平成20年6月定例会 第6回岩手県議会定例会会議録

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〇41番(佐々木一榮君) 千葉康一郎議員の質問に関連をさせていただきます。
 岩手・宮城内陸地震につきまして、何点かお尋ねします。
 今回の岩手・宮城内陸地震では、孤立した住民の方々の安否確認や情報伝達に大きな教訓を残したと考えております。地域の防災計画の中での情報伝達体制が十分とは言えなかったと思いますが、問題点をどのようにとらえていらっしゃるでしょうか。
 本県は中山間地が特にも多く、集落へ通じる道路が土砂災害危険箇所に隣接するなど、地形や道路状況が、さきの中越地震の孤立集落と似た集落は県内230集落と言われております。県では、県内孤立集落や限界集落と言われる地域の防災体制について、今回の地震災害を受け、現状をどう認識され、今後、この課題についてどう取り組んでいかれるのか、お尋ねしたいと思います。
 次に、初動の情報連絡体制についてお伺いいたします。
 先ほど知事からもお話がありましたけれども、今回、地震災害発生の初動時に、国から即時に被災状況の上空からの映像を求められたことから、被災地上空へ向かった防災ヘリが本庁となかなか連絡がとれなかったという事態があったと伺っておりますが、先ほどの孤立集落の状況把握も含め、災害発生時の情報連絡体制はどうなっていたのでしょうか、問題点をお知らせいただきたいと思います。
 次に、同じく情報提供について、関連してお尋ねいたしますが、地元住民の方々が地震の被害状況を把握するには、テレビ、新聞報道によるところが大変大きいかと思われます。私の地元であります一関市は、御案内のとおり、昭和22年、23年にカスリン・アイオン台風という大水害に見舞われて、六百数十名の方々が命をなくされております。当時を知る方々からは、磐井川上流からの土石流、鉄砲水の怖さを、今回の地震においてできたせきとめダムに、その昔の市街地の被害を重ね、非常に心配する声が多く聞かれました。県の一関総合支局のロビー等には、日に日に刻々変わる現場等の状況や、そういったものが掲示はされておりますけれども、市や、また公共施設においては、そういった状況下ではありません。私は、県のホームページを積極的に活用するべきではないかというように考えております。現地にも何度も足を運ばせていただきました。県の方々、市の方々、また関係する方々は、昼夜を分かたず、本当に不眠不休で職務をこなしているということを目の当たりにしております。そういった意味では、本当にもう県でも県南局ではカバーし切れない、本庁の応援をもらわないと、その部分は難しいという実感を持っておりますが、この情報提供についての県の今後の対応の仕方についてお伺いします。
 それから、地元ではケーブルテレビを通じまして、国土交通省が設置しました河道閉塞状況の映像を、固定式ではありますが、24時間流しております。地元のそういった民間報道機関との連携も非常に重要かと私は思いますが、これについてもお尋ねいたします。
 先ほどは住宅関連のお話がありましたが、産業関連についての支援策についてお伺いいたします。
 今回の災害で、県内企業の生産設備関係では大きな被害は幸い少なかったというように伺っておりますけれども、本県と、お隣宮城県では、旅館やホテル等の宿泊施設でのキャンセルが相次いでいると承知しております。このような状況をどう把握されておりますでしょうか。また、先週26日だったかと思いますが、観光団体の方々より知事に対して緊急直接要望が行われたと思いますが、どう対応されていかれるのでしょうか。
 防災の最後に、県では、このことを受けまして、9月にも地域防災計画の見直しをするということでありますけれども、方針と今後のスケジュールについてお尋ねしたいと思います。
 最後に、平泉関連でありますけれども、平泉の文化遺産の世界遺産登録につきましては、過日、県議会で意見書が議決されまして、渡辺議長とともに私も青木文化庁長官に直接お会いしてまいりました。お話を伺いまして、本当に国として推薦したといった力強いお言葉をいただきながら、国でも精いっぱい頑張っていただいているなという認識を持ったところでありまして、あとは、近藤大使を初め国の今までの運動、今後も7月10日に向けて御努力をいただきたいというように祈念申し上げますし、本当に逆転登録を心から望んでいるものでありますので、質問を予定しておりましたが、この分については割愛をさせていただきますので、前段の分についての御答弁を知事にお願い申し上げます。
〇知事(達増拓也君) 佐々木一榮議員の関連質問にお答えいたします。
 孤立化地域との情報伝達については、孤立した地域の皆さんに対して、周辺地域の被災情報、その後の危険に関する情報、救援に関する情報などを正確に伝えることは、災害発生直後の通信状況や気象、時間帯等によっては大変難しいものとなることが予想され、また、逆に、孤立している地域住民の安否や観光客の状況などの情報を災害対策本部が正確に把握することも、同様に困難な場合が想定されるところであります。災害時の初期対応としては、孤立地域が生じた場合には、そうした双方向の情報伝達をいかに確保するかが極めて重要なポイントになるということについて、今回の地震を通じて再認識したところであります。
 孤立化するおそれがある地域については、新潟県中越地震を機に、県では、平成17年に、大規模地震等により孤立化のおそれがある地域について調査を実施したところ、県内で29市町村、288地域が想定される旨、市町村から報告がありました。この調査結果を受けて、市町村に対して、地域が孤立した場合の情報収集の仕組みづくりや避難方法などの対策を講じるよう依頼していたところであります。今後は、今回の災害を踏まえ、各市町村の対応状況について再度調査し、課題を明らかにするとともに、情報伝達の方法、通信機器の運用の検討及び救助・救出のためのヘリコプターが離発着可能な場所の確認など、地域特性に応じた具体的対策がとれるよう、市町村や関係機関と連携しながら検討してまいりたいと思います。
 次に、防災ヘリコプターと県庁との連絡についてでありますが、今回の地震が発生した直後から、県の防災ヘリコプターは上空からの被害状況確認のための偵察飛行を実施しましたが、その飛行によって確認した被害情報については、被災地上空の機内からリアルタイムで消防無線を使って地元の消防本部に連絡を行うとともに、花巻の防災航空センターとも随時交信をしながら、当時の午前における偵察活動を行ったところであります。このため、防災ヘリコプターによって確認した被災情報は、地元消防本部や防災航空センターを経由して県庁に伝達される形となりますが、災害時の救助活動の中心となる地元の消防本部への情報伝達が優先されるべきであることや、地形や無線の技術的な制約などを考えると、防災ヘリコプターからの情報伝達ルートとしては、現在の仕組みには一定の合理性があるものと理解しております。
 一方、今回の地震の場合には、被災地への陸路での救助が不可能であったことから、発災当日の午後においては、応援のために来県した各機関のヘリコプターをフル回転させて孤立地域からの救助を行わねばならないことが明らかになったため、県の防災ヘリコプターで午前中の偵察飛行を行った副隊長を、県庁のヘリ運用の調整本部に配置して調整業務に従事させるとともに、県防災ヘリコプター自身も、午後は孤立地域からの救助活動に加わったところであります。
 県民への情報提供についてでありますが、地域防災計画において、県民への情報提供は、報道機関への情報提供を初めインターネット等の手段により実施することとしています。今般の地震に際しても、6月14日にはホームページを立ち上げ、文字ベースで災害対応状況を掲載したところでありますが、発災2日後の6月16日には写真による被害情報を掲載し、また、災害対策本部の資料については報道機関に対して配付し、記者レクを行うなど、パブリシティーを活用した情報提供にも努めたところであります。
 災害時においては、できるだけ詳しい災害の情報を日々更新しながら把握したいというニーズがあり、特に避難所に避難されている方々については、その思いはより切実なものと感じていますことから、地図情報や写真情報などを中心に、発災当初から一般の方々がわかりやすい情報を容易に入手できるような情報提供のあり方をさらに工夫してまいりたいと思います。その際には、御提案いただいた地元市町や民間報道機関との連携をより強化することについても、検討してまいりたいと思います。
 なお、そうした情報提供業務については、現地の振興局や総合支局が現場対応で十分に手が回らないような場合には、本庁から必要な担当職員を現地に派遣するなど、本庁としてのサポート体制についても、今後検討してまいりたいと思います。
 次に、観光産業への支援充実についてでありますが、県内の旅館・ホテル業界団体の調査によると、6月26日現在で、延べ2万人を超える宿泊予約のキャンセルがあったと聞いておりまして、風評被害対策として、災害直後からホームページや全国規模のイベントでの最新情報の提供を行っているところであります。また、去る26日には、岩手県観光協会並びに岩手県旅館ホテル生活衛生同業組合から要望をいただいたところでありまして、要望項目について現在検討しているところでありますが、関係者の皆様が一日も早く通常営業に戻ることができるよう、取り組んでまいります。
 地域防災計画の見直しについては、現在のところ関係部局からの意見を踏まえ、災害派遣医療チーム―DMATの役割や活動内容を明記するなど見直し作業を進めているところでありますが、さらに今回の地震による災害対応を検証し、可能なものは具体的に見直し内容に盛り込めるよう、作業を進めてまいりたいと思います。
 今後のスケジュールとしては、当面、本年9月の防災会議に見直しを図る事項については7月中に県の見直し案を策定し、その後、消防庁へ事前協議の上、9月の防災会議に間に合わせるように準備を進めたいと思います。
 なお、平泉の文化遺産に関しては、登録前から県内各地域のさまざまな民間団体等により、平泉の歴史や普遍的な価値を学ぶ取り組みが県民運動的に広がってきていることは予想以上のことでありまして、非常に喜ばしく、また、心強く感じていることであります。県としても、しっかり取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。
〇副議長(佐々木大和君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時52分 休憩
出席議員(47名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 比奈子 君
22  番 高 橋 雪 文 君
23  番 嵯 峨 壱 朗 君
24  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時8分 再開
〇議長(渡辺幸貫君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。樋下正信君。
   〔35番樋下正信君登壇〕(拍手)

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