平成20年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成20年3月14日(金)
1開会  午前10時3分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課長 切 金   精
  議事担当課長 保 原 良 和
  主任主査  菊 池 達 也
  主査  鈴 木 文 彦
  主査  石木田 浩 美
  主査  佐々木 ユ カ
  主査  菊 池 芳 彦
  主査  渡 辺 謙 一
1説明員
  保健福祉部長   赤 羽 卓 朗
  保健福祉企画室長 古 内 保 之
  医師確保対策室長 尾 形 盛 幸
  保健福祉企画室
  企画担当課長兼
  医師確保対策監  野 原   勝
  保健福祉企画室
  管理担当課長   花 山 智 行
  医療国保課
  総括課長兼
  医師確保対策監  柳 原 博 樹
  保健衛生課
  総括課長    高 田 清 己
  地域福祉課
  総括課長    下屋敷 正 樹
  長寿社会課
  総括課長    及 川 伸 一
  障害保健福祉課
  総括課長    小 林 繁 春
  児童家庭課
  総括課長     川 上 裕 二

  医療局長     法 貴   敬
  医療局次長兼
  病院改革室長   細 川 孝 夫
  参事兼職員課
  総括課長    佐々木   茂
  管理課総括課長  熊 谷 俊 巳
  業務課総括課長  岡 山   卓
  システム管理室長 三 田 崇 雄
  経営改革監    根 子 忠 美
  医師対策監    相 馬 敏 克

  予算調製課
  総括課長 中 村 一 郎
〇千葉康一郎委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第31号、議案第33号から議案第37号まで、議案第39号から議案第42号まで、及び議案第47号の以上32件を一括議題といたします。
 本日は、保健福祉部及び医療局関係ですが、5時をめどに審査を終了するよう議事進行にどうぞよろしく御協力をお願い申し上げます。
 最初に、保健福祉部長から保健福祉部関係の説明を求めます。
〇赤羽保健福祉部長 平成20年度保健福祉部関係の当初予算及び予算関連議案について御説明申し上げます。
 まず、保健福祉部の平成20年度予算編成に当たっての基本的な考え方でございますが、保健福祉部の平成20年度予算の編成に当たりましては、1月に策定いたしましたいわて希望創造プランに掲げる政策の六つの柱の一つであります共に生きる岩手の実現に向けまして、医師確保を初めとした地域医療の確保、子育て環境の整備、高齢者や障害者が地域で生活できる環境の構築、健康づくりの推進の4点を施策のポイントとして、特に重点的に取り組んでいくこととしております。
 まず、一つ目の、医師確保を初めとした地域医療の確保についてでありますが、地域の医療の基本となる医師の養成・確保を図るため、岩手医科大学の定員増に対応した奨学金制度の創設や女性医師の就業支援の充実などに取り組むほか、即戦力となる医師の招聘についても引き続き取り組んでまいります。
 また、情報技術を活用した周産期医療情報ネットワークを新たに整備することにより、地域における周産期医療の確保を図るとともに、がん診療連携拠点病院の指定を受けた6病院のがん医療体制の整備を推進することにより、がん医療の均てん化を図ってまいります。
 さらに、医療機関の機能分担と連携、患者の立場に立った医療サービスの向上など、質の高い医療の提供に取り組むほか、ドクターヘリの導入の可能性について、調査・検討を進めてまいります。
 二つ目は、子育て環境の整備についてであります。
 従前から取り組みを進めております保育サービスの充実や育児支援に加え、保育所待機児童の解消を図るための家庭的保育の取り組みを新たに推進してまいります。
 また、児童虐待の未然防止や早期発見など、安心して子育てをできる環境の整備に取り組んでまいります。
 三つ目は、高齢者や障害者が地域で生活できる環境の構築についてであります。
 多様な社会資源を活用しながら、地域力を生かして高齢者や障害者一人一人の状態に応じた地域生活を支援する仕組みづくりや、ユニバーサルなサービス提供体制の整備を促進してまいります。
 また、医療機関と連携を図りながら、適切な施設への入所支援や、在宅への復帰支援を行うための取り組みを推進してまいります。
 四つ目は、健康づくりの推進についてであります。
 県民が自発的に健康づくりに取り組む環境の整備や、たばこの害の少ない地域社会づくり、年少期からの健康づくりに向けた取り組みを支援するほか、働き盛り世代を対象としたメタボリックシンドローム対策に重点を置いた生活習慣病の予防の取り組みなどを推進してまいります。
 また、全国で高位にある自殺死亡率について、行政、民間の関係機関・団体が広く連携し、より身近なところでの普及啓発活動や自殺予防のための取り組みを推進してまいります。
 以上が、保健福祉部の平成20年度予算編成に当たっての基本的な考え方でございます。
 引き続きまして、保健福祉部関係の議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号平成20年度岩手県一般会計予算についてでございますが、お手元の議案その1の6ページをお開き願います。当部関係の一般会計歳出予算は、3款民生費679億4、800万円余のうち、2項県民生活費を除く675億800万円余と、次のページの、4款衛生費161億8、200万円余のうち、2項環境衛生費の一部を除く80億6、000万円余と、9ページに参りまして、12款公債費1、034億9、700万円余の一部500万円余と、次の13款諸支出金1項公営企業貸付金から3項公営企業負担金までのうち、2項公営企業出資金と3項公営企業負担金の一部を除く310億6、400万円余であり、合わせますと1、066億3、900万円余の予算となっております。これを本年度6月現計予算と比較いたしますと約4億6、400万円の増額でありまして、率にいたしまして0.4%の増となっております。
 以下、予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、お手元の予算に関する説明書の105ページをお開き願います。
 なお、金額の読み上げは省略いたしまして、主な事業を中心に説明させていただきますので、御了承願います。
 3款民生費1項社会福祉費1目社会福祉総務費のうち、岩手県社会福祉事業団自立化支援事業費は、平成18年度から入所型社会福祉施設8施設を岩手県社会福祉事業団に移管したことに伴い、同事業団が経営自立化するまでの一定の間、施設利用者処遇維持の観点から一定の支援を行うものであります。障害者介護給付費等は、市町村が行う介護給付及び訓練等給付などに要する費用の一部を負担するものであります。次に、106ページに参りまして、障害者自立支援対策臨時特例事業費は、障害者自立支援対策臨時特例基金を活用し、障害者が自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう支援するものであります。2目身体障害者福祉費のうち、重度心身障害者(児)医療助成費は、市町村が行う重度心身障害者(児)医療費助成事業に対し補助するものであります。107ページに参りまして、3目知的障害者福祉費の福祉工場運営費補助は、知的障害者福祉工場に対して、障害者自立支援法に基づく新事業体系に移行するまでの経過措置として運営費を補助するものであります。4目の老人福祉費でありますが、108ページに参りまして、介護給付費等負担金は、市町村等が行う介護給付費及び予防給付に要する費用の一部を負担するものであります。後期高齢者医療制度安定化推進費は、医療制度改革に伴い、4月から施行されます後期高齢者医療制度の財政運営の安定化を図るため、岩手県後期高齢者医療広域連合または市町村に対し、保険料減免相当額や高額医療費の一部など、一定の負担を行うものであります。また、後期高齢者医療療養給付費負担金は、岩手県後期高齢者医療広域連合が支弁する療養の給付等に要する費用の一部を負担するものであります。次に、109ページに参りまして、6目国民健康保険指導費の国民健康保険事業安定化推進費は、市町村国民健康保険者の財政基盤の安定を図るため、国保税軽減相当額及び軽減対象被保険者数に応じた平均国保税の一定割合を負担するほか、岩手県調整交付金による保険者間の財政調整や高額医療費の一部を負担するものであります。
 少しページを進んでいただきまして、113ページをお開き願います。3項児童福祉費1目児童福祉総務費の乳幼児、妊産婦医療助成費は、市町村が行う乳幼児、妊産婦医療費助成事業に対し補助するものであります。114ページに参りまして、2目児童措置費の児童保護措置費は、児童養護施設等に児童を措置した際の施設入所などに要する経費であります。3目母子福祉費の児童扶養手当支給事業費は、児童扶養手当とその支給事務に要する経費であります。
 116ページから117ページにかけましての4項生活保護費2目扶助費は、生活保護世帯に対する生活扶助費などの給付に要する経費などであります。
 次に、119ページに参りまして、4款衛生費1項公衆衛生費1目公衆衛生総務費の母子保健対策費は、小児慢性特定疾患治療研究事業、特定不妊治療費助成事業や周産期医療体制の整備・充実に要する経費などであります。120ページに参りまして、3目予防費の特定疾患対策費は、パーキンソン病などの特定疾患患者に医療費の給付等を行うものであります。肝炎総合対策推進事業費は、B型及びC型肝炎患者のインターフェロン治療に対する医療費助成などに要する経費であります。121ページに参りまして、4目精神保健費の精神障害者社会復帰施設運営費補助は、精神障害者社会復帰施設に対して、障害者自立支援法に基づく新事業体系に移行するまでの経過措置として運営費を補助するものであります。自殺対策事業費は、うつスクリーニングの実施や医療関係者を対象とした研修会の開催など、早期発見・早期対応力の向上により、自殺の未然防止のための取り組み等を行うものであります。5目高齢者保健費の特定健康診査・保健指導事業費負担金は、本年4月から施行される高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、市町村が実施する特定健康診査及び保健指導事業に要する費用の一部を負担するものであります。また、健康増進事業費補助は、健康増進法の改正に伴い、市町村が実施することとなった健康増進事業に要する費用の一部を負担するものであります。
 なお、平成19年度までは、5目老人保健費としておりましたが、老人保健法が高齢者の医療の確保に関する法律に名称が改正されましたことから、目の名称を高齢者保健費に変更するものであります。
 124ページに参りまして、2項環境衛生費2目食品衛生指導費のBSE安全安心対策事業費は、BSEスクリーニング検査に要する経費であります。
 少しページを飛んでいただきまして、130ページをお開き願います。4項医薬費2目医務費の医師確保対策費は、自治医科大学運営費負担金や医学部進学者に対する奨学金制度の拡充、女性医師の就業支援の充実など、総合的な医師確保対策を行うものであります。次の救急医療対策費は、病院群輪番制病院や高度救命救急センターの運営費を補助するほか、ドクターヘリの導入の可能性について調査・検討を行うものであります。131ページに参りまして、3目保健師等指導管理費の保健師等指導費は、看護師等養成所及び院内保育施設の運営費の補助などを行うものであます。
 ページを進んでいただきまして、229ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金のうち526万4、000円が当部の所管でありますが、これは、災害援護資金借入金の償還元金であります。
 230ページに参りまして、13款諸支出金1項公営企業貸付金1目公営企業貸付金の県立病院等事業会計運営資金貸付金は、県立病院等事業会計に対し運営資金の貸し付けを行うものであります。
 231ページに参りまして、2項公営企業出資金1目公営企業出資金のうち、県立病院等事業会計出資金は、県立病院等事業会計に対して出資を行うものであります。
 232ページに参りまして、3項公営企業負担金1目公営企業負担金のうち、県立病院等事業会計負担金は、県立病院等事業会計に対して負担を行うものであります。
 次に、議案第2号平成20年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計予算について御説明申し上げます。便宜、予算に関する説明書により説明させていただきます。
 285ページをお開き願います。歳入と286ページの歳出の予算総額は、それぞれ3億1、200万円余であります。287ページから291ページにかけましての歳入は、一般会計からの繰入金と繰越金及び諸収入であります。次に、292ページから294ページにかけましての歳出は、母子家庭及び寡婦の経済的自立、生活意欲の助長、児童福祉の増進などを図るために必要な資金の貸し付けに要する経費であります。
 以上で、母子寡婦福祉資金特別会計予算の説明を終わります。
 引き続きまして、予算に関連する議案について御説明申し上げます。
 議案その2の110ページをお開き願います。議案第34号後期高齢者医療財政安定化基金条例について御説明いたします。
 この条例案は、平成20年度からの後期高齢者医療広域連合の財政の安定化を図ることを目的として、医療に係る給付費が見込み以上に増加したことや、予定した保険料収納率を下回って生じた保険料収入不足などに伴う財政不足に対応し、資金の貸付や交付を行う事業に要する経費に充てるため、後期高齢者医療財政安定化基金を設置しようとするものであります。
 次に、118ページをお開き願います。議案第39号岩手県手数料条例の一部を改正する条例のうち、当部の関係は、120ページまでの介護保険法、毒物及び劇物取締法並びに薬事法関連の改正であります。
 まず、118ページから119ページにかけましての介護保険法関連の改正の内容は、介護支援専門員の研修に係る国の補助制度の改正に伴い、介護支援専門員実務研修手数料等を増額するほか、介護サービス情報の公表において、事業の実態にあわせて調査手数料及び情報公表事務手数料の額を減額するとともに、介護予防サービス等が新たに公表対象に追加されることに伴い、所要の改正を行うものであります。
 次に、毒物及び劇物取締法関連の改正の内容は、毒物及び劇物取締法施行規則に規定する毒物劇物取扱者試験合格証書の再交付を行うための手数料を新たに定めようとするものであります。
 120ページに参りまして、薬事法関連の改正の内容は、薬事法の一部を改正する法律の施行により、薬剤師以外の者が医薬品販売に従事するための医薬品登録販売者制度の実施に係る試験手数料及び登録手数料等を新たに定めようとするものであります。
 次に、123ページをお開き願います。議案第40号岩手県環境保健研究センター検査等手数料条例の一部を改正する条例について御説明いたします。
 この条例案は、平成19年11月14日に水質基準に関する省令の一部を改正する省令が交付され、水道法の規定に基づく水質基準項目に新たに塩素酸が追加されたことから、岩手県環境保健研究センターにおいて行う水質検査について、手数料の額を増額しようとするものであります。
 次に、128ページをお開き願います。議案第42号医師修学資金貸付条例について御説明いたします。
 この条例案は、平成20年度からの岩手医科大学医学部の定員増に合わせて設定される地域枠に対応し、将来、公的病院等において医師の業務に従事しようとする者に対して医師修学資金を貸し付けることにより、これらの者の修学を容易にし、公的病院等の医師の確保を図ろうとするものであります。
 以上で、保健福祉部関係の予算議案及び予算関連議案についての説明を終わります。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
〇千葉康一郎委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木博委員 それでは、2点についてお伺いしたいと思います。
 まず1点目は、療養病床の転換推進計画ですか、これについてお伺いしたいと思います。
 岩手県の地域ケア体制整備構想というものが先般発表になりましたけれども、あれを読ませていただきました。それで、あの中に療養病床の転換推進計画についても記載されているわけでありますけれども、正直、あれを見まして、なかなか転換していくのは大変じゃないかなという印象を持った次第であります。
 療養病床の転換については、国の方針で平成23年度末までに、介護療養病床については全廃、医療の療養病床についても大幅削減ということで、かなり大変だと思っているわけでありますが、まず、第1にお伺いしたいのは、現在それぞれの病床が幾つあって、そして、介護療養病床はゼロにするのが目標なわけでありますけれども、医療の療養病床も幾つまで削減する計画なのか、まず、その数についてお示しいただきたいと思います。
〇及川長寿社会課総括課長 療養病床の数でございますが、平成19年4月1日時点で、介護療養病床につきましては876床、それから医療療養病床につきましては2、586床ございます。
 これが、介護療養病床につきましては、平成23年度末をもって廃止になるわけですが、このことを踏まえまして、地域ケア体制整備構想というものを策定したわけですが、その構想の中で、療養病床転換推進計画というものを定めております。
 それで、この計画につきましては、国が示した参酌標準、それから療養病床を有する医療機関の意向を踏まえまして、さらには圏域の意見を聞いて、その結果、現在の数字として、この療養病床につきましては、平成23年度末には、現在2、586床あるものを2、402床、180床程度転換するという計画でございます。
〇佐々木博委員 私の記憶に間違いがなければ、たしか医療の療養病床は今25万ぐらいあるんですかね。医療は、全国で。それをたしか13万ぐらいまでに削減する計画ではなかったかと思っておりましたが、そうすると、この県の推進計画では、削減の割合はそれより随分少ないと思いますけれども、それでも別に構わないということなんでしょうか。
〇及川長寿社会課総括課長 この構想を策定した時点では、療養病床を転換する、例えば介護保険の施設に転換するといった際のいろいろな情報が、例えば診療報酬とか介護報酬とか、新たなものがどういうふうになるかという情報が十分でなかった、まだ出ておりませんでした。そういうことで、医療機関のほうでも転換の方向性をどう判断したらいいのか未定だとする医療機関が多うございました。
 やはり療養病床からの転換でございますので、医療機関の意向も十分尊重しなければいけないということもございまして、そういう意味では、現時点での構想上の転換目標数というのは、国のほうで目標とした割合に比較しますと低いものに、つまり転換割合が低いということになっております。
 ただ、今後それらの施設基準とか介護報酬等が正式に示されれば、また医療機関の意向も決まってくるのではないかと思われますので、これにつきましては、改めて転換の意向調査を年度が明けてから実施して、転換の推進計画については、見直しが必要になるのではないかと考えております。
〇佐々木博委員 確かにおっしゃられるとおり、この推進計画でいただいた資料を見ますと、現在、療養病床を持っている医療機関で、どのように対応していくか未定というところが圧倒的に多いですね。これは結局、先がまだよく見えていないので、それで態度を決められないというところが非常に多いんだと思います。しかし、考えてみますと、初めに削減の数だけあって、それをどのように転換していくかということが全然見えていないというのも、非常に無責任な話ではないかと私個人は思っております。
 それで、いずれ推進するにしても、特に本県の場合は、医師の数も非常に少ないですし、医療機関が少ないという問題もありますし、加えて、療養ベッドが地域によってはないようなところもございます。そういったことを考えますと、単純な県内全体としての数の問題はもちろんありますけれども、地域のバランスというものも非常に問われるのではないかと考えているわけですが、その辺の配慮についてはどのようになっているんでしょうか。
〇及川長寿社会課総括課長 地域事情につきましては、もちろん地域の意見等も伺って、一応考慮した内容になっております。例えば、今、委員おっしゃったように、療養病床を全く持たない圏域、具体的には、例えば気仙圏域などは療養病床が全くないわけですが、こういった圏域についてはゼロから数字を起こすということで、この計画の中には逆に、数字的にはゼロからふやしております。そういった地域事情についても聞いた上で、いずれ新たに調査をした際にも、医療機関の意向はもちろんのことですが、福祉施設のほうに転換するとなりますと、今度は福祉のほうの介護保険料や何かにもはね返るということになりますので、地域の実情等は十分聞きながら、この転換計画の見直しというものは行っていかなければいけないと考えております。
〇佐々木博委員 それで、転換で多分一番進むと思われるのが老健ですよね。老健ではないかと思いますけれども、緩和要件といいますか、転換するに当たっての制度的なものが幾らか明らかになってきているのでしょうか、どうなんでしょうか。
〇及川長寿社会課総括課長 療養病床から老人保健施設に転換する場合は、今度新たに、今までの老人保健施設ということとはちょっと違う、介護療養型老人保健施設という、ちょっと老人保健施設にとってはダブルスタンダードのような格好になってしまうんですが、そういったものを認めていくということで、国のほうの方針が固まっておるように聞いております。
 それに伴いましては、現行施設をなるべく大きく変更しないで使えるような施設整備の施設の基準、それから、それに対する補助金の手当てというような制度がございますし、あと介護報酬等につきましても、通常の従来の老人保健施設とは、若干手厚く見ていただけるような介護報酬が検討されているようでございます。
〇佐々木博委員 実は、この療養病床の転換は、医療機関には、正直申し上げて大変評判が悪い。介護保険ができて、介護療養ベッドをつくれということで、それにあわせて病院を改築したり新築したりしたところがかなりあるわけですけれども、まだ返済も終わらないうちに、今度はそれが削減だという話ですから、本当に猫の目のように非常に変わるということで、実は大変評判が悪いわけであります。
 そしてまた、一番の大きな問題というのは、療養難民、介護難民が本当に出なくて済むのかという、その転換先の数がきちんと確保できるかどうかということが、私は、やはり一番大きな問題だろうと思っております。
 いずれ、これからまた新しい意向調査をされて、6月からですか、第4期の介護保険事業計画策定に入ると伺っておりますけれども、その辺のところを十分留意されて策定していただくように要望したいと思います。
 第2点ですけれども、後期高齢者医療制度についてお伺いしたいと思います。
 これも、正直言ってなかなか厳しい制度だと思っているんですが、まず第1に、本県で被保険者数がどのぐらいになる見込みなのか、その数についてお伺いしたいと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 県内の35市町村が加入いたします岩手県の後期高齢者医療広域連合によりますと、平成20年4月の制度施行時における被保険者数につきましては、約19万人と見込んでいるところでございます。
〇佐々木博委員 この後期高齢者医療制度の問題の一つが、今だったら扶養家族で保険料を負担していない方が、この後期高齢者医療制度ができることによって保険料を負担しなければいけなくなる。そういった方がかなり出るだろう。全国的には200万人ぐらい出るのではないかと推計されているようですけれども、本県でそれに該当する方はどのぐらいと想定されていますか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 被用者保険の被扶養者であった方の人数になりますけれども、この方々については、後期高齢者の医療制度に加入いたしまして新たに保険料を負担する方々となるわけでございますが、この人数につきましては、平成20年4月中に被用者保険の各保険者から後期高齢者の医療広域連合、岩手県の広域連合に対しまして情報提供されることになっております。その時点になりまして数が確定するものでございます。
〇佐々木博委員 確定はともかく、概算でも結構ですけれども、どのぐらいというめどはないんですか。全国で200万人ぐらいと聞いているんですけれども。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 現在、広域連合のほうで平成20年4月に向けて、制度に向けて準備作業を進めているわけでございますが、現在においては、この被用者保険で被扶養者であった方が平成20年4月以降に正確に何人になるかは把握ができていないという状況でございます。
 概算におきましても、広域連合におきましては把握していないという状況でございます。
〇佐々木博委員 概算でもわからないというのには、実はびっくりしました。大体、本県の経済というのは何でも1%ですから、全国で200万人ということは2万人ぐらいが該当になるのかなと、アバウトに考えればですよ、そのぐらいかなと思っていましたけれども、実は被保険者数が19万人と聞きまして、思っていたよりもちょっと多いなと。それだけ高齢化が進んでいるということなんでしょうけれども、そう思いました。
 いずれ、やはり相当数の方が、要するに今まで保険料の負担がなかった方々が、新たにその負担が生じるわけでありますから、現実問題として、当然、保険料を支払えないという方も多分出てくるんだと思います。その場合、何か資格証明書を発行するというようなことになっているようでありますから、それは結局、窓口で100%払って、後から還付してもらえという話ですよね。そうしますと、結局のところ、病院にかかりたくてもかかれない高齢者が出てくるのではないかと思うわけでありますけれども、そういった方々の相談に応じるような体制というのはできているんでしょうか、どうなんでしょうか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 保険料等に関する相談体制については、各市町村におきまして窓口体制を整えて、その相談に応じる仕組みになってございます。その際には、保険料の軽減に関する制度でございますとか、または減免の制度に関してもきめ細かく説明、相談をするという仕組みになってございます。
〇佐々木博委員 今、保険料減免のお話がありましたけれども、この広域連合になって運営しますと、保険財政に余り余裕がありませんから、なかなか減免とかがとりづらくなるのではないですか。
 それと、保険料のことについて伺いたいんですが、本県は4万7、733円ですか、間違いがないかどうか確認したいと思いますし、いずれ本県の保険料を全国的に見ますとかなり安いほうで、一番高い神奈川県の半分ぐらいではないかと思います。保険料が安いこと自体については別に悪い話ではありませんけれども、問題は、何でこの保険料がこんなに差があるのか、実はよくわからないんですね。保険料にどうしてこれだけの差がつくものなのか、その辺についてのからくりをちょっと教えていただければと思うわけであります。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 まず、岩手県の後期高齢者医療制度の保険料でございます。11月の岩手県の広域連合議会での議決によりまして、年間5万8、433円、1月当たり4、869円と試算されます。
 それで、保険料の高い、低いの要素ということでございますが、基本的には、これまででいいますと老人医療費の高い、低いが保険料にまず大きく反映する。岩手県は、老人医療費も全国で低いほうでございますので後期高齢者の保険料も低くなる。それに加えまして、所得の状況といったものが反映されます。所得の高いところ、低いところで、その状況が保険料にも反映されるというものでございます。
〇佐々木博委員 結局、この広域連合ごとに保険料も大分違いますし、今言った高齢者の医療費も大分違う。まあ所得も違うわけでありますけれども、この広域連合ごとの財政力の差というものが当然あるわけで、それによって、将来、受診できる医療の範囲というものにも格差が生じてくるのではないかと。日本国じゅう同じ医療が受けられなくなるのではないか、そういう心配があるのではないかと言っている方々がいらっしゃるわけでありますけれども、そういった懸念はないんですか。いかがですか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 後期高齢者の方々が受診できる医療につきましては、診療報酬上も全国同様なわけでございます。後期高齢者の医療広域連合によりまして、財政力の差は当然あるわけでございますけれども、その受診できる医療の内容に格差が生じる仕組みにはなっていないと考えております。
 県におきましては、医療広域連合が予想以上に医療給付がふえた場合の財政負担に対する支援でございますとか、または、予想以上に保険料収入が伸びなかったというような場合に、県のほうで設置いたします基金から必要な財政支援を行うとなっておりますので、そういった仕組みなどによりまして、広域連合の財政運営の安定化に県としても支援するということになっておりますので、医療の内容に格差が生じることのないように、県としても広域連合と取り組みを進めていく必要があると考えております。
〇佐々木博委員 最後にしますけれども、国で普通調整交付金がありますよね。それによって広域連合の財政力の格差をある程度、不均衡を是正しようということだろうと思いますけれども、金額が8%、今8、000億円ぐらいと、将来のことを考えますと決して十分な金額ではないと私は思います。
 そして、いずれこのまま進めば、経済の格差によって、受けられる、保険の効く医療行為の範囲も広域連合ごとによって違ってくる、75歳以上の後期高齢者について、そういった時代が来るのではないか。やはりそれは大変なことではないかと思っております。
 特にも後期高齢者、75歳以上は診療報酬体系も違いますよね。ですから、いろいろなそういった点では、決まって、もう4月から始まる制度でありますから、いずれこのとおり行くのでしょうけれども、やはり特にもスタート時点で、今、新たな負担が出る方がどのぐらいになるのかわからない、概算でもわからないというようなお話もございましたけれども、スタートでその辺ががたがたしないように、スムーズに移行されますように、きちんと監督、指導をよろしくお願いしたいと思います。それから、やはり保険の財政の均衡についても厳しく見ていただく必要があると思いますので、そのことを要望しまして、終わります。
〇高橋昌造委員 指名前ただいまの佐々木博委員のこの地域ケア体制整備構想の関係でございますが、この転換推進計画に基づきまして、今度第4期の介護保険の計画が進められるわけですが、市町村の介護保険料にどのようなはね返りがあるのか試算されておるのであれば、大体のところで結構ですので。
 ということは、もう65歳以上の方々が、これ以上介護保険料が上がれば大変だという悲鳴の声が出ているんですよ。そこで私は、市町村、そして実際の被保険者の方々を考えた場合に、果たして療養病床を、介護保険にかかわるところの廃止をしていいものかどうか。老人保健施設に転換するとこれは必ず介護保険にはね返るわけですね。だから、そこですね。
 そして、この間の審議会の議事録も見せていただいたんですが、この医療保険と介護保険で今度療養病床を考えると、その説明の中に、今度は医療と介護の連携というちぐはぐな発言をしておるんですよね。だから、末端の市町村、また被保険者のことを考えた場合、軽々しくこのケア整備の構想について、やはりしっかりと皆さんの意を体して対応しなければ大変なことになるのではないかということが第1点です。
 それから、第2点ですが、この予算に関する説明書の108ページに後期高齢者の関係の予算措置がされておるわけでございますが、私は、なぜ広域連合に県が一緒になってやらないのかと。そこがやはり問題なんですよ。金を出せばそれでいいということではないと思うんですよね。だから私は、この介護保険制度、それから後期高齢者の医療制度について、もう少し掘り下げて対応を考えていただきたいということで、赤羽部長は、そのことについてどのように考えているかお尋ねいたしたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 広域連合と県のかかわりにつきましては私のほうから、それから、先ほどの介護保険料へのはね返りの関係につきましては長寿社会課長から答弁させます。
 広域連合について、県は実際上、人を出していないわけでございます。各市町村がそれぞれ人を出してやっていくということでございますが、この広域連合立ち上げの準備の段階から、県としては、かなり濃密に各市町村と連携して取り組んできていると考えております。人を出すか出さないかということを別として、一緒になって準備を進めてきているところでございますし、現時点におきましても、常に連携をとりながら準備作業を進めているところでございます。
 県がかかわるという都道府県もあるようでございますけれども、岩手県の場合には、各市町村から出てきた方々が一生懸命になって、優秀な方々が来て取り組んでいただいておりますので、県としては、そういう方々が準備を的確に進めるようにきちんとサポートしていきたいということでやっております。そうした中で、施行の準備に向けて広域連合を着々と準備していただいていると考えております。
〇及川長寿社会課総括課長 地域ケア体制整備構想の策定に伴います介護保険料への影響ということでございますが、これにつきましては、介護保険料は、国のほうの報酬単価が決まらないと全体のサービスに係る費用がどれぐらいかかってくるのかというのが決定しませんので、介護保険料へのはね返りという意味では、試算というのはちょっとできておりません。現在は、ちょっとできない状況でございます。
 例えば、療養病床から、これが介護保険の事業所施設に変わりますと、医療保険分は負担が少なくなるが介護保険料分は上がるということで介護保険料にはね返る、そういう構造にはなっておるということでございます。
〇高橋昌造委員 私は、介護保険料、第4期の介護報酬はまだわからないわけですので、現時点でどうなのかということをお聞きしているんです。まだ第4期の介護報酬が決まらないのに、そんな皆さんに御迷惑をかけるようなことを言う人はないですよ。今現在でどうなのかと。
 いいですか、市町村は本当に大変なんですよ。被保険者も。それで転換推進計画を立てるのに、そういう細やかな配慮があっていいんですよ。こういう計画を立てるから、市町村にも保険料の被保険者にも、こういうはね返りがあるということをきちんと説明しなければならないと思うんです。そこはどうなんですか。
 それから、赤羽部長、残念なのは、準備体制のことはもうわかっています、それは。私は、これから県も一体となって、達増県政が目指している草の根政治、これは、まさに思いやりといたわりの心の政治なんですよ。そこを考えた場合に、今の答弁は詭弁に過ぎると思うんです。いずれ、はっきり言って、本当に真剣に考えているのかと疑問を持たざるを得ません。
 いずれ、もうあと、わからないというのにこれ以上言ったってどうにもならないわけですので、これで終わらせていただきますが、今後しっかり対応していただくようにお願いいたしたい。終わります。
〇工藤勝子委員 私からは、周産期医療対策費についてお尋ねいたします。
 産科医が全国的に不足する中で、地域でお産ができない、まさに岩手県がそういう状況に陥っているところであります。いろいろ不安を抱えながら、妊婦さんたちが遠距離を健診に通っている状況であります。これが県内の少子化にも大きく結びついていると思っております。これはアンケートの結果からも出ていることでございます。
 それで安全・安心な環境づくりが今求められております。そういう中で産科医の不足が問題になっているわけですけれども、ここ5年や10年では、多分この産科医の問題が全国的にも解決してこないだろうという思いがございます。
 そういう中において、全国初で遠野市が公設の助産院ねっと・ゆりかごを開設いたしました。そういう中で、釜石、花巻、盛岡を初めといたしまして、9医療機関とまさにITで結んでネットワークを構築して、相談や健診を受けているところでもございます。
 それにつきまして、平成20年度から、今度、助産院が、もう1人増員いたしまして始まるわけでございますけれども、この遠野市の助産院開設の運営における所感と、今後、県としてこういうところの支援をどう考えているのかということをお尋ねしたいと思っております。
 それから、この周産期医療対策費として、今後どのような事業と申しましょうか、やっていこうとしているのか、方向と課題についてもお尋ねいたします。
 それから、県内で一度も健診を受けていないという妊婦さんがどのくらいの人数いらっしゃるかということも、もし把握しておりましたらお聞かせいただきたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 対策費の方向と課題、あるいは健診を受けていない人につきましては、児童家庭課総括課長から答弁させますが、遠野市のねっと・ゆりかごの開設についての所感等でございますが、遠野市の助産院では、モバイル遠隔健診の活用などによりまして、産科医師が不足している地域における安全・安心な出産のために大変努力いただいていると思っております。先駆的な取り組みとして評価できるものと考えておりますし、全国的にも大変関心を持っていただいているということでございます。私も先月お邪魔して、あるいはその前からもいろいろお伺いしておりますが、人口3万人の小さなまちの非常にすぐれた努力ではないかと考えております。
 そうした開設の過程におきまして、遠野市からいろいろ御相談いただいたり、あるいは私どもも産科医会といろいろと連携させていただいております。遠野市の場合には、これからどういう課題があるかというと、やはり恒常的な運営費が課題になってくるというお話でございます。県でもそうした面を何とか見てくれないかというお話もあるわけでございますが、現時点で、市が開設したものについて県が直ちに助成するというのは、なかなか難しいのではないかと思っております。
 ただ、国のほうで、こうした安全・安心のお産の実現のためにいろいろなメニューが来年度予算でそろえられつつありまして、先般、国の会議もありました。そうした国の補助制度なども活用しながら支援できないかといったことを今、考えているところでございます。
 ただ、いろいろハードルはあるようでございますが、そうした国の制度も活用しながら支援できないかという可能性について、今、検討させていただいているところでございます。
〇川上児童家庭課総括課長 ITを活用したネットワークの今後の方向と課題についてでございますが、まず、方向性につきましては、モバイル遠隔妊婦健診については、妊婦さんの負担軽減に一定の効果が認められておりますことから、周産期医療協議会等の場においても継続が必要だという意見をいただいているところでございます。そのため、県におきましては、中核となるサーバーの設置経費等について、当初予算に計上させていただいているところでございます。
 また、遠隔妊婦健診の普及・拡大とあわせまして、総合周産期母子医療センターを中核としたウエブ型の周産期電子カルテシステムを導入いたしまして、県内の周産期医療機関が連携して、ハイリスクの妊婦さんとか、新生児の搬送及び治療を行うための周産期医療情報システムの検討をただいま進めているところでございます。
 二つ目の課題についてでございますが、周産期医療情報システムの充実のためには、各医療機関が妊娠のリスク評価を行って、妊婦健診のデータの共有、こういったこととか、医療機関相互の連携が必要でありますことから、産婦人科医会、周産期医療機関、関係部局等による岩手県周産期医療情報ネットワーク整備検討会を設置し、現在、こういった課題への対応を検討していただいているところでございます。
 また、妊婦健診の未受診者の数ということでございますが、今年度、県におきまして周産期医療の関係機関の調査をさせていただいたデータによりますと、平成19年調査をしました1月の時点で、13の出産等を取り扱う医療機関で、年間19件の妊婦健診未受診者があったという報告をいただいてございます。
〇工藤勝子委員 ぜひ、いろいろな形でこの周産期医療体制が進むことによって、例えば県北・沿岸、また、この中央から離れているそれぞれの地域、そういうところで、お産はできなくても、例えばそういう医療機関とネットで結ぶことによって、毎月通うことがなくていい方向になるのではないかと思われます。
 そして、驚いたわけですけれども、岩手県にも19人の健診を受けなかった方がいらっしゃるということについて、市町村でもそれぞれ健診の無料化、何回か、2回とか6回まで県内にはあるようでございますけれども、もっとこういうものがあるんですというようなPRがかなり不足しているのではないかと。
 財政的といいますか家庭的に苦しい方が、多分受診しないでそのままにしている。そしてまた、2番目の子供を持つときに、1番目が大丈夫だったから2番目も大丈夫だろうというような、そういう安易な考え方もあるのではないかと思っております。そういう面からも、よく市町村と連携しながら、そういう無料で健診できる枠が2回から6回とか、もっとありますよというようなPRをぜひしていただいて、受診していかないと、例えば、お産をするときに、受診していないことによってお産を扱ってくれない病院が全国で出てきているわけでありますので、そういうところをぜひお願い申し上げたいと思っております。
 遠野の助産院ですけれども、助成は難しいというお話がなされました。何が難しいのか、財政的に難しいのか、何か法律の縛りがあって難しいのか、その辺のところがよくわかりませんので聞いてみたいんですけれども、平成20年度、110人の妊婦さんを予定しております。ここのモバイルで健診を受ける妊婦さんを110人見ております。そして、その手数料を300万円見ております。そして、じゃ、その助産院を運営していくのにどのくらいかかるかというと、約2、000万円かかるんですね。2人の助産師さんの給料を含めて2、000万円かかるとされております。
 そして、その300万円を引いた残りは市が負担している。県から言えば、それは市が開設したものだから、市が負担するのは当たり前だというのかもしれませんけれども、まさにこういう助産院を開設したのは、助産師さんが、産科医がなかなか遠野に入って来ないために、まさに知恵を絞って生み出した助産院なわけであります。
 そして、今後、県がこういう形で、難しいとかなんとか言って全然支援をしていかないと、例えばほかの市町村─市は余りないかもしれない。例えば陸前高田市とか、町村の中で助産院を開きたいと思っても、近くにいる例えば助産師さんを見つけて、そしてやろうと思っても、このぐらいの経費がかかるということになれば、それぞれ財政的に厳しくて、やろうと思ってもやれないじゃないですか。
 ですから、この辺のところをもう少し県が、柔軟な発想のもとに、少しは県でも支援するんですよと。国の支援を待っているのではなくて、県でも、この少子化をとめる、そして子供を産もうとしている女性に対して、そういう助産院を開いたところには県としてもできるだけのことをするんですよというような姿勢が見えなければ、今後こういうものは広まらないだろうと思うんです。
 そして、助産院を開設したときに、必ず嘱託医を確保しないと、これはもう完全義務化になったんですね。だから、全国には助産院を閉めなければならないというところも出てきたんです。助産院でお産をしようとした人たちがあったわけですけれども、嘱託医がないために助産院を閉めなければならないというところも出てきているわけです。これは完全義務化と、医療法の改正でそうなったと聞いておりますので、遠野のように9医療機関とネットを結ぶことができたということは、非常に助かったことでもありますし、その医療機関には感謝しているわけであります。
 ぜひ、こういう公設なり私設でも何とか助産院を開いてやろうとするところに対して、県ももう少し支援の幅というんですか、支援をしてほしいと私は願っておりますが、もう一度その点についてお尋ねしたいと思っております。
 それから、今後、助産師さんの役割というのは非常に大きくなってくるだろうと。非常に勤務が大変になってきている、労働時間的に大変になってきている産科の先生を支えるためにも、助産師の活躍というのは大きいんだろうと思っております。そういう面を含めて、この助産師さんの、県として掘り起こしと申しましょうか、産科との連携をとりながら、研修とかそういう形で助産師さんの活躍する場を広げようとすることについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 助産師の活用につきましては、柳原総括課長から答弁させます。
 前段の遠野市への支援についてでございますが、産科医療の厳しさというのは、岩手県だけの問題ではなくて、やはり全国的な問題ではないかと思っております。
 そうした中で、国が安全・安心のお産を実現するために、平成20年度において予算をかなり充実してきております。そこに出されてきているメニューを活用してやるのが、県にとっても遠野市にとってもいいのではないかと考えておりますが、現在の運営形態なり設置形態が、そうした補助事業にうまく合致するかどうかといったことも踏まえまして検討させていただきたいと考えております。
 ただいま工藤委員からお話をいただいたことにつきましては、先般、遠野市からもるる御説明をいただいておりますし、遠野市のほうからは、遠野市だけの取り組みではなくて、他の地域でもやっていけるようなモデル的なものにしたいといったようなお話も伺っております。そうしたことを踏まえまして、少し検討を進めさせていただきたいと考えております。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 助産師の今後の活用についてどうかということにつきましてでありますが、産科の先生が簡単にはふえない中にあって、助産師さんのお力をおかりして産科の医療体制を確保していくことは、重要だというふうに考えております。
 県立釜石病院等で助産師外来から院内助産に発展しているような形が一つあるわけでございますけれども、そういった取り組みを県内の医療機関に普及させることや、現在、助産師さんとして病院でお働きになっている方、または未就業の方もいらっしゃる中で、助産師の方々が今後どういった役割を担っていくことができるかについて、今年度、これまで県の医師会のほうにその検討をお願いいたしまして、助産師会の方々、看護協会の方々、県立大の方々等、関係者の方々で助産師の活用のあり方について検討をいただいているところでございます。そういった検討も踏まえまして、今後、産科医師と助産師の役割分担の連携のもとでの産科医療体制について、さらに検討してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 部長の言葉に期待いたしておりますので、何とかよろしくお願い申し上げたいと思っております。
 次に、保健所の廃止についてお尋ねしたいと思っております。
 今年度からでしょうか、大東支所、遠野支所、岩泉出張所の保健所の3施設が廃止ということになっております。それでお尋ねいたしますけれども、廃止に向けて市町村との協議が十分になされて、理解が得られたと思っていらっしゃいますでしょうか。これを発表して以来、またそれぞれの市町村を訪ねて、さらなる説明なり納得をいただけるようなお話をされているのか、お尋ねしたいと思っております。
 また、現状の体制で、マンパワー、人員的にとても不足であるとか、いろんな部分で業務的に市町村から保健所に対する不満でしょうか、そういうものがあったのか、お尋ねしたいと思っております。
 さらにまた、保健所のあり方と畜産振興─まさに遠野市は畜産振興でありまして、たくさんの家畜がおります。ですから、保健所の役割が大事だと私は言っているんです。人の安全・安心を守るのも大事ですけれども、まさに畜産のほうの関係も大事だと思っております。トータル的にデータをいただきましたけれども、例えば乳牛・ホルスタインは約2、000頭、和牛は5、000頭以上、短角は少ないんですけれども58頭、肥育のほうでも2、000頭、豚が約2、300頭、ブロイラーは少ないですけれども、このように遠野市には家畜がたくさんおりまして、まさに農業振興の大きな役割の一翼を担っているわけであります。そこで、保健所がこういう部分で引き揚げられることに対して、市長も述べられておりますが、非常に大きな不満があるわけですけれども、その中で聞いてみたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
〇古内保健福祉企画室長 市町村との協議の関係のお尋ねでございますけれども、これまで、保健所の支所の廃止につきましては、関係市町村と協議を行いながら進めさせていただいているところでございまして、私も関係市町村に直接お邪魔して、いろいろ協議をさせていただいております。関係市町村とも、県の方針等につきましては一定の御理解をいただいておりますけれども、直接的な住民サービスの低下につきましては御懸念があるといったことが示されてございます。
 市町村への支援の関係になりますけれども、支所及び出張所を廃止いたしまして本所へ集約されることになりますと、県の専門的な支援が薄くなってしまうのではないかという心配は、関係市町村の担当の方々の率直な印象ではないかととらえております。そうしたことも踏まえまして、廃止後におきましては、こうした不安に対応するために、市町村の担当者の方々の御意見を伺いながら、さらには関係する団体等の御意見などもいただいて、県として必要な支援はやってまいりたいと考えているところでございます。
 また、保健所の業務と畜産振興の関係でございますけれども、畜産振興につきましては、保健所におきまして、食品衛生法に基づきまして、食肉や食肉製品あるいは乳製品、卵などの処理施設や関連製品の製造加工施設などの監視指導、あるいは衛生教育、収去検査などを実施しておりまして、広い意味では、畜産食品の安全確保の観点から、畜産振興にはかかわりがあるものだと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 必要な支援はしていくとおっしゃいましたけれども、必要だから今まで支所として置いていたわけでありまして、その辺のところをしっかりやっていただかなければならないと思っております。私とすれば、県南広域振興局の枠に遠野市が入ったわけですけれども、遠野市にとって、考えれば考えるほど、なぜ県南広域振興局に入ってしまったのかという思いがあります。いろんな支所から何から全部花巻のほうにもっていかれるんです。県としても、県南広域振興局の地図を見ながら、保健所をどこと、どこと、どこに配置したならば、うまく連携をとりながらやれるかというようなことをもう少し考えていただきたいと思うんです。花巻にあって、北上にあって、そしてまた遠野を廃止して花巻に寄せるわけです。なぜ花巻と北上が一つでだめなんですか。そういうことの考え方がないんでしょうか。遠く離れている遠野市にも保健所の一つぐらいは置いて、地域の振興を図ったり、畜産もそうですけれども、いろんな形で遠野市にも少しは不便をかけないような対策のためには、保健所の一つぐらいは配置してくれるというような、同じ枠内でそういう考え方が県にはないのかなと思って、私は非常に残念でならないんです。みんな真ん中に寄せればいいという考え方、そのこと自体が、今後の3広域振興局、4広域振興局の枠にするという中で、多分、みんな不満を持っているんだろうと思うんです。最終的にはそこに寄せられる。賛成はしてみたものの、結局そこなのだろうと思うんですよ。だから、私がこういうところでこういうことを言うこと自体が、委員の皆さんに、いや、それではだめだなという思いが広まること自体が非常に恐ろしいというか、そういうこともありますけれども、花巻と北上というのは近いところにあるわけです。そんなに畜産だって、遠野のぐらいいるかいないかは、私はそっちは把握していないからわからないんですけれども、BSEが出たりとか、アカバネ病が出たりとか、今はなくなりましたけれども、そういう畜産に対する伝染病とかが発生したときは、まず保健所なわけですよ。そういう考えからもっていったときに、なぜ保健所ぐらいは遠野市に置いてやろうという気持ちがないのかという思いがございます。
 さらに、今、いろんな食品の安全・安心が求められております。廃止になったことよって、そういう衛生監視体制、指導、教育という部分が低下しないのかという懸念もございます。ぜひ、もう一度御所見を聞いて、終わりたいと思います。
〇古内保健福祉企画室長 お尋ねの食品衛生に係る監視あるいは指導、教育などの業務の関係でございますけれども、保健所及び支所につきましては、食品衛生監視員を配置いたしまして、施設の立入検査等によって、食品営業の許可事務でありますとか、営業施設の監視指導などを行っているところでございます。保健所の支所を本所に集約することによって、監視指導に赴きます職員の移動距離が幾分長くなるというのは事実でございます。ただ、例えば宮古保健所も相当広い管内を所管しておりますけれども、その広さゆえに、そこには業務に支障が出るということが生じないような形で対応させていただいておりますので、そういう意味での支障が出ることはないと考えております。
 また、食品の検査につきましては、従来から県の環境保健研究センターで県内全域分を実施しておりまして、例えば支所を廃止したことによる影響というのは生じないと考えております。いずれ、県民の健康保持の観点から見まして、業務体制がおろそかになってしまうということがあってはなりませんので、そういうことがないように対応してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 安心・安全な妊産婦医療ということで、工藤委員に関連して質問させていただきます。
 12月議会でも質問させていただきましたけれども、今回の知事の演述にも、出生率を低下から上昇に反転させることは、社会の活力を維持向上する観点から重要なことと考えていますとあります。12月議会の答弁の中では、県内の産科医療体制を確保していくためには、産婦人科医師と助産師の役割分担と連携を図りながら、助産師の能力を生かした産科医療体制を確保していくことが必要であると考えているというお答えでした。先ほど、工藤委員からもありましたけれども、2006年6月に成立した改正医療法第19条によって、助産所の開設者が嘱託する産科医師と病院、診療所を定める規定が強化されました。改正の趣旨というのは、出産の異常時等における母子の安全の確保にありますけれども、現実には産科医師や地域の産科病院、診療所が不足する中、助産所が嘱託する医師とか病院を個人で確保するということは極めて困難です。
 そこでお尋ねいたしますけれども、県内の助産所の開設数と医師との契約状況についてお伺いいたします。改正医療法第19条とのかかわりの実態についてもあわせてお示しください。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 県内の助産所の数でございますけれども、現在、14カ所でございます。そのうち、分娩を取り扱う助産所としては2カ所ございますが、この2カ所とも、助産所ではなくて、出張して業務に従事しているというところでございます。こうした出張のみによって業務に従事する助産所につきましては、主として業務を行う場所が定まっていないということがございまして、改正前の医療法によっても、従来より嘱託医師を定めておくこととなっていないものでございます。本県において、医療法第19条によって嘱託医師と契約しなければならない助産所といったものは、こうしたこともありまして、現在ではないという状況でございます。
〇小西和子委員 助産所は、今の答弁にもありましたように、新たな開業はもとより、存続さえ困難になっていくと考えます。御答弁の助産師を活用していくというものとはどんどん乖離していくわけです。限られた病院でしか出産ができなくなっている。四国4県に相当する広い県土にあって、本当に安心して産めるところがない。そこで助産師が妊婦さんをサポートするというような体制ができれば、とってもいいなと思います。それで、出産というのは、今、病院とか診療所が主流となっていますけれども、助産所というのは、妊産婦に寄り添った出産のみならず、その後の子育てについても支援を行う等、重要な役割を果たしておりますので、身近な地域において安心して出産できる助産所を失うということは、女性にとっても、社会にとっても大きな損失です。そこで、改正医療法第19条というものを医療環境が整うまで凍結するということを希望して、終わります。
〇工藤大輔委員 医師確保についてお伺いしたいと思います。
 医師確保対策として、県はこれまでも医師の養成をやってきましたが、実績がどのようになっているのか。これは、例えば医局の定期異動等は除いた形での医師の確保の実績、わかれば、奨学金制度も分けた形での実績がどうなっているのか。また、岩手に来てもらえた先生方の配置先がどのようになっているのか、お示し願いたいと思います。
〇尾形医師確保対策室長 医師確保の実績でございますが、私どもは平成18年9月に医師確保対策室を立ち上げまして、これまで、平成18年度に2名、今年度はこれまでに8名、合計10名、県外のほうから招聘しております。
 それらの医師がどこに配置されたかでございますが、医師の配置につきましては、本人の意向を十二分に尊重した上で、結果的に、これまで県立病院にこの10名を配置してございます。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 医師確保に関する奨学金制度につきましては、現行、三つの制度がございます。県と市町村で実施している市町村医師養成事業、医療局で実施しております医療局職員奨学金貸付事業、あとは、今年度まで医療局で実施しておりましたいわゆる医大の地域枠5人分の奨学制度であります。このうち、医療局が昭和20年代から実施してきております奨学金貸付事業について、全体については、ちょっと私どもの手元にデータがございませんのでお答えできませんが、市町村医師養成事業につきましては、平成16年度から実施した事業でございますので、来年度、その奨学金を活用した方が大学を卒業されて、初めて初期臨床研修に移られるという状況でございます。
〇工藤大輔委員 県外から来ていただけた医師は、本人の意向で県立病院ということなんですが、その交渉の過程の中では、例えば、やはり中心部、生活の拠点がよりよいところがいいだとか、そういった希望が多かったのかどうか、その交渉等の中身が実際どうだったのか、またはどういった要望が多かったか。例えば盛岡を中心とした県内での都市圏では、より希望者は多いと思いますが、例えば郡部のほうの病院においても医師は本当に必要だという中にあって、越えられないハードルがどのぐらいあるのか、交渉の現状についてお知らせ願いたいと思います。
〇尾形医師確保対策室長 交渉の状況でございますが、やはり県外の方々は、ある程度インターネット等で調べて、この辺に勤務したいという意向をお持ちでございます。情報がありましたならば、私どもはお訪ねいたしまして、県立病院の場合ですと、県内に病院が23と診療所が四つ、それから市町村の病院、診療所等についても御説明申し上げるんですが、例えば東京、首都圏等の方については、本線寄りまではある程度考えていても、こちらのほうでいろいろと御説明しながら医療機関を御紹介申し上げるわけでございますが、県北・沿岸のところまで御紹介申し上げても、そこまではちょっと考えていないという状況でございまして、そういった面で広く広報・啓発活動はさせていただいておりますが、結果的に、今、全国で医師招聘活動をしている状況でございますので、本線寄りの希望が多いという印象を持っております。
〇工藤大輔委員 そこが問題なところなんですけれども、例えば二戸の圏域で見れば、医師が相当数足りないという中で、診療応援を相当やっていただいています。中央病院からも来ていただいて、センター機能としての役割も十分に発揮してもらっていると思いますが、やっぱりどうやってもこれは医師が足りない。また、久慈管内で見れば、県立病院は久慈病院一つのみということで、県内全般での、県が仕事・業務をしている中での医療という観点からいくと、久慈管内は経費も何もそれほどかかっていないのかなとも思うんです。そういった地域にこそ、例えば麻酔科の先生も県北では1人しかいないだとか、どうやってもこれは足りないわけなんですけれども、それについて、奨学金制度が来年度拡充されるということで、岩手医大にも5名から10名と、先ほど柳原総括課長のほうからもございましたし、県外の大学の医学部にも20名から35名に増員すると。その内容についても拡充を図るということで、これらについて手厚くなってはいるんですが、この生徒さん方が実際に医師になってくるまでの間は、非常にまだ長い年月がかかるということで、その間もまだ足りないのかという状況になるのだと思います。その辺について御苦労があるのだとも思いますが、何か、その間で確保するようなさらなる手当てというものができないものなのか、お伺いしたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 特に県北・沿岸地区で医師が不足しているという状況にありまして、中核的な病院でもお医者さんが足りない、中小の病院あるいは診療所でも足りないということについては、私どもも大きな課題として位置づけて、取り組みを進めているところでございます。今までは、どちらかというと県立病院が中心だったわけですけれども、ぜひ、各市町村の診療所などにもお医者さんを確保してきて働いていただこうということで、実は医師確保対策室が無料職業紹介所の看板を掲げさせていただいております。そして、市町村の診療所等にも医師を紹介できるような体制を整えているところでございます。
 それから、長い年月がかかるということではございますけれども、先ほど柳原総括課長が申し上げましたように、市町村の医師養成事業はたしか平成16年度から始まっているわけですけれども、6年間の学年の途中から借りている方が、来年度あたりからぽつぽつ出てまいります。そういう方々について、地域医療対策協議会という協議の場がありますので、そうしたところの御意見も伺いながら、そうした奨学生で出てくる方々のキャリアアップということにも視点を置きながら、県北や沿岸の病院で勤務していただけるような対応を進めていきたいと思っております。毎年少しずつふえてくると考えておりまして、新たに出てきた奨学生の方々の配置については、関係者の御意見を伺いながら進めていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 医師が足りない、足りないというのは昔から言っていることなんですけれども、では、実際に何人足りないのか。大枠の診療科ごとに見れば、果たして何人足りないのかということの現状もやはり押さえておかなければならないんだと思いますが、それについて、数値上、どのようにそちらのほうで把握されているかということをお伺いしたいと思います。
 また、臨床研修医制度が導入されて年数がたつわけですが、スタート当初、例えばこれは県立病院で見ても、頑張ってその体制を整えてもらった結果、その受け入れ態勢もよくなっている、また希望者も他県と比べても多いんだということで推移してきていますが、この臨床研修医制度が、現在では医師確保についてどのような影響を与えているのか、また、今後についても、全国の医師不足ということからすると、岩手の医師確保において、どういう影響を及ぼすと想定されているのか、お伺いします。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 診療科ごとの医師の必要数ということでございます。これにつきましては、これまでも診療科ごとの医師数といったものをどういった水準で数えていくかといったことで、技術的に難しい面があるとお答えしてきたところでございます。各診療科単位で学会などがあるわけでございますけれども、学会ベースでもいろんな調査研究もされている現状にございます。例えば内科学会ですと、人口5、000人に1人は内科専門医といったものが必要だという提言なども出しております。また、小児科医についても人口3、000人程度に1人、それが病院勤務には必要だというような学会としての見解は出ております。
 一方で、例えば専門科の中の代表的な領域でございます心臓血管外科の学会などでは、例えば年間25例とか30例以上の手術をできないような心臓外科医の方は、やはり心臓外科医として働くべきでないという勧告を出すような動きもあるわけでございまして、そういった医療が進歩していく中で、どういった水準で医療を提供するのかといったものが、技術的に推測なり予測することが私どもはかなり難しい面があるということがございまして、正直に申し上げまして、各診療科ごとに、例えば消化器内科、循環器科の先生が何人必要なのかについては、いわゆる適正数といったものについてを算出することは非常に困難ではないかと思っております。
 ただ、一方におきまして、現実の中で当直体制をしく中で、当直明けの次の日は勤務をしないというような体制を確保するためには何人程度必要なのかということは、各病院、医療機関ごとで、そういった機械的な算出は一定程度可能なのかと思ってはおりますが、それが医師の本来の適正な必要数かどうかについては、またいろいろと議論が必要なのではないかと考えております。説明が長くなりましたけれども、この必要性については、私どもとしてなかなか簡単にまだ算出することができないと考えているところでございます。
 そして、臨床研修医制度の影響といいますか、効果ということでございます。これにつきましては、平成16年度から制度が開始されて、平成16年度に最初に制度に入った方々が、平成18年4月に初めて研修制度が終わったわけでございます。その五十数名の方々の8割は、引き続き県内の医療機関に勤務されている。その翌年の方々も8割以上の方々が県内の医療機関に勤務している。この方々について、では、3年目以降定着がどうだったかといったことを見たところ、1回目の方々は、3年目のときに約8割の方が残っておりましたが、4年目には約6割という状況でした。次の研修医の方々は、3年目に85%程度の定着でしたけれども、4年目にも8割を越えておりました。そういうことで、県内の臨床研修医制度を利用して研修された方々が、県内の医療機関に臨床研修を終わった後も定着して、県内の医療を支えていただいているという状況はかなり進んでいるのではないかと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 臨床研修医制度のほうではよく頑張っていらっしゃるということがわかりましたが、県のほうからも、例えば医師確保だとか医師養成という観点について、毎年のように要望してきているのだと思います。そういった中で、例えば医学部の定員増というのもあったはずです。また、できることなら、過疎地域に先生方にまず必ず赴任してもらう、そこで仕事をしてもらうんだという制度をつくってもらえないかだとか、そういった意見もあったのだと思います。また、診療科別の医師数を国のほうでしっかり設定してほしい、そうしていきながら医師確保をしてほしいんだという要請もしてきたんだと私は思います。そういった中にあって、県内でどの診療科で医師が何人足りないかということを把握するのは難しいということでは、国に対して適切に要望ができていないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 これまでも、今御指摘のあったとおり、診療科別の医師の必要数といったものについて、その需要の見込み等を示してほしいということで、私どもとしても国に対しては要望してきた経緯はございます。国会におきましても、小児科、産婦人科についてそういったものを出すよう努めると、一時、そういった答弁もありましたけれども、国においては、そういったものが進んでいない状況でございます。
 こうした中で、私どもとしては、先ほど申し上げましたような学会等の動きも情報収集に努めつつ、県内の医療機関に勤務されている方々に実情のお話をいろいろお聞きした上で、県内の診療科別の医師数のあり方といったものがどういった形で検討ができるのかについては、現場の先生方に引き続きお話を伺ってまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 話を伺うのはよくわかるんですけれども、国のほうでも実際どのぐらいそれぞれ必要なのかということを把握するために、やはり各県の事情を十分把握するというのが必要だと思うんです。その事情を把握するには、やはり岩手は岩手の数字を押さえておかなければならない。例えば、先ほど麻酔科の先生の例を出しましたけれども、県北に久慈病院、二戸病院がある中で1人しかいないというのは、明らかにこれは足りないんだと思います。恐らく久慈病院に1人という状況であっても足りないんじゃないかという判断をするんだと思います。そういう手術のできる広域の基幹病院となるところには、岩手としては最低2名は欲しいですよという一定の基準を設けて、その積算のもとに、最低限このぐらい必要なんだとか、もともとない診療科は当然必要なのだから、それも求めていきたいだとか、それには、先ほど産婦人科の話もあったとおり、当然そういったものも出てくるんだと思います。そういった形で国のほうにしっかりと要望していく姿勢というものが必要だと私は思いますし、そういったことをすることによって、医師確保というものがより的確に進むのだろうと思うんですが、部長、最後に御答弁願いたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 診療科ごとの医師数の把握につきましては、柳原総括課長が申し上げましたとおり、いろいろと複雑で難しい問題があるのではないかと思っております。そこの地域の病院がどういう医療をするのか、どういう医療ニーズをするのかということで相当変わってくると思います。
 もう一つは、医療は、高度化すればするほど、あるいは器械が導入されれば導入されるほど、医師の数が必要になってくるといった側面もあります。そして、単独の科だけではなくて、今、麻酔科の御指摘もありましたけれども、他科による連携といったことも必要になるのではないかと考えております。そうしたことからすると、簡単に各診療科ごとの数を出して、こうでございますということにはなかなかいかないのではないかと。
 もう一つは、例えば整形外科などでも、手を専門にする方、足を専門にする方、脊椎を専門にする方ということで、各科ごとにもまた細分化してきているわけでございます。そうしたいろいろなことを考えながら対応していかなければならないと考えております。
 先ほど御指摘がありましたように、こうした岩手のような地方で、医師になるために一定の研修をしてもらうということも非常に大事なことではないかと思いますし、全体として、やはり医師数を伸ばしていく中で、そうした研修なども含めて、地域で働く医師をふやしていくということがまず大事ではないかと考えております。これまでも、全国の衛生部長会などの場でも、今御指摘いただいたようなことにつきましてはいろいろと議論をしてきて、国にも提言しております。なかなか実現してきていないというのも事実でございます。私どもはこれからも、今までいろいろ要望してきたことを踏まえて、国にはしっかりと岩手の医療の実情を訴え、岩手で安心して医療が受けられるような体制をつくっていけるように、国に対して要望してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 最後にさせてもらいますが、がん治療においても、例えば重粒子線治療とか陽子線治療というものは、本来、岩手でも、できるのであったら欲しいと。ただ、人口等を考えれば、東北で一つかなということ等も踏まえれば、やはり、より人口の多い宮城県じゃないかとか、いろんな想定もできるんだと思います。また、医療においても機能を分担していくというのがこれからの方針でしょうし、そのような形で現状も進んでいると思います。盛岡地域を中心としたより高度な医療ができる地域、そこまではたどり着けないけれども、地域の中核で医療をする病院、そしてまた専門医は必要ではないけれども、総合医的な存在の先生をより多く欲しいんだと思う地域、それらの方向性をもって、今、県は明確に進んでいるんだなと私は理解していますので、それに当てはめたような形での把握であったり、要望というものは、やはりやるべきだと私は思いますので、そういった方向にぜひ向かっていってもらえますよう要望して、質問を終えたいと思います。
〇飯澤匡委員 ただいまの医師確保について、部長の答弁で、最近、医療の高度化に伴って診療がかなり高度化してきて、それが我々の地域医療にとって逆の面が出ているという部分だと思います。昨年の地域懇談会の中で千厩病院の院長先生が、やはり地域に必要な総合内科医のような新しい原点に戻った内科医の新設といいますか、そのようなものをきちっと立てていかないと、地域医療はもう崩壊してしまうというようなお話がありました。連絡会議などで恐らくそのようなことも地方から声が出ていると思うんですけれども、その現状は、こちらのほうからどの程度声が出ているのかということと、もう一点は、こう言っては失礼ですけれども、自治医大の先生方は地域医療に対して非常に理解が深くて、訪問診療までやりたいという先生はたくさんおられます。しかし、県立病院の基本的な考え方とその部分が、病院の位置づけとともに果たして合致しているかどうかという部分が、私はその気持ちというのは非常に買いたいと思うんですけれども、どうも医師の配置と病院の位置づけ─これは医療局なのでしょうけれども、そこら辺が現状にちょっとそぐわない部分が出てきているのかなという感じ、そういうずれが、現場で逆に混乱しやしまいかというような感じを持っているんですが、その点について赤羽部長からの御所感をお願いしたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 先ほど工藤大輔委員からもお話がありましたように、地域の医療レベルをどうしていくかということ、あるいは地域の医療ニーズをどうしていくかということに対応して、いろいろな役割を担う医師をこれから育てていくということは必要だと考えております。そうした総合医、あるいはいわゆる入り口のような、ポータルサイトみたいな形で地域で役割を果たすような医師というものも必要だという議論もあります。そうしたことにつきましても、私どもは、いろんな場で国のほうとも意見交換をさせていただいたり、あるいは岩手医科大学で地域GP養成事業といったモデル的な事業などもやっております。岩手医科大学などとも話し合いをしながら、これまでいろんな取り組みをしてきたところでございますが、一方で、医師になった方は、やっぱり専門分化して高度なものを身につけたいという気持ちをお持ちの方が多いことも事実ではないかと思っております。そうした中で、国として総合医といったものの位置づけをどうするか、やはり国の医療政策としてきちんと検討していただき、社会の中で必要だ、そうした総合医としての活動をしていくことは、他の診療科の高度専門をやるのと同じぐらいに社会的な高い評価を得られる、あるいは価値があるんだという位置づけにしていくことも非常に大事ではないかと思います。
 それから、自治医科大学の卒業生につきましては、御自身が医師として働くことについてのいろいろな夢でありますとか動機を持って進学し、地域に入っていただいております。その方々の声につきましては、私どもは、年に一、二回ですけれども、お邪魔して御意見を伺ったり、あるいは県庁に来ていただいて状況を伺ったり、自治医科大学の先生を引き受けていただいている病院の院長さんのお話を伺ったり等々して、できるだけそういう方々の希望に沿った医療ができるように努めていきたいと考えております。
 一方で、自分はすぐ地域に出たいんだということもあるわけですけれども、先ほど申し上げたことと少し反するかもしれませんけれども、その一方で、例えば整形外科医としても一本立ちしたい、そういう両方のお気持ちを持っている方も非常に多いような印象を持っております。小児科や精神科もやりたい、そういうこととどういうふうに、つまり地域で働くことと医師としてのキャリアアップをしていくことをどう組み合わせていくかということで、個々の先生方も非常に悩んでいるようでございます。そうしたことを具体的にお伺いしながら、地域でしっかりとやり、義務履行後も岩手に残って医師として働いていただけるように支援していきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 高額療養費制度についてお尋ねしたいと思います。ちょっと難しいので説明していただきたいんですけれども、特に旧総合病院とか、岩手県でいうと県立病院は診療科が複数にまたがっているところの高額療養費の支給の算定の仕方というか、現状をちょっと説明していただければと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 高額療養費の算定の方法ということでございますけれども、高額療養費を算定する場合につきましては、対象となる診療報酬、いわゆるレセプトでございますけれども、このレセプトについては、各病院の診療科ごとに作成いたしました上で、高額療養費を診療科ごとに算定するということになってございます。今、このもとで70歳以上の方と70歳未満の方で仕組みが若干異なっておりまして、70歳以上の方ですと、すべてのレセプトを合わせて高額療養費を算定するという仕組みになってございますが、70歳未満の方につきましては、1件当たり2万1、000を超えたレセプトのみが、その合算対象となっているものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 70歳以上の方は全部のレセプトを合算して計算できると。漏れはないという感じなんですけれども、特に、県立病院のいろんな診療科にまたがって行った場合に、診療科ごとに2万1、000円未満しか払わないけれども、実は6万円以上払ってしまっているという方が結構いるようなんです。そういったものについては大変な負担になっているということで、ちょっと不利益というか、差があると言われています。一つの病院に行った場合には、全部合算しますから同じになるわけですけれども、その点、例えば、国はこの辺はどういうふうに考えているのか、お伺いします。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 レセプトの枚数といったものは、全年齢を通じますと膨大な枚数になるものでございます。そうした中で、これは各保険者がそのレセプトの突合をするわけでございますけれども、枚数が膨大であるために、個々のすべてのレセプトを、個々の被保険者ごとに合算するといったことが困難であるということから、70歳未満の方については、2万1、000円を境として、その対象とするかしないかを、今、実務上設定しているというものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 保険者というのは病院のことですよね。そうじゃないんですか。被保険者は患者じゃなくて、保険者というと医者……(「市町村」と呼ぶ者あり)市町村か。なるほど。では、市町村がこういった集計をして計算するのが困難であるから、実務上難しいと国は判断しているという理解でいいんですか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 説明が不足しまして、大変申しわけございません。保険者と申しますのは、市町村国保でございますとか、健康保険組合でございますとか、政府管掌保険といったいわゆる医療保険の保険者でございます。そうした保険者におきまして、このレセプトを、基本的に高額療養の対象になるかどうかを出しますので、市町村国保ではなくて、すべての医療保険者ということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 それで、例えば県も含めてですけれども、自治体病院というのか、何というんでしょうか、そういったものも含めてですけれども、こういった不利益は何とかしたいというのは、ずっと動きがあるようです。例えば2万1、000円以上になっていますけれども、前は3万円以上だったとか、そういった一定の改正というか、いい方向に来ているんでしょうけれども、かなり素朴に、病院にかかっている人も非常に不満があるみたいで、何でおれだけこんなに払わなきゃならないんだとか、患者の中ではその仕組みがわかっていない人が多いです。それを教える必要もあると同時に、国のほうにもやはり強く働きかける必要があると思っているんですけれども、そういった動きはしているのか、また、今後どうしていこうと思っているのか、お伺いします。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 御説明申し上げましたとおり、膨大なレセプトといったものを各被保険者ごとにいろんな医療費と合算するのは大変難しいという実情があると申し上げましたが、国におきましては、医療機関のIT化といいますか、電子化を進めるということで、電子カルテなり、またはレセプト計算の電算化といったものも国全体として進めることとおります。そのレセプトの電算化がかなり進みますと、病院としてのレセプトの集計なり、また、保険者として被保険者単位での集計といったものがかなり現状とは変わってくるのではないかと考えておりまして、こうした国の医療分野でのIT化といいますか、レセプトの電算化の進捗状況を踏まえつつ、高額療養費の支給の方法について、国の動向は今後とも十分注視してまいりたいと考えております。
〇千葉康一郎委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時52分 休 憩
午後1時4分 再 開
〇飯澤匡副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇新居田弘文委員 私の方から二つの点についてお聞きします。
 まず一つは、母子家庭、父子家庭等あるわけでございますが、それらの支援の内容についてお伺いします。
 いろいろな事情によりまして父子家庭あるいは母子家庭等が生じておりまして、あるいは健康的な事情とか高齢化等によりまして収入がないというようなことで、るる生活保護的な生活支援もやっておりますが、最近の被保護世帯の人数とか、あるいは世帯員、それらが非常に増加していると伺っておりますが、その状況と、その要因といいますか、その辺の分析についてどのように把握しておられますか、お伺いしたいと思います。
 それから、保護費の支給に関しまして、過日、北海道で不正な支給があったということで、いろいろ犯罪的なそういう見方をされておりますが、岩手ではそういうことはないと思いますが、その辺の状況についてお伺いします。
 それから、あわせまして民生委員と児童委員の関係でございますが、市町村合併によりまして、前の小さな市町村が大きな市に変わることによりまして設置基準が変わりまして、それで児童委員、民生委員の人数も大分縮減されるような報道がありますし、あるいは現にそうなっているのかと思いますが、その辺の状況と、その変わったことによりまして市町村とか地域でのいろいろな障害等、何かないのかどうか、その辺の把握状況についてお伺いします。
〇下屋敷地域福祉課総括課長 生活保護の最近の状況ということでお尋ねでございます。
 平成18年度現在での被保護世帯でございますけれども7、848世帯、被保護人員は1万1、121人ということで、保護率、県民1、000人に幾らの割合かといいますと8.02パーミルということでございます。保護率の最も低かった平成9年度、ちょうど10年ぐらい前になりますけれども、それと比較いたしまして3、000余りの世帯、63%の増、それから被保護人員でいいますと4、090人ということで58.1%の増加となって、増加傾向にあるという状況でございます。
 それから、保護の増加の要因でございますけれども、保護開始ケースの毎年度の理由別割合ということで見ますと、同様に平成9年度と18年度を比較いたしますと、従来、傷病によるもの、いわゆる病気等によるものが55%と大きかったわけでございますが、これが34%と低下しております。一方、勤労収入の減、それから預貯金の目減りといったような景気に左右されるものが28%から42%と増加しているということでございまして、今まで持続してきました景気の低迷によるものの影響が非常に多くなってきているのではないか、そのように考えているところでございます。
 それから、いわゆる生活保護費に関しての不正受給というお尋ねでございます。これについてどのように対応しているかというお尋ねでございます。
 委員の御質問にございましたのは移送費の問題だったと思いますけれども、北海道であったケースでございますが、本県におきましては、通院給付費につきましては、生活保護の実施機関におきまして、その移送費の要否の意見書の徴収をきちんととっておりますし、それから、その領収書にこれが確かに必要なものかというようなことの手続を徹底して審査しておりますので、北海道であった不正受給というようなものはないと承知しております。
 また、県といたしましても、福祉事務所、いわゆる実施機関に対しまして、生活保護法に基づきます事務監査を県内福祉事務所20カ所に対しては毎年行っておりまして、給付状況全般については適正に監査を実施しておりまして、今後もかかるような不正受給があるような問題については、未然の対応に努めてまいりたいと思っております。
 それから、民生委員、児童委員の一斉改選のお話でございましたが、3年に一遍の改選ということで、定数につきましては見直しを行いまして、御存じのとおり、定数の基準は厚生労働省から示された基準に従いましてやっておりまして、結局、現定数が3、362ということでありましたけれども、新定数としては3、329ということで、若干下がったというような状況でございます。
 それで、合併に伴いまして、幾らかの市では、厳しい基準がかかったことに伴いまして、なかなか国の定数基準のとおりにはいかないというようなこともございましたので、私どもとしては暫定というような見方で、やはり地域の中での民生委員の活躍というのは非常に重要なものですから、市町村と十分協議いたしまして3、329というような定数案にさせていただいたということでございます。
 なお、民生委員の減に伴っての影響というようなお尋ねでございますけれども、これにつきましては、自治体のいろいろな自治区の見直しとかということにあわせて、また是正もするでしょうし、あるいはまた、県といたしましては民生委員をサポートするような、そういう近所での支え合い、いわゆる世帯の見守りを、民生委員に対して御協力申し上げるような、そういう組織というものも、少しずつではありますけれどもできてきているところもございますので、そういうものに力を入れてまいりたい、そのように思っております。
〇新居田弘文委員 民生委員の定数につきましては、前に心配したよりはかなり現状維持に近い努力をされているということについては、確認いたしましたし、ぜひ今後とも余り急激な削減をしないような形で進めていただきたいと思います。
 それから、保護世帯につきましては、平成9年に比べますと、理由の中では経済的な状況が非常に厳しい中でというような、そういう評価もされているようでございますが、まさに今の経済の状況を反映しているのかなということで、やはり国の政策なり、あるいは県の対応をきちんとやってほしいということを申し上げたいと思います。
 それにあわせまして父子家庭の関係でございますが、人数を確認しますと、何か5年に1回岩手県の母子世帯等実態調査ということをやっていらっしゃるということで、これは平成15年の資料でございますが、母子家庭世帯数が1万1、093世帯に対して父子家庭が1、285世帯ということで、人数的には少ないですが、どちらかといいますと、決して十分とは言いませんが、母子家庭に対するいろいろな支援制度その他あるわけでございますが、父子家庭についてのそういう制度は、比較しますとかなり少ないといいますか、比較にならないくらい制度的に整備されていないのではないかという印象を持つわけでございます。
 この間も実はテレビでも拝見したんですけれども、お母さん方よりも、むしろお父さん方のほうが、子育てもなれていない、あるいは家庭の料理その他もなかなか対応ができないということで、本来の仕事、サラリーマンとかそういう仕事が、どうしても残業とかあるいはいろいろ遠い出張なんかもできないということで、正職員から臨時職員、あるいは解雇まで至るようなケースの紹介がされておりました。
 そういう意味で、父子家庭に対する支援制度の充実が求められているのではないかと思っておりますが、その辺について、県のほうの考え方─あるいはよその県でも、県で無理であれば国に対してそういう働きかけをしたい、するべきだというような紹介もありますが、この辺について、県の対応についてお伺いします。
〇川上児童家庭課総括課長 ただいま委員からお話ございましたとおり、5年置きに実施してございます平成15年度の実態調査によりますと、母子世帯数が1万1、093世帯、父子世帯数が1、285世帯でございます。この中をもう少し見てまいりますと、就労収入では、母子世帯では15万円未満の収入が69.4%、父子世帯では15万円以上の収入のある方が87.5%となってございます。いわば、現在、母子家庭、父子家庭の収入の部分、就労の部分で見ていきますと、こういったような状況でございます。
 なお、現在、父子家庭に対する支援といたしましては、これは母子家庭と同じような部分もございますが、各振興局に配置してございます家庭相談員兼自立支援員を配置いたしまして、父子家庭も対象とした家庭や児童等のさまざまな相談に応ずる児童家庭相談事業、金銭貸借の問題などについて弁護士による法律相談を行う特別相談事業、そのほか日常の、先ほど委員からもお話ございましたとおり、家庭生活を営む上で日々の生活の支援という部分で生活支援員の派遣を行って支援する日常生活支援事業、そのほか、お子さんの保育所への優先入所などが父子家庭でも実施されているところでございます。
 総体として比較いたしますと、委員御指摘のとおり、やはり所得の関係、あと現在の収入の状況、非常に厳しい母子家庭に比べますと、種々の統計データによりますと父子家庭のほうが、そういう厳しさの部分ではまだ少し緩やかな状況だといったようなこともございまして、現行の全国的な制度の中では、父子家庭に対して、例えば母子家庭に行われている経済的な支援、児童扶養手当の支給とか、そういったような部分が行われていないところでございます。
 それと、全国的な部分でいきますと、一部市町村においては、父子に対する経済的な支援を含めて実施している自治体もあると承ってございます。また、こういった状況については、昨今、ニートの関係、いろいろな部分ございまして、父子家庭も大分厳しい状況になってきている、こういう状況につきましては、県といたしましても承知しているところでございまして、父子家庭への支援の母子家庭並みへの充実・拡充等について、県として国に要望している状況でございます。
〇新居田弘文委員 確かに、説明ありましたように、平均所得の割合からいきますと父子家庭のほうが母子家庭より恵まれている部分はあるんですが、低いところは、また別な意味で非常に厳しい状況に置かれておりますので、引き続き、その改善なり支援についての御努力をお願いしたいと思います。
 二つ目ですが、岩手県の障害者工賃倍増5か年計画についてお伺いします。
 これは、国が平成19年2月に策定した成長力底上げ戦略に基づく福祉から雇用へ推進5か年計画に基づいて、本年2月に岩手県が策定したものとされております。
 それで、県内の就労支援事業の状況と、それから、これの策定に至った経過の中で、今の平均工賃の実態はどれくらいに把握しておられるのか。それから、それを5年で倍増するということでございますが、その具体的な取り組みについて御紹介いただきたいと思います。
〇小林障害保健福祉課総括課長 県内の就労支援事業所の状況と、平均工賃の実態についてでございますけれども、県内の就労支援事業所は、昨年10月時点で128事業所となってございます。そこで、その平均工賃は、平成18年度実績で1人1カ月当たり1万3、848円となっておるところでございます。
 これを5カ年で倍増する具体的な取り組み方法についてでございますが、一つは、企業的経営ノウハウの導入を支援していこう、二つ目が、地域就労支援ネットワークへの参加を支援していこう、三つ目が意識啓発、四つ目が官公需の促進を図っていこうといったような取り組みを図りたいと考えておるところでございます。
〇新居田弘文委員 その取り組み、あるいは目標数字は理解いたしましたが、実際に上げるためには、今お話ありましたようなことを含めて、その努力が必要だと思います。一番大事なことは、授産作業所、そういう事業所での仕事の量を、今、官公需関係についても十分指導していくというお話がありましたが、絶対量を確保しないと工賃をもらえないということになりますので、その辺については、さらに御努力いただきたいと思います。
 そこで伺いますけれども、実は私ども、多分去年の暮れだったと思いますが、山形県の新庄市、あるいはそこにあるスーパー、授産施設関係を見てまいりました。実は、スーパーなどで使っております使用済みトレーを授産施設で回収しまして、そして選別あるいは洗浄して、そのトレーをつくっている会社のほうに納品といいますかやっているというような実態を拝見したわけでございます。
 岩手県でもスーパー等でそのような取り組みの計画があるやにちょっと聞いているわけでございますが、障害者にとっては仕事の確保、あるいはトレーの再利用、それが地球温暖化対策等いろいろな面で非常に大事な組み合わせだと理解しております。この辺の進め方について、環境生活部もですが、当部関係でも障害者対策の中で非常に大事な取り組みではないかと思いますが、その辺の指導・援助等についての今後の取り組みの考えなり、その方針についてお伺いします。
〇小林障害保健福祉課総括課長 新庄方式の取り組みについてでございますけれども、県内におきましても、既に企業との連携によります新規事業の開拓等に取り組んでいる事業所が複数あると把握してございます。県といたしましては、新庄市の取り組みなど先進事例を学びながら、さきに策定しました岩手県障害者工賃倍増5か年計画の着実な推進を図りまして、事業所の新規事業開拓などの取り組みをさらに支援してまいりたいと考えております。
〇新居田弘文委員 お願いします。終わります。
〇高橋雪文委員 私のほうからは、がん診療連携拠点病院機能強化事業費についてお聞きしたいと思います。
 まず最初に、この解説文章で、目に見えるような形でがん医療の質の向上を図るとありますけれども、具体的にはどんなことを指しているのかを質問したいと思います。
 また、あわせて、中央病院にPETの施設ができるわけでございまして、これは非常に願っていたことだと思うところでございます。しかしながら、先日、岩手日報で、岩手医大のほうではオーション2470マイクロアレイヤーという装置、まだ実用化の段階ではないような感じで、実験装置みたいな感じなんですが、こういうものも導入しているということで、要は、医療の技術というのは日進月歩でございまして、これをどうやって将来的な方向性を含めて施設整備をしていくかというのも非常に重要な問題であろうと思うわけであります。
 そこでお聞きしたいのですが、この今回導入するPETの機能的なものを少し教えていただきたいのと、どういう方々が対象になっているのかを示していただきたいのと、将来的な医療器具の方向性とか、それをどういうふうにしようとしているのか。多分、私の発想ですと、連携の6病院が、例えば2年周期で新しい機械を導入していくとか、段階的に備えつけをしていくようなイメージもあるんですけれども、その辺もどのように考えておられるのか、まずは質問します。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 本県におきますがん対策につきましては、今、策定作業をしております岩手県のがん対策の推進計画によりまして今後取り組むこととしているわけでございます。
 この計画におきましては、10年という全体の計画期間の中で、がんによる死亡率、これは国の計画と合わせまして75歳未満の年齢調整死亡率というものでございますけれども、これを10年間で20%減少させるといったことを目標としようとしております。
 この目標実現に向けまして、特に、計画で医療分野におきましては、がん診療においてのいわゆる標準的な治療といったものでございますとか、緩和ケアといったものを県内の医療機関に普及定着させていくことにしておりまして、このがん診療連携拠点病院等の医療機関の整備でございますとか、標準的治療を担う専門医師の育成、特にも化学療法と放射線治療を行う医師でございますけれども、こういった医師の育成に取り組むこととしているものでございます。
 この標準的治療でございますとか緩和ケアを県内の医療機関に普及定着させる取り組みの中心となるものは、がんの診療連携拠点病院と考えてございまして、県としては、この事業を通じまして、がん診療連携拠点病院の取り組みを支援して、本県におけるがん医療の質の向上を図ることとしております。
 具体的には、今申し上げましたとおり、死亡率といったことを全体の目標とする中で、これを低減させる、これによって医療の質といったことをある意味では評価していきたいと考えているものでございます。
 それと、機器の整備ということでございます。
 がん診療の進歩に対応いたしまして医療機器の導入といったものは当然必要になるものだと考えてございます。そういう場合が想定されるわけでございますけれども、県といたしましては、そういった状況を踏まえまして、必要に応じまして国の補助制度等を活用して支援策を検討するということに考えてございます。
 医療機器につきましては、現在でも、診療報酬におきまして、PETについては診断機器として評価されてございまして、微小ながんの診断といったことでございますとか、がん治療をした後の再発の早期発見といったようなものに今では利用されているというものでございます。
 そして、どういう人が対象かということにつきましては、がん患者さんが対象になるというものでございます。ただ、一部、脳血管疾患の脳血管の循環を診るということでPETを使うという場合もありますが、主としては、がん患者さんが対象になるというものでございます。
 将来の医療器具・機器といったものをどのように整備していくのかにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、医療技術の進歩に対応し、医療機関がどういった機能を担っていくかといったことも踏まえまして検討していく必要があるものだと考えております。
〇高橋雪文委員 他県は中心的ながんセンターがある。宮城県なんかも、がんセンターの役割というものが非常に大きくて、それの専門の医師なんかというものも充実している。ところが、岩手県の場合は、そのがんに対する専門医も非常に少ないというのをお聞きしていますし、まだまだがんに対してやらなければならない施策というものがたくさんあるのではないかと思います。
 ところが、一昨年も約4、000人、約30%ががんで死亡しているというように、やはりがんに対する要望というのは非常に強いんだろうと思うんです。
 そういった意味で、今回この拠点強化という事業が公になって、目に見える形で強化していくんだと。10年スパンで20%軽減していくというのは、非常にいいというか、本当に県民の要望されているところだと思うところであります。ぜひ、積極的に進めていただきたいと思うんですが、2点気になっているのは、その専門医の数というのはどれぐらいなのか少し教えていただきたいのと、どういうふうに育成しようとしているのか。そして、今、PETの運用についてはがん患者ということでありますけれども、やはり可能性がある人、もしくは検診という意味での利用というのはなじまないものなのかというのを少しお聞かせいただきたいと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 県内のがんの専門医といいますか、広い意味でのがんにかかわる専門の先生ということでございますけれども、県内の医療機関すべてに勤務している先生方の、がんにかかわる専門医をどの程度取得しているかの情報については、現在、全数としては把握してございません。
 しかしながら、今、平成19年度に医療法が改正されまして、各医療機関からは、医療法に基づいて広告可能な専門医の取得状況、取得している医師を各医療機関から県のほうに報告をいただく仕組みができております。それの情報につきましては、その他の情報も含めて五、六百項目にわたる調査でございますので、どのように調査をして公表していくかについて、今、関係機関と調整している段階でございますが、そういった中で、各県内の医療機関全体でどのような専門の医師がいるのかといったことについては把握できるものと考えてございます。
 それで、そういった中で、いわゆるがんの専門医をどうやって育成していくのかということについてでありますけれども、がんの専門医として例示されるものは、例えば消化器外科の専門医でございますとか、乳腺外科の専門医でありますとか、あとは化学療法については、がん治療認定医等といった新しいものもございます。
 そういった取り組みについては、今回のがんの対策推進計画では、この拠点病院を中心としていろいろな研修などをしながら人材育成するということもございますが、これとあわせて、岩手医科大学が弘前大学、秋田大学、岩手県立大学と連携して取り組んでおりますがんプロフェッショナル養成プランというものがございます。こうした取り組みの中でも、岩手医大として特に化学療法の専門医でございますとか放射線治療の専門医の育成に力を入れるとなってございますので、そうした取り組みと連携して、県内の特におくれている化学療法、放射線治療の専門医を育成してまいりたいと考えております。
 そして、最後、PETについての検診への利用についてはどうかということでございますけれども、現段階で集団検診にPETを利用して、その場合の効果がどうかということについては、いわゆる大規模な調査に基づいて、全体として集団の死亡率を下げるといった効果がまだはっきり出ていないというものでございます。あくまでも集団を対象とした集団検診という意味でございますけれども、これとは別に、個人が受ける場合については、またいろいろな発見率がございますが、あくまでも集団検診という形で全体として把握する場合については、まだ明らかなものが示されていないと認識しております。
〇高橋雪文委員 がんについては、調べるところ、1984年から岩手県での死亡の原因の一番高いところでございまして、非常に時間もたっていると。そういう中で、これから10年、非常に期待していきたいと思うところでございますけれども、やはり全国レベルと比べて考えると、まだまだおくれをとっている、そういう医療分野ではないのかという思いもありますので、ぜひ期待をしてみたいと思います。
 もう1点は、緩和ケア病棟について少しお聞かせいただきたいと思いますが、来年5月に盛岡赤十字病院で緩和ケア病棟が設置されるということですけれども、県の施設では、段階に応じてその緩和ケア病棟というものをつくろうと企画されているようでございますが、全体的な連携とか、これからのビジョンとか、そういうものを一体どのようにお考えなのかをまず1点聞きたいと思います。
 また、通告はしておらないんですが、岩手日日新聞でこんな記事がありました。盛岡の赤十字病院の緩和ケア病棟の件なんですが、機能評価で国の認定を受け保険が適用される緩和ケア病棟の設置は県内初と言う。こういう記事があったんですが、今までの県が取り組んでいる緩和ケア病棟が、この対象になっていないのは何でなんだろうという思いがあるので、この辺を少しお聞かせいただきたいと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 緩和ケアの今後、緩和ケア病棟との関係、地域医療機関との連携の今後の方向性というお話でございましたけれども、今般の策定作業を進めておりますがん対策の推進計画におきましても、緩和ケアは重点事項の一つでございます。
 その中で、県内で既に緩和ケア病棟を設置している磐井病院でございますとか、今後設置される日赤等、緩和ケア病棟を有している医療機関に加えまして、いわゆる緩和ケアチームとしてそういった組織を設置している医療機関もございます。
 そういった医療機関は、そこの医療機関単独だけで緩和ケアを当然完結できるわけではございません。入院治療と合わせまして、同時並行的に早い段階から緩和ケアを実施し、症状等がそれなりに判断された段階で在宅に戻られる。その中で、在宅におきましても、地域のかかりつけ医等と連携した上で、その在宅生活を支援する緩和ケア体制をつくっていくといったことが必要と考えておりまして、計画の中でも、そのように今後、地域の中で医療連携体制を構築するとしておりますので、こうした方向で取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 それから、もう一つ、現在ある緩和ケア病棟が保険診療の適用になっていないのではないかと。恐らく、もしかしたら磐井病院の緩和ケア病棟だといたしますと、診療報酬上、緩和ケア病棟の入院管理料を算定するためには、日本の医療機能評価機構といったものの病院機能評価を受けることが基準になってございます。したがいまして、恐らく、もしかしたらまだ磐井病院のほうでその病院機能評価のほうが、全体としてまだ終わっていないのではないかと考えられます。
〇高橋雪文委員 この緩和ケアのチーム、岩手県立では中央病院のほうにもあるわけでございますけれども、やはり要望というものが非常に大きくなっているのではないか。そういったときに、それに対応できる人材育成というものも、さまざまなところで医師不足などが指摘されているところではあるんですけれども、将来的な育成の部分でも、やはりしっかり考えていかなければならないんだと思います。
 私は、やはり保険の適用ができない施設というのは、多分、利用者にとっても非常に難儀なんだろうなと思うわけであります。尊厳ある死という苦痛などをできるだけ低減したいということで、そのケア病棟の意味づけもあるわけですけれども、そういった意味で、非常にあり方が今後問われていくのだろうと思います。その点を御理解いただきながら進めていただきたいと思いますが、ぜひ部長にも一言御意見を賜って終わりたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 岩手県における緩和ケアの推進につきましては、住民の方からも非常に大きな期待があるところであります。
 以前は、緩和ケアといいますと、いわゆる亡くなる前の痛みを取るだけということで言われていたんですが、最近では、がんということがわかった段階から、痛みの少ないような医療をやっていくべきだということが言われておりまして、緩和ケアに対する考え方が非常に大きく変わってきております。各先生方も、そうした方向でやっていただいてきつつあると思っております。
 そうした中において、県としてもこれまで、例えば中央病院でありますとか磐井病院でありますとか二戸病院など、緩和ケア病棟がない段階でのそれぞれの病院の取り組み、あるいは在宅の、例えば訪問看護ステーションとの連携、薬剤師会との連携、そうした部分についても、いろいろモデル的な取り組みをやってきたところでございます。そうしたことがベースになって、少しずつ在宅の緩和ケア、それから緩和ケア病棟における緩和ケアというものが広まってきていると考えております。
 今後も、いろいろと人材が少しずつ養成されてきておりますので、そうした方と連携しながら、本県の緩和ケア体制について強化を図ってまいりたいと考えております。
〇久保孝喜委員 今のがん対策の関係でお尋ねしたいと思います。
 答弁にありました、県のがん対策推進計画が本年度中にできるということで策定作業中だと聞いておりますが、その中でちょっと気になったのは、先ほどお話の出た死亡率目標数値の設定、死亡率の関係ですが、素案の段階での文章を見ると、岩手県における過去10年のがんによる死亡率、その改善の度合いというのが9%であったとされていますが、一方で、国のその平均値、全国の平均値が15%であったと。
 15%対9%、かなり大きな乖離だと思うんですが、お話あったように、医療環境の問題だとか、あるいはがんの拠点的な対応ということについて言えば全国との差があるというのはわかるんですが、しかし、この差を埋めるための計画をつくっていくわけですから、その点で、何がこの9%と15%の差になっていたとお考えなのか。計画の素案段階では、その部分の分析というのが明確に打ち出されていないような気がするんですが、そこをあわせてちょっとお尋ねしたいと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 国の10年間のがん死亡率の低減の状況と本県の低減の状況、この差はどういう要因があるのかということでございますが、この死亡率については、素案の段階では、先ほど申し上げました75歳未満の年齢調整死亡率の推移をお示ししてございます。
 75歳未満の年齢調整死亡率といいますと、本県は全国平均を下回っているわけでございます。大変ややこしい話になりますが、生の死亡率といいますか、亡くなった方を単純に人口で割る粗死亡率を見ますと、岩手県は全国の平均よりも高い死亡率になります。そして、その理由と申しますのは高齢化の影響があるわけでございまして、いわゆる75歳未満の年齢調整死亡率といった出し方は、全国共通のモデル的な人口に当てはめたときに、同じ土俵で死亡率の状況を見るとどうかと比較するものでございます。その状況で比較いたしますと、ここ10年の推移は、すべての期間におきまして全国平均が岩手よりも高い状況になっておりまして、高い状況からより改善する度合いが進んだと理解しております。
 岩手の場合は、もともと全国より低い状況だったものをさらに低くしていくというのは、同じ速度でやった場合に相当程度の努力が要ると考えておりまして、この15%と9%の差といったものは、一つは、人口構造の差といったものも大きいと考えておりますし、もう一つは、医療環境の要因も一つの要因としてはあろうかと考えております。
〇久保孝喜委員 確かに、言われるように粗死亡率と年齢調整の死亡率では差があるということもそのとおりなんですが、皆さんがお示ししたこの計画の協議会の中での資料の中にも、例えば平成十二、三年ごろまではかなり全国との乖離があった、岩手県が低かったと。ところが、ここ最近の数字でいうと、ほぼ折れ線グラフが重なりつつある状況、死亡率自体がですね、そういうことになっているわけです。
 しかも、今度のこのがん対策について、国の方針、基本計画でも、20%というのが例示されているわけでしょう。結局、国の計画に準じて県も20%にはしているんだけれども、今、死亡率そのものがどんどん全国平均に近づいて重なりつつあるという現状で、果たして、同じ数値で目標設定して、将来にわたって全国的な中で岩手県のがん対策というのが数値目標の設定としていいのかどうかというのは、議論としてあるんだろうと私は思うんです。つまり、死亡率20%を国の準拠のままに設定すると、どの都道府県も今一斉にこの計画をつくっているわけで、そうすると20%以下の設定をするところなんかまずないわけですよね。どの県だってみんなやっているわけです。
 その意味で、20%、同じままだったら、必ず5年後10年後には、この死亡率の問題も含めて、私は、岩手県は立ちおくれてしまうのではないかという気がするのでお話を申し上げているわけです。
 しかも、この15%、9%という話は、先ほどの人口構成の話もありましたけれども、岩手県はワーストテンの中の3番目ですよね、9%というのは。そういう報道が実はなされているわけです。
 がんの対策を考えている皆さん方にとっては、今、全国の都道府県が一斉にこの基本計画をつくっているものですから、比べやすい状況になっているわけですね。どの県がどういう目標で、どういう取り組み方をしようとしているのか、そこで比べられてしまうと、例えばこの数値目標の設定も、20%というのは、いかにも国の計画にただ準拠しているだけと受け取られないか、あるいは死亡率の現状からしても、この後の将来にわたる削減目標としては、いささか消極的過ぎないかという懸念があるのでお聞きしたわけで、その点でお考えをお示しいただきたいと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 国におきましては、過去10年間の死亡率の低減状況15%という状況を踏まえて、さらに今後10年間で5%上積みの20%にしようと私どもは見ております。県の計画は、これまで過去10年間9%のものを20%にするので、これは倍やろうというものでございます。したがって、国の達成見込みよりも、ある意味、岩手県の目標設定は厳しくて、逆に、お尋ねされることになるかもしれませんが、本当に達成できるのかという御指摘もあろうかと思います。
 しかし、岩手が、4、000人近くの方々が毎年命をなくされているという状況からしますと、こうした政策的な目標を掲げて、医療従事者だけではなくて、当然行政も、そして県民の方々も参加していただいた上で、がん対策を全体として進めていく。こうした取り組みの中で、ぜひともこの目標を達成できればと考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 2点お尋ねいたします。それぞれ前の委員とややダブる項目があろうかと思いますが、なるべくダブらないように質問させていただきます。
 まず、チャレンジド就労パワーアップ事業についてでございます。
 詳細につきましては、先ほど新居田委員の答弁からお聞かせいただきました。現状と目標、工賃倍増に向けた取り組みということでお示しいただいたわけでありますが、私、まず初めに、この事業を進めるに当たりまして、今年度もモデル的に進めているとは承知しているんですが、この事業に対する、いわゆる事業者の方あるいは利用者の方、またその家族の方、この事業に対しての認識をどのように持っていらっしゃると把握しているのか、まず、それをお聞かせいただきたいと思っております。
〇小林障害保健福祉課総括課長 この工賃倍増計画の策定に当たりまして、各方面から議論いただいたわけでございますけれども、また、この策定をした後におきまして、この策定をしましたよということで、各事業所にも指導、支援をしているわけですが、その中で聞こえてきますのは、障害者あるいは就労支援事業所が、まず、私どもが支援するよりも、何よりもこの方々が意欲を持ってこれに取り組まなければ、なかなかこれが達成できないだろうということでございました。そのために、アドバイザーを通じまして、さまざまその辺のノウハウを提供させていただいているというようなところでございます。
〇関根敏伸委員 ちょっとよく理解できなかったのですが、言いたいことは、やはり事業を進める上で、今まで副次的な就労をしてきたという環境の中から、大きく目標設定をして工賃を伸ばそうと、この方向性自体は、私も自立という観点からして、これはお金は必要不可欠なものでありますから、一定のものを目標を立ててやるということはもちろん大切なのですが、やはり前提として、今申し上げました環境がかなり変化してくるという中で、殊にも障害を持った方、家族の方、事業者の方の合意を持った上でこの事業がスタートすべきであろうと考えておりまして、そういった認識をどのように前提としてとらえていらっしゃるのかとお聞きをしたかったわけであります。
 それとあわせて、いわゆるポイント、この事業を5カ年で約倍増ですよね、1万3、000円が2万7、000円というところに倍増を達成するためのポイントをどのようにとらえていらっしゃるのか、あわせて再度お聞かせいただきたいと思います。
〇小林障害保健福祉課総括課長 障害者の方々にとりましては、現在、先ほども申し上げました1万3、000何がしの収入、一生懸命働いてその程度しか作業工賃が入ってこないということになりますと、2級の障害者を例にとりますと6万6、000円ですので、合わせましても月約8万円ということで、経済的にとても自立というところまで行っていないという状況がございまして、障害者の方々にしてみれば、一生懸命働いているので、それだけの収益を上げたいというようなところがありますし、それからもう一つは、就労支援事業所にしてみれば、今まで訓練というような観点で行っていたものでございますが、その訓練といった作業から、今度は仕事といった作業に組みかえていかなければならないということがございまして、両方の認識が必要だろうと思っておりますし、それが障害者個々人の幸せにつながるだろうと思っております。
 それから、ポイントでございますが、長くなって申しわけありません。先ほどもお話し申し上げましたが、就労支援事業所への企業経営的ノウハウの導入支援でございますとか、地域の就労支援ネットワークへの加入促進といったようなことが挙げられるわけですが、何度も申し上げますが、何よりも障害者でありますとかその事業所が、そうしたことに意欲を持って取り組んでいただくというのが非常に重要だろうと思っております。
〇関根敏伸委員 わかりました。ぜひそのようにお願いしたいと思っております。
 重ねてお伺いいたします。商工労働観光部でも、いわゆる一般就労に向けたさまざまな取り組みをしていらっしゃるわけです。その中で、保健福祉部がこちらの倍増計画を担当されるということです。
 事業の内容を見ますと、やはりアドバイザーがいらっしゃる、販路拡大する、生産工程やらさまざまな効率性を求めるという意味で、保健福祉部の方々には今まで余りなじまなかった分野の仕事かと考えまして、相当に商工労働観光部との連携も必要だと考えております。
 あわせて、今まで県としても、官公庁として、障害を持った施設へのさまざまな発注ということで便宜を図ってきたといいますか、さまざま意を用いてきたとは思うんですが、より以上のこういった倍増計画に向けて、県として、いわゆる発注者の側として、この計画を軌道に乗せるためにできる取り組みの可能性、こういったことについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
〇小林障害保健福祉課総括課長 商工労働観光部との連携についてでございますけれども、中小企業等への経営支援を目的に設置されております財団法人いわて産業振興センターの経営コンサルタントの派遣などを通じまして、商工労働観光部に御協力いただきながら、連携して進めているところでございます。
 それから、発注者として県が今後できる可能性についてでございますけれども、これまでも、会議時における茶菓の依頼でございますとか、あるいはイベントでの記念品の調達でございますとか、保健福祉部内各課への郵便物の配達依頼でございますとか、そういうことを行ってきたわけでございますけれども、本年3月から地方自治法施行令が改正されまして、従来の就労支援事業所からの授産製品の購入に加えまして、役務の提供が随意契約できることになったということもございます。こういうものを通じまして、一層の官公需の促進に努めてまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 ぜひ、その辺の部分については密接に連携をとりながら、また県としてもできる部分いろいろ間口を広げていっていただきたいと思っておりますし、具体的に、来年度から本格的にこの事業が始まる上で、重なるようでありますが、やはり事業所があって、職員の方がいて、障害を持った利用者の方がいて、アドバイザーが入ってと、さまざまなあつれきというか、机上ではなかなか考えられなかったこと、感情的な部分というものも恐らく出てくるかと考えております。県として、その辺かなり慎重な対応と、あと市町村との役割分担をぜひ濃密にしていただきながら進めていただきたいと思っております。これは要望にとどめさせていただきたいと思います。
 それから、2番目でございますが、これも先ほど出てまいりました、広い意味のがん対策ということでお聞かせいただきたいと思います。
 昨年、国におきまして、がん対策基本法が成立いたしました。この法案は、御承知のとおり、参議院議員でありました故山本孝史議員が、みずからがん患者であることを告白しながら、患者やいわゆる保護者の方々の大きな後押しの中で成立された本当に大きな法律だと理解しております。
 その中で、国の基本計画にのっとって、先ほどちょっと議論にありましたが、今、県の推進計画の素案、間もなくこれが成案という形で発表されるかと思うんですが、パブリックコメントを経て行われているという状況かと聞いております。また、あわせて、がん診療の連携拠点病院、今まで2病院だったものが四つ新たに指定を受けて6病院ということで5、000万円の予算が計上されております。これら二つ合わせて、ぜひがんの対策に積極的な推進をという立場から、詳細についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
 まず、1点目でございます。先ほどのがん患者の岩手県の死亡状況に対しての県の認識、これは久保委員からも質問がありました。同様の趣旨の質問をしようと思っておりましたが、おおむね理解はいたしました。ただ、絶対数としてふえているということ自体は、これは紛れもない事実でありますし、国との過去10年間の死亡率の変化という現状はあろうかと思いますので、この辺について、やはり厳しい認識を持った上で進めていただきたいと思います。
 あわせて、このたびがん診療の連携拠点病院が岩手医大、これは県拠点病院ということなのでしょうか、それから北上、磐井、宮古と指定されておりました。国の指針としては二次医療圏すべてに指定されることが望ましいという方針があったかと思うんですが、今回すべての二次医療圏に指定されなかった理由は何があったのか。
 あと、あわせて、そもそもの話なんですが、指定を受けることによって、国の具体的なさまざまな支援、財政面を含めてどういったものが期待できるのか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 がん診療連携拠点病院のない四つの二次保健医療圏があるわけでございますけれども、この保健医療圏におきましては、現状におきまして、国が定めておりますがん診療連携拠点病院の指定要件を満たした上で、申請する病院がなかったために、本年度国に対して推薦を行わなかったものでございます。
 それと、がん診療連携拠点病院の指定を受けた際でございますけれども、これは診療報酬上、がん診療連携拠点病院加算といったものが評価されてございます。また、今般、予算審議をお願いしてございますように、国においては、がん診療連携拠点病院の機能強化の補助事業を制度化しておりまして、本県の御審議いただいている事業についても、その制度を活用して予算計上させていただいているものでございます。
〇関根敏伸委員 指定要件を満たさなかったという話であります。詳しい指定要件まではお聞きする時間がありませんが、その指定要件の一つに、がん登録ということがたしかあったのではないかと理解しております。この推進計画を進める上で、やはり数値目標を持って、5年、10年のスパンで計画を実行していく上で、やはりどうしてもこの評価という観点から、がん登録というものが必要になってくると思っております。これがなかなか、岩手のみならず日本国内進んでいないという現状があると聞いております。
 このがん登録とあわせまして、がんの総合的な相談体制の整備、これに向けた今の県内の現状、また、あわせまして将来に対する取り組み方策、これを聞かせていただきたいと思っておりますし、加えまして、素案の中に、がんの予防、早期発見という観点から、いわゆるさまざまな数値目標がこれから正式な形で設けられようとしております。その中に、がん発見のための受診率の向上、今、正式な段階ではないと思いますが50%ということが5大がんに示されていこうかという状況かと理解しております。その受診率向上と、あと受動喫煙防止のためのいわゆる100%分煙化の動き、こういったことに対しての取り組み、現状認識を踏まえてお聞かせいただきたいと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 がん登録の現状につきましては、がん診療を向上させるために病院が院内の取り組みとして行います院内がん登録、これに取り組む医療機関が少ないという現状がございます。また、その地域全体のがん患者数を把握するために行う、いわゆる地域がん登録といったものがございますが、これの事業に対する県内の中核的な医療機関での取り組みに、現状においてはまだ温度差があるという状況ではございます。
 がんの登録については、まさにがん対策の評価を行うために非常に重要なものでございますので、手術とか、化学療法でございますとか、放射線療法の多くのがんの治療といったものが、地域の中核病院で実施されているといった状況を踏まえますと、まず、そのがん診療連携拠点病院等において、この院内がん登録と地域がん登録に積極的に取り組んでいただいて、登録数の増加と精度の向上に努めていく必要があると考えておりまして、がん診療連携拠点病院機能強化の事業も、こういった取り組みを支援するものでございます。
 それと、相談体制の現状と今後の方策ということにつきましては、医療が高度化、複雑化している中におきましては、患者さんが納得して医療を受けることができるようにするためには、その相談体制の整備が非常に重要だと考えてございます。このために、まず、がん診療連携拠点病院には相談支援センターといったものが設置されておりますので、こうした機能の充実を図る、これをまず優先して取り組みながら、がん医療に係る相談機能の充実といったものを全県的に図ってまいりたいと考えております。
〇及川長寿社会課総括課長 がん検診の受診率の向上についてお答えいたします。
 策定中のがん対策推進計画におきまして、先ほどおっしゃられたとおり、受診率50%の目標を掲げてございます。県では、まず受診率向上のためには、検診の実施主体である市町村への支援は重要だと考えております。
 岩手県は、全国平均よりも受診率は高いのでございますが、それでもやはり、例えば乳がんの受診率等でも40%ちょっと切るような格好なんですが、全国平均よりは若干高いというふうになっております。
 この50%の目標達成に向けまして、がん検診の受診率、特に低い年齢層とか地域、そういったところに重点的な普及啓発や受診の勧奨、それから受診しやすいような受診の計画、受診期間を長くするとか、そういったいろいろな受診実施計画の策定、こういうものについて、いろいろな地域を対象にして支援をしていきたいと思っております。
 さらに、検診従事者、お医者さんとか撮影技師さんですが、こういった方々を対象とした研修会の開催、今もやっておりますが、こういうものも質の確保の面からも引き続き支援していくことが、受診率の向上にもつながるのではないかと。
 それから、何よりも自分の健康は自分で守ろうという考え方に立っていただいて、受診対象の年齢の方には積極的にがん検診を受けていただくというのが大事だと思いますので、そういうことを県内にいろんな機会をとらえて訴えてまいりたいと考えております。
〇高田保健衛生課総括課長 受動喫煙防止対策についてでございます。喫煙だとか受動喫煙が、がんとか循環器疾患等の健康障害のリスクを非常に高めるということは、科学的根拠で裏づけられているということでございますので、県といたしましても、たばこ対策を重要な健康づくり施策の一つとして推進していくということで考えてございます。具体的には、保健所等を通しまして、たばこによる健康障害に関する情報提供であったり、あるいは公的施設や民間施設に対する受動喫煙防止対策の推進、あるいは禁煙希望者に対する禁煙支援活動、あるいは学校での喫煙防止教育などを、先ほど申しました保健所等で、そういう対策を進めているところでございます。
 また、がんの予防のためには、たばこが最大のリスク要因であるということがあります。また、喫煙あるいは受動喫煙は、当然たばこが重要であるということでございますので、先ほど申しました禁煙希望者に対する禁煙指導や、不特定多数が利用する施設における受動喫煙防止対策を推進しているところでございます。
 なお、受動喫煙防止対策の方策として分煙ということがよく言われているところでございますけれども、最近のいろいろな研究によりますと、分煙のみでは健康障害の防止には十分に有効ではない、むしろ不十分であるということが言われているところでございますので、我々としましても、引き続き、不特定多数が集まるいろんな施設の設置者に、あくまでも相手の施設設置者の御理解をいただきながらということが前提になろうかと思いますけれども、分煙だけでなく、禁煙も含めた受動喫煙防止対策を推進してまいりたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 そもそも、がん対策の基本的な目的というのは、がん医療の格差是正と均てん化、医療の質の向上ということになろうかと思います。今まで、特に地域医療の確保という問題で、県内の医療格差の現状、医師不足の現状がるる示されているわけでありますが、殊にも、がんの二次医療圏ごとの格差というのはかなり大きいのかなと、私なりに、いただいた資料を見て思っております。例えば手術療法でありますと、盛岡医療圏で50%が行われている、放射線療法でありますと67%、化学療法は70%ということで、ほかの医療圏でのこういった医療行為が数%にとどまっているという実質状況があるわけであります。また、緩和ケアチームとか、緩和ケア外来の設置の状況についても、二次医療圏で設置されているのが三つとか四つ、こんな状況の中にありまして、まさにこれを、医療計画をつくりながら推進していかなければならないという状況になろうかと思っております。
 また、先ほど、専門医のことについても、現状、専門医の数は把握されていないということでありますが、専門医等をつくって、標準的、集学的な医療をやっていくということが最終的な目標だと考えております。今申し上げました地域格差、専門医の養成、あるいは最終的な素案が正式な案になるときに、専門医の目標数値の立て方、あるいは立てるのかどうかを含めまして、この辺の状況につきまして、方向性をお伺いさせていただきたいと思います。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 標準的な医療を普及させて、地域格差の是正、地域がん医療の均てん化を図るということでございますけれども、基本的には、二次保健医療圏ごとに整備をしようとしておりますがん診療連携拠点病院等のがん診療を担う医療機関の整備をまず進めた上で、この病院を中心といたしまして医療連携体制を構築し、標準的な治療でございますとか、集学的な治療といったものを県内の医療機関に普及定着させていきたいと考えております。これによって、地域医療、がん医療の均てん化を、そして、本県のがん医療の水準を向上させていきたいと考えているところでございます。
 これを担うまさに専門医の養成の関係でございますけれども、今後、がん診療連携拠点病院等におきまして、こうした化学療法や放射線治療を専門とする医師等を初めとした医療従事者の育成に取り組んでいくこととしております。
 その中で、具体的な数値目標ということでございますけれども、来週、第4回目のがん対策推進協議会で計画案をお示しすることとしておりますけれども、その中には、特に全国的にも、本県においても普及がおくれております化学療法と放射線療法の部分について、特に学会が認定する専門医の数といったものを目標数値に掲げたいと考えております。具体的には、放射線療法に従事する専門の医師ということで、例えば放射線腫瘍医といった方々になりますけれども、それの目標数値20人、化学療法に従事する専門の医師として、これは薬物療法専門医ですとかがん治療認定医というものでございますけれども、これを50人という数値で掲げさせていただいて、現在いる先生方にこういった資格を取っていただくことも含めまして、全体として、こういった専門の医師を養成していきたいと考えているところでございます。計画の中では、平成24年度までの5年間で何とかというものでございます。
〇関根敏伸委員 最後になります。先ほど来あった5年後でがんの死亡率を10%減らす、最終的には10年で20%減らすということになろうかと思っていますが、国の基本法自体、これは本当かどうかわかりませんが、大きな問題点として指摘されておりますのが、財政的な裏づけがなかなか根拠性に乏しい法案だという一部の声があるということも聞いております。そんな中で、部長に最後にお伺いをいたします。
 この計画を着実に進展させていくために、国に対して、強い財政的な支援でありますとか裏づけ、予算の重点化といったことも含めまして、強い決意でもってこの推進計画を推し進めていただきたいと思うわけでありますが、計画を推進するために何が最も必要になってくるのか、そういった観点からのお考えと、最後に、この20%の実現に向けました部長の御決意をお聞かせいただいて、終わりたいと思います。
〇赤羽保健福祉部長 基本法は議員立法で、山本議員の訴えの中でできたということでありまして、あの基本法に書いてある理念が実現されることは国民の願いだと思っております。そうしたことを私どもとしても国にしっかりと要望していきたいと思っております。
 それから、人はいつかは何かでは死亡するわけでございますけれども、できるだけ健康で長生きしよう、がんといったものを県民の中から少しでも少なくしていこうということが非常に大事だと考えております。予算的な配慮、人的な措置、施設面の整備、午前中から、そうしたことについてるるお尋ねがあったわけですけれども、本日いろいろとお尋ねいただいたことも含めまして、県としても、県民のがんによる死亡を一人でも少なくしていくという決意を持って、この計画の実現に向けて力強く努力してまいりたいと考えております。
〇高橋比奈子委員 本日の審査説明にありましたユニバーサルな社会づくりについて伺いたいと思います。
 昨年の12月議会で、ひとにやさしいまちづくり条例を全面改正しており、これに伴いまして、ユニバーサルデザインなどの推進のための来年度の取り組みをお知らせいただきたいと思います。
 あわせて、ホームページやパンフレットによる周知の状況についてです。県が平成13年にマップを作成して、リアルタイムでのデータ更新のため、平成18年度はインターネットでの検索ができるようにと電子マップシステムを開発して、今年度、掲載のためのデータの更新作業を進めていると認識しております。その進捗状況と課題などがありましたら、お知らせいただきたいと思います。
〇飯澤匡副委員長 元気よく答弁をお願いします。
〇下屋敷地域福祉課総括課長 12月議会におきまして御承認いただきました条例は、10年ぶりの全面改正ということで、県民の方々が、これからの少子・高齢化社会を迎える中で、移動しやすい、生活しやすい、身近なところでの生活環境を整えていくという理念のもとで改正させていただきました。
 来年度の取り組みはいかにということでございますが、まず一つは、今まで届け出制でございました公的な建築物を、事前協議制ということで7月1日施行になっておりますので、これについて、今、リーフレットを作成いたしまして、関係事業者の方々への周知を行おうとしておるところでございます。
 もう一点は、条例の中で、多くの県民との協働ということでございますので、いろんな御意見を県の施策の中に生かしていかなくてはいけないということで、ひとにやさしいまちづくり推進協議会というものを条例の中で設置させていただくことになりました。現在、これにつきまして公募委員を募集しておりまして、30人以内ということでございましたので、新年度早々にでもこれを立ち上げさせていただきたいと思っております。また、この協議会に伴いまして、基本指針でございますけれども、ひとにやさしいまちづくり推進指針を平成20年度内に立てたいと思っておりますので、協議会の場等を通じまして御審議をいただきたいと思っております。
 県といたしましては、道の駅のトイレ、これはオストメイト対応トイレを整備させていただいておりますけれども、来年度も1カ所程度はオストメイト対応トイレを道の駅に整備させていただきたい。大体以上のことが来年度の大きな取り組みでございます。
 2点目は、ホームページ等における、特に施設マップはどのような状況かというお話でございました。実は、公共的施設、医療施設、官公庁もそうですし、駅舎等もそうでございますが、これらの障害者用トイレ、駐車場、エレベーター表示等を本にしたものを平成13年当時につくっておるわけでございますが、その後、時間もたっておりますので、いろいろギャップも出ているだろうと。これについて、昨年度でございますが、県のホームページから入ってきまして、インターネットによる電子マップシステムを完成させたところでございますので、現在、電子マップシステムに入れるデータ入力をどのようにするかということで、先ほど申し上げましたいわてはーとふるマップのデータについてのチェックをしておるところでございます。大体でき上がってきておりますので、4月に入りましたならば、順次、データを、はーとふるマップ掲載の施設を中心に入れていきたい、そしてデータを公開したいと思っております。
 それから、課題ということでございますけれども、県内には相当数の対象施設があるわけでございます。平成13年当時のものについては、今申し上げましたようにチェックをかけているところでございますが、今後、新設されるものについて、どのような形で、先ほども言いました県の統合型情報処理システムGISを電子マップに生かしていくかということについては、先ほど申し上げました推進協議会の皆様の御意見とか、各種民間の利用者の方々とのお話を通じながら、完成をしていきたいと思っているところございます。
〇高橋比奈子委員 ひとにやさしいまちづくり推進協議会を立ち上げる際に当たっては、さまざまな障害を持っている方がいらっしゃるので、ぜひ、多岐にわたりました障害の方を委員に入れていただきたいということと、それから、このデータの数が非常に膨大で、入れていくのが本当に大変だと思うんですが、障害を持った方には、自分たちで行ける医療機関もぜひ知りたいというお話もありますので、医師会とか民間団体と連携していただきまして、本当に大変な作業だと思うんですが、できるだけ多くの情報を発信いただきますよう、あわせて、その中には、今は情報収集中ですので、ぜひ、県民の方で御存じの情報をお知らせいただきたいというような項目を入れていただきながら、さまざまなところでの情報収集をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇下屋敷地域福祉課総括課長 実際つくってはみたものの、それが利用されなかったら何の意味もございませんので、今お話がございました特に暮らしや健康にかかわる場合に、そういうことで障害者の方々はいろいろ心配の面もございます。利用しやすい施設というものはございます。実際、歯科医師会等の話を聞きますと、車いすのままでも使えるような施設を入れたいという歯科医師さんも出ております。そういう方々からいろいろな御意見を伺いながら、いずれ、マップについては整備を進めていきたいと思っておるところでございます。
 情報収集につきましては、NPO法人にいわてユニバーサルデザインセンターというものがございます。どこにどういうデータがあるかというようなものについては、民間の方々から御意見、情報を得るシステムを組み入れながら、どういうところにどういう施設があるかというものを吸収できるようなシステムといいますか、スキームづくりをしてみたいと思っているところでございます。
〇高橋比奈子委員 協議会の中にさまざまな障害を持つ方が入ればいいなということをお話ししたんですが、これは要望とさせていただきます。
 通告してなかったんですが、新居田委員から父子家庭についてのお話がございまして、私は、これを調査させていただいておりましたので、担当の方に一つお聞きしたいのは、厚生労働省のほうでは、父子家庭の平均収入は398万円ということなんですが、実際には100万円未満が4%、100万円から200万円未満が12%と、収入の格差が非常に大きいデータが今出ているんです。山梨県の県議会では、父子家庭に対する応援をしようという請願も採択されているということで、今、実態に即したきめ細かな支援をしなきゃいけないということがさまざまなところでお話になっていまして、今、部長のほうも、ちょっと検討していきたいというお話だったように思うんですが、収入が高いというのは、長時間労働を続けようとすると保育費がかさむとか、子育てにできるだけ力を入れようと残業のない派遣労働やパート労働にかわると、今度は収入が減ってしまうという、本当に矛盾が出ています。ここのところをしっかりサポートしていただけるような仕組みを考えていただきたいし、国に対する要望もしていただきたいと思います。この1点だけ伺いたいと思います。もし、先ほどの障害を持ったさまざまな方を入れていただきたいということに関しての答弁もお願いできれば幸いです。
〇赤羽保健福祉部長 推進協議会の目的からして、さまざまな障害のある方をということですが、30人という限定がありますし、障害のない方にも入っていただかなきゃならないという限定もいろいろあるわけですけれども、できるだけ多様な方に入っていただき、実効のある御議論をいただければと思っております。
 それから、父子家庭への対策については、実は父子家庭対策が弱いのではないかということにつきましては、以前から全国的にいろいろと言われているように感じております。特にも、母子家庭に比べると父子家庭は経済的に恵まれているのではないかという言い方をされておりますけれども、実際上、二親がそろっている家庭に比べると、なかなか収入が高くない。それから、今、委員から御指摘があったように、世帯によって収入の度合いでさまざまな違いがあると考えております。昨今の経済情勢、あるいは非正規労働の広がりの中で、そうした矛盾が、特にも弱い立場の方たちに出てきている可能性は高いのではないかと思っております。
 そうしたことについて、どういう対応をしていくのかということについては、やはり県だけではできない面もたくさんあると思います。国の制度として父子家庭についてどう対応してもらうかということを、まず国に対しても要望していきたいと思いますし、既にある制度について、父子家庭の方々がなかなか利用されてないという実態もございます。例えば、先ほど児童家庭課総括課長が申し上げました日常生活の支援の仕組みもあるわけですが、昨年度は残念ながら実績がゼロでございました。家事を手伝ってくれるとか、いろんな援助をする仕組みがあるんですけれども、ゼロでございました。そうしたことについて、相談の窓口をやはりきちんとつくっていき、父子家庭の方々にもお知らせをしなければならないと思いますが、何せ、母子家庭は母子福祉協会という組織があって、その組織を通じていろいろと情報をお知らせしたりすることもできるんですが、父子家庭の中にはそういったものもないということもございます。いろいろと工夫しながら、制度の利用についても周知をさらに深めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 3点についてお伺いしてまいります。
 まず、療養難民、介護難民対策のうち、県立病院施設の特に休止病床スペースの活用の方法についてお尋ねしてまいります。この問題につきましては6月の一般質問でも取り上げさせていただきました。その後、県の地域ケア体制整備構想においても、既存の施設を有効に活用した整備を促進するということになっております。
 それで、第1には、最終的には市町村の判断ということでございまして、来年、ちょうど第4期の介護保険事業計画の見直しが大詰めを迎えるということでございます。市町村にどうやって活用していただくかということが課題だと思うんですが、現状で、新年度、市町村として活用の意向があるかどうか、また、それに対する県の取り組みぐあいについてお尋ねしてまいりたいと思います。
〇及川長寿社会課総括課長 今のところは県立病院の空き病床等の活用事例はないわけなんですが、そういう相談をいただいているところもございます。そういうところにつきましては、具体的な内容をお聞きした上で、県立病院の場合は医療局とも相談をすることになるんですが、まさに来年度検討される次期介護保険事業計画の中でどういうふうに位置づけるか、位置づけられるかというのを、第一義的には市町村で検討していただきますし、まさに県もそれと一緒になって計画づくりの支援をしていくということにしております。
〇岩渕誠委員 差し支えなければ、どの程度の市町村数があるとかということをお尋ねしたいと思います。
 それから、議論をしていく上で、やはり自治体との議論というのはもちろん必要なんですが、地域住民にその議論がなかなか見えてこないという部分がございます。専門的な話にはなりますが、例えば参酌標準をどうしていくかとか、補助をどうしていくかとか、あるいは場合によっては特区制度を導入して、医療施設から福祉施設への転換というものを、余り金のかからないような方法でやっていくということも必要なんだと思うんです。あとは、実際には市町村と協議をしても、受けるのは福祉法人ということになると思うんですが、そうしたところに向けて、一つのアウトラインといいますか、ガイドラインといいますか、示す必要があるかと思うのですが、その辺をどのようにお考えになっておりますでしょうか。
 いずれ、新しい資料でも、在宅の特養の入所待機者というものも1年間で167人ふえている。そのうち、特に要介護度3以上の重症者というのが200人以上、2割ぐらいふえているという状況ですから、一刻も早くこれを活用していかないと、療養難民が本当に大量に発生してしまうということにもなりますし、他方で民間の社会福祉法人が自前で施設を整備するというところはなかなか厳しい状況になってきて、事実上、トレンドとしては非常に難しいだろうと思っておりますので、その活用のあり方について、もう一度お願いします。
〇及川長寿社会課総括課長 まず、具体的な空き病床の相談事例でございますが、具体的に相談に入っているところが一つございます。それから、事業者になろうとする方からそういう相談を受けているが、制度的に可能かどうか、その話がまだ具体化していないというところも1カ所ございます。
 それから、特区の設定ですが、例えば病院と老人保健施設を一緒に同じ建物で運営するということについては、特区の設定をするまでもなく可能でございますので、それはやっていけるのではないかと。今後とも空き病床の活用策としてはいいことじゃないか、効果的であろうと考えてございます。
 それから、参酌標準の取り扱い等でございますが、確かに、参酌標準をどういうふうに取り扱ってどの程度─現在、参酌標準につきましては、平成26年度までに、居住系の施設は、要介護度2以上の方を全体の37%以下に抑えるようにという参酌標準が出ておりまして、現行では、県はそれを既に上回っているという内容でございますので、これから次の介護保険事業計画をつくるに当たっては、平成26年度まで、もうちょっと長いスパンで、そういった介護保険のサービスがどういった形で提供されるのが適当なのかというのを、市町村もいろいろ御苦労なさるとは思いますが、我々も頭を悩ましながら、一緒に協議していく必要があろうかと考えております。
〇岩渕誠委員 ぜひ、この件に関しては、一つまず姿を見せていただきたい、実現の運びに進んでいただきたいと思います。
 次に、肝炎対策についてお伺いしてまいります。特に薬害肝炎の関連でお尋ねしてまいりたいと思んですが、12月議会からこの2月議会の間に、国のほうで大きな動きがありました。それに伴って、県内でもいろんな相談がふえていると承知しております。現状で、恐らく保健所のほうでC型肝炎のウイルス検査を無料で実施、あるいはどういうことをすると医療費助成みたいなものが受けられるのだろうかと、いろんな相談があると思うんですが、現状でその相談内容がどうなっているのかということと、県内の薬害肝炎の患者数を、もちろん推定だと思いますが、それをお聞かせいただきたい。
 あわせて、新年度、肝炎対策もやるようですが、具体的にどのようなものをお示しになるのか、お話しいただければと思います。
〇高田保健衛生課総括課長 御存じのとおり、ことしの1月に薬害C型肝炎に関する議員立法ができまして、それに基づいて、議員立法の次の日に新聞に出て、大々的に全国的に公表されたということで、それまでほとんど相談等もなかった事例であったんですが、その新聞報道以来、急に保健所あるいは県庁のほうに電話がございました。具体的に申せば、1月には3、400人ぐらいの人から延べ1万800件ぐらいの内容の相談、あるいは2月には689人の方々から延べ1、277件の相談があったということでございます。
 具体的にどんな内容かと申しますと、肝炎検査が必要か、どこで検査を受けられるのだろうか、あるいは過去に出産とか手術を受けたんだけれども、それらの方がこのままでいいのかとか、あるいは輸血を受けて心配だけれども、どうしたらいいんだというようなことで、多岐にわたって、さらに申せば、議員立法の特別措置法に盛られました治療費とか医療費の助成とか補償費、支給額がどんなことなんだろうかというような形で、先ほど申しました相当数の件数の相談がございます。ですから、議員立法あるいは新聞で報道されたということが、社会的には相当関心を呼んだということは事実でございます。
 それで、肝炎患者がどれだけ県内にいるのかということでございますけれども、少なくともこれは国のほうの訴訟が─岩手県では訴訟は起こってございません。九州とかあるいは名古屋とか、大体、西日本の方々が中心になって訴訟を起こしているということで、岩手県で訴訟を起こしているという事実は、私たちは把握してございませんので、薬害C型肝炎にかかったという方々は、残念ながら、行政としては把握できる状況ではございません。そのような状態でございます。
 それから、新年度に新たな肝炎対策をするだろうという話でございますけれども、これは、薬害とは全く別の話で、御存じだと思いますけれども、肝炎というのは我が国での最大の感染症だということで、昨年の春ごろから、実はいろんな肝炎対策が必要だろうということで、国のほうでは内々に検討を進めてきておるところでございます。従前から保健所等における肝炎等に関する普及啓発をしておりますし、今まで保健所でC型肝炎、B型肝炎の検査を無料でやっていたんですが、新たに4月から、医療機関で、今現在、大体5、700円ぐらいで肝炎の検査をやるということになっているんですけれども、そのうち自己負担が大体1、700円となってございました。この1、700円の部分を、1年間に限って国のほうで全額補助すると。残りの4、000円ぐらいの部分については国と県が半々で補助するという形で、無料で検査ができるという体制で考えてございます。これにつきまして、4月以降、医療機関と契約を結びまして、医療機関でも検査ができる体制を組んでいきたいと考えてございます。
 また、国のほうで、B型肝炎とかC型肝炎に係るインターフェロンによる治療は非常に高額であるということで、正確には把握しておりませんけれども、一般的に月々7万円とか8万円かかる、年間80万円以上かかる、100万円かかるというような方々はたくさんいらっしゃるということで、先ほども申しましたとおり、肝炎が国内最大の感染症であり、これは大変だということで、国もきちっと対応していかなければいけないということで、平成20年度から7年間にわたって医療費の助成をしていくということを考えてございます。
 県としましても、その制度とあわせまして、月額自己負担が、先ほども申しましたとおり、一般の方は今までは治療費として七、八万円かかっていたというインターフェロン治療を、月額1万円、3万円、5万円という形で、所得額に応じまして医療費を補助していくという形で、4月以降は対応していくことを考えてございます。
〇岩渕誠委員 今、総括課長のお話にもありましたけれども、薬害肝炎は、東京とか西日本のほうでは、裁判、訴訟のほうも終結に向かっているということで、ともすると終わったような印象もあるんですが、まさに、おっしゃったように、地方はこれからなんです。岩手県もこれからなんです。
 実際に、1月17日にフィブリノゲンの納入医療機関が再公表されました。私は、やっぱりそこにかかっていたと。多分、これは原因がフィブリノゲンじゃないか、薬害じゃないかと言う人も多いんですが、最終的に、これは、給付金を受給するには国家賠償請求が必要になるわけです。これの周知というものは、本来は国においてきちんと行うべきなのでしょうが、これは保健所であるとか、先ほどのお話にもあったように、保健衛生課等での対応になるというのが実態だと思います。実際に、今、70代とか、そういう方も恐らく薬害肝炎の対象になるんじゃないかということを思っているんですが、やはり周知の徹底と、場合によっては、弁護士会を通じて、県内の薬害肝炎患者の救済というものをしっかりと県が支えていかなければならないと考えるんですが、この辺はいかが対応をとるおつもりでしょうか。
〇高田保健衛生課総括課長 委員がおっしゃったとおり、この薬害の関係につきましては、本来は国の責任だということになってございますけれども、国の責任だということばかりではございませんので、我々としましては、国が発表した1月17日以降、県のホームページで、こういう国家賠償制度ができました、あるいは保健所を通して、いろんな相談があったら、きちっとこういう制度についても説明してください、あるいは医師会、あるいはこの間、新聞に公表された医療機関に対しまして、みずからいろんな連絡をとって、関係がありそうな方々に情報提供してくださいという形で、県としても対応してきたところでございます。考え方としては、例えば地域に出ていって説明会を開くことを考えることも、一つは検討の要素としてはございますけれども、何分、広い県土でございまして、県内にどのぐらいの薬害にかかっている方々がいらっしゃるかということもまだ不明確で、効率的な問題も考えまして、保健所あるいは県の保健衛生課に電話があった場合に、きちっと丁寧に御説明をするというような形で考えてございます。
 それから、この問題につきましては、国家賠償という関係がございますので、国家賠償に当たっては、やはり訴訟を起こす因果関係をきちっと明らかにしなければなりませんので、岩手弁護士会のほうにも、こういう国から来た情報をきちっとお伝えをいたしました。それは1月の末にお伝えしまして、先ごろ、岩手弁護士会のほうから、2月下旬をもって相談窓口を設置したということで、何かあったら、自分たちでもきちっと皆さんにもお伝えはするけれども、行政等にも相談があったならば、こういう窓口を設置したということを広く皆さんにお伝えしていただきたいという情報をいただいておるところでございます。
〇飯澤匡副委員長 答弁は簡潔に願います。
〇岩渕誠委員 情報提供の仕方で、こういうときになると、必ずホームページに載せましたという話になるんですが、今までの審議でもわかるように、ホームページを見れない環境の人が多いんです。市町村との連携というのもあるわけですから、きちんと遺漏なきように取り進めていただきたいと思います。そして、来た人だけに対応するんじゃなくて、やっぱりこっちからきちんと情報を提供しなければ、これは情報になりませんから、そういうところは万端の対策をとっていただきたいと思います。
 最後の質問に入ります。
 新年度から医療法に基づいて新医療計画を策定して、都道府県がこれを公表するということになっております。これは、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の4疾病と、救急、僻地、周産期、小児、災害の五つの分野について、役割分担を進めてやるということでありまして、患者側にとってみれば、どこそこの病院は、本当に倒れたときはここに行けば何とかなるのかという意味では、はっきりして、いい部分があると思います。
 それで、この新医療計画の策定を進めていると思いますが、いつの時点で、どの程度、岩手県としては公表するおつもりなのか。その計画をつくるに当たっては、他県では、どうしても他県に頼らざるを得ない例というものが島根県あたりはあるようでありますけれども、岩手県の場合はそういうことがあるのか。逆に岩手県に頼られる、そういう部分があるのかどうか、そういった現在の策定状況についてお尋ねします。
〇野原保健福祉企画室企画担当課長兼医師確保対策監 まず、医療計画の進捗状況、いつ、どのような形で公表かという点でございます。今、医療計画最終案を取りまとめていただきまして、最終的な審議をさせていただいているところでございます。この中で、今、委員から御紹介がありました4疾病6事業について、岩手県として求められる医療機能というものを審議いただいてございます。これをもとにいたしまして、岩手県として、それぞれの役割分担を担う機能について、医療機関を対象に調査をさせていただく予定になってございます。これは、調査表に起こす作業がございますので、少しお時間をいただきまして、年度明けになろうかと思います。年度明け4月から5月に調査をさせていただきまして、本年夏ごろまでをめどに、医療機関名につきまして公表を進めたいという形で、今、準備をしているところでございます。
 また、他県との連携といった話でございます。今回の医療計画につきましては、全都道府県で、私どもの県と同じように、作業が進められているところでございます。隣県でございます東北の各県につきましても、同じように、求められる医療機能の形で公表をするための準備をしていると伺ってございます。当然、これら各県と歩調を合わせまして、特に隣接している地域については、連携する体制について検討させていただきたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 その公表とか基準というのが一つの問題になってくるかと思います。全国一律の部分もあると思いますが、新聞紙上によりますと、大阪府でしたか、この病院は急性期だけれども、これぐらいの手術の実績があって、だからここは急性期なんだよという非常にわかりやすい部分があるんですが、岩手県としても、それがどういう形かはあれですが、わかりやすさというのは当然念頭に入れて、患者さんが選びやすい、そういうようなことをやっていただきたい。これは要望です。
 この新医療計画をつくるに当たって、島根県のある課長さんがこんなことを言っているんです。作業で地域に足りないものがわかり、改善点が明確になったということを新聞紙上で発言しております。地域に足りないものがわかったんだと。これは、多分、施設の問題もそうでしょう、人の問題もそうでしょう。先ほど、工藤大輔委員の質疑の中で、診療科目ごとの医師の適切な把握、あるいは目標設定というのは必要ではないかという議論がありました。まさにそのとおりでありまして、このことについては9月の決算特別委員会でも取り上げさせていただきました。少なくとも、医療圏ごとにこういう新医療計画を進める中で、当然、これは人と施設とセットでやっているはずだと思うんです。だから、僕はできないはずはないと思うんです。少なくとも医療圏ごとに、今、こういう医療資源があるんだけれども、これぐらい足りないんですということはできるんじゃないかと思うんです。本当にできないんですか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 診療科別の医師数ということでございます。先ほどの工藤委員のお尋ねの際にも若干お話を申し上げましたけれども、地域にどういうことができる医師がどのぐらいいるのかという実態把握については、平成19年度の医療法の改正によりまして、これは今後取り組むことになるわけでございますけれども、各医療機関が有する医療機能に関する情報を県に報告する仕組みが義務化されたわけでございます。いわゆる医療情報の提供制度というものでございます。この医療機関から御報告いただく情報には、医療法に基づいて広告されることが認められております専門医の資格、内科の専門医でございますとか、外科の専門医でございますとか、51の専門医の資格について、これを取得している医師数も全医療機関から御報告いただくことになってございます。ですから、今回の医療機能情報提供制度を活用することによりまして、全医療機関のそういった専門医の数というのは、今回、初めて、全体として県としても把握できる状況になってございます。こういった情報を、まず、我々として、できるだけ早い時期に実際の取り組みを進めてまいりたい。今回初めて実態を把握させていただきますので、その上で、医療計画を推進する上での関係から、医療資源としてどのようにやるべきかについては、別途検討していきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 最後にします。聞きようによっては、できるんじゃないかという印象を持つのでありまして、これは新医療計画とも連動しますが、計画はつくったんだけれども、それをちゃんと実行するために、僕が心配しているのは、現場の医療従事者が、足りない資源の中で、計画がつくられたから頑張らなきゃいけないと。今の状況だってなかなか大変なわけです。やめている人も多いというのが県からも答弁がありました。そうすると、最終的には患者さんのほうにしわ寄せが来るわけです。急性期でいけると言ったじゃない、でも、お医者さんがいません。行政目標を立てるのは結構なんですが、やっぱり実態を示していただかないと、医療連携とか役割分担というものがなかなか進まないと思うんです。詳しい話はまた医療局のところでもやりますけれども、医師がいないところを、できるだけ知恵を使って、我慢するところは我慢しながら、どうやって医療水準を守っていくんだということからすると、患者さんに対しての理解を求めることが一番で、そのときには、どういうことが医療現場で行われて、どれだけ大変なのかということをやっぱり示す必要があると思う。そのもとの資料というのは、お医者さんが今どれぐらい足りないんだ、本当はこれぐらいいるのが適正だ、あるいは10年たつとこれぐらい、お医者さんはこの地域につくるんだよという県の目標があると、これはやっぱり違ってくると思うんです。
 あとは、これまでの医療の中で地域偏在がありました。診療科目の偏在がありました。まさに、何度も指摘しますが、国がやってないからできません、県もできませんというのが、そういうものを増長させてきたんだと私は思います。ぜひ、その点を理解していただいてお願いしたいのですが、最後に、赤羽部長、所感がありましたらお尋ねします。
〇赤羽保健福祉部長 医師数をどうするかということについては、どういう医療連携、今、地域にお医者さんがどのぐらいいるか、地域の医療ニーズがどうなのか、高度化とか専門化というものをどこまで目指していくのか。例えば移植手術のようなものまでそれぞれの圏域でやるのか、がんの手術で難しいものについて、難治がんのようなものについてまでやるのか、そうした議論がきちんとなされていかないと、医師数をどうするかといったものには、なかなかいかないのではないか。また、そうしたことをやったとしても、一定の条件を設定して、例えばここに置いたんだからここに行きなさいといっても、ここの患者さんがまた別な病院に行ったりするわけです。そうした定量的な算出というのは、やはりかなり困難ではないかと思っております。病院を開設するために最低限必要なお医者さんはこのぐらいですよといった意味での不足をはじくことは、あるいは当直体制を維持するためにはこういったお医者さんが必要ですよということをはじくのは簡単だと思いますけれども、本当の意味での医療機能を支える医師の数が幾らであればいいかというのは、なかなか難しい話になってくるのではないかと思います。特に専門・高度化する医療、あるいは高齢化して医療ニーズが高まっていく中で、やはり医師全体数を県としてふやしながら、各医療機関の連携をきちんとつくっていく中で、地域の医療を確保していくという考え方が非常に大事ではないかと思っております。
 また、現在、病院のお医者さんが足りないわけですけれども、開業医の先生方にもこうした連携に加わっていただくという視点も必要ではないかと思っております。病院、診療所、勤務医、開業医を問わないで、こうした地域連携の構築に向けて、それぞれの先生方の役割とか機能というものを明らかにしていって、県民の方々にもお知らせしていくということが大事ではないかと思っております。こうした取り組みを今回の医療計画の中には記述させていただいております。これまでの一次、二次、三次というのではなくて、救急をやるところ、在宅療養をやるところ、回復期リハをやるところといったことを、同じ平面の中で機能連携をつくっていくというような書き方をさせていただいておりますので、そうした中で必要なお医者さんを確保していくという考え方が非常に大事ではないかと考えております。
〇飯澤匡副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時55分 休 憩
午後3時19分 再 開
〇千葉康一郎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 大変待たされました、貴重な質問時間ね。
 それで、第1に、私は後期高齢者医療制度について質問いたします。
 来年度予算で実に115億8、700万円余予算も計上されております。今、国会内外で、この後期高齢者医療制度は中止・廃止すべきだ、こういう動きが日に日に強まっている。12日も国会内で集会がありまして、公明党を除く国会議員がみんな参加して、この後期高齢者医療制度の中止を求める、こういう状況であります。
 それで、一つは、75歳以上の高齢者を対象とした特別の医療制度を創設する具体的理由は何なのか。
 二つ目、75歳以上の高齢者の収入、所得状況はどうなっているか。
 三つ目、診療報酬では、75歳以上の場合はどのように差別されるのか示していただきたい。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 75歳以上の高齢者の方を対象とした医療制度の創設理由でございますけれども、こうした高齢者の方々につきましては、慢性の疾患を複数有して、治療が長期にわたる傾向がある、こうした心身の特性に配慮した医療の提供が求められているということ。これに加えまして、高齢化の急速な進展に伴い、高齢者の医療費が今後ますます増大することが見込まれる中で、現役世代と高齢者の方の負担を明確にして公平化を図るということが求められているわけでございまして、こうした観点から、国民皆保険制度を堅持しつつ、医療制度を将来にわたって持続可能なものとするため、後期高齢者医療制度が創設されたものと認識しております。
 続きまして、後期高齢者の収入、所得の状況でございます。
 まず、所得の状況でございますけれども、岩手県の後期高齢者の医療広域連合が保険料試算に用いました平成18年のデータによりますと、本県における75歳以上の高齢者の方の平均所得、これは、収入から公的年金等控除、これは最低で120万円以上の控除があるわけでありますけれども、それと基礎控除33万円、120万円プラス33万円、これ以上になると思いますけれども、これを控除した平均所得といったものは約39万2、000円となってございます。
 次に、後期高齢者の方の収入の状況でございますけれども、本県における75歳以上の収入の状況については、これは把握ができていないものでございます。
 次に、診療報酬の関係でございます。
 75歳以上の場合でどうなるかというものでございますけれども、現在、平成20年度の診療報酬改定の内容が告示されているところでございます。75歳以上の後期高齢者の方も、これまでと同様、74歳までの方と変わらず必要な医療を受けられるものでございます。
 これに加えまして、慢性疾患が多く治療が長期にわたる、こうした傾向がある後期高齢者の方の心身の特性に配慮して、より必要かつ適正な医療を提供する観点から、後期高齢者の方に診療報酬として、新たな点数が評価として加えられたものもございます。例えば、後期高齢者の方の場合は、入院から在宅までの一連のサービス、または介護サービスとの連携等が必要だということで、そういった在宅療養を支援するための取り組みに対しての評価がされている点でございますとか、外来において複数の慢性疾患を継続的に医学的管理するための医療についても評価が新たにされているものでございます。
 以上、このような形で75歳以上の後期高齢者につきましても、必要な医療が受けられるものと認識してございます。
〇斉藤信委員 後期高齢者医療制度というのは、75歳という年齢で設定される特別な医療制度で、世界の皆保険制度があるところでは、どこもありません。75歳になったら特別の医療制度に入るんですから。
 それで、最大の目的は医療費削減ですよ。これ老人保健法と高齢者の医療を確保する法律の目的で何が違うか、高齢者の福祉を守るという目的から医療費適正化と変わったんですよ。だから、厚生労働省の担当者は石川県で講演をやってこう言いました。医療費が際限なく上がっていく痛みを後期高齢者が自分の感覚で感じ取っていただくことにした。厚生労働省の別の課長は、家で死ねということ。病院に連れてくるな。こう発言したんですね。私は、極めて端的な表現だと思いますよ。こういう後期高齢者というのは、まさに世界に例のない差別医療だと。
 今、高齢者の所得状況を聞きました。控除されたといっても、39万2、000円というのは平均ですよ。こういう方々から保険料を取り立てる、収入のない方からも保険料を取り立てる。本当にこれは許しがたい医療だし、もう一つは、負担と合わせて医療が差別されるんですね。
 今、課長からお話がありましたが、いろいろな世論があって、いわばフリーアクセスというのは守られました。今までどおりの病院にも開業医にも行けるようになりました。しかし、正確に言うと、外来の場合、通院の場合は、後期高齢者診療料というものが設定されて、これは開業医1人の主治医を定めれば月1回6、000円という定額制が導入されるんです。これ、糖尿病の院外処方の場合月8、000円ですから、それより安い設定です。いわば、一つの開業医にかかって、そこでコントロールしてもらいなさい。ほかのところは将来的にはかかれないようにしていく。
 終末期医療では、いわば回復を見込むことが難しいと判断した場合は、医師と患者、家族らが終末期の診療報酬を話し合って文書にまとめれば、後期高齢者終末期相談支援料、終末期医療をほどほどにすれば、そういうまとめたところに診療報酬を出しますよ。入院については、今もありましたけれども、後期高齢者退院調整加算、退院させたら加算される。
 私は、本当にこんな医療制度をつくっていいのかと思うんですけれども、ここは、こういう高齢者には負担を押しつける、そして医療では差別をする、病院から追い出す、終末期医療はほどほどにするということで、こういう医療制度には未来はないし実施させてはならない。そういう国会内外の動向も含めて、部長、どう受けとめていますか。
〇赤羽保健福祉部長 私どもとしましては、行政機関の立場として、法令に基づいてこの4月からの円滑な施行ということで、実施主体となる広域連合や市町村と連携を図りながら取り組むということではないかと思っております。
 ただ、いろいろな問題が指摘されている、あるいは県議会においても、12月でありましたでしょうか、議決がなされているといったような中で、各方面からいろいろな意見が出されているというのも承知しているところでございます。
 国に対しては、これまでさまざまな方から示されている意見というものをしっかり受けとめて、そして、さまざまな課題へ国として真摯な対応をしていただきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 予想を超えた答弁でありました。
 国会で、野党4党が廃止法案を出して、これから本格的審議をされる、こういう状況で、私が紹介したおとといの集会には自民党の国会議員も参加している。自民党の中にも、この後期高齢者医療をこのまま進めてはならないという、これはもう地元からの強い声ですよ。しかし、実態は、残念ながら多くの高齢者に知らされていないということもまた実態なんですね。これを知らされたら、大変な、日本列島騒然となるような状況になるのではないか。
 それで、私はもう一つ、保険料についてお聞きします。
 保険料は、最初の導入時は少し低いんですね。しかし、仕組みとして2年ごとに値上げの仕組みです。高齢者がふえれば、医療費がふえれば自動的に値上げになる仕組みですよね。介護保険は3年ごとに値上げでどんどん上がっているけれども、こういうことだったら、私は、高齢者の負担能力をすぐ超えてしまうのではないかと思いますが、いかがですか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 後期高齢者医療制度の保険料については、後期高齢者の医療制度は、原則2年を単位といたしました財政運営を行うわけでございます。この中で保険料につきましては、この期間における医療費の動向でございますとか被保険者の方々の状況、及びいろいろな医療費または被保険者の状況、見通しなどを踏まえまして、適切に見直していく必要があるものと考えております。
〇斉藤信委員 今の答弁は極めて官僚的な答弁で、実は、厚生労働省の審議官が週刊東洋経済ですか、こう言っているんですよ。この制度は5年しかもたないと。大体75歳以上の所得平均39万円の方々を対象にした医療制度がもつわけないんです。医療費削減ということが目的ですからね。
 ところが、今、国会でも、これはきのうの舛添厚生労働大臣の答弁ですよ。社会保障の削減はもう限界だ、もうできないと。しかし、骨太方針で、ことしも含めて4年間、2、200億円の社会保障費は減らすということを前提にして後期高齢者医療制度がつくられているんです。そして、療養病床の削減などが提案されているんです。
 私は、今その土台が崩れているのではないか、社会保障費削減、医療費削減、この路線のもとで、こういう後期高齢者医療制度というものは成り立たないのではないかと思いますけれども、部長、どうですか。詳しい部長。
〇赤羽保健福祉部長 これは社会保険の制度でありますから、被保険者が保険料を払えることが前提として成り立っていくものだと思います。被保険者が保険料を払えない制度は成り立たないだろうと思います。被保険者が費用を払えるという枠組みの中で、制度設計がなされるべきだと考えます。
 現在のところ、全体の1割を後期高齢者の方々に負担していただくという仕組みで、半分を税で持ち、4分の1を若い世代から負担をするということになっていきますが、もし財政的に膨らんで、1割の負担の部分が大きくなり保険者が負担できないということになる場合には、そうした負担の枠組みを変えるか、つまり後期高齢者の負担の割合を例えば20分の1にするとか、それから公費の投入の部分を多くするといったような調整の仕組みのようなことも必要になるのではないかと考えています。
 ただ、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、官僚的という御指摘をいただくかもしれませんが、現在この制度が始まるわけでございますので、4月1日から、広報部分も含めまして円滑な施行が進められるように、広域連合と一緒になって取り組んでまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 この制度の実施中止・廃止というのは、私は、大いに国会の議論、そして国民の世論にかかっていると。その動向を私たちもよく見きわめなければだめだと思いますが、そういう中での実施ですから、私は、抜本的な見直しを実施する段階でも考えなければだめだと思うんですよ。例えば、収入が全くない人からも均等割は取るなんていうのは、やはり免除の制度というのは必要なのではないか。
 もう一つは、今の広域連合は、35市町村で構成されていても20市町村からしか議員が出ていないんですよ、広域連合議会に。これは、全く地域住民の声が反映しないいびつな仕組みで、見直しを求める市町村議会からの意見書もたくさん出ていますが、これはいつ見直されて、すべての議会から選出される見通しなのか、このことを示していただきたい。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 まず、保険料の減免の関係につきましては、広域連合が条例で制定するわけでございまして、それに基づいて、市町村では窓口対応として保険料の相談を受けるという仕組みでございます。
 次に、広域連合の議員の定数でございますけれども、この点につきましては、すべての市町村議会での議決を経て、平成19年1月に規約として制定されたものでございます。
 それで、平成19年11月に開催されました広域連合の議会の定例会におきましては、議員定数の見直しについて議論があったと承知してございます。
 今後、広域連合の議会の議員定数につきましては、広域連合及び市町村が、必要に応じまして、こうした議論も踏まえまして見直していくものと考えておりまして、その場合、県といたしましては、必要な助言、情報提供等を行ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 先ほどの議論もありましたけれども、この広域連合に県から職員を配置していないのは17県だったのではないでしょうか。多数は、やはり県が市町村と一緒になって知恵も力も出している。さっき紹介しましたけれども、115億円の予算計上している、まさに高齢者の命にかかわる大事な制度で、私は、県自身も積極的に職員派遣も含めて関与して、抜本的な見直しを進めるべきではないかと。
 そしてもう一つは、年金1万5、000円以上はみんな年金から差っ引く、それ以下は普通徴収だと。払えない人からも取り立てる制度というのはあってはならないと。減免の、免除の制度というものがこの制度では必要だと。
 そして、滞納者から保険証を取り上げる制度が初めて高齢者に導入されます。これは、本来あってはならないことですよ。老人保健法では、取り上げてはならないとなっていた。今度の後期高齢者医療制度で取り上げとなったんですよ。私は、ここにもこの制度の無慈悲さというものを見るんですけれども、原則的には取り上げてはならないし、国保の場合もそうですが、病気、障害のある場合には、これは特別な事項で取り上げてはならないとなっていますから、ここは私は徹底して点検をすべきだと思いますが、いかがですか。
〇赤羽保健福祉部長 人の派遣につきましては私のほうから、保険証の関係については柳原医療国保課総括課長から答弁させます。
 人の派遣につきましては、午前中も話題になったわけでございますけれども、私どもといたしましては、人的に、人を県から割いて出しているということではありませんが、実態上、協議組織等には私も加わらせていただきまして、しょっちゅう意見交換したり協議したりする中で、実質的には相当のかかわりを持ちながら一緒にやってきたと考えています。
 その中で、やはり市町村の職員の方々は、非常に優秀な方が集まっていらっしゃいまして、準備については、非常に誠実かつ的確に進めていただいていると考えているところでございます。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 保険料の減免でございますとか保険証の返還の関係でございますけれども、これにつきましては、国民健康保険制度と同様の仕組みが導入されてございます。したがいまして、特別の事由に当たるような場合には、委員御指摘のような取り扱いが適切になされる必要があると考えております。
〇斉藤信委員 わかりました。本当に矛盾に満ちた問題の多い制度なので、廃止・中止も俎上に乗っている、こういう中で、ぜひ慎重に、そして何よりも高齢者が医療からはじき出されないようにやっていただきたい。
 次に、医療費適正化計画、地域ケア計画についてお聞きいたします。
 岩手県の医療費適正化計画で、医療費の削減の目標はどうなっているか。その具体的な方策は何か。
 二つ目、地域ケア計画は療養病床の削減計画ですが、削減計画の具体的な中身、削減して何に転換するとなっているか。介護療養病床の患者、高齢者の介護度はどうなっているでしょうか。医療療養病床の患者の医療区分、わかれば介護度はどうなっているでしょうか。
〇野原保健福祉企画室企画担当課長兼医師確保対策監 まず、最初のお尋ねの医療費適正化計画における医療費の削減効果についてでございますが、平成20年度の本県の医療費の推計は3、605億円であり、医療費適正化計画による取り組みを進めた場合は、目標年次の平成24年度においては3、728億円と推計され、削減効果として105億円を見込んでいるものでございます。
 医療費の推計の根拠についてでございますが、厚生労働省の都道府県別医療費の将来見通しの計算ツールを用い、全国共通の方法によって推計したものでございます。
 計画の柱は、生活習慣病対策と平均在院日数の短縮でございますが、生活習慣病対策の効果が認められるまでに時間を要することから、平均在院日数の短縮によって見込まれる総入院日数の減少による効果のみを算定に用いてございます。
〇及川長寿社会課総括課長 まず、療養病床の削減計画でございますが、地域ケア体制整備構想の中で、療養病床転換推進計画というものを定めておりますが、これは、平成19年4月1日時点では3、462床あった療養病床を平成23年度末に2、402床、差し引き1、060床を介護保険施設等、こういった施設に転換するという計画でございます。転換先については、転換意向はあるが未定としているところが400床ほどございます。この1、060床のうち400床ほどは未定でございます。それから、転換先として介護療養から医療療養に転換するというものが300床ほどございます。それから老人保健施設に転換するというものが140床ぐらいございます。
 転換先としては、先ほどの別の答弁でお答えいたしましたが、この時点でまだ診療報酬、介護報酬等定まっておらなかった関係で、転換先未定とする医療機関が多かったという状況でございます。
 それから、療養病床にいらっしゃる高齢者の方の介護度でございますが、まず、介護療養病床にいらっしゃる患者さんですが、この方々は、介護度4以上の割合が90%となっております。それから、医療療養病床については、介護度という形で調査しておりませんのでデータはございませんが、例えばADL区分と呼ばれる日常生活の自立度、これが最も低い入院患者さんが55%でございます。そういう状況でございます。
〇斉藤信委員 105億円医療費を削減する、これが医療費適正化計画ですよね。そして、その方策は平均在院日数の削減、これを具体的に言うと療養病床の削減なんですよね。これは、だから一体なんですけれども、私は今聞きました、特に介護療養病床は認めないということになっていますから、今あるものがゼロになるんです。876床が平成23年にはゼロになる。しかし、先の見通しが立たないから、平成22年、前年までは669床残るという見通しですね。平成23年になったらゼロなんですよ。これは恐るべき計画だと。
 それで、介護療養病床の場合、今も答弁ありましたが、医療療養病床への転換を希望しているのは274床。これだったら、医療療養病床も減らさなければならないのに、300床近くそこに上がったら、これは地域ケア計画にならないのではないですか。これが一つね。
 もう一つ、介護療養病床は今、介護度4、5が9割だと。この方々は在宅に帰せない方々ですよ。介護度4、5が9割以上を占めている介護療養病床をなくしたら、ストレートにこれは介護難民、療養難民になってしまうのではないでしょうか。だから、ゼロにするということ自身にそもそも根拠がないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇赤羽保健福祉部長 実態上、介護度4の方が大多数ということでありまして、介護療養病床がなくなることについて、地域の人々あるいは実際にお世話している方々や医療者から大変な御心配をいただいているところでございます。
 この廃止につきましては、これもまた官僚的とおしかりを受けるかもしれませんが、法律で決まっていることでありまして、老人保健施設への転換も含めまして八百数十床分の介護の場、あるいは生活の場というものを整備していく必要があると考えております。
 先ほど及川長寿社会課総括課長からも申し上げましたとおり、方針が決まることとその方針に基づいて実際にやることが、本当にやれるかどうかということが、きちんと結びついて出されてこなかったという背景があるわけでございます。報酬でありますとか、人員基準でありますとか、そうしたことがわからない段階での調査を行っているものでございまして、この辺につきましては、医師会の先生方とも何回か意見を交換させていただきましたし、地域の人たちともいろいろ意見交換をさせていただいて、実際に報酬が出てきた段階で、またきちんと調査すべきではないかということを言われております。
 ただ、いずれにしても、介護療養病床については法律上廃止、制度上なくなりますので、そうした関係者の御意見を伺いながら、次の介護事業計画の策定においても、どういった対応をしていくのか、よく知恵を出しながら取り組んでいきたいと思っております。
 もう一つつけ加えますと、平成12年の介護保険の成立のときに介護療養病床という制度をつくった。つくったにもかかわらず、10年もたたないうちに別な制度への切りかえを言われることが、非常に地域の人たちからは受け入れがたいという声はあるわけでございます。そうしたこと、それから御家族の不安などにも十分に耳を傾けながら、介護あるいは療養の場といったものを整備していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 部長の苦渋に満ちた答弁でしたね。いわば、受け皿が国からも示されない、そういう中で削減だけが目標で押しつけられる。
 皆さんが、地域ケア計画の中でこういう調査もしているんですね。いわば、介護医療療養病床に入所している方々で、日中、夜間とも介護できる人がいない、こういう人が医療病床で51.4%、介護療養病床で62.6%ですよ。日中、夜間とも介護できる人がいないという人が現実に入っているわけです。それをなくすという計画それ自身に、全く根拠がないということを私は指摘しておきます。
 それで、実は、この療養病床削減の計画をつくったという人が、中央公論の3月号に論文を書いておりました。元財務官僚、村上正泰さんという人です。自分で計画をつくってこう言っているんですよ。なぜこのような形で療養病床再編が決められることになってしまったのか。そこには社会保障費削減が政策の至上命題となる中で、縦割り行政のもと、政策全体の整合性が十分に考慮されないまま拙速な形でこれだけの大改革が決められたという問題がある。つくった人がこう言っているんです。
 私は、自民党、公明党がこれを強行採決でやったというのは、この犯罪性が今厳しく問われていると思いますよ。ですから、これだけの、つくった人も結果を認めているこういう問題について、本当に、県民の医療を守る立場から見直しすべきではないのか、医療難民、療養難民をつくってはならない。これは指摘だけにとどめておきます。
 次に、3番目に、これも高齢者いじめにかかわるんですけれども、介護保険制度について。
 私は、決算のときに介護保険制度の制度改正後の実態について把握するように求めましたが、予防介護が計画に対してどうなっているか、介護給付費はどうなっているか、特養待機者はどうなったか、このことを示していただきたい。
 二つ目に、特養ホーム待機者、その実態と解消策、来年度の特養整備の見込み。
 そして三つ目に、介護労働者の劣悪な状態の実態と改善策を示していただきたい。
〇及川長寿社会課総括課長 まず、介護給付費の実績でございます。
 特に、介護予防サービスの実績でございますが、これにつきましては、平成18年度実績で主なサービスについて申し上げますと、例えば、介護予防の訪問介護は計画に対して20.8%の実績でございました。それから、通所デイサービスでございますが、介護予防のデイサービスにつきましては計画の31.6%にとどまっております。
 これにつきましては、介護予防が初年度であったということで、その計画がどの程度見込めばいいのか保険者のほうでなかなか把握し切れなかったということと、介護認定が要介護1から要支援1、2のほうになった、どれぐらいの方がなるかというのがちょっと読めなかったというのが原因になっていたのではないかと考えております。
 それから、介護給付費でございますが、介護給付費全体では毎年度増加しておりまして、平成17年度の介護給付費、県全体では725億円ほどでございましたが、平成18年度では735億円ということで増加しております。増加傾向は、介護保険始まってから、本県では毎年度増加傾向でございます。
 それから、特別養護老人ホームの待機者でございますが、これについては、平成19年3月末現在の調査で全体で6、492人、うち在宅の方は2、172人、以上のとおりでございます。
 それから、この特養待機者の解消策でございますが、これは、毎回同じようなお話は申し上げておりますが、介護保険事業計画はそれぞれ保険者のほうで計画されるわけですが、現在、第3期計画期間でございますが、この着実な計画に基づいた施設整備を進めていく。そのほかに、特養だけではなく、有料老人ホームなど、いろいろな居住系のサービスがございますので、総合的に考えまして、在宅サービスの拡充とか、それから居住系サービスのいろいろなサービスによって、そういった施策を展開するということだろうと考えております。
 それから、平成20年度の特別養護老人ホームの整備計画でございますが、特別養護老人ホーム150床、それから地域密着型の小規模の特別養護老人ホームですが、これが83床、計233床を来年度計画しております。
 それから、介護労働者の実態でございますが、昨年に財団法人介護労働安全センターが調査しました結果によりますと、県内の介護労働者の平均年齢は40.3歳、平均賃金は月18万円というのが実態でございます。
 一方で、全職種、厚生労働省のほうで調査しております賃金構造基本統計調査結果によりますと、これは、平均年齢41.1歳、平均賃金月23万3、000円ということで、介護労働者は平均で5万円ほど低くなっているという実態でございます。
 これにつきましては、介護労働者につきましては、その専門性を持った人材の安定確保というものが必要でございますので、介護労働者の給与水準等の待遇を適切なものにしていくということが重要だと考えております。介護報酬と密接な関係がございますので、今後とも国に対しては、介護労働者の待遇改善に的確に反映されるような介護報酬の見直しという形で働きかけてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 実は、この岩手県地域ケア体制整備構想、これは1月に出たものですけれども、私は、これを見て大変驚きました。介護老人福祉施設、いわゆる特養は、平成20年度は6、324床だが平成23年度は6、202床になる、122床減るという計画なんですよ。老人保健施設や介護療養型医療施設全部含めても180床減ると。今、6、400人待機している、在宅でも2、100人以上待機して、ふえ続けているときに、この地域ケア体制整備構想では、特養も減らす、老健も減らす、何も減らす、そんなものが出ているんですよ。
 これは、なぜこういうことになるんですか。解消するのではなくて、待機している方々からベッドを取り上げる、なぜこういうことになるんですか。
〇及川長寿社会課総括課長 地域ケア体制整備構想につきましては、現在の介護保険の居住系サービスの参酌標準というものが、要介護2以上の方の37%のベッド数にとどめろという参酌標準がございます。それが頭にございまして、現在、岩手県の実態は42%ほどになって、その37%を既に上回っている状態だということでございます。
 ですから、それを減らさなければいけない。現時点の数字で減らさなければいけないということではなく、その参酌標準を考慮して策定するとそういう目標数が出てくるのですが、これは、あくまでも次期計画をつくるときに参考とするものでございまして、このとおりに次期計画が出てくるものではございません。やはり次期計画につきましては、各保険者、各圏域の事情によりましていろいろ、この数字ではおさまらないという地域もございますので、それは各保険者あるいはもうちょっと広い圏域間での調整といったものをやりながら、参酌標準も参考として、将来的にどの程度の数が適正か検討していくというものの参考ということで、この構想については見ていただくようにお願いしたいと思います。
〇千葉康一郎委員長 斉藤信委員に申し上げます。
 委員の質疑が35分を超えておりますので、ひとつ議事進行には御協力をお願い申し上げます。
 なお、答弁者のほうも簡潔、明瞭に御答弁いただきますようにお願い申し上げます。
〇斉藤信委員 わかりました。協力します。今、本当は重大な山場だったんですね。いつも山場のときに来るのでちょっとあれなんですがね。
 特養の待機者がふえ続けているときに、県がそれを減らす、特養ホームや老健から高齢者を追い出すという案をあなた方は出しているのですよ。とんでもない話ですよ。これは、国の参酌標準がそうだから。まさに国の政策が全く実態に合っていない、県民の願いに合っていない。私は、本当に恐るべきことだと思いますよ。結局、社会保障の抑制ということで、介護保険がもう破綻しつつあると言わなければだめですよ。居宅サービスだって介護予防に回されて、さっきお話あったように計画の2割、3割でしょう。施設からははみ出す。
 部長、私は、こういう案を出すこと自身が県民の願いに背を向けることになるのではないかと思いますが、いかがですか。
〇赤羽保健福祉部長 現在の介護の一つの問題は、いわゆるひとり暮らしの方がふえている、あるいは二人暮らしといいますか、老老介護といいますか、そうした家族形態の変化、あるいは地域社会の互助の仕組みの変化、そうしたものがベースにあると思っております。そうしたことは、岩手のみならず全国で進行している課題だと思っております。85歳のおばあさんが86歳の寝たきりのおじいさんを介護し疲れ切っているといったようなことが、どこの地域でもあるような実態ではないかと思っております。こうしたことをどう理解し、そして介護のあり方をどうするかということは、私は、国レベルでやはりしっかりと考えていただく必要があると思っております。
 私どもとしましては、やはり行政の立場として、現在示されているいろいろな枠組みの中でどう考えればいいかということを生の数字で各市町村にお示しし、今の参酌標準であるとこういう形になっていますよということでお示しし、それが、各市町村が介護保険事業を考えていくときに、どういうことで地域の人たちの意見を聞いて自分たちの介護保険事業計画を策定していくかということに反映していただく必要があるのではないかと考えております。
 国が示す参酌標準も、これまで各市町村では、非常にその中でおさめるのに呻吟して施設整備を行ってきているわけでございます。そうした実態については、やはり国レベルでよく議論をしていただく必要があるのではないかと。
 もう一方で、やはり在宅のサービスをきちんと広げるということが、介護保険法の大きな考え方でもあると思っております。住みなれた地域の中でできるだけ暮らしたいというのは、すべての人が思っている考え方だと思います。そうした在宅で暮らせるような地域づくりをどう進めていくかということも、もう一方では考えていかなければならないと思います。
 県では、そうしたこともありまして、ご近所介護ステーションといったような取り組みも進めさせていただいておりますし、国では、小規模多機能といったようなことも出されてきています。一方では、小規模のデイサービスはなかなか収益が上がらない、小規模多機能は、事業者が取り組むのにはなかなか難しいといったようなこともございます。そうしたことについて、在宅と居宅と両面から、老老介護であるとか、ひとり暮らしの介護の方への支援の仕組みを考えていかなければならないと思います。
〇斉藤信委員 では、これで最後にします。最後、ちょっと項目的に質問して終わります。
 一つは、医療費抑制の一環ですが、リハビリ制限というものが一昨年から行われました。これが現状ではどうなっているのか。
 看護師需給計画、実は平成17年ですか、これを作成したときに、18年からずっと不足という需給見通しなんですよ。私は、深刻な事態なんだと思うんですね。県立大看護学部も県内就職率3割程度です。看護師養成は、岩手県は比較的やっていると思いますが、毎年不足という見通しの中で、緊急対策が必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 学童クラブについては、70人を超える学童クラブは補助対象から外される、これは再来年の話になるんですけれども、この現状と具体的対策はどうなっているでしょうか。
 最後は、市町村の妊婦健診、来年度の助成状況。すべてが5回以上の助成措置を講じられたと思いますが、どうなったでしょうか。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 リハビリテーションの制限の実態ということで、どう把握しているかということでございますが、県内の全医療機関のリハビリテーションの実施状況といったものを把握することは、これは困難でございます。
 県立病院と岩手リハビリテーションセンターの状況について、入院患者に対するリハビリテーションの診療報酬の算定状況ということで御説明申し上げます。
 平成19年4月から平成19年12月までの状況と平成18年度の同時期の状況を比較いたしました。平成18年度リハビリテーションの実施の単位─単位という表現を使いますけれども─は24万341単位というような状況でございました。平成19年度は26万1、053単位となっておりまして、全体としては、単純に比較いたしますと8.6%程度増加しているという状況でございます。
 続きまして、看護師の需給計画の関係でございます。
 県内就業の看護職員の方々の状況は、平成18年12月末現在で1万5、918人でございます。これは、前回調査した平成16年12月末の1万5、269人から649人増加しているものでございます。こうした状況にありますけれども、いわゆる7対1看護といったものの影響もございまして、県内の医療機関によりましては、看護師の方を十分採用できかねているという声も伺っているところでございます。
 県といたしましては、こうした状況を踏まえまして、看護協会、助産師会等、あとは県立大の方々、県内看護師養成所の御協力もいただきながら、特にも新卒の看護師の方の県内就職率の向上が大事だと考えておりまして、こうした方々を含めた看護職員の方々の確保と定着に向けまして、来年度、平成20年度の前半を目途にいたしまして、看護師の方の確保定着に向けた行動計画を策定して、総合的な取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇川上児童家庭課総括課長 放課後児童クラブのお尋ねについてでございますが、本県で71人以上のいわゆる大規模なクラブは31カ所、パーセントで13.5%存在してございます。
 国では、平成22年度から71人以上のクラブを補助対象としないとして、クラブの集団規模は40人程度が望ましい。最大70人までとするというガイドラインを示して、こうした大規模クラブ解消に向けた市町村の取り組みを促しているところでございます。
 こうした状況を受けまして、県といたしましては、大規模クラブがある市町村を対象とした個別ヒアリング等々によりまして、解消に向けた取り組みを促すということ、二つ目は、クラブの分割や創設に要する施設整備費の補助、こういったことなどによりまして、市町村による大規模クラブの解消や、安全・安心な放課後児童クラブの環境整備に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 続きまして、妊婦健診の公的負担の県内の状況でございます。
 平成20年度においては、これまで県が確認させていただきましたところ、全市町村が5回以上の公的負担を行う方向で現在検討中であると伺ってございます。
〇小野寺好委員 一つだけ伺います。
 かつて県立点字図書館にお邪魔したときに、文書読み取り機械、こういったものを拝見させていただきました。すべての視覚障害者が点字に精通しているわけではないと思いますので、こういった機械はすごくいいと思いましたが、非常に高い、そういったことを聞きました。
 しかしながら、最近、音声コードと文書読み上げ装置によりまして、視覚障害者の方が非常に楽になっている、そういったことを聞きますが、本県のこの機械の普及状況、県の支援などあるのかお聞きしたいと思います。
〇小林障害保健福祉課総括課長 視覚障害者用の活字文書読み上げ装置とSPコードということについてでございますけれども、視覚障害者用活字文書読み上げ装置といいますのは、スピーチオとかあるいはテルミーといった商品名で販売されておりまして、文字情報と同一紙面上に暗号化して記載されておりますSPコードの情報を読み取り、音声信号に変換して出力する機能を有する装置でございまして、視覚障害者が容易に使用できるものでございます。
 なお、一つのSPコードには約800文字分の音声を記録でき、SPコードを作成するためのソフトウエアは、ホームページから無料で入手できることとなっております。
 この装置は、平成15年度から日常生活用具の指定品目となっておりまして、平成18年度からは、市町村事業として希望する障害者に対して交付されているところでございます。定価は1台約10万円程度と高価ではございますけれども、購入を希望する障害者は、1割の自己負担で入手できることになるものでございます。
 本県の普及状況についてでございますけれども、平成15年度以降でございますが、累計で12台となっておりまして、余り普及が進んでいない状況でございます。
 今後の対応でございますけれども、今後は、視覚障害者へ日常生活用具給付事業の周知を図りますとともに、視覚障害者向け行政資料などへの印刷物にSPコードが掲載されるように、一層の普及に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
〇小野寺好委員 12台と今お聞きしましたけれども、どういったところにあるのか。個人なのか、あるいは公的な場所なのか。
 あと、視覚障害者になっていなくても、高齢になっていてなかなか字を読むのが大変だという場合に、いわば健常者も視覚障害者も、こういったものがますます便利になっていくのではないかと思いますが、まだ視覚の残っている方に対してはどうなのか、全くそういった分については応援はないのかどうかお聞きしたいと思います。
〇小林障害保健福祉課総括課長 これは、市町村の地域生活支援事業の日常生活用具給付事業として実施しているものでございまして、この12台というのは、すべて個人のものでございます。
 あと、公には、例えばでございますが、当課で購入しておりますし、また、市聴覚障害者情報センターでも設置いたしております。ちょっと市町村でどの程度設置しているかということにつきましては、把握していないところでございます。
 それから、高齢者にきくかということでございますけれども、一応これは障害者の自立支援法で規定しているものでございまして、障害者向けの事業として実施しているものでございます。
〇千葉康一郎委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇高橋昌造委員 それでは、委員長のお許しをいただきましたので、5点についてお伺いします。簡潔にお聞きしますので。
 まず、第1点目は、去年の11月18日の家族の日からスタートしております行政なり企業、それからお店の皆さん方が一体となった子育て支援体制、この名称はi・ファミリー・サービス事業ということで、何か私は、県としては非常にきらりと光るものをおやりになったのではないかということで、その実施状況、それから利用されている皆さん方の評価、そして、これは本当にいいことなので、これをさらに全県下に普及拡大してほしいなと、そのための対応策をどのように考えているか。
 それから、第2点目につきましては、この県単のご近所介護ステーションの実施状況、そして利用されている皆様方のいわゆる評価ですね、もし課題があれば、どういうところに課題があって、そして解決できるものかどうか、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 それから、第3点目につきましては、先ほどからいろいろ議論があるんですが、病院から在宅へのシフトということになりますと地域包括支援センターの充実が非常に大切になってくると思うんです。今、ところが、なかなか地域包括支援センターで仕事をなされている方々が非常に苦労されております。そういった意味で、今現在の実態をしっかり把握しながら、先ほどから議論のあります地域ケア体制の整備構想とあわせて、同時進行で検討していただければということでございます。
 それから、第4点目につきましては、自殺対策。実は、このケア構想の関係は、一つは光と影があるのではないかと。この光という表現がいいかどうかはありますが、いわゆる医療費の削減、社会的入院の解消、ところがその反面、いわゆる療養難民なり介護難民、うちに帰れない人たち。
 今一番問題なのは、自殺の大きな原因は、まず健康とか経済の問題。そういったことを考えた場合に、非常に暗いことを考えれば、自殺率が平成18年で全国第2位と非常に大変な状況下にあるわけなので、今、岩手県では、いわゆる自殺予防対策推進協議会ですか、そういったところの中での取り組みをしっかり取り組んでほしい。そのために今後どのように考えられているか。
 そして最後に、第5点目でございますが、予算に関する説明書の121ページに高齢者保健費があるんですが、ここのいわゆる特定健診または保健指導のこの事業の中で、私も一般質問でお聞きしたんですが、市町村国保だけに補助するということで国保組合は考えておらないということなんですが、実際、補助するということになれば、国保組合の場合どのぐらいの補助の額になるか。市町村国保の1人当たりの保険料と、そして国保組合の1人当たりの保険料がどのぐらいになるか。
 この一人親方の方々は、本当に昔から南部杜氏の出稼ぎがあるんですが、今、平成の出稼ぎ者ということで、一人親方の方々、左官とか、塗装とか、もう今の冬期間の仕事がなくて、保険料も納めなければならないということで一生懸命、岩手県ではなくて他県に行って仕事をして保険料を納めたりしている。その実態を保健福祉部の担当の皆さん方がしっかり把握しているものかどうか。
 そして、その実態を把握すれば、私は、この平成24年に健診率70%を確保する、これは到底できないと思いますよ。だから、やはりそういう人たちにしっかりと光を当てる政策が必要ではないかということで、ひとつお願いいたします。
〇赤羽保健福祉部長 自殺対策については私から、他のお尋ねにつきましては、それぞれの担当の総括課長から答弁させます。
 自殺対策につきましては、確かに岩手県の健康課題の非常に大きなものの一つとしてとらえております。
 自殺対策のための協議組織を設置いたしまして、これは官、民、それから大学の方々、それからボランティア団体と、たしか48か49だったと思いますが、参画いただいて、自殺対策に向けてどういう取り組みをしていったらいいのかということを協議しているものでございます。
 その中で、自殺対策のためのアクションプランというものを定めまして、昨年3月に定めておりますが、それぞれの参画主体が、どのようなことに取り組むかということを意識しながら皆でやっていきましょうということを進めているところでございます。
 そのほかに、これも本会議の一般質問で中平議員からもお尋ねがあったわけですけれども、各保健所でモデル的な取り組みをやってきております。と申しますのは、それぞれの地域で自殺の態様も違うということがございます。高齢者の自殺が多い地域、それから働き盛りが多い地域、そういった各保健所で取り組んできてわかってきたことを他の保健所にも広めていくといったようなこともしております。
 実際のところ、久慈地区では、平成12年あたりから非常に熱心に取り組んできていただいているわけですが、目に見えて自殺が減ってきておりまして、まだ、これはきちんとした統計が出ていないわけですけれども、平成19年は、もしかすると県内でも自殺率が低い地域になる可能性もあると思っております。医療関係者、市町村、保健所、地域の方々が連携して取り組むことにより、自殺は減るんだということが明らかになってきていると思っております。そうしたことに関係者の御協力をいただきながら、さらに力を入れていきたいと思っております。非常に難しい問題ではあるんですけれども、そうしたことに果敢に取り組んで、岩手らしい取り組みのノウハウというものをつくり、地域の力としていきたいと考えております。
〇川上児童家庭課総括課長 お尋ねいただきましたいわて子育て応援i・ファミリー・サービス事業の実施状況でございます。これは、子育て世帯の優待制度として、少子化対策として、昨年から実施させていただいているものでございます。
 まず、実施状況でございますが、当初、年内に200店舗、協賛店を募って、200店で展開を始めようという目標を定めまして、現時点で300店を少し超過した状況でございます。しかしながら、全県展開という場面で見ますと、31町村300店舗ということで、まだまだ県民の方々が実感できる数ではないということで、これは、少しスパンの長い取り組みで協賛店をふやしてまいりたいと考えてございます。そのための展開の対策の部分でいきますと、一つは協働の輪をつくっていこうということで、新聞報道等々によりますと、来年度から盛岡市でも、もりパスということで同様な事業を実施すると伺ってございます。
 2点目としては、やはり主体となるべき経済商工団体との連携をもっと密にしまして、より協力をいただくような形で輪を広げていく。
 三つ目は、現在行ってございますうちのほうのサービス事業は青森県と連携してございます。先般、青森県のほうから担当者が参りまして、青森県内にチェーン店を持っている岩手の企業を訪問し、今度は逆に当方の職員が青森県にお邪魔しまして、例えばスーパーチェーンとか、青森県に本店を有しまして岩手県で大規模店舗を展開しているところへの参加の働きかけをしているところでございます。
 評価の部分につきましては、先ほど来申し上げているとおり、まだまだ協賛店舗は少のうございます。まだなかなか実感できないよといったお声もいただいているところでございまして、これからスパンの長い、取り組みの長い事業として、子育て中の御家庭の方々が、そういうメリットをより享受できるような体制まで引き上げてまいりたいと考えてございます。
〇及川長寿社会課総括課長 まず、ご近所介護ステーションの実績等でございますが、ご近所介護ステーションにつきましては、平成18年度3件設置しておりますし、今年度は2件設置しております。これは、当初の予算に比べるとちょっと実績が減っておりまして、残念ではございますが、そういう実績でございます。
 それから、県の補助金で、ご近所プロジェクトと呼んでいる中でやっておりますモデル支援ハウスがございますが、これにつきましては平成18年度3件、平成19年度1件の実績でございます。ただ、国庫補助がつきます小規模多機能型居宅介護というサービス施設がございまして、これが平成19年度に17件と、前年度の5件から大きく伸びておりまして、我々のご近所介護ステーションと同様の施設なんでございますが、こういった補助つきのものが大きく伸びております。小規模多機能型のサービス、1カ所にまとまってサービス拠点を整備するといった発想のサービスについては、これらと一体となって伸びているのかなと思います。その評判につきましては、使っていらっしゃる方も、近所で通ってきて、温かみのある施設が多いということで好評をいただいているのではないかと思います。
 それから、問題点といたしましては、当初、我々の県単補助の制度といたしましては、例えば既存の施設の改修の形でこういったステーションを設置すると考えておったんですが、設置者の方が新たに整備するという、結構お金のかかる整備をやっておられる場合が多うございまして、県の補助金というのがなかなか少額に見えてまいりまして、そういう立派な施設ができることによって、運営のほうにも影響を与えている点があるのではないかと思われます。
 それから、地域包括支援センターの状況でございますが、やはり人員配置がなかなかままならない。これは、人材がいないというのと、市町村で十分な予算措置、定数配置がなされていないという問題がございまして、全県下49カ所ございます地域包括支援センターのうち、来年度には法定必要人数が充足されるというのが23カ所にとどまっております。これにつきましては、可能な限り県でもその支援ができるように、例えば高齢者虐待の相談等につきましては相談センターを県のほうに設置しておりますし、今後は、ここの包括支援センターの重要性等についても、市町村と直接話し合っていかなければいけないのではないかと考えております。
〇柳原医療国保課総括課長兼医師確保対策監 市町村の特定健診の受診に対する県の補助については、平成20年度当初予算で1億8、200万円ほど計上しているところでございます。市町村の国保に対するこの補助の考え方につきましては、これまで特定健診に移行する前の老人保健法に基づく基本健康診査といったものが、国、都道府県、市町村で、基準額を基準といたしまして、3分の1ずつをそれぞれ負担してきたという経緯がございます。今回の市町村国保への県のこうした補助金といったものは、これまでの老人保健法の趣旨を踏まえて、法によってその負担割合が決められたものと考えておりまして、それに伴い補助するものでございます。
 なお、国保組合への補助につきましては、これまで国保組合の方々の健診といったものは、市町村の健診の枠組みとは異なり、労働安全衛生法等に基づく健康診査等によって対応してきたといったことなどがあり、県としては、今後、医療保険者がこれから責任を持って被保険者の方々の健康を守っていくという観点から、国保組合の補助については考えていないというものでございます。
〇高橋昌造委員 私は一般質問でも、市町村国保も国保組合も国民健康保険法に基づくということでお伺いしたわけです。労働安全衛生法とか、それは医療保険と関係ないわけですから、また、今、私がお聞きしたかったのは、国保組合に対する補助がどのぐらいになるのかと。とても県財政が厳しいからできないという一般質問のときの答弁だったわけです。だから、しっかり実態を把握していただくようにお願いをいたしたいということで、特にも、皆さん方は保健、医療、福祉の行政の一番頂点の皆さん方で、県民の皆さんお一人お一人の健康を守る、命を守る大切なお仕事をなされているわけですので、やはり緊張感を持って仕事をしていただきたいと思います。
 それから、赤羽保健福祉部長には、先ほどは大変失礼いたしました。実は、今度、御勇退なされるということをつゆ知らず、とんでもないことを申しまして、大変失礼をいたしました。いずれ、赤羽保健福祉部長には、今までの御労苦に謝意を申し上げるとともに、長い間、本当に御苦労さまでございました。
〇千葉康一郎委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉康一郎委員長 質疑がないようでありますので、これで保健福祉部関係の質疑を終わります。
 保健福祉部の皆さんは退席されて結構でございます。大変御苦労さまでございました。
 次に、医療局長から医療局関係の説明を求めます。
〇法貴医療局長 平成20年度岩手県立病院等事業会計予算につきまして御説明申し上げます。
 予算の内容を御説明申し上げる前に、事業運営に当たっての基本的な考え方について若干申し上げたいと存じます。
 御案内のとおり、国の医療制度改革の中、医療費抑制政策が進められ、診療報酬などにつきましては、平成14年度以降、引き続き4回連続となるマイナス改定が本年4月から予定される一方、医師の確保につきましては、絶対数の不足はもとより、地域偏在、診療科偏在が進むなど、医療を取り巻く環境が一段と厳しさを増しております。
 本県県立病院等事業におきましても例外ではなく、県立病院改革実施計画策定時の想定以上に患者数の減少や診療報酬のマイナス改定の影響が大きく、医業収益の大幅減少となっているほか、医師の不足による診療体制が整わないことにより、これまで以上に厳しい経営状況となっているところでございます。
 このような状況のもと、平成20年度の事業運営に当たりましては、改革プランの最終年度に当たることから、これまでの取り組みを着実に推進しながら、平成20年4月の診療報酬改定への迅速な対応による収入確保に取り組むとともに、地域全体が医療に対する理解を深められるよう、市町村などとの協働により県立病院の現状や課題等に関する情報提供に努めるほか、医師の勤務環境を改善するため、関係職種間の業務の役割分担の推進に重点的に取り組んでいきます。
 このため、第1に、良質な医療を提供するため、クリニカルパスや医療安全対策の推進、電子カルテなどの計画的な整備など、患者中心の安全・安心な医療の提供や、病院施設、高度医療器械等の医療提供基盤の整備に取り組むとともに、医療連携ネットワークの構築やがん診療機能の充実など、医療機能の役割分担と連携を推進してまいります。
 第2に、診療体制の充実を図るため、引き続き医師の確保に取り組むとともに、勤務医の定着を促進するため、医療クラークの導入や院内保育所の24時間保育の実施を初めとする医師の勤務環境の改善に努めてまいります。
 第3に、経営の改善についてでありますが、県立病院群の一体的運営や病床規模の適正化を進めるとともに、診療体制の充実による患者確保や診療報酬の上位の施設基準取得等による収入の確保、職員配置の適正化等による給与費の縮減や薬品の整理統一等による材料費の抑制、また、外部委託の推進や業務支援システムの整備等による運営の効率化などにより費用の抑制に努めるなど、これまでの取り組みを着実に推進してまいります。また、県の新しい医療計画や国の公立病院経営改革ガイドラインを踏まえ、県立病院として真に果たすべき役割を明確にし、他の医療機関との役割分担と連携体制を構築するため、平成21年度から5カ年にわたる新しい経営計画の策定に取り組むこととしております。
 それでは、議案の説明に入らせていただきます。
 議案その1の55ページをお開き願います。議案第13号平成20年度岩手県立病院等事業会計予算につきまして御説明申し上げます。
 まず、第2条の業務の予定量でございますが、収益的収入及び支出につきましては、病床数を5、771床と定め、年間延べ患者数を、入院では165万4、000人、外来では268万9、000人と見込むものでございます。
 次に、資本的収入及び支出でございますが、病院建築工事のうち、新築工事では、花巻厚生・北上病院の統合病院は、平成20年度の竣工に向けて、工事費など所要の事業費を計上するものでございます。中央病院の増改築工事については、平成22年度の竣工に向けて、所要の事業費を計上するものでございます。また、医療器械については、中央病院などに更新整備する線形加速器システム、通称リニアックなどの購入が主なものでございます。
 第3条の収益的収入及び支出と、次のページに参りまして、第4条の資本的収入及び支出の具体的な内容につきましては、後ほど予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 57ページに参りまして、第5条の企業債でございますが、病院建築工事や医療器械の整備及び退職給与金の財源となる企業債の限度額を229億6、500万円とするとともに、その償還方法などを定めようとするものでございます。
 第6条は、一時借入金の限度額を143億円と定めようとするものでございます。
 第7条は、議会の議決を経なければ流用することのできない経費を定めようとするものでございます。
 第8条は、薬品、診療材料などのたな卸資産購入限度額を定めようとするものでございます。
 第9条、重要な資産の取得は、購入予定価格が1件7、000万円以上の医療器械を掲げているものでございます。
 それでは、次に、予算に関する説明書の418ページをお開き願います。平成20年度岩手県立病院等事業会計予算実施計画につきまして御説明申し上げます。
 初めに、収益的収入及び支出でございます。
 まず、収入でございますが、第1款病院事業収益は970億9、800余万円で、平成19年度の最終予算と比較しますと、およそ3.7%の増加を見込んでいるものでございます。
 第1項医業収益は845億6、300余万円で、1目入院収益は548億7、100余万円、2目外来収益は237億9、700余万円でございます。3目その他医業収益は58億9、400余万円で、その主なものといたしましては、救急医療などの一般行政経費に係る一般会計繰入金、健康診断等の公衆衛生活動収益などでございます。
 第2項医業外収益は125億3、400余万円で、その主なものといたしましては、2目補助金5億4、700余万円は、救命救急センター運営事業費などに係る補助金でございます。3目負担金交付金112億2、600余万円は、結核病床や精神病床及び高度医療などの不採算経費に係る一般会計繰入金でございます。5目その他医業外収益7億1、100余万円は、不動産貸付料などでございます。
 419ページに参りまして、次に支出でございますが、第1款病院事業費用は972億1、700余万円で、平成19年度の最終予算と比較しますと、およそ3.3%の増加を見込んでいるものでございます。
 第1項医業費用は911億5、900余万円で、その主なものといたしましては、1目給与費515億3、100余万円、2目材料費230億7、100余万円、3目経費124億3、100余万円、5目減価償却費36億1、200余万円などでございます。
 第2項医業外費用は57億9、900余万円で、その主なものといたしましては、1目支払利息及び企業債取扱諸費40億3、000余万円、次ページに参りまして、2目繰延勘定償却16億1、100余万円などでございます。
 この結果、収入と支出を差し引きまして1億1、900余万円の純損失が見込まれるものでございます。
 421ページに参りまして、次に、資本的収入及び支出につきまして御説明申し上げます。
 まず、収入でございますが、その総額は266億8、200余万円で、その主なものといたしましては、第1款資本的収入の第1項企業債は229億6、500万円で、これは、さきに業務の予定量で御説明申し上げました花巻厚生・北上病院の統合病院などの建築工事や医療器械の整備などに充てるためのものでございます。
 第3項負担金36億9、300余万円は、企業債償還等に係る一般会計からの繰入金でございます。
 422ページに参りまして、次に、支出でございますが、その総額は313億5、700余万円で、その主なものといたしましては、第1款資本的支出の第1項建設改良費216億5、200余万円で、その主なものといたしましては、2目建物費137億9、000余万円、3目医療器械費59億7、300余万円などでございます。
 第2項企業債償還金は74億2、600余万円でございます。
 第4項開発費は10億9、000余万円でございますが、その主なものといたしましては、情報処理システムなどの開発費でございます。
 第5項退職給与金は10億3、600余万円でございますが、退職者の増加に伴い、退職給与金の支払いが多額に上ると見込まれることから、その負担を翌年度以降に繰り延べ費用として計上するものでございます。
 なお、424ページ以降の資金計画、給与費明細書、債務負担行為に関する調書、予定貸借対照表及び予定損益計算書につきましては、説明を省略させていただきます。
 次に、予算以外の議案について御説明いたします。
 議案その2の141ページをお開き願います。議案第47号医療局職員奨学資金貸付条例の一部を改正する条例につきまして御説明申し上げます。
 まず、第2条の貸付けは、臨床研修医及び貸し付け実績のない看護師を対象者から除き、医学生及び医学課程の大学院生に限定しようとするものでございます。
 142ページに参りまして、第4条の貸付金額は、従来、月額一律20万円であったものを、私立大学については30万円に引き上げようとするものでございます。
 次のページに参りまして、第9条の返還等の免除は、その要件を、貸し付けを受けた期間、県立病院等に勤務することとしようとするものでございます。
 144ページに参りまして、第10条の返還等の猶予は、返還猶予が認められる要件のうち、臨床研修及び大学などでの研究を理由とする場合の期間を、通算して6年間までとしようとするものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇千葉康一郎委員長 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇小田島峰雄委員 二、三お尋ねいたします。
 先日、2月15日の新聞報道でございますけれども、医療局はことしから県立病院の院内保育所で24時間保育に乗り出すとのことでございます。女性医師が働きやすい環境を整えることで退職を防ぐとともに、出産や子育てのために退職した女性医師の職場復帰を促すなど、深刻な医師不足を少しでも解消したいとする意欲の姿勢は高く評価されてしかるべきであります。
 そこで、4月から胆沢病院で取り組むというお話でございますけれども、改めて設置目的や期待される効果等についてお尋ねいたします。また、今後の他病院への設置計画、あるいは院内保育所の運営概要、さらには設置のコストと負担の問題といったことについてお尋ねをするものであります。
 また、先だっての議論でございますけれども、毎年、県立病院から相当数の医師が退職されるということが明らかになったわけであります。そのうち、女性医師の退職についてはどういう状況になっておるのか、ここ二、三年の動向で構いませんけれども、お答えをいただきたいと思います。また、先ほどの24時間保育以外に、職場復帰を支援する施策をこれまで講じてこられたのか、ありましたなら、それもあわせてお伺いいたします。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 県立病院の24時間保育の設置目的、期待される効果としましては、女性医師の増加や看護師不足の中で、女性の子育て環境を整えることにより、医師確保を初め女性の就業促進への効果が期待されるところでございます。また、女性医師等の就業環境を整えることによりまして、患者への医療サービスの向上に還元されるという効果も期待されるところでございます。
 次に、今後の他病院への設置計画でありますが、まずは胆沢病院の院内保育所について、平成20年4月から、24時間保育及び病児保育を実施することとして準備を進めておりますし、残りの広域基幹病院の院内保育所につきましても、24時間保育や病児保育への移行に向けて取り組みを進めているところでございます。
 次に、院内保育所の運営概要でございますけれども、病院施設内の認可外保育施設として、病院の職員が養育する乳幼児を対象に、基本保育や延長保育のほかに終夜保育、一時保育、病児保育なども含めまして運営することといたしているところでございます。
 設置コストと負担の問題でございますけれども、24時間保育の実施に伴いまして、配置する保育士等の体制の強化に伴う人件費等が増加することから、2、200万円程度、医療局の負担が増加する見込みでありますが、一方では、医師確保に伴いまして診療収入の増加も期待されるところでございます。
〇相馬医師対策監 女性医師の退職の実態についてお答え申し上げます。二、三年ということでございましたので、平成17年度から平成19年度現在までの約3年間について申し上げさせてもらいます。事由別に申し上げますが、女性医師の方が開業のために退職された方は、平成17年度に1名ございます。民間病院に異動した方、これは御主人の関係でということもありますけれども、そういう方が平成18年度に3名、平成19年度に2人の5名ございます。御家庭の事情などによりまして退職された方は、平成17年度に2名、平成19年度に1人、計3名で、3年間の合計は9人となってございます。
 それから、職場復帰の際の支援対策についてでございますが、子供さんを持った女性医師が働きやすいように、御指摘がございました24時間保育とともに、週の勤務時間を20時間から25時間の間で選択できる育児短時間勤務制度を平成20年1月から導入しておりますし、そのほかに知事部局と一緒に女性医師の育児支援事業、あるいは医科大学での復帰の際の復帰研修ということなどを実施してございます。
〇小田島峰雄委員 24時間保育でございますけれども、今後、胆沢病院を皮切りに他の広域基幹病院に設置していくというお話でございましたが、いつまでにというお話がございませんでした。何十年もかかってやられるのか、その辺のところをもう一度お答えいただきたいと思います。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 現在、日中だけの保育を委託している団体との話し合いや、受け皿となっております民間業者との折衝などを進めておりまして、できるだけ早い時期に移行したいと考えてございますので、少なくともここ1年ぐらいの間にはめどをつけたいと考えてございます。
〇小田島峰雄委員 この予算特別委員会においても、ずっと医師不足等が議論されておるわけでございます。できるだけ早期に職場復帰支援対策を進めていただきたいものと思う次第であります。
 次に移ります。
 先ほど、医療局長の説明の中にもございました電子カルテの普及状況についてお尋ねいたします。この電子カルテの導入につきましては、たしか平成16年ごろから始まったと記憶いたしておりますけれども、一例を申し上げますと、私が住んでおります県立東和病院におきましては、他の病院に先駆けて電子カルテを取り入れて実践しております。東和病院では、このほかにISO14001の認証取得や、あるいは病院機能評価なども取得して、懸命に患者本位の病院経営に努めておられます。そのような努力が、結果として病床利用率100%につながったり、あるいは数少ない黒字病院の維持につながったりしているのだろうと思う次第であります。たった71床の小さな病院ですけれども、こうした懸命の努力は、他の病院の模範であろうと私は考える次第であります。そんな一生懸命頑張っている病院を、ゆめゆめ、近い将来、診療所化などにするようなお考えは持たないように、ひとつ、くぎを刺しておきたいと思います。これはきょうのメーンテーマではございませんからこっちへ置いておいて、電子カルテに戻ります。
 電子カルテの導入の基本的な考え方、あるいはメリット、現在の普及状況、また、コストを含む導入に当たっての問題点や課題、今後の推進方策、これらについてお答えいただきたいと思います。
〇三田システム管理室長 電子カルテ導入の基本的考え方、メリットについてでございますが、医療制度の変化や多様化する患者ニーズに対応するため、医療情報の標準化や患者情報の電子化及び病院運営の効率化を実現するために、電子カルテを導入することとしておりまして、導入により患者サービスの一層の向上が図られるとともに、地域の医療機関とも診療情報を共有化することで、県立病院の機能分担や連携を推進する効果も期待されると考えております。
 次に、現在の普及状況についてでありますが、県立病院では平成17年10月から東和病院で、また平成18年4月から磐井病院及び南光病院でそれぞれ稼働しており、現在のところ、計3病院が稼働しているところでございます。
 続きまして、導入に当たっての問題点、課題等につきましては、今後、導入病院が複数となっていくことにより、投資額がそれに伴い増加していくこと及び電子カルテを導入することにより、業務の効率化をより一層進めていく必要があること、さらには、医師を初めとする医療関係者の操作習熟などが課題であると認識しております。
 今後の推進方策についてでございますが、今後は、病院の規模あるいは現有システムの保有状況等をかんがみ、当該病院へ最適な形で導入することとしておりまして、現在、花巻厚生・北上統合病院、二戸病院、久慈病院でそれぞれ構築作業を進めております。
〇小田島峰雄委員 病院の規模等によって整備コストが多少違いがあるのではないかと思いますけれども、平均的な病床数で大体幾らというような具体的なお話をちょうだいできればと思います。もう一度お願い申し上げます。
 それから、さまざまメリットについてお答えがございました。患者サービスの向上等だけではなくて、このシステムの導入によって、結局は病院の経営にも大きく寄与するものであると私は思っております。そういう意味からも、コストの問題はあるにせよ、計画的に進めていくべきだと思っておりますけれども、これに対する御見解もあわせてお伺いいたします。
〇三田システム管理室長 コストの件でございますが、磐井・南光病院の実績を申し上げますと、システム開発費で約5億6、700万円、サーバーやパソコンなどの備品費といったものが約3億1、200万円、合計で約8億7、900万円を要しております。これは、電子カルテとそれぞれ部門システムをくっつけるという作業も含めての話でございますけれども、いずれ、かなりの投資額が必要になってまいりますので、例えば磐井・南光病院の実績ノウハウを今後十分に生かしまして、並びに既存システムの有効活用を図るなどして、導入経費の圧縮に努めていこうという考えでございます。今後は、いずれにせよ、そういった考え方のもとに、費用の平準化といいますか、そういったことを図っていきたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 ただいまのお答えにありましたとおり、南光病院で8億円という少なからぬ財源を要するシステムでございますから、大きな累損を抱える県立病院に早く早くと言いましても無理があることは承知でございますけれども、計画的に進めていただきたいと思います。
 最後に医療局長にお尋ねいたします。もうすぐ局長は医療局を離れられるわけでございますけれども、医療局を担当されて、さまざまな思いを抱いていらっしゃるのではないかと思います。御案内のとおり、県立病院には院長会という組織があるのだそうでありますけれども、この院長会で、局長が医療局を去られることに極めて残念であるという声が日増しに高まっているそうでございます。そういう意味で、ぜひともこの機会に、在任中にこれだけはやったと言えるようなこと、あるいはこれだけはやりたいと思っていてもできかねたというようなこともたくさんあるのではないかと思います。さらに、これから県立病院がどんな道を歩んでいけばいいのか、そういったことについてまで、ぜひ御所感をお聞かせいただきたいと思います。
〇法貴医療局長 やったことというのはなかなか並べ立てることはできないんですけれども、やり残した感というのはかなりありまして、県議会の皆様あるいは県民の皆さんの御理解を得ながら病院改革を進めてはきたんですけれども、進めるに当たって、やはり地域の住民の方たちが、安全・安心な医療を確保したいということに対して物すごく熱い思いがあるというところで、内側の供給側の議論、あるいは受療側の議論というものを最適化するためには、やはり県立病院全体の情報をもう少し出してあげて、それをみんなで納得し合えるような場をもう少しつくるべきだったのかなと思っておりまして、地域地域での真摯な議論をもう少し続けていく必要があったのかなというのが、やり残したような気持ちです。
 それから、県立病院の行く手というのは、マラソンに例えれば、私は、もうたすきを渡す状態にあるわけですけれども、こういう国の制度改革の中で、非常に大きなビッグウエーブみたいなものが押し寄せてきているところで、この波に乗り切るにはどうしたらいいかということなのでしょうけれども、そういうときに、波に乗りながら、やっぱり地域地域でもっときめ細やかに、県立病院というのはこうあるべきだということを、もう少し役割分担を明確にしながら、保健、医療、福祉の連携の中で、どういうことをやれば患者さんに喜んでいただけるのか、一日も早く医療が終わって自宅に帰れるのかという議論を地域地域で深めていただきまして、そういうところで、なお未来の扉をあけるというか、もう一つの改革が進められていくべきなのかなと思います。県立病院は58年目になっているようですけれども、医療はこういう歴史の中にありますので、そういう歴史の中にあるからこそ、その知恵あるいは英知を結集して、きっといい医療制度を、県立病院を構築していってくれるものだと御期待しております。
〇小田島峰雄委員 最後に医療局長の大変いいお話をお伺いすることができました。医療局長には、今度は新たな分野で遺憾なく御手腕を発揮されますよう期待して、質問を終わります。
〇高橋比奈子委員 県立病院の24時間院内保育と、医師、看護師等の確保について私も通告をしておりましたが、今、御答弁がありました。一歩だけ踏み込んでお聞きしたいと思うんですが、1年ぐらいをめどに、現在、他病院の意見などの収集をして進めたいと私は受けとめさせていただいたんですが、その中で、他の9病院で何か課題があって進みにくいことがあるのか。1年ぐらいがめどというと、もう今ごろには募集などを始めなければいけないと思うんですが、その点につきまして、大体の見込みというか、そういうものを、現状、お話を聞いている中でお知らせいただければと思います。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 院内保育所の件でございますけれども、先ほど申し上げましたように、今現在、日中だけ委託している団体がございまして、そこの抱えている職員の方たちの処遇等も踏まえて検討しますと、すぐ別な人というわけにいかないという話し合いも続けながら、先ほど申し上げました民間の委託の受け皿の方たちの要請等も踏まえて、その辺の話し合いを詰めてからということになりますと、どうしても年度変わり─たまたま胆沢病院は3月でやめるということが決まっていたのを引き継いだという好条件もありましたので、すぐ移行できたんですけれども、まだほかは運営している状況でございますので、その辺のことを詰めながら、できるだけ早急にとは考えてございますけれども、いずれ、相手のあることでございますので、もうちょっと時間をいただきたいと考えてございます。
〇高橋比奈子委員 胆沢病院は以前から要望も出ていたということで、他の病院も要望が出ているのではないかと思うんです。看護師、医師、女性医師の確保には非常に大事な部分であるとも思いますので、ぜひ早急な対応をお願いしたいと思います。
 次に、県立病院の給食食材と地産地消推進について伺いたいと思います。
 現在、県立病院の給食についての外国産食材と県産食材の利用状況をお知らせいただきたいと思います。時間の関係でばふらっとで結構でございます。
〇岡山業務課総括課長 県立病院の給食食材の外国産・県産食材の利用状況でございますけれども、県産食材につきましては、平成16年度から平成19年度まで、穀類あるいは乳製品等につきましてはほぼ100%近い利用となっておりますけれども、大豆類あるいは魚介類、野菜類については大体20%前後の利用となってございます。また、外国産の食材は平均で大体16.3%ぐらいになってございまして、やはり魚介類が53.4%と利用が多いんですが、他のほうは穀類あるいは野菜類、大豆類等は低い利用という状況になっております。
〇高橋比奈子委員 岩手は水産県でありますので、やはり魚介類も県産のものを使っていただきたい。あわせて、私は、2月分の外国産と県産とその他の国産のものの数値をいただきましたが、野菜類はやむを得ないとしても、肉類を初め上げられる部分があると思うんです。ぜひこれに御努力をいただき、特に病院で給食を必要としている方は、食べるものからの健康ということも非常に大事だと思いますので、地産地消、地元の物をぜひお使いいただく御努力をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇岡山業務課総括課長 病院の食事でございますけれども、一般食あるいは特別治療食を合わせまして1食当たり大体50種類ぐらいに上りまして、より細やかな食事の提供が求められているものでございまして、作業時間の短縮など業務の効率化のためには、下処理されている食材の使用を多くせざるを得ないという現状もございます。県産食材におきましては、下処理された食材では予定した量あるいは種類に対応できない場合もございまして、安定供給ができる県産食材以外の食材等の使用も多くなっているという状況がございます。いずれにしましても、可能な限り県産食材の利用促進に努めていきたいと思っております。
〇及川幸子委員 外国産の16.3%ですが、中国産はどのぐらい占めておりますか。
〇岡山業務課総括課長 中国産がどのぐらい占めているかという部分については、ちょっと統計的にとってございません。ただ、先日話題になりました中国産ギョーザ等は県立病院では一切使っていなかったということでございます。ただ、中国産というので缶シイタケ、それは幾らか入っているということは聞いてございます。
〇及川幸子委員 統計をとっていないじゃなくて、大変重要な問題ですから、病気の方々の食事ですから、中国産ギョーザをとってないのは当たり前なんです。ですから、そういうところを、今後、やっぱり見きわめていくべきと思いますが、いかがですか。
〇岡山業務課総括課長 委員御指摘のとおり、そういったこともしっかりと踏まえて、統計もとって、やはり安全・安心という食材を提供するために努力していきたいと思っています。
〇岩渕誠委員 手短にやらせていただきます。
 まず、県立病院における医師の勤務実態につきましては、9月の決算特別委員会のときに、医療局長のほうで調査するというお話をいただきました。なかなか時間のない中でございますが、現在、どういう状況になっており、そして、新年度はどのような形でそれを生かすのか、あるいは調査を続けるのかというのをお示しいただきたいと思います。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 勤務医の勤務実態の把握についてでございますけれども、県立病院に勤務する医師の時間外における勤務状況の調査につきまして、その調査を実施するに当たりまして、事務的な業務作業が大変増加することから、多くの医師の理解を得るために、これまでいろいろ話を続けながら調整を続けてきたところでございますが、このたび、医師の協力を得るということができましたので、平成20年1月から調査を開始したところでございます。この調査につきましては、断続的にある程度の期間を調査を実施することとしてございますので、その結果を踏まえながら、医師の勤務状況の改善に向けた検討を速やかに進めてまいりたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 それは、公表のめど、あるいは中間発表のめどみたいなものがありますか。それとも公表しないんですか。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 医師との話し合いの中で、年間の繁忙期と、どちらかといいますと閑散期、それから中間の時期に分けてデータをとることとしていて、実態を把握したいということで話し合いのついた経過がございます。それらの各期間のデータを精査した上で全体の状況を把握することとしてございますので、現時点での結果を出してございませんが、いずれ、公表できる時点になりましたならば、こういう結果でしたということを申し上げたいと考えてございますので、よろしくお願いします。
〇岩渕誠委員 これは、これから、医師不足の中でどうやって病院運営をしていくか、そして患者側もどういうふうにすればいいのかというもとになる資料ですので、精査の上、できるだけ早くお示しをいただきたいと思います。
 また、そういう医師不足の中でいろんな動きが出てきている。県立病院でも出てきていると思いますが、その中で、外来診療の予約制というのが広がってくるのかと思っておりました。私の地元の磐井病院のほうでも、4月1日から外来診療の予約制への移行のスケジュールが示されているところでありますが、この外来診療の予約制につきましては、既に中央病院でやっていると思います。予約制のねらいは、ある程度理解できないわけでもないんですが、磐井病院になった理由と、今後さらに広げていく予定があるのか。広げるとすれば、広げる際の何かガイドラインみたいなものがあるのか、ちょっとお示しいただきたいと思います。
〇岡山業務課総括課長 県立病院の外来予約制度についてでございますけれども、医師の勤務が過剰となっているということも大きな要因ではございますが、患者の外来待ち時間の短縮、あるいは病診・病病連携のさらなる推進を図ることとか、入院患者の検査や手術予定の計画が立てやすくなるといった効果があるわけでございまして、平成20年1月現在で、22の県立病院等の延べ206の診療科が実施してございます。いずれ、ガイドラインといいますか、こういったいわゆる病診連携を図っていくとか、そういった流れの中で、やはり体制が整ったところから進めていくということを考えてございます。
 ちなみに、このような考え方に基づきまして、磐井病院では、地域の開業医あるいは医師会等の協力を得ながら、ことしの1月からは消化器科、外科、整形外科で外来診療、そして、開業医等からの紹介患者を含めた予約制に変更したものでございまして、この4月からは、委員からお話がありましたように、小児科等の一部診療科を除いて全診療科に導入することとしたものでございます。導入に当たりましては、地域住民への十分な説明に努め、混乱のないような配慮をしてまいりたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 ぜひ、そうしていただきたいと思います。取り寄せた資料を見ますと、紹介率も県立の地域中核病院については年々上がっているようでありますし、また、県立病院から地域の開業医に対してのいわゆる逆紹介ですか、この率も上がってきているようで、そういう病病連携の部分では理解が進んでいるんだと思います。
 ただ一点、ちょっと残念なのは、大事なのは患者さんに対する周知なのでありますけれども、磐井病院は全診療科でなるということで、大変不安を持っているんです。地域に対しての説明が、たしか、きょうでしたか、やっているんですが、4月1日からやるんですけれども、きょうは区長会の代表が集まって、しかもこれは一関と花泉だけを対象にしてやっているはずなんですが、もう少し早い段階できちんと説明をしていただかないと、地域の代表が集まってきょうやるということは、2週間で恐らく周知しきれないんですね。病院に来ている人たちはほとんど変わりませんから、新しく来る人たちにとっては大変不安がありますので、やっぱり引き続き周知徹底を図っていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 最初に、先ほどの予算の説明を受けまして、1億1、900万円の赤字ですか。4月からの診療報酬改定の影響がどうで、そして、先ほど説明された1億1、900万円というのはかなり圧縮した努力の結果ではないかと思いますが、それが第1点。
 第2点は、医師確保と診療体制について。この間、大船渡、宮古、その他で大変深刻な医師不足に陥りましたが、その後の医師確保や診療体制をどう改善されているか、示していただきたい。
 医療秘書の配置状況、配置病院、人数、労働条件を示していただきたい。
 産婦人科の問題については、新たな産婦人科医師の配置は来年度あるのか。助産師外来、院内助産の実績と拡充の見通し。
 来年度の臨床研修医、後期研修医の確保の状況。
 医療局20人の奨学生の枠になっていますが、この奨学生の確保、内定状況といいますか、どうでしょうか。
〇岡山業務課総括課長 診療報酬改定の影響でございますが、平成20年4月からの診療報酬改定につきましては、診療報酬本体の改定率はプラス0.38%でございますけれども、薬価等の材料がマイナス1.2%と、全体ではマイナス0.82%でございまして、平成18年度の改定に続いてマイナス改定となっております。この改定率を単純に当てはめますと、県立病院における影響額は年間で6億2、000万円ほどの減収と見込まれております。この改定によりまして県立病院の経営に大きく影響を及ぼすものと考えられますことから、より上位の施設基準の取得、あるいはマイナス改定された薬価等についても適正に対応してまいりたいと考えてございます。
〇相馬医師対策監 医師確保と診療体制の改善の件でございます。御指摘がございました大船渡病院でございますけれども、大変懸案でございましたが、岩手医科大学の御理解等もいただきまして、4月から常勤医師の配置のめどが立ってきたという状況でございます。
 それから、宮古病院でございますけれども、こちらのほうは引き続き中央病院から週2回の応援をしてございますが、国の派遣でいらっしゃっていただきました川崎市の済生会東部病院というところから、引き続き4月以降も応援をいただけるという状況が見えてきてございます。そのほか、医師の確保をしたいわけなんですけれども、絶対数が足りないということもございまして、容易に派遣を受けられませんけれども、引き続き努力してまいりたいと考えてございます。
 それから、来年度の初期研修医、後期研修医の確保の件でございます。平成20年度の初期研修医の採用予定数は47名となってございます。後期研修医のほうは60名となる予定でございます。
 それから、来年度の医療局奨学生の件でございますけれども、今、募集をしている段階でございまして、これから具体的な申し込みのことなどが入ってまいります。そういう状況でございますので、まだ幾らという形には見えてございませんけれども、いろいろPRして、照会等もございますので、何とか多くの方々に応募していただきたいと考えてございます。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 医療秘書の配置病院と人数、労働条件・待遇等でございますけれども、医療秘書は、診療所を除きまして、希望するすべての病院に、病床数や医師数、また診療報酬で新設されます医師事務作業補助体制加算なども勘案しまして、全体で63人程度を配置する予定でございます。医療秘書は通称でございまして、身分としましては、既存の事務の日額または時間制の臨時職員として任用するものでございます。
〇根子経営改革監 産婦人科の関係でございますけれども、県立病院の産婦人科医師は減少傾向となっておりまして、少なくとも3人以上の常勤医師の配置を目指していくことが必要でございますけれども、依然として医師確保は厳しい状況でございます。それで、大学のほうからの派遣医師の調整等も含めて、引き続き努力してまいりたいと考えております。
 それから、助産師外来、院内助産の関係でございますけれども、現在、助産師外来は、釜石、宮古、久慈、二戸、千厩、大船渡の各病院で実施していますが、このうち千厩と大船渡につきましては、今年度から拡充して実施しているという状況でございまして、院内助産については、今年度、釜石病院で実施を始めたところでございますけれども、来年度、新たに久慈と宮古病院で実施する方向で今、検討している状況でございます。
〇斉藤信委員 ちょっと質問したことにきっちり答えてほしいんだけれども、医療クラークも何病院になるんですか、何病院。あと、労働条件をもっと明確に答えてくださいよ、明確に。というのは、この間、岩手県医師会の勤務医部会・病院部会の医療講演会、シンポジウムがありまして、その場でも、既に実施しているところの医師から発言がありました。きっちりした常勤の人を配置すべきだという話でしたので、私はそういうことで聞いているので。
 あと、院内助産の実績はどうですか。これをお聞きします。
 それと、医師確保のための対策として、来年度賃下げなんですよね。私は、医師確保で必死になっているときに賃下げという点では全然話にならないと思うんですよ。これ、医師の場合、平均してどのぐらいの賃下げになるのか、そして、それに対する対策はあるのか、お聞きいたします。
 後期研修、臨床研修、これは新たに47名ということでいいんですね。後期研修新たに60名と。これは累計で60名ですか、そこをちょっと確認いたします。47名だとすると定員を割っているのかな、少し足りなかったなと。これはどういうことなのか示してください。
 医療局の奨学生の確保は、応募件数でもいいですから、示せたら示してください。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 医療クラークでございますけれども、医療クラークの配置病院は、先ほど希望するということの回答を申し上げましたが、22病院あるうち1病院が今のところ必要ないということもありまして、21病院に配置する予定になってございます。
 それから、待遇でございますけれども、先ほど事務の臨時職員ということで、病院によりまして、例えば時間制の職員2人を1人に換算した格好で雇用したほうがいいとかいろいろございますので、いずれ仮に日額ということでありますと、経験年数等によりますけれども、最低で日額6、000円、それから経験年数の高い方で8、240円という内容になってございます。いずれ、普通の事務で採用している事務臨時職員の方と同じ待遇となる予定でございます。
 それから、医師確保のための賃金引き下げへの対応でございます。
 今般、岩手県職員全体を対象として給与の特例減額を実施することに伴いまして、医師についてもその給与の特例減額を実施することとしているところでございますけれども、医師確保の困難性から処遇を落とすことは適当でないとの判断で、別途、特殊勤務手当の増額によりまして対策を講ずることとしているところでございます。
 それで減額分、給与の部分だけでございますけれども、医師分で全体6、525万7、000円を減額するとなってございます。その分を改めて特殊勤務手当のほうで措置するような格好になると考えてございます。
〇根子経営改革監 院内助産の実績でございますけれども、8月から試行に入っていまして、8月から12月までの累計で全体で120件の分娩がございました。そのうち、院内助産のある助産師対応が93件、それから医師が対応したものが27件という状況ですが、9月のいわゆる本格実施以降については、全体で87件のうち1件だけが医師対応ということで、ほぼ助産師のみの対応になっております。
〇相馬医師対策監 初期研修医の件でございますが、47名は新たに今回入って来る方々でございます。定員は、今年度は69名としてございましたので、68%ぐらいに終わってございます。
 その原因ということでございますが、やはり先ほど申しました大船渡あるいは宮古の循環器の医師が少なくなったということなども影響いたしまして、若干そういう病院で落ち込んでいることが大きな原因ではないかと考えてございます。
 それから、後期研修医のほう、60名と申しましたが、これは、初期研修を終わってからいる方々のことでございますので、ちょっと詳しく申しますと、今現在、全県立病院に後期研修の方々が57名いらっしゃいますけれども、その方々の中にはほかの大学とかに行ったりなんかあるんですが、そのほかに他県から新たに来て後期研修をされる方もございまして、全体でさらにそれが60名にかわって引き継いでいくという内容でございます。
 それから、奨学生の応募の状況ということでございますけれども、先ほど申しましたが、今ちょうど募集の状態でございまして、24日が締め切りということでやってございますので、まだほとんどの方々からの応募が、これから来るだろうという状況でございますので、御了解いただきたいと思います。
〇斉藤信委員 医師に対する賃下げに対する対応、私は、これは当然だと思います。ぜひ、厳しい中で勤務医の確保に全力を挙げていただきたい。もちろん医師だけでなく本当は必要なんだけれども、ここは指摘だけにとどめて。
 次に、看護師確保対策についてお聞きいたします。
 中央病院が来年度から7対1の看護体制を実施すると、私、これは大変な前進だと思いますが、どれだけの看護師さんの増員で実施するのか、病院の夜勤体制はどう改善されるのか。私が一貫して取り上げてきた1病棟2人夜勤というのは、これは確実になくなるだろうと思いますが、いかがでしょうか。
 二つ目は、月8日の夜勤体制を私はしっかり守るべきだと思うんですけれども、最近、看護師不足から1カ月で9日に達する夜勤もある、それを合理化する医療局幹部の発言というものも聞いておりますが、あくまでも月8日以内の夜勤というのは厳守して、そして、必要な看護師確保に取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇佐々木参事兼職員課総括課長 中央病院の7対1看護体制に係る看護師の増員、2人夜勤の解消についてでございます。
 中央病院の7対1看護の導入に当たりましては、正規職員を40人程度増員する予定でありますし、あわせて外来部門の看護師の配置見直しによりまして、病棟へ42人程度再配置し、病棟勤務の看護師が82人程度増員される予定であります。これによりまして、看護の質と患者のサービスの向上が図られるものと考えてございます。
 それから、中央病院におきましては、現在、5西病棟と9西病棟が2人夜勤体制となっておりますけれども、5西病棟につきましては3対3体制に引き上げることで2人夜勤はなくなると考えてございます。
 それから、9回夜勤につきましては、今いろいろと話を続けてございますけれども、国の基準の中でも9回夜勤がある程度認められているという状況の中から、うちのほうとしても、できればそういう体制で臨むことによって、いわゆる夜勤体制が楽に回るといいますか、ある程度業務がしやすくなるという観点から提示申し上げている状況でございます。
〇斉藤信委員 私は今の中央病院の7対1看護体制、それは前進だと思いますよ。しかし、月の8日夜勤を崩すなんていうことは、これは許されないことですよ。1970年以来ずっとこれを守り続けて、それでも9日夜勤というのがあって、その都度、労働組合とも協議をし、また現場で協議をしながらやらざるを得ないという状況を私は承知していますが、これを崩したら大変なことになります。
 例えば、私は改めて中央病院の看護師さんにもお話を聞いてきました。これはいつも問題にしている5西ですけれども、スタッフ22名のうち育児時短が2名、緊急入院が多くて、もう超勤を記入すると師長から書かないでと言われると。寝たきり、不穏、急患が多くて大変だ、こういうことです。
 それと、これは6東ですけれども、妊婦さんの夜勤免除ができません。師長も考慮してくれません。誕生日の年次を申請したけれども断りもなく却下されました。本当に、今でさえこういう状況なんですよ。だから、日勤の看護師さんが帰るのが8時、9時、その残業も書き込めない。今、それでも月8日夜勤ということをきっちり守っている中でですよ。これを崩したら大変なことになりますよ。
 看護師需給計画というのは月8日夜勤を前提にしているんですよ。そして今、看護師確保法の見直しを求めて国会請願があって、これは全会一致で国会でも採択はされた。そこでも月8日夜勤というのを守るべきだとなっているときに、岩手の県立病院がこれを全国に先駆けて崩したらどうするんですか。
 医療局長、立つ鳥跡を濁していくのですか。答えていただきたい。
〇法貴医療局長 月の8日夜勤案は昭和40年代に二八闘争ということで40年守り続けてきてはいるんですけれども、この間の診療報酬改定で、月72時間まで夜勤はいいですよという診療報酬改定も出ています。
 そういう状況もあって、新たな制度をつくるべきだということで話し合いを続けたいということで、今、組合のほうに申し込んでおりまして、そういう話し合いの中で、本当に8日を守っていくべきなのか、それとも、万やむを得ない場合は9日に行くのかということで、いずれ話し合いを続けながら新しい制度を構築していければと、すべてを否定しているわけではなくて、現状でどういう制度ができるのかという話し合いを続けているところでございます。
〇斉藤信委員 医師確保とあわせて、看護師の確保は本当に重大なんですよ。岩手県全体でもずっと不足なんですよ。ことし、来年、再来年、300人、500人と岩手県の看護師さんは不足する。県立病院も、例えば今年度どういうことになったかというと、4月に120人採用したけれども、スタートした4月に43人特別募集、9月に12人特別募集ですよ。私は、そういう中で、本当に岩手県の県立病院というのが、岩手の病院を代表する一つのモデルにならなければならない病院だと思うけれども、そこで、昭和40年代看護師さんの悲願として守られてきた、打ち立てられてきた月8日夜勤が崩されたら、これは県立病院にとどまらない、本当に看護師確保にとって深刻な事態を招きかねないと思うんです。
 一つだけ例を言いますけれども、三重県の尾鷲市立総合病院、255床の病院ですが、今年度正職員10人の採用を見込んでいたが、だれも応募しなかったと。今こんな事態さえ起きているんですね。
 医師確保の次は看護師確保ですよ。看護師さんのこの深刻な実態をさっき紹介した。今、看護師さんは、中央病院は昼休みを30分から35分しかとっていませんよ、ほとんど。1時間の昼休みが45分になったけれども、30分から35分しかほとんどの看護師さんは昼休みがとれていない。そういう中で月8日夜勤を崩すとはどういうことなのか。
 看護師さんのこの痛み、苦しみ、悩み、医療局長、もう一度、私は、これは守るべきだ、そして看護師確保に全力を挙げて、岩手の看護師確保の先頭に立つべきだと思うけれども、いかがですか。
〇法貴医療局長 看護師不足というのが7対1看護の取得で全国的にふえているということがありますが、おかげさまで、県立病院は採用を順調に続けておりまして、確保は難しいですけれども、できているのではないか。ただ、臨時職員で採用はなかなか難しくなってきているという状況はあります。
 ただ、先ほど申し上げましたけれども、法律上72時間、9日夜勤までいいんだという制度改正がなっていて、その8回夜勤の制度も、もう基準としてはなくなってきているということもあるので、ここで今、先ほど全部なくすのかという質問がありましたけれども、新しい制度を構築するために話し合っていきたいということですので、そういう話し合いの中でいろいろなことを、例えば新人が入ってきて、4月、5月は先輩方がその分多くして、新人が育つまでの間は頑張りましょう、そして年平均して8回くらいまで行きましょうとか、そういう制度を新しくつくっていけばいいかと思っています。
 そして、今は平均して8回夜勤と言っていますけれども、データをとると6.8回くらいになっているんです。ですから、今の状態でも、いきなり9回夜勤ががんがん出るような状態ではないんですけれども、制度が変わっているときに、やはり昔のままの制度でいいのかということもあるでしょうから、労使で新たな制度に向けて、本当に円滑に夜勤ができて労働過重にならないような制度をつくっていければいいと思っています。
〇斉藤信委員 制度が変わったと言うけれども、国の看護師需給計画も、県の看護師需給計画も、月8日夜勤ということで算定しているのですよ。これは今まで守られたものだから、新しい制度というのは改善してこそ新しい制度なので、それを理由にして改悪したらだめですよ。
 これは指摘だけにとどめて、県立病院の新しい経営計画について最後にお聞きいたします。
 これは、医師不足を押しつけて、診療報酬引き下げで、県立病院、全国でも7割以上が赤字になっているという中で、それを理由にして再編、リストラ、診療所化を押しつける、こういうものであります。医療費削減がその前提にあるけれども、県立病院の創業精神である県下にあまねく医療の均てんをと、県内どこにいても良質な医療が受けられる、私はこの立場に立って、県立病院のあり方、そして県立病院間のネットワークや連携というものを強化する方向を検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 そして、この中には、具体的には病床利用率70%以下の病院、これ3年続いたら病棟削減、診療所化と出ているんですね。平成18年度、70%以下というのはどこどこの病院か、3年連続70%以下はどこの病院か示していただきたい。
 そして、私は、地域医療を守るという点でいけば、こういう機械的な診療所化というのはやるべきではないし、先ほど小田島委員から言われたけれども、診療所化したところはすぐ無床化なんていう、こういうこともあってはならないと。地域医療をしっかり守る方向で考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇根子経営改革監 新しい経営計画についてでございますけれども、今の県立病院を取り巻く環境は非常に厳しいものがございまして、医師不足、それから患者数の減少、それから診療報酬の改定などによります収益の減少、こういったことが依然として厳しい中で、今後も県立病院が良質な医療を持続的に提供していくためには、県立病院だけじゃなくて、県全体の医療提供体制の中で県立病院のあり方を議論していくことが必要だと思っております。
 そういった議論を踏まえながら、新しい医療計画の中での医療連携体制の構築とかがあります。その中では、県立病院だけではなくて、市町村の病院も、それから民間も含めた連携体制というものがありますし、さらに、公立病院改革ガイドライン、これもやはり国の方から示されたものでございますので、その辺の整合性もとる必要があるということがございます。そういったものも踏まえながら、県立病院の果たすべき役割に応じて、そのそれぞれの病院の機能や特色を明確にしながら新しい経営計画をつくっていきたいと考えております。
 そして、それぞれの病院あるいは地域診療センターの病床の規模だとか診療体制等につきましては、地域における医療資源は、その地域ごとに違いますので、その辺のところを、民間の医療機関も含めたネットワークの構築とか、それから医療資源の効率的な配置、それから安定した経営基盤の確立、これも必要ですので、そういったところを基本にしながら、きめ細やかに検討してまいりたいと思っております。
 それから、病床利用率でございますけれども、ガイドラインでは、病床利用率がおおむね過去3年間連続して70%未満の病院ということについて、病床を抜本的に見直すようにとなっておりますけれども、平成16年度から18年度までの3年間、利用率が70%を切っている病院というのは、沼宮内病院と大東病院でございます。
〇斉藤信委員 平成18年度だけで見るとどのぐらいあるんですか。それもちょっと言ってください。3年連続は二つだと。大変危ない状況だと思いますけれども。
 私は、県立病院の運営協議会の議事録は全部読ませていただきました。委員長が大変率直にそれぞれの県立病院の深刻な実態や努力の方向というものを説明していてよくわかったんですけれども、広域基幹病院と地域病院、やはり地域病院はもっと広域基幹病院─急性期に特化した病院とは違った医療をすべきではないか、こういう意見もその中ではありました。
 私は、そういう意味でいけば、地域病院のあり方、ただ在院日数を減らすというだけではなくて、やはり地域病院にふさわしい、急性期からの受け入れとか、そこでの一定の療養だとか検診だとか、そういう地域病院のあり方という点でいくと、まだまだ努力が足りないのではないか。
 先ほど紹介された東和病院というのは、私はそういう一つのモデルだと思うけれどもね。あとは、町立病院でいけば藤沢町立病院ですよ。私は、そういう地域でしっかり根を張って黒字を続けているような病院の経験というものを県立病院はしっかり学んでいく必要があるのではないか、そういう連携も必要なのではないかと思いますが、これを最後に聞いて、終わります。
〇根子経営改革監 平成18年度に限って申し上げれば、遠野病院が70%を割っている状況です。
 それから、今の地域病院のあり方についてもう少し役割をきちんとすべきではないかというお話でございますけれども、先ほど申し上げましたように、その地域ごとの医療連携体制というものが大事だと思っておりまして、地域ごとに県立病院も民間も市町村も含めた上で、それぞれの病院が何を担うかということをきっちり議論した上で、その上で必要な役割と必要な機能といったものを考えてみたいと思っております。
〇千葉康一郎委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇千葉康一郎委員長 質疑がないようでありますので、これで医療局関係の質疑を終わります。
 医療局の皆様は御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時42分 散 会

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