平成20年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(及川あつし君) 及川あつしでございます。
 通告に従いまして、4年ぶりに初心に戻りまして、以下質問をいたします。再びこの機会を与えていただきました有権者、また同僚議員の皆様に深く感謝を申し上げる次第でございます。
 初めに、知事にさまざまな観点からお伺いしますが、その趣旨を申し上げます。それは、私並びに県民の素朴な疑問ではありますが、県政運営上重大な疑問を直接問いかけることで、知事の政治家としての御自身の言葉に対する責任感と県政に対する本気度を確認するためのものでございますので、あらかじめ御了承をお願いしたいと存じます。
 まずは知事演述についてお尋ねします。
 本会議での知事演述に対し、翌日の地元紙論説では、もっと率直に語りたいとの見出しで、国と県、県と市町村の関係がどうあるべきか、達増知事は県の仕事や役割を率直に語るべきだ、二つの基本戦略について、方策がわかりにくいとの県民の声がある、将来の分権国家に向け、県の役割を明示すべきとの批評がありました。まずはその批評に対する知事の率直な所感を伺う次第でございます。
 次に、知事の政治姿勢についてであります。
 平成18年8月、達増拓也衆議院議員の出馬会見。小泉改革のもと、地方切り捨てが続けられようとしている。危機に直面する岩手を守るため、中央の改革の新しい流れを確かにするため立候補を決意した。新しい人を発掘したいという思いがあり、努力と工夫をしてきた。人がいないわけではない。小沢民主党になり、政権交代がリアルに見えてくる中、県連が総力を結集する形をとるには私の出馬がいいと判断したなどと述べられております。私は、その出馬表明以来今日に至るまで、衆議院議員達増拓也氏、知事候補者達増拓也氏、岩手県知事達増拓也氏の言動をつぶさに見てまいりました。しかし、何ゆえに衆議院議員を辞してまで知事選挙に出たのかという疑問は、1年がたとうとしておりますが、いまだ解決せず、同じような思いを多くの県民からも聞いておりますので、あえて伺う次第であります。衆議院議員達増拓也氏の知事選挙出馬理由は何でしょうか。政治的理由ですか、政策的理由ですか、みずからが岩手県政に対する熱い思いで立候補の決意をしたのか、その真意を改めて伺います。
 次に、県民に約束した原則任期8年についてであります。佐々木順一議員からは、みずから退路を断つことにより使命を果たすとの覚悟にも満ちた決意の表明と受けとめるとした上での質問がございました。しかし、私は、就任以来の言動が、知事の退路を断って改革を断行する、あるいは今回答弁にございました多選の弊害というメッセージではなく、逆に知事職は腰かけで、国会にいずれ戻るつもりとの多くの県民の声を生んでいると思うのですが、いかがでしょう。
 また、原則8年を掲げましたが、事実上再選出馬を既に前提として表明したと受け取ってもいいのでしょうか。また、任期終了後はどのような活動を描かれていますか。知事の県政に対する本気度を確かめるためにあえてお伺いいたします。あわせて、公約の原則とは何でしょうか、御説明をお願い申し上げます。
 次に、政党とのかかわり、政治家と行政の長とのバランスとけじめについてであります。
 知事の記者会見等の発言を要約すると、今の民主党は日本で一番いい政党。その党員であることは誇りだ。民主党籍を離れるつもりはない。政治は自由な世界、何でもあり。しかし、行政は抑制的に権力行使すべき。憲法、地方自治法、法令、条例、規則等に従いやるべき。その点を守った上であれば、政治的な部分では裁量の幅を有するなどと述べられ、実際、さまざまな政治家としての活動も行ってきました。
 さて、以前私は、増田前知事が、知事職の政治家と行政の長としての割合を1対9程度が適当との考えを示したと記憶しております。達増知事はいかがお考えでしょうか。今後、監視する立場でお伺いいたします。
 次は知事公務と政党活動、政治活動についてであります。
 去る1月16日、議会運営委員会が開かれ、知事の出張について、岩手の夕べ・希望王国岩手文化大使懇談会出席のため東京出張との報告がございました。しかし、後日知事は、議運報告にはなかった横浜市内で開催された民主党定期大会に出席したと後で知らされました。私は、知事が政治家として気概、信念、原則を示し、けじめをつけて知事公務と政治活動や政党活動にいそしむこと、それ自体を非難するつもりは毛頭ございません。問題は、その行動自体が原則に反し、県民福祉の向上の阻害になったりしないかどうかであり、あとは県民の判断、そして結果責任であるとは思っております。しかし、公費支出についてはある程度厳格さが求められます。
 そこで伺いますが、日程的に明確に区分される場合の公費支出の線引きは可能と存じます。しかし、1月16日、希望王国岩手文化大使懇談会出席と民主党定期大会出席のような一連の日程が混在している場合の公費支出はどうなるのでしょうか。知事公務と政治活動及び政党活動のけじめはどうあるべきか。また、1月16日の公費支出実態と、日程が混在している場合の支出原則についても明確にお示し願います。
 次に、知事のマニフェストへの取り組みについて伺います。
 昨年7月23日の記者会見で知事は、今の民主党マニフェストの政策のかなりの部分は、ことしの春までの間、私もかなり関与してつくったものなので、中身はよくわかっているとの発言がございました。その前提で、以下伺います。
 平成17年、第44回衆議院選挙で知事は民主党公認候補として見事再選されました。しかし、再選されて1年もたたない任期途中で知事選に出馬することを表明し、結果、その職を辞しました。第44回衆議院選挙で有権者に訴えた公約は一体何であったのでしょうか。知事選挙を経て有権者の信任を受けたことで、衆議院選挙で公約したすべての政策に対する責任がなくなったとは思いませんし、知事もそのように考えていると私は信じております。
 さて、本定例会では道路特定財源についての多数の質疑がございました。私は、かねてより、達増知事が誕生すれば、それまでの政策スタンスと知事職務との間で葛藤が生まれ、いずれこの種の問題は起こり得ると予想しておりました。
 そこで伺います。最低でも、当時の民主党マニフェストに政党政治の成熟を常に訴える政治家として、明確な理由がない限り政策的に拘束されると思いますが、いかがでしょう。今後の県政運営上、大変に重要な基本原則でありますので、明確に御答弁をお願いします。
 次に、第44回衆議院選挙・民主党マニフェストと知事選挙公約の希望王国マニフェストとの関係でございます。
 知事選挙の希望王国マニフェストを見て、私は、長年主張してきた政策を、今後、県政の立場から実現するんだという踏み込みと迫力、気概が著しく不足しているのではないか、また、マニフェストとしては欠陥品ではないかと感じた次第であります。その理由は、希望王国マニフェストは民主党独自の政策が極端に薄められているからであります。民主党らしい政策があえてあるとすれば、いわゆる新地域主義戦略。日本全国を300程度の基礎的自治体に分けることで、真に自立可能な地方自治を確立できる。岩手県に当てはめると四つに分けるのがちょうどよく、いわば岩手四分の計。4大広域振興圏を将来の自治体と位置づけます。これのみであります。また、希望王国マニフェストには最低限の数値目標さえ入っていない不良品との一部報道の批判もございました。私も同感であります。あるべきマニフェストは、個々の政策につき、その目的と実施方法、期限、財源などの指標を明確にする。期限や財源などが必要な政策については、判断の基礎となる具体的な数値等を算定し、目標数値を設定するものであると私は理解をしております。マニフェストの一般定義である目的、方法、期限、財源の目標数値が希望王国マニフェストで示されなかったのはなぜでしょう。知事の基本的なマニフェスト策定に取り組んできた姿勢、各目標数値を入れなかった理由、マニフェスト策定過程をお知らせください。あわせて、今回、県民所得の向上を重点目標として掲げ、その目標数値をいわて希望創造プランにようやく盛り込みました。この点については高く敬意を表する次第でございます。私も達成することを大いに希望し、最大限の努力、協力は惜しみませんが、万が一、平成22年度までに260万円台の目標が達成されなかった場合の政治責任についてもお示し願います。
 次に、知事就任後の第44回衆議院選挙・民主党マニフェストといわて希望創造プラン及び県政運営について伺います。
 私は、今回策定のいわて希望創造プランには、同様に第44回衆議院選挙・民主党マニフェスト、その鮮明な姿が改めて見られないと感じたところであります。常々知事が言ってきた国政で芽生えた改革の流れを岩手県で実現するといった主張は具体的にどうなったのでしょうか。国政でなくとも県政の立場で取り組める政策課題が当然あるのではないでしょうか。立法化をこれまで主張してきたものは、県の条例化などで取り組めるのではないでしょうか。政策本位の主張は一体どこに行ったのでしょうか。長年国政で訴えてきた政策がある。立場は変わろうとも、地方からその政策に取り組む、その姿勢でやってくれるものと、ある種の期待も私はいたしておりました。しかし、私にはいまだ見えてまいりません。
 それでは、第44回衆議院選挙・民主党マニフェストを検証し、具体の政策の一部を列挙いたします。これはすべて民主党のマニフェストにあります。
 医療におけるカルテ開示、医療費明細書発行の義務化、第三者機関への医療事故報告の義務化。人口30万人程度以上の基礎自治体に対しては、政令指定都市と同等かそれ以上の事務権限と財源を移譲。住民自治推進基本法案(仮称)や住民投票法案を制定。道州制の実現に向けた制度整備に着手。NPO法人を税制でも支援。高齢者虐待防止法、障害者虐待防止法を制定。障害者差別禁止法、年齢差別禁止法など差別解消のための法律の制定。信頼される警察行政を取り戻すでは、報償費、捜査費など改廃・圧縮。都道府県公安委員会に独立した事務局を設置。都道府県知事、都道府県議会による監督の強化。苦情処理制度の大幅拡充。公共事業受注企業からの政治献金を全面禁止し、公務員の天下りを禁止。人件費総額を引き下げる。ニート対策として、中学2年生に年間5日以上の職業体験学習を実施。学校経営能力の高い頼れる校長登用のため公募制拡大を促進。ОECD加盟国平均並みの教員配置、教員1人当たり生徒16.6人を目指す。希望者全員奨学金制度を実現など、民主党マニフェストにございます。
 実は、この質問の原点は、昨年の決算特別委員会総括質疑での私の大きな疑問であります。第44回衆議院選挙・民主党マニフェストには、子ども家庭省の設置に着手しますと明確にございます。民主党は、子供や家庭の問題について、一元的に政策立案・遂行する子ども家庭省の設置に着手しますとございました。同感であります。
 私は、その意味で、昨年の決算特別委員会総括質疑で、教育施策では、岩手県庁の部局の担当のあり方も見直すべき時期が来ている。具体には、公立・私立学校の担当の一元化、幼稚園と保育園の所管の一元化が必要と、いわば岩手県版の子ども家庭省の設置を提案いたしました。しかし、知事の答弁は原則論を延々と展開し、従来の施策の基本を変える意思すら見せない、まさにゼロ回答でありました。衆議院議員として子ども家庭省の設置に着手するとしてきた政策スタンスは、県政においては関係がないのでしょうか、まことに残念であります。前段申し上げた政策は、具体の中身の是非は別として、地方自治の立場から、不完全でも、国政に先駆けそれぞれ着手ができるのではないでしょうか。具体の取り組みが見えるのは、先ほど申し上げた政策並びにコミュニティ・スクール制度であり、ほんのわずかであります。知事の政策に対する本気度が疑われるところであります。知事は、希望王国マニフェストの来年度予算への反映状況は100点満点と記者会見で胸を張られております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 しかし、そもそもの希望王国マニフェストに、あなたが衆議院議員として取り組んできたとされる政策がすっぽりと抜け落ちているのではないでしょうか。また、いわて希望創造プランにも同様に反映されてないと私は感じます。
 そこで伺いますが、第44回衆議院選挙・民主党マニフェストの県政への反映状況は一体何点でしょうか。その自己採点と達増県政の施策展開で、そのマニフェスト、その姿を生かすためにどのように取り組んでこられたのか、また、今後どのように取り組むのですか、基本姿勢と今後取り組む事項があれば、御披瀝願います。
 以上が知事に対する姿勢を問う質問で、以下、具体の事業について伺います。
 建設業対策中期戦略プランについて伺います。
 本県の建設業の概況を見ますと、その緊急対策の必要を感じます。有権者との接点から、従業員、経営者の悲鳴にも近い声を聞き、その問題の根深さと深刻さを感じるところです。その概況を見ると、建設投資額と許可業者数のバランスの崩壊が一層進行。県内総生産に占める建設業の割合、雇用数も大幅に縮小。建設業の倒産件数、全倒産件数に占める建設業の割合は高い水準であるなど、一段と厳しい状況であります。きょうもその質疑がございました。県当局もその認識のもとに建設業対策中期戦略プランを策定し、この3年間、重点的な取り組みも行ってきたと承知しておりますが、さらなる追加対策を求める立場から、以下、伺います。
 まず、企業合併、企業間連携や経営統合等による経営合理化への取り組み支援でありますが、これは、取り組みのメリットとして、請負資格審査における総合評点への加算措置等も講じられてまいりました。しかし、現状は企業合併等を前提にした制度では、非上場企業が大半を占める本県建設業者は、その経営内容の開示が不十分であり、合併後の負債リスク等を懸念することなどから、実態としては合併が進んでいないのではないでしょうか。国土交通省の建設工事競争参加資格審査の基準にある事業譲渡の特例措置が本県にはありませんが、追加すべきと考えますが、いかがでしょうか。企業合併の現状と追加措置についての御所見をお示しください。
 また、中期戦略プランでは、既存の融資・補助制度等を積極的に活用するとともに、岩手オリジナルの施策を展開するとありますが、今、新たなる重大な課題が発生しております。その新たなる課題とは、いわゆる姉歯不況。改正建築基準法施行に伴う急激な住宅着工件数の減少であります。直近の統計岩手によれば、本県の平成19年の6月から11月の新設住宅着工戸数は前年度対比マイナス32.1%、全国の27.7%も大きく上回っております。
 そこで伺いますが、広島県では特別融資制度、茨城県では構造審査の体制強化などの対策を始めたと伺っております。本県の現状認識をお示しくださり、あわせて岩手オリジナルの施策展開を総合的に進めるべきではないかと考えますが、御所見を伺います。
 さらに、入札制度についての改善も必要と私は認識しております。まず、昨年本県で実施が始まった、横須賀市の制度を参考にした平均型失格基準価格制度についてはどのように評価していますでしょうか。また、福島県では県営建設工事に係る最低制限価格引き上げの動きがあるようですが、本県におけるダンピング受注に対する現状認識と今後の対策をお示しください。さらに、設計・測量等の業務委託について、山形県では業務委託に関する最低制限価格を施行するなどの動きがあります。本県ではそのような必要性がないのか、現状の認識と対策についてあわせて伺います。
 次に、教育委員会委員長演述についてお伺いいたします。
 箱崎教育委員会委員長は、教職以外の実業界出身の委員長として、その手腕を大いに期待されているところであります。演述でも、発達段階に応じたキャリア教育を、地域の産業界などとの連携のもとに推進してまいりますなどと述べられております。教育委員会委員長は、本県のキャリア教育の推進について、御自身の経験を踏まえ、今後具体に何を進めていくのか、期待を込めて、まずお伺いいたします。
 さて、先般、議会の県政調査会で、及川幸子会長の御配慮で盛岡商業高校校長の馬上先生の講演を拝聴し、民間出身校長としての新鮮な視点でのさまざまな問題提起がございました。馬上先生の講演を一部要約しますと、昨年度の本県の生徒の実態、県外流出率35.7%。一番は久慈地区69.8%、二戸地区58.3%、宮古地区47%。これらの地区は内定率が高い。早々と岩手県に見切りをつけ県外に出て行かれた。岩手県の大学進学率37.5%、全国46位。首都圏は60%前後。20%前後の乖離がある。この20%というのは、東北3県は首都圏よりも優秀な人材があるということで、東北3県に求人が早目に来ている。しかし、岩手県内の求人は相変わらず毎年定期的。いろんな団体を高校側とPTAが回って嘆願書を出しているが、一向に改善されないと、その就職活動の実態を述べられており、私は大変に重要な指摘であると受けとめさせていただきました。教育委員会委員長はこうした問題をどのように認識され、今後の対策を考えておりますか、お伺いいたします。
 次に、学習指導要領改訂などに伴う今後の対策について伺います。
 まず、小学校英語教育の義務化に向けた対策であります。小学校における英語教育は、既に本県では424校中未実施校は1校のみ。全国では2006年に96%の実施であります。本質的な小学校における英語教育の是非論はいまだに残っておりますが、いずれ、新しい学習指導要領に対応すべく、本県も各般の対策を新たに講ずる必要が生じました。今後、英語を母国語とするALТの指導も求められます。現在、県内の市町村が独自に確保したALТは86名。
 そこで伺いますが、新学習指導要領に対応できる人数は現時点で何人程度でしょうか。また、今後の課題として、全県満遍なく英語を母国語とするALТを配置することは果たして可能なのでしょうか。現状と課題、今後の取り組みの検討状況をお知らせ願います。
 次に、高校の日本史必修化についてであります。神奈川県は早ければ2012年から全県立高校で日本史を必修にすると発表がありました。国際化が進む中、自国の歴史、文化を深く理解する学習が必要との趣旨のようでありますが、本県教育委員会では高校の日本史必修化について議論した経過があるのでしょうか、経過と現状認識を伺います。
 次に、外国人誘客対策について伺います。
 まず、いわて花巻空港の利用促進対策についてであります。代表質問では佐々木順一議員から、国際標準化を放置することは、物心両面にわたり本県にとって著しい損失をもたらすものとの心配があるなどと質問があり、私もこの点は全く同様であります。また、12月定例会では小田島議員への知事答弁で、国際定期便就航の可能性について重大な答弁がありました。私は知事の前向きな姿勢を評価したいと存じます。
 そこで、2点伺います。
 まず1点目は、今後の空港整備が完了し、定期便を迎えようとした場合、現在建設が進められているターミナルビルでは十分に対応することが可能なのでしょうか。検討を要する課題があれば、その点を明らかにされたいと存じます。
 先般、有志同僚議員と韓国を訪問し、韓国の観光政策の専門家等と面談するなど、韓国からの誘客対策を調査してまいりました。調査では、大韓航空の定期便に新たな動きがあることが判明しましたが、今後の本県の対策にも重大な影響があると認識しました。
 そこで、2点目は、大韓航空、アシアナ航空の新たな動きで把握している内容と、本県の今後の対応の基本方針をお示し願います。
 さて、2009年、国際ハブ空港の進展著しい仁川では、経済自由区域開発を大規模に進めるとともに、世界都市エキスポを8月7日から10月25日までの80日間開催すると伺い、現地に赴き、関係者との懇談もしてまいりました。エキスポの予想来場者数は1、000万人とされ、約200の都市と100の企業が参加予定とのことであります。
 そこで伺いますが、仁川世界都市エキスポはユネスコの公式後援とパビリオン出展も決定していることも踏まえ、本県の参加を検討してはいかがでしょうか。世界文化遺産登録が見えてきた平泉のPRなど、本県への誘客対策に有効と思われます。仮に単独での参加が難しい場合には、他県との合同参加等の検討の余地もあると存じますが、御所見を伺います。
 次に、ソウル合同事務所の今後の活用についてであります。
 現在、事務所に派遣されている職員は北海道からの和田所長で、私たちは課題及び将来展望などについても伺ってまいりました。和田所長は道庁時代は物産担当であると伺いましたが、今後の物産交流拡大の余地もあることなども力説をしておりました。
 そこで伺いますが、和田所長の後任は本県職員の派遣と伺いましたが、どのような基本方針でソウル事務所のさらなる活用を進め、派遣職員を人選するのか、お尋ねいたします。
 次に、自転車安全対策について県警本部長にお伺いいたします。
 昨年6月、道路交通法の改正が行われ、自転車の歩道通行要件の見直しや児童・幼児の自転車乗車時のヘルメット着用努力義務等が規定され、本年6月までに施行されます。また、施行にあわせ、現在、警察庁では、自動車や自転車、歩行者が安全に通行するための禁止・注意事項を定めた交通の方法に関する教則の約30年ぶりの改正を進めているとのことであります。
 そこで、まずお尋ねいたしますが、近年の県内の自転車事故の状況はどのようになっているのでしょうか。また、自転車の安全対策に関するこれまでの取り組み状況と今後の施策展開予定についてお示し願います。
 私が今回の法改正の中で特に注目しているのは、児童・幼児のヘルメット着用についてであります。私は、立場上、幼稚園、保育園、小・中学校に頻繁に足を運びます。そこで、自転車に幼児を乗せて懸命にペダルをこぐ保護者をよく目にします。前に1人、後ろに2人の3人の子供を乗せる方もおります。ある意味のたくましさも感じますが、やむを得ない事情があることも理解します。しかし、同時に危険性も感じてまいりました。私もそのような経験もあり、夫婦げんかをした記憶もございます。改正道路交通法では、幼児・児童のヘルメット着用は努力義務となっておりますが、転倒時の危険から子供たちを守るため、ヘルメットの積極的な着用を早期に普及させるべきと考えます。県警察のヘルメット着用に関する普及啓発の取り組みにつき、県民へのメッセージとしてお知らせ願います。
 以上で私の質問を終わります。明確なる御答弁をお願いし、御清聴に感謝を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 及川あつし議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、知事演述についてでありますが、今般の知事演述におきましては、私が知事就任以来、県内各地を歩き、ちょうだいしたさまざまな御意見や目の当たりにした危機、岩手の持っている希望の芽をいかに花開くようにしていくのか、私の思いや決意を私自身の言葉で述べさせていただいたところでありますが、さまざまな御意見、御批判に対しては十分に耳を傾けて県政運営に当たってまいりたいと考えております。
 なお、二つの基本戦略については、いわて希望創造プランとそれに基づく平成20年度当初予算によっていよいよ具体的方策に取り組む段階となりましたことから、この議会を含め、しっかりと御説明しながら県民の皆様の御理解をいただけるよう努めてまいりたいと思います。
 また、将来の分権国家に向けた県の果たすべき役割については、国の地方分権改革推進委員会でもこれから本格的な議論が進んでいくところでありますが、県民の皆様の御意見をいただきつつ、県としての主張を行ってまいりたいと考えております。
 次に、知事選に立候補した真意についてでありますが、衆議院議員時代、私は全国民の代表として、今の日本で何が問題なのかということを常に考え、行動してきたところであります。21世紀に入りましてから、日本が抱える矛盾のしわ寄せが地方に集中し、地方切り捨て、格差拡大が進み、そのことによりふるさと岩手が危機に直面しているところであり、これら日本にとっての最大の問題に直接取り組むことができるのが知事であると、一昨年、そのような認識に立ちました。
 私は、岩手の危機を希望に変え、県民の暮らしと仕事の向上のために働きたいとの強い思いを持ち、また、有権者の皆様の中からもぜひ知事にという声を多くいただいたことでもあり、知事選への立候補を思い切って決断した次第であります。
 次に、マニフェストで知事の任期を原則2期8年としたことについて、県民の中でさまざまな声があるという御指摘をいただいたことについてでありますが、私は、昨年の知事選において任期4年間を県民の皆様から負託されまして、現在、この4年間に集中し、岩手が直面する重要課題に一日も早く解決のめどをつけるべく、いわて希望創造プラン策定や中期財政見通しはもちろん、競馬問題など課題を先送りすることなく取り組んでいるところであります。
 次に、原則2期8年としたのは事実上の再選出馬表明かとの御指摘でありますが、これは、多選の弊害を憂えて知事の任期の限界を訴えたものであります。知事の1期4年をその時々でだれにゆだねるか、また、ある知事を再任させるかどうかは県民の皆様が決めることだと考えております。
 また、任期終了後の活動についてお尋ねがありましたが、今私は、任期4年間を岩手にとって光り輝く黄金の4年間とすることに集中しているところであります。
 次に、原則の意味についてでありますが、基本的な考え方がそうだということであります。
 次に、政治家と行政の長とのバランスとけじめについてでありますが、先ほど、他の議員の質問への答弁でも述べましたように、知事であるということだけで100%政治家であると思っております。そして、私の政治的な考えからいたしますと、行政の長というものは、行政の執行の際には公正中立、不偏不党でなければならないと考えておりまして、行政の執行をする際には特にそのことを念頭に置いてしなければならない。これは、日本国憲法の解釈とか民主主義の原理からすれば当然とも思われるわけでありますけれども、しかし、現実の世の中には、行政の長であって、その行政の執行の際にも、政治的な配慮で、先ほども他県の知事についてでありますが政治的信条で何かしているんじゃないかというような、他の議員からの質問でもそういう御指摘がありましたけれども、そういうことが疑われることや、また実際そういうことが行われることがあり、これは政党に所属する、しないにかかわらず、例えば選挙で応援しなかったから仕事をやらないとか、いろいろ意地悪をするとか、そういうことが日本には─日本以外でもありましょうけれども─言われている中で、実は行政の執行の際に公正中立、不偏不党でなければならないという考え自体、私の今までの政治経験、ジョン・スチュワート・ミルの自由論に由来するそういうイギリス流の伝統的なリベラリズムの考え方や原敬総理がつくった政友会以来の日本におけるそういう民主主義の流れに基づいたある一つの特定の政治的な考え方でございます。
 御質問に対してのお答えですが、つまりそういう中で100%政治家である達増拓也が、1日24時間、1週間7日間の中でどれだけ行政の長としての仕事を行うのかということであるかと思いますけれども、これはもう忙しければずっと行政の長の仕事をやり、忙しくなければゆとりを持って行うということでございます。
 次に、知事公務と政党活動、政治活動についてでありますが、知事公務と政党活動及び政治活動のけじめについてはきちんとつけるべきと考えておりまして、公費につきましては、行政の長として執行する公務に要する経費のみを対象に支出されなければならないと考えております。
 去る1月16日は、御指摘のありました公務と民主党定期党大会が重なった日でありますが、公務に支障が出ない範囲内で党大会に出席したところであり、公務のみを行った場合に要する費用を支出しているところであります。
 次に、平成17年の衆議院議員選挙時における民主党のマニフェストに私が政策的に拘束されるのではないかとのお尋ねでありますが、そもそも国政選挙で示される政党のマニフェストは政権公約と訳されているように、政党が選挙で多数をとり、政権を担うこととなった場合にこういう政策をやりますと有権者に示す約束であると考えております。したがいまして、平成17年の衆議院議員選挙で民主党が掲げたマニフェストについては、もし今、民主党が政権をとっており、私が政権政党の一員として国政に参加しているのであればそれに拘束されますが、現在そういう状況にはございません。
〇議長(渡辺幸貫君) 本日の会議時間は、議事の都合により延長いたします。
〇知事(達増拓也君)(続) 次に、希望王国マニフェストの策定についてでありますが、私は、所得の低迷に象徴される地方の現状を危機ととらえてまいりました。今必要なのは、危機を直視した上で、危機を乗り越えるための理念と戦略的な政策を持つことであり、そういった現状認識のもとで希望王国マニフェストの策定に取り組んだところであります。
 その策定過程でありますが、私は、衆議院議員当時から、国政のさまざまな課題に取り組む中で草の根の政治を常に旨とし、県民の皆様と真剣に向き合い、多くの声に耳を傾けてきたところであります。特にも知事選の準備に当たっている時期には、県内各地にお伺いする機会を得て、暮らしの悩み、各地域の強みも弱みも肌で感じてきたところであります。そこで体感したものをベースにしながら、危機を希望に変えるための政策を戦略性と重要度、優先度を十分考慮しながらみずから組み立てていったものであります。
 したがいまして、このマニフェストは、岩手の危機を希望に変えるための理念と戦略という観点で策定しましたところから、数値目標等の設定は限定的なところにとどめたところであります。
 次に、県民所得の目標数値についてでありますが、昨年9月の計画の素案段階では県民所得の目標数値を掲げていなかったものの、県議会での質疑を通じ、また、県民の皆様から県民所得の向上について数値目標を掲げるべきといった御意見を多数いただいたことなどから、具体的な数値目標を設定することが適当と判断したところであります。
 この目標は、国が示している今後の物価上昇率や人口推計を前提とした上で、平成18年度に策定した産業成長戦略において見込んだ本県の経済成長率をもとに設定したものであります。こうした考えにより設定した260万円台という数値目標は、県民所得が大きく落ち込む直前の平成12年度の水準にまで回復させようとするものであり、民意にも沿うと考えたところであります。
 この県民所得の数値目標が達成されなかった場合の政治責任について御質問いただいた趣旨は、ぜひとも目標を達成せよとの強い励ましのものからと受けとめさせていただき、地域経済の活性化と県民生活の向上に向け、県民の皆様とともに総力を結集して取り組んでいくことが何より重要でありますことから、私としても最大限の努力をしていきたいと考えているところでございます。
 次に、第44回衆議院議員選挙・民主党マニフェストの県政への反映状況についてのお尋ねでありますが、この民主党マニフェストは国政に関する政権公約であり、その内容は基本的に国の法律や予算に関することでありますので、県政に直接盛り込むことは想定しておりません。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 県内の建設業の合併の現状についてでございますが、県営建設工事請負資格者における企業合併は、平成15年度以降6件であります。県としては、経営基盤の強化や技術力の向上に向けた取り組みの一つとして企業合併や協業化など企業連携の促進が重要と考えており、合併を促進するインセンティブとして、平成17・18年度県営建設工事請負資格審査から合併後3年以内の企業に対して加点調整を行う優遇措置を講じたところでございます。
 議員から御提案のありました事業譲渡につきましては、不要な資産や特定の債務の引き継ぎを回避できるなどのメリットがあり、有効な手法と考えられることから、次回、平成21・22年度県営建設工事請負資格審査において、合併と同等とみなし得る事業譲渡を優遇措置の対象に加える方向で検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、改正建築基準法施行後の現状認識と対策についてでございますが、県としては、的確な建築確認審査を行うことが必要であるとともに、一方では住宅着工減少による経済への影響を一時的なものにとどめることが必要と考えております。
 まず、平成19年度より岩手県が独自の取り組みとして、構造設計に10年以上従事した者を民間企業等職務経験者として採用し、建築主事の構造審査の支援を行う構造審査支援班を建築住宅課内に設置し、体制強化を図っております。
 住宅着工減少への対応として、改正法施行以来、関係者への説明会のほか、昨年12月には、建築確認を申請する側と審査する側双方から成る建築確認円滑化対策連絡会議を設置し、建築確認を円滑に行うための総合的な対策として、事前相談や申請書作成の相談窓口開設、国が創設した建築関連の中小企業向けの貸し付けや保証制度の周知等の取り組みを取りまとめたところでございます。
 金融支援制度につきましては、12月に国や関係部とも連携した説明会を開催したほか、1月以降も関係団体への周知や活用を要請し、1月以来12件の貸付実績と38件の保証実績があり、引き続きこの制度の活用に向けた周知等に取り組んでいくこととしております。
 次に、設計、測量等の業務委託についてでございますが、平成18年度の設計、測量等の建設関連業務は、県土整備部全体で481件、平均落札率は83.6%でございます。このうち、落札率が70%未満は97件、全体の20.2%となっております。
 低価格で受注された業務につきましては、特に成果品の品質を十分に確保する必要があることから、適切な監督及び検査に努めております。
 建設関連業務につきましては、平成20年7月から段階的に条件付一般競争入札を導入予定でございますが、導入に当たっては、ダンピング防止対策として、1億円未満の工事に適用している制度を参考とし、失格基準価格制度を導入する方向で検討しているところでございます。
 次に、空港についてでございます。
 現在建設中の新ターミナルビルは、国内線と国際線の旅客の動線を分離し、また、出入国関係機関の業務環境の改善によるセキュリティーの向上により、専らチャーター便を念頭に、国際線が就航する上で最小限の機能を備えることとしております。そのため、国際定期便が就航している他の空港と異なり、航空会社の事務室、手荷物を預かるカウンターや搬送施設などを当初から備えていないことから、定期便の受け入れに当たっては、これらを整備する必要性やその規模について、航空会社や国の関係機関と協議する必要がございます。今後、航空会社から国際定期便の就航の計画が具体的に表明されるなど、熟度と機運が高まったときには、県としてもその実現のため適切に対応したいと考えてございます。
 次に、大韓航空等の新たな動きと今後の対応についてでございます。
 昨年8月に開催されました日韓航空交渉により、日韓相互に日本の地方空港と韓国の空港との路線については、乗り入れ地点及び便数制限を撤廃する航空自由化、いわゆるオープンスカイでございますが、これが行われました。この結果を受けて、韓国の航空会社では、地方空港への新規路線の開設や利用者が伸び悩んでいる地方空港からの減便や撤退など、日本路線全体の見直しが行われていると承知してございます。
 本県といたしましては、近隣空港を利用して、韓国人観光客が本県の宿泊施設、リゾート施設等を利用し経済効果をもたらしている実態にかんがみ、路線の見直しの内容によってはいわて花巻空港を利用した国際便の運航の拡大を働きかけていきたいと考えてございます。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 平均型失格基準価格制度は、低入札調査制度におきまして、他の入札者に比べて特に低い価格で入札した者を自動失格としダンピング防止を図ることや、最低制限価格制度のもとにおけるくじ引き案件の多発を防止することなどを目的として導入しているものでございますが、この結果、これまでに低入札調査制度で自動失格となった案件が4件あり、また、平成18年度の1億円未満の工事において39件発生していたくじ引き落札が制度導入後には5件に減少するなど、一定の効果が得られているものと考えております。
 また、ダンピングの現状等についてのお尋ねでございますが、これまでのところ、県内建設業者が公正取引委員会から不当廉売─ダンピングで排除措置命令や警告を受けたような例はございませんけれども、1億円以上の工事における調査基準価格以下で落札した低入札の発生率につきましては、平成19年度は、1月末までのデータでございますが、27.4%となっております。これらのうち、数値基準や調査結果に基づいて失格となった入札者に対しましては注意等を行いまして、失格の再発防止を促すよう努めているところでございます。
 今後、低入札事案に係る工事品質などにつきましてのフォローアップ調査を行いながら、その結果を踏まえて、見直しが必要かどうか検討してまいりたいと存じます。
 〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) まず、韓国仁川の世界都市エキスポへの参加についてでありますが、仁川世界都市エキスポは、都市をテーマとした世界初の博覧会であり、2009年8月から10月までの80日間、仁川広域市全域で開催されるものであります。
 韓国におきましては、平成14年に北東北三県・北海道ソウル事務所を開設し、これまで韓国の旅行エージェントに対し、ゴルフ、スキー、スノーボードなど、いわゆる愛好者向けの商品造成を提案するなど、きめ細かな観光情報を提供し、誘客に努めてきたところであり、近年、韓国からの観光客は増加の傾向にあります。
 こういった中、今般の仁川における世界都市エキスポへの参加は、韓国はもとより東アジア地域への情報発信が可能と考えており、今後、その参加につきましては、広域的な形での参画がより効果的と思われることから、4道県共同事務所運営協議会の中で検討してまいりたいと考えております。
 次に、ソウル事務所の活用と派遣職員の人選についてでありますが、北東北三県・北海道ソウル事務所におきましては、これまで秋田県、青森県、北海道から職員が派遣されており、平成21年度から2年間は本県から職員を派遣する予定となっております。
 ソウル事務所は、御案内のとおり、主に観光振興、観光客の誘致を目的に開設いたしましたが、この間、韓国の旅行代理店を対象とした観光商談会あるいは国際観光展への出展など積極的に行ってきており、この結果、事務所設置後の韓国からの観光客の入り込み状況は年々増加しているところであります。
 このように、観光につきましては着実に成果を上げていると認識しておりますが、今後は、いわゆる海外販路等ビジネスの支援や県産品の販売なども積極的に行っていきたいと考えており、そのような視点も含め、県職員の派遣につきましては、今後、事務所を運営している県観光協会や産業貿易振興協会、また、関係団体及び関係部局と協議しながら人選を進めてまいりたいと考えております。
   〔教育委員会委員長箱崎安弘君登壇〕
〇教育委員会委員長(箱崎安弘君) キャリア教育の推進についてでございますが、我が国は豊かな社会の実現に努めてまいりましたが、その反面において、その豊かさが子供たちの忍耐力の低下などを招き、自己中心的で社会的に自立する力が弱い子供をふやしているような傾向が見受けられます。そういう子供たちを、知・徳・体のバランスがとれた、しっかり社会に通用する人間として成長させなければいけないと考えております。そのためには、子供たちに世の中に出て働く意義、喜び、苦労などを発達段階に応じて理解させるキャリア教育が必要であり、学校と産業界の垣根を取り払って、相互の協力関係をしっかりつくり、地域総ぐるみで子供たちを教育していかなければならないと考えております。
 まずは教員自身が地域の産業界と連携を密にし、世の中の動きを学び、子供たちに伝えていかなければなりません。と同時に、産業界も学校教育に理解を深め、協力をしていく姿勢が大切であります。そういう相互の認識のもとでキャリア教育は進むのだろうと思っております。
 私は、産業界の出身者として、地域の経済団体と学校との連携の仕組みをつくりたいと思っておりますし、岩手県産業教育振興会や各地域のものづくりネットワークと連携して、企業人等の出前授業や職場体験、インターンシップの受け入れ先の拡大、充実などを進めてまいりたいと考えております。
 次に、高校生の就職活動の実態と対策についてでございます。
 私は、岩手の子供たちには、できる限り地元に就職して本県の将来を担う人間になってほしいと考えておりますが、少子・高齢化と人口減少が進む本県においては、若者の労働力の県外流出は大きな問題であると認識いたしております。しかしながら、生徒、保護者、学校におきましては、地元企業の求人時期や雇用条件の問題、さらには希望職種が少ないこと等がございまして、県外希望を優先させる理由があるわけでございます。このような実情を踏まえますと、高校生の県内就職率を上げるためには、企業誘致あるいは産業振興による雇用の創出が重要でございます。と同時に、これまで以上に学校と産業界、行政とが本音で議論を重ね、地域を担う人材の就職問題について危機感を共有し、地域総ぐるみで高校生の地元定着に取り組んでまいることが必要であると考えております。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) まず、小学校の英語教育についてでありますが、英語教育は、人間形成の基盤の一つであるコミュニケーション能力の育成につながるものであり、小学校の段階では、その素地として、積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲を育成することが大切であると考えております。その意味で、児童にとっては、何よりも学級担任の教師の英語を使おうとする姿勢そのものが最大のお手本であります。そのため、すべての小学校の英語教育担当者に対して今後3年間で研修を実施し、授業展開の仕方などの習得に向け指導を強めてまいります。
 また、こういう前提のもとで、ALTが言葉としての英語そのものや自国の文化、歴史等を紹介することが大切であります。こういった観点で、ALTの活用については、最低限月1回程度の小学校訪問が行えるように、市町村雇用の86名のほか、県で雇用しておりますALT─全県で58名おりますが─を盛岡市など不足する地域で活用できるようにしてまいりたい、このように考えております。
 次に、高校の日本史必修化についてでありますが、教育委員会議などの正式な議論ということではありませんが、教育委員会事務局内部の現段階での議論ということでお答えを申し上げたいと思います。
 まずもって、今日的なグローバル化が進む時代であること、また、生徒たちを含めて人間の生き方全体が、ともすると内向きになりがちであること、こういった状況を踏まえますと、我が国あるいは国際社会全体の構造と変化をしっかり認識させ、何らかの形で、それとのかかわりの中で自分の生き方を考えさせる、そういう教育が大切だと考えているところであります。したがって、世界史はもとより日本史、地理、現代社会など社会科関係科目すべてを本来はしっかり学ばせて、トータルな社会観といったものを育てていくべきではないかと考えております。日本史につきましても、世界の歴史とのかかわりの中で、いわば世界の中の日本という視点を深めていくこと、同時に、地域や日本の視点で世界を見ていくという視点も重要であります。今、このような議論をしつつ、一方、過密になっている高校の教育課程の中で、生徒の負担を考慮しなければならないということも現実問題としてございます。現段階ではこういった議論を行っている最中でありますが、いずれ、こういった独自性のある教育課程の編成という課題について、県としてしっかり議論をしていかなければならないと考えているところであります。
   〔警察本部長三枝守君登壇〕
〇警察本部長(三枝守君) 自転車の安全対策についてお答えを申し上げます。
 まず初めに、自転車事故の状況と、これまでとってきた取り組みというお尋ねでありますが、当県の平成19年中における自転車の事故は、発生件数が対前年比プラス20件の666件、死者数は前年比でマイナス4人の5人、傷者─けがをした方が前年比でプラス19人の666人ということであって、全交通事故に占める自転車事故の割合が12.4%となっているほか、近年の推移で見ますと、発生件数及び自転車事故の占める割合が平成18年から増加傾向となっている状況であります。
 自転車事故の特徴としては、死傷者に占める高齢者と高校生の割合が高いこと、交差点での出会い頭や右・左折時の衝突が多いことなどが挙げられます。県警察では、従来から自転車教室を初めとする各種交通安全講習会や自転車指導啓発重点地区・路線を指定しての街頭指導の強化、小学校・中学校と連携しての自転車マナーアップモデル校の指定などの諸対策を取り組んでまいったところでありますが、平成20年度からは、これら施策に加えて、約500人の小学生を対象とした自転車免許証普及啓発事業、自転車通行に係る改正道路交通法の内容を周知させるための普及啓発活動などの諸対策を強力に推進していくこととしています。
 次に、2点目のお尋ねの幼児や児童へのヘルメットの着用についてでありますが、この点については、県警でもこれまで機会あるごとに保護者等への働きかけを行ってきたところであります。自転車同乗中の幼児の死傷事故は、損傷部位の約半数が頭部に集中しているという統計もございますし、議員御指摘のとおり、道路交通法の改正により、幼児・児童のヘルメット着用も義務づけられることになりますので、県警といたしましては、幼児・児童のヘルメット着用は、法律上は努力義務とはいえ、大切なお子さんの命や体にかかわる重要なことであるということを強く訴えながら、関係機関・団体と一層の連携を図りつつ、その浸透を図ってまいりたいということと、引き続き、自転車の安全通行の確保方策に取り組んでまいりたいと考えております。
〇24番(及川あつし君) それぞれ知事初め関係部長の御答弁ありがとうございました。
 簡潔に再質問したいと存じます。
 まず、県警本部長、御答弁ありがとうございました。この質問をつくる段階で私もいろいろ勉強させていただいて、今回の改正に伴う最大のポイントはこのヘルメットの着用だなと思っていたんですが、実は、けさも出かける準備をしておりましたら、朝7時の日本テレビだったと思いますが、その報道で、どうも、今回の改正の内容は、自転車の3人乗りがいいか、悪いか、子育て対策に逆行しているんじゃないかとか、ちょっとまた違う風向きになってきているようでありますし、恐らくこれは小さいお子さんを持つ親御さんの中でいろんな議論が展開してくるのだろうと思っておりますので、世論の動向にもあわせて、ぜひしかるべき処置をとっていただきたいと思います。もし、お考えがあれば、御答弁いただければと思う次第であります。
 あと、個々に御答弁いただいた件についてはコメントもあるのですが、時間もありますので、手短に申し上げたいと存じますが、まず、総務部長、はっきりお答えをいただきたい点が1点ございます。
 1月16日の議運で、私はオブザーバーですから、あえて発言しませんでしたが、知事の出張について、なぜ政党の大会出席を言わなかったのか。これは御自身の判断ですか、それとも知事とあらかじめ協議をされたのか、きちっと御説明を願います。今後どういう方針でいくのかもあわせて御答弁いただければと思います。
 あと、知事の答弁の中で不明な点がありましたので、きちっと御答弁いただきたいわけでありますが、1月16日は、結局、どういうお金の使われ方がされたのか。私は、きちっと支出実態を出してくれと言ったんですが、どうも言葉をもごもごと言われたような感じがいたしますので、しっかりとお答えをいただきたいと思います。けじめはつけるという言葉がありましたが、実態はどうだったのかということであります。
 もう一点は、私は、達増県政について期待ももちろん持ちながらずっと見ておりますが、特徴は、やっぱりわかりづらいというところにあるのだと思います。その理由をきょうは申し上げたつもりでございますけれども、認識が違うということでございますので、ここで深追いの議論はしてもしようがないかなと思います。ただ、私が申し上げたことは、理解はしていただけなくて結構ですが、こういった声もある、県民の声があるということだけは受けとめて対応していただきたいと思うところでございます。
 また、これは知事にもう一度お尋ねしますが、私は、途中で手厳しいやじもございましたが、それを気にせず申し上げますが、衆議院選挙のときにお訴えになられた内容について、あえて一般質問の中では拘束という言葉を使わせていただきました。拘束はないというお考えだということは理解をしましたが、では、責任と、訴えてきた政策を実現するのだという使命感もないんですか、その点についてもお伺いします。県政においてお訴えになってきた政策が国政のものであるから県政の立場は考慮しないという、まさに木で鼻をくくった答弁をちょうだいしたところでございますが、この答弁でいいんですね。確認のため、再度、質問をいたします。
〇知事(達増拓也君) 1月16日のお金の使い方については、先ほど答弁したように、公務の執行に係る支出だけがされておりまして、党大会出席のために、特段それに係る追加的な支出をしたようなことはございません。
 次に、マニフェストの実現に関する責任ということでございますけれども、先ほど、正確に、単純明快に申し上げたつもりでございますけれども、マニフェスト、特に国政選挙のマニフェストは、それを掲げる政党が政権をとった場合にそれをやるという約束であります。例えば議員が例に出された子ども家庭省については、これは教育と子供関係の知事部局でやっている仕事の一元化を県でやるべきではないかという趣旨だと思いますけれども、国の法律で教育委員会の独立ということがはっきりと決まっております。スポーツと文化に関しては条例で知事部局がやることが認められますけれども、幼稚園を含め教育については、これは知事が干渉してはならないというような法の制度になっておりますので、その法律をそのままにして制度だけ、しかも、この岩手の県だけが変えた場合には、かなりの混乱が生じるのではないかと考えます。したがって、国の法律を変えれば、それと呼応しながら県でもいろいろやっていけるわけでありますが、他方、私は教育委員会事務局と、また教育委員会と知事、知事部局の意思疎通というものは、法律の趣旨に反しない範囲で図られていくべきだと考えておりまして、教育委員の皆さんとの懇談を定期的に行ったり、また、教育現場、学校で授業をさせてもらいながら、先生や生徒と直接触れ合うようなことをしながら、その一元化の趣旨にかなうようなことを運用面でやっていっているところであります。そういう意味で、私が策定に参画した国政におけるマニフェスト、その方向性のあるべき社会の姿を、この岩手においても実現させる努力というのは、そういう意味ではやっているところであります。
 ただ、一つ付言いたしますと、マニフェストはそのときの選挙で政権をとったらこういう政策をするということでありますので、それを掲げていた政党が多数をとれず、政権をとれなかった場合には、むしろ、そのマニフェストを手直しして、次は国民の多数の信任を得て政権がとれるようにマニフェストを見直すということも必要でありますので、2005年の郵政民営化選挙のときのマニフェストというものに、今現在、全面的に拘束されることはないということを付言いたしたいと思います。
〇総務部長(川窪俊広君) 議会開会中、これは常任委員会が開会されるときも含みますけれども、議会開会中における知事等の出張につきましては、出張について議会事務局のほうに届け出を出してございまして、議会運営委員会におきましては、執行部から提出させていただいている届け出内容につきまして、議会事務局のほう、具体的には議会事務局長から議会運営委員会において説明がされているというものでございまして、1月16日の議会運営委員会においては、そもそも私が出張について何らかの説明をしているということはございません。それで、知事の出張を届けるということでございますので、この1月16日に関しましては、それに先立つ1月10日に、1月16日は知事が希望王国岩手文化大使懇談会に出席のため東京に出張するという旨をあらかじめ届け出を出しているという事実関係でございます。
〇警察本部長(三枝守君) 先ほどの御質問についてお答えをいたしますが、警察庁が、現在、3人乗りの自転車の安全性が保たれるならばというような記事があったり、実際に子育て世代の方たちからすると、こういうものが認めてもらえないんだったら困ってしまうという話とか、そういういろんな話が報道されている。私も日本テレビの別の報道番組でそういうものを見ましたし、承知しておりますが、まだ、私自身、警察庁でどういう検討が行われているのかということについても、新聞報道では承知しておりますが、現実的にこういう方向でということも承知しておりませんので、そういったコメントはできませんが、ちょっと申し上げれば、先ほど議員が御質問されたヘルメットの問題というのは、それが3人の乗車になろうが、2人であろうが、先ほど申し上げましたように、幼児・児童の負傷部位が圧倒的に頭部が多いということを考えれば、やはりそういう方たちの安全を守るためには、ヘルメットの着用というのは大変大事なことなのだろう。シートベルトの着用によって致死率が低下するということは、もうこれはある程度実証されているわけでありまして、そういうことから考えても、ヘルメットの着用というものを、今後我々は、先ほどおっしゃった話の議論がどう決着するかはともかくとして、しっかりと県民の皆さんに、特に保護者の方たちに、しっかりと子供さんを守りましょうねというメッセージを伝えていきたいと思っております。
〇24番(及川あつし君) わかりました。よろしくお願い申し上げます。
 最後になりますが、答弁中、知事が私の質問の趣旨を曲解して御答弁がありましたので、1点伺いたいと存じます。
 いわゆる目標数値の260万円台の達成でありますが、私は激励という意味でお聞きしたのではございません。マニフェストに数値目標がなかった。だから、なぜ入れなかったのか。ようやく今回入れましたね。それは県民が、達増知事が政策に対してどの程度結果責任を取ったのかというメルクマールがやっと出てきたという意味で評価をしたのであります。
 そこで、私は、260万円台を達成しなかった場合は、政治的にどういう判断をするのかということを示すのがマニフェストの一つの効用だという理解のもとに質問したわけでありますので、決して激励という意味ではございませんので、あらかじめ申し上げ、所感があれば答弁を伺い、質問を終わります。
〇議長(渡辺幸貫君) 及川あつし君に申し上げます。
 議会運営委員会の申し合わせにより、2回目の再質問は1回目の再質問に対する答弁にかかわるものに限るとされておりますので、ただいまの質問については執行部に答弁を求めないことにいたします。
〇議長(渡辺幸貫君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第1号平成20年度岩手県一般会計予算から日程第79 議案第79号財産の処分に関し議決を求めることについてまで
〇議長(渡辺幸貫君) この際、日程第2、議案第1号から日程第79、議案第79号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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