平成20年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成20年3月18日(火)
1開会  午前10時3分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課長 切 金   精
  議事担当課長 保 原 良 和
  主任主査  菊 池 達 也
  主査  鈴 木 文 彦
  主査  石木田 浩 美
  主査  佐々木 ユ カ
  主査  菊 池 芳 彦
  主査  渡 辺 謙 一
1説明員
  農林水産部長 高前田 寿 幸
  理事     千 葉 英 寛
  農林水産企画室長 東大野 潤 一
  農政担当技監 齋 藤   恭
  農村整備担当技監兼
  農村計画課総括課長 佐々木 雄 康
  林務担当技監 西 村 和 明
  水産担当技監兼
  水産振興課総括課長 大 森 正 明
  技術参事兼
  畜産課総括課長 樋 澤 正 志
  農林水産企画室
  特命参事     宮   一 夫
  農林水産企画室
  特命参事     中 里 英 敏
  農林水産企画室
  特命参事     沢 田   修
  農林水産企画室
  特命参事     浅 沼   浩
  農林水産企画室
  企画担当課長 古 川   勉
  農林水産企画室
  管理担当課長 紺 野 由 夫
  団体指導課
  総括課長     松 岡   博
  指導検査担当課長 大 澤 宣 典
  流通課総括課長 佐々木 和 延
  農業振興課
  総括課長     徳 山 順 一
  担い手対策
  担当課長     平 賀 勇 志
  農業普及技術課
  総括課長     宮 下 慶一郎
  農村建設課
  総括課長     須 藤 勝 夫
  農産園芸課
  総括課長     小 原 利 勝
  水田農業担当課長 工 藤 昌 男
  振興・衛生
  担当課長     高 橋 喜和夫
  林業振興課
  総括課長     村 山   巧
  森林整備課
  総括課長     竹 田 光 一
  整備担当課長 藤 川 敏 彦
  森林保全課
  総括課長     藤 原   繁
  森林保全課
  特命参事     藤 沼 豊 頼
  漁業調整担当課長 佐久間   修
  漁港漁村課
  総括課長     佐々木   敦

  予算調製課
  総括課長     中 村 一 郎
〇千葉康一郎委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第31号、議案第33号から議案第37号まで、議案第39号から議案第42号まで、及び議案第47号の以上32件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係でありますけれども、午後5時までに終わるように進行したいと思いますので、御協力をよろしくお願い申し上げます。
 なお、本日の農林水産部の審査につきましては、3月10日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では、農業関係分野、第2部では、林業関係分野及び水産業関係分野について、それぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
 それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇高前田農林水産部長 農林水産部関係の平成20年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
 予算の説明に入ります前に、平成20年度における農林水産施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
 農林水産業を取り巻く経済社会情勢でありますが、経済社会のグローバル化が急速に進展する中で、開発途上国の経済発展、そしてバイオ燃料生産の拡大等を背景とした国際的な食料事情の変化への対応や、温暖化防止など地球規模での環境問題への対応が求められております。
 また、国内に目を転じますと、農林水産業の従事者の減少や高齢化、限界集落の増加などにより、地域経済の低迷や農山漁村の活力低下が懸念される一方、たび重なる食品の不正表示や残留農薬問題等により、食に対する消費者の信頼が大きく揺らいでいる中で、食の安全・安心に強い関心が寄せられているところであります。
 このような状況のもと、農林水産部といたしましては、いわて希望創造プランに位置づけられました日本の食を守る食料供給基地岩手を確立するため、経営体の育成と産地形成、そして販路の拡大の三つの施策の柱に、商工部門や環境部門と連携を図りながら展開するアグリビジネス関連産業の育成と農地・森林等の基盤保全を加えた五つの施策の核となる主要事業を重点化して予算を編成したところでございます。
 具体的に申し上げますと、まず、一つ目の経営体の育成につきましては、生産性の高いビジネスモデルの確立や経営体育成体制の整備等により、本県農林水産業をリードする経営体を育成するための取り組みを強化してまいります。
 二つ目の産地形成につきましては、岩手らしい安全・安心なサプライチェーンの確立や高度な生産技術の開発・普及等により、生産性・市場性の高い産地を形成するための取り組みを強化してまいります。
 三つ目の販路の拡大につきましては、民間ノウハウを活用したマーケティングの展開や戦略的な輸出促進等により、消費者や実需者ニーズに対応した販路の拡大の取り組みを強化してまいります。
 四つ目のアグリビジネス関連産業の育成につきましては、グリーンツーリズムや地域のバイオマスの総合的な利活用を促進する取り組みを強化してまいります。
 五つ目の農地・森林等の基盤保全につきましては、地域協働による農村環境の保全や県民税を活用した森林の整備・保全の取り組みを強化してまいります。
 それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号平成20年度岩手県一般会計予算でありますが、議案その1の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の644億8、759万3、000円のうち、県土整備部所管分を除く571億7、235万1、000円及び9ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の24億5、461万3、000円のうち、同じく県土整備部所管分を除く21億7、360万9、000円を合わせまして593億4、596万円となるものでございます。これを前年度6月現計予算額と比較いたしますと、金額で21億2、572万7、000円、率にして3.5%の減となるものでございます。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に説明申し上げます。
 予算に関する説明書の138ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査等に要する経費であります。139ページの2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対し利子補給等を行うものでございます。3目農業構造改善対策費のいわてグリーン・ツーリズムレベルアップ事業費は、都市と農山漁村との交流を拡大するため、民間が主体となった推進体制を強化するとともに、体験型教育旅行の受け入れ農林漁家の拡大を支援しようとする経費等であります。次に、140ページをお開き願います。4目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営に要する経費等であります。5目農業振興費の主なものでございますが、141ページに参りまして、説明欄の上から七つ目、中山間地域等直接支払事業費は、中山間地域などにおいて農業生産活動を行う農業者等に対し、平地地域との農業生産条件の格差の範囲内で直接支払等交付金を交付する経費などであり、その二つ下、いわて希望農業担い手応援事業費補助は、集落営農組織等の経営の多角化や県北・沿岸地域等における競争力の高い園芸・畜産等の産地形成、地域資源を活用したアグリビジネスの展開、さらには原油等の価格高騰対策に必要な機械・施設等の整備に要する経費に対して補助しようとするものであります。また、その下のいわてバイオエネルギー利活用促進事業費は、バイオマスエネルギーの利活用促進及び循環型社会の形成に資するため、稲わら等からエタノールを生産する本県独自の技術開発やバイオディーゼル燃料の地産地消モデルを構築しようとするものであります。次の6目農作物対策費の説明欄一つ目、生産振興総合対策事業費は、米、麦、大豆、雑穀について、他県との産地間競争に打ち勝つため、水稲直播栽培などの栽培技術の普及や、小麦、雑穀の優良品種の導入拡大などにより産地づくりを促進しようとするものであります。次に、142ページをお開き願います。7目畑作振興費でありますが、説明欄三つ目のいわての園芸産地ステップアップ事業費は、官民一体となった園芸品種開発やNPO組織との協働による小規模園芸農家への指導支援を通じて、生産性の高い園芸産地づくりを推進しようとするものであります。8目北上奥羽山系開発費は、緑資源機構が北上、奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業に係る地元負担分の償還金などであります。9目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、農作物の生産者及び農薬販売者に対する農薬の適正使用、適正販売の指導・検査等に要する経費であります。10目農業協同組合指導費及び11目農業共済団体指導費は、各組合の指導監督に要する経費であります。12目農業研究センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であります。144ページに参りまして、13目農業大学校費は、同校の管理運営等に要する経費であります。
 次に、146ページをお開き願います。2項畜産業費であります。1目畜産総務費は、畜産関係職員の人件費等であります。2目畜産振興費の主なものでありますが、説明欄二つ目の家畜改良増殖対策事業費は、肉用牛の安定的な生産及びブランド化を推進するため、優秀な種雄牛の造成など、日本短角種及び黒毛和種の改良増殖等を推進するために要する経費などであります。147ページに参りまして、3目草地対策費は、飼料基盤に立脚した効率的な経営体の育成及びこれを核とした畜産主産地の整備を行うため、草地の整備改良や畜舎等の整備に要する経費などであります。次に、148ページをお開き願います。4目家畜保健衛生費は、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する牛海綿状脳症防疫対策事業費のほか、家畜伝染病予防費が主なものであり、149ページの5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営等に要する経費であります。
 次に、150ページをお開き願います。3項農地費であります。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等であります。次に、2目土地改良費の主なものでありますが、説明欄五つ目の経営体育成基盤整備事業費は、農業の生産基盤である水田の大区画化や用排水路、農道等の整備を一体的に実施し、高性能機械の導入による農作業の効率化や水管理の省力化を図るとともに、担い手への農地利用集積を促進し、高生産性農業の実現とそれを担う経営体の育成に要する経費であります。その四つ下の骨寺村荘園景観保全農地整備事業費は、平泉の世界遺産登録関連事業になりますが、一関市の骨寺村荘園地区において、農作業条件の改善を図るため、中世荘園の伝統的な農村景観の保全に配慮した農地整備を行おうとするものであります。151ページに参りまして、3目農地防災事業費は、農地・農業用施設の洪水被害等を防止するための防災ダムや老朽化した水利施設の整備に要する経費であります。次に、152ページをお開き願います。4目農地調整費の主なものでありますが、説明欄二つ目の農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化等を促進するため、岩手県農業公社が行う農用地等の売買、賃貸借等の業務に要する経費に対し補助しようとするものであります。
 次に、154ページをお開き願います。4項林業費であります。1目林業総務費の主なものは、林政関係職員の人件費や県有林事業特別会計への繰出金等であります。155ページに参りまして、2目林業構造改善対策費のうち、林業・木材産業構造改革推進事業費は、林業構造改善事業等により、施設導入を行った事業体等への経営指導に要する経費であります。3目林業振興指導費の主なものでありますが、説明欄中段の森の国いわて木材流通拡大促進事業費は、市場ニーズに合った県産製材品の商品開発や販路拡大に取り組む地域材供給グループ等への活動支援のほか、県北・沿岸地域の主要樹種であるアカマツ製品の通年出荷体制の構築等に要する経費であります。その三つ下のしいたけ等特用林産振興対策事業費は、シイタケの生産振興を図るため、基本栽培技術等の研修や生産施設整備に対する助成、原木の安定供給に必要な資金の貸し付け等を行おうとするものでございます。次に、156ページをお開き願います。中段のいわての森林づくり推進事業費は、いわての森林づくり県民税を財源として、公益上重要で緊急に整備する必要のある森林の混交林誘導伐を実施するほか、地域力を生かした森林整備等の活動支援、森林・林業の果たす役割等に関する情報発信の強化、児童生徒を対象とした森林学習や森林ボランティアの育成講座の開催等を通じて、森林・林業に対する理解の醸成を図ろうとするものであります。4目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要する経費であります。157ページに参りまして、5目造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の育成管理や広葉樹林等の整備に対して補助等を行うものであります。6目林道費は、県土整備部所管となっているものでございます。次に、158ページをお開き願います。7目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要する経費であります。159ページに参りまして、8目林業技術センター費は、同センターの管理運営等に要する経費であります。
 次に、161ページをお開き願います。5項水産業費であります。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営等に要する経費であります。2目漁業構造改善対策費の主なものは、水産経営総合改善事業費及び次のページの強い水産業づくり交付金であり、効率的かつ安定的な漁業経営体を育成し、水産物流通の衛生管理向上を図るため、漁業用作業保管施設や水産物洗浄機等の関連機器整備などに要する経費に対して補助しようとするものであります。3目水産業振興費の主なものでありますが、説明欄中段の地域営漁計画推進特別対策事業費補助は、養殖漁場の効率的な利用や担い手の確保・育成を図るため、零細経営体のグループ化や効率的な養殖システム導入等を内容とする漁協の地域営漁計画の実行に必要な養殖施設、及び養殖共同作業船の整備に要する経費に対して補助しようとするものであります。その五つ下のさけ、ます増殖費は、本県沿岸漁業の主要魚種であるサケ・マス資源の維持安定を図るため、養殖団体が行う稚魚購入放流に要する経費に対して補助するほか、サケの回帰資源調査等に要する経費などであります。163ページに参りまして、栽培漁業推進事業費は、アワビ等の資源動向調査、投資効果の向上を図るための実証試験など、生産効率の高い種苗放流を行う漁協等へ助成するほか、県栽培漁業協会の経営の安定化を図るため、運転資金の貸し付け等を行おうとするものであります。
 4目水産業協同組合指導費は、漁業近代化資金等の貸し付けを行う漁協などの融資機関に対し、利子補給等を行うものであります。5目漁業調整委員会費及び164ページをお開き願いまして、6目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整などに要する経費であり、7目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営等に要する経費であります。165ページに参りまして、8目水産技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であります。また、説明欄三つ目の漁業指導調査船代船建造事業費は、本県沿岸の海洋観測、漁業資源調査を実施している漁業指導調査船岩手丸が老朽化したことから、これを更新整備する経費であります。次に、166ページをお開き願います。9目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営等に要する経費であり、10目漁港管理費は、県管理漁港の施設の維持管理等に要する経費であります。167ページに参りまして、11目漁港漁場整備費は、安全・安心な水産物供給体制の構築、生産・販売の増大と産地競争力の強化、豊かで潤いのある漁村環境の整備等を重点とした、水産業振興のための漁港・漁場・漁村の水産基盤施設の総合的な整備に要する経費であります。
 次に、大きく飛びまして223ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費のうち、当部所管の農地等災害復旧事業費及び団体営農地等災害復旧事業費、次のページをお開き願いまして、3目治山災害復旧費、4目漁業用施設災害復旧費及び次のページの5目漁港災害復旧費は、いずれも、過年災害と現年災害の災害復旧事業に要する経費であります。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 議案その1にお戻りいただきまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、8社団法人全国農地保有合理化協会が社団法人岩手県農業公社に融通した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、13ページの27林業生産流通総合対策事業償還金までの20件であります。その内容は、社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が2件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が7件、平成20年度から翌年度以降にわたって施行される工事等に係るものが10件でありますが、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。また、13ページの27林業生産流通総合対策事業償還金は、いわて森のトレー生産協同組合に係る国庫補助返還金について、3年分割で返還することとし、債務負担行為を設定するものであります。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 20ページをお開き願います。議案第3号平成20年度岩手県農業改良資金特別会計予算についてでありますが、予算の総額を、歳入歳出それぞれ3億910万6、000円とするものであります。
 21ページの第1表歳入歳出予算の歳入の主なものでありますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
 22ページに参りまして歳出の主なものでありますが、1款農業改良資金貸付費は、新たな農畜産物の生産や加工を開始、または販売方法を改善するなど、農業経営の改善を図るため、農業者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものであります。
 23ページの第2表地方債は、就農支援資金貸付費に充当するものであります。
 次に、24ページをお開き願います。議案第4号平成20年度岩手県県有林事業特別会計予算についてでありますが、予算の総額を、歳入歳出それぞれ34億3、486万円とするものであります。
 25ページに参りまして、歳入の主なものでありますが、1款国庫支出金は、県行造林、模範林及び公営林の整備に係る国庫補助金、3款繰入金は、一般会計及び県有林造成基金からの繰入金、5款諸収入は、立木処分に係る売払収入等であります。
 次に、26ページをお開き願います。歳出の主なものでありますが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理・保育並びに県債の償還等に要する経費であります。
 27ページの第2表地方債は、県有林事業に充当しようとするものであります。
 次に、28ページをお開き願います。議案第5号平成20年度岩手県林業改善資金特別会計予算でありますが、予算の総額を、歳入歳出それぞれ8億4、423万1、000円とするものであります。
 29ページに参りまして、歳入の主なものでありますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
 次に、30ページをお開き願います。歳出の主なものでございますが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業者等に対し、無利子資金を貸し付けしようとするものであります。
 31ページに参りまして、議案第6号平成20年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ5億4、112万7、000円とするものであります。
 次に、32ページをお開き願います。歳入の主なものでありますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等であります。
 33ページに参りまして、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものであります。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 67ページをお開き願います。議案第16号農業関係の建設業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、かんがい排水事業ほか10事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 次に、74ページをお開き願います。議案第18号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 75ページに参りまして、議案第19号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでありますが、これは、地域水産物供給基盤整備事業ほか5事業の水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものであります。
 以上で予算関係の議案についての説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇千葉康一郎委員長 ただいまの説明のうち、第1部の農業関係について質疑はありませんか。
〇及川幸子委員 おはようございます。
 今、海外においては日本のもののブランドが大変喜ばれております。中古車においても大変な人気で、日本のものを持つのが大変誇りだということが報じられておりました。
 そこでお伺いいたします。いわて農林水産ブランド輸出促進事業費について、ブランド品として輸出促進する内容をお示しください。
 次に、全国に誇れる農林水産物販路拡大について、取り組みをお示しいただきたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 いわて農林水産物輸出促進事業についてでありますが、安全・安心で品質が高い県産農林水産物を、国内市場が飽和状態となり産地間競争が激化する中で、海外に浸透させ、国際市場の中で優位性を獲得していくことは、国内における本県農林水産業の評価向上にもつながるところでございまして、本県農林水産物の販路拡大にとって極めて重要であると考えております。
 このようなことから、この3月26日には、県及び農林水産団体・企業等で構成するいわて農林水産物輸出促進協議会を設立いたしまして、本事業により、海外実需者との商談会・バイヤーの招聘、海外小売店での試験販売、海外政府関係者・流通業者等に対する県産食材の紹介、現地での商標取得等特許に関する事情調査など、官民一体となった取り組みを展開し、県産農林水産物の販路の拡大に努めてまいることとしてございます。
 次に、農林水産物の販路拡大についてでございますが、食の安全・安心を基本的価値に据えまして、本県の恵まれた自然環境のもとで、生産者が丹精込めてつくり上げた品質の高い県産農林水産物の魅力を強くアピールし、消費者、市場から高い評価を獲得することが、販路拡大のために重要であると考えております。
 このため、首都圏量販店バイヤーOBなど、民間ノウハウを活用した積極的なマーケティングの展開、安全・安心な本県農林水産物のPR活動の展開や市場ニーズに対応した商品開発や関係団体が連携した販売活動の促進、さらには、食品産業など関連産業への原料供給体制の確立や商品開発の促進による農林水産物の高付加価値化などの取り組みを一層強化することにより、着実に県産農林水産物の販路の拡大を図ってまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 官民一体となった取り組みということで、3月26日、これをまず推し進めていただきたいと思います。
 そこで、農林水産物全体での出荷額の多い品目をちょっとお示しいただきたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 まず、岩手県全体での農業生産額の上位10品目でございますが、1番は米ということで、次にブロイラー、豚、肉用牛、生乳となってございます。それから、野菜においては、キュウリ、ホウレンソウ、トマト、大根、ピーマンの順となってございます。それから、水産物の上位5品目は、サケ類、次にワカメ類、次に、スルメイカ、カキ類、アワビ類の順となってございます。
〇及川幸子委員 そこで、私ども先日、米穀園芸生産流通議員研究会というところで講師を招いてお話をいただきました。その中の資料を見ますと、国外産野菜の入荷数量が示されておりまして、国外から入るものの1位がニンニクの芽、2番がマツタケ、3番がジャンボピーマン、4番がニンニク、5番が根ショウガということで、この主な輸入先が中国100%でございました。
 そういう中で、今の全国の5位に入っている中で、何か岩手県産でできるものがないかということでお尋ねしたいんですが、いかがでしょうか。
 わかりましたか。ニンニクの芽、マツタケ、ジャンボピーマン、ニンニク、根ショウガ。
〇小原農産園芸課総括課長 ただいま委員のほうから、今、輸入されているもののベストファイブ、これについての県の対応ということでございますけれども、残念ながら、そのベストファイブの品目については、本県では栽培そのものは余り多くなっていない状況でございまして、どちらかといえば、私どもこれから生産振興を図ろうというのは、例えばアスパラガスとか、あるいは生シイタケ、こういったものを県の最重点課題にしていこうかと。これらについても、中国からの輸入が以前は多かったんですけれども、最近ブレーキがかかってきておりまして、価格も非常に高騰しておりますので、こういった時期を転機に、危機を希望に変えるわけでもございませんが、そういった面でこういった品目を生産拡大してまいりたいと思ってございます。
 アスパラガスですけれども、県内では中山等でいわゆる促成栽培として入ってございまして、うちの県は寒冷地ということで、やはり本州の中では11月の一番単価の高い時期に早く出せるということで、山岳的にも、地理的にも非常に適しておりますので、こういったものをさらに拡大する。あわせて、ハウスとか、あるいは夏どり栽培、こういったものも導入いたしまして、11月から7月まで連続出荷できるような栽培体系もとってまいりたいと思ってございます。
 また、生シイタケにつきましては、冬期温暖な沿岸地域等におきまして、やはりこれも夏場の冷涼な気象条件を生かしまして、非常にもののいい、品質のいいシイタケがとれますので、菌床シイタケ等の施設整備によりまして、これも生産拡大に向けて取り組んでまいりたいと思ってございます。
〇及川幸子委員 ぜひ、このタマネギとかアスパラ、生シイタケの生産をふやしていただいて、中国から100%などと攻められないように、安心・安全なものを供給できるようにお願いしたいと思うところから質問いたしました。
 次に、国産野菜の値上げ対策についてちょっとお伺いいたします。
 中国製ギョーザ中毒事件に伴い、中国産野菜の輸入量が急減したことで、県内でも野菜の値上げが続いております。前年同時期より20から30%の値上げ幅であります。他の日用雑貨用品も値上がりし家計を直撃しております。
 そこでお伺いいたしますが、岩手野菜の値上げ対策措置を考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。あわせて、おととい、ワカメの値段もぐんと上がりました。もちろん三陸ワカメが大変いいのはわかるんですが、やっぱり7割高となりますと、主婦層にとっては、おいしいし安全・安心なんだけれども、値段がなかなかということで、手に入れるときにはちゅうちょするわけでございます。このワカメについても、今だからこそ値段を少し抑えて主婦層に、消費者に与えることができないのか、そういう対策をとられることはないのかということでお伺いいたします。
〇佐々木流通課総括課長 ここ最近の傾向といたしまして、首都圏などで県産の野菜や県産ワカメなどが高値で取引されていることは、県外の市場においても、県産食材が安全・安心なものとして品質が評価されている結果として受けとめてございます。
 一方で、生鮮野菜や水産物などの食材価格の急激な値上がりは、県内消費者に対しても影響が及ぶものと考えております。
 このため、生産者グループによる産地直売施設のネットワークの整備、これまでは産地市場で、沿岸のほうは手薄でございましたので、この辺のネットワークの強化、それから県内の産地と量販店との契約取引の拡大、安定して供給して一定の価格でお買いいただくということで、安全・安心な県産食材を県内の消費者に安定的に供給できるシステムづくりを促進してまいりたい、かように思ってございます。
〇及川幸子委員 最後に、ちょっと部長にお尋ねしたいと思います。
 一般質問では知事に、安心・安全な食の提供ということでお話を伺いました。全国各地、たすきをかけながら歩かれているということがお話しされ、また、先日も新聞等で高島屋にお邪魔して岩手県産の売り込みをなさっているということを伺いました。
 ところで、部長は、この中国製ギョーザ中毒事件の問題があった後で、スーパーなど、そういうところにお出かけになったことはありますか。
〇高前田農林水産部長 中国からの輸入食品の残留農薬問題が発覚して以降、私も、スーパーには休みの日に買い物に行っておりますので、特に、冷凍食品コーナーなどは気になって、よく拝見しているところでございます。
〇及川幸子委員 安心しました。やっぱり足を運んで、目で見るということが一番大事だと思っております。
 最近買い物をして一番思うのは、広告をちょっと集めてきました。2日間でこのぐらい食料品のが入っていましたが、ほとんど原産地が表示してあります。私も一般質問でそれを述べましたけれども、それが徹底されたようでございましてよかったなと思います。ただ、先ほど申し上げましたタマネギだけは、タイ産と中国産が多いのが目立ちました。あとの青果物については、群馬産とか岩手産が大分ありました。
 そこで、価格の安定ということでお尋ねしたんですが、これは県ではなかなか難しいとおっしゃるかもしれませんが、ホウレンソウ1把158円のとき、2把でもっと安い値段で売っていましたので私も買い求めましたら、岩手県産という表示のラベルが張ってありまして、おお、なるほどな、これならだれでも安心して買えるなと思ったわけでございます。
 そこで部長、ぜひ、こういうことができるのですから、今、消費者にとっては、値段の高騰で大変直撃しております。もっともっと努力されて、ますますスーパーなどに足を運ばれて、岩手の野菜の売り込み、海産物の売り込み、畜産物の売り込みをもっともっとしていただきたいと思います。最後に力強い答弁をいただきまして、質問を終わります。
〇高前田農林水産部長 輸入食品の残留農薬問題に端を発して、消費者の安全・安心に対する関心が高まってきております。それから、ことしは平泉の世界遺産登録が予定されております。こうしたことから、私どもとしては、この機を追い風としてとらえまして、いわゆる航海に例えますと、しっかりと大きな帆を張って、本県の安全・安心で高品質な農林水産物の販路拡大に取り組んでいきたいと考えております。
〇及川幸子委員 よろしくお願いします。
〇樋下正信委員 私からは、農業振興費のいわてバイオテクノロジー利活用促進事業についてお伺いしたいと思います。
 バイオエネルギーの利活用や普及に向け、本県オリジナルのバイオテクノロジー技術開発を加速するとともに、バイオエタノール原料用米の低コスト栽培体系の確立やバイオディーゼルの地産地消モデルの構築を促進すると議会資料にありますけれども、今度の平成20年度は1、430万円弱の予算であるようでございますが、本年は、この1、400万円強の予算でどのような内容の事業になるのか、1点目お知らせ願いたいと思います。
 それから、この原料になるのが稲わらということでございますけれども、例えば、稲わらだけじゃなく、大豆とか麦とかジャガイモ、そういうものも考えられないのかお聞きしたいと思います。
 それから、もう一つ、最終的には、実際、実用になる流れといいますか、どういう形で計画されて、何年後ぐらいに実用化されるのか、その辺もわかればお知らせ願いたいと思います。
〇徳山農業振興課総括課長 バイオエネルギー利活用の促進についてでございますが、バイオエネルギーの利用については、県では、世界の食料需給が長期的に逼迫が予想される、こうした中で、バイオエネルギーの原料については、食料や飼料と競合しないように確保すること、また、本県は農林水産業から生じるバイオマス資源が豊富にあることや、カーボンニュートラルの視点─これは、作物が空気中で二酸化炭素を固定して、それで炭水化物をつくり、その炭水化物をエネルギーに使うことによっても空気中の二酸化炭素の増加にはつながらない、こういう考え方でございますけれども─から、地産地消型の利用を図る、これを基本的な考え方としてとらえております。
 こうした考え方を基本に、平成20年度から新たに実施するいわてバイオエネルギー利活用促進事業におきましては、まず1点は、岩手生物工学研究センターにおける稲わら等の食物繊維からバイオエタノールを効率的に生産する本県の独自の技術開発、2点目は、バイオエタノール原料に適する水稲多収品種の開発や原料用米の低コスト栽培体系の確立、3点目は、バイオディーゼル燃料の原料栽培から製造・利用までの地産地消モデルの構築に取り組むこととしているものでございます。
 県としては、産学官の連携を強化しながら、こうした取り組みを進めて、岩手の資源を生かした岩手らしい循環型社会形成に努めていきたいと考えているところでございます。
 また、稲わらのほかにどのような作物が考えられるかということでございますけれども、岩手生物工学研究センターで今開発に取り組もうとしている技術は、稲わらだけではなく、例えば岩手県に豊富に存在します雑穀とか、あるいはその応用によって、今御指摘のような大豆とか、一般の木質以外のセルロースの分解にも有効と考えておりますので、かなりその適用範囲は広くなるものと予想しております。
 また、実用化の流れでございますけれども、今、私どものところでは、庁内のワーキングチームをつくりまして、バイオエタノールの利活用についていろいろ議論しております。
 この中で構想として今描こうとしておるのは、集落の中、あるいは一つの地域の中の耕作放棄地あるいは遊休地を活用して、そこでエネルギーを生産する、そのエネルギーを農業用の機械に使えないか、このようなことを今想定しております。ただ、一方で大きいのはやはり価格の問題、原料の生産性の問題がありますので、ここ二、三年にはなかなか難しいものがありますけれども、当面は、2030年にはそのような中長期的な課題にも対応できる技術を考えております。ただ、そうは申しましても、今、喫緊に求められているのは、やはり生産性の高い品種の選抜、また大量に収量を上げられるような技術の実証でございますので、この点については、ここ3年から5年程度で実用化のめどをつけたい、このように考えているところでございます。
〇樋下正信委員 ありがとうございます。実はきょうの日報にも、地産地消を考えよということで、直言コラムということで載っておりましたけれども、いずれ、今も御説明ありましたが、休耕地とか、さまざまそういう形で活用されていくのはもちろんでございます。
 私、実は平成11年9月の定例会で、一般質問のときに減反政策に関してお話を申し上げておりますけれども、ブラジルではサトウキビが今、実用化されておりまして、サトウキビから国内の半分の工業用燃料をつくっているということで、最終的には提言を申し上げておきたいということで終わっておりますけれども、それが今やっとここ、10年ぐらいたって、岩手県でも考えていただけることになったのかなということであります。
 ぜひ、今、実用化になるのが2030年ですか、いずれ早く実用化になるようにお願いしていきたいと思いますし、ガソリンも随分値上がりといいますか高くなっておりますし、温暖化もかなり話題になっております。その辺のことも考えて、ぜひ早急にといいますか、早くこの実用化に向けてお願いしたいということでございます。御所見があればお伺いしたいと思います。
〇徳山農業振興課総括課長 ただいま御指摘ありましたように、いろいろな技術的課題、あるいは制度的な課題がありますけれども、なるべくそれらについても早急に解決するように努力していきたいと思っております。
〇高橋雪文委員 関連で質問させていただきたいと思います。
 環境生活部のほうでもこのバイオエタノールについて質問させていただきましたが、今の2030年というのは、実は国の政策の方向であって、県独自の方針ではないと私は思っております。バイオエタノールの有効性というのは、皆さん方御存じだと思いますし、関西、大阪のほうではもう、建材からエタノールをつくって、現実に販売網で実験している、そういう実用段階まで来ているということであります。
 この中でやはり考えていかなければならないのは、バイオエタノールという運輸の部分に直接働きかけるとともに、この副生産物が、木造の場合はタンニンというのが出てくる。そのタンニンが、いわゆる我々岩手県が進めている木質バイオマスのペレットに転用できるということで、岩手県としての特質を十二分に生かせるということだと思うんです。
 そういうことを考えると、2030年という、非常に、私が60歳になるぐらいの年齢のビジョンを掲げるよりも、やはり近未来的に、本当に二、三年の部分でこういうものに対して取り組まなければならないと思うわけでございます。やはり積極性に欠けるという思いがありまして、今の庁内の取り組みなどが非常に不安に思います。その点どういうふうになっているのか、少しお知らせいただきたいと思います。
〇徳山農業振興課総括課長 現在、庁内でプロジェクトチームをつくってバイオエネルギーの利活用について議論しておりますけれども、その中では、どうしても先ほど申し上げました価格上の課題とか、あるいは制度上の課題、さらに実用化するための、今度、機械側の課題がございます。ただ、今考えておりますのは、短期的に取り組むものと中長期的に取り組むものの二つに整理いたしまして進めようと。先ほどのリグニンを分解したエタノールの利用、あるいはセルロースからのエタノール利用というのは、まだまだ技術的な分野で手探り状態にあるということで、一応、中長期的な課題に分類しているところでございます。
 一方で、米からのエタノールあるいはBDFの利用については、現状でも運用状況にございますので、それらについては、ここ3年から5年で実用化したいと思っているところでございます。
 なお、中長期的なところについては、今のところ何年まで早められるということはちょっと言明できない状況にありますが、いずれ、この分野についての研究が非常に進んでおりますので、その情報をとりながら、県の研究機関あるいは国の研究機関とも一緒に連携いたしまして、早急にできるように進めていきたいと思っております。
〇高橋雪文委員 部長にお聞きしたいと思います。要は、岩手県は環境王国ということで、非常に、新エネルギーも含めて取り組んでいるというところです。今までは木質バイオマスのペレットストーブの普及など全庁的に取り組んできた、これはこれで大切なことだと思いますけれども、やはりもっと一般的なエネルギー対策、その一つの方向性としてバイオエタノールの作製・利用ということが非常に求められているのではないか。もう少し積極的にこういう事業に取り組んでいくという姿勢が県でも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇高前田農林水産部長 バイオエタノールへの取り組みでございますけれども、申し上げるまでもなく、本県には豊富な木質バイオマス資源を初めとして、畜産系のバイオマス資源もございます。バイオマス資源が非常に豊富だということが本県の一つの特徴になってございますし、それから、人材の面で申し上げましても、国、県、大学等のバイオマス関係の試験研究機関も立地しております。そういったような本県の特徴というものを最大限に生かしながら、このバイオエタノールの利用についても取り組んでいく必要があると考えておりますし、そういった意味で、現在、県のほうでは、先ほど徳山総括課長から御答弁申し上げましたように、関係部局で構成するプロジェクトチームを設置いたしまして、この3月中にバイオエネルギーの利用構想というものを取りまとめることにいたしております。この中で、先ほどの答弁にございましたように、中長期的に取り組むもの、それから今すぐ、当面取り組むものといったような仕分けをして、県庁内組織が連携を図りながら取り組んでいきたいと考えております。
 それから、国のほうでやっている事業の関係につきましては、非常に今、規模が大きいといったようなこともあって、本県でなかなか導入できないというような事情もございますけれども、私どもとしては、先ほど申し上げましたような、エネルギーの地産地消といったようなことを柱として、そういう取り組みを中心としてやっていきたいと考えているところでございます。
〇小田島峰雄委員 私からは、大きく2点についてお尋ねいたします。
 まず、大きな第1点でございますけれども、農協合併についてでございます。このことにつきましては、我が会派の高橋昌造議員が一般質問で触れられておりましたけれども、あれからまた、時間も状況もちょっと変わっておりますので、改めてお伺いいたしたいと思います。
 御存じのとおり、農協中央会は6農協に再編するということで、その合併構想を進めているわけでございます。せんだって、つい先ごろも、北部地区農協で再度の総代会で可決いたしまして合併が決まったようでありますけれども、まず、現時点での状況についてお尋ねいたしたいと思います。
 次に、第2点目、御存じのとおり、北部地区農協は県域の半分近くの面積を有する。私が住んでおります花巻農協を例にとりましても、秋田県から三陸海岸まで極めて広大な面積を有する巨大農協が誕生するわけでございます。市町村合併におきましても、非常に新市の一体性を何とかして早く求めたいと思っておりますけれども、なかなかそうもいかない状況でございますが、農協の合併はそんなものじゃない、市町村合併をはるかに超えた大きな面積を有する農協になるわけであります。御存じのとおり、地域性も違う、営農形態も違う、農業に取り組む姿勢も違うと、違うことだらけのさまざまな地域が一緒になるのでありますから、さまざま想定される問題点もあろうかと思います。
 そこで、県は、そういった巨大農協に対してどう指導監督を行っていくお考えか、それについて第2点目にお尋ねいたします。
 全部まとめてお聞きします。
 次に、今度の農協合併は、大方の皆さん方が思っておられますとおり、いわゆる経済的な側面が非常に強い合併でございます。言ってみれば、農協が生き残っていくための組織維持のための合併と言っても過言ではないと私は思っているわけでございます。そういう中で、合併前からいろいろ言われておりましたけれども、特にも農協の一番大切な部分、営農指導などがよりおろそかになるのではないかという農家の懸念も日増しに高まってきておるところであると、私はそう思っております。
 そんな中、出資金の返戻を求めてこの際、農協からやめようという農家も出てきております。そして、改めてまた小さな、自分たちだけの新たな組織づくりに向かっている方々もあるとお聞きいたしております。そういう中で、より、本当に一番大切な部分、営農指導をどうやって指導していかれるのか、それについてもお答えいただきたいと思います。基本的には農協がお考えになることなんだけれども、やはり県として、そういう部分がおろそかになったら何のための合併か、こういうことになってしまうのではないかと思いましてお尋ねする次第でございます。よろしくお願いします。
〇松岡団体指導課総括課長 農協合併でございますけれども、現在の状況でございますが、本年5月1日の合併を目指しております岩手北部、岩手中部、それから気仙、この3地区につきましては、合併総代会で合併議案が可決されましたので、現在、合併認可に向けまして、その手続を進めているところでございます。
 それから、今回の合併に際しまして、JAいわてグループは、全国のJAグループのほうに支援を要請しておりましたけれども、3月12日のJAバンク中央本部委員会でこの全国支援が決定されまして、来週になりますが、3月25日、実際に資金援助いたしますJAバンク支援協会というものがございます、ここの理事会で正式決定される見込みになってございます。
 6農協合併構想、もしこの3地区の合併が実現されますと、残るのが胆江地区と両磐地区という2地区ございます。この2地区につきましては、平成20年度中の合併というものを目標に、今後取り組みを進めていくと承知しているものでございます。
 それから、巨大農協が誕生するので、それに対する指導ということでございますが、まず、その財務基盤というか健全経営、これをまず何より維持していかなくてはいけないということで、JAいわてグループのほうでは、合併後の農協が再び経営不振に陥らないで健全経営が続けていけるようにということで、平成20年度から10年間の経営健全化計画というものを策定いたしまして、具体的な目標とか取り組み事項を定めて、事業収支の確保、それから経営管理、債権管理、こういうものをやっていくことになっております。その進捗管理を全体でやっていくということでございますが、県としても計画の進捗管理に参画いたしまして、計画の確実な実行と目標達成に向けまして指導・助言してまいりたいと考えてございます。
 それから、あと、合併によりまして、いずれ巨大なエリアの広大な農協が誕生することになります。ですので、農協のエリア内の市町村の方々との連携ですとか、あと振興局も複数にまたがりますので、振興局相互の連携というものをまず強化してまいります。そして、今、本庁と振興局と農業改良普及センターで県農協再編支援連絡会議というものをつくってございます。ですので、そこでの連絡調整とか協議というものをやりながら、いずれ県の関係機関が一体となった形で、合併後の農協の取り組みを支援してまいりたいと考えてございます。
 あと、3点目、営農指導の件でございます。
 JAいわてグループのほうでは、合併後の農協経営ということで、農家組合員の経営支援を強化していこうということで、新しい組織をつくって、関係機関と一体となった個別農家の経営指導体制を構築しようということにしてございます。
 それから、個々の合併後の農協におきましては、新体制のもとでも組合員サービスが低下しないようにということで、現在の農協のエリアごとに、営農指導員を配置した形で拠点を設置して、組合に積極的に出向く活動をまず展開していきたいと考えているようでございます。その中で営農指導員と生産者との交流を活発化して、それぞれの農協が持っている得意分野というか品目の技術指導などのノウハウを共有することによって、営農指導の充実を図っていきたいと考えているところでございます。
 あと、さらにエリアの拡大によってさまざまな気象条件が異なるような、そういう地域特性を生かしまして、広域的な産地形成ですとか、長期間におけるリレー出荷とか、販売戦略の一元化とか、そういうエリア拡大によるメリットの具現化を図ることとしてございますので、県といたしましては、このような農協の取り組みがきちんと成果を上げて、組合員の期待にこたえるような農協活動が展開されるように、農業改良普及センター、関係機関を中心にしまして、市町村とも、農協とも一緒になって地域農業振興というものに努めてまいりたいと考えているものでございます。
〇小田島峰雄委員 合併後、経営健全化計画を策定して、それに基づいて今後の経営をやっていくんだというお答えでございました。とはいいますものの、御存じのとおり、今度の合併というのは、合併後のビジョンとか、あるいは合併後の経営戦略とか、そういったものをきちんと農家にお示しして、議論の上で、その合併を進めてきたのではないと私は思っております。御存じのとおり、県農協グループが71億円、あるいはJAバンク中央本部が61億円支援するんだとか、つまりこの機を逃しては支援が受けられない。だから、やれ合併、それ合併、これで進めてきたのが本当の姿ではないかと思うのであります。一口に地域特性を生かしてというお話をいたしますけれども、実際には全く異なる地域でございまして、これを一つに束ねて、その経営をしていくというのは至難の技でございましょう。むしろ、識者いわくは、何、面倒くさい、1県1農協でいいんだという人もあるのであります。それであれば、あるいは別な意味のメリットが出てくるのかもしれませんけれども、こういう非常に中途半端な形の合併というのは、成功しにくい面がたくさんあるのではないかと思っております。そういうことで、本気になってこの指導に乗り出さないと、本当に農協離れが進んで、肝心の農家がどんどん農協から離れていってしまう、そういうふうになっていくのではないかと私は懸念をいたしているところでございます。その点について、総合的な見地から高前田部長の御所見をお伺いできればと思います。
〇高前田農林水産部長 合併の問題についての基本的な考え方でございますけれども、合併につきましては、経営主体である農協、系統組織が、今、委員御指摘のとおり、組合員の意見を十分反映しながら、主体的に取り組んでいくということがまず重要であると考えておりまして、農協が、今後ともこういった厳しい情勢の中で、地域であるとか組合員の負託にこたえながら、本県の農業振興の中心的役割を担っていくためには、そうはいっても、合併というものは避けて通れない課題でございまして、やはり経営基盤を強化して、自立した経営体制を確立することが必要ではないかと考えているところでございます。したがって、県といたしましては、先ほどの答弁でも申し上げましたとおりでございますが、市町村、関係機関と連携を密にしながら、こうした農協の系統組織の主体的な取り組みというものを支援していきたいということでございます。そのベースには、委員御指摘のとおり、しっかりとした組合員の話し合いというものがあるべきだろうと考えております。
〇小田島峰雄委員 1点目はこれで終わりといたします。
 大きな二つ目に入ります。
 我が国の農林水産物の輸出につきましては、新聞報道等を拝見する限り、好調に推移いたしているようでございます。そこで、本県農林水産物の輸出の実態と、農林漁家の所得確保対策という観点からお尋ねいたしたいと思います。輸出の関係につきましては、先ほど、及川幸子委員も触れられたところでありますけれども、違う観点からお尋ねいたしたいと思います。
 いろいろ新聞報道によりますと、昨年、ジェトロが中国のビジネスマンらに聞いた調査ということなんですけれども、日本産の農産物は安全・安心、おいしい、外観がよい、高級といった評価のようでございまして、全国的にも、あるいは本県もそうだと思いますけれども、傾向的には非常に好調、堅調ということなのだろうと思います。この際、本県農林水産物の輸出の主要品目ベストテンをお答えいただきたいと思います。ついでに、その輸出額、金額についてもあわせてお尋ねいたします。
 次に、二つ目ですけれども、主な輸出先、シェアについてお答えをいただきたい。また、知事もトップセールスを行っておられるようでございますけれども、新規開拓の努力はどのようにやっておられるのか、この具体についてもお聞かせいただきたいと思います。
 次に、三つ目でございますけれども、これからお答えいただく輸出品目を、農林漁家に対して具体的に奨励する政策というものをお持ちかどうか。あったなら、その具体についてお答えいただきたいと思います。
 それから、極めて大事なことでありますけれども、輸出は好調で伸びた伸びた、よかったよかったと言っておりましても、例えば中間マージンでありますとか、あるいは輸送コストとか流通のコストを差し引いて、結果として、農家の懐に何ぼ残ったかというのが一番大切なのでございます。ここが大事です。輸出品目に限って、農林漁家の所得がどうなっているのか、その実態についてもお答えいただきたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 平成18年度における本県の輸出主要10品目と輸出額についてでございますが、日本貿易振興機構盛岡貿易情報センターの統計によりますと、1番がナマコということで、これが6億900万円、次にスケトウダラが3億6、000万円、次にサバが3億1、800万円、マダラが2億7、600万円、サンマが2億2、600万円、サメが1億5、500万円、サケが8、400万円、アワビが6、700万円、リンドウが5、600万円、ワカメが2、500万円となってございます。また、その主な輸出先は、中国が61.9%、韓国が19.1%、香港が6.9%となってございます。
 次に、岩手農林水産物の輸出の取り組みについてでございますが、経済成長が著しく、日本食への関心が高い東南アジア地域等に対しまして、輸出コーディネーターの活用によります商談会の開催、バイヤーの現地招聘、海外の日系大手小売グループとの連携による─これはマレーシアのジャスコですとか、タイの伊勢丹でございますけれども、県産農林水産物の総合的な試験販売などに取り組んできたところでございます。
 来年度につきましては、先ほど及川委員に申し上げましたとおり、新たにいわて農林水産物輸出促進協議会を民間主体で設立いたしまして、海外実需者との商談会やバイヤーの招聘、海外小売店での試験販売、海外政府関係者、流通業者等に対する県産食材の紹介、現地での商標取得等特許に関する事情調査など、まさに官民一体となった取り組みを展開しまして、評価の高い県産農林水産物の一層の販路拡大に取り組んでまいることとしてございます。
 それから、これまでの農林水産物の試験輸出に係る農家の支援等についてでございますけれども、これまで、輸出に係る経費助成や海外での広報宣伝活動、バイヤーの招聘や商談会の開催などを通じまして、農家個人に最後はつながるわけですけれども、その窓口である団体を中心に輸出支援をしてきたところでございます。1例をとりますと、リンドウのオランダへの輸出につきましては、ヨーロッパの市場調査に係る旅費とか輸送費などをこれまで助成してございます。その結果、平成14年には11万本で1、100万円の輸出実績であったものが、それらの支援によりまして、平成19年度では42万本、3、700万円まで拡大してきた結果、輸出に係る農家個人の所得も上がってきているという実態でございます。これまでも台湾やマレーシアにおいて県産農林水産物の総合的なフェアを開催しまして、海外の消費者に対し積極的に岩手県産品をPRして、販路の拡大を図ってきたところでございますし、今後とも、海外でのフェアの開催や、関係者の派遣経費、試験輸出に係る経費等については支援をして、先導的な立ち上げでもって農家の輸出の意欲を高めていきたいと考えてございます。
〇千葉康一郎委員長 答弁者側に申し上げますけれども、簡潔明瞭に、しかも細大漏らさずに。
〇小田島峰雄委員 主要品目のベストテンをお聞きしましたけれども、水産物が中心となっております。そこで、これは通告しておりませんでしたけれども、米や野菜、あるいは果物といったものについての今後の取り組み姿勢と申しますか、考え方について、1点お尋ねをいたしたいと思います。
 それから、3点目にお尋ねしました農林漁家の所得の問題でございます。県民所得が今議会においてもいろいろ議論されました。なかなか上がらないということでございますが、中でも農林漁家の所得というのはまだまだ低いものがあろうかと思います。農林漁家の所得向上をまず第一に考えていきませんと、農林漁家の生活がなかなか豊かになっていきません。これを何としても押し上げていかなければならないと思いますが、その点についてのお考えもあわせてお聞きして、質問を終わりたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 輸出につきましては、やはり国内市場が低迷しているときに高い価格で海外に出す。例えば盆需要の多いリンドウについては、それを外した時期に高価格で出す。リンゴにつきましては、どちらかというと国内では小玉で相手にされないものを台湾等で高く売るということで、一定の高価格で売れるものということに目星をつけて、農家、漁家の所得向上に努めてまいるよう心がけてございますし、これからもそういう方針で進めてまいりたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 初めに、ここ数年の農業産出額の推移と特徴についてお示しいただければと思います。
〇古川農林水産企画室企画担当課長 お尋ねのありました本県の農業産出額の状況でございますけれども、昭和60年の3、595億円をピークといたしまして、減少傾向にございました。平成18年は、米の生産額の動向が農業産出額を左右するというこれまでの動きとはちょっと異なりまして、米の産出額が減少したにもかかわらず、園芸、畜産の増加によりまして、平成11年以来、7年ぶりに増加に転じまして、総額で2、544億円となったところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 今、説明していただきましたけれども、昭和60年に3、595億円、それから見るとずっと減っています。米の価格に変動されたものが、ちょっと違った傾向が出るということですけれども、畜産で見ても、肉用牛とか乳用牛といったものを含めて、豚はここ10年ぐらい横ばい、そのほか、ブロイラー以外は実は全部減っていますよね。畜産が貢献したというとらえ方もあるでしょうけれども、そういった傾向だと思って見ていました。その中で、いわて希望創造プランで2022年に2、600億円という目標数値があるわけですけれども、どの分野に力を入れて、どうやって達成していくのか、お聞かせ願えればと思います。
〇古川農林水産企画室企画担当課長 いわて希望創造プランの目標達成に向けての力の入れどころということでございますけれども、まず、これの目標達成に向けましては、経営体の育成、産地づくりと販路の拡大が重要であると認識してございます。このために、平成20年度予算におきましては、いわて希望農業担い手応援事業等によりまして、経営体の育成、環境と共生する産地づくり確立事業や、いわて園芸品種協働開発事業、いわて短角和牛産地強化対策事業等によりまして産地づくり、さらには食のマーケティング推進事業等の展開によりまして販路の拡大などに重点的に取り組むこととしているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 抽象的で、私の質問も抽象的でしたからそうかもしれないですけれども、私が心配しているのは、これは東北農政局で出している平成18年度の統計ですが、これで見ると、ずっと減っているわけです。今までだって、恐らく手をこまねいてきたわけではなくて、これまでもずっと経営体の育成とか、生産のための産地形成も含めてやってきたはずなんですよね。ところが、例えば肉用牛についても、この十数年のピークは平成元年の370億円、そして平成18年度は212億円、すごい減少です。さっき説明しましたけれども、乳用牛についてもそうです。そういったものからすると、これまでやってきたにもかかわらず成果が出ていないというのが実態じゃないかと私は思っているんです。
 経営体の育成という話も出ました。それも、現状分析の中、いわて希望創造プランの中に出ていますけれども、数字で言わなくてもわかると思うんですが、平成5年と比べると、平成15年の統計で比較した場合に、大幅に減っています。65歳以上の高齢者の従事者の割合も平成15年で見ると55%です。それから5年たっていますから、もっと高齢化しているんじゃないですか。そういった現状の中で、どうやってこういった産出額の目標数値をクリアするのでしょう。クリアすればすばらしいことだし、私もぜひ達成すべきだと思うんですけれども、経営体の育成と言いながら、育成する経営体が減っていく、なくなっていくんじゃないかと思って懸念しています。その辺もどう考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
〇古川農林水産企画室企画担当課長 経営体の特徴をとらえてのお話かと思いますけれども、おっしゃるとおり、水稲等の土地利用型作物とか、畜産では大家畜の経営規模が総じて小規模であることから、経営の規模拡大というのが重要であると思いますので、こういった点に重点的に取り組んでいく必要があると思っております。
 もう一方では、生産額が下がっている一つとして、従事者の年齢構成というのがあると思います。これの従事者が高齢化しているということもありますので、こういった意味では、担い手の確保とか育成が重要な課題となっております。そういった経営規模の拡大支援とか、経営の高度化支援といったことを、今後とも力を入れてやっていかなければならないと思ってございます。
〇嵯峨壱朗委員 そういう考えだというのはわかりました。これは、きのうちょっと遅かったんですけれども、私は通告して、さっき余り言わなかったけれども、例えば農業産出額の推移と特徴─大体、さっきのあれで推移というのを説明していないでしょう。特徴は去年と比較してわかったけれども。何か、非常に不誠実な答弁だなと私は実は思っていました。今、言いましたけれども。そんなものなのでしょうと思って聞いていましたけれども、大ざっぱに言って、みんなそういう感じがします。というのは、今言った経営体の育成も含めて、こういったグループ化も含めて、ずっとやってきていますよ。にもかかわらず生産額がふえてないでしょう。もちろん市場もあるかと思いますけれども。だから、本当に大丈夫かなということを懸念しているんです。例えばグループで動向をとらえようとしているんだけれども、個人でも大きくやっているところもいっぱいあるでしょうし、そう簡単にいかないと私は思っているんですが、その辺の育成とか産地形成というのを、実際、自信を持ってできますか。これまでもやってきたはずですけれども、どうでしょうか、部長。
〇高前田農林水産部長 本県の農業産出額についてのトレンドということについて、まず、私から若干補足させていただきますが、先ほど答弁させていただいた中でもお話を申し上げましたとおり、昭和60年をピークとして米の産出額が減少することに伴って、本県の農業産出額がどんどん減ってきております。そういったような中で、一つ注目すべきは、やはり平成18年が米の産出額の動向に─米は依然として下がっているわけですけれども、そういうトレンドがある中にあっても、県全体の農業産出額が、わずかでございますけれども、増加に転じたということがございます。この内容は、先ほどの説明にもありましたように、園芸と畜産がエンジンになったということでございまして、実は、畜産はブロイラー中心でございますし、園芸は特に野菜関係でございます。こういった傾向というのは、今まで60年間ずっと減ってきた中では、やはり極めて特徴的な動きとして私どもはとらえておりまして、この下げどまった傾向を、何とかしっかりとしたトレンドにしていきたいということで、これから、いわて希望創造プランに基づきまして取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 なお、全国的な農業産出額の各県の動向をベンチマークいたしてみますと、やはり米の産出額がどんどん減っている中で、県全体の産出額をふやしている県が幾つかございます。この内容を分析いたしますと、やはり一つは園芸で伸ばしているところ、それから、南九州を中心とするいわゆる畜産、大家畜畜産、ブロイラー等で伸ばしているようなところは、極めて注目すべき施策対応であろうと考えておりまして、私どもとしては、米にも力を入れてまいりますが、やはり園芸と畜産を重点的に、その振興に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 もう一点、いわて希望創造プランに基づきまして、先ほど、経営体の育成、産地形成、販路の拡大の三つに重点的に取り組むんだということをお話し申し上げたわけでございますけれども、予算的なことを申し上げますと、実は、当部の事務費的な経費を除いた政策的な経費が大体484億円余ございますけれども、経営体の育成、産地形成、販路の拡大といった三つの分野に、この6割の予算を投入して、これからこの三つの施策に取り組んでいくことにしているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 ブロイラーが640億円から660億円と20億円ふえている。農業産出額で見ると、3億円ふえた分は、今の部長の説明で説明できるんですけれども、やはり可能性のあるものを伸ばしていくのと、ポテンシャルとしては、肉用牛にしても、乳用牛にしても、全国の中でもかなり高位に位置しているということですから、そういったものについて大いに高品質率を伸ばしていただきたいと思っております。
 全然別の質問をします。
 農地・水・環境保全向上対策についてお伺いしたいと思います。本年度から、農道や水路など施設を適切に管理することを目的に、農地・水・環境保全向上対策が本格的に実施されているところでありますが、県内でも多くの地域で本対策に取り組んでいると聞いておりますけれども、その実施状況はどうなっているのか。また、久慈地方でも、規模は小さいんでしょうけれども、幾つか本対策に取り組んでいるところがあるようですが、これまで、資金がなくてなかなか実施できなかったという農道の補修などが、この対策に取り組むことによって集落でできるようになったということで、農家は大変喜んでいるということであります。しかしながら、県では、国が定めているもののほか何件かの要件を設定しており、その一つとして、活動した際の日当は支払い対象外となっていると聞いております。一方で、地元で日当を支払えるようにしてほしいという要望もありますけれども、この件について、県は今後、考え直すということは考えていないのかということをお聞かせ願いたいと思います。
〇須藤農村建設課総括課長 農地・水・環境保全向上対策の実施状況についでありますが、農地・農業用施設等の良好な保全を図るための共同活動につきましては、水田地帯を中心に410地区、約4万1、500ヘクタールを対象に実施しておりまして、非農家も含めた地域ぐるみの活動によりまして、農地・農業用施設などの良好な保全に向けた取り組みを展開しているところであります。また、地域の環境保全に向けた先進的な営農活動につきましては、水稲を中心に108地区、東北では2番目となる約4、300ヘクタールを対象に実施しておりまして、農業者が一体となって、環境に優しい農業へ取り組んでいるところであります。
 第2点目の本県独自に設定している要件についてでありますが、独自要件の一つといたしまして、従来から行われてきている草刈りや泥上げなどの基礎部分に係る人件費につきましては、支援の対象外として実施しているところであります。昨年12月に対象組織と市町村に実施したアンケート調査によりますと、この要件につきまして、活動組織では全体の6割以上、市町村においては約7割から理解が得られておりますが、一部の地域からは、日当の支払いを求める声もあったところであります。
 また、本対策の実効性について評価・検証するために設置している第三者委員会におきましては、基礎部分に係る人件費は引き続き支援対象外としていくべきであるが、耕作放棄地の発生防止に向けた草刈りなど、本対策を契機として新たに取り組むような活動については、日当の支払いも検討する必要があるという意見が出されたところでございます。このようなことから、基礎部分に係る人件費は支援の対象外という基本方針は堅持したいと考えておりますが、地域からの要望や第三者委員会からの意見を踏まえまして、人件費に係る本要件の運用につきましては、さらに市町村、土地改良区とも協議を行いながら検討してまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ、地元の要望にこたえる方向で検討していただきたいと思っております。
 また、ことし取り組んでいる地域の活動状況を見て、自分たちの集落でも来年からさまざまなこういった活動をしていきたいという声が私どもの地域でもあるようなんですけれども、そのような地域の来年度からの実施は可能なものなのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
 それと、1点、先ほどちょっと聞き漏らしましたけれども、先ほどの経営体の話が出たところに戻るんですが、今、原油高という形で、花卉も含めてハウス栽培等さまざまなところに影響があるわけです。こういったことに対して何らかの支援措置といったものがあるようですけれども、これは、経営体という視線で見ると、全経営体が対象になるのかということをお聞かせ願えればと思います。
〇須藤農村建設課総括課長 農地・水・環境保全向上対策の共同活動の平成20年度新規採択の見通しについてでありますが、本対策が地域住民に十分に浸透し切れず、本年度の申請を見送った地区もあったことから、県といたしましては、厳しい財政状況にはありますが、より多くの地域において、農地・農業用施設の良好な保全が図られるよう、平成20年度からの実施を希望する地区については、組織の設立を支援するとともに、採択できるように努めてまいりたいと考えております。
〇古川農林水産企画室企画担当課長 原油高騰に対する具体的な対策でございますけれども、技術的な対策とか、いろいろな資金制度の対策等はございますけれども、まず、技術的には施設園芸における省エネ生産技術を徹底するということでございますし、省エネ型の農林業機械の導入といったものに対しての国庫補助金の活用ということがございます。あとは、農林水産のセーフティネット資金というものがございますので、こういった制度資金の活用も、希望の方は皆さん対象になるということになります。いずれ、経営安定関連の対策も考えながら、原油高騰対策の充実強化に向けて考えていきたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 環境保全については、ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。大変ありがとうございます。
 なぜ聞いたかというと、今の原油高騰についてですけれども、これは当然もう話題になっていることですが、どちらかというと、グループとしての経営体について中心的な措置があって、個人でも、グループよりも大きくやっているところもある。そういったところは余り対象になっていないという話を聞いたんです。そういったことが事実なのか。もし事実とすれば、国の方針がもしそうだとしても、県としても、大規模の個人経営農家でもいいですが、そういうところに支援措置というものを考えるべきじゃないかという視点で申し述べましたけれども。
〇小原農産園芸課総括課長 ただいま、原油高騰に対応いたしました施設園芸、いわゆるその経営体に対する支援ですけれども、ことしの国の事業では、強い農業づくり交付金というものがうちの県には入っているわけですが、これは、国の補助金・交付金の制度上、5戸以上で構成する生産組合というのが要件になってございます。したがいまして、県内6市町村、10地区は入ってございますけれども、すべてが生産組織で導入されている状況でございます。
 個人ということになりますと、やはりこれは融資という話になりますので、県では無利子の農業改良資金というものがございますので、これの活用を薦めているといったような状況にございます。
〇嵯峨壱朗委員 そういう話どおりでしたが、グループの方々よりも個人でも大きくやっている経営体もあるかと思うんですけれども、そういったことについては影響もかなり大きいし、また、先ほど来議論しました農業産出額についても、いろんな形で貢献される部分があると思うので、県としても、融資もそうでしょうけれども、国で足りない分を手当てするといった発想もぜひ持っていただきたいと思いますが、何か所感があればお願いします。なければいいです。
〇高前田農林水産部長 個別経営体への支援ということでございまして、基本はやはり、これは補助金の制度上、そういう個別経営体の支援はなかなか難しいということでございますので、有利な資金を活用いただくということが基本かと思いますが、ただ、地域の中でグループ化であるとか、そういうことの可能性はいろいろあると思います。ですから、地域がまとまって新しい作物を導入するといった場合には、ぜひ、そういった交付金の活用をしていただけるような形で、普及センター等が中心となって、いろいろとお手伝いをさせていただきたいと考えております。
〇熊谷泉委員 ただいまの農地・水・環境保全向上対策について、1点お伺いします。
 東北6県の中では、さっき言った基礎部分に支援しないのは岩手県だけと。東北6県の動きを何か調べているものがあれば、お知らせ願いたいと思います。
〇須藤農村建設課総括課長 農地・水・環境保全向上対策の東北各県の要件設定の状況についてでありますが、これは、本対策を効果的に実施できるように、各県の実情に応じて、それぞれ独自に設定しているものでございます。例えば、ただいまお話がありました人件費を支援対象外としているのが、本県のほかは山形県でございますが、ほかの県では支援対象とはしておりますけれども、例えば青森県では、人件費は支援総額の25%以内にするという要件を設定しているところでございます。また、本県では支援単価を国の基準の2分の1として実施しておりますけれども、この要件を設定しておりますのは、東北では宮城県、山形県などで同じ要件を設定して実施しているところでございます。
〇熊谷泉委員 私も農村に住んでいるので、草刈りとか水路の泥上げというのは、別にあれがなくても従来はやってきたわけです。ただ、今、地域ぐるみということで、農家でない人たちも参加するように地域を挙げてやっている地区もあるわけです。そこに何もないというならば、ボランティアでやれということもあると思いますが、出し方としては、いろんな支援の別のほうの助成というものもあると思います。先ほど、耕作放棄地の対策と言っていましたけれども、実際、自分たちが、今、生産の上がるところは大事なわけで、そこはだれしもやるところなんです。そこに何らかがあって、モチベーションが上がったところで、じゃ、耕作放棄地も手をかけるかという話になると思うんですが、今、そういう活動の中では、どうせ耕作放棄地は、一切生産の上がらないものはほうっておけという形になっていくと思うんです。だから、その辺の仕組みをもう少し考えていただきたいと思います。
〇千葉康一郎委員長 質疑の発言の委員に申し上げますけれども、時間も大分過ぎておりますが、きょうは発言者も随分おります。したがって、質疑は要点を簡潔にされるよう、よろしく御協力をお願い申し上げます。
〇三浦陽子委員 今までも輸出の問題が取り上げられまして、いろいろ御答弁いただいておりますが、農林水産物を初め県産品の輸出拡大に向けて、達増知事が昨年5月の大連の時期から一生懸命取り組んでいらっしゃいまして、海外に足を運び、セールス活動を行っていらっしゃいます。特に昨年の11月、マレーシアイオンで開催したいわてフェアでは、知事が、飛ぶように売れましたとおっしゃっておりましたが、実際、このフェア期間中の販売実績はどのぐらいあったか、お伺いいたします。そしてまた、マレーシアでのフェアの前には、タイ・バンコクでも米を中心とした試験販売に取り組んだと聞いております。県産米の輸出について、とりわけ東南アジアに向けての本年度の輸出実績と今後の見通しについてお伺いいたします。
〇佐々木流通課総括課長 マレーシアイオンの販売実績でございますが、フェア期間中、25日間ですけれども、総売り上げは1、800万円ということで、品目別に見ますと、冷凍ホタテ、リンゴ、精米、サンマなどが主な品目となってございます。マレーシアイオンにおける今年度の催事としては最大の売り上げだと伺ってございます。もちろん、日本円ですので、現地ではこれよりも高いということになります。冷凍ホタテなどは期間中に品切れとなるなど、予想を上回る反響であったということでございます。
 それから、フェアの開催を契機といたしまして、精米については約5トンの成約が見られたほか、水産加工品のサケフライとかサマンフライでございますが、これも継続的に、今も定番化して輸出してございます。
 それから、東南アジアへの県産米の輸出についてでございますが、東南アジア向けの本年度の県産米の輸出数量は、マレーシアが5トン、台湾が1トン、タイが0.2トンの計6.2トンの実績で、前年比の72%増と大幅に伸びてございます。来年度に向けましては、マレーシアイオンとの連携により、さらに数量を15トンまで拡大するということとなってございます。
 それから、米販売の専門家を輸出コーディネーターに委嘱しまして、シンガポールなど東南アジアにおける新たな市場調査を行いまして、ターゲットとする富裕層向けのギフト需要に対応したパッケージ等の作成に取り組み、県産米のブランド確立と輸出の拡大に向けて取り組んでまいりたいと思います。
〇三浦陽子委員 知事の意気込みが、こうやって東南アジアのほうにも大変伝わっているような、本当にすばらしい取り組みをされていると思います。ただ、これが安定的に続けられることがやはり大事だと思います。あとは、販路拡大ということからしまして、私も、実はうちの娘がオーストラリアに1年間留学したときに、結構お米が欲しいと言われまして送った経緯もあったんですが、今、和食ブームで、相当お米のよさというものが見直されていると思います。そういう意味からしても、もっともっといろんな研究が必要かと思いますけれども、今度、15トンまで拡大する予定ということですが、最大限といいますか、どのぐらいまで、きちっと販売できる数量と思っていらっしゃるか、もしおわかりになれば、お願いします。
〇佐々木流通課総括課長 フェアを契機として、毎月1トンは確実に売れるということを現地イオンから伺っておりますので、それを込みで15トン、さらに伸びていくだろうという予想を現地ではしております。
〇高橋比奈子委員 2点伺います。
 最初に、県民の台所の不安の解消と残留農薬問題、市場の対応と地産地消について伺います。
 今度は中国食品から針が出たという報道もあり、またまたという不安が広がっています。実際、中国食品の輸入量が多いために違反件数が多くて、中国の食品に不安を感じますが、違反率は実は0.5%で、違反の率は非常に少ない。悪いほうからは12位となっています。
 そこで、県民の台所の不安の解消について伺います。食品衛生法の改正で、平成18年5月に、農薬の世界一厳しい規制のポジティブリスト制度が施行されて以降、保健所では、法律に基づき、卸売市場からサンプリングをして検査する体制が講じられていますが、市場からサンプリングしているということで、もし、市場側においての対応策などを行っているところがあれば、お知らせいただきたいと思います。
 また、中国製ギョーザ中毒事件を受けて、農林水産省では、全国の中央卸売市場に対して、原産地表示の確認の徹底を通知したと新聞報道を拝見いたしました。その詳細はどういったものなのかをお知らせいただきたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 まず、市場における残留農薬への対応についでございますが、食品衛生法の改正によりまして、農薬のポジティブリスト制度が施行された平成18年5月以降、盛岡市の中央卸売市場におきましては、市場関係者で自主的に検査チームを編成いたしまして、簡易分析手法を用いまして、市場流通する青果物について、抜き打ちで残留農薬検査を実施しているところでございます。自主検査の実績は、昨年度が7回、本年度は2月までに8回に及んでおりますが、その結果、検出された残留農薬はすべて基準値内の数値であったと伺ってございます。
 次に、市場における原産地表示の確認についてでございますけれども、農林水産省では、先月の2月13日付で、中央卸売市場を運営する全国の地方自治体や卸売業者の関係団体に対しまして、入荷した生鮮食品の原産地確認の方法について具体的な運用方針を通知しております。その主な内容につきましては、荷受け時の原産地表示の確認方法として、容器包装の原産地表示を確認することや、原産地情報が不明な場合やその信憑性に疑義がある場合には、出荷者に原産地を問い合わせるなどの確認を行いなさいなどとしてございまして、JAS法に基づく生鮮食品品質表示基準に定められた原産地の表示義務に違反した食品が卸売市場を経由して流通することのないようにと、その徹底を図ったものでございます。
〇高橋比奈子委員 中国のギョーザ事件は本当に不安をもたらしておりますけれども、県内でこういうことが行われているということは非常に安心でもありますが、この機会に、ぜひ、岩手県の農林水産業の推進をさらにお願いしたいということを要望しておき、次の質問に入らせていただきます。
 有機農業の推進について伺います。
 一昨年12月に有機農業の推進に関する法律が施行され、昨年4月には国から有機農業の推進に関する基本的な方針が示され、これらの国の動きを受け、有機農業推進のため、県では、この1月に、岩手県環境と共生する産地づくり基本計画を策定されたと伺っており、大変感謝するところです。
 一方、安全・安心な農作物を求める消費者の声を受けて、本県の生産者の中でも、特別栽培や有機栽培など、化学肥料や農薬の使用量を減らす努力が以前からなされていますが、特に有機栽培では、その努力の割に価格が低いとか労力負担が大きいなど、取り組みには非常に苦労されてきたと思います。環境に優しい農業を積極的に推進している県としては、生産者の皆さんが意欲を持って有機農業に取り組めるように積極的に有機農業を推進し、本県農業の振興を図ることが必要だと思います。
 そこで伺いますが、県における有機農業への取り組みの現状と、今後、この有機農業の推進にどのように取り組んでいかれるのかをお示し願いたいと思います。
〇宮下農業普及技術課総括課長 まず、有機農業の取り組みの現状でございますが、県では、県が委嘱した有機農産物等アドバイザーによる栽培管理指導、あるいは無農薬栽培技術、無化学肥料栽培技術の開発などに取り組んでいるところでございます。しかし、本県における有機農業は、麦・雑穀を中心に取り組まれているものの、栽培技術が十分に確立されていないために、生産が不安定であること、除草作業などに非常に労力がかかることなどから、取り組む農業者も少なく、近年は生産量も減少してきている状況にあります。
 こういうことを受けまして、県といたしましては、外部有識者等による委員会での検討を踏まえ、本年1月に、有機農業の推進に関する法律に基づく県の有機農業推進計画として位置づける岩手県環境と共生する産地づくり基本計画を策定し、有機農業を含めた環境保全型農業を積極的に推進することとしているところでございます。なお、県の有機農業推進計画としては、本県のこの計画は、青森県、鳥取県に次いで全国で3番目に新たに策定したものとなってございます。
 今後は、この基本計画に基づきまして、堆肥等の化学肥料代替技術など有機農業の体系化技術の開発、農業改良普及センターや農業研究センター等の連携による有機農業技術の指導体制の整備、農地・水・環境保全向上対策を活用した先進的な営農活動の支援、県のインターネット総合情報ポータルサイトいわて食財倶楽部などの活用による積極的な情報発信、さらには有機農業に関するシンポジウムの開催など、地産地消や食育などの取り組みと連携した消費者に対する有機農業の啓発活動の展開などに重点的に取り組み、夏季冷涼な気候、あるいは抱負な畜産有機物を活用した岩手らしい有機農業を推進してまいりたいと考えているところです。
〇高橋比奈子委員 私は一昨年の12月に、こういう法律が来るので、ぜひ先進的に取り組んでくれということで、全国3番目につくられたということには敬意を表しますが、一つ、基本計画を読ませていただいて感じたことなんですが、スイスは2007年におよそ85%が有機農業となっています。今、100%を目指していると伺っておりまして、今回の国の計画は、このスイスや日本の大規模な有機農業を調べて、農林水産省が、日本でも2013年をめどに、農業の50%が、環境に負荷を与えない有機農業になれるような施策を推進していくべきだと示してきたものだと私はお聞きしております。上位法を考えると、初めに有機ありきでいってほしい。岩手県のように環境保全型を進めても有機農業にはならないわけですから、ぜひ、有機ありきでいってほしいと思いますし、3月16日に有機農業推進連絡会が発足されまして、県の基本計画を説明されたと伺っております。どのような意見があり、現場で有機農業を行っている方の意見を今後どう生かしていくかをお知らせいただきたいと思います。
〇千葉康一郎委員長 簡潔にお願いします。
〇宮下農業普及技術課総括課長 まず、国の方針ですが、先ほど説明しました国の有機農業の基本的な方針では、この5年間に有機農業推進の体制整備をするということをうたっております。我々もそれを受けた形で、この5年間に県としての有機農業推進の体制づくりを予定していきたいと考えております。その中で、本県は、御承知のとおり、非常に環境保全型農業の先進県であることから、こういった特徴を生かして、有機農業を初めとした環境保全型農業全体の中で取り組んでいくことが、有機農業の推進にとって効果的ではないかと考えまして、基本計画と一体的に策定したということであります。
 それから、連絡会の発足のところで初めて説明したということで、かなりたくさんの御意見を伺ったと聞いております。その御意見の具体的なところは、ちょっと手元に資料がないものですからあれなんですけれども、有機農業を中心に取り組んでほしいという御意見もあったようですし、自分たちの意見を聞いてほしいという御意見もありました。有機農業については、有機農業を志向する人たちが自主的な活動をしてきたということで今まで進んできておりまして、こういう人たちの意見が十分反映されることが必要だと考えています。
 そこで、県といたしましては、有機農業者の意見を反映するために、この計画の策定に当たって、環境と共生する産地づくり推進委員会の委員として有機農業者の方に参加していただいていますし、県内4カ所で意見交換会を開きましたけれども、その場にもかなりの人数の有機農業者に入っていただきまして、この基本計画の中に反映させていただいたつもりでございます。
 さらに、有機農業者による集会への支援といいますか協力、先ほどの集会についても支援を求めましたので、応援に行きますし、有機農業についての現地調査も実施しております。今後とも、有機農業者の皆さんの協力を得て、本県の有機農業の推進に努めていきたいと考えております。
〇高橋比奈子委員 最後に要望を申し上げて、終わりたいと思うんですけれども、私のほうには農業、有機農業に対しての補助金の情報が少ないので、ぜひ発信してほしい。これは、優良事例を集めて、その情報を伝える義務が県にも課せられているべきでありますので、ぜひ、これと一緒にお願いしたい。
 それから、新規農業者が休耕田を聞いてもわからないと答えられたりしたケースもあるので、農業をやりたい方にぜひお力添えをお願いしたいということなどなど。1月17日に、農を変えたい!いわて大会の中の事例発表で、生命体に影響することは排除していかなければいけないということをおっしゃいながら、おれたち、さんざん失敗して有機農業をやってきた、だから、行政の人たちがやってくれるというのに、失敗させるわけにいかないから、おれたちも一緒になって、本当に情報提供して一緒にやっていきたいと熱意を込めた発表があったときに、大きな声援が起きました。ぜひぜひ、皆さん方には、未来の子供たちを考えて、苦労して苦労してやっていらした有機農業の方々と組んで、環境保全型農業が進んでいると胸を張っている岩手県が、有機農業ということをメーンにしていかなければ、おくれをとる可能性もあります。有機農業ということを頭に入れながらお進めいただきますよう、あわせて、その方々から、国は有機農業を特別な農業と位置づけるのではなく、これからの日本農業の中心と位置づけ、日本農業全体を、食の安全や環境の質を高める方向に転換してほしいという要望を受けております。よろしくお願いをして、時間ですので御所見はよろしいです。このようにお進めいただくことを心からお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
〇千葉康一郎委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時58分 休 憩
午後1時3分 再 開
〇飯澤匡副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇中平均委員 それでは、私からは3点質問させていただきます。
 まず1点目、農業経営改善促進資金貸付金についてお伺いします。
 まず最初に、これの利用実態という点と、そして、貸付金ということなので回収も当然入っていると思うんですが、この状況について、この2点お伺いいたします。
〇松岡団体指導課総括課長 農業経営改善促進資金、いわゆるスーパーS資金と呼ばれている資金でございます。認定農業者の種苗代、肥料代、それから家畜の購入費など、経営改善に必要な短期運転資金を融資しようとするもので、県は、農協等の金融機関が融資する貸付原資の一部を負担しているものでございます。
 最近3年間の利用実績でございますけれども、平成17年度は、農業者54戸、5億9、000万円、平成18年度が59戸、4億3、100万円、19年度は67戸、4億9、700万円ということで、ほぼ横ばいで推移してございますけれども、平成20年度の需要見込み額は約6億4、000万円となっておりまして、対前年比で114%の増が見込まれているところでございます。
 それから、貸付金回収の状況でございますけれども、この貸付金は、貸付原資といたしまして、岩手県農業信用基金協会に預託するための資金でございますので、毎年度、1年ごとに貸し付けておりまして、年度末には全額償還されているものでございます。
〇中平均委員 平成20年度が114%に増の予定とありますけれども、これは、どういうふうなことがあって、今まで横ばいだったものが1割増になる予定なのか、今わかっているんだと思うんですけれども、それをお知らせいただきたいと思います。
 あと、原資なので全部回収、当然、県としては回収になっているということですが、実際これ、農協等金融機関においてはどういう状況なんでしょうか。実態の貸している側は回収が100%できているものなのか、実態としてできていないものなのか、そこら辺の状況がわかりましたらお願いいたします。
〇松岡団体指導課総括課長 まず、平成20年度の資金需要がふえた要因でございますけれども、毎年度、年度開始前に需要見込み調査をとって、今回6億4、000万円ということでございますが、その際には、どういう事情で貸し付けるというところまではお聞きしてございませんので正確なことは言えないわけでございますが、その増加要因の一つとしましては、飼料価格を初めとします資材価格の高騰などもあって、そういう資金繰りもあるのではないかと推測するものでございます。
 それから、金融機関から農業者への貸し付けの関係でございますけれども、これは、農家ごとに借入残高の限度額というものを定めまして、その範囲内で繰り返し貸したり、戻したり、そういう形で、これは短期の運転資金でございますので、そういう運用をしてございますので、そういう仕組み上、延滞の発生というのは起きていない状況でございます。
〇中平均委員 まず、延滞の発生は起きていないという状況だともお聞きしました。ただ、今、午前中の質問等でもあった農協の大合併の話もございますし、これに限らず、農協というか、各種民間の金融機関経由で資金補給なり利子補給している県の事業というのは当然たくさんありますので、そこら辺の行き先といいますか、今後これは、よりきちんと検討というか見ていっていただきたい、そのように考えております。
 続きまして、販路拡大ということについて3点ほどお伺いします。
 まず、午前中の質疑でもありましたけれども、海外輸出関係についてお聞きしたいと思います。
 平成19年度、午前中にさまざまな質問が出た中で、トータルでの実績等の質問はなかったと思いますので、済みませんが、平成19年度の海外輸出のトータル実績と平成20年度の目標という点についてお願いいたします。
 あと、輸出促進協議会でやっているということでございますけれども、ここの実際の、どのような活動内容で行っているのか、まずはその2点をお願いいたします。
〇佐々木流通課総括課長 それでは、最初に、海外輸出の実績と平成20年の目標でございます。
 まず、農産物につきましては、平成19年度実績で8、000万円ということで、その主な品目は、リンドウが3、700万円、それからリンゴが3、500万円となってございます。次に、水産物ですが、水産物は平成18年実績でございますけれども、総額で21億円ということで、前の質問と重複しますが、ナマコが6億900万円、スケトウダラが3億6、000万円ということが主なものでございます。
 それから、平成20年度の目標については、現在22億円の実績があるものに加えまして、25億円を目標ということで、前年比119%の輸出を目標としてございます。
 それから、輸出促進協議会の活動内容につきましては、まさに海外の実需者との商談会、それから実際のバイヤー招聘、これは産地に招くということでございます。それから、海外小売店での試験販売、具体的には香港ジャスコでの試験販売を考えてございます。それから、海外政府関係者や流通業者等に対する県産食材の紹介、それから現地での商標取得、主に米の米袋とか、こういうものについて取り組んでいきたいということでございます。
〇中平均委員 平成19年度実績と、20年度は25億円を目標にしていると。先ほど三浦陽子委員の質問のときに、例えばマレーシアのイオンでは1、800万円の売り上げもあったというふうな、個別個別を足していっての金額だということですけれども、そこでちょっとお聞きしたいんですが、これ、実際かかった経費というのはどういうふうに見ていらっしゃるものなのでしょうか。この全体のものはとても出せないということであれば、例えば、先ほど出たマレーシアのイオンで1、800万円の総売り上げがありましたけれども、その際、さまざまな経費がかかっていると思うんです。その経費を抜いた純利益といいますか、そういう数値をもし押さえているのであれば、ちょっと教えていただきたいという点をお願いします。
〇佐々木流通課総括課長 経費というのは、恐らく県職員の人件費とかそういうものも含めてという意味かと思いますけれども、そういう意味での費用対効果という部分については、具体的にはとらえておりません。
〇中平均委員 私は、知事のトップセールスも当然やって、そういった意味での経費という、県の人たちが行った経費という意味ではなく、例えば、よく新聞で見れば、きょうの新聞にもどこかに載っていましたけれども、リンゴ1個が1、200円でも、高くても中国で買っていくとかという報道は見ますが、単純に計算すれば、岩手で買ったリンゴと、その値段を引けば、その分が輸送費なり何なりのコストがかかっているんだろうと思うんですが、そういった中で、全体売り上げが、例えばイオンで1、800万円あった中で、現地まで物を運ぶ経費とかそういったものも抜いた、実際に利益があって、生産者の方々がそれでどれくらい取れる額が今回あったのかという面で、例えで何かあればお聞きしたいんですが。
〇佐々木流通課総括課長 通常、現地での販売価格というのは、今回のマレーシアイオンの場合は、国内取引ということで、国内でイオン渡しで、あとはイオンのほうでマレーシアで売っていただくということで、国内と同じ形で、いずれ原材料プラス所得、利益というものを含めて国内渡しで輸出しておるのが現状ですし、あるいは干しナマコとかアワビとなりますと、これはまた、実際さまざまな消費者ルートでございまして、逆に言うと、各個別商店がなかなか明かさないということで、つかみ切れていないのが現状でございます。
〇中平均委員 まず、売り上げは伸ばしていただきたいと思います。当然ですけれども。その上で、やはりそこの経費という面も、実際かかっているコスト関係を見ていかないと、また伸びた額ほどには手取りがふえていないといった事態も出てくるかと思いますので、今後そこら辺の検証もお願いしたいと思います。
 販路拡大ということで、流通課の所管は、食のマーケティング事業から始まって、純情米、純情園芸・畜産物、農林水産ブランド、さまざまあるんですけれども、これ、各種事業があって、各予算もあってという中で、どういうふうに整合性を、当然とっているのはわかるんですが、予算もほとんど減っている中でどういうふうにやっているのかという点。
 あとは流通という、今出た干しアワビなりナマコなりという、結局、すごい高値で取引はされているんでしょうけれども、それが実態として、なかなか生産者の側に立った価格というより、どっちかといえば中間のバイヤーさんなり何なり見えないところで決められているというのもあるかと思うんですけれども、そこら辺の実態は、やはりきちんと直接に生産者に返ってくる体制をまた流通課のほうでやっていくべきではないかと思うんですが、その点を含めた流通課所管のマーケティング等の事業についての今後のやり方、考え方というのを教えていただきたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 農林水産物のマーケティングについては、一応三つに整理してございます。一つは、民間のノウハウの活用ということが1点でございます。これで販売活動を促進する。それから、販路開拓と安定的な販路の確保ということで、それから次に、海外進出ということで、マーケティングはこの三つを柱として取り組むこととしてございます。
 このような考え方のもとに、平成20年度の予算編成に当たりましては、民間ノウハウの活用については、食のプロフェッショナルチームということで、岩手ならではの商品づくり等の掘り起こしや商談会の提供ということで、主に首都圏の百貨店に口きき等していただいてございます。
 それから、販路開拓と安定的な販路確保につきましては、加工・業務用需要等への対応による契約取引の拡大、それから県外事務所、大阪、東京の事務所と連携したホテル、外食等への販売活動の展開、それから食材情報誌や食の総合ウエブサイトによる情報発信ということで努めてございます。
 それから、海外輸出につきましては、主に東アジアのこれまでの中国、台湾に加えて、東南アジア諸国を対象に、現在活用している輸出コーディネーターを拡充し、海外の市場調査を充実強化しながら、先ほど来お話ししています民間主体の輸出促進協議会の事業を通して、まさに民間の主体的な商談会の開催や試験輸出を促進してまいると。そこの協議会の中には、今度、漁協とか農協とか単体で入っていただきます。それから民間の商店も入ります。そういう中で、できる限り輸出物に対して生産者の声を反映させて、協議会事業として一体的に取り組んでいくということで、生産者の所得を確保していきたいと考えております。
〇中平均委員 流通課は大変だと思いますが、そういった面で、少しでも多く生産者に還元していくということをぜひお願いしたいと思います。
 最後になります。いわてグリーン・ツーリズムレベルアップ事業費についてお伺いしたいと思います。
 まずこれ、275万6、000円という予算計上になっていますけれども、これは負担金でほとんど235万円なくなる、負担金で使われているということですが、ここの事業内容と、このグリーン・ツーリズム推進協議会に負担金を出していますけれども、この協議会の事業内容といいますか、どのようなことをやっているか、この2点お伺いします。
〇徳山農業振興課総括課長 いわてグリーン・ツーリズムレベルアップ事業費についてでございますけれども、近年、体験型教育旅行の需要が非常にふえております。一方で、県北・沿岸地域におきましては、民泊とか民宿の取り組みが、受け入れ農林漁家がまだ少ないという状況にございます。このいわてグリーン・ツーリズムレベルアップ事業は、こうした県北・沿岸地域を重点といたしまして、民宿、民泊の取り組みに意欲を持っている農家あるいは集落に入りまして、個別相談等により、受け入れ農林漁家の拡大を図るというものでございます。
 また、この事業では、グリーンツーリズムを推進するための県と市町村あるいは農業団体との協議会、また、北東北3県の協議会の負担金も盛り込んでございますけれども、まず、岩手県グリーン・ツーリズム推進協議会の負担金につきましては、平成21年度に、実践者団体を中心とした民間推進主体に移行することを目指しまして、その中核となりますグリーン・ツーリズムサポートセンターに専任のコーディネーターを設置するなど、総合窓口機能を強化するものでございます。
 また、北東北グリーン・ツーリズム推進協議会の負担金につきましては、北東北3県の実践者が連携いたしまして、広域的な情報発信を図るとともに、受け入れメニューの向上に資する実践者の交流会あるいは研修会等を実施するものでございます。
〇中平均委員 グリーンツーリズムということで、体験型観光、本当に力を入れていかなければならないところでございます。その中で、負担金を出して残った金額、例えばこれは40万円ぐらいの金額で県北・沿岸の各意欲的な地域に入っていってコーディネートなり何なりのサポートをするという認識でよろしいんでしょうか。その点をまず教えてください。
〇徳山農業振興課総括課長 県北・沿岸に対する掘り起こし活動につきましては、ことしからやってございまして、沿岸・県北地域5地域でレベルアップのための研修会を開催いたしました。その結果、多くの方々が民泊あるいは民宿に今後取り組みたいという意欲が確認されましたので、そういう意欲的な方々を重点的に今年度の事業で支援すると考えているものでございます。
〇中平均委員 まず、これも当然やっていっていただきたいと考えておりますが、負担金、まだ岩手分はわかるんですけれども、北東北の分とか、本当にこれが成果として出てきているのか、今聞いていてちょっと疑問に思うところがあります。
 そういった中で、これからのグリーンツーリズムのあり方、また、ちょっと私、違和感があったのは、グリーンツーリズムと言えば、当然、予算措置的にはこの農林水産部ということになるんでしょうけれども、何となく、どういう形でか、観光部門とかそっちのほうの予算でもいいのではないかと思うところもあるんです。逆に言えば、そういったところでの、ここのグリーンツーリズムの民泊なりのレベルアップをしていくといった点と、そして、他部局との連携というのをどういうふうに今やられているのか、これを最後に聞いて、質問を終わります。
〇徳山農業振興課総括課長 他部門との連携という点でございますけれども、グリーン・ツーリズム推進協議会の中に観光部門の方々も入っておりますし、あと、実際の観光業者も参加していただいておりますので、こうした中で、できるだけ観光業にすぐに結びつくような取り組みを支援したいと思っております。
〇熊谷泉委員 私のほうからは、畜産を主体にしてちょっとお聞きいたします。
 昨年から飼料価格が大変上昇しておりますが、これによって、県内で一番影響を受けた畜種は何かをお知らせ願いたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 配合飼料価格の高騰によります畜産経営への影響についてでありますが、生乳の生産調整の実施なり、あるいは乳価が低迷している酪農経営と、それから素牛が高値で推移している肉用牛の肥育経営が著しい影響を受けているものと認識しております。
 なお、生産費に占める配合飼料費の割合が高い中小家畜につきましてもコストの上昇はあるわけでありますけれども、市場価格が堅調なことなどから、影響は比較的少ないものと考えております。
〇熊谷泉委員 ただいま、乳牛と肥育のほうということですが、これらについてどういうような対策がなされたのかお知らせ願いたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 県といたしましては、この飼料価格の高騰に対応するために、国の畜産経営安定対策なり、家畜飼料特別支援資金等の活用を促進するといったようなこと、それから、水田を活用した飼料作物の生産拡大や飼養管理技術の改善による生産性向上に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、先般決定されました畜産経営の収益補てん等を内容とする国の畜産・酪農支援緊急対策を積極的に活用するなど、本県の畜産経営の安定化に努めてまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 それらの支援対策で、大体、具体的に岩手県にどれぐらいのお金が来るような感じですか。そこまで調べているんですか。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 国の対策が先般出されたばかりでして、その具体的内容についてはまだ示されてございませんので、今後、具体的な内容が示された段階で、生産者のほうに周知徹底しながら、その要望等を取りまとめて、積極的な利用を図ってまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 それでは、そのことはまた後ほど伺うことにしまして、先ほど、牛のほうの飼料の対策では、今、自給飼料として、転作も含めてでありますが、イネのホールクロップサイレージというのがかなり普及していまして、その辺、県内ではどのくらい取り組まれているでしょうか。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 イネのホールクロップサイレージの生産につきましては、平成19年度の実績でありますけれども、125ヘクタールの取り組みとなってございます。年々増加傾向でございます。
〇熊谷泉委員 大体、技術的には確立されたのかと思っていますが、最初はデモ機みたいなものでそれぞれ生産者が対応していたと思うんですが、それらも大分老朽化して、今、新たな投資が必要になってきているのではないかと思います。多分、1式1、000万円ぐらいかかる機械だと記憶しています。その辺の県の対応が今ちょっと欲しいところですが、何かあればお聞かせ願いたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 ホールクロップサイレージ、生産調整のための機械でありますが、これについては、国の強い農業づくり交付金の対象になりますし、それから、耕畜連携の水田活用対策の事業がございます。そういったようなことで対応できます。
〇熊谷泉委員 それらについては、できるだけ農家にわかりやすく広報していただきたいと思います。
 次に、配合飼料の価格安定基金のことについてお伺いいたします。
 昨年、これによってどのくらいの補てんがなされたのか、おわかりであればお知らせ願いたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 これは、配合飼料の県内の流通量からの推計でございますけれども、現在の補てん金は、基金からの補てん金推計、約110億2、000万円と試算してございます。
〇熊谷泉委員 畜種にもよるんですが、去年は、1頭当たり1万円値上がりしたというのが一般的なんですが、1万円上がったとき、それでいわゆる何%補てんされたという、簡単に言えはどういうぐあいでしょうか。
〇飯澤匡副委員長 時間がかかりますか。後にしますか。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 申しわけございません。手元に資料がございませんので、後ほど回答させていただきます。
〇熊谷泉委員 それでは、去年は110億円の金が県内におりたということですが、この基金の原資といいますか、基金の財源その他で今後どういう動きになっていくか、お見通しを願いたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 配合飼料価格安定基金の見通しについてでございますが、国におきましては、平成19年度の対応としまして、財源不足が生じている通常補てん基金に対しまして、異常補てん基金から一時貸し付けを行ったところであります。
 また、平成20年度の予算におきましては、異常補てん基金の計画的な積み立てとして60億円を計上するとともに、通常補てん基金の財源確保のための借入金に対する異常補てん基金からの利子助成も措置されたところであります。
 そういったようなことで、配合飼料価格安定制度の安定的な運用が確保される見込みとなっております。
〇熊谷泉委員 簡単に言うと、大体去年並みに出るということでよろしいでしょうか。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 配合飼料価格の今後の見通しがなかなかつかないわけでありますけれども、いずれ国としては、こういったようなことで財源措置がとられたということでありますし、さらに、5月末を目途に、配合飼料価格が高どまりした場合の対策を含めまして、配合飼料価格安定制度の抜本的な見直しを進めるといったようなことを言っておりますので、県といたしましては、本県の畜産経営の現状を踏まえて、一層の制度の充実が図れるよう提案してまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 国の対応もありますので、この件については、それくらいにしておきます。
 次に、いわて和牛改良増殖対策事業についてですが、今、県外でも菊安舞鶴という県の保有牛の精液が大変評判になっていますが、欲しくてもなかなか手に入らないという声がありますが、これについて何か対策があればお願いしたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 県有種雄牛の菊安舞鶴の産子につきましては、肥育成績が良好なことから、肥育農家の需要が強く、平成18年度の子牛市場におきましては、県内の子牛市場平均価格より、去勢牛で3万6、000円、雌牛では5万1、000円高値で取引されております。しかしながら、本種雄牛につきましては、御案内のとおり、乳頭数不足の発生割合が高かったことから、本県和牛全体への影響に配慮しまして、精液の供給を制限しつつ遺伝様式解明の研究を行ってきたところであります。その結果、乳頭不足等との関連遺伝領域はほぼ特定されまして選別が可能となりましたことから、平成20年度からは、可能な限り生産者からの要望に沿うよう、今年度の2倍の精液の供給を計画したところであります。
〇熊谷泉委員 それでは、2倍ということですので、そういうことでお願いします。
 それで今、肥育農家にとっては、管理技術が大体同じようなレベルになってきているので、血統で大体売り値が決まるというような時代であります。そんなようなことで、菊安舞鶴以外にも、今、県でつくっている牛で今後期待できる牛が何頭ぐらいあるのか、お知らせ願いたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 菊安舞鶴との比較の話でありますけれども、本県におきましては、平北勝1など7頭が、菊安舞鶴の成績を上回る種雄牛として作出されてきております。今後、これらの産子が市場に出回ることによりまして、全国的な評価が一層高まることが期待されております。
 今後におきましては、これら優良な県有種雄牛の利用を促進することによりまして、農家の経営安定向上に努めてまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 それでは、そちらのほうの造成に力を入れていただきますようにお願いします。予算書を見ますと、去年より1、700万円ほど予算は少なくなっているようですが、よろしくお願いいたしたいと思います。
 先ほどの質問に関連しますが、畜産の点で一つ、岩手ブランドの水産物の輸出ということで、多分、岩手県の高級部位の肉をアメリカに輸出するという動きをしていると思いますが、県として何か補助しているものがあれば、お知らせ願いたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 牛肉の輸出につきましては、まさに高級のA5、A4については、なかなか国内でさばけないということで、今、アメリカと香港からかなり需要が来てございます。現在、岩畜では、輸出に当たっては牛用の専用レーンが必要なものですから、これまで羊とか馬を一緒にやっておったということで、1年がかりで施設整備を改築しなければならないということで国の交付金事業を、半分国庫を入れて整備事業を来年度1年かけて、そして再来年度の4月を目途に輸出できるようにということで事務手続を進めておるところでございます。
〇熊谷泉委員 国の事業ということのようですが、県としては、対策は全然考えておられないわけですか。
〇佐々木流通課総括課長 県としては、ソフト面で、食肉衛生検査場の検査体制とか、さまざまな輸出に係る人員増強等も必要になってまいります。そういう意味で、幅広く、農林水産分野だけではなく、全県を挙げて支援する仕組みをつくってまいりたいということで連携してございます。
〇熊谷泉委員 人的な支援ということで、ぜひそちらのほうもお願いいたしたいと思います。
 先ほど何人かの委員からバイオエネルギーについての質問がありましたが、ちょっとかぶらないところで、高前田部長からも、畜産の資源も一つのバイオエネルギーになるというお話がありました。過去にも幾つかのケースでメタンガス利用のプラントが導入されたわけですが、それらの事象を踏まえて、今後どのくらい岩手県に普及する可能性があるものか、その辺をお知らせ願いたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 畜産バイオマスエネルギーの利用につきましては、県内では、葛巻町、一戸町、雫石町でメタンガスの発電施設が稼働しておりまして、発生した電力は、施設内等で利用して、光熱費の節減が図られているところであります。
 また、メタン発酵処理後の消化液につきましては、農地還元しているほか、地域内の耕種農家と連携しまして、野菜生産等への肥料として利用されております。そうしたことから、地域資源循環型農業を推進する上でも有効と考えております。
 一方、課題としましては、施設の整備費が高いとか、プラントのシステムが複雑で、稼働に際して専従の技術者が必要となるといったようなこともありますので、今後につきましては、こういった先進的な取り組み事例を広く紹介するとともに、施設整備の採算性の検証とあわせまして、発生するエネルギーや消化液の地域内利用システムの検討を進めまして、地域資源循環モデルの構築を促進してまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 まだ実用化についてはちょっと時間がかかると思いますが、大体平均でどのくらいの価格のもので、畜種によってどのくらいの飼育数があれば間に合うような規模なのか、それをお知らせ願いたいと思います。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 先ほど申し上げました県内に入っているプラントにつきましては、それぞれ特徴がございまして、一概に、どれぐらいの規模でどれぐらいの処理とお示しすることがなかなか難しいわけでありますけれども、例えば、葛巻町に入っているプラントにつきましては、処理の規模は1日当たり14トンであります。これにつきましては、施設の建設費が2億2、000万円ほどかかっているといったようなことでありますし、それから、一戸町に入っているプラントでは、処理規模が1日当たり13.5トンであります。施設の建設費は約1億円ということで、かなり施設整備費が高いというようなことは言えると思います。
〇飯澤匡副委員長 熊谷泉委員に申し上げます。
 関連項目があと数項目あるようですので、できるだけまとめて質問するようにお願いいたします。
〇熊谷泉委員 はい。
 それでは、バイオエタノール原料米の低コスト化ということですが、それについて質問させていただきます。
 県独自のバイオエタノール原料米の品種をこれからつくるというのでしょうか、それから、それらの収量の目標と、低コスト化と言っていますが、どのくらいのコストに目標を設定しているのか、もし今おわかりであればお知らせ願いたいと思います。
〇徳山農業振興課総括課長 県独自の品種の作出についてでございますけれども、現在、10アール当たり収量が一般の主食用の約1.5倍に当たります約800キログラムレベルの収量ができる県オリジナル品種の開発のめどが立っているところでございます。
 また、収量目標といたしましては、平成22年度を目途にいたしまして、圃場レベルで安定して800キログラムを確保することを考えております。
 また、コスト低減の目標についてでございますけれども、大区画圃場におきまして直播栽培、また肥料や農薬代も最小限に抑えるなど、最大限の低コスト化を追求した技術といたしまして、平成25年を目途に、労賃を除いたコストを通常の約半分の10アール当たり3万4、000円まで低下させる、こういうものを目標としてとらえているところでございます。
〇熊谷泉委員 それは目標ですので、その当時のオイルの関係もありますので、平成22年度までとちょっと時間がかかるのかなと思います。
 最後に1点、部長にお伺いして終わりたいと思います。
 現在、耕作放棄地が増加しているわけです。先ほど言われました低コスト化とはちょっとかけ離れているのが耕作放棄地でありまして、コストが高くつくためになかなか作付されていないわけですが、バイオディーゼル用の菜種とかを植えるということで、何かこれから放棄地も使い方があると思うんですが、そこら辺の見解を部長からお聞きしたいと思います。
〇高前田農林水産部長 耕作放棄地への対応ということでございますが、バイオエタノール原料用の米の生産も、水田以外の利用が難しい圃場等の耕作放棄地対策となり得ると考えられますけれども、耕作放棄地となるような圃場というのは、一般に生産条件が悪いところだということで、生産コストも高くなるということで、なかなか難しい状況にはあるかと考えておりますが、そういった意味におきましては、先ほどの来年度から新規で実施する事業のメニューの一つにバイオディーゼル燃料ということで、地産地消モデルに取り組んでみたいということで考えております。そういった取り組みの中で、現在、県のほうで考えておりますのが菜種でございます。菜種について、実際に実証として取り組んでみたいということでございます。
 これは、県内で既に雫石町、それから大船渡地方で取り組んでいる事例が見られるところでございますし、東北農業研究センターにおきましては、長い間、菜種の品種開発の研究をやっているといったようなこともございまして、そういった意味でも、菜種というのは本県の気象にマッチする、そして栽培しやすいといったような特性もございますことから、こういった取り組みを考えているものでございます。
〇飯澤匡副委員長 では、先ほどの答弁。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 失礼しました。先ほどの配合飼料価格の基金からの補てんの割合でございますが、今、平成20年1月-3月期では、配合飼料価格はトン当たり5万8、100円であり、これに対してトン当たり7、800円の補てん費が出ておりまして、13%程度となっております。
〇高橋昌造委員 私からは2点について単刀直入にお聞きいたします。
 まず、第1点目につきましては、盛岡市卸売市場についてお伺いいたします。
 盛岡市はもちろんのこと、本県の台所を預かります盛岡市の卸売市場では、昨年2月に市場活性化ビジョンを策定され公表されたわけでございますが、そのビジョンの内容について県はどのように認識されているのか、また、今後、市場の活性化のために盛岡市と一体的に取り組まれるお考えがあるのか。また、来年4月1日からは、もう御存じのとおり、卸売市場の委託手数料の自由化が始まるわけです。その自由化に対して、県は今後どのように対応されるのか、あわせてお伺いいたします。
 そして、第2点目につきましては、岩手県ふるさと認証制度についてお伺いいたします。
 この制度の概要と認証実績についてお伺いいたします。
 また、ことし平泉が世界遺産に登録されるこの契機に、県内外はもちろん、国内外からも多くの観光客が本県においでになられる。まさにこの時期を、私は県産品の売り込みの千載一遇の好機ではないかと思うわけでございます。そこで、県産品、特にもふるさと食品の販路拡大に一生懸命取り組まれております事業者の皆様方に対して、県としてどのような支援を考えておるのかお伺いいたします。
〇佐々木流通課総括課長 まず、盛岡市中央卸売市場の市場活性化ビジョンについてでございますが、近年の流通形態の多様化による市場外流通の増加、それから青果物出荷団体の大型化、市場間競争の激化を背景に、年々取引高が減少していることなどが課題となってございます。
 そのため、本ビジョンでは、この課題を解決し、持続可能な市場運営に資するため、盛岡市中央卸売市場活性化ビジョン策定会議から開設者である盛岡市に提言されたものでありまして、市では、この提言を尊重した市場運営を行っているものでございます。
 本ビジョンでは、取引高の増加に向け、場内業者間のさらなる連携、それから経営基盤の強化、販売促進などを進めていくこととしてございます。具体的な取り組みとしては、場内業者等にありましては、県内の地方卸売市場との連携強化による集荷力の強化や、野菜ソムリエの養成などによる食育等への取り組みの充実などを実施するとともに、開設者─市でございますけれども─にあっては、場内業者の経営強化支援や市場機能の有効活用などを内容としておるところでございます。
 次に、委託手数料の自由化についてでございますが、現在、中央卸売市場の委託手数料は、国により全国一律に定められておりますが、平成16年の卸売市場法の改正にあわせましてこれが見直され、平成21年4月1日から委託手数料の弾力的な運用を開始することとなってございます。
 この手数料率の変更は、平成21年4月までの経過措置期間中に開設者である市が定めることとされておりますが、これにより市場間の集荷競争の激化や大都市と地方の卸売市場間の格差拡大等が予想されることから、県内の卸売業者の経営に及ぼす影響は極めて大きいと考えてございます。
 このため、県といたしましては、盛岡市中央卸売市場については、盛岡市中央卸売市場運営協議会に参画するとともに、地方卸売市場につきましては、岩手県地方青果市場協議会、それから岩手県生産地魚市場協議会を通じまして、全国各地の卸売市場の動向の情報提供、それから市場開設者への適切な助言指導に努め、委託手数料の自由化による競争の激化でも勝ち残れるための営業力と経営基盤の強化が図られるよう支援してまいりたいと考えてございます。
 次に、ふるさと食品認証制度についてでございます。
 ふるさと食品認証制度につきましては、国の事業を活用いたしまして、本県の豊かな農林水産物を用いた特色ある加工食品を県が認証することにより、消費者の信頼を高め、販売促進に結びつけるために、平成2年度に創設した制度でございます。認証の基準は、加工食品の主要原材料が県産100%であること、それから、県内の工場で生産されていること、品質がすぐれていることの三つでございまして、これまで本県では、リンゴジュース、めん類など29品目を対象として、延べ56商品を認証しているところでございますが、事業者から新しい品目の認証要望があることから、今後においても、対象認証品目の拡大を行い、ふるさと認証食品の増加に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、認証食品の販売拡大に取り組む事業者に対する支援でございますが、量販店のバイヤーOB等で構成される食のプロフェッショナルチームによる首都圏百貨店への口きき、それから商談会の開催による販路開拓への取り組みに対する支援、それから県の発行する食材情報誌やホームページを通じて、わかりやすい認証制度のPRや認証食品の紹介などの情報発信に努めてまいりたい。そして、安全・安心な県産農林水産物の高付加価値化に取り組む事業者を積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
〇喜多正敏委員 教育委員会のほうにもお伺いいたしたわけでありますけれども、文部科学省、総務省、農林水産省は、子ども農山漁村プロジェクトの開始を計画していると伺っております。これは、全国小学校2万3、000校、1学年120万人を目標として長期宿泊体験活動を推進するもので、平成20年度の取り組みは、農山漁村での1週間程度の宿泊体験活動をモデル的に実施し、実施の課題やノウハウの蓄積を行いながら情報提供を行い機運の醸成を図る計画であります。
 農林水産省は各都道府県に1学年100人規模で受け入れ可能なモデル地域、全国41地域を設け、受け入れ拠点施設の整備等を総合的に支援し、さらには全国500地域に拡大するとされております。
 県では、このプロジェクトをどう評価し、今後どのように取り組もうとしているか、グリーンツーリズムの拡大に関連してお伺いします。
 次に、2月に農林水産省がまとめました植物防疫統計によりますと、生鮮と冷凍物の総輸入量は2万7、000トンと1月に比べ3割減、中でも冷凍野菜は半減しているという状況にあります。
 こうした中において、食の安全にも非常に関心が高まっているわけでありますけれども、農産品を使用した加工食品において、食材として中国産品の使用割合が高く、中国に限らないわけでもありますけれども、特に県産品の素材を使えるものには主にどのようなものがあるかお伺いしたいと思います。
 こうしたことに県産品素材の生産や流通拡大など、県としてどのような対策を考えておられるか、また、中国等から農産品の輸入が滞っている中、価格の上昇も見られているわけであり、今こそ、県民や実需者に県産品の安全をPRし売り込むチャンスと思いますが、何か対策を考えられているかお伺いします。
 それから、もう一つ、通告にはなかったのでありますけれども、いよいよ競馬が始まるわけであります。コスト削減の中で厳しい運営が予測されているわけであります。まさにこうしたときにこそ、競馬関係者が一丸となって、もちろん努力はされていると思いますが、実際の現場で、例えば厩務員の方であるとか、あるいは装蹄師、競馬馬の輸送等、こういう現場で働いている方々に対しては、なかなか生活も苦しいという状況もあるわけであります。まさにこうした方々の協力を得なければならないということで、こうした方々の御意見や、あるいは御提言などについてどのように吸い上げておられるか、お伺いしたいと思います。
〇徳山農業振興課総括課長 子ども農山漁村交流プロジェクトの評価と受け入れ体制の整備についてでございますけれども、このプロジェクトは、グリーンツーリズムの振興を図るため、本県がこれまで進めてまいりました体験型教育旅行の受け入れ拡大と軌を一にするものでございます。農山漁村の活性化に大きな効果が期待されますとともに、児童生徒が食や農林水産業への理解を増進する観点からも、重要な取り組みであると考えております。このため、豊かな自然にはぐくまれました豊富な食材の生産現場が身近にあるという本県の特徴を最大限に生かしながら、積極的に取り組んでいるところでございます。
 その受け入れ体制の整備でございますけれども、来年度の受け入れモデル地域は、公募により4月に全国40地域が決定されることとなっておりますが、本県では2月末までにモデル地域の候補といたしまして、葛巻町、遠野市、田野畑村、それに久慈市の4市町村を推進校とのマッチングを行う全国コーディネート組織のデータベースに登録したところでございます。
 また、本プロジェクトの宿泊施設は、農林漁家の民泊や民宿となっており、この確保が課題となっております。このため県では、今年度、特に受け入れ農林漁家の少ない県北・沿岸地域で受入農林漁家掘り起こしキャラバンを実施したところであり、参加した約140名のうち4割の57名の方が、今後の民泊あるいは民宿の取り組みに意欲を示しているところでございます。
 今後は、このキャラバンのフォローアップを行いながら、受け入れ農林漁家の拡大を図りながら、市町村、教育委員会との連携のもとに、本プロジェクトの受け入れ体制の整備を進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木流通課総括課長 食の安全についてでございます。
 近年、食の外部化の進展により、とりわけ野菜については、加工・業務用需要の割合が5割を超えておりまして、その3割を輸入野菜が占めております。
 この輸入野菜のうち、中国産野菜は57%を占めており、特にシェアが大きい品目は、生鮮野菜ではネギ、ニンニク、キャベツなど、冷凍野菜ではホウレンソウ、ブロッコリーなどとなっております。こうした品目のうち、キャベツ、ホウレンソウ、ネギは、本県の主力品目であり、輸入野菜の代替が可能な品目であると考えてございます。
 このような中で、加工・業務用需要への対応を強化し、県産野菜の販路を拡大するため、まず、生産面では、ベテラン農家が指南役となりまして小規模農家等をきめ細やかに指導する体制づくり、県と農協等で組織する収益性向上チームによる高品質・多収技術の指導強化、新たに実施するいわて希望農業担い手応援事業を活用した機械・施設等の導入支援などに取り組むこととしてございます。
 また、流通面では、農業団体と連携し、外食・中食業者や加工業者などと産地とのマッチング支援による契約取引の拡大に取り組みますとともに、加工・業務用野菜の生産農家の組織化による実需者ニーズへのきめ細やかな対応などにより、加工・業務用野菜の販路拡大に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇千葉理事 競馬の関係でございますけれども、厩務員会あるいは装蹄師会等との意見交換という状況でございますが、厩務員会等につきましては、馬主会あるいは調騎会と一緒に運営協議会のメンバーになってございます。今年度5回ほど開催してございますし、それ以外にも、経営改善部会でございますとか、あるいはコスト調整部会、あるいはそれ以外のいろいろな意見交換の場を設けているところでございます。それから、4者協議会という場もございます。
 装蹄師さんにつきましては、人数等も少ないということもございますので、開催期間中を利用したりしまして、こちらからの情報提供でございますとか、あるいは装蹄師さんのほうのいろいろな御意見、そういった場合に日常的にお伺いしているという状況でございます。
〇喜多正敏委員 グリーンツーリズムということで包含されるわけでありますけれども、この大変な数の小学生の方々が農山漁村に訪ねてこられるということは、家庭でも非常に関心を持たれることですし、また食育の面でも非常に効果が大きいと思います。先ほども話がありましたけれども、観光関係者も加えながら、よきメニューと、それから受け入れ体制が何といっても大事なので、今回のプロジェクトばかりではなくて、一層交流人口の拡大にぜひ寄与していただけるようにお願い申し上げたいと思います。
 それから、実需者とのマッチングでありますけれども、何といっても価格が大きなコスト要因ということで、実際導入するとなればなかなか難しい面はあるわけであります。そうしたときに、消費者の意識も改革しながら、やはり安全・安心な食品の確保については、それだけのコストもかかるということの理解も深めながら、ぜひ、岩手ならではの食品ということで推進していっていただきたいと思います。
 これで終わりますけれども、実は私、前に、岩手の漬け物を首都圏の販売所へ売り込んだときがあるんですが、岩手の漬け物と、後ろをひっくり返したころが中国の材料だと表示があって、これでは売れませんというようなことで返されたことがありました。そうしたことで、岩手のものをこの際、大いに勧めていっていただきたいと思います。
 それから、競馬のほうは、確かに会議ではお話をされていると思います。そうした上で、理解を得られて計画が詰められていると思いますけれども、実際の作業をする現場の方々になかなか話がおりていない。話を聞いていただけていないというような感覚を持っている方もおられますので、やはりこれは、経営改善ということになれば、そうした方々にトップの方々が、代表の団体ということもあるわけでありますけれども、開設者のほうからもお話をして、十分モラル向上のために話をし、聞く会を設けて、一丸となって取り組んでいただきたいと思います。これは要望であります。
〇飯澤匡副委員長 答弁はよろしいですか。
〇喜多正敏委員 はい。
〇高橋元委員 予算編成に当たっての特徴的なことということで説明がありました、説明資料を拝見させていただいて、非常に希望があるのかな、そんな思いをして拝見したわけでありますが、私からは、その中身をさらにお伺いしたいと思っております。
 達増知事は、岩手の県民所得を260万円を目標に引き上げていくということを繰り返しおっしゃっているわけであります。私は、その中心となるものは、やはり第1次産業の所得の向上を図っていかなければならない、そういうことで、特にも農業関係、漁業関係につきましては、経営改善というか、そういったものを根本的に図っていかなければならないのではないか、そんな思いをいたしているところでございます。
 そういう中からお伺いするわけでありますが、説明資料が2冊ありますけれども、その中では、農林水産業をリードする経営体を育成するため、生産性の高いビジネスモデルの確立や普及を推進する、こうあるわけであります。
 農家は、個々それぞれの経営体でございますので、それぞれの経営がどのような状態になるのか、あるいは将来どうやったら利益を生んでいけるのか、そういったビジネスモデルの確立を常に考えていかなければならないわけでありますが、そういう面で農家の指針となるような生産性の高いビジネスモデルというものを示されるのかどうか、期待を持っておるわけでありますけれども、具体的にその内容をお知らせいただきたいと思います。
〇東大野農林水産企画室長 農林水産業のビジネスモデルの関係でございます。いわて希望創造プランにおきましては、生産性の高いビジネスモデルの確立と普及によって、他産業従事者と同等の所得を確保できる経営体の育成を目指すこととしておりますが、この目指す経営体の姿といたしまして、平成17年に策定いたしました農業、林業、漁業それぞれの担い手育成ビジョンがございます。これにおきまして、農業につきましては、例えば、県南の平地地域では水稲と小麦・大豆で20ヘクタール程度、県北の畑作地帯ではレタス4.5ヘクタール、促成アスパラガス1ヘクタール程度、中山間地域では繁殖牛10頭とピーマン10アール、シイタケ2万本程度、沿岸地域ではホウレンソウのパイプハウス40棟程度をビジネスモデルとして想定しております。
 御質問の中で、林業、水産という話もございましたので、それにつきまして申し上げます。林業につきましては、森林所有者のかわりに、地域を単位といたしまして森林経営を行います地域牽引型経営体を30経営体、今、育成しつつございますけれども、これらの経営体が、私有林全体の1割を経営する生産構造を想定しているものでございます。漁業では、漁協が策定いたしました地域営漁計画に基づきまして、意欲ある担い手への漁場集積といったようなことで、中核的な養殖経営体600戸を育成してまいりたいと考えてございます。
〇高橋元委員 今、具体的な数字あるいは経営体の姿というものをお話しいただきましたが、それは、こういう経営をやると収益になりますよということで、どういう形でその地域にこれが説明されて、集合される姿になっていくのか。集落営農ということで進めているわけでありますけれども、農家個々それぞれは、何かしら今までの思いがあります。─私も140アールほど農業をやっておりまして、半分は減反して、半分は水稲をつくっておりますけれども、私のような農家は私の近所にはたくさんあるわけであります。小さい農家は、この集落営農化に行けない理由もたくさんあるわけでありますが、その辺はこれから、あなたのところでは、このままの経営だとこのぐらいの負債を毎年抱えていくんだよというところもやっぱり明らかにしていかないと、集団化もどんどん進んでいかないような気が私はするんですよ。だから、農協あるいは農業団体、そういうところを通じてやっているのかもしれませんが、もう少しその辺を具体的なプランという形あるものに出して、それで、より理解していただくような進め方をしなければならないのではないかと。特にも高齢者は、細かな説明と言われても説明会になかなか顔を出さないとか、そういうところもあるわけです。年度末に白色申告とか青色申告になって、初めて、赤字だ、どうしようという状況になるわけであります。そういう意味で、営農指導の仕方がどうなるのかということが大事じゃないかと私は思っております。
 それから、新規就農総合対策事業では、就農希望者に対する就農相談をやるわけであります。これはやはり同じような経営─こういう希望だよと言っている人には、あなたは、これほどの体制をとっていかないと、農業では収益は上がらないというような、相談になっているのかどうか。せっかく意欲があって、例えば退職金とかを資金にして農業に参入したはいいが、2年、3年で大幅な赤字を抱えてやめざるを得ないという事態になっても、これは大変なことであります。その辺についてどういう形でこの事業を進めていくのか、あわせてお伺いしたいと思います。
〇高前田農林水産部長 私のほうからは集落営農の進め方、考え方についてお話をさせていただきまして、新規就農相談の関係は担当の総括課長のほうからお答えさせていただきます。
 集落営農についてでございますけれども、本県の場合、結いの精神に支えられた基幹となる担い手と小規模・兼業農家が共存し、ともに希望を持って取り組めるような岩手型の集落営農を目指すということを目標として掲げているところでございまして、この進め方でございますけれども、委員御指摘のとおり、やはり集落の中での話し合いというものが非常に重要だろうと考えております。本県の場合は、平成15年に、センサス集落の9割の集落において集落ビジョンというものを策定しておりまして、これが、時間の経過がございますし、最近の品目横断的経営安定対策の見直しでありますとか、米政策の見直しといったようなことで、政策の体系も変わってきているという状況も踏まえまして、まさに、今、集落ビジョンの見直しを進めているところでございます。こういったビジョンの見直しの過程おきまして、しっかりと集落の中で議論していただいて、集落の姿、役割分担ということをまずは議論していただいて、集落が進むべき方向、組織が進むべき方向、それから、集落の中でも、当然、個別の経営体で農業を営まれる方もいらっしゃるわけですから、そういう集落の形というものをしっかりと、今まさに議論していただいているところでございます。
〇宮下農業普及技術課総括課長 新規就農者に対する対応についてでございますけれども、新規就農者につきましては、我々としては、立ち上がりの支援、それから5年後には認定農業者になるようなサポートを考えて、現在指導に当たっているところであります。新規就農についての相談というのは非常に充実していたんですけれども、その後のフォローについて余り制度がなかったものですから、来年度より、新規就農者に対して、より積極的に支援できるような助成の制度とか、新たに3年以上経過した者に対しても継続して助成できるような仕組みといったものを計画して、先ほど、ビジネスモデルがあったわけですけれども、そういったところに至るような道筋をつけて指導していくということを、今考えているところです。
〇高橋元委員 いずれ、県民所得の向上のために、何とか農家の経営もアップするような形を期待します。私の近辺ですと、ほとんどが兼業農家ですので、定年になったら農業をやろうかという人も結構いるわけです。ただ、そういう中で、4ヘクタール未満の農家はなかなか収益は上がらない。自分の労務費ゼロで、ようやくそのコストに見合うぐらいの収益という状況になりますので、とても生活費全体の収入にはならないわけであります。ただ、本当に自分の経営がどうなのかというのを真剣に考えていないのかなと。例えばそれを、Aさん、Bさん、Cさんは現在この程度だと、これぐらいの赤字に毎年なるんだよということを図解でもしてもらえれば、もう少しはっとするのかなという思いもしますので、その辺の説明資料を少し研究して、充実していただきたいと思います。
 もう一点、農林水産物のブランド化についてであります。広い県土でありますので、一概に岩手ブランドといってもたくさんの品目があると私は思っておりますし、また、土壌の問題とか適地とか、さまざまな気候的な問題もありますので、つくる品目も違うと思うんですが、私は、できればそれぞれの地域に適性な農作物を地域集団的に作付して、それをブランド化していったほうがいいのではないかと。コスト面とか、あるいは販売上、そう思うわけでありますが、まず、本県の農林水産物の品目、特産物という項目でどれぐらいあるものかということをお知らせいただきたいと思います。それから、特産化を検討中の品目は何か。
 三つ目に、各品目においてブランド化をどのようにして図っていくのかということ。
 それから、国内において生野菜の需給がかなり逼迫しておりますので、この機会に、各地域ごとに産地化栽培を進めていくべきじゃないかという思いもしておりますが、その辺について検討されていることがありましたら、お知らせいただきたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 本県の農林水産物の特産品でございますが、これは自他ともに認める特産品となりますと、商標登録制度を活用して知的財産権の保護に努めているものということで、24商標取ってございます。内訳は、地域団体商標というものがございまして、これが、江刺りんごや真崎わかめなど4商標、通常の一般商標では、農産物で9商標、林産物で3商標、水産物で3商標、加工品で5商標となってございます。
 現在、特産化を検討している品目の例といたしましては、二子さといもが地域団体商標に申請中であるほか、重茂の焼きうにや種市の天然ほやなどの登録を検討してございます。それから、釜石市のワカメ・アカモクが、経済産業省の中小企業支援プログラムの補助事業を活用し、商品の開発に取り組んでございます。それから、キタムラサキウニを初め枝豆、原木シイタケ、天然ホヤなど9品目については、民間企業との連携により、情報発信を強化しながら特産化に取り組もうとしているところでございます。
 今後のブランド化の取り組みにつきましては、商標登録制度や中央省庁の補助事業を積極的に活用するとともに、民間ノウハウを活用したマーケティングの展開、産学官が連携した新商品開発の支援などを通じて、地域の農林水産物のブランド化を促進してまいりたいと考えてございます。
〇小原農産園芸課総括課長 地域ごとの野菜の産地化についてでございますけれども、本県では、既に、県内の各農協が策定主体となりまして、延べ68品目において、低コスト化あるいは高付加価値化、さらには契約取引の拡大を目的にいたしまして産地強化計画を策定してございます。これに基づきまして、平成17年から、その目標達成に向けた取り組みを推進しているところでございます。具体的には、県央部あるいは県南部のキュウリ、トマト等の果菜類、あるいは県北部のレタス、キャベツ、あるいは沿岸部のホウレンソウなどの品目について、それぞれの地域で産地力の強化に向けた取り組みが進められてございます。こうした取り組みをさらに加速するために、県ではこれまで、県と農協等で構成いたします収益性向上対策チームにおきまして、主要野菜の高品質あるいは多収技術の指導強化、ベテラン農家が指南役となって小規模農家を指導する体制づくり、さらには、県北・沿岸元気な農業確立特別対策事業によりまして、地域特性を生かした産地づくりなどに取り組んできているところでございます。今後は、こうしたことに加えまして、市町村や農協等との連携のもとに、新たに実施いたしますいわて希望農業担い手応援事業による機械・施設等の導入支援、県版GAPの導入や減農薬・減化学肥料栽培の普及による安全・安心な野菜の産地づくり、さらには有利販売と安定供給を実現する契約取引の拡大などに積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇高橋元委員 さまざまな取り組みをされておるようでございまして、安心しております。ぜひ、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 私がこういう形で質問しているのは、全体的に我が岩手ではどういう特産物があるのかとか、野菜についても、どういうところでどういうものがあるのかと、そういうまとめた資料をなかなか目にすることがないわけであります。ですから、県外に対する売り込み、PRということも含めて、ぜひ、そういう資料を一つ欲しいなと思っております。
 それから、野菜の関係もさまざまな取り組みをしておりますし、先ほどからいろいろ、原油の高騰等コストの関係も大変厳しいということであります。タマネギの話も先ほど出ました。やはり時代に即したものを、それぞれの地域で産地形成をしながら、今の時期こそ売り込みに絶好の機会だと思っておりますので、ぜひそのことをお願いして、私の質問を終わります。
〇喜多正敏委員 私も岩手ブランドということで先般質問したわけでありますけれども、各部で、これはうちの売るべきものだということでブランド化を進めているわけでありますけれども、やはり魅力あるものは食のブランドということで、これは非常にわかりやすい。そこで、我が部のほうからも、総務部あるいは地域振興部とともにブランドを全体で売り込むような形で、例えば食と器とか、そんな形で、ぜひ部局横断的に取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 まさにそのとおりで、商工労働部観光課、地域産業課等と連携しながら、食と器という形で、食に絡めて、観光、工芸品と一体となってブランド化に努めてまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員 私のほうからは、県産米の生産・販売対策について絞ってお伺いしてまいりたいと思います。
 まずもって、日本穀物検定協会による食味ランキングで、岩手県南産のひとめぼれはことしも特Aを受賞したそうであります。13回目ということでございまして、生産者を初めとして関係者の皆様に深い敬意を表するものであります。穀検のランキングでいいますと、本当に高い評価を受けているんですが、なかなかこれが価格に反映されないというのは、岩手県の販売の取り組みがどうだったんだろうというところを課題としてとらえている部分です。先週ですか、県においてはいわて純情米の戦略検討委員会を開いて、次年度については、プレミアムブランド米を確立するということを柱とした戦略が立てられたところでございますが、まずもって、プレミアムブランド米をどう定義しているのか、そして、スタンダード米というものとの違いはどうなのか、この辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 プレミアム米につきましては、厳しい産地間競争を勝ち抜くため、プライスリーダーとなるブランド米の育成を通じて産地全体の底上げを図ろうとするもので、このプレミアム米は、安全・安心、良食味等に徹底的にこだわり、具体的には、農薬使用回数は慣行の4分の1以下、国際基準に合致するJGAPでの生産・食感向上のため米粒の大きさを2ミリ以上にする、良食味を保証するため玄米たんぱく質の含有率を6.0%以下とすることなどを要件とする方向で検討してございます。
〇岩渕誠委員 これは、いずれも全国最高レベルの取り組みだと認識しております。これに本気で取り組むか、取り組まないか、成功するか、しないかというのは、岩手の米がこれから立ち行くのか、立ち行かないのかというところの大勝負だと私は認識しております。
 そこでお聞きいたしますが、プレミアムブランド米ですけれども、これは平成22年には4万トンを確保するという目標のようなんですが、これを確保するには、どういう形で確保していくのかということだと思います。例えば単協におろして、手を挙げたところにやらせるのか、それとも、これはたしかひとめぼれだったと思いますが、ひとめぼれをつくっている地域の中で、意欲ある生産者すべてに対して、その要件を満たした場合に、プレミアムブランド米としての取り扱いをするのかどうか。
 それから、ここが大事なんです。今までも特産の取り組みとか、いろいろしてきたわけですが、農家からすれば、慣行栽培に比べて、売る場合に、そんなに価格は変わらないじゃないか、こんなに苦労しているんだけれども、全然値段が上がらないよということでは、せっかくの戦略も水の泡ということになると思います。実際に、岩手県ではプレミアムブランド米については高価格設定にいくのだと思いますが、具体に、今の水準よりもどの程度のものを価格としてねらっているのかということ。
 あわせて、当然、プレミアム戦略を進めるためには、技術指導の体系というものが大変求められてくると思います。増田県政時代に、残念ながら、農業改良普及センターの再編が進みまして、現地に対する指導が大変脆弱になっているということが言われております。こうした中で、どういう形でお進めになるのか、お尋ねします。
〇小原農産園芸課総括課長 ただいま、プレミアムブランド米のお話があったわけでございますけれども、エリアについてはかなり厳しいものがあります。したがいまして、全体的には、県南ひとめぼれの地区を、まさにこうしたお米をつくっていく産地としてイメージしております。ですから、これから、具体的には、そういう県南のひとめぼれ地区の方々の農協なり市町村、あるいはそういった方々と現実的なお話し合いをしながら、こういった取り組みをしていかないかということをこちらから提案してまいりたいということでございます。
 それから、価格については、私はわかりませんが、例えばさっきの委員の御指摘のように、これぐらいの基準というのは、北海道も含めて、本州も含めて、そうざらにはなかなかないだろうと思っておりますので、私どもの気持ちとすれば、今のひとめぼれよりもさらに数ランク高い価格を獲得していきたい。具体的な単価については容赦願いたいと思います。
 それから、これを指導する部分においても、やっぱりそれぞれの地域で、特に普及センターの職員が中心になってやらなければいけないわけですが、御指摘のとおり、若干人数も減っておりますけれども、私どもからすれば、そういった中でも、プロの普及員にある程度お願いしながら、場合によっては農協の営農指導員ともタッグを組みながら、いずれ、こういったお米をつくる農家に対しまして、直接的な技術指導を徹底してまいりたいと考えています。
〇岩渕誠委員 プレミアムブランド米については、実は他県のほうでもこれに類するものを数県でやっておるということを承知しております。ただ、私は、これまでのプレミアムブランド米については余り成功していなかったと。その実態は、お隣の県などを見ますと、土づくりとか栽培履歴に重視が行って、肝心の味がどうなのというところが売りになっていなかったということなんです。やっぱり最終的に米を御飯として食べるのは消費者でありますから、消費者にとっては安全・安心とともにおいしくないと食べないということなんです。その部分で言いますと、確かに玄米のたんぱくという部分は一つの指標になるかと思いますが、ある程度食味感応試験というものをきちんとやって担保しないと、売り込みの場合に、数字だけ聞いて、よさそうだという話にはなかなかならぬのでありまして、その辺はきちんとやっていただきたいと思います。
 それから、全体からプレミアムなものづくりをする人たちということなんですが、細かな話ですが、産地とおっしゃっていましたけれども、実は東京の大手の卸、あるいは一般の小売店を回りますと、今、こういうことを言っているんですね。産地で買う時代ではないですよ、田んぼで買う時代ですよと言っているわけです。これはどういうことかというと、産地全体の中でもよしあしがあるんだと。本当にプレミアムというのは、その条件に合って、それなりの管理ができるところの田んぼでできたものをいいものとして買いましょうということなのだと思います。私が訪れました米屋さんは、確かに岩手県のひとめぼれも1キロ520円で売っておりました。1俵換算でいうと3万円以上ですから、それはそれで悪くないんですが、760円という単価で売っているところもあるんです。これは世に知られた魚沼の産地ではございませんで、会津であったり、そういった今までさほど注目されていなかったところにもあるわけです。それはやはり田んぼで買っているというそのこだわりを見ているわけなんです。実際、その話で言いますと、例えば、今、米屋さんなどは、プレミアムのターゲットになっていると思うんですが、売り方から言うと、今、米食味鑑定士協会なるものがあるようでありまして、ここで米の食味分析鑑定コンクールというものを毎年やっているんです。多分、ここで金賞を取ると相当な値段がついている。まさにここでの上位入賞者が……。
〇飯澤匡副委員長 岩渕委員、質問してください。
〇岩渕誠委員(続) 金賞米というのが高くなっているんですが、こういったところに対しての働きかけというのは、なかなか岩手県ではなかったわけです。卸に対しての働きかけだけで、もう少し消費者に近いところに働きかけをしていかないと、このプレミアム戦略というのは破綻すると思いますが、その辺の対策はどのようにお考えですか。
〇佐々木流通課総括課長 米卸の先の小売店に対する働きかけということで、確かに、これまでは全農を通じて一括集荷で大手米卸とのつき合いという点で終わっていたわけですが、今般、東京事務所のほうに、岩手県のセールスマンということで2名増員されるということで、できる限り、東京の首都圏での米卸の先の小売店のほうを回って歩いていただいて、まさに消費者の要望、あるいは苦情、そういうものをきめ細かに情報収集して、産地のほうにお伝えできる機能をぜひシステム化して確立してまいりたい。そのことによってきめ細かな、小売店でのまさにプレミアム米が普及するような形で、そういう人的資源を使って進めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 せっかく東京事務所に2人増員されるわけですから、個々の販売店の県独自のデータは恐らくないと思いますから、県産米の扱いのデータを県として持って、そこを歩いて、ぜひ、きちんとしたデータをとっていただきたいと思います。
 実は、そういう一般の小売店を回っていますと、ことしの米に関してこういう話がありました。やっぱり岩手県でも温暖化の影響が出ている米がありますねということをおっしゃる卸さんとか一般の米穀店があるわけなんですけれども、今年度産米について、温暖化の影響をどうとらえていらっしゃるか、あるいは新年度、温暖化対策についてどういう技術指導、あるいはその他で何かお考えのものがあるでしょうか。
〇工藤水田農業担当課長 高温による品質低下についてですが、本県では、ここ10年間に4年間ほど、稲の実が熟する時期に、8月から9月の間でございますが、高温で経過したということで、玄米にひびが入る胴割れ粒とか、あるいは白く濁る白未熟粒などが発生したところでございます。平成19年産につきましては、8月中旬から9月にかけて高温で経過しておりますけれども、2月末時点の米検査データによりますと、1等米比率は90%以上を確保してございます。おおむね平年並みの高率な数字でございまして、高温が原因とされる被害粒につきましては発生は少ない状況と見てございます。
 また、お話にございました米卸等からの苦情のようなお話があるということでございますけれども、県産米の品質が低下しているという苦情につきましては、全農のほうには直接的には届いていないと伺ってございます。ただ、概してですが、東北地方の米は例年よりも香りがちょっと弱いのではないかというようなお話は、あちこちからというか、一部聞いているところでございます。そういうこともございまして、県として、温暖化という視点での取り組みでございますけれども、農業研究センターにおきまして、品種開発の面では、良食味の水稲品種の開発の一環としまして、高温時でも登熟性の高い品種を交配親としまして、高温耐性を持った品種の開発に取り組んでおります。さらに、技術的な面でございますけれども、登熟期間が高温期に重ならないように田植えの時期を適正化するとか、あるいは地温を下げるためのかけ流しなどの水管理の徹底というふうな技術対策を徹底しまして、収量の安定あるいは品質向上に努めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 わかりました。ただ、1等米の部分で言いますと、1等米というのは整粒ぐあいを見るものでありまして、食味等のこれから岩手県がやろうとしているプレミアム戦略とは若干違うステージだと考えて、さっきお話がありましたけれども、大事な香りの低下とか、あるいは粘りとか固さの面でも、やはり高温によると思われるという指摘がございます。これはきっちり技術指導をやっていただかないと、せっかくの部分が頓挫しますので、そこらはしっかりとお願いしたい。さらに、温暖化に適応した品種改良、品種開発を進めているということでございますので、これもきちんとやっていただきたいと思います。
 最後にします。通告しておりませんが、平泉の文化遺産対策で、いろいろ観光客がふえるわけでありますけれども、この際に、県産の農産品、例えば米について販売PR戦略を、今、打つべきだと思うんですが、何か具体の考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 委員がおっしゃるとおり、まさに平泉を契機とした売りということで、これは米に限らず、すべてさまざまな対策を講じてございます。特に米につきましては、黄金にちなんで、雑穀のモチキビと米を混ぜ合わせた混合米を黄金米として、また米袋につきましては、米袋を工夫して売るということで、中尊寺の山田貫主様のほうから題字をいただき、米袋に使わせてくださいということで知事の了解もとりまして、ぜひ販売に使わせていただきたいと。早速、そういうことで、首都圏でも知名度の高い中尊寺、平泉を十分前向きに生かしながら、各米卸に宣伝して販売促進に努めてまいりたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 今、農業をめぐる情勢というのは、国内外、大変重大なものがあると私は思っております。
 それで、最初に、世界の食料事情と自給率の向上対策についてお聞きします。
 食料争奪戦と言われる世界の食料需給状況をどう把握しているでしょうか。先進国の自給率、輸出規制の状況はどうなっているでしょうか。
 二つ目、自給率が日本は39%に後退して、国民の食料を輸入に依存する農政というのは、今、深刻な破綻に直面していると私は思いますが、どう受けとめているでしょうか。
 三つ目、自給率を向上させるためにどういう政策が必要か。
 四つ目、岩手県の農業予算、価格補償費、公共土木事業費はどうなっているか、最初にここをお聞きします。
〇東大野農林水産企画室長 私のほうからは、輸入に依存する農政という御指摘、自給率を向上させるための政策ということで、この2点についてお答え申し上げます。あとの世界の食料需給の状況と予算関係のことにつきましては、担当課長から答弁させます。
 最初に、輸入に依存する農政ということの御指摘でございますが、食料自給率につきましては、国が平成17年3月に策定いたしました食料・農業・農村基本計画におきまして、10年後の平成27年度の食料自給率の目標を45%と設定したところでございます。このため、国では、この計画に基づきまして、消費面では、米の消費拡大や食育バランスガイドの普及・活用など、わかりやすく実践的な食育を進めるということ。それとあわせて、生産面では加工・業務用モデル産地の形成促進等による野菜の生産拡大など、食品産業と農業の連携強化等による、需要に即応した生産を推進するということといたしておるところでございます。
 こういった状況の中で、本県の食料自給率でございますけれども、平成17年度で103%と、全国で第5位となっておりますが、国際的な食料需給が将来的に不安定になってくることも見込まれておりますので、そういう中で、日本の食を守るための本県の役割はますます大きくなっているものと考えてございます。
 2点目の自給率を向上させるための政策についてでございますが、本県の食料自給率の向上を実現するためには、生産・消費両面にわたる総合的な取り組みが重要と考えてございます。今般策定いたしましたいわて希望創造プランに基づきまして、生産面では、需給に即した安全・安心で高品質な食料を安定的に供給できます産地づくり、また、飼料作物の生産拡大、消費面では、食育活動による米の消費拡大や、地産地消の促進によります県産農林水産物の利用拡大などに取り組みまして、本県の自給率の向上に努めてまいりたいと考えております。
〇古川農林水産企画室企画担当課長 続きまして、世界の食料需給の状況についてでございますけれども、最近の国際的な食料需給につきましては、まず、途上国の経済発展とか、バイオ燃料作物の需要拡大とか、地球規模の気候変動による農業生産への影響がございまして、これらの影響から多様な要因が顕在化し、複合的に影響しまして、一昨年来、急激に引き締まり傾向に転じているところでございます。
 また、平成15年の主要先進国のカロリーベースでの食料自給率でございますけれども、アメリカでは128%、フランスでは122%、ドイツでは84%、イギリスでは70%等と試算されているところでございます。
 需給と絡めまして、農産物の輸出規制の状況でございますけれども、ロシアとかアルゼンチン等におきましては、自国内の供給量の確保とか自国内価格の高騰を抑制するために、小麦とかトウモロコシ等につきまして輸出規制が行われていると承知してございます。
 4点目の平成20年度の農業関係予算でございますけれども、392億6、200万円余でございまして、価格補償関係は、このうち1億9、400万円余、農業関係予算に占める比率は0.5%となってございます。
 それから、農業関係の公共事業費のことでございますけれども、216億9、600万円余でございまして、同じく、その比率につきましては55%となってございます。
〇斉藤信委員 言われたように、世界の食料需給というのは大変急速に悪化している。例えば米の在庫なんかも、もう40日分ぐらいしかない。これは今まで最高なんです。日本の場合は農産物の輸入全体の10%を占めているんですよ。日本の穀物自給率は27%で、これは175カ国中124位で、あの北朝鮮の半分です。輸入されているからこの深刻さがわからない。しかし、今、いつまでも輸入できるという状況でなくなった。私は、ここを本当に深刻に受けとめて、今、農業を国の基幹産業に位置づける、農業、食料を守る政策に根本的に転換しなければだめだと。
 実は、私は、農業関係者とこの間ずっと対話をしてきまして、農協のかなりの役員は、政府は対策をとったけれども一時しのぎだ、選挙目当てだと率直に言っていましたよ。私は、今の程度の対策では農政の転換にならないというので、次に各論に入っていきたいと思います。
 一つ、米価暴落の影響と打開策についてですが、私の本会議の質問に対して、今度の米価暴落で33億円の減収と。しかし、今後、29億円が補てんされるということで、何とかなるだろうという答弁がありました。いつ、だれに、どのように、この29億円というのが補てんされるのか。
 二つ目、基幹的農業従事者の減少、その他、米づくりをやめた農家をどう把握しているか。耕作放棄地はどうなっているか。
 米価暴落の原因は何か。私は、米の消費量と生産量、決して米余りが原因でないと思っています。年間77万トン、ミニマムアクセス米が輸入されています。これが今、152万トン在庫になっているんです。これに1、200億円以上の金がかかっているんです。私は、ここに最悪の問題があるのではないかと。もう一つは、政府が古米を放出する、この二つが米価暴落の主要な原因ではないかと思っていますが、それをどういうふうに受けとめているでしょうか。
〇飯澤匡副委員長 答弁は簡潔にお願いします。
〇工藤水田農業担当課長 米価暴落の影響と打開策についてでございます。
 まず、米価下落に伴う減収補てんについてでありますが、その補てんは二つの対策で行われることとなっております。まず、品目横断的経営安定対策の加入者に対しましては、本年6月に約25億円が補てんされると試算しているところでありますし、また、品目横断的経営安定対策に加入できない小規模農家等に対しましては、本年3月中に約4億円が補てんされることになってございます。
 2点目の米づくりをやめた農家と耕作放棄地の件でございますが、直近の稲作農家の動向を把握できる調査データがございませんので、平成17年度の農林業センサスの数値で申し上げますと、稲作農家数は、この5年の間に、平成12年に比べまして約8、400戸減少し、面積で約3、500ヘクタール減少してございます。また、水田の耕作放棄地につきましては、この5年間で約250ヘクタールふえ、平成17年には約2、500ヘクタールとなっております。
 3点目の米価下落の原因についてでございますが、今回の全国的な米価の下落につきましては、米の消費減退に歯どめがかからないことに加えまして、米の需給調整が十分機能していないことなどから、大幅な生産過剰の状況になったことが要因であると考えております。平成19年産の主食用米の消費見込み量は、国が昨年11月に発表した需要見通しでは、ピーク時の65%に当たります833万トンとなっており、一方、生産量は854万トンとなっておりますことから、この結果、差し引き21万トンが過剰とされたところでございます。
 なお、輸入米は、国際ルールに基づき、国が管理・販売しているものでございますし、また、政府備蓄米の販売につきましては、国の回転備蓄方式に伴うもので、この役割を終えた米が放出されるのはやむを得ないものと考えておりますが、これらの販売につきましては、主食用米の市場価格の低下につながらないよう、昨年11月及び本年2月に、飼料用等主食以外への供給についてということで、国に提案したところでございます。今後とも、適切に配量が行われるよう国に申し入れてまいる考えでございます。
〇斉藤信委員 何か、農林水産省の説明を聞いているようで、やっぱり岩手の農家の立場に残念ながら立っていないなと。実は、米をつくり過ぎたから米価が暴落したわけじゃないんですよ。昨年の6月の段階で米の在庫量は261万トンでした。これは政府の発表です。問題は、端境期の10月末なんです。これは政府は発表していないけれども、22万トンの新米を先食いしているんですよ。足りなかったということです。これが3年連続しているんです。2005年、24万トン先食い、2006年、23万トン先食い、そして昨年の10月、22万トン先食い。足りなかったのです。そういう意味でいくと、去年、34万トンが備蓄に回ったでしょう。備蓄米をとりましたね。それだけでも34万トン足りなくなっているんですよ。いずれにしても、政府というのは、米をつくり過ぎたから生産調整だと言っているけれども、今までずっと生産調整をやって、米価が上がったことは一つもない。これはごまかしの宣伝です。実態にも合いません。3年間先食いしているんですから。
 そして、これは2分の1に縮小したポスターです。「米の作りすぎは、もったいない!。」、東北農政局がつくって、全国的に大問題になった。さすがに岩手県は、一回張ったけれども、やめて捨てたと。見識を発揮したんだと私は思うんです。本当にこんなのは許されないことです。米のつくり過ぎが原因で米価が下がっているんじゃないと、まず、このことだけちょっと確かめたいけれども、このことをわかっていますか。
〇工藤水田農業担当課長 先ほども申し上げましたけれども、米価暴落につきましては、例えば若者の世代におきましては朝食が欠食するとか、あるいは高齢世帯でも米の消費の減退がかなり出ておるということで、ピーク時の2分の1に米をとる量が減っているということ、あるいは需給調整がうまく機能しなくて過剰作付になったということ、そのほか、例えば、国で申していることで申しわけございませんけれども、消費者が低価格米を志向しているという動きもあり、そういう要因が米価暴落の要因だと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 だから政府の宣伝だというんですよ。このポスターははがしたけれども、考え方は変わってないですよ。あなた方は同じですよ。だから、今の対策は何かというと、生産調整を強制的にやろうと、まさに農業つぶしですよ。これから農業を頑張っていかなくちゃならないというときに、田んぼをもっとつぶせという話だからね。岩手県は、減反はずっと超過達成しているんですよ。そうでしょう。岩手県は超過達成をずっとしているんですよ。しかし、米価なんか一回も上がらなかった。厳密に計算できるんですよ。6月末の在庫量は発表されるんです。米の消費量は、平均すると1日2万3、000トンあるのです。計算してみなさい。10月末で足りなくなる。3年間足りなかったというのが実態です。だから、こういう農林水産省の、農家を悪者にするような宣伝にだまされてはだめだと。私は、農林水産部長にこれを聞いておきます。農林水産省の米つぶしの立場に岩手県が立ったら、食料供給基地なんかできませんよ。そして、対策が間違っているんです。生産調整を私は否定しません。しかし、生産調整をするんだったら、転作条件を整備させなきゃ進まない。麦にしても、大豆にしても、何にしてもですよ。そういう転作できる条件を何も整備しないで、ますます切り捨てて、減反だけして、整備された田んぼが4割使えないなんて、とんでもない話じゃないですか。私は、まず、ここの部分は大事なところだから、部長にお聞きします。
〇高前田農林水産部長 まず、米の生産調整の関係でございますけれども、米の需給調整につきましては、委員も御案内のとおり、以前の国による需要と供給の管理体制、食管制度ということから、いわゆる民間を含めた自由な取引による価格形成ということに移行されたことに伴いまして、まさに需要と供給で価格が決まってくるというシステムになっているわけでございます。そういったような中で、確かに、委員御指摘とおり、備蓄という制度もあるわけでございますけれども、その運用も含めて、現在、国のほうで需給の調整が行われているということでございます。
 それから、ポスターの件で再三御指摘をいただいておりますが、これにつきましては、私どものほうといたしましても、国の考え方、食料自給率向上の観点から、大豆、麦等の生産に有効に活用していくことを呼びかけるものということで作成されたことは理解はしておりますが、私どもといたしましては、生産調整が年々強化されまして、生産調整の限界感が強まっている中で、米の生産に対する農業者の思いにも十分に意を用いるべきだと考えておりまして、このことについては、農政事務所に対しても意見として申し上げているところでございます。
 それから、転作条件の整備ということでございますけれども、本県における米の生産調整の実績につきましては、平成19年産米で申し上げますと、水稲の作付面積は5万5、458ヘクタールで、水田面積に占める生産調整の実績、いわゆる転作率は約38%となっております。また、麦、大豆や園芸作物などの転作作物の生産性を高めていくためには、排水条件等圃場条件の整備が重要でございまして、今後とも、担い手の育成に資する水田の汎用化などの圃場条件の整備を促進してまいりたいと考えておるところでございます。
〇斉藤信委員 ことし、米価は大暴落でした。1万3、000円台になりました。恐らく、このまま推移したら来年も同じだと思います。そして、品目横断の補償価格というのは、下がれば下がるほど下がりますからね。ことしは、前が高かったから、まだ基準価格が一定のレベルなんです。しかし、1年、2年たったら、暴落した米価が基準になってきますから、何の補てんにもならない。今でさえ生産費を割っています。私は、そういう点でいくと、米価というのはきちっとして、再生産を保障する価格補償、そして、日本の農業というのは、日本学術会議は、多面的な機能として8兆2、000億円の役割を果たしていると。だったら、それにふさわしい所得補償が必要なのではないか。私たち日本共産党は、価格補償で1万7、000円、所得補償でさらに1、000円上積みして1万8、000円の米価を補償する。こうして本当に農家が安心して米づくりに取り組むようにすべきだと提案をしています。私は、こういうことがなかったから、米価の暴落を防げないんじゃないかと。
 もう一つ、転作の条件整備でいくと、やっぱり日本の水田の状況からいったら、畜産県、酪農県としては、飼料米、発酵飼料に本格的に岩手県は取り組む必要があると私は思います。これは、今、県内でどう取り組まれ、本当にこれを拡大する必要な課題は何なのか、このことを示していただきたい。
 そして、三つ目に、政府の品目横断的経営安定対策は見直されました。名称も変わりました。私は破綻したんだと思うんです。主な大事な項目、どのように見直されて変わったのか、そのことを示していただきたい。
〇小原農産園芸課総括課長 まず、飼料用米ですが、これは排水不良等の水田が有効に活用されまして、また、既存の稲作の機械施設が利用できる、それから、栄養価がトウモロコシとほぼ同等であるといったようなメリットがあります。したがいまして、県内においても、既に一関市や軽米町において、産地づくり交付金等を活用して、養豚業者と提携いたしましたえさ米の生産が行われておりまして、来年度からは、さらに加えて、八幡平市や花巻市などでも新たに取り組まれると聞いてございます。
 しかしながら、この飼料用米は主食用米に比べて取引価格が安い、あるいは安定的な供給先の確保といったような課題もございますので、今後は、多収品種や直播栽培など低コスト技術の普及、あるいは県内外の飼料メーカーに対する産地情報の発信等によりまして、えさ米の生産拡大に向けて努力してまいりたいと思っております。
〇平賀担い手対策担当課長 品目横断的経営安定対策の見直しについてでありますけれども、具体的な見直しの内容は、面積要件につきましては、地域水田農業ビジョンに担い手として位置づけられた認定農業者または集落営農組織については、経営面積にかかわらず市町村特認で加入ができること。それと、集落営農組織の5年以内の法人化については、組織の実態に応じ、最大5年間延長できること。また、収入減少影響緩和対策については、標準的収入と当該年の収入の差額が10%を超えて下落した場合、平成19年産につきましては、農家の拠出なしに国が補てんし、平成20年産からは、農家の選択によりまして、10%を超えて下落した場合にでも対応ができることなどとなっております。
〇斉藤信委員 飼料米については、価格が最大の問題だと思うんです。ですから、これはぜひ国にも要望して、今、配合飼料高騰で、これは本当にもう自給しないと、将来的にも成り立たないという状況になっていますので、そういう意味でも特別な対策が求められているし、私は、転作としては最も合理的なものではないのかと。
 品目横断的経営安定対策の見直しのポイントが示されました。品目横断的経営安定対策というのは、農家を選別して、一部の農家だけ支えるというやり方で、私はこれは完全に破綻したと思います。大幅にこれは中身が変わってきた。ただ、法人化も5年延長という話ですから、まだこれは捨てていない。この品目横断的経営安定対策は農家の実態に合っていなかったと。見直されたけれども、残念ながら、引き続きゆがんだ骨格はまだ残っていますから。
 岩手県が岩手型集落営農ということで、いわば兼業農家も、小規模農家も含めて地域農業を支えるという方向を出しました。私は、だから、岩手が目指していることと、選別した集落営農をどういうふうに県は統一してやるのか、選別でない方向を進めていくのか、ここをお聞きしたい。
〇平賀担い手対策担当課長 岩手型集落営農の確立を具体的にどう進めるかについてでありますけれども、本県独自の取り組みとして策定しました集落ビジョンの点検・見直しを通じまして、集落で目指す農業の目標であるとか、担い手の明確化を図った上で、担い手に対しましては、農地の面的利用の促進であるとか、圃場整備等による経営規模の拡大支援、さらには高度な生産技術の普及や、いわてアグリフロンティアスクールの開設等による経営能力の向上支援を行っていくこととしております。また、小規模・兼業農家に対しましては、いわて希望農業担い手応援事業等の活用によりまして、経営志向に応じて、園芸・畜産の導入でありますとか、農産加工等のアグリビジネスに必要な流通加工機器・施設の整備支援などを行うこととしており、これらの支援によって岩手型の集落営農の確立を進めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡副委員長 斉藤信委員、米の部分についてはまとめてお願いします。
〇斉藤信委員 では、米のところはここで終わります。
 岩手型集落営農で兼業農家や小規模の農家も岩手県としては支援するんだというメッセージを出しました。これは県内には伝わっていませんよ。集落営農組織の組織化を品目横断的経営安定対策でぎりぎりやりましたから。だから、そうではないんだと。品目横断的経営安定対策も見直された。そして、岩手型集落営農で、岩手県の農業、日本の農業というのは、地理的条件、さまざまな条件からいって、家族経営が基本なんです。私は、そこを基軸にした地域農業は、こういう方向にこそ本当の発展方向があると思うので、ちょっと米のところだけ、最後に部長、これは最近になって打ち出したので、そういうことをもっと農家にアピールすべきではないのか。いかがですか。
〇高前田農林水産部長 岩手型集落営農の考え方についてでございますけれども、国の集落営農の定義は、どちらかといいますと、経営体としての性格を強く打ち出しておりますが、私ども県のほうの考え方としては、委員御指摘のような家族経営といったものを基本としながら、将来、組織経営体が発展する取り組みも含めた地域ぐるみで行う営農活動ととらえておりまして、一言で申し上げますと、本県の伝統である結いの精神のもとに協働作業が実施されてきた歴史的な経過を踏まえた、より広い概念ということでとらえておりまして、特徴を申し上げますと、一つは、やはり本県の特徴でございますが、集落ビジョンというものがあるということ。それから、畜産の盛んな地域においては、耕地と畜産の連携ということが特徴になるかと思いますし、集落内の農地、労働力、機械・施設の利用調整を実施して、多様な志向を持った農家が共存発展できるような取り組みであるということでございます。
 そういった考え方でございまして、本県でもさまざまなこれにマッチするようなモデル的な集落営農が出てきております。こういうものの広報、普及といったこととあわせまして、現在、集落ビジョンの見直しをしておりますことから、そういった中で、こういった考え方をしっかりと集落の皆さんにお伝えしたいと考えております。
〇飯澤匡副委員長 斉藤信委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
 斉藤委員、御了承願います。
   午後3時5分 休 憩
午後3時24分 再 開
〇千葉康一郎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 あと、スムーズにやりたいと思います。畜産、酪農問題について簡潔に。
 現在、毎月10戸以上の酪農家が離農に追い込まれています。県内の酪農家の実態、経営状況をどう把握しているでしょうか。
 認定農家で地域のリーダー的酪農家、畜産農家が、負債を理由に離農に追い込まれ自殺したケースもありましたが、認定農家が切り捨てられるという事態を県はどういうふうに受けとめているでしょうか。このままでは生産の縮小、農家の減少で、食料供給基地岩手の土台、いわて希望創造プランの土台が崩壊してしまいかねないと私は危惧をするものです。
 プランでは、畜産で47億円の増、肉牛、乳牛では26億円の増と生産額を見ているんですね。私は、今その土台が崩れつつあるのではないか、このことについてお聞きします。
〇樋澤技術参事兼畜産課総括課長 畜産、酪農の件についてでございますけれども、本県の酪農家戸数は、直近の1年間で小規模経営を中心に86戸減少しておりますが、これは過去10年間の年平均の減少戸数とほぼ同水準となっております。
 また、酪農経営の状況につきましては、生乳の生産調整や平成15年以降の乳価低迷により販売額が減少する中で、最近の配合飼料価格の高騰などから生産費が上昇し、1戸当たり平均所得が約2割減少するなど、厳しい状況にあるものと認識しております。
 次に、畜産農家の負債を理由とする離農への対応についてでありますが、県といたしましては、飼料高騰等により畜産経営の収益性が悪化していることから、国の経営安定対策等を最大限に活用するとともに、関係機関・団体が一体となって飼養管理技術の向上対策を講じ、その経営安定に努めているところであります。
 また、経営不振農家の負債整理につきましては、農林漁業セーフティネット資金の活用を促進するとともに、債権者と債務者が十分話し合いを行い、双方の合意のもとに進めることが重要でありますことから、一方的で強行な債権回収が行われないよう、農協を指導してきたところであります。
 また、やむを得ず負債整理をする場合にあっては、農家の状況に応じ、経営困難農家の支援を目的に昨年11月に設立された、弁護士や中小企業診断士等の専門家から成る農業再生委員会の活用等により、畜産農家が経営を継続できるよう支援することとしているところであります。
 今後におきましては、負債農家を出さないため、畜産農家の経営実態を踏まえて、経営改善計画の作成など適切に助言・指導を行い、農協、市町村等関係機関・団体と一層連携を図りながら、本県畜産経営の安定に努めてまいりたいと考えております。
 次に、いわて希望創造プランで掲げた目標の実現についてでありますが、希望創造プランにおきましては、畜産の産出額を平成18年度から平成22年度の間に46億円増加させることとしているところであります。
 この内訳につきましては、豚が養豚団地の整備によりまして21億円、肉用牛が増頭運動等により9億円、酪農が個体乳量等の向上により16億円の増加としているところであります。
 これを実現するためには、何よりも本県畜産経営の安定化が重要でありますことから、畜産経営の収益補てん等を内容とする国の経営安定対策を最大限に活用するとともに、本県の豊富な自給飼料基盤の有効活用や飼養管理技術の高度化により、収益性が高く、体質の強い経営体の育成を図ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 今、私、答弁としてはまともな答弁だと思います。しかし、現実は、特に県北では、一方的な切り捨てが行われているんですよ。牛の処分、離農。例えば、この間の負債をきちんと返していても、購買未収金があるだけで、あなたはもうDランクですと。Dランクはもう再建不能なんですと。そして、その農家は、地域農業のリーダーである認定農家ですよ。後継者のいる農家も含まれています。
 私は、認定農家というのは、市町村が計画を出させて認定するんですから、もっと行政が関与して、地域農業にとって必要な農家は、やはり最大限支える、守る、こういうことを、今の答弁はそういう趣旨も含まれているからこれ以上聞きませんが、実情をよく見て、農業を継続したい、酪農を継続したいという農家を支援する、救済する対策を強めていただきたい。
 最後です、競馬の問題です。
 1月末までの発売額が227億円、平成19年度最終見込みは234億円と、これ試算されております。前年と比較すると43億円の減、84%ぐらいです。私は、この実績というのは、岩手競馬ルネッサンスプラン、とても成功したとは言えない、事実上、失敗したのではないか。ウルトラCのコスト削減で何とかつじつまを合わせたということになるのではないか。
 二つ目、盛岡競馬場の発売額が特に前年比77%、大幅に減少しています。この盛岡競馬場というのが、やはり競馬全体のネックになっているのではないか。
 三つ目、来年度の発売計画は、しかし239億円とわずかだが増額であります。今までずっと減らしてきて、来年また増額の計画なんですね。この計画に本当に根拠があるのか。これまで減少した理由、このことを示していただきたい。
〇千葉理事 私のほうから、最初の発売額の当初計画比、それから、今年度の実績の評価といいますか、ルネッサンスプラン等につきましてお答えさせていただきます。その余の部分につきましては、宮特命参事のほうからお答えさせていただきます。
 平成19年4月から平成20年1月14日までのいわゆる通常開催期間でございますけれども、自場発売額の当初計画比ということでございますが、当初計画274億円余りに対しまして発売実績が227億円と47億円ほど減少してございまして、82.7%という率になってございます。
 それから、岩手競馬でございますけれども、今年度、この新しい岩手県競馬組合改革計画、初年度でございましたが、これに基づきまして、5月には、委員御指摘の岩手競馬ルネッサンスプランを策定しまして、岩手競馬の変革とイメージアップ、こういったものを訴えようということで、それも含めてファンサービスの向上に努めたところでございます。
 それから、6月には、盛岡の大通に街中場外発売所を新たに開設してございまして、各種いろいろな事業に取り組みながら売り上げの向上策を図ったところでございますけれども、残念ながら発売実績は、8月に馬インフルエンザが発生したということもございまして、計画額を下回る厳しい状況が続いたところでございます。
 その中で、厩舎関係者、あるいは取引先等の競馬関係者から大変な御協力をいただきながら、年度途中3回にわたります約7億8、500万円ほどのコスト調整を行ったところでございます。
 また、一方、たくさんのお客様からの応援、あるいは北海道の社台スタリオンステーション、あるいは日高軽種馬農協といったような馬の生産者からの御支援、それから県内外からのさまざまな企業の御協力、あるいは全国の主催者からのさまざまな支援等もございまして、その結果、何とか今年度、収支均衡の達成が確実になったところでございます。
〇宮農林水産企画室特命参事 最初に、盛岡競馬場の発売額が減少した主な理由でございますけれども、発売額確保のために、1日当たりの発売額が多い水沢開催をふやしまして、盛岡開催を減らしたことによりまして、盛岡開催が平成18年度は59日でございましたが、19年度については48日ということで、11日間盛岡開催を減らしたことが1点目でございます。
 2点目といたしまして、平成19年度におきましては、クラスターカップを含みますお盆開催、あるいはゴールデンウイーク等の発売好調期間が盛岡競馬場から水沢競馬場に変更になったといったことが2点目でございます。
 さらに、3点目といたしまして、全国の交流競争でありますダービーグランプリが、平成19年度は馬インフルエンザの影響で、JRAあるいは他地区との馬の移動制限に伴いまして、岩手在籍馬による重賞競走に変更したこと、そういったことから、盛岡競馬場の発売額が減少したものでございます。
 それから、2点目といたしまして、これまでの発売額が減少した理由ということでございます。大きくは、地域の経済状況という部分が根底にあるだろうと考えてございますが、平成19年度に関して申し上げますと、開幕準備の不足、あるいは、先ほどもお話ししました馬インフルエンザの予期せぬ発生といったようなことが、売り上げが減少した大きな理由と考えてございます。
〇斉藤信委員 47億円も計画から後退したと、事実上、このプランはうまくいかなかったと言わざるを得ないですよ。それは、コスト削減で最後は3、900万円、これは最後、見込みですから、つじつまを合わせたというので、競馬関係者から言わせると、3、900万円なんていうのは黒字に入らないんだ、つじつま合わせだ、こういう指摘もあるところであります。
 それで、盛岡競馬場の減少というのは水沢に移行したんだと。結局、盛岡ではうまくいかないから水沢開催をふやして、ゴールデンウイークも、お盆も水沢にしたと。私は、やはりこの盛岡競馬場のあり方というのは本当に考えていかないと、これはもう本当に売り上げ後退の一つの大きな問題ではないかと思います。
 次に、日本ユニシスの調査はどうなっているでしょうか。3者が民間委託に応募したと言っていますが、日本ユニシスはその応募の中に入っているのでしょうか。
 民間委託の条件はどうなっているんでしょうか。民間委託の場合、ネックとなるのは、東北映像のテレトラック整備費、テレトラック整備に係るいわば借金返済なわけですけれども、これはどういうふうに民間委託の場合に考慮されるのでしょうか。
 プロジェクトチームによるこの間の検討課題、検討状況、特に1場体制の検討というのはどこまでなされているのか。今のままだったら、民間委託先行で、1場体制の検討というのは意味がないという感じになってしまいますけれども、この点はどうなっていますか。
〇宮農林水産企画室特命参事 最初に、日本ユニシスの調査についてでございますけれども、日本ユニシス株式会社産業機構研究所が、昨年9月から、岩手競馬再生のためのマネジメント調査あるいは財務会計調査及び業務・組織の調査の各調査を行ってまいりました。調査につきましては、12月で終了してございまして、日本ユニシスからは、調査結果といたしまして、岩手競馬の現状調査報告書の提出もございまして、調査についてはすべて終わっているところでございます。
 それから、2点目の民間委託の応募の件でございますけれども、企画提案書の提出につきましては、3月24日から3月31日までの間に受け付けることとしてございますが、応募した企業名につきましては公表しない取り扱いとしておりますので、御理解いただきたいと思います。
 3点目の民間委託の条件についてでございますけれども、今回の民間委託拡大の企画提案の募集につきましては、民間委託の拡大による事業運営の可能性について、より具体的に検討することを目的としていることから、できる限り前提条件を置かずに、斬新で自由な企画提案を募っているところでございます。
 したがいまして、県外テレトラックの取り扱いにつきましては、企画提案の内容に含まれるものでございますが、民間企業からの企画提案を受けて民間委託拡大を選択する場合には、受託予定者との契約条件の協議あるいは移行準備を進める中で、県外テレトラックの施設所有者の意向も踏まえながら具体的に協議をしていくこととなるものでございます。
〇東大野農林水産企画室長 プロジェクトチームの検討状況についてでございますけれども、現在、プロジェクトチームでは、さきに取りまとめた民間委託の拡大に加えまして、1場体制への移行などの検討課題について論点整理を進めているところでございます。
 1場体制への移行につきましては、移行する場合に、運営体制を再構築する際の課題、あるいは開催競馬場や利用厩舎でケース設定した場合の収支への影響などについて論点整理を進めている段階でございます。今後の整理も踏まえまして、構成団体間で検討していく考えでございます。
〇斉藤信委員 大事な答弁がありました。日本ユニシスから調査報告書が提出されたと。このポイントについて示していただきたい。どういう提言というか分析をされたのか。
 それと、日本ユニシスは無料で調査をしてきて、そこにかかわる企業が3者の中に入っているかどうか、これは大変大事な問題なんですね。入っていなければ入っていないと、ひとつ答えていただきたい。
 そして、民間委託の条件として、私は、東北映像のテレトラック問題というのは極めて重大なんだと思うんですね。まだ20億円余テレトラックの借金が残っているわけですよ。だから、この問題は説明されていると受けとめていいのか。そういう関係にあるよと、民間委託との問題で。しかし、そういうものの説明もしないでやられているのかどうか、そこですね。
 あと、プロジェクトチーム、1場体制、これはいつ、どこまで検討するのか。民間委託の場合、例えば民間委託を決めてしまった場合、私はもう、自力でこれを再建する道はなくなると思います。もう民間会社任せで。1回民間に任せたら、あとはもう自力再建はなしと思うんですよ。
 私も、ある意味でいけば、これは最悪の選択になるのではないか、そのことも聞いておきます。
〇宮農林水産企画室特命参事 最初に、日本ユニシスの報告書の概要についてでございますけれども、日本ユニシスの調査につきましては、岩手競馬を再生するために、継続的に利益を生み出す企業体質に改善する必要があるという観点からの調査ということでございます。
 調査結果のまとめのところで概要をお話しいたしますと、3点ございまして、1点は、岩手競馬再生ビジョンの設定と変革体質の整備が必要だということで、具体的な中長期的な戦略を掲げて、その戦略に基づく改革を推進する必要があるというのが1点目でございます。
 2点目といたしまして、組織の再編と業務効率化の推進ということで、競馬組合と競馬振興公社の二つの組織の存在、それから、業務の固定化、属人化、そういったことと、委託業務の管理の不徹底などの問題を解決するために、事業運営の改革の推進が必要だということが2点目です。
 3点目といたしまして、職員への動機づけと人材育成の強化ということで、職員のモチベーションの向上と組織力の強化が必要だといった調査結果のまとめをしてございます。
 最後に総括というところがありまして、岩手競馬再生に必要な三つの要素という部分がございまして、1点目は、中長期戦略の設定とそれに向けた具体的な戦略立案力の強化、それから、組織の再編や業務改善による業務の効率化の推進、3点目といたしまして、経営管理手法の導入と人材マネジメントの実践といった調査結果、提言になってございます。
 それから、3者の企画提案の申請がございまして、審査の結果、その3者とも応募の要件を備えているということでございますが、先ほど話しましたように、選定委員会で最優秀提案が選定された際には、最優秀提案の企業名につきましては公表いたしますが、それ以外については公表しない扱いとしてございます。今の時点で、どこの者が提案の申請をすることとしているかについては公表できかねますので、改めて御了解いただきたいと思います。
 それから、3点目の東北映像のテレトラックの関係でございますが、この件につきましては、すべて説明しているものでございます。
〇東大野農林水産企画室長 1場体制の検討状況でございますけれども、現在、プロジェクトチームで取りまとめを急いでいる段階でございまして、プロジェクトチームとしてのまとまりがついたとしても、構成団体の長が設置したものですので、そこに報告した上で吟味していただくというものがまだ残っております。我々、プロジェクトチームが検討しているのは、抜本改革の可能性ですので、検討したから必ずそういった体制に移行するというわけではございません。その点を御了承いただきたいと思います。
〇及川あつし委員 1点だけ、麦の支払い時期についてお伺いしたいと存じます。
 これは、制度としては従前の品目横断的経営安定対策、現在の水田経営所得安定対策ということであろうと承知しておりますが、去年から、麦をつくる農家の皆さんから私も大分苦情をいただき、これは大変なことになっているなと承知させていただいたところでございます。
 麦の農家の皆さんは、御案内のとおり、7月とか夏の時期に刈り取りをして、検査を受けるために事実上の出荷をしているということだと理解しておりますが、平成19年産の麦の交付支払い時期については、過去の生産実績に基づく支払い、いわゆる固定払いで、去年の12月にその生産に対しての一部の支払いがありました。しかし、毎年の生産量、品質に基づく支払い、いわゆる成績払いについては、ことしの3月の支払いとなっておりまして、去年の夏の刈り取り時期、事実上の出荷、それから交付金が支払われる時期まで非常に長い期間を要しておりまして、生産者にとって大変厳しい内容であったと承知いたしております。
 このことによって、一部の農協、JAの新いわてなどは仮払いの対応もしたと聞いておりますが、結局、平成19年産の小麦に関しては、農家の皆さんの中からは、次年の種も買えない、とんでもない制度だ、規模拡大で頑張れば頑張るほど、お金が入ってこない、非常に厳しい制度だ、こういう声が随分ございました。
 そのようなことが本県のみならず全国の生産者から、この支払い時期の改善に対しての多くの要望があったようでございます。それを受けて、農林水産省は制度をようやく見直すと聞いているところでございます。
 そこで伺いたいのは、県としても、このような実態をとらえていろいろ制度改善について取り組みをされてきたと理解しておりますが、県のこれまでの取り組みと、見直しがされることによって、支払いについて具体的にどのように改善されるのか、その点について伺いたいと存じます。
〇平賀担い手対策担当課長 水田経営所得安定対策における麦の直接支払交付金の支払い時期についてでありますけれども、今回の見直しによりまして、平成20年産の麦からは、固定払いの支払い時期を12月から7月に、また、成績払いについては翌年3月から当年11月に、それぞれ前倒しされて支払われるよう見直されたところであります。
 この見直しによりまして、平成18年まで交付されておりました麦作経営安定資金などと同等の時期に交付金が支払われることとなりまして、麦生産農家の資金繰りの改善に寄与するものと考えております。
 また、国に対する見直し要望についてでありますけれども、県では昨年11月に、県知事、県農協中央会会長等との連名で、収入減収補てん対策の支援内容の充実、交付金の早期支払い及び申請事務の簡素化について制度改善を提案してきたところでありまして、いずれの提案についても、今回の見直しの内容に反映されているところであります。
〇及川あつし委員 よくわかりました。きょうも審議に協力するため長くはしませんが、いずれ農家の皆さんは、御案内のとおり、所得が低下して非常に資金繰りに難をしているところでありますので、恐らくこの件については、どの時点で予見できたかわかりませんけれども、ぜひ、予見できる段階で予防的な措置も今後ともとっていただきたいと思います。最後に御所見を伺って、質問を終わります。
〇高前田農林水産部長 この水田経営所得安定対策についてでございますけれども、昨年11月にも本県農業の現状を踏まえて、国に対して、先ほど御答弁させていただいたような提案をさせていただいたところでございますが、今後とも、対象農家の現状というものをしっかりと見きわめまして、必要に応じてタイムリーに提案活動をやっていきたいと考えております。
〇千葉康一郎委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉康一郎委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 次に、第2部林業水産部関係について質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 予算書の漁業協同組合組織化対策費ということに関連してお伺いいたします。
 本県には現在27の漁協がございまして、これをまず11の漁協に取りまとめたい、合併させたい、しかる後、1県1漁協を目指したい、こういうラインで進んでいるようでありますけれども、実は、昨年12月8日、大変センセーショナルな新聞記事を目にしたところであります。山田湾漁協民事再生へ、負債27億円、不漁、販売不振響く。こういう記事でございました。この記事を見た水産業あるいは漁業関係者の中には、ついに漁協にも来るものが来たか、そういう大変暗いといいますか、脱力感といいますか、そういう感じを受けたものだと思っております。
 そういう中で、本県の県北・沿岸振興は水産漁業にあると思っておりますが、こういうこともなおかつ乗り越えていかなければならないという状況にあると思うんですが、県は、早速これを受けて対策室等を設置していろいろな協議をしてきたようでありますが、現在、この協議がどの辺までどのようになっているのか、まずお伺いしたいと思います。
 いろいろな記事の中には、ある漁民の声として、早く再生手続をしたほうがいいと考えていた。組合の負債の相当の部分を法的にカットしてもらえるなら、組合員の負担軽減にもなるという声もあったわけであります。そういった不安にこたえるためにも、これをいかに軟着陸させていくかということも大事なことだと思いますが、同時に、27の漁協の中には、非常に内容のいいところもあれば、同じようにと言っては失礼かもしれませんが、大変に資金繰りに窮しているところもある、そのようにも聞いております。そういう中で、この山田湾漁協に対しての軟着陸といいますか協議といいますか、その辺がどこまで進んでいるのか、まずお伺いいたします。
〇松岡団体指導課総括課長 山田湾漁協の件でございますけれども、昨年12月7日に民事再生手続の申請をいたしました。その後、裁判所と山田湾漁協でいろいろ協議しながらやってきたわけですが、2月22日に民事再生の開始手続の決定が裁判所から出されました。本格的に民事再生手続が始まったということで、現在は、債権者の特定と民事再生計画の案をつくっている最中でございます。
 そして、1カ月、2カ月かけて債権者を特定し、再生計画を立てて、債権者集会にかけて計画をつくっていく、そのような手順で今、予定どおり進んでいる状況でございます。
 この民事再生に伴いまして、漁業者の皆様とか取引業者の方が困っているとか、混乱が生じているという状況は今のところないと伺っているところでございます。
〇伊藤勢至委員 新聞報道によりますと、債権カット最大90%、こういうことであります。これは、1、000万円の売り掛けがあった人は100万円で我慢してくれ、100万円の売り掛けのある人は10万円で我慢してくれ、こういうことだと思うんです。これによって、漁民が心配なく水産業を続けられるということはいいことだと思うんですけれども、ある記事の中には、今後確定する債権者数も多くて30前後の見込みとなっています。多分、この30前後の債権者中には、例えば燃料を供給してきたスタンドであるとか、あるいは漁具、漁網を提供してきた業者であるとか、あるいは船の電気、通信等をやってきた業者であるとか、あるいは包装資材納入業者等、いろいろな方が入っているんだと思うんです。私が心配しますのは、こういうところに連鎖倒産が出てもらっては困るということであります。
 山田湾漁協の組合長さんも、1代でここまで悪化させたわけではなくて、いわゆる既往のしわ寄せや、さらにそこにノロウイルスによる販売不振等が重なったためのようであります。ですけれども、経営責任というのは、組織の長である以上、継続してあるものだと思います。農協、漁協の組合長は、多分、無限責任を負っているのではないかと思うんです。したがいまして、そういう観点から、この30者ぐらいの関連している小さな規模の業者たちにとっては、押しなべて90%のカットということは耐え切れないものだと思います。そういうところにも配慮し、県として指導をするべきではないかと思うんですが、いかがですか。
〇松岡団体指導課総括課長 債権者でございますけれども、大きく分けまして、銀行とかの金融債権者と、あと、委員がおっしゃったような業者の方々に分かれるかと思います。
 それで、新聞報道でも最大90%の債権放棄という記事も出てございます。正式には再生計画の中で明らかになるわけでございますが、金融債権と一般債権とをまず分ける、そして、通常の取引業者の皆様方に連鎖倒産などが起きないような配慮をまず十分にしていくんだというお話も伺っているところでございます。
 あと、金額で何万円以下については、例えば100%補償というような配慮をするというお話も聞いてございます。ただ、これは再生計画案の中で示されるものですので、絶対そうなるということではありませんが、そういうことを、いずれ漁協等も今、弁護士等々を通じながら検討しているところでございます。
 県も、民事再生対策連絡会議というものをつくってございます。そして、あと、地元の山田町でも同じような委員会をつくって情報収集とか、そういうことに、困っているような状況になっていないかどうかという情報収集等もやってございますので、町とも連絡を密にして、連鎖倒産とか、そういうことにならないような形で対応してまいりたいと考えてございます。
〇伊藤勢至委員 先般、田老町漁協と小本浜漁協、そして田野畑村漁協の3者の合併調印式がグリーンピア田老であったわけでありますが、これでいい意味で弾みがついて頑張ってくれればいいなと思ったところ、ある単協の総代会で大反対が起こりまして、これが壊れて、今、宙に浮いた状態にあると思っております。トップ同士では話ができて調印までこぎつけたんだけれども、総代会にかけたらば総反対が出て宙に浮いた状況、こういう状況なわけですが、その後何か進展があったんでしょうか、それともそのままの状況なんでしょうか、お伺いいたします。
〇松岡団体指導課総括課長 下閉伊北部地区の合併でございますけれども、合併総会を開きまして、三つの漁協のうち二つの組合が否決したという状況でございます。それで、否決した割合というか反対のほうが50%を超えていたということで、一応3分の2以上の賛成がなければできないということで、ちょっとこの数字、否決の割合の重みというものがございますので、なかなか組合の皆様に再度合併協議について十分説明できないで、今ちょっとそこら辺、何かそういう状況の変化がないかどうか静観している状況と伺っているところでございます。
〇伊藤勢至委員 漁協は、久慈の種市漁協から広田湾の広田湾漁協までの県内740キロの海岸線それぞれ特徴が違うわけです。黒潮であったり、親潮であったり、あるいは特産物そのものも違うわけでありますが、それと漁業の歴史というものもありまして、なかなか簡単にはいかないという思いがあるんだと思います。中には超優良漁協もありまして、先ほどどなたかが言いましたが、30年前から合成洗剤を追放する運動をやってきた漁協婦人部がいて、そういうところは年収平均2、500万円という売り上げを上げているわけでありまして、これは、やはり30年前からの国が進めるやり方以外に、自分たちの足元を見据えた計画を歴代の組合長さんが継承してやってきた結果だと思うんです。
 一方、国の政策にばかり乗っかって何とかなるだろうとやってきた結果が、こういう破綻につながってきたということを考えますと、歴代の経営責任者の先を見る目というものも大変問われるんだと思いますが、この無限責任ということについてはどのように考えておられますか。
〇松岡団体指導課総括課長 役員でいる限りにおきましては当然、理事なり監事としての責任というものがあるかと存じます。また、おやめになってからまでそれがずっと引きずるというのは、法的にはそういうことはないかと思います。ただ、道義的な部分での責任というものはあるのかもしれません。あとは、そのとき、そのときで、各役員の皆様方は最大限の努力をしていた部分もあるかと思います。それが周辺の情勢になかなかついていけなかった部分もあるかと思いますので、一概にすべてがすべて責任があるとか、そういう話ではないと考えているところでございます。
〇伊藤勢至委員 そもそも日本の海が狭くなってきた。30年前にさかのぼるわけでありますけれども、国連法の200海里という問題が出てきてから、それぞれの国が自分の海を主張するようになってきた。それまでは世界の七つの海を日本の船は乗り回すのによかったわけでありますが、それができなくなってきた。他国の海に入るにも、お金を出してから入っていかないといけなくなってきた。
 今度はその上で、TAC、いわゆる総量規制というものが出てまいりまして、イワシ、サバ、サンマ、アジ、ズワイ、スケトウ、スルメイカ、七つの魚種の総量規制が行われてきました。今までは無尽蔵にとりたいだけとってもよかったわけですけれども、それができなくなった。種の保存ということにもなるんでしょう。
 それで、今度はさらにHACCPという問題が出てまいりまして、大変厳しい衛生管理ということになってまいりました。今までの縄文時代からやってきた一網打尽、いた魚はみんなとるというものが全部壊れてしまって、今や前浜漁業しか行き場がなくなった。もちろんサケの定置とかトロールもあることはあるんですが、大方はそういうことをしなければならなくなってきたというのが、ここ30年来の歴史なわけであります。
 そういうところも、歴史もさかのぼった中で、三陸沿岸の海の特徴というものもとらえながら漁協との話し合いに臨んでいきませんと、27を11というのはなかなか難しい問題になると思いますし、それをさらに束ねて一つにというのは、さらにさらに遠くなるのではないかと思います。したがいまして、1県1漁協を目指す前の11の漁協にまとめるについても、各漁協と歴史ある展開、話をしていきながら、そこからの話が行きませんと進まない。あとはお互いの懐ぐあいというのもありますからなかなか言わないと思います。けれども、そういうところまで考えて指導していかなければいけないと思います。高前田部長の御所感をお伺いして、終わります。
〇高前田農林水産部長 漁協の合併の問題でございますが、ただいま、当面11の拠点漁協の合併という構想に向かって、各漁協でさまざまな検討が進められていると承知いたしております。そういった中で、下閉伊北部といったような動きも今あるわけでございますが、基本は、委員御指摘のとおり、まずはしっかりとした議論、話し合いということがベースにあるんだろうと思っております。
 やはり組合員の意見を十分反映しながら、そういった合併の議論をしっかりとしていただいて組合の方向性を決めていただく、その中におきましては、委員御指摘のような、漁業の特徴であるとか、歴史的な経過といったようなことも十分踏まえた議論をしっかりしていただく。そして、今後の厳しい漁業環境を乗り切っていくための強固な経営基盤をどうしていくかということをしっかりと議論していただくことが重要であると考えております。
 したがいまして、私どもとしても、そういった11拠点漁協の合併に向けた話し合いの場が今幾つか設定されておりますので、そういうところに参画させていただいて、しっかりとそういった議論に加わっていきたいと考えているところでございます。
〇平沼健委員 林業と水産業についてお尋ねいたします。
 午前中から、中国産の食材の事件というか、そういうようなこと、あるいは偽装問題等で、ワカメが7割ほど上がったというお話もたしか及川幸子委員からございました。そういうような中で、お尋ねしたいのは、林業から行くというと、生とか干しシイタケ、これもやはり競合するものだと思っているんですが、この辺が今、単価的に、値段的にどういう形になっているのか、あるいは先ほどの水産から行くと、ワカメというもの以外に、このように大きく値上がりしているものがあるのかないのか、それを一つお尋ねしたいと思っておりました。
 というのは、やはり食料自給率の問題もございましたし、あるいは農林水産で一番大変な担い手不足ということも根底にあるわけでございまして、だから、私たち需要家から見れば、値段が上がるというのは非常に困るわけですが、ただ、やはり担い手、これは年収の問題が大きいわけでして、今回のこのことが、多少なりとも実際の生産者の所得向上につながっているのかどうなのか、その辺を伺っておきたいと思っております。
 それから、もう一つは、続けてお願いします。林業のほうから二、三お尋ねいたします。
 今回、木質バイオマス資源活用促進事業費として200万円計上されております。今回、山土場残材を燃料化するということで予算化されておるわけです。本当にこの山土場が今、荒れていまして、こういうことで幾らかでも整備されるのは非常にすばらしいことだと思っております。
 そこで、初めから木材の燃料化というものについてお尋ねしたいと思っているんですが、私は、自然循環型社会ということから考えましても、木材を即燃料というのはいささか疑問があるんです。
 やはり、木材の場合には、チップにしようが何にしようが、燃やしたらそこでおしまいなんですね。ですから、山土場の残材といえどもいろいろなものがございます。やはり先に燃料ではなくて、原料というものを考えるべきだと。これは製紙原料でもありますし、あるいは繊維板といいましょうか、パーティクルボードとかいろいろなものがございます。そういうものに一回活用して、そしていろいろ利用されて、利用価値がなくなったら、最終的にはそれを粉砕して燃料にする、これが正しい循環型社会だと思っておるんですよ。ですから、その辺のことを踏まえて、ここの項で御回答いただければと思っております。
 それから、次に、県産材利用促進総合対策事業費143万9、000円がございます。県産材利用の普及、そしてまた県内住宅への県産材の利用ということがうたわれておりますけれども、これは、今までもいろいろなことを県が主導してやられてきておりますが、今までのこの実態を教えていただきたい。やはりこれは、出側というか生産する側、供給側を、幾らでもスムーズにしてあげるということがこういうものにつながっていくと思っておるんですが、その辺も踏まえながらお答えいただきたい。
 林業の最後で、国有林の整備について伺います。一昨年から国が、環境問題ということで、たしか765億円という予算をことしまでつけてやっているんですけれども、そういう意味から言うと、国有林整備というものはどんどん進んでいくと思います。
 ただ、問題なのは民有林なんですね。民有林整備について国とか県からのいろいろな助成がありますけれども、やはり幾らいろいろなメニューをつけ加えても、3割あるいは3割以上でしょうか、これは民有林を持っている林家の方が負担しなければいけない。これは、基本的には自分の資産ですから、自分が整備するのは当たり前なんですけれども、やはりそれがなかなか難しい。2割も3割も民有林の所有者が負担するということになっているものだから、なかなかこれが進まないというのが実態だと思っておるんです。その辺を踏まえて、この民有林の森林整備の現在の岩手県の進捗状況、そしてまた、今後の見通しというものをお示しいただきたいと思っております。
〇佐々木流通課総括課長 初めに、シイタケの市場価格についてでございますが、生シイタケにつきましては、中国産の輸入量は大幅に減少したものの、他のキノコ類への代替が進んだほか、本県産については、低温による品質低下が影響したため、本年1月の本県産の平均価格はキログラム当たり1、182円と、前年同月価格をやや下回っております。また、干しシイタケにつきましては、国内産の不作に加え、中国産の輸入量が減少したため市場に品薄感が広がっており、本年2月の本県産の平均価格はキロ当たり5、282円と前年同月価格を1、588円上回っております。
 次に、生産者の所得についてでございますが、生シイタケについては、市況が上昇していないことに加え、燃料代が売上額に対して約10%に上ることから、原油価格の高騰は経営に大きな影響を与えているものと見込まれます。
 一方、干しシイタケにつきましては、市況が上昇していることに加え、乾燥機等に使われる燃料代は売上額に対して約3.5%にすぎないことから、原油価格高騰の影響はそれほど大きくなく、生産者の所得向上につながっているものと見込まれております。
〇村山林業振興課総括課長 木質バイオマス資源活用促進事業費についてでありますが、燃料用チップにつきましては、現在のところ、独自の生産・供給体制が確立されていないといったことで、製紙用チップの一部を流用している状況にございます。
 今後、チップボイラー等の普及の拡大に伴いまして燃料用チップの需要の増加が見込まれますことから、その供給が製紙用チップの需給状況に左右されることがないよう、山土場残材等を活用した皮つきチップなど、新たな燃料チップの生産・供給体制を確立する必要があり、その実証事業に現在取り組んでいるところでございます。
 なお、木質繊維板、パーティクルボードの原料としての利用につきましては、現状では、買取価格等が安価であるといったことから、今後の検討課題ということだと認識しておるところでございます。
 次に、県産材利用促進総合対策事業費についてでありますけれども、毎年10月8日が木の日ということで、これを記念しまして、地域材をPRするウッドフェア、それから親子木工教室など、県産材の利用促進を図るためのイベントを開催しているところでございます。
 また、木造住宅の魅力に関する一層の県民理解の醸成と木材業界と建築業界との連携を深めるための先進事例としての勉強会の開催など、こういった内容を現在実施しているところでございます。
 次に、これまでの県産材の利用、普及実態に関することでありますけれども、県内の平成18年の製材用の素材の需要量につきましては、前年と横ばいの59万3、000立方メートルでありますけれども、県産材の自給率は5年前の58%から平成18年には61%と着実に伸びておりますことから、住宅用も含め県産材の利用は進んでいると考えてございます。
 こういった中で、岩手県森林組合連合会や、あるいは県内各地域で産地を明確化した顔の見える木材での家づくり、こういった取り組みが進められた結果、地産地消型の県産材利用住宅の建築が各地域で拡大しつつあるものと考えてございます。
 今後におきましても、県産材を利用した住宅建設をさらに促進するため、県産材利用住宅の建築促進勉強会あるいは商談会を開催するなど、木材業界と建築業界の連携のネットワークの形成、そして、県産材証明制度とJAS制度の連携による品質の確保への取り組みなど支援してまいりたいと考えてございます。
〇竹田森林整備課総括課長 私のほうから、民有林の整備の現状につきまして、お答え申し上げたいと思います。
 本県の民有林人工林は、およそ7割が間伐の対象となっておりまして、今、その間伐を進めるというのが森林整備の中心でございますけれども、その間伐につきましては、高度な技術や機械力などを必要とすることでありますとか森林所有者の高齢化等から、森林組合や林業事業体が所有者から作業を受託して行っているという現状にございます。
 しかしながら、所有者の方々は零細で、委員御指摘のとおり、近年の木材価格の低迷等もございまして経営意欲を失っております。そういう中には、負担がなかなか難しいということもあろうかと思います。そういう中で、所有者に対して積極的に施業提案を行わなければなかなか整備につながらないという現状にございまして、このような中で、森林組合あるいは意欲的な林業事業体の育成が課題となってきているところでございます。
 森林所有者に働きかけまして、こういった適切な森林整備を行っていく地域牽引型経営体を平成22年度までに県内に30経営体育成しまして、地域を単位とする森林経営を実現するとしているところでございます。
 今後におきましては、この牽引型を中心といたしまして、しっかり本県の森林整備を進めていきたいと考えているところでございます。
 それから、今申し上げました間伐のほうの進捗状況でございますけれども、県では、平成17年度から19年度の3カ年の間伐の推進計画を立てて計画的に推進しているところでございますけれども、計画量の5万4、600ヘクタールに対しまして、先ほどお話し申し上げましたようなさまざまな事情等もございまして、達成率がことしの見込みを含めまして65%にとどまるという状況となってございます。
〇平沼健委員 ありがとうございます。ただ一つ、この山土場の残材の燃料化ということでもうちょっとお話ししたいと思うんですが、確かに値段の問題でチップにして燃やすほうが高いというようなときもあるでしょう。ただ、私が申し上げているのは、循環型社会ということが、これがとらえられておるわけでして、やはり木材、木を燃やすのは本当の最後なんですよね。ですから、その前が、原料としていろいろなものにこれが使われているわけですので、その辺を私は先ほど申し上げました。
 一つの例が、ペレットもそうなんですね。あれも、バージンチップを利用して、そして熱源を使って乾かして固めるということなんですけれども、本来であれば、ペレットというのは、例えば木の皮とか、あるいは本当に建設解体材とか、もうこれ以上は原料としては使えない、そういうようになったものが初めてペレットの燃料として、原料として最終的に利用されるのが正しいと思っているんです。その辺を踏まえてちょっと申し上げたものですから、答弁は答弁で理解は申し上げます。
 そこで、漁業の問題です。先ほども農林水産物のブランド化ということで御答弁がございました。私もこれをとらえていまして、低利用・未利用の水産資源、そしてまた水産物の素材特性を生かした加工品開発や技術普及による高付加価値化へ取り組んできているが、これまでに成功したものはどのようなものがありますか。そして、今後期待されるものはどういうものがあるでしょうか。現在進行中の事業も含めて、あわせてお尋ねしますということでお話ししてあるはずでございますが、先ほど若干答弁がございました。それ以外に、もしありましたならば、お答えをいただきたい。
 次に、さけ、ます増殖費について伺います。これは平成20年が15億6、500万円、昨年が現計で21億2、200万円ということで減額になっておりますが、これは、増殖団体への稚魚の購入とか放流に要する経費の補助金なわけです。岩手県の財政事情が大変厳しいときに、これほどの額をとったことに対しては本当に敬意を表する一人でもございます。ただ、本県の水産業というものは、やっぱりサケに負うところが非常に大きいわけでして、しかも、サケの回帰率の問題とか、あるいは漁獲量のいろんな問題もございます。そういうような中でお尋ねしたいのは、稚魚のふ化放流の数というものがやっぱり減るのかなと。あるいは別な施設のほうで稚魚をふやして確保するんだというものなのか、あるいは業界団体でその不足分をふやして、従来以上のものを稚魚放流するんだということなのか、そこをお尋ねしたかったわけでございます。
 最後に、サケ、マスの増殖施設が大分老朽化しておるわけで、これの施設整備費として国からも相当な補助金が来ておるわけです。その辺で、今後の施設整備というものをどのように県として考えているのか、お尋ねいたします。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 初めに、いわてブランド水産加工品創造事業でどういった取り組みがなされているかということでございますが、今までに冷凍生ワカメの製造技術の開発とその商品化や、イクラの卵膜の硬化を抑制する技術の開発、秋サケの冷凍フィレを使った熟成加工品の開発などが成果として挙げられます。また、平成19年度からは、養殖用のえさとして利用されてきたイサダの食用化に向けたボイル冷凍、乾燥品の製造技術開発、加工原料づくりですけれども、それに取り組んでいるところであります。このほか、商工労働観光部所管の産学官連携研究プロジェクト事業において、サケやサバ、イワシ、サンマ等を利用した介護予防食品の開発にも取り組んでいるところであります。県では、今後とも、こうした研究成果を水産加工業者、漁協に普及し、前浜資源の付加価値向上につなげてまいりたいと考えているところでございます。
 続いて、サケの増殖についてのお尋ねでございますが、県内において既に民間主体のサケの放流体制ができておりまして、昭和59年から4億4、000万尾のサケの稚魚が安定的に生産されて、毎年放流されているところでございます。サケの増殖費については、県の予算が減少しているものの、サケを漁獲している定置網等の漁業者からの水揚げ協力金により、増殖経費の約75%を賄える状況になっていること、平成18年度から、国から民間への直接の補助事業が実施されていること等から、平成20年においても、今年度と同様のサケの稚魚の尾数につきまして、生産・放流が行われるものと考えているところでございます。県といたしましては、今、回帰率が下がっておりますので、これの向上を図るため、引き続き、県内のふ化場を指導して、水量などに関する飼育基準をもっと見直して、健康な稚魚を生産すること、適期に適サイズで放流することを指導しているところでございます。
 最後に、サケのふ化場の施設の老朽化についてでございます。県内のふ化場は、その半数以上が、整備してから25年以上が経過しておりまして、施設の老朽化が進んでいるわけでございます。老朽化した施設については、健康な稚魚の生産や生産効率が低下する、給水施設等の故障のリスクが大きくなる等の点から、問題があると認識しているところでございます。今後においては、国の強い水産業づくり交付金を活用して、緊急度の高いものから優先的に改修を進めていくこととし、施設改修を契機としたふ化場の再編整備について、関係団体と協議しながら計画的に進めてまいりたいと思っております。
〇木村幸弘委員 私からは大きく二つの点について質問をさせていただきたいと思います。手短に進めたいと思います。
 一つは、林業振興指導費の中に、しいたけ等特用林産振興対策事業費というものがあるわけです。午前中の農林水産部の説明の中で、部長からは、シイタケのことを中心にして御説明があったわけでありますけれども、具体的なその事業内容と、タイトルに記載されているとおりのしいたけ等ということで、等と言われる部分の特用林産物は、この振興対策事業費の中で何があるのかということについても、あわせて御説明いただきたいと思います。
 2点目は、森林病害虫等防除費の関係でありますが、松くい虫感染源クリーンアップ実証調査費ということで事業が載せられております。この具体的な事業内容を御説明いただきたいのと、あわせて、この間、松くい虫による被害が非常に拡大してきているわけでありますけれども、特に県の資料などを拝見いたしますと、平成10年で1万3、000立方メートルだったものが、平成13年で5万立方メートルと約3倍強という形で、一気に被害が拡大している。その後、平成15年をピークにして、平成18年で減少傾向をたどっているものの、依然として4万立方メートルに近い被害の状況が出ているわけですけれども、これらの被害が、この10年足らずの期間の中で大きく拡大してきた原因は何なのかということについても、あわせてお伺いしたいと思います。
〇村山林業振興課総括課長 しいたけ等特用林産振興対策事業費についてであります。本県のシイタケ生産は、大分県、宮崎県に次いで全国第3位となっておりますが、これをさらに促進するためには、新規参入者やすぐれた生産者の育成等が課題となっております。そのため、本事業におきましては、新規参入者を育成するための基本技術研修や、シイタケ等の生産基盤の整備を促進するため、散水施設とかあるいはほだ木の運搬車など、施設整備の助成を行うこととしております。また、シイタケ等の原木を安定供給するための原木調達に要する資金の貸し付けなどを実施することとしております。
 それから、委員からのお尋ねのしいたけ等の等につきましては、木炭がここに入ってございます。
〇藤川整備担当課長 松くい虫感染源クリーンアップ実証調査費の内容についてでございますが、赤枯れした松くい虫被害木の周辺には、健全に見えても既に被害に感染しているものなどがあり、被害地域をなかなか押し戻すことができないでいるところでございます。このため、赤枯れした被害木の駆除に加えまして、被害木周辺の衰弱木等をあらかじめ徹底除去することが有効な手段と考え、その手法を確立するため、被害木などを徹底除去する範囲や、除去した木をチップ材として利用するためのシステムについて検証を行うのが、この実証調査の内容でございます。平成19年度と平成20年度の2カ年間の調査事業でございまして、平成20年度は、被害先端地域の紫波町、大船渡市など4市町、計10カ所で実施することとしてございます。
 被害量が大きく増減している理由につきまして御質問がございましたが、これにつきましては、県におきまして、市町村と連携をとりまして一生懸命防除しているところでございますけれども、天候等の条件、つまり夏場に非常に暖かい日が続くと、翌年、爆発的に増加するということもございまして、1回ふえたものを減少させることはなかなか難しい状況になっております。また、平成15年に約5万4、000立方メートルということで、これまでで一番大きな被害を記録したわけでございますけれども、現在、その約4分の3に当たります3万9、800立方メートルということになっております。これにつきましては、市町村の予算が非常に少ない中で、一生懸命協力していただきまして、徹底した防除効果もあらわれたのか、また、天候等による影響があったのかと考えております。
〇木村幸弘委員 それでは、最初にシイタケ等の関係ですが、林業の特用林産物としてシイタケなどが主に取り上げられているわけですけれども、岩手の場合、山の幸といいますか、山の恵みということを考えたときに、マツタケなども実は岩手ブランドとしては大変評価が高いんじゃないかと思っているわけです。国内で言うと、産地からいえば、岩手のほかに山形県、長野県あるいは京都府、岡山県、広島県といったところが主な産地としていろいろ掲載されるわけであります。そうしたときに、確かに、大量生産、大量消費という形の中で、市場に乗せて、採算ベースを考えながら供給していくという商品も重要でありますけれども、同時に付加価値の高い特産品を、岩手を訪れて、岩手産のマツタケなり、あるいはそこにある旬の食材を食べてみたいというところで、一つ価値を高めていく戦略というものも、もう一方にあってもいいのではないかと思うわけですけれども、そうしたときに、マツタケが一体どれほど岩手の中で実際に供給され、あるいは生産というものが行われているのか、何かよくわからないというか、ちょっとベールに包まれているというか、そういった実態もあるような気がするものでから、そういったところを含めて、特産化に向けた何か考え方があるのかどうか、その点についてお伺いしたいということです。
 それから、松くい虫の関係で、いろいろと防除等にかかわった関係者からも若干お話を聞いたことがあるんですけれども、結局、天候とかいろいろとあるのでしょうが、被害木を調査して、その被害木を伐倒駆除するまでのタイミングを失している部分もあるのではないかと。いわゆるタイムラグがあって、一定の調査をして、ここが感染しているのではないかということで調査が行われた後に、今度は伐倒駆除するまでに間があったりして、結局、伐倒したときには既に別に感染を広げているということもやはりあるとも聞いております。そういった部分を含めて、それが体制としての問題なのか、あるいは予算も含めて、調査事業と伐倒駆除に直接当たる部分でのその辺の対応とか、システム的にもやっぱり工夫が必要なのか、そういった点についての課題等について、もし、今回のクリーンアップ実証調査事業とあわせて検討された内容があれば、改めてお聞きしたいと思います
〇村山林業振興課総括課長 マツタケの供給実態でございますが、平成18年度における本県のマツタケ生産量は約4トンでございます。全国の生産量の約6%を占めております。ただいま委員のお話のとおり、長野県、岡山県、広島県に次いで全国第4位の生産量となっております。
 供給の実態につきましては、生産した個人が、市場出荷や卸売業者等への直接販売、集荷業者との相対取引など、さまざまな流通経路で販売されているところでございます。
 特産品としての振興策についてでありますけれども、マツタケは本県の特用林産物の中で貴重な資源となっておりまして、県といたしましては、その生産振興を図るために、まず、県の林業技術センターにおきまして、特殊な繊維シートによる人工的なマツタケの発生技術の開発に現在取り組んでいるところでございます。また、アカマツ林の下刈りや地表のかき起こしなど、マツタケの発生環境を整備するため、例えば岩泉町とか久慈市での取り組みを、県は指導・支援しているところでございます。今後におきましても、こういった生産技術向上への取り組み等を通じまして、引き続き、マツタケの生産振興を図ってまいりたいと考えてございます。
〇藤川整備担当課長 松くい虫の被害駆除に関しまして、時期を失して被害量がふえているのではないかということについての御質問でございましたが、松くい虫対策につきましては、まず春駆除ということで6月まで、秋駆除ということで9月以降10月からということで、言うなれば、松くい虫が羽化して飛んで歩いている時期については、基本的には駆除事業を実施しないというふうに徹底しているつもりでございます。ただ、山のてっぺんの見落としといったものも中にはございまして、そういったものにつきましては、そこから松くい虫が羽化して飛び立って、またさらに被害を伝播するという形態もあるかと考えております。
 クリーンアップ実証調査等の関連でございますけれども、これにつきましては、今年度の9月に予算措置をしていただきまして、既に事業を実施しております。そういうことで、平成20年度におきましても、6月までには事業を終えるということで、いずれ、マツノマダラカミキリが飛び立つ前までには事業を完了させることにしてございます。
〇中平均委員 密漁対策についてお伺いします。
 最初に、平成19年度までの取り締まりの実績等をお示しいただきたいと考えております。
〇佐久間漁業調整担当課長 密漁対策についてでありますが、まず、取り締まりの実績については、検挙・警告件数では、平成17年度が13件、平成18年度が18件であるのに対しまして、平成19年度は11件と、ここ3年では少ない件数となっております。ただ、近年、密漁被疑船の出現数の増加から潜在的な密漁が多く、まだまだ予断を許さない状況であるかと考えております。
〇中平均委員 密漁対策ということでやっていただいているんですが、平成20年度は、新年度からどういうふうにまたやっていくのか。県が持っている2隻の取締船、また警察で持っている2隻と連動してやっていくと去年も伺っているんですけれども、ことしは、その連動を含めて、どういうふうに抑止力を出していくのかという点を、また改めてお聞きしたいんです。
〇佐久間漁業調整担当課長 平成20年度は、罰則の強化と取り締まり機関の連携に重点を置いて取り組むことにしております。
 まず、罰則強化につきましては、昨年6月に漁業法及び水産資源保護法が改正され、無許可の操業者に対する罰則が、これまで6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金から、3年以下の懲役または200万円以下の罰金に大幅に引き上げられたことから、県といたしましても、県の漁業調整規則を改正して、この4月から適用を予定しているところであります。
 また、取り締まり機関の連携につきましては、県の漁業取締船を初め県警の警備艇、海上保安部の巡視艇や漁協の監視船と密接な協力体制を構築いたしまして、関係機関との連絡会議などを通じた緊密な情報交換や合同訓練など─今年度も実態に即した合同訓練を2回ほどやっておりますけれども、そういったことを継続的に実施することとしております。
〇中平均委員 罰則強化については、県議会のほうでも国に要望書等を上げてきたことで、やっと今回、強化になったということでもありますので、あわせてその抑止力という面でもやっていっていただきたい。そしてまた、県北地域の分については、常駐の船舶がないものですから、今までも移動事務所というような形で、過去3年になりますか、やってきて、それなりの成果も出てきていると聞いています。平成20年度も引き続きこれもやっていくものと思っているんですが、その点の方向等はもう決まっているのであれば、お知らせいただきたいと思います。
〇佐久間漁業調整担当課長 今、委員がおっしゃったとおり、県北地域につきましては、平成17年度から久慈に臨時事務所を開設いたしまして、定期的に漁業取締船を配備してきたところでありまして、平成20年度につきましても、引き続き、この方向で考えておるところでございます。今後は、アワビの密漁の取り締まりはもとより、漁船・漁業の違反操業の取り締まりも強化してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 密漁対策はこれからもきちんとやっていかれることを期待しております。
 続きまして、地域営漁計画についてお伺いします。各漁協において計画しているということで聞いておりますけれども、計画どおりいっているのか、計画策定済みの漁協等はどれぐらいあるものなのか、まずはお知らせいただきたいと思います。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 地域営漁計画の策定の取り組み状況についてでございますが、平成18年度は、野田村など五つの漁協で策定済みで、平成19年度は、3月末までに策定される見込みのものを含めまして、普代村漁協など16漁協、合計で21漁協となりまして、県内27の全漁協のうち、養殖の盛んな漁協はすべて本年度中に計画策定をする見込みとなっております。
〇中平均委員 まず、その計画策定を受けて、既に進んでいる漁協もあると思うんですが、地域地域の漁協を見ると、やっぱり養殖の盛んなところでも漁場があいてきている、担い手がいない、また高齢化が進んできているという形を聞いておりますけれども、この空き漁場対策というものを具体的にどのように考えていらっしゃるのか、どういうふうに指導していく予定なのか、お伺いいたします。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 空き漁場の対策については、沖合いのワカメ養殖場に特に空き漁場が発生しておりまして、その解消に向けて地域営漁計画をつくっているわけですが、それに基づきまして、零細漁家の労働力を集約する協業化等のグループ生産を推進すること、意欲と能力のある担い手への漁場集積をしていく、そういうことに取り組むことが必要と考えております。このため、大規模な生産を可能とする機械化、システム化を促進するとともに、平成20年度から協業化のグループ生産体制の構築支援に取り組んでいくこととしております。
〇中平均委員 担い手へ集積等をかけてやっていくということでございます。ただ、漁業権等の問題もあって、新規の人は、当然、なかなか入れないという実態もあるやに聞いております。その中で、例えば水産科がある宮古水産高校に行って聞くと、専門校であっても、例えば卒業して、子弟の方でなければいけないという現実もある。そういう中で、空き漁場も出てきていることだし、高校を卒業して、漁業権がないにしても、入っていけるような方策を何とか考えていかなければならないんじゃないかという話も聞いたりするわけです。そういった面を含めての方策ということを、今後は考えていかなければならないのだろうと思うんですけれども、この点に関してがうまくいかないと、将来的な担い手の構想という部分にもつながっていかないのではないかと思うんですが、こういった点に関して、どのように今後もっていこうとしていますでしょうか、お伺いいたします。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 担い手対策をどういうふうにもっていくかということでございますが、養殖業への新規参入については、ただいま委員のおっしゃったとおり、なかなか難しい面があります。というのは、まず多額の初期投資がかかるということ、組合員資格等の問題もありまして、なかなか入っていけない。つまり、そういう漁業を継承するのが漁家の子弟に限られておりまして、漁家の子弟以外の人も新規参入できる仕組みがつくられていないという状況にあります。漁協の地域営漁計画の取り組みを今後支援していきまして、協業化のグループ生産を構築し、その中に漁家の子弟以外の新規就業者を加えることや、大規模生産を行う経営体を育成して、雇用による新規就業が可能となるような取り組みを進めて、漁業者以外についても、新規参入として何年かそこで働いて、実際に漁業に就業できるという、何というか、練習の場ではありませんけれども、そういった場をつくっていくことが必要と思っておりまして、来年度以降、その方向で取り組んでまいることとしております。
〇中平均委員 まず、第1次産業は大変高齢化が進んできている。これは農業、林業もそうですけれども、中でも水産業が、たしか、率でいえば高齢化率が一番高いというのも現実であります。そういった中で、これは早くしていかないと、本当に終わってしまって、どうにもならなくなってからということになっては大変だと考えています。そういった点の取り組みを今後さらに加速していく必要があるかと思いますので、その点をこれからも全力でやっていっていただきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 まず、水産についてお尋ねします。
 生産高は、平成4年の517億円をピークとして、平成17年は289億円、マイナス44%という現状だと思いますけれども、希望プランによると、平成22年にそれを340億円まで上げていきたいという目標値を設定しているようであります。これは平成4年から平成17年までの話ですけれども、ここ数年のこういった生産額の推移と特徴についてお尋ねしたいと思います。と同時に、経営体の現状と、先ほど中平委員からも話が出ましたけれども、平成20年度の主な育成事業について、これも高齢化が進んでいるし、古い資料で見ると、平成5年から平成15年までの間に経営体が31%減っているという情報です。この現状についても示していただければと思います。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 漁業生産の数年の推移でございますが、最近の沿岸漁業の生産額は、平成15年が187億円と最も少なくなっておりまして、その平成15年以降は、徐々にですが、回復している傾向にありまして、平成17年は289億円と、300億円弱になってきております。これは、生産量自体は低迷しているものの、国際的な水産物需要の拡大の中で、本県の水産の主要魚種であります秋サケ、アワビ、ワカメなどの価格が上昇傾向にあることが原因と思っております。
 それから、経営体の現状と平成20年の取り組みについてでございますが、本県の養殖業全体の生産額は全国で中位にありますけれども、1養殖経営体当たりにしますと、平均生産額は全国最下位という状況の451万円で、かなり零細だということで、数字はそうなっております。やはり担い手の育成によりまして生産額を向上させることが一番の課題ではないかと考えております。このため、平成20年度におきましては、漁業担い手育成推進費により、地域営漁計画の取り組み支援、漁業者リーダーの育成等を推進していくとともに、地域営漁計画推進特別対策事業によりまして、営漁計画で計画しております養殖施設の整備等を推進するほか、前浜資源活用連携促進事業により、生産規模拡大を可能とするワカメの陸上刈り取り機等の養殖作業の機械化・システム化等に努めてまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 量は減っているけれども、その単価が上がっているということで、いろんな市場等の理由で生産高が上がっている状況ということです。これは、平成18年、19年はまだ出ていないのでしょうけれども、同様の傾向と理解していいのでしょうか。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 統計は平成17年までしかまだ出ておりませんが、統計ではないんですが、県漁連の共販の実績とか、県で集計しています市場の全部の水揚げから推定しますと、平成17年より平成18年、19年のほうが数量、金額とも上回ってきておりますので、同様の傾向が続いているものと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 いい傾向だということで、さらにふえていけばいいと思っております。
 ちょっと気になることがあるんですけれども、予算の面で見ると、農林水産費全体が減っているのも事実で、これは、平成15年から見ると、平成20年度は、1、060億円に対して571億円ということで、54%という数字になっているようです。水産業で見ると、これは漁港整備等も入っている数字でしょうけれども、128億円が79億円になっていて62%、全体の農林水産費から見ると、まだ頑張っているということなのでしょう。その中で、いわゆるハードの事業を除いた水産振興といった数字で見ると、非常に懸念されるような数字が出ていると思っています。平成15年度で見ると10億5、000万円だったのが、平成20年になると2億9、900万円という数字になっていて、3分の1以下です。これは、これからの希望プランで目標数値に達するためにも、ちょっと懸念される部分かなと私は思って見ていて、心配して聞くんです。振興費が多ければいっぱいとれるといった単純な関係ではないと思うんですけれども、全体から見ると、県北・沿岸振興という視点から見ると、県北・沿岸にしか海はないので、むしろ逆行しているのかなという気がするんです。これはどこに聞いたらいいんでしょうね。総務部なのかわかりませんが、こういった傾向について、目標達成に懸念はないでしょうか。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 確かに水産は、農林水産全体から見て、少し優遇されている数字とはなっております。ただ、全体的にやはり限られた予算の中で施策を打っていかなければならないので、重点化ということで進めていかないと、なかなかうまくいかないということで、額は減っていますけれども、サケなりアワビなりワカメなり、そういった岩手の主力の部分には一生懸命取り組んでいるつもりでございますし、今後とも頑張っていくしかないと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 頑張っていくしかないですね。ただ、確かに、全体的な減り方からすると、先ほど来議論になっていますサケの稚魚の買い上げの部分とか、アワビの放流については、かなり頑張って予算化している、それはそう思っております。全体から見ると、額は減っておりますけど。ただ、振興費の減り方というのは異常じゃないかと思って実は見ているんです。対平成15年度で見ると28%なんですね。それから見ると、どんなに頑張っても、これから先、4年後に影響が出ないのかなという気がして見ていますけれども、こういったことというのはどうですか、部長、全体から見て。
〇高前田農林水産部長 水産振興関係の予算についてのお尋ねでございますけれども、御指摘のとおり、予算額の減額については、やはり相当大きなものがあると考えておりますが、ただ、先ほどのサケの増殖費のところでも御説明申し上げましたように、民間のほうで体制整備ができてきて、自主的なそういう事業ができるような体制になっているものから、そういう予算といったような経営資源を逆にナマコの増殖の研究開発に充てるとか、そういったようなやりくりをやらせていただいているということが一つと、もう一つは、予算額の面ではないんですが、私ども農林水産部には職員がおりまして、こういった職員のマンパワーを活用した取り組みであるとか、民間との協働といったようなことで、例えば漁協と加工業者との契約取引の促進であるとか、最近、インターネットを使った情報発信ということで、魚ログが大分注目されておりますけれども、そういったNPOと連携した情報発信の取り組みも始まっておりまして、私どもとしては、そうした関係団体とか企業、さらには地域住民の方々との連携を強化して、地域の総力を挙げて沿岸の漁業振興に努めていきたいと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 十分ではないけれども、それぞれ関係する団体等を含めて連携しながら頑張っていきたいということで、ぜひ頑張っていただきたいと思うし、これについては、県全体として農林水産業をどう位置づけるかという部分もあるかと思います。我々も、そういった面で、予算当局に一生懸命訴えていくしかないと思っています。県北・沿岸振興のかなめでもありますので、そう思っています。
 次に、林業のほうですけれども、ヤマブドウの生産は、実際には育てる面もあるので、農業のほうかなと思ったりもしたんですけれども、特用林産物という位置づけなのでしょうね。ヤマブドウの生産の状況と加工、消費の現状についてお尋ねしたいと思います。
〇村山林業振興課総括課長 ヤマブドウの生産状況についてでありますが、県の林業技術センターで開発しましたオリジナル品種の涼実紫というヤマブドウの品種がございますが、この苗木配布を通じましてヤマブドウの生産振興を図ってきた結果、平成18年次における本県のヤマブドウの生産量は299トンとなってございます。
 次に、加工・消費の現状についてですが、生産量の伸びに見合った需要の開拓が課題となっておりますことから、県といたしましては、県内の食品加工業者あるいは県の工業技術センターとの共同によります果汁濃縮技術等の開発に取り組むとともに、県内外のメーカーとのマッチングによる地産地消パン、あるいはコンビニエンスストアでのヤマブドウ商品の販売などに取り組んでいるところでございます。また、久慈市などでは、ヤマブドウを使った菓子等の新商品開発、あるいは県外ワインメーカーへの販売促進などに取り組んでいるところでございます。今後におきましても、このような取り組み等を促進いたしまして、ヤマブドウの一層の販路拡大を図ってまいりたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 いわて希望創造プラン地域編で見ると、ヤマブドウクラスターとして、平成18年度に加工に向けているのは18トンなんですね。平成22年度の目標数値が100トンということは、現状で見ても、目標としても、200トンは加工に回せないという理解でよろしいですか。というのは、去年、おととしあたりもそうですけれども、その年、その年によって多い少ないというのは確かに極端にあるんですけれども、多い年となると余ってしまって、余るのはいいんですけれども─まあ、よくないんですが、価格もどんどん下がって、全く再生産につながっていかないという状態がここ数年続いているやに聞いておりますけれども、そういった現状はどうでしょうか、認識しているでしょうか。
〇村山林業振興課総括課長 先ほど申し上げましたように、涼実紫の生産振興ということで取り組んでございまして、需要拡大に向けての商品開発が行われているわけでございます。各地域におきましてもさまざま工夫を重ねまして、販路の拡大あるいは商品の開発などに取り組んでおりまして、地道なそういった活動を行っているところでございます。将来、生産量が増大する中におきまして、需給状況に変化がなければ、供給過剰という懸念もあるわけでございますけれども、県といたしましては、その需要拡大に向けた取り組みを、各地方振興局とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 将来的に増産が見込めてどうこうと言われますが、現在でもかなり余っているんです。結局、これは、恐らく県のほうで有望な作目としてどんどん進めたと思うんです。その結果だと思っているんです。実際、困っているんです。農家の人はかなり困っています。ですから、過去のことを言ってもしようがないですけれども、本当はもっと前にやるべきだったと思っているんです。これは何らかの形で手を加えないと、生産さえもやめる可能性が出てきています。今後、もっと知るべきだと思うんですけれども、どうですか。
〇佐々木流通課総括課長 現在、余っているというか、過剰ぎみのヤマブドウについては、濃縮果汁という形で葛巻高原食品で保管しておりまして、必要に応じてワインメーカーに提供したりということで、販路拡大には努めてございます。先ほど林業振興課総括課長のほうから答弁がありましたとおり、目下、工業試験場の取り組みによりまして、ヤエガキ醗酵技研という兵庫県の会社とサプリメントの開発に努めてございまして、副所長によると、搾りかすを300トンぐらい欲しいという話も実は来てございます。確定した話ではございませんが、ヤマブドウの需要開拓については、現在、さまざまな角度から鋭意努めておるところでございます。
〇高橋昌造委員 私は、1点だけ簡潔にお伺いいたします。
 予算に関する説明書の155ページの歳出にございます林業労働安全衛生総合対策事業の一環としてお伺いいたします。
 まず一つは、林業作業従事者の労働災害の実態をお聞きしたい。できれば、過去3年間、そして作業事故の主な原因はどういうものかということをお尋ねいたします。
 二つ目には、いわゆる作業事故防止のために、高性能の林業機械オペレーター養成研修などをやっていらっしゃるようでございますが、その研修の実施状況、また、作業事故防止のために、官民一体となってどのような研修なり、県としてどういう指導をしているか、もし、詳しい事例があればお示しを願いたいということです。
〇竹田森林整備課総括課長 まず最初に、林業従事者の労働災害の実態についてでございますけれども、平成19年の県内の林業労働災害は、死亡者3名、休業4日以上の負傷者78名となっており、その発生率は他産業に比べ非常に高く、こういった労働災害を未然に防止するため、これまで、林業・木材製造業労働災害防止協会を通じまして、作業現場の巡回指導や安全衛生指導員の養成を行いまして、林業事業体あるいは従事者の皆さんの安全に対する意識啓発を行ってきたところでございます。
 主な原因でございますけれども、間伐が森林整備の主体というような状況となっておりまして、これまでの手入れがちょっと不足しているというような中で、かかり木ということで、思ったとおり倒れないというケースもございます。そういう場合は不測の方向に倒れたりしまして、そういうことが事故につながるというようなものが主な原因となっております。いずれ、林業の場合、木材という重量物を相手にした仕事になりますので、どうしてもこういう状況が続いてございます。いずれ、これにつきましては、先ほど言った林業・木材製造業労働災害防止協会と一緒になって、安全啓発等に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、高性能林業機械オペレーター養成研修の実施状況についてでございますが、この研修は、機械化による施業の低コスト化という点はもとより、労働強度の軽減、何よりも労働安全の向上という部分がございます。そういうことで、県の林業技術センターが平成5年度から行っているものでございます。平成19年度につきましては、14名の林業の従事者の方々に対しまして、高性能林業機械による伐倒・集材等の実践的な操作技術、あるいは機械の構造等の専門的な知識の研修を行いまして、修了者の方には認定証を交付しているところでございます。これまでのオペレーター認定者は166名となっており、ここ3年は増加傾向となっております。引き続き、高性能林業機械による施業の低コスト化ということにつきまして促進することとして、今後ともオペレーターの養成を図ってまいりたいと考えてございます。
〇千葉康一郎委員長 簡潔にお願いします。
〇熊谷泉委員 松くい虫の防除について、先ほど木村委員も質問しましたので、かぶらないところで二、三、質問させていただきます。
 一つは、昨年、紫波町、大船渡で被害がほとんど北上していないととらえてよろしいのか。
 一つは、防除対策で全く新しい手法が全然開発されていないのか、その点。
 あとは、松くい虫感染源クリーンアップ事業でチップ化するということを実証するようですが、かつて、チップについては、外国産のパルプに押されて大分経営が困難な時期があったと思うんですが、現状、チップ工場はどういう状態になっているのか。この間、新聞で拝見しましたところ、燃料用のチップというよりもパルプ用のチップに向けるようなニュアンスの記事であったんですが、その辺はどっちの話なのか。それから、今後のパルプの需要の見通しをどういうふうにつけているのか、その点をお伺いいたします。
〇藤川整備担当課長 松くい虫被害の状況についてでございますけれども、平成19年度現在の松くい虫被害は、紫波町など県内11市町村で発生しておりまして、内陸部は紫波町、沿岸部では大船渡市が被害先端地域となっております。なお、平成17年度には遠野市宮守地域で新たに被害が確認されましたが、平成18年度以降、新たな発生市町村はございません。
 続きまして、全く新しい防除手法がないかということでございました。これにつきまして、現在、本県におきましては、被害の北上阻止を図るため、赤枯れした被害木の駆除に加えまして、被害木の周辺の衰弱木等をあらかじめ徹底除去する本県独自の新しい手法確立を目的といたしました松くい虫感染源クリーンアップ実証調査を、平成19年度と平成20年度の2カ年の調査事業として実施しているところでございます。この調査によりまして、被害木等を徹底除去する範囲でありますとか、除去した木をチップ材として利用するためのシステムについて、検証してまいることとしているところでございます。この調査結果を踏まえまして、被害先端地域での効果的な防除対策やチップ化が可能な条件等を整理いたしまして、被害材のチップ等への利用を進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇村山林業振興課総括課長 県内の木材チップ製造業の動向でございますが、まず、本県の平成18年の木材チップの製造工場数は、現在、73工場になってございます。製材工場との兼業がこのうち約8割を占めてございます。その規模も、従業員数が4人以下の工場が大体9割ぐらいを占めてございまして、施設も老朽化しておるということで、経営基盤の弱体な工場が多いといった状況になってございます。こういった状況の中で、県といたしましては、木材の流通関係の貸付金といったもので、チップ業界の安定経営を図るためのそういった制度も準備して、いろいろとお使いいただいておるということでございます。
 次に、全国のパルプ業界の状況についてちょっと触れさせていただきますが、全国の紙の生産量は、平成18年次におきまして約3、100万トンございまして、前年のほぼ横ばいといった状況になってございます。また、パルプ用の木材チップの需要量につきましても、平成18年度が約3、500万トンといった状況でございまして、前年のほぼ横ばいといった状況になってございます。
〇熊谷泉委員 そうすると、今回、松くい虫の被害木をチップ化したものは燃料チップに向けるととらえていいのでしょうか。
 まとめて質問させていただきます。
 あと一つは、チップ化することは大変いい案だと私は思います。一昨年ですか、冬の倒木が大変多くて、すぐ搬出可能な場所にも、何百本とそのままになっているんです。かつてであれば、チップ材ということで、搬出可能なところは運賃でものになったわけですが、そういう山が大変多くあります。先ほど、間伐を進めると言っていますが、ただ切ったまま放置するのではなくて、やっぱり自然循環も含めて、それを利用するという方向にもっていかないと。最近、再生パルプや、紙の古紙混入率偽装の話がでていますが、私から言わせれば、あんなことをするよりも、新しいチップで新しい紙をどんどんつくって山をきれいにしたほうが得策ではないのかと思います。その辺の御所見を伺います。あるいは岩手の森林づくり推進事業で、運賃まで、チップにするところまで、その資金が使えないものか、御所見を伺って、終わります。
〇藤川整備担当課長 松くい虫事業で、出てきた材をどのような形で使うかということでございますけれども、チップには大きく製紙用と燃料用という使途がございまして、この事業につきましては、どちらかという使途は決めておりませんけれども、恐らく主に製紙用に使われると考えてございます。
 放置されている伐採木を、いろいろ有効利用するべきではないかということでございます。これまで松くい虫の被害というのは単木的な被害で、ロットをまとめることができないという問題等もございまして、なかなかチップ材として利用することができませんでした。今回のこの事業によりまして、松くい虫を含め、いろんな感染源を除去することにより、ある程度のロットをまとめまして、それをチップ工場との契約により活用するシステムをつくろうとするところでございます。これから、いろんな形の風倒木とか雪害木といったものも出てまいります。被害木等を含めて、そういった材を、チップ化するという新たな対策につきまして、調査結果を踏まえ留意してまいりたいと考えてございます。
〇村山林業振興課総括課長 先ほど、いわての森林づくり県民税についてのお尋ねがございました。現在、環境の森整備事業ということで共同間伐を実施しているわけでございますが、現在の環境の森整備事業の仕組みといたしましては、林内で間伐をして、それが例えば台風などの大雨によって流出しないように、1メートルぐらいに玉切っておくという措置をしております。
 今の仕組みとしましては、その間伐した材を搬出する経費に対しては、今現在ではそれは対象になっていないという状況にございます。いずれ、この税の使い方につきましては、広く県民の意見、それから外部有識者で構成する事業評価委員会に諮りまして、この税の使い道については一つ一つ御承認をいただいて使っているということもございますので、今現在では、そういったものに使うといったことは、また改めて県民の意見を聞いたり、あるいは林業評価委員会のほうの御意見も聞かなければならない、そういった認識を持ってございます。
〇竹田森林整備課総括課長 間伐材の利用ということで、当方の統計によりますと、平成18年度で45%という状況となって年々増加してきてございます。この動きをさらに促進していきたいと思っております。
 特に、沿岸部に合板工場がございますけれども、そちらのほうの機械設備を整備したということで、間伐材の利用が可能になったということも好影響してございます。頑張ってまいりたいと思います。
〇小野寺有一委員 それでは、私のほうからは、実は第1部のほうの質疑でも流通の分で、農業関係だけではなくて、水産関係の商品のこと等で触れられておりましたので、若干、重複してくるところがあると思います。また、小田島峰雄委員、それから中平均委員の質疑とも若干重複してくるところがあると思いますが、御了承いただきたいと思います。
 まず、アワビの生産高、それから販売額の動向について教えていただきたいと思います。一昨年のシーズンには非常に好況だったアワビの市況が、昨年には、今度反転して、生産高はわかりませんが、販売価格のほうが若干低迷したというか、もとに戻ってしまったというか、そういったことになっていたとお聞きしております。生産高と販売額の直近の動向を教えていただきたいと思います。
 続いて、そのアワビの値段のことでありますけれども、一昨年、アワビの値段が高騰した背景には、乾鮑が香港市場というか中国市場で非常に高値を呼んで、それがアワビ全体の価格を押し上げたと聞いておりました。そして逆に、この前のシーズンが、なかなか値段的に振るわなかったのは、その香港市場での値段が下落したということが非常に大きな要因になっていると伺いました。それが事実であるのかどうなのか、原因をどのように分析されているのか、その辺のところをお示しいただきたいと思います。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 アワビの生産高と販売額の直近の動向でございますが、アワビの生産高は、平成18年が337トンでして、19年が424トンと1.3倍に増加しておりますけれども、先ほど委員がおっしゃられたとおり、単価が前年比65%ぐらいと下がっておりまして、販売額は、40億円あったものが33億円に減少しているというところでございます。
 続きまして、その下落の要因と乾鮑の流通実態との関係でございますが、近年、中国の景気の拡大によりまして乾鮑の需要が伸びておりまして、本県産のアワビの六、七割が乾鮑向けということで、県漁連の共販で買われております。平成17年の日本から乾鮑輸出されている分がトータルで約50トンあって、そのうち6割が香港に行っているということになっておりまして、香港市場というのは極めて大きな輸出の市場となっているところでございます。
 平成19年度のアワビ価格については、前年度の乾鮑の在庫量が豊富だったこと、それから、乾鮑加工への今まで乾鮑をつくっていなかった、活アワビだけ扱っていた業者が、値段がいいということで新規参入がいっぱいあったということで乾鮑の供給過多が起こった。それから、安価な韓国産などの養殖アワビが輸入されて増加した。これらのことから、日本のアワビの価格が下落したと分析しているところでございます。
〇小野寺有一委員 それでは、改めてお尋ねしたいのは、今、香港市場に6割ぐらいというお話がありましたけれども、残りの4割の市場というのは大体どういうところにあるのかというのをお知らせいただきたいことと、もう1点は、最近はアワビに加えて干しナマコを今、ナマコ産地づくり推進事業ということで一生懸命取り組んでおられまして、その辺については非常に、ぜひとも一生懸命やっていただきたいと思うわけですけれども、ナマコの種苗の量産技術の現時点での進展状況や、それから、今まで既に種苗放流の実験等されてきていると思うんですが、その現時点での実証結果、効果をお示しいただきたいと思います。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 6割が乾鮑向けであるということで、残りのということだったんですが、ちょっと私の説明がまずかったんだと思いますけれども、本県から買われているアワビの6割は乾鮑向けに買われているけれども、残りは活アワビで日本で流通しているという状況にあります。ですから、乾鮑の部分はほとんど香港のほうに行って、あと台湾とかもあるんですけれども、そちらのほうの価格形成が、岩手県のアワビの価格の形成に影響を与えているという状況でございます。
 それから、ナマコについてでございますが、ナマコについては、今年度から水産技術センターの研究員を種市にあります栽培漁業協会の事業所に駐在させまして、平成20年度を目標に種苗量産技術の開発に取り組んできた結果、既に今年度で30ミリサイズの種苗を10万個生産できる技術のめどが立っているところでございます。
 それから、種苗放流の効果についてでございますが、まだ種苗放流の試験はやられておりませんで、今年度つくった種苗を漁協と連携して、場所を選定して種苗放流して、その効果を平成20年度に見ようとしているところでございます。
〇小野寺有一委員 それでは最後に、そうすると、ほとんど乾鮑になったものが香港に行っているということのようでありますけれども、やはり午前中の議論でもありましたが、いわて農林水産ブランド輸出促進事業ということで、いろいろ外国向けの販路を拡大されているというお話がございましたが、やはり単一の市場に大きく依存していて、買い手のほうが少なければ、いわゆる買い手市場になるわけなので、価格形成がどうしても買い手側によって左右されることが多くなると思うわけであります。
 先ほど、3割から4割は生でということになっていますけれども、それは多分、国内向けだと思うんですが、例えばナマコのほうは、恐らくアワビよりも圧倒的に国内市場が小さい関係で、もしもナマコが、干しナマコ、イリコとして例えば香港市場を通じて輸出されるということになれば、アワビよりももっともっと国際市場、はっきり言えば香港市場の価格変動の影響をもっと大きく受けるということが生じてくると思うわけであります。
 そういった意味では、多様な販路を拡大していかなければ、買い手側の言い値で売るしかないというような話になってしまうわけですが、そういう価格変動リスクを低減するためにどういった方策を考えていらっしゃるのかお示しいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 まず、水産物の海外輸出に当たっては、相手国が中国であれば非常に難しい。先ほど香港でのナマコというお話もありましたが、ナマコについては、どうしても大連とか北東部のほうが需要が高いということで、現在、香港では余りナマコは需要がございません。かようにさまざまな中国事情についても、我々は全くの素人ということで、それでもって中国に在住したことのある輸出コーディネーター、例えば日本食研で2年駐在したとか、あるいは伊藤忠の大連事務所に3年いたとかという、中国通の現地の事情に詳しい方に、はっきりした信用のできる商売の相手方を紹介していただいて、その上で現地とのマッチングに臨むということ等を通して、安定的な取引につなげようということで取り組んでございます。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 生産者側の変動リスクを低減する方策についてですが、アワビ漁業は、災害のほか市況の変動による販売額の大幅な減少を補てんするために漁業共済制度というものがありまして、その対象となっております。ですから、漁協単位で全漁業者が加入していることから、まずはこの制度を使うと、5中3方式といろいろあるんですけれども、下がった場合、8割以上になるように共済を使えるということがございます。
 ところが、ナマコについては漁業の規模がまだ小さいものですから、本県で共済制度ができておりません。ですから、ナマコについては、まずもって生産拡大して、ナマコ漁業なるものをつくっていかないと共済の対象とならないということがあります。そのために、ナマコについては海外市場の情報を迅速に入手し、関係者に情報提供していくということも、あわせてやっていかなければならないのではないかと思っております。
〇斉藤信委員 林業と水産と分けて、まとめて聞きますので、しっかり答えていただきたい。
 林業振興策について。一つ、いわて希望創造プランで林業産出額を188億円から220億円にふやす計画となっていますが、その具体的根拠は何でしょうか。
 二つ、地域牽引型林業経営体を30にするという計画ですけれども、この地域牽引型林業経営体とはどういうものでしょうか。
 三つ、県産材の具体的活用策はどうか。県産材を活用した住宅建設への支援策は今どうなっているか。
 四つ、ペレットストーブの普及は、平成16年343から平成18年182、平成19年はさらにこの半分程度に大幅に減少していますが、ペレットの供給体制に大きな影響を与えるのではないか。
 五つ、緑幹線林道は具体的にどう林業振興に結びついているか。緑資源機構は談合で廃止になり、大規模林道、いわゆる緑幹線林道は廃止になりましたが、しかし、県は今後も継続する方針だと。費用対効果分析を行ったのでしょうか。県の財政負担をどう見込んで継続することを決めたのでしょうか。
〇村山林業振興課総括課長 まず、いわて希望創造プランにおける林業産出額の根拠についてであります。
 具体的な根拠ということでございますが、まず、合板用の原材料が外材から県産材へ転換したということ、それから、集成材の大型製造工場の新設等があること、さらには、製材工場における生産施設の増強など、こういったことによります県産材需要の増加等によりまして、32億円の林業産出額の増加を見込んだものでございます。
 次に、県産材の具体的活用策についてということでございますが、県産材の活用を促進するため、林業関係団体が中心になって取り組みを進めております県産材証明制度の普及啓発を図るとともに、県の公共工事等におきまして、県産材を率先して利用する取り組みを推進しているところでございます。
 一方、県産の製材品の販路を拡大し、県産材利用住宅の建築を促進するため、製材企業や森林組合等の地域材供給グループを対象とした公募事業や、県内外における商談会の開催等に取り組んでいるところでございます。
 さらには、平成20年度からは、新たに県北沿岸の主要な樹種でありますアカマツについて、通年出荷体制を実現するための青変被害防止技術の実証を行うこととしております。
 こういった取り組みを進めまして、販路拡大に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、県産材を活用した住宅建設への支援策についてでありますけれども、県産材利用住宅を積極的に建築しようとする顔の見える木材での家づくりに取り組む、例えば宮古型住宅ネットワークのような森林組合と工務店等による地域材供給グループを対象に、公募事業によりまして、県産材の販売促進活動等への支援や県産材利用住宅の建築促進勉強会、さらには商談会の開催等によりまして、県産材を活用した住宅建設の促進に努めてまいりたい、このように考えてございます。
 次に、ペレットストーブの補助打ち切りに伴うペレットの生産量についてでありますが、まず、ペレットストーブにつきましては、既に1、000台を超える台数となりまして、初期導入の支援を縮小し、平成20年度は、市町村公共施設等を対象とした補助を予定しているところでございます。
 また、最近の原油価格高騰によりまして、ペレットなど木質バイオマス燃料にも価格競争力が出てきておりまして、民間のスーパーマーケットにもペレットボイラーが導入される状況になってきてございます。
 県におきましては、現在、平成19年3月に策定した木質バイオマスエネルギー利用拡大プラン第2ステージに基づきまして、これまで利用されていなかった産業分野での木質バイオマスエネルギーの利用拡大を図るために、今後とも、燃焼機器の改良に取り組むとともに、本年2月に策定いたしました木質資源利用ボイラー導入指針によるペレットボイラーの産業利用の拡大や、ペレットストーブ導入の手引書による住宅関連産業への普及啓発を推進することとしております。
 こういった取り組みを行うことによりまして、今後もペレット需要量が増加するものと見込んでおります。また、これに対応したペレットの安定生産に向けまして、未利用木質資源をバイオマス燃料として有効に活用できるような総合的な体制づくりについて検討してまいりたい、このように考えてございます。
 最後に、緑資源幹線林道による林業振興についてでありますけれども、緑資源林道の開設によりまして、森林整備に際し作業現場へのアクセスの利便性等が高まっておりまして、緑資源機構の調査によりますと、平成11年から16年の6年間に、沿線の利用区域内森林面積の14%に当たる4、160ヘクタールで植林や間伐などの森林整備が進んだと聞いております。
 また、開設を契機といたしまして、沿線沿いに大規模な木材加工施設等の整備が進み、北上高地を初め、本県の森林資源の利活用が促進されておりまして、本県の林業振興に大きく貢献しているほか、山村の生活道路として、地域の活性化に寄与しているものと認識してございます。
〇竹田森林整備課総括課長 地域牽引型林業経営体についてでございますが、この経営体は、所有面積が小規模で経営意欲を失いつつある森林所有者に対しまして、間伐などの施業を積極的に提案し、所有者から委託を受けて地域単位で林業経営を行っていく経営体のことであり、意欲ある森林組合あるいは林業事業体の中から育成することとしてございます。
 また、牽引型経営体を30にする計画につきましては、当面、平成22年度までに私有林全体の1割、約5万ヘクタールについて、この牽引型経営体による森林経営を目指しており、安定的な森林経営を実現するためには1、500ヘクタールから2、000ヘクタール程度のまとまった森林が必要でありますことから、30程度としたところでございます。
〇村山林業振興課総括課長 ちょっと答弁漏れがございましたので答弁いたします。
 緑資源幹線林道の事業評価ということでございます。
 緑資源幹線林道は、本年度まで緑資源機構で整備を行っておりまして、その評価については、林野庁で行っているということでございます。
 その評価結果についてでありますけれども、まず、葛巻・竜子線地区におきましては、その必要性、効率性、有効性とも認められておりまして、事業継続とする方針となっております。また、川井・住田線地区におきましては、やはりその必要性、効率性、有効性とも認められておりまして、事業継続するといった方針になってございます。そういったことを聞いております。
 県におきましては、移管を受ける区間の実情などから、県土整備部で、林業地域総合整備事業といたしまして実施することとしたところであり、事前評価を行い、改めて計画内容の見直しの必要性や事業費の積算を初め、一から洗い直したと聞いております。
〇斉藤信委員 極めて表面的な答弁で余り説得力がないのでもう少し聞きますが、県産材の具体的活用策というのは本当に貧困なんですよ。例えば販売促進活動とか商談会への参加支援とか、今まで、例えば木造住宅、これは公共施設、個人住宅があったんですが、個人住宅についてはもう平成17年で終わってしまった。公共施設についても19年で終わりでしょう。本当に今、県産材は、例えば陸前高田市につくった県営住宅なんか、立派な県産材を活用した住宅じゃないですか。ああいうものを私はもっともっと促進すべきじゃないかと。
 それと、ペレットストーブ、実はこれ、深刻なんですよ。1、000台普及したなんて言っているけれども、目標の半分なんですよ。そして、平成16年343台普及したのが、平成18年は182台、ことしは96台ですよ。補助があってですよ。それが来年から補助がなくなるんですよ。完全にこれはしりすぼみで、ペレットのクラスターなんて言ったって、この分野では、もうしりすぼみになってしまうのではないか。その点を真剣に考えないと、ペレットストーブという発想はいい、わかったと。しかし、市場で本当に評価されるところまで行っていないんですよ。そして、そことかかわってペレットの供給というのはあるわけだから、さっきのような認識では全然かみ合わないのではないか。
 緑幹線林道、これは、林道を聞くということになると県土整備部でしょうから、そっちにしましょう。実は、費用対効果分析の原資料がないんですよ。緑資源機構が廃棄してしまった。ひどいね。やめると言ったら、危なくなるので全部資料をやめてしまったんですよ。私は、これは本当に許されないと。
 今のは補足質問ですよ。次に、もう水産も全部聞きますから。
 一つ、漁業用燃油や関連資材価格等に対する原油高騰対策はどうなっているか。
 二つ、加熱用むき身カキの出荷は好調だが、生食用の殻つきカキは伸び悩んでいます。カキの販売促進策はどうなっているか。カキノロウイルス対策、その支援策、達増知事はこう言っているんですよ。マニフェストで、ノロウイルスにまつわる風評被害を防ぐため、貝類の安全確保に努めます。何かやってくれるのではないかと地元はみんな期待したけれども、何もなかった。こういうことでいいのか。
 三つ、安全・安心な三陸産の品質が認められた県産ワカメ。例年になく高値で取引されていますが、一層のブランド力向上と生産者の意欲向上にどうつなげるか。
 四つ、水産物の付加価値向上策として、水産加工場、食産業の沿岸への立地促進の取り組みはどうか。
 五つ、これは広田漁協の青年部がJFの全国大会でも発表しましたが、エゾイシカゲガイの可能性について。これはホタテガイにかわるものとして大変重要な研究をしたと思いますが、この点について県はどういうふうに受けとめているか。
 最後ですが、いわて希望創造プランについて、サケ4万トン、ワカメ3万2、000トン、アワビ400トン、ナマコ32トン、イサダ7億4、000万円の目標を掲げているが、その見通しはどうか。
〇佐久間漁業調整担当課長 まず、漁場用燃油等の原油高騰対策についてでありますけれども、県といたしましては、本年1月に、県漁連など関係団体と連携した対策会議を設置いたしました。また、各振興局ごとに相談窓口を開設するとともに、漁船漁業における効率的な操業の指導等の技術対策や、国の補助事業を活用した漁船の低燃費エンジンの導入などを支援しているところでございます。
 また、本年2月には、国に対しまして、水産業燃油価格高騰緊急対策等の継続実施についてなど、原油価格高騰対策の充実強化について提案したところでございます。
 今後におきましては、国の平成19年度補正予算であります水産業燃油価格高騰緊急対策を積極的に活用するとともに、水産技術センターの調査船によりまして、魚群データや水温データを提供いたしまして、計画的・効率的な操業の技術指導を行ってまいりたいと思っております。それによりまして、漁業者が安定的に経営を継続できるよう支援してまいりたいと考えております。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 生食用殻つきカキの販売促進についてでございますが、まずもって消費者の安全・安心を回復することが肝要であると、引き続き、出荷前の自主検査を徹底しているところでございます。
 風評被害対策につきましては、マスコミに対し適切な報道を要請するほか、カキ消費拡大に向けたイベントにも取り組んでいるところでございます。
 また、平成20年度から新たに国の交付金事業を活用し、養殖場におけるノロウイルスの分布把握など、監視体制の整備・強化を図ることとしております。
 今後とも、関係団体と一層密接に連携しながら、本県産生食用カキの安全・安心と販売拡大に向けた取り組みを支援し、風評被害を防ぎ、貝類の安全確保を図っていくところでございます。
 続きまして、ブランドのお話がありました。
 県産ワカメのブランド力の向上と生産者の意欲の向上についてでございますが、本年度の県産ワカメの入札価格は、昨年度の1.7倍に高騰しておりまして、安全・安心で品質が高い本県産ワカメへの期待が高まっているものと考えております。
 県といたしましては、このような期待の高まりを養殖ワカメの生産回復のチャンスととらえて、養殖漁場の生産性を高める漁協の地域営漁計画の取り組み支援、陸上刈り取り機等の機械化・システム化による生産拡大、契約栽培等の生産者と加工業者の連携強化などに取り組んでいくことにより、ブランド力や生産者の意欲の向上につなげてまいりたいと考えております。
 続きまして、加工場についてお話がありました。
 県では、補助制度や融資制度等を準備して、水産加工場等水産関連企業の誘致に取り組んでいるところでありまして、平成18年は2件、平成19年も2件、水産加工場の新増設がされているところでございます。
 今後とも、前浜資源の付加価値向上を図るため、商工労働観光部と市町村と連携しながら、水産加工場等、食品関連企業の誘致に努めてまいりたいと考えております。
 それから、エゾイシカゲガイはトリガイの代用としてすしネタに使われている貝なわけですが、平成16年度から行ってきておりました養殖試験や販売試験の結果、委員おっしゃったとおり、ホタテに比べて手間がかからないということ、それから、生産拡大に対する市場関係者の期待も大きく、単価が高いということ、それから、タウリンなどの有効成分が多く含まれて食品としての価値も高いということなどがわかってきておりまして、今は小規模な取引になっているわけですが、将来性がある養殖種の一つだと考えております。
 今後とも、漁協の養殖試験や販売試験を引き続き支援し、生産拡大に努めてまいりたいと思っております。
 最後に、いわて希望創造プランの達成の見通しについてでございますが、平成22年度目標について、サケについては、健康な稚魚の生産と適期適サイズ放流により回帰率を向上させること、ワカメについては、漁協が取り組む地域営漁計画の策定にあわせ、養殖業の機械化や協業化、経営規模の拡大などによる空き漁場を解消していくこと、アワビについては、餌料環境のいい漁場への放流や潜水漁法の導入、口あけ回数の増加などによる放流アワビの回収率の向上、ナマコについては、人口種苗の量産化技術開発による30ミリ種苗10万個の放流、さらに、イサダにつきましては、食用向けや有用成分の利用促進による単価の上昇を期待しておりまして、これなどにより、平成22年度目標達成に向けて取り組むこととしているところでございます。
〇村山林業振興課総括課長 2点お答えしたいと思います。
 県産材の利用拡大への取り組みということでございますけれども、県産材の利用を拡大していくということは、適切な森林整備の促進と林業生産活動の活性化に寄与するとともに、地球温暖化の防止あるいは資源循環型社会の形成を図る上からでも大変重要であると認識しているところでございます。
 このため、県では、平成15年度から全庁的な体制で県産材利用の行動計画を策定したところでありますし、公共施設等での県産材利用を積極的に推進するとともに、先ほども御答弁申し上げましたように、各地域で取り組まれている地産地消型の顔の見える木材の家づくり、こういったものを支援しながら、これからも木材業界あるいは建築業界との連携によりまして、県産材の利用拡大を図ってまいりたいと考えております。
 それから、ペレットのことでございます。これからの木質バイオマス燃焼機器の支援をどう考えているかということでございますが、県におきましては、平成19年3月に、先ほども申し上げましたように、拡大プランの第2ステージを策定したところでございまして、この中で、平成22年度までに木質バイオマス燃焼機器の導入台数について、ペレットストーブ2、000台、ペレットボイラー50台、それからチップボイラー30台という目標を設定したところでございます。
 この目標を達成するために、国の交付金事業や県単事業のペレットストーブ普及促進事業によりまして、木質バイオマス燃焼機器の助成をするとともに、先ほど申し上げましたように、木質資源利用ボイラー指針の普及等によりまして産業利用の拡大を図ってまいりたい。さらには、住宅関連産業を対象にしましたペレットストーブ導入のための公開講座の開催、それから、木質資源燃料の安定供給に向けた取り組み、こういったものを通じまして、木質バイオマス燃焼機器の導入を促進してまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 我が国の食料自給率については、カロリーベースで39%と深刻な状態で、きょうも質疑が交わされたところでありますが、木材自給率についてはどうなのかと思いまして林業白書を見ましたら、平成17年20.0%に少し回復した、そう記述されてありました。要するに安い外材にはかなわないということであったかと思いますが、ただ、数年前から、中国での木材需要の急増、外材価格と輸送費の高騰で、これからはいよいよ国産材に光が当たる時代かな、そう思います。
 そこで伺いますが、木材需要が高まり、仮に製材品価格が上がったとしても、山元立木価格も十分高くならないと伐採跡地に植林できないのではないかと心配しますが、実態はいかがでしょうか。補助金等、行政の支援について伺います。
〇竹田森林整備課総括課長 まず最初に、山元立木価格と伐採跡地の植林の実態についてでございますけれども、最近3カ年における再造林の面積は年間約300ヘクタールで、伐採面積のおよそ4分の1にとどまってございます。その背景といたしましては、委員御指摘のとおり、立木価格が長期にわたり低迷し森林所有者が経営意欲を失ってきていることが大きな要因の一つと考えているところでございます。
 その本県の山元立木価格でございますけれども、委員からもお話があったとおり、平成19年に価格が下げどまり、杉、アカマツとも前年と比較し約15%高くなってきてございます。
 次に、再造林に対する補助金等行政の支援についてでございますけれども、引き続き国庫補助事業の活用を促進いたしますとともに、伐採収入から再造林のための資金が得られるよう、施業の団地化や高性能林業機械の導入等により低コスト化を促進してまいります。
 そのほか、平成18年度からは、先ほど申し上げましたとおり、地域単位で森林経営を行います地域牽引型経営体を育成しております。この経営体が行う森林経営の中では、伐採、造林、保育という施業を一括して行うこととしておりますので、伐採作業と再造林の一体的な実施等によりまして、コストの縮減にも取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 今後とも、こういった取り組みを通じまして、木材資源の循環利用や森林の公益的機能の維持に資する伐採跡地への再造林の促進に努めてまいりたいと考えてございます。
〇小野寺好委員 肝心なこういった時期に、林業の従事者はどうなっているのか。農業も漁業も同じかと思うんですけれども、だんだん従事者が少なくなっていく、しかも高齢化が進んでいく、そういった実態がどうなっているのか。特に、農業の場合には新規就農者がいろいろ頑張っていますけれども、林業については、新たな就業者等について、そういった後継者はどうなっているのかお尋ねいたします。
〇竹田森林整備課総括課長 本県における林業従事者の実態についてでございますけれども、残念ながら、県内の従事者数は毎年減少が続いてきております。平成18年度における林業従事者の総数は2、000人を割りまして1、926人となっております。これは、5年前に比べまして19%、466人の減少となります。
 また、従事者のうち60歳以上の割合でございますけれども、45%と高齢者の割合が非常に高い状況となっております。
 新たな担い手、後継者につきましては、新規就業者数がここ5年間で372人となっております。これは、平成15年度から国のほうで実施しております緑の雇用担い手対策事業により210名ほど就業してございますけれども、この事業の効果が出てきているものと考えてございます。
 このような状況を踏まえまして、県といたしましては、地域単位で森林経営を行っていく地域牽引型経営体の育成を通じて、新規就業者の受け皿となる森林組合等の林業事業体の強化を図りながら、引き続き、緑の雇用担い手対策事業の活用を指導助言していくとともに、岩手県林業労働対策基金を通じまして、新規参入希望者への説明会の開催、月給制で新規就業者を雇用した事業体への奨励金の交付、高い専門技術を有する中核的担い手を養成いたしますグリーンマイスター研修の開催など、各種取り組みを実施しながら林業従事者の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
〇小野寺好委員 民有林の適切な管理を果たすはずの森林組合でありますけれども、日本の木材輸入が本格的に自由化なってから、例えば昭和40年には全国的に3、000以上の森林組合があったのが、40年間で7割に減少して2、000余りとなっています。本県の場合、やはり同じように林業従事者が少なくなったり経営が難しくなってきている、そういった状況のもとで森林組合の数も減ってきているのかと心配しますが、現在の実態と今後の展望、特に県予算で無利子の資金貸与も行っていますけれども、その効果はどの程度発現しているか伺います。
〇松岡団体指導課総括課長 森林組合でございます。森林組合数は、四十七、八年前の昭和35年には県内では89組合ございましたけれども、その後合併が進みまして、現在は24組合でございます。組合員数は、平成18年度末で4万5、390名、また、組合員が所有する森林面積は約55万ヘクタールということで、この数字は、10年前と比較しますと大体1%から2%の減少ということで、そんなに大きくは落ち込んでいないというか、変化はしてございません。
 しかしながら、これまで森林組合の主要な事業でございました造林・保育事業が、機関造林の縮小ですとか、森林資源が成熟化したということで10年前と比べると約6割以下に減少しているなど、厳しい経営状況となっております。平成19年度決算でまいりますと、24の森林組合中7組合が当期損失金を計上している、それから、繰越損失金を抱える組合は8組合というような状況になっているものでございます。
 このような中で、森林組合系統のほうでは、平成18年から施業の共同化など三つのプロジェクトを掲げまして経営改革に取り組んでいる。あわせまして、合併の基本指針というものを策定しまして、平成22年度までに今の24組合を七つの組合に広域合併するということで、それを目指しているところでございます。
 したがいまして、県としまして、例えば繰越損失金を解消するための経営改善計画というものを組合でつくって、そしてその進捗管理へ参画するとか、あとは現地指導を強化するとかしながら、経営基盤の強化のための指導助言を行って、それとともに系統の主体的な合併への取り組みを支援いたしまして、地域林業の中心的な役割を担う森林組合の構築に取り組んでまいりたいと考えているものでございます。
〇小野寺好委員 いわての森林づくり県民税条例、先ほども質疑があったわけでありますけれども、林業振興というよりは環境保全ということで5年間やってみよう、そういったことだったんです。県民1人当たり年間1、000円、そういったことですが、この入りと出がどうなっているのかお伺いしたいと思います。
 この予算書に新年度は14億円余り計上されていて、そのうちの半分、7億円弱を基金として積み立てるといったことで、将来のためにということになっているようですが、実質2年ぐらいになるわけですが、その成果はどうなっているのかお尋ねいたします。
〇村山林業振興課総括課長 いわて森林づくり県民税についてですが、まず、成果についてお答えしたいと思います。
 管理が不十分な森林を公益的機能の高い針葉樹、広葉樹の混交林に誘導するいわて環境の森整備事業につきましては、公益上重要で特に緊急に整備が必要な森林といたしまして2万6、000ヘクタールを計画しておりますが、この1割に当たる森林をこの2年間で確保いたしまして、整備を進めたところでございます。
 また、地域住民による森林づくり活動を支援する県民参加の森林づくり促進事業につきましては、この2年間で延べ29団体の活動を支援しておりまして、特に今年度は、昨年度の3倍に当たる延べ3、000人余の参加となっております。そういった状況にございます。
〇松岡団体指導課総括課長 失礼いたしました。先ほどの森林組合の関係で、無利子資金の効果についてちょっと答弁が漏れてございました。
 この無利子資金は、森林組合経営体質強化資金貸付金というものでございまして、合併した森林組合の経営体質を強化するために、県の森林組合連合会を通じて、無利子で貸し付けているものでございます。
 この資金は、合併前における金融機関からの借入金を無利子の長期資金に借りかえることによりまして、森林組合の金利負担を軽減する、そして借入期間の長期化で資金繰りの改善をする、そういうものでございます。
 これまでこの資金を貸し付けた五つの森林組合がございますけれども、貸付期間中に三つの組合が繰越損失金を解消しております。また、1組合で繰越損失金の縮小が図られたということになってございまして、合併後の森林組合の財務改善、経営の安定に効果があったものと認識しているものでございます。
〇小野寺好委員 間伐材の利用について、先ほどの熊谷委員の質問に対する答弁では、45%が利用されていると。残りの55%は何なのか、その45%はどのような利用のされ方なのかお伺いしたいと思います。
 あわせて木質バイオマスについてでありますけれども、先ほども平沼委員のほうから、燃やすのは最後でいいのではないか、その間にもうひと働きしてもらったほうがいいのではないか、そういったことがありましたけれども、私もそのように思います。燃焼以外に、本県の場合、例えば水素を取り出して今話題の燃料電池、こういったことで発展する、そういった研究なんかはやっていないのかどうか。
 それから、間伐材とか製材ごみ、こういったものは、燃焼させたとしても、カーボンニュートラルな資源でありますので地球温暖化には影響しないと思います。そこで、家庭や事業所でのまきストーブ、これについてはもっと普及を図ってもいいのではないかと思いますけれども、現在の状況はどうなっているのか、わかればお聞きしたいと思います。
〇竹田森林整備課総括課長 先ほどお答えしました間伐材の利用率45%の残りの55%でございますけれども、この分につきましては、まだ利用されていないということで、林地に残っているということになります。利用で伸びておりますのは、先ほども申し上げましたとおり、合板等の原材料では伸びてきてございます。それが利用率の向上につながっているものと考えてございます。
〇村山林業振興課総括課長 私から2点お答えしたいと思います。
 まず、木質エネルギーの水素ガス化の発電についてでございます。
 バイオマスからの水素ガスの生成につきましては、京都市で昨年11月から、生ごみとか、あるいは食べ残しの─廃食用油と言うんだそうですが、こういったものから水素ガスを生成しまして燃料電池に活用する研究に着手したと聞いております。木質バイオマスを原料とした水素ガス生成による発電につきましては、技術的には可能という情報はありますが、実用化に向けた研究等の具体的事例については、わかっておりません。
 それから、もう1点でございますが、まきストーブの普及状況についてでございます。
 このまきストーブにつきましては、ペレットストーブとは異なりまして、古くから普及しているものであります。そういった意味で、具体的な普及数量等については現在のところ把握していないというのが実情でございます。ただ、最近の石油価格の高騰等、あるいは環境意識の高まりなどの中で、県内企業が開発したペレット・まき兼用のストーブが順調に販売台数を伸ばしている。それから、県北のまきの生産業者が売り上げを伸ばしている。さらには、旧沢内村では、平成15年度から、煙突の見える村 あったか沢内をキャッチフレーズにしまして、まきストーブ利用世界一を目指し、森林組合などとともに、まきの供給体制の整備や講演会、講習会の開催など、まきの利用拡大に向けて積極的に取り組んでいると伺っております。
 こういったことから、まきストーブにつきましても普及が進んでいると認識してございます。
〇小野寺好委員 間伐がおくれている山では、木が細いために風雪害で倒れやすい、このように言われております。確かに県内を走っていて、道路から見える部分だけでもかなりの倒木を目にします。自然公園のようなところでは、なすがままにし手をかけないのだと聞いたこともありますが、そうじゃない部分で、森林のこの倒木処理、これについての方針はどうなっているのか伺います。
〇藤川整備担当課長 森林の倒木処理の方針についてでございますが、気象災害によります森林の倒木被害の処理につきましては、基本的には森林所有者や管理者の責任で行うこととなっております。ただし、被害の程度によりましては、激甚災害法によります森林災害復旧事業、また森林法によります指定被害地造林、また既存の森林整備事業の被害地造林など、被害跡地に造林することを条件にいたしまして復旧支援が講じられるところでございます。
 また、雪害や風害などの気象災害等につきましては、森林所有者が任意に加入する森林国営保険による森林補償制度があるところでございます。
〇村山林業振興課総括課長 答弁漏れがございましたの御答弁申し上げます。
 いわて森林づくり県民税についてのこれまでの税収と支出の状況でございます。
 この2カ年間の収入といたしまして、税収から市町村の徴収取扱費を除いた額は、当初の12億2、900万円余に対しまして12億1、900万円余の見込みとなっており、おおむね見込みどおりということになってございます。これに対しまして支出は、いわて環境の森整備事業、それから県民参加の森林づくり促進事業、それから事業評価委員会の運営といった取り組みに、当初の11億7、300万円余に対しまして10億1、800万円余の支出見込みとなっておりまして、収入に対しまして2億円余下回っております。これは、昨年度、いわて環境の森整備事業の確保面積が1、000ヘクタールの計画に対しまして、初年度ということもございまして753ヘクタールにとどまったことなどによるものでございます。
 また、平成20年度におきましては、事業を見直しまして施策の充実を図ることとしております。いわて環境の森整備事業、県民参加の森林づくりの促進事業などに7億1、400万円余の支出を計上しております。これに対しまして、収入としましては、市町村の徴収取扱費を除いた税収6億9、900万円余と、これまでの基金積立額からの1、400万円余を見込んでおりまして、収支のバランスはとれていると認識してございます。
〇小野寺好委員 改正建築基準法の影響かと思いますけれども、住宅着工の低迷が続いていますが、県産材の利用にどう影響しているか伺います。
 また、県産材の輸出状況はいかがでしょうか。
 最後に一つ、水産のほうをお伺いします。
 先月、大船渡の清水かき組合を視察してきたんです。去年の9月あたりから、場所によっていろいろだと言うんですが、場所によっては3割から8割のカキが死滅している、そういったことをお話ししていました。これは、もともと大船渡湾は閉鎖湾なので酸欠だから仕方がない、そういったことも言っていました。大船渡ではいろいろこれまでも湾の浄化対策をやってきているようですし、また、県としても、空気揚水塔の設置とかいろいろやっているようなんですが、漁業サイドのほうでこういった状況の認識等、これから可能な対策はどうなのか。
〇村山林業振興課総括課長 まず、県産材の利用に係る住宅着工数のことでございます。県内の木造住宅の着工戸数は、ここ10年の推移を見ますと、人口の減少などから平成17年度まで減少を続け、平成18年は6、387戸と回復はしておりますけれども、平成19年は、改正建築基準法等の影響を受けまして、前年比約1割減の5、798戸と、近年では最低の水準となってございます。
 県産材利用への影響についてでございますけれども、県内の素材入荷量の動向を見てみますと、平成19年の入荷量は前年に比べて減少しておりません。その影響はあらわれていないと認識してございますが、年明けの本年1月時点では、前年を約2割下回る入荷となっておりまして、着工戸数の減少に伴う影響がこれから徐々にあらわれるものと思料されることから、今後の動きを注視する必要があると考えております。
 次に、県産材の輸出の状況についてでございます。木材の輸出につきましては、国産材が外材に比べ割高といったことから、全国的に輸出数量が少なく、本県では、昨年12月に、県北地域の木材関係企業が、取引先であります商社からの依頼を受けまして、青森県の八戸港から約1、000立方メートルの国産材丸太を中国に向けて輸出した実績はございます。ただ、そのほとんどが青森県産材ということでございまして、その約1割が岩手県産材と聞いてございます。県として承知している限りでは、これ以外の岩手県産材の輸出実績はないと考えてございます。
〇大森水産担当技監兼水産振興課総括課長 大船渡湾のカキのへい死のお話でございましたが、二、三割というのはそんなに大きな数字ではないんですが、今、委員のお話では8割ということもありましたので、それはちょっと異常過ぎる数字だと思っております。閉鎖的な湾でして、水深が深いほど酸欠というか、酸素の不足になるというのはわかっているわけですが、その辺について、ちょっと水産技術センターと大船渡市の水産部と相談して調査し、どの辺の場所かも含めて、ちょっと検討させていただきたいと思います。
〇千葉康一郎委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉康一郎委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部林業水産関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さん、大変御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時27分 散 会

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