増設、そして食産業では、大手量販店との取引の拡大、また、観光産業では、体験型観光や教育旅行の受け入れの大幅な増加など、地域資源を生かした取り組みが進んできており、一定の成果が上がりつつあるものと考えています。
 今般策定しようとしている新しい長期計画においても、県北・沿岸圏域の振興については、引き続き力を入れて取り組んでいかなければならない重要課題ではないかと考えております。
 これまでの成果を踏まえまして、今後、八戸圏域との一層の交流・連携による広域観光の展開や、北いわてエコランドの構築、三陸沿岸の海洋資源を生かした海洋関連産業の集積に取り組むなど、新たな振興施策にも取り組んでまいります。
 また、その推進に当たっては、それぞれの産業構造などの地域特性に応じた効果的な産業振興体制を構築していくべきと考えており、広域振興局体制の整備もこのような観点から行って、県北・沿岸振興の取り組みをさらに強化してまいりたいと思います。
 次に、県立病院の新しい経営計画案の県民への周知についてでありますが、県立病院の勤務医の過酷な勤務については、私も医師たちから直接話を聞いておりまして、その過酷な勤務状況などから4年間で140人が退職、常勤の医師が平成15年に比べて75人減少など、医師不足は危機的状況に陥っております。さらに、患者数の減少、診療報酬のマイナス改定など、県立病院を取り巻く環境が一段と厳しさを増していることから、これまでと同様の機能や規模を維持していくことが困難となってきており、県立病院間の役割分担と連携をより一層進めるとともに、良質な医療を提供できる環境の整備や安定した経営基盤の確立に向けて、新しい経営計画の案を取りまとめたものと承知しています。
 現在、パブリックコメントを実施し、広く意見を募集しておりますが、無床診療所に移行する地域については、地域で説明する機会を設けたいと考えております。また、県立病院の現状や計画案の内容を取りまとめたリーフレットを作成し、県民の皆様に対して周知を図ってまいりたいと思います。
 これらの取り組みを通じて、医師不足による過酷な勤務環境や、また、厳しい経営環境などについて、県民の皆様の御理解をしっかりいただいていきたいと考えております。
 次に、入札制度の見直しについてでありますが、これまで現行制度のもとでの低入札対策の検証作業等を行ってきたところであり、現在の調査基準価格や失格制度は、一定の効果を発揮していることが確認された一方で、低入札が昨年を上回るペースで発生していることや、予定価格の3分の2を下回る極端な低価格での落札も見られることから、低入札対策を強化する方向での制度改正を検討しております。
 お尋ねの調査基準価格や失格基準価格については、算定式などを改正する方向で準備を進めておりまして、調査基準価格については、国のモデル改正に準拠する形での改正を、また、失格基準価格については、変動方式を維持しつつ、多数の者が低い価格で入札した場合に、失格基準が単純に連動して限りなく低下することを防ぐ計算式への改正をそれぞれ想定しており、できるだけ早期に実施できるようにしたいと考えております。
 次に、県北地域と沿岸地域の本局についてでありますが、本局の位置を選定する基準については、県南広域振興局の本局を選定した場合と同様に、より圏域の中心に位置する地方振興局へ設置することを基本とし、具体的には、各市町村の庁舎からの距離や、所要移動時間の平均を比較し、最も近いところを選定したいと考えております。さらには、これによりがたい場合も想定されますことから、県の他の行政機関や国の行政機関の配置状況なども勘案しながら、地域経済上の均衡にも配慮して決定する方向で検討中であります。
 なお、本局の位置の考え方や具体的な場所については、来年2月に予定している基本的考え方(案)に盛り込む予定としておりましたが、議員の御提言と同じように、パブリックコメントや地域説明会などでも早期に示すべきとの意見も多数いただいておりますので、中間報告という形で、内部体制や業務内容とあわせて、できるだけ早期に、この本局の位置の考え方や具体的な場所について公表したいと考えております。
 公表後におきましては、県民の皆様から広く御意見をちょうだいしながら検討を重ね、最終案を固めたいと考えております。
 次に、行政センターの体制と権限についてでありますが、行政センターにありましては、窓口対応や相談受付、災害・危機管理の拠点対応、加えて、福祉や農林等の各部門において、サービスの受け手に近いところで実施することが効果的な業務を担うこととしております。具体的には、消費生活や福祉の相談など、主に個人に対するサービス業務や農林水産業の普及指導、道路や河川の維持管理などの現場業務を担当することとしています。
 このような役割のもと、住民等の利便性とともに、業務の効率性の維持確保を図るため、それぞれの行政センターにおいて可能な限り業務が完結できるよう、必要な権限を付与する方向で検討しております。
 また、各行政センターにかかわる支出事務等を含む総務部門を担当する行政センターの設置の必要性については、事務処理の効率性の観点から検討をしております。
 次に、任期後半の決意ということでありますが、私は、草の根の地域の活力こそがふるさと岩手を支える基盤であり、こうした地域で暮らす人々の豊かな生活を実現していくことが、私に課せられた責務であると一貫して考えております。しかしながら、金融危機に伴う世界規模での経済の減速や、自律的な内需拡大に結びつかない国の経済財政政策の影響といった外的要因によりまして、岩手における所得や雇用の状況が悪化するなど、県民生活を取り巻く状況はますます厳しさを増しております。
 一方、知事就任後1年半余りを経過する中で、ものづくり産業の集積促進に向けた産学官連携の推進や、県民がみんなで支える地域医療の確保に向けた推進体制の構築を初めとしまして、県民所得の向上や、地域医療の確保などの重点課題の克服に向けた県民の総力を結集した取り組みは、着実に進んでいると考えております。
 今後におきましても、こうした取り組みをさらに推進するとともに、あるべき世界秩序に向けての平泉の理念の国内外への積極的な発信や、実効性ある国の政策形成を促すための全国知事会を通じた国への提言など、そうした取り組みも強化しながら、県民の皆さんが直面している危機に真正面から向き合い、これを希望に変えることに全力を傾注していく決意であります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、本県の農業産出額の目標と対応策についてでございますが、本県の農業産出額は、米価の下落や生産調整等による米の産出額の減少に伴い年々減少しており、いわて希望創造プランでは、この4年間で、まずはこの減少傾向に歯どめをかけ、その上で、平成22年度までに56億円の生産増加を目指す目標を設定したところでございます。
 このような中で、平成18年の農業産出額は、米産出額の減少を園芸、畜産の拡大でカバーしたことにより、7年ぶりに増加に転じたところであり、今後におきましても、こうしたトレンドを一層確実なものとしていくため、園芸、畜産を戦略部門として位置づけ、いわて希望創造プランに掲げる農業をリードする経営体の育成や、生産性・市場性の高い農産物の産地形成、さらには、消費者・実需者ニーズに対応した販路の拡大を重点的に推進し、本県の農業産出額の拡大に努めてまいります。
 次に、肥料などの価格高騰対策についてでございますが、本年10月、国は補正予算で、肥料費や燃料費の増加分の7割を補てんする緊急対策を講ずることとしたところでございまして、県といたしましては、県内24カ所での説明会の開催や全農家へのPR資料の配布などにより、多くの農業者がこの対策の対象となるよう、制度の周知を図っているところでございます。
 また、本県独自の対策といたしまして資材費節減マニュアルを策定し、低コスト生産技術の一層の普及に取り組むとともに、10分の1の時間とコストで土壌分析が可能なシステムの開発を進めるほか、発酵鶏ふんを活用した安価な配合肥料の開発と利用促進などに取り組んでいるところでございます。
 今後とも、市町村や農協等と連携を図りながら、こうした取り組みを積極的に推進し、農業者が安定的に経営を継続できるよう支援してまいります。
 次に、リンドウの種子の確保についてでございますが、御指摘の20年産の種子につきましては、近年の夏期高温の影響や病害虫の発生などにより採種親株が減少し、計画数量の確保が懸念されたところでございますが、県農産物改良種苗センターでの採種に加え、農業研究センターにおいても採種を行うほか、特にわせ品種につきましては、全農育苗センターでの集中育苗による健全な定植苗の供給などにより、必要量を確保できる見通しとなったところでございます。
 今後におきましては、関係機関等と連携を図りながら、種子生産工程のマニュアル化などによる採種体制の抜本的な見直しや、新たな種子の備蓄体制の構築などにより、リンドウ種子の計画的・安定的な供給に努めてまいります。
 次に、秋サケ漁についてでございますが、秋サケの漁獲量は平成8年の7万トンをピークに減少に転じ、平成11年に3万トンを下回って以降、近年は2万トン台で経過し、本年度の漁獲量も今のところ低調に推移しております。この原因は、回帰率の低下によるものでございまして、ふ化場の過密飼育や適期前の放流が多いことなどが要因の一つとされ、健康な稚魚の育成管理が課題となっております。このため、国や関係団体と連携し、飼育管理マニュアルの普及や技術研修の実施、さらには、施設の能力診断などにより飼育技術の向上に努めるとともに、国の交付金事業を活用したふ化場の機能強化に努めているところであります。
 今後におきましても、産学官の連携による稚魚の生残率を高める海水使用技術の開発や、関係団体と一体となったふ化放流事業の中核を担う高度な技術者の育成など、よりサケの回帰率向上に努め、漁獲量の増大を図ってまいります。
 次に、林業の担い手の育成についてでございますが、本県の林業は小規模零細な森林所有が多く、個別経営では生産性が低いこと、戦後植林した人工林が伐期を迎え、効率的な木材の生産、販売が課題となっておりますが、これに対応できる技術やノウハウが十分でないことなどから生産が低迷しており、こうした課題に対応できる経営体の育成が重要となっているところでございます。このため、県といたしましては、いわて希望創造プランに基づき、森林組合や民間事業体を中心に、所有者にかわって地域単位に生産性の高い森林経営を担う地域牽引型林業経営体を育成することとし、平成18年度から、森林の団地化に必要な施業提案技術などの習得や、森林経営プラン策定のためのセミナーの開催などにより、現在、31の経営体の育成に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、これら経営体の低コスト施業技術の向上や森林所有者への地域牽引型林業経営体の普及による森林施業の集約化等を図り、本県林業の振興を担う経営体を育成してまいります。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 市町村の健全化判断比率の状況及び財政健全化に向けた取り組みについてでありますが、まず、健全化判断比率の四つの指標につきましては、本県では早期健全化基準を上回った市町村はありませんでしたが、さきに国から公表された平成19年度決算に基づく健全化判断比率の確定値により、各都道府県の市区町村の平均値と比較してみますと、実質赤字比率及び連結実質赤字比率につきましては、いずれの比率についても全国の市区町村の平均値と同様、本県の平均値もゼロとなっております。
 実質公債費比率につきましては、全国の市区町村の平均値14.4%に対し本県の平均値は17.4%、将来負担比率につきましては、全国の市区町村の平均値119.1%に対し本県の平均値は144.8%と、いずれも全国平均を上回り、都道府県順では、実質公債費比率が高い方から8番目、将来負担比率が同様に9番目の数値となっており、決して良好とは言えない状況であります。
 各市町村におきましては、平成17年度から21年度までの集中改革プランに基づく行財政改革への取り組みや、プライマリーバランスを考慮した財政運営などを実施し、人件費や公債費などの義務的経費の縮減に努めているところでありますが、今後も、さらにこうした取り組みを進めて、財政の健全化を図っていく必要があると考えております。
 県としては、これら健全化判断比率などの財政指標を活用し、他県の市町村との比較、分析なども行いながら、市町村財政の見える化や健全化が一層推進されるよう、市町村行財政ドック等を通じ、必要な助言を行ってまいりたいと考えております。
 次に、公営企業等と連結して指標が悪化している団体の例についてでありますが、議員御指摘のとおり、全国的には健全化判断比率のうち、公営企業等と連結して算定される連結赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率につきましては、公営企業の経営状況の影響により比率が上昇し、早期健全化基準を上回る事例が見受けられるところであります。
 本県におきましては、早期健全化基準を上回る市町村はありませんが、下水道や病院などの公営企業に対する一般会計からの多額の繰り入れによりまして、厳しい財政運営を余儀なくされているところでございまして、例えば将来負担比率で見ますと、公営企業の地方債の元利償還金に対する繰り入れ見込みの県内市町村合計は3、164億円と、将来負担額全体、この額が1兆2、900億円余ございますけれども、その24.5%を占めるなど、将来負担比率を押し上げる要因の一つとなっております。
 県としては、市町村に対し、公営企業の廃止も含めた抜本的な改革を促すとともに、存続する場合であっても、料金収入の適正な確保や経費削減などの経営改善の強化策を推し進めるほか、一般会計から公営企業会計への繰出金のルールの明確化等により、一般会計の負担の適正化を図るなど、市町村行財政ドックや起債に係るヒアリング等の機会を通じて、助言を行っていくこととしております。
   〔保健福祉部長岩渕良昭君登壇〕
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) まず、地域医療の充実確保対策に向けた重点的な取り組みについてでありますが、本県の地域医療の危機的な状況は医師の絶対数不足が根底にあることから、これまで、奨学金制度の拡充による医師養成数の増や初期臨床研修医の受け入れ拡大などにより、医師の絶対数の確保に取り組んできましたが、地域の中核病院においても十分な勤務医が確保できないなど、本県の地域医療の現状は依然として厳しい状況にあると認識しております。こうした厳しい医療環境の中にあって、県民が必要な医療を適切に受けられる地域医療を確保するためには、医療機関の明確な機能分担のもと、再編・ネットワーク化により地域の中核病院に医師の集約を行うなど、勤務医が働き続けることができる勤務環境の整備に一層取り組むとともに、県民もまた医療の担い手であるという意識を持って、症状や医療機関の役割分担に応じた適切な受診を行うなど、県民総参加型の地域医療体制づくりに取り組んでまいります。
 次に、岩手県地域医療対策協議会の成果等についてでありますが、岩手県地域医療対策協議会は、地域医療の充実確保に向け、岩手医科大学、岩手県医師会、市町村、県立病院の代表者等を構成員として平成16年12月に設置し、平成17年3月の岩手県医師確保対策アクションプランの策定に大きな役割を担っていただきました。その後、県として、協議会の御協力をいただきながら、同プランに基づく初期臨床研修体制の整備による臨床研修医の受け入れ拡大や、女性医師の就業支援等に取り組んできたところであります。
 また、本協議会では、奨学金制度により養成した医師の地域への派遣・育成方針や、勤務医の勤務環境改善等に向けた施策等について協議いただいているところであり、これを踏まえ、今後、取り組みの具体化に努めてまいります。
 次に、いわて子どもの森の役割と課題についてでありますが、いわて子どもの森は、県立児童館として児童の健全育成活動を支援する中核的機能を担っており、県内126カ所の児童館や244カ所の放課後児童クラブの児童厚生員、指導員等を対象とした研修会の実施やホームページによる情報交換などにより、ネットワークを構築しております。また、いわて子どもの森と県内各児童館の連携組織として岩手県社会福祉協議会に児童館部会が設置され、同様に児童館相互の情報交換などを行っているところであります。
 今後におきましても、各地の児童館が母親クラブや子育てボランティアなど地域の方々と連携し、多様な活動が図られるよう支援してまいります。
 地域ふれあい事業につきましては、平成16年度から、子どもの森の職員が毎年度、県内20カ所程度の児童館や保育所等を巡回して子供たちに遊びの普及や指導を行うとともに、児童厚生員、指導員、民生児童委員、保育士、教師などとの意見交換を行っております。その中で、子育てへの支援方法や発達障害児とのかかわり方、放課後における学校との連携のあり方などに関し多くの課題が出されたことから、その対応策を児童館テキストとして取りまとめ、活用していただいているところであります。
 次に、障がい者用に設置した屋外昇降リフトについてでありますが、安全性が確保できないことから撤去することを検討しております。代替の措置として、車いすを利用される方、ベビーカーを使用の親子は、施設のマイクロバス等で移動していただいているところであります。
 次に、いわて子どもの森の運営の見通しについてでありますが、リピーターの確保が重要であるとの考えから、ことし、お仕事トレインを新たに設備するなど、遊びのメニューのリニューアルに努めており、今後におきましても同様の工夫を加えるなど、さらなる利用促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、入場料を徴収することにつきましては、いわて子どもの森が児童福祉法に基づく本県唯一の県立大型児童館であり、全国に21カ所ある同様の施設の多くが入場料を徴収していないことから、当面、有料化は考えていないところであります。
 なお、県内、県外の利用者比率は、平成19年のサンプル調査で、県内が約55%、県外が約45%となっております。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 医師の退職についてでありますが、平成16年度から平成19年度までの定年を除く退職者は140人となっており、その内訳は、開業した医師が52人、37.1%、民間病院への転職は39人、27.9%、専門医等資格取得のために大学院などへ移った医師が49人、35%となっております。このように、医師が退職していく背景には、子弟の教育や育児に専念するといった個人的な事情によるものもありますが、宿直に引き続く翌日の勤務、いわゆる36時間勤務や月平均約54時間にも及ぶ超過勤務、事務的な業務の増加など勤務環境の悪化が退職の一因と考えております。
 これまでも、臨床検査業務での技師との役割分担の見直しや医療クラークの導入による業務負担の軽減、女性医師の育児短時間勤務制度の導入や手当などの処遇改善などに努めてきたところでありますが、今後におきましても、専門医や認定医などの資格取得に必要な体制づくりを進めるほか、医療クラークの増員、24時間保育・病後児保育の拡大、学会出張への支援など、魅力ある勤務環境の整備に、より一層努めていく考えであります。
〇44番(小野寺研一君) 御答弁まことにありがとうございました。
 何点か再質問をさせていただきます。
 広域に関して、振興局のあり方、そのことについてお伺いしたいわけでございますけれども、これの実行は一体いつになって、どの時点で県の方針が定まるのか、まずお聞きしたいと思います。
 それと、今、県北地域においては久慈振興局、二戸振興局と二つあるわけでございますが、その管内に特殊な事情があるんです。恐らく市町村合併もそのことに非常に大きくかかわっているのだろうと思いますが、二戸管内を、二戸市、一戸町、九戸村、そして軽米町の四つを一つの区切り、カシオペア連邦と称しております。ここの九戸村と軽米町が九戸郡になって久慈管内―久慈管内ということじゃない。選挙区は九戸郡、久慈管内のほうになっている。そういうふうなことがあいまいになって、恐らくその地域だけだろうと思います。今、二戸管内に二戸郡一戸町、このただ一つだけです。そういうふうなことをやはりきちっと県としては指導なり、ある程度考えを促すなり、そんなことをきちっとしてその先へ行かないと、そこを飛び越していろいろなことをしなさいといっても、なかなか無理があるのだろうと思いますので、部長、どのようにお考えになっているのか、まずお聞きしたいと、そのように思います。
 それから、1次産業のことでございますが、私は、これの充実がないと岩手県の振興はなかなか難しいものだろうと。特にも最近、世界不況といいますか、自動車産業がこければ、当然、鉄鋼、その他多くのものが非常に急激に我々を直撃してくるという状況下にあります。そういうときに、やはりこれからいろんなことを考えていかなければ、そういうことも想定しながら県内を見渡していかなければならない、こういう状況にあると思いますが、その点はいかがなものでございましょうか。
 それと、知事に最後、この後、残りの2年間、何をぜひやり遂げたいかというようなことのお話もお聞きいたしました。その中に世界遺産の問題が出てまいって、これには全力で取り組まなければならないだろうというお話をお聞きしましたが、私は、3年後のこの世界遺産登録に導くためには、なお一層の、岩手県として、あるいは知事としてまだやらなければならないことがあるんじゃないでしょうかということです。というのは、岩手の世界遺産ですということのPRは、当然、県内の皆さんにはしていかなければなりませんが、やはり東北の平泉であるということとなれば、やっぱり東北6県、あるいは北海道も含めて、その各県の知事に対してそれなりの要請をする、お願いをする。そして、借りをつくっておくということも必要だろうと思います。もし、そういうことの事態が他の県に起きたときには、そのことにお返しをするのは、そんなに難しい話じゃないわけでございます。ただ、3年後に世界遺産登録をもし逃したら、平泉とすればそんなに観光客の数は変わりませんとは言いますけれども、世界遺産登録になったときの平泉と、あるいは岩手県の観光、その他いろんなことがもう少し明るく希望に満ちたものが出てくる、私はそう考えますので、ぜひこのことは他の知事さん方に、あるいは国に対しても、その間を切らずに、3年間ひとつ全力を傾けていただくようにお願いを申し上げたい、そういうところでございますが、ひとつよろしく御答弁をお願いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 平泉について再質問をいただきました。平泉については、今も仙台・宮城デスティネーションキャンペーンのその範囲の中にも入れてもらっておりまして、隣県宮城県でも平泉の世界遺産登録に大きな関心を持っていただき、知事さん、また、仙台市長さんにも登録に向けて御協力いただいているところであります。また、北海道東北知事会においても平泉の世界遺産登録を応援するという決議をいただいていたところでありますが、ことしの登録延期を報告いたしましたけれども、引き続き、北海道・東北、みんなで応援していこうという言葉をいただいているところでありまして、ぜひ、周りの県と、北海道とも協力をしながら進めていきたいと思います。
 国においても、文化庁、外務省、3年後の登録を確かなものにするようしっかり取り組んでいくということで、既に新しい体制のもとでの議論も始まっておりますので、県として、しっかりそこに参加して、3年後を目指して頑張ってまいりたいと思います。
〇地域振興部長(藤尾善一君) まず、広域局体制に向けての実施スケジュールについてでございますけれども、現在、平成22年4月の移行を目指していろいろと検討を重ねておるところでございますが、来年の3月ごろまでには基本的考え方、案の公表をしたい。それから、実施案については来年の6月ということでございますけれども、先ほど、知事のほうから答弁申し上げましたように、基本的考え方の公表の前に、できるだけ早い時期に中間報告という形でお示しをし、市町村、県民の方々からいろいろ意見をいただいて、さらにそれを検討案に反映させていくというやり方をしていきたいと思います。いずれ、そういった大まかなスケジュールの中で、できるだけいろいろと、やっぱり市町村と連携をしていかなければならないというような、そういう地域経営に基づくところの体制でございますので、頻繁に意見交換をするという場を持ってまいりたいと、そのように考えております。
 それから、選挙区とかさまざまな既存圏域との絡みについての御質問が2点目にございました。そういった既存圏域の業務につきましては、その設定に当たっての目的あるいは性格等が当然あるわけでございますから、そういったようなものが円滑に運営できるように、そういう配慮をしていかなければならないと考えております。したがって、具体的に、個々いろいろ、市町村、県民の方々からのいろいろな問題提起等も踏まえて検討してまいりたいと、そのように考えております。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 1次産業の振興の関係のお尋ねでございます。本県の1次産業は、その県内総生産に占める割合というのはそれほど大きなものはございませんけれども、ただ、非常にすそ野の広い産業でございまして、雇用そして地域経済といったような面におきましては非常に重要な産業でございまして、まさに今後の本県の活性化を進める上で、この1次産業の振興が重要な課題であると認識しているところでございます。ただ、委員も御指摘のとおり、例えば農業について申し上げますと、過去の生産額の推移を見てみますと、平成12年から平成17年までの5年間に限りましても約300億円ほどの減少といったような状況になってございまして、これを何とか、先ほどお答え申し上げましたとおり、この減少傾向に歯どめをかけて、その生産を振興していくということが重要な課題となっておるわけでございます。
 一方、昨今の経済情勢は非常に国内外とも厳しさを増しておりまして、こういった農林水産物の市場、国内市場も非常に厳しい状況になってきております。加えて、生産面でも肥料価格の高騰など非常に経営環境も厳しさを増してきているところでございます。
 しかしながら、一方で、議員も御指摘のとおり、食の安全・安心に対するニーズが高まってきているといったようなことで、本県の農林水産物に対する追い風も吹いております。私どもといたしましては、この追い風を絶好の機会ととらえまして、担い手の育成、そして産地づくり、販路拡大、この三つの施策の柱にしっかりと取り組んで、本県農林水産業の振興に努めてまいります。
〇44番(小野寺研一君) ありがとうございました。
 地域振興部長に、今の状況は、九戸、軽米の、二戸とのかかわりというのは、行政もそうですし、それから教育もそう、警察もそう、全部が二戸振興局なんです。そういうふうな状況にあるのに、選挙だけがそちらと、安代町と全く同じような状況です。盛岡と岩手町にあって、それが日常の行政あるいは町民の生活にやっぱり大変な不便を来す。こういうことで3年前に北舘町長が岩手郡に編入したという安代町の事実はあるんですよね。そういうときに、まだそのときには、二戸振興局管内に保健のかかわりが一つだけ残っておりました。しかし、実際そのとおりだと、私もそう思って、それには賛成をして、それが実現したという経緯があるんです。今、九戸、軽米―工藤議員にはいろいろ、なかなか言いづらいものもあるけれども、実態はそうなんですよ。ですから、県民から聞くとか何とかじゃなくて、やっぱりそういうふうな、ただ一つだけ選挙区にあって、選挙をしなきゃならない。そのために工藤大輔議員は、私らの二戸にも来なければならないんです。いろんな形で招待をされて、行政にまでいろいろとお願いをされるという状況にあるんですよ。やっぱり不都合、不自然です。そういうところにも気配りをいただいて、ぜひひとつ善処をしていただきたい。
 それと、高前田農林水産部長、いろいろと岩手の1次産業の振興がなければということでございますが、やっぱり県あるいは市町村、JA、こういうところの連携、当然、水産では漁協でございますけれども、そういうところの連携が極めて密でないと、それぞれがやっぱり言い合いをして自分の権益を守ろうとするとか、いろんなことを考えられると、県全体の県益にはつながっていかないという状況にある。私は、これをよく精査されて、そして、岩手県の、あるいは岩手県民のためになる、あるいは沿岸の方々のためになるという形での水産行政、これをぜひひとつお願いしたい、そのように思っておりますので、もし所感がございましたら両部長にお尋ねをし、なければ、これで質問を終わりたいと思います。
〇地域振興部長(藤尾善一君) 広域局体制における再編につきましては、いずれ、県北・沿岸振興の場合には、特に今のような状況の中で、若者の人口流出だとか、あるいは県民所得の回復だとか、そういった喫緊の課題に対して、一つの戦略的な取り組みであるという考え方で、皆様方の御理解をちょうだいいたしながら進めていくものでございまして、したがって、もちろん、先ほど申し上げたように、選挙区も含めたさまざまな圏域というものは、それなりの目的があって設定されておるものでございますから、そういった目的を損なわないような形で、どういった運営ができるのかといったようなこともいろいろ工夫しながら進めていきたいと考えております。したがって、ここまでは申し上げていいのかどうかあれでございますが、いずれ、本局がどこにあれ、行政センターとか、そういったようなものも当然設置いたすわけでございますから、一番最初に申し上げた、いわゆる喫緊の課題に即効あるそういう戦略的な体制を、今、一つとることが大事であるといったようなことでございますので、何とぞ御理解と応援をお願いしたい、そのように思っております。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 1次産業の振興の関係でございまして、先ほども答弁させていただきましたとおり、本県の1次産業、食品産業まで含めたいわゆる食にかかわる産業ということで申し上げますと、全産業の大体2割の生産額となっておりますし、就業人口では3割といったような、非常にすそ野の広い産業部門でございます。したがいまして、この産業の振興というのは非常に重要な課題であると認識いたしております。この振興に向けましては、私ども県、市町村といったような行政部門のみならず、農協、漁協、森林組合といった関係団体のお力もしっかりとかりて、連携しながら取り組んでいかなければ、この農林水産業の振興というのはなし得ないと思っておりまして、こうした団体とのコミュニケーション、連携ということを、今までも留意して取り組んできたところでございますが、これまで以上にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時22分 休憩
出席議員(46名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 比奈子 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
43  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時38分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木一榮君。
   〔41番佐々木一榮君登壇〕(拍手)

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