平成20年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(阿部富雄君) 通告に従い質問いたします。
 初めに、知事の政治手法についてお尋ねします。
 たっそでいこう、世界にはばたくいわて。希望王国マニフェストは、現状認識─岩手の危機として、所得が減少する一方、医療、福祉、社会保障の負担は増大しています。子育て、教育の負担も増大傾向にあります。多くの県民は苦しみ、悩み、不安を抱えています。この危機の原因は、岩手県民のせいではなく、誤った国の政策、すなわち地方切り捨て、格差拡大型の政策が長く続いたことによるものです。今、私たち岩手県民に必要なのは、危機を直視した上で、危機を乗り越える理念と政策を持つことです。そうすれば危機は希望に変わりますとしています。こうした理念を否定するものではありませんが、それを実現する政治手法について疑念がありますので、以下、お聞きいたします。
 マニフェストでは、知事の退職金は廃止しますとしており、任期最初の6月議会に提案しました。退職金廃止は知事の政治信念で行ったものと思いますし、その一因には財政の逼迫ということもあったと思います。しかし、就任時に知事は、行政の長であると同時に選挙そのものに臨む政治家でもあることから、行政の仕事と政務の仕事を峻別し、けじめをつけるためとして政務秘書を任用しています。政務秘書は知事の職務推進上どのように活用され、その成果をどう評価しているのか、お聞きします。
 政務秘書は地方公務員の特別職となり、特別職の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例に基づき、月額50万6、000円以内で知事が定める額の給料または報酬が適用されます。厳しい財政の中、知事の退職金を廃止し、集中改革プログラムで県民に大きな負担を求めているにもかかわらず、必置でない政務秘書を任用して財政支出をすることは県民には理解できないものであります。知事の政治的都合で政務秘書を置くことは、県民感情からしても受け入れられないことです。廃止すべきですが、対応をお聞きします。
 いわて希望創造プランの策定に当たっては、パブリックコメント、地域説明会、条例の解釈など手続があったものの、県内の経済状況、県民生活にかんがみれば、余りにも時間をかけ過ぎました。事務方も総合計画の前期計画が終了し、知事が交代しましたから、新たな総合計画もしくは後期計画を策定する準備ができていたと思います。知事の指揮、指導性が問われます。
 県内紙が昨年11月から12月に実施した県民世論調査で達増県政の評価は、評価できるとやや評価できるを合わせても36.4%であり、厳しい評価と言えます。達増県政発足から8カ月という短い時点での評価とはいえ、スピード感のなさ、政策がわかりづらいことなどが要因と思われます。計画策定に長期間を要したことについてどう受けとめているのか、お聞きします。
 県政の停滞は許されません。希望創造プランは平成19年度からの計画としています。策定が遅くなっても、骨格は早くから示されていましたし、各部局は個別計画もありますから、それに従って推進してきたと思います。プランの重点目標である県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出への歯どめ、地域医療の確保はどう取り組まれ、どのような成果があらわれているのか、お聞きします。
 本年1月22日に、旧法下で合併した市町における合併効果と課題等について、県政に関する県と市町村長との意見交換が行われました。県からの市町村合併効果の報告、合併市からの報告は、合併はよい、促進すべきで、合併推進、合併ありきでした。意見交換で首長からは促進する発言があったものの、大、中、小、多様な自治体で構成してもよい、広域連携など柔軟な形での解決方法もある、さまざまな価値観があり、冷静な対応をなどの考えが示され、合併を推進する県側を牽制する発言が多く出されていました。県には、出された意見について議論し、問題や課題を整理するという姿勢が全く見えませんでした。互いの主張だけでなく、自立はどうあるべきか、合併を望まず自立を目指す市町村にどのような支援ができるかなども含めて議論すべきです。知事は、地方自治の本旨をどう理解しているのか、お聞きします。
 県・市町村合併推進審議会が、合併協議会設置勧告のあり方について、首長が消極的だが、対象の市町村議会が設置を望んだ場合など、勧告が有効に機能する場合に活用すべきと答申する論旨案を了承したとして、近々、知事へ答申することとしています。当面自立は問題の先送りだとしていますが、これは単独でいくということであり、市町村議会が設置を望んだ場合を想定していますが、現時点では首長と議会の考え方が違っているところは見えないのであります。市町村の自主的な議論を踏まえ、その方向、結論に従い、県として支援すべきですが、対応をお聞きします。
 岩手県人事委員会は、昨年10月3日、職員の給与に関する報告及び勧告を行いました。知事は、財政状況が厳しいことから、1年おくれの実施を職員団体に申し入れ、交渉に入りました。職員の給与は、地方公務員法第14条の規定により、社会一般の情勢に適応するよう、随時適切な措置が講じられなければならないものとされており、人事委員会の給与勧告は、労働基本権制約の代償措置としての機能を十分に踏まえながら、納税者である県民の理解が得られる適正な給与を確保するものでなければならないとされています。県は、常々コンプライアンスを強調されています。法の規定に基づき勧告されたものであり、法令遵守という立場からすれば、今後とも完全実施すべきです。財政上の理由ということであれば、勧告とは切り離し、別途対応すべきものです。今回の勧告は法に反しているのでしょうか、または瑕疵あるものなのでしょうか。知事の勧告に対する認識と法令遵守、財政事情の改善のあり方についてお聞きします。
 知事は、マニフェストでプライマリーバランスの均衡を図りますとしています。昨年6月の補正予算編成ではプライマリーバランスが黒字化する範囲内で最大限公共事業をやることを方針として守りました。しかし、平成20年度当初予算では、平成20年度には赤字になるものですが、平成20年度から平成22年度までの3年間においては均衡を達成できる見通しとなっていますとしています。マニフェストは、地域の将来ビジョンやその実現に向けた政策を有権者と約束するものであり、民主主義の質を高めていくためにも重要な役割を果たすものと述べられています。今回の対応は、有権者との約束が実行できなかったと認識しているのでしょうか。任期中の3カ年で均衡が達成されるのであれば、年度間の事業調整により各年度のプライマリーバランスを達成することは可能と思われますが、どのような努力をなされたのか、お聞きします。
 知事は就任以来、各種課題に精力的に取り組んでいることは評価します。しかし、職員の動きが知事の取り組みと一体のものとは見えませんし、こうした取り組みが県民に伝わってきません。知事は、行政の長、そして政治家として自由にやると公言してはばかりません。知事の発言や行動をどう受けとめるべきか、職員が取り組みをためらい、士気を停滞させているのではないでしょうか。こうしたことが原油高騰による県内産業や県民生活への対応のおくれなどにあらわれています。政治家達増拓也については、本人が強調しなくても、知事の行動を見て県民は判断できるものです。知事は、行政の長の立場に徹し、職員と話し合い、情報を共有し、県政運営に当たるべきと考えますが、所見をお聞きいたします。
 次に、自動車関連産業への対応についてお尋ねします。
 昨年11月26日、仙台市で開催した岩手・宮城県境議員懇談会で、自動車産業の振興にかかわって村井宮城県知事は、今回、うちにセントラルさんが来るとき、実は達増さんにはいろいろ御協力をいただきました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 マスコミには岩手県さんと競争したみたいに書かれていますけれども、実は達増さんにいろいろサポートしていただいたわけでありましたとコメントしています。東北地域における自動車関連産業の振興とその集積を図るため、とうほく自動車産業集積連携会議の構成員である東北各県が連携することはそのとおりであります。しかし、企業の誘致は、連携でなく競争です。この発言を私なりに受けとめれば、岩手県がセントラル自動車の移転計画を十分把握できず、対応ができなかったのではないかと思います。村井宮城県知事の発言をどう受けとめているのか、そして、知事が協力したのであればどのような協力をされたのか、お聞きします。
 知事は、同懇談会のあいさつで、宮城県との連携が第一ということで、知事就任後最初にあいさつに行ったのは村井宮城県知事だとしていますし、県境連携という観点では、宮城県北から岩手県南、ここは東北の中心地であり、中東北と呼び、この地域の振興のために一緒に取り組むとしています。しかし、宮城県知事は山形、福島を視野に入れた発言が目立ちますし、宮城県の独自性を強調されています。宮城県を思うがためであると同時に、政治信条の違いがそうさせているのかもしれません。信頼関係の構築はもとより、言葉だけでなく、両知事で中東北の振興を明確に位置づけ、取り組むべきと考えますが、所見をお聞きします。
 東北を自動車関連産業の一大集積地にすることについては、セントラル自動車の宮城県への立地で現実味を帯びてきました。関東自動車、セントラル自動車とももう一つ組み立てラインをつくれる用地を抱えていることから100万台の生産が可能な状況になりました。このことにより、関連企業の投資効果を拡大させ、高度な部材、部品の供給、すなわち1次・2次サプライヤーの立地が促進されるものと期待します。また、県内企業のほとんどが1次・2次サプライヤーとの取引ですが、新規取引の拡大を初め、技術力の向上で1次・2次サプライヤーとの取引拡大が図られるよう一層の支援が必要です。今日までの1次・2次サプライヤーの立地に向けた取り組みと見通し、県内企業の参入についての支援や見通しはどういう状況にあるのか、お聞きします。
 セントラル自動車の立地で1次・2次サプライヤーの進出が期待されるところですが、どこに誘致するかということです。両組み立て工場の位置を考えれば、金ケ崎町から南、宮城県大衡村から北がより効率的な位置と言えます。この地域に受け入れる工業団地が必要になってきます。一関研究開発型工業団地は、近々、分譲を目指して整備が進められていますが、計画時点から自動車関連産業を想定したものではなく、規模が小さく、広大な用地を必要とする自動車関連産業を受け入れることは難しい状況にあります。新たな工業団地の整備が必要です。位置づけを明確にして早期に整備し、他県との競争に備えるべきですが、どう考えるのかお聞きします。
 平泉町黄金沢に一関遊水地事業の築堤用土取り場約30ヘクタールがあり、そのうち20ヘクタールが平場に整備されており、この3月に地権者に返還されます。受け入れ態勢の整備などが必要ですが、関係自治体、地権者は、工業団地としての活用を望んでいます。また、一関市地域周辺には、市町村合併前にそれぞれの町村が造成した小規模の工業団地も点在しています。これらの用地を拡大したり、組み合わせて対応することも可能と思いますが、対応についてお聞きします。
 次に、情報通信についてお尋ねします。
 電話網の持つ信頼性、安定性とインターネットの持つ利便性や経済性という両面のよい面を持ち、音声、写真、文章、鮮明な画像などをより安全・安心に提供する次世代のネットワークが構築され、サービスが開始されるなど、IT技術はとどまるところを知らず発展し続けています。県民ニーズは、ブロードバンドの環境整備、携帯電話の通信エリアの拡大、テレビ難視聴地域の解消です。知事は、マニフェストでインターネット人口普及率を現状31.5%から50%に引き上げますとしていますが、平成18年の調査によると、本県の普及率は54.5%とマニフェストの数値を超えています。さらなる普及拡大を図るためには、本県は過疎化が進んでいますから、世帯整備率を引き上げるなど新たな目標設定や民間事業者の投資効果のための支援が必要だと考えますが、今後の取り組みについてお聞きします。
 2011年にアナログ放送から地上デジタル放送へ移行されます。今日なお多くの山間地帯でアナログ放送すら受信できない状況にあります。デジタル放送移行により、さらなる難視聴地域の拡大が懸念されます。平成19年9月公表の市町村別ロードマップの推計値、2010年末の世帯カバー率によれば、岩手県は94%とされています。残る地域に対してはどのような対応をとっていくのか、お聞きします。
 いわて情報ハイウェイは、医療、防災、行政、県民教育、学術など六つの分野で20のシステムが運用されています。こうしたシステムでは、運用されていないものや低利用のものがあると思われます。稼働率等運用状況はどのようになっているのか、また、このシステムを活用することによりどのような投資効果があらわれているのか、お聞きします。
 システムの見直しにより空き容量の確保や、さらに容量を付加することにより、新たなサービスも可能です。ブロードバンドの環境整備、携帯電話の通信エリアの拡大、地上デジタル放送の難視聴地域の解消に活用できるものと思います。技術的には、通信事業者との連携や新たなシステムの開発により十分解決できます。仮に容量が確保できないにしても、光ファイバーケーブルは複数しんで構成されていますから、通信事業者との連携で対応できるものと思います。情報ハイウェイには多額の投資をしておりますが、県民にとって情報ハイウェイによる恩恵が実感できないのが現実です。より県民が身近に活用できるようにすべきですが、対応をお聞きします。
 次に、教育行政についてお尋ねします。
 岩手県教育委員会は会議を秘密とする議決を行い、審議している議案が多く見られます。秘密会とされた議案については会議の結果のみ会議録に記載することとし、会議結果の公表は教育長に一任することとして議決されています。県民の理解と協力を得ながら進めるべき教育ですが、審議の内容や過程を明らかにしないまま処理することは、教育委員会議が恣意的に決定したと受けとめられても仕方ありません。教育委員会議の決定が正しいのか、間違っているのか、県民は判断できません。県民の知る権利、県民への情報提供、県民への説明責任はどうあるべきと考えているのか、お聞きします。
 1月の教育委員会議定例会で、岩手県立一関第一高等学校に併設する県立中学校に関する方針を定めることに関し議決を求めることについてを議決しました。県立中学校は県内初めてであり、今後の県立中学校設置のモデルになることから慎重に決定すべきです。
 方針では、定員を1学年80名、男子40名、女子40名とするとしています。男女定数の同数制は、性差による選別につながります。筆答による適性検査、作文、面接などの選抜方法により総合的に判断しているとしていることからもなじまないものです。教育委員会は、男女共同参画社会や性差についてどう認識されているのか、機会均等という立場で子供一人一人の個性と可能性を伸長するための選抜方法にすべきですが、対応をお聞きします。
 設置の理念では、次世代のリーダーを育成する、教育目標では、豊かな人間性と高い知性を持ち、社会の進歩発展に貢献することができる人材を育成するとしています。極めて抽象的な表現です。県教育委員会は、県政課題貢献人材育成事業で、一関第一高等学校については、県政の課題である医師、弁護士、高度先端技術分野の研究者や技術者など将来の本県を支える人材を育成するために、生徒が医学部等の難関大学・学部への希望を実現できるよう学校の取り組みを支援するとしています。設置の理念や教育目標は具体的にどのような人材を育成しようとしているのか、お聞きします。
 入学者選抜方法で通学区域は岩手県全域とするとし、小学校卒業見込み者のうち、保護者とともに県内に住所を有し、入学後も引き続き県内から通学することが確実な者とするとしています。議論の中で、保護者に対する説明の際、子供の心身の発達状況や体力を考え、日常生活に支障が生じる通学は好ましくないことも説明したいとしていますが、日常生活に支障が生じる通学とは具体的にどういうことか、日常生活に支障が生じる通学は認めないのか、お聞きします。
 教育の特色では、英語や数学を中心に少人数指導や習熟度別学習を実施するとあります。このことにより、教室の確保などが必要になります。一関一高は定時制もあり、定時制は平成20年度から3カ年での修了を計画していましたが、併設する県立中学校の設置により教室が確保できないなどの理由により実現は難しいようでありますが、長年検討され、実現が図られようとしたやさき、併設する中学校が優先され、定時制を犠牲にするということは正しいのでしょうか。施設の整備や定時制についてはどのように対応していくのか、お聞きします。
 最後に、平泉文化遺産の世界遺産登録についてお尋ねします。
 浄土思想、理想の世界、争いのない平和国家・地域づくりを目指した平泉の文化遺産、平泉─浄土思想を基調とする文化的景観の世界文化遺産登録への期待が高まっています。平泉文化、観光の売りは、建設省が例のない堤防やバイパスルートを変更し、保存した藤原氏の政庁柳之御所を復元整備し、活用することです。これは、平泉文化遺産の世界遺産登録を見据えた次の戦略でもあり、平泉観光の持続を図る上で不可欠のものです。平泉遺跡群調査整備指導委員会は、建物跡の平面表示や広場、園路の舗装など、平成20年度の工事計画と復元について協議しています。12世紀中ごろから後半までをイメージした歴史公園として平成22年に暫定公開し、平成20年代後半の整備完了を目指すとしています。世界遺産登録という絶好の機会を失することなく整備を促進し、リピーターの拡大に結びつけるためにも1年でも早い公開が望まれます。
 また、指導委員会では、柳之御所遺跡の12世紀当時の大まかなイメージを描いたコンピューターグラフィックが初公開されたとしています。復元整備のスピードを上げるとともに、イメージ図や復元計画を柳之御所遺跡付近や他の遺跡所在地に掲出し、継続的な観光客の誘引に活用すべきですが、対応をお聞きします。
 国際記念物遺跡会議の現地調査の際、調査員から遺産をわかりやすく伝える工夫をとの指摘に、平泉町の郷土館を改造し、暫定的に平泉遺産のガイダンス施設として活用するために、県は同町に整備費を補助するとしています。当該施設は各遺跡から離れており、道路事情も恵まれていませんし、駐車場も手狭な状態です。この周辺は遺跡があり、施設や駐車場の拡張は困難とされています。こうした状況でどのような活用を図ろうとするのか、お聞きします。
 ガイダンス施設は国土交通省の柳之御所資料館も活用するとしていましたが、観光客が混乱しないよう郷土館と役割分担を行うとともに、細切れの応急対策でなく、この機会を失することなく抜本的な整備を行うべきですが、対応をお聞きします。
 県南広域振興局では、インターネットのポータルサイトいわて県南の旅・web情報誌を開設するとしています。こうした一連の取り組みにあわせ、平泉の文化遺産を動画で発信し、インターネットや携帯電話で受信できるようにすることもより効果的です。奥州市の長者ケ原遺跡、白鳥舘遺跡、一関市の骨寺村荘園遺跡は平泉町の遺跡群から遠く離れていますから、これら地域への観光客の誘導も必要です。そのために、携帯電話の不感地域の解消や携帯電話で道路を案内することなども必要です。また、岩手県を訪れる観光客の13%は鉄道利用者であり、駅からこれら遺跡への二次交通の確保も必要です。交通事業者の取り組みや連携は十分になされているのでしょうか。これらへの取り組みの対応についてお尋ねいたします。
 観光客の増は、旅行業者への働きかけはもとより、旅行業者がどのような商品をつくり、募集するかによります。エージェントの旅行商品と連携し、それに合わせた交通、飲食、宿泊などに対応することが必要ですが、旅行商品の分析、対応をどのように行っていくのか、お聞きします。
 骨寺村荘園遺跡を中世荘園の伝統的な農村景観として保全するため、農地整備事業で農作業を効率化し、耕作地の放棄を減らすこととしています。これにあわせて、米生産数量目標、生産面積目標の緩和について、当該自治体、地域から国、県に強く要望が出されています。一関地方水田農業推進協議会は、独自に当該地域へ重点配分を行いましたが、転作制度の維持や他地域の生産者への配慮などで異論が出ていますし、当該地域は水稲作付の意向が強いことから、地域が満足する内容になっていません。骨寺村荘園遺跡は水田の景観で成り立っています。これが転作、休耕などで虫食い状態であれば価値のないものになります。荘園遺跡の景観保全は、全国、全県の観点から対応すべきものでありますが、どう取り組んでいくのか、お聞きします。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 阿部富雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、政務秘書についてでありますが、知事は行政の長として行政事務をつかさどるほか、公選による職でありますことから、政治活動を行う場合があるわけでありますが、政務秘書には、このような政治活動にかかわる秘書業務など一般職の秘書に対応させることが適当でない業務や行政事務と政務との調整などを担当させており、知事業務の円滑な執行に寄与していると認識しております。したがいまして、政務秘書は、知事の仕事を円滑に行っていく上で必要であると考えておりまして、法律及び条例に基づき任用しているものですので、御理解をお願い申し上げます。
 次に、いわて希望創造プランの策定に要した期間についてでありますが、総合計画については、その実施計画の空白期間となっておりましたことから、今後の県政全体の方向性を示す後期実施計画を定め、その計画に沿って平成20年度当初予算を編成することを念頭にその策定作業に着手いたしました。あわせて、緊急的な政策課題については、知事就任後直ちに市町村長の皆さんとの個別の意見交換なども行った上で、その解決に向けたさまざまな施策を6月補正予算として計上し、その取り組みを推進しているところであります。
 この計画の策定に当たっては、議会を初め市町村、各種団体などより多くの県民の方々から御意見を伺い、それを可能な限り反映することで、県民の視点に立ったわかりやすく実効性の高い計画とすることが重要であると考えました。このため、昨年9月に素案をお示しした後、12月までの間に地域説明会や議員の方々との意見交換会などをそれぞれ2度にわたって開催するなど、県民の皆様の御意見を伺う機会を最大限に確保してきたところであり、こうしたことをかんがみますと、必ずしもその策定に長期間を要したとは考えてございません。
 次に、地方自治の本旨についてでありますが、私は、地方自治の本旨とは自立と共生であり、地方自治体がその地域の自立と地域住民の共生を目指して、みずからの判断と責任で地域を運営していくことであると考えております。少子・高齢化や人口減少が進む中にあって、市町村が地方自治の本旨にのっとり、住民が安全で安心して暮らせる豊かな社会を将来にわたって実現していくためには、行財政基盤を強化しつつ、行財政能力を高めるとともに、住民自治の基礎であるコミュニティを維持・再生していくことが不可欠であり、市町村合併はそのための最も有効な手段であると考えております。
 次に、市町村の自主的な議論と県としての支援についてでありますが、私は、合併をするかしないかについては市町村が判断すべきものであり、その判断を尊重するのは当然であると考えております。今、合併の議論を通じて市町村に考えていただきたいのは、地方分権の進展の中で、そもそも市町村が果たすべき役割は何か、人口減少社会を迎えた中で将来のまちづくりをどのようにするべきか、コミュニティの維持・再生をどうするか、行財政基盤は現在どういう状況であり、将来どうなるのか、その結果として、将来にわたって持続的で安定的な住民サービスを提供することができるのかなどであります。
 平成22年3月末の合併新法の期限を考えますと、議論のために残された時間は限られておりまして、市町村は住民に対し合併か単独かを的確に判断できる材料を早急に提供し、議論を積極的に進めていただきたいと考えております。県としても、こうした市町村を支援するとともに、市町村議会議員や経済団体等への説明会や意見交換会を通じて地域の議論を積極的に促してまいりたいと思います。
 次に、人事委員会勧告の遵守についてでありますが、平成19年の人事委員会勧告については、地方公務員法に基づき適正に行われたものと考えております。また、職員給与については人事委員会勧告を最大限尊重してその取り扱いを決定してきたところであり、この基本的認識に変わりはございません。
 平成19年の本県の勧告の取り扱いに関しましては、これまでになく厳しい財政状況を踏まえ、各種事務事業について聖域なく徹底した見直しを実施している中で、県職員の平均給与が本県の民間の平均給与よりも高い状況のもとで、勧告を完全実施することは困難であると判断したところであります。このため、この勧告の取り扱いについて職員団体と交渉を重ね、最終的には職員団体の皆様にも御理解をいただき、初任層を中心とした若年層の本給の改定については、平成19年4月に遡及して実施、扶養手当及び期末勤勉手当の改定については、平成20年4月から実施という形で勧告された内容を実施することとしたところであります。
 今回の取り扱いは平成19年度の特有の事情のもとでの結論であり、基本的な考え方としては、勧告された内容は勧告を尊重して対応し、財政状況に対応するための人件費の抑制については、定数の削減や、やむを得ざる場合には、期限を定めた特別の減額措置によって対応することが原則であろうと考えており、また、関係する法制度とも整合的な方策であると考えております。
 次に、プライマリーバランスについてでありますが、プライマリーバランスは、県債残高の増減を管理していく上での目標であり、中長期的観点での適切な管理が重要と考えております。また同時に、地方債の発行により各年度で必要となる事業を的確に実施していくことも地域経営を間違いなく行っていく上で重要なものと考えております。
 平成20年度の地方税財政制度改正は、当面のつなぎ措置を講じつつ地方税の偏在是正を行うこととされましたが、その結果、本県のような地方の県においては、平成20年度にはつなぎ措置としての臨時財政対策債が急増する一方、平成21年度以降は偏在是正効果の発現等に伴い臨時財政対策債が減少していくこととなります。県が行う事業の規模を年度間調整して、事業のために発行する地方債を増減させることにより、こうした国の制度の影響を吸収することといたしますと、県としての事業が安定的に予算化できなくなる面もございますので、今回は平成22年度までの中期見通しを示しつつ、3年間の合計額でプライマリーバランス均衡を保つ方針としたところでありまして、私がマニフェストやこれまでの県政運営の方針の中でお示ししてまいりましたプライマリーバランスの均衡という考え方に沿った対応であると御理解いただきたいと思います。
 次に、職員と情報を共有した県政運営についてでありますが、私は、知事就任直後から職員との話し合いを行い、組織の現状把握に努めてきたところであります。こうした中で、改革改善活動など先進的な取り組みがなされていることは大変よいことと感じたところでありますが、さらに組織力を最大限に発揮できるよう、集中改革プログラムに組織パフォーマンスの向上を掲げて取り組むこととしたところであります。
 私の県政運営全般に関する考え方については、庁議や振興局長会議などの幹部会議のほか、部局ごとに行った管理職との意見交換、振興局職員や若手職員、さらには第一線で県民と接する業務に従事している職員との意見交換などを通じて可能な限り職員との意識や情報の共有に努めてきたところであり、また、いわて希望創造プランの策定作業や平成20年度当初予算案の編成作業においても職員との多くの議論を重ねてきたところであります。
 今後、いわて希望創造プランに掲げる地域経営の視点に基づく取り組みを展開するためにも、県の行政組織内において、私を初めとした県職員が一丸となって、さまざまな分野で課題解決に向けて迅速かつ的確に取り組む必要があり、今後とも、職員との意識や情報の共有を図りながら県政運営に当たってまいりたいと思います。
 次に、セントラル自動車の誘致についてでありますが、今般の立地決定は、私が代表幹事を務めておりますとうほく自動車産業集積連携会議が中心となって、これまで愛知県において技術展示商談会を開催するとともに、東北地域での取引拡大や自動車関連企業の立地をトヨタグループに対して働きかけた成果と考えておりまして、このことは、東北地域の自動車関連産業の一層の集積に弾みがつくことから、喜ばしいことと受けとめております。
 次に、岩手、宮城の両県境地域の振興に関してでありますが、私が県境議員懇談会のあいさつの中で中東北と申し上げましたのは、平泉が栄えていたころ、平泉が白川から外が浜に至るまでの奥州藤原氏の勢力圏の中心、東北の真ん中にありましたことから、今日の東北においても、こうした見方、観点を持って地域の振興を進めていくことができるとの考えから発言したものであります。
 御案内のとおり、これまで両県では、県際連携として、産業振興のほか、防災、スポーツなどさまざまな取り組みを行ってきたところであります。特に近年は、行政レベルの連携・交流からものづくり・ひとづくり交流会IN仙台や企業情報交換会in一関、いわて・みやぎ県際花めぐり紀行など、民間企業や大学、一関高専等が参画した産学官連携による工業振興、観光振興などの取り組みが進展しているところであります。
 今この地域は、セントラル自動車や東芝の立地表明、平泉の世界遺産登録などで、工業振興、観光振興の観点では千載一遇とも言えるチャンスを迎えていますことから、このチャンスを最大限に生かした地域振興を図るため、両県の連携による取り組みを一層推進してまいる考えであります。
 次に、インターネット普及の今後の取り組みについてでありますが、県内のインターネット人口普及率は54.5%となっておりますが、ブロードバンドサービスエリア加入可能世帯率は86.9%と立ちおくれております。そのため、平成19年8月に策定した高度情報化アクションプラン2010において、平成22年度までに加入可能世帯率を100%にするという目標を掲げ、ブロードバンドゼロ地域の解消を図ることとしています。このための具体的な取り組みとして、市町村情報化サポートセンターを設置し、市町村との協働により、整備時期、財源等を盛り込んだ市町村別整備工程表を昨年12月に作成いたしました。
 県としては、これに基づいて事業者と市町村との仲介や、国の助成制度の活用により整備が図られるよう、必要な情報提供や人的・財政的支援を行うなど、総合的に取り組んでおります。また、来年度早々、新たに産学官民連携によるいわて情報通信基盤整備戦略会議─仮称でございますが─を設置し、情報化に関するさまざまな課題を総合的に解決し、効率的で効果的なブロードバンドを初めとする情報通信基盤の整備を加速化する考えであります。
 いわて希望創造プランの重点目標の取り組みと成果についてでありますが、県民所得の向上については、ものづくり分野においては、連峰型の産業集積に向けた支援等を通じ、自動車関連企業数も174社へ増加しているほか、新たな半導体工場の進出も決定したところであります。
 また、観光分野においては、北東北デスティネーションキャンペーンの展開等により、平成19年7月から9月までの観光客入り込み数は、前年の同じ時期に比べ50万人、3.8%増加したところであります。
 雇用環境の改善については、全県的に産業振興施策の積極的な推進を図っているところでありますが、特に厳しい雇用環境にある県北・沿岸圏域において、新たな企業立地や工場増設等によって、平成19年度は約120名の雇用の場を創出したところであります。
 人口転出への歯どめについては、産業振興による雇用の場の創出に向けた取り組みのほか、団塊世代を中心とした定住・交流の促進や若年者のUターン対策により、平成19年度の1月末現在のU・Iターン就職者数は、前年度の同時期に比べ約7%増加しているところであります。
 地域医療の確保については、喫緊の課題である医師確保に向けた施策の着実な推進により、臨床研修を終えた医師の県内定着が高まっているほか、平成19年度には新たに8名の即戦力医師を招聘したところであります。
 その他のお尋ねにつきましては企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事酒井俊巳君登壇〕
〇企画理事(酒井俊巳君) 平泉文化遺産の世界遺産登録に関するお尋ねでございます。
 初めに、平泉の文化遺産の動画での発信についてでありますが、本年4月から、県の観光ホームページ岩手の旅や同携帯サイトにおいて、平泉の動画情報が配信される予定でありますことから、3月開設を予定してございますいわて県南の旅・web情報誌においては、このサイトとのリンクを検討してまいります。
 次に、携帯電話の不感地域の解消と、携帯電話を活用した道路案内についてでありますが、不感地域の解消については、これまで通信事業者各社に働きかけてきたところであります。この結果、一関市の本寺地区の一部は年度内に解消される見込みと聞いていますが、なお、エリア内の一部地区に不感地域が残ることから、今後とも引き続き通信事業者に対し不感地域の解消に向けた事業の促進を働きかけてまいります。
 また、携帯電話を活用しての道路案内についてでありますが、ナビなどの道路案内のもととなる地図情報、電子データの作成事業者に対し、世界遺産の構成資産の掲載をお願いし、実現したところでもあり、今後、サイトでの案内内容等について十分検討し、関係サイトへの掲載を働きかけてまいります。
 次に、鉄道利用者の二次交通についてでありますが、地元一関市及びバス事業者では、来年度から新たなバス路線の開設意向があり、これが実現されれば、平泉町内を運行する周遊バスとあわせエリア内のバス路線は充実が図られるものと考えております。一般に、バス運行のほかタクシーやレンタカー、さらにホテル・旅館業者が運行する送迎バスなども二次交通と言われていますが、県といたしましては、こうした各種二次交通に関する詳細な情報、例えばバスであれば、世界遺産箇所と乗車すべきバス運行路線、停留所をわかりやすく示したり、タクシーやレンタカーであれば、料金や距離、所要時間、各種割引サービスなどを掲載したリーフレットを関係市町や関係事業者と連携し作成するなど、来訪者が円滑に安心して周遊できるよう、対策の充実に努めてまいります。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) まず、自動車関連産業への対応に係るサプライヤーの立地に向けた取り組みについてであります。
 本県に関東自動車工業が立地して以降、サプライヤー企業、新たな自動車関連企業の立地は約30社となっております。また、今般のセントラル自動車の立地により、東北地方における自動車の生産台数50万台が現実のものとなり、自動車部品メーカーのさらなる立地促進が期待されることから、今後とも関東自動車工業等と一層協調を図りながら、有力部品サプライヤーに対しまして強力に誘致の働きかけを行っていく考えであります。
 県内企業の参入につきましては、これまで、生産工程の改善指導や研究会活動、先進企業での人材育成などの技術力向上に加え、取引あっせんや技術展示商談会、共同受注のためのグループ化指導など取引拡大の支援を行ってきたところであり、これらの取り組みによって、塗装や内装樹脂部品などの分野で、平成15年度以降、45件の新規参入、新規受注につながったところであります。今後は、特にも駆動系部品のサプライヤーに対しまして県内企業が参入していけるよう、技術力の向上に向けて、その支援を一層強化してまいりたいと考えております。
 次に、新たな工業団地の整備についてでありますが、現在、岩手県土地開発公社を事業主体として、一関市鶴ヶ沢地区において研究開発工業団地の整備を進めており、平成21年度には一部分譲を開始し、平成22年度には本格分譲の見込みであり、当面は、その用地の販売に向けて一関市と連携して企業誘致活動に力を入れてまいる考えであります。
 また、新たな工業団地の整備につきましては、現在、その必要性について検討を行っており、自動車部品メーカーの立地動向や、地元各企業のニーズなどの把握に当たっているところであります。
 さらに、一関地域の工業団地の拡大等についてでありますが、これらは地元市町が整備した団地であり、その活用につきましては基本的には地元の判断によるものと考えております。また、今後、地元からの相談等があれば、県としても対応してまいる考えであります。
 次に、平泉の世界文化遺産登録を契機とした観光振興に係る旅行商品の分析、対応についてでありますが、本県が有する地域資源を旅行商品として観光客に届け、誘客を図るためには、現在の旅行動向を把握し、観光客のニーズに対応しながら、魅力的な食や体験、交通手段、宿泊環境などさまざまな情報を提供することによって、旅行会社の商品造成を促進することが重要であると考えております。このため、現在、県観光協会が中心となって、パンフレットに掲載された旅行商品の分析、旅行会社との意見交換、各種統計情報などを通じて旅行動向の把握に努めるとともに、各市町村や観光関係者などと連携を図りながら、旅行会社との商談会、旅行会社の招請などを通じて、本県の観光資源に係る情報提供や企画提案を行っているところであります。今後とも、関係団体間の情報共有を強化し、より質の高い情報を旅行会社に提供してまいる考えであります。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 地上デジタル放送の難視聴地域対策についてでありますが、県といたしましては、これまで、国及び放送事業者に対しまして、2011年7月までに全世帯を100%カバーできるよう、国と放送事業者の責任によって、必要な対応について最大限の努力を尽くすことを求め、しかも、その手段は地上デジタル放送中継局によるべきこと、その補完手段としては共同受信施設などによるべきことなどを、全国知事会や地上デジタル放送普及対策検討会を通じ、あるいは直接繰り返し強く要望してきたところであり、引き続きあらゆる機会をとらえ、強く求めていく考えであります。
 なお、国は、アナログ放送停波の時点で取り残される受信不能世帯向けとして、衛星放送によりカバーするとの方針を昨年12月に公表しているところであります。しかしながら、この方針による身近な生活情報や緊急・災害情報など、真に住民が必要とする地域情報を迅速に入手することができないなどの問題があるため、県としては、あくまでも、先ほど申し上げたような中継局等の整備によって解決を図るべきものと主張いたしておるところでございます。
 加えて、本県独自の取り組みとして市町村情報化サポートセンターを設置し、市町村との協働により、共同受信施設の改修時期等を盛り込んだ市町村別整備工程表を昨年12月に作成し、その改修推進に取り組んでいるところであります。また、来年度早々、先ほど知事からの答弁にありましたように、いわて情報通信基盤整備戦略会議(仮称)を設置いたしまして、情報化に関するさまざまな課題を総合的に解決することとしておりますが、その中でも、地上デジタル放送への適切な移行に向け、万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、いわて情報ハイウェイについてでありますが、平成12年から運用を開始しましたいわて情報ハイウェイは、県の行政機関を結ぶ民間通信事業者の通信サービスを利用した高速・大容量の情報通信基盤でございまして、回線容量のうち、議員御指摘のとおり、県の20の行政システムに係る通信量が、現在のところ、おおむね8割相当を占めているところでございます。
 この投資効果についてでございますが、まず、県民の利便性、サービス向上の面では、例えば医療分野におきましては、県立病院の医療事務処理や電子カルテシステム、また、岩手医大と県立病院間の高画質なテレビ会議システムや病理画像診断システムによる遠隔医療、そういったものに使われておるところでございます。
 また、行政コスト削減効果の面では、電子掲示板や電子メールの利用による人件費や紙代、コピー代等の物件費、あるいは内線電話をこの情報ハイウェイを利用する方式に変更したことによる役務費等々の削減が図られたほか、平成17年度には情報ハイウェイの回線種類の変更により、毎年度の運営経費を3分の1相当にまで大幅に縮減できたところでございます。
 次に、いわて情報ハイウェイの県民の活用についてでありますが、医療の分野では、先ほど申し上げたもののほか、民間病院と県立病院を結ぶテレビ会議システムによる小児救急システム、農業振興の分野では、農産物の生産履歴を確認できる農産物トレーサビリティーシステム、防災対策の分野では、防災情報の提供や光化学オキシダント情報を携帯電話でお知らせするいわてモバイルメールなどのシステム、教育の分野では、県立高校の授業でのインターネットを利用する学校交流ネット、学術の分野では、県立大学の公開講座を遠隔地に配信するシステム、ケーブルテレビに県議会中継を配信するシステムなどがございます。今後とも、住民に身近な分野における必要な情報提供をふやすなど、利便性、サービスの向上のために情報ハイウェイの利活用に努めていくとともに、そのサービスを広く県民の方々に活用してもらえるよう、ブロードバンド加入可能世帯の拡大など、情報環境の整備にも鋭意取り組んでまいる考えでございます。
 なお、情報ハイウェイの民間企業等への開放につきましては、当面、余裕のある帯域を平成18年6月から開始いたしておりますけれども、今後とも、その活用をPRしてまいりたいと存じております。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 骨寺村荘園遺跡における米の生産調整についてでございますが、この遺跡の農村景観は文化的価値が高く、これを保存していくためには持続的な稲作農業の営みが不可欠であると考えておりますが、一方で、米の生産調整は年々強化され、県全体で4割、県北・沿岸部では5割を超える地域もあるなど、県内の生産調整は既に限界に達している状況にございます。こうした状況の中で、昨年8月に、一関市からこの地区に対する生産調整の緩和について要請されたところであり、県といたしましては、世界遺産の登録を目指す当地区の景観保全には国の支援も必要と考えられましたことから、国に対し、昨年10月に、遺跡内の米の生産数量について、特別枠として配分されるよう要請したところでありますが、国は、米の生産数量の配分については、売れる米づくりを促進する観点から各県の販売実績をもとに行っており、例外は認められないとの回答があったところであります。また、県段階におきましても、当地区への生産調整の緩和について検討したところでございますが、既に昨年4月に市町村に対して20年産米の配分方針を示した後であり、また、生産調整に限界感がある中で、県内市町村の理解を得ることが難しいと見込まれましたことなどから、県内調整は困難と判断したところでございます。
 こうしたことを受けまして、現在、地元一関市とともに、景観の保全上必要な水田に限定して、20年産の作付に間に合うよう、産地づくり交付金を活用した加工用米の導入や、一関市内の他地域との互助による作付面積の拡大など、具体的な稲の作付拡大について協議を進めているところでございます。また、21年産の作付につきましては、世界遺産登録後に、国に対し改めて本遺産の景観保全上の稲作生産の必要性を説明し、当地区に対する生産数量の増枠配分を引き続き要望するとともに、県や関係機関・団体等で構成する県水田農業改革推進協議会において、当地区への生産調整の緩和の可能性について、再度検討してまいります。
   〔教育委員会委員長箱崎安弘君登壇〕
〇教育委員会委員長(箱崎安弘君) 教育委員会議についてでございますけれども、県民の知る権利は地方自治の本旨に根差すものであり、県民総参加の教育立県を基本理念とする岩手県教育委員会といたしましては、これを最大限尊重していかなければいけないものと考えております。したがいまして、教育委員会議における審議は原則として公開で行うべきであると考えております。私は、現状の秘密会のあり方につきまして見直しが必要と考えておりますので、今後、各教育委員に諮った上で、これまでの秘密会で審議してまいりました各種審議会委員の任命などにつきましては、原則公開で行ってまいりたいと考えております。
 次に、中高一貫教育についてでございますが、まず、県立中学校の男女定員について、男女がほぼ同数存在して社会を構成しているという中で、いわゆる自然の摂理という言い方がよろしいんでしょうか、そういう中で市町村立中学校においてもほぼ男女同数の教育が行われております。公立の義務教育機関である県立中学校においても同様に行うことが自然な形ではないかと考えたところでございます。すなわち、中学生という多感な発達時代における教育を行っていくことを考えた場合に、男女同数の定員とすることで、学習活動のみならず、課外活動や部活動などのさまざまな活動を通じて男女の違いをお互いに認め合い、相互理解を進めることができると考えており、こういった形で豊かな人間性をはぐくむことによりまして、県立中学校の教育目標を達成することができると考えたものでございます。
 次に、県立中学校の理念と教育目標についてでありますが、教育委員会議においても2度にわたり議論したところでございます。次世代のリーダーを育成するという理念のもと、豊かな人間性と高い知性をもって社会の進歩発展に貢献することができる人材を育成することを目標に掲げたところであります。
 具体的には、将来、医療、福祉、産業、教育、司法、行政など幅広い分野において社会に貢献するという志を持つとともに、それぞれの専門分野における知識や能力を兼ね備えたリーダーとして育っていくような人材を育成していきたいと考えております。
 次に、県立中学校への通学についてでありますが、中学生は心身が急激に発達する段階であり、生徒の肉体的、精神的な負担を考慮した場合、通学時間には一定の配慮が必要であると考えております。お尋ねのございました日常生活に支障が生じる状況とは、長時間の通学が生徒の大きな負担となり、通学時の疲労の蓄積などから、学校生活での活力や集中力が低下することとか、帰宅後の家庭学習の時間や家族との語らいの時間が確保できなくなるということなど、意欲を持って日常生活が送れなくなる状況などを想定しているものでございます。ただし、それらの状況には個人差があると考えられますから、入学者選抜段階において、遠方からの通学を希望する生徒に関しては、生徒や保護者の個別の状況を伺いながら、慎重に判断することとなると考えております。
 次に、県立中学校の施設整備等についてでございますが、県立中学校の校舎は、一関第一高等学校の旧校舎を中学校棟として改修して活用することとしております。習熟度別学習などの少人数指導に対応できるような教室も確保するよう整備を進めており、十分目的に沿った学習が展開できるものと考えております。また、一関第一高等学校の定時制については、現在、新校舎に定時制の専用職員室を設置し、全日制の6教室を共有しながら学習を行っております。現時点においては、高校から定時制を3カ年で修了する体制とする計画は出されておりませんが、仮にそのような体制を実施する場合においても、施設面においては十分対応可能であると考えております。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) 柳之御所遺跡の復元整備についてでありますが、これまでの発掘調査により十分な根拠が得られた園池について復元整備を終えたところであり、今後、建物が所在していた場所を表示したり、堀跡や園路を整備し、平成22年度には暫定公開をしたいと考えております。しかしながら、建物の復元については、世界遺産登録に当たって、その真実性が求められることから、平泉遺跡群調査整備指導委員会において、建築学や考古学の委員を中心に、建物の形状や材質、機能などについて慎重に検討を続けているところであります。現在、壁材や屋根材の一部については検討が進んでいるものの、建物の機能や全体構造など、まだ未解明な部分があり、この問題を解決するため、委員会での検討回数をふやすなどして、少しでも早く復元整備を行うことができるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 柳之御所跡のイメージ図や復元計画につきましては、来訪者の理解の促進を図るため、柳之御所遺跡内で解説掲示するほか、世界遺産のガイダンス施設や柳之御所資料館を活用して公開してまいります。また、駅などの公共的施設への掲示についても、関係機関との調整を進めていきたいと考えております。
 平泉郷土館を世界遺産のガイダンス施設として活用することについてでありますが、平泉郷土館は平泉の文化遺産全体の中心部に位置することから、各遺産を回遊するためのガイダンス拠点として十分な役割を果たせるのではないかと考えております。駐車場については、郷土館周辺の町有地や毛越寺駐車場など大型バスが駐車できる既存施設を活用することによって、来訪者への対応が十分に可能であります。また、平泉町においては、ガイダンス施設を核として、物産販売や飲食などの民間活力を配置し、観光客が徒歩で回遊するような仕組みをつくることによって町場の活性化を図りたい、そういう方向で検討しているところであります。
 次に、柳之御所資料館との役割分担についてでありますが、平泉郷土館は平泉文化遺産のトータルなガイダンス施設として、また、柳之御所資料館は柳之御所遺跡のガイダンス施設として考えております。また、柳之御所遺跡に新設する予定のガイダンス施設については、柳之御所遺跡を初め平泉の文化遺産関連の各遺跡から出土した資料の展示及び体験型の学習機能などを持たせるものとして、今後、その内容を再度詰めていきたいと考えております。また、建設時期については、柳之御所の復元整備や財政状況を十分見きわめた上で検討してまいりたいと考えております。
〇37番(阿部富雄君) それでは、不明な部分について、再度お聞かせいただきます。
 まず、政務秘書についてですけれども、これは任用を続けるか、廃止するかは知事の判断ですから、これ以上議論してもかみ合わないのだろうと思います。ただ、知事、ぜひ御理解いただきたいのは、県民感情から受け入れられないという意味は、県民があなたを選んだのは、知事として、行政府の長として選んだんですよ。政治家達増さんということで選んだのではないということ、これはやっぱりきちっと認識していただきたい、このように思います。
 もう一つは、政務秘書を任用する際の1年前のことを振り返ってください。私のほうから詳しく言わなくとも知事は十分おわかりだと思いますから、詳しくは申し上げません。県民にとっては極めてわかりにくい、理解できない、そういうふうな形で任用したのではないでしょうか。ですから、県民はそういうことに対して不信を持っていると私は思います。
 きょう指摘したからすぐ廃止だということは知事の立場からはなかなか言いにくいことだと思います。ただ、知事自身が、これからも県民のため、県民と一緒になって県政を行うという基本姿勢を持っているのであれば、おのずと私は対応は決まってくると思います。ぜひ熟慮されて対応していただきたい、このことだけ申し上げておきたいと思います。
 それから、知事の政治手法全体についてでありますけれども、私ども議員にしても知事にしても、県民から批判がないから、あるいは議会で問題にならないからいいのだということではなくて、やっぱり常にみずからを自戒して姿勢を正していくということが求められていることだと思うんです。これからお話しすることは、知事にぜひ期待を申し上げたい、県政をよくしてもらいたい、こういう立場でお話をさせていただきますから、ぜひお聞きいただきたいと思うんです。
 県民が今、知事をどう見ていると思いますか。私に聞こえてくるのは、正直申し上げまして、頼りない、何をしているかわからない、こういう言葉でしか返ってきません。知事にとっては不満でしょう。しかし、これが率直な県民の気持ちではないでしょうか。前段の質問でも申し上げましたけれども、県内紙の県民世論調査、知事を評価するという方はわずかに7.5%ですよ。やや評価するというのも合わせていえば36%ということですけれども、これは国政に例えて言えば、総理大臣の指導力、影響力を全く失ってしまって、まさに政権でいえば末期的症状、こういうふうによく言っているわけですよ。それに匹敵するような深刻な事態だということですよ。やっぱり真剣に知事、これは受けとめてもらわないと、ここを解決しないことには、県民の信頼を失う県政なんてあり得ないわけですから、ここはやっぱりきちっとやっていただきたいと私は思っているわけであります。
 今の知事の行動あるいは取り組みを見ていますと、まさに私から見れば孤軍奮闘の感が否めないんです。一生懸命努力して行動してもこんな評価しか得られない、まさに残念だとしか私からは言いようがないんです。やっぱり知事がトップとして県民に期待を持たれるように、信頼をされるようにする、そういう県政運営というのはきちっとやっていくべきだと思うんです。ですから、政治的に自由にやらせてもらう、そういう状況ではないのではないでしょうか。ぜひそこは理解していただきたいと思います。ですから、今までやってきたような政治手法だけではやっぱり県民の信頼、理解が得られないということですから、ぜひ早急な見直しをして対応していくということも必要だと思います。
 例えばことしの予算は、知事はこう言っているんです。全体が知事枠のような形にして隅々まで知事の意思が入った選択と集中の予算だと。これはいいんです。それから、随所にゼロ予算というものがあるわけです。職員は、このような予算編成の過程だとか内容を理解しているんでしょうか。知事と同じ認識、同じ方向に向いていると思いますか。私は、やっぱり若干ずれがあるんだろうと思っているんです。知事みずからが行動することは当然必要なことであります。何よりも必要なのは、やっぱり4、000人を超える、まさに県政の神経部分である職員、この方々に、知事が言うように今までの10倍、100倍の能力を発揮してもらえる体制を築き上げるということが私は必要だと思っています。知事の言葉が本当に職員に届いているのか。現状はそうではないということを認識する、それが県民に伝わっていないということになっているんだろうと思います。
 今必要なのは、政策を着実に推進して実績を上げ、県政に対する県民の期待、信頼を取り戻す、このことに徹するべきだと思います。これは知事だけが対応して解決できるということではないと思っています。職員の皆さんも、やっぱり知事を支える、あるいは知事の政策を積極的に推進していくということが求められていると思います。
 職員の皆さんにお聞きしたいんですけれども、本当に知事を支えているというのはあったんでしょうか。私は、脆弱な部分がかなりあったと。それから、知事に対して、このようにしましょう、こういうふうに意見を具申したことがあるんでしょうか。そういうのはほとんど見かけられないんです。きょう議場にいる一般職のトップは企画理事になるんですが、企画理事は全体というよりは県南振興局ですから、その次の筆頭職員であります総合政策室長、あなたは知事に対して、あなたや職員が感じていることについて具体的にお話を申し上げたことがあるでしょうか。知事を支えてきた力というのはどの程度あったと思っていますか。決意を含めて、私はそこをはっきりお尋ねしたいと思います。
 それから、マニフェストの関係ですけれども、知事は、今年度の予算でマニフェストの反映度合いは100%と言ってよい、このようにしています。マニフェストというのは、100%達成する努力をする、それは当然必要だと私も思っています。ただ、マニフェスト策定時点で想定できなかったこと、あるいは新たな要因も出てきますから、結果として達成できないということもあり得ると思います。自信を持ってやるということは必要でありますけれども、自画自賛ということにはならない。やっぱり評価するのは第三者だと思っているわけです。
 私自身、そのプライマリーバランスの対応について見れば、知事は100%だと言われていますけれども、私は100%とは言いがたい部分があるわけであります。というのは、政治というのはやっぱり原則、基本が崩れれば信頼を失い、説得力を失うと思うんです。知事の県政への原則、基本というのは、私は、知事みずからが策定したマニフェストだ、このように思っています。プライマリーバランスについて、知事は、マニフェスト策定時点で単年度で均衡させると想定したのでしょうか。任期を通じて均衡させる、このように想定してつくったマニフェストなんでしょうか、その部分についてお尋ねしたいと思います。
 いずれマニフェストについては中期財政見通しを見越してやったということですけれども、もう新たな財政支出が出てきているわけです。それは大型補助、いわゆる企業誘致に伴う大型補助。これだって恐らく単位とすれば数十億単位の金額になるんだろうと私自身は想定しています。3年間を通じてのプライマリーバランスの合計というのは38億円の黒字になると想定していますけれども、新たな財政支出数十億というのが目の前に来て、財政見通しそのものも見直しをしなければならない、こういう事態になっていると思うんです。そういうことを考えても、やっぱりプライマリーバランスというのは、今の予算は単年度主義をとっていますから、単年度、単年度で達成をする、そういう形にしていかなければ守れないものだ、私はこのように思っています。
 次に、新しい工業団地の整備についてお伺いします。
 私どもは断片的にトヨタ関連のサプライヤーがまた宮城県に進出するとか、福島にも自動車関連産業が多くて、そこにまたサプライヤーの進出が決まったとかという情報は耳にするわけであります。今、東北におけるこうした自動車関連産業の進出状況というのは県としてどうとらえているのでしょうか。
 私も新幹線で通勤しているんですが、トランヴェールとかという雑誌があるんですが、あの雑誌を見ていると、東北、新潟を含めた工業団地の売り込みの写真が載っているわけです。見ますと、やっぱり仙台を中心、それから福島、簡単に言えば南東北ですね。山形を含めた南東北はきちっと工業団地を整備しています。ですからサプライヤーからすれば、仙台から上にというよりは、むしろ南東北で完結したほうがいいと、あの地図を見ただけでも私は思うんです。ですから、そういう状況があるにもかかわらず、私どもが手をこまねいて、ただ来てください、来てください、それで果たして実現するでしょうか。やっぱり南東北に負けないようなものをきちっと整備して対応していく、こういうものでなければならないと思いますけれども、いかがでしょうか。これは商工労働観光部長になると思いますけれども、お尋ねしたいと思います。
 それから企画理事、あなたは県南振興局長という立場にいらっしゃるわけですが、あなたはこういうまさに宮城県とのはざまにいて、どういう感じをしていますか、こういう新たな工業団地の整備については。ぜひあなた自身の県南振興局を預かる者としての対応をお聞きしたいと思います。
 それから、教育行政についてですけれども、できるだけ秘密会はしないようにやっていく、こういうことですから、ぜひその方向でお願いしたいと思いますし、秘密会であっても、今までは議事録は残さないで結果だけ会議録に残すというふうにしていましたけれども、普通どんな公の機関であっても、秘密会であったとしたって議事録は残すんですよ、公表する、しないは別に。仮に、特に人事関係なんかが多いと思うんですけれども、人事関係で人事委員会に不服申し立てをされたり裁判を起こされて、その処分をした経過がわからないということになればどうなりますか。やっぱり秘密会であったって会議録はきちっと残しておくというのが原則だと思うんでけれども、教育委員長、お尋ねしたいと思います。
 それから、二つ目の男女共同参画の考え方ですね。要するに男女のバランスがとれていればいいのだ、こういう考え方で今度の併設中学校は考えたようでありますけれども、男女共同参画法、法律がございます。それから、岩手県には男女共同参画推進条例、こういうものがあるわけです。中身はどういうことになっているかというと、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること、こういうことが規定されているんです。教育委員長、こういうことを事実御存じだったでしょうか。
 男子40名、女子40名という考え方はこういうことなんですよ。仮にいろいろな選考をやって1番から受験者を並べていった。1番から60番までが女性がいた。残りあと20人が男子というふうに並んだとすれば、最初の60名のうちから20名の女子は削られるということでしょう。そして、後ろにいる男子20名を引き上げていくということでしょう。これがまさに男女共同参画というものなんですか。性差による差別というのはこのことを言うんじゃないですか。そういう認識はどのようにされているのか、お尋ねします。
 それから、通学の問題がございました。長時間通学は余り好ましくない。家族との団らんが失われるようなものはだめだ、こういう言い方をしていましたね。そうであれば、最初から通学区域を全県とするということを掲げること自体問題じゃなかったですか。少なくとも何年後かには県立中学校は県内に整備していくという考え方にあるわけですから、そうであれば、今回の一関一高に併設する中学校については学区はここですよと決めて、皆さんが心配している子供の成長とかそういうものに影響されないような範囲にやっぱり定めるべきじゃなかったでしょうか。なぜそういうことが教育委員会議の中で議論されなかったんでしょうか。ぜひその辺を含めて私はお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 政務秘書についてでございますけれども、内閣総理大臣初め各省庁の大臣は大概政務秘書を任用しております。今、総理大臣は息子さんを政務秘書にしていますけれども、増田総務大臣も政務秘書を任用しています。といいますのはやはり、私も役所で働いたことがありますけれども、政務秘書がいたほうが一般職員が政治マターに巻き込まれなくて仕事がやりやすいんです。政務秘書がいないと個別の政治絡みの案件がどんどん担当の職員に直接降ってくるわけでありまして、そういうのは全部政務の秘書が対応するというふうになっていたほうが一般職員が仕事をしやすいということがあります。
 岩手県は特に政治的に中立、非政治的なクリーンな職員のすばらしい伝統を持っていて、これは全国に自慢ができると思っているんですけれども、そういう職員の中立をきちっと守っていくためにも政務秘書が有効に機能すると思いますし、また、増田総務大臣も政務秘書を任用していると言いましたけれども、政治絡みというのは、政党絡みということだけではなく、例えば有力企業人とか、あるいは知事なり大臣なりの知り合いを名乗る者とか、そういう行政の普通の論理じゃないところでいろいろ働きかけてくるということがあり、日本全体で見るとむしろ非政党的なそういう政治絡みのことのほうが多いのではないかと思います。また、全国各地、各県でいろいろな不祥事、知事が辞任するに至るような不祥事が発生した場合にも、政党政治が関与してきたというよりは、有力民間人が知事のところにささっていろいろ政治的に動いたということがございますので、そういったことも含めて対応する政務秘書というものは、非常に機能するものだと考えます。
 また、今申し上げましたように、政治的というのは政党的ということだけではないわけでありまして、ある意味すべての知事は政治家です。私以外のすべての知事も政治家だと思います。政党に余り関与しないというのも政治的な判断ですし、また、政党と全然関係ない中、地域のどの有力者とどういう距離感でいこうかという、そのすべてが政治判断だと思います。そういう意味で、私は政治家達増として選ばれていないということはないと考えております。
 予算編成のプロセスについては、かなり私自身職員と一体になってつくったと思いますし、本当に職員の下からのいろいろな提案、アプローチ、アイデア等々がなければ、あのような綱渡りのような予算、綱渡りの中でも、その綱の上で勇壮な鬼剣舞を踊るような、そういう未来に向けて希望が持てるような、また、岩手の伝統にも根差したそういう予算案ができたと思うんですけれども、これは本当に県職員一人一人のおかげだと思っております。
 マニフェストが全面的に反映されているというのは、岩手希望創造プランやそれに基づく予算に全面的に反映されているということで、これが私の任期の終わりにどう評価されるかということは、その時点で評価されなければならないと思います。
 プライマリーバランスについて、来年、平成20年度予算は、国から地方にお金が来て、岩手県にも49億円プラスで来るんですけれども、ただそれは現金では来ないで、とりあえず臨時財政債─臨財債で県債を出してやっておけ、その後で地方交付税措置するという仕組みになっておりますので、地方再生の国の措置によって49億円プライマリーバランスが悪化することになります。この49億円のプライマリーバランス悪化をなくするようにその分ほかの事業を削ったりいたしますと、やはり今、県民が求めているような県の行政ということができなくなると考えまして、3年間、中期的にプライマリーバランスが均衡されるような中期財政見通しのもとに立った平成20年度の予算措置を行ったところでございます。
〇企画理事(酒井俊巳君) 工業団地の整備関係でございますけれども、議員の御質問にございましたとおり、関東自動車がありまして、今度セントラル自動車が立地したということで、まさにこの中間の岩手県南、それから宮城県北地域については、そのメリットを十分に生かすべき地域だろうと思います。この地域には新幹線も通っておりますし、それから高速道路もあるということで、各サプライヤーが立地するには大変魅力的な地域だろうと思っています。
 一方、この地域、特に宮城県北の地域は産業集積というのが非常に、特にものづくり系は産業集積が薄いところです。宮城県の出しているホームページ等を見てもその辺の集積が非常に薄くなっているところでありますので、この地域は、そういう意味ではサプライヤー等については大変魅力的な地域として映るのではないか。また、そういった用地もある地域ではないかと思っております。
 そうしたところを企業のほうも敏感に感じていると思いまして、先日、阿部議員も御出席をされました、県南技研が出席をされました企業情報交換会in一関の席にも宮城県側、特にやはり県北地域から数多くの企業が来ているところでございますので、私は、そういう意味で、あの地域につきましては、これから工業団地というものを岩手県側も宮城県側も整備をしていくべき地域、また、いくことのできる地域だと考えているところであります。
〇総合政策室長(勝部修君) 職員が知事をしっかり支えているのか、あるいは知事に意見を具申するようなことがあるのかという御指摘でございますが、知事とは、私、総合政策室長ほかで、知事が出張で不在のとき以外は毎朝在庁時は打ち合わせを行って、私どものほうから知事にさまざまお伺いすることもありますし、知事のほうから指示をいただいてそれを各部におろしていくということもやっておりますし、これは今後とも続けていくつもりでございます。それから、定期的なものでは庁議の場であるとか、あるいは定期的でないものにおきましても、幹部職員が要所要所で集まって案件について協議する、頻繁にそういう機会を持っております。
 そのほかに、職員との意見交換の場についても、先ほども御質問ございましたけれども、知事が就任直後から、ぎりぎりの日程のところで時間をとっていただきまして、今まで延べで450名近い職員と個々に意見交換をしてきております。ただ、これらは県行政の内部の中での意見交換でございますので、なかなか外部には見えていかない部分がございます。そういうことで、なかなか見えにくい部分がございまして、御指摘いただく分については真摯に受けとめて、これからもしっかり知事との意見交換等を通じまして知事のトップマネジメントをサポートしていきたいと考えております。
〇商工労働観光部長(阿部健君) 誘致企業の東北進出の関係でございます。
 これにつきましては、今、トヨタ本体、それから関東自工も含めてでございますが、自動車関連企業に回りまして、情報収集、それからもう一つは、北九州を含めまして九州の例があるわけですが、その場合に、50万、それから100万、今は100万を超えておりますが、そこの再生に移ったときに企業がどういうふうに張りついているのか、それをある意味ベンチマークしまして、そこから東北への可能性を割り出しまして企業のほうに今当たっているところでございます。
 そこの中で、やはり駆動系、プレス系、こういったところが今、東北の生産の拡大、組み立てがこれから2社になるわけでございますが、そこの生産のこれからの詳しい状況、それからもう一つは、物流の関係、その辺のところを見ながら、今いろいろとこれからの計画を練っているところでありまして、それらに今アプローチをかけているところでございます。
 それから、南東北に負けないようにということでお話がございました。新しい団地につきましては、必要性の部分を今検討しているところでございますが、いろいろと企業のほうにアプローチをしていくときに、本県でも、北上南部のように、あそこは10ヘクタール規模3ブロック今持っているわけでございますが、県内の既存の用地、これは分譲率今70%で30%が未分譲と。我々としては、やはりここを今きちんと企業のほうにアプローチをして売っていくというスタンスが一つでございます。
 それともう一つは、南東北に負けないということで、今、自動車の集積、配置といいますか、それが北海道あるいはロシアに向けて部品を送るとか、そういった動きがいろいろございます。そういった中で、北東北もまたある意味これからの可能性のあるところでございます。そういったところもアピールをしながら、今、各企業のほうに当たっているところでございます。
〇教育委員会委員長(箱崎安弘君) まず、最初の秘密会の会議録の件でございますけれども、私も基本的に、県民の知る権利あるいは説明責任という姿勢というのは絶対大事なことだろうと感じております。ですから、きょうの議員の御質問、ある面で私も背中を押されたような感じを受けた部分もございますので、そういう方向に向かって教育委員の中で協議をいたしたいと考えております。
 それから、入学者選考時の男女間の不公平というようなお話でございますが、実はこの件につきまして、私どもも、小学校の高学年というものが男女間で見た場合にはやっぱり女性のほうが総体的に発達していくのが進んでいるというような認識は持っております。そういうことで、地元での検討委員会あるいは教育委員会の中でもこの件につきましては十分な討議を重ねました。結局、結論としましては、義務教育課程のあるべき姿というものが、全体として見てやはり男女半々ぐらいにやるべきところに落ち着いているのが今、現状でございますので、そういったところで40、40というものでもって決定したということでございます。
 それから、通学の範囲の件でございますけれども、岩手県は初めての中高一貫校でございましたので、どういう範囲でやるかということにつきましても相当の議論をいたしました。仮に範囲を区切った場合、つてを頼った生徒の転居のようなケースが出るとすればそれは必ずしも本意ではないという気持ち等もございましたので、そういうことで岩手県一円ということでもって決めたわけでございます。ですから、今のような通学の問題につきましては当初から議論した経過はございますが、結論としてそういうところに落ち着かせていただきましたので、ひとつ御了解をお願いしたいと思います。
〇副議長(佐々木大和君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時1分 休 憩
出席議員(47名)
1番  木 村 幸 弘 君
2番  久 保 孝 喜 君
3番  小 西 和 子 君
4番  工 藤 勝 博 君
5番  岩 渕   誠 君
6番  郷右近   浩 君
7番  高 橋   元 君
8番  喜 多 正 敏 君
9番  高 橋 昌 造 君
10番  菅 原 一 敏 君
11番  小野寺 有 一 君
12番  熊 谷   泉 君
14番  高 橋 博 之 君
15番  亀卦川 富 夫 君
16番  中 平   均 君
17番  五日市   王 君
18番  関 根 敏 伸 君
19番  三 浦 陽 子 君
20番  小田島 峰 雄 君
21番  高 橋 比奈子 君
22番  高 橋 雪 文 君
23番  嵯 峨 壱 朗 君
24番  及 川 あつし 君
25番  飯 澤   匡 君
26番  田 村   誠 君
27番  大 宮 惇 幸 君
28番  千 葉 康一郎 君
29番  新居田 弘 文 君
30番  工 藤 大 輔 君
31番  佐々木 順 一 君
32番  佐々木   博 君
33番  工 藤 勝 子 君
34番  平 沼   健 君
35番  樋 下 正 信 君
36番  柳 村 岩 見 君
37番  阿 部 富 雄 君
38番  斉 藤   信 君
39番  吉 田 洋 治 君
40番  及 川 幸 子 君
41番  佐々木 一 榮 君
42番  伊 藤 勢 至 君
43番  渡 辺 幸 貫 君
44番  小野寺 研 一 君
45番  千 葉   伝 君
46番  佐々木 大 和 君
47番  菊 池   勲 君
48番  小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時19分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。及川あつし君。
   〔24番及川あつし君登壇〕(拍手)

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