平成20年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇5番(岩渕誠君) 民主・県民会議の岩渕誠です。
 会派を代表して、発議案第13号道路特定財源の一般財源化及び道路関係諸税の暫定税率廃止を求める意見書について、賛成の立場から討論を行います。
 この意見書では、真に地方の自立を図るとともに、原油価格の高騰など、現在の経済情勢に苦しむ国民生活を救済し、かつ、内需主導型による我が国の経済成長を確かなものとするためには、道路特定財源の一般財源化と、道路関係諸税の暫定税率の廃止は避けて通れないものとしております。これは、岩手に住む私たちにとって、地方主権の自治確立と生活が第一という二つの観点から、その実現に近づくものとして歓迎すべきと考えます。
 まず、第一に考慮しなければならないものは、原油価格の高騰等による現下の経済情勢であります。
 原油は、近年、国際的な投機対象となり、加速度的に価格の上昇が見られています。ニューヨークの先物取引価格では、1バレル100ドルを超える水準で取引が行われていて、今後も高値が続くものと推測されています。これらの状況を反映し、我が国の石油製品も価格上昇傾向が続いていて、財団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センターによれば、レギュラーガソリン1リットル当たり店頭販売価格は、平成11年5月には県内平均で92円だったものが、去年12月には155円に達するなど、8年余りの間に、実に価格は1.7倍近くにはね上がっています。こうした影響により、県民の日常生活は疲弊し、輸送業界や農林水産業などを初めとする産業界でも大きな負担増を余儀なくされるなど、県内経済にも影響が出ているのが実態です。その中で、この意見書が求める暫定税率の廃止が実現されれば、石油製品の値下げが行われ、物価上昇を抑制する効果が期待されます。
 そもそも、暫定と名のつく税ながら、34年もの間継続され既得権化しています。別の見方をすれば、本来、年度ごとに事業を評価しながら存続を判断すべきものを、これまで国民に説明する十分な機会もないままに、34年間にわたって増税を求め続けてきたとも言えます。しかも、この税制は極めて逆進性が強く、所得の高い都市部に比べ、所得の低い地方が、より多く自動車等の維持に要する費用がかかっています。自動車に頼らざるを得ない生活を強いられる岩手のような地方と大都市では負担の格差があり、現在の税制のまま、しかも今の経済情勢下では、これを放置すれば格差の拡大を増長させることになります。これは絶対に許してはいけないものと我々は考えます。
 我々の試算によれば、暫定税率の廃止によって、岩手県では、1世帯当たり東京都のおよそ3倍に当たる7万6、000円の減税額が見込まれます。格差の縮小にはもちろん、現在の低金利政策のため景気浮揚につながる経済政策が極めて限定的となっている中では、この暫定税率の廃止は極めて効果的な経済政策でもあります。
 国民、県民の生活が、まさに石油製品の高騰を初めとする値上げラッシュによって生活防衛にきゅうきゅうとしている中、国民、県民の生活が第一と考える政治集団であれば、まず、何を大切にし、だれのために政治を行わなければならないかを判断して、当然、暫定税率の廃止の決断を行うものと考えます。そして、それを国民、県民は心から強く望んでいます。どうか、耳を傾けてください。
 最新の各種世論調査でも、おおむね3分の2が暫定税率の維持に反対し廃止を求めていることが明らか、暫定税率の廃止は、まさに国民、県民の切実な声なのであります。
 さて、一方で、この予算案は、予算の使い道についての問題をも提起しています。
 道路特定財源制度は、今から54年前の昭和29年、戦後復興に不可欠な道路整備の緊急性にかんがみてつくられたものであります。当初は有効であった制度であると考えますが、制度が長期間にわたるにしたがって、いわゆる道路族議員や道路官僚の既得権益になってしまってはいないでしょうか。
 ここに来て、連日報道されている道路特定財源を流用したお金の使い道は、日々の生活をどうしていこうかと思い暮らしている国民にとって、怒りを増幅させる燃料となっています。職員の旅行やタクシーチケット代、カラオケやアロマテラピーなどの娯楽費、目的がよくわからない施設の建設、ミュージカル作成費など、次から次へと出てくる目的外とも言える使用実例については、お役所の中では、暫定ではなく恒常的に、一般的に行われていたかのようです。
 そして、この意見書ではもう一つ、地方主権の確立に向けた問題を指摘しています。
 本来、道路をつくるのかどうか、つくるとすればどれぐらいお金をかけてつくるのかは、その地域が決めることであります。ところが実際には、使い道の細目からつくる道路の基準などに国が深く関与しています。我々も、岩手ではまだまだ道路整備は必要との立場ではあります。しかし、どこにどうやってつくっていくかは我々が決めていく話であり、国に指図されなければならないものではないはずです。しかし、現在の道路特定財源制度は、霞が関が地方を牛耳る仕組みとなっています。地方のことは地方でという原則に立ち返り、今後の地方主権の確立のためにも、道路特定財源制度を抜本的に見直し、一般財源化する必要があります。
 大事なことは、自分たちの地域は自分たちで議論し、自分たちにふさわしいやり方で自分たちが決めるという、真の地方主権に基づいた予算配分と事業選択のあり方を目指さなければならないということなのであります。
 以上、話をしてまいりましたが、国民のための政治の実現、そして地域の未来を自分たちで切り開くため、私はこの意見書に賛成するものであります。
 議員各位の御賛同をいただきますようお願い申し上げ、賛成討論といたします。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、新居田弘文君。
   〔29番新居田弘文君登壇〕

前へ 次へ