平成20年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇19番(三浦陽子君) 民主・県民会議の三浦陽子でございます。
 このたび、先輩及び同僚議員の皆様の御配慮により、2期目2回目の登壇の機会をちょうだいいたしました。
 まず、質問に先立ちまして、6月14日8時43分に発生した平成20年岩手・宮城内陸地震におきまして、本県の2名の方を含むお亡くなりになりました方々に対しまして、心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された多くの方々に心よりお見舞い申し上げます。
 震源地が一関市厳美町市野々原地区で、震源の深さが8キロ、マグニチュード7.2という直下型地震だったことから、これまでに経験したことのない大きな規模で、宮城県や秋田県まで、住民生活、公共施設、農林水産業、企業などへの被害が拡大しているということから、一日も早い国による復旧対策を望むところでございます。
 地震直後から不眠不休で対応された宮舘副知事を本部長とする県災害対策本部の皆様や関係自治体の皆様を初め、県内外からの災害医療派遣チーム|DMATや多くのボランティアの皆様の協力などにより、被災された方々も少しずつ落ちつきを取り戻されておいでと思います。中でもDMATの活躍は、被災者の皆様にとって心強く感じられたものと思われます。
 本県では、地震直後から、県立中央病院や県立花巻厚生病院などのDMATが、初めて現場に向かい、治療に当たられたということでしたが、現場において指揮・命令系統や情報が錯綜し、救助現場と医療現場の連携がうまくいかなかったということなどの課題が残り、岩手県における医師不足の中での大規模災害時の救急医療体制など、地域防災計画の見直しや法整備の必要性などが浮き彫りになったところです。
 そこでお伺いいたしますが、県はこのたび、災害医療派遣に対してどのような対応をとられたのでしょうか。他県からも応援に入っていただいたとも聞いておりますが、今後の対策をどのように考えているのか伺います。
 天候によっては二次災害のおそれや余震など、まだまだ予断を許さない状況下で、以前の生活を取り戻すためには、さまざまな支援策が必要となってまいります。今後、長い避難所生活により精神的な不安から体調を崩される方々や、地震のショックなどによるPTSD―心的外傷後ストレス症候群の症状があらわれる方々への対応が必要となることから、具体的に今後の県としての支援策をお聞かせください。
 現在は、全力を挙げて復興に取り組んでいただいているところですが、このたびの経験から、本県の活断層調査や防災組織の強化、さらには県境にまたがる災害において、青森、秋田、宮城県との連携強化も図る必要があると思いますが、今後、この教訓をどのように生かしていくつもりかお伺いいたします。
 次に、平泉世界文化遺産登録について伺います。
 平泉文化遺産は、平成13年に世界遺産暫定リストに登載され、平成18年12月、平泉-浄土思想を基調とする文化的景観として世界遺産登録推薦書がユネスコ世界文化遺産センターに提出され、昨年8月の国際記念物遺跡会議―イコモスの現地調査を経て、ことし5月23日に登録延期の勧告を受けるまで、登録推進に努力してこられました。そして、延期勧告の後すぐに、逆転登録を目指して関係機関に対してあらゆる働きかけがなされ、間もなくその結果が出されることになります。
 国際平和と人類共通の福祉という目的を促進するために創設された国際連合教育科学文化機関憲章、すなわちユネスコ憲章の前文にうたわれている、戦争は、人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならないという理念は、まさに平和を願う平泉の浄土思想と一致しているものと考えます。
 延期勧告の原因は浄土思想の説明不足とされておりますが、果たしてそれだけだったのでしょうか。マルコ・ポーロの東方見聞録に紹介された黄金の国ジパングは、中尊寺金色堂を指しているとも言われており、中世における諸外国との文化交流など、平泉が果たしてきた歴史的価値をもっと強調すべきであったという見方もありますが、現時点ではどのような御見解かお伺いいたします。
 また、これまで県や関係市町、そして県観光協会が中心となって、平泉文化遺産観光活用推進アクションプランに取り組んでこられましたが、中尊寺や毛越寺の協力もかなりいただいていると思いますし、各方面からのボランティア協力もあったと思います。平泉文化遺産の活用について、観光面での取り組みは拡大しつつあると思いますが、これまで、岩手県民の全体的な平泉文化への関心はどうだったのでしょうか。関心はあっても理解を深めるには至っていなかったのではないかとも思います。県としての働きかけはいかがだったでしょうか。
 間もなく、カナダのケベックにおいて開催される世界遺産委員会における平泉世界文化遺産の登録決定が待たれるところですが、その結果にかかわらず、平泉文化の価値をさらに深く理解し、県全体に浸透させることが必要だと思いますが、これまでの普及啓発に関する取り組みを今後の教育施策にどう生かしていくのか、お伺いいたします。
 次に、男女共同参画社会の重点課題について伺います。
 昨年の9月定例会におきまして一般質問に取り上げさせていただき、知事と環境生活部長から前向きな御答弁をいただきました。本県では、アイーナの男女共同参画センターにおいて、NPOいわて翼の会に委託してさまざまな事業を展開しており、男女共同参画意識の普及と定着に取り組んでいただいておりますし、女性が多方面からチャレンジし活躍できる社会づくり、仕事と子育て・介護の両立のための環境づくり、そして、配偶者暴力防止対策の充実強化などに重点的に取り組んでこられたわけですが、前年度と比較して具体的にどのような成果があったのでしょうか。
 また、男性における男女共同参画への認識や理解は深まってきていると言えるのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、ワーク・ライフ・バランスの基本的な考え方をどのように認識しているか伺います。
 最近の調査では、社会慣習の中での男女の不平等感の割合が高く、家庭における女性の負担感が強いという結果が出ております。社会全体の意識改革がなければ、その感覚は解消しないと思います。
 男性も女性も、ともに育児休業・介護休業の取得が可能になれば、安心して子育てや家族の介護もできるようになります。保育所待機児の解消を初め、病児・病後児保育の充実を図り、さらには女性の職業能力開発や女性の再雇用制度の導入を促進することにより、安心して子供を産み育てることができる男女ともに働きやすい環境が整備されると思います。
 そこで、県として安心して子供を産み育てることができる雇用環境の改善に向けて、今後どのような取り組みを進めていくお考えかお伺いいたします。
 また、平成20年1月に改正DV防止法―ドメスティックバイオレンス防止法が施行されたことに伴い、基本方針が改正されたことを受け、いわて配偶者暴力防止対策推進計画について見直しがありました。改正に当たって、どこに重点が置かれるようになったのかお伺いいたします。
 この計画は、生涯にわたって女性の健康を支援し、女性に対するあらゆる暴力を防止し、被害者の保護に対処していくため策定されたものですが、残念ながら、配偶者からの暴力は後を絶たず、最近では、デートDVといって、若い世代にも多く見られるようになったという報告もあります。この背景は一体何かをしっかり調査分析し、県及び市町村の役割を明確にして、女性に対する暴力や虐待への対処が急がれます。
 いわゆるDVは、被害者である女性の心身を脅かすだけではなく、ひいては児童虐待や高齢者虐待につながるおそれがあることから、この負の連鎖を食いとめなければなりません。本県の実態と対応策をお知らせください。
 次に、保健医療について伺います。
 先般、平成20年度から24年度までの5カ年における岩手県保健福祉計画保健医療編が示されました。今般の計画では、がんや脳卒中など4疾病6事業が主要な疾病・事業と位置づけられましたが、現代の3大疾患の一つであり、男女ともに死亡率1位の悪性新生物―がんの中で、女性の死亡率の高い乳がん対策と、現在、薬害肝炎などで国の対策に注目が集まっている肝炎対策についてお伺いいたします。
 厚生労働省の平成18年度地域保健・老人保健事業報告によると、本県の乳がん検診の受診率は25.9%で、県の計画では、平成24年のがん検診の受診率の目標を50%としていますが、受診率向上にはまだまだ意識啓発が必要と考えます。
 最近では、若年層の乳がんの発症事例も多くなってきていることや、早期発見・早期診断・早期治療により生存率が高まることから、全県挙げて啓蒙活動や啓発活動など、検診受診率の向上に取り組むとともに、乳腺外科など専門医療機関の充実や術後のアフターケアなど、乳がん対策にもっと力を入れるべきと考えます。
 毎年10月が乳がん撲滅月間と位置づけられていることから、乳がん検診の機会を若年層にも拡大する取り組みも必要ではないかと考えます。
 全国的には、民間団体と行政が協力し合いピンクリボン運動を展開していると聞いております。仙台ではここ数年、大々的にピンクリボンフェスティバルが開催され、啓蒙活動が展開されているようですが、本県においては、盛り上がりに欠けていると思われます。
 例えば、正しい知識を学校教育の中にしっかり取り入れることで意識啓発を図り、マンモグラフィーが搭載されている検診車をまちの中心部に置いて、通りがかりの若い人たちの関心を引くようなキャンペーンなど、乳がんに関する多様な取り組みを展開していくことも、受診率向上につながると考えます。
 また、最近の医療機器の進歩により、昨年3月、PET―CT検査装置が本県の民間病院で初めて導入され、今後、公的病院にも導入されると思いますが、苦痛を伴わず、ごく初期の乳がんなどの発見率の向上につながっているということです。今のところ検診料金は高額でありますが、術後の確認や再発の発見にも大変役立っているようです。
 乳がん検診の受診率を向上させ、早期診断・早期治療に結びつけるための県当局の御見解と今後の具体的な取り組みや支援策についてお示しください。
 次に、肝炎対策について伺います。
 B型及びC型ウイルス性肝炎は、国内最大の感染症であり、その対策は、従前から重要な課題であったと言われております。また、フィブリノゲン製剤による薬害肝炎の訴訟問題などがメディアなどで一気にクローズアップされ、全国的に肝炎対策に対する関心が高まっております。
 昨年1月、全国C型肝炎診療懇談会から都道府県における肝炎検査後疾患診療体制に関するガイドラインが報告され、それを受けて、国から各都道府県に通知が出されております。その中では、肝炎対策協議会を設置し、肝疾患診療体制の確保と診療の質の向上を図ることが要請されており、県としてもさまざまな取り組みが実施されていると思いますが、本県の取り組み状況についてお伺いいたします。
 また、ウイルス除去の目的でインターフェロン治療が有効であり、患者さんの経済的負担を軽減し、かつ幅広く多くの方に治療を受けていただけるよう、本年4月、医療費助成制度が導入されましたが、肝炎の患者さんでインターフェロン治療にかかわる医療費の助成を受けることができない方もおられると聞いております。それはどのような方なのか、お伺いいたします。
 次に、薬害肝炎についてですが、本年1月に薬害肝炎全国原告団と国とが和解に至り、感染被害者の方々の早期一律救済の要請にこたえるため、議員立法による薬害肝炎救済法が成立しました。しかし、救済を受けるためには、フィブリノゲン製剤などの投与を受けた証拠となるカルテが必要となりますが、カルテの保存年限が5年となっていることから、それ以前のカルテの開示が医療機関からなされず、フィブリノゲン製剤投与の証明が得られない多くの患者さんは、救済されないということです。
 そこでお伺いしますが、県として、過去にフィブリノゲン製剤などの投与を受けたと思われる患者さんの相談窓口の設置や弁護士会との連携などの対応をどのように行ってきたのでしょうか。
 また、薬害肝炎患者が救済を受けることが可能となるような働きかけが必要と思いますが、県としての対応についてお伺いいたします。
 次に、農林水産業施策について伺います。
 岩手県は食材の宝庫であることから、食の安全・安心の面からも、農業、林業、水産業へのしっかりとした対策が求められています。
 先般、中国で製造したギョーザに農薬が混入されたと思われる事件が発生しましたが、輸入食品に対する検査・監視体制の不備が指摘されるなど、急増する輸入食品に対する不安が増大しています。
 食品産業のグローバル化により、どこで、どのように生産され、何が入っているか見えにくくなっており、何でできていて、だれが、どのようにつくったかがわかる地場産・国内産の安全な食品を求める声が高まっています。
 食料供給基地いわてでは、県産物の県南ひとめぼれ、前沢牛、三陸岩手わかめなど、地域ブランドとしてその名を確立しているものが多くなっています。また、地産地消の取り組みも進み、朝市や道の駅など、生産者の顔が見えて、より一層新鮮で安全・安心をアピールするところが増えており、ことしの10月には全国朝市サミットが盛岡で開催され、豊かな岩手の食材を全国にPRできる企画として期待されているところです。
 食料供給基地いわてとして、安全・安心な食材を供給していくためには、国においても食の安全・安心や農林水産業への消費者理解の増進、地元生産者への支援対策や農協との連携、国内外から食材が集まる中央卸売市場の経営安定策など、地域段階の取り組みに対する支援をより強化することが必要であると考えます。また、病院や学校などへ安全・安心な岩手の食材を取り入れることも重要と考えます。
 冷凍ギョーザ事件以来、国内でも食品偽装事件が相次ぎ、食の安全・安心の観点から、輸入食品や食品関係への不信や警戒心が高まっている中で、岩手の農林水産物は安全・安心であることをアピールし、全国に向けて岩手の農林水産物の消費拡大を発信する絶好のチャンスととらえるべきと考えます。
 そこで、今後、県として食の安心・安全とその消費拡大に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、食料危機を背景とした県産米の活用についてですが、現在、地球温暖化による天候不順の影響やバイオ燃料への農地・農作物の転換などにより、トウモロコシや小麦などの価格が史上最高値を記録するなど、世界じゅうで食料価格の高騰が続き、食料危機が迫っています。
 穀物全般を輸入に依存する日本も、大きな影響があり、特に、小麦の値上げ幅が大きいことから、日本の食品メーカーや消費者には大きな打撃となっています。
 最近、小麦のかわりに米粉の活用が注目を集めており、従来からある和菓子製品のほか、小麦粉グルテンを添加してパンやめんなどを製造したり、米粉をそのまま用いたパンが登場するなど、米粉の用途は拡大しつつあると聞いています。
 本県としても、県産米の米粉としての活用など、付加価値の高い食品加工にも力を入れるべきと考えますが、県の対応について伺います。
 次に、子育て支援について伺います。
 本県では、アイーナのNPOいわて子育てサポートセンター、一戸町の岩手県立児童館いわて子どもの森を初めとして、地域に子育てサークルや児童館、放課後児童クラブなど、さまざまな子育て支援事業が展開されております。
 その中でも、県立児童館いわて子どもの森は、平成15年5月5日にオープンしたもので、豊かな自然環境に恵まれた30ヘクタールの広大な敷地面積を有し、58億円を投入して建設された全国22番目の大型児童館だということです。入場無料、年間1億6、000万円の運営費で、年間15万人もの子供や大人が利用し、楽しんでいるということです。
 特別委員会の視察調査でお邪魔した葛巻町の森と風のがっこうの理事長さんが、子どもの森の館長さんであり、子供だけでなく、生命や環境など、生きること全般に対するすばらしい理念を持っておいでの方でしたので、先般、子どもの森専用のチケットを買って、IGRとバスを利用して訪ねてまいりました。
 いわて子どもの森は、想像をはるかに超えた夢のある、子供も大人も大好きになりそうな施設であり、現にちょうど来館していた子育てサークルの方々が、とても楽しめて何度でも来たくなる施設だと話してくれました。
 基本コンセプトに沿ったさまざまな活動事業が展開されておりますが、交通アクセスが不便なためなのか、利用者が年々減少しているのが残念です。しかし、最近では県外からの来館者もふえているそうですので、県内へのしっかりとしたPRが必要ではないでしょうか。
 いわて子どもの森は、現状においても県立児童館としての機能を十分発揮していると思いましたが、子供の健全育成のみならず、子育て支援の情報センターとしての機能を発揮し、子育て・子育ちにかかわる指導者育成のための研修センター機能の強化を図り、遊びや自主的な体験を通して、幼児から高校生まで、子供の生きる力につながる取り組みをさらに充実してほしいと感じました。
 また、障がいのある子供たちの体感を通して、楽しみながら機能訓練ができる施設もあることから、もっと有効な活用方法があると思いましたし、昇降リフトなど使用されていない設備があり、撤去の必要性も感じました。
 さらに、子どもの森の職員やスタッフの方が相談に応じているようですが、岩手の将来を担う大切な子供たちの健全育成のためにも相談体制の充実が必要と感じましたし、児童館と行政との一層の連携が図られれば、もっとすばらしい施設になると思われます。
 県として、県立児童館の利用促進や地域との連携、施設機能強化など、今後の方向性についてお伺いいたします。
 次に、障がい者支援について伺います。
 昨日、千葉康一郎議員から質問がありましたように、昨年11月に障がい者への差別禁止条例の制定を求める請願が提出され、付託を受けた環境福祉委員会では、慎重審査をした上で、本年4月に請願を採択いたしました。
 先月15日にはDPI(障害者インターナショナル)日本会議in岩手の大会が盛岡で開催され、地震の影響で交通機関が混乱する中、全国各地から障がい者の方々や支援団体の方々が参加されておりました。
 私は、障害者差別禁止法に望むことという分科会に参加してまいりましたが、昨年、千葉県において障がい者差別禁止条例が全国に先駆けて施行されたことに伴い、全国各地で障がい者差別禁止条例の制定を求める運動が展開されているということでした。
 千葉県の条例は県民運動の中で生まれたものでありますが、障害という表記、条例が対象とする障がい者の定義、インクルーシブ教育の推進や県民への啓発・広報の推進、県民への理解を推進する実践的取り組みなど、条例の理念の実現には課題が残っております。
 現在、愛知県でも4月から実行委員会を立ち上げ、障がい者フォーラムを開催して8月から条例づくりに入るとのことです。
 特にも、条例制定に向けての取り組みが注目されている本県においても、障がい者団体への理解と連携を深めた上で、障がい者への差別をなくすための条例の策定を進めるとともに、社会のすべての体系が障がいのある人に開放されなければならないというDPIの考え方は、地方レベルだけではなく、国レベルでも必要なものであり、国に対する法整備を働きかけていくべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
 ことし4月1日より始まった後期高齢者医療制度は、年金からの保険料の天引きや定額の後期高齢者診療料などの問題が指摘されていますが、65歳から74歳までの障がい者の強制的な移行を進めている自治体があると聞いており、さまざまな懸念が生じます。
 本県では、後期高齢者医療制度において、障がい者は強制加入とはされていないようですが、今後の方向性をお示しください。
 また、障害者自立支援法の抜本的見直しの対策を講じても、重度長時間介護サービスや移動支援事業、グループホーム、ケアホームなど、障がい者の地域生活に関する問題は依然として放置され、裁量的経費である地域生活支援事業に組み込まれることにより地域間格差が拡大することから、介護ヘルパーや精神障がい者へのホームヘルプなどの社会資源の確保や在宅重度障害者地域生活支援基盤整備事業の充実が求められています。
 さらに、障がいの程度区分にかかわらず、それぞれ個々のニーズに合ったきめ細かなサービスが必要であり、障がい者の地域生活と積極的参加を支えるための基本的な条件整備としての所得保障と相まって、障がい者の自立支援施策として就労支援が重要と考えますが、とりわけ福祉的就労を中心とした実態がどうなっているのか、今後どのような対応を考えているのかお伺いします。
 次に、バリアフリーについて伺います。
 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律が、バリアフリー新法として平成18年12月に施行されています。法制度の基本的な枠組みは、公共交通機関や特定の建造物などを新しく整備する場合、施設設置管理者に対し、バリアフリー化基準への適合を義務づけるものとなっています。
 市町村は、バリアフリー化を重点的かつ一体的に推進するための方針、事業などを内容とする基本構想を作成することとなっておりますが、高齢者、障がい者などから、市町村に対し、基本構想について提案できる制度となっております。
 また、バリアフリー化の促進に当たり目標を設定しており、例えば1日5、000人以上の者が利用している鉄軌道駅のバリアフリー化を進めていくことが必要とされています。
 そこで、県内の利用客が5、000人を超えている駅と、そのバリアフリー化の状況及び未整備な場合の今後の取り組みについてお知らせください。
 また、現在、駅の周辺道路整備が進んでいるが、駅舎との一体的なバリアフリー化を住民が要望している場合、県としての対応と市町村に対してどのような働きかけをするのか、伺います。
 以上で私の一般質問を終わりますが、答弁次第では再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 三浦陽子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、岩手・宮城内陸地震についてでありますが、当面、この地震による被害についての復旧事業や被災者への支援に全力を挙げていきたいと考えておりますが、今回の経験を今後よく検証し、宮城県沖地震やさまざまな将来の災害に生かしていきたいと考えております。
 具体的には、国や各種研究機関などにも調査研究を進めていただき新たな活断層の把握を進めることや、県や市町村の防災担当部局の対応能力の向上と連携の強化、災害発生時の地域住民の被害を最小限に食いとめられるような自主防災組織の育成強化、県境地域における災害を想定した隣県との連携協力体制の確立などに取り組み、今後の災害に対する地域全体の対応能力のレベルアップを図ってまいりたいと思います。
 次に、男女共同参画推進施策の成果と男性の男女共同参画への認識等についてですが、活力ある地域社会の実現には男女共同参画の推進が極めて重要であるとの認識のもと、県民、事業者等の意識改革のほか、男女共同参画の仕組みづくりやDV防止対策に取り組んできたところであります。
 県民への啓発活動等は男女共同参画センターを拠点として進めており、昨年度は男女共同参画サポーター数、出前講座の実施数、セミナー等の参加者数のほか、DVを含む相談件数も前年を大きく上回っているほか、県の審議会における女性委員や、子育て等に配慮する企業の増などの成果が見られます。
 また、男女共同参画社会の形成には、男女が社会の対等な構成員としてともに参画していくことが必要であり、各種事業の展開に当たっては、男性の積極的な参加を呼びかけ意識啓発を図っています。その結果、例えば、男性の男女共同参画サポーターが着実にふえてきているところです。一方、県民の意識調査では、夫は外で働き、妻は家庭を守るべきという考え方を肯定する男性の割合が徐々に減りつつあるものの、依然として高く、平成18年で39%という数字でありまして、これはまだ高いと考えます。引き続き、意識啓発を図る必要があると考えております。
 男女共同参画社会の実現には息の長い取り組みが必要であり、今後とも、市町村や関係機関と連携しながら、着実に成果が上がるよう取り組んでまいりたいと考えます。
 次に、安心して子供を産み育てることができる雇用環境の改善についてでありますが、県では、女性が持てる能力を十分に発揮していくため、これまでも企業訪問や各種セミナーを通じ、女性が働きやすい環境づくりのための普及啓発を行うとともに、職業能力開発のための講習を初め、国と連携しながら、病児の預かりなどに対応できる緊急サポートネットワーク事業などを行い、女性が働きやすい雇用環境の整備を促進してきたところであります。
 昨年末、国では、仕事と生活の調和をテーマとしたワーク・ライフ・バランス憲章を策定したところであり、県においても、これに呼応して、各種シンポジウムの開催や仕事と子育ての両立のモデルになる企業の選定などを行うこととしており、今後とも、女性の雇用環境の改善に積極的に取り組んでまいります。
 次に、県立児童館の利用促進や地域との連携及び機能強化等の今後の方向性についてでありますが、県立児童館いわて子どもの森は、子供たちが創造性豊かに自由に遊び、居心地のよい場を提供するとともに、地域の遊びの指導者を育成するなど、県内の児童健全育成活動を支援する中核的な施設として、平成15年に設置したところであります。開館から5年を経過しましたが、当初の目標である年間入館者数11万人を上回り、毎年15万人を超えている状況です。本年4月には、新たな取り組みとして、子供たちが電車の運転手や消防士、郵便配達員等の疑似体験をするおしごとトレインを整備し、入館者数の増加につなげているところでありますが、今後とも、アトラクションやプログラムごとの利用動向を踏まえ、適切な時期に工夫を加えるなどリピーターをふやし、さらなる利用促進に努めてまいりたいと思います。
 また、県内各地域で子供の遊びの普及や指導を行う小イベントの開催や各地域の児童館、放課後児童クラブの指導員が遊びの多様なノウハウを習得するための研修会の実施などにより、地域との連携を一層強化するとともに、御提言の子育て相談体制の充実については、アイーナに設置している子育てサポートセンターや各地域の子育て支援センターとの役割分担を整理しながら検討してまいりたいと思います。
 次に、障がい者差別禁止条例の制定と国への働きかけについてでありますが、私としましても、県民を挙げての差別禁止に向けた取り組みとして、御指摘の条例制定は有効な手段になり得ると考えております。この場合、障がい者団体はもとより、企業、民間団体を含め、多くの県民から御意見をお伺いし、共通理解のもと取り組む必要があると考えます。
 また、現在、北海道・東北7県の所管部長による事務レベルでの合意として、障がい者に対する差別禁止に係る措置を国に要望すると報告を受けておりますが、私としても、機会を見て、必要な法整備について国に要望してまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長岩渕良昭君登壇〕
〇保健福祉部長(岩渕良昭君) まず、岩手・宮城内陸地震における災害医療派遣の対応についてでありますが、県といたしましては、地震発生直後に各県立病院のDMATの準備状況等を把握するとともに、災害現地の負傷者等の発生状況の把握に努めたところでございます。その後、奥州市内でバス転落事故が発生したとの情報を受けて、医療局を通じ、中央病院及び花巻厚生病院に対し、胆沢病院にDMATを派遣するよう要請をいたしました。結果として、自主的に参集したものを含めて県内外の11チームのDMATが胆沢病院に集結し、負傷者のトリアージや治療のほか、高度救命救急センターへの広域搬送に対処していただいたところであります。
 大規模災害により多くの負傷者が発生した場合には、県内外のDMATによる活動が不可欠であり、参集したDMATが連携し、より効果的に活動できる体制を構築することが極めて重要であると認識した次第でございます。このため、今回の災害で課題として指摘された指揮命令系統や関係機関相互の情報連絡体制、ヘリコプターによる後方医療機関への広域搬送体制等も含めて、新たに設置する岩手県災害拠点病院連絡協議会におきまして、関係機関と連携を図りながら、具体的な運営の仕組みづくりを進めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、被災者に対する心のケアについてでありますが、今般の地震において、県では、地元市の応援のために避難所及びその周辺地域に県の保健師を派遣し、岩手医科大学、日本赤十字社岩手県支部など、県内外から派遣された七つのこころのケアチームと協力しながら健康管理を支援してきたところであります。さらに、地元市、地元保健所、精神保健福祉センター、医療機関において、被災地域住民への心のケアを中心とする支援活動に関する方針や役割分担等を確認するとともに、精神保健福祉センターが現場活動の調整を行いながらそれぞれの活動を開始したところであります。現在、被災地域のすべての住民を対象とした健康被害の把握に努めており、今週中には調査が終了する予定となっており、今後は、これらの調査結果を踏まえ、PTSDなどの心のケアが必要な方々に対し個別に支援計画を作成の上、保健師等による定期的な訪問や専門医への受診勧奨などを通じ、適切な支援に努めることとしております。
 次に、乳がん検診の受診率向上とその取り組みについてでありますが、本県では、平成18年には107人の方が乳がんで亡くなっております。乳がんは、他の部位のがんと比較して、早期に発見することによりその後の生存率が高くなることが、県医師会に委託実施している地域がん登録事業のデータからも明らかとなっているところであります。
 一方、本県の乳がん検診の受診率は、平成18年度では25.9%と全国平均12.9%よりは高いものの、さらに受診率を向上させることが必要であると考えております。県では、これまで、市町村と連携し、パンフレットの配布等によるがん検診の有効性に関する普及啓発や精密検査の受診率向上を図るため、当該検査を行う医療機関を登録し市町村への情報提供を行ってきたほか、岩手県対ガン協会に対し、マンモグラフィー設備整備の補助や乳がん検診に従事する医師等への研修会を開催し、検診体制の整備に努めてきたところであります。
 県といたしましては、今後は、これまでの市町村と連携した普及啓発や受診勧奨の取り組みに加え、がん対策推進計画に掲げる受診率50%の目標を達成することが県の責務と考えていることから、議員御提案の趣旨も踏まえ、がん撲滅月間などの時期をとらえてピンクリボン運動との協働、受診率の低い年齢層に照準を合わせたキャンペーンの実施、患者団体の方々と連携したフォーラムの開催などを通じて、乳がん検診の受診率向上の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
 次に、肝炎対策の取り組みについてでありますが、肝炎の診療体制等の整備、診療の充実及び向上等を図るため、昨年6月に岩手医科大学、県医師会、予防医学協会等で構成する岩手県肝炎対策協議会を設置したところであります。県では、本協議会の議論を踏まえ、肝疾患診療連携拠点病院として本年4月に岩手医科大学附属病院を指定するとともに、専門医療機関やかかりつけ医を選定することにより肝疾患診療体制の整備を進めることとし、また、肝疾患診療従事者に対する研修会を開催しているところであります。
 なお、保健所では、従前から肝炎ウイルス検査を無料で実施するとともに、肝炎に関する正しい知識等の普及啓発に努めております。
 次に、インターフェロン治療に係る医療費助成についてでありますが、本年4月から、B型肝炎ウイルス及びC型肝炎ウイルスの除去を目的として行うインターフェロン治療で保険適用となっているものに対して、1年間を限度として助成しております。
 本制度の対象とならない方についてでありますが、高血圧、糖尿病などの基礎疾患のある方で、医学的にインターフェロン治療が困難と判断された方についてはウイルス除去が期待できないことから、対象とならないものと認識しているところであります。
 次に、薬害肝炎に関する相談窓口の設置等についてでありますが、本年1月の薬害肝炎救済に関する特別措置法の施行に伴い、薬害肝炎に関する相談に応じるため各保健所等に相談窓口を設置したところであり、本年1月から5月末までに1、492件の相談が寄せられております。また、この特別措置法は、国家賠償請求訴訟を前提とした給付制度であることから、岩手弁護士会は、本年2月に薬害C型肝炎相談窓口を設置するとともに、5月には薬害C型肝炎被害者110番を実施しており、これらの取り組みについては、県と連携しながら進められているところであります。
 次に、薬害肝炎患者が救済を受けることが可能となるような働きかけについてでありますが、特別措置法では、感染被害者が給付金の支給を受けるためには、裁判手続の中で特定フィブリノゲン製剤等の投与事実を証明する必要があります。このため、医師会や各医療機関に対してカルテ等の調査や保管の協力依頼を行うとともに、カルテ以外に手術記録、分娩記録、レセプトの写し等も投与事実の証明になり得ることを周知しているところであります。
 次に、後期高齢者医療制度における障がい者の取り扱いについてでありますが、65歳から74歳までの高齢者で、一定の障がいをお持ちの方が後期高齢者医療制度へ加入するかどうかについては、制度上本人の選択によるものであり、本県においては、該当する約9、830人のうち約8、960人、約91%が本年4月に後期高齢者医療制度に加入したところであります。本県では、後期高齢者医療広域連合及び市町村において、こうした選択できる制度であることについてパンフレット及び広報等により住民に対し周知している状況にあります。県としては、後期高齢者医療広域連合及び市町村に対し、今後もこの制度が適切に運用されるよう助言してまいりたいと考えております。しかしながら、一方で、医療費の自己負担額は後期高齢者医療制度を選択した場合1割、他の医療保険制度を選択した場合、基本的には2割または3割となり、本県単独の重度心身障害者医療費助成事業は、結果として、他の医療保険制度を選択した方への助成により多くの県費を必要とする状況となっております。こうした状況は、公平な公費投入の観点から一つの課題と認識しており、今後、国の動向や本県における受給者の実態等を踏まえ、その対応について検討してまいりたいと考えております。
 次に、障がい者の自立支援策としての就労支援についてでありますが、いわゆる授産施設や作業所などの就労支援事業所で働く障がい者の福祉的就労の実態は、県内の就労支援事業所数が、平成19年度末で141カ所、平均工賃月額は1人当たり1万4、881円となっております。現状の平均工賃では、障害基礎年金とあわせても障がい者が地域で自立した生活を送ることができない実情にあります。このため、平成23年度までに、平成18年度の平均工賃1万3、848円を2倍の2万7、700円に引き上げることを目標とした岩手県障がい者工賃倍増5カ年計画を本年2月に作成したところであります。今後、この計画に基づき、財団法人いわて産業振興センターの協力を得ながら、県内九つの障がい者保健福祉圏域でモデル的に選定した事業所の経営改善を通じて工賃の引き上げを図り、ここで得られた成果を県全体に波及させていくこととしております。
   〔環境生活部長瀬川純君登壇〕
〇環境生活部長(瀬川純君) 配偶者暴力防止対策推進計画の見直しについてでありますが、県では、平成17年度にいわて配偶者暴力防止対策推進計画を策定し、暴力を許さない社会の形成、相談・保護体制の充実、被害者の自立支援、関係機関の協力・連携の四つの重点目標と主な取り組みの具体的内容について定めております。
 本年1月に施行された改正DV法では、基本計画の策定や配偶者暴力相談支援センターの設置が市町村の努力義務とされ、国の基本方針も見直しが行われております。このことから、県においても、本年5月末に計画の一部改正を行い、新たに市町村との連携強化に関する事項などを定めたところであります。
 DVの防止対策には市町村の役割が重要であり、今後、研修において相談実務や先進事例の周知を図るなど、市町村での取り組みが推進されるよう支援を行ってまいります。
 次に、DVの実態と対応策についてですが、平成19年度の相談件数は、福祉総合相談センター等県内12カ所の配偶者暴力相談支援センターで768件、警察署で136件―こちらは暦年でございます。一時保護件数は32件、保護命令発令件数は、これも暦年でございますが31件となっており、相談内容は身体的な暴力に関するもの、精神的な暴力に関するものなどで、緊急に保護を要するものも含まれております。県では、いわて配偶者暴力防止対策推進計画に基づき、関係部局と連携し、講演会などによる意識啓発、支援センターにおける相談、緊急時の宿泊場所の確保・提供、生活支援などの事業を実施しております。また、若年者への予防教育が重要であることから、高校への出前講座や教職員向けセミナーの開催など、若年層の意識啓発に取り組んでおります。
 今後においても、DVの相談内容を踏まえ、関係部局とも連携しながら、効果的な対策と支援が行われるよう取り組んでまいります。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、食の安全・安心と消費拡大に向けた取り組みについてでございますが、消費者の食に対する信頼が揺らいでいる中で、安全・安心で高品質な本県農林水産物への消費者の期待が高まっており、こうしたニーズに的確にこたえることが食料供給基地岩手の重要な役割と考えているところでございます。このため、生産面では、本年1月に策定した環境と共生する産地づくり基本計画に基づく環境保全型農業や県版生産工程管理の普及推進等により、安全・安心な農林水産物の供給体制を構築してまいります。
 また、販路拡大の面につきましては、黄金の國を統一イメージとした新商品やプレミアムブランド米など、品種や栽培方法を厳選したプレミアム商品の開発と販売を促進するとともに、産地の特徴やこだわりの栽培法などのPRポイントを明確化した効果的な広報活動の展開により、本県農林水産物の魅力を積極的にアピールし、消費者や実需者の評価向上に努めてまいります。
 次に、県産米の活用についてでございますが、穀物の国際的な需給が逼迫する中で、将来にわたり食料の安定供給を確保していくためには、水田の有効活用により食料供給力を強化することが求められております。このような観点から、消費が減少している米を御飯としてだけではなく、米粉のパンやめん類等への多様な活用、さらには新たな加工品の開発等に取り組み、米の需要拡大を図ることが重要であると考えております。このため、これまでも、米粉パンの学校給食への導入や盛岡農業高校の米粉パンの全国販売を支援するとともに、工業技術センターにおける米粉入り冷麺の開発などに取り組んできたところでございます。
 現在、国におきましても、米粉の利用拡大や商品開発に向けて具体的な支援策を検討していると承知しておりまして、県としては、こうした国の動向をも踏まえつつ、産学官の連携のもと、米を利用した簡便性、機能性の高い商品の開発や米粉の多様な活用と需要拡大に努め、県産米の加工利用の高度化に取り組んでまいります。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 鉄道駅のバリアフリー化についてでありますが、まず、利用客が5、000人以上の駅は、平成19年度におきましては、JRでは盛岡駅、一ノ関駅、北上駅、花巻駅、矢幅駅の5駅、IGRでは盛岡駅の1駅、合計6駅となっております。
 また、バリアフリー化の状況についてでありますが、これら6駅のうち、法が求めるバリアフリーの基準を満たす駅は、JR盛岡駅、IGR盛岡駅及びJR矢幅駅の3駅となっております。その他のJR一ノ関駅、北上駅、花巻駅につきましては、国、県、市町村の補助によりまして、平成10年度から13年度までに、エスカレーター等のバリアフリー化の整備を行ったところでありますが、現行の法の基準を完全には満たしていないため、JRにおきましては、今後、順次必要な整備を行う予定と聞いております。
 駅のバリアフリー化については、基本的には各鉄道事業者の計画にゆだねられるものと考えておりますが、今後の高齢社会への対応やだれもが利用しやすい移動環境を確保する観点から、バリアフリー化の推進は重要な課題であると認識しており、今後、関係市町村とともに、鉄道事業者に対し働きかけてまいりたいと存じます。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 駅舎と周辺道路の一体的なバリアフリー化についてでありますが、駅周辺道路のバリアフリー化は、主に市町村がまちづくり交付金事業などで実施していることが多く、歩道の段差解消、エレベーターの設置など、住民からの要望につきましては基本的には市町村で対応しています。県としましては、年度初めに毎年開催する市町村への事業制度の説明会の中で、バリアフリー化の事例の紹介や技術基準の周知などを図っております。また、市町村が住民からの要望などを踏まえ、事業計画を策定する際に具体的なバリアフリー化について技術的助言を行っております。
 今後とも、駅周辺道路のバリアフリー化がより一層促進されますよう、市町村の取り組みに対して支援してまいります。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) まず、世界文化遺産登録延期勧告の原因についてでありますが、イコモスから登録延期の勧告を受けさまざまな論評がなされているところでありますが、浄土思想も含めて世界遺産が有すべき顕著な普遍的価値の証明等の関係から、さまざまな御指摘を受けたものであります。
 議員から御指摘のあったマルコ・ポーロの東方見聞録に紹介されたジパング伝説などの平泉の歴史的価値については、既に推薦書や追加情報で説明をしておりますが、勧告後の補足情報にも改めて記載し、十分に説明を尽くしているものであります。
 次に、世界文化遺産登録の働きかけについてでありますが、県では、平成16年度から、県民を対象に、シンポジウムや巡回パネル展などを開催し、平泉の価値や保存管理の重要性を直接訴えるとともに、パンフレットやDVD、ホームページなどを活用し、広く周知してきたところであります。
 これらの取り組みについては、県で実施している岩手県の広報活動に関する県民意識調査において、8割以上の県民が、よく知っている、または大体わかると回答されているものであり、平泉文化に対する県民の関心は高まっているものと考えています。さらに理解を深めていく必要もあると考えています。
 イコモスの勧告を受けてから、民間団体を含めて、平泉文化に関するさまざまな取り組みが活発に行われているところであり、県民の理解がさらに深まっていくことを期待しておりまして、県としても、平泉事業の取り組みや保存管理活動を通じて、平泉への理解が一層深まるように進めてまいります。
 次に、普及啓発の取り組みの教育施策における活用についてでありますが、これまで、小学校5、6年生に対しまして、平泉の文化遺産に関する副読本を配布してきたところでありますが、今年度から、世界遺産登録に向けた取り組みを契機として、県内の児童生徒に平泉文化や歴史に興味を持ってもらうため、先ほど申し上げました小・中学校及び高等学校において、平泉授業を実施することとしております。
 このような普及啓発に関する取り組みを通じて、平泉を初め、広く本県の歴史や文化に誇りや愛着を持つ児童生徒をはぐくむとともに、郷土の歴史や文化を学ぶ礎としてまいりたいと考えております。
〇19番(三浦陽子君) ただいま、知事を初め、担当部局の部長には、大変御丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 今、地震のことで大変な状況の中、そして県財政の厳しい中、それぞれに今の質問の中にありました事業を促進していただきたいと念じております。
 また、安全・安心な食材を取り入れるということは、やはり健康に非常に直結するものですので、ここにつきまして一つ再質問させていただきたいと思います。
 安全で安心な食材を取り入れるためには、やはり栄養指導というものが必要になってくると思いますけれども、管理栄養士さんが多分、病院とか学校に配置されていると思いますが、その食の安全・安心を推進する上で、管理栄養士、岩手県の栄養士会とどのような連携を図っているのか、一つお伺いします。
〇環境生活部長(瀬川純君) 食の安全・安心を推進する上で管理栄養士との連携についてでございますが、岩手県食の安全・安心アクションプランにおきましては、学校における食育の推進につきまして、栄養士等の協力を得ながら事業を推進するということになっております。
 また、岩手県栄養士会は、岩手県食育推進ネットワーク会議に参加いただいておりまして、地産地消に関するイベントなどにも御協力いただいております。
 私どもといたしましては、食の安全・安心を推進する上で、食育を健康面から支える心強いパートナーと考えておりまして、今後とも、連携させていただきながら取り組んでまいりたいと考えております。

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