平成17年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇32番(吉田昭彦君) 広域振興圏の見直しと振興局再編につきまして、先輩、同僚の議員各位からいろんな角度から質問がなされ、答弁があったところでありますが、なぜ急いで実施しなければならないのかの理解を深めるため、同僚の野田議員の質問に関連して質問させていただきます。
 第1点は、これまでの答弁、説明によりますと、県南広域振興局の先行設置とともに、本庁への県北・沿岸振興本部の設置により対処するとのことでありましたが、むしろ、産業振興に重点を置くのであれば、産業振興重点化対策推進本部のようなものを本庁に組織し、その指令のもとに、地方振興局並びに市町村がそれぞれの地域の特徴を生かした施策を推進できる体制を整備することが必要と考えるが、どうでありましょうか。いわゆる本庁機能の充実こそが大切であり、そのことで地方振興局の機能も強化されることになると考えるものでありますが、そのような検討をされたかどうか、お伺いいたします。
 県南広域振興局は、平成18年度に先行設置をし、他の地区については5年かけて検討し、10年をめどに設置をするとのことでありますが、地域によって振興局の権限が違うという二重構造はわかりにくいと思いますが、いかが検討されたか、お伺いいたします。
 第2点目、広域振興圏の見直しに伴って、本庁と振興局の業務分担のあり方並びにそれに伴う振興局の職員体制をどのように検討されたかお伺いしたいわけでありますが、現在の振興局の体制を見ると、各地方振興局所管の普通建設事業費が、平成10年2、860億円が現在は1、650億円、マイナス1、000億円、それに対して職員数が、平成10年1、890人、平成17年2、080人、プラス190人、そういうことで、普通建設事業費が振興局所管の事業費は1、000億円マイナスになっておるのに対して職員数はふえているというのが今の振興局の実態ではないか、そのように思うわけでありますが、そのようなことを踏まえて、本庁と振興局の業務分担のあり方についてどのような検討をなされたか、お伺いしたいものであります。
 あわせて、県南広域振興局には予算原案の作成権限を与え、地域の政策は企画から実施まで広域振興局で完結制度にするとのことでありますが、現在の財政状況、今後の見通しから見て、産業振興を図るための施策の展開のための財源をどのように対処されるお考えなのか、政策推進の特別枠を設けて対処される考えなのか、お伺いいたします。
 3点目でありますが、現在、市町村の広域行政では、九つの地区の広域生活圏単位で広域市町村圏協議会が設置され、消防、ごみ、環境衛生、介護保険等の事務の共同処理が行われておりますが、この基礎となっている広域生活圏は、今回の見直しで四つの広域圏に改められることになるわけでありますが、関係市町村の広域行政に支障が出てこないかについてお伺いいたします。
 以上、3点についてお伺いいたします。

〇知事(増田寛也君) 吉田議員の御質問にお答え申し上げたいと思いますが、まず、産業振興について、本庁の方に本部のようなものを設けてそれでやるべきではないかというのが第1点の御質問かと思います。
 これからの行政のあり方として、特に産業振興についても、これまで以上に現場での企業との関係や、それから現場での人材、そして資源、そうしたものをよく見ながら産業振興をしていくことが必要ではないか、こういうふうに思っています。本庁で県北地域などについて今回本部を立てますけれども、これは、まだそうした核となる産業がしっかりと育っていないところ、それから市町村の行財政体制、こういう問題を私の方で申し上げているところでございまして、一定程度そうした核がしっかりと育っているところは、むしろ、進むべき方向、そして企業間のネットワークが、特に県南地域は自動車などについてかなり見えてきていますので、そうした現場の話を聞きながら機敏に動けるような、できるだけ地域でそうした判断が即決できるようにしていきたい、こういうことでございます。振興局での完結性を高め、それから強くなった市町村との関係も強化して、すぐに動き出せるように、本庁の判断を仰ぐことなく、すぐに動き出せるようにする、こういうことで、今回、県南につきましては早くスタートさせたい、このように考えています。
 それから、本庁と振興局の業務分担と職員体制について、今お話がございました。本庁は、振興局や市町村の方に大幅な権限移譲を行います。ですから、本庁の方については、全県的な企画調整業務とか、それから危機管理や、だんだん減ると思いますが国との調整業務とか、まだ経済産業局などとの調整はなかなか重要な問題がありますが、そうしたところとの調整業務や、それから他県との調整業務、それはやはり本庁の方に残して、そこでやっていきたい。あと、現場の振興局の方には、優秀な人材はそちらはそちらで配置をして、それでこの振興に取り組みたい、こういうことでございまして、そういうことによって、本庁の職員については大体300人削減ということを申し上げたわけであります。
 広域振興局の方は、市町村の支援ですとか産業支援の体制強化を図るわけですが、それについての職員を増強するのは当然でございます。それから、内部管理業務や企画調整業務、そういったところは本局の方に集約できますので、そういったやりくりをしながら、こちらの方でもやはり人を減らすことができるわけで、振興局全体として、特に広域振興局についても300人削減ということで考えております。そのほか、出先で100人減らすということで、全体で700人、こういう削減を考えておりまして、そういう主な業務分担と職員体制でこれから仕事に当たっていきたいということです。
 この広域振興局の予算機能ですが、予算機能を強化すると議会で私申し上げてきましたけれども、これは、今、毎年50億円の政策形成の枠がございますが、こうした政策形成プロジェクトへの提案権限ですとか、圏域についての予算原案の編成権限はすべて振興局あるいは広域振興局長が持つ形にいたします。それを予算に具体的に反映させるとか、これは、最後はやはり県全体の体制の中では知事がそれを査定するというか見なければいけないわけでありますが、平成19年度の予算編成は実際に広域振興局長が行うことになりますので、それまでに詳細検討いたしますけれども、広域振興局長が知事と直接政策形成予算について話ができ、そして、そこで決めていくような仕組みを考えています。今の各部の部長に相談をしてそれで決めるということではなく、そこは知事と直接結びつけたい。ですから、各部長あるいは各部局長と同等以上の権限を広域振興局長に持たせる、このようなことを考えております。その上で知事が、議会との関係がありますので、全体調整を行って配分をしていくということでございますが、産業振興ということでございますので、優先順位により配分いたしますけれども、当然順位の高いものとして配分をしていく、こういう仕組みでございます。
 3点目の広域市町村圏と既存の広域市町村圏との関係でのお尋ねでございますが、これは、今、広域市町村圏がつくっておりますさまざまな一部事務組合や広域連合の組織がございますけれども、これは、その組織がごみ処理等さまざまな形でうまく機能していると考えていますので、それはそれとして今後も活動していただくということを考えております。現在のそうした単位でございます活動をもっと大きくくくって今回圏域を整理してございますけれども、その中で、従来、市町村がお互いに話し合いをしながら築き上げてきた事務処理の内容は、それはそれで活動していただく、こういう仕組みを考えているところでございます。

〇32番(吉田昭彦君) このたびの広域圏の見直しと関連して、県政の重点施策が産業振興にシフトしたという感じがするわけでありますが、県の総合計画は、御案内のように、社会資本の整備はもちろんですが、産業、教育・文化、それから保健医療、福祉と広範になっているわけですが、その中で、岩手県総合計画は県民の生活を第一に構築したもので、いわゆる県土の均衡ある発展を目指していたと思うわけでありますが、今回の変更は、県政の進むべき方向の方針変更ということにならないのかどうか、このことについてお伺いします。
 あわせて、知事は、全国知事会の地方分権推進委員会の委員長であられますが、そのことで、今回の県南地区の広域振興局の設置は、いわゆる構造改革特区のような形での特例地区を設けることによって国の財政支援とかが有利に受けられる、そういう見通しを先取りしての今回の措置であるのか、それとは全く関係ないのか、そのあたりについて、知事、お願いします。

〇知事(増田寛也君) 県政の及ぶ範囲というのは、保健医療、福祉等大変広い範囲でありますので、それ全体について県がしっかりと県民生活を守るために仕事を行っていく、ここはいつの時代も変わらないものであります。その中で、今一番緊急に求められている、経済的にこれ以上、人口減の時代に格差が広がることをみすみす見過ごさないようにする、今がそうした経済を発展させるチャンスということで、そこに県政の重点、重きを置いていきたい、こういう考え方で今回展開しているものでございまして、仮にこうしたことがうまく機能していけば、そのことが地域経済を通じて、県民生活の安定、それは県税収を含めて市町村税収も豊かになりますので、さまざまなその他の施策も手が打てるわけでありますので、そういう形で、全般にいい影響を及ぼすものととらえております。
 それから、構造改革特区の関係ですが、実は今、議員からお話ございました財政支援等のようなものについては、構造改革特区は、その内容を及ぼさないというのが大きな政府の前提になっておりまして、実は、予算配分ですとか、少なくともそういったものについて、国の地方支分局でやっているものをそういうところに移すようなことができないかと以前考え、国にグリーンツーリズムなどで提案したことがあるんですけれども、やっぱりそこの壁が崩せない。要するに、予算には全く手を触れさせない、それ以外の規制のところで穴をあけていこう、こういう形であります。ですから、厳密に言うと、こうした形になることが、国の予算との関係で、政府はそういうものに使うということは多分今も考えていないだろう、そこが正直なところでありますが、しかし、広域的に物事をくくり直して、特に経済活動が大変広域で今活動しているわけでありますので、スピードと、それから広域性を持って大きくくくりをして、そこで強力に支援していくということは自分たちの自立に向けての自助努力としてやはりぜひ必要なものではないか。そのことが多分、財政的なもの以外のところで、さまざま産業関係についても規制などが今あるんですけれども、そうしたところでより規制を緩和あるいは規制を撤廃することが県の自動車産業などの発展に寄与するということであれば、それをもちろん提案をし、その内容を獲得していきたい。その際にはそういったことを使っていきたいと考えております。

〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
日程第2 議案第8号平成17年度岩手県一般会計補正予算(第6号)から日程第86 議案第92号岩手県総合計画の変更に関し議決を求めることについてまで

〇議長(伊藤勢至君) この際、日程第2、議案第8号から日程第86、議案第92号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。


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