平成20年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第2号、第8号、第11号、第14号、第15号に反対の討論を行います。
 議案第2号は、岩手県県税条例の一部を改正する条例の専決処分に関し承認を求めるものであります。その内容は、自公政権によって一度は廃止された暫定税率の引き上げによって、国民にガソリン代の大幅な値上げを押しつけるものでありました。5月以降の11カ月で県税の増収分は85億7、600万円余と試算されていますが、県民にとっては、これを上回る増税の押しつけであります。その後、ガソリン代はさらに値上げとなり、県民の生活と営業を脅かしています。無駄と浪費が多い道路、高速道路のためだけの暫定税率は廃止されるべきものであります。
 議案第8号は、岩手県県税条例の一部を改正する条例であります。その内容は、地方税である法人事業税の一部を国税にして、東京都など一部の都府県の法人事業税を地方に地方法人特別譲与税として振り向けるものであります。岩手県の場合は差し引きで127億円程度の増収の見込みでありますが、本来、地方の税収は都道府県間の調整ではなく、地方交付税で必要額を交付すべきものであります。国の責任を放棄するものであり、反対するものであります。
 また、ふるさと納税の仕組みもごまかしの仕組みであり、現在、5件22万5、000円ということですが、経費だけかかって税収なしとなりかねないものであります。
 議案第11号と議案第14号は、県立一関一高に併設型中高一貫校である附属中学校を設置しようとするものであります。
 第1の問題は、併設型中高一貫校の設置、先にありきの異常な進め方と中身となっていることであります。併設型中高一貫校を一関一高に設置する方針は、一昨年の商工文教委員会で突然明らかにされたもので、一関一高の校長教職員も、知らされることも、相談されることもなく決められたものでありました。
 第2の問題は、全県を1学区とする中高一貫の附属中学校の設置は、義務教育である中学校段階から多様化と差別化を広げ、小学校段階まで受験競争を激化させることになるということであります。
 県教育委員会による小学校6年生の父母に対する受験の意向調査では、中間報告の段階で、定員80人に対して受験希望が366人で、4.58倍となっています。選抜検査として、適性検査、作文、面接が実施され、調査書も合否の判定の参考資料として使うとのことです。実態は学力試験と変わらない受験そのものであります。既に予備校、塾が併設型附属中学校の受験対策を始めていますが、日本の極度に競争的な教育が世界子供の権利委員会から厳しく批判されている中で、小学校段階まで受験競争を激化させることは、学力の向上に反するばかりか、子供たちを一層苦しめることは明らかであります。
 県立一関一高は、県境の協定によって、宮城県北から1学年約20人が入学しています。高校入試の定員が4クラス160人になることは、中学校の受験競争も激化せざるを得ないのであります。子供が減少する中で、地元の中学校の存続にもかかわる問題であります。
 第3の問題は、余りにも貧困な施設と学習環境となっていることであります。商工文教委員会の審査で法貴教育長も学習環境は貧弱であることを認めました。古くて狭い産業振興施設を改修して教室として使用するだけでなく、中学校独自の体育館も、運動場もありません。そもそも町場にある一関一高の運動場が狭いのであります。中学校の運動部関係の部活動の保障は全くない状態ではないでしょうか。次世代のリーダーを育成するという附属中学校の施設がこんなに貧困で、どうしてまともな教育ができるのでしょうか。
 第4の問題は、中等教育の多様化の名のもとに、教育格差を広げることにしかならないということであります。全県1学区で中高一貫の附属中学校に進学を目指すのは経済的な条件に恵まれた保護者であり、子供の選択ではありません。しかし、少人数指導や習熟度別学習、選択教科を含め授業時数をふやすというものの、中学校の教師はふやさないとしております。6年間の一貫教育といっても、高校段階では混合クラスとなり、一貫教育の保障もありません。理念も中身もない中高一貫校と言わなければならない実態であります。一関一高への併設型中高一貫校の設置は、理念も、教育の中身も、施設も、余りにも貧弱で貧困と言うべきものであります。また、何よりも子供たちに対して、小学校にも、中学校、高校にもゆがみを与えるものであります。
 議案第15号は、岩手県漁業指導調査船建造の請負契約案件であります。調査船の建造に反対するものではありませんが、落札率が99.68%で、入札参加が3者、2者は予定価格を上回っておりました。談合が強く疑われることから、反対するものであります。
 請願受理番号第30号、ミニマムアクセス米の輸入を停止し、再生産できる米価の補償を求める請願が、自民党、公明党ばかりか民主党も含めて否決されようとしています。農民の願い、消費者の、県民の願いに背を向けるものであります。今、世界的な食料危機と食料の高騰が指摘されています。その中で、日本の食料自給率は39%、穀物自給率は27%であります。金で世界の食料を買いあさる時代は既に終わっているのであります。米不足でフィリピンなどは主食の米が確保できず、輸出国は12カ国が輸出規制を行っています。こんなときに、日本は、農家には減反政策を強制しながら、アメリカなどから必要のない年間77万トンの米を輸入しているのであります。輸入米の在庫は152万トンにも達しています。余っているのは輸入米であり、国産米は20万トンも不足しているのが実態であります。さらに、ミニマムアクセス米は義務でも何でもありません。ミニマムアクセス米の輸入を停止することに反対することは、日本の農民と農業に背を向けるだけでなく、米不足で困っている国々、世界の食料不足の解決にも背を向けることであります。
 昨年は米の暴落でほとんどの農家が減収・赤字となりました。米と農業を守る最大の課題は、再生産を保障する価格補償であります。その上で水田の多面的機能を踏まえた所得補償が必要なのであります。アメリカでも米の生産費を補償する目標価格と販売価格の差額を補てんしています。EU欧州連合では、価格補償と所得補償の割合は農業所得の49%となっています。日本は22%であります。再生産を保障する価格補償があってこそ、農家の生産に対する意欲が高まり、自給率の向上につながるのであります。
 この請願に反対した政党と議員は、世界の流れにも、農家の願いにも反するものとして厳しく批判されることになることを指摘して、私の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第31号及び受理番号第32号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第31号及び受理番号第32号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、請願陳情中、受理番号第27号義務教育費国庫負担制度堅持及び負担割合2分の1復元を求める請願を採決いたします。
 本請願は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第27号義務教育費国庫負担制度堅持及び負担割合2分の1復元を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号、議案第8号、議案第11号、議案第14号、議案第15号及び請願陳情中、受理番号第30号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立多数であります。よって、議案第2号、議案第8号、議案第11号、議案第14号、議案第15号及び請願陳情中、受理番号第30号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号、議案第3号から議案第7号まで、議案第9号、議案第10号、議案第12号、議案第13号、議案第17号、議案第19号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(渡辺幸貫君) 起立全員であります。よって、議案第1号、議案第3号から議案第7号まで、議案第9号、議案第10号、議案第12号、議案第13号、議案第17号、議案第19号及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第19 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第19、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
〔参照〕
 各委員会の閉会中の継続審査及び継続調査事件
1 継続審査
  商工文教委員会  請願陳情受理番号第28号
            教育予算の拡充、教職員定数の改善を求める請願
  農林水産委員会  請願陳情受理番号第25号
            国営農業水利事業と地方農政局の存続について請願
  県土整備委員会  議案第16号
            海岸保全施設整備事業下荒川地区水門土木工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについて
2 継続調査
  総務委員会   ・文化芸術の振興に関する施策の方向について 
          ・岩手県総合計画の実施状況等について
  環境福祉委員会 ・岩手県における2005(平成17)年の二酸化炭素排出量について
          ・国土利用計画岩手県計画の改定(第四次計画策定)について
          ・県立療育センターについて
  商工文教委員会 ・平成21年度県立学校の学科改編等について
          ・盛岡東京電波株式会社盛岡工場の設備増強の状況について
  農林水産委員会 ・畜産・酪農緊急対策等への本県の取組状況について
          ・水田経営所得安定対策の加入状況について
          ・いわての森林づくり県民税を活用した取組みについて
  県土整備委員会 ・簗川ダムについて
          ・公共土木施設の被災状況と復旧対策について
〇議長(渡辺幸貫君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、各委員長からお手元に配付いたしてあるとおり、それぞれ申し出がありますが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(渡辺幸貫君) 御異議なしと認めます。よって、本件は、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   日程第20 発議案第3号後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、日程第20、発議案第3号後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。千葉環境福祉委員長。
   〔環境福祉委員長千葉康一郎君登壇〕

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