平成20年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇2番(久保孝喜君) 政和・社民クラブの久保孝喜でございます。
 質問に先立ち、去る6月14日発生した岩手・宮城内陸地震において不幸にも亡くなられた方々に、心からのお悔やみを申し上げるとともに、被災された多くの県民の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
 今回の震災は、その規模の大きさとともに、これまで予想されていた活断層以外での発生という点で、地震予知の困難さと今後の防災上の課題、教訓を残した災害でもあったと思われます。未曾有の大災害発生の中で、極めて迅速な対応をされた県当局を含む現地関係者の皆様に心から感謝を申し上げ、今なお現地において懸命な作業に従事されている方々へのねぎらいと感謝も申し上げたいと思います。
 このたびの災害にあっては、インフラの復旧を前提としつつ、何といっても被災者の生活再建が急務であり、その対応に全力を挙げなくてはなりません。また、直接の被害のほか、観光産業等の分野での風評被害もあり、各般にわたる支援策が求められてもおります。国の激甚災害指定等を求めつつ、県を含む関係当局の一層の御努力を心からお願い申し上げたいと思います。
 歴史をひもとくと、内陸、特にも山間部に震源を持つ大地震としては、今から112年前、明治29年8月31日発生の陸羽大地震との共通点の多さが見られるところであります。今回の震源から北に50キロほど、真昼岳の岩手側、現在の西和賀町直下4キロという震源の近さや、伝えられる山腹崩壊などの被害状況が酷似している点など、同じ奥羽山脈沿いの一連の断層帯上に起きた震災として、その相互の関連性や影響の度合いなどが心配されるところでございます。
 当時の記録を読むと、時代の違いはあるものの、自然災害への太刀打ちできない無力感で胸がいっぱいになりますけれども、国内外の多くの皆さんから寄せられた善意をエネルギーとしつつ、何より災害現地での住民の皆様の懸命な姿に、私たちも逆に勇気づけられて、今後の復興に全力を挙げることをともどもに決意したいと思います。
 それでは、以下、通告に従い順次質問を申し上げますが、昨日来の質問項目と若干の重複があることをお許しいただきたいと思います。
 質問の第1点目、県政運営における知事の自己評価についてお伺いいたします。
 最初に、知事の発信力と就任1年の総括について、その所感をお尋ねいたします。
 達増知事には、昨年の就任以来精力的な活動を展開しておられ、若さあふれるとはいえ、その激務に心から敬意を表するものであります。
 先般の地震災害の折にも、ブラジルから急遽帰国され、支援・救援活動の先頭に立って指揮をとられたことに、県民の称賛が寄せられております。かねて主張されている危機を希望に変えるとの姿勢は、こうした天災の事態にあって、県民の期待を集めるに十分な説得力を持つものと思いますし、県行政が県民の信頼をかち得る大きなよりどころともなり得ると思います。一層の御奮闘を願うものであります。
 さて、知事の発信力についてであります。
 47都道府県の知事の中で、ひときわ若く、国会議員の経験も重ねてこられた知事でありますが、宮崎県の知事の例が示すとおり、最近では、知事自身がテレビなどへの出演・露出を図ることで、県産品のセールス等に大きな役割と成果を上げていることなどが伝えられております。知事のキャラクターや出自の違い、何より個性や世界観の違いが政治的行動パターンをつくるわけでありますから、同じことを求めるのはそもそも筋違いではあります。
 しかしながら、そうした発信力は、時に県民の空気感を左右し、県民のムードを高め、ある種の元気をつくることも現実の世界では起こり得ることであります。トータルとしての知事のイメージをどう伝え、あるいは演出を含めてそのプロデュースをするかは、今日的な戦略的課題であるかもしれません。だからこそ、世の歴史は、政治リーダーの立ち居振る舞いのあれこれを、その政治性に重ねて論評し、かつ評価を下してきたのであります。そしてその評価は、皮肉なことに、なし遂げた功罪ある業績よりもなお、後世に残ってしまうイメージでもございます。
 知事は、選挙戦の公約に基づき、いわて希望創造プランを策定しました。二つの戦略を土台に各般にわたる方向性を示したこのプランは、財政の逼迫という選択肢が限られる状況の中で、県政の方向を、よりソフト的、より投資額の小さい、より地域づくりの意欲創出へとその重点を移さざるを得ないという観点での方針だとの指摘は、あながち間違いではないと思われます。ならば、だからこそ、今問われるのは発信力だと申し上げたいと思います。その発信力は、県政ビジョンを明確に示すことであり、知事の姿勢・熱意を強烈にアピールすることだと思います。
 その点で極めて残念であり不可解なのは、知事みずから、その任期を最長2期8年と言明してしまったことであります。2期8年という時間が、既にあるさまざまな地方自治体の課題山積の上に、その克服方向の上に君臨してしまっていることであります。したがって、県政内部にも、その時間軸に同調させた政策運営が求められることとなり、県民の間には、危機を乗り越える方向性が2期8年で道筋がつくのかとの懸念が広がっていることでもあります。8年後の知事の政治行動に推理を働かせる報道も散見されます。政治姿勢として、あるいは信念としての2期8年の言明は理解できるものの、結果的に知事の県政リーダーとしての発信力を損ない、県政運営の手法に影を落としていないかとの心配があります。
 今必要なのは、あれこれの思惑や一切の予見なしに、徹頭徹尾県政に立ち向かうビジョンと熱意を県民に語ることだと思います。知事みずからの発信力についての評価とこの1年の知事職としての総括をどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、知事の対話姿勢についてお伺いいたします。
 昨年来、知事は、県内市町村長への訪問を初め、移動県庁、草の根訪問などなど、県民との対話、現場主義を実践する対話を重ねてこられました。知事とは知ることだとは、一つの見識として、県内行脚を含め、県民の評価は高いものと確信いたします。
 さて、そうした知事の対話活動の成果は、当然ながら県政施策に反映、吸収されていかなくてはなりませんが、肝心の県職員との対話はどう取り組まれているのでしょうか。県政の現状、県民の声の状況認識を知事と職員が共通認識として共有することは、県政運営の第一歩でもあります。
 財政改革の中で大きな比重を占める職員給与が昨年度削減されました。職員のモチベーションを低下させないとの知事答弁があったわけでありますが、行政体の長たる知事と雇用職員の関係性を超えて、水平的な自治体運営の同志としての職員との対話が求められていると思います。マンパワーの重要性は、官僚を経験された知事自身が得心していることでもあろうかと思います。
 県民評価の高い対話姿勢を県職員も含めて全面的に展開すべきと思われますが、その御認識と今後の方向性をお伺いいたします。
 次に、県の役割と市町村との関係について、知事の御認識をお尋ねいたします。
 希望創造プランの策定過程でも大きな議論を呼んだことでもありますが、危機としている多くの現実が、市町村の現場に存在しております。基礎的自治体としての市町村の苦悩は深刻であり、その背景は根深く、国政を含めた制度的・本質的な課題としてその多くが存在しております。
 知事として市町村訪問を重ねられてきた結果としてのプラン策定の経過もあるわけですが、改めて、知事がつかんだ危機の実相をお尋ねするとともに、市町村の苦悩をどうとらえているのかをお伺いいたします。
 一方、現在、国政の現場、中でも総務省や与党周辺では、道州制をめぐる議論が着々と進んでおり、政治構造としての道州制が、分権社会の究極の目標であるとの議論が大勢であるかに見えます。
 知事は、これまでの議会答弁で、道州制に対して距離を置く見解を表明し、制度論に終始する現在の議論方向に疑問を投げかけ、主権者である国民、県民の暮らしがどう変わるのかが前提でなければならないと、その議論全体に懸念を示してこられました。全くの同感であります。
 道州制議論が示すところ、それは、国と都道府県の関係を制度的に見直すことであると同時に、県と市町村の関係性そのものを問い直すことでもあります。都道府県が果たしてきた役割や肯定されてきた権能が、市町村との関係の中できっちりと総括される必要があります。政治的枠組みや省庁総体を巻き込んで繰り広げられる道州制の大合唱に対し、今なすべきことは、都道府県こそが、その総括の上に反論・反証していかなければならないという局面にあることでございますし、市町村の信頼やパートナーシップに基づく取り組みが一層重要になってきていると思われます。
 知事は、こうした情勢の中で、都道府県の将来像をどう描き、役割・権能をどう見定めていくのか、市町村との関係性をどのように構築していこうとお考えか、改めてお伺いするものでございます。
 質問の第2点目、広域振興局体制の整備についてお伺いいたします。
 知事は、選挙戦マニフェストの岩手四分の計に基づく4広域振興局体制を2010年からスタートすることをこの春表明しましたが、県民世論は、必ずしも納得していないのではないでしょうか。昨年来の希望創造プラン策定過程と、このたびの広域振興局整備素案で繰り返されてきた県民の反応は、なぜ4広域なのかの前知事以来の疑問であり、暮らしの実感と県政要望との間で、このエリアの示す姿に確たるイメージをつくり得ないもどかしさであります。
 また、県の事情、わけても金がない事情による組織の縮小との受けとめ方や、そして極めつけは、県の方針でしょうから速やかにおやりくださいとの、賛成とは言いかねるさめた反応だったのではないでしょうか。説明はわかるけれどと言葉に詰まり、県と市町村、県庁と県民の間にもやもやとした折り合いの悪さがそこかしこにかいま見えて仕方がないのであります。県民の間におりのようにたまっていくこの思いこそ、明確でわかりやすい説明によって解明されなければならないゆえんであります。
 県政運営において極めて大きな課題となる行政構造のあり方論として、以下、お聞きしたいと思います。
 まず、広域局整備の素案策定の過程で、庁内においてどのような検討があり、議論のポイントは何であったのでしょうか。希望創造プランが確定した今の時点から振り返ってみると、広域局体制については、最初から今回の素案に見る方向性や理念が定まっていたのではなく、市町村の反応や地域の要望に対応していく中で、理論的・説明的整合性を図ってまとめられてきた素案のように思われてなりません。
 依然として、私自身も確信を持てないプランによるところの自立的な広域圏という考え方などからは、今回の素案が率直に導かれたとは思えないのであります。結果的に、増田県政当時の広域圏の考え方とは、エリアこそ同じでも、よって立つ根拠、位置づけは大きく変容していると言わなければなりません。したがって、希望創造プラン策定時の市町村の意向や意見がどう今回の整備案にしんしゃくされたのか、また、素案に対して地域説明会等ではどんな意見が出されてきたのか、改めてお聞きし、現状での課題認識をお伺いいたします。
 次に、2010年に4広域圏を同時スタートするとの決断は、これまでの方針を大きく変えるものであります。予算議会での知事表明は、それなりの検討を経た結論ではあったろうと思いますが、結果、さらにこのプランへの理念的疑問を広げることとなってしまいました。さきに指摘いたしました4広域化の理念の変質を明確にしたという点、さらには、市町村との関係性を壊しかねない要素を含んでいるという点で、大きな危惧を抱くものであります。
 なぜ2010年なのかが明瞭に示されていません。知事の言う危機的としてきた実態が、この1年で飛躍的に深刻化したということなのでしょうか。増田県政当時からこの春まで、県議会も含め、だれもが思っていた10年程度の移行期間を見直さなくてはならない緊急性が、知事就任以来のこの1年で生まれたということなのでしょうか。
 希望創造プランの議論の過程では、そうした方向性が一度として提起されたわけではありません。3月時点で突然表明した根拠は、当然にも乏しいと言わざるを得ません。この際、具体的緊急性はどこにあるのか、明確に説明を願いたいと思います。
 さらに問題なのは、これらの疑問点を丁寧に県民世論としてくみ上げていこうとしても、出口が2010年一斉スタートと提示された結果、本来求められる議論とは大きく異なる方向に向かう危険性が高まったということであります。あるべき県政、その行政構造、市町村との関係など、広範かつ理念的な県民合意を目指すべきこれからの過程が、勢い、本局、支局、行政センターなどの所在地や出先の所在、市町村の間の綱引き議論に収れんしてしまう危険性が増したことであります。
 望まれる県政構造を丁寧に積み上げる姿勢やその手だて、県民合意への展望をどうつくり上げようとしているのか、御認識をお伺いしたいと思います。
 3点目として、本県農業の再構築に向けた取り組みをお伺いいたします。
 戦後農政の大転換と喧伝された昨年の農政方針は、米価の下落という事態を招き、年度の途中にその方針変更を余儀なくされました。米価の下落が単に市場での偶発的な結果でないことは確かですし、農政及び構造的要因によって引き起こされた問題点が市場価格に象徴されたととらえる関係者の声は重いものがあります。
 政府の対応策にしても、単年度限りの対策でしかなく、本質的な解決策になっていないことは明白です。価格の下支えとして期待された収入減少補てん策にしても、単年度は多少なりとも機能するものの、数年にわたる減収の実態が続けば、全く収入減に対応できないと指摘されるなど、抜本的・本質的な対策とはなっていません。
 本県農業の先行きは、こうした米価の動向と同じく、明るい兆しが見えにくい現状にあります。大部分の農地が中山間に存在する本県にあって、いわて型集落営農を標榜するそのかけ声に見合う、方向性が定まった水田農業振興になっているのかとの指摘があります。岩手こその農業再構築に向けた取り組みをお伺いするものです。
 最初に、えさ米、飼料稲に関してお伺いいたします。
 本県農業の再構築を考えるとき、その基本的視点をどこに定めるべきかという基本的命題があります。営農実態の多くが県土の大半となる中山間に存在するとすれば、地域としての中山間が前提となる一つの視点であります。
 営農方向は、本県農業及び畜産振興の歴史の示すところ、耕畜連携であり、農業が持つ多面的機能の集約点でもある水田農業が、中心的施策に据えられるべきであろうと思います。したがって、現在の農政方向の中でも課題の多い生産調整施策や耕作放棄地問題との整合性を図って、本県の特徴を最大限発信する道を政策的に誘導する必要があります。
 こうした状況の中、私は、えさ米、飼料稲が大きな期待を持って政策的に浮上していることを喜んでいる者の一人であります。かつて35年ほど前から、県内の農業者が減反政策への抵抗・反論の実験的営農策として取り組まれたえさ米運動が、長年にわたる無視、玄関払いから、このたび日の目を見て、今日の奨励策にまでなったことを、先人の御苦労を思い、感慨深いものがあります。
 水田を水田として活用・維持していくことに大きな意味を見出し、コストや効率の上でも、家族農業や農村社会そのものの持続という観点でも有効なえさ米等の振興こそ、最近では、政府自身が大きく着目する政策方向であるとの現状を踏まえて、以下、お聞きしたいと思います。
 まずは、本県におけるえさ米、飼料稲の可能性をどう認識しているのかをお尋ねいたします。
 また、えさ米、飼料稲の作付規模拡大にどう取り組むのか。さらに、品種改良・開発研究の現状と課題は何かをお伺いいたします。
 本県の広大な県土とその歴史の中で、今こそ、本県ならではの農業施策の大きな柱に位置づけた展開を願うものであります。
 次に、国際的な穀物価格高騰の情勢を受け、日本国内の食料自給率の向上策が改めて注目されております。先進国の中で異常にも低い自給率が、国際的な市場動向に直撃される当然の事態の中で、国民世論が自給率向上に目を向けつつあることは、皮肉なことながら歓迎すべきことかもしれません。
 そんな中、輸入に頼る小麦に対し、米の微粒細粉、米粉への期待が高まっています。既に多くの実践例が紹介もされ、事業化されておりますけれども、十分な自給率向上策になり得るとの評価がございます。
 本県における米粉の活用状況、その普及拡大にどう取り組んでいるのか、課題と目標をお伺いいたします。
 また、昨年にスタートした集落営農が初年度を終え、先ほどの米価の問題を含めて多くの課題が指摘されております。今後の農業を考えるとき、この成否は、産業のみならず、農村そのものの将来にかかって極めて重要と思います。
 本県における集落営農経営体の決算状況をどうとらえているのか、課題をどう見定めているのか。いわて型集落営農の方向性は認知されているのか、農業者と理念共有できているのかなど、県当局の御認識をお伺いいたします。
 質問の第4点目は、教育行政のあり方についてお尋ねいたします。
 本県教育については、いわて型コミュニティ・スクール構想を掲げ、教育振興運動などの歴史的取り組みを拡大し、学校経営を地域と協働化していくという基本的方向が示されております。
 地域における学校の位置づけを明確にして、地域の活性化にも結びつけようとの意図には異論はありませんが、しかし、一方で、学校の基本的縛りとなる教員数、学級児童数、教員の多忙化等に切り込んではいないのではないかとの疑問も存在いたします。
 社会の人口減という現実と教育立県の普遍的理念の調和を図りつつ、教育環境全体の整合性が問われている時代であると思います。
 教育課題の基本的認識、課題解決の方途について、以下、お尋ねいたします。
 最初に、県立中学校についてお聞きします。
 県立一関一高に併設の来年度開校を目指す県立中学校は、県下で進む公立小・中学校の統廃合の動きとは全く真逆となるものであります。今なぜ県立中学校なのかが見えてきません。本定例会に上程された条例本則を読んだだけでは、その理念と必要性が伝わってきません。
 全国同様に、この種学校が既に大きな波紋を呼んでいる例が示すとおり、公教育の本質に係る問題が内包されております。
 そこで、まずは一番懸念される受験エリート校とならない旨の担保はあるのかどうか。既存の小学校、中学校に対する影響をどう分析しているのかを含めてお伺いいたします。
 次に、社会問題化している非正規雇用の問題、学校現場の臨時非常勤教職員の任用のあり方についてお聞きします。
 臨時非常勤教職員の実態は、問題とされる不安定な身分・権利の問題にとどまらず、教育実践の継続性や子供たちの思いとの乖離などを含むがゆえに、雇用の問題にとどまらず、教育のありようを考える上で無視できない規模になりつつあります。だからこそ、教育現場の総体的な環境をゆがめているとの懸念が生まれているわけであります。
 教育委員会が、当該職員の労働条件や将来への不安、現実の雇用不安などにどう向き合っているのか。また、非常勤だからといって言いわけできない保護者との関係など、現場任せの任用後のあり方など、その課題認識をお伺いいたします。
 最後に、来年度からスタートする教員免許更新制度についてお聞きします。
 この制度は、その成立過程からさまざまな議論を呼んできました。教育基本法の改正前後を通じて、教職員の質にこそ本質的な問題があるとの立場に対し、管理主義教育の実態や教育現場の多忙化などの実態にこそ目を向けるべきとの対立等であります。結果的に導入されたこの制度は、こうした議論の行方に決着をつけないまま、いわく運転免許証と同じかなどと皮肉られつつ、それぞれの県で具体の準備が進んでおります。
 今年度に行われる教員免許更新講習の試行などを前にして、現在浮上している課題は何か、その検討状況をお伺いいたします。
 5点目、インランド・デポ設置に向けた方針についてお伺いいたします。
 長らく本県物流の基本的施策として取り組まれてきたインランド・デポについては、平成7年以来、北上地区への税関支署等の誘致を目的に活動してきた設置促進協議会が、このたび、誘致から啓発へと大きな方向転換を決定しました。国における規制緩和や新たな税関手続に係る制度発足という背景を持った今次方針は、これまで促進協と同調してきた県方針の見直しを迫るものと思われますが、現在の認識と今後の対応策をお聞きいたします。
 まずは、インランド・デポをめぐる環境の変化を県当局はどう認識しておられるのかについてお伺いいたします。
 また、これまでの誘致方針に基づく県の関与に不足はなかったのかについて、総括的にお伺いいたします。
 さらに、北上地区では、今後の方向として、輸出入における地域の通関営業所と保税蔵置場拡大や利活用の啓発を主眼に取り組むとされておりますが、県の今後の方針と目標の設定はあるのかをお聞きいたします。
 その際、これまでの運動の成果をきちんと政策反映する意味からも、同地区を県内における国内外物流拠点の一つとして位置づけることが、今後の展開を考えたときに有効な目標設定になり得ると考えますが、いかがでしょうか、御見解をお伺いいたします。
 最後に、6点目、県が関与する観光施設についてお伺いいたします。
 先般の世界遺産に係るイコモスの勧告は県民にとって大きな失望でありましたが、なお最終の結論に向けて、その行方が県民注視の的となっております。県及び関係当局の御奮闘に敬意を表するものです。
 さて、今後の本県観光施策は、平泉に呼応する県内観光施策をトータルにレベルアップし、地域の観光資源をいかに魅力として県内外、国内外に発信できるか、その体制整備を図る必要に迫られています。
 そんな中、一方では、残念ながら県関与の観光施設が休廃止となる事案が発生しております。県が出資する八幡平観光株式会社の事業であります。会社解散と特別清算の手続は、今後の観光行政に暗い影を落としているわけですが、その課題についてお伺いいたします。
 最初に、現在、県が所有する観光施設の経営状況はどうなっているのか、それぞれについてお伺いし、現状の課題認識をお聞きいたします。
 また、会社清算中の八幡平観光株式会社の保有していた施設の引受先等の展望について、現状を説明願いたいと思います。
 さらに、私ども政和・社民クラブが先般、会派として現地をつぶさに視察した旧蓬莱荘について、その荒廃ぶりをどう認識しておられるのか。また、同敷地内の地熱蒸気配管から漏れているとされる有毒ガスについての対策をどう考えているのか、お伺いするものでございます。
 以上6点についてお伺いいたしました。答弁により再質問させていただくことを申し上げ、質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 久保孝喜議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県政運営における自己評価についてでありますが、私は、県民の暮らしの現場に触れることが何より重要と考え、知事就任以来、県民の皆さんの声をお聞きして、県民所得の低迷や医師不足など、県民の仕事や暮らしの現場を取り巻く危機的な状況を実感したところであります。
 そうした危機を希望に変えていくことが私の責務と考え、県民の所得と雇用、安心な暮らしを守ることを重点目標とするいわて希望創造プランを策定し、今後4年間に取り組むべき政策として示したところであり、プランの着実な推進のため、全力を挙げて取り組んでいく決意であります。
 御指摘の発信力については、私なりに講演や県政懇談会、県の広報やテレビへの出演など、さまざまな機会を通じて、私の思いや考えを県民の皆さんにお伝えしているところであり、その評価については県民の皆さんの判断にゆだねたいと考えております。
 また、私は、県民から負託を受けた4年間に全力を傾けていくことが私の責務であると考えておりまして、最初の1年の総括については、これまで課題とされてきた競馬事業の存続問題、IGRの新指令システムの構築、森のトレー償還金問題など、私が引き継いだ県政課題に一定の道筋をつけ、新たな希望に向けた施策に積極的に取り組める環境を整備するとともに、先ほど申し上げたようにいわて希望創造プランを策定し、その推進に努めているところでございます。こうした取り組みを通じて、県民一人一人が確かな希望を抱く県土づくりに向けて前進することができたと考えております。
 次に、私の対話姿勢についてでありますが、本県を取り巻く社会経済情勢が大きく変化する中にあって、県民満足度の高いサービスを提供していくためには、県民との対話に加え、職員との対話を通じて、県職員一人一人のマンパワーや県の行政組織としての能力、機能を向上させていくことが重要であります。こうした考えのもと、私は、知事就任直後から職員との対話を行ってきたところであり、庁議や振興局長会議などの幹部会議はもとより、若手職員との意見交換、さらには、第一線で県民や事業者の方々と接している職員との意見交換などを通じて職員の声を聞くとともに、私の考えや県政懇談会等を通じて得た県民の声を職員に伝え、県職員一人一人が知事と同じ意識を持って行政運営に当たる、職員一人一人がそれぞれ知事であるような、そういう全員野球のような体制で行政運営に当たることにより、組織力の向上につながるものと考えているところであります。
 こうしたことを通じて、今後とも、本県を取り巻くさまざまな課題の解決に向けて、職員ともども知恵を出し合い、一丸となって、県民が確かな希望を抱くことのできる県土づくりを目指して取り組んでいく考えであります。
 次に、県の役割と市町村との関係についてでありますが、本県における危機について、知事就任以来、県内市町村に赴き市町村長や県民と対話する中で、県民所得の問題、雇用情勢の問題、人口流出の問題、そして医師不足等の医療体制の問題など、その危機的状況を肌で感じたところでありますが、市町村においても、県と同様、危機を乗り越えていけるよう、いわて希望創造プランに掲げる産業の振興や地域医療の充実などを推進していかなければならないとの思いを改めて強くしたところであります。
 将来に向けての県と市町村との関係についてでありますが、道州制についてはさまざま議論されているところでありますが、それはそれとしまして、まずは、現在国を挙げて取り組んでいる第2期地方分権改革を進めていくことが重要と考えます。そのことによって、国から地方への権限や財源の移譲を進め、自治行政権のみならず、自治財政権、自治立法権を有する完全自治体としての地方政府の確立を目指すべきではないかと考えます。その際、特に住民に身近な基礎自治体である市町村が将来的に真に自立できるよう、県としてはさらに体制を充実強化し、市町村を支援していくことが必要と考えております。
 次に、広域振興局体制の整備についてでありますが、広域振興局体制への移行期間を短縮する緊急性について、先ほどから繰り返しておりますが、所得、雇用、人口流出の問題が顕著であること、特に県北・沿岸圏域と県央・県南圏域との格差拡大の懸念といったことが指摘できると思います。県としては、いわて希望創造プランに基づき、これまで以上に効果的な産業振興施策などを展開しつつ、市町村優先の行政システムの確立に向けた支援を強化する必要があり、その場合、極めて厳しい財政状況の中、組織力を最大限に発揮できる簡素にして効率的な組織体制で臨まなければならないことなどから、県南圏域以外の圏域においても、できるだけ早く広域振興局体制に移行していく必要があると考えたからであります。特にも、県北・沿岸圏域については、先ごろの移動県庁におきましても、この県北・沿岸という圏域単位での振興策の重要性、緊急性を痛感し、そのためにも広域振興局体制への移行は急がなければならないとの思いを強くしたところであります。
 なお、2年後の平成22年4月を移行時期の目標としましたのは、広域振興局体制は、県民、企業、NPO、市町村など、多様な主体との連携・協働による地域経営の考え方を基本とする、いわて希望創造プランを効果的に推進できる体制とすることが重要でありますので、あらかじめ広域振興局体制の基本方向等に関する県の考え方を素案の段階でお示しし、県民の皆様と十分に意見交換を行う期間を確保しようとするものであります。
 次に、県民合意への展望と認識についてでありますが、これまでも基本的考え方の素案の策定過程に当たっては、県として市町村長を訪問するなど、意見交換を重ねてきたところであります。素案の公表後においても市町村長から意見を聴取したほか、延べ16回にわたる地域説明会を開催し、あわせてパブリックコメントを実施するなど、県民の皆様から広く意見をいただいているところです。寄せられた意見に対しては、今後の検討に十分に生かし、県民の皆様の御理解をいただきながら、22年4月に移行できるよう努力してまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 広域振興局体制の整備に係る主な意見等についてでありますが、まず、庁内議論の主なポイントといたしましては、先行設置した県南広域振興局の検証、広域振興局の機能、本庁と広域振興局との役割分担、市町村等との連携などであります。また、市町村長からは、例えば市町村との二重行政の解消や市町村との連携を期待する意見や、農業普及など市町村で不足している専門的分野の県の支援を求める意見などをいただいたところでございまして、市町村との適切な役割分担のもと、市町村、県を通じた行政サービスを維持できるように努めていくこととし、その旨、素案に反映させたところでございます。
 地域説明会は延べ16回開催をいたしまして、160件ほどのさまざまな意見が寄せられましたが、その主なものでは、地域住民への利便性を考慮して、行政センターでの実施を想定している業務は市町村に権限移譲を進めるべきとの意見の一方で、小規模自治体では難しいのではないか、総合支局の行政センターへの移行理由をしっかり説明すべき、また、本庁から広域局に移管される業務、権限はどうか、広域振興局長の権限を強化し市町村との連携を深めるべき、隣県との連携も重視すべき、地域における県の存在意義が薄くなる印象を受けるなどの意見をちょうだいしたところでございます。
 このような市町村長や地域説明会での御意見、さらに現在実施中のパブリックコメントで寄せられた御意見等に対しては、県の考え方を丁寧にお示しをしながら、今後の検討に生かしてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、飼料用米及び稲発酵粗飼料についてでありますが、これらの作物は、稲作農家にとりましては水田の有効利用が図られ、通常の稲作栽培体系と同じで取り組みやすいことに加え、特に飼料用米については、既存の機械施設が利用できるなどのメリットがあるほか、これら作物を利用する畜産農家等にとりましても、栄養価がトウモロコシ等と同等で、輸入飼料の代替として利用できることや、長期保存が可能であることなどのメリットがありますことから、最近、全国的にこれらの作物に関心が高まっており、本県におきましても、本年の作付は昨年に比べ、飼料用米が約10倍の160ヘクタール、稲発酵粗飼料は1.6倍の250ヘクタールへと大幅に増加しているところであります。
 県といたしましては、これら作物の生産振興は米利用の新たな可能性を拡大し、水田の有効利用や自給飼料の確保による畜産の振興に資するものであり、本県農業の振興を図る上で重要な課題であると考えております。
 一方、これらの作物は、主食用に比べ産地づくり交付金等を含めましても、面積当たり農家手取額がおおむね6割から7割と低いことや、安定的な需要の確保が必要であることなどの課題もありますことから、飼料用米が国の耕畜連携対策の助成対象となるよう引き続き国に提案するとともに、多収品種の開発や直播栽培など低コスト生産技術の開発・普及、飼料メーカーに対する産地情報の発信などによる需要の確保などに取り組んでいるところであります。
 また、品種改良、研究開発についてでありますが、10アール当たり800キログラムの収量が確保できる県南向けの岩南29号及び県中北部向けの岩手85号の品種登録を本年中に申請することとしているほか、生産コストの低減を目指し、本県独自の湛水直播技術の開発や、県内4カ所での多収栽培の実証に取り組んでいるところでございます。
 今後におきましても、生物工学研究センターの遺伝子解析技術を活用し品種開発期間の短縮に努めるとともに、東北農業研究センターとの連携のもと、さらに高収量で直播適性を有し、耐病性のある品種の開発を進めてまいります。
 こうした総合的な取り組みにより、全国有数の畜産産地としての本県の特性を生かし、飼料用米等の生産振興に努めてまいります。
 次に、米粉の活用と普及等についてでございますが、県内の米粉生産量は、ここ数年、460トン前後で推移しておりまして、その内訳は、菓子用が約97%、米粉パン用が約3%となっております。
 米粉の普及拡大につきましては、米粉パンの学校給食への導入を促進するとともに、県内の製粉業者等で構成するいわて米粉ネットワークが開催する料理講習会などにより、その普及拡大に取り組んでいるところでございます。
 今後、米粉の利用を拡大するためには、小麦と比べ3倍以上となっている原料価格の低減と流通体制の整備、加工技術の開発・普及、さらには、安定的な販路の確保などが課題となっているところでございます。
 米粉の普及促進は、県産米の需要を拡大し、水田の有効利用に資するものでありますことから、県といたしましては、現在、国で進められております普及方策の検討状況も踏まえながら、安価な原料確保に向けた加工用米の増産と産地・実需者間の連携支援、産学官の連携による新商品の開発、さらには、学校給食会と連携した米粉パンの普及拡大などに取り組んでまいります。
 次に、集落営農の課題と方向性についてでございますが、まず、集落営農組織の決算状況につきましては、本年6月、財務諸表を作成しております県内22の組織をサンプル調査した結果、その8割が黒字決算となっており、赤字となっております組織につきましても、収入減少影響緩和交付金、いわゆるナラシ交付金を加えますとすべての組織で黒字となり、法人的な経営を展開している集落営農組織の経営状況は、おおむね順調に推移しているものと見込まれます。
 次に、集落営農組織の課題でございますが、現状では、集落営農組織のほとんどが国の産地づくり交付金に依存した経営となっておりますことから、一層の低コスト化を図るとともに、新規作物の導入や流通・加工部門への進出など、経営の多角化を進めることが重要であると考えております。
 また、昨年7月のアンケート調査によりますと、特に設立間もない組織につきましては、構成員が個々に機械を所有し農作業を行っている組織が多いことから、今後、個人所有機械の整理合理化や農地の利用調整による作業の効率化を図っていくことが必要と考えております。
 また、いわて型集落営農は、地域での話し合いを基本に、担い手農家、小規模・兼業農家がそれぞれの志向に応じて営農に参加し、農地や労働力、機械・施設を効率的に利用するものであり、県といたしましては、こうした考え方を昨年11月から本年4月にかけて実施をいたしました集落ビジョンの点検、見直し等を通じて周知に努めてきたところでございます。
 今後は、各組織の経営の展開方向を取りまとめました集落カルテに基づき、集落の発展段階に応じたきめ細やかな支援を行うこととしており、こうした活動の中でいわて型集落営農の考え方の一層の浸透に努めてまいります。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、インランド・デポ設置をめぐる環境変化とこれまでの県の取り組みについてでありますが、平成7年に、関係企業、商工団体などで構成されます北上インランド・デポ設置促進協議会の設立を契機に、県としても、県内陸部における通関機能の設置は、本県の物流体制の整備を図る上で重要な機能の一つと位置づけ、協議会と共同して物流セミナーの開催や税関との定期的な意見交換等を行い、協議会の活動を支援してきたところであります。こうした活動を通じて、近年、特定輸出申告制度や簡易申告制度などを柱とする通関制度の大幅な改善が見られており、国際物流のセキュリティーの確保や手続の簡素化が図られたことから、今後、各企業の通関手続がより円滑に行われていくものと認識しております。
 県といたしましても、北上地区への保税蔵置場、通関営業所の設置や通関手続の簡素化は、これまでの活動の中で一定の成果を上げたものと考えております。
 次に、県の今後の取り組みですが、こうした環境の変化を受けて、同協議会は、今後の活動方針として、物流の合理化と企業の国際化をさらに促進するため、保税蔵置場、通関営業所の拡充を求めるとともに、さらなる利用促進を図ることとしたところであります。今後は、同協議会において、保税蔵置場、通関営業所の設置数や企業数などを目標として利用促進に向けた活動を行っていくものと考えられますが、県としましても、協議会と連携しながら、県内企業の海外取引の促進やさらなる制度の充実に向けて、税関などに働きかけてまいることとしております。
 なお、北上川流域地域に自動車関連産業や半導体関連産業を初めとしたものづくり産業の集積地を形成していくため、今後、各企業の意向なども聴取しながら、望ましい物流拠点のあり方について検討してまいりたいと考えております。
 次に、県が関与する観光施設についてでありますが、現在、県では、観光関係施設としてキャンプ場3カ所、ユースホステル1カ所のほか、八幡平山頂のレストハウスを所有しておりますが、これらの施設は、県民の保健、休養や青少年の健全育成などを設置目的としており、指定管理者制度に基づく管理委託や地元自治体への貸し付けなどにより運営しております。それぞれの管理者からは、おおむね堅調な経営状況との報告を受けておりますが、今後は、施設の老朽化に伴う維持管理費の増嵩が見込まれるところであり、各受託先等と十分な連携を図りながら、施設の利用促進に努めていきたいと考えております。
 次に、八幡平観光株式会社が保有する施設についてでありますが、現在、会社側において、引き続きスキー場等の引き受け先を探している状況でございます。県では、八幡平エリアの観光振興の観点に立って、今後とも、地元八幡平市や金融機関とも連携を図りながら、可能な支援を行っていきたいと考えております。
 次に、八幡平観光株式会社が保有する旧蓬莱荘についてでありますが、付近の景観を損ねる結果となっており、建物の処分について特別清算手続の中でも重要な課題であると認識しております。
 また、地熱蒸気配管から漏れているガスの件に関しましては、会社側から、配管の腐食に起因するものであり、いわゆる硫黄のにおいがすることから、近隣から噴出する蒸気と同様のものと聞いておりますけれども、その対策については、今後、会社側と協議してまいりたいと考えております。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) まず、県立中学校への懸念や既存小・中学校への影響についてでありますが、今回設置する県立中学校は、中等教育の一層の多様化を図るものであり、児童生徒や保護者の選択の幅を広げるとともに、ゆとりある6年間の一貫教育のもと、同一の設置者による計画的・継続的な教育活動を実施することで、社会の進歩発展に貢献することができる次世代のリーダーを育成しようとするものであります。
 また、その教育実践に当たっては、高校の内容を先取りする学習は行うことなく、授業時数を確保しながら、中学時代の学習内容を全員が確実に習得できるようにするとともに、それら基礎・基本を活用して主体的に課題を解決する能力やコミュニケーション能力を育成するなど、特色ある学習内容を実施していくこととしており、このことは、受験対策一辺倒のいわゆる詰め込み型の学習指導を行うものではないことを意味づけるものと考えております。
 既存の小・中学校への影響は、入学者選抜実施による児童への影響や中学校の学級編制などに少なからず影響があると考えており、それを考慮して、県立中学校の規模を3学級から2学級へ変更したところであります。
 今後は、運営を進める中で出てくる課題や影響を分析するとともに、市教育委員会と連携を図りながら、その課題を解決するよう努めてまいります。
 次に、臨時非常勤教職員の任用のあり方についてでありますが、今後の児童生徒数の減少を踏まえた計画的な定数管理や本県の実情に応じたきめ細やかな指導の充実などを図っていくためには、教員の採用についてもさまざまな任用形態があるものと認識しております。
 また、臨時的任用教員等であっても、授業、生徒指導などの教師としての幅広い業務を担当することから、教育事務所ごとの研修会や管理職等による校内での適切な指導など、資質の向上に努めております。
 さらに、非常勤の職員にあっては、時間外勤務を命ずることができないことや、法律上の制約から諸手当が支給できないなど、一般の教諭と比べ勤務条件に若干の開きがありますが、昨年度休暇制度の改善を図ったところであります。
 今後、定数管理計画をさらに精査し、臨時教員等の数の抑制を図る一方で、雇用不安などに丁寧に向き合い、適切な勤務条件について検討してまいります。
 次に、教員免許更新制度についてでありますが、制度の導入後は、現職の教員にあっても、10年に1度、30時間以上の免許更新講習の受講が必要とされており、制度の周知を初め、既存の研修との関係や受講機会の確保、負担の軽減などが課題として挙げられているところであります。
 免許更新制度が導入されるに当たっては、岩手の教員にとって望ましい質の高い更新講習を提供するため、その開設に県が主体的にかかわる必要があると考えており、市町村教育長や校長会などの代表者からなる検討委員会を立ち上げ、更新講習の実施形態、具体的内容などについて協議・検討を重ねているところであります。
 また、本年度行われる試行などを通じて、具体的な課題を検証することとしております。
〇2番(久保孝喜君) それぞれ御答弁をいただきましてありがとうございました。
 すべての項目に聞きたいところもあるんですが、絞ってお聞きをさせていただきたいと思います。
 最初に、知事の自己評価については特段申し上げることはないわけですけれども、2項目めの広域振興局体制との絡みで若干触れさせていただきたいと思いますが、その前に、広域振興局体制の考え方での前提となる広域圏という設定の問題にちょっと触れて御見解を賜りたいと思うんですが、これは希望創造プランの策定過程でもさまざまに議論のあったところですし、なお言えば、前増田知事時代からの圏域設定でありましたから、そこにどういう意味づけをしていくのかということが一つの大きなポイントだったろうというふうに思います。しかし、現実、県の行政、事務事業の中で、さまざまな圏域設定されている分野がいろいろあるわけです。例えば、農業・農村基本計画、あるいは二次医療圏の問題、それから住宅や土木の基本計画、いろんな圏域設定をして事務事業を行っているという仕事があるわけですが、そうした圏域設定の中には、残念ながらというか、一つも四つの広域圏でというのはないわけですよね。当然のことながら、市町村合併が進んできて、市町村の数が少なくなってきた。そういう中にあって、行政の構造体として四つに絞り込んだということは意味としてはわかるんですが、しかし、そういう発想がもともと県の行政の内部になかったことを今やろうとしているわけですから、県南広域振興局の検証の問題は皆さんいつも触れていただくわけですけれども、そこの部分と同様に、今ある県行政の圏域設定との整合性なり、あるいは、その設定を将来にはどう収れんさせていくのかという道筋をちゃんと説明をしないことには、このエリアの持つ意味というのがいま一つはっきりしてこないというのがまず第1点。
 それから第2点目は、こうしたエリアそのものが、今までの希望創造プランでもそうですが、自立的にという言葉が常に頭に振られているように、自立的になるためには、今あるさまざまな圏域設定をそのままにしていいのかという問題も実はあるわけだというふうに私は思います。そういう点で、この圏域の設定、今ある圏域の考え方、これについてまず前提としてお聞きをしたいというふうに思います。
 それから2番目には、市町村の意見の話が、先ほど答弁いただきましたけれども、必ずしも、県南広域振興局の評価にかかわって市町村の意向が今回の素案に私は反映されたというふうにはちょっと受けとめがたいところが実はあるわけです。
 これは、ことしの3月に県南広域振興局でつくったペーパーですけれも、県南広域振興局に係る2年間の評価というのを各市町村からどういうふうに出されてきたのかということを記したものですが、それだけを読むと、例えばある市町村では、この県南広域振興局では広過ぎるというふうにはっきり言明している市町村もある。あるいはまた、二重行政と言われているような中身を含めて、本当に市町村にとって必要なことなのかどうか、まだ判断しかねるという評価もここにも書いてあります。それから、本庁との役割分担がまだまだ明確になっていないという指摘。さらには、広域振興局はつくられたけれども、地域にある支局がちゃんと機能して、そこが市町村とやりとりができているからよかったという、そういう評価も実はあるわけですね、この中に出されて。それらこれら考えていくと、今示されている素案が、必ずしも私は市町村の意向なり意見に沿った素案として提示をされているかどうかということには、これを見る限りちょっと違うのではないかなという気がするんですが、その辺の御見解をぜひお願いをしたいというふうに思います。
 さらに、県政課題の中でも大きく取り上げられてきました県北・沿岸振興との兼ね合いで、2010年に4広域圏が同時スタートだという方針は、県南広域振興局の評価の問題と相まって、これから1年半以上にわたって議論されるわけですけれども、知事がたびたび、これは素案である、考え方であると示されておりますので、当然、これから先も議論として成立していく課題ではあるんですが、県南の行政の仕組み、あるいは内部組織のあり方と県北・沿岸が同じであっていいわけないと思いますが、その辺も含めて、県民に対する安心感というか、いや違っていいんです、違っていいんですから皆さんで考えていきましょうという投げかけには、今回の素案はどうもなっていないと思うんですね。したがって、県南のようになってしまうのかというような思いというのは、私は、現に生まれているのではないかと思って、その点がちょっと危惧されるところです。その点でどうお考えなのかお聞きしたいと思います。
 さらに、県南広域振興局の中でも支局にある企画機能を、今回の素案によれば本局に移していくという考え方なんですが、これについて言えば、先ほど知事から答弁いただきました、県が、県行政としてもコミュニティを大切にしていくんだという考え方、まさにそのコミュニティを大切にするというのは、県行政が市町村ときっちりタイアップして、そのコミュニティのありようを拾っていくということなんでしょうから、だとすれば、そういう基本的な考え方と、地域に点在してきた今までの県の出先を本局に吸い上げるという考え方が果たして整合するのかという疑問もそこで新たに生まれてくるわけで、そういう点での説明がまだまだ私は足りないんだろうと思いますので、その点も含めてお尋ねしたいと思います。
 それから、最後に、これは知事にお尋ねいたしますが、6月3日に知事の記者会見の中でお話になっております。そのときの記録があるんですが、今回なぜこの素案を提示したかという説明の中に、平成17年12月の県議会で附帯意見があった。よって、これを今回、平成22年4月から移行することに判断した一つの材料だ、こういうように書いているわけです。
 ところが、私はその時期に議席がありませんでしたから、先輩議員にもお聞きしました。しかし、その平成17年12月の県議会の附帯意見というのは、当時、先行でスタートしようとしていた県南局の、しかもその大きな目的である産業振興という観点からすれば、県南だけが突っ走っていいわけではないだろうと。よって、四つの広域圏なりが同じように産業振興に立向かえるように整備すべきだ、こういう考え方のもとで、つまりできるだけ早く設置されたいという考え方が出されたという経過があると聞いたわけですね。
 もっとも、その時点では希望創造プランももちろんありませんし、知事もまだ就任されていない時代の話です。それをもって早く進めることの根拠にしたというのは、私は、ちょっと違うのではないかという感じがしたものですから、そこの点の考え方をぜひ明らかにしていただきたいということ。
 さらに、先ほど質問の中でも申し上げましたが、2010年同時スタートという考え方が、結果的に硬直した議論になってしまわないかという心配ですね。行政として一つの目標を設定してそこに向かっていくというやり方は当然あっていいわけですし、当然のことなんですが、ただ、それが余りにも前に出過ぎると議論として硬直してしまう。県南が先行してスタートしたように、場合によっては、残る3広域についても同時ということにならない場合もあり得るという前提の中で、市町村や県民との議論を重ねていく、そういうスタンスが私は必要なのではないかと思うんですが、その点は知事はどのようにお考えなのか。今ある素案のトーンというものを、今のままで突っ走っていいのかなという感じがしたものですから、その点、改めてお聞きしたいと思います。
 それから、農業の問題についてお尋ねいたします。
 えさ米の問題、飼料稲の問題については、マスコミを含めてさまざまに取り上げられておりまして、国の政策の中でもかなり大きな比重を占めてきたということは承知していたわけですが、きのうの新聞で、私は、これはちょっと知らなかったことなんですが、かなり大きな政策転換の動きが農林水産省の中にあるという記事が、きのう実は新聞に載りました。
 販売を軸とした米システムのあり方に関する検討会いうものが農水省内部にあって、そこの中間論点整理というものが公表されたそうなんですが、その中では、米生産で水田をフル活用すると、それから、生産抑制から大増産体制に向かうという方向性が示されたというわけです。プロジェクトですから、具体的な内容は8月に明らかになり、来年度予算でどういうふうに整合されていくのかということですが、こういう大きな、ある意味では国家プロジェクトにしていく方向性が、この検討会の中で出されたと書いてあります。
 そうだとすれば、まさに好機到来ということでありますから、私は、県の農業政策の方向性も、そこをきちんと見据えて、戦略的な議論として今定めていく必要性があるのではないかと思うんですが、こうしたニュースを含めて、担当部局として今後の方向性、先取りをしていくということをぜひお願いしたいわけなんですが、それに対する見解を求めたいと思います。
 それから、教育に関してお尋ねいたします。
 一関一高併設の中学校についてでありますが、私、資料をいただいて読みましたけれども、どうもなかなかわかりにくい。公立小・中学校が、人口減、子供たちの少なさの観点でどんどん統廃合されていく中で、教育長がおっしゃるような、教育の多様化を図る、あるいは保護者、子供たちのニーズにこたえる、だから県立中学校をつくるというのは、どうも統廃合の現実を超える議論としては、なかなかすとんと落ちないところが実はあるわけなんです。
 そういう中でも、例えば学校教育法施行規則の中で、小・中学校に対する学力検査が禁止されているという話がありますけれども、その学力検査と今回行おうとしている選抜方法として適性検査が行われる、こういうことになっていますが、この法で禁じられている学力検査ではない適性検査、しかも100点満点で点数をつけるというわけですが、その違いは一体何なんだろうと、そこをぜひわかりやすく御説明いただければと思います。
 しかも、学力と適性の違いは、比例しないのかどうかですね。この学校が求めるエリートの養成ということが一つの大きなお題目というか目標設定になっているわけでして、そのエリートの養成を図るについて選抜の適性検査をするわけですから、だれが見ても、それは学力の裏返しといいますか、学力の表現を変えた話ではないのかなという危惧がちょっとあるものですから、その点をわかりやすく御説明いただければと。
 もう一つは、男女の定員がつけられました。本当に未来をつくるリーダーの育成をしようとするときに、しかも、適性検査も含めて点数で選抜をしようとするときに、男女ごとに定員をつくってしまって、果たして目的に合致するのかどうかという問題ですよね。男女が同数であればいいということにはならない内容を含んでいると私は思うので、その点の意味合いというものを、ぜひもう一度御説明いただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 私からは、広域振興圏の関係で、まず、平成17年12月県議会附帯意見との、この移行時期との関係でありますけれども、久保議員御指摘のとおり、平成17年12月の県議会附帯意見は、県南の産業振興だけが先行していいのか、むしろ沿岸・県北の産業振興こそ先にやらなければならないのではないか、そういう中でこういう附帯意見が出され、また、県北・沿岸振興のための県の体制、また議会の議員の皆さんの連携等々、そういう動きもあったと聞いております。
 私も、昨年の知事選の準備の段階から、この県南もさることながら、県北・沿岸の振興、地域振興であり、産業振興でありなんですけれども、この振興をとにかく急いで進めていかなければ、まず県内の格差拡大という深刻な問題を岩手が抱えることになりますし、また、岩手全体の所得の向上、雇用の改善という観点からもこの県北・沿岸の振興ということが非常に重要だと考えまして、これは、県北・沿岸住民の皆さんも、やはりとにかく県北・沿岸振興を頼むということを強く私に訴えてきました。
 そういう中で、選挙の準備の段階から、そして選挙戦も通じて、この岩手を四つに分けて、県北は県北、沿岸は沿岸という枠組みで、今ある市町村の境を越えた生活や、あるいは仕事の、そういう県北・沿岸という広域の中で、県もそこに振興策を打っていくことが重要ではないか。
 そしてまた、これは県の希望創造プランの中でも、地域経営という発想で盛り込まれているんですが、知事選のころから、県、市町村という単位のみならず、地域の経済団体、産業団体、NPO、また青年会議所とか、そういう団体も県や市町村と対等なパートナーとなって広域の振興を図っていくような、そういったことが、市町村がそれぞれ自分の市、自分の町、自分の村の振興を図る、そこを県がいろいろな形で支援するということは、今までやってきているんだと思います。
 また、今ある振興局を単位とした、沿岸で言うと、この気仙地区でありますとか、釜石地区でありますとか、また宮古地区でありますとか、そういった単位でのさまざまな取り組みも今まで行われてきていたんだと思いますが、それらを完全にやめてしまおうということではありません。県北・沿岸という単位の広域の取り組みをかなり大々的にやっていかないとだめなのではないかという思いが、去年の知事選でかなりの程度共有できたのではないかという実感を私は得ております。
 そのための広域振興局という体制なわけでありますが、もちろん事務的なあり方については、そこは市町村と相談しながら、また、いろいろ事務的な詰めもやっていかなければならないと思いますので、素案というたたき台を通して、そこをきちんとやっていかなければならないと思っているんですけれども、ただ、県民の願いとしては、できるだけ早くそういう広域振興の体制を県としてもつくってほしいということだと思っております。
 そういうできるだけ早くという要請と、しかし、事務的には詰めていかなければならない、ある程度時間をかけても議論をしていかなければならないという要請のバランスとして、平成22年4月スタートという、今そういう目標を立てているところでありまして、その平成22年4月からの移行ということを実現できるような進め方をしてまいりたいと考えているところでございます。
 その他の質問につきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇地域振興部長(藤尾善一君) いわゆる他の、保健所あるいは農業改良普及センターなど、既存圏域のこういった業務があるわけでございますけれども、こういったものにつきましては、広域振興局に移行してからも、それぞれの目的、性格にかんがみまして、円滑に運営できるように配慮していきたいと考えております。
 例えば、保健福祉分野でございますと、二次保健医療圏というものがあるわけでございますが、これは、医療法に基づき設定されております。当然、これは、今申し上げましたように、こういった圏域というのは尊重されなければなりません。したがいまして、保健所は二次医療圏ごとに設置されているといったようなことがございますので、例えば県央以外の3圏域においては、同一広域圏内に複数の保健所が設置されるということはあり得るわけでございます。
 一方、保健福祉分野におきましても、部局横断的な業務を担う、いわゆる広域局としての総合力を発揮する、あるいは局長として、そのことのための総合調整権を有効に機能させるといったようなことが重要であると思われますので、そういった既存の圏域の業務というものは円滑にできるように配慮するとともに、総合力の観点での業務運営体制どうあるべきかといったようなことも、今後、検討していく必要があると考えてございます。
 それから、二つ目に、市町村長の意見が、言うなれば、今の素案にすべて反映されているとは限らないのではないかという御指摘でございましたが、現段階での県としての基本的な考え方を素案としてお示ししまして、まだまだ市町村長さんからたくさんの意見が寄せられることを私どもとしては期待いたしておりますので、そういったようなものを丁寧に拾いつつ、今後の広域局体制に生かしていきたい、そのように考えてございます。
 それから、県北・沿岸にあっては、県南局のいわゆる組織体制というものが当てはまらないのではないかという御指摘でございました。
 広域局の内部組織につきましては、先行設置しました県南局のこれまでの検証結果を踏まえ、見直した後の体制を基本としつつも、各圏域にあっての産業構造などの地域特性に応じたものとしたいと考えてございます。具体的には、各圏域それぞれの重点化すべき分野というものがありますので、そういったところには経営資源を傾斜配分する。すなわち、人的組織体制を手厚くするというような検討を進めていきたいと考えております。
 それから、本局に機能を集約するといったようなことで、いわゆる地域との連携がおろそかになるのではないかという御趣旨の御指摘だったと思うんですけれども、いずれにしろ、この広域振興局というのは、地域経営という考え方に沿って、いわて希望創造プランに掲げる目標を市町村、民間、NPO等と連携しながら追求していくという基本に立っております。確かに本局へ機能集約することの意味は、いわゆる企画部門を統合するなど、力を結集して地域の諸課題に対応できる力をつけると同時に、今申し上げました地域とのパートナーとしての連携はこれまで以上に深めるような仕組みも考慮し、そういったようなものを目指すという視点に立っての検討はしていきたいと考えておるところでございます。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 飼料米等に関する戦略的な議論、それから方向性を先取りして、県がもっと積極的に取り組むべきではないかといったような御指摘でございます。
 現在、世界的に新興国の食料需要が急速に増大しているといったようなことなどから、国際的な需給の様相がこれまでと大変変わってきているという状況がございます。こういったようなことから、今般のサミットにおきましても、環境問題とあわせて食料問題が議論されるといったようなことになっております。
 我が国におきましても、食料自給の問題が国民全体の大きな関心を集めておりまして、こうした中で、国におきましても、先ほど議員御指摘のとおり、農水省のほうで、販売を軸とした米システムのあり方検討会というものが開催されております。もともとこの検討会は、水田農業の確立のための具体策を検討するといったような趣旨で議論がスタートしたところでございますが、そういったような情勢を踏まえて、先ほど御指摘のような、非主食用米の本格推進を国家プロジェクトにするといったようなことで検討が開始されております。
 ただ、これはあくまでも中間論点整理の段階でございまして、内容を拝見しますと、具体的には、生産振興のための国の助成体系等についてはまだ触れられていないといったようなことで、今後の検討が待たれているということでございます。
 さらに、先ほども御答弁させていただきました産地づくり交付金を活用した生産振興ということを今やっておるわけでございますが、この産地づくり交付金でございますけれども、もともと2009年度までの3年間でございまして、10年度以降見直すことになっておったものでございますが、これを1年前倒ししてこの見直しを行うといったようなことも、最近表明されております。
 県といたしましては、こうした国の動向といったようなことも踏まえまして、先ほども御答弁させていただきましたが、本県としては、やはりこれら作物の振興というのは、米利用の新たな可能性を拡大して、本県の水田の有効活用であるとか畜産の振興に資するものであるということで、重要な課題であると認識しております。
 今後におきましては、こうした国の検討状況をしっかり踏まえながら、JA等関係団体とも連携して、今後、収支の問題を初めとして、生産から流通まで体系的な問題点等を検討いたしまして、生産振興策を考えてまいりたいと思っております。
〇教育長(法貴敬君) 今回設置する中学校の学力検査はしないということで、適性検査で学力検査ではないのかという話ですけれども、算数、国語、理科、社会という科目別の学力をストレートに評価するものではありません。思考力とか、判断力とか、表現力とか、論理性とかというところから総合的に判断しますので、全く学力と相関がないかというと、そういうことでもないでしょうけれども、いずれ総合的なそういう観点から適性検査を行うということでございます。
 それから、男女の枠を設けたことについては、検討委員会とか議会とかでさまざまな議論があることは承知していますけれども、入学年齢の男女比を見ると、ほぼ同程度の男女比になっています。それから、教育をしていくときに、やはり男女で物すごく差があるようなというか、偏った教育というのはなかなか難しいということもあって、40人、40人という枠を設けたと承知しておりますが、実際問題、極端な例、100人対50人の応募とか、そういうときがあるいはないとも限りませんので、そういうことがもし起きたとするならば、やはり少し見直し等々を行っていかなければならない部分もあるのかなと現在では考えています。
〇2番(久保孝喜君) 最後に、広域圏の問題1点と教育の問題1点でお尋ねしたいと思いますが、知事にお伺いしたいと思います。
 今いろいろ部長からも含めて御説明ございました広域圏のこれからの議論、知事がたびたび言っているとおり、英知を結集して、素案をたたき台にして、県民世論をつくっていくということが最大の仕事になろうかと思いますが、その意味で、先ほど答弁がなかったんですが、2010年という今発しているスタンスを、トーンを下げた方が、私は、議論としてもっと盛り上がるのではないかということがあるので、その点に関する見解を最後にお聞きしたいと思います。
 それから、教育の問題。受験エリート校化しないという担保はなかなか見えてきませんけれども、例えば、しかし、現に、これはきょう新聞に入ったチラシでありますが、広告チラシなんですが、この中に一関一高併設中学校についての受験対策がもう既に呼びかけられているわけです。
 だから、受験エリート校化しないという言い方はわかりますけれども、現に、体制はそこに向かってもうつくられているということが、私はこれで証明できるのではないかという気がするので、そこのところは、保護者のニーズとか、あるいは子供たちの思いとかというのもわかりますけれども、公教育に課せられた課題という点では、いささか、まだまだちょっと問題としては残っていくのではないかという懸念を持っているので、その点をもう一度御説明いただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 移行時期の問題でありますけれども、やはりできるだけ早く体制をスタートさせたいという思いと、しかし、広く意見を伺いながら、事務的に詰めた議論はきちんとしていかなければならない、時間をかけて議論しなければならないという思いのバランスの中で、平成22年4月というところに今あるわけでございます。
 そういう現状を御理解いただきたいところではあるんですけれども、ただ、これは県民、特に県北・沿岸の県民の皆さんがその気にならなければ機能しない仕組みでありますから、そういう県民の意思に反して、県北・沿岸の住民の意思に反して強行するということがあってはならないと考えております。
〇教育長(法貴敬君) 受験競争をあおるというか、そういう懸念が議員から指摘されておりますけれども、いずれ小学校側に対して、特別な受験教育はするなという通知を出したいと思っておりまして、そういうことで担保させていただきたいと思います。

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