平成20年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 発議案第3号後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書の採択に賛成の討論を行います。
 後期高齢者医療制度は、2006年6月に自民党と公明党によって、まともな審議を行うことなく、数の力で強行採決を行って決めたものであります。まともな準備も説明もすることなく、4月実施を強行しました。実施されて以降、後期高齢者医療制度の余りのひどさに、高齢者だけではなく、医師、医師会など医療関係者、国民の怒りが沸騰し、廃止を求める一大国民運動が広がったのであります。
 その中で、参議院では後期高齢者医療制度の廃止を求める法案が可決され、衆議院でも否決できずに継続審議となったのであります。福田内閣は、国民の厳しい批判の前に見直しに追い込まれました。その中身は、わずかな負担軽減策と終末期相談支援料の7月からの凍結を行うというものでありました。一時的なごまかしにすぎませんが、それは制度の破綻を示すものでもあります。
 後期高齢者医療制度の第1の問題は、制度の目的が、老人保健法の国民の老後における健康の保持から、医療費の適正化、いわゆる医療費の削減が目的となったことであります。実際に、2015年までに後期高齢者の医療費を2兆円削減する、2025年までには5兆円削減する計画となっています。後期高齢者医療制度は、医療費削減、医療切り捨ての制度であります。
 第2の問題点は、すべての高齢者から保険料を取り、2年ごとに値上げをする制度になっていることであります。滞納者からは初めて保険証の取り上げが明記をされました。保険料も高額所得者ほど低くなる異常な制度で、厚労省の不十分な調査でも低所得者の39%が負担増となっています。
 全日本民主医療機関連合会による全国4、645人のアンケート調査では、42.4%が保険料が高くなった、低くなったのは7.2%であります。重大なことは、2年ごとの値上げで、2015年には平均9万8、000円に、2025年には16万円に2倍以上に値上げされる制度となっていることであります。厚生労働省の担当者は1月の講演会で、医療費が際限なく上がり続ける痛みを、後期高齢者が自分の感覚で感じ取っていただくことにしたと述べました。後期高齢者に保険料値上げの痛みを押しつけるのが、この制度であります。
 第3の問題は、75歳以上に差別医療が持ち込まれたことであります。通院・外来の場合、主治医を決めれば月6、000円の定額医療となる後期高齢者診療料が導入されました。これまでの平均でも月7、700円を超えると言われていますが、これではまともな医療も検査もできないと、全国30を超える都府県医師会が反対を表明しているのであります。入院の場合は、退院が難しい高齢者の円滑な退院を調整すれば、1、000円の後期高齢者退院調整加算がもらえることになりました。終末期医療では、延命治療をやめた場合、わずか2、000円の診療報酬がもらえることになりましたが、余りにもひどいとして、7月から凍結されることになったのであります。予防・健診も義務ではなくなり、市町村独自の人間ドックに対する助成もなくなっているのが実態です。
 75歳になったら、受けられる医療で差別される、これはまさに人間の尊厳を踏みにじるものであります。日本には、喜寿、米寿、卒寿、白寿など、長生きをみんなで喜び、お祝いするよき伝統が培われてきました。この伝統を踏みにじっているのが自民党であり、公明党ではないでしょうか。高齢者を大切にしない政治・社会こそ、人間すべてを大切にしない政治・社会であります。
 第4の問題は、世界的にも異常な医療費削減、社会保障費削減の政治が、その根本にあるということであります。日本の医療費は、国民総生産に対してわずか8%であり、アメリカの52%、フランスの72%にすぎません。少ない医療費、社会保障費をさらに削減する政策は撤回すべきであります。この政策の中で、深刻な医師不足と地域医療の崩壊が生まれているのであります。
 先ほど、国保税の問題が発言でありましたが、国保税を危機的な状況に落とし込めたのは、自民党政府による国庫負担の削減だったではないでしょうか。
 最後に、財源問題であります。国の財政が危機的状況だから、医療費も、社会保障も削減しなければならないという言い分は二重の間違いであります。
 一つは、財政破綻を招いたのは、医療費のせいでも、社会保障のせいでもありません。アメリカ言いなりに、大企業のための公共事業費を大盤振る舞いした結果であります。
 もう一つは、史上空前の利益を上げている大企業に年間5兆円、大資産家には2兆円も行き過ぎた減税を続けているということであります。5兆円近い軍事費も無駄遣いの聖域となっています。米軍の再編には3兆円の税金を投入しようとしています。大企業、大資産家に庶民並みのまともな税金を払ってもらうだけで、必要な医療費、社会保障費の財源は確保できるのであります。軍事費の無駄遣いは大幅に削減すべきであります。
 以上申し上げ、後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書の採択に賛成の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、発議案第3号後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、発議案第3号後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書は、原案のとおり可決されました。(拍手)
   日程第21 発議案第4号義務教育費国庫負担制度の堅持及び国庫負担割合の2分の1への復元を求める意見書
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第21、発議案第4号義務教育費国庫負担制度の堅持及び国庫負担割合の2分の1への復元を求める意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。亀卦川商工文教委員長。
   〔商工文教委員長亀卦川富夫君登壇〕

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