平成20年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(新居田弘文君) 民主・県民会議の新居田弘文です。
 発議案第14号道路関係諸税の暫定税率見直しと地方道路整備の財源確保に関して慎重且つ十分な国会審議を求める意見書について、民主・県民会議は真摯な議論を尽くし、一部内容について賛同する余地もあるものの、暫定税率の即時廃止、そして一般財源化への明確な踏み込みが見られないことから、会派を代表して反対の立場で討論を行います。
 この意見書では、まず最初に、暫定税率について時代状況の変化を踏まえ見直すこととしています。しかし、これでは暫定税率の何をどう見直すのか、そして、いつまでという期限も切っていません。この点で、我が会派の提出した意見書で示した暫定税率の即時廃止とは大きく異なります。
 私たちがまず第一に考慮したのは、原油価格の高騰等による現下の経済情勢であります。
 原油は、近年、国際的な投機対象となり、加速度的に価格の上昇が見られており、県内でも石油製品は高騰しています。このため、県民の日常生活は疲弊し、輸送業界や農林水産業などを初めとする産業界でも大きな負担増を余儀なくされるなど、県内経済にも影響が出ている実態です。国民、県民の生活が、まさに石油製品の高騰を初めとする値上げラッシュによって生活防衛にきゅうきゅうとしている中、国民、県民の生活が第一と考える政治集団であれば、まず、何を大切にし、だれのために政治を行わなければならないかを判断して、当然、暫定税率の廃止の決断を行うものと考えます。そして、それを国民、県民は心から強く望んでいます。
 最近の各種全国世論調査でも、おおむね3分の2が暫定税率の維持に反対し、廃止を求めていることが明らかになっております。
 3月22日付のブロック紙では、東北の有権者の7割が暫定税率の維持に反対、そして一般財源化に賛成しています。これは、民の声です。今こそ、国民の声に謙虚に耳を傾け、問題を先送りしてはいけないと思うのです。
 この意見書では、また、道路特定財源についても、将来的な抜本的検討を視野に入れつつとしているものの、交通関係の社会資本整備を総合的に行えるようにするなどと、特定財源の維持から基本的にその立場は外へ出ようとしてはいないと言わざるを得ません。我々が求めているのは、この税制の抜本的改革を今すぐ行うことで、真の地方主権を進めることにあります。しかし、この意見書で見られるように、特定財源の維持から実情踏み出せず問題の先送りをしているのでは、霞が関が地方を牛耳る制度を是認することになります。
 本来、道路をつくるのかどうか、つくるとすればどれくらいのお金をかけてつくるのかは、その地域が決めることであります。しかし、実際には、使い道の細目からつくる道路の基準などに国が強く関与しています。我々も、岩手ではまだまだ道路整備は必要との立場ではありますが、どこにどうやってつくっていくかは我々が決める話であり、国に指図されなければならないものではないはずです。我々は、これこそ、地方自治の原点の話であり、それを阻害している現在の道路特定財源制度は、地方のことは地方でという原則に立ち返り、今後の地方主権の確立のためにも抜本的に見直し、一般財源化する必要があると考えております。この意見書には賛同することができません。
 なお、この意見書の提案理由には、現在国会で議論されていることについて、政局に絡めた動き、地方に住む者の思いとは距離感があるとしていますが、これこそ、国民、県民の声に耳をふさいだ表現と言わざるを得ません。6割以上の国民、県民が暫定税率の廃止を求め、そして、長年地方分権を求めてきた地方の声をどう受けとめているのでしょうか。我々は、石油製品の値上げで、生活防衛を強いられている多くの弱者の立場に立ち、そして地方主権の確立のため、地方のことは地方で議論して地方が決めるという、脱霞が関政治の確立を願う多くの地方の民の声を実現させようという、国民の生活が第一の議論を行っているのであります。
 多くの国民の願いを受けとめつつ、ただいたずらに政局を持ち出すことこそ、みずからの政治的保身以外の何ものでもありません。ましてや、国政において、常々責任政党を標榜し、政権与党の立場を強調する会派の皆様が、みずからの立場を明確にする意見書を提出しないことは説明責任の放棄であり、言論の場であるこの議会で政権与党会派として議論する機会がないことは、政治的立場を異にしていたとしても、極めて残念なことです。
 政治は、だれのためにあるのでしょうか。良識ある国民、県民は知っています。これでは、政治不信だけではなく、政策、マニフェスト不信も増幅するのではないでしょうか。私たちは、国民、県民の生活が第一、そして、それを実現する政策を推進する立場、この意見書に反対の意思を明確にして、討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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