平成20年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇9番(高橋昌造君) 私は、三浦陽子議員の御質問の中にありました肝炎対策に関連して、岩渕保健福祉部長に3点についてお伺いいたします。
 まず第1点目は、肝炎治療の特別促進事業についてお伺いいたします。
 この経済的な理由によりまして肝炎治療を受けることができないということは、あってはならないわけでございまして、そういう観点から、まず一つ目は、患者御本人の世帯の所得に応じまして自己負担限度額が三つに区分されておる、この根拠をお示し願います。
 そして、非課税世帯の患者御本人に、今後、自己負担を求めないという検討をしてまいるお考えがあるのか、お伺いいたしたいと思います。
 二つ目には、今度の医療費助成の目的はウイルスの除去にあるわけでございますが、この助成対象期間を1年間に限ると限定した根拠は何かということをお示し願いたいと思います。
 いずれにいたしましても、インターフェロンの治療の効果などをしっかり見きわめながら、弾力的に助成の対象期間を考える必要性があるのではないかということで、その辺のところもあわせて今後検討するお考えがあるのか、お伺いいたします。
 三つ目には、今年度の当初予算に肝炎総合対策推進事業費として2億4、200万4、000円が計上されておるわけでございますが、そういった予算の中で、今度の助成制度は4月からスタートいたしたわけでございますが、それ以前に肝炎の治療を受けた方についての救済というか助成するお考えがあるのか。
 具体的に、ある患者の方が1年間この治療を受けられた場合、例えば昨年10月からこの肝炎の治療を受けられた方が、3月までは、これは助成の対象にはならないんですが、4月以降9月までの間に助成をするお考えがあるのかどうか。そういった経過措置を考えていらっしゃるのか。もしそういったことを考えていらっしゃるのであれば、もうことし、今7月になったわけでございますが、4月、5月、6月も既に肝炎治療を受けられた方々は、もうその助成制度を受けられないということのないように、しっかり調査をして、そういう方々にも助成できるようなシステムを構築していただければと。そういうことについてどのようにお考えになっているかということをお伺いいたします。
 次に、四つ目でございますが、ウイルス肝炎が進行して肝硬変とか肝がんになった場合の医療費助成を今後検討してまいるのかどうか、そのことをまずお伺い申し上げるとともに、今、各保健所でこの肝炎対策の一環として総合的に相談・支援体制がしっかり構築されていないというところがあります。そこで、今後、この支援体制の整備の充実と、それを強力に推し進める考えがあるのかどうかお伺いいたします。
 第2点目につきましては、先ほど三浦陽子議員からもお話がございましたように、昨年1月にガイドラインが示されまして、肝炎対策協議会が既に県におきましても設置されたわけですが、そこでお伺いいたしますが、県といたしまして、肝炎対策計画を今後どのように策定していくかというお考えをお聞かせ願いたい。
 そして、この肝炎の知識なり、治療なり、総合的な肝炎対策を県民の皆様方にどのようにして周知していくかということを、あわせてお伺い申し上げます。
 また、肝炎の最重要課題であります早期発見・早期治療のためには、県民の皆さん方の御理解もいただかなければならないと思うわけでございます。そこで、とりわけこの肝炎の患者の皆様方の声をしっかりと聞く機会を設けるとともに、その声を肝炎対策計画の中にもしっかり反映できるような対策を今後講じていくお考えがあるのかどうか、お伺いいたします。
 そして、第3点目につきましては、患者御本人が仕事と両立できるような体制整備の一環として、私は、特にも地域におきまして、肝疾患の診療支援ネットワーク、特にもかかりつけ医と専門医の連携をしっかり図って、いつでも、どこでも肝炎治療を受けられるような対策を講じていくお考えがあるのか、お伺いいたします。
 次に、田村医療局長にお伺いいたします。
 感染被害者の救済のために、医療局として、今後、県立病院なり地域診療センターに対しまして、カルテの開示を含めた具体的な取り組みについてお伺いいたします。
 最後になりますが、達増知事にお伺いいたします。
 いずれ、この肝炎患者または感染被害者の皆さん方の声をしっかりと重く受けとめて、この肝炎治療の医療費制度または感染被害者の救済の制度の見直しを、今後、国に強く働きかけていく考えがあるのかお尋ねいたします。
〇知事(達増拓也君) 高橋昌造議員の御質問にお答えいたします。
 まず、肝炎のインターフェロン治療の助成制度についてでありますけれども、この4月から助成制度が実施されたところでありますが、今後、患者の方々の状況などを見ながら、1年間の助成対象期間が十分なのか、また自己負担限度額に改善の余地がないのかなどについて検証しながら、必要に応じて国への要望も検討してまいりたいと考えております。
 次に、救済制度の見直しについてでありますが、感染被害者が特別措置法の適用を受けるためには、カルテや手術記録、分娩記録、レセプトの写し等で製剤の投与事実を証明する必要があるわけでありますけれども、今後、幅広く患者の方々の声を聞いて、そして、これをしっかりと国に伝えてまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) まず、肝炎のインターフェロン治療に係る医療費助成制度におけます自己負担の3区分設定の根拠についてでありますが、これは、国が示しました肝炎治療特別促進実施要綱の基準に準拠したものであります。
 国では、対象となる治療はウイルスの排除という患者本人に大きな利益があることから、一定の自己負担を求めることとして、所得階層により、月1万円、3万円、5万円の自己負担限度額を設定したものと聞いております。
 各都道府県におきましても同様の基準を用いていることもありまして、現時点では、市町村民税非課税世帯の患者御本人にも御負担をいただかざるを得ないものと考えております。
 次に、助成対象期間を1年間とした根拠についてでありますが、ただいま申し上げた国の実施要綱の基準に準拠したものであります。国からは、現在の一般的なインターフェロン治療は、ペグインターフェロンとリバビリンを併用して48週投与するのが標準的な治療であることから、対象期間を1年間としたものと聞いております。
 また、助成期間の延長につきましては、先ほど知事が申し上げましたように、患者の方々の1年間の治療の状況等を見きわめながら、必要に応じて国へ要望してまいりたいと考えております。
 次に、助成開始以前からインターフェロン治療を受けている患者の助成についてでありますが、本年4月以降のインターフェロン治療につきましては、助成対象となるものであります。既に治療が終わって助成とならなかった方については、追って検討させていただきたいと思います。
 次に、肝炎対策の一環としての肝硬変、肝がんへの治療費の助成についてでありますが、今回の助成制度は、国の制度に準拠し、ウイルス除去を目的としたものであることから、肝硬変、肝がんへの治療費の助成は困難と考えております。
 また、相談窓口の設置についての強い要望がありますので、その整備について、今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、肝炎対策計画の策定等についてでありますが、県といたしましては、専門医療機関やかかりつけ医を選定し、ネットワークの構築など体制整備を進めるとともに、パンフレット等を活用し、県民に広く肝炎の正しい知識を普及してまいりたいと考えており、肝炎対策計画につきましては、今後、肝炎対策協議会の場で議論し、年内を目途に策定したいと考えております。
 また、先般、患者会である肝友ネットの皆様と意見交換の機会を持ったところであり、いただいた意見につきましては、肝炎対策協議会に報告することとしております。
 次に、肝疾患診療支援ネットワークについてでありますが、先ほど申し上げましたように、専門医療機関とかかりつけ医の選定について肝炎対策協議会で検討しており、秋ごろを目途にネットワークを構築できるものと考えております。
〇医療局長(田村均次君) カルテ開示の関係でございますけれども、現在、カルテの開示についての個別の相談あるいは照会につきましては、カルテが現存している場合は、当然のことながら開示をしております。仮にカルテがない場合でも、院内に残っている記録を手を尽くして調査をし、手術記録や退院記録など、フィブリノゲンの使用の可能性がわかるような記録があれば、積極的に情報提供に努めているところであります。
 それから、今後の肝炎対策あるいはそのネットワークの構築に当たっての医療局としての役割ということでございますけれども、こういった肝炎対策計画ですとか、診療支援ネットワークの構築に当たりましては、県立病院が重要な役割を果たしていく必要があると認識しておりますので、関係部局としっかり連携をして、医療局としても最大限協力し、取り組んでいきたいと考えております。
〇9番(高橋昌造君) まず、達増知事には、前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。
 それから、岩渕保健福祉部長には、御意見として申し上げますが、私もわかって質問させていただいたんですが、国に準拠することは、これはわかりました。ただ、もう少し患者の皆さんの現場の声をお聞きして、しっかりそういうことが反映できるように、ひとつお願いいたしたい。
 というのは、先月の29日日曜日ですが、紫波町におきまして、紫波町役場と郡の医師会で、知ろう治そうC型肝炎といういわゆる市民講座があったんです。その体験談をお聞きしたときに、本当に、副作用とか、家族に知られては困るとか、どんなつらい思いでこの治療とか日常の生活を送っているかということを考えた場合に、もう少し現場に入って、そういったことの声をお聞きしてしっかり反映していただくようにお願いしたい。
 それから、田村医療局長、そこで私、一つ、カルテの開示、これがもう最大の、一番大切なところなんですが、今、県の文書であっても、行政文書であっても、いわゆる管理規定があって、管理とか、保存とか、廃棄処分という一つのマニュアルというかルールがあるわけです。
 ましてやカルテというのは、患者の方々の病状とか、処置とか、経過のきちんとした記録なんです。命にかかわる大切な記録なんですよ。だから、私はぜひ、この各県立病院、地域診療センターに、どのようにして保存されて、廃棄処分されているか、この実態を調査して、解明していただいて、それを把握の上、今の県立病院、地域診療センターのカルテはこういう状況にあるんだということを公表するお考えがないか、まず私はそこからスタートだと思うんですよ。
 そこで、ぜひそこのところを医療局のトップとして取り組む姿勢があるか、その決意のほどをお聞きするとともに、もしものことがあれば、これはもう大きな社会的な責任を負わなければならないことになるわけですので、そういった覚悟もあられるのかも含めて、終わります。
〇医療局長(田村均次君) カルテなどの保管状況ということでございますけれども、私ども、病院に対して調査している中では、関係する書類として、入院カルテ、外来カルテ、手術記録、分娩記録、それから製剤使用簿、処方せん、輸液せん、注射指示簿、それから入退院のサマリーと、いろいろな種類がございます。これにつきましては、どの程度までさかのぼって保存しているかということにつきましては、調査をして、集計もしてございます。
 ただ、実際に照会があった際には、さらに各病院の倉庫も含めましてよく調査をして、さらに個別に調査をした上で、できるだけのものを提供するという考え方で取り組ませていただいております。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時25分 休憩
出席議員(46名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 比奈子 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
43  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時43分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。工藤勝子さん。
   〔33番工藤勝子君登壇〕(拍手)

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