平成17年12月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

平成17年11月7日(月曜日)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事課長 駿 河   勉
議事課長補佐 千 田 利 之
主任主査 保 原 良 和
主査 小 船   進
主査 福 田 清 喜
主査 佐々木 ユ カ
主査 渡 辺 謙 一
主査 安 藤 知 行
1説明員
農林水産部長 今 泉 敏 朗
農林水産部技監 千 田   勉
農林水産企画室長 瀬 川   純
農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 田 山   清
林務担当技監兼林業振興課総括課長 千 田 壽 光
農林水産企画室特命参事 大 谷 陽一郎
農林水産企画室特命参事 東大野 潤 一
農林水産企画室企画担当課長 杉 原 永 康
農林水産企画室管理担当課長 小 原 敏 文
団体指導課総括課長 工 藤 孝 男
指導検査担当課長 平 澤 政 敏
流通課総括課長 佐々木 和 博
農業振興課総括課長 及 川 傳 弘
経営体育成担当課長 幅 下 順 一
農業普及技術課総括課長 阿 部 郁 夫
農村建設課総括課長 須 藤 勝 夫
農産園芸課総括課長 齋 藤   恭
水田農業担当課長 山 田   亙
畜産課総括課長 樋 澤 正 志
振興・衛生担当課長 三 浦 牧 夫
緑化推進課総括課長 西 村 和 明
緑化育成担当課長 関 口 一 昭
緑化推進課特命参事 藤 沼 豊 頼
森林保全課総括課長 千 田 育 郎
水産振興課総括課長 大 森 正 明
漁業調整担当課長 井ノ口 伸 幸
漁港漁村課総括課長 佐々木   敦
警察本部長 山 内 正 和
警務部長 山 手 康 男
生活安全部長 小川口   博
刑事部長 吉 村   浩
交通部長 小野寺 英 一
警備部長 細 田 敬 一
警務部参事官兼首席監察官 菊 地 啓 一
警務部参事官兼警務課長 小 舘 欣 康
生活安全部参事官兼生活安全企画課長 齋 藤 忠 利
生活安全部参事官兼地域課長 中 本 俊 彦
刑事部参事官兼刑事企画課長 船 野   透
交通部参事官兼交通企画課長 及 川 正 文
警備部参事官兼公安課長 渡 辺 一 好
総務課長 吉 田 尚 邦
会計課長 元 吉 尚 登
出納長 上 村 俊 一
副出納長兼出納局長 千 葉 英 寛
出納課総括課長 大 森 芳 美
監査委員 一 戸 克 夫
監査委員 谷 地 信 子
監査委員事務局長 武 田 牧 雄
総務課長 渡 邉 和 男
監査課長 大 森 勝 雄
予算調製課総括課長 菅 野 洋 樹
〇佐々木博委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成16年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第12号平成16年度岩手県県民ゴルフ場事業特別会計決算まで、決算15件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部、警察本部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇今泉農林水産部長 農林水産部関係の平成16年度の決算について御説明申し上げます。
 なお、平成17年度からの公共事業の一元化によりまして移管された事務事業、これは道路整備、汚水処理、海岸整備の各分野でございますが、これが県土整備部に移管されてございます。この移管された事務事業につきましては、現在所管している部局から御説明申し上げることとなりますので、御了承願います。
 まず、平成16年度歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 まず、一般会計についてでありますが、農林水産部関係、6款農林水産業費及び同じ冊子の16ページ、11款災害復旧費のうち、1項農林水産施設災害復旧費及び12款公債費が該当になります。14ページにお戻り願いまして、農林水産業費950億7、486万円余のうち、県土整備部へ移管した分を除いた801億3、260万円、農林水産施設災害普及費の14億2、947万円余のうち、県土整備部へ移管した分を除いた11億9、559万円余及び公債費のうち21億6、498万円余、合わせて834億9、317万円余であります。これに対します決算額は、農林水産業費768億7、084万円余、農林水産施設災害復旧費10億154万円余及び公債費のうち21億6、498万円余、合わせて800億3、737万円余となり、前年度に比較しまして333億9、053万円余、率にして29.4%の減となっております。なお、移管事業を含む決算額は932億1、082万円余となっており、前年対比17.8%減となります。また、執行率は95.9%であります。
 なお、一般会計の翌年度への繰り越しは25事業で32億9、395万円余となっており、前年度に比較しまして23億8、662万円余、42%の減となっております。なお、移管事業を含む繰越額は52億9、181万円余となっており、前年対比6.8%の減となります。
 次に、一般会計決算の内容につきまして、便宜、平成16年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げますので、御了承願います。
 歳入歳出決算事項別明細書の238ページをお開き願います。6款農林水産業費、1項農業費であります。農業総務費は、農政関係職員の人件費などの管理運営に要した経費や国土調査に要した経費等であります。農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対し利子補給等を行ったものであります。次に、240ページをお開き願います。農業構造改善対策費の主なものでありますが、いわてグリーンツーリズム促進事業費は、岩手県グリーンツーリズム推進協議会等の活動を通じてグリーンツーリズム旅行者の受け入れ体制の整備や人材の育成、情報発信等を行うとともに、市町村のグリーンツーリズム促進対策を支援したものであります。農業改良普及費の主なものでありますが、新規就農総合対策事業は、次代の本県農業を担う意欲と能力のある新規就農者の育成確保のため、就農相談の活動や技術研修等に要した経費であります。次に、242ページをお開き願います。農業振興費の主なものでありますが、備考欄中段のいわての農林水産物まるごと展開事業費は、県産農林水産物のブランド化を推進するため、県産食材の情報発信や販売キャンペーンの実施等に要した経費であります。みんなで育む地産地消展開事業費は、いわて地産地消推進運動の一層の定着を図るため、学校給食への地場食材供給の仕組みづくりや、各地域、民間組織の創意あふれる地産地消の取り組みの支援等に要した経費であります。また、245ページに参りまして、備考欄中段のいわて農業担い手支援総合対策事業費は、意欲ある担い手を確保・育成し、これら担い手に対する農地の利用集積を促進し、担い手を核とした地域ぐるみ農業の展開を図るための各種機械の導入や施設の整備に対し補助したものであります。次に、農作物対策費の主なものでありますが、備考欄中段の水田農業構造改革支援事業費補助は、適地適作を基本とした作物再編を図るため、中山間等から平場地域への米の生産目標数量の移動調整の促進及び中山間地域の畑地化や園芸作物の導入・拡大等の経費に対し補助したものであります。
 次に、246ページをお開き願います。畑作振興費の主なものでありますが、備考欄中段の雑穀資源活用体制整備事業費は、県産雑穀の需要と生産の拡大を図るため、雑穀遺伝資源を収集・保存する体制の整備、また、全国初となるもち性ヒエや機械収穫に適する短稈アワ、キビの育成、さらに種子供給体制の整備等に要した経費であります。北上奥羽山系開発費は、北上奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業における地元負担金の償還等に要した経費であります。次に、植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、農産物生産者及び農薬販売者に対する農薬の適正使用、適正販売の取り締まりに要した経費であります。次に、248ページをお開き願います。農業協同組合指導費は、農業協同組合等の指導監督に要した経費であります。次に、農業共済団体指導費は、岩手県農業共済組合連合会及び農業共済組合の運営費等に対して補助したものであります。次に、農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。250ページをお開き願います。農業大学校費は、同校の管理運営及び教育環境の充実を図るための施設整備に要した経費であります。次に、252ページをお開き願います。蚕業費は、養蚕農家の経営安定及び育成・確保のため、養蚕団体を中心とした普及指導体制の整備等に要した経費であります。
 次に、2項畜産業費であります。畜産総務費は、畜産関係職員の人件費及び岩手県競馬組合に対する運営経費の貸し付け等であります。次に、畜産振興費の主なものでありますが、家畜改良増殖対策事業費は、黒毛和種の産肉能力や斉一性の向上を図るため、肉量・肉質などの高い産肉能力を兼ね備えた県産優良種雄牛の作出等に要した経費であります。次に、255ページに参りまして、備考欄上段の地域有機物資源活用促進事業費補助は、資源循環に配慮した家畜ふん尿の堆肥化の促進及び活用を図るため、簡易堆肥舎等の整備に対し補助したものであります。備考欄中段のバイオマス利活用フロンティア整備事業費は、家畜排せつ物の有効活用を促進するため、畜産バイオマスエネルギー施設の整備に対し補助したものであります。次に、草地対策費の主なものでありますが、県営畜産経営環境整備事業費は、総合的な畜産経営の環境整備を図るため、畜産の生産基盤及び家畜排せつ物処理施設の整備等に要した経費であります。次に、256ページをお開き願います。家畜保健衛生費の主なものでありますが、備考欄下段の家畜伝染病予防費は、高病原性鳥インフルエンザに対する危機管理対策として、発生予防に関する啓発指導及び初動防疫資材の整備等に要した経費であります。農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究に要した経費であります。
 次に、258ページをお開き願います。3項農地費であります。農地総務費は、農地関係職員の人件費等であります。次に、土地改良費は、農地等の区画形質の改善、用排水路等の整備など、農村の生活環境や生産基盤の総合的な整備に要した経費であります。次に、262ページをお開き願います。農地防災事業費は、農地・農業用施設の洪水被害等を防止するための防災ダムやため池等の整備及び老朽化した水利施設の整備に要した経費であります。開墾建設事業費は、農業経営の安定と総合的な振興を図るため、農地や用排水施設等の整備に要した経費であります。次に、264ページをお開き願います。農地調整費の主なものでありますが、農地保有合理化促進事業費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化等を促進するため、岩手県農業公社が行う農地等の売買、賃貸借等の業務に要した経費に対し補助したものであります。
 次に、4項林業費であります。林業総務費は、林政関係職員の人件費、いわて森のトレー事案に係る訴訟関係費用や県有林事業特別会計への繰出金等であります。次に、266ページをお開き願います。林業構造改善対策費は、競争力のある木材産地の形成と地域材の安定的な供給を図るため、木材処理加工施設の整備や事業体への経営指導等に対し補助したものであります。次に、林業振興指導費の主なものでありますが、森林組合育成強化対策事業費は、森林組合の経営体質の強化と広域合併の促進を図るため、財務改善に要する資金の貸し付け等を行ったものであります。次に、269ページに参りまして、備考欄上段のいわてブランド材推進費は、県産材のブランド化を推進するため、品質の安定した乾燥材の生産体制の強化及び県内・首都圏等での普及宣伝に要した経費であります。木質バイオマス資源活用促進事業費は、木質バイオマス資源の有効活用及び木質バイオマスエネルギー資源の燃料仕様・基準の調査、ペレットボイラー等の導入促進等に要した経費であります。次に、270ページをお開き願います。森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止のほか、五葉山周辺のシカ被害の防止に要した経費であります。造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の育成管理や広葉樹林の整備に対し補助等を行ったものであります。次に、272ページをお開き願います。林道費の主なものでありますが、備考欄下段の木材生産団地路網整備事業費は、県産材の安定的・計画的な生産供給体制を確立するため、木材生産団地において、基幹作業道の開設、林内路網整備の促進に要した経費であります。治山費は、このページと次の274ページに記載されておりますが、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山事業120カ所、地すべり防止事業4カ所の実施等に要した経費であります。次に、274ページの林業技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究などに要した経費であります。
 次に、276ページをお開き願います。5項水産業費であります。水産業総務費は、水産関係職員の人件費及び水産科学館の管理運営に要した経費等であります。漁業構造改善対策費は、効率的かつ安定的な漁業経営を育成し、水産物の安定的な供給を図るため、養殖施設や作業保管施設等の整備に対し補助したものであります。次に、278ページをお開き願います。水産業振興費の主なものでありますが、備考欄下段の森川海を通じた環境保全事業費は、水産物の安全性確保の基盤となる水域環境の維持保全を図るため、植樹、河川清掃等の環境保全活動や、海域に流入する廃棄物等の回収・除去等に要した経費であります。次に、281ページに参りまして、備考欄でございます。魚病対策事業費は、コイヘルペスウィルス病の発生が確認された養鯉場に対し蔓延防止措置を命じ、それにより養殖場に生じた損失について補償した経費等であります。また、いわて養殖漁業ステップアップ事業費は、本県養殖業が国際競争、国内産地間競争に勝ち抜くための養殖漁業の構造改革の推進のため、養殖規模拡大、新魚種養殖、養殖水産物ブランド化等の事業に要した経費であります。次に、水産業協同組合指導費の主なものでありますが、漁業協同組合信用事業統合促進資金貸付金は、漁業系統団体の信用事業の統合を促進するため、低利の長期資金の融資を行う岩手県信用漁業協同組合連合会に対し無利子資金の貸し付けを行ったものであります。次に、漁業調整委員会費と、282ページに参りまして漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催及び漁業調整などに要した経費であります。次に、漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や漁業取締船の運航などに要した経費であります。次に、284ページをお開き願います。水産技術センター費と内水面水産技術センター費は、両センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。次に、286ページをお開き願います。漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要した経費であります。次に、漁港漁場整備費は、水産業の振興のため、漁港・漁場・漁村の総合的な整備等、水産基盤施設等の整備に要した経費であります。
 次に、大きく飛びまして、364ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費及び5目漁港災害復旧費は、過年災害と現年災害の災害復旧等に要した経費であります。
 次に、370ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金、特定資金公共投資事業債償還元金の決算のうち、21億6、498万1、556円が農林水産部関係のものであります。これは公共事業等の財源として、平成13年度に借り入れた特定資金公共投資事業債、いわゆるNTT債について、国庫補助金を受けて繰り上げ償還したものであります。
 以上、一般会計の決算について申し上げました。
 次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。恐れ入りますが、また、最初の冊子にお戻りいただきたいと思います。
 平成16年度歳入歳出決算書にお戻りいただきまして、32ページをお開き願います。農業改良資金特別会計についてでありますが、予算現額は4億4、005万円余であります。これに対する決算額についてでありますが、収入済額は4億4、710万円余で、貸付金に係る償還金がその主なものであります。次に、支出済額は2億7、560万円余で、その主なものでありますが、新たな農畜産物の生産や加工を開始し、または新技術の導入等にチャレンジする農業者に対し、無利子資金を貸し付けたものであります。
 次に、34ページをお開き願います。県有林事業特別会計についてでありますが、予算現額180億399万円余であります。これに対する決算額についてでありますが、収入済額は180億2、074万円余で、一般会計及び県有林造成基金からの繰入金、立木処分に係る売り払い収入等であります。次に、支出済額は179億8、054万円余で、県行造林造成事業等の下刈り・徐伐、また過去に借り入れた造林資金の低利資金への借りかえ等に要した経費であります。
 次に、36ページに参りまして、林業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は14億4、202万円であります。決算額についてでありますが、収入済額は21億157万円余で、貸付金に係る償還金や繰越金などであります。次に、支出済額は8億236万円余で、林業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し、林業・木材産業等改善資金等を貸し付けしたもの、及び森林組合等に低利の運転資金を融通するため、その原資を金融機関に対し預託を行ったものであります。
 次に、38ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は9億8、234万円余であり、決算額についてでありますが、収入済額は9億5、364万円余で、貸付金に係る償還金や繰越金などであります。次に、支出済額は1億4、049万円余で、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し経営改善資金等を無利子で貸し付けしたものであります。
 以上で農林水産部関係の決算についての説明を終わらせていただきます。よろしく御審議のほどお願いいたします。
〇佐々木博委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇阿部敏雄委員 事項別明細書の281ページの養殖等に対する関連の質問をさせていただきます。
 まず、アワビの密漁対策についてお伺いいたしたいと思います。実はこの件につきましては9月の定例議会で同僚議員の工藤委員から質問されまして、罰則の強化についての質問でありました。アワビの密漁をなくすためには、罰則の強化とともにやはり現場における取締活動の強化が必要じゃないかということは、県漁連の方からも県の方に要望がありました。マスコミ等、また聞くところによりますと、最近の密漁は青森県や宮城県から組織的なグループが県内に侵入して密漁を行い、またその手口も非常に多様化しておるわけでありまして、それを取り締まるときには、やはり漁業取締事務所や県警に関連するわけでございますけれども、日夜、取締活動を実施していることと思いますが、密漁防止のための取締機関や漁協とより一層の連携が必要ではないでしょうかということで、そこでお聞きしますが、アワビの密漁の罰則の強化と取締体制の強化について、まず1点お伺いします。
〇大森水産振興課総括課長 アワビの密漁対策につきましては、取り締まりの強化とともに罰則の強化が重要であると考えておりまして、取り締まりの強化につきましては広域的かつキメの細かい連携が必要であるということから、県としては隣接県との連携を重視して取り組んでおります。例えば岩手、宮城、青森の3県からなるあわび等密漁撲滅連絡協議会を設置して、情報交換、情報共有を行っているところでございます。そのほかにも県内機関の連携としまして、海上保安部、警察、漁協、漁業取締事務所等が連携して、アワビ密漁取締合同訓練を実施しておるところでございます。そのほかにも漁協との連携が大事であるということで、漁業取締事務所としましては、漁協に全部で35隻の監視船があるわけですけれども、それとの綿密な連携をとっていくためにも、協議会をつくって、実際の情報共有等に努めているところでございまして、やはり広域的な対応をしないと、密漁のプロのグループに対してはなかなかうまく対応できないということで、そういう取り組みをしているところでございます。また、ことし初めて久慈管内の方に臨時の漁業取締事務所を開設して、県北の方についても取り締まりの強化を図っているところでございます。
 罰則につきましては、密漁は県の漁業調整規則違反に当たるわけですが、6カ月以下の懲役、10万円以下の罰金ということになっております。これは、アワビの密漁が最近報道でもいっぱいされているわけですけれども、被害額が高額な割に罰則が軽いという意見が多くあります。そういうことで、県としましてはこれを何とか改正したいということで動いているわけですが、これは漁業法で規定されておりまして、国に対して漁業法の改正をお願いしなければだめだということでやっております。それで、平成12年、13年は県団体の方で、水産関係団体の方から出ていますし、14年度以降、15年、16年、17年と県の方から水産庁に要望が行われているところでございます。そういうことで罰則の強化と取り締まりの強化の2点について、今後とも一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。何しろ、岩手県はアワビについては、生産量もさることながら、放流、取り締まり等についても日本で一番やっているんじゃないかと思っております。ですから、岩手県が先頭となって、関係県、水産関係団体とともに粘り強く罰則の強化についても強く要望してまいりたいと思っております。
〇阿部敏雄委員 アワビの密漁に対する国に対しての法制の強化については、部長、これはぜひ徹底しなければ、漁民はアワビをとる時期が11月、12月と決まっているんですよね。密漁する人はそれは避けて暖かいときにとるわけです。そのとる量も半端じゃないんですよね。暴力団の関係者ですから、ぜひこれは徹底して、岩手県は優秀な国会議員が出ていますので、ぜひその方々を動かして、この法整備に動いていただきたいと思います。
 次に2点。これも、今よくマスコミ等でエチゼンクラゲ――ただ、今は余りエチゼンクラゲという名称を使うと、越前の方の方々には反発がありますので、大型クラゲとして聞きます。この大型クラゲの漁業被害と対策についてお伺いいたします。平成14年、そして15年、またことしも大型クラゲが本県に来遊しまして定置網に入る。入った場合に、そのクラゲは小さいものではないですから、大きいものはもう5メートル、10メートルぐらい本当に大きいので、そして、それがサケの魚体に非常に傷を与える、また漁業者が働いても刺されて手がはれる。そして、それを除去するのに非常に時間がかかって、魚価そのものも半額以下のような金額になるんですよね。それはなぜかといいますと、その心配なのは、今の漁業協同組合の大半の収益が定置網なんですよね。もしこれが、ことしも11月に入っていますけれども、中旬から12月に入って、本当に定置網に大きな被害をもたらすと、下手をすると、漁業協同組合の経営の破綻を招くのじゃないかなと私は注意しておりますので、このことについては、ただいま国の方で一部漁網の改良には補助を出すということを言っていますけれども、これは必ず毎年来ると私は思います。これは温暖化の関係で、中国の、要するに日本海であれば赤潮みたいな感じでプランクトンがふえて、今まで発生しなかったクラゲが大量発生してきた。それは海流に乗って必ず三陸の海に来ますので、この時期がサケの時期にぶつかるわけですから、ぜひ国に対して、これも漁業者に何かあったときは補償するような何かを、方策が来るような、県の方でそういうことを考えて国に要望するなり、これは県漁連の系統からも来ていると思いますので、その点についてお伺いします。
〇大森水産振興課総括課長 クラゲにつきましても、ことしは14年、15年の来遊のときよりも1カ月ぐらい早く動いております。本県でもクラゲが最初に見えたのが9月13日と結構早い時期でございました。その後、時間がたっていますが、今の状況は田野畑と、県北の方では10月の中旬が100トンぐらい、毎回だと思いますが、入っていたということだったんですが、10月下旬、11月になって少しずつ減ってきているという状況のようでございます。ただ、県中南部についてはまだ減っていない、ふえているということで、クラゲは津軽暖流に乗って北の方から下がってきますので、やっぱり北の方から始まってだんだん南になっているということで、水産技術センターの調査等の報告によりますと、県全体に影響が出ているという状況でございます。それについて、県としましては、10月に入って急にクラゲの入網が多くなりまして、沿岸市町村並びに水産関係団体からの要望も上げられております。そういうことから、県としましては、水産振興課と沿岸振興局の水産部、水産技術センターで対策チームを立ち上げて、連携して情報の共有、提供に取り組んできております。
 それと、クラゲの調査ですけれども、技術センターの船で調査もして、それぞれ情報の提供をしているわけですが、日本海側の方からクラゲがずっと流れてまいります。それで、石川県の方でいろいろ定置網の改良等をやられているということで、10月に定置協会と技術センターの職員が行って、先進県でのクラゲ対策の網について調査をしてまいりまして、その情報をビデオに撮って、漁協なり定置の関係者に配付しております。
 それから、県としましては、国の方で、先ほど委員のお話にもありましたけれども、定置網の中で魚とクラゲを分離するような網の改良をマニュアル化しておりますので、そのマニュアル化について、定置関係者に対して9月に2回、宮古と久慈で、クラゲを分離する仕切り網をつけてやるという情報を提供しておるところでございます。そういう情報の提供等に努めてきたわけですが、10月になりまして、国の方でクラゲの被害について交付金の追加内示を行うという方針が出されておりまして、その追加交付金の配分を、今、調整中でございます。それで、先週、11月2日に国に対して県として独自の緊急要望を行っております。早急に追加交付金の内示を行うこと。それから、今後においても、最初は何十年に一遍来る被害であるという認識だったんですが、どうもここ数年連続して来るようになっているということで、恒常的になっているということもありますので、発生の原因究明とか、そういった根本的な対応についても国にお願いしたところでございます。内示があり次第、県としましては改良漁具の導入が早くできるように作業を進めてまいりたいと思っております。
〇佐々木博委員長 きょうのこの農林水産部の審査ですけれども、今のところ、18名の質疑の予定者がございます。迅速な審査を行いたいと思いますので、特にも答弁については簡潔明瞭によろしくお願いをいたします。
〇阿部敏雄委員 これは定置網のみならず、大型クラゲですから、養殖の棚にそのままぶつかるわけです。ワカメの種がそのまま上がって、今、それを養殖の漁民も心配しているんですよ。ですから、定置網のみならずそういうものがありますので、ぜひ、本当に国に対して今からそういう声を出していただきたいなと思います。
〇嵯峨壱朗委員 関連させていただきます。アワビの取り締まりについてですけれども、先ほど、3県で合同して取り締まりについて対応していくということでしたけれども、この密漁の原因の一つに、とる期間のずれがあるという話を、つまり3県同じ期間、とる期間を決めていると、違った期間に流通した場合に、そこで変だなという対応になると思うんですけれども、同じ期間にできないものかどうかということなんです。
〇大森水産振興課総括課長 ちょっと承知しておりませんが、宮城県は以前夏もとっていましたが、多分、今は岩手県と同じ期間だけの採捕になっていると思いますので、そういった調整が図られているものと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 確認してないというのもちょっと不思議な話ですけれども、そうしますと、青森県はどうなんですか。
〇井ノ口漁業調整担当課長 青森県につきましては、日本海側のところで、アワビの別な種類について夏場にとるような制度になっております。
〇嵯峨壱朗委員 ということは、県の認識としては、こういった採取の時期のずれとか違いというのは、こういった密漁の温床というか、そういうふうになってないという認識でいいわけですね。そういうことは問題ないと。
〇大森水産振興課総括課長 時期が違うということは、密漁者にとっては非常に都合がいいことと思っております。それで、そういうふうにならないように直してきた経緯があって、3県で採捕時期を統一しましょうということで進めてきた結果だと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 その結果、統一になっていればいいんですけれども、ある報道によるということですけれども、私も青森県のそこの漁協に行って調べたわけではないんですけれども、やはり青森県と違うんだそうですね。種類が違っている、その見分け方がどうか私はわかりませんけれども、ですから、時期が違ってとっても、流通しても、別に消費者は疑問を持たないということがやはり温床になっているのではないかということを指摘しているんです。話し合いした結果そうなったというと、果たしてどうなのかと思うんですけれども、もう少し認識を強く持つべきだと思うんですけれども、お考えをお伺いします。
〇今泉農林水産部長 確かに嵯峨委員がおっしゃるとおりで、時期がずれて広範になってしまいますと、密漁者にとっては大変活動しやすいだろうとは思っております。ただ、そういったことで、一時期、採捕時期というのを統一したわけでありますけれども、いろいろ漁業振興なり、あるいはさらにそこの食とのつながりで観光とかという問題も出てくると、やはりそこの中で対応していくということはなかなか難しいということで、また今のような形になりつつあるのではないだろうとかは思っております。ただ、そういった問題に対処するために、今、タグをつけるとか、言ってみれば、要するにそこでとれているものに何らかの形で印をつけていって、それがないものの場合は密漁品だよということをやっぱりわからせるといった取り組みをしようということで、宮城県とか、今、私どもでも取り組んでおります。おそらくこういったことがまた一つそれに対する有効な対策になってくるのかなとは考えております。
〇平沼健委員 私は2点ほど通告させていただきましたが、そのうちの一つが、今、阿部委員の方から詳しく質問されておりましたので、これははしょりたいんですけれども、一つだけ。
 今、お話がありましたけれども、大型クラゲというのはどういう原因で出てくるか、この辺はまだはっきりわかってないと思うんですけれども、やっぱり一つは地球の温暖化というか、海水温の上昇というか、そういうこともこれあるやに聞いていますし、これから例年こういうことがあるというような想定をしなきゃいけないと思うんですね。それで、今お話がありましたけれども、一時的に交付金の追加ということがありまして、本当にこれはありがたいんです。ただ、やっぱり岩手県だけではなくて、これは海がある県がすべて大型クラゲの被害に遭っているんですね。日本海から北上してまた南下するという、我々の県もありますけれども、南からそのまま上がってきて被害を受けている県もたくさんありますね。だから、やっぱりこれはそういう海に接している県すべての今後の大きな課題というか、問題というか、そういうとらえ方をしていただいて、やっぱりこれは最終的には国ということになっていくんでしょうけれども、そういう県同士がすべて連携して、もっと大きな形を早急につくっていただきたいと一つは思っていましたけれども、その辺はいかがなものでしょうか。
〇今泉農林水産部長 平沼委員、御指摘のとおりでございまして、一つは、やっぱりもうこれは何年置きかに来るという単なる災害じゃないんだと。こういう時期になってきますと、毎年来るということを想定した上で、恒久的な対策を立てていかなくちゃいけないんだろうとは考えております。そういった観点で、私は10月2日に水産庁の方に行ってまいりまして、そういったことをぜひやってくれということは提言してまいりました。と同時に、平沼委員、御指摘のように、私もやっぱり関係県がもうちょっと連携していかなくちゃいけないだろうと思っております。日本海それから太平洋、関係するところが一体となって、これからも水産庁に対してやはりそういった働きかけ、あるいは提言というものを強めていかなくちゃいけないなということを今感じているところであります。そういった方向でこれからも動いてまいりたいと思います。
〇平沼健委員 どうかよろしくお願いいたします。
 それから、もう一つは、これも岩手県だけの問題ではないんです。これは全国的な問題でして、沿岸漁業の漁船の燃油負担が本当に大きくなっておりまして、今、話に出ております大型クラゲの被害によって魚価がえらい下がってしまったり、本当に踏んだりけったりということが出ておりまして、燃油というものは何も漁船に限ったものじゃないんですけれども、陸上の運送業とか、これはもう皆さん方、我々みんな影響があります。ただ、やっぱり水産業というか、漁家にしてみれば、とってきて、それを水揚げをして売るときに、自分で値段をつけれないんですね。やっぱりこの辺がちょっと違うというか、そういうことで、非常に漁に行きたいんだけれども、行ってもいっぱいとってきたい。いっぱいとってくると暴落するというか、たたかれるというか、今、本当に大変な状況でして、これは岩手県だけじゃないものですから、全国的なこういう水産業、漁家の今の現状を何とか、最終的には国の方ということになってくるのでしょうか、その辺はあれですけれども、漁家の救済というか、この辺を県としてどのような考え方を今お持ちか、もしあれば、お聞かせを願いたいと思っております。
 以上で終わります。
〇今泉農林水産部長 昨今の原油高による燃料費の問題は、ひとり水産業だけにとどまらず全産業に幅広く及んでいるところでありまして、そこについて何かの手を打っていくということは、これはなかなか難しいだろうと考えております。ただ、一方で、今、平沼委員御指摘のとおり、やっぱり魚価決定の特性という部分があります。私は、これからの水産振興等も考えていったときに、本当にそれでいいのだろうかというところは思っておりまして、やはりもうちょっと生産者側が、これは漁協ということになるわけでありますけれども、もうちょっとそういったことに対してイニシアチブをとっていける、そういったことがこれから大事になってくるんじゃないだろうかと考えております。とりわけサケにつきましては、国内の消費というよりも、今はむしろ中国でのニーズが、消費が非常に大きくなってきて、ある意味、今、サケの漁家を支えているんじゃないかなというところもございます。そういったことも踏まえれば、これからはやはりとった魚の売り方というものをもう少し考えていくということが大事だろうと思いますし、また、そういったことが、こういったほかで上がってくるコスト要因というものを吸収していく最大の解決策になるんじゃないだろうかと私は思っております。いずれ、そういったことをこれから漁協にも働きかけながら、新しいあり方というものを両者で模索してまいりたいと思っております。
〇小原宣良委員 県内卸売市場の経営実態と市場の役割についてお伺いをしたいと思います。
 県内には盛岡市中央卸売市場を初めとしまして27の卸売市場があると思います。これらは県民、消費者に対して安全・安心な生鮮食料品を安定的に供給するという意味で重要な役割を担っていると思っております。近年、この卸売市場の集荷力が低下の傾向にあると私も市場関係者から伺っております。その要因はいろいろあると思いますけれども、市場法の改正などによります規制緩和も一つの要因ではないかとも思われます。
 そこでお伺いをいたしますが、第1点は、県内卸売市場の経営実態を県はどう見ているでしょうか。
 2点目は、水産物あるいは野菜や果物などの青果物市場、魚市場もありますが、これらについて、県内消費需要の総量に対して県内卸売市場の取扱量はどういう割合と把握しているでしょうか。流通関係自由化という形もありますし、それぞれ他産地からの流入等もあるわけでして、把握はなかなか難しいのかもしれませんが、県内の卸売市場の取扱量についてどのように把握をしておるでしょうか、伺います。
 3点目は、取扱量拡大に向けた対策とも絡むわけでありますが、県内卸売市場の役割という点でございます。それぞれ各市場においては、これまでも特徴ある市場といいましょうか、そういうものに努めてきたと思います。県内生産者との結びつきによる食料品への安全・安心のニーズというのは一層強まっておりますので、これらの要望に的確にこたえていくことも市場の重要な役割と考えますが、これからの県内卸売市場の役割ということについてどうお考えか、お伺いをいたします。
〇佐々木流通課総括課長 まず、経営実態でございますが、近年、生鮮食料品の流通は、全国的に店舗展開する大型量販店がふえてございます。これらは中央一括仕入れの形態をとっている場合もございますし、さらに産地との直接取引というようなことがふえてございます。いわゆる市場外流通の増加と言われてございます。先ほど来出ております水産物産地市場におきましては、秋サケ等の漁獲量の減少、さらには卸売価格の低迷等によりまして卸売市場の経営は大変厳しいものがあると認識してございます。県では、毎年、地方卸売市場実態調査ということを実施してございます。最新のデータですと平成15年度になりますが、これを見ましても、約半数の卸売市場が赤字という実態になってございます。
 次に、卸売市場の果たす役割ということで、一つは供給割合ということでございますが、県民の総需要に対して約6割の供給を担っております。
 さらに、3点目の卸売市場の果たす役割ということでございますが、地方卸売市場は特にも生産者にとっては身近な出荷先でございますし、実需者にとりましても地場産のものを中心的に仕入れることができるということで、地産地消の推進というものにも重要な役割を果たしていると認識しております。しかしながら、先ほど来御答弁申し上げました生鮮食料品の流通の広域化あるいは多様化によりまして、非常に厳しい状況になっているということから、卸売市場法を改正いたしまして、自由闊達な経済活動をもっと促進して卸売市場を活性化しようという趣旨で、買い付け集荷や直荷引き等を広く認めるようにしたわけでございますし、さらには食の安全・安心に対応できるように、卸売市場における品質管理の徹底、このための制度改正をしたところでございます。今後におきましても、今以上に卸売市場におきましては品質管理を徹底し、あるいは創意工夫あふれました企業活動によりまして経営基盤を強化いたしまして、生産者、消費者双方の期待にこたえられることが求められているのではないかと認識してございます。
〇小原宣良委員 農協などにおいては系統出荷という形で、東京太田市場などに定期安定的な生産物の供給ということが言われておりまして、それなりな成果は上げているんだと思いますが、一方で、今お話がありましたように、県内における地方卸売市場の役割という部分も見直しをしていく必要があると思います。どちらかというと、今までは東京の大消費地向け系統出荷という形に力が注がれてきたと思います。それはそれで大事でしょうが、地方卸売市場が担う役割という部分も見直していく必要があるだろうと。特に近年、地産地消という形で皆さん方も推奨されているわけですから、この地産地消という運動、活動の活発化という点で、県内の卸売市場が果たす役割は具体的にどういうことが今行われており、あるいはこれから強化をすべきとお考えでしょうか。地産地消運動を市場が担うとすれば、今までも担ってきたと思うんですが、これからの役割についてお伺いをしたいと思います。
 今、お話がありましたように、品質管理の強化ということがございました。これはとりもなおさず消費者の信頼を得るということでありますから、言葉は悪いですが、余り素性のわからない、どういう肥培管理、栽培管理をしているものであるのかが見えないということよりは、県内産というのは安全という点では一番信頼性が高いということでもあります。その点についてどうお考えでしょうか。
〇佐々木流通課総括課長 地産地消運動への具体的な対応で、事例でお話し申し上げますれば、地方卸売市場の買い受け人、いわゆる売買参加者で学校給食なりに物資を納入する組合なりを組織いたしまして、その中で学校給食なりに必要な食材を事前に卸売市場におつなぎすると、卸売市場は卸売市場の責任で地元産地から品ぞろえをきっちりして安定的に学校給食につなげる、あるいは食品産業、食品加工業からの注文を受けて、県内産地から荷物を集めるという取り組み、まさに地産地消の実践の一つであろうと思ってございます。これからは食品産業、それから地域の農業生産との連携というのも極めて重要でございます。なおかつ食品産業の取扱量は少なからぬものがございますので、そういう中に入って取引できるような形を今回の法改正でもとられたところでございます。言いかえますと、卸売市場も待ちの姿勢ではなくして、むしろどんどん買い受けする先を開拓していく、あるいはつくっていく産地を開拓していくということが求められていると思いますし、県といたしましても、地産地消につきましては県内産生鮮食品をきっちり供給するような仕組みづくりが重要だと思っておりますので、このことにつきましては卸売市場と連携しながら取り組んでいく内容が多いのではないかと認識してございます。
〇小原宣良委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、地域特産物、雑穀と言われているものです。これについて、全国的に見まして本県の雑穀生産量、品質、これらについてはどういう位置にあるかという点、先ほども部長が説明で触れておられましたけれども、そういう点についてどう認識をされておるのかという点が1点です。
 それから、この雑穀という名称なんですが、ヒエやアワに失礼だという感じもしないわけではありません。そこで、全国的にそうでしょうが、雑穀の名称をお考えになったことはあるのでしょうか。もうこれは雑穀だと。それで全国的にそういうものだからというので見て、使っておられるかですね。昭和天皇はかつて、雑草という名前の植物、草花はないんだと。雑草じゃなくて、それは一つ一つにちゃんと名前があるんだと言われたことがあるんですね。そんなことで、この雑穀という名称についてはどうなんでしょうか。うまいぐあいに岩手発で雑穀にかわるようなうまい名前などを検討してみたらどうなんでしょうかね。
〇今泉農林水産部長 後段の名称のところについては、ちょっと私の方から答弁させていただきまして、その他は担当の方から答弁させます。
 名称の件なんですけれども、確かにそれは中でも議論はしております。やっぱりおかしいんじゃないかという、つまりもっとひもとけば、米が何となく主人公になったときに、ヒエ、アワがみんなわきに追いやられて、雑穀というふうに一くくりにされてしまうのではないか。やっぱりこれはおかしい。市民権を取り戻すべきではないかということは中では議論しておりますが、じゃ、今のこれにかわるいい名称がなかなか浮かんでこないというのが実態であります。ただ、別な見方をすると、逆に雑穀ということが、実は今、本当は主役だというか、これこそが本当に健康にとっていいものなのだという、そういうマイナスをてこにした売り方もできないのかなというようなことも実は考えておりますが、いずれ、これにつきましては、今の委員の御提言の趣旨も踏まえながら、もう少し中で議論してまいりたいと思っております。
〇齋藤農産園芸課総括課長 本県の雑穀の全国に占める生産割合でありますが、約6割ということで、全国一の産地になってございます。それから、品質でございますけれども、これはやはり本県の気象が雑穀の生産に恵まれているということで、品質もいいものと自負しているところであります。
〇及川幸子委員 小原宣良委員からも食の安心・安全ということで触れられましたけれども、私からもこの安全・安心な農畜産物の確保についての平成16年度の取り組みについてお伺いいたしたいと思います。
 米国産牛肉の輸入が年内にも解禁される見通しとなりましたが、その一方、消費者にとっては食の安心・安全性の関心が大変高まっております。また、鳥インフルエンザ流行にも大変な危機感を持っているところでございました。そんな中、最近、韓国産キムチから寄生虫の卵を検出したという発表がありまして、韓国産の白菜165個のうち8個から回虫等寄生虫の卵が見つかったということで、韓国キムチというのは人々に大変喜ばれており、やっぱり韓国産のキムチがいいなということで、食ぜんには大分欠かされないメニューとなっているところでございます。その点から申し上げましても、安全・安心で口に入る農畜産物の確保ということは大変重要な課題であると思います。平成16年度の取り組みについてお伺いいたします。
 そして、2点目でございますが、岩手短角牛の人気が上昇ということで、この間、報道になりましたけれども、人々に大変注目されるのは、これがダイエット志向には最適であるということで、これは全国的にも注目されるのではないかと思いましたが、価格が5年前の3倍ということですが、国産の不足ということで、これからのそういう需要に向けまして、いわて牛の畜産という部分で、牛肉の価格面で、今まで平成16年度取り組みの中身、その成果はどうだったのかをお示しいただきたいと思いますし、また、価格について、いろいろもっと安い方がいいというところの主婦の意見が多いわけでございますけれども、今回のいわて短角牛が脂肪燃焼ということで大変効果的なダイエットということで人々に親しまれる、望まれるのではないかと思います。その辺のところの平成16年度の畜産の振興策に対してお聞かせいただきたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 輸入農畜産物の安全性についてでございますが、実は食品衛生法で第一義的に厚生労働省が水際で食いとめるというのが基本でございます。県におきましては保健福祉部の所管でございますが、県内に流通する輸入食品についてモニタリング検査を実施してございます。これまで残留農薬なり食品添加物等でその基準に違反するような事案はなかったと聞いてございます。
 その次に、短角牛が見直されているということでございます。短角牛につきましては、私どもも安全・安心、ヘルシーな牛肉として、これを売りにして販売戦略を展開してきたところでございますが、ややもすれば輸入の牛肉と競合するというようなことで、非常に厳しい時期もあったわけでございます。現在、追い風が吹いているということで子牛市場の価格が3倍になったというようなことでございます。私どもといたしましては、特に短角につきましては、本県の恵まれた草資源、公共牧場なり、そういうえさの自給が可能な畜種の代表でございます。そのことをてこにして生産振興なり流通対策に万全を期してまいる考えでございます。
 畜産物の価格ということでございますが、一時、BSE発生以降落ちたと。価格が暴落し、なおかつ、アメリカ産牛肉の輸入を禁止したというふうな、いろんな牛肉の流通を取り巻く状況の変化がございました。最近では、牛肉の価格はむしろアメリカ産牛肉の輸入禁止以前の水準を超えるようなところに来ているような状況になってございます。この背景は、我が国でBSEが発生した当時に生産が縮小いたしまして、特にも素畜が減ったことの影響がここに出てきているのではないかというふうに分析してございます。
〇及川幸子委員 追い風に乗ったところで、どんどん岩手のいわて短角牛のよさを知らしめていただきたいと思うのですが、先ほど小原宣良委員のときにお答えいただきました需要、供給というところで6割というところ、その4割がやはり県外から、そして輸入というところに頼っているのだと思っております。スーパーに行きましていろいろ野菜売り場、肉売り場を歩きまして、ほとんど外国産のものが、これが地元で賄えるところがなぜこの場に輸入物があるのだろうと思うものが大変多うございます。そういう中で、岩手というもののその販売に向けた取り組みというのを、もっともっとやらなければならないのではないかと思うわけですが、その販売に向けた取り組みというのをお聞きしたかったのです。
 それから、前にも私お聞きしたときに、この問題は保健福祉部の所管だということは言われておりました。けさ通告したものですから、これは所管が違いますよと言われました。しかしながら、あえて私は質問させていただいたのは、やっぱり輸入に頼っているところが大分多い中で、岩手としてもこの6割ぐらいしか占めない部分、その4割というのを確かな目でこの輸入というものをとらえていくのは農林水産部にも与えられた部分ではないかということで、これは部長にも、ほかの所管だということなく、そういう点は常にとらえて、残留農薬ホウレンソウのときも私質問いたしました。県内でホウレンソウは大分つくっているところがあるのに、中国からのホウレンソウが店内に並ぶそういう現状を見ながら、私はやっぱりこの輸入という部分で、もっともっと確かな目で保健福祉部とも連携しながらやっていかなければならないではないかということでお聞きしたので、部長、またお答えいただきたいと思います。
〇今泉農林水産部長 食の安全・安心に関しましては、部の縦割りを越えて連携して取り組んでまいらなければならないと思っておりますし、常日ごろそういう気持ちで業務に取り組んでいるところであります。
 あと輸入物の話でございますけれども、原産地表示ガイドラインというのが出てきて、私どもはある意味で大変追い風になってくるのではないだろうかと思ってございます。確かに外食とか中食のところで、これまで価格が安いので輸入物に頼ってきたというところがあるわけでありますけれども、原産地の表示というものがやはりきちんと義務づけになってくると、その辺、やはり外食、中食といえどもいつまでもそういう外国産のものを使っていますよというわけにはいかなくなるのではないだろうか。なかなかそれは消費者の信頼というか支持を得ることができなくなるのではないだろうかと考えておりまして、そういったところをとらえながら私どもの方でも今そういったところに、国産品、とりわけ岩手県産牛をもっと入れていってくれということは今、働きかけているところでございます。
〇佐々木流通課総括課長 牛肉の販売対策についてでございますが、牛肉につきましては、県内で生産される牛肉のうち多くが芝浦に代表される県外市場に流通しているという実態もございます。さらには、残りにつきましては、本県、岩手畜産流通センターがございますので、私どもといたしましてはトータルの流通コスト等を考えますれば、岩手畜産流通センターの機能を最大限生かし、そこで屠畜加工された牛肉が県内に出回るようなそういう取り組みが必要であろうと思ってございます。これを支援するために私どもはいわて牛のトレーサビリティーシステムを県独自に運用しているところでございますし、特にもこのシステムに乗ります県産牛につきましては、法律で義務づけられているトレーサビリティーシステムよりも情報量が詳細になってございますので、これをてこにして県内流通対策に取り組んでまいりたいと思ってございます。
 それから、輸入の関係でございますけれども、これは確かに輸入品が多いということ、食料品につきましてはカロリーベースで40%ということからもうかがえるような実態にございますが、これは確かに消費者なり実需者のニーズに対応した生産がきっちりできていたのかなという反省が一つあろうと思います。国の食料農業・農村基本計画の中でも生産面においては、やはりもっと消費者、実需者の需要をきっちりとらえて、それにこたえ得るような生産対策を講ずべきだと。それから、消費の面にあっても国内品、県産品に対する理解を深めるための地産地消なり食育なりを進めるべきだということを提言されてございますので、その方向に沿って具体的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 多くの経費の計上が示されておりますので、どうぞ次年度に向けましても県民から寄せられる大きな期待、いわて牛に対する大きな思いをどうぞ示していただきたいと思います。
〇工藤勝子委員 私からは2点お尋ねしたいと思っております。
 まず、一つは、ほ場整備事業についてお伺いいたします。
 ほ場整備事業など農業・農村整備事業につきましては、担い手に農地を集積しながら農業・農村の活性化を図ることのできる重要な事業と思っております。しかし、厳しい財政のもと、公共事業の削減によって年々事業が非常に削減されているようであります。例えば、平成15年度のほ場整備事業91億4、000万円余でありますけれども、今年度は65億8、000万円余までおろされております。マイナス約25億円おりております。そういうことで一層の重点化、効率化、コストの縮減を図っていると思いますけれども、今後の見通しについてお伺いをいたします。
〇須藤農村建設課総括課長 ほ場整備事業についてのお尋ねでございます。
 委員御指摘のとおり、ほ場整備事業は、営農の効率化あるいは担い手の育成など、農政の最優先課題であります水田農業改革を進める上で重要な施策と位置づけておりまして、これまでも、限られた予算の中で、重点的に整備を推進してきたところであります。しかしながら、昨今の厳しい財政状況下では、事業工期の延伸あるいは新規採択の抑制など、整備量の減少は避けられないといったような状況にございます。
 このため、今後におきましては、事業の選択と集中を徹底いたしまして、地域の意向を踏まえながら、実情に応じた創意工夫によるローカルスタンダードの導入など、なお一層のコスト縮減に努めるとともに、力強い経営体が牽引する収益性の高い地域農業の実現に向けて、引き続き、ほ場整備事業を推進してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 非常に厳しい中でございますけれども、大事な事業ですのでお願いしたいと思います。
 2007年度から新たな農業政策が決まりました。中心となります品目横断的な経営安定対策、北海道を除き4ヘクタール以上の認定農業者、それから20ヘクタール以上の集落営農組織などの要件が決まっております。地域の実情も考慮されまして、知事の申請によって特例も設けられました。これは中山間地の多い岩手県にとっては非常に見通しが明るいものだと思っております。しかし、先ほどお話しいたしましたように、やはり選択と集中というようなお話もございましたけれども、今、行っておりますその工事をやっているところ、ぜひこの工期をおくらせないように集中的に事業をやってほしいと思いますけれども、このほ場整備関連事業につきまして、部長の再度お考えをお聞きしたいと思います。
〇今泉農林水産部長 大変財政状況厳しいわけでありますけれども、何とか、今、手をかけているところにつきましては、多少時間がかかることがあるかもしれませんけれども、完成というか、完了に向けて我々としても努力してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 地域で整備事業を取り組んでいる人たちは一日も早い完成を、いつまで耕作ができないのかとか、いつ終わるだろうかという、こういう中で非常に不安を持っていることがございますので、ぜひ重点的に進めてほしいということを改めてお願い申し上げたいと思います。
 次に、岩手食育首都圏交流事業についてお伺いをいたします。
 岩手の先ほどありました食材の安心・安全をメーンにして行っていると思っております。首都圏においてモデル校を指定いたしまして、学校給食に対して岩手の食材の活用をしていただく。食材生産者との交流、岩手食文化の紹介など行っておると思っております。1年目で大きな成果ということは期待しておりませんけれども、その事業に取り組んでみた結果について、この岩手の食材に対する首都圏の関係者の声、子供たちの声などを、もしありましたらお伺いしたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 食材の供給とあわせて食育パートナーを派遣いたしまして、子供たちに座学にとどまらないそういう経験なり実体験をお話しし、ともに共有するという取り組みをしてきたところでございまして、実はこの事業のねらいは、首都圏の子供たちなりが岩手に来てさらに活動の輪が広がることを期待しておったわけでございますけれども、ことし首都圏の子供たちが50名ほど岩手に訪れるようなところまで事業を発展することができました。その子供たちの声を聞きますと、すべての子供たちがまた岩手に来たい。実際おいでいただいたときはハウスの中でミニトマトをとってその場で食べるという体験もあったわけですけれども、非常においしいというお話等々、実は作文として大量に県なりに寄せられまして、非常に意を強くしているところでございます。
 さらには、子供たちの交流からPTAの交流あるいは地域の交流というところまでいってございまして、PTAの方々のお話を聞くと、子供の影響があって、スーパーに行っても岩手物に目が向くようになったというお話も聞いてございます。着実な成果に結びつくように引き続き取り組んでいきたいと思っております。
〇工藤勝子委員 平成17年度はこの食育パートナー派遣校を3校から6校にするというようなこともありますけれども、今後、順次この事業を進めていく――進めていくといいますか、広めていく予定でしょうか。その辺のところを聞いてみたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 あくまでもモデル校ということで、モデル校で私らがノウハウを蓄積するということ、それからモデル校の取り組みをマスコミ等通じまして広く紹介していくというのがねらいでモデル校としたわけで、モデル校につきましては3校、6校ときて、モデル校の手法はそろそろいいのではないかなと思ってございます。今後はモデル校の周辺地域なり、あるいはそういう情報なりを発信して、別な地域がモデル校という手法をとらなくても取り組んでいけるような方法に手法を転換してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 将来の子供たちにすばらしい岩手の食材を進めていくという部分におきまして、将来的な事業につながっていくのではないかなと思っております。その辺からも、首都圏の方も大事でございますけれども、ぜひ、県内の事業もあるようでございますので、この県内の事業にも力を入れて推進してほしいと思っております。
〇飯澤匡委員 大きく分けて2点ございますが、最初に1点目、林業指導振興費、県産シイタケに関連してお伺いいたします。
 おかげさまをもちまして生産基盤の確立という意味においては、大変な施設設備の補助金の注入をしていただいて、この県産シイタケの生産については、大変な確固たる基盤が築けたと感じておりますが、岩手健康しいたけモッコリくんという愛称がついているんですが、なかなか県産シイタケというそのブランドの確立についてはまだまだのような気がしているところでございます。その点に基づきまして2点お伺いをします。
 昨年、議連の方で大東町の方のシイタケ生産農家を、議員、先生たくさんおいでいただきまして、いろいろ現地調査をしていただいたところでございますが、まず生産の部分に関してですが、これからの林業技術センターのこの活用の仕方というものが、どういうふうにしていくのかということを生産者の方からも指摘をされたところでございますし、その方向性について、まずお伺いをしたいと思います。
 特にも、シイタケの生産については労働集約型の作業でございますし、これからやはり高齢化が進むに当たりこの省力化という部分が非常に大きな問題点になると思いますので、そこのところも含めてお答えをしていただきたいと思います。
 それから、2点目は、流通の問題でございます。岩手県においては岩手健康しいたけモッコリくん流通促進資金貸付金、または、いわてしいたけ王国確立総合対策事業費補助ということでこのような予算措置がされて、平成16年度もされております。これについてどのような効果があらわれたと御認識をされておるのか、お伺いをしたいと思います。
 前にも質問しておったんですが、それとあわせて、シイタケの流通においては3系統がまだ存在をしておりまして、その系統に乗った販売のルートを確保している。私が思いますに、一本化できない部分で岩手のブランド化が促進をしていない部分があるのではないかというような感を持っておりますし、それから、前にも指摘しておりましたが、岩手県から一たん出てしまって加工に回されてしまうと、岩手県が例えば○○県産になって化けてしまうというような問題が、いまだにそういう問題が解決をしていないというか、法的な問題もあるかと思いますけれども、その状況も含めてお知らせをいただきたいと思います。
 まず、その2点。
〇今泉農林水産部長 ブランド化について私の方から答弁させていただきます。あと残りについてはそれぞれの担当の課長から答弁させますので、御了承願います。
 一本化の話でございますけれども、確かに委員御指摘のとおりで、やはり流通を一元化することが重要とは考えております。このような考え方から全農岩手県本部、岩手県森林組合連合会、岩手県椎茸農業協同組合の3団体による岩手県乾しいたけ販売戦略協議会というものを組織いたしまして、県内外での合同入札会の開催あるいは市場出荷箱のデザイン統一、こういったことに取り組んできたところであります。また、産地包装加工事業者向け原料規格の統一を図り、3団体のシイタケを1カ所に集荷して産地包装加工を行い、岩手県産表示の商品を首都圏消費者に販売するなど流通改善を図ってきたところであります。
 ただ、しかし、やはりまだ委員御指摘のような問題というのは基本的には解決に至っていないのかなというように思っておりまして、そこのところを今後どう取り組んでいくかがやっぱり課題だとは思っております。いずれ、なかなか、既にでき上がっているルールなりがあって、その中でそこを変えていくということなわけで、生なかな努力ではできないんだとは思っておりますけれども、ただ、私はやはり岩手県の中で大変すぐれたシイタケ生産者がいて、かつ、そこがやはりきちっと報われていないということ自体が本当は問題ではないだろうかというように考えております。いずれ、私は生産者の方々の夢は、やはり自分の名前でもって本当に自分のすぐれたシイタケをきちんとした、例えば東京のような大消費地の中で、本当にそこの価値をわかってくれるところで売りたいということが、多分皆さん生産者の持っている本当に思いではないだろうかと思っておりまして、そういった思いというものをどうやって実現していけばいいのか、その辺、今後もしっかり取り組んでまいりたいとは考えております。
〇千田林務担当技監兼林業振興課総括課長 林業技術センターの活用の関係でございますが、今、委員言われましたように、特にシイタケの技術指導に関しましては、従来は林業普及指導員、いわゆる地方振興局に配置しております指導員が相当の技術レベルを持って指導できてきたわけでございますが、最近になりまして、どうも地域の要請に応じることができるような技術を持ち合わせていないのではないかという御指摘がございます。一方、技術センターにつきましては、その成果なり、それから技術につきまして林業普及指導員を通しまして地域の指導を行ってきたということがございます。今シイタケの生産技術の向上ということを考えますと、やはりこれを変えていかなければならないということで、林業技術センターにつきましては、これまでのように地域からの要請に応じて出向くのではなく、積極的にセンターの研究員が地域に行くような、そういう形に持っていきたいということで今、内部で検討しているところでございます。
〇佐々木流通課総括課長 流通対策の成果というところでございますが、3団体共通で荷口を一本にいたしまして、県内外で合同入札会を実施してございまして、これには多くの買い受け人が集まるということで、その中で高い評価に結びついてきてございます。
 それから、もう一つ食品表示のことございましたが、岩手県産表示をしていくということ、まさに岩手県の干しシイタケのよさを消費者に直接わかっていただくためには極めて重要な取り組みでございます。ですから、基本的には産地段階でパッケージをし、最終商品をつくり上げていくということがまず近道であろうと思いますし、それからJAS法が改正されまして、県外で包装加工されたものにつきましても産地表示が義務づけられてまいりますので、産地表示とあわせてその岩手のすばらしさなりを情報としてくっつけ、評価を高めていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 私は、この岩手健康しいたけモッコリくん、非常に愛想のいい名前で、かわいらしくて私は非常に気に入っているところなんですけれども、これは県内ですらなかなかよく認知されていない。これは随分、モッコリくんが出て20年ぐらい、もっとなると思うんですけれども、やはりもう少し、先ほど流通系統の話をしましたけれども、これはなかなか改善が難しいと思います。ただ、これからのやる気のあるそういう担い手の方々については相対取引であるとか、いろんなルートを自分たちで模索をしてやっていると。いろんな系統があると思いますので、ぜひやはり良質なものを生産しているという、そういう誇りを持ってやれる体制づくり、これはやはり県でしかできない問題だと私は思いますので、ぜひこのブランド化に向けてさらなる、ちょっと抽象的な言い方ですけれども、努力をしていただきたいなと思っているところでございます。
 2点目に移ります。昨年の議員発議でプレジャーボートの関連条例がこれは決まりまして、本年度の7月1日に施行ということになっております。おかげさまで立派なパンフレットもつくっていただいて、各地方振興局、各団体に頒布されていると思いますが、この7月1日施行後、漁協またはボートユーザーのその関係はどのようになっているか、いい方向に進んでいるのかどうか、今の段階でのその状況をお知らせいただきたいと思います。
〇佐々木漁港漁村課総括課長 プレジャーボート条例についてでございますが、今年度はプレジャーボート条例施行の初年度ということで、現在は条例の周知徹底を図っている段階でございまして、委員お話しのように、具体的にテレビだとかラジオ等の広報媒体を利用したPRあるいはパンフレット、ポスター等を作成いたしましてPR活動を行っているところでございます。
 漁協とプレジャーボート利用者との関係につきましては、漁業者とプレジャーボート利用者との利用協議会を設置しておりまして、それを、定期的に話し合いを行っている状況でございます。ことしの夏、プレジャーボートにかかわる漁港内での大きな事故というものも、あるいは大きなトラブルというものも発生していない状況にございます。
 この条例につきましては、プレジャーボートを対象としたものでございますけれども、漁業者へもその条例の周知を図るということから、漁業者が主体となって開催する講習会にも県の職員を派遣してこの周知を図っておりまして、漁業者の認識も強くなっていると感じております。このようなことから、漁業者とプレジャーボート利用者との関係はいい方向に向かっているのではないかと認識しておりまして、県といたしましてもこの動きをより確実なものとしていきたいと考えてございます。
〇飯澤匡委員 最後に、この条例の最も大事なところは漁業者との共存・共栄でございます。その趣旨をこれからもきちっととらえて、県の方でもしっかりとサポートをしていただきたい、このように思います。よろしくお願いします。終わります。
〇佐々木順一委員 それでは、担い手に関係してお伺いいたします。
 先般、農林水産省は、全農家を対象といたしました品目別の対策から担い手に絞った経営支援へと農政を転換する具体策を示した、いわゆる経営所得安定対策等大綱を決定いたしました。中でも、平成19年度から導入する品目横断的経営安定対策では、焦点だった担い手の規模要件は、個別農家が、都道府県で4ヘクタール、集落農家で20ヘクタール以上とされました。同時に、条件不利地についても、当分の間、知事特認で面積緩和など経過措置が盛り込まれたところであります。
 一方、本県では平成16年度から統一要望でこれに関する要望を、担い手を対象とした直接支払制度の弾力的な導入を掲げまして、16年度から要請活動を行ってまいりましたし、17年度――本年では、例えば対象作物に麦、大豆以外に具体的な作物まで掲げまして、いわゆる要望内容をより具体化させ要請してきたところでありますけれども、本県のこうした規模、内容がこのたびの大綱にどのように反映されたのか、また、反映されなかったものはどういうものがあるのか。全般の評価についてお伺いしたいと思います。
〇及川農業振興課総括課長 品目横断的経営安定対策に係ります本県の国への要望の反映状況及び全般の評価についてでございます。
 対象とされます品目につきましては、本県が生産を振興しておりますソバ、雑穀が認められなかったものの、多くの集落ビジョンで担い手として位置づけられております転作組合や複合組合の特例が認められたということ。また、経営規模に農作業受託面積がカウントされるほか、中山間地域におきましては、担い手の面積要件が、現在の稲作経営安定対策の知事特認に準じまして、特認農業者にあってはおおむね8割、それから集落営農組織にありましては5割まで面積要件が緩和されるということになっております。そういうことで、対象となる要件につきましては、本県が提案してきた実情に配慮されたものということで評価しているところでございます。
〇佐々木順一委員 それで、この面積要件4ヘクタールあるいは20ヘクタール以上ですか、この条件を満たす農家なんですが、現段階で本県では全体に対するどのような割合になっているのか、実数も含めてお伺いしたいと思いますし、特に産業振興を掲げまして広域生活圏の見直し、今のところ四つのこのエリアで見直し作業が進められているところでありますが、この四つの区分ごとにもしお示ししていただければお聞きしたいと思います。
 あわせて、なぜ雑穀が対象から外れたのか、もしわかればその辺もお知らせ願いたいと思います。
〇及川農業振興課総括課長 まず、担い手の要件に合致するそういう本県の割合でございます。現時点におきまして対象となる4ヘクタール以上の要件を満たす経営規模についてですが、2000年の農林業センサスによりますと4、603戸ということで、本県の全販売農家の6%ということでございます。この内訳につきましては、県央が約4割、県南が約5割、それから沿岸・県北あわせまして約1割となってございます。また、現時点におけます対象となる集落営農組織、これは37団体今現在あるわけでございますが、この内訳は、県央が約2割でありますし、県南が約8割となってございます。
 それから、ソバ、雑穀がなぜ認められなかったのかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、これから具体的な説明会、16日に東北ブロックの説明会がありますけれども、その辺でもいろいろお聞きすることにしておりますけれども、現在、品目において助成対象になっている、いわゆる国の安定対策あるいは国の安定資金対策にやっている作目、これは個別ごとにやっているわけですけれども、それを今回、品目横断的にあわせて、そして品目横断的にやるという仕組みでございまして、現在、ソバ、雑穀については国の方ではそういう助成対策をやっていないということが、今回の品目に載っていないということだということで伺ってございます。
〇佐々木順一委員 今、数字を聞きまして、御案内のとおり極めて厳しい状況であります。それで、簡単に言いますと、今後、農家は担い手を目指して規模拡大を行うか、あるいは集落営農組織に参加しなければ支援対象から外れることになります。来年、米をつくれば、平成19年度からの導入でありますから、ほぼ来年の秋ぐらいにはある程度体制を確立しなければならない、こう思うわけであります。よって、今後、県は各地域の集落営農組織の育成確保を中心にいたしまして、どのようにその指導をして体制づくりに取り組んでいかれるのか。また、これまである程度この導入を想定いたしまして、いろいろ対策をとってこられたと思いますが、その実績も含めましてお伺いをしたいと思います。
 なお、特にこの組織化について留意しなければならない点は、一時しのぎの集落営農組織ではまずだめだと思いますので、私個人の認識とすれば、生産方式の構築であると同時に、やっぱり村づくりの新たな取り組みであろうと思います。こういった認識を持っていろいろ今後、地域で指導することが必要であると思いますし、特にも、先般、県議会で結いの心を全面に押し出しました農村の活性化に関する条例、これを議員発議で制定したところでありますが、この趣旨を十分踏まえて取り組んでいただきたいと思っておりますが、いずれ、その点も含めまして御答弁をいただきたいと思います。
〇及川農業振興課総括課長 県といたしましては、これまでも、集落ビジョンで明確化されました担い手を主業型農家に育成しますとともに、小規模・兼業農家もそれぞれの経営志向において役割を担う集落営農の組織化を進めてきたわけでございます。集落営農の話では、いずれ県内におきましては、集落の全戸が参加する法人を設立いたしまして、特別栽培の生産に加えまして、ソバ、大豆、野菜を新たに導入し、女性や高齢者の雇用が創出されるなどの先駆的な取り組みもあらわれてきておるところでございます。
 委員御指摘のとおり、来年秋までの取り組みが重要でございます。そういうことで先般10月に、新たな対策に対応できる経営体育成の支援業務を集中的に担う担い手育成推進クロス・ファンクショナル・チームを部内に設置したところでございます。
 今後におきましても、新たな対策の周知はもとより、個別経営体につきましては、集落ビジョンで明確にされた担い手のうちの未認定農家約4、000戸ありますが、これについて経営改善に向けたきめ細かな相談活動を展開し、認定農業者への誘導をしてまいります。
 また、集落営農組織につきましては、ビジョンに位置づけられる約800の水稲生産組合や大豆転作組合などがありますが、これらをまずもって対象といたしまして、関係機関が一体となり経営の一元化や農地、労働力の活用方策など、具体的な指導を行うとともに、集落営農を志向する地域におきましても、組織化、法人化を進めるなど、確実に新たな対策の対象になるよう誘導してまいりたいと考えております。
 次に、集落営農は同時に村づくりと考えるがいかがという御指摘のことでございますが、本県の農業・農村は、専業農家や小規模・兼業農家などの多様な農業者が、それぞれの経営志向や地域の役割に応じまして、農業生産や地域活動を行いながら維持、発展してきたものと認識しております。そういうことで今後とも、地域におきまして、それぞれの役割を担っていただきながら、農業生産や農村の持つ多面的機能の維持、コミュニティーの形成を進めていくことが重要であると考えております。
〇佐々木順一委員 実はきのう私も地元の方で、今、収穫感謝祭、結構やっておりまして三つばかり出てきましたが、酒が入って飲むそのお祝いでありますから、そういった会合でありますが、やっぱり農家の皆さん、今回の品目横断的な直接支払制度の内容について、多分説明といいますか、情報を得る機会が余り、少ないのではないかなという理由だと思うのですが、すなわち、ある程度この意識がまだ正確につかんでいないところがありますので、どうぞ県行政当局はもとより、JAさんとか、市町村含めまして一体となって、来年の秋ぐらいが最終目標だと思いますので、その期日に向けて全農家がこの営農組織に参加できるような取り組みをしていただきたいと思うわけであります。
 それで、さっき農村の条例化に関係しての御答弁なかったんですが、これも十分意識してやっていただきたいと思っております。
 それで、担い手に集中するとしても、やはり経営効率を重視する担い手には条件不利な農地はやっぱり敬遠されると思います。さらに、中山間地域などでは耕作放棄地がこの結果ふえる可能性もある。また、担い手と担い手以外の経営には明確な格差が生じますし、特に麦、大豆は政策的支援がなければ生産コストも賄えないような状況だと思っております。したがって、米とか麦とか大豆に国を挙げて増産してきたところでありますけれども、今後、この麦、大豆の生産を維持できるのか、また、不透明なところもあると思いますが、この指摘に対しましてどういったお考えがあるのか、お聞きしたいと思います。
〇齋藤農産園芸課総括課長 麦、大豆の生産維持についてでありますけれども、委員御指摘のとおり、麦、大豆は内外価格差が大変大きゅうございますので、国の政策的な支援がなければ生産は不可能ではないかなと考えているところであります。平成19年度からの経営所得安定対策におきましても、現行レベルの支援はなされると聞いているところであります。
 麦、大豆は土地利用作物として水田農業の確立のためになくてはならない重要な作物であります。また、県産の麦、大豆への需要も大変増加しているところであります。県としては、今後ともその生産拡大に力を入れて取り組んでいきたいと思っているところであります。
 特に、実需者のニーズをきっちりとらえた高品質な麦、大豆の生産安定供給と生産コストの低減に一層努める必要があります。そのためには、担い手や集落営農組織への集積を進めまして、団地的な栽培を推進することが重要と考えているところであります。平成17年産におきまして、7ヘクタール以上の麦、大豆の生産集団は延べ268あります。これらの集団の県内の麦、大豆の栽培面積に占める割合は、麦で70%、大豆は44%にとどまっております。今後、さらにそういう集団的な栽培がふえるように努めてまいりたいと思っております。
 なお、中山間地域や小規模農家が多い地域におきましては、それぞれの役割に応じて地域全体としての力を結集して効率的、安定的な経営ができるような集落営農組織を育成してまいりたいと思います。そうすることによって土地の有効的な利用も可能になるのではないかなと思っております。
〇佐々木順一委員 最後に、部長に2点聞きます。
 まず、県の農業・農村基本計画、平成11年度策定されて、22年度、最終年度でありますが、本年度が中間年度と伺っております。一方、産業振興を基本とした広域生活圏の見直し、さっきも触れましたが、今、進行中でありますし、今回の直接支払制度の導入など農政を取り巻く情勢は、このように日々刻々と変わってきておりますので、中間年度に当たって見直しを含めましてこれまでの取り組みを検証しながら、広域生活圏の将来像も念頭に置きながら、将来に耐え得るこの計画にするためにも再検討をする必要があると思うのですが、この御見解が1点。
 もう一点は、BSE問題ですが、前段省略しますが、いずれこの前、専門調査会で、最終的には国産とのリスクの差は非常に小さい、こういう答申でありました。附帯意見で、牛肉輸入を再開する際の国民への説明と輸出国に条件を遵守させる責任は、リスク管理を行う厚生労働省と農林水産省にあると指摘しております。輸入再開が現実性を帯びてきているわけでありますが、しかしながら、EUの方ではまだ輸入再開はしていないと聞いております。全国有数の肉牛生産県として全国に先駆けて本県では全頭検査、それからトレーサビリティーの導入をやってきたわけであります。
 そして、ことしの10月の本会議で知事はこのことに対する質問で、将来的に消費者の意識が変化するとか、新しい治験が得られるとか、国の別途施策の提示など、状況の変化があれば、その段階で食の安全安心委員会の意見なども聞きながら対応したいと考えています。こう答弁しております。それで、まず、全国有数の肉牛生産県の立場から、この輸入再開の動きをどうとらえているのかということと、今回の答申が知事の、条件でもないと思うのですが、将来的な見通しの中である程度三つぐらいの条件を出しておりましたが、条件というのも変な表現ですが、自分の見解を述べておりましたが、これに該当する内容になっているのか、その辺、御見解をちょうだいして質問を終わりたいと思います。
〇今泉農林水産部長 まず、1点、県農業・農村基本計画の見直しについてでございますけれども、これまで社会情勢の変化を踏まえまして、県農業・農村基本計画の目標達成のために、特に平成22年度までの5年間に重点的に取り組む施策の方向と施策を取りまとめていく必要があるだろうとは考えております。ただ、その中身につきましては、やはり県のまず施策の基本方向、産業振興の一つの柱として農林水産業を位置づけ、それによってやっぱり地域の振興というものをやっていきましょうということが大きな柱としてあるわけでございますから、それを踏まえ、かつ、先般出されました国の新たな食料農業・農村基本計画をどう実現していくのかということをその横糸に織り込みながら、では農林水産部としてどういう方向性なり、あるいはビジョンを持つのだということはやはり示していきたいと考えております。
 それを踏まえまして、今度は各地方振興局が地域の中において、そういった農林水産業施策を織り込みながら、地域全体としての地域振興策をどう考えていくのかという、そういったところにつなげていく、そういったお手伝い役みたいな形での基本計画をまとめていく必要があるだろうとは考えております。
 いずれ、やっぱりこれから大事なことは、我々が縦割りでもって地方振興局を縛るのではなくて、むしろ地方振興局が総合的な施策を展開していく上で、我々としてそれがどうお手伝いできるのかという、そういった観点から基本計画を取りまとめていくということが大変大事ではないだろうかとは考えておりまして、そういった観点で、なるたけ早い段階にそういった方向性を示してまいりたいと考えております。
 それから、次にBSEの問題で輸入再開の動きをどうとらえるかという話でございますが、委員、今リスクが小さいというお話をおっしゃいましたが、それはあくまでも条件が遵守されればということでありまして、ある意味で非常に限定つきのというふうに我々としては受けとめております。このことは食品安全委員会が科学的根拠に基づいてリスク評価を行ったと。ただ、それもあくまでも前提、こういうものが遵守されればという前提づきのものであってということでありまして、今度はリスク管理機関である国がそれを受けてリスク管理の徹底をやっていかなくてはいけないだろうというふうになったと受けとめております。いずれ今後、輸出プログラムの実効性の検証あるいは査察方法などが明らかにされてくると思われますので、それを注視していきたいと今、考えているところでございます。
 我々の基本的なスタンスとすれば、やはり米国においても国内と同等の処置がなされることが前提だということで言ってきたわけでありまして、そのことについてもあくまで科学的根拠に基づき判断されるべきものだという、そこは変わらないと思っております。知事が将来の、ある程度危険が深まる、あるいは消費者の方々がどういうふうにそれを受けとめていくかということを答弁したのも、こういったことがやはりきちんとなされていくということが私は前提なんだろうと思っております。
 いずれ、今回の問題につきましても、仮に消費者の信頼というものをもし回復するとすれば、やはりその前提条件がきちんと遵守される――遵守されるということは、やっぱり明らかにしていくということが、あくまでもその前提になるのではないだろうかと考えておりまして、ここのあたりは、ですからそういった意味で、決して今すぐそれで方針を変えるなどという、そういったものにはならないだろうとは考えております。
〇千葉康一郎委員 佐々木順一委員の質問に関連して二つばかり質問したいと思います。
 一つは、先ほどお話しありましたけれども、中山間地域における担い手確保等々なんですが、やはり地形的にも現状では担い手への集積とか規模拡大というのはかなり難しいと考えます。やっぱり農地の荒廃あるいは耕作放棄地、どんどんふえてくると思うのですが、それをなくすためにも、あるいは担い手を確保するためにも生産基盤の整備がぜひ必要だと思っております。それから、基盤整備とあわせて営農組織化、これが進むと思います。今までの経験からしますと、篤農家等が多い地域では集落営農というのはなかなか理解が難しいんですね、理解されないんですよ。したがって、基盤整備をするのにあわせてこれを進めることが、集落営農を進める、あるいは担い手を確保するということにつながると思いますので、ぜひこれを一つすべきだと思いますが、この件についてお伺いしたいと思います。
 それから、もう一点、現状、担い手が、いわゆる現在担い手と言われておる方々も、頑張ってやってきてもなかなか報われないといいますか、そういう状況なんですね。担い手の意欲を喚起するのは何といっても所得の保障があるということなんですよ。そういうことが私は大切だと思っておりますので、この担い手確保、所得のある担い手を確保されなければ、さっき言ったように農村の荒廃までつながってくる、こういうことでございますので、やはりしっかり担い手を確保するためには、それなりの所得確保をさせるか、あるいはしっかりとした保障をしながら進めていく必要があると思いますので、その辺をお伺いしたいと思います。
〇今泉農林水産部長 2点お尋ねでございますが、委員御指摘のとおり、本当にまず担い手の確保をする、それから確保された担い手がしっかり所得を上げていくということが、やはり私は中山間においても農業振興を図っていく上での本当に必須要件だとは思っております。そういった意味で、確かに担い手確保をやっていくためには生産基盤の整備が、あるいは推進が必要なんだというところはそのとおりでございまして、確かにそういったところでの成果があったということは事実でございます。ただ、いずれ先ほども答弁申し上げましたように大変厳しい財政状況の中で、これまでどおりの形で基盤整備が進められるかどうかということは大変難しいわけでありますが、いずれ担い手の確保につながっていくような何らかの手だてというものは、今後ともとってまいりたいと考えております。また、その確保された担い手がきちんとした所得を上げていくということにつきましても、ともすれば我々つくったところで施策がストップしていたわけでありますが、これからつくったものをさらに流通段階まで乗せていく、その上で確実に所得がというか、その売った代価がその生産者のもとに戻っていく、フィードバックされていくという、そこまでを視野に入れて、どうやって生産者の所得を上げていくかという、そういった取り組みというものを今、進めているところでありますが、今後もこれを強力に進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木博委員長 質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時57分 休 憩
   午後1時3分 再 開
〇樋下正信副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇嵯峨壱朗委員 何点か質問させていただきます。
 初めに、新規就農総合対策事業というものがございますが、その内容については先ほどの部長説明で了解しましたけれども、その成果というか、その点についてお示し願えればと思います。
 次に、いわて農業担い手支援総合対策事業というものがございます。これについての平成16年度の事業の状況とその成果についてもお尋ねしたいと思います。
 次に、先ほどのアワビの密漁の取り締まりについてですけれども、今年度、久慈に取り締まりの臨時事務所を設置していただいて、地元では大変喜んでいるということで、また、その成果もあったかと思っておりますが、来年度以降もぜひ継続していただきたいのと、その設置期間をもっと延ばしていただけないかという、その点について御検討願いたいと思いますけれども、御見解をお願いしたいと思います。
 また、栽培漁業推進対策事業の中でアワビの種苗についての補助がありますけれども、これは1960年に1、600トン生産されていたものが、1990年には160トンまで激減したという経緯があって、その後、続けているわけですけれども、最近では三百数十トン、400トン近いところまで回復してきたと。そういった意味では大変な効果があったと思っているわけですけれども、これについても、その成果というものが私の認識どおりとらえているか、そしてまた今後どういう方向で考えているのか、お聞かせ願えればと思います。
〇阿部農業普及技術課総括課長 新規就農総合対策事業の内容と成果についてでございますが、新規就農総合対策事業費につきましては、本県の農業の担い手を確保するために、就農の希望者の定着を図るために総合的な対応をする経費でございまして、例えば県の青年農業者育成センターに指定されております農業公社でありますとか、県もそうですけれども、普及センターでありますとか、あるいは場合によっては補助金で市町村まで流れておりまして、総合的な対策を実施する事業ということになっております。具体的には農業公社が中心となりまして、ホームページによります情報の発信でありますとか、あるいは県内外で就農相談を行っております。そういった開催を通じていろんな呼びかけをしております。こういった成果が、16年度には就農相談件数が169件となっております。あと、農業の基礎を学びたいという方に農業入門塾ということで、初期段階の研修でありますとか、あるいは就農を前提といたしました研修等さまざま実施しております。こういった方々が16年度には77名の受講者が出てきております。それから、本格的に就農を開始する方々、希望する方々に対しましては、農業改良普及センターが現地におきまして就農計画の策定を御指導申し上げているわけでございます。そして、就農後においても、経営管理、専門技術の経営指導等自立に向けた支援を行っております。こういった成果で、ここ数年、新規の就農者は100名から120名ぐらいでございますけれども、16年度は123名ということで、前年に比べて11名増加しております。
〇及川農業振興課総括課長 いわて農業担い手支援総合対策事業の実施状況とその成果についてでございます。この事業は平成13年度から始まったわけでございまして、平成16年までの実施状況につきましては、県内58市町村におきまして受益された農業者は4万6、000戸に及んでおります。県といたしましては29億円の補助を実施してきたところでございます。その結果、担い手を中心とした地域ぐるみ農業を初め園芸等の産地育成が図られてきております。例えば久慈地方におきましては670棟のハウス整備などの支援をしておりまして、ホウレンソウ栽培の産地拡大、それから川井村におきましては、シソ栽培に係る刈り取り機械あるいは一時加工処理機械施設等の整備につきまして支援いたしまして、品質の確保と産地拡大により、梅の生産地と提携したブランドづくりの産地づくりが行われておりますし、また、雫石町におきましては、地元納豆生産組合に加工処理棟なり、あるいは処理機械の整備支援を行いまして、地域で生産された大豆を活用した地域ぐるみによるアグリビジネスの実践や、また、千厩地方におきましては、パイプハウスやフラワーバインダーの導入などの支援によりまして小菊の産地づくりが加速化するなど、このように園芸産地の育成や中山間地域の産地づくり、あるいはアグリビジネスの拡大など地域ごとの個性ある農業の構築に向けまして、多岐にわたり活用されているところでございます。
〇大森水産振興課総括課長 初めに取り締まりの関係でありますが、今年度、久慈管内に臨時事務所を10日間開設したということを先ほど答弁させていただきましたが、その後も週に2日ほど取締船を配置する取締体制を継続してきたところでございます。その県北地区の取り締まりの強化の成果として、今、検証しているところでございますが、来年度についても継続並びに取締事務所の開設期間の拡大について前向きに検討していきたいと思っております。
 それから、アワビの件でございますが、アワビが200トンレベルまで下がったのがふえてきているということについては、アワビの放流事業の成果であると思っておりますが、ただ、前は1、000トンぐらいまであったというレベルまではまだ回復はしておりません。それで、いろいろと言われておりますが、冬場の低水温が稚貝の生き残りに非常に関係しているということもわかっております。つまり生まれたアワビが初めて冬を越せるかどうかというところが一番きいているんじゃないかと思われていますし、その間、えさとなる海藻の生育状況が、環境の変動等で若干変化してきているのではないかと。それから、先ほど来出ています密漁等の影響も無視できないものとなっていると思われます。今後については、アワビの放流事業については、資源増大の観点もありますが、回収率を向上させて、アワビの栽培漁業を推進していくということがねらいとなると思いますので、放流貝の回収による利益で次の世代となる資源のための放流を続けていくということが、将来にわたり持続的で安定したアワビ漁業の実現に必要であると考えております。そのことから、漁業者による、つまり受益者の負担体制を確立していくことが急務であると考えております。
〇嵯峨壱朗委員 新規就農対策事業についてですけれども、主要施策の成果に関する説明書によりますと、一応目標年次があって、先ほどの説明ですと、ちょっとこの内容と違ったのであれですけれども、新規就農の対象というのは40歳未満という限定があるんですかね。それがそうなのか。なかなか難しいんじゃないかなと思って見ていたんですけれども、また、これで見ますと、平成16年度実績が94、それまでの足した数だと思うんですけれども、先ほど123という数字でしたけれども、一定の成果が上がっているということでは理解しますけれども、どちらが正しいのか、お聞かせ願いたいと思います。
 いわて農業担い手支援総合対策は本当に成果が上がって、農家の皆さんは大変助かっているのも事実です。特に中山間地の農業者にとってはなくてはならないものだなと思っております。来年度以降ですが、ぜひ継続してもらいたいという立場なんですけれども、今後の考え方をお聞かせ願えればと思います。
 また、取り締まりについてはそのようにしていただければと思います。大変ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 また、アワビの放流ですけれども、今年度から幾つかの事業が交付金化されて、どこにどう使うかという部分が、県の判断にある程度なってきているという話なわけです。サケとかの卵、その採取に対する補助もそういったメニューの中に交付金として入っているんですけれども、その中の調整が、両方やってもらいたいですけれども、総枠があるからどうするのだろうなと思っているんです。ぜひ、この点の考え方については部長からお聞かせ願えればと思います。
〇今泉農林水産部長 私からはいわて農業担い手支援総合対策事業、それから今の交付金のことについて御答弁させていただきます。あとは担当の方から答弁させます。
 農業担い手支援総合対策事業につきましては、地域からのニーズが大変多いということは承知してございます。したがいまして、18年度以降においても、この事業の成果を踏まえまして、さらには農業をめぐる現状、とりわけ国の新たな経営安定対策の対応をどうしていくかといったようなことも踏まえまして、次期対策をどうするか、今、検討しているところでございまして、いずれ、担い手の育成がまさに急務でございますので、何か、そういったところで新しい基軸を出していけないかどうか、ここは引き続き検討してまいりたいと思っております。
 それから、交付金化のところでございますが、年度当初、ここの調整のところで若干手間取ったというところはございます。ただ、これにつきましては、これは私どもの方で自由にという話でもございません。地域の方で提案があって、それに対して私どもの方でそれをどうするかということの調整でございますが、ここにつきましては、本県の水産振興を図る上で、どこを重点的に考えていくべきかというあたりをやはりじっくり、この辺の調整は今後も進めさせていただきたいと考えておりますので、御了解願いたいと思います。
〇阿部農業普及技術課総括課長 先ほどの新規就農総合対策事業の成果でございますが、実はこういう成果を出す場合、事業がいろいろございまして、各段階でやられている事業があるものですから、厳密にいたしますと合わない部分があるかもしれませんが、多分、今委員のおっしゃったのは、拾い方で多少差が出てきたものではないかと思っております。さらに、今年度はこのたぐいの事業といたしまして、新規のいわゆる入り口のところの若者に対する働きかけということで、ジョブカフェと一体的な働きかけをいたしまして、これが定期的なジョブカフェの相談会につながっておるところもございますし、それから、例えば農業を体験したい方々には現場の農業を体験していただくように、バスツアーと申しますか、簡単なものをツアーで見学する会ですとか、もう少し深くなりますと、何日かの体験をする手だてをつくっておりますし、さらにそれより長くという方々には、数カ月単位で先進の農家に入っていただいて研修していただくというような項目を強化いたしております。既に具体的に長期の研修生は20名ぐらい入っておりますし、また、これからそういった方々に対して、冬場はどうしてもあきが出てまいりますので、農業大学校等を通じまして長期の研修等をいたしまして、実力アップをしていただくというふうなさまざまな手だてを講じてまいりたいと思っておるところでございます。
〇工藤大輔委員 それでは、数点質問させていただきたいと思います。
 午前中の審議の中で、シイタケ生産につきまして飯澤委員から質問があったところであり、私も質問しようと思っていましたが、重複した分については省略をさせていただきたいと思います。その場で、過去、このシイタケの販売普及と、それらをこの委員会等でも、特にもまたその愛称について、かなりいい悪い、賛否両論あるような形の中でさまざま議論がありました。過去には、例えば名前がよくない、ミスターDという名前がいいんじゃないかなとか、さまざまアイデアが出されたところでもございましたが、いずれ、現在、県産シイタケのモッコリくんという名前が、消費者また生産者にもそうなのか、いまいち一体のものとなってない。そして、せっかくあるかわいいキャラクター等が生かされないまま、販売促進にもつながっていないという感じを持っています。きのう、おとといの日程の中で、これはちょっと地元の話で恐縮なんですが、種市の方で産業祭りがございまして、その中で地域の核としているダイバーのダイちゃんという着ぐるみがあり、そして、そのほかに久慈振興局でことしからタベレンジャーという形で、例えば種市に来ていたのはイクラレッド、ウニイエローの二つの着ぐるみがあって、非常に子供さん方には注目をされ、しかも喜んで一緒に遊んでいたという光景が見受けられました。そういった形で、例えば県産の食材をやはり食べてもらうという観点からすると、モッコリくんにつきましてもさまざま取り組みがさらにあってもいいんじゃないかと。聞いた話によると、モッコリくんというよりも、取り組みはサッパリくんだという話も聞き受けられるような感じがあり、いずれ、連携した形で販売促進にしっかりとつながり、生産者に還元させるような施策が展開できないかと思うところでございますが、それについて御見解をお伺いしたいと思います。
 キノコ関係についてなんですけれども、現在、シイタケについては県の方でもさまざま取り組みが一生懸命されているところでございますが、スーパー等で見ますと、その他、市場性の高い各種キノコが販売をされているところであり、それは特にも菌のメーカーとの連携が強固になり、市場において優位性を発揮しながら作物が生産され、そして販売されているというのが今の実態ではないかと思います。その実態を見ますと、やはり菌床メーカーとの連携が結ばれれば、さらにその販売促進であったり、つくる大きなメリットも出てくるのではないかと思います。しかし、現在の県の取り組みからしますと、シイタケ等は一生懸命なんですが、他のものについてはなかなか取り組みが進んでいない。また、販売権等の問題もあり、難しいところもあるかと思いますが、私は、そういった取り組みが必要ではないかという思いを持っています。これにつきましてもあわせて御見解をお伺いします。
 次に、木炭についてお伺いしますが、現在、中国の方で生産が中止された結果、各国から日本に入ってくる木炭の量が変わってきている状況がございます。生産者の方では、中国から入らないということは、安価なものが入らないということで、その生産量や価格について大きな期待を持ったところでございますが、現状を見ますと、さほど好影響が出ているという思いをしないというのが実態ではないでしょうか。その現状について、これは簡単で結構ですので、お示し願いたいと思います。あわせて、この木炭においては商工労働観光部、そして木炭協会の方と数年前にいわてブランド21推進事業ということで、県のブランド品を推進する一つとして採択をされた形で、たしか2カ年だったかの取り組みがなされたと思います。農林水産部の方も一体となって取り組まれたと思いますので、その成果についてお伺いしたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 愛称モッコリくんについてお答えいたします。この愛称は、平成4年、本県で開催されました全国きのこ振興大会を記念いたしまして、その実行委員会が公募して決定したという経過がございます。このネーミングは、県産シイタケの肉厚などんこの特徴がうまく言いあらわされているということ、それから種々話題になるほどのインパクトがあったということから、一定の宣伝効果はあったものと思っておりますが、実はこのモッコリくんの商標権は岩手県森林組合連合会が持ってございまして、午前中にお話しした集荷3団体の他の団体は岩手純情しいたけ、あるいは玉茸という独自なブランドを使って販売してきたということ、それからモッコリくんはどんこのイメージが強過ぎて、香信などの別な品柄にはちょっとなじみにくかったということなどから、県一本の愛称というところまでなかなか発展し切れなかったというのが実態でございます。このようなことから、最近では県内集荷3団体でやっております岩手県乾しいたけ販売戦略協議会は、実はいわてしいたけ王国というブランドに軸足が動いてございまして、出荷箱にもいわてしいたけ王国ということ、それから販売促進用のポスター等にもいわて乾しいたけ王国ということで、それを岩手の統一ブランドとしてございます。ですけれども、このモッコリくん、使いようによっては、大変恐縮ですけれども、いろいろ方法があると思います。今後、森林組合連合会を含む販売戦略協議会の構成団体と使い方についても相談してまいりたいと思っております。
〇千田林務担当技監兼林業振興課総括課長 まず、シイタケ以外のキノコの生産振興にも取り組むべきでないかというお話でございましたけれども、現在、エリンギに代表されますように、ニュータイプのキノコというのが非常に市場に出ております。ただ、これは設備投資とか相当の資金力を要しますので、委員御指摘のように、種菌メーカーとかなり密接な連携をとらないと、生産していくのはなかなか難しいと考えてございます。
 御案内のように、本県はこれまでシイタケを中心にやってまいりましたので、今後ともそのシイタケを中心にキノコの生産振興を図るというスタンスは変わりませんけれども、地域の方からそういう要望があれば、検討もしてまいりたいと考えております。
 それから、2点目の木炭の関係でございますが、まず、中国産木炭の輸入禁止に伴う本県への影響でございますけれども、昨年の10月に中国の木炭は全面的に輸出禁止になったわけでございますが、その後の流れを見ますと、確かに中国産の木炭は減少しているわけでございますが、それにかわりましてマレーシアとかインドネシアとかミャンマーから輸入が大変ふえまして、プラス・マイナスしますと、若干輸入量がふえているといった状況でございます。これはいろいろその国その国の事情があろうかと思いますけれども、そういうことで岩手県の木炭価格への影響といいますか、その価格は今のところ余り変わっていない。それから、生産量につきましても前年度と同じ程度の生産量で、これは本県の木炭が、今、稼働率6割弱でございますので、仮に需要がぐんとふえた場合には、木炭の稼働率を上げることによって対応できるとは思っておりますけれども、基本的には価格が上がらないと、なかなか生産量も伸びないといった実態にございます。
 それから、いわてブランド販路開拓の関係でございますが、これは商工労働観光部の方で実施している事業でございますが、平成14年度にアクションプランをつくりまして、その後、15年度、16年度とさまざまな事業を展開しているようでございます。詳細はちょっとわかりませんけれども、主に岩手木炭のPRといいますか、そういうものを主体に、あるいは消臭用の新商品の開発ということをやっていると聞いてございます。この成果ということでは、やはり本県の場合はどちらかというと、木炭の販売ルートというのは東京の卸売問屋を通して販売しているわけでございますが、いろいろ首都圏でもイベントをやってございますので、首都圏においても岩手木炭の知名度が上がってきているということでは、一つの成果ではないかなと思っております。
〇工藤大輔委員 愛称の件なんですが、先ほど言ったモッコリくんなんですが、私も、とりようによってはかなりインパクトのあるネーミングで、非常に頭に残るものがあるなという思いがしています。そういった中で、例えばどんこ、香信だとか乾燥シイタケは、確かに傘の部分というか、何というか、上の部分が色が違ったりして、イメージがちょっとまた違うものがあったりするところはあると思いますが、モッコリくんのキャラクターを見ますと、普通の生シイタケと同じような形にも見えるんです。そういった中で、シイタケ全般として統一して新しいしいたけ王国という位置づけ等もあるかと思いますが、やはりいま一度、もう少しこのイメージキャラクターをアピールすることによって、これは県内初め他県にもなかなかないおもしろいネーミングだと思いますので、再度、またその取り組みが進められ、生産増につながるように期待をしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 木炭につきましては、一国から入らなければ、また違うところから入るというのは世界のマーケットの流れかもしれませんが、いわてブランド21推進事業にも採用されて、そのPRに努めた結果というものが、もしなかなか出ないというのであったら、さらにこれを推し進める努力も継続して行っていただきたいと思います。県内にはかなりいいナラの木だとか、その資源となるものが多いわけでございますので、先ほど言ったのは、大体菌床がメーンになってくると思います。そういった中で県産材を活用するという観点も含めてトータルで、例えば菌床のシイタケであったり、また県産材の活用という観点で、所得が向上するような施策に結びつけるようにお願いしたいと思います。
 続きまして、漁協合併についてお伺いしたいと思います。県内漁協合併が進んでいるところでございますが、その取り組み状況、そしてその成果についてどのようにとらえているのか、お示し願いたいと思います。
〇工藤団体指導課総括課長 漁協合併についてのお尋ねでございます。漁協をめぐる経営環境というのは、組合員が減少している、あとは販売高も減少しているという厳しい状況に置かれております。このため、漁協系統におきましては平成12年に1郡1漁協構想、これは県内の漁協を四つにまとめようという構想、そしてその後、16年には11の拠点漁協の形成を経た上で、平成19年度末までに1県1漁協にしようという構想で漁協の合併に取り組んでおります。
 漁協合併の成果ということでございますが、ここ二、三年の間に四つほどの合併漁協が誕生いたしてございます。種市南、釜石湾、広田湾、大船渡市というところでございますが、合併に伴いまして、財務基盤、経営基盤が強化されたということ、あるいは役職員の削減、事務所の統廃合、統合というメリットなどもございまして、おおむねこの4漁協につきましては経営収支が改善される方向にありまして、中でも種市南につきましては赤字体質から脱却いたしまして、平成16年度事業決算におきまして黒字を計上したという状況になってございます。
〇工藤大輔委員 この漁協合併なんですが、今、赤字体質から黒字体質へと転換が進んでいるという答弁、また、事務所、役職員等の配置等が経費がかからなくなってきたということがあると思いますが、私が見る限り、例えば旧の各単協が生産部として残っているということで、どうしても組合員の方々は旧の単協の位置づけですべて物を見ているのではないかという思いがしています。これが改善をされてこなければ、例えば漁協全体として事業をやりたいといった場合に、全体の割り振りだとか、ましてその利活用といった観点で、どうしても各生産部に足を引っ張られるというか、どうしてもそこを通さなければならないといっているのが現状ではないかと思います。それらはすべて漁業権にも絡んでくるものもあると思いますが、赤字が大きい漁協、少なかった漁協によって、実際一つになっても、まだまだ内部は一つになっていないという思いがするところでございますが、今後、こういったものに対して、県としては、例えば漁協が一つになるということは、最大のメリットを発揮させるためにはどうあるべきだという形で県漁連の方と協議をし、また指導していこうとしているのかお伺いしたいと思います。また、将来的な1県1漁協に対する見通しについて、先ほど、年度は示されたところではございますが、見通しについて改めてお伺いします。
〇工藤団体指導課総括課長 合併後の漁協の一体的な運用についてでございます。先ほど、財務改善上のメリットがあると申し上げましたが、全く違う漁協同士が一緒になるということもありまして、人心の一体化、あるいは組合員の方々の意識の一本化といった問題が引き続き残るのかなとは思われます。そこにつきましては、各単協の組合長なりの強いリーダーシップのもとに、人事交流でありますとか、さまざまな手だてを講じていただきまして、組織が一体的な運用がなされるように、そして例えば合併によって生み出された、余剰な人員ということではないんですが、今までできなかったようなマーケティングの部分を強化していくとか、そういったことで組合員の運営を高度化していくということが望ましいと考えております。
 また、1県1漁協の構築の見通しについてでございますが、現在、17年度末までに拠点となる11漁協を構築しようとことで、各系統と、県の方も支援しながら取り組んでおるというところでございますが、4地区が何らかの形で構築されていますが、7地区がまだ残っているという状況でございまして、主な理由は財務格差の問題等々ということでございますが、この状況が続きますと、なかなか厳しいのかなとも考えております。
〇高橋雪文委員 私の方からは、243ページの生物工学研究所管理運営費並びに245ページの基礎的バイオテクノロジー技術開発促進事業費についてお聞きしたいと思います。
 まず、それらの内容と研究実績、さらには今後の方針についてお知らせいただきたいと思います。
〇阿部農業普及技術課総括課長 生物工学関係のお尋ねでございますが、まず、生物工学研究所は、所要の設備を整備した上で、平成5年に発足しております。実際、これらを活用いたしまして研究活動を進める財団法人岩手生物工学研究センターは、若干それに先立ちまして既に設立されておりますけれども、まず、生物工学研究所管理運営費につきましては、研究所の施設設備あるいは機器等の維持管理に要する経費でございます。
 それから、245ページの基礎的バイオテクノロジー技術開発促進事業費につきましては、バイオテクノロジーの基礎研究を行います財団法人岩手生物工学研究センターへの県からの委託費でございます。その内訳につきましては、研究員の人件費、実験に要します材料・薬品等の資材、あるいは情報収集、図書の購入、各種調査等に要する経費でございます。
 次に、研究の実績でございます。これまでの研究の実績につきましては、これまで県の試験研究機関への技術移転を前提といたしまして主にやってきておりますが、そういった中で水稲、リンドウ、ピーマンなどの本県の振興作目の優良遺伝子の探索、機能の解析、品種改良の効率化技術の開発等を実施しておりまして、こういった中で特許の出願件数は合計で52件となっております。そのうち国際特許が1件ございます。さらに、移転技術の県の各試験研究機関別の内訳でございます。合計で56件ございますけれども、農業研究センターへ46件、工業技術センターに4件、林業技術センターに4件、環境保健研究センターに2件という内訳となっております。
 それから、こうした移転された具体的なその内容と効果について若干御説明させていただきますけれども、一つは、私どもの県の主要な作目の一つでございますリンドウでございます。これの抗体の活用でありますが、遺伝子解析による高精度で迅速なウイルス病害の感染検定技術、それから、簡易にそれを検出する技術等を確立しておりまして、現場におきまして病害の判定のしやすさと申しますか、そういう判定と、防除の際の指導に実際に活用されております。抗体の活用、遺伝子解析による高精度の中におきましては、もう一つはピーマンの新しいウイルスですけれども、こうしたウイルス関係の研究が進んでおりまして、その系統の解析技術が平成10年までに確立されておりますけれども、冒頭申し上げましたように、こういった技術をそれぞれの試験研究機関に移しまして、この場合は農業研究センターになりますけれども、この技術をウイルス病の診断に応用いたしまして、他県の産地で深刻な問題になっております病害の蔓延を未然に防止できたと考えております。これは、例えば簡易な診断キットが開発されて、それを活用した経緯等もございます。
 それから、最近では平成13年度に技術移転をいたしております水稲のDNAマーカーの利用技術、このDNAマーカーと申しますのは、育種のスピードを大幅に向上させる期待ができるわけですけれども、こういった技術を使いまして、農業研究センターにおいて、直まきによる大幅な省力化ができますけれども、そういった特性を持ちます品種、それからいもち病の抵抗性を持つ個体の選抜等に活用されておりまして、大幅に育種の効率が高まると期待しております。
 それから、キノコ等もございまして、平成11年度には、生育が非常に早いということで、しかも褐色に変色しにくいシイタケの交雑株を作出いたしまして、それが林業技術センターの特性評価を経て、日持ちのよいシイタケの品種の登録につながっている等々がございます。さらに、平成15年度には、先ほど申し上げました国際特許の一つでございますが、Super SAGE法を初め、基礎技術でございますので、農林水産業でありますとか、そういう産業以外にも医療でありますとか、あるいは環境などの広範な分野に利用可能な技術が開発されてきております。
〇高橋雪文委員 こういう研究というのは、その評価をすることは非常に難しいと思います。特許が52件というは、これが一つの指標になるのだろうなとは思うわけでありますけれども、こういう御時世にあっては、もっと産業界、畜産関係、もしくは農業関係の方々にやはり技術をきちっと提供できるような基礎研究が必要だろうと思います。日本においては、実はつくば万博の時代はアメリカと日本は世界のトップクラスでありましたけれども、今はいろんな要素があって、実はインドとかイギリス、フランスなんかにこういう先進技術が移転している。どちらかというと、このバイオテクノロジーの技術の中では、世界の中で後進国になりつつあるというのが日本の状況であります。農業先進県としての本県の位置づけからすると、やはりこの技術をしっかりとした安心・安全なものにしながら、やはりこれからの技術開発、もしくはこの研究にある程度力を入れていかなきゃならない。そのためには方向性を明確にしていかなければならないという問題があるのではないか。それが産業界との連携であったり、特許の取得を限りなく多くしていく、そういう力強さが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇今泉農林水産部長 私も高橋委員御指摘のとおりだと思っております。確かにこれは発足当時、基礎研究をやるということで、それまでありました今の農業研究センターなんかと、現況をとると、その枠内でという一つの大きな縛りをかけながらやってきたというところがございます。そういった関係でなかなかその広がりは見せないのですが、ただ、そこのそれぞれの分野では、ただいま申し上げたような成果が出てきているということでございますし、おそらくその成果も、ただ単に特許件数ということだけはなくて、例えばピーマンのウイルスの未然防止ということであれば、それはそれで被害額を換算していくと膨大な額になるだろうと私は思いますし、それはリンドウについても同じことが言えるだろうと思っております。そういった意味では、私は、岩手県の農業に非常に貢献はしてきていると考えております。ただ、設立して13年たちまして、今、特許にまでは至らないけれども、さまざまなシーズというものが出てきております。現在、これらについて、これをどう活用していくか。これはやっぱり委員御指摘のとおり、ここから産業に結びつけていくことができないのか、そこから新しい業を起こしていくことができないのかという、今その辺の可能性について、新しくかわった所長ともども検討を進めているところでございます。
 例えばその一つの例として、先ほど、日持ちのいいシイタケを育種・研究を行って、新しい品種登録をしたという話がございましたが、その中で、シイタケを生産する酵素でラッカーゼというものがあるんですが、それがどうも環境汚染物質を分解できる機能を持っているということがわかってまいりました。これにつきましては、現在、環境保健研究センターと、これをどう活用していくか、共同研究を行っているわけでございますけれども、多分、そういったところから新しい起業といいますか、業を起こしていくことも可能ではないだろうかと私は考えております。いずれ、今後はもちろん岩手県の農林水産業の発展を支えていくための基礎的な研究ということはベースにしながらも、その辺で出てきた周辺というか、派生的な技術につきましても、できるだけ多く民間に開放をしながら、その中で新しい展開とか二次的な展開をするということもさらに考えていきたいとは考えております。
〇新居田弘文委員 私は4点ほど伺います。
 まず、1点目は、岩手県の農業振興全体についてでございますが、平成11年に策定しました岩手県農業・農村基本計画で、平成9年を基準年次として22年までのそれぞれの作目とか畜種ごとに目標を掲げて、これら政策を展開してきたと思いますが、16年度まで振り返って、その到達目標に対してどれぐらいの進捗度といいますか、達成度がどうなっているか、その点について最初にお伺いします。
 なお、米等については承知しておりますので、畜産とか、あるいは豆、麦、蔬菜園芸等、大まかで結構でございますが、そういうくくりで今の状況についてお示しをいただきたいと思います。
〇及川農業振興課総括課長 農業の総生産額の伸びでございますけれども、平成16年におきましては2、619億円ということで、冷害年の15年から32億円ほど回復しまして、5年ぶりに上向いたところでございます。しかしながら、平成16年までの推移を見ますと、米、畜産、園芸、いずれにあっても平成17年の中間年次に比較しましてかなり低位な状況にあります。例えば野菜につきましては、平成16年は285億円ありますし、花につきましては58億円ということで、ほぼ横並びに推移してございますし、果物につきましても134億円、これもおおむね基準年から横並びしておりますが、また、畜産におきましては、乳牛243億円、肉用牛は196億円、豚につきましては206億円、鶏につきましては615億円と、いずれも基準年よりは落ちた形で、17年の年次目標に対してかなり低位にあるような状況でございます。
〇新居田弘文委員 総体的には、目標に向かってまだまだこれから頑張らないとならないというような状況にあるのかなとお聞きしました。その中で米については、御案内のとおり、全国でも豊作ということで、非常にいい傾向にございまして、東北地方についても、ことしの作況指数が101と伺っております。
 米についてちょっと触れますが、これは10月の新聞ですが、東京価格センターですか、全国米穀取引・価格形成センターでの上場結果が載っておりまして、前年に比べましても岩手県産の米についてはかなり厳しい状況だと。しかも、上場された部分の20%余りが売れ残ったというようなことで報道されておりまして、その中には豊作によっての価格低迷とか、あるいは岩手県のひとめぼれの知名度の低さが、その価格にも影響しているのではないかなというようなコメントも載っておりまして、その辺の県としてのとらえ方なり、あるいは今後それを全国展開していく場合の宣伝の取り組みとか、その辺についての考え方、取り組みの計画等についてお伺いしたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 17年産米につきましては全国的に豊作であるということで、委員御指摘のような入札結果になってございます。この中で全国の品種銘柄ごとに並べてみますと、やはりこういう販売環境の中でもきっちり売っている銘柄もあるわけでございます。1例を挙げますと、コシヒカリでございますが、このコシヒカリに比べて本県内のひとめぼれの知名度ということになりますと、低いのは事実でございます。この背景といたしましては、一つはコシヒカリが新潟県で奨励品種にされたのが昭和31年で、約50年にわたってコシヒカリ、コシヒカリという宣伝活動がされてきたということ。それから、本県の場合は、ひとめぼれにつきましては平成3年に奨励品種として一生懸命やっているわけですけれども、なかなかコシヒカリに追いつけないという状況がございます。さらに、コシヒカリは北陸以外に北関東でもかなり物量があるということで、今、全国の総量の4割ぐらいがコシヒカリになっているというような形で、この中でも本県のひとめぼれは、御案内のように、10回連続特Aという味のよさ、それから本県の場合は特栽が多いという安全・安心な産地であるということが売りでございます。このことを引き続きPRしていく必要があるだろうと思っております。今までいろんな農業団体と一緒になってやってきた結果、大手の米卸さんの方々には岩手の米というのはかなり認められてきていると思いますが、その先の小売・スーパーということになると、やや心もとないのかなという感じをしてございます。これからは、厳しい販売環境の中で米を売っていくということになりますと、卸さんが買いたくなるような仕掛けをしていかなきゃならないということになりますと、スーパーなり、あるいは小売店の段階で一般の消費者にわかっていただくような取り組みが大切だろうと思って、今、米卸さん等と連携して、そういう動きをしているところでございます。
 それから、かなり厳しいということで集荷円滑化対策、要するに豊作時の過剰米というか、できた分を別に隔離して販売環境を整えるということで、今、検討されておりますので、こういうことをも含めまして安定供給を図っていかなければならないと考えております。
〇新居田弘文委員 先ほども紹介がありましたように、食味値Aランク10年連続というような背景もありますので、それこそほかでは50年の歴史もあるようでございますが、その面、岩手県は10年ちょっとということで、まだ時間的には厳しいものがありますが、引き続きPR方をしていただいて、岩手県産の米の販売について御努力をお願いしたいと思います。
 それから、先ほど、午前中の質疑の中でBSE対策の関係がございまして、輸入が近く始まるだろうと。最近、子牛市場とか、あるいは乳牛価格についても比較的高い数字で推移したというような傾向がございますが、これが、輸入が再開されますと、ヘルシー用の短角牛についても、あるいは一般の黒毛和種についても、今までと違ったかなり厳しい環境に置かれるのではないかなという心配をしていますが、その辺の取り組みについてお考えをお示しいただきたいと思います。
 それから、前に進みますけれども、二つ目は担い手対策ということで、認定農業者の実績等もここに数字で示されておりまして、到達度は目標に対してまだ50%というようなことで、これからの部分もたくさんあるんですが、認定農業者から個別にお伺いする機会があるんですが、それぞれいろんな事業とかさまざま導入する際の優先順位等もあって、特典もあるんですが、例えば今は生産調整と言わなくて米の生産目標割り当てみたいな形で変わっていますが、その際、ある程度一般の農家と比較して認定農業者に対しての配慮というか、特典を与えるようなことをもし考えられるとすれば、これも進みやすいのではないかなと。そのことによって、午前中もお話がありました農家の経営安定対策としての中核になる農家の4ヘクタールの集約とか、あるいは20ヘクタール以上の集落営農もかなり加速されるのではないかなというような思いをしておりますが、その辺の見解についてお聞かせをいただきたいと思います。
〇佐々木流通課総括課長 BSEに関連した牛肉の販売対策についてでございますけれども、いかなる場合であっても、国産牛なりあるいは県産牛なりが消費者から支持されるということが根っこになるだろうと思ってございます。そういうことを考えますと、販売上もやはりいわて牛というブランドを高めていくという取り組みをする。あわせて、消費者の応援をいただくためには、消費者にしっかりわかるように表示していくということが大切だと思っておりますし、さらには消費者に素性、産地がわかるということと、その産地でどのような形で牛が飼われているのか、どのような形で牛肉が流通してこの場所にあるのかという、いわゆるトレーサビリティーをきっちりしていくということが、販売対策なり流通対策の基本になると考えてございます。ですから、そのことにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
〇及川農業振興課総括課長 担い手対策についてでございます。委員御指摘のとおり、認定農業者の育成・確保は、進んではおりますけれども、なかなか進度が遅いということでありまして、農地利用集積が進まないで、なかなか規模拡大ができないとか、あるいは地帯別に言いますと、やはり兼業農家の多い北上川流域帯のそういう水田地帯は達成がちょっと低いというようなことがありますし、あと、この制度は土地利用型を中心とした施策でありまして、施設型の園芸農家とか、そういう方々にやっぱりメリットが少ないということで、そんなことでなかなか進度が遅いというようなことがあります。これまでも認定農業者に対しましては、県におきましては機械・施設などの生産基盤の整備、農地の利用集積やさまざまな支援を講じてきております。今後とも県におきましては、機械・施設などのそういう生産基盤の整備など、あるいは農用地利用集積も今までに増してさまざまな支援を講じていきたいなということで考えておるところでございます。今後におきましても、このような支援策に加えまして、説明申し上げました品目横断的な経営安定対策をまずてこといたしまして、そういう担い手協議会を中心に、関係機関・団体の情報の共有を図りながらの個別具体的な指導をしてまいりたいと思っております。やはり相談活動を進めながら、具体的に進めてまいりたいと思います。
 なお、御提言がございました認定農家への米の生産配分とか、そういうことにつきましては、市町村なり農協におきまして、地域協議会の中でいろいろ取り組んでいただくという基本的な考え方で進めてまいりますので、よろしくお願いしたいと考えます。
〇新居田弘文委員 先ほど、課長の方からも流通対策について、あるいは岩手県の産物のPRについて、その決意のほどは伺いました。とかく向こうの方から言わせますと、岩手県が若干その辺の宣伝不足とか、あるいは遠慮ぎみだというような批判もございますので、ひとつ積極的な取り組みをお願い申し上げたいと思います。
 最後ですけれども、総務部で聞きましたら、これは農林水産部だというお話でしたので、ここでお聞きしますけれども、いわゆる建設業者の他産業への進出等いろいろ議論されておりますが、遠野地区でホウレンソウに取り組みしたというような事例があったわけですが、所管が農林水産部だというお話でしたので、お伺いしますけれども、取り組んだ状況の結果、端的に言えば、利益が上がったのだか、あるいは今回は厳しいけれども、将来にそういう見通しが立ったのか、その辺についての感触をお伺いします。
〇及川農業振興課総括課長 農業分野への他産業からの参入状況についてでございます。遠野市におきましては、構造改革特区を利用いたしまして参入してございます。そういうことでホウレンソウも始めたわけでございまして、当初、土壌の関係とか、いろいろかなり悪戦苦闘したようでございまして、なかなか計画通りの収益が上がらないということでお聞きしております。そういうことで地元の振興局あるいは普及センター等、指導をやりまして、徐々に生産は上がってきているとも聞いております。さらに、今度ホウレンソウだけではなくてハウスを利用して花の取り組みも進めまして、経営なり事業が上向いているということをお聞きしております。
〇高橋比奈子委員 これまで先輩議員が、本日は先輩委員がさまざまな県農政を推奨していらっしゃいますが、私も微力ですがその流れに沿って4項目質問させていただきますので、簡潔で前向きな御答弁をどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、県産雑穀の振興について伺います。
 247ページの明細書の方にも雑穀の決算があり、午前中も雑穀についての質疑がありましたが、雑穀を五穀と言いましょうという運動も広がっていますが、きょうは決算書どおり雑穀と言わせていただきます。雑穀は機能性の成分を豊富に含むことから、健康食品として注目を浴びて消費が非常に拡大をしています。国内で最大の雑穀の産地は岩手県ということで、この雑穀は世界に誇れる農産物でもあり、将来はにじを放っているというか、五穀五彩というふうに申し上げましょうか、非常に注目されていると思います。生産者の高齢化もあると思うのですが、この国内最大の雑穀産地の岩手県の雑穀の振興をどのように進めていくのかということ1点。
 次に、岩手にふさわしい安全・安心な農業の振興について伺います。
 主要施策の説明書の36ページにもありますが、岩手の財産は海・山・川・農地です。これを最大限に生かすには、環境に優しい資源循環型農業を推奨していくことが必要だと私は思っております。全国でも、安いというものよりも安全、そしておいしいというものが喜ばれる、そういう農産物が非常に傾向として欲しがられるようになりました。そこで、農薬の使用をなるべく減らし、環境に優しい循環型の農業を推進して、全国に岩手の農産物を大いに買ってもらうべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、県産小麦の生産振興と給食パンへの利用拡大について伺います。
 93年と2001年に給食パンの方から有機燐系のポストハーベスト農薬が出て、民間団体と一緒に国産小麦を使いましょうという運動をさせていただきました。これを踏まえまして、内外の価格差なども小麦粉にはありますが、今、全国ではナンブコムギの需要が非常に高まっていることから、この県産の小麦の生産振興を図るべきと思います。これについてどのように進められるのか。
 あわせて、学校給食のパンの原料としては、今30%入っていると伺っておりますが、これをさらに多く使っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 それから、最後に地産地消について伺います。
 地産地消は健康との関連も含め、本来あるべき姿と思っており、本日の今泉部長の方も事項別明細書の243ページで説明にございましたし、また、先日、工藤勝子委員が県立病院での地産地消についての推進を勧めております。県内の公共施設、福祉施設などの関連施設における県産食材の利用拡大、地産地消の推進なんですが、どのように進めていっているのか。
 以上、4項目、五つの質問をさせていただきます。よろしくお願いします。
〇齋藤農産園芸課総括課長 まず、県産雑穀の振興対策についてでありますが、県産雑穀の振興につきましては、雑穀資源活用体制整備事業によりまして、平成16年10月に雑穀遺伝資源センターを県北農業研究所に設置しております。そこで原種の供給による安全・安心な雑穀の生産・流通の確立や、本県独自のオリジナル品種の開発を目指しております。
 また、県産雑穀の優位性を確保するために、来歴の明らかな優良系統の普及やあるいは栽培履歴の記帳に加えまして、産地精白やあるいは産地パッケージの推進、また、産地加工品開発に今取り組んでいるところであります。
 これらをもとにいたしまして、県産雑穀が消費者に直接届きますよう、生産から流通までの仕組みづくりを進めまして、雑穀においては本県の取り組みが、いわゆるいわてスタンダードと言われるように、さらに生産振興に努めてまいりたいと思っております。
〇阿部農業普及技術課総括課長 安全・安心な農産物、農業の推進についてでございますが、本県におきましては、比較的全国でも早い時期から環境保全型農業と申しますか、環境に優しい農業と申しますか、そういう面に取り組んでまいりまして、環境に優しい防除技術の開発の普及等も一緒に取り組んできたわけでございます。そういった取り組みもありまして、全国的にも消費者の方からもそんな関心も高まっておりますし、県内の取り組みもふえてきております。
 特に米につきましては、農薬の使用を5割以上削減する減農薬栽培というのがございましたけれども、さらに、化学肥料も削減した特別栽培と両面がありますけれども、特にこの両者をあわせますと、水稲では、面積では既に4割を超えておりまして、総面積も多分2万6、000ヘクタール超えているのではないかと思っておりますが、そういう取り組みがございます。
 それから、作物によりましては、かなり農薬の削減が難しい作物もございます。とりわけリンゴなどはそういうたぐいの一つだと思っておりますけれども、近年、性フェロモンによる害虫防除技術が普及してまいりました。これも全国に先駆けまして、ある農協さんの部会の大きな単位で取り組まれている例がございまして、全体でこれもリンゴ栽培面積の1割を超えているのではないかと思っています。1割と言うと少な目に聞こえますけれども、400ヘクタールを超えておりますので、全国ではかなりの先駆的な取り組みというふうに自負しております。
 それから、もう一つ、エコファーマーという制度がございます。これは土づくりと化学肥料、化学薬品の低減を一体的に行う制度でございまして、エコファーマーとしての農業者の方々、知事の認定を受けるわけですが、現在、本県で7、306名でございます。これは全国集計がなかなか出てまいりませんので正確な人員はわかりませんが、多分今までの流れを見ますと、1位が熊本県ではないかと思っていますが、私どもの県は多分2位には入っているのではないかと思っております。
 このように、個々の取り組みであったものが、特にいろんな面での取り組みが、最近農協さんの生産部会単位で組織的に取り組まれるというふうな広がりが見えてきております。今後ともこういう農薬の使用量を削減する技術の確立を引き続き試験研究機関で、それから現場の普及等も進めてまいりたいと思っておりますし、また、農業団体、農協さん等関係団体とも連携しながら、より一層取り組みを強化してまいりたいと思っております。
〇齋藤農産園芸課総括課長 県産小麦の生産振興についてであります。
 平成17年産の県産の小麦は、平成6年産に比べまして約4倍までに作付が拡大して約4、000ヘクタールとなっておりますけれども、残念ながら収量、品質ともに不安定であるという問題を抱えております。平成17年産小麦からは、より品質に重点を置いた助成金体系となっておりますので、従来にも増して高品質な県産小麦の生産が求められているところであります。
 今後におきましては、堆肥施用による土づくりや適切な肥培管理に加えまして、小畝立て栽培など排水対策を徹底するとともに、麦作を経営の柱として位置づける集落営農の育成なり、あるいは共励会の開催などによって農家の生産意欲を喚起しながら、より高品質な県産小麦を安定供給するよう努めてまいりたいと思っております。
〇佐々木流通課総括課長 学校給食パンでの県産小麦の利用拡大についてでありますけれども、県内学校給食の主食についてお話し申し上げますと、米飯学校給食が全国のトップクラスに多い県でございます。具体的に、週5回学校給食あるわけでございますけれども、多くの学校では週3回、それからかなりの学校で週4回米飯学校給食、残りの1回ないし2回がパン給食なりめん給食になっております。
 学校給食で地場産小麦をふやしていくということになりますと、このパン給食なりめん給食で使う小麦の量をふやしていくということにあると考えてございます。ただ、県産小麦に限らず国産小麦、いわゆる内麦の場合は外麦に比べまして製パンが技術的に非常に面倒くさいという部分がございます。特に学校給食ですとパンの製造ラインに一連で流して短時間に大量につくるという特性がございますので、そのことで技術的に解決すべき点がまだ残されておるということで、残念ながら30%にとどまってございます。
 ですけれども、やはりできるだけ県産小麦を使っていくということで、現在は岩手県パン工業組合などでは、県の試験研究機関と連携いたしまして、より県産小麦の使用割合の高いパンを焼く技術開発に取り組んでございます。こうした取り組みによりまして、学校給食における県産割合をさらに高めていきたいと考えてございます。
 それから、2番目でございますが、福祉施設、公共施設における地産地消でございます。県民運動として地産地消運動を展開し、具体的に学校給食なり県立病院の給食では御案内のようなレベルまで上がってきてございますが、地産地消というのは、やはり地域内の資源を地域で循環させて、その地域の経済力なりを高め、地域を活性化させる非常に重要な取り組みであろうと思ってございます。
 そういう考え方からいきますと、福祉施設なり公共施設において地産地消を推進するということは、私ら農林水産業サイドとしても極めて重要なことであると考えてございます。そのため、私どもといたしましては、地域でとれる旬の食材の情報をまず提供してメニューに入れていただく、こういうような取り組みが必要だろうと思いますし、そういう施設でそういう食材を品ぞろえできるような産地間ネットワークなりをつくって、食材供給面で適切に対応していくという必要が不可欠であろうと思っております。今後こうした取り組みを進めるとともに、保健福祉部なり関係部局あるいは市町村とも連携して、県産食材の利用拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋比奈子委員 ただいまの雑穀は推奨をどんどんしていきたいというお話がありましたが、履歴の話もありましたが、97年だったでしょうか、輸入雑穀が県内産として販売されているという民間団体の指摘がありまして、非常に県内外でこのさらなる雑穀ブームで生産量と販売量がどうなっているんだという質問をよく受けます。ですから、生産履歴をしっかりわかるような雑穀の提供を推奨していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
 それから、いろいろと農協も含め、リンゴ、米、シイタケなどを減農薬や、いいものをつくろうということで頑張っていらっしゃるのはよく理解しておりますが、岩手の経済成長の根本策として、資源があるものを有効に活用して日本全国に売るというこの農業は、本当に経済成長の最高の策だと私は思っております。ですから、今のお米とリンゴ、ここは頑張っているというのはよくわかるんですが、それ以外にもぜひ農協や生産者と連携と協働をして、岩手のものは環境に、非常に循環型の農業ですよ、全部がそうですよ、買ってくださいと、ここまで言ってほしいと。これをやっている県は少ないです。これをぜひ推奨していただきたいと思います。それはいかがでしょうか。
 それから、もう一つ、市町村とも連携したいということでしたが、市町村の公共施設の中で入札が県外業者で野菜はアジアの冷凍野菜というところがあります。こういう実態を踏まえまして、私は市町村にも、それから先ほど農林水産部だけではなく、いろいろな部局で連携ということを話していましたけれども、やはり地産地消というのは健康という面、それから経済という面、すべての面において本当に大事なことだと思います。農林水産部を中心にしてすべての県庁内で地産地消を絶対やろう、こういう意気込みでいってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
〇今泉農林水産部長 3点お尋ねでございますが、まず、雑穀の問題でいけば確かに私はまず履歴管理はしっかりやらなくてはいけないと思いますが、と同時に、私はやはり生産者が生産地でもって加工までやって流通していく、そこが大事だと思います。ですから、そのことについて生産地、生産者がしっかり責任を持つという、そういう仕組みをぜひつくっていきたいと考えています。それが一番ではないかと思っております。
 それから、あとは資源の活用、農林水産業はまさに地域にある資源を活用するわけでありまして、先ほど委員がおっしゃったように、これからはやっぱり安全においしさが加わっていかなくてはいけないと思います。そのおいしさを何で表現していくかということは、やっぱり私はそれは一つの、一つが土づくりだろうと思っておりますし、そういったことに取り組みながら、岩手から出るものは安全で、なおおいしいんだということを、やはりこれは私セールスポイントというか、その差別化の一つの大きな要素にしてまいりたいと考えております。
 なお、地産地消の絡みでいけばその公共施設でのような、そういうお話がやはりないように、我々としても今後そういったところへの要請というものをしっかりやっていかなくてはいけないとは思っております。いずれ、県庁の中ではしっかり地産地消を進めてまいりたいと思っております。
〇佐々木流通課総括課長 岩手地産地消運動は県民運動として展開してございまして、地方振興局段階におきましても、県、団体、市町村、もちろん教育委員会も含めてでございますけれども、組織してこれを県民運動として取り組んでおりますので、こういう意識を高めていくことによって、地産地消運動をさらに広げていきたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 私は、トヨタ式カイゼンについての1件だけ伺います。
 先ほどからいろいろ話がありまして、私、聞こうと思っていたことが大分ありましたので、省略させていただきまして、トヨタ式カイゼンの件ですけれども、去る9月15日に県がトヨタ式カイゼンを参考に進めている業務改善の本年度の中間報告会が開かれたということでありますけれども、まず、この業務の改善はどのような内容を目標といいますか、目的といいますか、それに取り組んできたのか。そしてまた、その改善の効果はどうであったか。これをまず農林水産部長に伺いたいと思います。
 質問だけずっと並べますから、よろしくお願いします。改善に取り組んだのは総務部と農林水産部、こういうことでありますが、知事部局の中では農林水産部が一番大所帯なわけですね。最多な職員を抱えている部局でありますけれども、取り組みに当たって職員の理解とか、あるいはその参加状況はどうであったか。
 それから、三つ目は、かなり改善が進んだようだということを言われておりますけれども、いわゆる改善を進めるに当たって、過度な面があったかどうか、その辺を含めまして、県民にとってマイナスになった面はなかったのかどうか。
 それから、4点目、改善によって生じた削減時間をどのような分野に活用されたかということ。特に、私は農家あるいは農林水産業者の所得を上げるというための、その方面に大いに力を注いでもらいたいと思っているわけでございます。
 5番目は、今後もその改善に取り組んでいくだろうと思いますけれども、これまでに取り組んできたいわゆる反省とか、あるいはその課題もあるでしょう。そういうものをこれからどういうふうに生かしながら取り組んでいくか。
 この5点をお伺いしたいと思います。
〇今泉農林水産部長 トヨタ式カイゼンにつきましては、昨年度、一応試行的にまず企画室でやりまして、時間数にして1万2、000時間の業務削減をやったということでございます。それを踏まえまして、今年度から本格的に取り組んで、今年度上期で15%、時間数にして大体10万時間ぐらいの業務量をまず縮減というか、改善していきましょうというような取り組みをやりまして、委員御指摘のとおり、去る15日にその中間報告会をやったということでございます。そのときに私どもで発表させていただきましたのは、流通課、農地計画課、森林保全課というところで実際の事例を発表させていただきましたけれども、それは要するに本当に私どもやっているこれまでの仕事の、前例にただとらわれて本当にただ、余り表現はよくないんですが惰性でやってきた部分というのが本当になかったのか。あるいは本当にこの仕事でこういう時期に高いコストをかけてまでやる必要があるのかというようなところを、私どもの14課・室がそれぞれ総括課長を先頭に、そういった見直しをやったということでございます。その結果、上期で目標を達成できたということでございますし、計画値でいけばもうちょっと若干、10万時間を超えた一応計画が出てきましたが、実績としてはそういった10万時間の実績を上げることができたということでございます。
 このそもそものねらいは、委員が御指摘のとおり、やはりこういった新しい行政需要が出てくる中で、かつ、資源が限られている、資源というのは人的にも物的にも財的にも限られている中で、そういう新しい行政需要にどう対応していくか、そのために我々がもう一度やっぱり自分の業務というものを見直して、その中で浮いた時間というか、その新しく生み出された時間というものをやはりそういうところに振り向けていくべきではないのかということがその根っこにある考え方でありますし、さらには、そういう仕事の質を高めることによって県民の皆さんに対してサービスの質そのもの、我々が提供する仕事の価値なり中身なり、そのものをやっぱり高めていくことを究極のねらいとしているものでございます。
 したがいまして、我々とすれば、まだなかなか我々どうしても地方振興局と違いまして、直接県民の皆さんと接する部分ということはないわけでありますから、なかなか我々がやったことが、ではどういう形で県民の皆さんに反映されていったかということは、ちょっととらえがたい部分があるわけでありますけれども、いずれ、そういった気持ちは常に頭の中に入れながらやってございます。ただ、強いて言えば、例えば私どもで取り組んだ中で、地方振興局と本庁との関係の見直しをやりましょう。これまでは地方振興局から一つの事業計画をやるにしても何回もヒアリングをやりながら進めていた事務を、これはもうちょっと減らしましょう、あるいはヒアリングをやめましょう、あるいは事前に何か書類の事前審査等をやっていたのを、もうそれもやめてしまいましょうと。それぞれがお互いの責任でもってきちんと業務をやっていきましょうというような取り組みもやってございます。
 そうするとどういう効果が出るかというと、地方振興局はその分、これまで本庁とのヒアリングなり事前審査なりに要していた時間がなくなるわけでございますから、その分を地方振興局はほかの仕事に振り向けていくことができるだろうというふうにも考えてございますし、我々は我々でそういった浮いた時間というものを新しい、まさに担い手の対策とか、担い手がつくったものをどう売っていくかという、本当に新しい行政分野というか、施策分野に振り向けていくことができるんだと考えているところでございます。
 こういうことをやっていく上でやはり大事なのは、私がいかにこのことの取り組みのねらいとすること、ここで求められている成果というものをやはり職員一人一人に理解していただき、かつ、共有することができたかどうかということだろうと思っております。これはただ、やはり上期でもってそういった成果が出たということが、それは私だけではありません。その間に入って苦労した総括課長たちがよく私の、あるいはこの運動の目的とするところを理解して、それを職員一緒になってやった成果だと考えておりまして、私はこのトヨタ式カイゼンを進めるに当たって、特に大きな問題というのはなかったのではないだろうかと考えてございます。
 下期につきましても、やはり上期同様に、もうちょっと、15%さらに業務削減に取り組もうということで今やってございますが、これは言ってみれば上期は少しだぶだぶだったその体のまず脂を落としましょうということですね。下期はさらに筋肉質の体質に持っていくための取り組みをやりましょうということで今、下期につきましても15%の削減に向けて取り組んでいるところでございます。
 なお、県庁全体といたしましては、私どもが本来的にまず実施する、言ってみればその先頭ランナーになれということで今、私どもやっているわけでございますが、総務部も年度初めからこの運動に取り組んでいるところでございますし、私どもといたしましても下期についてはできるだけ多くの部なり、あるいは地方振興局がこうした取り組みに同調して、同じ歩調でもって取り組んでいることを期待しているところでございます。
〇千葉康一郎委員 かなり成果が上がっているように私お聞きしたわけですけれども、やはり先例とか、あるいは惰性というのは、これは、本当にこれからは省いていかなければならないことだろうと思います。そこで、実は私が申し上げたいのは、所得確保のためにということなんですけれども、今まで地方振興局で受けたものを本庁に来ていろいろ審査をしたりなどして、また戻っていって今度は事業者にと、こうなりますとかなりの時間なんですが、お聞きしますとかなりその辺は改善されるようでありますが、いずれ、地方振興局は地方振興局の責任でこういうものをいろんな事業を起こしたりなどするのをやらせる。それを本庁がどこまでも、口を挟むというのはちょっと語弊ありますけれども、そういうことになりますと全然進まないということになりますので、私の言いたいのは恐らく部長はわかっていると思いますが、そういうことでひとつ大いに改善をしてもらいたいと思っております。いずれ、部長、その考えをひとつもう一回、部長の決意を聞きたい。
〇今泉農林水産部長 私も何年か前に地方振興局にいましたときに、私どもの部下でやっぱり、我々地方振興局というのは本庁の下請機関ではないんだ、地方振興局は地方振興局としてきちんと地域住民、市町村と一緒になって物事を考えていかなくてはならないんだということを言っていたわけでありまして、今でもそこは変わってございません。私、今度はこっちの立場に来ましたわけでありますから、そういった考え方でもって対地方振興局との関係というものも、やっぱり本来のあり方というものを実現するように頑張ってまいりたいと思っております。
〇野田武則委員 漁協の経営状況と、それから県一漁協体制の構築ということについてお伺いしようと思ったのですが、先ほど工藤大輔委員の方から質問がございましたので、それについては省きたいと思います。
 それで、先ほど来議論されておりますアワビのことについてまずお伺いをしたいと思いますが、非常に県南方面からの不審船がかなり来ているという話も聞いておりますし、それから沖合から商船の陰に隠れてこちらの沖の方に来る、こういう話もたびたび聞くところでございますので、この不審船の動向についてまずお伺いをしたいと思います。
 それから、先ほど部長の答弁によりますと、アワビにタグを取りつけるというお話がありました。たしか先ほどのお話だと既に取り組んでいる地区もあるというお話だったと思いますが、本当は期間を定めて皆さん統一して漁をするというのが一番よかったわけですが、なかなかその期間が統一できなかったということで、これからはタグという方向だと思いますが、県内だけではなくて県外の方々の理解もこれは必要だと思いますので、期間を定めて漁をする以上に大変困難ではないかな、こういう感じがするわけですが、タグを取りつけるということについて本格的にやろうとしているのかどうか。もしやるとするならばかなりスケジュールといいますか、全体的な構想のもとで取り組まなければならないと思いますが、その辺のお考えについてまずお伺いしたいと思います。
〇今泉農林水産部長 アワビのタグの関係ですが、これはもうやっております。うちと宮城県とはちょっとやり方が違うわけですけれども、いずれ今、その辺取り組んでいるということでございます。本格的にというのはまだ、今の状況を踏まえながらということになると思いますけれども、私はやはり密漁防止という一つの、密漁防止というよりもむしろ抑止していくという上では、やはりこれはこれで一つの有効な手段ではないだろうかと考えておりまして、今のその取組状況も踏まえながら今後どういうふうに展開していくかは、また地元の方々とも十分議論しながら進めてまいりたいと考えております。
〇大森水産振興課総括課長 密漁の不審船と言われましたが、密漁被疑船ということでお答えさせていただきます。
 平成10年、11年ごろはアワビの単価も非常に安かったので、それとかかわりあるかどうかちょっとわかりませんけれども、いずれ不審船の出現の数は低かったんです。最近、平成15年、16年とキロ単価が上がってきまして、ことしは9、000円若干切るような価格が出ていますけれども、去年まで1万円ぐらいと、また非常に上がってきています。そのアワビの単価の上昇とあわせて不審船の出現している、県で把握している出現の隻数がふえてまいっておりまして、平成15年あたりは出現隻数が、年間ですけれども20隻ぐらいということで非常にふえてきております。これは確認している数だけということでございます。
〇野田武則委員 まず、一つはそのアワビのタグのことでございますが、先ほどのお話もありましたけれども、漁業調整規則によりまして、アワビの密漁の場合は10万円以下の罰金で6カ月以内の懲役、こういうことでございまして、やはりこの罰則の強化というのが必要だ、これは当然のことだと思いますし、ただいまのお話でもありますとおり不審船も結局そういう暴力団絡みといいますか、結論はつけがたいと思いますが、いずれそういう関係で、利益になるからということで来るんだろう、こういうことですから、この罰則の強化というのはやっぱり必要だろうと思います。ただ、密漁の7割が大体漁民によるもので、ちょっと数字があれですが3割近くが漁民以外の密漁というふうにお聞きをしております。これは件数です。金額とか個数は、これはまた別個でございますけれども、件数から言うと漁民の方が多い、こういうことでございまして、先ほどのタグもそうなんですが、がんじがらめに管理をすることがいかがなものかな、少しだけですけれどもそういう気持ちもあります。そういうことで、これからのアワビのその管理体制といいますか、密漁対策ということに関しまして、厳密に管理していく方向にやっぱり持っていかざるを得ないだろうと思いますが、その辺の漁民との兼ね合いといいますか、その辺について部長の御所見をちょっとお伺いしたいと思います。
 それから、船に関してでございますけれども、例えば漁業取締事務所、これは釜石港にあるわけですが、取締船が2隻ありまして、はやちねと岩鷲があります。それから、岩手県の水産技術センターにおきましては調査船が2隻あって、岩手丸と北上丸、こういうことで、こちらの農林水産部の所管は多分4隻だろうと思いますが、簡単で結構ですのでこの建造費と、それから耐用年数とは言わないそうですけれども、何年ぐらい使えるのかどうか、その辺お伺いしたいと思いますし、それから年間の維持経費、どのぐらいかかるものか、その辺をお伺いしたいと思います。
〇今泉農林水産部長 私ども大変問題視しておりますのは、やはり県外から入り込んできて組織的に密漁していくという部分でありまして、これが私はやっぱり漁民にとって、生産者にとって意欲を失わせていく大きな要因になるのではないかと思っておりまして、ここのところを何とか根絶していくということが、我々としてはまず基本的に取り組むべき対象だろうとは考えております。
〇大森水産振興課総括課長 県の調査船と取締船の経費の件でございますが、水産技術センターで2隻指導船がございます。岩手丸と北上丸、それぞれですけれども、耐用年数というのは、鋼船ですので大体14年ぐらいと言われております。それから、建造費につきましては、岩手丸が6億7、000万円、北上丸が4億4、000万円。それから、維持費については、これは合算ですけれども、岩手丸と北上丸でかかっている人件費以外の部分ですけれども、燃料費を含めて7、600万円ぐらいとなっております。
 それから、取り締まりの方ですけれども岩鷲とはやちねがございまして、耐用年数については、岩鷲、はやちねとも9年とされております。それから、建造費につきましては、岩鷲が5億5、000万円、はやちねが4億円、かなり高額なものとなっております。それから、維持費につきましては、これも漁業取締事務所二つの船合計ですが、7、300万円という状況となっております。
〇野田武則委員 その船の耐用年数、さっき14年とか9年という話だったんですが、14年経過したということでですか、それとも14年目でかえなくてはならないというか、そこをちょっとお伺いしたいと思いますが、いずれ私が聞いた範囲では、水産技術センターの岩手丸がかなり老朽化しているのではないかという話をお伺いしたものですから、ちょっとお聞きしたわけですが、いずれ岩手県の本当に水産業の振興ということに関して言えば、さまざまな課題が山積しているわけでございますが、そういった中でもやっぱり調査研究、その深みといいますか、広さといいますか、そういったものがあってこの水産業というものの将来というものがあるんだろうと思いまして、大変財政的にも厳しい状況なわけでございますけれども、やはり調査研究に当たってはそれなりの応分の配慮をして進めていただきたい。このことを申し添えたいと思います。
 最後ですが、今言ったとおり、水産技術センター、これの今までの成果、それと今後の取り組み、これ岩手県の水産業に大変大きく影響していくものだろうと思いますので、その辺をちょっとお話お伺いして最後にしたいと思います。
〇大森水産振興課総括課長 耐用年数につきましては、その年数が来たからすぐ交換するというものではないと思います。法定点検といいますか、ドックが5年に一遍設けられていまして、それを通さないと次に運航できないわけですから、その中で修理と修繕で対応されている、そのように思っております。
 それから、水産技術センターの成果ですが、平成6年に水産技術センターとして総合試験場になったわけでございます。そういった観点からいろんな各分野で今まで個別に立てていた計画が総合的に、例えば、私もそこにいた者として、例えばマツカワならマツカワについても、各部でそれぞれ、養殖を研究する部門、それから加工について研究する部門、それから放流について研究するとか、そういった各分野からのそれぞれの総合的な研究が組めるとか、そういったことでそれぞれ貢献されているものと思っております。
〇今泉農林水産部長 私は、水産技術センターは、これまでそれぞれの分野で大きな成果を上げてきたと思います。特にワカメの栽培については近年大きな成果を上げてきているだろうと思っております。そうした中で、今後の方向性でございますけれども、これは水産技術センターに限らずどこについても言えるわけでありますけれども、やはり担い手の問題をどうしていくかというところが、これから大変大きな問題になってくると思います。担い手の育成確保の問題、そして確保された担い手が生産したものをどう流通ルートに乗せていくかということ、そういった意味ではこれから水産技術センターを含め、そういったところはそういった用務に本当にこれからますます特化して、そこのところで本来持っている力というものを発揮していかなくてはいけないだろうと思っております。
〇関根敏伸委員 私の方からは林業行政に関連いたしまして、何点かお聞きをさせていただきます。
 まず、第1点でございますが、林業費全般につきまして平成16年度の林業費予算、決算の状況でございますが、林業費全体、当初予算に比較をいたしまして9億円余りのマイナス補正がなされております。これがどのような理由によるものなのか。これは岩手県の林業行政の方向性を示しているものなのでしょうか。あるいは国の林業行政の方向性とも関連しているものなのでしょうか。これをまず教えていただきたいと思っております。
 また、同じく、この平成16年度予算でございますが、同林業費全般の平成15年度決算と比較をいたしますと、大幅な減額という形になっておるわけでございますが、その理由についてもお示しをいただきたい、このように思っております。
〇千田林務担当技監兼林業振興課総括課長 まず、林業費全般にわたるお尋ねでございますが、その第1点、平成16年度の当初予算に比較いたしまして9億円のマイナス補正がなされているということでございますが、これにつきましては、まず主な減額補正の理由を申し上げたいと思います。まず、第1点は、林野公共事業でございますが、これは治山事業、林道事業ございますが、これがあわせて約4億9、000万円の減額を行ってございます。この理由は、国庫補助内示額の減によるもの、あるいは路線完了による事業費の確定によるもの、それからこれは治山の方でございますが、当初、災害関係の予備的な予算を計上しておったわけでございますが、これは、たまたま平成16年度は災害が余りなかったということで、それの減によるものでございます。
 それから、公共事業以外では森林整備地域活動支援交付金というのがございますが、これが国からの交付金が、基金に積み立てる交付金の配分額が約1億1、000万円減額といいますか、少なく配分されたというものが第2点でございます。
 それから、第3点は、県有林事業特別会計の繰り出し金、それから林業公社事業費の貸付金でございますけれども、これにつきましても約1億7、000万円の減額を行っておりますが、この理由は、コストを縮減したということと、それから農林漁業金融公庫に資金を借りているわけでございますけれども、これを低利の資金に借りかえしたということによりまして貸付金が減額になったものでございます。
 このマイナスの減額が県の林業行政の方向性、あるいは国の林業行政の方向性を示しているのかというお話でございますが、基本的には補正の中身は大部分が事務的に処理されるものでございます。ただ、公共事業につきましては国、県とも基本的には抑制方向にございますので、この方向に沿って減額をしたというものでございます。
 それから、平成15年度と比較してかなりの減額になっているのではないかというお話でございましたが、これも今の御答弁申し上げたことと関連するわけでございますが、主な理由は、治山・林道事業等林野公共事業費の削減によるものでございますし、特に林道事業につきましては、7路線15年度に完了いたしましたが、新規路線の着工を2路線にとどめまして、予算の縮減を図ってございます。
 それから、公共事業以外では、松尾村――現在の八幡平市でございますが――ここの県民の森に森林ふれあい学習館を建設したわけでございますが、これは平成15年度、約4億9、000万円かけて建設いたしました。これらの減が大きいものでございます。ただ、そういう中にありましても、今、喫緊の課題となっております間伐、いわゆる森林整備につきましては一定の予算を確保しておりまして、公共事業の選択と集中を進めたというふうに考えております。
〇関根敏伸委員 今の御答弁、今の理由等を受けまして、今、創設を見込んでおります、いわての森林づくり県民税に移っていくわけでございますが、新税の導入に当たりまして種々いろんな議論があったわけでございますが、やはり今までの森林あるいは林業行政を総括し、評価し、県民にわかりやすい説明をしていく必要があると考えるわけでございますが、それはいかがでしょうか。その上で、平成16年度の森林整備、林業振興の各種施策をどのように評価をなされているのでしょうか。
 続きます。また、今までの一般財源の中から7億円の確保を実現していくことは本当に困難なのでしょうか。目的税的新税を導入する最も大きな理由は何と考えていらっしゃるのでしょうか。
 さらに、もう一点です。この森林整備における、創設となれば7億円の予算が出てくるわけでございますが、この新税が、例えば地域のいろんな山林を多く保有する地域に対しての地域振興面はどのような影響が出てくるとお考えでしょうか。
 以上につきまして、一括して御質問いたします。
〇今泉農林水産部長 ただいまの御質問のうち、1点目と3点目につきまして私の方から答弁させていただきます。
 森林には、御承知のとおり木材生産のほか水源涵養、さらには、二酸化炭素の吸収による地球温暖化防止などの公益的な機能を有しておりまして、この機能は、これまでは森林所有者が植林、保育作業を経て伐採し、その収入をもとに再造林を行うという、そういった持続的な林業経営により発揮されてきたということができるかと思います。
 森林環境の保全というものもこうした林業の生産活動の一環の中でなされてきたんだという、それが恐らくこれまでの森林・林業行政ではないかと考えております。これはこれとして当然私どもとしてはやはり引き続きやっていかなければならない部分だと思っております。
 ただ、一方、森林の公益的機能の恩恵というのは非常に県民全体に及んでおりまして、平成16年に行った県民アンケート調査におきまして、新たな森林整備の必要性につきまして、回答者の9割以上が、必要と思う、ある程度必要と思うという回答をいただいております。また、今後の森林整備をだれが担うかという問いにつきましては、やはり回答者の9割以上が、森林所有者ばかりでなく、県民や県・市町村と連携して森林整備を行うべきであるという、そういった回答が寄せられているところでございます。ここから我々何をつかむかというと、やはり森林を県民全体で守り育てていくという、そういった機運というものが芽生え、広まりつつあるのではないかという、そういったことから認識を得ているところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、いわての森林づくり検討委員会からは最終報告の中で、林業生産活動が持続的にできるよう、林業施策はこれまでと同様に進める必要がある。その一方で、従来の林業施策に加え、循環型社会の形成という新たな観点に立った森林施策を講じるべきという、そういった意見をいただいたところでありまして、それを踏まえまして、県といたしましては環境保全を基軸とした森林整備を、森林の恩恵を享受しているすべての県民の皆さんに新たに御負担いただく、そういった税制度を導入し実施しようと今、考えているところでございます。
 その使途についてでございますが、具体的には新たな観点に立った森林施策を講じるべきという、そういった検討委員会からの提言を踏まえまして、民有林を木材生産と環境保全の両面の機能の高度発揮を期待する循環利用森林、これはこれまでどおりの森林整備区分だとお考えいただければと思いますが、それと公益的機能の安定的発揮を期待する公益林、これに大別いたしまして、このうち公益林の中でもとりわけ、例えば洪水緩和あるいは良質な水を供給する上で重要な機能を有する森林、さらには、動植物の生育の場として重要な森林などにつきまして、行政が所有者にかわって整備を行い、公益的機能の高度発揮に取り組んでいったらどうだろうかと今、考えているところでございます。
 いずれ、森林を県民共通の財産として、良好な状態で次の世代に引き継いでいくために必要な取り組みとこれは考えておりまして、これまでも地域説明会等を行ってまいりましたが、今後におきましても県民の皆様に十分に御理解いただけるよう、説明に努めてまいりたいと考えてございます。
 もう一点、一般財源ではできないのかという御質問でございます。目的税的新税を導入する最も大きな理由は何かということでございますが、いわての森林づくり県民税、今こういうふうに名称を考えておりますけれども、すべての県民の皆さんが森林からさまざまな恩恵を受けており、森林を公共的な財産であるという、そういった観点に立って、受益者である県民全体で負担することにより、多様な公益的機能を有する森林環境を維持、保全し、良好な状態で次の世代に引き継ぐという、そういった政策目的を持つ新たな税と我々考えてございます。
 この税によりまして、森林所有者にかわって、行政が森林の公益的機能の維持、増進を図るため、多彩な森林整備を行っていくものだと考えております。
 また、この税の導入によりまして、森林の果たしている役割とその重要性についての県民の理解を深め、森林環境保全に対する機運の醸成というものをやはり図っていくということも、また一つねらいとしているところでございます。
 このように、受益と負担の関係を明確にし、かつその使途を明らかにするという、この新たな負担の趣旨にかんがみた場合、目的税的新税として創設することが妥当ではないだろうかと考えているところであります。
〇千田林務担当技監兼林業振興課総括課長 平成16年度の森林整備、林業振興の各種施策をどのように評価しているかというお尋ねでございますが、まず、森林整備でございますけれども、本県の場合、森林資源の充実を図ることがやっぱりこれまで第一番目の重要な目標といいますか、そういうことを目標に置いて森林整備を進めてきたわけでございますが、それに加えまして近年は間伐の促進とか、あるいは長伐期施業や複層林への移行等、森林の多面的な機能を高度に発揮できるような施策を重点的に進めてまいりました。この結果、平成15年度末でございますが、人工林面積は34万2、000ヘクタールでございますし、ヘクタール当たりの蓄積も約270立方メートルに達してございます。
 特に喫緊の課題でございます間伐でございますが、これは平成12年度から16年度まで緊急間伐5カ年計画をつくりまして実施しているわけでございますが、その目標の8万2、000ヘクタールに対しまして、約6万9、000ヘクタール、84%の実績となってございます。これからは間伐の実施後の課題、つまり間伐材の利用でございますが、これを重要な施策として進めていかなければならないわけでございますが、平成15年度からは森林組合と木材加工事業体の共同作業によりまして、川上と川下をつなぐ流通の取り組みも始めているところでございます。
 それから、林業振興の方でございますけれども、現在、森林資源を充実しているわけでございますが、県内の木材の総需要量に対する県産材の供給割合というのは約6割ぐらいでございます。やはり私どもといたしましては、この差をできるだけ埋めていかなければならないという気持ちでございまして、これも平成16年度から取り組んでいるわけでございますが、特に合板に対して県産材を使っていただく。合板は従来、外国産の木材でつくっておったわけですけれども、これに対して県産材を使っていただくような取り組みを進めておりまして、平成16年度は前年の約2倍の5万2、000立方ほど使っていただいてございます。あわせまして、県産材の利用を図るという意味で今、証明制度、これも平成16年度に立ち上げまして、公共施設や民間住宅での県産材利用の促進を進めておりまして、県産材流通の新しい仕組みも機能をし始めたところでございます。
 これらの新たな施策につきましては、いずれも平成15年度、16年度から取り組み始めたところでございまして、林業の現状の抱えている大きな問題を考えますと、まだまだ足りない面はあるかもしれませんけれども、これらの新たな施策も含めまして各種施策をさらに進めることによりまして、林業の振興を図ってまいりたい、このように考えてございます。
 それから、新税の関係で、これが地域振興へ与える影響はというお尋ねでございますが、新税による森林の環境保全に対する主な取り組みといたしましては、民有林のうち、重要な公益林を対象にいたしまして、例えば、水源涵養機能などの公益的機能を高度に、かつ安定的に発揮する森林に誘導するような事業として使いたいと考えてございまして、これが効果的に活用されることによりまして、地域における雇用の創出とか、あるいはその地域の活性化などにも相乗的な効果が出てくるものと期待しているところでございます。
〇関根敏伸委員 御丁寧な御答弁、本当にありがとうございました。ちょっと聞き方が大ざっぱだったものですから申しわけございません。
 私は、この新税に関しては基本的には賛成なんですよ。その上であえてお聞きをしているわけでございますけれども、先ほど、県民からかなり理解を得ているという御判断がありました。確かにパブリックコメントとか県民の意見聴取の上では60数%が賛成であるという意見が数字としてあらわれているわけなんです。ただ、逆にいろんな反対意見を眺めてみますと、私も個人的に伺うと大体こういった意見に集約されるんですよ。その理由が何かと言いますと、1、000円が高いとか、さらに、県民の負担がかかるということは一つの理由にはあるわけですが、年間の1、000円と言っても決して軽いものではないんですが、私個人的に思うのは、岩手県、新しい税を導入するのに本当に今までの自分たちのやってきたことを検証しているんですか、それを県民にわかりやすく説明しているんですかと。ある意味、私は県行政、林業・森林行政に対しての、不信感とまでは言いませんが、それがこういうパブリックコメントでのかなりきつい意見集約になっているのではないのかなと思うのです。国の役割ではないかという意見もありますね。7億円は今までの予算の中でやれというふうな意見があるのはやはりこういったことだと思うのです。
 ですから、そういった流れの中でさっき言ったこの林業費全般、確かに治山とか林道の部分の公共事業の減っている部分もありますが、森林整備はある程度予算を確保しているという御答弁もありましたが、私の聞き漏らしでなければ1億円交付金が減っているという、これは国の行政の流れもあるわけですね。県の予算全体が減っている中でもさらにこの林業費の減額費というのは20数%ですよ。これはかなりのものだというやっぱり流れを県民に理解をしていただいて、その上でやはり森林を整備することは大切だと。今までの行政の流れの中では、今までの施策ではできないということをきっちりと理解をしていくための説明をもっと緻密にやることが、やはりどうしても必要ではないのかなと私は思うのです。
 1、000円の根拠にしても、なぜ1、000円なのか、7億円が必要なのだから逆算して1、000円なのか。他の道府県が500円、1、000円でやっているからうちも横並びで1、000円なのか。この辺にしてもある程度煮詰めていかないと県民の理解を得られない。仮に新税が決定しても5年ごと見直し期間があるわけですから、5年間の間に県民がこの行政政策をどう評価するか。5年でポシャったらこの森林税、何も意味ないんですよ。7億円がこれふえることはないですよね。県民がどんどん減るわけですから。法人がどんどんふえればこれは法人県民税はふえるわけですが、これが減っていくわけでしょう。減っていきながらこういう広大な森林整備をやる。林業振興にもかかわってくるということは、県民に5年間きっちり理解させ続けるということは、かなり至難のわざだと思います。だからして、新税を導入するときにその辺もさらに、もう日数はありませんが、きちっとしたものを御提示しながら、納得の上で新税を導入するかどうか議会で決定をした上で5年間はきっちりと評価していく。そういったことは、私は大いに必要だと思うわけでございますので、そういった点からも再度御答弁をいただきたいなと思っております。
〇今泉農林水産部長 私どももパブリックコメント等で出た意見につきまして、これをどう対応していくか等々、今、中でさまざま検討していることございますが、関根委員からの御指摘も踏まえながら、今後しっかりと準備を進めてまいりたいと思います。
〇関根敏伸委員 ぜひ具体的な形で私はやっていただきたい。本当に日数はないですけれども、具体的な形で今言ったようなものをわかりやすい形で、理念的なことはもちろん必要ですが、具体的な今までのやってきたことのコストと効果とか、国の行政の大きな予算の流れとか、そして新税で何ができるのかといった、もう少しわかりやすい説明を私は必要だと思います。概念的なものは十分私ども聞かせていただきましたから、よりわかりやすい説明を、ぜひ、これしていただきたいと思います。
 最後になりますが、これはどちらかといえば森林整備にかかわるものですが、いわゆる林業振興という観点で、県産材の利用促進、今、一部答弁の中にありましたが、それから、いわてブランド材推進に向けた平成16年度の具体的事業の状況、それに関連した産学官の連携の実態について教えていただきたい。
 また、この新税導入がこれらの促進にどのように結びついてくるのかも、あわせてお示しをいただきたい、このように思っております。
〇千田林務担当技監兼林業振興課総括課長 県産材の利用促進と、それからいわてブランド材の推進に向けた平成16年度の具体的な事業ということについてでございますけれども、まず、県産材の利用促進、それからブランド材の利用促進に向けた事業といたしましては、大きく4点ほどございます。一つは、県産材利用促進総合対策事業、それから二つ目は、木質バイオマス資源活用促進事業、三つ目は、木の香る環境共生住宅促進事業、四つ目は、いわてブランド材促進事業というのがございますけれども、これらの事業でそれぞれの実施状況を申し上げますと、まず、県産材利用促進総合対策事業では、これは主に市町村等が建設する県産材を使った施設に対する支援でございまして、これは、平成16年度は公民館整備が4施設、それから公園の木製遊具の整備など4施設、それから学校の机・いすへの助成、施設の整備が744セット行っておりますし、それから先ほど申し上げましたように、合板工場への県産材の原木の供給実績は5万2、000立方で、平成15年度の2倍になってございます。それから、木質バイオマスの関係では、ペレットストーブが2市町に対して22台、ペレットボイラーが1市に対して1基導入しております。このほかに主にソフト事業でいろいろなフェアの開催支援とか、あるいは乾燥材のストックに要する経費の貸し付けを行ってございまして、これらを利用いたしまして、平成15年度は個人住宅の64戸に対しまして木の香る環境共生住宅促進事業で助成を行ってございます。
〇関根敏伸委員 最後になりますが、いわゆる林業振興という部分、これは先ほどのまた新税と絡んでくるわけですが、新税の使い道はどちらかというと林業振興ではないですね。あくまで森林整備とそのための県民の意識の醸成、一部机とかいすに県産材を使うことによるある程度の林業振興もかかわってくるかもしれませんが、どちらかというとそういう目的で使われるわけですね。片や林業振興ということになれば今までの財源の中でやっていくという形になると思うのですが、私が言いたいのは、先ほど申し上げましたとおり、新税で森林を整備していくことは必要ですが物すごい年月かかるわけです。目に見えない事業ですよね。ですから、県民の意識を5年ごとにきっちりと理解を深めていくということ、なかなかこれは大変だと思います。ですから、今は所有者が森林整備できないから新税を導入するわけですが、同時にやっぱり林業環境を変えていきながら、林業振興を同時にやりながら、所有者が独自で自分たちの自己責任で森林整備をやれるような具体的な施策をやっぱり同時進行でやっていかないと、私は行き詰まってしまうのではないのかな、そんな気がしているんですよ。
 今7億円の予算のうちの5億円が森林整備に向かうんですが、いろんな具体的な針広混交林、あと里山とか杉の枝打ちとか、いろんなことで具体的な事業でいろんな具体的な整備面積があるんですが、これを足していくと平成18年度、細かいですが約1、800ヘクタールなんですよ、森林整備ができるのが、7億円の予算の中で。県には、ここにありますが、人工林34万ヘクタールのうち18万ヘクタールが手入れ不足だと書いてあるわけですよ。極端に言うとこれでいきますと100年かかっていくわけです。この財源を仮に確保したとしても。ですから、物すごい広大な事業なわけですから、今言ったような県民理解と同時に、この林業振興を同時並行で図っていかないと、途中で何ともならなくなるということの懸念もあるわけですから、私は、林業振興は同時に、新税とは別にきっちりとした形でやっぱり図っていっていただきたい。これは強くお願いしたい。
 そういった中で、残念ながら、いろんな形で県産材の利用促進が図られているという実態はあるようですが、公共事業などではかなり促進しているようですが、いわゆる一般住宅への利用がかなりおくれている。住宅建設の資金の利子補給、600戸の目標に43戸、7.2%の達成率、この辺の状況につきましてはかなり林業振興、県産材の一般的な民間への普及という観点では残念ながらかなりおくれているという部分があるのではないか、このように思っておりますので、その辺に対しての見解、対策も含めまして御答弁を最後にお願いしたいと思っております。
〇千田林務担当技監兼林業振興課総括課長 林業振興に対する施策の充実というお話でしたけれども、これはもちろんそのとおり、委員御指摘のとおりでございまして、それを、新税を導入したからといってそちらの方を、余り目を向けないということではございません。林業振興に対する施策は施策としてきっちりやっていきたいと考えてございます。ただ、そういった中で私どもがその新税との関連で考えておりますのは、やはり今、県産材が使われていない大きな理由というのは、岩手の森林に目を向けていただく機会も余りないし、県民の方々自体が余り、昔に比べて山に対する理解がなくなってきたのではないだろうか。この新税の導入をきっかけといたしまして、県民の方一人一人が森林に対して、岩手の山は重要だ、大切だと思っていただければ、では間伐した木も使わなければならないということになってくると思いますし、そういう形で県産材の利用促進にも結びついていくのではないかと思いますし、いってほしいと思います。我々もそういう気持ちでこの新しい事業は進めてまいりたいと思います。そのことが今、関根委員言われましたように、林業振興にもつながってくるものであると思っております。ただ、冒頭申しましたように、だからと言って林業振興をちょっとサボってこちらの方をやるという気持ちは持っておりませんで、そちらはそちらできちんとして私どもはやっていきたいと考えております。
〇樋下正信副委員長 質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時14分 休 憩
   午後3時33分 再 開
〇佐々木博委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 なお、本日はこの農林水産部の後、警察関係の審査も控えておりますので、質疑、答弁ともに明瞭簡潔に、スムーズに進行ができますように、よろしく御協力をお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇木戸口英司委員 先ほどの質問でも品目横断的な経営所得安定対策ということについての質問がありました。一律的な農政を見直す大転換ということで、本県農業にとりましても生き残りをかけた本当に大きな政策転換だと思っております。この質問に入る前に、まずは米政策改革、16年度よりスタートしたものでありますが、しかも本県では全国に先駆けたビジョンの作成、取り組みということがございました。この点の総括をお聞きしたいと思います。
 まず、集落ごとに作成された集落水田農業ビジョン、それから市町村等の水田農業推進協議会で取りまとめた地域水田農業ビジョン、それを受けて県の協議会による認定作業と、各段階における総括、課題、それを踏まえた本年度の取り組みについてお伺いします。それから、各般にわたる段階での県の指導のあり方、この点もお伺いしたいと思います。また、生産調整業務を地域水田農業協議会が担うことになりましたが、これが円滑に行われたか。また、課題等があれば、お伺いいたします。
 それから、集落水田農業ビジョン、地域水田農業ビジョンの取り組み状況――ビジョンはかなりな集落で立ったが、なかなか進んでいないという報道もあるわけでありますが、この点、いかがでしょうか。
 続けます。集落水田農業ビジョン、また地域水田農業ビジョンの実行によりまして、県全体を見回しながら、適地適作による個性ある産地形成の進展、体質の強い持続的な水田農業の確立、食料自給率の向上につながるものかどうかと、私はこういった点が重要だと思っております。県としては、生産目標数値の市町村間調整や水田の畑地化、園芸作物等の導入拡大を促進して、作物再編を加速していくという考えに立っているものと思いますが、この点、16年度そして本年度に向けてどのように取り組んでこられたか。また、現状と課題をお伺いしたいと思います。
〇山田水田農業担当課長 今もお話がありましたように、本県では独自対策としまして集落を単位とした集落水田農業ビジョンを策定しておりまして、今、この実践活動を促進しているところでございます。本年9月末現在で約9割の集落で1、586のビジョンが策定されているところでありますが、残り1割につきましても、中山間地域の直接支払制度に基づいた集落マスタープランの策定が本年度中に行われる見込みということでございますので、いわゆる水田が余りなくて集落水田農業ビジョンがつくりづらいというようなところについても、この中山間のマスタープランの策定で、いわゆる地域づくりという観点でプランをつくっていただきたいと考えておりまして、ほぼ全集落で策定されるものと考えております。また、この集落ビジョンを積み上げたような形ということで私たちは考えておりますが、いわゆる市町村段階の協議会でつくる地域の水田農業ビジョンについては、既に全市町村の協議会でつくられておりまして、これについては、県の基本的な取り組みであります売れる米づくり、作物再編、担い手育成という内容が盛り込まれているということで、ビジョンについては県の認定作業というのはないわけですけれども、これを踏まえたいわゆる交付金に係る産地づくり計画は県で承認するということで、そちらの方で今の考え方で進めているところでございまして、県と市町村協議会は同様の取り組みを進めているということでございます。
 それから、本年の3月に各地域協議会によりまして、活動状況について集落ビジョンのチェックリストを作成していただいておりますけれども、その結果、先ほどお話がありましたように、全体の46%の集落においては、集落の合意のもとで、いわゆる米にかわる振興作物の作付だとか、担い手への農地の利用集積、法人化の取り組みなどが具体的な成果として上がってきているところでございます。また、今、合意形成が行われているところでございます。具体的な動きが見られていない集落においては、集落の実態把握、合意形成が不十分であるとか、達成目標や具体的な取り組みの計画などが具体性が足りなかったというようなことが反省点として挙げられておりまして、本年度の取り組みとしましては、地域協議会、市町村、農協が核となって、構成団体である市町村や農協の集落担当職員の配置を行って、相談活動を行っているところもありますし、県の担い手協議会におきましては、担い手コールオン3運動で、集落ビジョンの点検で明確化された担い手を認定農業者に誘導するとか、新たな意向調査などを実施して取り組んでいるところでございます。
 2点目の生産調整業務と地域水田農業推進協議会の役割、運営状況はどうかということでございますが、生産目標数量の具体的な配分については、いわゆる生産調整の業務は市町村と農協が行う事務とされておりますので、市町村と農協で行っております。それで、地域協議会については、市町村、農業関係の各種団体・機関で構成されておりまして、これは市町村段階のいわゆる第三者機関として、地域における売れる米づくり、先ほど言いました担い手の育成とか集落営農の育成、利用集積、労働調達などの水田農業の構造改革の交付金の活用を通じまして進めているところでございまして、そういうものを推進するための組織として設置されております。特に本県では、それに加えて集落ビジョンの実践活動の支援を担っていただく重要な組織として位置づけているところでございます。業務運営については、設置目的に沿っておおむね円滑に運営されていると認識しておりますけれども、先ほどもお話がありましたように、集落ビジョンに基づく具体的な動きが見られない集落に対しての協議会の働きかけをしていただきたいと考えているところでございます。
 それから、集落水田農業ビジョンの取り組みについてでございますけれども、集落ビジョンは、先ほどもお話ししたように、売れる米づくりとか、米以外の作物の振興とか、担い手育成とか、水田農業を核とした地域の活性化に向けた取り組みをその内容としているわけでございますが、実践活動が進んでいる集落の中では、1集落1農場を目指した集落営農組織が全県で37団体設立されて、効率的・安定的な経営の実現に向けて取り組んでいる事例も見られておりますし、管内の農家組合を集落営農の発展段階別に分類して、発展段階ごとに計画的な支援を実施している農協も出てきているところでございます。
 それから、2点目の作物再編の加速についての現状と課題についてでございますが、県においては、これまでの既存の事業に加えまして、集落ビジョンの実践を通じて作物再編の取り組みを加速化するため、平成16年度から県単事業水田農業構造改革支援事業をつくっておりますけれども、この中で行っている事業として、市町村間調整につきましては、16年427ヘクタール、17年394ヘクタールが主に北上川下流地域と県北・沿岸地域で実施されております。それから、畑地化につきましても、平成16年度は130ヘクタール、17年度は若干下がっておりますが、83.5ヘクタールで実施される見込みとなっております。また、園芸作物の導入による作物再編については、リンドウ作付面積の着実な拡大をしている浄法寺町の山内集落だとか、小菊の導入によりまして収益性の高い水田農業を推進しているいわゆる旧千厩の尖ノ森集落など、たくさん出てきているところでございます。ただ、まだ取り組みが緒についたところでございまして、こうした事業導入を契機として地域全体で作物再編を進めていくためには、産地として安定的に収入所得が得られるような取り組みが今後必要になってくるものと考えております。
〇木戸口英司委員 わかりました。いずれ、今話がありました作物再編は県全体でやはり県の相当大きな指導力が必要だと思いますし、もう一つ、今、ビジョンの実践という部分がまだ大分おくれている。策定までは順調だったけれども、その実践がおくれている。やはりここも現地でいろいろお話を聞いてみますと、県の大きな指導と、先ほどの質問でも、今度の経営所得安定対策に対する認知をさせることが重要だということの話もありましたが、そういった意味でもこれからかなり重要になってくると思います。そういう中で、先ほど質問がありました2007年度から導入される経営所得安定対策大綱が10月27日に発表になったわけであります。それに対する評価は、先ほど答弁がございました。いずれ、今進めている米政策改革の水田ビジョンの実践というものが、認定農業者の数をふやしていくということも重要でありますが、やはりなかなかそこが進まない中で、集落営農の組織化を進めていくということが相当大きなテーマになってくるんじゃないかと思います。ところが、今のお話でもあるとおり、今のビジョンの実践というものが進んでいかない中で、国が認定する集落営農になかなか進んでいかない。例えば4ヘクタール以上の経営体を実際今持っているところも、中身を見れば、農業機械の共同化等にとどまっている。販売、経理の一元化というところまでの実態として集落営農と認められるものに進んでいかないという状況があると思います。これは相当頑張らないと、本県農業は大変厳しいなという認識を私は持っているんです。この点、先ほど、取り組みということの質問もあったわけですが、改めて担い手育成支援チームなども立ち上がったということを、私もこれは大変評価するんですが、もう既に農閑期に入って、各集落で農村による座談会等が進んでいるのではないか思います。実際、現状の取り組みも既に進んでいると思いたいのですが、これからの部分としても、改めてこの点を確認させていただきたいと思います。
 もちろん、この中では数値目標というものを立ててやっているわけでありますが、こういった実際の経営所得安定対策大綱の数値が決まった中で、改めてこの数値目標をもう一度見直して、また、進行管理もむしろもっと厳しくしていく必要があるんじゃないかと思いますが、この点をどのようにとらえておられるか、この点もお伺いしたいと思います。
 あとは、その目標を高く設定していくことと、もう一つ、知事特認です。大変厳しい中山間地域などもあるわけでありますが、この地域の実情に配慮したという部分で、知事特認が認められた。これを県はどのようにとらえて、この点を経営所得安定対策の中でどのように位置づけて考えていくのか、お伺いをいたします。
 もう一つ、農地・水・環境保全向上対策という対策がこの大綱の中で示されたわけでありますが、これも集落営農という部分がなかなか厳しい中で、本県農業についてどのように位置づけられるものか、また、メリットとしてどのような点があるのか、この点もお聞きしたいと思います。
〇及川農業振興課総括課長 それでは、今回、国で決定されました品目横断的対策の取り組みということでございます。これにつきましては、基本的には国の決めた対策でございますので、それを十分精査しながら対応していくわけでございます。そういうことで大きくは認定農業者が対象になるということで、まずもって、個別農家でいく農家につきましては認定農業者になっていただくことがまず第一の条件でございます。それで、個別でいけないところは集落で取り組むということで、そういうふうな中で取り組みを進めていくということでございまして、先ほども申し上げましたけれども、平成19年産から導入されるわけでございまして、実質、来年の秋までの取り組みが重要であります。そういうことで取り組みを強化するために県としてもいろいろ指導していくということで、この10月に新たな対策に対応できる経営体育成の支援業務を集中的に行う担い手育成推進クロス・ファンクショナル・チームを設置したところでございます。そして、今後のこの新たな対策の周知をこれからやっていくわけであります。そういうことで、個別経営体につきましては、経営改善に向けましたきめ細かな指導により認定農業者への誘導をやっていって、そして効率的かつ安定的な経営体を育成していくというようなことでございますし、また、集落営農につきましては、地域の立地特性や労働力の状況などを踏まえて、小規模・兼業農家もそれぞれの経営志向において役割分担をしながら、地域全体としての力を結集し、効率的・安定的な経営が実現できるような育成をしてまいりたいということでございます。
 それから、この取り組みにつきまして、目標設定とか、その辺のことでございますけれども、やはりこれにつきましてはなかなか、先ほど申し上げましたように、現状では個別農家では1割程度の状況でございまして、本県の大宗を占めます中山間への対応が課題になります。中山間につきましては、先ほど申し上げましたように、認定農業者なり個別であれば8割、それから経営体では5割まで緩和されるというようなことでございますけれども、取り組みを強力に進めますが、やはりそれでもなかなかいろんな課題が出てきます。そういうことで県といたしましては、これまでも力強い担い手の育成に向けまして、集落ビジョンで明確にされました担い手を、先ほど申し上げましたように主業型農家に育成してまいります。そして、さらに小規模・兼業農家も役割を担う集落営農の組織化を推進しまして、そういうことで今後新たな対策をてこにして、きめ細かな相談活動などの取り組みを徹底して、意欲ある生産者、集落を一つでも多く対象になるような支援をしてまいりたいということでございます。
 最後に、中山間地区の特認ということでございますけれども、これにつきましては、県の方からも国の方にいろいろ御要望申し上げてきた経緯がございます。本県の立地特性をいろいろ御理解いただいて、そういう担い手要件につきましては十分配慮できるようなところで要望申し上げてきた経緯がありますが、中山間地域におきましては、今、実施しております米の担い手経営安定対策の条件に合うような形で、個別農業者においてはおおむね8割、集落営農組織においては5割までと要件にされたところで、対象となる担い手の要件が広がったということで、そういう、何といいますか、入り口のところで十分これにのれるような体制にある程度広げていただいたということにつきましては、評価しているところでございます。
〇木戸口英司委員 達成可能な目標数値という評価もあるようですけれども、これは本県だけでなく全国的であろうと思いますが、いずれ、今の数値からいけば大変厳しいぞということだろうと思います。そういう中で、助成金をもらえる目標達成というところもあるわけですが、それ以上にやはり意欲を持った取り組みをできる集落型経営体、農地の高度利用やらコストダウン志向というものを、本当にそういう意識を持って、しかもその目標を達成していく。これを指導していくということは、本当に、何回も言いますが、県の役割というものは大変大きいものがあると思います。そういう中で、まず人的体制は、今、県とすれば整えたということでありますが、ひとつこれをこの1年で実践していくための来年度に向けた、今、県予算の策定作業に入りつつある、入っていると思うんですが、部長、人的配置とともに来年度の県予算は厳しい中で、本当にこの取り組みは本県農業の生き残りをかけたこの1年の取り組みになると思うんですが、どういったことに意を持って、今度の県予算を、来年度の作成に入っていくのか、その点、この取り組みのやり方とあわせて最後にお伺いしたいと思いますが、お願いします。
〇今泉農林水産部長 実質1年しかないわけでありまして、その中でさまざま多くのことをやらなくちゃいけないわけであります。我々とすれば、基本的にやはり集落営農の組織化というところに基本を置いてやっていきたいと思っておりまして、今考えているのは、それぞれの発展段階に対応してどういった支援をしていけばいいのか。支援につきましては、人的な支援、財的な支援、いろいろあるわけでありますけれども、それらを一つ一つ検証しながら、それについて必要な支援策を考えていくという、今、それを盛んにやっているところでございます。あわせて、今、チームがもう現地に入りまして、市町村あるいはJAともども一体となりながら、現実にその取り組みを進めているところでありまして、その中で、おそらくまたさまざまな課題が出てくるでしょうから、それらもくみ上げながら、来年度に向けた体制というものをきっちり組んでいきたいと考えております。
〇佐々木博委員長 答弁漏れがあります。
〇田山農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 農地・水・環境保全向上対策についてお答えします。
 ただいま答弁のありましたように、品目横断的対策が産業政策として位置づけられるものに対しまして地域振興政策となるのが、この農地・水・環境保全向上対策でございます。まさに両者は車の両輪に例えられるものでございます。この対策は、農業の持続的な発展と多面的な機能の発揮が図られるよう、基盤となる農地や水、環境の保全とともに、農業が本来有している自然循環機能の維持・増進を目的としております。対策の本格実施が平成19年度となっており、詳細がまだ明らかになっておりませんが、農業者の減少、高齢化や混住化によって、農地や水の保全管理体制が脆弱化する中、本県で推進しているアドプトなど、非農家を含む地域住民が一体となった保全管理の取り組みを後押しするものと期待しております。また、先般の9月議会において、農村の活性化に関する条例が制定されたところでございますが、この条例でうたわれた結いの精神に支えられた、心豊かで住みよい活力ある農村の構築を具体化する施策の一つとして位置づけることができるものと考えております。
〇斉藤信委員 最初に、農林水産部の決算額に対する公共土木事業費と価格・所得補償の総額と比率はどうなっているか。もし、これまでと変化があれば、その要因は何か。
 二つ目に、小泉農政改革と担い手対策について、今も議論がありました。国の品目横断的政策は、4ヘクタール以上の大規模農家、これは先ほど4、603戸、6%と答弁がありましたが、これは受委託を含めた数なのでしょうか。05年度の農業センサス速報が出ていますので、私は先日、農協中央会に行ったら、3ヘクタール以上の農家で1、972戸だという話を聞いてきたんですよ。この4、603戸というのはどういうことを計算して出てきたのか、示していただきたい。20ヘクタール以上の集落営農、団体ですね、これも37団体という回答でありましたが、この対象となる農家と集落営農というのが現段階ではどうなっているのか。助成の対象となる全農家に対する比率、農地の比率もわかれば示していただきたい。
 それと、県内の集落営農ビジョンは1、586つくられていると。集落に対して92%ということでしたが、この取り組み状況はどうなっているでしょうか。ここで担い手となっている方々はどれぐらいいるでしょうか。また、認定農業者は平成16年度は7、651人となっていますが、これは累計ですね。私は、単なる累計ではなくて、厳密に本人の意志を確認した数でなきゃだめだと思うんですよ。この状況はどうなっているでしょうか。日本の農業も、岩手の農業も多様な家族経営が支えてきました。私は、こうした農業の意志のある多様な家族経営を支えてこそ、岩手の農業も、そして日本の農業も守れると思いますけれども、いかがでしょうか。
 牛肉の自由化とBSE対策について、先日、プリオン専門調査会の答申が出ました。これについての県の認識と対応についてお聞きをします。政府は悪のりをして、BSE汚染の疑いのあるアメリカ産牛肉の輸入自由化の方向を切り開こうとしていますが、県として、安心・安全の畜産振興をどう進めるのか、ここをお聞きします。
〇杉原企画担当課長 決算における公共事業費及び価格・所得補償費の総額及び比率についての問い合わせに対して回答します。
 まず、平成16年度におきます農林水産部関係の公共事業費の決算額とその比率についてでありますけれども、農林水産部全体では、決算額800億円余に対しまして公共事業費は300億円余となっており、その比率は37%となっております。これを昨年度と比較しますと、金額で293億7、000万円余の減、率で14.9ポイントの減となっている状況でございます。これは、要因ということですので内容を説明させていただきますけれども、公共事業費の縮減等による影響が約170億円、それから公共事業費の一元化によります19事業が県土整備部に移管されております。これが約123億円の減というところによるものであります。ちなみに移管分を含めた場合、決算額932億円余に対しまして公共事業費は423億円余、比率は45.5%、対前年比6.9%の減となっている状況でございます。
 次に、価格・所得補償関係費の決算額及びその比率でありますけれども、農業関係におきます青果物の価格安定対策及び家畜畜産物の価格安定対策に係る決算額は1億6、000万円余であります。その比率は0.3%でありまして、これは、1、190万円の減ではございますけれども、昨年度とほぼ同額、率も0.1%の増となっておりまして、全体額が減っていますので増となりますが、ほぼ同率という状態であります。
〇及川農業振興課総括課長 それでは、国の品目横断的対策に係る現段階での岩手県の実態におきましての適合状況はどうかということでございまして、個別経営体におきまして対象たる経営規模につきましては、現時点では6%、4、603戸ということで、これは2000年の農林業センサスでございまして、田、畑の合計の耕地面積統計から出した数字でございまして、これはこういうことになっております。田だけではなくて畑も入った面積でございます。実は今回、2005年の農林業センサスを調査して、その結果、今、国において取りまとめ中でございますけれども、総戸数は出ていますが、規模別戸数はまだ出ていないので、もう少しかかるかなと思っております。その時点でまたこの辺の詳しいデータが御説明できるものと思っております。
 それから、集落営農につきましては、現状、37団体・法人ということで、この内訳を見ますと、特定農業法人が6法人、特定農業団体が16団体、それから集落型の農業生産法人は15法人ということであります。これの構成農家はおよそ1、000戸ということで数えております。まことに恐縮でございますが、面積につきましてはちょっと把握しかねておりますので、御了承願いたいと思います。
 次は、県内の集落ビジョンの取り組みあるいは策定状況、担い手の状況はということでございますが、集落ビジョンの作成状況は、先ほどありましたように、集落全体の約9割の3、096集落におきまして、ビジョン数では1、586ビジョンが策定されておるということでございまして、ビジョンにおきまして、その中において担い手として位置づけられているというようなことの中身を見ますと、個別経営は現状におきましては8、400人であります。平成22年までには約7、500人が位置づけられるということのビジョンになっております。個別経営につきましては、担い手数は減少するものの、これら担い手の経営面積は約1.2倍に増加するということで、規模拡大が進むという傾向になっているようでございます。また、集落経営体につきましては、現状は約800団体が位置づけられておりまして、平成22年には1、100団体が位置づけられるということのビジョンになってございます。経営面積も約2.1倍に拡大するという傾向になっておりまして、これらを見ますと、主業型農家から集落型の経営体にシフトしていく傾向がうかがわれるというような状況になっております。
 取り組み状況でございますが、集落の活動状況につきましては、本年3月に各地域協議会によりましてビジョンのチェックリストを策定いただいているところでありますけれども、米にかわる振興作物の作付や担い手への農地の利用集積、あるいは法人化への取り組みなど、全体の約半数の集落ではビジョンに基づく具体的な取り組みの成果があらわれてきているという状況になってきております。
 それから、認定農業者の平成17年3月末での実数でございますが、6、788経営体を育成してございます。
 それから、三つ目でございますが、農業の意志のある農家を対象とした対策についてということのお尋ねでございますが、国におきましては、今回の対策は、担い手の要件として、排除の理論ではなく、農業者の意欲と活力を引き出すことが基本であるという認識のもと、小規模な農業者に対しましても、集落営農組織等に参加することにより担い手となることができると、国の方ではこういうことにしております。県におきましては、これまでも力強い担い手の育成に向けまして、集落ビジョンで明確化されました担い手を主業農家に育成するとともに、集落での話し合いをもとに、小規模・兼業農家もそれぞれの経営志向に応じて役割を担う集落営農の組織化を推進しておりまして、これらの取り組みによりまして、農業の意志のある農家を対策の対象となるような形で力強く誘導してまいりたいと考えております。
〇佐々木流通課総括課長 BSE問題についてであります。米国産牛肉の輸入再開については、米国においても国内と同等の措置がとられることが前提であり、このことについては、あくまでも科学的根拠に基づき判断されるべきものと考えております。今般、国の食品安全委員会プリオン専門調査会の答申案が示されましたが、これは科学的根拠に基づきリスク評価を行ったものであり、さらにはリスク管理機関である国に対してリスク管理の徹底を求めたものと受けとめております。今後、日米両政府間で、米国の輸出プログラムの実効性の検証や査察方法などが明らかにされてくると思われますので、これを注視してまいります。さらに、安全・安心な畜産につきましては、いわて牛トレーサビリティーシステムによりまして、本県産牛肉生産に係る給与飼料等の生産履歴を積極的に情報提供し、県産牛に対する消費者の支持と信頼を得るよう努めてまいります。
〇斉藤信委員 ちょっと、もう一回確認しますよ。国の横断的な担い手対策ですけれども、4ヘクタール以上の農家、これが水田と畑を合計した面積で4、603戸になるということですね。そして、集落営農の対象になるのは、現段階では37団体・法人と。1、586の集落営農ビジョンを作成した、ここで対象になるのはないんですか。その実態を私は聞きたいわけです。岩手県はできるだけ集落営農ですべての農家を対象にしたい、そういうニュアンスに私は回答を聞いたんですが、この集落営農ビジョンはつくったばっかりで、聞くところによれば、つくったまんまだ、何もしてないというのが54%、852集落ある。少し動き始めたというのが648集落で41%。圧倒的にはつくったまんまなんですよ。だから、この集落営農ビジョンがどう本当に生かされるのか、すべての農家が参加して国の助成対象になるのかというのは、私は一番シビアな問題だと思うんですね。だから、集落営農ビジョンは現段階では国の対策の対象になっているところが幾らあるか、ないのか。そして、ならなかった場合に、そういう農家に対する対策はどうするのか。私は、今のまんまだったら、ほんの1割にも満たない農家しか対象にならない。そうした場合に、今まで転作で大豆、小麦をやっていたけれども、先ほども小麦の話もいろいろあったけれども、今まで助成策があったからやっているんですよ。これはなかったらやれないんですよ。こういうことをどういうふうに受けとめていますか。
〇及川農業振興課総括課長 先ほど、37法人・団体が今の集落営農で該当しているというお話を申し上げました。先ほど、ビジョン取り組み状況で申し上げましたけれども、今の作成されているビジョンにおきましては、将来のビジョンの中で集落営農でやっておりますというような現状が800あります。将来的には110団体が集落営農でビジョンを実現していきたいとなっております。まずここを、800の中には水稲生産組合や麦・大豆生産組合なども入っておりまして、先ほどの37団体はこの中に入るものだということでございまして、800のこういう団体を対象として、まずもって関係機関が一体となり、経営の一元化や農地、労働力の活用方策など具体的な指導を、先ほど申し上げました担い手育成推進クロス・ファンクショナル・チームを中心に御指導申し上げましてやっていく。さらに、そのほかにも集落営農を志向する地域におきましても、その組織化、法人化を進めて、確実に新たな対策の対象となるような誘導をしてまいりたいという考え方で進めてまいる考え方でございます。
〇千田農林水産部技監 お話にありましたように、助成制度がなければ、小麦あるいは大豆の生産というのはかなり難しいのだろうと。かなり難しいと申しますよりも、むしろ、今の販売価格と、それから麦作経営安定資金なり、あるいは大豆交付金というようなこと、例えば販売価格そのものが3割から4割でございますので、委員お話のように、そういったようないわゆるげたという、今度の対策の中でげたと言われる部分が入ってこないと厳しい。したがいまして、私どもといたしましては、そういったことのないように、先ほど、午前の議論の中でも私どもの課長からも申し上げましたけれども、小麦で7割の方が組合の中でやっているという話がありますし、それから、大豆がやや少な目でございますけれども44%、ここのところを高めていくような、今度のまさに12月から始まる集落座談会があろうかと思いますけれども、そういったところに徹底的に入り込んで、今の経営安定対策の品目等のこの対策の周知をきっちりと図っていくことが非常に大事であって、そして、今お話がありましたような、先ほどのパーセンテージを極力上げていくということが大事だろうと思っています。そういったことで、先ほど申し上げましたファンクショナル・チームで、あるいは市町村、JAと一緒になって、懸念が少しでも和らぐようにしてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 大事なことがわかってきました。1、586ビジョンをつくったけれども、法人化を目指す、いわば国の担い手対策の対象を目指すのは当面810団体だと。半分ということですよね。そうしたらあとの半分はどうなるんですか。私は、これは本当に深刻な問題だと思いますよ。いわばそこを当面目指せないところはどうするのか。この対策がなかったら、本当に農業を放棄せざるを得ないという事態に陥ると思いますよ、転作のものも含めて。それで、国の担い手対策は、全国の農家の要望もあって特例というのがありまして、作業受託組織も対象になると。この作業受託組織、集落の水田転作として麦、大豆の過半を作業受託している組織の場合は8ヘクタールでも対象になるということですが、この作業受託組織というのも対策をとられているのでしょうか。実態としてはどうなっているのか。
 それと、BSE問題で流通課長が言いましたが、プリオン専門調査会の答申は大変大事なことを答申しているんです。マスコミでは触れられていないところです。米国、カナダに関するデータの質・量ともに不明な点が多いこと。管理措置の遵守を前提に評価せざるを得なかったことから、米国、カナダのBSEリスクの科学的同等性を評価することは困難と言わざるを得ない。これらの前提の確認はリスク管理機関の責任であり、前提が守られなければ評価結果は異なったものになると。科学的評価のいわば同等性は評価できないというのがプリオン専門調査会の答申なんですよ。これは大変大事な答申で、まさにここに専門性があらわれているわけですね。だから、プリオン専門調査会というのはアメリカの牛肉の自由化にゴーサインを出したんじゃないんです。20カ月齢の確認をどうするか。そして、除去する部位の確認というのがないんですから。私は、そういう意味ではやっぱりプリオン専門調査会でもこういうことを言わざるを得なかったということを多くの県民に知らせて、安心・安全な県産牛肉の振興に取り組むべきだと。何か、もうアメリカ産牛肉の自由化が決まったような認識でなく対応していただきたいと思いますが、いかがですか。
〇佐々木流通課総括課長 答申案はまさにそのとおりの表現になってございまして、あくまでも輸出プログラムが遵守されればという前提のもとに評価したものであるということについては、そのとおり認識してございます。
〇及川農業振興課総括課長 麦、大豆のそういう転作、いわば生産組織のことでございますけれども、県内には多くの麦・大豆生産組合が存在しておりまして、7ヘクタール以上の麦生産組合は約230組織されております。今回の対策は、これらの組織を育ててきまして、新たに麦、大豆だけじゃなくてやはり水稲も請け負うというような形の組織に発展させていけるというのが将来の姿なわけでありまして、それが集落営農なわけであります。この辺を中心に強力に指導してまいるということで、先ほど申し上げましたクロス・ファンクショナル・チームが地域に入り込んで、地域の農協あるいは市町村とも一体となりながら、強力に指導してまいりたいということでございます。
〇斉藤信委員 この問題はここで終わりますが、810団体に入らないところをどうするか、この回答はありませんでしたよ。いわば集落ビジョンをつくった半分は国の助成対象にならないとなったら、これは大変なことですよ。その答えがなければないでいいが、あるんだったら答えてください。
 競馬組合の問題についてお聞きします。今年度の実績、資産処分の状況は計画に対してどうなっているでしょうか。既に計画の修正が必要となっている課題はどうでしょうか。
 テレトラックつがるの土地・建物の売却について、起債残高約14億円に対して10億6、697万円の売却で、4億円近い借金だけが残るということになりましたが、どういう判断でどういう交渉を行ってきたのでしょうか。未償還金の返済について、銀行との協議、了解は得られていたものでしょうか。岩手競馬はテレトラックつがるから撤退するということになるのか。JRAに委託して実施するのか。
 インターネット販売について、9月に合意したソフトバンクとのインターネット販売の契約はどうなるのか。破棄されるのか。岩手競馬はだまされたのか。ソフトバンクは日本レーシングサービスと契約して、全国の地方競馬がネット上に載ることになりましたが、岩手競馬が計画どおり販売できる状況にないのではないか。
 JBC競争について、2006年度、JBC競争を岩手でという計画、17億円の売り上げを見込んでおりましたが、なぜこれが川崎競馬場になったのでしょうか。競馬組合としてどういう努力をしてきたのでしょうか。17億円の売り上げはまさに計画の修正ということになると思いますけれども、いかがでしょうか。
 テレトラック宮古、釜石、安代の民間委託の具体的効果はどうなっているでしょうか。委託企業との経費節減の交渉はどうなっているでしょうか。
〇東大野農林水産企画室特命参事 競馬組合の関連でお答えいたします。
 まず最初に、今年度の実績と資産処分の状況についてですけれども、最初に今年度の実績は、勝馬投票券の発売額で見ますと、10月24日までに延べ90日間の開催で、212億9、500万円という発売金額になっておりまして、計画比は99%でございます。
 次に、資産処分の状況ですけれども、資産売却については、改訂実行計画では本年度に17億円の資産売却を計画しておりました。これに対して、計画している資産処分のうち、旧盛岡競馬場跡地について3億3、000万円、そして田舎館場外勝馬投票券発売所、このうち従前から組合が所有していた土地・建物については10億6、600万円余りとなりますが、合計で13億9、600万円余りについて売却のめどが立ちまして、10月28日に開催された競馬組合議会において財産処分の承認をいただいております。
 次に、計画の修正についてでございますけれども、18年度事業にどのように取り組んでいくかということにつきましては、現在取り組みの途中でございます。したがって、年度後半の事業の取り組み状況・実績も見ながら計画を点検して、今後、計画内容の修正の要否も含めて検討されるものと認識してございます。
 次に、テレトラックつがるの土地・建物の売却についてでございます。最初に、売却の判断、あるいは償還についてでございますけれども、テレトラックつがるの売却について、競馬組合はまず第三者の不動産鑑定評価も受けながら、また、必要の都度、管理者の判断も仰ぎながら、売却先との交渉を進めてきたと聞いております。また、起債償還につきまして、競馬組合は、改訂実行計画全体の資金収支の中で償還していくという考え方に立っていると承知してございます。
 次に、売却に係る金融機関との協議でございますけれども、競馬組合は、競馬組合議会に財産処分の承認を求めるに先立ってつがる売却の意向を伝えまして、先日、競馬組合議会での財産処分の承認を得た上で、つがるの売却と起債償還を現在の約定どおりの取り扱いとしてくれるよう金融機関に要請し、現在、協議中でございます。
 次に、つがるでの岩手競馬の発売の取り扱いでございますけれども、売却後のつがるでの岩手競馬の発売につきましては、組合では引き続き投票券を発売していくという計画でございます。あと、発売方法でございますけれども、つがるが、JRAも勝馬投票券を発売する併売施設でございますので、売却後はJRAの全レースを取り扱うといったような、岩手競馬にとって発売の環境条件が大きく変わるということが見込まれますことから、現在のところ、競馬組合では引き続き直接販売していく方向で検討していると聞いてございます。
 次に、インターネット販売の関係でございますけれども、まず最初に、岩手競馬とソフトバンクの基本合意の取り扱いでございますが、ソフトバンクと日本レーシングサービスが提携したインターネット販売に関する関係者の協議、地方競馬の関係者の協議がまだ続いてございます。そういった状況にございますので、競馬組合は、その動向を見ながら、基本契約の取り扱いについてソフトバンクと協議していくということにしてございます。
 次に、岩手競馬のインターネット販売の見通しでございますけれども、改訂実行計画では、この段階では業者が特定されてございませんでした。また、インターネットの活用によって商圏の拡大と新たな購買年齢層の獲得といったところを目指し、岩手競馬の勝馬投票券の発売の拡大をしたいといった計画の内容になってございます。岩手競馬が、仮に多くの地方競馬が参加するインターネット販売のシステムに参加する場合は、単独でソフトバンクと業務提携する場合に期待していた先行者利潤の獲得といったようなことは実現できなくなると考えられます。一方で、ただし、改訂実行計画が目指している商圏の拡大、また新たな購買年齢層の獲得といったところは実現可能なわけですし、また、多くの地方競馬が参加するという点で、他の地方競馬のファンも含めて、より多くの岩手競馬のファンを獲得する機会が拡大するといったような可能性も考えられます。そのようなこともありまして、競馬組合では、多くの地方競馬が参加するシステムに参加する場合、他の地方競馬と差別化し、ファンを獲得していく対策を講じていくことが課題と考えております。
 次に、JBC競争の関連です。JBC競争につきましては、盛岡競馬場は走路の規格等の条件は満たしているものの、従前の開催希望をした際に、かけ式の不足といったことが開催が実現できなかった要因ではないかといったことがありましたので、今、準備を進めてございます三連単、三連複の新たなかけ式の導入といったものを図るといったような努力はしてまいりましたが、今回、来年度の開催は川崎といったことで、実現いたしませんでした。これによって、JBC競争の開催で見込んでいた発売収入17億円でございますけれども、こういった改訂実行計画上の発売収入の達成というのは困難ではないかと見込まれます。ただし、賞金・広告宣伝等、開催に多額の経費がかかりますので、開催による利益は3、000万円ほどと見込んでございました。そういった意味では、利益ベースでは他の取り組みで補うことが可能な水準ではないかと考えてございます。ただ、JBC競争の開催が実現できなかったということで、この開催を通じて岩手競馬を全国に発信して、岩手競馬を知ってもらうといった目標の実現ができなくなったということはありますので、競馬組合では、新たなグレードレースの開催も含めて代替対策が実現できるように既に取り組みを始めてございます。
 次に、テレトラックの民間委託の効果でございます。この効果を委託前後の1日平均発売額で比較させていただきますけれども、委託前、委託後を比較して、宮古、釜石、安代の三つのテレトラック以外の前後の1日当たりの発売金額が、後の方が高くなってございまして、102.1でございます。これに対して宮古が94ということで下回ってございますけれども、釜石は108、安代は115となっておりまして、多少ばらつきはございますけれども、委託したテレトラックはおおむね順調に発売していると考えてございます。
 最後に、委託企業との交渉の状況でございます。委託企業との交渉について、懸案となっている映像・施設賃貸関係の企業との賃借料削減交渉でございますけれども、これにつきましては、現在ところ合意に至ってございません。競馬組合では、早期実現に向けて、相手先企業、金融機関と引き続き交渉を進めてございます。
〇斉藤信委員 じゃ、立ち入って聞きますよ。計画比に対して99%だというけれども、経常損益、当期純損益は、1期、2期、いわば半年間で13億1、600万円の赤字ですね。これは当初計画だと1年間で予想した赤字じゃないですか。このままだと、これは倍に赤字が膨れるんじゃないでしょうか。これが第1点です。
 第2点は、テレトラックつがるの土地・建物の売却ですけれども、私たちが予算の議論をしたときに示された土地の評価額は11億8、200万円余でした。建物は12億2、900万円余でした。これが売却では土地が2億6、400万円なんですね。建物は大体同じ8億円で売られてますけどね。何で土地がこんなにべらぼうに安く売ることになったのか。そして、今の答弁だと、いわば借金をして建てたものを処分したときに、借金している金融機関が一括償還するというのは普通なんですよ。しかし、そういうことは相談をしないで、決めてから、今、金融機関と協議していると。私は、こんなやり方はないんだと思うんですよ。一括償還を求められたら、4億円の損金が出るんですよ。見通しを持ってやったのかどうか。何でそういうことになったのか。これが第2点であります。
 第3点は、17億円のいわば財産処分というのが平成17年度の計画でありました。これはテレトラックが7億円、旧競馬会館と競馬場跡地が8億円、美術品が2億円で17億円なんですね。この見込みはどうなっているのでしょうか。
 そして、インターネット発売ですけれども、そもそも平成18年度から始めて、インターネット発売は10億円なんですよ。それが40億円になり、最後は80億円売れるという、それは全く根拠はないよと私は指摘したけれども、いわば全国の地方競馬がそれに参加する。JRAはJRAでやっているというときに、何で岩手競馬がそこに参入して新たに10億円の売り上げが伸びるのか。JRAというのは、インターネット発売がふえても、総額の売り上げは4兆円から3兆円に減ったんですよ。私は、そういう点では、そういう根拠がますますなくなったのではないのかと。
 それで、JBCの競争についても、インターネットについても、計算は、競馬の改革プランはこうなっているんです。既存体制の発売というのが、平成18年から大体276億円でずっと推移する。JBCをやれば17億円売り上げがふえる。営業活動で17億円売り上げがふえる。インターネットで10億円売り上げがふえる。平成18年度は営業活動で82億円売り上げをふやすんですよ。350億円の売り上げを目指すんですよ。既存の体制で260億円台がずっと続くという根拠がわからないけれども、あなた方のプランは、営業活動をしたら、全部それにプラスと言っているんですよ。JBCがだめになったら3、000万円ぐらいの影響ですなんて、改革プランがそうなってないんですよ。既存体制は維持されて、営業活動をすれば全部プラスの、平成18年度でいけば営業活動で82億円利益が上がるという計算なんですよ。あなた方の計算だと、売り上げが17億円下がるということになるんですよ。わかりますか。そういう点で全く根拠がない。テレトラックも前よりは売れてきたという話をしているけれども、計画と比べて答えてください。平成17年度は2億円、施設賃貸効果は出るとなっているんですよ。ことしですよ。本当に2億円出るんですか。そういう意味で、コスト削減は平成17年度16億円の計画でしたが、これも実際に16億円削減できるのかも示してください。
〇東大野農林水産企画室特命参事 まず、赤字拡大のことについてお答えいたします。前期の収支計算書は各委員のお手元に送付させていただきましたが、これについては、特別損益について、今回ある資産売却等は含まれてございません。先ほど私が説明させていただいたのは、発売金額ベースの計画比を説明させていただきましたので、最終利益につきましては資産売却等も含めて算出されるものでございますので、必ずしも委員おっしゃるような形になるかどうかというのは、今後の事業進捗状況によると考えてございます。
 それから、金融機関との協議手順の件でございますけれども、競馬組合としては、競馬組合議会の承認を得てから、その上でないと公式な形で金融機関とはやりとりできないという認識で、今回のような手順になったものでございます。
 それから、17億円の特別利益について、競馬会館等の売却の関係ですけれども、組合ではさらに競馬会館等資産処分を予定しているものの売却に向けて取り組みを進めてございます。
 それから、インターネット発売についてですけれども、先ほど申し上げましたように、言ってみれば地方競馬が同じ土俵の上で発売を競うというような格好になりますので、そういった中で、先ほども申し上げたように、いかに岩手競馬が魅力的なものだという認識を、そのインターネット利用者に持っていただくかとったことが今後の課題となると考えてございます。
 それから、JBC競争の発売金額でございますけれども、先ほど答弁申し上げ、重なってしまって恐縮ですけれども、売り上げ自体の達成は困難と見込まれます。ただ、利益ベースでは、経費が相当かかりますので、3、000万円ほどと先ほど申し上げましたけれども、そこを他の取り組みで埋めていかなければならないといった状況になったと認識してございます。
 つがるの土地の評価額につきましては、大変申しわけございませんが、詳細を競馬組合から聞き取りしてございませんでした。申しわけございません。
〇斉藤信委員 東大野参事、あなたはかなりずれています。いわば競馬改革の改革プラン、私たちが予算議会のときに議論したこの損益計算書は、平成17年度はこうなっているんですよ。経常損益で13億円の赤字、特別利益で17億円、それでプラス4億円の黒字をつくるということなんですよ。私が問題にしたのは半期で13億円の赤字をもうつくってしまっているんじゃないのと聞いているんですよ。特別利益は、これはどうなるかわかりませんよ。このままいったら赤字が、経常損益が倍になるんじゃないのと言っているんですよ。そして、特別利益も、今もう本当に切り売りしていますからね。特別利益はことし17億円の計画なんです。来年8億円の計画で、2年間で25億円特別利益上げるという、これ上げたら黒字になるという計画なんですよ。田舎館を売ったけれども4億円の借金、しかし、私は来年の分食ってしまったと思うんですよ、これ。ことしと来年で25億円特別利益を上げなくてはならないのに半分も上がらないんじゃないですか、今のような売り方したら。だから、決算のことで言ったら、私は損益を言っているの。特別利益は特別利益で今言ったように、ことしの17億円と来年の8億円の見通しはなくなったんじゃないのと、今の切り売りのやり方で。その見通しは持っていますか。
 それと、JBCについて、JBCだけ見たら3、000万円のそれはもう狂いかもしれないが、経営改善計画はそういう組み立てになっていないんです、私がさっき言ったように。267億円の既存の体制で売り上げが維持されて、それに営業活動全部積み上げ方式ですよ。だから、それに根拠がないという指摘を一貫して、していたのですよ。何か失敗をするとこじつけるというやり方、間違いですよ、これは。あなた方の計画自身がそういう組み立てになっているんだから。そういうことできちんと私が質問したことについて答えていただきたい。
〇東大野農林水産企画室特命参事 最初に、JBCの売り上げの件についてお答えいたします。
 JBCにつきまして、発売計画につきましては委員おっしゃるとおり、来年度17億円計上してございます。したがって、そこの部分の売り上げ自体の実現は難しくなったと考えてございますが、それ自体が改訂実行計画の来年度の収益見込みに直接的に影響する部分というのは3、000万円ほどという、もともとの計画策定時点でそういう見積もりであったということでございます。
 それから、特別損益の件でございますけれども、一般企業につきましては貸借対照表、資産の評価がございますので、もし債務残高に関係なく資産の償却残高が例えば14億円あって、それを10億円で処分すれば4億円の損失が生じますけれども、競馬組合、地方公共団体でございますので、10億円で処分すれば歳入10億円ということになります。そういった意味で、あそこで掲げている特別損益の実現は可能と考えてございます。
 それから、テレトラックの民間委託の効果につきましては、先ほどテレトラックの民間委託の効果をお話しした際にお話ししてございませんでしたけれども、予定1施設に対して実際の平成17年度の実績は3施設といったこともありますので、いわゆる実行計画に掲げてございますコスト削減の効果というのは4億円ほどと見込んでございました。
〇斉藤信委員 余り長くやりたくないんですけれども、大体私が最初に聞いたことは答えていないんですね。経常損益13億円で、特別利益17億円というのがあなた方のプランですよと。既に半期で13億円の経常損益になっていますよ、赤字は倍になるんじゃないですかと私は聞いているんです。そして、特別利益については、田舎館の額は大きいけれども赤字も残るような売却で、私はJRAに買ってもらったことはよかったと思いますよ。ただ、その額が本当はあれで適正価格だったかというのに私は疑問を持っているんですよ。特に土地の評価は何でこんなに違ったのかという、それは答えがなかったから仕方ないけれども、特別利益はことし17億円、来年8億円の計画なんです。田舎館村を大きく売ったとしたって、来年の分を食っているんだから、結局は25億円の特別利益を上げられないんじゃないかと私は言っているんですよ。この特別利益がなかったらことしも来年も黒字にならないんですよ。既にテレトラックの民間委託で4億円の効果上がるんですか。うそでしょう。102%しか売り上げ伸びていないのに、落ち込んだテレトラックの売り上げをあなた方前提にして102%ですよ。本当に4億円の経済効果あるんですか。今のお答え、うそなんじゃないですか。これはことしのコスト削減の目標が16億円でした。いずれ、競馬組合の額というのはちょっとずれただけで数億、10億、20億なんですよ。だから、私はあなた方の計画を示して、どうなっているかというのを具体的に聞いているんですよ。もっと正確に答えてください。
〇東大野農林水産企画室特命参事 前期の9月末までの損益収支で見ますと、営業利益段階で計画未達は3億5、700万円と承知してございます。(斉藤信委員「今たくさん聞いたろう。答弁不能だよ。今たくさん聞いたでしょう、僕は。25億円の特別利益の見通しはどうかと。16億円のコスト削減の見通しはどうかと」と呼ぶ)実行計画に掲げております特別損益につきましては、資産評価が幾らかというとこら辺は入っておりませんので、売却価格そのものが特別利益だというふうに認識してございますので、今の現在で13億9、000万円ほどのめどが立っているというふうに認識してございます。したがって、来年度まだ課題ございますけれども、その達成に向けて引き続き努力するというふうに考えてございます。
〇斉藤信委員 答えがありませんので委員長にお願いしたい。私が聞いているのは、いわば平成17年度の改革プランの目標値に対して半期の実績はどうなっているか。ことし、来年の見通しはどうかということを聞いているので、それはぜひ後で――後でいいです、きちんとお知らせいただきたい。この競馬組合の……。
〇佐々木博委員長 わかりました。それでは、申し上げますが、質問の趣旨は、特別損益が出るかどうかではなくて、それは公共団体の決算だから売ればそれが全部利益になるということがわかった上での前提で、先食いして売っているから、もう売るものでそれだけ出せるかどうか、そういう質問の趣旨ですから、そのことについて後で御答弁をいただければいい。そういうことでよろしいですね。よろしくお願いしたいと思います。
〇斉藤信委員 私、今聞いたのは幾つかの項目ありますから、ぜひそういうふうにやってください。競馬組合の存廃というのは大変大事な問題なので、これはきちっと後から答えていただきたい。
 最後、県産材の活用策は質問ありましたので、これは割愛をして、森林税の導入について。
 国民、県民に、サラリーマン増税だ、所得税の控除廃止だという大増税が今、押しつけられています。介護保険料も利用料も大変な負担増であります。私は、こういうときに岩手県がまた県民に増税を押しつけるというのは、そういう環境にない、一つは。これだけ負担増が押しつけられて収入が減っているときに、新たな増税を押しつける環境にはないと思います。
 二つ目に、国も環境税を検討しているんですよ。国もやった、県もやったということになるとこれは二重の税金になってしまうので、ここはやっぱり見きわめるべきだ。
 三つ目には、そもそも1人当たり1、000円という人頭税というやり方、正しくありませんよ。税金を導入するという場合、応能負担にすべきだ。この間、日銀の調査で、今、貯金がない世帯というのが2割あるんです。こういうところに、3人家族だから3、000円ということは、私はできないと思います。そういう意味で人頭税的なこういう増税というものはやるべきでない。
 4番目は、岩手県がむだな開発を一方でやっていて、簗川ダムとか津付ダムとか、平庭高原のエコパークは17億円、一般財源ですよ。こんなところにお金かけていて、皆さんから税金もらいますという、もう本当に口実成り立たない。こういう意味で、私は、森林整備は大賛成ですが、今、本当に岩手県がこういうときに森林税を押しつける状況にはないのではないか。このことについてお聞きをしたい。
 最後の最後ですが、漁業問題についてまとめて聞きます。最後ですから。
 漁業用燃油が1.5倍に高騰して大変大きな影響が出ていますが、県として実態をどう把握して対応しようとしているか。
 三陸沿岸漁業の資源確保の立場から、トロールなどの影響調査を実施すべきではないか。水産庁がトロールの網目調査を実施していると聞いておりますけれども、把握をしているでしょうか。
 カキのノロウイルス対策。今、カキの最盛期であります。カキ養殖業者は、ノロウイルスのことが心配で夜も眠られないという、こういう今、状況でありますが、昨年度、今年度の検査状況。そして、漁民の自主検査、この漁民の自主検査に対する負担軽減を県として図るべきではないか。強い海づくり交付金という活用もできると国は言っていますので、ぜひこれを検討していただきたい。
 カキ、ホタテの貝殻など漁業系廃棄物の活用策、リサイクルについて。国、県で研究、活用の取り組みをやっていますけれども、いかがでしょうか。
 ワカメの協業化の取り組みや下落への対策。
 サケの耳石温度標識放流試験の状況。
 簡潔にお答えいただきたい。
〇千田林務担当技監兼林業振興課総括課長 森林税の関係を4点ほどでございましたけれども、斉藤委員も森林整備の必要性については御理解されているということで安心いたしましたけれども、先ほど申し上げましたように、我々もこれまで県民の皆様にいろいろの場で御説明申し上げたりアンケート調査をしてございまして、森林を県民全体で守り育てていくということには、一定の理解をしていただいていると思っておりますので、さらにこれからも理解していただきますように、誠心誠意を持って説明してまいりたい、このように考えてございます。
 それから、2点目の国の環境税の関係でございますけれども、これは昨年も出しまして先送りされて、つい最近、環境省がまた提案したわけでございますが、国は国としてやっていただいて差し支えないわけですけれども、こちらの方の見通しがまだついていない。ただ、我々とすれば、斉藤委員も御承知のように、森林整備は、これはもう喫緊の課題でございますので、やはり何としても地域の問題として取り組みたい。そういう意味で今度のいわての森林づくり県民税というものを考えているものでございますので、国の環境税が認められたといいますか、それが創設された場合に、あるいは社会経済情勢が変わったということで見直しも出てくるかもしれませんけれども、今の段階では国の環境税はないものとして我々は考えておりますので、その辺は御理解いただきたいと思います。
 それから、人頭税のようなことをやるべきでないというお話でございましたけれども、徴税方法はいろいろ検討いたしました。現在の課税の方法は、あくまでもその仕組みの問題とか、それから徴税コストの関係とか、低所得者への配慮とか、そういうものを勘案いたしますと、現在提案している方式が一番いいのではないかということでございます。
 それから、4点目は、むだなことをやっているという話ですけれども、県は決してむだなことをやっているつもりはございませんで、行財政改革で切るべきものは我々も切られておりますので、そういった中でやはり必要なものは予算を措置して、何とか県民の皆様のためにやりたい、そういうことでございますので、決してむだなことをそのまま野放図にしたままこの税を――この税といいますか、まだこれから提案するわけでございますけれども、今、考えているわけではないということを御了承お願いしたいと思います。
〇大森水産振興課総括課長 いっぱい質問が出ましたので、順次お答えさせていただきます。
 燃油の問題ですが、これは先ほど質問がありまして答えたとおりでありますが、水産だけの問題ではないということで、国の緊急対策が出ているわけですが、それとあわせた形で県としても既存の制度資金とかを活用していきたいと思っております。そのほかに水産技術センターで、ホームページで公開しています表面水温の分布等、これは漁場を探索する時間が短縮されますので、そういった利用の方もぜひ、していただいて、経費節減につながればと思っておるところでございます。
 次に、トロールの調査の件でございますが、三陸沖でやっているかということで、国と県は一緒に調査をやっております。国と一緒にやっているのは、スケトウダラ、それからキチジ等の資源量の調査でありまして、今のところレベル的には低い、横ばいの資源状態にあるという結果が出ております。
 それから、網目についてでございますが、小さな魚、特にキチジなんですけれども、小魚を優先的に逃がす漁具の開発の試験を平成16年、17年と2年間でやっているところでございます。
 それから、ノロウイルスでございますが、ことしと去年の検査状況ということで、平成16年度は全部で417検体検査しまして、擬陽性が4件、今年度は、17年もう始まっておりまして、11月2日まででございますが、127検体のうち、擬陽性は4件となっておりまして、年間大体平均10数検体の擬陽性が出てきますので、大体低いレベルにあるのではないかと思っております。
 それから、自主検査費用についてでございますが、カキの売り上げといいますか、水揚げ高が約30億円あります。それで、検査費用を聞き取りましたら、自主検査ですので漁民が負担しているわけですが、おおむね年間で、全部で350万円ほどございます。確かに交付金で対応が可能だということが、国に聞きましたらあるようでございますが、やはり安心・安全な水産物を提供していくということが生産者の責務であると考えておりまして、ぜひその部分については、35億円分の350万円ですのでお願いしたい、そのように思っております。
 それから、カキ、ホタテの貝殻の処分の問題ですが、カキの貝殻につきましては毎年6、000トンから7、000トンぐらい養殖で出てきます。これらは鶏の養鶏の飼料とか、牧場のぬかるみの防止とか、それから牧草地や果樹、野菜向けの土壌改良材など、それぞれ取り組みが進められております。ホタテについては種ガキの原盤としてリサイクルされているとか、また、大半が殻のまま出荷されている分がありますことから、カキのように問題になるような量は出てきておらない。ただ、カキもホタテも付着物、雑物がつくわけですが、その処分について、数千トン出てきますので、堆肥化の試験を平成17年度実施しているところでございます。
 それから、ワカメの協業化につきましては、労働力の確保、それから生産性の向上の方策として有効であると考えておりまして、これに必要な、例えばワカメの保管用の冷蔵庫など共同利用施設の整備について、水産経営総合改善事業――県単ですけれども――これ等により支援を行っているところでございます。
 最後に、サケの耳石温度標識放流の状況ですが、平成11年度移行サケの資源の減少を解明するということで、独立行政法人さけ・ます資源管理センターと岩手県が共同で、平成14年から耳石温度標識を施した放流稚魚を大量に放流して移動分布の調査をしております。これまで3月、4月に放流されたその稚魚が、5月の末には大体釜石から北山崎あたりまで移動していることがわかっております。また、回帰親魚――帰ってくる親ですけれども――の主群は放流後4年目のことしとなることから、ことし調査対象となることになっております。
〇佐々木博委員長 斉藤委員に申し上げますが、先ほどの競馬関係についてのことでありますけれども、本日中の答弁はちょっと難しいということでございます。したがいまして、明日、その答弁にかわる資料を配付したいと思いますので、御了承いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。(斉藤信委員「了解」と呼ぶ。「斉藤信委員だけではなくみんなに」と呼ぶ者あり)全員に配付をいたします。
〇吉田昭彦委員 斉藤委員のシビアで長時間にわたる質疑の後で大変やりにくいわけでありますが、私も急を要する課題であると思い通告しておりましたので、農林水産部の皆さん、お疲れだと思いますが、よろしくお願いします。
 水産業振興費に関連いたしまして、岩手・宮城県境の漁業操業区域の調整の現状と課題、今後の見通しについてお伺いします。
 岩手・宮城の両県境の操業区域については、宮城県は県界、いわゆる県境ですね。西東線を主張していたことに対し、本県ではその線引きでは広田半島が分断されることになることから、昭和46年にその線引きの不合理性と撤廃を申し入れし、以来、両県当局、関係団体で協議をしてきたところでありますが、30数年経過した現在でも解決に至っていないところであります。この間、平成5年に両県水産部次長協議で共同利用海域の設定による解決の方策について合意され、両県の県漁連並びに海区漁業調整委員会の話し合い、両県当局の事務レベルの協議を重ねてきたことは承知をいたしておりますが、現状と課題についてお伺いしたいと思います。
 宮城県との協議の動向、漁業者、業界団体との話し合いの経過を踏まえて、現時点での課題は何であるか。解決の見通し、方策についてどのように考えているか、お伺いいたします。
〇今泉農林水産部長 平成5年に、線にこだわらないでその資源の共同管理の観点から、幅による解決を目指すということでこれまで協議を重ねてきております。今年4月には、両県水産局長、次長間の合意事項に基づきまして、当面、イサダ漁業者をまずテーブルに着かせよう、そこで議論させようということで、両県、私どもと宮城県、それぞれ漁業者及び業界団体との意見調整を行っております。それから、藤治ヶ根の操業ルールを確立するために、ことし8月から9月にかけまして、両県で藤治ヶ根周辺の操業実態調査を行っております。それから、10月5日には、岩手・宮城両県の海区漁業調整委員会交流会が、平成14年以来3年ぶりに開催されるということで、両県の抱える課題についての相互理解の一歩を進めることができたかなというように思っております。
 漁業者との話し合いの状況でございますけれども、本県漁業者の意見の聞き取り結果、まだやはり漁業者の意見には隔たりがあり、現状では直ちにその両県の漁業者が協議の場に着くのは難しいのかなと今、考えているところでございます。当面は藤治ヶ根周辺の操業実態調査の結果に基づきまして、操業実態の現状把握と操業ルールの確立に向けた協議、これは両県間で行うことができますので、まずここのところの取り組みを進めていきたいと思っておりまして、それと並行して、その入会漁業の促進のため業界団体と協議を行いながら、継続的な協議の場が設定されるように努めてまいりたいと考えております。平成5年以来、遅々とした歩みではございますけれども、一つ一つ課題をあぶり出しながら、それをどうクリアしていくかというところでの前進はあるのかなとは考えてございます。
〇吉田昭彦委員 操業実態調査、それから操業ルールの確立に向けていろいろ調整を図りたいという今の部長の御答弁ですが、サケの刺し網は宮城県海区漁業調整委員会指示で、ことしから9月から12月までは禁止されていると伺っております。しかしながら、かご漁や刺し網が本県では許可漁業でありますが、宮城県は自由漁業ということになっております。そういうことで同じ共同利用海域でも操業ルールの違う中でやっておられるわけですから、これは全く不合理きわまりない。そういうことでこういうことを早く調整をしなければならないと思います。それで、このことについてはいろんな形で宮城県と調整を図ってきたと思いますが、しかしながら、両県同士ではなかなか解決が難しいのではないか。それが今までの30数年の経過が物語っておるわけですから、この際、両県の調整役に立ってもらうように国に対して要望すべきではないですか。このことについて部長、お答えください。
〇今泉農林水産部長 解決の方法として、そういった方法もありまして、これまで何回か議題に上ったとは聞いておりますけれども、ただ、両県がそろって国にその調整をお願いするに当たっては、白紙委任するということが前提だと聞いてございます。今、委員からも御指摘のとおり、なかなかそのとらえ方というか、考え方にまだ差がございまして、宮城県が直ちに白紙委任するということは難しいのではないかと考えてございます。いずれ、両県のその溝を少しでも埋める努力というものを、やはり引き続きやっていくことが先決ではないだろうかと今、考えているところでございます。
〇吉田昭彦委員 これで終わりますけれども、いずれ、広田半島が分断されるようなそういう形での幅の利用とは言ってもこれは不合理です。そういうことで、だれが見ても不合理な状態を続けるわけにいかないわけですから、これは岩手・宮城の県境議員連盟でも話題になりました。部長も御存じだと思いますが、その中で本県の増田知事と、それから宮城県の浅野前知事、御両人ともこの問題は早期に解決をしなければならないということを言っておりますので、その議員連盟の総会のときにですね。このことについては早急に国に対して調整を図るようにこれは求めていくべきだ、そのように思いますので、もう一度、部長お願いします。
〇今泉農林水産部長 ただいま御提言のありましたことも選択肢の一つに入れながら、今後調整を進めてまいります。
〇佐々木博委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木博委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。
 農林水産部の皆さん、御苦労さまでした。
 次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇山内警察本部長 警察本部関係の平成16年度の決算について御説明申し上げます。
 お手元の平成16年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。第9款警察費の歳出予算現額は298億9、159万円余であります。これに対して支出済額は296億6、209万円余であり、不用額は2億2、950万円余となっております。
 以下、個々の内容につきましては、お手元の平成16年度歳入歳出決算事項別明細書により、項目ごとに御説明申し上げます。
 328ページをお開き願います。第1項警察管理費第1目公安委員会費の支出済額782万円余は、公安委員の活動経費や委員報酬など公安委員会の運営に要した経費であります。第2目警察本部費の支出済額245億6、309万円余は、警察職員の給料、職員手当などの人件費のほか、犯罪の国際化対策として部内通訳要員育成のための研修経費、警察情報管理システム経費など、岩手県警察の管理運営に要した経費であります。第3目装備費の支出済額3億2、263万円余は、犯罪捜査や災害対策などに対応するための警察装備品の整備と維持管理に要した経費で、警察車両の購入や、車両、警備船、航空機などの維持管理に要した経費であります。次に、330ページをお開き願います。第4目警察施設費の支出済額10億5、307万円余は、治安の基盤をなす警察署、交番・駐在所などの警察施設の整備や維持管理などに要した経費であります。第5目運転免許費の支出済額5億8、600万円余は、運転免許証の作成業務や各種講習業務の委託に要した経費、運転免許センターの施設の維持管理などに要した経費であります。次に、332ページをお開き願います。第6目恩給及び退職年金費の支出済額7、881万円余は、恩給、扶助料等の支出に要した経費であります。
 次に、第2項警察活動費第1目一般警察活動費の支出済額6億8、636万円余は、交番相談員の配置などの交番・駐在所関係経費のほか、通信指令システムなど警察通信施設の維持管理などに要した経費であります。第2目刑事警察費の支出済額3億4、124万円余は、少年非行防止対策や銃器・薬物犯罪対策などの保安警察に要した経費と犯罪捜査に要した経費であります。次に、334ページをお開き願います。第3目交通指導取締費の支出済額20億2、303万円余は、交通安全活動や交通指導取締活動に要した経費及び交通事故の防止と交通の円滑化を図るための交通安全施設の整備、維持管理などに要した経費であります。
 以上で警察本部関係の決算についての説明を終わらせていただきます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇佐々木博委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇佐々木一榮委員 4点ありますが、2回に分けてお尋ねします。
 まず、最初に県警の所管の公有財産についてお伺いいたします。
 警察官舎等の現在の世帯数と入居率はどうなっていますでしょうか。拝見するに老朽化している官舎が多く見られますが、今後の利用及び処分の基本的な考え方についてお尋ねいたします。総務委員会時代に機動隊官舎等も視察の機会をいただきましたが、もう少しよい環境でということも非常に考えておりますけれども、現在、行革プログラムの進行中、また、ポスト行革プログラムも策定中でありますが、現在、県警施設計画について総務部との調整は順調でしょうか、お尋ねいたします。
 あわせまして、農林水産部審議の折に密漁の議論が非常にされたわけでありますが、これも総務委員会時代に大船渡で警備艇に乗せていただきました。密漁船をとても追うことができないスピードという説明を受けましたけれども、現況をどのように認識され、また、更新予算要求の予定はいかがなっているでしょうか。ここまでが公有財産の第1点目であります。
 2点目、高齢者事故対策についてお伺いいたします。
 高齢者ドライバーの増加によりまして、今も紅葉しておりますが、もみじマークが導入されました。導入後の県内での普及状況と平成16年の実績はどうなっていますでしょうか。もみじマークはどのような効果を出しているか、どのように検証されているでしょうか、お伺いいたします。
 また、今後の普及啓発運動展開について、目標数値等も含めどのようなお考えでしょうか、お尋ねいたします。
〇元吉会計課長 まず、警察職員宿舎についてお答えいたします。
 警察職員宿舎の状況でございます。警察本部が所管する職員宿舎における平成16年4月1日現在の入居率は、管理戸数1、203戸のうち、入居戸数、世帯数ですが、1、044戸となっております。入居率は86.8%。また、平成17年4月1日現在の入居率は、管理戸数1、185戸のうち、入居戸数は1、061戸、入居率は89.5%となっております。また、これには改修工事に伴って入居制限している戸数がございますので、それを引きますと平成17年度は90.8%の入居率となっております。
 また、委員御質問ございました老朽化についてでございますが、警察施設、警察活動の基盤となるものでございますので、これからも県に強く要望しながら整備を進めていきたいと思います。
 県の行政改革プログラムの関係ですが、行政構造改革プログラムにおいて警察署及び職員宿舎については凍結されております。その他の交番・駐在所については既設の予算内で整備を行っているところでございます。
〇小野寺交通部長 いわゆるもみじマークの導入についてお答えいたします。
 高齢者運転マーク、いわゆるもみじマークにつきましては、1997年の道路交通法の一部改正で75歳以上の高齢運転者に表示の努力規定が盛り込まれ、その後、2001年の同法の一部改正により表示の対象が70歳以上に引き下げられております。本規定は、表示しないと原則罰則が科せられる初心運転者マークとは異なりまして、違反ではありませんが高齢者運転マークをつけた車に対して幅寄せや割り込みをする行為が禁止され、違反に対しては罰則が設けられております。マークを表示することで高齢運転者が保護される規定であります。
 平成16年の実績といいますか、実はことしになって調査しましたので、その結果をちょっとお知らせしたいと思います。ことしの9月に県内において高齢運転者マークの表示車数を調査した結果、全調査台数620台中、高齢運転者マークを表示した台数は253台で、40.8%の表示率でございました。高齢運転者マークをつけていない方367人のうち、高齢運転者マークがあることをわかっているが、つけていないという方は79.3%の291人ということで、その理由の主なものは、面倒だからとか、義務違反ではないからとか、自分には必要ないなどという結果でございました。ということで、県警察といたしましては、高齢運転者による交通事故が多発傾向にある中、マークを表示することで運転者自身の安全運転意識の高揚が図られることから、今後とも日常の街頭活動はもとより、関係機関、団体の協力を得ながら高齢者在宅家庭訪問活動等を通じて啓発活動を推進してまいりたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 警備艇の状況については御答弁をお願いしたいと思っております。
 それから、今、小野寺交通部長からお話ありました点ですが、運転者保護の観点を今、強く答弁されましたけれども、事故によってはその集団登校の列に高齢者が入っているという、全国的に見受けられます。これは逆に言うと運転者保護の観点もありますけれども、そのマークをつけていることによって周りの、周辺が非常に気を使うという部分でも、私は大きなメリットがあるというように思っておりますが、この点についてお考えをお伺いします。
 3点目、警察官の増員についてお尋ねいたしたいと思います。
 平成16年度の実績と今後の見込み、特に交番、巡回重視の今、施策をとられておりますので、交番が不在がちになるというように思っておりますが、交番相談員の増強対策についてどのように現在進められておられるでしょうか、お伺いしたいと思います。交番が巡回中不在というのは、地域によっては駅前等の観光客、外から来る方に対してもいい印象ではありませんので、この交番相談員の増強対策についてお伺いしたいと思います。
 それから、最後に4点目でありますが、逮捕拘留中の被疑者と申しますか、この方々の給食についてでありますけれども、国の定める基準についてお伺いしたいと思います。
 それから、次に、外国人等の犯罪者もふえていると思いますが、ここ最近の給食費といいますか、科目がよくわかりませんが、この状況はどうなっていますでしょうか。
 それから、聞き及びますところによりますと、故意に無銭飲食、また、万引きをして捕まって食事をとると。特に、被疑者の方が取り調べ官よりもいいものを食べている。こういうような状況もお伺いするわけでありますが、現在、法務省、どのような検討をされているのか、お尋ねをしたいと思います。
〇小川口生活安全部長 では、私の方から警備船の性能等についてお答え申し上げます。
 警備船の性能、乗組員等についてでありますが、警備船につきましては、大船渡港にさんりく、宮古港に第二さんりくを配置し、さんりくは大船渡署、釜石署の沿岸地域、第二さんりくは宮古署、岩泉署、久慈署の沿岸地域を活動区域としております。さんりくの性能ですが、鉄鋼製、総トン数22トン、航続距離が180海里、最大搭載人員12名、警察官2名、航海士・機関士など4名の計6名が乗船しております。第二さんりくは、強化プラスチック製、総トン数29トン、航続距離240海里、最大搭載人員が24名でありまして、警察官2名、航海士・機関士など5名の計7名が乗船しております。
 交番の不在対応についてお答えいたします。
 交番の勤務員不在対策につきましては、日中の対応については、県内8警察署・19交番に交番相談員を配置して対応しておりますが、交番相談員未配置交番、交番相談員の不在時、さらに、夜間の勤務員不在時につきましては、緊急通報装置によって対応しております。この緊急通報装置は交番などの玄関に警察署への直通の送受話器を設置し、訪問した方からの届け出などに対応しており、緊急通報装置は県内ほぼすべての交番・駐在所に整備しております。
〇小舘参事官兼警務課長 留置人の給食の関係でございますけれども、国の方の基準は明確には示されておりませんけれども、岩手県の場合、1日当たりの予算は1、323円で、1食当たり441円となっております。
〇小野寺交通部長 先ほど、事故を起こした者もいるのではないかということで、実はことしの9月、人身事故を起こした方、70歳以上で調査しました。第一当事者、ある程度責任の重い人が34人、それから第二当事者が17人、合計51人おりました。それで、第一当事者の方で標識がありというのは13人ということで、かなり少ないということなんですね。そういうふうにして事故を起こす、あるいは高齢者の方がそういう方が多くなっているということは、やっぱり意識づけをすることが一番大事だと思いますので、いろんな活動を通じて先ほどのようにこれを啓発して、ふやしていきたいと思っております。
〇佐々木一榮委員 答弁漏れで2点お伺いしたいと思います。
 先ほどの交番の関係、相談員の方ですが、この実績と、恐らく今、不在中が多いということで交番相談員の方のもう少し増強が必要だと思うのですが、その点についての取り組みについて、これは予算要求の部分もあると思うのですが、それについて現状と今後の取り組みについてお尋ねをしておりました。
 それから、それ以外に2点ありまして、給食の関係でお尋ねしましたのは、先ほど1日1、323円という予算がありましたが、年間にどのぐらいの金額がこの部分でかかっているのかということと、それからさっき言いました、故意に無銭飲食や万引きということで警察に捕まる方がいると。今、法務省の方でその部分について何か検討しているということを聞いておりましたが、それについてはいかがでしょうかという、この3点についてお願いいたします。
〇山手警務部長 それでは、順を追って答弁させていただきます。
 まず、初めに本県における警察官の増員状況でございます。これは交番相談員ではなく警察官の増員状況、これは平成14年及び16年度にそれぞれ20人の増強をいただいております。また、平成17年度には10人の増員がされている、これが警察官の分でございます。
 次に、交番相談員についてでございます。これは、これまで既に配置されているわけでございますけれども、この中で十分機能がされているということで、かなり御近所の方から、例えば利用される方からの感謝の言葉、これは届いております。そういった意味合いでかなり活躍できる場所ということで、今年度、部内でのいわゆるいろいろな見直しを図りまして、さらに増強を図るべく現在、関係当局との交渉をしているところでございます。
 あと留置場の関係で申し上げますと、まず、全体としましては、岩手県、平成16年度の予算額が、5、100万円余が支出されております。それで、委員御指摘のいわゆる故意に留置場に入って云々というのがございましたけれども、これにつきましては、故意に入れる場所ではございませんので、何らかの犯罪を起こせば当然必要があれば逮捕いたしまして拘留するということになりますので、なかなかその実態を把握することはできないということでございます。
 また、いいものを食っているということですが、441円でございますので、コンビニ弁当350円でありますと、それよりは若干いいということですが、これはあくまでもカロリー計算でございまして、1人平均2、335カロリー、これをとるべくその予算計上されたところがこの数字だということでございます。
 さんりくの更新でございます。これもやはり警備艇、性能がよければそれにこしたことはないということでございますが、現下の財政状況のもとでこれが必要かどうか、これはさらに、うちは欲しいと言うんですが、財政状況もございますので、それぞれ順を追って要求をしてまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 交番相談員の関係なんですけれども、どこまで権限があるのかお聞きしたいと思います。多分OBの方が話を聞くというのはその程度かなと思うのですが、交番だけではなくて、例えば私、前に東署に行って生活安全課というところに行ったらばOBの方が出てきて、私、署警察官にお話ししたいんだと言ったんですが、きちっとした職員がいるのに、私が対応しますから、こちらで、いや、あなたじゃなくて正式な職員にと言っても聞き入れてくれないと。そういった場合に住民として、交番相談員じゃない方とお話ししたいときに拒否できるのかどうか、その辺もお聞きしたいと思います。本当にちょっと嫌な思いしました。
〇山手警務部長 まず、交番相談員の権限でございますが、実はこれはもう既に警察官を退職しているOBの方でございますので一般人と同じでございます。したがいまして、主な業務といたしましては、拾得物の受理、それから地理案内、それから権力行使を伴わない職務に従事しているということでございます。あとは困り事相談、これは交番でも受け付けておりますので、これの対応に当たるというのが交番相談員の職務内容ということでございます。ただいま委員御指摘の、もし正職員がいて話したければ、それはその方にお話をしていただければ結構でございますし、もしそれが拒否したということであれば、それは職務上の怠慢と私は考えております。
〇小野寺好委員 実際に門前払いで、嫌ならばと言っても、それちょっと通らなかったので、そういったことないようにしていただきたい。要望で終わります。
〇吉田昭彦委員 交番の増強体制に関連して1点お伺いいたしますが、県内に幹部交番所というのが何カ所かあると思いますが、その人員配置に当たって何を基準にして配置人員を決定されているか伺います。
〇小舘参事官兼警務課長 幹部交番のことについてお答えいたします。
 県内には警視の階級の警察官が署長をやっております幹部交番は、県内に紫波署管内の見前幹部交番と大船渡署管内の高田幹部交番の2カ所があります。人員のことについては、見前幹部交番は署長以下18名と少年補導職員が2名、それから高田交番の方は署長以下15名と少年補導員が2名、こういうぐあいにおります。これからの配置の関係でございますけれども、どうしても人口等が推移したり事件の発生等がありますので、その辺を勘案しながら、他の交番と同じように同様に考えておりまして、その辺の動態は治安情勢を見ながら適正な人事配置を考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
〇吉田昭彦委員 高田幹部交番は、署長さんが警視の署長さんになられたのが多分二、三年前だと思いますが、署長さんの格が上がったんだと思いますが、ところが人員体制はそのときと全く変わっていないということで、署長の格は上がったけれども人員は従前どおりと伺っておりますが、実態を申し上げますと、夜間に交通事故が起きるとその幹部交番所が警察官不在の場合が出てくるということで、市民の方々は大変不安、心配に思っているということの意見が多数あるわけですけれども、そこで伺ったのは、いわゆる幹部交番所の人員配置というのは所轄の本署で決められるのか、それとも県警本部で決められるのか、これはいかがでしょう。
〇小舘参事官兼警務課長 配置の人員等については、先ほどお話ししました各事案を調整しながら警察本部で決めております。
〇吉田昭彦委員 要望に終わってはあれですけれども、実は先ほど来、密漁対策の問題が委員それぞれから出ておるところでありますが、県境に位置しているというその特殊性を考えて、それらを考えた上で幹部交番所の人的体制も含めて増強しなければならないのではないか。
 それから、御承知のように前は交通機動隊の高田分駐隊がございました。それが6人ないし4人の配置があったわけでありますけれども、そのときは幹部交番所と交通機動隊が一体となって県境の治安に当たったのではないか、そういうふうに私は理解、承知しているわけですが、今その幹部交番所も大船渡に統合されて、そういうことから人的体制を考えると県境に位置している、あるいはアワビの密猟対策、それらを含めて増強することが必要ではないかと思いますが、このことについてはいかがでしょうか。
〇小舘参事官兼警務課長 増強の話でございますが、人員等については他の交番所も同様でございますので、その辺は管内の犯罪情勢あるいは人口等を見ながら、県内一体で考えていきたいということで考えております。
〇吉田昭彦委員 関連ですからこれで終わりますが、今、治安の情勢とか犯罪の件数と言いましたが、実はかなり前の話でありますが、30数年前、警察本部に警察署設置の要望に来た際に、陸前高田市の元市長が、犯罪を多くすれば警察署にするのかというやりとりがあったことを私、記憶をいたしておるんですが、犯罪ができてからではなく、それを未然に防止するという県境の治安体制のためにはぜひとも必要だと思いますので、これ以上申し上げませんが、また後でそういうお願いの場を設けたいと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
〇樋下正信委員 私は、330ページの警察施設費のところで、交番、駐在所建設事業費、駐在所等用地購入費のところでお聞きしたいんですけれども、実は1年以上前だったと思いますけれども、今、盛南開発という、本宮、太田の地域で開発が進んでおります。警察の方から、実はここに太田と本宮に2カ所、各1カ所ずつ、今現在、駐在所があるんですけれども、これを統合したい、そして交番にしたいんだ、二つの地区を見る交番にしたいんだという話が出まして、地域の人たちは了解しました。了解してその名称、(仮称)おおみや交番という名前で進んできたわけでございます。何でおおみや交番と言うかと言いますと、あそこは昔、中学校が二つありまして、太田と本宮という中学校が統合して大宮中学校という中学校がございます。その大宮学区という中での本宮の方々、太田の方々は了解の上におおみや交番でいくものだと理解して今日まで来たわけでございます。
 そうしましたら、先月の臨時議会、24日の日に私の方に、実は名前を変えたい、もとみや交番にしたいという御説明がありました。その2日後の26日に地元の自治会協議会の中におきまして、御説明に課長が来られまして、もとみや交番にしたいからということで説明に来たわけでございますけれども、その地元の太田の自治会の会長さん方、11自治会があるんですけれども、寝耳に水ということで突然の話でびっくりしたわけでございます。私もびっくりしました。これは所在地の名前をとらなければならないというようなお話だったわけでございますけれども、当初から仮称大宮交番ということでスタートしておったわけでございますけれども、この辺について、当初大宮交番でスタートしたやつを、何とかそういう形でお願いしたいということもございますし、その経緯を教えていただきたいと思います。
〇小川口生活安全部長 私の方からお答えします。仮称大宮交番につきましては、盛岡東警察署管内でございまして、交番所の名称を決定するに際しましては、警察法の第5条に、管轄区域の主要な市町村の名称を冠することと原則なっておりますが、ただ、新設の交番の名称につきましては、地域の方々の意見を広くお聞きしまして、それによって決定していきたいと思っております。東署の方からは、大宮交番にしたいとか、本宮交番にしたいという本部の方への報告はまだございませんので、今後、地域の方々の要望が広く聞かれまして、このような交番の名前にしていただきたいということが東署の方にありまして、東署から本部の方に上がってきますと、あとは、これは公安委員会の決定事項ですので、公安委員会の方で決定することになると思います。今後、これからのことでございます。
〇樋下正信委員 実は4日に東署の方に要望書というような形で出させていただいております。最終的には県警本部の方で、東署から上がっていったものに対して決定をするというようなお話も聞いております。ぜひ、地域住民の意がかなうようにひとつお願いしたいと思います。逆に、こういうことを言っていいのかな、もう一つの地域の方からもそういう要望が出たのかなと思って聞いたらば、そういうものは出てないということでございますので、仮称でスタートしておりましたので、両地域はそういう認識になっていると思いますので、地元の東署から上がっていった場合にはよろしくお願いしたいと思います。
〇田村誠委員 簡潔に1点お伺いをさせていただきます。イーハトーヴこずかたの閉館についてお伺いをいたします。これまで警察共済組合が運営しているイーハトーヴこずかたが、来年3月末をもって閉館するという報道がされておるわけでありますけれども、地方職員共済組合のエスポワールいわて、あるいは教職員共済組合のサンセール盛岡と並ぶ3共済施設としてこれまで運営をされてきたわけでございますが、これらの2施設の経営も心配をされるところでありますが、まず、閉館に至った経営状況の経過等についてお伺いをいたしたいと思いますし、経営悪化をどのように分析されておられるものでしょうか。また、経営経費に関しては県費の補助金などは投入されているものかどうか。もし閉館となりますれば、ここに働く方々がいらっしゃると思いますけれども、この方々の雇用についてどのようにお考えになっているものか、お伺いをいたしますし、また、イーハトーヴこずかたの土地・建物は岩手県所有と聞いておりますけれども、閉館以後、この土地・建物の利活用についてどのように考えられているものでしょうか。大変すばらしい立地条件にあるわけでございますので、ぜひ有効な活用を期待したいと思っておりますが、お伺いをいたします。
〇元吉会計課長 イーハトーヴこずかたについてお答えいたします。イーハトーヴこずかたは、昭和52年7月に警察職員の福祉の増進を目的として建築されたものでございます。最近における施設の運営は、社会情勢の著しい変化に伴う組合員のニーズの多様化及び民間施設等の競合によって利用者の減少になっております。事業収入も年々減少傾向にありまして、赤字経営となっておりました。さらには建築後28年が経過しまして施設が老朽化し、今後多額の維持費が見込まれる、赤字改善の見込みがないことから、総合的に判断しまして、平成18年1月31日で営業を終了しまして、同年3月31日に閉館することといたしました。
 経営経費については、県費の補助金等の投入ですが、イーハトーヴこずかたの経営は独立採算を原則としておりまして、これまでの赤字分については保有資金で補てんしております。県費は一切投入されておりません。
 閉館後の従業員の再就職についてでございます。閉館に伴う雇用の確保については、従業員と個別面談を行いまして、その意向も十分に酌んで対応していきたいと考えております。
 閉館後の土地・建物の利活用でございます。当該施設は、委員おっしゃったとおり、県有でございます。今現在、警察本部において利用できるかどうも含めて検討をしております。今後、県の方に照会をかけまして、県の方で利用するかどうか。県の方でも利用がない場合は、所在地であります盛岡市の方に利用があるかどうかを確認しまして、どこもない場合は一般競争入札で売却処分ということになります。
〇田村誠委員 了解。
〇工藤大輔委員 遺失物についてお伺いします。警視庁によると、警察に届けられる遺失物が急増しているということであり、その内容につきましても、ペットやカード類等多様化していることを受け、国の方ではその取り扱いの見直しについて検討をしているという報道もございました。実際、この取り扱いを定めているのが遺失物法ということであり、1958年の施行以来約47年間経過をしているものの、実質的にその中身が改正されてこなかったということで、現状と合わない分野が出てきたんだなという感を持っています。そういった中で、よく住宅地等にカメだとか、ワニだとか、ヘビだとかが出没したりということで、いずれ、これらも遺失物ということになると思いますが、現金だとか物品とはちょっとまた違うような形のものがあり、その現状について説明をいただきたいと思います。それにつきましては、例えば遺失物の件数だとか、還付の件数、あとは遺失物の届け出件数、また、多様化ということに伴って特徴的なものについて説明を願いたいと思います。
 もう一点なんですけれども、交通の取締状況ということで、飲酒、スピード、あとは近年、携帯電話等の取り締まり等をやっているわけでございますが、罰則強化後、この状況がどのようになってきたのか。また、反則金の収納率の状況について御説明願います。
〇元吉会計課長 遺失物についてお答えいたします。平成16年中の遺失物・拾得物の取扱状況についてお答えいたします。平成16年の遺失届の総受理件数は1万9、617件、15年と比較しまして654件、3.4%増加しております。拾得届の総受理件数は1万7、171件で、前年と比較して437件、2.6%増加しております。遺失者が判明し、還付した件数は7、272件で、遺失届に対し37.1%の割合となっております。
 取り扱いの多様化を特徴づけるような物品としましては、平成16年7月、盛岡市内の民家に迷い込んだフェレット、これはイタチ科の愛玩動物ですが、この1匹の届け出があり、新聞に記事掲載等をしていただきまして、遺失者に返還しております。
〇小野寺交通部長 交通違反の取締状況についてお答えいたします。飲酒運転、速度違反、携帯電話の使用違反ということですが、飲酒運転は、5年間を見ますと、平成12年が2、627件、13年が2、592件、14年が2、564件、15年が1、975件、16年が1、839件。14年に罰則が強化になったということから若干減っておりまして、ことしは10月末現在で1、368件ということになっております。これは前年同期比で145件減っております。
 次に、速度違反の取り締まりですが、平成12年から16年まで、ほとんど3万件台です。12年が3万4、000件、13年が3万1、000件、14が3万2、000件、15年が3万3、000件、16年が3万7、000件という形になっております。ことしは10月末現在で3万2、878件ということで、前年同期比で441件プラスになっています。
 最後に、携帯電話の使用等の違反です。これは昨年の11月1日から施行されました改正道交法によって、運転中に通話のために使用したり、画像を注視した場合には罰則が設けられたということなのですが、昨年の11月、12月の2カ月間で397件、ことしは10月末で3、647件、合計で4、044件という形になっております。
〇工藤大輔委員 遺失物についてなんですが、これら物品等の遺失物は、落とし主が判明しない場合と、あとは届けた方が受け取らない場合に県の歳入になるというようなことでございますが、平成16年度のこの歳入について、どのぐらいの歳入となっているのかどうかということと、あと、ちょっとこれはわからないので御説明願いたいんですが、物品とは違うそういった生き物の場合、今後、例えば爬虫類とかさまざまなものが出てくると思いますが、そういったものの取り扱いはどのようになっていくのかどうか、お願いしたいと思います。
 あとは取締状況なんですが、飲酒については減少傾向ということで、法の罰則の強化が有効に働いているなという思いがしますが、速度違反は逆に増加傾向にあるということで、今後、この速度違反等について、各管内というか、あっちの方でかなり取り締まりの車も高度な車を導入しているような感じがし、それらについてまた強化していくのか。その対策について言える範囲で結構ですが、御説明を願いたいと思います。
〇元吉会計課長 拾得物のうち、県の歳入になった金額ですが、平成16年度は1、055万433円でございます。
 それと、特殊な動物等についてでございます。ペット等の動物であれば、犬・猫でありますれば、遺失者が判明するまで署の方で署員が飼うというような状況でございます。特殊な動物、今、ワニとおっしゃいましたけれども、そういう特殊な動物の場合は、動物公園の専門施設に委託して保護してもらうということになっております。今のところ、そういった動物の取り扱いはございません。
〇小野寺交通部長 やはり速度違反の取り締まりは交通事故防止に非常に有効だと思っております。近年、レーダーパトカーというものを整備いたしまして、ことしの9月現在で25台あります。各警察署に入りました。それから交機と高速にあります。これでの取り締まりが全体の3割強、35%ぐらいになっておりますので、パトカーを見たら十分気をつけるよう、よろしくお願いします。
〇高橋比奈子委員 先ほどからいろいろ交番の問題、それから交番相談員の問題なども出ておりますが、ちょっと違う観点から2点について伺いたいと思います。
 皆さんもいろいろお話がございましたが、警察を身近に感じる存在として交番がありまして、非常に社会の治安低下を含めて本当に頼るところ、地域住民が本当に心のよりどころとする大事なところだと認識しております。一つだけ要望があるんですけれども、ある学生が拾得物を持っていったときに、急いでいると言ったにもかかわらず、かなりの長時間拘束をされて部活におくれてしまったと。これを聞いた方が、次に落とし物があったときに拾おうかどうしようか迷って、そしてやっぱり拾おうと思って、交番の前に置いて、走るようにいなくなったと。こういう拾得物がたくさんあるということを今もお話をお聞きしたんですが、もし、経験の少ない勤務員の方がいらっしゃるとすれば、そういう方にも、マニュアルがあるというのはわかるのですが、児童たちの親切心を失わせないようなスピーディーな対応をしていただきたい。これに関しては、警察官になるためには警察学校に入らなければいけないことはわかっていますが、その後の育成とか、そういうことはどういうふうにしていらっしゃるのかということを1点。
 それから、あわせて交番相談員の方はOBの方で、非常に経験豊富だということを伺っておりますので、こういう方々にも、育成に関するような、また御指導に関するようなことを御一緒にやってもらえないか、そういう方法はどうなのだろうかということを2点伺いたいと思います。
〇小舘参事官兼警務課長 警察官の育成についてお答えいたします。警察官につきましては、大学卒は警察官A、短大・高校卒は警察官Bという区分で採用されます。採用後、A区分採用者は6カ月間、B区分採用者は10カ月間、初任総合科生として、警察学校において警察官として必要な知識、技能を習得します。基礎教養修了後、それぞれ警察署に配置となりますが、配置された警察署において3カ月間実務研修した後、再度、初任補習科生として警察学校において2カ月から3カ月間研修を受け、警察官として必要な知識、技能を習得しているところでございます。これらの警察学校等における採用時教養が修了した後、第一線で勤務することになりますが、その後におきましても、上司等による職場教養はもとより、階級が昇任した際に行う昇任時教養、それに刑事警察あるいは交通警察の専門分野における知識、技能を習得するための専科教養等を実施しております。今後とも、教養内容の充実等により、県民の期待と信頼にこたえる実務能力の高い警察官の育成に努めてまいりたいと思っております。
〇佐々木博委員長 交番相談員についてはいかがでしょうか。
〇小川口生活安全部長 交番相談員の育成、それから新任の警察官等に対する教養ということの質問だと思いますが、OBの警察官ですので、かなり知識は持っております。よって、新任で来た交番配置の若い警察官に対しては、その都度、その実地で指導しているのが実態でございます。
 拾得物の受理あるいは遺失物の受理というもので、そんなに1時間とか2時間とかかかるということはまずないはずなんですが、何らかの事情であるいは遅くなったものと思います。引き続き交番相談員による新卒者の指導は徹底していきたいと思っております。
〇高橋比奈子委員 御親切な答弁、ありがとうございます。やはり拾得物に関しては個人の財物を受理するわけですから、いろいろなマニュアルがあるとお聞きしていますが、スピーディーに、本当に5分、10分できちんと対応できるような形で進めていただきたいということと、それから、先ほどからもお話が出ていましたが、この交番相談員という方々は指導なども担っていただけるという今のお話もありましたので、空き交番等、利用頻度などを統計をきちんと出しながら、先ほど、来年度の増員もしていきたいというお話を佐々木一榮委員にお答えしていましたので、ぜひ、そういう方向性で御指導も含めた増員に向け、来年度反映させていただきたいと思いますが、この点、簡潔にお願いいたします。
〇山手警務部長 ただいま委員御指摘のとおり、非常に戦力になっているということで、先ほど申し上げましたとおりに、今後もまた必要に応じて増員を図っていくと。それは地域の状況、犯罪の発生状況、人口、取り扱い、そういったものが当然基準になろうかと思いますが、いずれ、県財政で許す限りの対応をしてまいりたいと考えております。また、交番相談員そのものに対する指導ということも、先ほど若干の御質問の中に入っておりましたけれども、これは警察OBであり、かなりのベテランであるということで、ある種、教養の対象というよりは、情報提供の対象として、現在の警察のありよう、そういったものを提供しているというところにとどまっているという状況でございます。
 あと、御指摘のとおり、忙しい中、拾得物を届けてくれた方に対してはスピーディーに処理するというのは当然のことでございますので、これについてもそのように現場に対して指導、教養をしてまいりたいと考えております。
〇新居田弘文委員 私は、交通事故抑止対策について伺います。今、治安水準の悪化と、それに対する県民の不安感の増大がクローズアップされていますが、交通事故の現状もお聞きして、見過ごすことのできない現状であると思っております。特に、ことしに入って交通事故が多発傾向にあります。このようなことから、警察では交通死亡事故抑止緊急作戦など種々の施策と警察官の最大動員で、ようやくことし下期に入って平年を下回るペースまで下がったと聞いております。
 そこで3点についてお伺いします。
 まず1点目は、信号機や横断歩道の交通安全施設の設置についてですが、今、県の財政事情が非常に厳しいというようなことで、公共事業の大幅な削減が行われておりますし、交通安全施設についても同様の事情ではないかと思っております。しかしながら、人命にかかわることでございますので、このような重要な交通安全施設については、その施設は適切に設置されるべきものと考えております。
 そこで伺いますが、16年度における交通安全施設の整備状況を、ここ数年の状況と対比の上、その経過についてお示しをいただきたいと思います。
 それから、二つ目は交通事故の発生状況とその防止対策について伺います。先ほども触れましたように、ことし前半の当県の交通事故は歯どめがかからないような状況にありました。昨年と比較して大きく発生した要因、原因をどのように分析され、今後どのような対策を講じようとしておられるか、お伺いをいたします。とりあえず二つ。
〇小野寺交通部長 まず、交通安全施設の整備状況についてお答えいたします。交通安全施設の整備につきましては、交通の安全確保や円滑化対策の推進等を柱にした交通管理基本計画の方針に基づきまして、平成15年度から平成19年度までの5カ年計画で、交通管制センターの集中制御エリアの拡大、信号機の更新・改良等を基本として整備を進めているところであります。平成16年度における整備状況は、国の補助事業といたしまして管制センターの下位装置改修、信号機の更新、光ビーコンの増設等で計4億8、800万円余、また、県費による事業といたしまして、信号機の設置、道路標識・標示の設置、老朽施設の改修等で計6億9、200万円余、総額11億8、000万円余の整備をしたところであります。これは過去3年間の前年度比較で、国の補助事業及び県費事業を合わせてみますと、平成14年度ではプラス12%、平成15年度ではマイナス25%、平成16年度ではマイナス13%となっております。平成15年度以降の整備費減少理由につきましては、岩手県行財政改革プログラムの趣旨を踏まえ、さらに事業内容の厳選と、スクラップ・アンド・ビルドを念頭に置いた真に効果的な事業に絞り込んで実施してきたためであります。
 次に、交通事故の発生状況と防止対策についてお答えいたします。まず、昨年と比較した県内の状況につきましては、本年上半期は前年と比べて増加傾向を示しておりましたが、10月末現在では、死者数以外は概数でありますが、人身事故の発生件数が4、715件、亡くなった方が95人、けがをした方が5、949人となっておりまして、昨年と比較して、発生件数でマイナス193件、亡くなった方は同数、傷者数でマイナス230人となっております。
 死亡事故発生の特徴といたしましては、発生時間帯につきましては、これまでの夕暮れから夜間にかけての事故から、日中の午後2時から午後4時までの時間に多発している。それから、国道などの主要幹線道路での正面衝突等による死亡事故が多発している。亡くなった方の年齢別では、高齢者の方が43人と全死者数の約45%と最も多いということが挙げられます。
 県警察におきましては、このような発生実態を踏まえまして、重大事故に結びつくおそれの高い飲酒運転、あるいは事故の被害軽減効果が高いシートベルトの非着用違反等に重点を置いた交通指導取り締まり、それから正面衝突事故対策といたしまして、中央線を踏んだ時点で音と振動で運転者に知らせる、そして対向車線のはみ出しを未然に防止するという高輝度標示施工等の中央分離対策、それから薄暮時間帯対策として、平成15年から継続実施しているライトの早目点灯運動、さらに交通関係機関・団体、児童生徒等の民間ボランティアと連携しての高齢者の自宅を直接訪問しての交通安全を指導する高齢者在宅家庭訪問活動等の施策を推進し、交通死亡事故のさらなる減少を目指しております。
〇新居田弘文委員 今、いろいろ説明がございまして、ありがとうございました。それで、最終的に運転者の自覚といいますか、そういう安全速度を守るとか、その辺が一番の基本だと思いますが、先ほどもるるお話がありましたように、安全施設の関係も、地域によっては非常に要望も高いわけでございます。いろんな予算の面でも厳しい状況だというようなお話でございますが、引き続き、その辺については御努力を財政ともあわせましてお願いしたいと思います。
 それから、三つ目でございますが、県内では国土交通省の直轄事業が展開されておりまして、県南地区でも一関の遊水地事業とか、あるいは胆沢ダム事業も本格的な工事に入っております。いずれも大型車両による資材の搬入とか、あるいは土砂の運搬が想像を超えるような状態の中で交通車両の往来があります。もちろん積載制限とか、あるいは速度についてもお互いに自粛しながら、その制限の範囲で運行しているのだろうと思っておりますが、最近、胆沢ダム近くの国道397号周辺でも交通事故が多発したり、あるいは死亡事故も発生しております。そういう中で地域住民からは大きな不安を抱え、関係当局にその対策を強く望んでおります。いろんな会話の中では、移動交番的なものを設置できないのかなと、そういうお話も実は出てきました。それにはいろんなルールがあると思いますが、いずれ、この大型事業、大型工事が行われる際、工事主管、この場合は国土交通省ですが、その受注者側の業者とか、その辺についての県警の指導とか、かかわりについてどのように進められているのか、あるいはその後、追跡調査といいますか、そういう指導をどうなされているか、その辺についてお伺いしたいと思います。
〇小野寺交通部長 それでは、大規模工事等に伴う交通事故防止対策についてお答えいたします。ダム建設や横断道の建設工事など大規模な事業が行われるような場合、これらの工事に伴って懸念される労働災害、交通事故及び沿道住民の方への安全な交通環境の確保のために、工事の関係者等で構成する建設工事安全協議会等を立ち上げて工事を進めているようであります。これは向こうのことなんですが、警察といたしましては、工事現場を管轄する各警察署長等が安全上の要請を受けて、協議会の顧問という形で、また、このような依頼がない場合であっても、安全衛生パトロールなどを通じまして、指導または助言を行っているという状況です。工事の進捗状況によって必要と認められる場合には、警察署長権限による交通規制を実施して、安全確保に努めているところであります。
〇野田武則委員 ことしは本当にアワビの密漁あるいは養殖生けすからの窃盗など、県警察の摘発にかかわる報道がたくさんあったように思います。地元におきましても、交通検問で逃走したアワビの密漁犯が検挙されるという事件もありまして、本当に警察官の皆さん、日ごろの積み重ねの成果がこのような検挙につながっているのだろうと思っております。また、海域におきましては、漁船が転覆いたしまして2人の方が亡くなるという事件もあったわけでございまして、その都度、県警察の方々には本当に御苦労をおかけしておりまして、まずもって敬意を表したいと思います。
 1点だけ御質問したいと思います。警備船の運用に関してでございますが、先ほど、佐々木一榮委員の方からも質問がございましたのでダブってしまいましたけれども、あえてもう一度質問したいと思います。
 まず、県警の警備船は、大船渡港にさんりく、宮古港に第二さんりくがあるわけでございますが、それらの運用についてお伺いをしたいと思います。警備船の性能につきましては、先ほどの質問の結果、22トンということの答弁でございましたけれども、もう一度御質問したいと思います。性能、乗務員の数、それから平成16年度中の主な活動実績についてお聞かせをしていただきたいと思います。それから、その年間の維持経費はどの程度なのか、お伺いをしたいと思います。
〇小川口生活安全部長 それでは、警備船についてお答えいたします。先ほどと重複しますが、警備船の性能、乗組員等についてでありますが、警備船は大船渡港にさんりく、宮古港に第二さんりくでございます。性能についても、先ほど申し上げましたとおりでございます。
 次に、平成16年中の主な活動実績及び維持経費についてでありますが、16年中の活動実績につきましては、岩手県漁業調整規則違反3件4名、船舶安全法違反4件4名の検挙実績でございます。このほかに活動としまして、捜索救助活動に90時間、パトロールなど1、500時間余でございます。
 次に、維持経費でございますが、両船の定期点検整備費、燃料費等によって年間2、200万円余でございます。
〇野田武則委員 先ほど、農林水産部の方の所管のはやちねとか岩鷲についてはちょっとお伺いしたんですが、あちらの方は1隻当たり大体4億とか5億なんですよね。それから、2隻で経費が大体7、300万円ということでございますけれども、何か、随分経費が安いというか、余りかかってないようでございます。これはやっぱりその大きさによるものだろうと思いますけれども、もう一度、その建造費についてちょっと後でお答えをお願いしたいと思います。
 それと、多分、佐々木一榮委員の質問にもあったと思うんですが、要するに密漁船といいますか、ボートの方が性能がよくて、結局、この警備船が追いかけても逃げられてしまうと。要するに性能が随分劣っているのではないかということなんですけれども、先ほど部長の答弁にもありました予算がなくて新しい船は買えないということでございますけれども、また、今後、性能のよい警備船導入ということについてどのようにお考えになるのか、御質問したいと思います。
 それと、続けて質問したいと思いますが、現在、大船渡港にあります警備船は、平成15年に釜石港から配置がえになったものでございまして、そのときに県警の方から、警戒水域の見直しによって配置がえをするんだという説明を受けておりましたけれども、その後、大船渡港に配置になったその運用効果についてどのようになっているか、御説明をお願いします。
〇小川口生活安全部長 さんりく、あるいは第二さんりくの取得の経費等についてでございますが、さんりくの方は昭和60年5月に就航しておりまして、取得費が8、200万円余でございます。これは国費対応になっております。耐用年数は20年になっておりまして、間もなく20年になろうとしております。今後、国費ですので、予算がつけば新しい船になるということですが、予算がなければそのままということであります。
 第二さんりくの方ですが、配置は平成6年5月でございます。取得費が1億1、200万円余でございます。やはり建造費は国費でございます。これは耐用年数が15年でございますので、まだ年数がございます。
 密漁船等と比較して性能が劣っているのではないかという御指摘でございますが、実際に取り締まりをやっておりますと、密漁船はすごいモーターをつけた船が、2つぐらいモーターをつけて走るということで、追いかけるとなかなか追いつかないのが現状でございます。実際、密漁は、上がってきた際に検挙しているのが実態でございます。
 次に、釜石港から大船渡港に配置がえしたその効果でございますが、警備船を釜石港から大船渡港へ配置がえしたのは、大船渡港にはそれまで公的取締船が配置されてないこと及び宮城県境海域の警戒力の強化を図るために行ったもので、その効果は、県境地域の漁業関係者からは、プレジャーボートの取り締まりなどによって、海域での安全な操業ができるなどの声が聞かれているところでありまして、今後も県境区域での警戒活動を強化してまいりたいと考えております。
〇野田武則委員 それでは、最後にもう一つ質問したいと思いますが、せんだって、アワビの密漁の合同訓練が行われたと思いますが、県警察と取締船、それから海上保安庁の合同訓練があったと思いますが、岩手県警の方から見た合同訓練の成果といいますか、それについてお聞かせいただきたいと思いますし、あわせて、今後の海域の安全についてどのように取り組まれるのか、お伺いしたいと思います。といいますのは、先ほどの農林水産部の方の答弁によりますと、平成15年、16年で不審船が20隻上がっていると。多分、これはアワビの高値の時期になると、この不審船というのは多くなるという説明だったと思うんですが、その不審船というのがいわゆるアワビだけなのか、あるいはそれ以外のものがあるのかどうか。そういった大変心配するところでございますので、その辺の海域の安全確保につきましての取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇小川口生活安全部長 密漁事犯の取り締まりということになると思うんですが、密漁事犯は、本県の漁業資源と漁業関係者の生活を脅かす極めて悪質な犯罪でありますことから、平成14年4月から、警察官警備1名を県漁業取締事務所へ派遣しております。沿岸を管轄する警察署においても、各漁協を初め海上保安署、県漁業取締事務所など関係機関との情報交換などによる連携、警備船等による合同訓練も実施しているところであります。警察といたしましては、今後とも関係機関・団体との連携を一層緊密にするとともに、隣接県とも連携しながら取り締まりを強化してまいりたいと思います。やはり合同訓練等が最も重要ではないかと思いますので、今後も引き続き訓練を重ねて、取り締まりの技術を高めてまいりたいと思います。
〇野田武則委員 では、部長の方から、今の合同訓練の成果についてお伺いしたいと思いますし、それから不審船のことなんですが、農林水産部の方で把握しているんですが、これは20隻と言っていましたが、これは確認したので20隻ですから、確認できないものが何隻あるかわからないという状況なんですが、警察の方ではそれを、情報交換といいますか、認識をされてないようでございますが、その辺の御答弁をお願いします。
〇小川口生活安全部長 不審船が20隻というのが、どのような船なのか、警察の方ではちょっと把握はしておりません。ただ、陸上等から、あるいは警備船さんりくの方から視察しておりまして、これは密漁しているんじゃないかと思われる船はよく見かけます。それらにつきましては、現認しませんと検挙できないものですから、視察するのですが、なかなか相手も巧妙でして、こちらの姿に気がつけばすぐ逃走しますし、追いつけないというような状態でございます。なかなか検挙が難しいというのが実態でございます。
〇斉藤信委員 それでは、最初に交通安全対策について、交通死亡者の推移は先ほど出ましたので、私は特に歩車分離式信号がどれだけ設置されているのか、その効果、問題点などはどうなっているか。信号機の設置状況と、要望に対する整備状況について示していただきたい。
 二つ目に、花巻警察署温泉駐在所でのパトカーナンバープレート盗難事件についてどう対応されたか。
 三つ目、県民からの相談件数が激増していると思いますけれども、その内容、対応、解決件数、そして体制の強化はどうなっているか。
〇小野寺交通部長 それでは、歩車分離信号機の整備状況と、その効果及び問題点等についてお答えいたします。歩車分離式信号機の整備につきましては、平成14年3月に盛岡市内2カ所の交差点に設置したのが最初であります。整備に当たりましては、歩行者等事故の防止、交通の円滑の確保等を目的として、設置による効果と影響を総合的に検討し、本年10月末現在、県内で20カ所の交差点に設置し、運用しているところであります。歩車分離式信号機の設置の効果と問題点につきましては、歩行者と車両の通行を時間的に分離する信号機でありますことから、交通の円滑性には若干の影響を与える可能性はあるものの、歩行者の安全確保のためには有力な手法の一つであると認識しております。現在のところ、歩車分離信号機を設置したいずれの交差点においても、これは歩行者と自転車なんですが、これが被害となる交通事故は発生しておりません。また、渋滞等への影響が大きい箇所につきましては、信号秒数を調整するなどして適正に対応しているところであります。県警といたしましては、今後とも県内の歩行者等事故の実態を踏まえて、その効果を検証しながら、計画的に整備してまいりたいと考えております。
 次に、交通信号機の設置状況と要望に対する整備状況についてですが、平成17年10月末現在、県内には1、812基の交通信号機を設置し、事故防止を図っているところであります。交通信号機の設置につきましては、設置箇所の道路構造、交通流・量の実態や、学校、病院等の周辺環境、交通事故の発生実態等を総合的に検討し、真に効果的な場所を選定して設置しているところであります。整備状況についてですが、毎年、地域住民の皆様の御要望につきまして、設置の必要性を検討していただく交通規制対策協議会により必要と認め、警察署から設置の上申がなされたもののうち、より優先度の高い場所について、要望のおおむね3割程度整備している状況にあります。現実に16年度も58件ありましたけれども、3割にいかないという設置状況でございます。このようにすべての要望に対応することはできませんが、今後とも限られた予算の中で設置費用の低減化に配意しつつ、真に効果的な場所に設置するよう努力してまいりたいと考えております。
〇小川口生活安全部長 花巻温泉駐在所のパトカーのナンバープレート盗難事件への対応についてお答えいたします。この盗難事件は、本年6月20日午後6時ごろから翌朝までの間に、花巻警察署花巻温泉駐在所の所前に駐車しておりましたミニパトカーの前部分のナンバープレート1枚が盗難に遭ったものであります。窃盗事件として鑑識活動や聞き込み捜査を行いましたが、容疑者についてはいまだ不明となっております。盗難に遭ったナンバープレートにつきましては、翌22日に付近に放置されているのを発見しておりますが、取りつけ部分が破損していたことから、ナンバープレートの再交付を受けております。花巻温泉駐在所には車庫がなく、夜間は駐在所の前に駐車していることから、事件後にセンサーライトを設置して再発防止に努めているほか、県下各署に対しては、同様事案の未然防止を図るため警戒強化の指示をしたところでございます。
〇山手警務部長 それでは、私の方からは県民からの相談について答弁をしたいと思います。相談件数とその内容、対応、解決件数、体制の強化が必要ではないかという趣旨と理解しております。
 まず、警察安全相談の件数でございます。平成17年9月末現在で受理総件数が2万852件、これは前年同期の2万5、144件に対しまして4、292件減少しております。割合としますと、マイナス17.1%の減少ということでございます。しかし、この9月段階の2万852件も依然として高い水準にあるという認識を持っておりますし、その内容も複雑多岐にわたっているという現状にございます。9月末までの相談内容を見ますと、生活安全関係の相談が約83%と最も多く、その中でもいわゆるヤミ金とか架空請求の相談、それから契約・取引関係の相談、オークション詐欺等ハイテク関係、あとはドメスティック・バイオレンス等、さらに迷惑電話、家庭、職場、近隣関係におけるトラブルといった相談が多くを占めております。これらの事案はまさに相談事も多く、解決ということでございますけれども、必ずしも相談が被害を伴うものでもなく、また解決という定義も困難ではございますが、一応、相談により解決したと思われるものでございますが、例えば被害届を受理する、検挙・補導したというのが124件、指導・助言ということでとどまっているものが1万7、783件、さらに警告とか説得――この説得というのは相手方に対する説得でございますが、これが269件、あとは他機関教示などを含めますと、合計1万8、447件、割合にしますと88.5%となっております。
 なお、主な解決事例でございますが、ここで紹介させていただきたいと思います。例えば事件解決ではございますが、息子が交通事故を起こしたとの連絡。その示談金としてお金を振り込んだとの相談を受けております。これはいわゆるオレオレ詐欺ということで、詐欺事件として検挙をしております。また、メールで知り合った女性から、自殺する、睡眠薬を多量に飲んだという電話があったというような内容の相談でございます。実はこれはメールの友達の関係でございまして、実際どこに住んでいるかはわからないという状況から、いろいろな手がかりを手繰り寄せまして、最終的には自殺未遂の女性を保護しているというような解決事案もございます。このほか多くの好事例というものがございます。
 なお、相談体制の強化についてでございますが、現在、警察本部県民課、各警察署生活安全課に警察安全相談係を配置しております。専門的知識を有する退職警察官12名を警察安全相談員として採用しまして、県民課及び相談受理件数の多い8警察署に配置するなどして、体制の整備強化を図っているところでございます。
 さらに、相談内容が非常に多岐にわたっているということから、他の相談関係機関とのネットワークを構築いたしまして、緊密な連携を図り、それぞれの分野で対応しているというところでございます。今後とも警察安全相談に対する期待はより高まることと予想されておりますので、適切に対応すべく部内教養に努めるとともに、必要な体制については関係当局とも検討を重ね、その充実を図ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 歩車分離については大変成果も上がっているということですので、これは着実に進めていっていただきたいし、安全相談も既に2万件を超えるという中で、私は、こういう分野にこそ警察が頼られることがあると思うので、こういう分野はしっかりやっていただきたい。
 やってならないことを今度は聞きます。
 捜査費、捜査報償費、旅費の支出問題について、16年度の支出の実績と前年度の比較はどうなっているでしょうか。
 二つ目に、捜査報償費について、16年度実績は1、380万円余で、前年度の3、061万円と比べて1、681万円も減少しています。45%の実績となっていますが、大幅に減少した理由は何でしょうか。
 そもそも配分額が1、622万円と前年度の3、191万円の51%になっていましたが、配分、いわば交付額が半減したのはなぜでしょうか。ここまで聞きましょう。
〇山手警務部長 それでは、捜査費等に関する御質問でございますので、お答えをいたします。
 初めに、支出の実績、前年度との比較ということでございますが、平成16年度の実績は、捜査費、これは国費でございますが、3、304万円余、前年度比マイナス1、253万円余となっております。捜査用報償費、これは県費の捜査費ということでございますが1、380万円余、これは前年度比マイナス1、680万円余となっております。旅費については、国費7、902万円余、これは前年度比でプラス1、152万円余、旅費の県費でございますが、これは2億2、525万円余で、前年度比マイナス356万円余となっております。
 次に、捜査報償費のいわゆる減少した理由ということでの御質問でございますが、捜査用報償費の執行が減っていることにつきましては、捜査を取り巻く環境の変化、その年度の事案発生状況などの要因が考えられます。一般的には、権利意識の変化、都市化の進展等による情報収集の困難化、警察相談業務、先ほどマイナスと言いながらも、依然高い水準にございます。こういった捜査以外の業務の増大、司法手続の精密化によります事務的業務の拡大、さらに最近の犯罪ではオレオレ詐欺、インターネット使用犯罪など通信手段を利用している犯罪が多発しているため、いわゆる協力者からの情報収集、それを手繰っての犯人到達という捜査手法では、なかなかそういう方法をとり得ないというような状況でございます。これは以前にもお話ししたと思いますが、さらに詳しく申し上げますと、まず平成12年度から刑法犯認知件数が急増しております。警察改革を踏まえまして相談件数も激増した。この相談に対応することが、現場ではある種業務の大きな負担となっているということがうかがえるところでございます。さらに犯罪認知件数が増加したということは、これは犯罪が発生すれば、直ちに初動捜査をしなければならない。その結果、じっくりと継続的な捜査をする時間が少ない。さらに情報源の開拓によるいわゆる協力者を手繰ってのいろいろな犯罪の掘り起こし、そういったものになかなか時間を割くことができないという状況がございます。さらに、これはまことに遺憾なことでございますが、一連の不適正経理事案をめぐりまして、現場の捜査員の中に、捜査用報償費を執行する態度にちゅうちょする傾向が見られるということでございます。この三つ目の理由につきましては、私どもとしてはやはり正常ではないと考えております。したがいまして、捜査活動に捜査報償費をきちっと使えるよう、今後とも現場を指導してまいりたいと考えております。
 次に、配分額の減少の理由でございますが、捜査用報償費の所要額は、所属ごとに、前年度実績、発生または予想される事件の規模、形態、捜査の期間などを考慮しまして、月ごとに所要額を精算の上、本部に要求し、それを配分しているところでございます。したがいまして、繰り返しになりますが、捜査を取り巻く環境の変化やその年度の事案発生状況などによりまして、配分額も増減するということで御理解をいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 長々と答弁がありましたけれども、全然説得力がないですね。説得力のないところは居直りで終わりましたね。例えば刑法犯の総数がふえているというのは平成14年度までですよ。平成15年、16年は総数では減少しているんですね。だから、15年から16年度にかけて、いいですか、県の捜査報償費は45%に減ったんですよ。そんな状況の変化がたった1年であったんですか。ないでしょう。あったとすれば、全国的な裏金疑惑ですよ、大きな社会的状況の変化は。それ以外にない。私は、刑法犯の届け出件数を全部調べましたよ。15年から16年にかけて劇的に変化なんか全然してません。
 それで、少し具体的にお聞きしましょう。少年課の報償費が、これは平成16年18万9、829円となっていますが、その中身は何でしょうか。少年課でも少年を情報提供者、スパイに仕立て上げているのか、私は大変疑問なんです。そして、これは昨年比で55.5%ですが、平成13年度と比べると22.8%で、激減しているんですね。もう使えなくなったというのが実態ではないですか。
 機動捜査隊の報償費が平成16年度から捜査一課に移行しました。それまでは何に使っていたのでしょうか。捜査一課に移行しましたが、捜査一課の報償費は、その分ふえるどころか半減しています。実際には機動捜査隊の報償費というのは実態がなかったんじゃないですか。
 刑事企画課の報償費の中身は7万5、919円と激減をしています。前年比13.6%です。これはなぜなんでしょうか。10分の1に激減した具体的理由は何でしょうか。
 各警察署を見ますと、全部3割台、4割台なんですが、釜石署の報償費だけが74万円余と唯一増加しています。釜石署は毎年増加していますよ。釜石署というのは毎年重大な事件が発生しているんですか。
〇山手警務部長 それでは、順を追って簡潔にお答えしてまいります。
 少年課の報償費の御質問でございますが、少年課が執行する捜査報償費としましては、主に、少年の福祉を害する犯罪の捜査活動に要する諸経費として執行しております。これをかみ砕いて申し上げますと、少年を食い物にする犯罪を防止するための捜査活動費ということでございます。具体的に検挙事例を申し上げますと、児童買春、あとは青少年保護条例違反、風俗営業適正化法違反というふうに、いわゆる年少者を雇用する、そういう少年を食い物にする犯罪に対処するための捜査費ということで御理解をいただきたいと思います。
 さらに、協力者がいるか、いないかの質問につきましては、これは公安の維持に係ることでもございますので、その存否の具体的な内容については答弁を差し控えたいと思います。
 次に、まとめますと、捜査一課の報償費のいわゆる半減の理由ということでございますが、捜査一課及び機動捜査隊が執行する捜査用報償費につきましては、現場捜査活動に要する諸経費として執行しているものでございます。捜査一課の捜査報償費が半減したという御指摘でありますが、捜査活動に要する経費については、発生する事件の規模、形態、捜査の期間などにより増減するものでありまして、一概に申し上げることはできません。
 次に、刑事企画課の報償費並びに釜石署の報償費でございますが、まず、刑事企画課につきましては、来日外国人犯罪の捜査、各種捜査の応援、これは刑事部は非常に忙しゅうございまして、刑事企画課員であってもいろいろな捜査に駆り出されるということで、その場合の捜査活動に要する諸経費として執行しているものでございます。また、刑事企画課は平成16年4月1日に発足した所属でございまして、平成15年度の執行はございません。
 あと、釜石署の捜査用報償費の執行が増加している理由ということでございますが、これは捜査用報償費を執行する事案が多かったということで答弁をさせていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 少年事件の検挙件数というのは、平成12年から907件、1、021件、1、277件、1、186件、1、044件と推移しているんですよ。いいですか。ふえ続けている。少し数は停滞状況なんですが、平成13年度の捜査報償費83万円と比べたら、平成16年度は18万ですよ。22%に激減しているんですよ。使えなくなったということでしょう。大体、少年事件の件数はほとんど変わっていないんだから。刑事企画課は平成15年度55万6、570円使っているんですよ。そして、去年が7万5、919円に激減したんです。機動捜査隊は、平成15年度は101万円使っているんです。これが捜査一課に移ったら、捜査一課は、平成15年度は207万円だったのが104万円に減ったんですよ。平成15年度というのはあわせると300万円ですよ。それが100万円に減ったんですよ。私は、機動捜査隊の捜査報償費の中身なかったんではないかと思いますよ。もっと具体的に答えてください。刑法犯の届け出はふえていて、凶悪犯だって減っていませんよ。そういうときに何で捜査報償費が半分以下に減るのか。そして、課によっては10分の1、2割、3割にどうして減るのか。釜石に重大事件があったと言うなら具体的にしてください。ここだけですよ、毎年ふえているのは。具体的に答えてくださいよ。重大事件があってふえたと言うなら。
〇山手警務部長 順を追ってお答えをいたします。
 まず、犯罪の認知件数のところでございますが、平成14年から15年、確かに減少傾向にはございますが、14年の1万5、000件に対しまして、15年1万3、600件というふうに必ずしも激減しているというわけでございません。治安水準というのは、これはさほど変わっていないというふうに認識しております。そういうことから、前から言っているとおりに、いわゆる減額理由について、るる説明しておりますが、こういった要因がそれぞれに絡み合って減少してきていると私は考えております。
 次に、釜石署の件で申し上げますと、いわゆる重大事件云々というか、我々、日常捜査活動をしているわけでございまして、必ずしも公にされているものだけを、事件を扱っているわけではございません。そういったことでございますので、公にされていない事件も含まれておりますので、いわゆる具体的な事件名等を挙げることは、ここでは差し控えさせていただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 これで最後でありますけれども、結局、4割台に捜査報償費がわずか1年間で激減したのに、その具体的な理由については全く答えられなかったと。私は具体的に聞きましたよ。例えば、機動捜査隊の平成15年度101万円使った捜査報償費の中身は何ですか。捜査一課になって何で3分の1に減るんですか。具体的に答えてください。そういう点では、釜石署だけが105%ですよ。全体は45%なんですよ、各警察署は。例外的にふえている。それだけの理由を示さなかったら、私は捜査中の話を聞いているんじゃないんですよ、決算で終わったことを聞いているんですよ。平成12年、13年、14年、15年の推移を聞いているんですよ。本当に今、全国で国の捜査費も、情報提供者に渡った氏名、住所がわかった中で、一人も実在の人物はいないんです。北海道もそうです。高知県もそうです。今回、監査委員が一部だけ住所、氏名が明らかになったと言っていましたが、残念ながら監査委員、それは確認しなかった。私は、せっかくそこまでいったのに何で確認しなかったのか大変残念でならない。住所、氏名を明らかにできた人とできない人は何が違うんですか。
〇山手警務部長 それでは、住所、氏名、一部明らかにできなかった理由についてお答えをいたします。
 捜査用報償費の執行に対する監査につきましては、これまで主として執行額、執行手続の説明及び捜査員に対する聞き取り調査の要求があった場合は、特段の業務への支障がない限りこれに応じ説明する等の対応によりまして、捜査用報償費執行について監査委員の方々に説明し、説明責任を果たすべく努力をしてきたところでございます。今年度におきましても、県民の方々へ説明責任を果たすべく捜査書類を個々具体的に判断した上で、捜査活動に特段の支障が生ずると思われるものを除き、協力者の氏名等を含む証拠書類を原則として開示し、県の監査に対応したところでございます。このように最大限の努力を行っているところでございます。
 なお、捜査活動への特段の支障ということで若干具体的に申し上げますと、まず、警察と協力者との信頼関係、これに支障を来すおそれが大きいと思われるもの。次に、被疑者等が逃走や証拠隠滅を図るおそれが大きいと思われるもの。現在捜査中のもの。あとは、情報を提供しようとする者にもし萎縮効果、そういったものを及ぼすおそれが大きいと思われるもの。いわゆる、いずれも今後の捜査活動に障害を及ぼす懸念のあるものについて、これは非開示とさせていただいております。その他につきましては、すべて開示をしているということでございます。
〇藤原良信委員 所管委員会の委員でございますので、一番最後となります。時間も押しておりますから端的に、決算の委員会でございますから、私は決算の成果についてお伺いをしたいのであります。9款1項の管理費と2項の警察活動費でございます。
 全体の中では296億6、210万円の中で1.3%減少しておりますけれども、増加しているのが行政運営費1億6、692万円、活動運営費が2億2、075万円でございます。これはぜひ成果と評価を警察本部として示すべきだと思いますね。と言いますのは、理由を申し上げます。この決算委員会は今までと違っておりますのは、これは月を前倒しにいたしました。どういう意味合いかと言うと、翌年度の予算に反映をさせるという意味合いがあるのであります。したがいまして、必要なものは、成果が生まれたものは、これは増強していかなければならない。しかし、必要ではないということはないでしょうけれども、見直していくものは、これは見直していかなければならない。
 なおかつ、その理由を申し上げますけれども、県財政は危機的な状況にございます。今まではやりくりして予算を組んできておりましたけれども、やりくりができない状況下になったんであります。この中身についてはここで申し上げることではありませんけれども、端的に言いますと、基金の切り崩しとか借換債、あるいは他会計からのやりくりもできたけれども、もうできなくなりました。したがいまして、平成18年は予算組めたとして19年度は非常に危機的状況といいますか、組めないのではないか。知事部局は4、700人の職員を4、000人に減らそうとしておりますが、警察は今申し上げました、今この委員会でもお話ございましたけれども、平成14年20人ふやし、16年は20人ふやし、17年は10人ふえているんです。そういう流れの中で今度の決算をどう評価をし、特にふえた事項について御説明を願いたいと思います。
〇山内警察本部長 私の決算説明におきまして不十分な点がありました分、まずもっておわび申し上げたいと思います。
 先ほど藤原良信委員から御指摘がございました警察費の決算の中身の説明ということでございますが、まず2点、警察行政運営費と警察活動経費がふえている理由ということでございますけれども、これらにつきましては、いずれも平成15年度まではございました警察行政運営費につきましては警察情報管理システム開発事業費、それから警察活動経費につきましては新通信指令システム整備事業費、これらについてが維持管理経費となりまして、これらの項目、組みかえたということによるものでございまして、実質的な点で申しますと必ずしも増加しているというわけではございませんで、いわばその決算の項目の整理上こういった形でふえておるというところでございます。
〇藤原良信委員 了解いたしました。そうしますと、項目を切りかえたということは、通信システム費は、これは減っておりますね。ということになりますが、項目を切りかえたということは、そうしますとこれはダブらせているのかな。ちょっとその点を。と言いますのは、本部長、私、今申し上げましたのは、これはふえるのは必要性があってふえているものは、これは説明して結構だと思うのです。成果とともにあると思うのですよ。その場合に、次の予算を組む段階にすぐ入りますので、これらを参考にしていかなければならないです。ですから、今の説明だと項目をかえたということというのは、ちょっと理解をしがたいんですけれども、この点はきちっと説明されていた方がよろしいと思うのです。あわせて成果についても。
〇山内警察本部長 先ほどの説明が舌足らずで申しわけございませんでした。かわった部分につきましては、先ほど申しましたように警察情報管理システム、それから新通信指令システムにつきまして、平成15年度までは開発の段階にございましたので、別項目として科目を立てていたということでございます。他方、それが完成いたしまして平成16年度からはいわば維持管理の段階に入りましたので、いわば運営費という形で項目を移しかえさせていただいたという整理でございます。そういう意味で成果という意味で申しますと、まさに平成15年度までかけてやっておりました警察情報管理システムの開発が終わり、県警において情報管理システムが稼働し始めた、あるいは新通信指令システムが稼働して110番の受理等、警察官の現場への臨場が円滑になったといった成果が挙げられようかと考えております。
〇佐々木博委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木博委員長 質疑がないようでありますので、警察本部関係の質疑をこれで終わります。
 どうも警察関係の皆さん、御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時46分 散 会

前へ 次へ