平成20年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案に対する質疑を行います。
 最初に、岩手・宮城内陸地震で亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆さんにお見舞いを申し上げます。
 議案第19号2008年度岩手県一般会計補正予算(第1号)は、170億円余で岩手・宮城内陸地震の災害復旧と復興にかかわるものであります。災害復旧と復興の最大の柱は、被災者の安全の確保と生活再建であります。その立場から具体的に質問いたします。
 第1に、救助費が8、300万円余となっています。避難されている世帯と人員、避難場所等はどうなっているでしょうか。
 避難場所への炊き出し等食品の給与は継続されるべきと考えますが、いかがですか。
 親戚等に避難されている方々への支援はどうなっているでしょうか。
 仮設住宅の建設は地域住民の住む地域内への設置が要望されていますが、具体的にどう対応するのでしょうか。
 第2に、被災者の生活再建の最大の課題は住宅の再建であります。知事は30日の答弁で、被災者生活再建支援法に準じた県単独措置の創設について検討したいと述べました。極めて重要な答弁であります。鳥取県が実施したように、被災者の生活再建と地域コミュニティを守るため、特別の条件なしに住宅の改築、補修に助成すべきと考えますが、いかがでしょうか。ちなみに、鳥取県は改築に300万円、補修に150万円の助成を実施しました。
 一部損壊の被災者も対象にすべきと考えますが、知事はどういう立場で検討しているのでしょうか。
 また、住宅の応急危険度判定と被害認定の状況は市町村ごとにどうなっているでしょうか。一関の場合、応急危険度判定53棟、危険9棟、被害認定117棟、全壊1棟、半壊2棟となっていますが、宅地被害の調査も対象戸数が極めて少ない状況です。なぜでしょうか。
 被害認定の体制はどうなっているでしょうか。県は、技術者など専門家の派遣を含めて具体的に支援しているのでしょうか。住宅被害、宅地被害等の認定は、公的支援を受ける上でも義援金の支給にとっても重要な基準となるものであります。被害の実態にふさわしい認定が徹底されるよう指導・援助すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 第3に、土砂災害危険箇所等の緊急点検結果によると、奥州市衣川区の石生地区、天土地区、大平地区など9カ所が危険度Aランクと判定されています。災害関連の緊急急傾斜地対策事業を実施し、被災者がもとの自宅に戻れるようすべきと考えますが、具体的にどう検討されているでしょうか。
 新潟県中越沖地震では、新潟県は対象戸数が2戸以上でも1戸の場合でも県単独事業で実施しています。ほとんどが受益者負担なしで実施されています。新潟県並みに取り組むべきではないでしょうか。
 第4に、ライフラインの復旧の問題であります。特に孤立化し、避難している市野々原地区、祭畤地区住民がいつごろ地元に戻れるのか。国道342号の復旧の見通しは現段階でどう見通されるか。迂回路が整備されていますが、いつごろもとの地域に被災者が戻れるようになるのか、具体的な見通しを示していただきたい。
 第5に、せきとめ湖の問題でありますが、磐井川と産女川は国直轄事業で取り組まれています。磐井川上流の他の3カ所についてはどう対応されるのでしょうか。
 土石流の危険はどう把握されているのでしょうか。
 第6に、農地・農業用施設の復旧事業の件数と補助率、農家負担はどうなるでしょうか。
 農業用水の確保はどうなっているでしょうか。
 胆沢平野の水がめとなっている石淵ダムの貯水状況と復旧の見通しはどうなっているでしょうか。
 第7に、義援金の状況と配分についてお聞きします。義援金は被災者に配分されるものと考えますが、現状はどうなっているでしょうか。中山間地の災害という特徴から、災害の規模の割には被災者の数は限られている状況であります。一部損壊の被災者も対象にして広く配分されるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 配分委員会の開催、配分の時期など今後の見通しを示していただきたい。
 第8に、旧一関市は農地で奥州市衣川区は公共土木施設と農地で局地激甚災害が指定となるとされていますが、その具体的なメリット、また、その他は指定されなかったのはなぜか。県の場合はどうなるのか。胆沢区などは追加指定を含めて全面的な指定に向けて国に働きかけていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 議案第2号岩手県県税条例の一部を改正する条例の専決処分に関し承認を求めることについては、自公政権が数の横暴で暫定税率を5月から引き上げたことによるものであります。暫定税率の引き下げによる4月の県民の減税分、県財政の減収分はどうなったでしょうか。5月以降の増税分、増収額はどうなるでしょうか。
 議案第8号岩手県県税条例の一部を改正する条例は、法人事業税の一部を国税の地方特別税とし、地方法人特別譲与税として道府県に譲与するものであります。また、ふるさと納税を導入しようとするものであります。一時しのぎのつぎはぎ税制でありますが、知事に聞きます。岩手県にとって税収の出入りはどうなるでしょうか。地方税を国税として納めるやり方は地方分権に逆行するのではないでしょうか。
 ふるさと納税の具体的メリットはあるのでしょうか。地方財源の確保は、本来、地方交付税の増額で対応されるべきではないでしょうか。
 議案第15号は、岩手県漁業指導調査船建造の請負契約の締結に関するものであります。予定価格に対する落札率は99.68%となっています。予定価格が事実上明らかになっている中での結果ですが、談合の疑惑が高いのではないでしょうか。この落札結果と入札のやり方をどう受けとめているでしょうか。
 以上、答弁によって再質問いたします。
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の質問にお答えいたします。
 まず、被災者の住宅再建についてでありますが、一昨日の答弁において、私から、全壊した家屋などの再建等を支援内容とする被災者生活再建支援法の適用要件には現状では該当しないところではあるが、この法律に準じた県単独措置の創設について検討したいと考えていると申し上げたところであります。私は、もとより、住家被害を受けられた被災者にとって住宅の再建は大きな課題であると思っておりますことから、全壊等の世帯を対象に300万円を上限に支給する同法の制度を参考にしながら、県単独の支援事業の創設を速やかに検討したいと考えています。
 なお、一部損壊の世帯については、どのような支援ができるか、別途検討してまいりたいと思います。
 次に、税条例についてでありますが、地方法人特別譲与税の影響額については、平成20年度地方財政計画のデータに基づく通年ベースの試算では、国税化される本県分の法人事業税が143億円程度、国から譲与される地方法人特別譲与税が270億円程度で、差し引き127億円程度の増収が見込まれます。この制度は、税源偏在の是正効果は高いのですが、地方税を国税とする点で地方分権の面からの問題があり、あくまで暫定措置の位置づけで制度化されたものと理解しております。
 ふるさと納税については、県外の方にふるさと岩手を応援していただく仕組みとして活用したいと考えております。
 地方分権の推進のためには、地方税の充実を図りつつ、交付税の復元・増額がぜひとも必要と考えており、これは国に対して今後とも強く働きかけてまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) まず、避難生活者の状況及び支援についてでありますが、7月1日現在、避難所へ避難されている方は、一関市では厳美公民館山谷分館に10世帯41人、奥州市では国民宿舎衣川荘に4世帯17人となっております。また、災害救助法の対象にはなりませんが、奥州市胆沢区の4世帯9人が生活支援ハウスで自炊しながら避難しております。
 また、避難所における炊き出し等の食品の給与は引き続き提供しているところでございます。
 なお、親戚等に避難されている方々へは、被災市町が社会福祉協議会等と連携し、今後の生活の相談に応じるなどの支援を行っております。
 応急仮設住宅につきましては、奥州市の住民の要望等を踏まえ、胆沢区下鹿合地区の避難住民の仮設住宅を同区若柳地区に4棟、衣川区石生地区に4棟、計8棟の設置を検討しているところであります。
 次に、住宅被害の認定についてでありますが、県におきましては、現在、被災市町から災害救助法に定める被害区分で全壊、半壊等を内容とする被害報告をいただいているところであります。
 議員からお尋ねのありました各被災市町ごとの被災状況の大小については、一部専門家による見解も報じられておりますが、今後、専門的見地から詳細な検討がなされるものと考えているところであります。
 一関市、奥州市とも、現在、一部具体的な調査に入れない地域を除き、税務部門が中心となり外観目視などの調査を終了し、現在、家屋の内部調査などに入っていると伺っております。被災市町におきましては、その調査事例ごとに被害状況をできる限り的確に把握された上で、逐次県へ報告がなされるものと考えております。この報告数値は、今後の県の支援方策の検討や義援金の配分に当たっては重要なものでありますことから、引き続き正確な報告がいただけるよう、改めて被災市町に要請してまいります。
 次に、義援金の状況と配分の考え方についてでありますが、日本赤十字社岩手県支部に寄せられている義援金は、6月30日現在で約1億3、900万円になっていると聞いております。この義援金の配分につきましては、県において関係機関・団体等で構成する配分委員会を組織し、被災の実態を踏まえた配分方法等について同委員会で検討されることとなっております。
 なお、先例によれば一部損壊の被災者も対象としておりますが、このことも含めて配分委員会で検討されることになっております。
 配分の時期につきましては、被災後1カ月から2カ月以内に配分委員会を開催し、その結果を踏まえて配分することとしております。
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 応急危険度判定と被害状況につきましてですが、被災建築物の応急危険度判定は奥州市で1、106件、一関市で53件、西和賀町で2件の合計1、161件を実施したところであります。
 判定棟数1、161件のうち、奥州市で危険が45件、要注意が249件、使用可能が812件、一関市では危険が9件、要注意が22件、使用可能が22件、西和賀町が要注意2件となっております。
 被災建築物や被災宅地の応急危険度判定は、二次災害防止の観点から、被災後直ちにその建物が使用できるか否かや宅地の被害状況につきまして応急的に判定するものであります。応急危険度判定は、被災した市町村が応急危険度判定実施本部を設置しまして判定を行うもので、県は、岩手県地域防災計画に基づき、市からの応援の要請を受けまして判定士派遣の調整などによる支援を行うものであります。
 県では一関市の要請を受けまして、6月17日、19日にそれぞれの判定活動を実施しましたが、6月20日までに一関市の職員が独自に市内の被災状況を確認し、市におきまして、現状でこれ以上の応急的な判定活動が必要ないと判断され、判定活動を終了したものと承知しております。
 次に、危険度Aランクの対応につきましてですが、今回の地震によりまして危険度Aランクと判定された9カ所はいずれも保全人家が5戸未満の集落でありまして、急傾斜地崩落対策事業での採択基準を満たさない箇所となってございます。しかしながら、これらの地区のうち、奥州市石生地区、天土地区など7カ所につきましては、災害関連緊急治山事業や災害復旧事業などの事業によりまして対応するということで検討を進めております。そのほか二つの地区につきましては、人工斜面の崩落及び一関市の林地内の作業道の崩落でありまして、県としての対応は現行制度上難しい現状にありますが、復旧に当たりましては、市のほうに技術的な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
 なお、避難生活を余儀なくされている地域の方々の実情を踏まえまして、また、中山間地域における小規模集落の震災対策につきましては、新潟県や他県の事例を参考にしまして、早急に取り組むべき課題ととらえておりまして、市と連携しながら検討してまいりたいというふうに考えております。
 次に、ライフライン国道342号の復旧見通しについてでありますが、現在、通行どめとなっております矢櫃ダム付近の大規模な崩落箇所を避けまして、孤立状態にあります市野々原地区への交通を確保するため、ダムの約1キロメートル上流に仮橋をかけ、迂回路設置工事を進めております。この迂回路は、7月中旬には一般車両の通行が可能になるように、今現在、鋭意施工をしているところでございます。
 また、祭畤地区へ通ずる国有林道は林野庁のほうで開設工事をしていただきまして、既に6月24日に通行が可能となっております。
 なお、国道342号の迂回路の開通見通しにつきましては、一関市の災害対策本部に伝えておりますが、市野々原地区や祭畤地区は災害警戒区域に指定されておりますことから、被災者がもとの地域に戻れる時期につきましては、今後、市の対策本部において検討されていくものと考えております。
 次に、磐井川のせきとめ湖対策につきましてですが、今後の降雨のシーズンに備えまして、緊急的な対応としまして、ワイヤーセンサー、地盤の挙動を観測する伸縮計あるいは監視カメラの設置など、国、一関市と連携を図りながら、警戒避難体制の整備を行って二次災害防止に努めているところでございます。
 さらには、土砂流出防止のため、緊急を要する河川のハード面の対策としまして災害関連緊急砂防事業費8億4、000万円を補正予算に計上しているところであります。
 また、磐井川流域全体の崩落した土砂などの流出防止対策につきましては、去る6月28日に設置しました岩手・宮城内陸地震に係る土砂災害対策技術検討委員会におきまして、学識経験者などから専門的な指導をいただきながら検討を進めてまいりたい、また、現在も進めているところであります。
 次に、石淵ダムの貯水状況と復旧の見通しについてでありますが、石淵ダムにおきましては、岩手・宮城内陸地震発生直後に、ダムの安全を点検するため緊急に水位を約3.6メートル低下させるとともに、専門家による現地調査を実施した結果、堤体の一部に変状が認められるものの、ダムの遮水機能上、最も重要なコンクリート表面遮水部に大きな問題がなかったことから、ダムの安全性にかかわる、緊急に対応を要するような問題は認められなかったとの見解が示されております。
 現在、7月2日9時現在ですが、石淵ダムの貯水量は、洪水期、今現在、7月1日から9月30日までの3カ月間が雨の多い時期ということで洪水期というふうに称していますが、その利水容量636万立方メートルに対しまして現在375万立方メートルでございます。約59%の貯水率となっております。流入量がきょうの9時現在毎秒2.57立方メートルでございまして、毎秒3.33立方メートルを上乗せしまして、合計石淵ダムから毎秒5.9立方メートルを放流しておりますことから、水位は低下傾向を続けているところであります。
 現在、国の北上川ダム統合管理事務所では、目視観察や漏水量などの継続的な監視を行うとともに、詳細な調査を行っていると聞いております。これらの結果を踏まえまして、今後、変状を受けた箇所の復旧に当たると伺っているところでございます。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、農地・農業用施設災害に係る復旧事業についてでございますが、被災した市町からの被害報告を踏まえ、農地等災害復旧事業の実施件数を240件と見込んでおります。この事業の基本補助率は農地50%、農業用施設65%となっておりますが、今後、国の災害査定等により決定される市町ごとの受益農家1戸当たり負担額に応じて補助率がかさ上げされる制度となっておりまして、今回は、過去の実績等を踏まえ、農地で89.5%、農業用施設で95.4%の補助率としているところでございます。この結果、農家の負担は5~10%程度となりますが、その一部、または全部について市町村が助成するケースが多いことから、実際の農家負担額はさらに軽減される見込みとなっております。
 次に、農業用水の確保対策についてでございますが、用水路の損壊などによりまして用水が確保できなくなった地域では、ポンプを設置するなど応急対策に努めているところでございます。
 なお、最近の少雨傾向と相まって取水量が不足する地域におきましては、用水を地域の話し合いにより融通し合いながら輪番で使用いたします、いわゆる番水などによりまして対応いただいているところでございます。
 次に、岩手県漁業指導調査船建造の請負契約の締結についてでございますが、今回の入札につきましては、会計規則に基づき、一般競争入札の所定の手続に従って適正に行われたものと考えております。
 具体的に申し上げますと、一般競争入札の公告により参加申請のあった6者について、関係課で組織する入札選定委員会で審査を行った結果、資格要件を有していると認められた4者に入札参加資格を与えたところでございます。そのうち、入札を辞退した1者を除く3者により入札を執行いたしまして、落札決定した者との間で仮契約を締結したところであり、この落札結果につきましては、落札率は高いものの、一般競争入札による適正な企業間の競争の結果と受けとめております。
〇総務部長(川窪俊広君) 局地激甚災害の指定のメリットについてでございますが、これは、災害復旧事業の国庫補助率が、指定された市町村におきましてかさ上げになることでありますとか、災害復旧事業の査定設計委託費用に対する補助などがあるものでございます。
 その他の地域が指定されないことについてでありますが、まず、今回は国におきまして、現在の復旧事業費の査定見込み額がその指定基準を超えていることが確認できた地域を局激に指定することにしたものと理解しております。また、局激の指定につきましては、市町村を指定の対象としておりますので、県は指定の対象となっていないものでございます。
 全面的な指定に向けた働きかけという点につきましては、激甚災害の指定エリアにつきましては、基準に基づく判断となりますので、被害額の結果としてやむを得ないケースもあるかもしれませんけれども、今後の追加指定の可能性もございますので、今後の被害額や必要となる事業の規模、内容などを確認していく作業を進めつつ、国に対してもさまざまな支援を要望してまいりたいと存じます。
 次に、道路特定財源の税率変動に伴う影響額等についてでございますが、特例税率の失効による4月の1カ月分の減収額、これは自動車取得税で8、400万円余の減、軽油引取税で8億2、300万円余の減、両税合わせまして9億700万円余の減収となっているものでございます。
 一方、5月以降の特例税率の再設定による増収額は、平成20年度末までの間におきまして、自動車取得税で9億7、200万円余、軽油引取税で76億300万円余、両税合計で85億7、600万円余と試算しているところでございます。
〇38番(斉藤信君) 住宅再建について、知事が県単独で検討すると立派なことを言ったけれども、今聞いたら全壊等を対象にと。全壊等を対象にしたら、全壊は1棟しかないんですよ、今。半壊は3棟なんですよ。半壊まで対象にしたってたった4棟しか対象にならないと。私、これでは全く中身のない支援になるんだと思うんです。
 鳥取県の片山知事が全国で最初に住宅再建に助成をやった。300万円と補修が150万円ですけれども、このときの理由が、やっぱり地域集落の再建、コミュニティの再建なんですよ。知事は30日の答弁でこうも言っているんですよ。今回の災害で被災した地域コミュニティが失われるようなことがあってはならないと。このコミュニティを守るためにも支援を講じることができないか検討を始めていると。しかし、こういう立派な立場で検討しているのに、1戸ないし4戸しか対象にならないようなことでは、この立派な話とえらく違うんじゃないかと。
 先ほど知事は、一部損壊については別途検討だと。この別途検討というのはどういう中身なのか。私は、やっぱり一部損壊も含めて、こういう中山間地の集落を守っていくという対策を示してこそ、被災者は希望を持って、元気を持って再建に立ち上がることができると思いますので、そのことを改めて知事にお聞きしたい。ぜひ鳥取の片山知事と肩を並べるような対策をやっていただきたい。
 二つ目に、住宅被害の認定ですけれども、先ほども答弁あったように、税務部門が中心になってやっていると。しかし、住宅被害、全壊、半壊、一部損壊、この認定が罹災証明になって、いわば公的支援や義援金の支給の基準になっていくわけです。極めて重要な判定なんですよ。それが税務部門の事務屋さんが実際に判定しているんです、住宅の損壊状態をですよ。私、これでは、建物の専門知識がなくて、国のマニュアルだけでこういう判定をされたらとんでもない。応急危険度判定は建築士がやるんです。しかし、一番大事な被害認定は、奥州だって税務部門がやっているんです、実際に。私、これではやっぱり納得できないし、赤紙を張られても、一部損壊にしかならないとか、こういう実態がありますよ。私はだから、税務の事務部門と建築の専門家が一緒になってこういう住宅の被害認定に当たるということをぜひ徹底すべきだと。被害状況を正確に把握した認定ができるように、これは私は、県が技術的な支援も含めて、人的支援も含めてやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 それと、災害警戒区域指定の問題がありました。迂回路が通れば、私は基本的には孤立した住民も戻れるのではないかと思いますが、この災害警戒区域解除の条件というのは何なのか、わかれば示していただきたい。
 最後ですが、地方交付税の問題で地方譲与税の関係ですけれども、結局127億円ふえるけれども、この分地方交付税が減らされるんじゃないですか。私は、そういうことであったら全くこれは意味がない、そういうごまかしの税制じゃないかと思いますが、いかがですか。
〇知事(達増拓也君) 被災者の住宅再建についてでありますけれども、私は、今回のこの議会に補正予算が間に合わないかということでかなり執行部の中でも議論したんですけれども、どうしても災害が発生してからの救出、避難、そして道路や河川の危険箇所への対応という作業の流れの中で、被害の算定についても、激甚指定の関係もあり、まず、公共施設関係のほうから早急にというような中で今回の補正予算案の中には残念ながら間に合わなかったのでありますが、もう一つ間に合わなかった理由としては、被災者生活再建支援法の枠組みのほかに、宮城県と共同で要望した結果、住宅再建に係る低利融資制度が今回の災害で認められることになったので、その関係の制度を活用できないかということがありました。また、御質問の中にもあったように、義援金の活用という要素もございました。
 そうしたこともありまして、今回、この被災者生活再建支援法の制度を参考にした県単独の支援事業の創設ということについては、今回、この議会の段階では検討ということで御勘弁をいただきたいと考えておりますけれども、もちろん、全壊以外の家屋被害を受けた皆さんについても、コミュニティを守るという観点から、きちんと対応していくような仕組みを、これは9月議会までということは言わずできるだけ早く対応を決定して、要すれば、また別途の補正予算とか、そういった形ででも対応をしてまいりたいと考えております。
 地方税が国税になってしまい、また、その分結局地方交付税も減らされるのではないかということについては、地方切り捨て的な財政政策の流れに平成20年度ブレーキがかかったような格好にはなっているんですけれども、まだ方針転換が行われたとは私も思っておりませんので、こういう国際経済も厳しい状況の中で、地方が活気を持ち、地方においてちゃんと消費が伸びて、地方経済が国民経済全体を牽引する内需主導の経済構造こそ構造改革という、日本が1980年代の前川レポート以来目指してきた構造改革、本当の改革の眼目は、そういう地方が活気を持って日本国経済全体を引っ張っていく格好なわけで、地方切り捨ての財政政策は明らかに本当の改革に逆行する政策ですから、一日も早くそれを転換するよう国に求めていきたいと思います。
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) 税務部門中心の被害認定調査はいかがなものかということでございますが、税務部門中心のチームがどういう構成なのか、あるいはどういう調査方法等をとっているのか、改めて実態を詳しく一関市、奥州市に聞いてみたいと思います。そして、先例もいろいろありますので、義援金の配分あるいは支援の基礎となるものでございますので、その信頼性はどうかというようなことを検証してみたいと思います。その上で必要があれば、議員御指摘のように、建築関係の専門家も一緒になったことについての要請も検討してみたいと思います。
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 災害警戒区域の指定の解除ということですけれども、私自身、今現在、条件はわかりません。ただ、今までの災害経緯を見ていますと、市野々原地区と祭畤地区の方々が避難されております。それで、あの地区に立ち入りをしてはならないということが一つあると思います、それは防犯上の話だと思いますけれども。それからもう一つは、住宅がどういうふうになっているか、赤なのか黄色なのか緑色判定になっているのかという状況もあると思います。それから3点目は、やはり上流で山崩れがあった、下流の市野々原地区ではせきとめ湖ができてきた、そういうようないろいろな状況によって市のほうでは災害警戒区域に指定されたのではないかというふうに思っております。
 そういう条件が、やはり市のほうの判断で大丈夫だなというふうに思われた段階で解除されるのではなかろうかというふうに思っております。
〇議長(渡辺幸貫君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第19号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
        委員会付託区分表
  (第6回県議会定例会 平成20年7月2日)
                   総務委員会
1 議案第1号
2 議案第2号
3 議案第3号
4 議案第6号
5 議案第7号
6 議案第8号
7 議案第9号
8 議案第10号
9 議案第19号
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第2款、第9款
   第3条
                 環境福祉委員会
1 議案第5号
2 議案第12号
3 議案第13号
4 議案第19号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款、第4款
                 商工文教委員会
1 議案第11号
2 議案第14号
3 議案第19号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第7款、第10款
   第2条第2表中
    追加中1、2
                 農林水産委員会
1 議案第4号
2 議案第15号
3 議案第19号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
       第11款中第1項中第1目及び第3目
   第2条第2表中
    追加中3
                 県土整備委員会
1 議案第16号
2 議案第17号
3 議案第19号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第8款 
       第11款中第1項中第2目
           第2項
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時19分 散会

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