平成17年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案に対する質疑を行います。
 議案第10号と第92号は、広域振興圏と地方振興局の再編を行おうとするものであります。
 増田知事に質問します。第1に、九つの広域生活圏を四つの広域振興圏に見直すということですが、広域振興圏が広域生活圏とも、第二次医療圏や保健所、教育事務所など広域行政と結びつかない、整合性がない矛盾、問題点についてどう認識されているでしょうか。
 第2に、産業振興を最大の目的にしていますが、産業振興といっても製造業、自動車産業が中心で、観光、農業、漁業などを考えたら四つの振興圏にくくる理由がないのではないでしょうか。
 第3に、広域振興局、総合支局、行政センターのそれぞれの機能と役割、人員を含めた体制はどうなるでしょうか。結局、屋上屋を重ねることになるのではないでしょうか。
 第4に、県南広域振興圏だけが新奥州市に広域振興局を設置するとなっていますが、新奥州市に設置する理由は何でしょうか。産業の集積から見れば北上市ではないでしょうか。県南広域圏が先行することになれば、県政の統一的発展と行政の推進にゆがみが生じるのではないでしょうか。
 第5に、広域振興局に大幅に権限を委譲すると言っていますが、広域振興局は、企画部門だけを集中して、全体の体制は現在の振興局の体制と変わらないのではないでしょうか。だとするなら、大幅に権限を委譲されてもこなせる体制にないと思われますが、いかがでしょうか。
 第6に、本庁の機能について、広域振興局に権限も人材も委譲するとなれば、今でも不十分な本庁の政策、企画、専門という機能と人材が不足し、県政全体の機能と役割を低下させてしまうのではないでしょうか。本庁は、県北・沿岸の振興に力を入れるということですが、ますます本庁がいびつになってしまうのではないでしょうか。県政推進のかなめである本庁の機能強化こそ必要ではないでしょうか。
 第7に、県都を担当する県央広域振興圏は、圏域は今までと変わりませんが、盛岡地方振興局はなぜ広域振興局とならないのでしょうか。県都を担当する盛岡振興局が県南広域振興局よりも格が下ということで県勢の発展が図られるのでしょうか。
 第8に、県北・沿岸については、行財政基盤の確立を進め5年後をめどに再編を考えるとしています。これは、市町村合併の押しつけが条件となるのではないでしょうか。
 県北と沿岸が広域振興局を設置するとしたら、何を基準として検討されるのでしょうか。距離が基準だとするなら、二戸になるのでしょうか、釜石になるのでしょうか。それで一体的な広域の振興と広域行政が進むのでしょうか。
 最後に、広域振興圏と地方振興局の再編論議は、県庁内はもとより、市町村、県民の声を聞いて進めるべきであります。県町村会も、実施時期を延期して十分検討すべきと求めています。20年、30年後を見据えた県政の姿を目指す割には議論が足りない、あせっていると見受けられますが、なぜでしょうか。知事は、4期目に出馬する決意があるのでしょうか。もしないとすれば甚だ無責任な提案だと思いますが、いかがでしょうか。
 議案第11号は、農業改良普及センターの再編に関する条例であります。
 再編に当たって、地域や市町村からどのような要望が出され、それにどうこたえる方針でしょうか。九つのセンターにした理由は何でしょうか。支所の配置はどうなるのでしょうか。
 農業振興にとって農業改良普及員は、専門的技術者としての重要な役割を担うと考えますが、10年間で51人も削減されています。今後の体制、人員の強化、これからの役割についてどう検討されたのでしょうか。
 議案第14号は、いわて森林づくり県民税条例であります。
 公益性のある民有林の間伐など森林の整備を行うために、県民1人当たり1、000円、総額7億円の増税を行おうとするものであります。森林の整備は必要なことでありますが、県民に増税を押しつけるとなると、その前提条件が必要です。一つは、県政自身がむだと浪費、不要不急のダム建設や年間46億円に及ぶ林道整備などのむだ遣いを見直すことであります。もう一つは、県民の所得が確保されているかということであります。県政におけるむだ遣いの見直しは具体的にどうなっているでしょうか。
 今年度、来年度に実施される小泉内閣による県民に対する定率減税の縮小など各種の増税と負担増の影響は40億円以上と見込まれますが、実際はどうでしょうか。
 雇用者報酬はどう推移しているでしょうか。来年度は介護保険料も医療費も値上げの予定です。厳しい中で、県民に増税を押しつけることについてどう認識されているでしょうか。
 議案第33号は、県立紫波病院と花泉病院を診療所化しようとするものであります。
 県立病院の赤字、財政問題が最大の理由とされています。30人の医師、看護師等をリストラ・削減して20人以上の入院患者を追い出しても、紫波病院でわずか3、500万円、花泉病院ではわずか900万円の経営改善効果では、ほとんど効果がないに等しいのではないでしょうか。
 また、紫波病院、花泉病院への中央病院、磐井病院、医大等からの医師派遣は具体的にどれだけふえるのでしょうか。紫波病院へは平成16年度198人の医師が派遣されています。その際、派遣する病院の収入減となると思いますが、その影響をどう見込んでいるでしょうか。訪問診療は継続される体制になるのでしょうか。
 議案第47号は、県民活動交流センターの指定管理者を指定しようとするものであります。
 6団体・企業グループによる指定管理者となっていますが、具体的な業務の分担、指揮命令系統はどうなるのでしょうか。各センターとの管理の連携はどうなるでしょうか。全体の維持管理・運営経費はどうなるでしょうか。
 議案第17号、48号から55号は、県立社会福祉施設の民間移管と指定管理者を指定しようとするものであります。
 具体的に入所者等住民サービスはどう改善されるのでしょうか。
 職員の待遇が悪化、低下することになるのではないでしょうか。指定管理者の場合、契約期間がわずか3年では、事業者として職員の待遇を改善することができないのではないでしょうか。
 福祉事業団に対する移行措置は具体的にどうなるでしょうか。
 議案第44号と第73号は、県営住宅の指定管理者の指定と滞納者に対する訴えを行おうとするものであります。
 滞納者の状況を見ると、低所得者、無業者も見受けられます。ただ県営住宅から追い出すだけでは問題解決されないと考えられますが、生活保護申請などを含めた福祉的な対応も必要ではないでしょうか。
 また、指定管理者の導入で、入居者に対するサービス、住宅の維持管理は向上・改善されるのでしょうか。かえって非効率になるのではないでしょうか。
 以上で質問を終わりますが、答弁次第では再質問をいたします。

〇知事(増田寛也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、今回の広域振興圏と振興局の再編で、他分野との整合性についてであります。
 今回の振興圏は、産業振興を中心とした県の広域行政の枠組みを長期的な視点に立って設定をするということでありまして、保健医療など県民の日常生活と密接にかかわる広域行政の圏域について、当面、一つの広域振興圏の中に複数の圏域を設定するなど、適切に対応していくものでございます。
 また、4圏域にくくる理由でございますが、これについては、自動車産業など製造業の連続性、類似性だけではなく、例えば県北広域振興圏では、畜産、園芸を中心とした農業、沿岸広域振興圏では、水産業や林業など地域の1次産業の特徴にも着目して、その上で1次産業、2次産業との連携などを視野に入れて圏域の設定を行ったものでございます。
 次に、広域振興局、総合支局、それから行政センター、こうした形になります。それのそれぞれの機能と役割、体制でありますが、広域振興局の本局には企画調整機能を集約し、総合支局は、当面、現在の地方振興局のサービス水準を維持する。行政センターは、窓口対応や相談受付、そして専門的な保健医療、防災、現地対応が必要な業務を適切に行い、そして、総合支局と一体となって現行のサービス水準を確保、こういうことでございます。住民からの申請、相談等につきましては、今の本局、総合支局、行政センターのいずれでも対応できるようにいたしますほか、市町村や各種団体との協議については総合支局が対応することにしておりまして、屋上屋にならない仕組みといたしております。
 このような体制は、市町村の行財政能力が整うまでの過渡的なものでありまして、今後、権限移譲の推進など市町村の強化に取り組んで、本局と行政センターという本来の広域振興局体制の実現を目指していく考えでございます。
 平成18年度の県南広域振興局の組織・定数について、現在、検討中であります。職員数は、現在の県南6地方振興局の合計数を下回る、こういうことで考えております。
 県南広域振興局の設置箇所、どういう考え方なのかということ。これは奥州市でございますが、これは、新花巻市、北上市、そして奥州市、新一関市がそれぞれ同程度の人口規模でございまして、また、各種産業の生産額等の規模も大体同程度でございます。これらの状況を踏まえて、圏域内の各市町村の庁舎からの時間距離が最短である現在の水沢地方振興局に本局を置く、こういうことでございます。
 県南先行で、県政の推進にゆがみを生じるのではないかということでございますが、逆に、それぞれの地域に合った形で、柔軟性を持って振興局再編を進めるということでございまして、この中で、県南については、この議会で何度も御答弁申し上げていますが、条件が整ってきているということでございます。
 また、この広域振興局におきましては、再編を通じて内部管理事務の効率化や管理職ポストの減などにより業務や人員のスリム化を進めていきますけれども、本庁からの権限委譲は当然別途なされるわけですが、そちらの方についてはそれに見合った定数を配置するということで、十分に対応できる体制となるものでございます。
 また、本庁の方の機能強化でございますが、今回の見直しで、本庁は全県的な視点に立った施策の方向づけ、それから、振興局間、また、国との調整業務――ここは今後減少していくと思いますが――を担う。一方、広域振興局は、圏域の地域振興施策の立案、実施を担う、このような役割分担のもとで、しかし相互に補完し合いながら、広域的、専門的な行政サービスの提供に取り組んでいくものでございまして、それぞれの業務量に見合った定数をきちんと配置していく考えでございます。
 さらに、県央広域振興圏につきましては、今後、盛岡市の、玉山村との合併を踏まえた後の中核市への移行が見込まれるところでございます。御案内のとおり、中核市になりますと、保健所の設置による保健衛生に関する事務を初め、福祉、都市計画、環境保全などの業務が移管してまいりますほか、法定業務以外についても、さらに権限移譲を積極的に県として進めていく考えでございます。
 この県央広域振興圏における将来の広域行政のあり方として、中核市を中心とする市町村主体の広域行政の展開なども考えられるわけでございまして、平成18年度は、現状と同じく盛岡地方振興局を配置しよう、こういう考え方に立っています。今後、盛岡市の中核市としての機能強化の状況などを踏まえながら、改めて広域行政の体制などについて検討を進めていく考えでございます。
 県北・沿岸の広域振興局の設置の考え方、それと、どうも合併の押しつけになるのではないか、こういうお話がございました。これは、合併新法に基づく構想づくりを今やっていますが、この構想をしっかりと審議会で御議論していただいた上で、それをもってさらに積極的に合併を推進していくということで、決して押しつけるものではございませんし、市町村の自主的な合併というその立場は変わらないものでございます。こういう時代でございまして、合併を上から無理に押しつけるということは無理な時代でございます。それぞれの議会の議決も得ながらやっていくものでございますので、十分内容を御理解いただきながら進めていく考えでございます。
 この県北・沿岸広域振興圏における将来の広域振興局の設置場所でございますが、これは、改めて見直す時点での産業の状況、それから市町村の体制などを踏まえて検討すべきもの、このように考えているところでございます。
 それから、最後に再編の時期についてお話ございまして、どうも焦っているのではないかとか、4期目云々という話がありましたのですけれども、これは、そういうことではありませんで、市町村とももちろん議論したわけですが、やはりこれが県と市町村との役割分担を大きく見直すその時期でありますし、また、地域経済を力強く押し出していくその非常に大きなチャンスである。突き詰めるとこの大きな二つの観点から、まさに今この時期ではないかということでございまして、人口減や経済の動きというのは、なかなかこちらの方の状況を待ってくれないわけでありますので、今回、条件が整ったところについてすぐに動き出す、こういう考え方で早急に再編に取り組む必要がある、このように判断したものでございます。

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農業改良普及センターの再編に関するお尋ねについてでありますが、まず、組織再編に対する地域からの要望と方針についてのお尋ねであります。
 農業改良普及センターの再編に当たりましては、昨年来、各地域に赴き意見を伺ってきたところであります。その意見の大宗を占めたのは、水田農業改革など重要課題が山積している今だからこそ、農業改良普及センターの機能を低下させないようにということでありました。そのため、新しい農業改良普及センターは現場主義の徹底、顧客ニーズの重視、人的資源の集中投入の三つの考え方を基本に据え、地域が目指す農業・農村の活性化をサポートするため、地域農業のコーディネートと高度技術のスペシャリストの二つの機能を、より一層強化した組織として再構築することとしたものであります。
 次に、九つのセンターを配置したその理由と支所の配置についてのお尋ねについてでありますが、九つのセンターを配置した理由は、地域において生産されている作目構成、それから生産額に着目して行った地域区分に基づきまして県内を六つの地区にまず区分いたしました。その上で、沿岸部及び県北部につきましては産業振興の観点から、県南部につきましては農業者数や産出額などの状況から、それぞれ二つに分割し、結果として九つのセンターを配置するという、そういった配置がふえたものであります。
 支所につきましては、現在、釜石市、遠野市、岩泉町、軽米町、それから西和賀町に置く方向で考えております。
 次に、体制・人員の強化と役割についてのお尋ねについてでありますが、本県の基幹産業である農業は、その担い手の育成確保と産地形成の取り組みが急務であります。こうした中にありまして、現場で農業者に直接接して、地域の農業・農村を支える力強い担い手を育成するため改良普及員というのは、今後その役割がますます重要になってくると考えており、そのために必要な人員と体制は確保してまいる。そのような考えでおります。

〇総務部長(時澤忠君) いわての森林づくり県民税条例に関してのお尋ねでございます。
 大規模な公共事業や施設整備事業につきましては、政策等の評価に関する条例に基づきまして、その必要性や効果を適切に評価することといたして、さらに財政状況を見きわめながら、事業費の抑制下にあっても必要なもの、緊急性が高いと認められる事業を、従来にも増して厳選の上、実施をしているところでございます。
 税制改正の影響につきましては、今年度から実施されているものといたしまして、いわゆる生計同一妻に対する均等割の課税があります。来年度から実施されます定率減税の縮減、年金課税の見直し等とあわせまして、合計で――県・市町村合計でございますが――影響額47億円となると見込んでおります。
 県民所得、雇用者所得でありますが、平成11年度から平成15年度の1人当たり雇用者報酬の推移を見てみますと、平成11年度及び平成12年度は前年度を上回っておりますが、平成13年度から15年度までは前年度を下回っているところであります。額で申し上げますと、平成11年度の623万3、000円が平成15年度には576万7、000円となっておりまして、率では7.5%の減となっております。
 いわての森林づくり県民税は、森林の公益的機能の維持増進に必要な費用につきまして、これらの恩恵を受けるすべての県民に共同して御負担いただくという考えに立って導入しようとするものであります。その際の県民の負担額につきましては、新たな森林づくりに必要な財源を確保する一方で、県民アンケート調査の結果等をもとに、県民の皆様の過重な負担とならないよう、慎重な判断を行ったところでございます。この税の導入によりまして、公益上特に重要な森林について具体的にその整備、保全が図られますとともに、森林の果たす役割と重要性についての県民意識が喚起されまして、森林環境保全に対する機運の醸成が期待されるところでございます。森林を県民共有の財産として次の世代に引き継いでいくため、ぜひとも必要な税であると考えております。

〇医療局長(法貫敬君) 紫波病院と花泉病院の診療所化に伴う経営改善効果についてでありますけれども、両病院の平成14年度から16年度の収支平均と一定の条件による移行後の試算を比較すると、議員御指摘の経営改善効果が見込まれるところでありますが、さらに、波及効果として二次保健医療圏内の他の県立病院の入院需要が高くなりますから、圏域の病院群においてそれぞれ年間5、000万円から1億円余の入院収益の増も見込まれるところであり、県立病院の経営改善に寄与するものと考えております。また、今回の県立病院改革は医師の確保の困難性や、あるいは医師の技術の専門分化が進む中で、良質な医療を安定的に県民に提供するということで、病院をネットワークして、その中で地域医療を確保するという側面があることも御理解いただきたいと考えています。
 次に、紫波病院と花泉病院への医師の診療応援というか派遣についてでありますけれども、診療所に移行したとしても常勤医師及び診療応援により現行の診療機能を維持できるよう、引き続き各関係病院あるいは岩手医科大学などに医師派遣や診療応援などの継続を要請しているところでありまして、診療所化によって直ちに診療応援が大幅に増加する状況にはないと考えております。
 次に、応援する病院の収益に及ぼす影響ということでございますが、現状においても県立病院全体のネットワークの中で、広域基幹病院から地域病院へ相当数の診療応援、先ほど紫波病院の198日とおっしゃいましたけれども、磐井病院では340日花泉病院に診療応援をしています。そういうふうに相当数の診療応援を実施しておりますことから、両病院の診療所化後の診療応援についても、基本的にはこれまでと同様に実施するものであり、現在と比較して本院の収支は大きく変わらないものと認識しております。
 なお、派遣元病院に対しては、診療応援を大きく評価しておりまして、一定額の一般会計繰入金などを措置しているところであります。
 また、訪問診療についてのお尋ねでございますけれども、現在、紫波病院及び花泉病院ともに退院患者を対象に実施しており、診療所に移行しても継続するよう努めてまいりたいと考えています。

〇地域振興部長(山口和彦君) 県民活動交流センターの指定管理者である六つの団体・企業が行う具体的業務のお尋ねでございますが、これは、グループ全体を統括する業務はエヌ・ティ・ティファシリティーズが、また、運営業務全体は盛岡博報堂が、それから図書館業務は図書館流通センター、それから保守管理業務は鹿島建物総合管理株式会社、それから清掃業務は社団法人岩手県ビルメンテナンス協会、それから警備業務は岩手県ビル管理事業協同組合がそれぞれ行うものでございます。
 指揮命令系統については、グループ全体を統括する
代表団体であります株式会社エヌ・ティ・ティファシリティーズが総括責任者となりまして、その指揮命令のもとに、各業務を担当する企業・団体がそれぞれの業務を遂行する体制となっております。
 次に、各センターとの管理の連携についてでございますけれども、各センターとの管理の連携につきましては、県民活動交流センターは、NPO活動交流センターあるいは国際交流センター、環境学習交流センターなど七つの施設によって構成されている施設でございます。このため、指定管理者と県民活動交流センターを構成する各センターとの連携については、指定管理者と各センターによって構成します運営協議会組織を設置しまして、相互の連携を深め、円滑な運営を行うよう努めてまいりたいと考えております。
 それから、全体の維持管理経費についてのお尋ねでございます。
 これにつきましては、県民活動交流センター、岩手県立視聴覚障害者情報センター、それから県立図書館のほか、岩手県パスポートセンター、盛岡運転免許センターなどの行政機関を含む施設全体の維持管理経費については、年間約6億6、300万円余を予定しておるところでございます。年間の維持管理経費の主な内訳につきましては、管理運営経費が6、180万円ほど、それから設備保守・清掃・警備につきましては1億9、960万円ほど、それから光熱水費は3億5、190万円ほどでございます。
 以上でございます。

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 県立社会福祉施設の民間移管と指定管理者の指定についてでございますが、まず、サービスの改善についてでございますけれども、従来の受託運営方式の枠を超えた自主的、自律的な運営が可能となり、利用者や地域のニーズに、より一層柔軟かつ迅速に対応できるものと考えております。
 例えば、県の社会福祉事業団におきましては、これまでもグループホームとかデイサービスなどの在宅福祉事業に取り組んできたところでございますけれども、移管後は、事業団のより自主的な判断により、こうした取り組みを充実させることが期待されているところでございます。
 また、指定管理者制度に移行する福祉の里センターにおきましては、指定管理者の予定となっております社会福祉法人が、知的障害者の授産事業との連携でありますとか、開設日についても柔軟に対応するといったような新たな取り組みをすることとしております。こうした民間ならではの創意と工夫による柔軟な取り組みが展開されることにより、住民サービスでありますとか利用者のサービスの向上が期待されると考えております。
 次に、事業団の職員の待遇についてでございますが、事業団は他の民間法人と同様に措置費でありますとか支援費といった枠の中で運営することが基本となると考えております。そうしたことから、事業団におきまして、現在、自律的な経営に向けて、これまで適用してきた行政職給料表から福祉職給料表への切りかえを含みます給与の見直しなど、経営改善に向けた検討を進めているところでございます。ただ、利用者の方、処遇水準の維持といった観点が非常に重要だと考えておりまして、一定の期間、県として必要な支援を行う必要があると認識しております。
 それから、指定管理期間とかその職員の待遇についてでございますが、指定管理期間につきましては、適切な評価に基づくサービスの向上と効率的な運営を実現する観点からも3年としたところでございまして、この間に必要とする経費については、事業団または他の民間法人を問わず、指定管理者から提出された収支計画書に基づき、人件費――これは当然職員の待遇が含まれるものでございますが――を含めて指定管理料として措置されるものでございます。
 次に、事業団に対する移行措置についてでございますが、今回提案させていただいております関係条例の改正について御可決いただいた場合には、速やかに平成18年度からの民間移管等に向け所要の事務を進めてまいりたいと考えております。財産の取り扱いでございますとか、先ほど申し上げました運営費支援の扱い等について最終的に詰めてまいりたいと考えておりますが、何よりも利用者の処遇の維持が重要であるといった観点から、運営費や施設の修繕等に要する経費について、県として所要の措置を講ずる必要があると考えております。
 以上でございます。

〇県土整備部長(橋本義春君) 県営住宅の家賃滞納者に対する訴えの提起についてのお尋ねについてでありますが、県では、家賃を滞納している方については、専門の納入指導員や職員が電話や訪問によって、いろいろ指導を初めとして、失業等による収入減により家賃の支払いが困難な方については、減免制度の適用や生活保護申請の助言を行うとともに、生活相談に応じているところでございます。
 今回、訴えの提起をしようとする10名の方々は、このような助言や指導にもかかわらず支払いを行わず、滞納額を増加させたものでありまして、県としては、他の入居者との公平性を保つ観点から、やむを得ず訴えの提起を行うものでございます。今後とも、滞納者に対しては、引き続き適切な助言や納入の督促を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、指定管理者の導入によります県営住宅の入居者に対するサービスについてでありますけれども、指定管理者に指定しようとしております財団法人岩手県建築住宅センターから、長年の県営住宅の管理実績を踏まえ、新たな視点で入居者へさまざまなサービス向上策が提案されているところであります。
 提案には、修繕業務等に迅速に対応するために、県営住宅があります八つの地方振興局それぞれに管理サポートオフィスを設置するほか、県内各地からの入居者の相談に対応するため専用のフリーダイヤルを活用しましたダイヤルサービスデスクの設置、また、高齢者や家賃滞納者の相談業務に当たるため福祉に精通した、これ、和らぎ県住推進員という名前になっていますが、それらの配置など、入居者に対するきめ細やかな配慮を行うことが盛り込まれているところでございます。
 県としては、これらの提案が着実に実施されることによりまして、入居者に対するサービスの向上が図られるものと考えております。今後とも、入居者が快適な生活ができるように、県と指定管理者が連携をしまして、県営住宅の適正な管理に努めてまいりたいと考えております。

〇26番(斉藤信君) 今の答弁で、私は広域振興局再編問題について知事にお聞きしますが、広域振興圏、これはイコール広域振興局になるわけですけれども、広域行政と一致しないというのは重大な矛盾ですよ、これは。実際に複数設置すると言うけれども、では総合支局との関係はどうなるのか。やっぱり深刻なこれは矛盾だと思うのですね。今までは広域行政と広域振興局というのは一致しているんです。これからは一致しない。ここに私は第1の問題点があると思うので、複数設定するだけではこれは解決できない問題ではないか。
 二つ目に、広域振興圏を無理やりつくっても屋上屋なんですね。広域振興局がある、総合支局がある、行政センターがある。これは市町村の行財政能力が整うまでだと言っておりますけれども、市町村の行財政能力が整うというのはどういうことですか。合併が進んだにもかかわらず行財政能力が整わないということはどういうふうに知事は認識されているんですか。私は、今までの、例えば新一関市、一関の中心部から室根まで60数キロ、盛岡から金ケ崎ぐらいの距離なんですね。行政効率悪いんですよ。そういう意味では、合併したから行財政能力が高まるということではない。かえって矛盾を抱えているところもあるんですね。そういうことも含めて、広域振興局体制をつくっても深刻な矛盾がまた残される。知事が言う市町村の行財政能力が整うまでというのはどういうことを意味しているのか。このことを示していただきたい。
 そして、広域振興局に権限を委譲する、予算原案の作成を進めると言っていますけれども、企画部門だけを集中させても私はできないと思いますよ。大体、今の施設を使うとすれば人員はふえない。人員ふえないで企画部門だけを集中して、どうして予算編成能力が出てくるんですか。そして、大幅な権限を委譲すると言っても、政策立案とその実践と検証という体制がなければ新しい政策は実践できないんです。企画部門だけ集中してもできないんですよ、この体制は。広域振興局の体制そのものが極めて不十分なものではないか。財源から言っても、知事が政策形成プロジェクトで判断できるのは50億円ですね。各部局は全部で150億円ぐらいしかないですよ。どこから広域振興局のその財源を確保するのか。
 それと、県央振興圏、これが沿岸・県北より貧困なんですよ。県都を抱える岩手の中心部が全然位置づけが不明確です。私は、この中心部が落ち込んだら県勢の発展はないと思います。そういう点では大変深刻な中身を持っているのではないか。
 最後ですけれども、行財政基盤の確立というのは市町村合併を前提にしているのではないですか。そして、それぞれの市町村は当面自立と言っていますけれども、押しつけることにならないですか。

〇知事(増田寛也君) お答え申し上げますが、まず最初の広域圏と他のさまざまな行政分野、先ほど、当面そういう中で複数設置ということを言いました。これは、今後それぞれの分野、医療分野でもさまざまな国の新たな医療制度改革の中で新しい制度がつくり上げられてくると思いますので、そういう中で現状を踏まえながら、どういう形で圏域を設定していけばいいのか、十分に議論していけばいい、こういうふうに考えております。
 それから、市町村の行財政能力ということを申し上げているわけですが、これは、合併に限らず広域連合という手段もありますし、それからそれぞれの市、町村が自助努力をしてそして能力を高める、そのために今、懸命の努力をしているわけですから、当面、自立を選択するとか、そのようなために一生懸命努力しているわけで、そうしたことがぜひ花開くことを願っているものであります。
 それから、広域振興局、企画機能の関係で企画部門だけの集中で機能を持てるかどうかという話がございましたけれども、こうした企画部門に行政分野の人材を横断的に配置することとしておりまして、それは、このような体制によって、施策の立案や産業振興の企画などに十分耐え得ると。それだけの能力のある人員を配置し、そして体制も横断的な体制をとる、こういうことで今、考えているものでございます。
 それから、企画・実践・検証の体制がないといけないのではないかということですが、これは当然つくらなければいけないわけでございまして、よくマネジメントサイクルと言いますけれども、評価、検証、そこまでがしっかりできるような組織体制をそれぞれのところで整備をしていきたいと考えます。
 財源の関係がお話ございました。どうやって捻出をするのかということでございますけれども、これは、当然広域振興局で練り上げられた施策というものは私も直接話を聞き、そして県としての優先順位は、最後は私のところで調整をいたしますけれども、その調整を経た上で優先順位により有効に資源配分をしていきたい。恐らく産業政策などでも有効な案が出てくると思いますので、そうしたものについて私も全体調整の中で優先順位をつけながら有効に配分していく、こういうことがこれから考えられるものでございます。
 県都の盛岡市について今お話ございました。ここは中核市を今、盛岡市は目指しているわけでありまして、その盛岡市の動き、市長さんのお考えというのも今後十分聞いていく必要があると考えております。そして、今ちょうど年明け早々にそういった合併が行われるわけでございますので、来年度、盛岡地方振興局は現状と同じく配置をいたします。その機能、役割なども現状を維持していく。そして、そこで地域づくりなどの業務を引き続き担っていく、そういうことを考えております。県都でありますので、中核市となりますとそれだけの大きな権限などが得られるわけでありますので、その上で盛岡市とよく話をしていきたいというふうに考えます。
 最後に、市町村合併についてお話ございましたけれども、これは繰り返し申し上げますけれども、市町村が強くなっていくという上で、県内でも各地域で行われましたが、有効な手段である。確かにそれだけではないわけでありますけれども、これは手段でありますから、それをうまく生かすということでありますが、今のこの時代に県がこういった合併を押しつけるということはありませんし、市町村の自主性は尊重して対応してまいります。最後は市町村に判断をしていただく、住民に判断をしていただくということですが、ねらっている、目指すところは、市町村と同じ認識に立った上で、市町村が中心に行政が可能となる体制への移行、これを目指していきたい、このように考えております。

〇議長(伊藤勢至君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第8号から議案第92号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
   
〔参照〕
委員会付託区分表
(第17回県議会定例会 平成17年12月7日)
総務委員会
1 議案第8号中
   第1条第1表中
    追加中 1、23
2 議案第9号
3 議案第10号
4 議案第12号
5 議案第13号
6 議案第14号
7 議案第15号
8 議案第46号
9 議案第47号
10 議案第89号
11 議案第92号
環境福祉委員会
1 議案第8号中
   第1条第1表中
    追加中 2~8
2 議案第16号
3 議案第17号
4 議案第18号
5 議案第19号
6 議案第20号
7 議案第21号
8 議案第22号
9 議案第23号
10 議案第33号
11 議案第48号
12 議案第49号
13 議案第50号
14 議案第51号
15 議案第52号
16 議案第53号
17 議案第54号
18 議案第55号
商工文教委員会
1 議案第8号中
   第1条第1表中
    追加中 9~11、24~37
2 議案第24号
3 議案第25号
4 議案第26号
5 議案第34号
6 議案第35号
7 議案第36号
8 議案第37号
9 議案第38号
10 議案第39号
11 議案第40号
12 議案第41号
13 議案第42号
14 議案第43号
15 議案第56号
16 議案第57号
17 議案第58号
18 議案第59号
19 議案第68号
20 議案第72号
21 議案第75号
22 議案第76号
23 議案第77号
24 議案第78号
25 議案第79号
26 議案第80号
27 議案第81号
28 議案第82号
29 議案第83号
30 議案第84号
31 議案第85号
32 議案第86号
33 議案第87号
34 議案第90号
35 議案第91号
農林水産委員会
1 議案第8号中
   第1条第1表中
    追加中 12~18
2 議案第11号
3 議案第27号
4 議案第28号
5 議案第29号
6 議案第60号
7 議案第61号
8 議案第62号
9 議案第63号
10 議案第64号
11 議案第65号
12 議案第66号
13 議案第67号
14 議案第88号
県土整備委員会
1 議案第8号中
   第1条第1表中
    追加中 19~22
2 議案第30号
3 議案第31号
4 議案第32号
5 議案第44号
6 議案第45号
7 議案第69号
8 議案第70号
9 議案第71号
10 議案第73号
11 議案第74号
   

〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時55分 散 会


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