平成20年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 農林水産委員長報告に対して質問いたします。
 農民運動岩手県連合会から提出された請願、ミニマムアクセス米の輸入を停止し、再生産できる米価を求める請願が不採択となったということでありますが、請願項目に沿ってどういう審査、意見が出され、不採択となったのか、不採択とされた根拠について具体的に示していただきたい。
 請願は、第1に、ミニマムアクセス米の輸入を一時中止し、制度の見直しをWTO交渉の場で強力に働きかけることを求めています。今、世界は深刻な食料不足と食料価格の高騰というかつてない食料危機に直面しています。世界的な米不足も深刻で、ベトナムやインドなど米輸出国は輸出規制に踏み込み、フィリピンなど米輸入国は食料を確保できない状況が生まれています。
 こうしたときに、日本政府は、農家には減反を押しつける一方で、全く必要のないミニマムアクセス米をアメリカなどから年間77万トンも輸入しているのであります。岩手県の米生産量が30万トンですから、その2倍以上に当たります。ところが、その輸入米は152万トンも在庫となって余っています。その保管料は年間152億円であり、13年間で2、200億円を超えているのであります。ミニマムアクセス米の輸入は義務ではありません。輸入の機会をつくるというものであり、国会答弁でもそのことを認めています。EUでも、アメリカでも、そんな主食の義務的輸入はやっていないのであります。米不足で困っている国が出ているときに、必要のない米を大量に輸入する理由は、今、全くないのであります。ミニマムアクセス米の輸入の中止を求めることは、今や農家の願いだけでなく世界の常識になっているのではないでしょうか。常任委員会ではどのように審査され、不採択となったのでしょうか。
 第2の項目は、生産費を償う米価を補償するための政策を求めるものであります。2006年産の生産者米価は全国平均で1俵1万4、826円でありました。生産費の平均は1万6、824円で、約2、000円の赤字となっています。米生産農家の労賃は時給換算で256円であります。さらに、昨年は、米価の暴落で95%の農家が赤字となっています。再生産を保障する米価の価格補償は農家の切実な願いであります。日本の農業を守り、食料自給率を引き上げる大前提でもあります。
 日本共産党は、1万7、000円の米価を補償し、さらに水田の多面的な機能を評価した所得補償を1、000円上乗せし、1俵当たり1万8、000円とすべきと提案をしています。生産費を償う米価の価格を補償することは世界の常識であり、当然のことではないでしょうか。なぜ不採択となったのでしょうか。米価の所得補償を主張している民主党は、なぜ価格補償に反対したのでしょうか、具体的な審査の状況を示していただきたい。
〇農林水産委員長(大宮惇幸君) ただいまの斉藤信議員の質問にお答えいたします。
 本請願につきましては、請願事項が2項目ございますけれども、一つ目のミニマムアクセス米の輸入を一時中止し、制度の見直しをWTO交渉の場で強力に働きかけることについては、現実的ではないので不採択とすべきであるとの意見が出されました。
 また二つ目、生産費を償う米価を補償するための政策の創設については、1点は、販売額と生産費との差額を縮めるための所得補償は既に国でも実施済みであり、戸別の所得補償のあり方もさまざま議論されている。
 もう一点は、自由競争の中で販売価格が決まって、その生産費を補えない場合に、所得に対するさまざまな政策を講じていくべきであるなどの意見が出されました。
 本請願は、米価そのものを保障するという内容と解釈されることから、現実的ではないという意見が出され、本請願は、全会一致で不採択と決定したものであります。
〇38番(斉藤信君) 今、委員長から、ミニマムアクセス米の中止については現実的ではないという討論だったと答弁がありました。ミニマムアクセス米の中止が、実は一番現実的なのであります。WTO協定でも義務的輸入にはなっていないし、これは、EUもアメリカもそうやっていないのであります。そして、余っている日本が、今、米を確保できない世界的な食料危機のもとで、77万トンも米を輸入するということこそ非現実的ではないでしょうか。例えばフィリピンは、主食の米の20%が確保できずに困っています。一方で、ベトナムやロシアや12カ国は、食料不足の中で輸出禁止に踏み出しているのであります。皆さん、ミニマムアクセス米の輸入中止は、世界の食料危機の中で真っ先に日本がやるべき課題ではないのか。余っている日本が、なぜ、この外国の足りない米を買わなければならないのか。私は、まさにこれこそ非現実的ではないかと思いますが、改めてお聞きします。
 米価については、販売額と生産額の差額とか、自由競争の中で価格が設定されているという議論があったようであります。しかし、以前は生産費補償方式をとっておりました。食料危機の中で、こういう食料品、とりわけ米の世界流通というのは極めてわずかであります。自由競争になじまないというのが、今、世界に広がっている食料主権の考え方であります。工業製品とこの食料品とは違うのであります。こうした日本の食料を含めて世界の食料というのは、その国が責任を持って確保するという食料主権の考え方こそ、今、求められているのではないか。そう考えますと、生産費を償う価格補償というのは、これは農業政策で最も大事な課題です。私は先ほど紹介しましたが、今、米の労賃というのは時給256円にしかならないのであります。どうしてこれで農家が米をつくろうという気になるのか。昨年の暴落で95%の農家が赤字になるという価格でいいのか。私は、根本的に問われているのではないかと。
 6月の盛岡市議会では、同趣旨の請願が圧倒的多数で採択されたと聞きましたが、今、食料供給県を標榜する岩手県議会が、農家が切望するこの二つの請願項目に背を向けたということは、私は、これは大変残念な思いでありますが、突っ込んだそういう議論がなされたかどうか、改めてお聞きいたします。
〇農林水産委員長(大宮惇幸君) 再質問を受けましたけれども、請願の意見交換の際には、先ほど申し述べた内容のものが意見として出て審査されたものでありまして、それ以上の請願に対する発言内容はなかったということで、これ以上のことは、私は、幾ら委員長でも申し上げることはできません。個人的なことも申し述べることはできませんので、御理解をいただきたいと思います。
〇議長(渡辺幸貫君) これをもって質疑を終結いたします。
 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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