平成20年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇6番(郷右近浩君) 民主・県民会議の郷右近浩でございます。
 今定例会におきまして一般質問の機会をいただきましたことに、先輩・同僚議員に心より感謝申し上げます。
 また、先月の岩手・宮城内陸地震により不幸にもお亡くなりになられた方にお悔やみと、被災された方々、そして、いまだ避難生活を余儀なくされている方々に、心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧を当局にはお願いするものであります。
 さて、一般質問も最後となりますと、先に登壇された方々とかなり重複する点や事態の進展等ありますが、質問の趣旨を酌み取り、わかりやすい御答弁のほどよろしくお願いいたします。
 これより、順次、通告に従って質問してまいります。
 最初に、岩手・宮城内陸地震について伺います。
 6月14日、8時43分に突然起こった地震は、だれもがいつ来るかわからない宮城県沖地震に注意しているさなか、予想もされなかった内陸を震源地とし、岩手、宮城両県民はおろか、今まで地震災害の研究をされてきた方々においても、私たちが理解し得ない自然の脅威を見せつけました。
 私自身、同時刻には県内でも有数の危険度の高い、まさに今、耐震補強工事を行っている地元奥州市の小谷木橋の上で地震に遭い、なすすべもなく、ただおさまるのを待ちながら、岩手―秋田を横断する国道397号にかかる小谷木橋の早期かけかえを望む意を強くしたところです。
 しかし、そうした中にあって、今回の地震に対しては、発生時より、7都県3政令市の消防機関や県内の消防団を初め、第9師団等の陸上自衛隊、警視庁や北海道警察など広域緊急援助隊、そしてDMAT等の皆さんが駆けつけ適切な処置を行ってくださったことは、被災地の住民にとって、数百回もの余震が起き不安な中、とても心強く、ありがたいことでありました。私も被災地の住民として心から感謝申し上げます。
 今災害においては、これから本格的な梅雨に入る中、早期の復旧作業が望まれますが、知事はどのようにお考えなのか、順次伺います。
 まず、第1点目は、激甚災害の指定について伺います。
 今回の災害は、一関市、奥州市を中心とし各地で被害をもたらしました。16日には増田総務相が普通交付税の繰り上げ交付を行う意向を明らかにしたほか、特別交付税も含め、必要な財政措置を構ずる考えを強調しておりましたが、過日の政府の見解において、激甚災害指定は受けられず、一部に対して局地激甚災害の指定となると聞いております。
 現在の激甚災害制度では、その指定は、中央防災会議が定める本激の基準である激甚災害指定基準と局激の基準である局地激甚災害指定によることとされ、本激は、全国を単位とし災害そのものを指定し、局激は、市町村単位ではあるが、被害の大きさが一定規模以上の地方公共団体に限るとされています。
 さらに、今回の場合は、国、県が進めてきた市町村合併により、それぞれ市域、人口がふえ、市としての激甚指定は難しく、現行法下での合併5年以内に適用できる旧市町村単位での指定となる可能性のほうが高く、昨日、旧衣川村と旧一関市が局激の指定を受ける方向との発表もあったところです。
 災害には明確な線引きがなく、奥州市では、旧胆沢町の石渕ダムの被災により、市全域に影響する農業用水に影響が出ており、農業者の不安は募っております。現段階のさまざまな被害の対応はもとより、農業にあっては、秋の収穫まで幅広く、きめ細やかに対処していく必要があるとともに、農地農業被害の査定の違い等、国にさらに働きかけていかなくてはならない問題であると考えます。
 私ども民主党では、先日、知事に対しまして、現行法律の指定要件等についても改正を働きかけるよう要望いたしておりますが、災害地域の多くが中山間地域という今災害に対しましても、その地域全域が災害地域として一括して指定されることが望ましいと考えますが、知事のお考えを伺います。
 また、その場合、災害地域ということで、宮城県と一体的な指定を要請するということも有効かと思いますが、どのような連携が考えられるのか、あわせて伺います。
 第2点目は、風評被害対策についてであります。
 過去のさまざまな被災地においても、災害復旧はしても、どうしても危険な地域との認識が強くなり、観光客や誘致企業などから敬遠されることが考えられますが、今、世界遺産登録を目指している同地区にとっても深刻な問題だと思います。
 県内の旅館・ホテル業界団体の調査によると、6月26日現在で延べ2万人を超える宿泊予約のキャンセルが出るなどの影響が出ているとのことですが、これを払拭するには、一日も早い災害復旧とそのアピールが必要だと思いますが、県の今後の対応策について伺います。
 次に、災害対策について伺います。
 今回の災害では、本県では初めて、災害派遣医療チーム―DMATが出動し、県立胆沢病院のDMATに加え、県より要請を受けた中央、花巻厚生病院以外にも、地震発生より1時間以内に出動した大船渡病院、岩手医大、磐井病院の県内6チームや青森、東京国際医療センター、そして福島のドクターヘリの県外5チームが出動し、現場や病院などでトリアージや治療、搬送に当たってくださいました。
 回の災害に際し、外国のメディアからも災害に対する対応の迅速さを評価されたのは、国、県、そして地域の対応や消防、自衛隊だけではなく、災害直後に自己判断で出動するような医療関係者の使命感であり、岩手県民の思いやりの気持ちが評価されたものだと思います。しかし、そうした反面、新たな課題も顕在化してきたように思います。
 今、県では、本年3月に策定した本県の災害時における医療体制のあり方に続き、岩手県地域防災計画の見直しを進めているところと聞いておりますが、現在の防災計画にはDMATは織り込まれておらず、連絡手段の構築や装備の充実、移動手段、そして救助現場と医療現場の連携を図れるよう、しっかりした体制づくりを急がなくては、せっかくあるすばらしいチームも、本領を発揮できないばかりか、混乱の中での作業ゆえに、今回もあったように、連絡ミスにより重傷者を待機させてしまうなどのことが起こってしまうのではないかと思います。
 県では、現在、防災計画を見直している状況にあり、DMATもあわせて検討しているとも聞いているところですが、そこで何点か伺います。
 まず、今回も課題が残った消防や自衛隊による救助、搬送の部分と災害時の医療の部分について、今後、これらをより機能的に結ぶためどのように対応していく考えなのか、知事に伺います。
 第2点目は、DMATについて、その出動要請のあり方や現場における指揮系統の確立、救助、搬送を担当する機関との連携を図るための運用基準を整備し、災害時等において、DMATが効果的に機能するよう図っていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 第3点目は、DMATと関係機関を結ぶ連絡手段の構築や整備の充実等については、日ごろより一定の経費が必要であり、こうした経費について、所要の財政措置が講じられるよう、国に対し働きかけを強めていくべきではないかと考えますが、県のお考えを伺います。
 また、地震発生の直前に、期せずして、今国会において、学校施設の耐震化工事に対する国庫補助率を引き上げる改正法が成立し、大規模な地震により倒壊等の危険性の高い施設について、原則3年を目標に耐震化を図る旨の発表がありました。しかし、新たな引き上げの対象は、建物の構造耐震指標であるIS値0.3未満の建物であり、十分なものではないのではないでしょうか。
 例えば、今回の災害でマスコミにもよく登場した奥州市胆沢区の愛宕小学校は、IS値0.6にもかかわらず被害に遭っております。建物の強度や地震の影響は一概に数値では判断できないことではありますが、今回は偶然土曜日の災害であり、教育現場での被害は最小限に抑えられました。しかし、余震が続いていた中、数日間は、学校に送り出す際、不安に思う父母も少なくありませんでした。
 今回の結果をかんがみながら、国に対して、対象基準の拡大の要請や県独自の基準等をつくり、災害時には避難場所にもなり得る学校施設の耐震化について、県を挙げて早期に進めていくべきと思いますが、お考えを伺います。
 次に、洪水対策について伺います。
 昨年9月の大雨災害時には、北上川の増水により、主要地方道一関北上線、通称河東線は、北上、奥州、一関の3市において冠水し、中でも奥州市では、黒石地区が分断され、中に取り残された民家や家屋の浸水の被害があり、避難もできないまま不安な時間を過ごさなければならない地域があったことは、記憶に新しいところです。現在、同線は、世界遺産関連の観光バスが通るルートにもなり、冠水によって壊れた歩道は、応急処置の状態の中、交通量が増しております。
 私は、災害対策のハード部分では、こうした道路の高さをかさ上げすることで、避難路を確保するとともに民家への堤防がわりにもなると考えます。奥州市の一部や一関市の一部では、県道のつけかえや一部高さを上げた道路整備を実施中とのことですが、北上市の立花地区や奥州市の鵜ノ木地区、鶴城地区においても、昨年9月の洪水の水位を考慮した高さまで道路のかさ上げを行い、せめて自分で避難できるようにすべきと考えますが、県の考えを伺います。
 最近は、災害は忘れたころにやってくるのではなく、災害は毎年やってまいります。私の所属会派、民主・県民会議においても、過日、防災条例の検討プロジェクトチームを立ち上げ、本日も朝から、岩手大学の齋藤徳美先生よりお話をお聞きするなどしながら条例策定の検討に入っておりますが、ハードの面では、危険箇所をわかっていながら放置することのないよう、速やかな県の対応を期待いたします。
 次に、振興局の再編について伺います。
 去る5月28日、地方分権改革推進委員会が、地方分権に関し、国と地方の役割分担の見直しと市町村の権限拡充を柱とする第1次勧告、生活者の視点に立つ地方政府の確立をまとめ、公表したところですが、具体性に欠ける、今後の省庁の抵抗が必至といった意見など、課題も多いとされているところです。
 私は、我が国の再生・発展のかぎを握る地方分権は、地方、生活者を中心・基本に据え、地方が国土や食料を支えていることからまず発想し、検討を進めていくべきものと考えております。
 そうした視点で今回県の公表した広域振興局体制の整備の基本的考え方(素案)を見た場合、いわて希望創造プランの重点目標への喫緊の対応の必要性や市町村優先の行政システムの確立など、私も意を同じくするものです。
 また、その指針として、平成18年4月にスタートさせた県南広域振興局の成果を、広域振興局の移行に伴う企画・管理部門の集約等の体制強化により、重要課題である市町村の行政基盤の強化に向けた支援や産業振興を中心とした施策の展開において、地方振興局といった従来のエリアを越えて、民間力・地域力が発揮される仕組みづくりが進んでいますとし、五つの成果を挙げておりますが、私は、そうしたもののほかに、県南振興局管内で発生した今回の災害においても、県の災害対策本部や一関総合支局との間で行ってきたテレビ会議などでの現場と本部の情報の共有や対応の確認、そして、各市町村との連絡・連携などスムーズに対応できていたのは、平成18年4月に広域振興局が設置されてから2年間の中でつくり上げてきた広域という考え、取り組みを共有した実績によるものであり、これも一つの成果であると思います。
 また、本年度の予算におきましても、広域振興事業の約70%の2、600万円余りを世界遺産登録関係諸事業に充てるなど、圏域の当面する課題に重点的に対応していくという方向性は、県全体の予算が減少する中、非常に効果的であり、また実効性も高いものと考えます。それぞれの圏域が、その中で予算も権限も持ち、広域振興局という求心力を持った活動を始めることが、圏域の一体感の醸成にもつながってくるものと考えます。
 そこで何点か伺います。
 第1点目は、県の地方分権に対する基本的な考え方であります。
 広域振興局体制の整備は、単なる組織の見直しではなく、将来をも見据えた本県の地方分権の目指す姿があって取り組みを進めていくべきものと考えますが、その基本となる考え、見通しを伺います。
 第2点目は、県南広域振興局の今後についてであります。
 今回公表された検証は現時点のものであり、また課題も多くあると認識しておりますが、県南広域振興局の取り組みは、本県のみならず、他県の同様な再編にも影響を与える重要なものと考えます。県南広域振興局は、今後どのような体制を目指していくのか伺います。
 第3点目は、県北・沿岸圏域における広域振興局体制についてであります。
 産業振興あるいは市町村優先の行政を進めるに当たっても、県南圏域とは地域の特性が異なると考えます。また、同じ圏域、例えば県南圏域でも、北と南では異なった文化があるわけですが、一体で取り組んでみた結果、成果が上がったことも事実としてあると思います。今後、広域振興局体制により、圏域の一体感をどのように醸成し成果を上げていくお考えなのか伺います。
 次に、下水道行政について伺います。
 本県の汚水処理人口の普及率は、平成18年度末において、公共下水道48.1%、農業集落排水6.9%、漁業集落排水1.1%、浄化槽等11.2%の計67.3%であり、この汚水処理全体の普及率は全国34位、東北でも4位と決して高い数字ではなく、普及率を向上させていくことが県民生活の向上につながるものと考えます。
 県内の市町村別汚水処理普及率は、盛岡市の92.6%から川井村の22.2%まで幅広く、これは、各市町村の体力差に加え、我が岩手県が自然豊かな広大な地で、公共下水道事業を行うには決して採算性のいいところばかりではないことが要因であると思います。
 各市町村においては、農業集落排水や漁業集落排水、浄化槽等の整備も進めておりますが、県内には下水管はもとより排水溝もないところもあり、本来であれば、まずはそうした整備が望まれるのですが、市町村においても、効率性や優先性の中で置き去りにされているのが現実であります。
 し尿処理はくみ取り、生活排水はたれ流しの現状は、地域の水環境の保全や衛生的な生活環境の保全のためにも、どうにかして改善していかなくてはならない課題であると考えます。
 そうした中、本年3月31日付で県より各市町村に送付された浄化槽放流水の地下浸透に関する指導要領は、浄化槽の放流水の地下浸透を容認するものであり、本県の下水道整備目標である平成22年度末に、下水道の汚水処理人口普及率52.8%、汚水処理全体で80%を達成するためにも、私は、この方式によって汚水処理人口普及率が向上することを期待しております。
 以前の合併浄化槽であれば、窒素除去装置がなく、排水に1日当たり1人10グラムほどの窒素を排出しており、地下浸透のみならず環境に対する危険性を感じておりましたが、現在の高度処理浄化槽では2グラムほど、直接河川へ排出している生活雑排水と同じレベルであり、浸透方式を考慮することなどにより、さらに環境に優しいものになると思います。
 先日の奥州市議会6月定例会においては、三宅正克市議の質問に対し、奥州市では導入するとの判断が示されました。また、ほかの市町村においても、導入を検討されているところがあると聞いております。導入の判断は市町村に移譲されておりますが、事前協議書や説明書、誓約書など、保健所の審査がどの程度になるか、またハードルが高過ぎて実施できないところが多くならないか不安であります。
 県では、下水道行政のうち、特に浄化槽の放流水の地下浸透について今後どのように指導されるお考えか伺います。
 次に、岩手競馬について伺います。
 平成19年度の岩手競馬事業は、年度途中に3度に及ぶコスト調整を実施した結果、平成10年度以来、9年ぶりに単年度黒字を達成する見込みとの報告がなされました。そして、また本年度4月5日開幕してから6月9日現在までの売り上げが前年比84.4%、入場者数94.7%と落ち込み、過日、6月26日に行われた運営協議会において、またもやコスト調整の提示があったところです。
 昨年の9月定例会において、当時、経営資源にかかわる部分ではこれ以上の経費削減は難しいのではとの質問をした際、知事より、来年度以降もコスト管理の徹底を図っていくことは、経営の安定化を実現していくために必要なことであるが、さらに厳しさを増す経営環境を踏まえ、岩手競馬の将来にとってどのような経営のあり方が望ましいのか、中長期的な視点に立った抜本的な改革についても検討を進めることが必要と考え、先般、プロジェクトチームを設置したところであるとの答弁をいただきました。
 その後、プロジェクトチームにおいてさらなる民間委託の報告がなされ、競馬組合での企画提案募集において、説明会、資格審査申請、企画提案受け付けをし、選定委員会の選定を経て、現在、日本ユニシス株式会社と交渉しているものと認識しております。
 そこでお伺いしますが、今もなおプロジェクトチームは中長期的な視点に立った抜本的な改革を検討中なのでしょうか。それとも、民間委託を行うことは決定済みなのでしょうか。
 私は、現状においては、民間委託の検討は進めるとしても、民間委託をしないことも想定して別の形も並行して検討すべきと考えますが、お考えを伺います。
 また、今回の民間委託における企画提案募集の際、地方公共団体としての固有業務や、競馬法の規定で競走の実施等民間企業に委託できない業務を除く業務全般を一括して受託する場合の企画提案を募集としておりましたが、今回配付いただきました日本ユニシスの企画提案内容の中では、ただし、現在、民間企業に委託している業務は受託検討対象とし、組合と合意した業務を受託となっております。これでは、ただ単に受託業者が1社ふえるだけにすぎないのではないでしょうか。
 私の理解では、今回の民間委託の検討では、一括で委託し、受託者が自前で運営するか、一部再委託するのかを考えるというのが本来だと思いますが、当初の一括して受託といったあたりから、現在の受託業者の方々には話をしていたのか、また、受託業者との関係はどのようになるのか、あわせて伺います。
 さらに、日本ユニシスの提案書には、競馬振興公社の廃止という提案も含まれておりました。現実に、民間委託をし成果を上げようとする場合は、競馬振興公社の廃止や組合の縮小などの点が問題になってくると私自身も思っておりましたが、退職引当金は現在十分に対応できる状況とは言えず、構成団体より捻出するなどしない限り、退職もさせられないという課題が含まれていると思いますが、どのように対応するお考えか伺います。
 また、昨年の岩手県競馬組合への構成団体融資に際し、盛岡市と奥州市が岩手県の基金より借り入れた分の金額については、昨年度より盛岡、奥州の両市から各2億2、500万円、合わせて年4億5、000万円が返済されておりますが、この返済金は、特定の財源として基金に繰り入れていくのでしょうか、お伺いします。
 次に、後期高齢者医療制度について伺います。
 後期高齢者医療制度の質問に対しましては、さきに登壇いたしました喜多正敏議員とは違った観点にて質問できるよう頑張ってみます。
 昨年10月にこの制度について質問した際にも、答弁は、国から情報提供がなされていない、早期に方針を示していただきたいと考えている等のお答えでしたが、今年度から後期高齢者医療制度が始まった今に至っても、さまざまな問題だらけの制度で、対象者である75歳以上の高齢者の方々の不安や市町村の担当者の方々の苦労は、大きいものがあると思います。
 この制度は、年金から天引きなどという世界に類を見ない制度であり、これからどうしていくのか率直にお伺いしてまいります。
 現在、この制度の理解が進まず、まだ混乱の中で、高齢者の方々は、市町村の窓口に問い合わせに殺到しております。
 この制度の運営は、保険料徴収は市町村が行い、財政運営という制度の根幹を広域連合が担うというものとなっており、市町村も対応に苦慮されている旨の話を聞きます。
 そもそも広域連合の構成議員は、首長10名、市町村議員10名で構成しているので、35市町村の全体から議員が出ておらず、広域連合と市町村の連携がうまくとれないという声も聞きます。また、議員として参加している首長が、国の制度に異を唱えるのは難しいという面も多分にあるのではないでしょうか。むしろ、例えば市町村議員だけにして、全市町村から1名ずつの議員とし35名での広域連合議会とした方が、地域の声を聞くためにも望ましいのではないでしょうか。
 広域連合議会の構成、定数は、広域連合にて決定できるものと思いますが、広域連合のあり方についてお伺いいたします。
 また、この制度を始めるに当たっては、昨年、システムの改修・開発費で市町村負担分6億21万2、000円、広域連合負担分1億2、042万3、000円、合わせて7億2、063万5、000円ものお金をかけてシステムの構築をしましたが、それに対し国庫補助金は2億8、802万2、000円しか補助されず、4億3、261万3、000円は市町村が負担しており、さらに、制度周知費は、実質市町村負担である広域連合分951万6、000円、県負担分132万2、000円となっており、市町村に負担を強いる形となっております。
 さらに、今度はまた、制度の見直しのためにシステム改修が必要となります。国は特別調整交付金で補助するとの方針を示しておりますが、本当に今回は満額で補助されるのでしょうか。今後の改修費の負担の見通しについてお伺いします。
 また、これに関連し、国への要望は、県あるいは広域連合のどちらが行うものでしょうか。国との関係についてのお考えをお伺いします。
 また、後期高齢者の制度において、現在さまざまな見直しがされておりますが、保険料の減免について、市町村の状況に応じたきめ細やかな負担軽減など、さらに広域連合独自で国保と異なる基準をつくるといった対応は難しいと思われますが、御所見を伺います。
 以上、質問させていただきましたが、答弁によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 郷右近浩議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、岩手・宮城内陸地震についてでありますが、今回の地震については、国に対して、激甚災害の指定に向けた作業を早急に進めていただくよう求めてきたところでありますが、6月30日の官房長官記者会見で、奥州市と一関市について局地激甚災害に指定する方針が表明されたところであります。その後の国の発表によれば、当面、河川、道路などの公共土木関係では奥州市のうち旧衣川村地区を、農地等関係では奥州市のうち旧衣川村地区と一関市のうち旧一関市地区を指定する方針とのことでありますが、今後のさらなる被害額の増加に伴う追加指定の可能性も残されているところであります。
 激甚災害の指定エリアについては、基準に基づく判断となるため、被害額の結果としてやむを得ないケースも想定されますが、いずれにしても今後の対策には多額の経費を要すると見込まれるところであり、県としては、被害を受けた施設や地域の復旧・復興が速やかに進められるよう、国からさまざまな支援を得ながら全力で取り組んでいく方針としているところであります。
 また、宮城県との連携については、先般、本県と宮城県が一体となって、激甚災害の早期指定及び災害復旧対策への特別財政援助などを国に要望したところであり、今後も宮城県と連携を図りながら国への働きかけに取り組んでまいりたいと思います。
 次に、風評被害対策についてでありますが、私は、何よりも重要なことは観光客の皆様に対する正確な情報発信を行うことであると考えておりまして、災害直後からホームページによる最新情報の提供のほか、いわておかみ会などによります旅フェア2008での報告や全国放送への出演などさまざまな機会をとらえて観光施設の営業状況などの情報発信に取り組んでいるところであります。今後におきましても、私自身、県内外に向けて、県民が一丸となり、復興に向けて頑張っている強い岩手を発信してまいりたいと考えております。
 この12日には、JR上野駅でのいわて・平泉観光キャンペーン・オープニングセレモニーにおきまして私みずから本県への来訪を呼びかけますほか、首都圏の旅行会社が一堂に会したおでんせ観光王国いわてでのプレゼンテーションなどを通じて元気な岩手をアピールしてまいりたいと思います。
 次に、災害時の関係機関等の連携についてでありますが、このたびの地震対応については、今後の課題と考えられる事項についてさまざまな視点から検証していきたいと考えておりますが、災害時における救助・救急搬送と医療チームによる救命活動との連携についても課題の一つと認識しております。
 このため、災害派遣医療チーム―DMATの役割や機能、救助・救急搬送を行う機関との連携要領、さらには、災害対策本部との調整のあり方などについて関係機関との協議、検討を重ね、地域防災計画に明記したいと考えており、そうした取り組みを通じて、今後の災害の際に効果的な救命活動が行われるよう連携体制の充実を図ってまいりたいと思います。
 次に、広域振興局体制を整備するに当たっての地方分権の基本的な考え方についてでありますが、地方分権により、目指すべき県、市町村の将来の姿としては、国からの権限や財源の移譲を進め、自治行政権のみならず自治財政権、自治立法権を有する完全自治体としての地方政府であるべきものと考えております。
 そのために、本県としては、これまでも国に対し権限や財源の移譲を求める一方で、基礎自治体である市町村に対しては、住民に身近なサービスを将来とも持続的に提供できるよう、市町村合併の促進や権限移譲により、その行財政基盤の強化の支援に努めてきたところであります。また、広域自治体である県にあっては、市町村では対応が難しい広域的、専門的な施策を展開できる組織力の向上に努めてきたところであります。
 今後、財政環境が厳しさを増す中で、県、市町村が望ましい役割分担により、将来とも行政サービスの提供を維持していくことができるための組織体制を構築していく必要があると考えます。
 そのため県としては、限られた行財政資源の最適な配分により、市町村に対する支援が可能であり、かつ効果的で効率的な産業振興施策等の展開ができるような広域振興局体制を構築してまいりたいと思います。
 次に、岩手競馬の抜本的改革の検討についてでありますが、昨年8月、岩手県競馬組合事業運営監視委員会から中長期的視点に立った抜本的な改革についての検討が必要との御意見をいただき、これを受けて、持続可能な岩手競馬のあり方を検討するため、昨年9月に構成団体によるプロジェクトチームを設置したものであります。
 プロジェクトチームでは、これまで、抜本的な改革の大きな検討項目として考えられる、第1に、委託可能な業務を一括して委託する民間委託の拡大、第2に、大幅なダウンサイジングによる経営改善を目指す1場体制への移行、以上二つについて検討を進め、民間委託の拡大については昨年12月、1場体制への移行については先月、プロジェクトチームとしての改革の方向性を取りまとめたところであります。
 現在は、このプロジェクトチームの報告も踏まえ、当面の抜本的改革の有力な選択肢の一つになり得ると考えている民間委託の拡大につきまして、現行の運営方法に比べてよりよいものとなるかどうかを具体的に判断するため、競馬組合と構成団体が一体となって相手方企業との協議、交渉を進めているところであります。
 したがいまして、現時点では、民間委託の拡大が適当かどうかの具体的な検討を進めることがこの抜本的改革の検討の中心となっておりますが、厳しさを増す岩手競馬の経営環境などを踏まえれば、今回の民間委託拡大の成否がいずれでありましても、今後とも中長期的視点に立った抜本的な改革を具体的に検討していくことは必要と考えておりまして、地方競馬全国協会が進める地方競馬全体の持続的な発展を目指した地域ブロックごとの開催日程の調整など、主催者間の有機的な連携や共同の取り組みの動向も踏まえながら、引き続き持続可能な岩手競馬のあり方について検討してまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長岩渕良昭君登壇〕
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) まず、DMATの効果的な機能の発揮についてでありますが、今回の岩手・宮城内陸地震におきましては、県内外の11チームのDMATが負傷者のトリアージや治療のほか、高度救命救急センターへの広域搬送等に対処いただいたところでありますが、こうした活動の中で、現地における指揮命令系統のあり方や、DMATと関係機関との情報連絡体制、ヘリコプターによる後方医療機関への広域搬送体制の整備が課題として指摘されたところであります。
 県といたしましては、こうした課題への対応を含め、新たに設置する岩手県災害拠点病院連絡協議会におきまして、災害拠点病院のほか、消防機関や医師会、市町村などの関係機関の参画を得て、DMATの派遣要請の基準や手続、医療と消防との連携等について具体的な運営の仕組みづくりを進めてまいります。
 次に、DMATと関係機関を結ぶ連絡手段の構築や装備の充実等についてでありますが、DMATが被災地において迅速に活動し、効果的に負傷者の治療やトリアージ等を行うためには、関係機関と相互に連絡をとる情報連絡手段の確保や災害現地で使用する医療機器等の携行が必要とされ、平成16年度以降、これらの体制整備について国の財政支援が行われておりますが、県内でDMATの専用の装備が十分になされているのは一部の医療機関にとどまっております。
 現在、DMATの体制整備への国の財政支援につきましては、民間病院等においては国庫補助金を活用することが可能でありますが、県内DMATチームの多くを占める県立病院におきましては、平成18年度の税源移譲により一般財源化されたところであります。このような状況等も踏まえ、県といたしましては、全国衛生部長会を通じて十分な地方財政措置を講じるよう国に要望を行ったところであり、引き続き他の都道府県とも連携を図りながら、今後の機器の高度化等に対応した財政措置の拡充について国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、後期高齢者医療制度に係る広域連合のあり方についてでありますが、岩手県後期高齢者医療連合の議員定数につきましては、広域連合規約により市町村長10人、市町村議会議員10人の合計20人と定められております。この規約につきましては、広域連合設立準備委員会におきまして、広域連合の事業内容や他の都道府県等の状況等を踏まえ、規約案を策定し、すべての市町村で規約案の議決を経て制定されたものであります。その後、広域連合議会におきまして議員定数の見直しについて議論があったことから、広域連合において運営の実態を検証し、その見直しの必要性について検討すると伺っております。
 県といたしましては、広域連合の自主性、自立性に配慮しつつ、検討の過程において必要な助言及び情報提供などの支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
 次に、今後のシステム改修費の負担の見通しについてでありますが、後期高齢者医療制度におきましては、今般、新たに制度の見直しが行われ、低所得者への軽減対策などが示されておりますが、こうしたことを実施していくためには、広域連合や市町村において保有する電算処理システムの改修が必要とされております。こうした中、今年度に実施される軽減措置につきましては既存の電算処理システムで対応できるとされており、この点に関して、広域連合及び市町村において改修費の新たな負担は生じないものと聞いております。
 一方、平成21年度から実施される軽減措置に対応するためには、新たに電算処理を行うための入力コードを設定するなどのシステム改修が必要とされており、こうした経費については、国の責任において適切に対処するとされております。しかしながら、現段階においては、補助基準など具体的には示されていないところであります。
 システム改修等に係る国への要望についてでありますが、県は、後期高齢者医療制度の運営が健全かつ円滑に行われるように必要な助言及び適切な援助を行うものであり、こうした視点に立ち、今般、国が新たな負担軽減策を打ち出すに当たっては、全国知事会を通じて、地方に財政負担を転嫁しないことなどの申し入れを行ってきたところであります。さらに、制度の見直しに係るシステム改修費については、広域連合においても、東北6県の広域連合が共同して必要な財政措置などを国へ要望することとしており、本県におきましても、この7月に北海道・東北7県保健福祉主管部長会議の合意事項として、システム改修費等の経費について、国が責任を持って十分な財政措置を講じるよう要望することとしております。
 今後とも、県、広域連合が相互に連携を図りながら、それぞれの立場から国に対して要望していく必要があると考えております。
 次に、保険料の減免についてでありますが、後期高齢者医療制度におきましては、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、保険料は広域連合内で原則として均一であり、保険料の減免につきましても市町村ごとに異なる基準を設けることはできないというふうになっておりますが、現状におきましては、広域連合の定める保険料の減免基準は、各市町村が定める国保税の減免基準と比較すると、多くの市町村で広域連合の基準のほうがより対象者が広く、減免割合も高いか同程度となっております。これに加え、保険料納付が困難な方に対しては、窓口相談機能を担う市町村におきまして、減免も含めて保険料の納付相談にきめ細かく対応することとされており、こうした取り組みにより制度が適切に運用されるものと考えております。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 災害対策に係る洪水対策についてでありますが、これまで、道路の冠水対策は、主要地方道一関北上線舞川地区などで道路の拡幅や線形改良とあわせて実施してきているところであります。
 御指摘の北上市立花地区につきましては、平成19年9月洪水被害を契機に、国で北上川中流部治水対策事業として、日高見橋付近から立花地区の集落を囲む築堤事業に平成19年度から着手していると聞いております。この堤防が完成しますと、堤防内の県道は一定程度の洪水に対し、守られることとなります。
 また、奥州市鵜ノ木地区や鶴城地区につきましては、昨年9月の洪水の水位を考慮した高さまで道路をかさ上げした場合、5メートル程度の盛り土の高さが必要となり、沿道の土地利用などの面から課題があること、また、北上川中流部治水対策事業の計画に盛り込まれていることなどから、国の事業の進捗状況や交通量の推移などを総合的に勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
 なお、この3地区ともに県の水防計画では重要水防箇所に位置づけられておりまして、北上川上流水防警報などが発令された場合には、奥州市とより一層緊密な連携を図りながら、住民の方々に早目の避難を促すように努めてまいります。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 県南広域局の今後についてでありますが、これまでの検証結果によれば、再編を見込んだ過渡的組織となっておりますことから、本局、総合支局、行政センターの役割分担が不明確といった御指摘や、本局に集約された一部業務に関しましては利便性の低下を指摘する声などが寄せられているところであります。
 こうしたことから、1、広域振興局内の業務の分担をわかりやすくするため、総合支局を行政センターへ移行すること、2、また、本局へ業務を集約する一方で、地域密着の業務は行政センターの所管とすること、3、市町村支援体制を充実するため、専門職員の有効な配置を図ること、4、本局への集約により業務効率が低下している場合があるので、個々の業務の性質に応じたサービス提供体制の見直し、5、必要とされる業務の完結性と県民等への対応の改善などについて検討しているところであります。
 次に、広域振興局体制による圏域の一体感の醸成についてでありますが、先行設置した県南広域振興局におきましては、従来の地方振興局の管内を越えるエリアになり、市町、産業支援機関、大学、事業者、団体など多様な主体の参画、協働によって、施策を一体となって進めるための広域ネットワークの形成等が進んだことによりまして、一つには、異業種交流による食産業プロジェクトの立ち上げや、二つには、県南圏域の広域観光の情報発信サイト「ゆいたび」の開設のほか、三つ目には、各地の授産施設が連携し、販売、受注、生産面での共同事業の展開など、広域振興圏としてのまさに一体感が高まるような先進的な取り組みの展開が可能となったところであります。
 県北・沿岸圏域におきましても、県南広域振興局と同様に、地域の資源や多様な人材を有機的に結ぶ広域的なネットワークを形成し、圏域の内外と積極的に交流することなどにより一体感が醸成されるものと考えているところであります。この結果、地域の総力が結集され、産業振興を初め、福祉や環境、人材育成などの幅広い分野におきまして効果的な地域振興が可能となるものと考えております。
 県といたしましては、広域振興局体制に移行し、圏域が一体となって地域振興施策を積極的に展開し、地域の可能性を最大限に引き出すことなどにより、地域の経済基盤の確立を目指してまいりたいと存じます。
   〔環境生活部長瀬川純君登壇〕
〇環境生活部長(瀬川純君) 浄化槽の放流水の処理についてでありますが、本県の地域特性を考えた場合、汚水処理人口の普及率向上には浄化槽の設置の推進が有効な手段の一つと考えております。
 県では、これまで浄化槽の放流水については、地下水への影響などを考慮し、原則として地下浸透によらない放流方法を指導してきたところであります。しかし、高性能の浄化槽が普及してきたこともあり、放流先の水路等の確保ができないなど、やむを得ず地下浸透をしなければならない地域での設置にも対応するため、本年3月に浄化槽放流先の地下浸透に関する指導要領を定め、市町村に対しても通知したところであります。
 この要領におきましては、浄化槽周辺における飲用井戸の設置状況や放流箇所の地質など、周辺の生活環境への影響等について確認するとともに、適切な浸透装置の設置により放流水の地下浸透が可能か判断できる条件を示したところであり、浄化槽法に関する事務を移譲している市においては、この要領を参考として指導していると承知しております。
 今後とも、市町村と連携しながら、水環境の保全及び衛生的な生活環境の維持・向上が図られるよう努めてまいります。
〇議長(渡辺幸貫君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 岩手競馬についてのお尋ねでございます。
 まず、民間委託拡大の実施方法等についてでございますが、民間委託拡大を行う場合、広範囲の業務を一括委託することにより、受託企業はより弾力的な業務運営が可能となり、民間のノウハウを活用したファンサービスの向上や安定した事業運営などが期待できるところでございます。
 このようなことから、民間委託拡大の企画提案募集につきましては、委託可能な業務のすべてを一括して民間企業1社に委託することを前提に実施したところであり、最優秀企画提案に選定された交渉先の企業とも、その前提のもとで現在、具体的な交渉を行っているところでございます。
 また、現在の委託先企業に対しましては、本年1月、企画提案募集を開始する際に、今回の民間委託拡大は一括委託を予定していることを文書でお知らせするとともに、先般、開催されました競馬組合運営協議会の部会におきましても説明をしたところでございます。
 仮に民間委託拡大が実施される場合におきまして、現在の委託先企業に対して再委託なされるかどうかは、基本的には一括委託先の企業の意向が尊重されるべきものと認識しており、まずは一括委託先企業の考え方や方針をよくお聞きして協議してまいりたいと考えております。
 この場合、現在の岩手競馬におきましては、委託先企業が所有する設備等を用いて運営されている業務もありますことから、そうした設備等の取り扱いを一括委託先企業がどのように考えているのかといった点も十分に調整・整理する必要があるなど、新たな運営方式への円滑な移行のためには、現在の委託先企業と十分な協議・調整を行っていくことが重要と考えております。
 次に、公社廃止の課題等についてでございますが、交渉先企業の企画提案におきましては、競馬振興公社の廃止や競馬組合職員の削減が提案されておりますが、受託業務の実施体制や、必要な人員、再委託する業務の範囲などの具体的な内容は今後の交渉の中で示されることとなっているところでございます。したがいまして、仮に民間委託拡大に移行することとなり、公社の廃止などで退職手当の支払いが必要となった場合、現在、積み立てている退職給与引当金等の範囲内で対応可能かどうかにつきましては、具体的な人員体制などが示された上で明らかになっていくものと考えており、その提案内容に応じて検討・協議を行ってまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、円滑に競馬を運営していくためには、競走の実施や、これに関連する業務を実施するためのスタッフの確保が不可欠でございまして、また、そのスタッフには一定のノウハウが必要と考えられますことから、今後の具体的な交渉の中で、必要な人員体制などについて詰めていく必要があると考えております。
 次に、盛岡市と奥州市からの返済金についてでございますが、岩手競馬に係る融資は、必要な財源をあらかじめ確保し、安定的なスキームで貸し付けを行うため、条例に基づき、岩手競馬再生推進基金を設置し、定額の資金を運用するための基金として運用しているところでございます。この基金からの融資は、定額の資金の運用として、基金から貸し付け、基金に返済される仕組みでございますことから、現在、両市からの返済金は直接基金に返済され、基金が保有する現金残高として整理されており、今後の両市からの返済金や、競馬組合から元金の返済があった場合も同様のルールで整理することになるものでございます。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 公立学校施設の耐震化の促進に係る国の特例措置の対象基準の拡大等についてでありますが、Is値0.3未満の建物について、従来の制度より地方負担を減少させるという新たな特例対象の基準を受け、議員御案内のように、0.3以上の建物でも被害が生じているという今般の平成20年岩手・宮城内陸地震にかんがみ、直ちに国に対し支援制度の拡充を申し入れたところであります。文部科学省からは、今回の改正は、当面、優先度の高いIs値0.3未満の耐震化を促進する特例的な措置である旨の回答があったところでありますが、制度の改善要望につきましては、引き続き各都道府県と連携しながら、国に対し強く要望してまいります。
 一方、公立小・中学校の耐震化については、岩手県耐震改修促進計画においてIs値0.7未満の施設の耐震化を図ることとして取り組んでいるところであり、平成27年度までに耐震化率を75%とする目標としております。その計画の達成に向けて県、市町村挙げて耐震化を進め、学校施設の安全化に取り組んでまいります。
〇6番(郷右近浩君) 何点か再質問させていただきます。
 岩手・宮城内陸地震についてでございますが、先ほど知事より、今回の災害の復旧に対して、これから追加指定を受けられるようにまた働きかけていくというお話をいただきましたけれども、今回の災害は、国内外に発信されて、そして衝撃を与えた甚大な災害であって、このような災害は、災害地域として、本激指定をして国が率先して復旧に対処すべき案件であり、宮城県と連携しながら、例えば被害金額に応じた段階的な対応など、今現在、法改正は無理だとしても、例えば特例でというような形でなど、そうした段階的対応などを国に求めていくような考えはないかお伺いしたいと思います。
 また、きのうの報道にもありましたが、復旧費の算定の仕方においても、国と被災地の差異が出てくるなどの問題もあると考えますが、緊急予防措置などは復旧費に算入しないなどの基準も被災地の現実に即していないと考えておりますが、宮城県とともに、算定の仕方等につきましても国に対して考慮していただくよう働きかけていく考えはないか、お伺いしたいと思います。
 何につけ、やはり今回のこの地震、岩手県と宮城県、同じくやはり中山間地を中心としてこの被害に遭ったということで、こうした地震に対しての算定、そしてそれに対しての対応などは、今まで洪水、台風等の災害被害に対するこの激甚災害制度であり、そうした考え方というのが中心ととらえられていたと思いますが、こうした地震災害、ましてや中山間地の地震災害についての考え方というのは、まさに今回体験した岩手と宮城が率先して、国に対して今後のあり方も含めいろいろ話をしていけるものだと考えますが、それに対しての考え方も知事にお伺いいたします。
 また、災害対策の中のDMATにつきましては、今のDMATの置かれている立場というのはボランティアの延長みたいなもので、きちんとした位置づけにない中、本当に自分たちの思いで駆けつけてくださり、そして活動してくださる、そうしたような扱いになっております。経費等についても、出動に係る経費はもとより、災害に巻き込まれた際の補償のあり方等も考えておかなければいけないと思います。そうしたこともあわせて国に対して諮っていくような考えはないか、お伺いしたいと思います。
 また、洪水対策については、北上の立花地区で、今行っていただいているということにつきましては、本当に勉強不足で申しわけありませんでした。
 ただ、今まさに黒石地区につきましては、5メートルほどのかさ上げといったような御答弁をいただきましたけれども、そうしたことでなければならないといったような御答弁がありましたが、私は、例えば全部を、そこの道路を堤防にするといったような考え方のほかにも、少なくとも避難路を確保するといった考え方からすれば、全体をかさ上げするのではなくても、例えば斜めにかさ上げしていって、そして、特にも住民の方々が逃げられるようにつくるということであれば、そうした全部5メートルなどといったような考え方でなく対応できるのではないかと思うわけでありますが、その点につきまして御答弁のほどをお願いしたいと思います。
 それから、岩手競馬についてでございます。
 岩手競馬につきましては、農林水産部長のほうからも、まさに一括して委託の前提で交渉中との御答弁をいただきました。ただ、現実的には、そこの部分をきちんとしておかないと、民間委託するにしても、受託する企業としては、やはり今までの委託先というか、そうしたような企業の方々、そして、さらには振興公社との関係、そうしたものをきちんと競馬組合で整理してから話をしないと、企業に一括民間委託します、あとはそちらのほうでやってください、そうしたものでは、なかなか最終的な受託まで進むことは難しいのではないかと私は考えるわけでありますが、そうした部分について答えをいただきたいと思います。
 また、両市からの返済金についての部分でございますが、こちらのほうは基金に繰り入れて、そして、それをお借りしながらまた戻しているといったようなお話をいただきましたけれども、私は、この融資金につきましては、もともと繰り出したところである主要3基金に将来的には戻すべきであると考えるわけです。
 それは、やはり奥州市、盛岡市にとっては、県内の各市町村、県民の方々から、盛岡、奥州、特に岩手競馬のためにこの基金がなくなったのだ、このお金を使ったのだ、そうした指摘を受けているわけですが、きちんと返しているんだと。これは、奥州市にとっては恐らく30年ローン、そして盛岡市にとっては20年ローンぐらいの、そうしたような長期の返済になると思いますけれども、そうして返しているんだと。そして、もちろん今、まさにすべてにおいて足りないと言われる基金に対して、きちんとそちらのほうを厚くするように戻しているといったような、そうしたことが必要かと思いますが、また改めて、将来どうしていくのか、御答弁のほどをいただきたいと思います。
 また、後期高齢者医療制度につきましては、本当にこちらの問題につきましては、市町村にかなりの負担を強いて、そして、これからの見通しすらまだわからない、そうしたような制度であると思います。
 例えば、今回起きたような災害、こうした災害に対する減免を図っていったときに、減免するのは易しいですけれども、それでは、2年後にその減免した部分がすべての皆様方に払っていただく保険料、そちらのほうが今度はまた上がってこないか、そうしたような心配もあると思います。2年間の中ではさまざまな形で対処するようにはなっておりますが、しかし、その2年に一度の見直しという部分については非常に不安があるわけでございますけれども、そうしたことのないようぜひとも進めていただきたいということにつきまして、お考えをいただきまして、再質問を終わりたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 岩手・宮城内陸地震の本激指定に関する質問に対する答弁をいたしますが、6月30日、内閣府防災担当が発表した岩手・宮城内陸地震の激甚災害指定に係る調査結果についての中で、内閣としては、今のこの調査結果、6月30日時点の調査結果ということで、復旧事業費の査定見込み額が公共土木施設等について527.1億円、そして、農地等について23.6億円ということで、それぞれ、公共土木の場合、本激基準額―少なくとも720億円以上には達しない、そして農地等について、本激基準額―少なくとも48億円以上に達しないということで、6月30日のこの発表時点では、やはりこの基準ということで、その時点での査定見込み額というものに達しないという中で、まずは局激という格好になっているので、この数字をめぐって、今の段階で国に対して、いや、これはおかしいとかというアプローチをするよりは、もう少し、この被害額の査定についてはふえる可能性がありますので、本激基準額にどんどん近づいていった場合に、この6月30日時点の判断とは違う判断を求めるということがあり得るのではないかと考えております。
 また、そういう数字的な基準とは別に、これが、私もブラジルにいたときに、本当に世界的にこの地震が報道されているのは目の当たりにしておりまして、そういう意味で、高度に国家的な災害だということで、本激指定をして、国として高度に国家的な災害として対応するという考え方はあり得るんだと思います。
 特に、これは風評被害対策とか復興とかというところでも岩手と宮城との連携が重要であり、また、東北全体の中での大きな災害、つまり国にとっても、この日本という国の東北の内陸で起きた地震というような位置づけが基本認識として踏まえておくべき点であるとも思いますので、これは、そういう考え方での本激というものがないかどうかという論点、そしてまた、この日本全体の中での大きな地震だったということを、復興やそういうところで元気にやっている、みんなで力を合わせてやっているというようなアピールにつなげていけないかといったところをにらみながら、今回のこの観測史上かつてない未曾有の災害を乗り越えていくように、全力を挙げていきたいと考えます。
 残りの質問については、部局長から答弁させていただきたいと思います。
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) DMATのきちんとした位置づけについての御質問でございますけれども、やはりボランティア的なものではなく、役割、機能というものをしっかりと定めて、いずれ防災計画に位置づけするなり、先ほど答弁申し上げたように、岩手県災害拠点病院連絡協議会等で議論しながら、その位置づけを明確化していきたいと考えております。
 それから、災害補償の面につきましては、例えば県立病院等、公務員の場合は公務災害、民間であれば労働災害というものが適用になりますけれども、同じ災害で活動しているにもかかわらず補償内容が異なるということは、問題ではなかろうかと考えております。したがいまして、補償内容については、全国一律の共通した考え方に基づいて対応するのが望ましいということでございますので、この点については、国に対してしっかりと要望してまいりたいと考えておりますし、既に、全国衛生部長会を通じて要望も行っている状況でございます。
 それから、出動経費につきましても、それぞれの病院等でしっかりと対応するように要請してまいりたいと考えております。
 それから、後期高齢者医療制度で、今回の災害等の場合、減免等も出てくる、保険料が上がるのではないかという御心配でございます。
 一つの方法論としましては、現在、県に設置しております後期高齢者医療財政安定化基金というものがございますので、不測の事態等が生じた場合には、この基金から補てんするような仕組みもありますが、さらに、内容によっては国に要望しなければならないこともあると思いますので、その辺をしっかりと状況をとらえてやっていきたいと考えております。
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 洪水対策についてでありますが、先ほど御答弁申し上げたのは、一般県道の一関北上線を上げた場合ということでございまして、先ほど議員御指摘のように、山側のほうに避難路をつけるということも一つの迅速な避難につながる道でございますので、奥州市と連携しながら、その辺も検討していきたいと思っております。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 岩手競馬につきまして2点お尋ねいただきました。
 まず、1点目でございますが、受託企業との関係であるとか公社との関係等もあり、組合できちんと整理して、そして交渉すべきではないかといったような御指摘についてでございます。
 現在、相手先の企業とはこれまで2回の協議を行っておりまして、民間委託拡大に関する基本的事項の確認でございますとか、交渉の進め方、それからスケジュールの調整を行ったところでございまして、現在、この協議結果を踏まえまして、具体的な調整項目の洗い出しを行うとともに、経営管理であるとか競走業務などの部門ごとに、競馬組合と相手先、双方のメンバーによる検討チームの編成作業を進めているところでございます。
 今後、議員御指摘の点も含めまして、さまざまな協議・調整を要するテーマがございます。日程的に非常にタイトなスケジュールとはなりますけれども、速やかな個別の調整課題の協議に入りまして、おおむね10月をめどに民間委託拡大についての最終判断ができるように、今後とも協議・交渉を進めてまいりたいと考えております。
 それから、2点目でございますが、将来的に返済金については主要基金に繰り入れるべきではないかという御指摘でございます。
 両市、それから競馬組合からの返済金につきましては、県全体の財源対策としての財政調整基金等への積み立てに回したり、一般財源に充当したりすることが必要になった場合には、基金条例を改正いたしまして、条例で定める基金の総額を減額する手続を行えば可能となりますが、そのような条例改正がどの時点で必要になるかは、返済金が一定程度積み上がった場合において、県財政の動向等を十分に見きわめつつ検討していくことになるものと考えております。

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