平成20年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(阿部富雄君) 議案第14号岩手県立学校設置条例の一部を改正する条例についてお聞きします。
 平成9年6月26日に出された21世紀を展望した我が国の教育の在り方について―中央教育審議会第2次答申において、中高一貫教育を導入した際に留意すべき点として、競争の低年齢化につながらないか、受験準備に偏った教育が行われないか、心身発達の差異の大きい生徒を対象とするための学校運営が難しくならないか、生徒集団が長期間同一メンバーで固定されることにより、学習環境になじめない生徒が生じる可能性がないかを挙げています。
 県立中学校の定員は1学年80名、男子40名、女子40名としています。男女共同参画基本法第3条において、男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が性別による差別的取り扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること、その他の男女の人格が尊厳されることを旨として行わなければならないと定め、また、第4条において、社会における制度または慣行についての配慮を規定しており、岩手県男女共同参画推進条例においても同様に定めています。
 教育委員会委員長にお伺いします。男子40名、女子40名の規定明記は、法並びに条例の趣旨にそぐわないものです。県教育委員会は、男女共同参画基本法及び岩手県男女共同参画推進条例をどう受けとめているのかお聞きします。運用に当たっては、男子40名、女子40名をめどにするとか、男女のバランスを図ることとかにすべきですが、対応をお聞きします。
 県は、男女共同参画社会実現のため、毎年6月を男女共同参画推進月間と定め集中的に啓発活動を推進しており、本年も6月22日にいわて男女共同参画フェスティバル2008を開催しています。知事あいさつで、少子・高齢化の進行や産業構造の変化、価値観の多様化など社会経済情勢の急速な変化の中で女性の社会参画への期待は高まってきており、男性、女性が性別にかかわりなくさまざまな可能性を自分の意思によって選択でき、個人の能力を発揮することができる社会の実現が求められているとしています。
 環境生活部長にお聞きします。岩手県男女共同参画推進条例を所管している部として、県立中学校の男女定員の同数について男女共同参画法令上、どのように認識しているのかお聞きします。
 小学校への影響についてお聞きします。
 県立中学校から併設高校へ入学者選抜検査がないことは、子供や保護者にとっても魅力です。保護者から、県立中学校受験のため小学校では何をしてくれるのかという声が出ています。裏を返せば、小学校で受験指導をしてくれということです。県立中学校受験のため、受験者を対象に補習、作文指導、模擬面接などの対応を小学校に求めることのないよう対策を講じるべきです。
 県立中学校への入学者数が、そのまま市町村立小学校の学校評価、さらには教師個人の評価とならない対策を講じるべきです。
 入学選抜に不合格となった児童へ十分なケアもなされるべきです。
 これらについてどのような対策を講じようとしているのかお聞きします。
 県立中学校は、週当たりの授業時数を学習指導要領で定める時間数より多く設定、少人数指導や習熟度別学習を実施、中高一貫キャリア教育プログラムを実施するなど、特色ある教育を行うとしています。市町村立中学校との間に優劣が生じないのでしょうか。教育内容、学習環境、質等に格差が生じることのないよう行うべきですが、市町村立中学校への支援を含め、どのような対応をされていくのかお聞きします。
 次に、議案第19号平成20年度一般会計補正予算(第1号)についてお聞きします。
 県災害対策本部は、日夜を問わず被災者への支援、災害復旧に取り組まれていることに敬意を表します。
 今回の震災は山間部に被害が集中しており、特にも一関市における国道342号や、それに沿った河川の被害はかつて経験したことのないものです。国道342号は沿線住民の生活道路であると同時に、厳美渓は年間100万人回、須川は年間30万人回の観光客の入り込みがあり、産業振興に重要な役割を果たしています。
 国道342号については、橋や道路の崩壊で被害状況を把握できないでいます。甚大な被害であることから、知事は復旧に数年かかるとしていますが、被災住民は避難生活を余儀なくされており、生活再建と地域経済の再生は喫緊の課題です。災害復旧の制度からいえば、3年もしくは4年かかることになります。復旧に当たっては、国道342号災害復旧技術検討委員会で検討するとのことですが、被害の適切な把握とあわせ、早期に対応すべきです。
 知事にお伺いします。被災住民や被災地での観光事業者は復旧に合わせた再建を講ずることになると思いますので、大まかにいつごろまでに復旧できるのか時期を明示することが必要です。
 また、被害道路は急峻な山間、豪雪地帯であり、半年は閉鎖され、復旧工事も思うとおりに進まないと思います。暫定供用が可能となる復旧工事方法で進め、一日も早い交通を確保することも必要です。橋や道路の大規模な崩落箇所においては、ルートの変更、トンネル化など工事が高度の技術を要したり、高度の機械力を使用して施工しなければならないことも予想されるところです。今回の災害復旧については国も全力を挙げて取り組むとしていますから、道路法第13条の規定による国代行を要請するなど復旧に当たるべきです。これが早期復旧につながるものと思います。
 これらについてどう対応するのかお聞きします。
〇知事(達増拓也君) 阿部富雄議員の質問にお答えいたします。
 一般国道342号は、秋田、岩手、宮城の3県を結び、多くの観光客が訪れる須川温泉周辺など貴重な観光資源を有する栗駒国定公園周辺地域の観光道路網を形成する重要な路線であります。一般国道342号須川地区は、今回の地震で祭畤大橋の落橋や、斜面とともに路面が全面決壊している箇所が複数あるなど、被害は甚大なものとなっています。復旧に当たっては、詳細な地質調査や高度な技術検討が必要な箇所が多く、国道342号災害復旧技術検討委員会を設置し、検討していくこととしております。
 復旧の見通しについては、被害が甚大であることや、豪雪地帯で冬期通行どめ区間であることから施工上の制約が多く、全面復旧には数年を要すると見込まれます。具体的な時期については、今後の技術検討委員会での復旧工法を検討する中で、可能な限り示していきたいと考えています。
 次に、暫定供用が可能となる復旧工事方法で進めるべきとのお尋ねについてですが、技術検討委員会での復旧工法を検討する中で、その可能性も含めて検討することとしています。
 次に、国代行を要請するなど復旧に当たるべきとのお尋ねについてですが、県としては、災害復旧工事について、技術検討委員会の意見をお聞きしながら、地形上の制約等から、原形復旧を基本としつつ、道路の拡幅など改良計画も含めて8月上旬までには検討していくこととしています。その検討の過程の中で、復旧工事が高度の技術を要することとなった場合には、国の権限代行による事業化について、国土交通省に要望することも視野に入れ、検討してまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇環境生活部長(瀬川純君) 県立中学校の男女定員についてでございますが、男女共同参画の基本理念は社会生活の各分野で尊重されるべきもので、学校教育においても、男女が性差によることなく、個人として能力を発揮する機会が与えられるよう配慮され、男女の活動の選択に及ぼす影響が中立的なものとされるべきものと考えております。
 お尋ねの県立中学校における男女の定員につきましては、男女同数の定員とすることの当否に関する直接的な法の定め等は見当たらないことから、さまざまな考え方があるかと存じますが、具体的な定員の設定や運用に当たりましては、男女共同参画に関する基本理念を十分踏まえつつ、学校の特色や義務教育課程における教育のあり方などを総合的に勘案し、教育委員会において判断され、対応されるべきものと考えております。
〇教育委員会委員長(箱崎安弘君) 教育委員会の男女共同参画基本法等の認識でございますが、男女共同参画社会のさまざまな分野におきまして、男女が性差によることなく、個人としての能力を発揮する機会が与えられるよう、可能な限り配慮することが求められているものと認識をいたしております。
 次に、県立中学校の男女定員についてでございますが、その検討の段階で、受験する児童に不安感を与えないよう、同数を基本とするなどのあいまいな表現や不透明な運用は避けるべきという意見から男子40名、女子40名と明記したものであります。
 ただし、その運用に当たっては、状況に応じて適切に対応していきたいというように考えております。例えば、募集において男女の志願人数が極端に不均衡となる場合には性差による相対的な公平性が欠けるものと考えられることから、見直しも検討しなければならないというふうに考えております。
 小学校への影響でございます。
 小学校においては、これまでどおり日常の学習活動、生活指導を大切にして、決して受験対策に偏する指導となることのないよう各小学校あてに通知を出すこととしており、保護者にもその旨周知を図りたいと考えております。
 県立中学校への入学者数によって、小学校の学校評価や教師個人の評価に結びつけることはございません。
 小学校においては、全教育活動を通じて心をはぐくむ教育を行っておりますが、不合格となって心のケアが必要となる場合には、学校、市教育委員会と十分に連携しながら児童の心のケアに努めてまいりたいと考えております。
 次に、県立中学校と市町村立中学校の格差についてでございますが、県立中学校は、高校入試のないゆとりある学校生活を送ることができることについては市町村立中学校と違いはありますが、高校の内容を先取りする学習は行わず、中学校時代の学習内容を確実に習得することを主体とする予定であることから、教科、科目の学習内容については差異を生じないものと考えております。
 なお、市町村立中学校への支援につきましては、教科指導における教員研修や各種会議を県立中学校と市町村立中学校とが合同で開催する機会を設けるなど、連携や支援の方法について検討してまいらなければいけないというふうに考えております。
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、斉藤信君。

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