平成20年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇3番(小西和子君) 政和・社民クラブの小西和子でございます。
 発議案第4号義務教育費国庫負担制度の堅持及び国庫負担割合の2分の1への復元を求める意見書について、賛成の立場で討論を行います。
 次代を担う子供たちの健やかな成長は大人たちの願いであり、子供たちが全国どこに生まれ育ったとしても、ひとしく良質な義務教育が受けられることは憲法の保障するところであります。人間としての素養や国民としての必要な基礎的資質を培うために、すべての学校にすぐれた教職員を一定数確保し、全国的な観点から、教育の機会均等、教育水準の維持・向上、義務教育無償を保障することは、義務教育に対する国の重大な責務であります。さらに、少人数学級や少人数指導の実現など、各地域、各学校でそれぞれ特色ある教育が展開されることが強く望まれておりますが、これらを実現するためには、国による財源補償制度、すなわち義務教育を財源面で支える義務教育費国庫負担制度が不可欠です。しかし、義務教育費国庫負担制度は、国の財政難を理由に、1984年以降、少しずつ切り崩されてきました。この間、全国の多くの県議会及び市町村議会から、義務教育費国庫負担制度堅持に関する意見書が提出されてきました。
 ところが、こうした設置者や教育関係者の声があるにもかかわらず、2005年、国は、義務教育費国庫負担金について、国の負担割合を2分の1から3分の1とする大幅削減を決定しました。この負担割合の削減や地方交付税の削減の影響、厳しい地方財政の状況などから、自治体において教育予算を確保することは困難となっています。
 社会が多様化する中、学校現場における課題も多種多様になってきております。いじめや不登校、学級崩壊、さらに家庭での児童虐待などの問題、その解決に奔走し、多忙化する教員の残業時間は40年前の約4倍にも増加しています。現場の教職員からは、多忙化を解消し、子供と向き合う時間をふやしたいという切実な声が聞こえてきます。多忙化を解決する最も確実な方法は教職員をふやすことですが、国庫負担割合が3分の1と大幅削減されてからは、むしろ、人件費を抑えるため教職員の採用人数を減らし、さまざまな雇用形態の臨時採用者をふやしています。
 さらに、2006年に成立した地方分権改革推進法に基づき、義務教育費国庫負担制度についても議論の対象となることが見込まれます。自治体の財政力の違いにより教職員数に差が生じ、そのことが教育水準の差につながることは、教育の機会均等の考えに矛盾しています。義務教育費国庫負担制度が維持されなくなったときの最大の被害者は、未来を担う子供たちです。
 義務教育費国庫負担制度を堅持し、かつ国庫負担割合を2分の1に復元することを国に要望することに、議員各位の御理解と御賛同を賜わりますようお願い申し上げ、賛成討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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