平成20年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成20年10月21日(火)
1開会  午前10時3分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課長   浅 田 和 夫
  議事担当課長   保 原 良 和
  主任主査    菊 池 達 也
  主任主査    石木田 浩 美
  主査    鈴 木 文 彦
  主査    菊 池 芳 彦
  主査    齋 藤 貴 弘
  主査    藤 原 由喜江
1説明員
  農林水産部長   高前田 寿 幸
  理事    千 葉 英 寛
  農林水産部副部長
  兼農林水産
  企画室長    小田島 智 弥
  農政担当技監   佐々木 和 博
  農村整備担当技監
  兼農村計画課
  総括課長    須 藤 勝 夫
  林務担当技監   西 村 和 明
  水産担当技監兼
  水産振興課
  総括課長    大 森 正 明
  競馬改革推進室長 松 岡   博
  参事    宮   一 夫
  農林水産企画室
  企画担当課長   高 橋   渉
  団体指導課
  総括課長    門 口 正 雄
  指導検査担当課長 大 澤 宣 典
  流通課総括課長  浅 沼 康 揮
  農業振興課
  総括課長    徳 山 順 一
  担い手対策
  担当課長    井 上 敬 二
  農業普及技術課
  総括課長    高 橋 伸 夫
  農村建設課
  総括課長    沼 崎 光 宏
  農産園芸課
  総括課長    川 嶋 明 澄
  水田農業担当課長 工 藤 昌 男
  畜産課総括課長  佐々木   宏
  振興・衛生
  担当課長    高 橋 喜和夫
  林業振興課
  総括課長    堀 江   淳
  林業振興課
  特命参事    平 野   潤
  森林整備課
  総括課長    竹 田 光 一
  整備担当課長   中 村 勝 義
  森林保全課
  総括課長    藤 原   繁
  漁業調整担当課長 五日市 周 三
  漁港漁村課
  総括課長    佐々木   敦
  競馬改革推進監  浅 沼   浩
  競馬改革推進室
  特命参事    大 友 宏 司

  会計管理者    古 内 保 之

  監査委員    菊 池 武 利
  監査委員    谷 地 信 子
  監査委員事務局長 小 川 明 彦
  総括監査監    奈須川 博 司

  参事兼予算調製課
  総括課長    高 橋   信
〇大宮惇幸委員長 これより本日の会議を開きます。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木順一委員 準備の時間が必要であると思いますので、あらかじめ委員長にお願い申し上げたいと思います。
 明日は県土整備部の審査があります。ついては、岩手県の収用委員会の事務局長の出席を求めるものであります。
 内容につきましては、先日、監査委員の質疑の際に行いました公文書の違法な監査・指摘について、これについて質疑を局長に行いたいと思いますので、よろしく取り計らいのほどお願い申し上げます。
 以上であります。
〇大宮惇幸委員長 ただいまの件につきましては、後刻、世話人会を開き、協議したいと思いますので、御了承願います。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成19年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第14号平成19年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算14件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することとなっておりますので、御了承願います。
 最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇高前田農林水産部長 平成19年度の決算関係について御説明を申し上げます前に、昨日の決算特別委員会において御説明させていただきましたとおり、このたびの会計検査院による会計実地検査において、国庫補助金に係る事務費について不適切な事務処理があるとの御指摘をいただいたところでございます。
 今回の不適切な経理処理は県民の信頼を裏切る行為であり、改めて県民の皆様並びに議員各位に対しまして心よりおわび申し上げます。
 農林水産部といたしましては、さらに今回の事案の発生原因を徹底究明するとともに、不適切な経理処理の再発防止策を講じてまいります。
 それでは、農林水産部関係の平成19年度の決算について御説明させていただきますが、その前に、農林水産部所管の事務事業に係る主な成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げます。
 なお、主な成果等につきましては、今議会で配付させていただいております平成19年度主要施策の成果に関する説明書、岩手県総合計画実施状況報告書に記載されてありますことを申し添えます。
 それでは、御説明申し上げます。
 平成19年度の農林水産部の取り組みにつきましては、国内外の産地間競争の一層の激化や従事者の減少、高齢化、さらには燃油、肥料、生産資材等の価格高騰など、農林水産業を取り巻く環境が一層厳しさを増す中で、本県の農林水産業を地域経済社会の基盤となる産業として確立していくため、担い手の育成や産地づくり等を中心とした各種施策を推進してきたところでございます。
 具体的な成果等につきまして、いわて希望創造プランの政策項目ごとに申し上げますと、まず一つ目の柱でございます農林水産業をリードする経営体の育成についてでございますが、農業につきましては、地域農業の核となる担い手の育成に向け、水田経営所得安定対策の導入を契機とした集落内での話し合いや担い手への農地利用集積、さらには経営の多角化に向けた支援等により、認定農業者や集落営農組織の育成等に取り組んだところであり、また、林業につきましては、地域の森林経営の担い手の育成に向け、施業の集約化による低コスト化などをテーマとするセミナーの開催や地域森林経営プランの認定と実行への支援等により、地域牽引型経営体の育成等に取り組んできたところでございます。さらに水産業につきましては、地域の養殖漁業の担い手の育成に向け、養殖業の盛んな漁協における担い手への漁場の集積や零細経営体の協業化等を進めるための地域営漁計画の策定とその計画に基づく取り組みの支援等を行い、中核的な養殖漁業経営体の育成等に取り組んだところであります。
 この結果、認定農業者数や集落営農組織数、林業の地域牽引型経営体数は順調に増加するとともに、水産業におきましても、平成19年度までに養殖漁業が盛んな21漁協すべてで地域営漁計画が策定されるなど、着実に成果が上がってきております。
 今後は、認定農業者の経営の高度化に向けた支援、集落営農組織の経営安定に向けた経営の規模拡大や多角化、さらには法人化に向けた支援、林業の地域牽引型経営体の低コスト施業や森林所有者への施業提案など、林業経営技術の向上のための支援、さらには、漁業者のグループ生産体制の構築等による地域営漁計画の実行支援などにより、経営体の一層の育成強化に努めてまいります。
 次に、二つ目の柱でございますが、生産性・市場性の高い農林水産物の産地形成についてでございますが、農業におきましては、岩手らしい安全・安心なサプライチェーンを確立するため、環境保全型農業の実践者の拡大や東北初の県版GAP、いわゆる農業生産工程管理の導入、トレーサビリティーの拡大等に取り組むとともに、競争力のある農畜産物産地の形成を図るため、減農薬・減化学肥料栽培の拡大や収益性の向上を図る栽培技術などの普及開発、冬春野菜等の生産拡大、さらには、ベテラン農家による技術支援体制の整備等に取り組んだところであります。
 また、林業におきましては、需要に対応した林産物産地の形成を図るため、関係団体等で組織する協議会等を通じた大口木材需要者への安定供給体制の確立に取り組むとともに、水産業におきましては、市場性の高い水産物産地の形成を図るため、サケの回帰率向上に向けた生産技術の指導、ナマコの種苗生産技術の開発などに取り組んだところであります。
 この結果、平成19年度は、環境保全型農業の実践者数、園芸販売額500万円以上の経営体数が順調に増加しているほか、県産材の大口需要者への販売額やサケの生産額等も増加しております。
 今後は、平成19年度に策定いたしました岩手県環境と共生する産地づくり基本計画に基づく環境保全型農業を進めるための県民運動の展開、大口需要者への県産材の素材供給体制の強化等による木材生産の拡大、ふ化場への生産技術指導の強化等によるサケの回帰率向上などに取り組み、生産性、市場性の高い産地づくりに努めてまいります。
 次に、三つ目の柱でございます消費者・実需者ニーズに対応した販路の拡大につきましては、本県農林水産物の販路拡大や付加価値の向上を図るため、首都圏のバイヤー等で構成する食のプロフェッショナルチームなど民間ノウハウの積極的な活用による商品開発や量販店とのマッチング支援などに取り組んだところであります。
 また、本県農林水産物のブランド化を促進するため、安全・安心な本県農林水産物の積極的なPRや知事によるトップセールスの展開、さらには、販売促進活動の強化等により、岩手ブランドの確立に取り組んだところであります。
 この結果、野菜、果実などの園芸作物の契約取引数が前年度よりも増加するなどの成果があらわれており、今後におきましても、商談会やフェアの開催による販売機会の拡大や食のプロフェッショナルチームの活動等を通じたきめ細やかな支援を展開していくとともに、契約取引に取り組もうとする産地等の加工と流通業者とのマッチング支援を強化し、収入の安定化に努めてまいります。
 以上、当部所管の平成19年度における事務事業に係る主な成果とこれを踏まえた今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げましたが、本県農林水産業をめぐる情勢が厳しさを増している中で、今後におきましても、いわて希望創造プランに基づく施策を着実に推進し、日本の食を守る食料供給基地岩手を確立してまいりたいと考えております。
 続きまして、農林水産部関係の平成19年度の決算につきまして御説明申し上げます。
 まず、一般会計についてでございますが、平成19年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。予算現額は、6款農林水産業費715億1、774万円余のうち、県土整備部の所管分を除いた619億767万円余及び16ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費25億425万円余のうち、県土整備部の所管分を除いた21億3、658万円を合わせて640億4、425万円余でございます。
 これに対する決算額は、6款農林水産業費566億5、068万円余及び11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費17億112万円余を合わせて583億5、181万円余となり、前年度と比較して、金額で357億9、821万円余、率にして38%の減となってございます。また、執行率は91.1%でございます。
 なお、繰越額の状況につきましては、お手元の歳入歳出決算説明書の58ページから65ページに記載しておりますが、このうち農林水産部関係は、27事業で53億6、796万円余となってございます。前年度に比較いたしまして、金額で4億5、310万円余、9.2%の増となっております。これは、治山事業について、事業計画箇所が平成19年9月の低気圧により被災したこと、及び国の補正予算への対応により工法の検討や計画調整に不測の日数を要したことなどにより繰り越したものでございます。
 次に、一般会計決算の内容につきまして、平成19年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げますことを御了承願います。
 歳入歳出決算事項別明細書の224ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費などの管理運営や国土調査に要した経費であります。農業金融対策費の主なものは、農業近代化資金等の貸し付けを行う融資機関に対し利子補給等を行ったほか、227ページに参りまして、備考欄六つ目の集落営農組織育成緊急支援資金貸付金は、平成19年度以降の水田経営所得安定対策の導入に向けて、特定農業団体及びこれと同等の要件を満たす組織の育成を図るため、短期運転資金の貸し付けを行う融資機関に対し、その原資の一部を預託したものでございます。226ページにお戻り願います。農業構造改善対策費の主なものでございますが、備考欄四つ目の強い農業づくり交付金は、地域の実情に即した経営体の育成を図るため、生産・流通・加工施設の農業近代化施設の整備に対し交付金を交付したものでございます。農業改良普及費の主なものは、農業改良普及センターの管理運営に要した経費のほか、備考欄最下段の経営力強化支援事業費は、農業者の経営力を強化するため、新技術の普及定着等の普及指導活動に要した経費でございます。次に、229ページに参りまして、備考欄の農山漁村いきいきチャレンジ支援事業費は、農山漁村の活性化を図るため、女性や高齢者の地域食文化の発信、伝承活動や農林水産物の加工・販売等の起業活動等への支援に要した経費であります。228ページにお戻り願います。農業振興費の主なものでありますが、備考欄下から六つ目の中山間地域等直接支払事業費は、農業生産活動等を通じて中山間地域等における耕作放棄地の発生を防止し、国土の保全等の多面的な機能を確保するため、担い手育成や継続的な農業生産活動等を行う農業者等に対し、平地地域との農業生産条件等の格差の範囲で直接支払交付金を交付したものでございます。次の新いわて農業担い手支援総合対策事業費は、認定農業者など地域農業の担い手育成や地域ぐるみ農業の推進によって収益性が高い農業を構築するため、生産から流通に至る各種の条件整備に要した経費に対し補助したものでございます。231ページに参りまして、備考欄三つ目の県北・沿岸「元気な農業」確立特別対策事業費は、県北・沿岸地域において元気な地域農業を確立するため、地域の特性等を有効活用した農業ビジネスモデルの導入に要した経費に対し補助したものでございます。備考欄下から三つ目の元気な地域づくり交付金と次の農山漁村活性化プロジェクト支援交付金は、山村地域における農林漁業の振興、就業機会の拡大などの地域産業振興のための施設整備等に対し交付金を交付したものでございます。230ページにお戻り願います。農作物対策費の主なものでございますが、備考欄下から二つ目の強い農業づくり交付金は、多様なニーズに対応した特徴ある米づくりを推進するとともに、本県産米の品質向上や低コスト化を図るための共同利用施設等の整備に対し交付金を交付したものでございます。畑作振興費の主なものは、花きセンターの管理運営に要した経費のほか、備考欄三つ目のいわての園芸産地ステップアップ事業費は、野菜等の低コスト、安定生産技術の確立や低コスト技術等の普及拠点となるいわて純情野菜産地リーディングファームの設置などに要した経費であります。232ページをお開き願います。北上奥羽山系開発費は、北上奥羽山系地域で実施いたしました広域農業開発事業における地元負担金の償還等に要した経費でございます。植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、農業者及び農薬販売者に対する農薬の適正使用、適正販売の検査、指導等に要した経費であります。農業協同組合指導費は、農業協同組合の検査、指導監督に要した経費でございます。234ページをお開き願います。農業共済団体指導費は、農業共済組合の検査、指導監督に要した経費であります。農業研究センター費は、同センターの管理運営や試験研究に要した経費であります。農業大学校費は、同校の管理運営に要した経費でございます。236ページをお開き願います。蚕業費は、養蚕農家の経営安定と産地の活性化を図るため、飼育技術の普及指導等に要した経費でございます。
 次に、2項畜産業費であります。畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費等でございます。238ページをお開き願います。畜産振興費の主なものでございますが、備考欄一つ目の畜産振興総合対策事業費は、生産性の高い畜産経営体の育成を図るため、生産から流通、消費に至る総合的な畜産振興対策に要した経費であります。次の家畜改良増殖対策事業費は、短角牛肉の安定的な生産とブランド化を推進するため、粗飼料多給肥育技術による高付加価値牛肉の生産拡大を図るとともに、優良な遺伝資源を活用した種雄牛の造成に要した経費等でございます。草地対策費の主なものでございますが、備考欄一つ目の畜産基盤再編総合整備事業費は、飼料基盤に立脚した効率的な畜産経営体の重点育成及びこれを核とした畜産主産地の整備を行うための草地の整備改良や畜舎等の整備に要した経費でございます。次の団体営畜産経営環境整備事業費は、総合的な畜産経営の環境整備を図るため、畜産の生産基盤及び家畜排せつ物処理施設の整備に要した経費でございます。240ページをお開き願います。家畜保健衛生費の主なものでございますが、備考欄三つ目の牛海綿状脳症防疫対策事業費は、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要した経費であります。農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営や試験研究に要した経費であります。
 242ページをお開き願います。次に、3項農地費であります。農地総務費は、農地関係職員の人件費等であります。次の土地改良費のうち、農林水産部関係は、農地等の区画形質の改善、用排水路等の整備など、農業の生産基盤や農村の生活環境の総合的な整備等に要した経費であります。次に、飛びまして、246ページをお開き願います。農地防災事業費のうち農林水産部関係は、農地・農業用施設の洪水被害等を防止するための防災ダムやため池等の整備及び老朽化した水利施設の整備等に要した経費であります。農地調整費の主なものでありますが、備考欄二つ目の農地保有合理化促進費は、担い手の経営規模拡大、農地の利用集積を促進するため、岩手県農業公社が行う農用地の買い入れ等に要する資金への利子補給及び事業実施に要した経費に対し補助したものでございます。248ページをお開き願います。開墾建設事業費は、中山間地域における優良農地の保全及び生産性向上を図るための用排水施設の整備に要した経費であります。
 次に、4項林業費であります。林業総務費は、林政関係職員の人件費や県有林事業特別会計への繰出金等であります。250ページをお開き願います。林業構造改善対策費は、林業構造改善対策事業関係職員の人件費や林業構造改善事業で施設を導入した事業体への経営指導に対する補助等であります。林業振興指導費の主なものでございますが、備考欄中段の県産材利用促進総合対策事業費は、県産材の利用拡大の普及啓発及び県産材を利用した教育関係施設等の整備に対する補助や木材の安定供給体制への取り組みを推進するために要した経費であります。253ページに参りまして、備考欄中段のいわての森林づくり推進事業費は、すべての県民が享受している水源の涵養、県土保全等の森林の公益的機能を維持増進し、良好な状態で次の世代に引き継ぐため、いわての森林づくり県民税の税収を財源として、公益上重要で緊急に整備する必要のある森林について針広混交林誘導伐を実施するほか、地域の特色を生かした森林整備を公募し、その活動を支援するために要した経費等であります。備考欄下から四つ目のいわて森林環境学習推進事業費は、地球温暖化防止対策に果たす森林の役割など、森林・林業に対する理解の向上を図るため、さまざまな情報提供を行う森林環境学習アドバイザーの配置に要した経費等であります。また、備考欄下から二つ目の強い林業・木材産業づくり交付金は、利用が低位であった杉の小径材等を合板用として利用促進するための乾燥施設等の整備導入に要した経費等に対し交付金を交付したものであります。252ページにお戻り願います。森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要した経費等であります。造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の育成管理や広葉樹林の整備に対し補助等を行ったものであります。254ページをお開き願います。林道費は、公共事業の一元化に伴い、県土整備部に移管となっているものであります。治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要した経費であります。256ページをお開き願います。林業技術センター費は、同センターの管理運営や試験研究などに要した経費であります。
 258ページをお開き願います。次に、5項水産業費であります。水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営などに要した経費であります。漁業構造改善対策費は、効率的かつ安定的な漁業経営を支援し、水産物の安定的な供給を図るため、共同利用施設等の整備に要した経費に対し補助等を行ったものであります。260ページをお開き願います。水産業振興費の主なものでございますが、備考欄二つ目の定置網復旧支援資金融通対策費は、平成18年9月及び10月の低気圧等により定置網に被害を受けた漁業者等の経営の早期安定化を図るため、漁業者等に資金の貸し付けを行う岩手県信用漁業協同組合連合会に対し、その原資の一部を預託したものでございます。また、備考欄七つ目のいわてブランド水産加工品創造事業費は、水産物の高付加価値化を図るため、低利用・未利用水産資源の有効活用に向けた技術開発や水産加工業者への資金貸し付け等に要した経費であります。次のナマコ産地づくり推進事業費は、漁業と水産業の振興を図るため、ナマコの種苗量産技術を開発するとともに、種苗放流効果の実証試験に要した経費であります。備考欄中段のさけ、ます増殖費は、備考欄下から二つ目の強い水産業づくり交付金と合わせて、サケ・マス資源の維持安定を図るため、サケ稚魚の放流、調査研究及び増殖施設の整備に要した経費であります。262ページをお開き願います。水産業協同組合指導費は、漁業協同組合の検査、指導監督に要した経費及び漁業近代化資金等の貸し付けを行う融資機関に対し利子補給等を行ったものであります。漁業調整委員会費と漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催及び漁業調整などに要した経費であります。264ページをお開き願います。漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や漁業取締船の運航などに要した経費であります。水産技術センター費は、同センターの管理運営や試験研究に要した経費のほか、備考欄下段の漁業指導調査船代船建造事業費は、老朽化した漁業指導調査船岩手丸の代船建造のための基本設計に要した経費でございます。266ページをお開き願います。内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営や試験研究に要した経費であります。漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要した経費であります。次の漁港漁場整備費のうち農林水産部関係は、水産業の振興のため、漁港・漁場・漁村の総合的な整備や水産基盤施設の整備等に要した経費であります。
 大きく飛びまして、336ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費、3目治山災害復旧費、そして338ページの5目漁港災害復旧費は、過年災害及び現年災害の災害復旧事業に要した経費であります。
 以上、一般会計の決算について申し上げました。
 次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成19年度岩手県歳入歳出決算書にお戻りいただきます。歳入歳出決算書の30ページをお開き願います。農業改良資金特別会計についてでありますが、予算現額は5億7、130万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は5億3、985万円余で、その主なものは、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金であります。次に、支出済額は2億1、948万円余で、新たな農業部門の経営開始に必要な施設機械等を購入するための資金を無利子で貸し付けたものなどでございます。
 32ページをお開き願います。県有林事業特別会計についてでありますが、予算現額は35億2、810万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は35億7、417万円余で、その主なものは、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金であります。次に、支出済額は34億9、107万円余で、県行造林造成事業等に係る除伐や間伐等に要した経費であります。
 なお、繰越額は1、847万円余となっております。これは、森林整備や災害復旧において隣接土地所有者との連絡調整やのり面工法の検討に不測の日数を要したことなどにより繰り越したものであります。
 34ページをお開き願います。林業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は10億3、306万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は10億3、575万円余で、その主なものは、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金であります。次に、支出済額は6億1、474万円余で、林業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し林業・木材産業改善資金を無利子で貸し付けたもの、及び森林組合等に低利の運転資金を融通するため、その原資の一部を金融機関に対し預託したものであります。
 36ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は9億3、294万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は9億3、223万円余で、その主なものは、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金であります。次に、支出済額は1億6、581万円余で、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、経営改善資金等を無利子で貸し付けたものであります。
 以上で農林水産部所管に係る平成19年度決算の全般についての御説明を終わらせていただきます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇大宮惇幸委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇工藤大輔委員 まず最初に、燃油、飼料、資材等の高騰対策についてお伺いしたいと思います。
 さきの一般質問におきましても質疑が交わされ、そして県ではこれまで、対策会議を設置して振興局に窓口を設置する、また、省エネ技術の普及や省エネ施設等の導入等を図るような取り組みを進めてきたと理解していますが、実際に燃油等の価格の動向は、平成16年度と20年度とを比較すると、ガソリンで120円から174円、軽油で94円から157円、灯油で52円から125円、A重油で48円から111円と上昇しております。そして、これが生産者の方々に多大な影響があったとなるわけですが、実際において生産コストがどのように上がったのか、また、これが所得において生産者にどのような影響を与えたのかお伺いしたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画担当課長 初めに、生産コストの状況についてでございますけれども、燃油等の価格が比較的安定してございました平成16年度と比較いたしますと、農業におきましては、水稲が1割程度コスト増となっておりますほか、燃油や飼料がコストに占める割合が高い施設園芸、畜産で約2割コストが上昇しているところでございます。また、林業の素材生産においては約1割、漁業の漁船漁業におきましては、1年前と比較いたしまして約3割生産コストが上昇しているところでございます。
 次に、所得への影響についてでございますが、このような生産コストの上昇によりまして、品目や経営形態によっても異なりますが、施設園芸や畜産で約2割から5割所得が減少するものと試算されているところでございます。
〇工藤大輔委員 これはかなりの影響があって、生産者の方は本当に今、苦しい中を耐え抜いているというふうな状況だと思います。
 実際に原油の先物の取引の状況を見れば、さきのニューヨークの取引状況を見れば、1バレル70ドルを切ったということで実際は昨年度と比較すれば下がっている、現在のほうが安くなっているわけですが、国の取り組みは、例えば農業のほうでは、まさにこれからその対策について農家の方々から申請を出してもらうということで、非常に遅いのではないかと思います。これからの申請ということを考えれば、一番苦しかった状況の分を今回の対策で十分に解決できるのかどうか、農家の方々がこの苦しさを回避できるような内容となっているのかどうか、現状認識についてお伺いしたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画担当課長 農業の部門でその対策が間に合うかというお話でございますが、農業における補正予算で措置されました国の対策につきましては、まだ具体的な事業の内容等は示されておりませんが、およその概要が出てございます。
 助成の対象、例えば肥料につきましては、本年の7月から来年の6月に肥料を購入した部分に対しての対策を対象とするということと、燃油につきましては、今秋から来春の施設園芸の加温に使うような燃料費に対して補助をするということでございまして、一応早く支払うために概算金払いという形をとるということと、その後の収穫後に使用料を確定しまして差額を精算するような取り組みと聞いてございますので、有効に活用できるのではないかと考えておるところでございます。
〇工藤大輔委員 来春に向けてということで、これから実際に原油の価格が下がっていくことになると、さまざまコスト等は下がっていって、実際に申請し、もらえるときにはその影響が非常に少ない。一番苦しかったときの分はそのまま残ってしまうのではないかという懸念が農家の方々、これは第1次産業全体にあるわけですが、来年度の生産において影響はないのかどうかということを改めてお伺いしたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画担当課長 来年度の生産についての影響でございますが、現在、委員がおっしゃるとおり、原油や飼料穀物等の国際価格というのは下落傾向にございます。しかしながら、先行きといいますのは非常にまだ不透明であると感じているところでございまして、来年の生産への影響というものは、その動向を注視してまいる必要があると考えているところでございます。
 一方、肥料の価格についてでございますけれども、中国やインド等の新興国の需要拡大などによりまして引き続き高値で推移するものと見込まれておりまして、こちらのほうは非常に生産への影響が懸念されているところと感じております。
〇工藤大輔委員 いずれ所得において大幅な減少が見られているということですので、その点も踏まえて国のほうにしっかり要望をして、生産者の方々に影響がこれ以上ないように、また、これまでの影響分が返ってくるような対策をとってもらえるよう強く要望するべきだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、県産品の販路の拡大についてお伺いしたいと思いますが、海外マーケットのこれまでの取り組みですが、この数値で推移を見ますと、水産物が平成18年度、19年度と大幅にふえたことによって全体の数字が上がっている。農林水産物の海外販路の拡大には大きな貢献をしていると思いますが、現状の取り組み、実績についてお伺いしたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 農林水産物の輸出の状況についてでございます。
 工藤委員からお話がありましたとおり、平成19年度の実績は33億円となってございまして、前年比で1.5倍の伸びとなってございます。水産物がそのうち9割となってございます。主な輸出先は中国、次いで東南アジア、韓国となっている状況でございます。
 これまでの本県の取り組みでございますけれども、商社等の専門家によります輸出コーディネーター、こういう方を委嘱いたしまして、民間ノウハウを生かしましたきめ細やかな市場調査、さらには、本年3月に設立いたしました県、農林水産団体、民間企業等で構成いたしますいわて農林水産物輸出促進協議会の活動を通じまして、海外の実需者との商談会、バイヤーの招聘といったようなもの、さらには東南アジアでの日系量販店でのフェアの開催、こういうものに取り組んできているところでございます。
〇工藤大輔委員 農産物については着実にその数値が上がっていっていると思いますが、現在、食の安全・安心の問題、また、中国での例のさまざまな問題等が発生し、これは世界中にその影響があるわけですけれども、例えば米を初めとするもの、あるいはその他県産品において今後海外輸出の展開がどのようになされるのかどうか、その見通しについてお伺いしたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 今後という部分につきましてお尋ねでございました。これも、本年3月に策定いたしました農林水産物の輸出戦略というものがございます。今後につきましては、その戦略の中でも掲げてございますけれども、ターゲットを東アジアに置くという点、さらに、継続取引、今までフェアなどを開催して取引いろいろ始まっておりますが、今後の継続取引に向けました定番商品の安定的な取引に向けた絞り込み、さらには、東アジア以外への新規の市場の開拓、こういった点につきまして重点的に取り組んでいきたい。
 取り組むに当たりましては、私ども行政のほかに民間の方々、官民一体となって組織を立ち上げてございますので、そういった中で取り組んでいきたいと考えてございます。
〇工藤大輔委員 平成20年度の状況はまだ取りまとめ中なのか、以前資料でいただいたものにはまだ数値は出ていませんが、現状で例年並みなのかどうなのか、大きく伸びるものがあったのかどうか、もしわかればお伝え願いたいと思いますし、また、来年度以降、こういった分野には可能性があるぞというものがあればお示し願いたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 平成20年度につきましては集計の部分が多うございますけれども、一例といたしましては、お米という部分でございますが、既に台湾、マレーシア、シンガポールという部分につきまして、平成20年9月末現在ということで押さえますと11.7トンの輸出をしてございます。
 お米という部分につきましては、マレーシア、シンガポールで伸びてきてございます。今後、これまでの取引の成果を踏まえまして、さらに拡大を図っていきたいと考えてございます。
〇工藤大輔委員 より高く、そしてまた生産者にとってより安全なもの、すばらしいものをつくって広く県内、県外また全国に販売し、岩手の第一次産品を広くこれからも販売を拡大してもらえるよう強くお願いしたいと思います。
 最後に、競馬関係についてお伺いしたいわけですが、さきに日本ユニシスが記者会見を開いて、県が求める3点の項目についての記者会見があったわけです。そして、その内容の報道等がされているわけですが、現在、県の認識では、当初求めていたものと比べてその内容が十分と言えるのかどうか。また、10月14日に提案された内容について現在どのような所感を持っているのかお伺いしたいと思います。
〇千葉理事 先日、10月14日付で日本ユニシス社の担当責任者から管理者に対しまして文書が参りまして、その中で、9月9日に管理者のほうでユニシス社の社長に対しまして求めておりました事項につきましての回答をいただいたところでございます。先日、日本ユニシス社のほうで御案内のように記者会見をされたところでございます。
 我々組合のほうで要請してございました3項目でございますけれども、競走体系あるいは賞典費、それから初年度の見通し、主にその3点を少なくとも公開できる情報でお願いしたいということでユニシス社にお願いしていたところでございますが、そのうち、まず、平成21年度の収支見通しについては内容が示されてございませんでした。それから、例えば年間レース数でございますとか、それから重賞・特別競走の配分でございますとか、それから賞典費の総額、そのほかにもございますけれども、そういった大きなところが示されていないという、いわば限定的な内容の提示にとどまっているのかなと思ってございます。
 組合としましても、10月が最終判断ということで、来年度の準備に向けまして、時間的制約があるということで、10月に最終判断する必要があるんですけれども、現行運営方式と比較考量するということでおったわけですけれども、なかなか厳密に比較考量することが難しい面もあろうかなと思っているところでございますが、今、厩舎関係者、馬主関係者、そういったところと意見調整しているところでございまして、これから最終判断をするんですけれども、そういった今、整理の作業をしているところでございます。
〇工藤大輔委員 優勝劣敗を基本として、1着賞金を初め上位の賞金をふやす、例えば150方式から200方式という説明があったわけですが、そのような形に変える、これは確かに馬主さん等から見れば魅力のある形になるのかなという思いをし、おもしろいなという所感を持ったところです。ただ、土曜日の開催がないということとなると、JRAとの手数料の1%の問題等がこれでいいのかどうか、これは交渉を要することだとも感じます。また、最少で9レースにするということは、他場のレース等を組み入れることなど、交渉も今後出てくるんだなという思いを持ったわけですが、収支の見通しがなかったという点について、最終判断をする上で大きな要素となり得るのかどうか、また、そのほかの項目について何かを求めるのかどうかお伺いしたいと思います。
〇千葉理事 収支見通しがなかったというのは大変大きな要素になろうかなと思ってございます。3月に企画提案をいただいたわけですけれども、その時点では132日の開催ということで、それに基づく5年間の収支計画を示していただいたところでございます。今回、10月14日に示されたものにつきましては、それよりも日数でありますとか、あるいはレース数、大幅に減るというか、そういう考え方で示されてございますので、そういった前提条件といいますか、その企画提案で示されていた時点とは大きく条件が異なっているものでございます。
 その中で、それじゃ、その上で収支見通しがどのようになるのか、それがないとなかなか具体的な判断は難しい部分があるのかなと思っているところでございます。
〇工藤大輔委員 そうなると、現状では日本ユニシスとの委託は相当難しいんだということを言っているようだということで判断し、改めて近く開催されるであろう競馬組合の中でも正式にそういった方向が示されるのかなという思いをしますが、県のほうではこれまで、日本ユニシスとの交渉の中で守秘義務契約というのが途中からテーマになったわけですが、県は一貫して守秘義務契約はなじまないというスタンスでした。一方、日本ユニシスは、仮にだめであっても来年度もさらに提案をしていきたいという意向を示しているようですが、その中では守秘義務契約はもちろんやってもらうということで、いずれ来年度に向けてもここに大きな認識の違いがあるなという思いを持っています。そういった中で、この守秘義務契約というものに対して、例えばどこからが守秘義務、どこからが守秘義務じゃないということをどのようにこれから精査し、また、次の展開というか、これからのやり方に導いていこうとするのかお伺いしたいと思います。
〇千葉理事 守秘義務契約の守秘の内容といいますか範囲といいますか、そういうお尋ねだったと思います。
 当初から組合でユニシスにお願いしていたのは、組合と構成団体に情報が同時に開示できるような状況といいますか、それが確保されることがまず必要だということがございます。それからもう一つは、やはりこういった競馬組合として民間委託拡大を行うということは大変大きな問題でございます。そういう意味で、県民でございますとか競馬関係者あるいは組合以下も含めまして、いずれ公にできる情報で判断していくというのが必要じゃないかと思ってございます。
 そうした中で、どこで線を引くかというのがあると思いますけれども、今回、9月9日付でお願いしておりましたのは、例えば競走体系でございますとか賞典費でございますとか、あるいは収支見通しといいますか、そういった部分、いわゆる事業運営の基本部分につきましてはやはり外部との調整が必要だということで、公開できる情報でなければいただけないのかなと思ってございます。
 ただ、我々としましても、すべての情報がすべて公開という意味ではなくて、例えば販売拡大でございますとか、そういう企業のノウハウにかかわる部分が当然あると思います。そういった部分につきましては非公開ということも考えなければならないのかなと思ってございますけれども、いずれにしても、今後、ユニシスさんと、来年度どうなるかわかりませんけれども、今後、民間委託拡大というのは当然必要な施策ではないかと思ってございます。その場合、民間企業との間で、そういった守秘義務契約の考え方というのは当初からきちんとすり合わせたり、あるいはこちらの立場を御説明申し上げたり、そういった上でやっていく必要があるのではないかと思っております。
〇伊藤勢至委員 当議会から競馬議会に送ってもらっている者でありますけれども、最大のスポンサーは岩手県でありますので、同僚議員の皆さんにも確認をしていただきたいと思う点から1点お伺いしたいと思います。
 民間委託が仮にならないとした場合に来年自前でやることになるわけですが、自前でやって生き残っていただければこれ以上のことはありません。今のこの世の中の状況の中で、330億円融資をした競馬が存続をしていく、これが今の県民の大いなる願いだと思います。
 民間委託の件については置いておきます。
 じゃ、仮に来年は200億円の売り上げがあったとします。そうすると、競馬の運営というのは25%でやっていけば赤字にならないということですから、200億円の場合は50億円で回転をしていかなければなりません。仮にこれが220億円となると55億円。その中で、今も固定的に払っていかなければならないのが絶対あるわけです。賞典費が17億円、それから公社職員の人件費、これは社会保険にも入っておりませんが、これで18億円、それから既に外部委託はやっているのでありまして、ほとんどが随意契約という部分が30億円あります。そして、この前、宮参事から資料をもらいましたが、予算の項目のあちこちにちりばめております賃貸料が10億円あります。したがいまして、これを足しますと、すべてで58億円、こうなります。さらに、東北映像との間の合意書で先送りをした4億円を来年度に上乗せをするとなると62億円。200億円売った場合50億円ですから、この時点で12億円足りないということになります。220億円売った場合でも7億円足りない、こういうことになるわけです。それについては、やはり最終的には30億円の随意契約、ほとんど随意契約でずっと流れてきたもの、あるいは土地賃貸料10億円─やっと出てきました─、こういったものを圧縮していかなければならないと思うのであります。
 競馬組合のやり方は、最前線で働いている厩務員でありますとか厩舎関係者を自分たちの官という理論で絞ってまいりました。これ以上はもう絞れない。ひょっとしたら一揆が起きるかもしれないというほど疲弊をしている最前線。一方ではぬくぬくとして、中にはおかげで50億円もうかったということを発言をしているそこの社長もいるようでありますけれども、そういうところを圧縮しなければ来年の競馬は生き残れない、私はこう思っているんですが、どのようにお考えでしょうか。
〇千葉理事 来年度の収支のバランスといいますかコスト調整といいますか、そういうお尋ねだと思います。いずれ現在の新計画のスキームがございます。その新計画の、いわば売り上げに基づいてコストを適正にしていくという今の新計画がございますが、その枠組みの中で、いずれコストも含めて、仮に売り上げが下がるとすれば、それに合わせた形でコストのほうも削減していくという取り組みを、競馬関係者でございますとか取引先企業も含めまして御理解いただきながらやっていくという仕組みで現在もやっているところでございますし、来年度もその方式でやっていくところでございます。
 したがいまして、固定費、いわば人件費あるいは随契といいますか、いろいろなことがございますし、取引先企業もございますけれども、そういったところも含めて、売り上げが仮に下がるという見通しが立つのであれば、それに合わせて収支のバランスをとりながら支出についても厳しく見ていきたいなと思っております。
〇伊藤勢至委員 何とか生き残ってもらわなければなりません。鶏を殺すと卵を産まないのでありますから、その原則をぜひ忘れないで当たっていただきたいと思います。
 そこで最後に伺いますが、今回、3項目の公開できる情報を求めてそれに応募してきた。我々も見せてもらいました。ただ、結論的には、今月末、来月初めの定例会で報告をするという文書を高前田部長の名前でもらいました。よく熟読をしてみますと、これは限りなく民間契約の道は閉ざされつつあるな、そんなふうに思っております。
 ただ、提案は出てまいりました、1項目から3項目まで。この1項目、2項目をA4判の1枚だけで、こんなものでとおっしゃる方々がいらっしゃるかもしれませんが、本当の競馬に関係をしている方々にあの数字を見てもらったことがありますか。あれを見てもらえば、この数字なら岩手競馬が変わるぞというものを私は書いて上がってきていると思っております。ただ、公開できるということですので、その裏にはもっと緻密な数量、数字もあるのかもしれませんが、そこまでやはり見るべきではないか。競馬関係者の声も聞くべきだと思います。それが一つ。
 それから、仮に民間、外部委託を来年やらずに自前でやるといった場合、今回送られてきた1項目、2項目の方法は取り入れてやるんでしょうか。やるとすれば、いいとこどり、こうなるかと思いますが、いかがでしょうか。
〇千葉理事 これからといいますか、現在も既に始めてございますけれども、先日、ユニシスのほうから10月14日付で示されました公開情報につきましては、馬主さん初め厩舎関係者、厩務員あるいは調教師さん含めてさまざまな御意見を今もちょうだいしているところでございますし、今後ももう少しちょうだいしながら、最終判断に向けて準備を進めていきたいと思ってございます。
 それから、ユニシスから提案のあった、例えば出走手当を大幅に下げて、それから賞金を大幅に上げるという部分でございますけれども、そういった部分を、じゃ、来年我々とり得るかというところでございますけれども、これも含めて、来年度の収支の見通しを含めながら、どのような競馬ができるか今後検討する必要があろうと思いますけれども、これはユニシスさんからお話をいただくまでもなく、実は昨年度以前からもお話出ているところでございますけれども、出走手当と、それから賞金のバランス、今のままでいいのかという議論はもともと出ている議論でございます。ただ、それがどこのレベルでバランスをとれるかという問題もございまして、現在、出走手当自体は全国でも高いほうでございますし、賞金は低いほうでございますけれども、その辺をどの辺でバランスをとれるかどうか、その辺は今後とも来年度事業計画を定める中で検討してまいりたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 民間委託の相手というのは、言ってみれば、流れからいきますとお見合いをしただけの相手です。結納もやっていなければ結婚式も挙げていない相手に出せ出せ、結納品の中身は何ですかと聞くようなやり方をやってきたのが競馬組合じゃありませんか。どうも報道の方々も間違っていますけれども、守秘義務以前の信頼関係というものがなく始まったんじゃないですか。そして、それの根っこは、官が民にやらせてやるという思いがあるんじゃないですか。やらせてやる。共同で一緒に、大変なときだから知恵をいただきながら協議をしていい方向に進みましょうというのが全然ないんじゃないですか。私はそのように思えてなりません。
 しかも、今の答弁をした千葉理事、あなたは今度3月で終わりでしょう。高前田部長も3年目だし、そろそろ異動だね。川窪部長も本省に帰るでしょう。そうなってくると、競馬をずっと詳しく見てきた人がいなくなるんですよ。レース展開をつくれる人がいなくなる。あなた方はもうこの3月で終わっちゃうから、後は野となれ山となれというような、そういう口調が端々に見えないでもなくて、とても信頼できない、そう思っています。恐らく来年、副管理者になる人がばばを引く形になるんじゃないかというふうに思っております。
 腰を据えつけた交渉というのは、例えば民間委託をやっている会社と値引きの交渉をやっていると言いますけれども、ただ1回しか行っていないという話じゃないですか。しかも、厳しいので何とか、厳しいどころではなくて、あした死ぬかもしれない、御社のこのままの単価で来年継続したら酸素吸入器を外されると同じですよ、そこから入っていかなければならないのに、厳しいという程度で入っていくからだれも乗ってこないんです。
 随契、十何年も随契で30億円も出してきた。あるいは土地賃貸の問題は今まで余り見えなかった、項目の中に隠れて、これが10億円ある。この40億円を2割か2割5分圧縮をしないと私は競馬が生きていないと思っています。そういう交渉をやるのが副管理者なり管理者なりと思うんですが、副管理者のそういう交渉をした経緯が余り見えない。足元を見られている。だから値段が下がってこないと、こうなるんだと思うんですが、これを聞いて終わります。
〇千葉理事 これから本格的に取引先の企業とも交渉に入るわけでございますけれども、いずれ、来年度の売り上げ見通し、かなり厳しいものになるのかなと思ってございますけれども、それに基づきまして、施設のコストのほうも相当厳しくなるのかなと思ってございます。いずれ、全体的なそのバランスといいますか、そういったことをとるために、お願いするところはお願いするということで、今後とも頑張ってまいりたいと思っております。
〇佐々木一榮委員 今の伊藤勢至委員に1点だけ関連させていただきます。
 来年度、非常に厳しい状況下になるかと思います。今回の民間委託が私もラストチャンスかなという思いで見守っておりましたけれども、こういう状況下では、恐らく来年度、独自の状況下でやっていくということになると思いますが、存廃基準があるわけでありまして、当然ながら、この最近の世界と国内の景気の状況を見ますと、恐らく今の予測以上に来年は厳しい計画を、厳しい厳しいと言いながらも今のこの経済状況を考えれば、もう厳しいを通り越すような恐らく数字になってくるんじゃないかなというように、恐らく多くの方が予測できるんじゃないかなと。逆に言うと、計画が立てられないくらいの売り上げダウンになる可能性も非常にある中で、これが前から議論にありましたけれども、もう既に存廃基準がありますから、もうマイナスであれば廃止ですよね。廃止になった場合のスキームといいますか、雇用も含めてどういう対応をするか、この辺はもう既に並行して私は考えておくべきと思いますけれども、その辺については、現在どのように検討中でしょうか。
〇松岡競馬改革推進室長 競馬組合が廃止となった場合のスキームにつきましては、いずれ今、現段階におきましては、存続のために最善を尽くすという観点で、それに全力を挙げて取り組んでございますので、廃止スキーム等々についてきちんとした形での検討というのは、現在はまだ行ってございません。
〇佐々木一榮委員 関連ですので最後にしますけれども、確かに我々も今質疑がありましたとおり、存続してもらうのが前提で、そういう融資の部分も平成19年2月定例会で議決になっているわけですね。だれも廃止を望んではいないと思うんです。ただ、さっき言いましたように、大変世の中の先が見えない状況の中で、既に存廃基準がありますから、これがなければいいですよ。なければ、もう一回何とかという話がまた来るのかもしれませんけれども、もう最後のところにあるわけでありますので、これはもうやっておかないと、万が一があった場合は、大変な県内での混乱が起きると思いますので、私は全体スキームだけでも、詳細はともかく、検討を並行して進めておくべきと考えますけれども、再度御答弁をお願いしたいと思います。
〇高前田農林水産部長 岩手競馬につきましては、330億円融資の際に大変な御議論をいただきまして、その収支均衡を前提として存続を認めるということで決着を見たところでございまして、それを踏まえて私どもは、今、全力を尽くしているということでございます。こういったような中で、昨年度も売り上げの低迷がございましたが、関係者の大変な御努力、御協力をいただきまして、3度によるコスト調整を実施して、平成12年度以降、初めて赤字を出さずに収支が均衡できるような状況になったということでございまして、私どもといたしましては、今後におきましても、まずは存続に向けて最大限の努力をすると、そういったような中で引き続き関係者にも理解と協力をいただいて、必要があればコスト調整をやってまいりますし、それから、売り上げの拡大に向けてさらにまた努力をしていくということも、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。
 それから、さらに、委員御指摘のとおり、将来的な経済環境の悪化ということも当然視野に入ってまいっておりますので、今年度の民間委託拡大の検討の議論の基本はまだはっきりいたしませんけれども、もし仮に民間委託の拡大が困難となった場合におきましても、引き続きそういった抜本的な改革の一つの手だてとして、しっかりと民間委託の拡大にも取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
〇佐々木一榮委員 私がお聞きしているのは、存続前提で結構なんです。これはみんなで努力してやっていくわけですから。そうではあっても、万が一の考えでのスキームというものを用意するお考えはないのかと、この1点だけです。
〇高前田農林水産部長 将来に備えた廃止スキームの検討ということでございますけれども、まず私どもとすれば、現時点では、存続に向けて最大限の努力をするということが重要なことだと考えております。
〇及川幸子委員 伊藤委員から、先ほど随意契約の30億円と10億円の部分が出ました。過去において、出資法人等調査特別委員会が開かれまして大分審議を重ねてまいりまして、その席上においても、いろいろな部分で努力しなければならない。その契約者と関連業者との競争原理を働かせるということを提言し、約束していただいたはずです。その間に、この業者間の随意契約が続いておりますが、どの程度改善されてきたのでしょうか。30億円、10億円という数字が変わってきたのでしょうか。
〇宮参事 突然の御質問なので、今まで随意契約の推移がどうなってきたのかというのはちょっと今手元にございませんが、岩手競馬の場合、随意契約が多いというのはそのとおりの実態でございます。これは、いわゆる委託業者側が、競馬組合の施設の中にさまざまな設備を行った上で業務をしているという実態が大半なものでございますので、これを競争入札するということになりますと、例えば業者がかわりますと、設備も全部入れかえなければならないという、大きなコストが発生するということがございます。そういった関係から、なかなか随意契約を単純に一般競争入札みたいな形に行いがたいという内容になっているものでございます。ただ、さまざま見直しをする中で、委託料の総額そのものにつきましては、14年度と比較をいたしまして、約3割ぐらいの減少になっているという実態でございます。(「うそだ。3割なんてなってないぞ」と呼ぶ者あり)
〇及川幸子委員 やはり数字的にもこれはぱっと出せる状況じゃないと。周りにかなりコスト削減をかけて大変苦しい立場にさせておりますので、この業者間ももう一度1項目ずつ見直して、やれるところはやらないと、以前に出資法人等調査特別委員会でこれから改善していくという約束をしていただいた関係上、もっともっと真剣にその部分に努めていただきたいと思います。
〇伊藤勢至委員 宮参事、あなたはうそを言っていますね。45事業をたったの五つだけの入札にしまして、恐らく1億円ちょっとぐらいでしょう。30億円の5、000万円が3割ですか。あなたはうそを言っちゃいけませんよ。
〇宮参事 ただいまお話を申し上げました委託料の額が3割減っているという数字につきましては、平成14年度の委託料の額と平成19年度の委託料の額を比較した形の中では、14年度に対して19年度は3割減っていると、そういう数字でお話を申し上げました。
〇千葉康一郎委員 さっき、県産農産品の販路拡大について質問がありましたけれども、それに関連して1点質問したいと思います。
 実は今定例会で、牛肉の輸出施設の整備費が予算化されましたけれども、これは年間1、200頭を目標にアメリカに輸出をすると、こういう内容で設備費を予算化したとなっておりますけれども、1、200頭というのはいつごろを目標としているのか。それから、具体的にどのような形で進めていくのか、その辺をお伺いしたい。
〇浅沼流通課総括課長 お尋ねのございました牛肉の輸出の関係でございます。9月補正予算におきましてお認めいただきまして、対米輸出というものを念頭に置きまして、目標といたしまして、来年の4月から輸出を目標に取り組んでまいりたいと。
 1、200頭の時期でございますが、これは最終的な目標ということで、いわちくへの増頭体制というものにつきましては、現在、全農、いわちく、関係機関が協議を進めるというところの段階に来てございます。すぐにいきなり増頭が可能になるかといいますと、すぐとはいかないかもしれませんが、最終的には1、200頭、これを増頭していきたいと考えているところでございます。
〇千葉康一郎委員 年間1、200頭ということになれば、かなり畜産振興に弾みがつくと、和牛振興に弾みがつくと思いますけれども、いずれ、畜産流通センターに設備をするということになっていますが、私も何回も流通センターに行っていますけれども、あそこには羊とかさまざまな設備があるんですが、その近くにやるんでしょうか。これは大した問題ではないんですけれども、牛肉のほかにまた別な形のものが出てきた場合に、設備をその都度変えていかなければならない。
 各国によって基準が違うわけですよね。アメリカはアメリカの基準に従った設備をするということ、ヨーロッパはヨーロッパの基準に従って設備をするということなんですけれども、そういうのをそのたびに設備をするような形になるんでしょうか。
〇浅沼流通課総括課長 国別の設備の整備ということでお尋ねでございましたが、それぞれの国におきまして認証基準が異なってございます。したがいまして、場合によっては新たな設備投資が必要になる。例えば今はアメリカを目指しておりますが、香港でありますとかそういったところになりますと、新たな設備投資が必要になる場合も想定されると。現時点ではまだ精査してございませんけれども、そういう状況になってございます。
〇千葉康一郎委員 関連ですから余り長く申し上げませんけれども、実は米の場合、秋田県で今度オーストラリアに輸出することになりまして、けさの農業新聞に出ておりました。岩手県としても、中国、東南アジアをターゲットにいろいろと進めていくわけですが、ことしの4月でしたか、これから中国のほうにも、米の場合は中国と日中合意で、中国の指定する精米工場で精米したものは中国で輸入できるということになっていますけれども、同じように、牛肉もそういうような形になれば、設備も変えなければならないのではないかと思うんですけれども、その辺も視野に入れてこれから輸出拡大し、農家所得の向上に努めていただきたいと。
 ちょっと長くなりましたから、この辺でとどめますけれども、終わります。よろしくお願いします。
〇平沼健委員 1点お尋ねいたします。
 この時期になりますと渡り鳥ということがあって、鳥インフルエンザについてお尋ねしたいと思っております。
 鳥インフルエンザ、これが東南アジア─東南アジアでいいんでしょうか、海外で発生した場合、岩手県あるいは各市町村、業界、この辺の取り組み体制というのが、防疫体制というのがどうなっているのかというのが一つ。
 それと、岩手県は重要港湾が四つございます。そこに外航船が入ってくるわけなんですが、それによる鳥インフルエンザが運び込まれてくる危険性があるのかないのか、そういう心配をしなくてもいいのかどうなのか。あと、花巻空港があるわけで、観光客が見えるということで、そういう形でこれを人が運んでくるということもあると思うんですが、その辺の防疫体制といいましょうか、その辺をお示しいただければと思っております。
 それから、特に釜石なんかにグレーンセンター、家畜の飼料がありますけれども、これも輸入です。その辺のこういう輸入飼料に対する心配というか、その辺はどうなのかなという思いがあるんですが、全く心配ないというのが一番いいですけれども、その辺も含めてお答えいただきたいと思います。
〇高橋振興・衛生担当課長 高病原性鳥インフルエンザ、これが東南アジア等で発生した場合の県内の防疫体制ということでございますが、まず、情報が迅速で確実な伝達が最も重要だと考えておりまして、関係機関・団体、それから養鶏業界との連絡体制を整備し情報提供を行うとともに、養鶏農家等に野鳥等の侵入防止対策の徹底などを注意喚起しているところでございます。また、1、000羽以上を飼養している養鶏場から週に一度、死亡鶏の発生状況について報告していただく体制をとっておりまして、異常があった場合には、速やかに検査等を行うことにしております。さらに、渡り鳥など、野鳥の死亡が確認され、高病原性鳥インフルエンザの可能性が否定できないといったような場合には、関係機関が連携いたしまして、検査材料を中央家畜保健衛生所に運び、直ちに病性鑑定を実施する体制をとっているところでございます。
 2点目の、県内重要港湾それから花巻空港など外航船の船員、それから観光客等を対象とした防疫対策でございますけれども、花巻空港におきましては、入国者の靴底に付着したふん便を介した鳥インフルエンザ、この侵入を防止するために、平成16年2月から空港関係者の御協力をいただきながら、海外からのチャーター便到着時に靴底消毒を実施しているところでございます。また、本県の港湾は、国が検疫を行う指定港湾に該当していないことから、特段、防疫対策は実施されていない状況にございます。
 その港湾における靴底消毒につきましては、空路と異なりまして、東南アジア等から本県に到着するまでの日数が長く、その間に高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染性が失われること、さらに外航船の乗組員が、入国後に養鶏場に立ち入る可能性がほとんどないことなどから、高病原性鳥インフルエンザが侵入するおそれがなく、その必要性はないものと考えているところでございます。
 次に、第3点目でございますけれども、県内の港湾に入荷している輸入飼料、これの検疫体制ということでございますが、仮に輸入飼料にウイルスが混じっていた場合におきましても、船便で本県に到着するまでの間にウイルスの感染性が失われるということから、輸入飼料を介しての高病原性鳥インフルエンザが侵入するリスクはほとんどないと考えておりまして、そうしたことから、本県の港湾に入荷する飼料につきまして、高病原性鳥インフルエンザ対策が行われていないものでございます。
〇平沼健委員 わかりました。港湾からのそういう心配は無用というか、しなくていいということ、ひとつ安心はしました。
 次に、渡り鳥、鳥、野鳥のふんをとって、廃棄物をとってそういう検査をしているというか、検体をとって、それでこの鳥インフルエンザの病原菌というか、ウイルスがあるかないかということでしょう。そういうような検査がされているという話を聞いているんですが、これは特にこの時期になってくると渡り鳥がふえてくる。そうすると、検体を収集するというか、検査をする検体数というか回数というか、そういうようなこともふやしていっているものなんでしょうか。また、この場合、検体の検査結果が出るまでどのくらいの時間がかかるのか。それがもしおわかりであれば教えていただければ、これで終わります。
〇高橋振興・衛生担当課長 野鳥のふんの検査ということでございます。本年4月から5月にかけまして、十和田湖を初め、死亡した白鳥から高病原性鳥インフルエンザが分離されて非常に警戒しているところでございますが、9月には、環境省におきまして、野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る都道府県対応マニュアルというものを制定しております。これは、野鳥の監視体制を強化するという趣旨でございます。県といたしましても、このマニュアルに基づきまして、環境生活部と農林水産部が密接な連携のもとに、死亡野鳥の検査羽数を拡大・充実する。それから、渡り鳥の飛来する季節に、県内、最低1カ所の湖、沼等におきまして飛来した野鳥のふんを採取し、ウイルスの保有状況を調査することとしております。これは、以前は非常に限定的な検体数でございましたけれども、このマニュアルの制定によりまして、1回当たり100検体にふやして検査をするということになっております。
 それから、海外での発生状況、国内への危険度が増加するにつれて、そういった対策を強化するということになってございます。
 検査結果ですけれども、岩手県で独自に検査した場合におきましては、1週間から10日程度で検査結果が出せる状況に常になっております。ただし、環境省と農林水産省の連携によることでございまして、そういった場合については関係部局と相談をしながら、どこで実際の検査を行うかということも詳細が出てくると考えております。
〇亀卦川富夫委員 私は岩手競馬経営についてお伺いいたしますが、先ほどの質疑で、答弁者側は存続に向けて強い意思を示していただきました。そういうことを聞いた上でお尋ねしてまいりますが、岩手日報10月18日の声という欄があります。これ、さっきお渡ししましたが見ていますか。部長。管理者。
 なぜ決まらぬ競馬運営方法。盛岡の男性の方。これは多分、民間委託のことだろうと思うんですが、いつも興味深く見ていますが、まとまりそうな時点になると、何か難しい提案が出てくるような感じだと。俗に言うと、裏で足を引っ張るとか、何か利害得失、あいまいもことしてとか、非常に印象の悪い言葉が書いてありまして、さらに、今ここに来て、主催者に対し会社側が守秘義務契約を持ち出したのは一体何だろうと。中身が見えませんと。
 何か、こういう交渉事が県民の方には非常にわかりにくいといいますか、余りいい印象を与えていない。こういう中で、さっきの岩手競馬の存続、本当にやっていけるのか、私はこういう観点からお伺いいたしますが、そもそもこの秘密保持契約、これは私、岩手競馬議員としてこれまでも何回か申し上げてきましたが、そもそもは6月からこれはスタートして10月には契約を結ぶと、そういう段取りのもとに進めてきたはずでありますし、その間、私は、これは官から民に下請に出すような話ではないんだと。これは本当に危機に陥っている岩手競馬が、共同経営者として迎え入れることですよと。よきパートナーとしてやってほしいということを、私は再三申し上げたつもりであります。それが本月、10月も終わりに近づいている、こういうさなかに、きょうのような議論を私は聞くということは、非常に残念でありました。
 そういう観点から、ひとつ県民も不思議に思っている秘密保持契約、これ、なぜ結ばれなかったのか。
 北海道ばんえい競馬、これも新聞に出ておりますので、昨年度からソフトバンクの系列会社に運営を委託するばんえい競馬、北海道帯広市でも、秘密保持契約を合意した上で交渉し、民間委託に至ったと。ここにはっきり事例があるわけです。同じ競馬を経営している岩手県があるいは競馬組合が、この秘密保持契約ということにこだわって、今日まで私は延びてきているんじゃないかと思うわけであります。
 先ほどの答弁では、非公開の部分もあると。私、初めてこれは聞いたような気がします。今までの交渉過程の中で、非公開部分もあるというようなお話は印象に残っていないわけであります。したがって、先ほど申し上げました6月のスタートから、少なくともユニシスは、民間企業にとって、独自情報は財産として秘密保持契約の締結を求めてきたと、新聞でも指摘してあります。この辺の事情をお伺いしたいと思います。
〇千葉理事 日本ユニシス社との秘密保持契約についての議論の過程といいますか、そういうことでございます。
 6月ぐらいにユニシス社のほうから秘密保持契約のお話がございました。その後、案文等でいろいろとやりとりしながら、一時まとまりつつもあったんですけれども、ユニシス社のほうから、組合と構成団体というのは法人格が違う。したがって、組合とユニシス社が結ぶ秘密保持契約であるので、構成団体に情報を開示する場合は、ユニシス社のほうの承諾が必要なんだという、条項に入れるべきだというお話がございました。組合としましては、組合の意思決定過程といいますのも構成団体と表裏一体といいますか、そういう形で常に動いているものですから、組合と構成団体と同時に、そういった情報が手に入らないとなかなか協議ができないということで、そこは構成団体とそれから組合が一緒に情報をいただけるような形にできないかというお話をさせていただいたところでございますが、なかなか組合の意思決定過程といいますか、それが御理解いただけなかったというところが一つ原因があろうかと思ってございます。
 そのうち、10月ぐらいの、つい最近でございますけれども、例えば5社契約といいますか、構成団体とそれから組合とそれからユニシス社と5社で契約するという話がございましたけれども、実は9月9日付で、もう既にその時期に、10月に最終判断しなければならないという時期もございまして、先ほどお話がございましたけれども、3項目につきまして公開できる情報、つまり、組合、構成団体以外の、例えば厩舎関係者等の外部に対しても御説明して協議しなければならないということもございますので、その部分については、少なくとも、その3項目については公開できる情報でいただけないかというお話をさせていただいているところでございます。その辺がなかなか折り合いがつかなかったというのが、まだ秘密保持契約が最終的に締結に至っていなかったという原因なのではないかと思ってございます。
 これは基本的には、競馬組合は公共団体でございますので、情報について原則公開というスタンスでございます。ただ、ユニシス社のほう、いろんな企業情報をお持ちでございますけれども、基本的に情報は非公開なんだという、そういった情報に対する考え方の違いというのがベースにあったのかなと。そこからなかなか物事の話がまとまらなかったといいますか、そういったところで今現在に至っているのではないかなと思っております。
〇亀卦川富夫委員 今、お聞きのとおりでありまして、危機感が全くなかったんじゃないでしょうか。危機感があって、ぜひ一緒にやろうという気持ちさえあれば、先ほどの答弁にあったんじゃないですか。秘密にしてもっと構成団体等には開示を求めて、それで進められるはずだったわけです。それを非常にかたくなに公開原則にだけ、公開原則というのもあれですが、言ってみればユニシスとの信頼関係がどうしても結べなかった。それはかたくなに、組合が交渉に臨んでいたような私は気がしてならないわけです。
 そこで、今、5者の秘密保持契約。5者ということは、ユニシス、組合、それに県、それから奥州市と盛岡市ですね。これが、私はこの前の記者会見ではっと思ったんですが、ユニシスは、5者の契約が締結になっておればきちっと出すものを持ってきましたということで、何か資料を手にして、まとまっていれば私らは出す用意があるというお話でしたが、これ、なぜ判子を押さないんですか。ユニシスのほうでは、恐らく用意して持ってきたと言っているんですから、あとの4者が判子を押せば、その場で当然私は公開できたものと、このように思うんですが、この辺はいかがなんですか。
〇高前田農林水産部長 まず、秘密保持契約についての考え方でございますけれども、これにつきましては、9月9日付で、管理者名でユニシスの社長さんあてにお出しした文書がございますけれども、この中でも明確にお話をしてございまして、先ほど来お話をしております競馬運営の基本となる3項目、これについては当方としては秘密情報に該当しないと考えておりまして、さらには再三申し上げているわけですが、馬主とか厩舎関係者に明らかにして協議をする必要があるということで、この3項目については公開できる情報として提示をいただきたいと。その後において、秘密保持契約に関する協議を続けることになるものという認識を示して取り組んできたところでございます。
 そういったようなことの中で、今回、日本ユニシス社から、3項目の情報についての公開ということに対する回答がございまして、御案内のとおり、3項目のうち2項目、特に収支の見通しについてはお示しをいただけなかったということであったわけでございます。したがいまして、私どもの考え方といたしましては、初年度の収支見通しが示されなかったということ、それから競走体系、賞典費の項目についても、明らかにされた内容が十分でなかったということでございまして、このままの状態で秘密保持契約を締結した場合には、特に重要な情報である収支見通しを含め、ほとんどの情報が秘密情報として取り扱われまして、県民の皆様そして議会への十分な説明が困難となって、県民それから議会の皆様の理解、納得をいただいた上で最終的な判断を行うことができなくなるというような考え方のもとに、今回は秘密保持契約を締結することは難しいと考えたところでございます。
〇亀卦川富夫委員 今の答弁で、今まで延びてきたということですね。それで、ユニシスから管理者に提出されたときの文書、これは組合からいただきましたので読まさせてもらうと、いわば組合からお願いがありました公開できる情報の範囲にとどまるものを出したと。したがって、弊社が公開する情報をもって弊社の考える原案のすべてであると判断されることがないようお願いしますといった中で、2項目は、私は先ほど以来の発言にもございますとおり、非常に新しい仕組み、これこそ求める私は商品であるという気がして聞いておりましたが、収支計画が出されなかったというところにつきまして、先ほど以来お話がありましたこの随意契約45件、私もちょうだいいたしましたが、約40億円の随意契約があるわけですね。いろいろな会社があります。こういったところの交渉を経ずして収支計画を出せと言っても、これ、出せないのが普通じゃないんですか。これこそ、組合とユニシスが一体となって、よきパートナーとして、こういう交渉をしっかりやって競馬関係者にも安心してもらうといいますか、おつき合い願うとか。それから、この中でも当然外れなければならないところもあろうかと思いますし、採用になるところもあろうかと思います。こういう交渉事は交渉権がないところにやれと言ったって、これ、無理なわけでして、したがって、収支計画を出せと言うほうがおかしいんじゃないでしょうか。むしろ、こういうことこそ、秘密保持契約を結ぶ中で進んでいく、当然いいものは県民には結果として出していくと、こういうことではないんでしょうか。
〇高前田農林水産部長 ただいま収支見通しについてのお尋ねがございました。収支見通しにつきましては、再三申し上げて恐縮ですが、やはり事業運営の基本となるものでございまして、極めて重要な要素であると考えております。したがいまして、当初、日本ユニシス社が企画提案の段階におきましては、5年間の収支見通しの提示をいただいたところでございます。今回はそれが提示をいただけなかったということでございまして、その理由としては、今委員御指摘のとおり、委託先の企業との交渉ができなかったということが示されておるわけでございますが、私どもとしては、一方において、しからば、その売り上げ、収入の見通しだけでもお示しをいただきたいということも重ねてお願いをしたところでございますが、これについても御提示をいただけなかったということもまた事実でございまして、その辺も十分御理解を賜りたいと思います。
〇亀卦川富夫委員 これは相当すれ違いますが、基本的な物の考え方が違うのかなと実は愕然としております。
 そもそも、あれは企画提案であって実行計画じゃないわけですね。さっき、いい例え話でお見合いということが出ました。企画提案というのは、あくまでお見合いの相手が出たということであって、実行計画、これはそれこそお互いが信頼し合って、物事を進めることではないでしょうか。それに対して、民間が秘密保持契約を、ごくごく当然だと思いますよ。これ、ルールなんですから、お互いの知り得たことを話さないということ。あるいは知り得ていても、世の中で当然のことにわかっていることはこれは当然公開と。なぜ、こういうことを進められなかったのか。これ2年も3年もかけてやることじゃなくて、まさに岩手競馬が危機存亡のときにやることですよ。そういったことに対して本当にこれは結ぶ気があったのかなと、私はそう思わざるを得ないんであります。ぜひこの辺のところは─ここで私は終了したとは思ってはおりませんが、しっかり踏み締めてやっていただきたいと思うんですが、もう一度この辺の取り組み状況、なぜこういう秘密保持契約に逆に県のほうが固執するのか、それを結べないところ、それがよくわからないんですよ。
〇高前田農林水産部長 秘密保持契約の関係につきましては、先ほどもお答え申し上げましたが、私どもとしては、やはり大変な御議論をいただいてこの岩手競馬の存続が認められたといったような経過もございまして、広く県民の皆様、そして議会の皆様にも十分な御議論そして御理解をいただけるような、そういう協議、交渉というものが重要だと認識をいたしておりまして、そういったような中で、今のままの状態では秘密保持契約については締結は難しいと考えたところでございます。ただ、内容によりまして、いわゆる先ほども御答弁申し上げましたとおり、基本的な事項については、これは公開をしていただいて、きちっとした関係者の意見等も伺う必要もございます。そういったようなことから、公開情報としていただく必要がありますが、それ以外の部分については、秘密にして扱ってしかるべきもの。例えば、県それから組合の情報公開条例等でも規定されているもの等がございますので、そういうものについては個別具体的に協議の上、中身を固めていければいいのではないかと考えておりまして、今回については、残念ながら、少なくとも基本的な3項目についての情報の開示がいただけなかったということで、これ以上の秘密保持契約の締結は難しいと判断したところでございますので、その点については御理解を賜りたいと思います。
〇亀卦川富夫委員 理解しにくいところがあります。三つの項目のうち二つは、私は非常に、それこそ分量は少ないですよ。何か厚いものじゃないと信頼がないというものではなくて、私は2項目については非常にわかりやすいことだったと思います。要は、収支の部分が出ていないということですね。したがって、収支のことについては先ほど以来議論になっているように、膨大な随意契約等があるわけですよ。こういったものが、ユニシスが、それでは交渉できるのですか。こういうところと。そうじゃないと、収支計画をつくれないでしょう。非常にアンフェアな話じゃないですか。ですから、これは組合と共同してやっていくということであって、なぜこれが秘密保持と結びつくんですか。
〇千葉理事 収支見通しの作成のことでございますけれども、例えば、まず売り上げの関係でございますけれども、企画提案のときと全く状況が、状況といいますか、考え方が違う形で提案されてございます。そういう意味で、ユニシス社のほうで、今回変えたことによっての売り上げの見通し、それがあるのか。それがまず当然知りたいと、それは公開で知りたいということが、当然、私どもお話し申し上げているところでございます。
 それから、今現在委託してございます委託業者でございますけれども、例えばいろんな入札事務等を考えましても、事前に下請でありますとか入札に札を入れるに当たりまして、当然入れようとする企業が仲間といいますか、その下請等の企業にどのぐらいでやれるのかという協議を行うというのは、それはあり得るのかなと思ってございます。今回でもそういう意味で、例えばうちと秘密保持契約を結ばなくても、ユニシス社のほうが協議、交渉を行うということはできたと思ってございますし、その中で、私どものほうも一緒に入る必要があるのであれば、それは現在委託している相手方と協議をすることは十分可能ではなかったのかと思ってございます。
〇亀卦川富夫委員 それはおかしいんじゃないですか。全く私はおかしいと思いますよ。これはおかしいという指摘しかできませんので。
 少なくとも、非公開部分もあるというような答弁を私はきょう初めて聞いたような気がします。今までは、全面とにかく公開だというようなことで、なかなか結べなかったんじゃないですか。それが6月から始まっている交渉過程じゃなかったんでしょうか。恐らく、きょうのようなお話だったら、私はまとまるものはまとまっていたような気がするんですよ。この辺が私はどうしてもわからない。したがって、これ以上質問できません。ぜひ、これはもう少し私もいろいろ資料を取り寄せながら研究して、またこういったことでお伺いする機会を得たいと思います。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 競馬議会の議員の方々がたくさん発言するのはいかがかと思うけれども、今出された、例えば委託料とか随意契約とか賃貸料とか、今話された資料はぜひ午後出してください。議論がかみ合いません。委員長、取り計らってください。
〇大宮惇幸委員長 執行部は、午後、資料を提出できますか。(「出します」と呼ぶ者あり)
 斉藤信委員の資料要求に対しまして、午後提出させます。
〇熊谷泉委員 先ほど平沼委員の質問にも答弁がありましたが、高病原性鳥インフルエンザについて、私も2点質問したいと思います。
 まず、十和田湖で死亡した白鳥から抗体が発見されましたが、非常に本県、ブロイラーの中枢であります二戸あるいは九戸と大変近い場所でありまして、私も大変驚きました。従来は京都、大分、茨城あたりまでだったんですが、急に東北に近くなったわけですが、これに関してどのような緊急の対応をとられたのか、まずそれをお伺いいたします。
〇高橋振興・衛生担当課長 7月に十和田湖畔で死亡した白鳥から高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認されまして、県では直ちに養鶏団体と協議いたしまして、緊急消毒を実施しております。この緊急消毒の範囲は県内一円でございまして、約1カ月の間に緊急消毒に用いる消石灰等の消毒薬を調達し、完全に実施したところでございます。
〇熊谷泉委員 それではもう一つ。
 過去に日本で起きている高病原性のインフルエンザは、大体韓国ルートと考えられておりますが、今回の十和田湖の白鳥と、渡りのルートで何か新たな疫学的な知見があればお知らせ願いたいと思います。
 あともう一点、本県でもブロイラーが大変盛んなんですが、あるいは採卵鶏、種鶏は多分県外から導入されると思うんですが、不断の情報収集が大変必要だと思うんですが、その辺のチェックはどうなっているか、それをお伺いいたします。
〇高橋振興・衛生担当課長 十和田湖で確認された高病原性鳥インフルエンザウイルス、これがどちらから持ち運ばれたかという質問だと思いますが、本年9月に環境省の感染経路等調査ワーキンググループというものがございまして、このグループの報告によりますと、このウイルスは韓国及びロシアで、本年分離されたウイルスと非常に近縁であると。それから、系統的には中国南部で流行しておりましたウイルスの系統に由来すると考えられる。さらに、我が国でこれまで発生のあった、そして分離されたウイルスとは異なっているということなどから、感染経路に関しては直接的な証拠はないものの、人や物を介して持ち込まれたということではなく、ガンカモ類を通じて持ち込まれた可能性があるとの知見が報告されております。ということで、大陸からの流れが考えられております。
 それから、2点目の種鶏の移動に伴う安全性でございますけれども、種鶏につきましても、各都道府県で本県が行っていると同じように、高病原性鳥インフルエンザ対策を行っております。そういった観点から、特に危険性はないと考えております。特に、高病原性鳥インフルエンザになりますと、これは隠し通すことができないということから、高病原性鳥インフルエンザとも言われているわけでございまして、これについては各県同様に厳しい体制をとっておりますので、心配はないと考えているところでございます。
〇熊谷泉委員 それでは、畜産全般について質問したいと思います。
 ここ2年間で飼料が2倍ほどに高騰しておりまして、大変畜産農家の経営が圧迫されておりますが、昨年度の畜産農家の戸数はどのように推移していったのか。それから、一番経営的に被害を受けている畜種は何か、それをお知らせ願いたいと思います。
〇佐々木畜産課総括課長 ただいま平成19年度の畜産農家の戸数の推移ということのお尋ねでございました。主な畜種ごとにお話し申し上げます。
 酪農戸数では平成19年度は1、289戸ということで、前年から88戸減少しております。平成20年4月以降になりますと、半年間で48戸の減少となってございます。また、肉用牛の繁殖農家戸数でございますが、平成19年度は7、525戸、前年から215戸減少しております。平成20年4月以降の半年間では95戸の減少となっております。このほか、各畜種ともここ数年、減少傾向にございます。ことしに入ってからも、その減少率は大体これまでの減少とほぼ同程度ということで、ことしになって、現在のところ廃業する農家が急激に増加しているという状況にはございません。
 また、経営が大変な畜種というお尋ねでございました。配合飼料価格の高騰等によりまして、すべての畜種におきまして、生産コストが2割から3割程度上昇してございます。そういった意味で、収益性の悪化ということは畜種ごとにございますが、特にも酪農経営におきましては、ことしに入りましてからも飼料価格が高騰してございまして、乳価等への転換がまだ十分でないということもありまして、平成17年の飼料価格が上がる前に比較して、現段階の飼料価格から推定されますと5割程度の所得減少ということで、非常に厳しい状況にあるのではないかと考えております。
〇熊谷泉委員 今、残っている畜産農家は、非常に厳しい競争を乗り越えてきて、足腰が強い人だけ残っているということだと思います。
 それでは、ここ最近の知見で、県の研究でもこの間、高前田農林水産部長が一般質問の答弁で、短角の試験、デントコーンの多給によりまして約30%の飼料代が低減されたと報告されています。これは大体えさ代にして何万円ぐらいの効果となるでしょうか。また、農業研究センターの乳牛の試験では、もう既にトウモロコシサイレージの多給で、1日100円のえさ代削減となっていますが、これは和牛にも応用できると思うんですが、このデントコーンの多給の30%の削減というのは、えさ代にして大体幾らぐらいに当たるものか、お伺いをしたいと思います。
〇佐々木畜産課総括課長 短角牛のデントコーンのトウモロコシサイレージを多給した肥育の、どの程度飼料費の低減につながっているかというお尋ねでございました。それにつきましては、慣行の短角の肥育、大体農耕飼料と購入粗飼料とやっていた飼料費ですと、1頭当たり大体26万円程度。それから比べてデントコーン、通年で多給した肥育は、約7万円ほど飼料代で安くなったという結果が出てございます。
 また、こういった短角の、短角は粗飼料の利用性の高い品種ということなんですが、和牛の肥育への応用についてでございます。黒毛和種の場合は短角のように粗飼料多給肥育によっても肉にサシが入りにくいことから、現在、一般的にそういった技術は入ってございませんが、本県で先ほどお話ししました短角の肥育、粗飼料多給を何とか和牛の中でも生かせないかということで、現在、畜産研究所で、そういった粗飼料の利用を黒毛の肥育の中で考えてございます。そういったことによって、幾らでも飼料費の低減効果を図りたいと考えておりますが、先ほどお話ししましたように、短角と違ってサシが黒毛の一つの特徴でございます。そういった観点から、その利用については、肥育の前期で利用するというようなことで、現在、肉質、増体、それから飼料費の低減効果について調査しているところでございます。
〇熊谷泉委員 それでは最後にしますが、本県にとって、エネルギー源としてトウモロコシの増産というのは、自給を高める上では大変重要だと思います。アメリカでトウモロコシ自体が上がっているわけですので、昨今のトウモロコシの作付の状況がどうなっているか。地域によっては、最近クマの被害が多いので、食害が多いので、もう、デントコーンは作付しないという面もあるんですが、これはどうなっているんでしょうか。
 それから、トウモロコシの収穫は大変重労働で、私も経験したことがあるんですが、牧草に比べて今大変なんですが、最近、牧草と同じようにロールにしてラップしてという、タワーサイロが要らなくなりますので、ただ、大変高額な機械と聞いております。実際、機械が県内に何台ぐらい入っているものか。
 それから、これを今後導入拡大していくために導入を県で考えられているか、あるいは補助金があるのかないか、その2点をお伺いします。
〇佐々木畜産課総括課長 飼料用トウモロコシの昨年度の作付と近年の動向ということのお尋ねでございます。
 平成19年の飼料用トウモロコシの作付面積でございますが、5、210ヘクタールということで、近年、実は毎年100ヘクタール程度の減少が続いてきてございました。この飼料価格が高騰する中で、栄養価の高い飼料用トウモロコシというのが、また畜産農家で見直されてございます。平成19年に入りまして、その減少に歯どめがかかってございます。飼料用トウモロコシの増産というのは、まさに畜産経営に重要な取り組みと考えております。県といたしましても、国の事業等を活用しながら、飼料用トウモロコシの生産拡大を図ってまいりたいと考えております。
 また、ことしになりまして、これはもう毎年続いていることなんでございますが、クマによるトウモロコシ畑の被害の報告がございます。なかなかクマによる被害につきましては、まだ最終的な集計がされておりませんが、ことしになっても被害がふえているというような地域も聞いてございます。これに対しましては、防止対策、例えば電気牧柵で畑を囲うというような対策ということで、十分対応されているというような事例もございますので、そういった事例を導入できるところについては導入しながら、飼料用トウモロコシの生産拡大につなげていきたいと考えてございます。
 それからもう一つ、最後にお尋ねございました。デントコーンのサイレージ、飼料用トウモロコシなんですが、いわゆるサイレージ化するために非常に労力が要するということ、そのための機械の導入のお尋ねでございます。
 これはいわゆる細断型ロールベーラと申しまして、デントコーンを細かく切ってネットに入れて、それをロール状にしてラップでくるむというような機械でございます。この導入台数でございますが、国の補助金事業等を活用いたしまして、葛巻、滝沢などで現在12台が導入されてございます。
 今後の拡大の必要性についてでございますが、先ほど委員のほうからもお話がありましたように、ロールベーラ、非常にラップの密度が高いものですからサイレージの品質がよく、また、少人数で調製が可能というようなことがございまして、中山間地域などで効率的な作業体系が組まれるということで、県といたしましても、国の事業等を活用しながら、その導入支援をしてまいりたいと考えております。
〇大宮惇幸委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時0分 休憩
午後1時3分 再開
〇高橋博之副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 本日の委員会冒頭、佐々木順一委員から収用委員会事務局長の出席を求められたい旨の議事進行があったことを踏まえ、世話人会を開催し、協議を行いましたので、その結果を御報告いたします。
 その結果、収用委員会関係について審査の機会を設けることとし、審査に当たっては、収用委員会事務局長の出席を要求すること、また、収用委員会の予算執行事務は県土整備部で行っており、同部の事務との関連もあることから、県土整備部と合同で審査を実施することとしてはいかがかとの意見で一致したところであります。
 この際、お諮りいたします。収用委員会関係について、あす22日、県土整備部関係と合同で審査を行うこととし、審査に当たっては、収用委員会事務局長の出席を要求することとしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋博之副委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 また、本日午前中の審査の際、後刻提供することとしておりました資料については、お手元に配付してありますので、御了承願います。
   〔資料の登載省略〕
〇高橋博之副委員長 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは最初に、原油高騰、肥料・飼料代など資材高の具体的な影響とその対策についてお聞きします。
 資材高の実態と、それぞれの農家への影響は具体的にどうなっているか。国の対策、県の対策は具体的にどう取り組まれているのか。全国的には30府県が独自の補正予算で対応しているが、岩手の場合はないと思うけれども、それでいいのか。
〇高橋農林水産企画室企画担当課長 まず、資材高の実態でございますけれども、最近の燃油価格は比較的価格が安定しておりました平成16年度と比較いたしまして約2倍に上昇しておりまして、特にこの1年で約2割から6割高と急激に上昇してございます。また、化学肥料の価格は約9割ほど、配合飼料の価格も約4割ほど上昇しているところでございます。
 次に、農家への影響でございますが、こうした燃油等の価格高騰によりまして水稲が1割程度コスト増となっておりますほか、燃油等や飼料費の占める割合の高い施設園芸や畜産でおよそ2割ほど生産コストが上昇しているところでございます。
 このようなコスト上昇によりまして、所得については、品目や経営形態等によって異なりますけれども、施設園芸や畜産で2割から5割所得が減少するものと試算されているところでございます。
 次に、県と国の具体的対策でございますが、まず、県といたしましては、本県の農業経営への影響を最小に緩和するため、本年1月に関係団体等と連携しました対策会議を設置いたしまして、振興局に相談窓口を設置いたしますとともに、施設園芸の省エネ技術の普及や省エネ施設等の導入支援などに取り組んできたところでございます。また、こうした取り組みとあわせまして、国に対し、本年5月から7月にかけまして燃油等価格高騰対策、飼料の高騰もあわせましてその充実強化を提案してきたところでございます。
 今後は、関係団体との連携をより強化いたしまして、先月、県が独自に策定いたしました資材費節減マニュアル、これは肥料、飼料等資材全般でございますが、この節減マニュアルによります低コスト技術等の一層の普及、あと、今回補正予算が成立いたしました国の燃油や肥料価格の上昇分の7割を補てんする緊急対策等を積極的に活用し、燃油等価格高騰による農業経営への影響緩和に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、県独自の予算ということでございましたが、県といたしましては、これまで述べました県の取り組み、そして今般の国の緊急対策や総合経済対策─補正予算でございますが─によりまして、燃油や肥料の価格上昇分の補てんなどの対策が充実・強化されたと考えているところでございます。県の予算措置につきましては、こうした県の取り組み、そして国の緊急対策等にまずはしっかりと取り組み、そして、その上でその効果を十分見きわめまして、追加的な支援策が必要かどうか検討してまいりたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 施設園芸、畜産は2割から5割の減収というんでしょう。これで農家は持ちこたえられるんですか。今までもぎりぎりのところで頑張ってきた、それが2割から5割減収になったら持ちこたえられないんじゃないか、これが一つ。だから特別の対策を今打たなければ、つぶれてから打ったってしようがないので。
 もう一つ、国の対策は既に出ていると思うけれども、どれだけの農家が国の対策に手を挙げているのか。そういう原油高騰、肥料・飼料対策、全農もやっていると思うけれども、そこらの具体的な軽減策の実施状況というのは、これはまだないんですか。
〇高橋農林水産企画室企画担当課長 今の質問でございますけれども、一番大きいと思っておりますのは、直接的に上昇分を補てんする国の対策が非常に充実・強化されているところで、その直接補てんという部分が経営への影響緩和に非常に寄与するものと考えてございます。特に一番コストが高いと考えられますのが肥料でございます、先ほどの答弁でも申し上げましたが。その肥料対策はやはり徹底して行いたいと考えておりまして、例えば鶏ふんと化学肥料を混入しました独自の肥料を団体、そして会社、メーカーさんとも連携して開発して、なるべく早目に開発普及してまいりたいということと、あとはやはり土壌診断の徹底であるとか、あとは県独自に、簡易に、今、土壌診断は非常に時間や経費を要しますけれども、それのかからない土壌診断方法を県で開発しているところでございます。こういった対策を講じまして、いずれ影響というものを極力緩和してまいりたいと考えてございます。
 あと、手を挙げているかいないかというお尋ねでございますが、まだ具体的な対策、早急に講じられると国からお聞きしてございますけれども、今の段階ではまだ把握しておらないところでございます。
 以上でございます。
〇斉藤信委員 7割軽減の対策、たった10億円なんですよね。スズメの涙にもならない。私、こんなものを当てにしていたら、全然ほとんどの農家は対象にならないと思いますよ。だから、本当に今、2割から5割減収で年を越せるかと。来年営農を続けられるんだろうかというのが今の農家の実態ですよ。私は、そういう意味でいくと、本当にこういう実態に合った緊急の対策をやっぱり講じないと本当に岩手の農業が大変な打撃を受けてしまうのではないか。ここは指摘だけにとどめておきます。
 次に、米価の暴落と生産費について。
 平成19年産米米価の暴落でありました。この平成19年産米の米価はどうなったのか。生産費はどうだったのか。9月9日の農水省の07年産米の生産費調査によると、全算入生産費は60キロ当たり1万6、412円でした。1日8時間当たりの家族労働報酬1、430円で、時給にすると179円、これが全国的な米価の時給ということになります。昨年が256円でしたから77円も下がったということになりますが、県産米の場合はどうなるでしょうか。
〇工藤水田農業担当課長 まず、平成19年産米価と生産費の件でございますけれども、平成19年産の米価につきましては、本県の主力品種でありますひとめぼれが60キロ当たり1万3、522円となっており、生産費は、国の生産費調査によりますと60キロ当たり1万2、945円となってございます。
 それから、2点目でございますけれども、生産費調査による家族労働報酬の件でございますが、国におきます平成19年産米の生産費調査によりますと、平成18年産まで公表されておりましたけれども、粗収益、それから所得、これが公表されておりません。このことから、本県の家族労働報酬は試算することは困難となってございます。
 なお、公表されております平成18年産米の生産費調査をもとに試算いたしますと、稲作所得基盤確保対策などの各種助成金を加えました1日当たりの家族労働報酬は1、158円、1時間当たりですと145円となります。
 また、家族労働報酬に自己資本利子や自作地地代を加えました農業所得は1日当たり5、839円、1時間当たり730円となってございます。
〇斉藤信委員 ひとめぼれは60キロ当たり1万3、522円だったと。これは平均だと思います。生産費は、岩手県はいつも少ないので出すんだけれども、1万5、881円でしょう、全算入でやると。全国的に1万6、000円と言われているのは全算入の価格ですからね。いろいろ差っ引いて安くして何とか成り立つというような、そういう言い方はしないほうがいいですよ。
 しかし、岩手県の試算でも時給145円というのが出ました。これはもう最低賃金どころじゃない。本当に農家は、今こういう状況で米をつくっているわけですね。私は、そういう意味でいけば、本当に米の生産、再生産というのも大変深刻な実態があると。この状況の抜本的な改善が必要だと。最近、公明党も所得補償政策を出したようですけれども、価格補償、所得補償、これなしには、私はもう米の再生産はあり得ないんじゃないかというふうに思います。
 次に、生産調整、減反の実態はどうなっているか、転作の状況はどうなっているか、作物ごとの作付面積を示していただきたい。
 ミニマムアクセス米については、義務ではなく輸入機会の提供。実際にはどう使われているか。在庫量、その経費、これがわかったら示していただきたい。
〇工藤農業水田担当課長 生産調整の実態と転作の状況についてでございますけれども、平成19年産米で申し上げますと、国から配分された作付目標面積は5万5、727ヘクタールになっておりまして、これに対しまして実作付面積は5万5、458ヘクタールとなっております。水田面積に占める割合、いわゆる転作率でございますが、約38%となってございます。
 主な作物の作付面積についてでございますが、飼料作物が一番多くて1万748ヘクタール、大豆が3、575ヘクタール、麦が3、255ヘクタール、野菜が3、165ヘクタールとなってございます。
 それから、ミニマムアクセス米についてでございますが、ミニマムアクセス米は、現在、年間約77万トン、平成20年3月末までの累計で865万トンが輸入されておりまして、これまで海外援助用として222万トンが供給されましたほか、主食用として91万トン、加工用として319万トン、飼料用として104万トンが販売されたところであります。
 また、平成20年3月末の在庫は129万トンとなっており、その保管料は、農林水産省の資料によりますと、平成17年度で170億円となってございます。
〇斉藤信委員 ちょっと答弁速くてメモできないんだけれども、もっと落ち着いてひとつ、私も落ち着いて質問しているので。
 それで、今の生産調整の話を聞くと、岩手県は5万5、727に対して5万5、458と。私は、超過達成というふうに聞いていたけれども、これだと達成していないと。政府発表のとおりじゃないですか。皆さんの把握は超過達成じゃないかと私は思うんだけれども、ここのずれがあるんじゃないかと思いますが、そこを確かめたい。
 それと、それぞれの転作作物というのは、生産費、再生産を保障する価格になっていないと思うんですよ。それぞれわかりますか、どの程度だか、平均でいいです。
〇工藤水田農業担当課長 作付面積について、転作調整の実態につきましては、ちょっと言葉が舌足らずでございました。作付目標面積というのは、水稲の作付目標面積でございまして、水稲の作付目標が5万5、727ヘクタール、それで作付が5万5、458ヘクタールということで、転作のほうが超過しておりまして、約270ヘクタールぐらい転作が超過しております。ですから、目標が達成しているということになります。
 それから、2点目の各転作作物の生産費につきましては、公的なデータあるいは当方での調査等もございませんので、把握しておらないところでございます。
〇斉藤信委員 余り長くやれないんだけれども、岩手県は転作は超過達成をしていると。一方で耕作放棄地もあると。この耕作放棄地、これは農地面積の中で1割近い。この打開というのが今、世界的な食料危機、食料不足の中で大変重要な課題になっていると思うんです。だから、転作条件をしっかり充実をさせて成り立つようにすると。もう一つは、耕作放棄地ですね、そもそも。ここをどういうふうに利活用していくか、ここのことをお聞きしたい。
〇徳山農業振興課総括課長 ただいま耕作放棄地の利活用についてお尋ねがございました。耕作放棄地は県内で約1割ほどございます。現在、耕作放棄地につきまして、各市町村及び農業委員会におきまして詳細な1筆ごとの利活用の調査をしているところでございます。今年度中に利活用の調査を終えまして、それぞれの地域ごとの耕作放棄地の活用方向について策定いたしまして、今後、この活用方向に沿いまして具体的な対策を打つことにしております。
〇斉藤信委員 これからという話で、私は極めて残念です。福田元首相がやめる前に食料自給率50%ということを突然言いました。そして、当時の官房長官は、減反なんかやっている場合じゃないと、こういうことまで言って、今の食料危機に対応して、食料の増産、自給率向上と。ただ、その中身が全然示されていない。やっぱり成り立つ作物、成り立つ転作条件、そういうものがなければ、私はこれは全然進まないと思うんです。だから、岩手県が食料供給基地を標榜するというのであれば、やっぱり国に先取りしてこういう問題に先駆的に取り組んでいくということが私は必要ではないかと。中身がないので、ここだけにしておきます。
 米問題の最後に、私は、束稲かん排、いわゆる北上川東部土地改良事業の問題について、地元の農家から大変切実な相談を受けました。
 昭和50年にこれは始まった事業でありますけれども、当初5年程度で終わる事業が20年以上もかかって、そして今、関連事業もまだ進んでいると。ところが、水を引くかん排事業なんだけれども、水を要らない農家がたくさんいて、無理無理この事業に参加させられたと。今、水の恩恵を受けていないのに、しかし、事業が進んだからということで負担金、賦課金を請求されて払えないでいると。自殺者まで出ている。そして、ひどいのは競売にかける、こういう事態まで起きているというのが実態であります。
 私そこで聞きたいのは、一つは、当初の計画に対してこの事業はどう進んだのか。私は、この計画自身が見通しのない、失敗だったのではないか、これが一つです。
 二つ目の問題は、しかし、事業が進んで、水の要らない農家、ここに対しても莫大な賦課金が押しつけられて土地の公売まで行われるという中で、私は、やっぱり農家の経営を守る、暮らしを守るという弾力的で柔軟な対応を県はすべきではないのかというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
〇須藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 束稲地区のかんがい排水事業についてでありますが、これの当初計画は、用水受益808ヘクタールを対象にいたしまして昭和50年に着工したものでございます。この事業は、基幹的な施設、北上川から用水を取水するためのポンプ設備でありますとか幹線パイプラインは県営事業で整備することにしておりまして、平成8年度に完了しております。これから分岐いたしまして、末端の用水施設につきましては土地改良区が事業主体となって整備を進めておりますが、これは昭和53年度から実施されておりまして、平成元年度時点の地区全体の通水率は80%となったところでございます。
 しかしながら、この時点で一部の地域におきまして受益者の合意形成が得られなかったために事業着手を見送っていたものでございます。その後、用水不足が深刻化してきた、あるいは地域での話し合いを重ねた結果で90%以上の受益者の同意を得まして平成6年度から事業を再開しておりまして、現在では96%の通水率となっているところでございます。
 この事業を実施することによりまして、当初、係留水を利用していた地域であったわけですが、こういった不安定水源が解消されたこと、そして老朽化した用水施設を統廃合して用水不足が解消されたということもございまして、事業の効果が発現されているものと考えております。
 また、農家負担の軽減策についてでございますが、北上川東部土地改良区の事業につきましては、これまでも農家負担の軽減につながるように担い手育成支援事業という事業を導入いたしまして償還金の利子助成を行ってきております。それから、維持管理適正化事業とか農業水利施設ストックマネジメント事業などによりまして、施設の修繕に対する助成などさまざまな支援をしてきたところでございます。
 また、当土地改良区を含めまして、ダムやポンプ場など基幹的な施設を管理している県内の市町村あるいは土地改良区から管理費に対する助成を望む声が多くなっておりますが、厳しい財政状況のもと、県単独での支援は困難でありますことから、国に対して助成措置を講ずるように要望しているところでございます。
 以上のような措置を講じながら、農家負担の軽減を図ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 ちょっと大事なことに答えていないんだけれども、この計画そのものが前沢の西部地区がその一つの中心なんだけれども、減反が始まった時期に、いわば北上川から高台の山のほうに、それこそ本当に猫の額のような田んぼに水を引くという計画なんですよ。私は全くこれ自身が非現実的な計画だったのではないかと。だから強い反対の声があったし、一部地域はその区域から除外された人たちもいたと。私は、実際にそれが事業が進む中ではっきりしたんだと思いますよ、一つは。当初の計画それ自身が極めて米政策上逆行した計画だったのではないか、これが一つ。
 もう一つ、しかし、水の恩恵を受けていない農家に対しても賦課金が請求されて、滞納して、滞納処分、公売という事態になって、紹介したように自殺まで。そして、ほとんどの子供さんたちは自宅にいられないと、こういう深刻な事態ですよ。こういう滞納処分することによって生活を著しく窮迫させるおそれがある場合は、土地改良区は滞納処分の執行を停止することができると、こういうふうになっているはずなんですね。だから、やっぱりこのことをきちんと農家にも知らせて、命や暮らしを押しつぶすような対応を土地改良区はするべきでないと、そのことは県がきちっと指導すべきだと思いますが、いかがですか。
〇須藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 当初の計画でございますが、この地域は、先ほど申しましたように、係留水あるいはため池の水を利用していた不安定水源しかなかったところでございます。その中で水不足が深刻化してきておりまして、地域の受益農家からの要請を受けてこの事業に着手したところでございます。現在では地域全域の96%の地域に給水が可能となっておりまして、干ばつのときでも安定的な営農が可能になっているということで、事業の効果は出ていると考えております。
 また、差し押さえとか公売に関してでありますけれども、土地改良区の賦課金などの債権を確保するために、催告とか納付交渉によっても賦課金が納付されない場合には、やむを得ず財産を差し押さえまして、債権を確保する、そして競売による換価を行うことは法的に認められている行為となっております。
 ただ、差し押さえた財産を処分することによりまして、ただいま委員からお話がありましたように生活を著しく窮迫させるようなおそれがある場合は財産の処分の執行を停止することができることになっておりますので、これに該当するような事例がある場合は慎重に執行の可否を判断するよう、10月6日、土地改良区を指導したところでございます。
〇斉藤信委員 96%通水可能ということで、通っているわけじゃないんです。必要じゃないからです。
 それと滞納処分でひどいのは、山側の生産性の悪い田んぼを差し押さえるんじゃなくて、一番生活にかかわるいいところの田んぼを差し押さえちゃうんですよ。まさに生活がやられちゃうんですよ。そういうところもしっかり見て、本当に農家の暮らしを守るためにやったはずなんです、これは。しかし、結果的にはそうならなかったと。現実に本当にぎりぎりのところで苦しんでいる農家がいますので、最後に、課長が述べた立場で私はぜひ対応していただきたい。
 次に、畜産農家、とりわけ負債農家の対策についてお聞きします。
 私は、県北の農協合併によって、負債整理の対象になって切り捨てられた、そういう農家が、しかし農業を続ける、これは認定農家ですよ。市町村から農業の主力だと認められた認定農家が切り捨てられた。しかし、それでもまだ営農継続をしている方がいますが、今回の農協合併や飼料高騰などによってどれだけの畜産農家が減少しているのか示していただきたい。
 こうした負債農家、農協合併で切り捨てられた農家の救済策について、実は県の二戸の振興局農政部、新岩手農協、担当者も含めて、私たち、負債農家と一緒にかなり率直な懇談、交流会もやりました。農協は、農協合併の嵐で申しわけなかったと、こう言いましたよ。県の農政部長は、あきらめないで頑張ってほしいと。我々も最大限の経営支援をしたいと。私、こういう姿勢は大変すばらしいものだと思うけれども、しかし、実態は深刻です。現金取引で頑張っているんですよ。こうした負債農家の救済策、どういう対策があるのか示していただきたい。
〇佐々木畜産課総括課長 ただいま、飼料高などによる影響ということでお尋ねでございます。
 飼料高などによりまして、例えば酪農でございます。平均的な規模、大体40頭規模の県内の酪農経営で、平成17年─これはえさ高、飼料高の前─と平成20年とを比較した場合でございますが、飼料費で40%、費用合計で20%増加しております。そういった中で所得の減少ということがございまして、酪農家戸数では平成19年度1、289戸、前年度から88戸減少しているところで、平成20年に入りまして半年間で48戸の減少となってございます。
 肉用牛では、先ほどもお話ししておりましたが、平成19年度7、525戸、平成20年度の4月に入りまして、4月以降の半年間で95戸の減少ということで、先ほどもお話しいたしましたが、飼料高などによって廃業する農家が急増しているというような傾向は今のところ見られてございません。高齢化、後継者不足等、複合的な要因が背景にございまして、原因は一様ではないのではないかと考えてございます。
〇門口団体指導課総括課長 経営継続が困難となっている農家に対する支援でございますが、県といたしましては、負債の償還負担を軽減するための農林漁業セーフティネット資金等の活用を促進するとともに、経営の再生等を支援するための農業再生委員会の利用を促進してきたところでございます。
 この農業再生委員会でございますが、経営継続が困難となっている農業者を対象として、農家からの相談に対する助言や民事再生法による再生計画の策定支援などを行う組織でございます。どのような支援が可能か等につきましては、まず、この再生委員会のほうに個別に御相談いただきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 本当に農協合併とか飼料高、いわば外的要因で、今まで地域のまさに中心、リーダーとなってきた方々が切り捨てられているというのが県北の実態なんですよ。それでも営農の強い意思を持って頑張っていると。こういう方々こそ支援をして、地域の農業を守る必要があるのではないか。
 今、門口課長からセーフティネットの資金や農業再生委員会ということがありましたので、そういう前向きの対応をぜひしていただきたい。
 最後、競馬問題であります。
 日本ユニシスとの民間委託交渉について、最優秀企画提案に選定した理由は何でしょうか。その時点での疑問点、ユニシスの対応についてどういうふうに評価しているでしょうか。
〇千葉理事 まず、日本ユニシスの企画提案を最優秀企画提案に選定した理由でございます。
 ユニシスの企画提案は、民間の視点による経営管理手法でございますとか、企業としての経営の安定性、こういった点が評価されたところでございますけれども、一方で、賞典費や収益保証などにつきましてさらに具体的内容の確認が必要だという意見がございまして、当初想定した日程で最優秀企画提案として選定することができなかったという経緯がございます。2回目のプレゼンテーションの中で、最優秀企画提案に選定された場合、企画提案を詳細な実行プランにして、必要な見直しや調整を図っていくという説明があったことから、賞典費の水準など懸念される点につきましては、その後の交渉、協議の中で調整しながら民間委託拡大の可能性の検討を進めるという観点から最優秀企画提案として選定されたものとなってございます。
 その時点の疑問点ということでございますけれども、一つは、収益保証率、これが0.25%という提案でございましたけれども、0.25%でございますと構成団体融資の元金返済がなかなか難しいということがございまして、県民、市民の理解が得られるかどうか疑問だということ。それから、賞典費の大幅削減という提案内容では、馬資源の確保でございますとか強い馬づくりが非常に困難ということで、その実現性に不安があるという点。それから、コスト削減等の業務効率化策、そういったところでの具体的な内容、方法、こういったものを確認する必要があるという意見があったところでございます。
 それから、ユニシス側の対応でございますけれども、いずれその後、さまざまな交渉等を行ってございましたけれども、現在の時点ではまだまとまっておらないところでございまして、10月末の最終判断に向けて、現在、最終的な整理を行っているところでございます。
〇高橋博之副委員長 斉藤委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事進行に協力をお願いします。
〇斉藤信委員 日本ユニシスというのは、実は去年、数カ月にわたって無償で競馬組合の財務実態を調査した。その報告書が出た。そして今回、民間委託についてみずから応募してきた。私、この経過はおかしいんだと一つは思うんですよ。
 もう一つは、日本ユニシスというのは、何かあれですか、競馬事業のノウハウを持っている団体なんですか。ここをまず先にお聞きします。
〇千葉理事 昨年になりますけれども、9月に日本ユニシス社のほうから、地域再生の一環としまして競馬組合事業の中身を、財務調査でございますとかマネジメントの部分につきまして調査をしたいというお話がございました。当時、組合としましても、大変厳しい経営状況でございますので、何らかの参考になるというふうな、こちらとしてもメリットがあるということで調査を了解したところでございまして、その後、1月になりましてから企画提案の公募に入ったわけでございますけれども、この話と調査とはまた全然違う話でございまして、特にこれだから有利になったというところではないのではないかと思ってございます。
 それから、日本ユニシスの競馬事業に対してのノウハウということでございますけれども、過去に他の主催者の再生計画といいますか、そういったものに手をつけたというお話は聞いてございますが、その以外についての具体的な競馬事業についてのノウハウがあるとは聞いてございません。
〇斉藤信委員 競馬事業のノウハウがあるかないかわからないと。私、驚くべきことだと思いますよ。
 それで、どこかの競馬事業の再建に手をかけたというけれども、どこでしょうか。
 もう一つ、最優秀企画提案で出された企画と10月14日、競馬組合に出された3項目、3項目めはなかったんですが、この企画の内容はどこがどう違っていますか。
〇千葉理事 どこの再建計画に手をつけたかということにつきましては、うちのほうでは確認してございません。
 それから、3項目につきましては、9月9日付の管理者名の文書で、競走体系でございますとか、それから賞典費の体系、それから収支見通し、この3項目を公開できる情報でお示しいただきたいというお話をさせていただいたところでございますけれども、10月14日の日本ユニシスからの回答では、特に平成21年度の収支見通しは示されてございません。それから、年間レース数でございますとか重賞あるいは特別競走の配分、それから賞典費の総額、こういったところが示されていなかったところでございまして、ユニシスからは、これ以上公開できる情報は出せないという申し出があったところでございます。
〇斉藤信委員 最優秀企画提案のときには、少なくとも開催日数は132日、入場人員98万1、000人、事業収入200億円、賞典費14億6、800万円、そして5年後の平成25年には事業収入は283億円、賞典費は20億7、800万円、こういうふうに5年計画で出ているんですよね。これ、企画応募したときですよ。そして、いよいよ事業をやろうというときになったら何も出てこない。私、驚くべき中身だと思いますね。
 この間、6回、7回と競馬組合だって協議しているでしょう。(「していない」と呼ぶ者あり)しているんですよ、ちゃんと。協議していて、やればやるほど中身がなくなると。私、これは事実上、日本ユニシスが手を引いたということだと思いますよ、これは。ある意味でいけば検討に値しない。来年度、この中身ではとても任せられる中身はないんだから。私はそう思います。
 競馬組合は10月末に判断と言うけれども、判断する材料は出たわけですよ。企画提案よりも貧困なものしか出なかったと。やっぱり200億円なり250億円の事業をやろうとしたら、とてもこんなものではできませんよ。私は、これはもう事実上の日本ユニシスの撤退宣言じゃないかと思います。材料が出たわけだから、これはもうはっきりしたんじゃないでしょうか。
 もう一つ、先ほどの答弁の中で、競馬関係者にいろいろ意見を聞いていると。私も聞きました。この14日の提案に対して、このやり方だったら馬主がいなくなりますと。日本ユニシスと中央競馬会の関係もよくないし、ユニシスのシステムは使えないそうです、中央競馬会では。そういう点では全く検討の対象にもならないという強い競馬関係者の声を聞きましたが、もう皆さん意見を聞いているわけだから、今の段階で主にどういう意見が出ているのか示していただきたい。
〇千葉理事 競馬関係者からは意見を聴取してきてございますけれども、まだ最終確認をやっていない状況でございますので、今お話を聞いている段階では、出走手当の額の問題でありますとか、あるいは賞金がいいのかどうか、そういった点からの懸念といいますか、そういったものは意見が出ているところでございます。
〇斉藤信委員 現段階で競馬事業を継続するとすれば、私は直営しかないと、この事態で。本当に残念な時間を過ごしてしまったのではないか。
 それで、民間委託のときに新たな投資の計画もないというのはナンセンスなんですよ。民間がやろうとしたら、やっぱり一定の投資をして、2年、3年赤字でも、3年後からは黒字を出しますぐらいの、こういう計画だったらわかるんですよ。初期投資の計画、何も示されないでしょう。私、やっぱりここが民間委託議論が進まなかった最大の問題だと思いますよ。意欲が示されない。
 同時に、岩手競馬を継続する上での決定的弱点は、戦略がないことです。いわば3年後、5年後継続させるための戦略がないんですよ。もう本当に収支均衡で1年1年勝負する、これでは先が見えないですよ。私は、やっぱり1年1年勝負なんだけれども、本当に皆さんがこの競馬事業を存続させるというのであれば、やっぱり3年後、4年後どうやって盛り返すのかという戦略というものを立てる必要があるのではないか。それは私は、決して民間委託だけじゃないと思うんです。
 その点で、私はいろいろ聞いてきたけれども、やっぱり競馬に通じた内部の関係者もいるわけだから、若手の、そういう人たちの英知を結集しないと、岩手県から事務の優秀な人は行っているかもしれない、しかし、競馬事業の専門家じゃないんですよ。財政のつじつまを合わせるのは上手かもしれない。しかし、私はとても競馬事業の戦略を立てるノウハウはないんだと思うんですね。だから、思い切って、本当に継続するというのであれば、そういう今まで岩手競馬に……。
〇高橋博之副委員長 斉藤委員、質問してください。
〇斉藤信委員(続) そういう内部の関係者、若手を含めて戦略を本当に立てる必要があるのではないか。
 その上で障害になるのは、還付金が2億円減少します。東北映像と増田知事が一緒に署名した引き下げ分の返還というのもあります。これは来年度どういうふうにやるつもりでしょうか。
〇千葉理事 まず、戦略というお話でございますけれども、現在の新計画のもとにおきましては、単年度単年度の収支均衡が存続の条件ということでございます。まずは今のところ、現実的な売り上げ見通しに対応したコスト管理を徹底するということで、まず収支均衡という、あるいは黒字を達成するということを単年度単年度積み重ねていくことが必要ではないかと思ってございます。
 ただ一方、厳しさが大変増してございます。景気も悪くなってきてございます。そういうことで、大変経営環境はこれからも厳しくなるとは思いますけれども、この岩手競馬の将来にとってどのような経営のあり方が望ましいのか、いずれ中長期的な視点に立った抜本的な改革の検討、これは競馬事業の監視委員会でございますとか、あるいは競馬組合議会からも勧告をいただいてございます。そういったものを踏まえながら、何とか中長期的な戦略といいますか、そういったプランといいますか、そういったものも検討できるような体制に持っていきたいと考えているところでございます。
 それから、東北映像でございますが、先ほどの還付金といいますか、金融公庫納付金の還付がなくなるということがございます。それから東北映像との合意書もございますけれども、いずれ今の新計画で、要するに売り上げに基づいたコストを管理していく、コストを調整していくという中で、バランスのとれた収支均衡を達成できるような取り組みを今後ともやっていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 還付金の2億円は、競馬関係者は頑張れば何とかなるとは言っていましたよ。しかし、東北映像との関係は、これは増田知事も署名して、3年間が4年間になって、減らした分はもとに戻すという、これは県の、県というか、やっぱり責任をはっきりさせてやらないと、これは当事者があるのだから、もうけているんじゃないんですよ、競馬組合によってつくられたテレトラックの借金を返している会社なんですよね。だから、それを銀行にお願いして延期させているだけの話なんですから。私は、今、競馬関係というのは、一つつぶれれば連鎖するという関係にあると思うんですよ。だから、競馬組合の生き残りも大事だけれども、その関連も含めて、やっぱり私は県の責任、署名した人たちの責任をはっきりさせてやらないとこれは解決しないと。
 これは指摘だけにとどめて終わります。
〇伊藤勢至委員 ただいまの斉藤委員の質疑の中には一方的な思い込みのやり方があったのではないか。斉藤委員も競馬関係者にいろいろ聞いたと言います。私もそれなりに聞きました。私が聞いた関係者は、この数字、1、2についてこういうやり方をやるのは岩手競馬にとって画期的、革命的なやり方である、そういう実は評価をいただいているところでありまして、つまり640億円の所帯だったものを今でもそのまま残すことは絶対にできないわけであります。今、200億円、ひょっとして200億円を切るかもしれない。したがって、それに合わせた、身の丈に合ったくらい器を絞っていかなければならないわけですから、だれも自分が切られたいと思う人はいないんですが、岩手競馬が生き残ろうと思えばどこかを削らなければならないわけなんですが、そういう削るところだけを千葉副管理者は厩務関係者に言って回って、ここが削られる、ここが切られる、切られる、どこが盛るのかという話が全然説明がなくて不安をあおってきたのは千葉英寛副管理者、あなただと思っていますよ。あなたから仕事をもらっている人は、あなたに対して文句を言えないんですよ、あなたはお上だから。あなた方がやってきたのは、最前線で汗をかく人たちを簡単に切れるから、そういうカットだけをやってきた。ところが、組合が委託をしている随意契約のところは全然切れない、交渉ができない。それでは現場で一揆が起きると思っていますよ。
 先ほどあなたは、私たちもユニシスの提案の1、2については以前から考えていましたとおっしゃいましたね。初めて言いましたね、こういう場で。当時そういう考えがないから外部委託をしようという話で始まったんじゃありませんか。1が出た、2が出た、3が出てこない、だからだめだと言いますけれども、1と2をよく読んでみなさい。すばらしい改革の計画だと言っているんですから。
 その中で3が出てこない。収支が出てこない。じゃ、収支を出すためにキャッシュフローをつくらなければならない。そういうものについて提供がなかったんじゃありませんか。提供もしないで出せ、出せというのは、人の家に泥棒に入って刃物を突きつけて出せ、出せという追いはぎみたいな行動じゃありませんか。フェアじゃないんじゃないですか。
〇高橋博之副委員長 伊藤委員、質問をお願いします。
〇伊藤勢至委員(続) 質問していましたよ。
 フェアじゃないんじゃないですか。それから、あなた方の腹案というのはあるんですか。ないために民間の提案を早く出せ、出せと。それを自分たちの案にしようと思ってやってきたんじゃないですか。質問でしょう。
〇千葉理事 いずれ来年度事業につきましては、大変厳しい状況ということもございますので、今の新計画のルールに沿って対応していきたいと思ってございます。
 10月14日にユニシスさんのほうから出されました公開情報でございますけれども、1、2の、要するに出走手当のレベルを下げて賞金に回していくという発想自体は当時から競馬組合の中にも議論はあったところでございます。ただ、それが実際の売り上げの増の関係でありますとか、あるいは全体の財務見通しの中でなかなかそれが実現できていないというのが今の競馬組合の置かれている状況ではないのかなと思ってございます。
〇伊藤勢至委員 あなた方がたとえ民間委託を考えたとしても、それが仮にだめになる可能性があるから、本来計画はあなた方が持っていなければならないんじゃないですか、民間委託がだめになっても。それを慌てて、どうもいいのが来ないから削ろう、だけど、ここのいいところはもらって来年の計画をつくろうとやっているのが今じゃありませんか。そういうのは卑怯だと言うんです。アンフェアと言うんです。商法上、あり得ない行為ですよ、民間的感覚からいくと。非常に問題があると思いますよ。どうも官の感覚しかないんですね。千葉理事、フェアにやるというのはどういうことなんでしょうか、伺って終わります。
〇千葉理事 ユニシスさんから出されました提案、それを盗もうという気持ちは全くございません。先ほどからお話ししてございますように、組合のもともとの若手の職員を含めまして、今の岩手競馬というのはいわゆる2走使いが大変多くなってございます。毎週走る馬といいますか、そういうのを2走使いと言っておりますが、商品の向上のためにはそういったものをできるだけ少なくしながら1回使いでやっていきたいという発想はもともとあったところでございます。ただ、しかしながら、売り上げが下がる中でなかなか収入が確保できないということもございまして、手当競馬といいますか、そういう今、状況になっているところでございます。
 組合の職員にとりましてもそれは必ずしも本意ではないということがございまして、できるだけ賞金を厚くしながら手当を薄くするといいますか、そのバランスをとっていくといいますか、そういう形でしたいという発想はもともとあったところでございます。ただ、それが今の状況の売り上げでございますとか支出の問題でございますとか、そういう中でなかなかそれが実現できないというのが今の状況でございます。ただ、それを何とかできないかというのは何年も前から発想はあったところでございます。
〇新居田弘文委員 先ほど斉藤委員から束稲かん排のことでいろいろ質問がございまして、2回にわたりまして束稲かん排事業の負担金に起因した自殺者が出たというような話が質問の中でありました。皆さんのほうからそれを否定するとも肯定するとも何ら回答がなかったわけでございますが、事実はもっと違う部分がありますので、違うのであれば、そういうことはないということをはっきり否定していただきたいと思います。その点お願いします。
〇須藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 自殺者が出たという件についてでありますが、この件につきまして、土地改良区のほうを確認いたしましたところ、この方に対して賦課金の徴収に強圧的な態度をとったとかおどすようなことを言ったとか、そういうことをした覚えはないと。その方は、土地改良区の賦課金の滞納もあったそうでありますが、ほかのいろいろな問題も抱えていたようだということで、原因が何であったかはわからないと聞いております。
〇新居田弘文委員 私も地元でいろいろ携わった経緯がございまして、今の質問はちょっと事実と違うなというような思いがしましたので、次からはきちっと違うものは違うと否定をしていただきたいと思います。
 以上です。
〇小野寺好委員 ただいまの斉藤委員の競馬事業の質問に関連して一つだけお伺いしたいと思います。
 平成19年度の事業は辛うじて収支均衡を保って平成20年の事業開催をやっているわけですが、先ほどの伊藤委員の取り上げました必要経費の関係で、必要経費が58億円だと。25%ルールを逆算すると、年間少なくとも233億円売り上げなければならない。しかしながら、きのうまでの売り上げは153億5、000万円、こういう数字になっていまして、残り44日、1日平均1億8、000万円売っていかなければならない。しかしながら、去年の実績を見ますと、去年の後半のほうは平均1日1億6、660万円、このくらいの数字で、今後、南部杯も終わりまして、余りどーんと大きく売り上げが出るような見込みがないんじゃないかと思いますが、そういう状況の中で、果たして平成20年度、きちんと赤字を出さないでできるものかどうか、平成20年度の見通しをお聞きしたいと思います。
〇宮参事 平成20年度の見通しという御質問でございました。今、委員の御質問にありましたように、昨日までの売り上げにつきましては153億5、100万円ということで岩手競馬の発売額の実績でございます。年度を5期に分けてそれぞれ収支計画をつくり、その収支の実績を見ながら今運営しているわけでありますが、その現時点の、1期のコストを下げた後の発売計画額の達成率は101.2%となっているものでございます。
 確かに昨日までのところで開催日数的にはほぼ3分の2を終わることになってございまして、これから1月中旬までの間の冬に向けての開催になっていくものでございます。ただ、収入的には、自場の開催が終わりました後については他場の発売というのが冬期間行われることもございまして、今月がちょうど3期が終わるところでございますけれども、まだ3日間ございますけれども、今時点の状況では3期もほぼ計画を達成できるのではないかという考え方を持ってございまして、そういう実態でございまして、今の状況でまいりますと、平成20年度につきましては黒字は達成できるのかなと思っております。
 なお、開催ごとの対前年比を見ておりましても、春先は80%前半ぐらいで推移しておりましたが、最近、この9月、10月のころになってきますと、対前年、開催ごとに見ますと90とか100を超える開催もございますので、徐々に発売額も対前年についてはクリアしてきている、そういうような状況にございます。
〇郷右近浩委員 斉藤信委員の競馬事業の部分についての関連質問をさせていただきたいと思います。
 数点質問させていただきたいと思いますが、まず最初に、今、この10月20日という日を過ぎて、これから本当に残り時間が少ない中ですけれども、もともと最優秀提案でありました日本ユニシス株式会社の提案内容の中に、振興公社の人員削減であり解散でありといったような部分が当初盛り込まれていたように記憶しております。そうしたことについて手だてを打たない中で、今残り10日間で10月末をめどに委託をどうするかといったような期限が迫る中で、どのようなこれからの展開を考えておられるのかお聞きしたいと思います。
〇千葉理事 10月末の最終判断に向けまして、現在、馬主さん初め厩舎関係者、そういった方々との意見調整といいますか、競走関係についての意見調整をやっているところでございます。それを踏まえまして、さまざまデータ等を整理しながら、ユニシスさんからいただいた10月14日時点までのデータ、そういったものを整理しまして、最終的に管理者・副管理者会議を開催しながら、そこで決定すると。それを最終的には組合議会に御報告申し上げるという手順で考えているところでございます。
〇郷右近浩委員 今までユニシスさんから示していただいたもの、そして、この間の対応、その他を勘案させていただきますと、どう見ても期限までには間に合わないのではないかという感を抱いております。そうした中で、だとするならば、もし今回期限切れで10月31日にこれで民間委託の今回の話自体はないといったような話になった場合ですけれども、その場合は、さまざまな今回の議会の一般質問の中でも現行の方式でといったような考え方も多少示されておりますけれども、民間委託という可能性については当面考えないということなのでしょうか、それともその部分はどのようにお考えなんでしょうか。
〇千葉理事 仮に今回、ユニシスさんと一緒にできないという話があった場合、来年度、現行方式でやっていくことになるわけでございますけれども、従前、競馬組合の監視委員会でございますとか、あるいは組合議会からも勧告がございましたけれども、民間委託拡大というのは一つの今後の競馬事業の安定的あるいは継続的な運営に大変重要な選択肢じゃないかと思ってございます。そういう意味で、今後とも、民間委託拡大も含めまして、中長期的な抜本的な改革といいますか、どういう手段があるか、それについては検討してまいりたいと思っております。
〇郷右近浩委員 それでは、あと1点だけ確認させていただきたいと思います。
 そうした場合、今回、日本ユニシスさんとの期限ということで10月31日をもって第1回交渉がそれで終わるといった場合ですけれども、過日行われました日本ユニシスさんの記者会見、私もちょっとのぞきに行ってみたんですけれども、その際、日本ユニシスとしては、今後も岩手競馬とどのような形かをとれるような、私どもとしてはといったような前向きなお話が日本ユニシスさんのほうからはありました。しかしながら、例えばこれで10月31日、期限をその日だとするならばですけれども、10月をもってその交渉権がなくなった場合、また日本ユニシス株式会社さんとも一からほかの会社と同じような形で新たな民間委託拡大に対する企画提案を募集するなどしながら進むといったような認識でよろしいんでしょうか。
〇千葉理事 これから結論が出てくるわけでございますけれども、今回、仮にユニシスさんと組めないということになった場合でも、来年度も民間委託拡大等も含めましてその方向を探っていくわけでございますので、今年度のさまざまな要因でございますとか、あるいは課題、そういったものを整理しながら、今後、ユニシスさんを対象とするかどうかも含めまして多様な可能性を探っていくことになると思っております。
〇高橋博之副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇阿部富雄委員 私どもが県競馬について質問したり、あるいは提言を申し上げるというのは、県が競馬組合の構成団体であり、それから融資をしているという、そういう立場でいろいろな心配をしながらやっているわけでありますけれども、本来、県競馬のあり方については、県競馬組合と競馬組合議会の間で議論して決定するというのが筋なんですよね。ところが、きょうの議論を聞いていますと、私ども県議会が選挙で競馬組合議員を送っているわけでありますけれども、その送っている議員がこの場で議論をしている。その話を聞いていますと、いや、そういう話は競馬組合議会では出てこない、初めてそういう話を聞いたという、こういう議論がなされているわけですよ。こんな形で県競馬を運営できるんですか。県競馬のあり方については、あるいは進むべき方向について決めるのは、あくまでも県議会じゃなくて、競馬組合と競馬組合議会の間でさまざまな議論をして決めるわけですよ。何でもっと両者間で詰めた話ができないんですか。そして情報を出さないんですか。
 理事は、先ほど来の議論を聞いていると、ほとんど今出されているようなことを、競馬組合議会で話されていないと私は受けとめたわけですけれども、なぜそのような対応を組合議会の中でやられてきたんですか。
〇千葉理事 いずれ、競馬を収支均衡のもとで存続させるというのが命題でございますけれども、岩手競馬存続に向けましての最良の選択をどうしていくか、これは組合議会とそれから組合執行部、同じ認識を共有しなければならないと思ってございまして、私ども競馬組合議会からさまざまな説明を求められた、あるいは私どものほうから提案するということで、しっかりと今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
〇阿部富雄委員 努力をしてきたのであればいいですけれども、少なくとも、この場での議論を聞いている限りは、私はそう受けとめない。やっぱり、県競馬をどうするかということは、組合と議会が共通の認識を持って、そして、どう進むべきかという方向を同じくしていかないとだめなんですよ。そのためには、組合が考えていることを、もっともっと情報を出して議員の皆さんに審議してもらって、よし、これでいこうという、その方向を探るのが私はあなた方の責務じゃないかなと思っているんですよ。そういう努力をしないで、全く組合とは対立関係にあるような形で今日までやってきた。情報も出さない。こういうやり方で、これから県の競馬というのはどうなりますか。まさに、今皆さんが言っているように自然消滅、こういう形しかないでしょう。どういう努力をしていくということですか。
〇千葉理事 これまでも、競馬組合議会に対しましてはさまざま御質問等を含めましてあるわけでございますけれども、それに対して真摯にお答えしたつもりでございます。いずれ、今後とも、さまざまな資料の提供も含めまして、あるいはいろんな考え方の議論といいますか、そういったことも含めまして、今後ともさらに岩手競馬の継続に向けまして努力してまいりたいと思っております。
〇阿部富雄委員 ぜひ、そういうふうにやっていただきたいと思いますけれども、これだけ議会と組合の考え方に違いがあるということは、私は異常だと思っています。必ず議会を開いて協議しなければならないということだけじゃないと思うんです。いろいろな協議会を開いてやるということだってあるわけですから、まだまだ時間はあると思いますから、もっもっとその辺、これからの岩手競馬をどうするかということを真剣に考えて、私は対応してもらいたい。どうですか。
〇千葉理事 委員のおっしゃるとおり、組合執行部とそれから組合議会といいますのは、両輪という関係だと認識してございます。いずれ、今後とも、組合議会の御理解をいただきながら努力してまいりたいと思っております。
〇高橋博之副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇三浦陽子委員 大変白熱したところで恐縮です。ちょっと通告をしていたものがありましたので、グリーンツーリズムと農山漁村交流事業についてお伺いしたいと思います。
 いわてグリーン・ツーリズムレベルアップ事業費が359万円ということで決算に上っておりますけれども、評価を見ますと、達成度としては、グリーンツーリズム旅行者数の達成度がDとして載っております。それからまた、その旅行者数はふえているにもかかわらず、何でこういう結果になっているのか。それから、農山漁村交流取組集落数の割合も、評価がDということなんですけれども、農林水産部におきまして、この事業についての取り組み方、そして、その御見解をお伺いしたいと思います。
〇徳山農業振興課総括課長 主要施策の成果に関するお尋ねでございます。
 まず、グリーンツーリズムの旅行者数につきましては、平成18年度の429万人から3万人増加しているものの、旅行者数の多くを占めます道の駅等の総合交流施設におきまして、利用客が固定化しているという状況がございます。このため、目標値に達しなかったところでありますけれども、こういう原因を今後改善することといたしまして、まず、岩手ならではの食材、あるいは食文化の情報発信、魅力のある体験メニューづくりなどを進めまして、新規顧客の獲得に向けて努力してまいりたいと思っております。
 もう一つ、農山漁村交流取組集落数割合でございます。これは、平成17年度の31%から1ポイント増加しているものの、農山漁村交流の重要性に対する理解がまだ進んでいない地域があることなどから、目標に達しなかったと分析したところでございます。
 現在、グリーンツーリズムコーディネーターにいろんな相談活動を行っておりますけれども、こうした活動の強化、あるいは、ことしから開始されました子ども農山漁村交流プロジェクト、この拡大に向けた受け入れ農林漁家の掘り起こしキャラバン、こうしたものを通じまして、農山漁村交流の拡大に努めてまいりたいと思っております。
〇三浦陽子委員 説明にもそのようなことが載っているんですけれども、この農山漁村交流事業というのは、総務省と文科省と農林水産省の連携のもとで行っていると承知しておりますし、5年間で、年間120万人の小学生の受け入れ態勢を整備するものとして、遠野市と葛巻町で、今、モデル地域が選定されているようですけれども、その掘り起こしというのはどの程度の掘り起こしを考えているのか。要するに、今、モデル事業として遠野と葛巻でやっていますけれども、県北とか沿岸が少ないということで、どの程度の力を入れようとしているのか、どのくらいの県北・沿岸で集落数をふやそうとしているのかということ。
 それから、今度グリーンツーリズムの人数なんですけれども、平成18年に、こちらの岩手統計白書を見ると4、293名と載っています。こちらの主要施策の成果に関する説明書を見ますと、ここは429万人というような数字が出ているんですけれども、この差というのは、それはどのようにカウントしてこの単位が違うのかということをお伺いしたいと思います。
〇徳山農業振興課総括課長 まず、子どもプロジェクトの目標値でございますけれども、現在、教育委員会あるいは関係部局と連携いたしまして、子どもプロジェクトの推進協議会をつくって、この中で岩手県における子どもプロジェクトの全県展開を目指した基本計画を策定することにしております。ここできちっとした目標数を定めまして、多くの地域で子どもプロジェクトが実施されるようにしたいと思っております。
 あと、先ほどの目標値のところでございますけれども、グリーンツーリズムの旅行者数については、例えば総合交流施設とかあるいは一般の農業体験施設とか、こういうところについて具体的な箇所を設定いたしまして、市町村を通じて調査しているところでございます。
〇三浦陽子委員 岩手県をアピールするためにも、もちろん県内の子供たちには岩手県のよさを体験するというのが目的だと思いますし、あと、県外の方、それからいろいろ世界じゅうから来ていただくにしても、グリーンツーリズムって今大変注目されておりますので、他県でもかなり、宮城県なんかも特に力を入れていると聞いておりますが、そこの食材をもっともっとアピールする方法とかいろんな工夫が必要だと思いますので、ぜひとも来年度に向けてこのグリーンツーリズム、そしてまた、子供たちに対する体験学習などに力を入れていただきたいと思います。
〇高橋元委員 農薬の関係でお尋ねしたいと思いますが、中国から輸入した冷凍食品の物品について、農薬が混入するという事件が相次いでいるわけでございますけれども、これら今話題になっている農薬について県内の流通はあるのかないのか。その辺調査されているのであれば、まず1点お伺いしたい。
 それからもう一点は、233ページの農薬適正販売・使用推進事業ということで、農薬についての販売とか使用について指導されたのではないかと見受けられるわけですが、これについて、この事業の内容をまずお伺いしたい。
 それから、厚生労働省の示達の中では、農薬危害防止運動ということで、ことしの6月1日から8月31日まで3カ月間、これ実施されたわけであります。その中で、岩手県として、その運動の中でどのようなことを展開されたのか。これは毎年やっている運動みたいですので、平成19年の結果はもう出ていると思いますし、それに基づいて今年度はどういう運動をしたのか、その辺をお伺いしたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 御指摘の農薬はジクロルボスではないかと思いますが、これは、成分はDDVPと言いまして、実際の農薬でもかなり県内では流通しているものでございます。
 それから、適正販売使用のお尋ねでございますが、農薬については農薬取締法に基づきまして、農薬取り締まり職員というのを県職員に任命しまして、販売者に対する立入検査とか、こうしたことを徹底しているところでございます。特に、無登録農薬の販売とか、それから農薬販売業者は届け出義務が必要なものですから、これの違反とか、それから必ず帳簿を備えつけなければならないということがございますが、こうしたところの点検を行っているところでございます。
 ちなみに、平成19年度は333件の販売店と登録販売者を検査しているところでございます。
 それから、危害防止の関係でございますけれども、こうした販売者に対する研修指導もこの事業で行っておりまして、農薬販売店への研修の実施とか、それからもう一つ、県では農薬管理使用アドバイザーというのを育成してございます。これは、農協の営農指導担当者とか、農薬の販売店の担当者など、指導的立場にある方に行政研修とか試験を行いまして、現在、平成19年度では1、225人を育成して、農薬安全使用の指導について役割を担っていただいているところでございます。
〇高橋元委員 販売するところのさまざまな管理・監督あるいは指導というのは理解できたわけでありますが、問題は、農家に移って農家の使用状態がどうなっているのか。
 ことしの8月に、米穀園芸流通議連で北海道のほうに視察に行ったときには、かぎのかかるロッカーに管理をしているとか、あるいはどのくらい使用したとか、使用記録とか、そういったものも備えておくということもあったわけであります。やはり、中国の問題は、我々はよくわからないんですけれども、国内において農薬、特に毒物とか劇物とか、そういった部類もあるわけですから、この管理をきちっとしていかないと、国内でもそういう薬が簡単に手に入るよということであれば大きな問題になるわけでありますし、県民の不安にもつながるわけでありますので、その辺のところもきっちりするべきだと思いますが、どのようになっているのかお尋ねします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 農薬危害防止について、やはり農家が農薬を散布した場合に、例えば隣接の作物に飛散するとか、あるいはみずからが農薬をかぶってしまうということがないようにということで、使用について、御指摘のとおり、保健福祉部と共催してポスターあるいは資料を配布したりとか、そうしたことで農家の皆さんにも周知しておるところです。
 それからもう一つ、農薬取締法におきまして使用者の責務というのがございまして、これは無登録農薬あるいは販売禁止農薬を使わないとか、あるいは農薬使用基準を遵守する、これは適用作物とか使用量とか、それから濃度あるいは使用時期とか、そうしたこともございます。
 それからもう一つ、農薬には劇物とか毒物の区分がございまして、そちらにつきましては毒物劇物取締法ということがございまして、そちらのほうでは御指摘のとおり、かぎのかかるところに保管するとか、そうしたことを行っております。こうしたことも含めて、県としては農薬取り締まりそれから保健所と一緒になりまして、農家指導それから毒物・劇物の保管管理等につきましても、一緒に農家の研修などに取り組んでいるところでございます。
 それから、特にこうした農薬を低減するといいますか、管理とか使用記録をきちっととっていくということに関しましては、現在、県版のGAPと言いまして、農家が農薬の使用から、これは農作業全般について全部記録をしながら、そうしたことをチェックして栽培管理に生かしていくとか、そういった取り組みも現在進めておるところでございます。
 現在、県版のGAPは、県内でも44の産地で取り組んでいただいているところでございます。
〇岩渕誠委員 売れる米対策について絞って、まず品質向上の部分についてお伺いをいたします。
 売れる米づくりの根本は、やはりいいものをつくるということでございますが、昨年度産米の県産米の品質について、県のほうではどのように評価をしているでしょうか。流通関係、販売が終わりまして、いろんな評価が出ていると思いますので、それについてお聞かせをいただきたいと思います。
 それから、品質向上のために、毎年、県のほうでは適期刈り取りの指導をしていると思います。これはいろいろ登熟積算温度によるものだと思いますけれども、これ、何を根拠に行っているのかお聞きしたいと思います。
 これは、県南地方ですと大体9月の下旬が刈り取り適期という指導になるんですけれども、これについては大変現場の感覚とは乖離があると思っております。これによって、そのとおり言うことを聞くと、大変な事態が今起きているわけなんですが、これについてどのような見解をお持ちか、お示しいただきたいと思います。
〇川嶋農産園芸課総括課長 平成19年産県産米の品質についてでございますが、昨年は8月から9月にかけましての登熟期間が高温となり、一部玄米にひびが入る胴割れ米や白く濁ります白未熟米が発生をいたしましたり、斑点米カメムシの被害などにより、品質が低下したところもあったと承知してございます。しかしながら、食味、品質につきましては、純情米の実証圃における食味評価でも、例年並みの良食味という結果となってございますことと、一等米比率につきましても92.2%と、全国トップレベルであったこと。さらに、県南ひとめぼれが引き続き食味ランキングにおきまして特Aの御評価をいただいたということなどから、品質は従来同様、よかったものと認識をしておるところでござます。また、本県産米を取り扱っていただいております米卸さんからは、食味、品質等について特に苦情はなかったと、全農県本部さんから情報を得ておるところでございます。
 今後におきましても、高品質、良食味米の供給基地として消費地から期待を寄せられておりますことから、高い品質を維持し、安定供給する責任があると考えております。産地間競争が激化する中で、現状に甘んじることなく、一層の食味向上に努めてまいる考えでございます。
〇工藤水田農業担当課長 適期の刈り取り基準についてでございますが、その根拠となりますのは、これまで試験研究の成果を積み重ねてきてございまして、これに基づきまして積算してございます。
 具体的に申し上げますと、出穂日から日平均気温の積算で950度、毎日の平均気温を積算して950度となったこの時期を適期の目安として、一つの基準としてございます。最終的に圃場ごとに黄化、黄色くなったもみの割合、これが8割、9割になったところを目安として、刈り取りする基準としているところでございます。
 先ほど、現場の感覚と乖離があるというお話でございましたけれども、20年産につきましては、田植えの時期が低温になったこと、そしてその後、気象が一部回復したりしておりますけれども、それからもう一つ、8月の下旬の低温、この辺の影響がございまして、一つの田んぼの中でもすごくむらがある、登熟のスピードの差ということでむらがある。あるいは地域においてもむらがあるということで、いろんな声をお聞きしているところでございますが、最終的にテストもみすりとか登熟米を確認しながら、そして圃場ごとの中で黄化もみの割合を見ていただきながら、適期の判断をしていただくということにしてございます。
 なお、この水稲の適期刈り取りにつきましては、産地間競争が激化する中で、県産米の高品質生産、良食味米生産を進めるということが重要だということもございますので、毎年9月上旬に、農協あるいは普及センターの関係者に参集していただきまして、稲作技術対策会議というものを開催し、そこで意識統一し、それぞれの地域で指導に当たっていただいているというところでございます。
〇岩渕誠委員 確かに特Aもとっていますし、それから一等米の比率も高いということなんですけれども、一等米というのは、釈迦に説法でありますけれども、米袋を見ているものでありまして、肝心の売り込みの食味というものは関係ありません。それから、特A米につきましても、確かに特Aは13回とって全国で2番目でありますけれども、その特Aも幅がございます。それについて、やはり私はもっと危機感を持ってやらないと、この特Aというものが維持できないようなところまで来ていると認識しております。ぜひ、これは技術サイド、普及サイド、全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 それから、適期の刈り取りにつきましてですが、今工藤課長からもありましたけれども、ことし実は私の周辺では、適期と言われるところを刈ったところが大変未熟米が多くて、いわゆる青米、くず米が出ています。そして水分量も高いおかげで、乾燥代が1日、油代がとんでもないということになりました。これは皆さんの中でもよく実感をしている方も多いと思うんですが、やはりきめ細かな指導というものをしていただかなければならないと思います。
 今、普及員の減少とか拠点化が進みまして、地域地域に農業普及員が入っていない。あるいはJAとの連携ということを言っても、JA自体がスリム化をしている中で、生産サイドに人をかけられないという状況になっているのではないか。そういう中で、これ以上の普及員の削減等はぜひやめていただきたい。とにかく、地域に入って小まめに指導できる体制をつくるべきと考えますが、どうお考えでしょうか。
〇高前田農林水産部長 農業改良普及員の御質問でございました。農業改良普及員は、地域の農家の庭先まで入って身近な農業指導の現場を持っているということで、非常にサービスについては期待が大きいと認識をいたしておりまして、これまでも厳しい行財政環境の中で人員の見直しは行ってきたわけでございますが、その中においても最大限の努力をして、その農業改良普及員の確保に努めてきたところでございます。
 なお、委員御指摘のとおり、最近、農協の合併それから経営状況といったことで、農協の営農指導の面でも弱体化が進んでいるといったようなことも指摘がなされておりまして、今後におきましては、農協それから普及センター、そしてさらには、地域の先進的な農家といったようなものがきちっとネットワークをつくって、より地域に身近な農業普及活動ができるような取り組みを施行していきたいと思います。
 なお、食味の関係につきましても、いろいろ本会議でも御指摘をいただいておりました。私どもとしても、こういったものについては危機感を持って取り組まなければならないということで考えておりまして、実は日本穀物検定協会との共同によりまして、いわゆる食味についての官能評価と化学分析をミックスした新たな食味評価方法について研究をすることといたしておりまして、こうした成果も踏まえながら、さらに食味の向上に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
〇岩渕誠委員 最後にします。その延長線上に、平成19年度に立ち上げたプレミアムブランド米戦略というのが恐らくあるのだと認識をしております。食味、使用農薬、米袋それから県版GAP、あるいはJGAPという栽培管理を徹底して、本当にいい米をつくるという取り組みなんですけれども、これは非常に農家の期待が大きいんですが、なかなか情報が出てこないというのが実態であります。今、どこまで進んでいるのか。特に農家のほうで栽培を行った上で最大の問題は、農薬の成分の部分とそれから米価がどれぐらいになるのかという部分であります。これについて、今、実態がわかるのであればお示しをいただきたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 いわゆるプレミアム米のお尋ねでございました。戦略で例示を示しておりましたけれども、プレミアム米の基準というものを先般策定してございます。大きく4項目を設定してございます。生産面と品質面に二つずつ分かれてございますが、生産面でまいりますと、農薬の使用回数を慣行の4分の1以下、それから生産工程の管理を厳格に行いますJGAP基準での生産、品質面で、トータルで三つ目になりますが、食感の向上のための米粒の大きさ、これを2ミリ以上に調整。通常1.9ミリ以上でございますが、2ミリ以上に調整。四つ目といたしまして、良食味というものを保証するために食味値の検査、これで低たんぱく等によるもの、さらに官能試験特Aクラス、こういった基準による選抜というものを設定してございます。
 本格的な生産は来年度からということを目指してございますが、今年度につきましてですが、試験的にということになりますが、これらの四つの基準のうち、米粒の大きさ2ミリ以上という部分、さらに食味値検査、官能試験による選抜、この二つを先行的に基準として試験的に取り組んでいこうということで、約50トンを目標にいたしまして、首都圏での販売というものに取り組んでいこうということを予定してございます。
 お尋ねのございました農薬と価格の面でございますが、農薬、21年産米に向けまして現在検討中ということでございます。使用できる成分数というのが非常に限られてございます。リスクも高いということになるわけで、現在、新しい除草剤の採用も含めて検討しているという段階でございます。
 さらに価格の面でございますけれども、これもまず今年度試験的に販売いたしますお米につきまして、現在、全農、卸関係機関で鋭意調整中の段階でございます。少しでも生産者の所得向上につながるような加算金の獲得に向けて、今現在頑張っているという段階でございます。
〇岩渕誠委員 このプレミアムブランド米は全部ができるわけではなくて、非常に限られたところがやらざるを得なくなると思います。ただ、その分、かなり岩手県のリーディングブランドということになると思いますから、大変期待が大きいのでありますが、今、検討中検討中というお話があったんですが、実際、米づくりの現場から言いますと、例えば農協に頼む肥料とか農薬の関係の予約は、もう大体終わるわけですよ。ですから、2月とか3月ぐらいに出されても、設計がすべて終わっているわけなんです。とにかく早く出していただかないと、取り組みようがないのです。それをぜひ早くやっていただくようにお願い申し上げて、終わります。
〇高橋博之副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋博之副委員長 質疑がないようでありますので、第1部、農業関係の質疑をこれで終わります。
 次に、第2部、林業・水産業関係についての質疑はありませんか。
〇工藤大輔委員 前段のほうで、燃油価格高騰対策について農政部門についてお伺いしたわけですが、水産についてもお伺いしたいと思います。
 先ほど漁業用A重油がこの1年で1.7倍に上昇しているということ、また、燃油消費量の多い沖合底びき網漁を中心として、生産コストが30%上昇しているというような答弁がございました。これは非常に本県漁業についても、多大な影響があったという思いを持っています。
 そこでお伺いをしたいんですが、国の緊急対策についての活用状況が現在どうなっているか。以前、私お伺いしたときに、9月の段階でまだ二つ、三つの漁協からしか申請が出ていないと。9月末には一たん締め切りということとなるが、その状況がどうかということは今後のことですと聞いておったわけですが、国の対策の活用状況はどうかということを、まずお示し願いたいと思います。
〇五日市漁業調整担当課長 国での対策の実績ということでございますけれども、国が新たに創設いたしました燃油高騰水産業緊急対策の中で、燃油の価格の上昇分の9割を補てんしていただく省燃油操業実証事業につきまして、9月現在の活用状況でございますが、沖合底びき網漁業など、現在10グループで、事業費約10億4、700万円が申請されているところでございます。
〇工藤大輔委員 本県の漁船の状況は小型船が約98%ということで、沖底の船は非常に少ない。また、中型船も非常に少ないという中にあって、例えば大型船と小型船の割合の申請状況はどうかということ。割合等、あと数等がもしわかればお示しをいただきたいと思います。
〇五日市漁業調整担当課長 現在の活用状況でございますけれども、沖合底びき網漁業で13隻、そのほかイカ釣り漁業、これは本県の5トン以上、おおむね9.7トンクラスの船でございますが、これが24隻、サンマ棒受け網漁業で2隻、その他の漁業で13隻、定置網漁業で11隻、計63隻となっております。
〇工藤大輔委員 ほとんど小型船なんかは、なかなか申請しなかったのではないのかという数値だと思います。これがどうして申請が少なかったのか。
 9割補てんしてくれるというものが少ないというのは、例えば県漁連のほうで資料作成等において手伝ってくれるということが言われてきましたが、その提出内容が非常に多岐にわたるとか、あとは、これ、申請時点での価格の比較になると思いますけれども、これでは当初求めていたような成果がなかなか出ないんじゃないかと。そういったものを漁業者が感じ取って申請数が少なかったのではないのかなという思いがしますが、現状ではどのような形で認識しているか。また、今の数値を踏まえて、この制度に対する評価をお示しください。
〇五日市漁業調整担当課長 今、委員御指摘のとおり、小型漁船のほうでは98%を本当は占めておるんですが、なかなか申請は少ない状況ということでございます。これは、本県の漁船が、例えば宮城、青森等に比べまして大型漁船の割合が小さいということ、それで相対的に申請が少なくなっているというところもございますが、まず一つは、この事業の対象の要件といたしまして、基準年であります平成19年より水揚げがふえた場合支援額が削減されるという事業の対象要件がございます。それから、グループで申請しなければならない事業でもございますので、そのグループの組織化あるいは書類の作成等に時間を要するという部分がございまして、県とかあるいは県漁連のほうでも、組合に直接入りまして支援は申し上げておるんですが、若干、漁協の負担になっているというところもあると伺っておりまして、そういうところで申請が少ないものと考えております。
 それにしても、この事業、燃油の上昇分の9割を補てんしていただける事業ということでございますので、今後も引き続いて、この活用に向けて県漁連と一緒になって、現地で普及あるいは指導といいますか、漁業者の支援をしてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 恐らくこの現状では、申請数、若干はふえても大幅にこれを活用して漁業振興を図ろうと、この急場をしのごうという状況にはならない制度だと思います。国のほうでは対策をとってあるということを言っても、少なくとも岩手の水産業においては、全く効果が少ないというような事業ではないのかなと私は思うんです。また、緊急と言いながらも、本来は全国一斉に休漁する段階の前に緊急対策を講じるのが責任だと思いますが、こんなにずれずれになって、もう原油が下がろうとしているときにそれを活用してくださいというのは、まさに認識がずれている、対応がずれていると。これは国の対策の遅さを強く感じるわけですが、本県として、今後、例えば新たにとった魚を取引するに当たって新しい支援策等も講じようとしているようですが、いずれ、これからどのようなことを県内の漁業者に対してやっていき、そしてまた国に対して強く要望するのか、お伺いしたいと思います。
〇五日市漁業調整担当課長 今後の対策ということでございます。今ちょっと申し上げましたが、燃油の価格の上昇分を9割補てんしていただけるという事業でもございますので、まず、この事業をしっかり使っていくように現場のほうに入ってまいりたいと考えておりますし、この燃油の緊急高騰対策の中には、もう一つ、例えば漁協等が水産物の付加価値を高めるため、あるいは量販店等へ直接魚介類を販売するというこの経費に対しまして助成をする直接取引推進事業という事業もございます。これらを新たに導入いたしまして、漁業者の所得の向上を図って、燃油の高騰、これに対する漁業者の影響というものの緩和に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 いずれ、9割やってくれるのは非常にいい、この9割だけ言えば非常にいい制度なんです。ただ、制約があり過ぎて余りにも使えないということが問題なんで、例えば使える範囲のものの中身を変えてもらうとか、そういったものをしてもらわなければ、努力するだけであって、幾ら月日がたっても成果は出てこないと思いますので、その辺をやっていただくように、よろしくお願いしたいと思います。
 あと、これについての所感を部長にお伺いしたいと思います。
 次に、松くい虫とマイマイガの件について聞きたいわけですが、松くい虫の被害状況がどうなっているか。現在は、北限は紫波町ということになっておりますが、影響が拡大しないのかどうかお伺いしたいと思います。
 また、青森県のほうでは、初めてマツノザイセンチュウが侵入したという報道が大々的にありました。ただ、これは報道の中身を見れば、秋田のほうからだとか岩手のほうから入っていったんじゃなくて、公共事業の植栽の納入業者が、東京の方面からクロマツを買ってきて、マツノザイセンチュウにかかったのを植栽してしまったというのが原因だということなんですが、こういうことであれば、県内でも今後も起こり得るんだなと思うんです。ですから、これはちょっと所管が違うのかもしれませんが、ただ、流通という観点から見て、やはり県内のかかっていないような安全なアカマツ、クロマツ等、1本でも多く使っていただきたいというものは願いでもありますので、そういった観点で、例えば他の部局と連携すべきこと等もあろうと思いますが、所感についてお伺いしたいと思います。
〇高前田農林水産部長 燃油高騰対策の関係でございます。この燃油高騰対策の関係につきましては、本県水産業に対する影響が大きいということでございまして、私どもとしても、ことしの5月以降、数次に渡って国に対して、例えば価格補てんといったようなことを含めまして、この対策の充実強化を要望してきたところでございます。そういったようなこともありまして、今般の省燃油操業実証事業といったようなものが創設されたという認識でございますが、いずれにいたしましても、現在、現地でこういった事業の使い勝手が悪い部分がいろいろ見えてきております。そういったような部分につきましては、きちんと私どものほうでも現地の実態を把握いたしまして、必要に応じて今後とも国に対して引き続き要望してまいりたいと考えているところでございます。
〇中村整備担当課長 まず、松くい虫被害の状況についてのお尋ねでございます。平成19年度の被害量は3万8、517立方メートルでございまして、対前年比約3%の減となっております。被害市町村は11市町村でございまして、平成15年度に被害のピーク5万4、071立方メートルでございましたけれども、その後4年間、連続減少しております。また、平成17年度に旧宮守村で被害が新しく発生したわけですけれども、それ以降、新たな被害発生市町村は出てございません。
 それから、現在、内陸の北端は委員今お話しいただいたように紫波町でございますし、それから沿岸のほうは大船渡ということで、それも変わってございません。
 それから、青森県の被害状況についての御質問でございます。県内において、これまで、被害地域から苗木を移入したことによる被害発生、今回の青森県と同様の事案は確認してございません。
 今後とも、今回の事例を教訓に、被害地域からの松の苗木の移入がないよう、関係機関、関係団体へ協力を求めていきたいということを考えてございます。
〇工藤大輔委員 これ、公共事業だけじゃなく民間のことも踏まえれば、いろいろなところであるんだと思うんです、植林の関係は。ですから、その辺についてもぜひお願いしたいと思いますし、また、品種改良によって、松くい虫に強い松の改良を岩手では積極的に進めてきたわけですが、その状況、また、植林状況等をお示しください。
〇中村整備担当課長 松くい虫の被害に強い松の植栽状況でございますけれども、現在、林業技術センターでは、これまでも松くい虫被害抵抗性マツの育種に取り組んでおりまして、平成19年度から一般のアカマツ苗木の1.7倍の抵抗力を持つ山行き苗木の供給を開始してきているところでございます。
〇工藤大輔委員 それでは、マイマイガについてお伺いしたいと思います。
 現在、山林での被害の状況また生息状況、特に山のほうの状況はどうなっているのかお伺いしたいと思いますし、また、2007年に八戸港がこのマイマイガのハイリクス指定港となったわけです。そういった中で、この指定解除が年度末に向けてなされるかどうかというのが一つの争点となっているわけですが、これは今回の県北であったり、また、ことしは盛岡、宮古、釜石地域でも大量発生しているということからすると、これは全く無関係ではないと思いますが、それについてどのように感じているのか、お伺いします。
〇中村整備担当課長 マイマイガについての御質問でございます。
 山林での被害状況でございますけれども、本年5月から6月にかけまして、二戸・久慈地方を中心としまして、カラマツ林やそれから広葉樹林において葉の食害による被害がございました。その被害区域はおよそ2万8、000ヘクタールに及んでおります。
 被害を受けた森林は、その後夏にかけて再び新しい葉が発生しておりまして、最終的に枯死に至るまでの被害は確認されてございません。
 それから、次に八戸港のハイリスク港指定となったことについてですけれども、八戸港がハイリスク港指定になった経緯でございますけれども、アメリカとかカナダ政府が、北アメリカへのマイマイガの侵入を防ぐため農林水産省に依頼して、我が国の主要な港におけるマイマイガの生息調査を実施しておりましたけれども、平成17年度の調査で生息数が基準を超えたことから、昨年、アメリカ、カナダ政府が指定をしたものでございます。八戸港のハイリスク港の指定と、久慈それから二戸地方でのマイマイガの大量発生というのは、直接的には因果関係はないものと考えております。
 いずれ、マイマイガが大量発生する原因というのはいまだに究明されておりませんので、先ほど申し上げましたとおり、八戸港のハイリスク港指定と県北地域での大量発生というのは、直接的には因果関係はないということでございます。
〇工藤大輔委員 恐らく2007年以前から、このハイリスクの指定港になるほどじゃない程度は、毎年のようにマイマイガは入ってきていたんだと思うんですね。そういった状況が数年続いて、例えば大量発生等につながったのではないのかという思いを持っているんです。
 県北のほうではことしに限ったことではなくて、昨年もその前からも大量発生が続いて、当時、マイマイガがすごいんだけれどもという話をしたら、大体2年で終息しますと。2年たてば、いや、3年ですと答弁が変わるような状況なんですね。まして、今度は、最初は10年に1回の異常発生ですと。10年に1度の異常発生の答弁から、2年連続、そして3年ぐらいだとか、今度はどうなるかわかりませんという形で、答弁も変わっていくほど、しかも、盛岡、宮古を初め、だんだん南下しているような傾向にあるんだと思うんですよ。恐らく、山には相当数いるんではないのかと。そして夏のこの暑い時期に、光のあるところにどんどん集まっていっているという状況を踏まえると、恐らく、ことし、また、来年と続いていく傾向にあると思いますが、先ほど山林での生息状況はということについて答弁をまだいただいていないので、どのぐらいが実際に確認されているのか。まち場であれば、見えたところは卵の駆除等ができるわけですけれども、山ということになると、なかなか卵まではどうこうもできないと思いますが、どういったことをこれから考えていくのかお伺いします。
〇中村整備担当課長 委員から今お話しいただいたとおり、マイマイガの大量発生はウイルスなどの天敵によりまして、二、三年で終息することが知られております。ただ、たまに10年ぐらい継続している場合もあるという話もございますけれども、一般的には、二、三年で終息すると。しかも、近年では昭和48年から50年にかけて、岩手町と玉山村で大量発生したわけですけれども、このときも3年で終息してございます。
 それから、現在の生息状況ですけれども、森林について、現在のところ、卵の状況とかについてはまだ把握してございません。いずれ、林業技術センターでは、来春に幼虫の生息状況等を調査いたしまして、その後の被害の発生予察を行うこととしております。これらから得られた情報を、市町村等に速やかに提供してまいりたいと考えてございます。
〇高橋博之副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時57分 休憩
午後3時20分 再開
〇大宮惇幸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇平沼健委員 林業と水産業についてお尋ねいたします。
 まず先に林業なんですが、森林整備、これは国、県、いろいろな形で国有林、県有林、そして民有林等もいろいろな形の整備が順調に進んでいると思っております。それを受けてといいましょうか、従来から岩手県内の木材業界では輸入材というものがほとんど利用されてきたんですが、昨今は外材の入荷が少ないというか外材が単価的に上がっているということもあって、国産材、県産材志向ということで、今、続いておるわけです。特に県産の針葉樹、杉、松、この辺の需要が数年前に比べて倍とか順調に拡大していると思うんですが、需要と供給といいましょうか、県内にある木材業界で利用するこういう県産材の需要に対する供給、供給過多なのか、あるいは逆なのか、その辺の県の認識をお尋ねしたいと思っております。
 それからもう一つは、せっかく県内でそういう木材業界、製材を含めていろいろな形で県産材を利用した製品が出てまいります。これのはけ口というか利用拡大といいましょうか、これはいろいろな形で県も取り組んできておりますけれども、やっぱり産業振興というのは、木材に限らず出口が順調にはけていけばその産業が拡大するということでございまして、その辺の県産材の製品といいましょうか、そういうものの利用拡大にどのような形で取り組んでこられておるのか、それから、これからどういう形をとろうとしているのか、その二つをまずお尋ねいたします。
〇堀江林業振興課総括課長 まず、県産材の需給バランスでございますが、本県の木材の需給バランスを見た場合、平成19年の県内の木材の需要量が178万立方メートルとなっておるところでございまして、これに対する供給は、間伐材を含めて県産素材生産量が121万立方メートル、大体3分の2となっております。残る57万立方メートルが外材あるいは県外の材となっているところでございまして、これは、毎年、県産材の占める割合が増加しているということでございまして、そういった意味で県産材の利用拡大は十分図られて、その中で需給のバランスはとれているものと認識しているところでございます。
 次に、せっかくつくった製品をいかに販売していくかということでございますが、県産材がこのようにたくさん使われている中で、木材産業の振興のためには、やはり競争力の強化と販路の拡大が重要であると考えているところでございまして、競争力の強化ということに関して申しますと、効率的な生産施設の整備による生産コストを低減することが大事でございます。あるいは高品質な乾燥材等の供給体制の整備、あるいは技術指導の充実による建築現場のニーズへの積極的な対応、こういったものが必要ではないかと考えているところでございます。
 また、やはり販路というものも大事だと考えておりまして、これは製材企業と工務店との交流会の開催等によるマッチング促進、あるいは岩手県の製材品は5割近くが県内ではなくて仙台圏、首都圏のほうで販売しておるといったこともございますので、首都圏での商談会を活用した新たな販路の開拓、こういったものに取り組んでいるところでございます。
 今後とも、関係団体・企業と連携を図りながら、競争力の強化、あるいは販路の拡大に取り組み、本県の木材産業の振興、あるいは県産材の需要拡大に努めてまいりたいと考えております。
〇平沼健委員 確かに、販路なんですね。県としても従来からずっとやってこられてはいるんですけれども、やっぱり県内で生産されたものは、県のいろいろな物件に、強制的にと言うとおかしいんですけれども、使わせるというか、使ってもらうというか、そういう働きかけをもっとしていくべきだと私は思っているんです。地産地消、これは食品に限らず、いろいろな形で県産品をもっと県民に愛好してもらうことがひいては産業振興に当然つながっていくわけですので、それの拡大をもっとお願いしたいのが一つ。
 それから、57万立方が県外あるいは一部外材というお話でしたけれども、これは不足しているからこうなるんですか。将来的にこれはどうなんでしょう。
〇堀江林業振興課総括課長 まず、57万立方メートルの関係でございますが、これはやはり現在の段階におきましては県産材だけでは十分賄い切れないところもあって、あるいはユーザー側の希望に応ずる材が出せないということもありまして、そういった意味で不足しているということは言えるかと思っております。
 ただ、先ほど申し上げましたとおり年々県産材の占める割合はふえておりますので、我々も、今後ともユーザーサイドの希望を十分取り入れながら、希望にかなった材を供出できるように頑張ってまいりたいと考えております。
 それから、もっと地産地消のように県でつくった材を県内で使ったらいいんじゃないかということでございましたが、この件につきましては、岩手県でも率先して公共施設あるいは公共工事に県産材を利用するよう努めてまいるところでございます。岩手県の中で公共施設・公共工事木材利用推進行動計画というものを立てておりまして、今回、第2期ということで平成19年度から21年度までの3カ年計画で考えておりまして、その中で3年間で全体で1万7、100立方メートルの県産材を公共事業等で使わせていただくという計画を立てているところでございます。昨年度、今年度の実績見込みでございますが、全体の大体84%程度の進捗で県産材を使える見込みが立っているところでございます。
 さらに、市町村等に対しましても積極的に地域材を使っていただくように働きかけを行っているところでございまして、こういった面で県が率先しながら県の事業にも県産材を利用していく、あるいはそういった取り組みを市町村あるいは民間の方々にもぜひお願いしたいということで今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
〇平沼健委員 次に、水産について若干お尋ねいたします。
 サケについてお尋ねしたいんですが、その前に、先ほど来漁業燃油についての話がございました。今回の補助ということで、その申請が少ないというお話がございました。ただ、私いろいろな話を伺っているのは、例えば小型船でやっているワカメの場合、この場合には、ことしの春、大変価格が高騰しましたし、そういうようなことで補助申請をしなくてもいいというか、できなくなったというか、そういうことが大分あるやに聞いているんですが、それを先に一つ教えていただければと思います。
〇五日市漁業調整担当課長 今お話しのように、ワカメなど養殖業につきましては小型船が結構多くございまして、また、今、委員御指摘のとおり、ワカメにつきましては非常に価格がこの春先、高騰いたしました。そういうこともございまして、今回の申請の要件の一つに水揚げの金額が前年を上回ることがあれば助成額を返還しなければならないということもございますし、今後とも、ことし以上にワカメの価格がある程度とれればまたことしと同じぐらいの生産金額がとれると考えている方々にとっては、申請しても返還金が生じるということで、申請をしなくてもいいといいますか、控えているということもあるというふうには聞いてございます。
〇平沼健委員 それはそれで補助申請しなくてもいいということであればそれにこしたことはないわけでございますので、それはわかりました。
 サケの養殖施設について、一般質問等でも取り上げられておりましたけれども、施設整備というものに従来から国からの補助金が入っております。ただ、県からの補助がないような話も聞いているんですが、どこの養殖施設も随分傷んできておるのが実態のようでして、本当は利用者というか使用者が当然これは更新とか整備をしなければならないんでしょうけれども、やっぱり莫大な財源が必要だということもあります。そういうことで国が補助をしているんでしょうけれども、今後のふ化施設整備は県のほうでどのような形を考えているのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思っております。
 続いて、サケの稚魚の放流が毎年やられておりますが、回帰率が従来3%台だったのが今はもう2%台ということなんですが、どうして回帰率が上がらないのか、県の試験場等でいろいろ対策というか原因を探っておるようでございます。それはそれといたしましても、岩手県だけが回帰率がこういう状況なのか、北海道とか、あるいは他の県の回帰率の状況がさかのぼっていってどういうような形になってきているのか。岩手県と同じなのか、その辺もあわせてお聞かせいただければと思っております。
 岩手県から放流したサケが、ベーリング海というか、北上してきますね。そうすると、4年後とか5年後に帰ってくるときに、これはうがった見方ですけれども、北海道でとられてしまうんじゃないかなというようなことも、まあ、印がついているわけではないですからわかりませんけれども、その二つをとりあえずお聞かせください。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 初めに、ふ化場の施設整備についてでございますが、サケのふ化場の施設整備補助金の昭和49年から平成19年まで34年間の実績といいますか合計でございますが、事業費で約51億2、400万円余となっておりまして、うち国費が23億1、800万円、県費は11億8、000万円となっております。
 現在のふ化場の施設についてですが、県内に全部で内陸、沿岸合わせて57カ所のふ化場の施設があると聞いておりますが、その8割以上が整備後20年以上を経過しているということで、老朽化が進んでいること。それから、老朽化した施設を用いてサケの稚魚を生産しているわけですが、なかなか健康な稚魚の生産が難しい、生産効率が低下するなどということもあるようでございます。さらに、水を給水する施設等の故障のリスクも大きくなってきているなどのさまざまな問題があるものと認識しているところでございます。
 今後においては、強い水産業づくり交付金、国の事業を活用しまして緊急度の高いものから優先して改修を進めることとしておりまして、施設の改修を契機としたふ化場の再編整備について、関係団体と協議しながら計画的に進めていきたいと思っておるところでございます。
 それからもう一点、他県の放流状況と回帰率の御質問でございました。
 サケの稚魚の放流数でありますが、全国においては、平成10年から19年までの10年間で毎年約18億尾にも上るサケが放流されているところでございます。道県別には、北海道が10億尾、岩手県が2番目でありまして4億3、000万尾、青森県が1億4、000万尾、宮城県が6、000万尾、大体こういう数字で推移してきておりまして、北海道が全国の半分以上を占めているほか、北海道、青森、岩手、宮城の4道県で全国の9割を占めているという放流数の状況になっております。
 回帰率につきましては、放流尾数と同じように平成10年から平成19年までの10カ年で見ますと、岩手県は委員おっしゃいましたけれども低くなっているということですが、1.6%から2.8%と、3%を下回っている状況にありますし、北海道は3.4から6.1と高い数字を誇っております。それから青森県は0.5から2.0、宮城県が1.8から4.1となっておりまして、総じて北海道の回帰率が高い傾向にございます。
 その回帰率について、原因等をいろいろ調べているんですが、なかなかこれというのは出てきておりません。一つ、国の研究機関と連携して調査・研究を行っているところでございますけれども、ふ化場での過密飼育、それから適期前の放流等が多いことが指摘されておりまして、健康な稚魚の育成管理が問題となっておるところから、今後、国の研究機関及び関係団体と連携して、飼育管理マニュアルの改定、それから技術研修の充実、さらにはふ化場の飼育能力の診断などに努めまして飼育技術の向上に努めているところでございます。こうした取り組みによってサケの回帰率を、今、2%台ですけれども、3%まで上げて、ということは、今、2万6、000トン、2万7、000トンですので、ぜひ回帰率の向上によって4万トンを目指し、水産振興につなげたいと思っております。
〇平沼健委員 この回帰率、北海道が随分高いんですね。今、答弁ございましたけれども、確かに毎年稚魚の放流をやっているんですが、いろいろな工夫というか、年によって放流するときの大きさというか、それの時期を変えたり、あるいは放流する時期を若干ずらしたり前にしたり、いろいろな工夫をやっているようですけれども、それ以外に、北海道とこれだけの差があるというのは、やっぱり何かあるんでしょうね。それがわかればいいんでしょうけれども、その辺だと思います。
 あと、もう一件、最近どうですか、前にたしかサケがとれ過ぎて、あるいは雌の腹を割いた後のものを生で冷凍して中国とかどこか東南アジアに輸出しているというか、そういうこともあると思うんですが、その辺の今後の見通しというか、これはサケがたくさんとれればの話でしょうけれども、受けるほうの何か問題でもあれば、あるいは将来的にこれはどうなんでしょうか、輸出というのは。
 以上二つ伺って終わります。
〇浅沼流通課総括課長 初めに、輸出の関係、お答えいたしたいと思っております。
 秋サケの輸出と将来性でございますが、本県の秋サケ、質問にもございましたとおり中国への輸出が多くなってございまして、平成19年の輸出実績を見ましても、2億6、000万円ということで前年の3倍強の伸びとなってございます。大きく伸びてございます。
 今後の見通しという部分でございますけれども、輸出自体、為替変動がございます。さまざまな経済要因に大きく左右されるものではございますけれども、経済成長が続いております中国におきましては水産物の需要の増加が見込まれております。本県といたしましては、引き続きこの水産物の輸出に大きく期待をしているところでございます。
 以上です。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 北海道と余りにも数字が違うので、北海道のほうでいっぱいとっているんじゃないかというお話のようでございますが、確かに歩どまりを考えても、岩手のサケも北海道のサケも宮城も青森も全部同じコースをたどって、北海道の沿岸を通ってオホーツク、ベーリング海、北洋にずっと行くわけですので、北海道が一番行き先に近いところにいるわけですから、北海道までの距離、岩手への距離の部分については岩手にとってはマイナス要因、北海道が一番いいポジションにあるというのはわかります。
 もう一つ、北海道で今度、帰ってくるサケ、はえ縄でとったサケに標識をつけて、どこに行ってとられるかという試験をやっているわけですが、一部は本州に来るということは、何%かは沖ではえ縄漁業でとったサケについて本州の分をとっている部分も若干はあるとは思います。
〇嵯峨壱朗委員 サケについて私も聞かせていただきたいと思います。
 今いろいろと話があったとおりですけれども、平成8年の7万トンをピークに、ずっと3万トン、半分以下になっている状態であると。私の一般質問では回帰率の向上のために取り組んでいくという話でしたけれども、予算の面で見ると、平成18年度決算ベースで見ると、2億6、800万円だったのが約1億円ぐらい減っておりますね、振興費という面で見ると。そういった中で、まず、これはなぜ大きく減っているのかお聞かせ願えればと思います。
 ことしのサケというのは、新聞等で見ますと大分低調なような話でありますけれども、現在、最も早い数値でいいですけれども、どういうふうな水揚げ状況になっていて今後どういうふうに見通しているのかお聞かせ願いたいと思います。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 平成19年度予算が大きく減っている理由につきましては、平成18年度から、国のほうで新たなサケの増殖事業に対して、県を介さない業界、漁協さんですけれども、そちらに補助金を出す事業ができておりまして、その分というわけではないんですが県の部分が減っているような状況にございます。
 それから、今後の見通しにつきましては、新聞でも報道がありましたけれども、10月10日現在の県全体の沿岸の漁獲量についてですが、1、017トンということで前年同期の53%。金額では4億4、000万円、同期で同じく63%と、沿岸漁獲量、金額ともに前年度を下回っております。また、その分逆に平均単価は436円と、2割ほど高い状況になっております。
 今後の見通しでありますが、大産地といいますか、1カ月ほど先行してサケが来ている北海道、それから青森、宮城の漁獲量も前年を下回って経過していることから、前年並みを維持することはなかなか厳しい状況と考えております。
 しかしながら、水産技術センターの来遊予想では11月下旬が回帰のピークと見込まれており、今後の水揚げ増加が期待されることから、盛漁期の水揚げ状況を注視してまいりたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 平成19年6月の現計だと2億1、000万円という補正後の数字があったんです。それが決算の段階になると5、000万円ぐらい減っているんですね、実際には。ですから、ちょっともったいないなと思って見ていたんです。予算をつけておいて使わなかったのかなと思って見ていました。
 そして、今年度の予算というのは、その決算金額を受けたような形でですけれども1億5、650万円とまた減っているんですね。これは、先ほどの説明で交付金が直接団体等に入っているからということなのか。やはり水産振興という面で見ると、水産振興費全体が10年ぐらいの間に3分の1になっていますので、前も言いましたけれども、サケというのは100億ぐらいの水揚げ額、そしてそれを加工することによって数百億の経済効果があるわけですよね。そういった面からすると、国からそういったのが来たからまあいいやとかというのではなくて、やっぱり県としてももっと、極めて有力な有効な魚種として振興するという姿勢が大事ではないかなと思って見ていました、予算上を見て。ちょっとその辺の考え方も、もっとふやして振興すべきじゃないかという視点で質問させていただきます。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 先ほど、県を介さない新たな国の交付金ができたということをお話ししました。そのほかに県としても、委員おっしゃいましたけれども、100億近いサケの効果、結局、水揚げが100億ということは、加工なり流通なり、トータルでいけばもっと大きな経済効果として出てくるわけですが、それは非常に重要な魚種であると考えておるところから、いろいろな取り組みをこれまでずっと民間と一緒になってやってきているわけです。4億3、000万尾毎年ずっと放流してきているわけですが、トータルの生産にかかる経費につきましては、県の部分といいますか、トータルでそんなに落ちていないといいますか、1割程度の減にとどまっていることが一つございます。
 それともう一つ、県としては、増殖事業を進めていく上で、業界に対して、放流にかかる経費だけではなくて、放流して、後に戻ってくる回帰率を上げるというほうで貢献したいと思っておりますので、民間主導で今、種苗の放流がだんだんなされてきている状況にあることから、県としましても、額は少なくなりましたけれども、回帰率の向上に注力してまいりたいと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 厳しい予算ですから、そしてサケの回帰率というより、いわゆる水揚げ量がふえると、それから1匹当たりの手数料という形でふえてきますよね、金額も。ですから、恐らくそういうことによって減った分をフォローすることは可能だと思うんですよ。そのために、今おっしゃられたとおり、回帰率を上げるために健苗をどうやってやるか。その一つが、先ほど言いましたけれども、古くなった施設再編ということ、これをするとかじゃなく、もっと加速してやるべきじゃないかと思うんです。20年ということは、1年に一つずつ直していくとどうなりますかね、これ。57カ所、そして80%以上が20年以上経過している。もう10カ所直すと30年以上経過しているものばかりになってくる。やはりこれは、そういった協力の仕方、そういう姿勢でいいと思うんですけれども、それをもっと加速してやっていかないと追いつかないんじゃないかと思っているんです。養殖のためのふ化場の施設というもの。どうでしょうか。
〇高前田農林水産部長 サケの増殖事業の関係でございます。
 これにつきましては、確かに委員御指摘のとおり、県の財政的な制約もございまして県の予算自体は減少してきておるわけでございますけれども、先ほど来御説明をさせていただいておりますとおり、ほぼ4億3、000万尾といった放流の水準は何とか維持をしてきているところでございます。これは、国の新たな交付金もございますし、それから民間のほうの自主的な財源の確保といったような努力もありまして、何とかこの4億3、000万尾を確保してきているところでございます。
 今後についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、こういった増殖事業、非常に本県の主力魚種でございますことから、しっかりと資源の安定的な維持・増進ということを図っていかなければならない。そのためには、御指摘のとおり、一つはふ化場の整備、更新というものがございます。ただ、これも現在ある五十数カ所のふ化場をそのまま更新するということはとても現在の状況の中では難しいと考えておりまして、これはやはり地域ごとにしっかりとしたいろいろと御議論をいただいてその再編整備を進めていくことが重要であると考えておりまして、私どもとしては、そういった再編整備の議論というものを地域の方々と一緒になって進めていくというのがまず一つございます。
 さらに、やはり重要なのは、限られた財源ではございますけれども、回帰率を1%上げるだけでも大変な効果が期待できるということでございまして、これにつきましては、ことし8月に国の試験研究機関、それから私ども、そして民間の団体といったようなところが連携した形でチームを編成して具体的な取り組みを開始する。具体的に申し上げますと、国のさまざまな知見も入れながら、そして北海道の先進的な取り組みというものもしっかりと調査をした上で、本県としてもこの回帰率の向上に向けて関係機関・団体が連携して取り組んでいくという対応を今しているところでございます。
〇斉藤信委員 原油高騰、資材高の影響、先ほども質問がありました。私、少し立ち入って、国の水産業燃油高騰、いわゆる102億円の基金事業、これはどのぐらいの漁業者が対象になっているか。
 先ほどの9割の燃油補てんは10グループ63隻ということでしたが、今の燃油価格がこのまま推移するとしたらどのぐらいの補てんが予想されるのか。これはもう締め切りが終わっているわけですね。それをお聞きします。
〇五日市漁業調整担当課長 102億円の平成19年度補正予算で措置しました基金事業につきましては、まず、輪番制で休業して、これに対して支援をするという事業につきましては、七つの漁業種類、186人ほどに対しまして8、935万円の事業費で支援をしているところでございます。
 それから、先ほど申し上げました省燃油操業実証事業につきましては、10億4、700万円の事業費に対して、これは燃油の総額でございまして、これに対する国の直接の助成額は2億5、000万円、これは9月をもとにした金額でございまして、現在の価格は若干下がっておりまして、大体2億2、000万円ぐらいの助成になるところでございます。
〇斉藤信委員 漁業経営体質強化事業というのもあるし、経営安定対策事業というのもありますよね。それぞれ正確に答えてください。
 そして、対象の漁業者に対してどのぐらいの比率になるのか、手を挙げた人たちが。私は、例えば9割補てん策というのは、20万隻の全国一斉休漁、岩手県は1万5、000隻になるのかな、画期的な運動で実現したものだと思うけれども、しかし、中身は極めて貧困で条件が厳しくてという中身ではないかと。だから、そこらを正確に示してください。
〇五日市漁業調整担当課長 先ほどの国のほうの102億円、これは平成19年度分のほうの補正のことで、お話が抜けておりましたが、漁業経営体質強化対策事業につきましては省エネへの転換を助成する事業でございまして、大船渡市管内の11人の漁業者が560万円ほどの事業費でエンジンの交換を行っているところでございます。
 それから、岩手県の漁船隻数、全体でいいますと1万5、000隻ほどございますけれども、このうち、実際に今回申請したのは63隻でございます。ただ、漁船漁業だけを考えてみますとおおむね3トン以上の漁船と考えることができますので、おおむね3トン以上の漁船でありますと1、000隻ほどございます。そのうちの63隻ということですので、6%ぐらいということになっております。
〇斉藤信委員 これは漁民の皆さんが本当に死活をかけて一斉休漁、いわゆる労働運動であればゼネストをやって勝ち取ったと。農業者よりもいち早く9割補てんという、制度としてはすばらしい制度をつくったけれども、しかし、条件、その他で十分申請されなかったというのは、私は、やっぱり引き続き国に改善を求めていく必要があると思います。例えば農業の場合だったら、品目横断なんか、今、大幅に改善されたわけですよ。だから、漁業の問題も、一度できた制度が使いにくかったら使いやすいように改善していくという、ぜひその点で取り組みを強めていただきたい。
 それと二つ目に、地域営漁計画が21漁協で作成されています。私、この取り組みに当たって、県が重点としているワカメ、アワビの増産、秋サケ100億、高鮮度、衛生管理の水産物提供の取り組み、三つを重点にしていると思うんですけれども、これをどういうふうに進めるか。ワカメは値段はよかったけれども、生産量は激減しているんですよ、長期的にいくと。私は、沿岸漁業を振興する上では、このワカメの生産をどう確保して増産に向かわせるかというのがポイントになると思うけれども、この地域営漁計画の重要な課題の推進について示していただきたい。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 地域営漁計画の課題としてワカメ等の増産についてでございますが、ワカメの増産については、地域営漁計画を養殖の盛んな21漁協で作成しているところでございますが、主に高齢化等により空き漁場が発生している、養殖漁場の中に使われない漁場が発生していることから、それを効率的にワカメで生産性を戻してやるということで地域営漁計画にのせている漁協がかなりあるわけですけれども、そういった生産者のグループによる協業化が一つでございます。それから、陸上刈り取り機等の機械化、システム化、これは県が水産技術センターを中心に取り組んでいるところでございます。それによって生産拡大を図っていこうということ。さらに、契約栽培等の生産者と加工業者の連携強化、これについて進めていくことによって増産に向けていきたいというのがワカメでございます。
 アワビについては、回収率の向上に向けて、毎年800万個ほど稚貝が放流されておりまして、資源は造成されていると認識しております。その資源の利用の仕方といいますか、回収率の向上に向け、放流する方法を改善するというところを今、大船渡地区を中心に強力に指導しているところでございます。
 それから、サケにつきましては、先ほど来の回帰率の向上の取り組みをしているところでございます。
〇斉藤信委員 ワカメについては、今、価格がいいだけに、私は、ある意味でいけば生産拡大のチャンスというか後継者を確保するチャンスと。県議会の議員連盟で広田漁協にも行ってきました。あそこは協業化が進んで、冷蔵庫も買って作業を通年化しているということも聞きましたし、綾里漁協では、定置に取り組んでいる青年をそういう空き漁場でも活用するという形で空き漁場を基本的には解消している、こういう話も聞きましたので、そういういい経験も出ているので、今の条件をぜひ生かした取り組みにしていただきたい。
 アワビで私、聞きたいんだけれども、これは警察でも質問がありましたが、密漁対策、これを県警と連携してどういうふうに水産としては取り組むのか。
〇五日市漁業調整担当課長 アワビの密漁対策についてのお話でございます。
 まず、取り締まり体制につきましては、県南域におきましては、今、県の漁業取締船初め県警の警備艇、それから海上保安部の巡視艇、それからまた、漁協でも監視船がございます。それらと密接な連携をとりながら、宮城県のほうから侵入してきます密漁被疑船の取り締まりを進めておりますし、また、県北地方におきましては、漁業取締事務所の臨時事務所を久慈に開設してございます。これで青森県側から侵入する密漁船の取り締まりあるいは夜間の取り締まりの強化に今、取り組んでいるところでございます。
 また、罰則の強化という面につきましては、この4月から漁業法及び岩手県漁業調整規則が改正・施行されたところでございまして、知事許可漁業の違反者に対して罰則を大幅に強化したところでございます。これらを含めまして、これからも沿岸地域での密漁の監視に取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 宮城県では、アワビの密漁で年間20億円の被害という新聞報道もあります。暴力団がその背景にあると。岩手県では推計ができますか。どのぐらいの被害額が推計されるか、わかりますか。
〇五日市漁業調整担当課長 実際に密漁船が目視される、あるいは県警等に逮捕されるという事例そのものが恐らく氷山の一角であろうということを漁業者の方々もおっしゃっておりますし、我々もそういうふうに考えております。ですから、今、アワビですと400トンぐらいの漁獲はありますけれども、それのうち何割ということはちょっと推計いたしかねる状況でございますが、やはり毎日というぐらいに出没しているとも聞きますので、相応の被害があるものと考えられます。
〇斉藤信委員 最後にまとめて二つ聞いて終わりますが、財界、政府のいわゆる高木提言というのがあります。これは、定置漁業や養殖漁業に外部企業の参入を自由化させるという、いわゆる水産業における規制緩和、構造改革路線であります。漁民の皆さんのこの高木提言に対する大変な危機感というのを私、聞いてきたんですけれども、これに対して県はどういうふうに受けとめ、対応しようとしているか。
 それと、広域振興局の再編と絡んで、私、沿岸の広域振興局の再編というのは百害あって一利なしではないかと思っているんですけれども、水産の場合、漁協に行って強調されるのは、水産指導員をもっと確保してほしいと、もっと現場に来てほしいと。私、広域振興局が再編になったら、やっぱり広域振興局に中心部分が集約されて、例えば大船渡とか釜石、宮古に半分ぐらい配置というふうになれば、結局はリストラになってしまうのではないか、今の体制というのを縮小させることになりはしないかと危惧していますが、どうなんでしょうか。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 初めに、高木委員会のお話がありました。確かに、民間の水産業への参入をオープン化するとか、個別割り当て制度等の導入等ありますけれども、いずれにしても現行制度の大幅な改正が求められるものでありまして、その実現に向けては、漁業権を初めさまざまな課題についての議論が必要なものと思っております。現在、内閣府の規制改革会議で検討が行われておりまして、平成21年3月末までに取りまとめると聞いております。議論の推移を注視してまいりたいと考えているところでございます。
 また、本県では独自に、先ほど来出てきております効率的な漁場の利用に向けて、所得向上を図っていくための地域営漁計画の取り組みを推進しているところでありまして、その成果を踏まえて、必要に応じて国に対して提言を行ってまいりたいと思っているところでございます。
 それから、広域振興局についてのお話でしたが、やはり県北、沿岸の活性化を図っていくためには、地域の産業の基幹となる水産業の振興が重要であると考えておりまして、この目的のため、市町村、関係団体と連携を図りながら、より広域的な視点で、地域が主体的かつ機動的に現場対応ができるよう、そして水産振興ができるよう取り組んでいけるような広域振興局の体制を目指してまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 高木提言については、推移を見守る程度では、私、だめだと思いますよ。出されてからじゃだめなんですから。本当に漁民の人たちは、あの高木提言のとおりにやられたら、戦前の事態にまた戻ってしまうと。本当に漁業権が破壊されてしまうという危機感ですよ。これをよく地方としても分析をして、しっかり国に……。大体構造改革路線は今、破綻しているんだから、破綻したときにこれから水産業にという、私はこれ自身時代錯誤だと思うので。
 あと広域振興局再編は、県の方針も踏まえて、私もっと立ち入って聞きたかったのは、広域振興局にした場合にどうしても人員を集約せざる得ない。そうすると現場が薄くなるんじゃないかと。そうなっては水産業の振興に逆行してしまう、そういう心配も現場の漁協にあるということです。だから、そこを本当にそうならないように検討していただきたい。これは指摘で終わります。
〇小野寺有一委員 先ほどアワビの密漁の件が斉藤委員からお話がございましたけれども、その中で、今回、県の漁業調整規則の罰則から漁業法の罰則によって、それで結果として漁業調整規則から漁業法の罰則になるということで、その罰則が結果として厳しくなったというようなお話だったろうと思います。ただ、この漁業法の罰則については、以前の漁業調整規則のものと比べて、結局、業としてやっている人しか罰則できないとか、そういった構成要件のハードルが少し高くなっている、厳しくなっているというふうに聞いております。そうすると、これは漁業法による罰則だけではなくて、漁業調整規則の罰則の従来の規制といったものも併用して運用していく必要があるのではないかというふうに思うわけですけれども、その法律の構成と規則の構成がどういうふうになっているかということと、それから、これはそういう抜け穴的なことにならずにきちっと規制できるものなのかどうかというところをお尋ねしたいと思います。
〇五日市漁業調整担当課長 今、漁業調整規則と漁業法、アワビの罰則の強化ということについてのお尋ねでございますけれども、まず、漁業調整規則のほうは、漁業調整規則を今回、改正して、そして漁業法の罰則が適用になるという改正になっておりまして、今回、アワビの許可だけではなくて、そのほかにも知事許可漁業、かごの漁業とか刺し網の漁業とか、そういうものがございまして、それらがすべて漁業調整規則の違反になれば漁業法が適用されて3年以下の懲役または200万円という罰則が適用される構造になってございます。
 ただ、今、お話ありましたように、新聞等で報じられているように、アワビの密漁がつかまっても今までの調整規則の罰則でしかなかったじゃないかというふうな意味で抜け穴的というお話もあったのかと思いますが、いずれ罰則をかけていく上では、重い罰則をかけることになればなるほど、やはり慎重な取り調べといいますか、証拠を集めるといいますか、そういうことが必要になってくると思います。そういう観点から、やはり捜査をしていただいている方々に内偵捜査と申しますか、そういうことをお願いしたい部分もございますし、我々が協力できる部分につきましては一緒になって協力してこれに対応していければと思っております。
〇及川あつし委員 事項別明細書253ページ、林業費中、松くい虫感染源クリーンアップ実証調査費310万円余について1点伺いたいと思います。
 まず、きょうの質疑でも松くい虫の被害の質疑がいろいろありましたけれども、関係各位の御努力によって松くい虫の被害の拡大が防がれているということについては皆様の御努力に大変に敬意を表したいと存じます。
 ことし、盛岡でも6本ぐらい立ち枯れの木が出て、あわや紫波から盛岡へという危惧もあったわけですが、どうやら調査をしたら違ったということで安堵もしているところでございます。
 この松くい虫感染源クリーンアップ実証調査についてはかねてより私もいろいろ関心を持ってきたところでありますけれども、今、マーケットのほうでは産業用のチップが大変に需給が逼迫しているというような状況があるようでございまして、需要のある業界ではチップをとにかく求めている、こういう状況があるようであります。
 一方で、先日も議連で遠野のほうに幹線道路を渡りながら行くときに、道路沿いからも青いシートをかけた松くい虫の被害木がそこに置かれている。平成19年度、20年度で、この松くい虫の関係で、いわゆる拡大防止のために潜在被害木をどう処理していくか。除去と、また、潜在被害木をチップ化して、そして事業化もしていこうという一石二鳥の事業が展開されていたと承知しておりますけれども、これまでの御説明で、本年度までの2カ年事業でありますので、7月ぐらいまでには中間報告云々ということも聞いておりますので、この実証調査について、現時点でどのような状況になっているのかお知らせいただきたいと思います。
〇中村整備担当課長 松くい虫感染源クリーンアップ実証調査についての御質問でございます。
 中間報告のところでございますけれども、松くい虫感染源クリーンアップ実証調査の成果は、赤枯れした被害木周辺の衰弱木等、いわゆる感染源となりますアカマツを徹底除去いたしました結果、被害の再発がほとんど見られなかったことから、被害の蔓延防止策としては効果があるということが実証できたということが1点ございます。
 それから、被害木を中心に半径60メートルの範囲内にある感染源の除去が被害再発防止に最も効果的なエリアだということが明らかになったことが2点目でございます。
 それから、量がまとまるということで、被害木等のチップ化も検討いたしました。その結果、伐採現場から150メートル以内に林道等、いわゆる搬出する道路があることや、それから伐出現場からチップ工場までの運搬距離が30キロメートル以内であることなど、現状の経費の範囲内でチップ化が可能な現場条件が明らかになったと、この3点が成果ということで、現在のところ挙げられているところでございます。中間報告でもそういう形で報告してございます。
〇及川あつし委員 わかりました。3点ほど実証の結果、いろいろ効果があったということでありますけれども、今、最後、御答弁いただいた現場条件、道路の件と、あとは工場という表現だったと思いますが、その現場条件がわかったということでありますけれども、実際の感染地と、被害地と言っていいんでしょうか、それと、現場条件のマッチングがあと最終的に課題になってくるんじゃないかなと思っております。需要のある工場のところにたまたま被害があって、たまたま需要と供給がマッチングすれば事業化になるということだと理解しましたけれども、今、踏み込んで工場と被害地サイドのマッチングが具体的に進められる状況になっているかどうかまで検討がいっているのか、そこも含めて、再度、御答弁をいただければと思います。
〇中村整備担当課長 この事業につきましては、赤枯れした被害木があるところが条件になりますので、実際、事業を行う場合は、そういった箇所が対象になりますし、先ほど申し上げましたように、林道等の搬出条件やチップ工場までの運搬距離が30キロぐらいと限定されますので、今後取り組む場合には、そういった場所について選定して実施すると、先端地域において実施するということになります。
 いずれ、徹底した感染源除去を行うことによりまして被害の北上を阻止し、さらには被害地域を押し下げ、縮小することがこの事業に可能と考えておりますので、今後、被害先端地域における新たな対策を検討する中で生かしてまいりたいと考えてございます。
〇及川あつし委員 松くい虫の被害の防止についてはよくわかりました。ぜひ、今後も拡大しないように御対応いただきたいと思います。
 もう一つの事業化のほうについてですけれども、今年度までの事業ということでありますから、具体化というところで、今後のスケジュールがどのようになっていくのか、再度、具体化している部分についてお知らせいただきたいと思います。
〇中村整備担当課長 来年度以降の事業化についての御質問でございますけれども、現在、来年度予算に向けて内部で検討しているところでございますので、何とか新たな対策に、このクリーンアップの実証調査の成果を生かしていくようにしていきたいと考えているところでございます。
〇及川あつし委員 あともう一点確認ですけれども、先ほど成果で示していただいた現場条件がいわゆる需要先とマッチングしない場合は、従来どおりの処理方法で、現場に薫蒸処理した後シートをかけて、そのままの状態でやるという理解でいいですか。
〇中村整備担当課長 チップ化の条件に合致しない箇所については、今委員御指摘ありましたとおりの、従来の方法でやっていくと考えてございます。
〇大宮惇幸委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇嵯峨壱朗委員 あしたの国庫補助金の不適切会計処理について集中審議が行われることになっておりますけれども、充実した審議を行うためにも、きのう行われました集中審議の会議録を精査する必要があるかと思っております。それで、質疑の準備にも時間を要することですので、委員長におかれましては、きのうの会議録の精査をできる限り早くというか、本日中というのは不可能でしょうけれども、あしたの早い時間に各位に配付いただけるよう、お取り計らい願えればと思いますが。
〇大宮惇幸委員長 確認いたしますけれども、昨日の集中審議の議事録、会議録。
〇嵯峨壱朗委員(続) はい。
〇大宮惇幸委員長 速記録は無理なようでありますので、職員がテープを起こしてあすの朝までに……。
 テープであれば、午前中には可能だということであります。
〇嵯峨壱朗委員(続) 可能な限りで。
〇大宮惇幸委員長 よろしゅうございますか。
〇嵯峨壱朗委員(続) はい。
〇伊藤勢至委員 県北・沿岸振興という点について、どなたかがおっしゃるのかと思っていましたが、なかったので2点だけ伺いたいと思います。
 県北・沿岸振興の中の重要なポイントは、水産漁業にあると思います。もちろん、農林水産、農も林もあるわけでありますけれども、県北・沿岸にあって内陸にないものとして、やっぱり海という部分が大事になろうと思います。そういう中で、県が立てました県北・沿岸振興の施策を具現するのは、やはり最前線で動き回ってもらっています水産業普及指導員にあると思っています。平成19年度は大船渡市漁協、重茂漁協、宮古漁協など16漁協、そして平成18年度は広田湾漁協、田老町漁協、野田村漁協などの5漁協、ここに地域営漁計画を策定するために努力をしてもらったと思っております。これは、各漁協の戦略目標を立てるということだと思うんですが、本当によくやってもらったと思っておりますし、そのほかにも、これまで未活用でありました魚介類等の新しい開発にも、地域と一緒になって取り組んでもらっているわけですが、その水産業普及指導員が残念ながら非常に数が足りないと思います。
 ちなみに、水産業普及指導員は14名、そして林業普及指導員が39名、そして農業普及員が210名、こうなっています。ウエートの差はともかくといたしまして、この最前線で働いてもらっている、汗をかいてもらっているこういう方々を充実するというのも、県北・沿岸振興の底支えをすることになろうと思っておりまして、総務部のほうでもちょっと聞いたんでありますが、高前田部長から、ここに人員を拡充するというお考えを持って交渉に当たっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか、まず1点。
〇高前田農林水産部長 水産業普及指導員の関係でございます。今、委員御指摘のとおり、県北・沿岸地域の産業振興を図るといったような観点からは、特に水産業が中核を担う重要な産業部門であると認識をいたしております。したがいまして、地方振興局、それから産業技術センターに配置する水産業普及指導員は、水産業の振興に向けて、これまで以上に地域に密着して、柔軟性と機動性に富んだ普及指導業務を推進する必要があると認識をいたしております。県では、こういったような認識のもとに、現在取り組んでおります行財政改革による職員体制の見直しの中でも、今申し上げたような考え方に基づきまして、水産業の振興を図るため、平成17年度以降、現状どおりの配置数を何とか確保してきたところでございます。
 この委員御指摘の14名という水準でございますけれども、ちなみに、これは水産業の盛んな隣県の青森それから宮城と比べましても、同等の規模となっているところではございますが、いずれにいたしましても、現在、広域振興局体制について検討いたしているところでございまして、普及指導業務をより効果的に行い、現行の普及指導水準が低下しないように、さらに増すように、研修の受講等を通じて普及指導員の一層の資質向上を図るとともに、引き続き水産業普及指導員の必要性の確保について、取り組んでまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 ぜひ、隣近所にそろえばいいというものでありませんので、隣近所から抜けるんだという思いでひとつ取り組んでいただきたいと思います。
 次に、サケの回帰率の問題についてお伺いをしたいと思います。
 平成8年が7万3、000トンと覚えているんですが、今伺いましたら、北海道が図抜けて回帰率が非常によろしいと、こういうことのようであります。しかし、北海道につきましては、札幌の豊平川あるいは標津町の忠類川。この札幌の豊平町にはウライ施設があるんですけれども、これは通年置くものでありませんで、竹でつくっていますので、つくる以前は自然遡上、そして自然ふ化があるんだと思っています。したがって、そのほかに忠類川もそうですし、北海道の河川は数が多いものですから、自然遡上、自然ふ化という行為が非常にあるんだと思っていまして、全くそういう部分がないところと回帰率を比較しても無駄ではないかと思いまして、分けてみる必要があるんではないかと思いますが、そういう点、調査をされたことがあるんでしょうか。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 人工ふ化と自然ふ化の生き残りというか、その差についてでございますが、岩手県では余り記憶にないんですが、ほかの県でありまして、やはり人工ふ化のほうが当然高いわけですけれども、自然ふ化については、試験の状態にもよりますけれども、たしか記憶では、人工ふ化の3分の1とか4分の1のあたりだったと思っておりますが。
 確かなことは、では、後ほど確認したいと思います。
〇伊藤勢至委員 人工ふ化のほうが回帰率が高いといいますか、いい稚魚ができるとおっしゃいますが、やっぱり自然界は弱肉強食、優勝劣敗ということが生きているんだと思うんですよね。ところが、岩手がやっています人工ふ化といいますのは、川どめをして、定置網にかかって、雌のおなかを裂く。そして、そこまではいいんですが、たまたま上がってきた雄をこん棒で殴って白子を出すわけです。その雄が強い雄なのか弱い雄なのか、くたびれた雄なのか元気な雄なのかわからないというところに、実は回帰率向上ということに結びつかないのがあるんではないかと思います。フルマラソンで走ってきたサケもいれば、ハーフマラソンで戻ってくるサケもいるんです。ですから、そういうことを一回、自然力を取り戻すという意味から、自然遡上に若干切りかえて、そして優勝劣敗の遺伝子といいますか、そういう野生の流れを組み込んでいかないといけないのではないかなと思うんでありますが、いかがでしょうか。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの人工受精については、委員おっしゃいましたように、確かに雌の腹を裂いてそれに雄の精子をかけるわけですけれども、実際、雄1匹だと、例えば受精能力のない精子もありますので、複数の雄を混ぜて使うように全部指導しておりますので、その点はかなり、生き残りについてはちゃんと帰ってきていると思っております。
〇大宮惇幸委員長 ほかにありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇大宮惇幸委員長 執行部に申し上げます。
 昨日、会計の不適切処理に係る集中審査の際、本日中に提出願うこととしていた資料については、どのような状況でしょうか。
〇小田島農林水産部副部長 あすの資料でございますが、私ども農林水産部の分と県土整備部所管分の資料、あわせて、今、鋭意作成中でございます。本日というお約束をいたしておりましたが、かなり厳しい状況にございまして、あすの委員会開会前、各会派等に県土整備部所管の資料とあわせましてお届けさせていただければと思っております。
〇大宮惇幸委員長 やむを得ないと思料されますので、明日の当委員会までに提出願うこととしたいと考えますので、御了承願います。
 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時35分 散会

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