平成17年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第10号、14号、33号、44号、75号、90号から92号に反対、並びに請願陳情第59号と66号の不採択に反対の討論を行います。
 議案第10号と92号は、広域振興圏と地方振興局を再編しようとするものであります。
 反対する第1の理由は、四つの広域振興圏への再編が、先に結論ありきで極めて不十分なまま提起されたことであります。産業振興が最大の目的とされていますが、二次保健医療圏や保健所、教育事務所など、県政の重要な課題である福祉、教育、暮らしにかかわる広域行政との整合性がないことは、県政の統一的な推進にとってゆがみとなりかねません。
 第2の理由は、産業振興と言っても、製造業、とりわけ自動車産業を除けば四つの広域振興圏にくくる具体的な理由がないことであります。農業改良普及センターは、産業振興とのかかわりで県内9センターと五つの支所が設置される計画であります。大きくくくるだけで産業振興が進むという根拠は全くありません。
 第3に、県北・沿岸振興本部を、副知事を責任者に、各部局長と地方振興局長で設置することが示されました。これは、庁議でも検討されたことがない突然の提起で県議会対策と言うべきものでありました。そもそもこんな大所帯の対策本部を本庁に設置しても、具体的な産業振興に結びつくはずがありません。苦し紛れのごまかしでしかありません。
 第4に、県南広域振興圏と広域振興局が先行する計画、方針であります。これは、県政の統一的な行政の推進にゆがみをもたらすものであります。沿岸・県北広域振興局がいつになったら設置されるのか、全く具体的な見通しがありません。市町村の行財政基盤の確立が条件とされるなら、上からの市町村合併の押しつけが条件となってしまいます。県央振興局の見通しもありません。県都盛岡を抱える地域の振興なしに県勢全体の発展もあり得ません。四つの広域振興圏の構想そのものが不十分であいまいなものだということを示すものであります。
 第5に、県南広域振興局の中身もあいまいなものであります。現在の水沢振興局の施設を活用し、人員の規模も同程度とされています。それで企画調整部門を集約し、水沢振興局の機能も果たすのですから、体制と人員は極めて不十分なものであります。これではとても新たな政策立案も、予算原案の作成もできるものではありません。実際に、各部局ではおろせる権限がないと混迷を深めているのが現状ではないでしょうか。広域振興局、総合支局、行政センターと屋上屋を重ねる複雑な体制も問題であります。
 第6に、本庁の機能と役割の弱体化につながりかねないことであります。本庁の機能が強化されてこそ、県勢全体の発展と県職員の専門性を確保し、継続性も維持できるものであります。
 最後に、こうした内容も整合性もない広域振興圏と地方振興局の再編計画を、県庁内の議論も、市町村との議論も不十分な形で、焦って提起したことであります。私は増田知事に、4期目に挑戦する決意がないのなら、極めて無責任な提案になると指摘しましたが、責任ある答弁はありませんでした。岩手県政を増田知事の地方分権の実験場にすべきではありません。
 議案第14号は、県民1人当たり1、000円の森林税を負担させようとするものであります。
 公益的な森林の整備は必要なことであります。しかし、そのことが県民に増税を押しつける理由にはなりません。まず、何よりも県政として、530億円の簗川ダムや334億円の津付ダム、42億円の花巻空港ターミナルビルや空港整備事業、17億円のエコパーク平庭高原などの不要不急の大型開発を見直すべきであります。46億円に及ぶ林道整備事業も総点検して見直し、真に必要な財源を確保すべきであります。
 また、小泉内閣のもとで増税と負担増が連続的に課せられています。定率減税の廃止等で47億円の増税であります。来年度からは介護保険料も医療費も引き上げられようとしています。県民1人当たりの雇用者報酬も5年間で年間27万7、000円も減少しています。県民の暮らしがこんなに厳しいときに安易に増税を押しつけることは、県民の暮らしを守るべき県政のとるべき手法ではありません。
 議案第33号は、県立紫波病院と花泉病院を診療所化しようとするものであります。
 反対する第1の理由は、県立病院の創業の精神、県下にあまねく医療の均てんをに反する地域医療の縮小、地域医療からの後退、撤退を進めるものだからであります。
 第2に、県立病院の赤字・経営改善を理由としているにもかかわらず、経営改善効果が見込めないことであります。紫波病院でも花泉病院でも、医師や看護師など約30人を削減するものの、経営改善効果は、紫波病院で3、500万円、花泉病院ではわずかに900万円であります。入院患者を追い出し、地域住民に不便をかけてこの程度の改善では、改善に当たらないと言うべきであります。一方で、中央病院や磐井病院からの医師派遣は増加が見込めないとの答弁でありました。これでは今までの診療機能が維持できなくなる危険があるのであります。
 第3に、地域住民と医療関係者の理解と納得を得られていないことであります。最近開かれた盛岡と両磐の医療圏の運営協議会でも、地元の医師会、首長から診療所化への危惧が指摘されたことは重大であります。紫波病院と花泉病院の診療所化は、関係の医師を含めた計画ではなく、机上で計画されたものであります。地域住民のニーズにこたえた地域病院として充実こそ図るべきであります。
 議案第44号は、県営住宅の滞納者に対し訴えを起こそうとするものであります。
 しかし、入居者の実態を調べると、病気で働けず、子供の教育費に困難を抱えた方もありました。こうした入居者に対し、機械的に退所させることがあってはなりません。入居者の実態を踏まえた血の通った対応の改善を強く求めるものであります。
 議案第75号は、県立図書館に全国で初めて指定管理者を導入しようとするものであります。
 社団法人日本図書館協議会が指摘しているように、公的施設であるとともに教育機関でもある県立図書館は、専門性と継続性が求められる施設であります。また、国立図書館や市町村立図書館、学校図書館との連携とネットワークが必要な施設でもあります。無料の原則もあり、利益を追求する民間の指定管理者の導入は本来なじまないものであります。特に県教委が、こうした重大な問題を内部の議論だけで進めてきたことは問題であります。10月に開かれた県立図書館運営協議会で、指定管理者の導入に疑義が出たことは重大であります。
 議案第90号と91号は、工業技術センターを地方独立行政法人化しようとするものであります。
 第1に、工業技術センターの独立行政法人化が十分な検討もされずに、結論先にありきで、ことしの3月の庁議で決められたことであります。神奈川県の場合、岩手の3倍の規模ですが、十分な検討の末、報告書も出し独立行政法人化をしないと決めています。
 第2に、職員69人、うち研究職が54人程度の小規模では、独立行政法人化するメリットがないどころか、経費がかさむだけということになりかねません。会計システムや消費税など独立行政法人の立ち上げに約2、700万円の経費がかかります。毎年の維持管理コストとして1、500万円から2、000万円かかります。これだけの経費をかけても独法化するメリットはないのであります。
 第3に、独法化されるなら、毎年評価事務が課せられます。研究・技術支援が柔軟に実施されるどころか、評価に追われかねないものであります。中小企業に対する技術支援や相談事業は、今の体制でも十分改善して実施できるものであります。経済効率性を求める余り、今まで無料の事業が有料になっては元も子もありません。
 請願陳情第59号と66号は、県立紫波病院・花泉病院の診療所化に反対するものであり、さきに述べたとおり不採択に反対するものであります。
 以上申し述べ、私の議案に対する反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。

〇議長(伊藤勢至君) 次に、佐々木博君。
   〔29番佐々木博君登壇〕


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