平成20年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇40番(及川幸子君) 民主・県民会議の及川幸子でございます。
 県議会議員として10年目、10回目の登壇の機会をいただきました。ありがとうございます。順次、通告に従い質問させていただきます。
 10年を振り返り、今が一番県政の多くの課題を抱え、また、県予算が10年前と比べ2、000億円余りも減額していることに、何ともやりきれない思いがいたします。負担増だけがのしかかり、所得が追いつかない今の状況に、県民は悲痛な叫びを寄せております。
 当初予算額6、583億円余は、前年度対比7年連続マイナスとなり、前年度より271億円の減となっております。達増知事就任後において初の当初予算編成となりましたが、いわて希望創造プランに掲げた、県民一人一人が希望を抱く県土づくりを達成するため四つの課題に重点的に取り組むとされておりますが、その具体策をお示しいただきたいと思います。
 また、知事は、予算編成において、無から有をつくり出すという表現をされておりましたが、ゼロ予算でもうまくいけば経済的効果、新産業・新ビジネスの誕生を促していける、無から有をつくり出すような事業をふやしたとされる、それはどのようなことからお話をされているのでしょうか。県民一人一人に平成20年度予算は、どのような希望の種として県内各地にまかれるのでしょうか。知事のお考えをお伺いいたします。
 今回の予算編成の中で重点化している平泉世界遺産登録を目指す計21事業、8億7、000万円余について、主な取り組みをお伺いいたします。
 次に、重点化されております産業振興についてでありますが、雇用創出、地域活性化においても重要施策であることから、早急な取り組みが求められているところであります。東芝の工場建設が北上に決まったとのことでありますが、報道によりますと、投資規模は県予算よりも多い8、500億円、雇用は数百人から1、000人近い規模であり、県においてもこのチャンスを最大限に生かすべきと考えますが、東芝の新工場建設に向けた取り組みについてお示しください。
 また、知事は、増田前知事時代の部局別予算枠を廃止し、全体の事務事業の見直しを図られ、優先度の高い事業への重点化を進め、政策的経費では1、000項目のチェックをなさったと伺っております。予算編成方式の見直し、事業の選択と集中についての知事の御所感をお願いいたします。
 増田前知事の12年間で県の借金総額が1兆4、000億円余と県の年間予算総額の2倍以上になったことは、事業予算の選択と集中に対する取り組みが甘かったのではないかと思われます。
 知事は、今後3年間で県債発行を抑制して、2010年にはプライマリーバランスの均衡を達成するとされております。歳出においても最も多くを占める人件費の抑制で約57億2、600万円、前年比2.9%の減で、職員の間から、痛みはともに分かち合うことは理解するが、これが限界だという声が聞かれます。
 国は、地方の思いや中央との格差が広がるこの状況をどのように踏まえているのでしょうか。県として、地方財政の安定的な歳入確保に向けて国への働きかけを一層強めるべきものと考えますが、知事の御所見を伺います。
 次に、農林業振興策についてお伺いいたします。
 このたび中国製冷凍ギョーザから有機燐系の殺虫剤が検出され、次々と中毒症状を起こしていた事実が明るみになりました。1カ月余り自治体や厚生労働省の連携はなく、公表もされなかった事実に、消費者には、食の安全・安心に対する疑いだけが残り、強い憤りを感じております。その後も、中国製輸入食品に関する報道が連日なされております。買い物をするたびに、食品が入っている袋の原産地表示を確かめることが第一となってしまいました。
 今回のような事件が起こってみると、その根本原因としては、国民の食料を外国製品に頼ってきたことが大きいと考えます。食料自給率39%の今、国民が安心できるレベルまで自給率を向上させることは相当難しいと思いますが、食料供給基地の本県として、自給率向上についてどのような認識をお持ちか、まず、その点についてお伺いいたします。
 1960年代には、我が国の食料自給率は79%と言われておりましたが、1970年代以降、外食産業の目覚ましい展開や各地に利用しやすいコンビニが数多くできたことなどに伴い、自給率の低下に拍車がかかってきました。消費者は、価格の安さ、便利さで、原産地に疑いを寄せることなく買い求めてきた現状であります。中国製ギョーザ問題で、改めて輸入食品が日本の食産業の多くを占めてきていることに驚き、食生活を見直す必要性を感じ入ったところであります。
 そこでお伺いいたしますが、今回の問題を受けて、県として、食料品の安全性確保を図る観点から、食品の製造・販売の過程におけるチェックについて、どのような取り組みをされていくお考えでしょうか、お伺いいたします。
 また、原産地の表示のない食品が店頭に並べられておりますが、すべての食品の原産地表示が行われれば、消費者はみずから判断ができます。消費者に不安を与えないためにも、国に対して、すべての食料品の表示を強く働きかけるべきものと思うのですが、御所見をお伺いいたします。
 岩手県内においても、問題を起こした冷凍ギョーザの回収があったようです。自主回収した企業18社はすべて、私たちが長い間、安全・安心な企業として頼りさえしていた大企業ばかりでした。学校給食にこれらの食品が利用されていないと確信しておりましたが、とても残念なことに、ジェイティフーズの回収商品とされた4品が含まれていたのです。昨年4月から11月に県内小学校19校で延べ48回、1万100食が出されていたことがわかり、食の安全が完全に失われている事実に愕然としてしまいました。
 地産地消を標榜する本県が、こんなことでいいのでしょうか。学校給食において、どんな材料がどんなルートで入荷して、子供たちの口に安全に入るのかチェックするべきと思われますが、御所見を伺います。
 また、県立病院における給食の県産食材の利用状況を見ますと、平成16年度から19年度まで、穀類はほぼ100%に近いのですが、大豆類、魚介類、野菜類と低い利用であり、特に野菜類は、4年前30.9%が今は26.2%と、地元野菜が豊富でありながら落ち込んでおりますが、その原因をお示しください。
 また、ある研修に参加した県内の社会福祉施設95施設中49施設より回答を得た結果は、県産食材利用割合、米約8割、野菜約4割、肉類約5割、水産物約3割と、まだまだ県産食材の利用促進が十分とは言えません。 安心・安全な三陸の海産物が、岩手の大地に根を張った元気な野菜が、安心・安全な食としてテーブルに並ぶよう、このたびの中国製ギョーザ問題を機にもう一度見つめ直すときであると考えます。
 今回の中毒事件を受け、中国製食品に不安を感じる人が94.2%、今後、中国製食品は利用しないという人が75.9%を占めていることが、全国電話世論調査でわかりました。中国製ギョーザの原因が究明されないときに、また、中国の工場で加工されたサバから殺虫剤が検出され、この冷凍サバは、全国のすし店などに販売されており、相次ぐ中国製冷凍食品への不安が募るばかりであります。
 けさの報道によりますと、19都道県の生協団体が、中国加工食品の販売中止を決定したようであります。
 このようなときだからこそ、本県の農林水産業振興策として、県内はもとより全国に対して、岩手ならではの安心・安全な食の売り込みを力強く行うべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
 農林水産業の振興施策を考えるとき、県民の安心・安全な食の確保の観点とともに、農林水産業の環境保全に果たす役割も必要であります。特にも、地球温暖化の防止が地球規模での課題となり、本年、北海道洞爺湖で開催されるサミットの主要テーマともなっていることを踏まえると、林業県としての本県が、率先して二酸化炭素吸収源としての森林を保全していくことが大切であると考えます。
 本県においては、平成18年度からいわて森林づくり県民税を導入し、森林の整備などを進めているところですが、その取り組みと成果についてお聞かせください。
 次に、福祉医療施策についてお伺いいたします。
 地域の人々にとり医療の充実が求められておりますが、特に全国的に医師不足の現状の中、救急病院を訪れても診療が受けられず、たらい回しの結果、とうとい命が失われている問題が後を絶ちません。一関の痛ましい事故より5年余り、万全な体制がとられているのか不安を隠せません。
 そこでお伺いいたしますが、県内の救急医療体制の状況はどうなっているのでしょうか。
 県内の医療機関の中で、特に産科医不足が深刻な問題となっております。九つの保健医療圏の状況を平成7年から平成18年までの12年間で調べてみますと、出生数は、気仙保健医療圏、釜石、宮古、久慈、二戸と、県北・沿岸地域が低い数値で示されております。そして、その原因は、医療機関数、医師数の少なさも関係しているとも考えられます。
 いわて希望創造プランの中には人口転出への歯どめも掲げておりますが、そうだとするならば、その地域の人口定着を図る上でも、安心して子供を産み育てる環境づくりこそが、最大の課題であると思われます。格差をなくすことは、まず医師確保を図り、安心して医療が受けられる地域を目指すことにあります。
 そこで、医師確保、特にも産婦人科医確保の状況はどのようになっているのでしょうか。取り組み成果と今後の見通しについて、知事の認識をお聞きいたします。
 先日の報道の中で、医療モールという聞きなれない言葉を耳にいたしました。これは、複数の医療機関を同じ敷地内に集合させて、個々の医師が開業する際に要する1億円余の費用負担を軽減させる仕組みでありました。土地・建物については借りることもあり、その分の浮いた費用を医療機器購入に向け、開業しやすくしてあげる仕組みであります。
 この医療モールは既に実施しているところがあり、住民からは、医療機関が1カ所に集まっているので、複数の診療科を受診する場合、医療機関から別の医療機関に行くのにとても便利であるとの意見が寄せられておりました。
 このように、医療モールは、医師にも住民にもメリットがあり、公立病院の医師の充足が難しく、勤務医の開業志向が高い現状においては、地域医療の充実のために、県として医療モールに対する支援を検討してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、子育て支援についてお伺いいたします。
 核家族の中、育児と仕事の両立に苦労している家庭が多くなっている昨今、子供がいつでも保育所に入所できることが望まれますが、県内の待機児童数の推移を見ますと、平成16年度から19年度まで、時期により数値に変動がありますが、平成19年10月時点では171人となっております。今後における待機児童解消に向けた対応をお示しください。
 また、時間外保育の希望も多い中での受け入れ体制は万全でしょうか。取り組み状況をお伺いいたします。
 次に、環境問題への取り組みについてお伺いいたします。
 地球温暖化の進展により、干ばつや洪水が頻発し、日本の農林水産業に大きな影響を与えるとの報告書を農林水産省農林水産技術会議がまとめております。地球の危機を今こそ救わなければならない状況の中、一人一人に何ができるのかの自覚を持ち、今から実践できることを始めていかなければなりません。
 国における温室効果ガスの削減目標は6%でありますが、本県は2010年までにCO28%削減を目指しております。家庭、地域、事業者の自主的な取り組み促進をするための対策事業費も措置されたようですが、いま一つ促進の速度が生ぬるい感がいたします。
 CO2の削減促進のためには、新エネルギーの導入なども含めて多面的に取り組む必要があると考えますが、県として特に力を入れていこうという気があるのでしょうか。この点について知事の認識をお伺いいたします。
 県内17市町村における地球温暖化対策の取り組みを見ますと、市町村によって取り組みの状況に差があるようです。県として一定の方向を示し、数値目標を設定させるなどの取り組みを支援していかなければ、CO2の8%削減の目標達成はほど遠い気がするのですが、いかがでしょうか。市町村の地球温暖化対策に関する県のお考えをお示しください。
 エネルギー問題、環境問題への対策として大いに期待できる木質ペレットの安定供給が、原油高の今だからこそ求められているはずです。県として何年も前からペレットストーブ普及を掲げてきておりますが、現在、目標数値に達しているのでしょうか。現状とそれに対する認識をお示しください。
 以前は、木質バイオマスのエネルギー利用推進のため、岩手型ペレットストーブ普及のセミナーなどが数回開催され、私も参加しておりましたが、近年はその取り組みも全くないようです。いつの間にかペレットストーブ1台につき5万円の補助も廃止されたようですが、余り成果の出ない事業だから廃止されたのでしょうか、その理由をお示しください。
 また、ペレットストーブ、ボイラーの今後の普及促進についてどのようにお考えでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 今後において、温暖化対策はもとより、原油高騰の折、石油代替エネルギーとして、ペレットストーブ、ペレットボイラー等の普及に力を入れていくべきものと考えます。そのためには、燃料となるペレットの安定供給が重要ですが、ペレットの原材料の供給が十分ではないという声も聞かれます。この点について、現状と今後の見通しをお伺いいたします。
 また、県が関係するペレットの原材料としては、松くい虫被害木、公共工事で発生する支障木、県管轄のダムでの流木、県有林の間伐材などが考えられますが、ペレットの原材料に関する情報を提供する体制をつくってはどうかと考えますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 今の状況は、ペレットをつくらせた、ストーブを売った、けれども、ペレットの原材料確保は自分で考えなさいと言っているようなもので、県の施策としては余りにも無責任ではないかと思われます。
 木質ペレットはカーボンニュートラルで、京都議定書ではゼロカウントであり、石油代替として普及することにより、岩手県のCO2削減8%の目標に実質的に寄与できる大きな柱の一つになると考えます。県として、今後、木質ペレットの普及をどのように促進していこうとしているのでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、教育施策についてお伺いいたします。
 人づくりの原点は教育であり、特にも幼児教育、低学年教育の充実が求められております。昨年、ネット社会の子育て原則、ネット・ケータイとどうつきあうかというテーマの講演を聞く機会がありました。小さい時期はネットに頼らず、人間対人間の教育の重要性が必要であると訴えておりました。友達と遊ぶことも会話もなく、ただただ無言でネットを操作する子供たち。思考力が完全に低下し、無反応な日々を送るのではないかと心配する声が聞かれました。
 ここ数年、世の中がどうかしてしまったのかと思われる凶悪犯罪が続発しております。命のとうとさを幼児期にしっかりと教え込むことがとても大事だと思います。
 そこでお伺いいたしますが、教育現場において、特に低学年の心をはぐくむ教育や道徳教育の状況をお聞かせください。
 岩手県においては、少人数学級推進の運動の取り組みの成果があり、小学校1・2年生の少人数学級が実現され、子供たちも落ちついた学習環境の中で授業を受けてまいりました。私の地元小学校2年生の場合、31人から32人の児童数でありますが、残念なことに、今年度、その子供たちが3年生になると学級減となり、39人から40人学級となってしまいます。担任の先生は、トイレに行く時間も限られ、昼食も立って食べる状況が報告されております。教師が生徒ともっと向き合う時間が求められているのに、現実は厳しい状況に置かれております。
 1月23日、30人学級を実現する岩手の会の方々と、教育委員会に対して要望活動をいたしました。胆沢第一小学校や姉体小学校の保護者の方々が地元で集会を持ち、要望活動をされたことが既に報道されておりましたが、その要望の当日も、涙まじりで教育長に訴えておりました。
 県の回答は、財政的に3年生以上は実現不可能な様子に見受けられたのですが、東北の中でも岩手県は一番おくれております。少人数学級による指導が、生活面だけでなく、学力向上の面にも関連しているのに、財政的な理由でこのまま何ら措置をとらないということでは、岩手の教育が立ちおくれるのではないかと危惧されますが、御所見をお示しください。
 次に、郷土の伝統・文化の伝承に対する教育についてでありますが、先日、地元の小学校2学年において、ミズキづくりが父兄・祖父母参加の中で行われました。ミズキに飾られる一つ一つの意味を教え、祖父母からは、昔の遊び、昔の食べ物、思い出について一人一人発表がありました。どの子も熱心に話に耳を傾け、聞いたことの感想を述べておりました。実際に親子・祖父母と一緒にミズキに飾りつけ、ほのぼのとした授業を味わってまいりました。これこそが、伝承文化を教えるために大事なことであると思いますが、県内における学校の取り組み状況をお示しください。
 学力向上を目指すことはもちろん大切でありますが、いま一度、読み・書き・そろばんの徹底をすべきと思うのですが、今、そろばん学習の実践をしている学校はあるのでしょうか。機械に向かい、すぐ答えを求めてしまうことより、そろばんによって養われた暗算力が、社会に出てどれほど助かるか、時代おくれと言えばそれまでですが、学習内容を文部科学省ばかりに頼らない、岩手らしさの教育を求めるものですが、教育長の御所見をお伺いいたします。
 最後に、地域における諸課題について何点か申し述べます。
 本県の4広域振興圏の一つである県南広域振興圏は、ものづくり産業の二次展開や平泉の文化遺産の世界遺産への登録に向けて取り組んでいるところでございます。本年7月に平泉の世界遺産登録が決定するとなると、県南振興圏にとりこの上ない喜びであり、平泉世界遺産登録に伴う周辺地域の観光道路整備も急務であります。
 例えば、奥州市黒石地区には創建されてから660年という由緒ある正法寺があり、カヤぶきの屋根は日本一と言われ、そのたたずまいは、石段を上って本堂を目にした人々に驚嘆を与えるほどであります。ポスター騒動で有名になった蘇民祭が行われた黒石寺もほど近いところであります。
 正法寺は、専門僧堂と言われ、若い修行僧たちの心身鍛練の禅の道場としても全国に名声高いお寺でもあります。全国から観光バスで訪れる人々が多い中で、お寺への進入道路は、景観を考えれば民家の中を通過する現在の道路ではなく、昔から利用されていた国道から入るルートを利用することを地元の方々は要望されておられます。
 この道路は、大型バスで通行するには一部整備が必要です。日本一を誇る歴史ある正法寺を観光の拠点として整備促進を望みますが、そのほかにも、世界遺産登録に伴う観光地の道路整備が必要と考えます。今後の見通しをお示しください。
 次に、中央コア型ロックフィルダムとして建設が昭和63年度から平成25年度完成に向けて進められている胆沢ダムに関連する事項についてお伺いいたします。
 約2、440億円余の全体事業費を要するこのダムも、我が国最大級として人々から完成が待たれるところであります。現在の進捗も約50%となり、地域に開かれたダムづくりとして現場見学会もたびたび開催され、人々も一度ならず訪れて工事の進捗に触れ、ダムに対する親しみの中、完成を願っているようであります。きのうも胆沢ダム環境保全検討委員会が地元水沢区で開催され、本年度の環境調査結果等も報告されております。
 そこでお伺いいたしますが、全国一とも言える環境に配慮したこの事業、完成を5年後に控え、完成後の地域活性化のために、工事に利用された跡地の活用策を県と奥州市が連携しながら検討していく必要があると考えますが、県として80ヘクタールに及ぶ跡地開発をどのように考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。
 その利活用によって、何よりも地域の活性化に結びつくと思われます。また、ダムから十文字に抜ける紅葉は、黒部峡谷に匹敵するほどのすぐれた景観で、観光の目玉として期待が大きいところであります。将来に希望の持てる前向きな答弁を求めます。
 最後に、国道397号にかかる小谷木橋かけかえについてお伺いいたします。
 この橋は、開通して54年もの歳月が流れ、その間、橋の一部陥没などで、補修工事や耐震強化工事等もなされてきました。橋の幅員が狭く大型車両の対面通行が不可能であります。この橋は、産業振興の位置づけとしても、四つの港湾を利用する上で大変重要な路線であり、地元羽田振興会より期成同盟会を立ち上げ、増田前知事、達増知事への2度の要望活動を実施しているところであります。また、常盤地域振興協議会からも新橋に対する要望も聞かれ、両者での話し合いも持たれたようであります。
 既に何年も前から都市計画においても新橋が検討されていただけに、一体どの位置にかかるのが妥当なのか不透明であります。将来の展望を見据えた新橋がどの位置に生まれ変わるのか、地元の人々にとって注視するところであります。もちろん、財政難の折、すぐに新橋がかかるとは思いませんが、現時点での見通しをお示しください。
 県内四つの振興圏が、それぞれの特性を生かし、力強くいつまでも地域の人々に愛されることを願いながら、私のこの場の質問を終わらせていただきます。
 御清聴いただきましてまことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 及川幸子議員の御質問にお答えいたします。
 まず、いわて希望創造プラン達成のための四つの重点課題への具体策についてでありますが、県民所得の向上については、産業振興に向けた取り組みを強力に推進することで本県経済の力強い成長を目指す考えであり、具体的には、自動車や半導体関連産業のより一層の集積促進に向けた重点的な支援や、平泉の世界遺産登録を契機とした観光産業の振興、さらには、高いクオリティーを有する本県農林水産業の販路拡大などに取り組んでいくものであります。
 雇用環境の改善については、特にも厳しい雇用環境にある県北・沿岸地域の雇用創出や公正な雇用の確保、さらには、若年者・障害者の就業促進に向けて取り組んでいく考えであり、具体的には、県北・沿岸地域の産業振興施策を強力に推進することなどによる雇用創出への支援や、労働、福祉、教育等の関係機関の連携による障害者の就業促進などを進めてまいります。
 人口転出への歯どめについては、特に若年層で割合が高くなっている人口の社会減に歯どめをかけるため、産業振興による雇用の場の創出に向けた取り組みをより一層強化するとともに、医師確保や子育て環境の整備により、若い世代が安心して暮らすことのできるセーフティネットの充実を図る考えであります。
 そして、地域医療の確保については、深刻化する医師不足や医療資源の地域偏在の解消に向けて取り組みを強化していくこととしており、具体的には、岩手医科大学の定員増に対応した奨学金制度の対象者の拡大や、県外に在住する医師の招聘活動、さらには女性医師の就業支援などに取り組んでいく考えであります。
 次に、無から有をつくり出す事業についてでありますが、厳しい行財政環境の中、経済的効果を高めるに当たっては、いわて希望創造プランに掲げた地域の総力を結集する地域経営の視点による取り組みが重要と認識しております。このため、県の予算事業としての取り組みだけではなく、例えば、産学官ネットワークによるものづくり人材育成の仕組みづくり、農林水産物など地域の資源を活用した新商品開発に対する国の資金の活用を、国・県等が協調して組成したいわて希望ファンドの運用益による起業・操業等に対する支援、県の人的資源や情報ネットワークを活用するいわゆるゼロ予算事業などにより、本県が有しているすぐれた人材やものづくりの土壌を生かした取り組みを官民挙げて進めていくことにより、新しい価値を創造していく所存であります。
 次に、平成20年度予算はどのような希望の種として県内各地にまかれるのかということについてですが、本県が置かれている現状を見ますと、長期にわたる県民所得の低迷、回復がおくれている雇用情勢、地域の医師不足などといった危機的状況に直面しているものと認識しております。しかし、一方には、本県には豊かな地域資源を活用した観光や集積が進むものづくり産業、高いクオリティーを持つ農林水産物といった危機を希望に変えていくことができる多くの可能性があると考えております。こうした中で編成した平成20年度当初予算においては、平泉の世界遺産登録を見据えて、観光面における効果等を全県に波及させる取り組み、北上市への半導体工場の進出を初めとした各圏域における産業集積に向けた取り組み、県北・沿岸圏域における地域特性を生かした農林水産物の産地形成と販路開拓などを進めることにより、全県に広く希望の種がまかれるものと考えております。
 次に、予算編成方式の見直しと事業の選択と集中についてでありますが、今回の予算編成に当たりましては、まず予算要求前の段階で事務事業の総点検を実施し、すべての事務事業をゼロベースで見直したところであります。
 予算編成方法については、各部局の新たな発想を引き出すために従来の部局枠を廃止し、要求上限を特に設けず所要額の要求を可能としつつ、政策的経費の全事業に私自身も目を通し、数度の調整段階を経て、財源の範囲内で事業を採択する方法を採用したところであります。
 予算編成過程においては、政策の優先度や事業の必要性、緊急性など、数度にわたり各部局長等と議論をしながら予算化を判断したところでありますが、この予算編成を通じて、改めて岩手の直面するさまざまな課題を再認識したところであり、こうした課題、中でも県民所得の向上、雇用環境の改善、人口流出の歯どめ、地域医療の確保を重点課題として予算を重点配分するなど、いわて希望創造プランに掲げる政策の実現に向け、一層の選択と集中に取り組んだところであります。
 次に、安定的な歳入確保に向けた国への働きかけについてでありますが、地方交付税総額の確保や地方税の偏在是正については、地方の総意として国に強く働きかけを行ってきた結果、平成20年度の地方財政対策においては、地方再生対策費という特別枠の創設などにより、地方一般財源総額が前年度以上に確保されるとともに、地方交付税についても、前年度を上回る額が確保される形で決着し、地方財源の確保について一定の前進が見られたところであります。
 しかしながら、それまでの間の大幅な地方交付税の削減の影響が非常に大きく、来年度以降も地方の危機的な財政状況の改善や地域間の財政格差の是正に向けて、国においてさらなる対応を行っていただく必要があると考えておりまして、地方が一体となってさらに強力に働きかけを進めていくよう、本県としても取り組んでまいりたいと思います。
 次に、安全・安心な食の売り込みについてでありますが、たび重なる食品表示の偽装や輸入食品の残留農薬問題等により、食に対する消費者の信頼が揺らいでいる中で、安全・安心を基本的価値に据えた品質の高い農林水産物を安定的に供給することが、本県農林水産業の重要な役割であると認識しております。
 このため、まず生産面では、本年1月に策定した岩手県環境と共生する産地づくり基本計画に基づき、安全・安心のトップブランドを目指した環境保全型農業の推進や生産工程管理の普及定着を図るほか、水産物の産地市場における衛生管理の徹底、さらにはトレーサビリティーシステムの拡大などにより、流通・加工段階とも連携した生産から食卓までの岩手らしい安全・安心な農林水産物の供給体制を構築してまいります。
 また、販路拡大の面では、私みずから首都圏の中央卸売市場や大手量販店等はもとより、マレーシアなど海外にも足を運び、岩手フェアの開催等を通じて、安全・安心で高品質な県産農林水産物の魅力を直接アピールし、市場や消費者の評価向上に努めているところであります。
 今後とも、安全・安心な産地ブランドの確立に向けて、消費者や量販店、外食事業者等へのきめ細やかな情報発信、民間ノウハウの活用や農林漁業関係団体等との連携による積極的なマーケティングの展開などにより、買うなら岩手のものと定評が得られるよう、一層の販路拡大に努めてまいります。
 次に、産科医の確保についてでありますが、全国的な医師不足や勤務環境の厳しさから、産婦人科医師の確保は容易でないと認識をしております。こうした中、平成18年の医師・歯科医師・薬剤師調査結果における産婦人科医師数の状況を見ますと、国全体では、平成16年から520名減少し1万74名となっていることに対し、本県では、平成16年の89名が平成18年には90名とほぼ横ばいの状況にございます。また、平成16年度からスタートした新たな医師臨床研修制度を修了した医師のうち、平成18年度、19年度の2年間で5名が産婦人科を選択し、県内の医療機関に所属しております。
 今後においても、医師確保対策アクションプラン等に基づき、こうした若い医師の養成確保及び県内への定着について取り組みをさらに促進するとともに、産婦人科医師の勤務環境を改善する観点から、産婦人科医師と助産師の役割分担と連携を図るための取り組みなどにより、産科医療体制の確保に努めてまいりたいと思います。
 次に、環境問題についてでありますが、まずCO2削減の取り組みについては、CO28%削減の目標を達成するためには、県民・事業者がそれぞれの役割を認識し、環境に配慮したライフスタイルへの変革や、事業所の社会的責任を踏まえた環境対策の取り組みなどが自主的に行われるよう、意識啓発を通じて働きかけていくことが重要と考えております。
 このため、県としては、環境学習交流センターを拠点として、環境学習の推進や活動事例の紹介などの普及啓発、さまざまな主体の活動に対する支援などに重点的に取り組むこととしております。また、これに加え、木質バイオマスの利活用による新エネルギーの導入促進や、間伐等の森林整備による吸収源対策等の本県の地域特性を生かした取り組みを行うなど、総合的な対策を進めていく考えであります。
 なお、平泉の文化遺産は、自然との共生という世界に発信できる価値を有しており、世界遺産登録の実現は、環境に対する県民の意識を高める契機にもなりますので、目標達成に向け、県民の理解と協力を得ながら、さらに取り組んでまいりたいと思います。
 次に、木質ペレットの普及促進についてでありますが、県といたしましては、地球温暖化防止などの観点から、地域に賦存する環境負荷の小さいバイオマスエネルギーの利活用を促進することとしており、これまで県単事業によりペレットストーブ等の普及を促進してきたところであります。
 また、木質ペレットの供給についても、利用者に対する割引クーポンの発行等により販売店の拡大に努めてきた結果、平成17年度の47店舗から、本年度は新たにホームセンターや宅配業者の参入により78店舗に増加し、県内全域での供給体制が整備されたところであります。
 今後とも、引き続き、ペレットの販売ネットワークの強化に取り組むとともに、ペレットストーブなどの普及促進や、本年2月に策定した木質資源利用ボイラー導入指針の普及等による産業利用の拡大、あるいは住宅関連産業を対象とした公開講座の開催などを通じて、木質ペレットの普及をさらに促進してまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部局長から答弁させますので御了承をお願いいたします。
   〔企画理事酒井俊巳君登壇〕
〇企画理事(酒井俊巳君) 新年度予算における世界遺産登録にかかわる主な取り組みについてでありますが、今年度からの継続事業である地域限定通訳案内士試験の実施や、広域観光案内板の設置等のほか、世界遺産登録を記念したイベントの開催等にかかわるものとして、平泉町など2市1町及び県、その他関係団体による実行委員会を立ち上げての記念行事の開催や、平泉を全国に紹介するため、仙台、東京、福岡での巡回展の開催等を予定しているところであります。
 また、誘客の促進に向けた広告宣伝の実施等にかかわるものとして、国内外での旅行博への出展や旅行エージェント・マスコミ等の招請事業、JRとタイアップしたミニDCとも言える誘客キャンペーンの展開等を予定しているところであります。
 さらに、本年7月からの1カ年をいわて平泉年として、平泉の世界遺産登録を契機として、本県岩手の魅力を丸ごと国内外に発信するための事業や、平泉の文化遺産のガイダンス機能の整備にかかわる平泉町への補助事業なども予定しているところであります。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) まず、東芝の新工場建設に向けた取り組みについてでありますが、平成20年度予算では、工業用水供給施設の設計費に係る予算を計上しているところであり、今後、東北電力や北上市と密接に連携しながら、電力施設を初め必要なインフラ整備を進めてまいる考えであります。また、東芝側のスケジュールに沿った工事着工や操業ができるよう、工場の建設や操業に必要な各種の行政手続等につきましても、北上市と協調して最大限の協力を行ってまいります。
 さらに、この3月には、半導体関連産業の協議会を設立し、産学官のネットワークづくりに取り組むこととしており、平成20年度予算におきましても、協議会が中心となって企業間の連携促進、県内外の関連企業の取引情報の収集・あっせん等に係る事業費を計上し、東芝を初めとする誘致企業や地元企業との技術交流、取引拡大を支援してまいる考えであります。
 次に、ペレットストーブの普及状況等についてでありますが、ペレットストーブの普及につきましては、平成16年3月に策定したいわて木質バイオマスエネルギー利用拡大プラン第1ステージにおける平成18年度末の目標値を2、092台と設定し普及に努めたところでありますが、普及台数は996台にとどまったことから、現在は同プラン第2ステージの目標値として、平成22年度末までに2、000台と再設定したものであります。現時点の普及状況はおよそ1、100台となっていることから、今後とも継続して普及促進に取り組んでまいる考えであります。
 ペレットストーブ導入に対する補助は、普及奨励として平成16年度から一般家庭─これは事業所を含んでおりますが、また、公共施設での導入を対象に実施してきたところでありますが、今年度末で4年を経過することから見直すこととし、平成20年度はペレットストーブが多数の方の目に触れ、さらなる導入の契機となることが期待できる市町村の公共施設などを対象として、補助を継続することとしたところであります。
 今後の普及促進に当たりましては、ストーブの低価格化やデザイン等の改良、また、ペレット燃料の流通などの課題に適切に対応し、消費者がペレットストーブを購入しやすい環境の整備に取り組む必要があると考えております。
 また、ペレットボイラーにつきましては、現在、県内の公共施設等に41基が導入されているところであり、重油と比較してもコストメリットがあることから、今後、導入に当たり必要な情報を産業界等に積極的に提供しながら、普及に努めてまいる考えであります。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、食料自給率の向上についてでございますが、本県の食料自給率は、平成17年度で103%と全国第5位となっておりますが、議員御指摘のとおり、食の安全・安心に対する消費者ニーズが一層高まっている一方、供給面でも、世界的な食料需要の増大やバイオエタノールの生産拡大などによる穀物需給の逼迫から、国際的な食料需給が将来的に不安定になると見込まれており、日本の食を守るための本県の役割はますます大きくなっております。
 このため、今般策定いたしましたいわて希望創造プランに基づき、生産面では、需要に即した安全・安心で高品質な食料を安定的に供給できる産地づくりや、飼料作物の生産拡大、消費面では、食育活動による米の消費拡大や地産地消の促進による県産農林水産物の利用拡大等に取り組み、日本の食を守る食料供給基地岩手を確立してまいりたいと考えております。
 次に、いわての森林づくり県民税の取り組みと成果についてでありますが、管理が不十分な森林を公益的機能の高い針広混交林に誘導するいわて環境の森整備事業につきましては、公益上重要で特に緊急に整備が必要な森林2万6、000ヘクタールの約1割に当たる森林をこの2カ年間で確保し、整備を進めているところであり、外部有識者等で構成する事業評価委員会からは、放置されている森林の整備に十分効果があるといった評価をいただいているところでございます。
 また、地域住民による森林づくり活動を支援する県民参加の森林づくり促進事業につきましては、この2カ年間で延べ29団体の活動を支援いたしておりまして、特に今年度は、昨年度の3倍に当たる延べ3、000人余の参加が見込まれているところでございまして、森林環境の保全に対する県民の理解と参画が着実に進んでいるところでございます。
 次に、木質ペレットの原材料供給の状況についてでございますが、本年度のペレットの生産見込みは、昨年度と比べ2割増の約2、800トンとなっておりますが、この原料別の内訳は、木材加工の製造過程で発生する樹皮や製材端材等が9割、土木工事等で発生する支障木等が1割となっております。
 今後の原料確保の見通しにつきましては、製材端材等の確保には問題がないと見込まれるものの、工事支障木等については、公共事業の減少などにより、その調達が不安定になっていると聞いております。
 次に、県が関係する木質ペレット原材料の情報提供についてでありますが、県といたしましては、これまでも原料の安定的な確保に向けて関係企業等との意見交換を行うとともに、原料確保の相談に応じてきたところでございます。今後、原油価格の高騰などに伴い木質ペレット等の利用拡大が見込まれますことから、ペレット原料の安定供給の確保に向け、関係部局との連携による工事支障木等の情報提供や森林所有者の協力による間伐実施林の情報提供など、民間企業や関係団体等と一体となって、未利用木質資源をバイオマス燃料として有効に活用できるような体制について検討してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 食品の製造・販売の過程におけるチェックについてでございますが、県では、毎年度食品衛生監視指導計画を策定しておりまして、各保健所が中心となり、監視指導を実施しているところでございます。
 具体的には、各保健所に獣医師や薬剤師などの資格を有します食品衛生監視員を配置しておりまして、食品製造施設への定期もしくは不定期の立入検査等により、施設の構造設備や衛生管理の状況、食品の表示等についてチェックしているところでございます。また、輸入食品を含みます県内流通食品につきましては、県の環境保健研究センターにおきまして、残留農薬や食品添加物、細菌などの検査を実施しております。さらに、営業者の自主的な取り組みを支援するために、食品の製造過程におけるすぐれた安全管理手法でございますHACCPシステムの考え方に基づいた衛生管理手法でありますいわゆる岩手版HACCPの普及に努めております。
 今後とも、食品の安全性を確保するため、施設の監視指導や食品の検査体制の充実強化、岩手版HACCPの普及による自主管理のさらなる推進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県内の救急医療体制についてでございますが、県内の救急医療体制は、比較的軽症な患者の診療を受け持つ初期救急医療体制から、手術や入院が必要な患者の治療に当たる第2次救急医療体制、重篤救急患者の医療を担う第3次の救急医療体制までに至る総合的・体系的な整備を図ってきたところでございます。
 最近の救急病院等の状況を見ますと、平成16年4月1日現在で60施設ございましたものが、医師不足等による救急業務の縮小によりまして、平成20年2月1日現在では57施設と4施設減少しております。このような中、県内の救急医療の中核を担う県立病院では、循環器科を初めとする医師不足が深刻化していることによりまして、救急業務の対応が困難となっているといったような現状もございます。一方で、夜間や休日等に受診する救急患者の多くが地域の中核的な病院に集中している現状にもございまして、重症救急患者等への救急医療の提供に支障を来すだけではなく、当直等を行う勤務医の業務の負担ともなっているところでございます。平成18年度に県立病院─これは精神科病院を除きますが、県立病院を受診した救急患者18万360人のうち14万7、896人、82%が入院の必要のない軽症者となっていたところでございます。
 県といたしましては、引き続き医師の確保を図りながら救急医療体制の充実に努めるとともに、県民に対し症状や医療機関の機能に応じた適切な受診となるよう、必要な情報提供と啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、医療モールについてでございますが、医療モールは、都市部を中心に民間資本がコンサルティング会社を活用するなどして、立地条件や患者数の予測等の調査を綿密に行った上で導入を進めているものと認識しております。この医療モールを本県に導入するとした場合、例えば人口の少ない医師不足の地域で成り立つ仕組みなのかどうか、また一方で、ある程度の人口を有する地域に導入した場合には、勤務医の開業を促進するといったこともあるのではないか、その結果として、中核となる病院の診療機能の低下につながるのではないかといったような懸念もあるところでございます。こうしたことから、現時点では、医療モールに対する支援を行うというよりも、医師の養成・確保に努め、公立病院等において地域医療を担う医師の充実、すなわち勤務医の充実を図っていくということに力を注いでまいりたいと考えております。
 次に、待機児童の解消でございますが、先ほど議員からも御指摘ありましたとおり、平成19年10月時点での保育所の待機児童は6市町村で171人となっておりまして、盛岡市など特定の市町村に集中している実態にございます。県としては、これらの市町村に対しまして待機児童解消計画の策定、提出をお願いしておりまして、各市町村の実情に応じまして施設の新築や増改築、定員の見直し、分園の設置、認定こども園の導入などの具体的な取り組みを支援しているところでございます。また、こうした取り組みに加え、平成20年度からは、家庭的保育いわゆる保育ママ事業の県内市町村での取り組みを支援することとしておりまして、今後とも、市町村の待機児童解消のための取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 時間外保育についてでございますが、18年度の実施状況は、通常の開所時間を超えて、おおむね午後の7時あるいは8時までサービスを提供します延長保育が31市町村の226保育所、全体の保育所に対しまして実施率が65.3%となっております。保護者の勤務により日曜日、祝日に保育する休日保育が、13市町村で35保育所、同じく10.1%となっておりますが、こうした実施の状況でございまして、両保育とも、実施保育所数、受け入れ態勢は年々増加傾向にございます。県では、平成17年3月に策定したいわて子どもプランで、平成21年度までの拡大目標を掲げておりまして、平成18年度までの進捗状況は、目標達成度で見た場合、延長保育は21.7%、休日保育は52.0%となっております。
 県としては、子育て世帯のニーズに対応したきめ細やかな保育サービスが県内各地において提供されるよう市町村に支援を行うなど、今後とも、いわて子どもプランの推進を図ってまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) まず、食品の原産地表示についてでありますが、食品表示の偽装事件の多発などを受け、国民生活審議会では、現在、食品表示に関する関係法令の一本化や真に消費者の選択に資する表示制度のあり方などについて、今年度末を目途に検討を進めております。
 この中では、加工食品を含めたすべての原材料の原産地を表示すべきという意見がある一方で、季節要因により調達先を変更した場合の表示変更の徹底の難しさやコストの問題、表示項目がふえることにより逆に消費者が混乱するおそれ、表示を徹底するとした場合にあっても香辛料等の少ない原材料まで行うべきかといった表示範囲の問題など、幅広い議論がなされているところであります。
 県といたしましては、現段階では、このような国の動きなどを注視しながら、今後の対応について検討してまいりたいと考えております。
 次に、市町村の地球温暖化対策についてでありますが、県が目標とするCO28%削減を達成するためには、住民に身近な市町村の役割は重要であると考えておりますが、市町村ごとのCO2排出量の把握が難しいことや広域的な取り組みが求められることなどから、取り組みに差が生じているものと考えております。
 このため、県といたしましては、市町村単位で地域の実情に応じたCO2削減の取り組みを地域ぐるみで行う協議会の設立に重点的に取り組むこととして、現在、10市町村に設立されておりますが、平成22年度までに全市町村への設立を目指して市町村を支援していく考えであります。
 また、あわせて、市町村に対して産業まつりなどのイベントへの環境学習広報車を活用した出前講座や活動を支援する推進員の派遣、職員を対象とした研修会の開催などを行うことによりまして、地域に密着した活動が地域で展開されていくよう、市町村との連携を強めながら取り組んでいく考えであります。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕
〇医療局長(法貴敬君) 県立病院における野菜類等の県産食材の利用状況が落ち込んでいる原因についてでありますが、病院の食事は、一般食及び特別治療食を合わせて1食当たり50種類にも上り、量、食形態、嗜好等にも配慮しながら提供しているところでありますが、近年の入院患者への個々の対応はますます増加傾向にあり、より細やかな食事の提供が求められていることから、調理時間、作業等の短縮など、業務の効率化のためには、あらかじめ下処理されている食材の利用を多くせざるを得ない状況にあります。
 野菜・魚介類等の生鮮食料品の購入に当たっては、県産食材の指定を行っているものもありますが、県産食材においては、カット野菜等、下処理された食材では予定した量・種類が対応できない場合もあり、安定供給ができる県産食材以外の食材の利用が多くなっているのが大きな原因と考えております。
 また、診療報酬上定められた診療単価の範囲内で食材を購入する必要もあり、限られた食材単価のもとでは、市場実勢価格上、県産食材をなかなか手に入れることが難しいことも一つの要因になっております。
 いずれにしましても、可能な限り県産食材の利用に努めてまいりたいと考えています。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 平泉世界遺産登録に伴う周辺地域の観光道路整備についてでございますが、奥州市黒石地区にある正法寺への国道343号から進入する道路は、全長約1.1キロメートルの奥州市道でございまして、お尋ねがございました南側からの進入道路は、約400メートルが幅員4メートル程度の1車線道路で、大型バスのすれ違いが困難となっております。
 この区間は、がけ地と正法寺川に挟まれ地形条件が厳しく、奥州市では相当の経費と難工事が予想されるとして、当面、抜本的な改良工事は困難との考えと聞いてございます。
 今後、奥州市から整備の意向が示されれば、県としても技術的助言等を行ってまいりたいと考えております。
 また、県の周辺道路整備といたしましては、昨年8月に都市計画道路毛越寺線の整備が完成したところであり、今後も平泉の文化遺産活用推進アクションプランを踏まえ、より円滑な交通の確保のため、国道342号厳美バイパスなどの整備を進めてまいります。
 次に、胆沢ダムに関してでございますが、胆沢ダム下流の堤体材料採取地や仮置き場などの工事用地は、国が民有地を借地し使用しているものでございまして、工事完了後は所有者に返す予定と聞いております。
 これらの跡地利用につきましては、地域の皆様による胆沢ダム周辺整備のあり方に関する研究会が設立され、胆沢ダム周辺整備構想(案)が取りまとめられ、胆沢ダム工事事務所及び奥州市に報告されたと伺っております。この報告を受け奥州市では、今後、本格的にダム周辺整備について検討を行うと聞いておりまして、県といたしましては、これらの動きを見守ってまいりたいと考えてございます。
 次に、小谷木橋のかけかえについてでありますが、小谷木橋は、幅員が狭いため大型車のすれ違いが困難であること、老朽化が進んでいることから、将来かけかえが必要であると考えております。
 一方、地元には、その約1キロメートル上流に東北新幹線水沢江刺駅と中心市街地を結ぶ、いわゆる東西線新橋を建設する構想もございまして、奥州市からも、この二つの橋の整備について要望を受けているところであります。
 県として、どの位置に橋をかけるか、つまり小谷木橋のかけかえか新橋建設かということにつきましては、費用対効果などの検討に、国道397号の沿道土地利用状況や地元のまちづくりへの考えなどの視点も加えて、総合的に判断する必要があると考えております。
 現在、奥州市では、架橋の位置について地域住民と合意形成を図りつつあるとお聞きしており、今後とも地元の方々や関係機関と十分意見交換を行いながら、さまざまな角度から検討を重ねてまいりたいと考えております。
   〔教育長相澤徹君登壇〕
〇教育長(相澤徹君) まず、学校給食の材料のチェックについてであります。
 まず、食材の納入業者については、鮮度や品質がよくて安全で必要量が円滑に供給できるなど、信頼できる業者を選定しており、本県においては、岩手県学校給食会、地元の農協や小売店、農産物直売所などから納入されております。
 また、各給食施設における食材選定については、栄養成分、産地、製造過程における衛生管理等を踏まえながら、味や価格、安全性等を総合的に勘案し、専門家である栄養教諭等が十分協議の上、選定しております。
 さらに、文部科学省で定めている学校給食衛生管理の基準に基づき、食材納入時の品質・鮮度等の点検を行い、また校長等が事前に試食をし、異常の有無について確認した上で、安全な給食の提供を行っております。
 今回のような輸入食品に係る食中毒事件を踏まえ、文部科学省が、今申し上げました学校給食衛生管理の基準の改正を検討することとしており、その改正内容を踏まえ、安全対策を一層徹底してまいりたいと考えています。
 また、同時に食育の観点からも、地場産品のより一層の活用について市町村教育委員会に要請をしてまいります。
 次に、心をはぐくむ教育についてでありますが、現代における社会の規範意識の低下、ネット社会の影響、家庭や地域の教育力の低下など、この間の社会的な環境の大きな変化に伴い、人間関係を取り結ぶ能力の低下や忍耐力の低下、心身のゆとりの喪失など、子供たちの心身にも大きな変容が生じてきております。
 このような状況のもと、生命の尊重や規範意識、社会性など、人間としての生き方の基盤とも言うべき心の教育は、とりわけ重要なものと考えております。
 小学校低学年では、例えば動植物の飼育・栽培の活動を通して生き物への親しみを持ち、命あるものとのかかわりについて学ぶ学習、身の回りの具体的な出来事をもとに、物事のよしあしの判断や基本的な生活のルールを身につける学習、自分たちの通学の安全を確保してくれるスクールガードなど地域の方々との交流活動などを通して、家族や地域の人々に支えられて生きていることを学ぶ学習など、さまざまな取り組みを行っております。
 このような子供たちの豊かな心をはぐくむことは、人間形成の最も基盤となるものであり、学校だけではなく、家庭や地域においてもしっかり取り組んでいくことが必要であることから、学校と家庭、地域との連携について十分に力を注いでまいります。
 次に、少人数学級についてでありますが、小学校低学年においては、集団生活への適応が大きな課題であることから、少人数学級を導入してきたところであります。
 今後の方向性については、県財政が厳しさを増す中において、どう岩手の教育の質を高めていくかという観点から検討作業を進めてきたところですが、現時点では、大きく分けて次の三つの視点のいずれかを選択していくことが必要ではないかと考えております。
 一つは、小学校中学年あるいは中学校1年生における少人数学級の導入、もう一つは、小学校中学年以降においては習熟の程度に応じた指導など、少人数指導に重点を置いていく、三つ目には、市町村や学校が子供たちの実情を踏まえて、少人数学級と少人数指導を選択できるようにしていく。
 このような選択肢の中でいずれを選ぶかについては、限りのある教育資源のもとで今後の岩手の教育の方向性を定めていく極めて重要なことであり、市町村教育委員会や小・中学校長会等と十分に議論を深め、間違いのない選択をしていかなければならないと考えております。
 なお、平成20年度中には結論を出す方向で作業を進めてまいります。
 次に、伝承文化の取り組みについてでありますが、県内小・中学校において、教育課程の中に地域の伝統文化学習を取り入れている学校は、小学校では約8割、中学校では約6割となっております。
 具体的には、地域からの指導者を招聘し、神楽、盆踊り、田植え踊り、さんさ踊り、剣舞、伝統太鼓等の継承活動など、それぞれの地域に根差した取り組みを行っております。
 また、単に活動を継承するということだけではなく、その取り組みの過程において、伝統文化に込められた思いや意味合いなど、それぞれの地域の人々の生き方を学ぶ貴重な機会となっております。
 今後とも、岩手の人間形成という視点に立って、郷土を愛し、郷土の文化を大切にする児童生徒を育成してまいります。
 次に、そろばん教育についてでありますが、そろばん学習については、そろばんによる数のあらわし方について知り、そろばんを用いて簡単な足し算や引き算の計算ができるようにすることを目的として行われております。この学習は、数の繰り上がりや繰り下がりの理解を助けるものであり、単に知識の伝達ではなく、具体物を用い、五感を使いながら計算方法を実感できる有効な学習として、学習指導要領に基づいて、小学校第3学年の学習内容に位置づけ、すべての小学校で授業実践を行っております。
 今後とも、こういった手ざわり感のある教育というものを大切にしていかなければならないと考えております。
〇40番(及川幸子君) それぞれ質問に対する答弁をいただきましてありがとうございます。何点か再質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず1点、医療モールについてですが、内容については理解しているんですが、これは実際、県内で釜石市などで医療モールに類似例があり、私も視察しております。大変地域医療に貢献しているということで喜ばれているところでございます。
 やはり、中心市街地の活性化ということにおいては、空きビルなどを活用した方策もあると思うのですが、一遍に結論をそういうふうに出されると、民間の病院を開業する人が多くなるという懸念もあるようですが、地域住民にとっては医療が充実できればいいのでありますから、もう一度これを答弁いただきたいと思います。
 次に、木質ペレットの原料供給についてでありますが、一定の答弁はいただいており、希望が持たれるのかどうかなというところでは、ちょっと疑問に思うところがあります。
 県内ペレット工場4社の方々、葛巻、気仙、紫波、胆沢と4社があるわけですが、民主・県民会議会派で意見交換会をこの間実施したところでありますが、実情は本当に大変だということでございまして、原材料の調達はとても困難であることが訴えられておりました。
 4社での現在の生産量の合計は2、900トンであります。これは、県当局でも既におわかりだと思いますが、県が掲げた2010年度の目標は4、900トンで2、000トン多いでしょうか。実際問題、今までの取り組みですと全く供給不可能だと思われます。
 県としてペレット供給量増加のために原材料の誘導策を求めていかなければならないと真剣に考えるところから、今まで県として、木質ペレット普及促進に投入した分を無駄にしないためにも、何とか誘導策を考えていただきたいと思うところから再質問させていただきました。
 そこで、誘導策として、一つ目、公共工事で発生したペレットになり得る産業廃棄物は、ペレット原料へ供給できる処理業者へ優先に指定すること。二つ目、松くい虫は出されておりませんでしたが、これは私、松くい虫についても前から質問をしているところでございます。松くい虫被害木は、現場で破砕処理を行うことができないか。それから、三つ目、間伐材の搬出、破砕、そういう経費に森林税を充てることはできないかというこの3点を、もう一度これらの点について御答弁いただきたいと思います。
 それから知事にお伺いいたしますが、知事就任後、積極的に県内各地、県民の声を聞くためにその長い足を運んでいらっしゃることに敬意を表するところでございます。心から感謝申し上げますが、知事は、いまだペレット生産工場の現場においでになっていないようですね。世界規模で地球温暖化対策が叫ばれているときに、知事が率先して、地球の危機を救うのは岩手だ、ぐらいの気構えを持って進むべきと思います。
 先日、江刺のサンエー─スーパーですが、日本初のペレットボイラー導入を打ち出しまして、これが大変マスコミで騒がれております。知事、どうでしょうか、地球温暖化に対する力強いお考えをもう一度お示しいただきたいと思います。
 次に、少人数学級に向けた取り組みについてでありますが、3点ほど選択肢の中身をお話しされました。間違いのない選択をしていくということで、近々この結論を出されるようですが、本日も傍聴にはその当事者のお母さん方が見えております。この間も要望の中で本当に涙を流しながら訴えておりました。本当の教育がどうあるべきか、子供たちの本当の姿がどうあるべきか、そのことを訴えていたようです。
 少人数学級を1、2年に導入した結果、多くの成果が上げられておることは教育長も御存じのことだと思っております。ならば、やはりいいことは実践していかなければならないと思っております。
 お金がないというのは、全く私もわかっております。しかしながら、岩手の教育は、お金がないでは語れません。どうでしょうか、県だけの負担、市町村だけの負担だけでは、今後検討するだけにとどまりますが、両者で一緒に、学校側と市町村と県と一体となって、やはり各地域によってはいろいろ温度差があると思いますので、どうかこれから早急にこの連携をとった話し合いを望みますが、いかがでしょうか。
 少人数指導ということや、またチームティーチング、いろいろ方向づけもおありのようですが、少人数指導はなかなか教科が偏り過ぎて、お母さんたちには余りいいような感が持たれていないようでございます。文部科学省のほうも、現場の先生方が子供たちと向き合うことをこれから求めていくということも掲げておりますので、もう一度教育長の御答弁をお願いいたします。
〇知事(達増拓也君) ペレットストーブは、実は知事室にも置いてございまして、この冬も寒いときに使ったりいたしまして、大変便利で、また地球温暖化防止に他の暖房にかわって使うということで役立っている、そういう気持ちにもなることができて、二重に暖まることができる大変すばらしいものだと思っております。
 先ほど、平泉が自然との共生という価値を実現していたということを述べましたけれども、これは、突然変異的にそういう都ができたわけではなく、それ以前から、縄文以来、岩手は、そういう自然との共生ということをやってきたところであり、そして、今もその自然を大切にしたいという県民の気持ちというのは、これはもう全国有数、世界に誇れるものであると思っておりますので、その県民の心を地球温暖化対策という実践に、知事も先頭に立ってしっかり移していきたいと思います。
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 釜石の医療モールにつきましては、私も拝見させていただいておりまして、病院の統廃合といった地域医療の再編の中で、少しでも地域に外来機能を残していこうといった考え方の中で取り組まれたものと考えております。もともと市民病院という病院があったところに、外来機能を残そうとしたということではないかと考えております。
 一般的に申し上げまして、身近に医療機関があるというのは非常に大事なことであろうとは思いますが、行政がそういった施設の整備、あるいは整備の支援をするといった場合には、地域に必要な診療科の設置とか、救急医療への対応をどうするか、入院施設の確保といったことも含めて地域医療全体の問題として十分に検討していかなければならないと考えております。
 先ほど御答弁申し上げましたおり、医療モールの導入といったものが勤務医の開業促進といった側面も、これは否定できないところでございまして、岩手のような勤務医が不足している地域においては、そのことが中核となる病院の診療機能の低下に直接つながる可能性もあると考えております。民間が取り組みを進めるといったことにつきましては、私ども否定するものではございませんし、妨げるものではありませんけれども、行政として、いわゆる勤務医不足の中で、医療モールの整備に支援するといったことについては、相当慎重な対応が求められるのではないか、このように考えております。
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 木質ペレットの原料確保に関連して3点御提案をいただきました。
 まず、1点目の公共支障木の関係についてでございます。
 この公共支障木でございますが、基本的には、県が森林所有者に工事の支障となる立木を金銭的に補償するものでございまして、その伐採は、森林所有者が行うことが原則となっているものでございます。したがいまして、県は、その支障木の利用に関与できるものではございませんが、先ほどお答え申し上げました総合的な情報提供体制の検討の中で、公共工事に係る関係部局と連携を図りながら、関係企業に情報提供することについて検討してまいりたいと考えております。
 次に、2点目でございますが、松くい虫被害木の現地での破砕処理についてでございます。
 県では、今年度から新たに実施しております松くい虫感染源クリーンアップ実証事業の中で、2カ年間の計画でございますけれども、被害木のチップ化のシステムづくりについて検討いたしております。この検討の中で、チップ化の条件等を検証いたしているところでございまして、その中で、具体的な御提案があった内容についても検討を行ってまいりたいと考えております。
 それから、3点目でございますが、県民税の活用の関係でございます。
 この岩手の森林づくり県民税につきましては、森林環境の保全を目的として、公益上重要な森林の針広混交林への誘導等、間伐を行う経費として、県民の皆様から御理解をいただいて御負担をいただいているところでございます。御提言のような使途が県民税の趣旨に沿うものであるかどうか、県民の皆様を初め、外部有識者で構成する事業評価委員会等で十分な議論が必要と考えておるところでございます。
〇教育長(相澤徹君) 少人数学級についてお答えいたしたいと思います。
 県と市町村が協調して少人数学級を実現してはどうかという御提案だと思いますけれども、大変大きな、有力な選択肢だと考えております。
 ただ、一つだけ懸念があるとすれば、市町村いろいろ考え方がそれぞれ違う、あるいは財政力も違うといったようなことがありまして、あるまちは35人学級、隣のまちは40人というようなことになりますと、いろいろ保護者の方々からも不信感が生まれる可能性もあると思います。
 そういったこともすべて念頭に置きながら、どういう合意づくりができるか、先ほど申し上げました三つの選択肢も含めて、県教育委員会が責任を持つ形でしっかり議論をしてまいりたい、こういうふうに考えております。とりわけ市町村教育委員会との議論は十分に行ってまいりたいと思います。限りある教育資源、どういうふうに使えるか、すべてデータもオープンにいたしまして、しっかり議論してまいりたいと思います。
〇40番(及川幸子君) ありがとうございます。教育長、実は、校長先生方にも大分お話を伺っていると聞いておりますが、やはり校長先生とか先生に、教育委員会でお話を伺う場合は、大変ハードルが高いと思います、壁も厚いと思います。本音が十分聞かれないと思いますので、どうぞ、関係者がたくさんおりますので、本音のところを今後は十分に聞かれて、いい対策をとっていただくように切願して質問を終わります。
 ありがとうございます。
〇議長(渡辺幸貫君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時32分 休 憩
出席議員(46名)
1番  木 村 幸 弘 君
2番  久 保 孝 喜 君
3番  小 西 和 子 君
4番  工 藤 勝 博 君
5番  岩 渕   誠 君
6番  郷右近   浩 君
7番  高 橋   元 君
8番  喜 多 正 敏 君
9番  高 橋 昌 造 君
10番  菅 原 一 敏 君
11番  小野寺 有 一 君
12番  熊 谷   泉 君
14番  高 橋 博 之 君
15番  亀卦川 富 夫 君
16番  中 平   均 君
17番  五日市   王 君
18番  関 根 敏 伸 君
19番  三 浦 陽 子 君
20番  小田島 峰 雄 君
21番  高 橋 比奈子 君
22番  高 橋 雪 文 君
23番  嵯 峨 壱 朗 君
24番  及 川 あつし 君
25番  飯 澤   匡 君
26番  田 村   誠 君
27番  大 宮 惇 幸 君
28番  千 葉 康一郎 君
29番  新居田 弘 文 君
30番  工 藤 大 輔 君
31番  佐々木 順 一 君
32番  佐々木   博 君
33番  工 藤 勝 子 君
34番  平 沼   健 君
35番  樋 下 正 信 君
36番  柳 村 岩 見 君
37番  阿 部 富 雄 君
38番  斉 藤   信 君
39番  吉 田 洋 治 君
40番  及 川 幸 子 君
41番  佐々木 一 榮 君
42番  伊 藤 勢 至 君
44番  小野寺 研 一 君
45番  千 葉   伝 君
46番  佐々木 大 和 君
47番  菊 池   勲 君
48番  小野寺   好 君
欠席議員(1名)
43番  渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時46分 再開
〇副議長(佐々木大和君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。高橋雪文君。
   〔22番高橋雪文君登壇〕(拍手)

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