平成17年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇7番(野田武則君) 民主・県民会議の野田武則でございます。
 先輩・同僚議員の御配慮により、登壇の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。重複する点もあると思いますが、御理解をいただき、知事初め、関係部局長には誠意ある御答弁をお願いいたします。
 それでは、通告に従い質問いたします。
 我が国の人口は、2006年をピークとして、その後、長期の減少過程に入っていくものと予想されておりましたが、最近の人口動態に関する調査結果を見ますと、戦後着実に経済の成長を遂げ人口も増加してきた我が国ですが、いよいよ人口減少時代という歴史の大きな転換点に差しかかったと言えます。
 本県の人口も、本年10月1日実施の国勢調査の速報値によれば、県内の総人口は138万5、070人で、前回調査の5年前と比較して3万1、010人も減少したと報じられております。少子化が進み、全国を上回る速さで高齢化が進行する本県では、今後、労働力人口が減少することに伴い県内総生産が減少し、地域経済の停滞や成長率の低下を招く懸念があります。特に、超高齢社会への移行が避けられない中、医療、福祉など社会保障費が増大を続けることで、県や市町村の財政に与える影響もはかり知れないものがあります。こうした諸課題に適切に対応し、将来世代に負担を転嫁することなく、希望に満ちた健全な地域社会をつくり、引き継いでいくことが最大の責務であると考えます。
 そこで、お伺いいたしますが、中長期的な視野に立った地域社会のあり方、また、本県が進むべき方向性を明確に県民に示していく必要があると思いますが、このような人口減少、少子・高齢化の社会経済に及ぼす影響について、どのような課題認識をお持ちなのか、また、その対応についてどのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。
 また、仮に、さまざまな少子化対策を講じることにより出生率の低下に歯どめがかかったとしても、その世代が社会に出て働き始めるには20年ほど先になり、その間、生産年齢人口の減少は避けられません。こうした状況を踏まえれば、人口減少をある程度受け入れつつ、そうした環境に適応した力強い地域経済基盤を構築していくことが優先課題であると考えます。県民の生活水準の維持・向上の確保に向けた地域経済の活性化や、産業振興に関する今後の取り組みの方向性についてお示しを願います。
 三位一体改革と知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。
 政府・与党は、先月30日、国と地方の税財政改革、いわゆる三位一体改革に関する協議会におきまして、地方6団体が廃止を求めていた義務教育費国庫負担について、国の負担割合を現行の2分の1から3分の1へと引き下げる形で8、500億円を削減することで合意しました。三位一体改革においては、地方にできることは地方にという地方分権の議論が深まるものと、多くの国民、県民が期待を持っている中、結局、自治体側が地方分権を求めても、国の財政再建優先と権限の温存という壁を崩すまでには至らず、改革とは名ばかりで数字合わせの政治決着となっていることは、まことに残念でなりません。こうしたボタンのかけ違いはなぜ起こっているのでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。
 また、本県においても、病院改革や高校再編が進められ、さらに、今議会におきましては、広域生活圏と地方振興局の見直し案が出されておりますが、市町村の十分な理解が得られないまま施策の提案がなされるため、その本質的な部分の議論が中途半端のまま進められております。知事は、地方6団体のリーダーとして活躍なされていることには、大いに敬意を表するものですが、地方分権を声高に訴えれば訴えるほど、ますます市町村との間に大きなギャップが生まれ、ここでもボタンのかけ違いが起きていると思います。
 地方分権の地方という言葉は、県民にとっては、より身近な生活に直接関係する市町村との認識が強く、県庁に軸足を置く知事とは当然ながら地方分権に対する考え方の違いが生じてくると思いますが、今後の施策の実施に当たって、こうしたボタンのかけ違いの解消にどのように努められるのか、また、三位一体改革と地方分権の推進に当たってどのような政治姿勢で臨まれるのか、お伺いをいたします。
 次に、県財政の見通しについてお伺いいたします。
 県は、本年10月、県財政の中期収支の見通し試案を発表しましたが、これによると、国の三位一体改革のあおりを受け、平成16年度の地方交付税や臨時財政対策債が12%削減された影響を引きずり、財源不足が深刻で、19年から22年度までの4年間で、毎年約600億円、都合2、354億円の財源不足が見込まれるとしております。県財政問題については、今までも多くの議員から岩手の将来を懸念しての質問がたくさんあったわけでありますが、このままの状態が続くと財政再建団体になりはしないかと心配するものであります。この財源不足をどのように乗り切ろうとしているのか、また、このことが県民にとってどのようなしわ寄せが及ぶことになるのか、具体的にお示しを願います。
 また、知事は、さらなる歳出削減に取り組むため、平成22年度までに知事部局の職員を現在の4、770人から4、000人規模に、あわせて、県教育委員会、医療局、県警察本部などにも人員削減を求めることとしているようですが、例えば、犯罪発生率が年々増加している中で、現場の警察官を本当に減らしていけるのか、医療の充実が求められているときに看護師の削減が本当にできるのかなど、疑問に思うところでございます。本県の職員数は全国で最も少ないと言われている中で、ますます職員の士気が低下し、県民へのサービス低下が懸念されるわけですが、どのような組織体制で県民サービスを向上させようとしているのか、お示しを願います。
 少子化対策についてお伺いいたします。
 全国的に急激に進む少子化は、本県にとって深刻な問題であります。この少子化対策の切り札として、平成15年に成立した次世代育成支援対策推進法の公布を受け、今年度、いわて子どもプランの見直しが行われたところですが、この次世代育成支援対策推進法では、常時301人以上を雇用する事業主や自治体などは育児支援行動計画の策定義務が課せられたところですが、本県の対象企業は4月時点で約30%程度しか取り組んでいないとのことです。先行き不透明な経済状況の中では企業側の事情も理解できるものですが、この次世代法が絵にかいたもちにならないように、一層の施策の展開が求められるところです。
 そこで、お伺いいたしますが、この育児支援行動計画を実りあるものにするために今後どのような取り組みをなさるのか、また、施策の推進に当たり各市町村ではどのように取り組んでいるのか、お示しを願います。
 また、昨今、小学生が下校時に事件に巻き込まれるという痛ましいケースが多発しておりますが、放課後児童クラブの整備や、あるいは病後時保育を求める声も大きいのですが、特定14事業の該当事業の実施に当たってどのようなことが課題としてあるのか、その対応について、どのように取り組もうとしているのか、あわせてお伺いいたします。
 昨年12月議会の一般質問で母子家庭、いわゆるシングルマザーへの取り組みについてお伺いしたところですが、今回のいわて子どもプランにおいては、岩手県母子家庭等自立促進計画が加わり、母子家庭の自立促進が少子化対策の重要な事項として盛り込まれたことは評価すべきだと思います。国においては、児童扶養手当中心の支援から就業・自立に向けた支援へ方向転換をしており、県においても母子家庭等就業・自立支援センター事業として展開しているところですが、母子家庭の大半は就労しているものの、パートや臨時など経済的に不安な状況にあるため、母子家庭の安定した就労場所の確保が課題とされており、各地域での公共職業安定所、いわゆるハローワークと連携した就業支援が欠かせないと考えます。
 そこで、母子家庭に対する就業支援などの自立支援の実態と公共職業安定所との連携状況についてお伺いをいたします。
 また、父子家庭には何ら具体的な支援策がないのですが、母子家庭の支援策との整合を図る上からも今後の取り組みが必要と思いますが、どのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
 全国母子世帯等調査によると、全国の母子世帯数は123万世帯であり、本県でも1万1、093世帯と年々増加傾向にあります。近ごろでは、熟年離婚という言葉が流行するなど、離婚の持つ意味も大きく変化している現状であります。離婚しても安心して子育てができる環境づくりが大切と思いますが、県の少子化対策における母子家庭等の一人親家庭の位置づけはどのように考えられているのか、お伺いをいたします。
 内閣府が発表した少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査によると、母親の約7割が、子育てにかかわる経済的な負担が少子化対策のための障害になっている実態を示しております。具体的には、まず第1番目、保育・幼稚園経費の軽減、2番目に、乳幼児医療の無料化、3番目に、児童手当の増額が上位に並んで、子育てに経済的な負担が大きな障害となっている現実が浮き彫りにされております。新聞報道によりますと、10年連続で出生率全国ワーストワンの秋田県では、ゼロ歳児には一律1万円の養育費を、1歳から6歳までの保育料は半額免除の子育て支援事業に乗り出すとのことですが、その財源として新たな県民税も検討されているとのことです。少子化社会白書によりますと、ことし31歳から34歳になる団塊ジュニア世代が出産年齢期の今後5年間を好機として位置づけ、出生率が上昇に転じる可能性が高いとしております。この5年間の好機を迎えるに当たって、子育て環境日本一を目指す本県では、低下を続ける出生率に歯どめをかけるために、どのような課題があると認識し、その課題の解決に向けどういう施策を講じていくお考えなのか、お尋ねをいたします。
 知事は、マニフェストに幼保一元化したこども園の実現を掲げ、40の政策においてその推進を図っていくことを示しております。知事の言うこども園は、本年モデル事業として取り組んでいる総合施設のことと思いますが、現状では新たな施設をつくるということは困難と思いますので、結局は既存の保育園、幼稚園の総合施設化ということになると考えます。本県では、保育所待機児童の問題が発生している地域がある一方、過疎地では幼稚園、保育所の定員割れが深刻化するなど、地域によって事情は異なるものの、いずれにしても就学前の教育、保育のあり方が問われています。次代を担う岩手の子供たちの教育、保育をどこの地域でもしっかりと保障していくということが重要であると考えます。第3の施設として位置づけられている、いわゆるこども園(総合施設)の推進に当たっては、岩手の就学前教育、保育の明確な理念と計画のもとに実現を目指すべきと考えますが、県はどのような理念と計画のもとに取り組まれようとしているのか、お示しを願います。
 就学前においては、保育園と幼稚園、そして総合施設の三つの施設となるわけですが、ここで問題となるのが、その所管部局のあり方です。少子化対策における次世代育成支援計画の実現においても、その実施責任は市町村にあるわけですから、縦割り行政の弊害のもとでは、その連携が思うようになされず、十分な成果が発揮されるとは思われません。
   〔副議長退席、議長着席〕
 保育所は市町村の福祉部門、公立幼稚園は教育委員会、そして私立幼稚園は県総務部の所管と分かれ、小学校の連携においても不十分なままです。幼児を養育する親に十分なサービスを提供するためにも、市町村に就学前の幼児を所管する一体的な窓口を設置することが望ましいと思いますが、県としてどのような指導をなされているのか、また、県自身にもこのような一体的な窓口が必要と思いますが、どのようにお考えですか。
 また、私立学校に関する事務処理は総務部の所管するところですが、教育委員会への移管は可能なのでしょうか。こうした一体化には、行政事務の処理上さまざまな課題があると思います。何が障害となるのか、各部局長のお考えをお示し願いたいと思います。
 今回の総合施設も国においても、いまだその所管が定まらない状況にありますが、実質的には幼稚園の教育要領が重視されると見込まれることから、岩手の人づくりの出発点である就学前教育と保育の充実発展には、教育委員会の強力な指導権を持って臨むべきだと思います。県においては私立幼稚園事務の教育委員会への移管が前提になると思いますが、他県においては既に実施している例もあるようです。この際、有識者、関係者による検討委員会等を設置すべきと思いますが、どのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
 次に、教育の振興策についてお伺いいたします。
 最近のテレビ、新聞等のニュースを見ていると、子供が関与したさまざまな事件が発生しているとともに、教師の不祥事も多発している実態があります。また、平成15年度には精神性疾患で休職した全国の公立小・中・高の教員は、10年前と比較してほぼ3倍になったとも言われております。
 先生方の勤務状況をあらわすのに、うれしいな、5時に帰れる日曜日、という川柳があるそうです。授業のほかにクラブや校外活動に多忙をきわめている姿が目に浮かびます。受験競争の過熱や知識偏重の詰め込み主義に対する反省から、3年前にいわゆるゆとり教育が導入され、週休2日制のもと、子供のみならず、教師にもいささかのゆとりが生じたのではないかと思うところですが、実際は、県教委が実施した勤務実態アンケートでも、約98%の先生方が多忙であるとの実態が示されております。また、一方では、岩手の英語・全国最下位、こういったたぐいの新聞報道がなされますと、多くの県民は、岩手の教育は本当に大丈夫かと、こういう心配をするのも事実であります。いじめや不登校などさまざまな問題を抱え、教師にかかる精神的なプレッシャーも相当なものがあると思います。教員が多忙であると感じているその実態の検証はなされているのでしょうか。その改善に取り組まれているのでしょうか、お伺いをいたします。
 教育現場では、ゆとり教育や学力向上ということに力点が置かれているようですが、本質的なことは、子供が学ぶことに喜びを感じる学校づくりであり、そのためには、まず子供と接する教師自身が教える喜び、教師としての職業に誇りが持てる学校づくりが重要かと思います。こうした視点からの岩手の教育の現状と今後の取り組みについて、どのような御所見をお持ちなのか、県の教育委員会委員長の御所見をお伺いしたいと思います。
 次に、教育委員会制度の見直しについてお伺いいたします。
 現行制度の問題点として、予算編成権がなく独自の施策を打ち出せないことや、市町村教育委員会に教職員の人事権がないなど指摘されております。現場への権限移譲を進めることによって、地域の実情やニーズに応じた特色ある教育が行われるためには、どうしても制度の見直しが必要と思います。国に対する働きかけはもちろんですが、地方分権の一層の推進という観点からも、現行制度の中でも取り組めるもの、可能なことがあると思います。どのように取り組まれようとしているのか、お伺いをいたします。
 また、平成16年9月から文科省におきましては、地域に開かれた学校という視点から、新しい公立学校運営の仕組みとして学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティ・スクールがつくられたと聞いております。保護者や地域の声を学校運営に直接反映させ、保護者、地域、学校、教育委員会が一体となって、よりよい学校をつくり上げることを目指すということですが、地域や保護者の外部の声が学校運営に反映されていくならば、教育の活性化につながると考えますが、このコミュニティ・スクールの導入は県としてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、これからの広域行政と沿岸地域の振興策についてお伺いいたします。
 広域生活圏と地方振興局の見直し案が出されておりますが、地方分権改革や人口減少、少子・高齢化への対応、そして逼迫する県財政の改善は極めて重要な課題であり、早く体制を整備して取り組むことの必要性は基本的には理解するものでありますが、地方振興局のあり方は県民にとって極めて重要な課題でありますから、市町村及び地域住民との十分な協議が必要と思います。再編による財政コストの具体的な数字も出されていない中、なぜ来年度から県南を先行させてスタートされるのか、その緊急性はどこにあるのか、お伺いをしたいと思います。この点につきましては、今議会においてたびたび取り上げられておりますが、再確認の意味で改めてお伺いをしたいと思います。
 また、県南を先行スタートさせる理由として、この地域の成果を他の圏域にも波及させると説明しておりますが、沿岸・県北は人口の減少率も高く、各分野の統計指標を見ましても県南広域圏とは格差があります。このような現状では、波及どころか、県南への経済活動が集中し、沿岸・県北地域の一層の地盤沈下をもたらすと思いますが、どのようにお考えなのか、御所見をお伺いいたします。
 計画によりますと、本庁が、地方振興局と一体となって沿岸・県北振興に向けた業務に重点的に取り組み、具体的な成果を目指すとされております。そこで、沿岸地域に絞ってお伺いをいたしますが、沿岸広域振興圏の産業振興の基本的な方向は示されているものの、その具体的な姿が見えてきません。改めてわかりやすい御説明をお願いしたいと思います。
 また、県土の均衡ある発展に対する県のこれまでの取り組みをどのように評価し、人口減少を初め、雇用や商工業等の課題が山積している沿岸地域の今後10年、20年後を見据え、どのような施策を展開していこうとしているのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、県は、輸送船舶の大型化に対応する岸壁を整備するため釜石港湾整備計画を変更して、11月に国の審議会に諮る予定であると伺っておりましたが、その計画はどのようなものなのか、沿岸地域の振興にどのような意義を持つのか、お示しを願いたいと思います。
 また、沿岸地域である久慈、宮古、釜石及び大船渡地方振興局管内にかかわる投資経費は県全体のどれぐらいになっているのか、本年度の沿岸地域の予算額と県全体に占める配分率をお示し願います。
 また、来年度の予算配分はどのような計画であるのか、お示しを願いたいと思います。
 次に、沿岸地域の農業と漁業の振興策に関し質問いたします。
 まず、農業に関し経営所得安定対策についてお伺いしますが、施策の対象は認定農業者のほか特定農業団体とされ、認定農業者にあっては、その規模4ヘクタールと決められたところですが、これは中山間地域の特例措置が講じられたとしても3ヘクタールであります。沿岸地域の現状に照らしたときに、この特例をもってしても、対象となる農家はわずかであります。今回の経営所得安定対策によって施策の対象が絞り込まれることになれば、今後、沿岸の地域農業は取り残されてしまうのではないか、生産者はみずからの農業の将来にどう影響するのか、大きな懸念を抱いております。まさに政策の大転換が地域農業を後退させるということのないよう、しっかりとした県の対応が望まれますが、経営所得安定対策の実施が沿岸地域農業にどういった意義があるのか、また、農家の不安を払拭するためにどのような取り組みをなさるのか、お伺いいたします。
 次に、水産業の振興についてお伺いいたします。
 漁業者の減少と高齢化が加速的に進み、現在、漁業就業者の約45%を占める60歳以上の就業者は、10年以内にほとんどが引退や廃業し、10年後には就業者はほぼ半減すると試算されております。この現状を押しとめるためには、何よりも担い手を着実に育成確保していくことが重要であります。そのためには、若者が漁業を魅力ある職業として選択するよう、まずもって所得の向上が第1の条件になると考えます。県は、担い手の育成確保に向けた所得の向上にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
 また、一方では、漁業の新たな展開を図っていくためには、科学的に裏づけされた技術も必要であります。水産技術センターは、水産業に関する本県唯一の試験研究機関であり、今日、水産業をめぐる情勢が大きく変化していく中で、技術的な面から漁業者を支えていくことが従来にも増して期待されております。そこで、これまでの水産技術センターの研究成果とその成果が水産業の現場にどのように反映されてきたのか。また、現在どのような研究に取り組まれているのか、それは今後どのように現場に反映されていくのか、お示しを願いたいと思います。
 いわての森林づくり県民税についてお伺いいたします。
 森林環境を維持、保全し、良好な状態で次の世代に引き継ぐという政策目的を持つこの森林税の創設には、基本的には理解を持つものであります。しかし、この計画によりますと、年間1、500ヘクタールの森林を森林所有者との協定締結により、5割程度の強度間伐を実施し、その間伐材は林内に集積するとありますが、5割となるとかなりの量であり、土どめ策などの措置をするとは言うものの、林内に集積することは管理にはかえって多額の経費が必要になるのではないか。この整備林は必要によって森林体験や学習の場としても利用するとありますが、間伐材があちらこちらに積まれている状態の林内は、学習の場としてふさわしくないのではないか。搬出して間伐材の利用促進に努め、林業の活性化、持続可能な森林経営に結びつけるような施策の展開は図れないのかという疑問が残ります。どのようなお考えなのか、お示しを願いたいと思います。
 県においては、昨年、いわての森林づくり検討委員会を設置し、約1年かけて議論を重ね、また、県民アンケート調査を行うなど取り組まれてきた経過があります。しかし、本年7月、各地方振興局単位で説明会を開催した際には、1会場平均40人、13会場で521人の参加者から意見を聴取したようですが、その意見は、賛否両論だったと伺っております。
 そこで、お伺いいたしますが、説明会での意見を施策等にどのように反映されたのか、また、県民への説明責任を果たし、県民からの理解を得たと認識しているのか、御所見をお伺いいたします。
 今月1日に、NHKでは東北各県一斉に地上デジタル放送を開始したところであります。本県の民間放送も来年10月から地上デジタル放送を開始する予定であり、いよいよ本県でも約半世紀のアナログ放送時代からデジタル放送時代へ移行しつつあります。
 そこで、お尋ねいたしますが、県として、今後地上デジタル放送の高度な機能をどのように生かそうとされるのか、その期待感と今後の取り組みについてお伺いします。
 また、携帯電話不感地域解消については、基本的に民間業者ということで、なかなか進んでいない現状でありますが、デジタル放送の開始とあわせ、より積極的な取り組みへの契機と考えますが、携帯電話不感地域解消策のこれまでの県としての成果と今後の取り組み方針について伺います。
 県立釜石病院と釜石市民病院の統合後の釜石市民病院の施設を活用して、民間医療法人が慢性期型病院を開設することなどを柱とした、かまいし健康ルネサンス構想を策定し、国に対し構造改革特区申請を行ったところ、釜石市だけではない全国的な制度として、平成18年度中にも規制緩和を行う方針が示されたところであります。これは、県立釜石病院と釜石市民病院の統合後の医療を心配していた釜石市民にとって大変ありがたい朗報であり、助言をいただいた県を初め、関係者の努力に敬意を表するとともに、心から感謝を申し上げるところであります。この国の方針を受け、今後、医療法人による慢性期型病院の開設に向け、釜石市は具体的に作業を進めることになりますが、県としてどのように支援していくのか、また、統合までの経営安定並びに統合後に市が承継する債務などの処理に関し県の支援が必要と思いますが、どのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。
 また、国の規制緩和の時期をどう把握されているのか、お伺いをしたいと思います。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 野田武則議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、人口減少社会に対する課題認識ということでございます。
 人口減少・高齢化社会におきましては、労働力人口の減少で経済基盤が縮小する、そして、高齢化に伴う社会保障面での負担が増加するなど負の影響が強く懸念されているわけでございまして、極めて大きな課題と認識しております。
 我が国では、一貫して戦後人口増加が続いております。戦後というか、それ以前からずっと人口増加が続いておりまして、こうした豊富な労働力、需要の拡大を背景にして高い経済成長率を実現し、社会保障制度もこのような人口構造を前提として構築されてまいりましたが、今、我々に突きつけられていますのは、このような前提を取り払って、社会経済システムや価値観、発想を根本から変えるということかと認識しております。
 こうした時代に今なすべきことは、産業の高度化や生産性の向上を図りながら、一人一人の生活水準の維持向上を確保しつつ、女性の就労環境の整備や子育て支援など、長期的な視点に立って出生率の向上に向けた取り組みを強化することなどによりまして社会を今後もさらに住みやすい形につくり上げていくことである、このように認識しております。
 次に、こうした人口減少社会におきましては、まず、労働力人口が減少する影響を緩和する観点から、働きたいと希望している女性、そして高齢者の就業を促進することが不可欠でありまして、育児休業をとりやすく、職場復帰しやすい環境づくりや柔軟な勤務体制など、仕事と出産・育児の両立支援、高齢者の就業能力に応じた多様な勤務形態によります定年延長や継続雇用制度の導入など、その能力を十分発揮できるような就労環境の整備に向けて、国や市町村など関係機関とともに取り組みを強化していく考えであります。
 また、産業の高度化、付加価値化の促進という観点から、本県の基幹産業であります製造業、農林水産業など地域に根差した産業の重点的な振興に努力していく考えでございます。
 次に、三位一体改革については、地方の裁量権の拡大を図って、地方が自主的、自立的な行財政運営ができるようにする、地方分権型社会を構築する、こういう面があり、まさにこれが目的だと思うわけでありますが、もう一方で、国、地方を通じた行財政改革を進める、そういう面がございまして、この両面が内包されているということでございます。今回、国と地方は、こうした中で、この改革で地方分権の推進を期待した地方側と、国の財政再建に軸足を置いた国ないしは財務省の両者が改革の理念をしっかりと共有できずに同床異夢となっていたことが今回の結果をもたらしている、このように考えます。特に、中央の各省につきましては、先ほど申し上げましたように、地方に任せて本当に大丈夫かといった地方への不信感が根底にありまして、それに省益・権限保持ということで、大変非協力的であったと見てとれるわけであります。
 地方分権については、私が目指している行政の姿というのは、住民に最も身近な自治体である市町村が行政の中心となるような仕組みということでございまして、このことについては、市町村や県民の皆さん方とも全く共通の認識である。県ではなく、市町村が行政の中心となるような仕組みをつくり上げていく、これが私の認識でありまして、これは、市町村、県民の皆さん方とも同じである、このように考えております。
 したがいまして、三位一体改革で地方にいろいろな仕事、財源が移るときに、それを県にとどめるのではなく、市町村に確実に移譲していくことが重要であります。市町村の機能強化を今この場でも盛んに言っておりますけれども、このような観点から、県としては、市町村合併の進展も視野に入れながら、市町村への権限、そして財源、さらには人材の移譲も強力に進めていきたい、このように考えております。
 それから、県財政の関係に移ります。こちらにつきまして、具体的な財源不足の解消策について問われておりますけれども、まずは、この財源不足につきましては、地方財政の安定的な運営の確保のため、地財対策における地方交付税など一般財源所要額の確保について、これまで以上に国に強く要請をしていきたい。また、歳出削減の取り組みによる財源不足の解消を念頭に検討を進めていきたいと考えております。
 歳出削減につきましては、総人件費の抑制として、経費の抑制、義務的経費の見直しや政策的経費の優先度に基づいた調整などを考えておりますが、今後、さらに作業を進める中で、一切の聖域を設けることなく見直しをしてまいりたいと考えております。歳入確保につきましては、プライマリーバランスの均衡の範囲の中で、事業量を十分にコントロールしながら、県債の追加発行なども検討していきたい、このように考えております。こうした歳入確保、歳出削減の取り組みを最優先で進め、なお生じます各年度の財源不足、このすき間の解消に向けまして主要3基金の活用を検討していきたい、このように考えております。
 このような改革が県民にどのような痛みをもたらすかということでございますが、この次期行財政構造改革プログラムでは、引き続き、また痛みを伴う取り組みも必要な場合には進めていかなければならない、このように考えているわけでございますが、そうした改革を進めることによって、限られた資源をより必要とされている分野に再配分することができるわけでございまして、こうした点を十分に県民の皆様方に御理解をいただきながらこのプログラムを取りまとめてまいりたい、このように考えております。
 また、県の組織体制といたしまして、将来目標を知事部局4、000人程度、こういうことを申し上げたわけですが、この体制の実現に向けましては、すべての分野で徹底した業務プロセスの改善、組織の合理化、業務の効率化・外部化の観点から取り組みを進めます一方で、産業振興や市町村支援などの重点分野への職員のシフト、地方振興局への権限・事務委譲の推進などによりまして、県民サービスの質の向上が図られるように十分留意しながら将来を見据えた新たな組織・職員体制を整備してまいりたい、このように考えております。
 次に、少子化対策についてでございます。
 出生率低下をとめるための課題認識と解決策でございますが、まず、出生率低下の原因の方でございますけれども、未婚化・晩婚化、そして夫婦の出生力の低下などが挙げられておりまして、その背景には、核家族化の進展や育児・教育コストの負担増など複合的要因が考えられる、こういうことでございます。こうしたことでございますので、出生率の低下に直ちに効果のある施策、いわゆる即効薬につきましてはなかなか展開が困難である、このように考えられます。
 OECDの報告などを読みますと、欧米の例によれば、子育て支援に係る社会基盤が整備されている国ほど女性の就業率が高く、しかもなおかつ出生率が高い、こういう傾向にございます。こうしたことから、男女がともに子育てに参画をして、子供を安心して産み育てられる環境づくりが重要と認識しております。これは意識面も含めてそうした環境づくりが重要である、こういう認識であります。
 県では、新しいいわて子どもプランを着実に推進することを基本として、社会、親、子供の三つの視点を柱として、多様な施策を組み合わせて、男女ともに安心して子供を産み育てられる環境づくりを進めていく考えでございます。
 幼保一元化と窓口の一本化ということですが、いわゆるこども園――総合施設につきましては、その理念として、子供の年齢や親の就労形態などで区別をせずに、就学前の子供に、希望に応じて一貫した適切な幼児教育・保育の機会を、地域の実情に応じて社会資源を有効に活用しながら提供することである、このように考えております。
 県のこうした総合施設――こども園推進の考え方でございますが、平成16年度は、県庁内に関係部局による幼保一元化推進検討会を設置して、こども園――総合施設の実現に向けた具体的な検討を行いました。平成17年度――今年度は、国からの指定を受けて、総合施設モデル事業の実施をいたしております。この実施を通じた検証を行いまして、それを踏まえて、平成18年度――来年度におきましては、国における総合施設の法整備の動向を見ながら、県としてこども園の指定の実現に向けた取り組みを進めていく、こういう考え方でございます。
 この窓口についてでございますが、市町村における乳幼児の教育・保育につきましては、多くの市町村で所管部署が分かれているのが実情でございますが、県内でも、一部の町でこうした組織を統合した例もございます。県では、縦割り行政の弊害を来すことのないよう総合的に対応することが望ましいと考えておりますけれども、一義的には、それぞれの市町村が地域の実情に応じて取り組むべきもの、このような認識に立っております。そして、今、取り組みを進めようとしている市町村に対しましては、県内の先行取組事例の情報提供を行っておりまして、今後もそのような対応をとっていきたいと考えております。
 それから、県での対応でございますが、当面は、関係部局間の緊密な連携により対応、こういうことでありますが、将来的に、このこども園の設置数が多くなった時点では一体的な窓口の必要性も出てくるものと考えております。
 次に、教育委員会制度についてでございます。
 まず、教育問題について言いますと、教育行政におきましても地方の自由度をより一層高める改革を進める必要があると考えておりまして、そうした認識の上に立ちまして、教育委員会制度の課題につきましては、現行制度の中で対応できるものについては積極的に取り組んでいく、こういう考えでおります。
 現行制度の課題ということでは、今、御指摘がございました教職員の任命権は、市町村教育委員会の意見を十分に尊重した上で任命を行う、また、教育委員会議の合議制の問題は、事前に協議会を開催して検討し、その上で教育委員会議で決定することとしており、意思決定の迅速を図っていると聞いております。
 さらに、今後、現場への権限の移譲についてでありますが、学校予算の裁量制の検討、また、特色ある学校づくりのための校長への権限の移譲のほか、広域的な事務処理を促進するための市町村教育委員会に対する支援を検討するなど、今、教育委員会の方で現行の制度の中で改革に向けて取り組んでいる、このように聞いているところでございます。
 今後、教育委員会、学校現場では、より一層児童生徒や保護者、地域住民に軸足を置いて開かれた運営を行っていく必要がございまして、地域の声が教育行政に十分反映されるよう、現行制度の中でも一層の取り組みを進めていただきたい、このように考えております。
 それから、広域行政と、その中で特に沿岸地域の振興策について何点かお尋ねがございました。
 まず、沿岸・県北地域と県南地域には格差があって、県南地域に経済活動が集中すると一層沿岸・県北地域の地盤沈下をもたらすのではないか、こういう御懸念がございました。今回の見直しは、四つの圏域を設定して産業振興を図っていくことを大きな目的にしていますが、中でも沿岸・県北振興というのは大きな目的でございます。
 県南地域は、合併、産業の集積が進んでおりますので、市町村、民間活力を生かした取り組みが可能でありますが、こちらの沿岸・県北地域は、まだそういう状況にはなっていない。そこで、この地域におきましては、港湾機能を活用した内陸との物流の展開、それから、先ほど嵯峨議員のときに申し上げましたが、内陸部からのものづくり産業の二次展開、内陸部の大学、企業等とのネットワークの構築など、県南圏域等との連携の強化を推進していきたい。こうしたことによりまして、県南圏域等の発展が沿岸・県北圏域のさらなる発展につながり、ともに成長していく、こういう観点で産業振興に取り組んでいくものでございます。
 それから、沿岸広域振興圏の具体的な姿でありますけれども、特に沿岸圏域の産業振興につきましては、圏域の持っている強みをさらに強化する、そして確固とした産業に築き上げていくということで、それぞれの産業の強化を基本とするところ、それから、今申し上げました県南圏域等の内陸部との連携強化の視点、この両者を踏まえて、次の五つの点に取り組みを進めていきたいと考えております。
 まず第1点は、コネクター・金型産業、鉄鋼、造船などのものづくり産業についてでありますが、これは、いわゆるものづくり産業クラスターの形成を目指して、地域内外との広域的な企業間ネットワークを構築する。それから、企業間の取引支援、人材育成、さらには、岩手大学などとの連携での技術開発支援、内陸部からの二次展開など、その基盤を強化してまいります。
 第2に、環境・リサイクル産業でありますが、これについては、静脈産業の集積地域の形成を目指しまして、港湾を活用したリサイクル関連企業の立地による集積の促進、また、海洋資源活用型産業については、海洋系の研究機関と連携したバイオテクノロジーを活用した医薬品原材料、機能性食品の原料の製品開発を進めてまいります。
 3点目には、ここは世界有数の漁場、そして豊かな森林資源を背景として、1次産品の市場競争力の強化に向けて、加工から販売までの一貫したシステムの構築を支援し、食料品産業への展開、企業立地を進めるなど、まさにこの分野の付加価値化、ブランド化を進めてまいります。
 第4点目として、観光でございますが、ここは三陸の自然の雄大さ、魅力というものがございますので、これを最大限に活用できるように、観光の企画、情報発信を強化して、そしてまた、1次産業との連携もさらに強めて滞在・周遊型の観光を目指し、交流人口をふやしていきたいと考えます。
 5点目では、自動車産業の物流拠点としての港湾機能の活用など、まさに物流システムの構築を目指して、県内陸部の工業集積と連携した港湾物流を強化する。このような沿岸圏域の産業振興策を進めていく考えでございます。
 沿岸地域の今後の施策の展開でありますけれども、今申し上げましたような産業の展開は、やはり社会インフラの整備、その基盤の上に立ってなされるものでありますので、三陸縦貫道、それから横断道の釜石秋田線など高速交通ネットワーク、医療機関、下水道の整備、そうした社会資本整備をさらに今後も進めていかなければならない。そして、今申し上げましたように、沿岸地域は内陸部とともに成長していく、こういう観点で、今後、産業の振興、雇用の確保、そして人口の定着、一方で、観光産業による交流人口の増加、このようなことに取り組んでいく、こういうことを考えているところでございます。
 最後に、今お尋ねの広域行政と沿岸振興の全体の中で、今回の見直しの緊急性について議員の方からお尋ねがございました。このことについてまとめてお答え申し上げたいと思います。
 まず、本県の喫緊の課題といいますのは、やはり地域の自立で県民生活の維持・向上を図るということでございまして、今、この時期にこうした取り組みをまず始めていきたいと思うわけです。そして、そのことを念頭に、目標にして、今回、生活圏、振興局再編の必要性と緊急性について、大きく2点に絞って考えを述べたいと思います。
 その第1は、今回の国勢調査の速報で明らかなように、予測よりもさらに前倒しで本県の人口減少が速いペースで進んでいるということでございます。こうしたことによりまして社会保障の負担の増嵩といったことも懸念されるわけでございます。これに対応するためには、何としても付加価値の高い産業構造を構築し、生産性を高めて県民1人当たりの所得をふやしていくしかないと思うわけでありまして、人口が集中しております東京を初めとする大都市圏、あるいは東北でも仙台などは余り人口減ということがないわけでありますので、そういうところとの地域間競争に打ち勝っていくためには、やはり戦略的な産業振興に本格的に取り組んで、一刻も早く地域経済の確立を目指すことがまさに喫緊の課題ではないか、このように考えております。
 一方、県内を見てみますと、県南地域では、自動車の大幅な増産に向けた準備が今始まっておりますし、県北・沿岸でも、新たな造船業の立地や鉄鋼、セメント、そしてコネクター生産ラインのフル稼働あるいは酸化亜鉛活用技術の本格的な応用研究段階への進展など、企業生産や投資が上向きの基調にある中で、その波及効果を一刻も早く地場の多くの企業にも波及させるためにさまざまな手だてを的確に講じていかなければならない。今がまさにそういう時期でもありますし、地域振興にとって逃すことのできない好機、まさにそのチャンスであると考えているわけでございます。そのためにも振興本部を設置して、こうした県北・沿岸地域の振興に強力に取り組んでいきたい、このように考えております。
 その第2は、さまざまな困難を乗り越えながら市町村合併が進みつつある現在、県と市町村が、やはり主体的な取り組みによって市町村中心の行政の仕組みをつくり上げていく、まさにその好機でございまして、ちょうど合併も一つの形が見えてきたということでございます。私は、市町村の意向や状況に十分配慮しながら、権限移譲、合併、こうしたことによりまして市町村の強化を図っていきたい。そして、機を失することなく、そうした市町村を強力に支援していきたい、このように考えておりまして、まさに今がその絶好のチャンスの時期ではないか、このように思うものでございます。
 本県の将来にとりまして、今が極めて重要な分岐点と考えているわけでございまして、やはりこうした大変革の時期には、行政も危機感とスピード感を持って、まず取り組みを進めてこそ課題もより鮮明になり、道も開ける、このように考えているものでございまして、今回の提案は、こうした機を逃すことなく、将来の県民の皆さん方の生活を守るための取り組みを進めようとするものでございまして、議員の皆様方の格別の御理解を重ねてお願い申し上げるものでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いします。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 次世代法による行動計画への取り組みについてでございますが、企業の一般事業主行動計画につきましては、岩手労働局によりますと、策定が義務づけられております87社すべてで策定済みとなっております。子育てしやすい雇用環境の整備は、県の子育て支援策においても重要な位置を占めているものでございまして、岩手労働局や経済団体とも連携しながら、仕事と子育ての両立支援の体制整備等について啓発普及を図っているところでございます。
 市町村の地域行動計画につきましても、全市町村において策定を終了しております。この計画は、住民の方々の参画のもとに設置された地域の協議会などにおいて住民の方々のニーズをとらえて策定されたものでありまして、市町村においては、こうした協議組織による評価も取り入れながら、優先度を勘案して順次取り組みが進められているものと考えております。県としても、着実な推進に向け、市町村に対し必要な支援をしてまいりたいと考えております。
 特定14事業の課題等についてでございますが、この特定14事業を進めていくためには、財源確保のほか、具体的には、例えば病後児保育や休日・夜間保育などニーズが分散しておりましたり、地域によっては一定規模を満たさないなどにより事業化が難しいといった問題もございます。こうした課題に対しまして、県としては、例えば市町村合併などの広域化によるスケールメリットなども生かしながら、工夫を凝らした事業展開が図られるよう指導・助言を行ってまいりたいと考えております。
 次に、母子・父子家庭に対する支援策についてございますが、まず、母子家庭に対する就業支援の状況でございますが、県では、すべての地方振興局に母子自立支援員を合計で31人配置しておりまして、就業相談とか経済的な支援などの自立支援の相談に対応しているところでございます。平成16年度は相談件数が延べで1万2、500件ほどございまして、そのうち、就労に係る相談が860件ほどございます。
 それから、先ほどお尋ねの際にもございましたけれども、平成15年度から母子家庭等就業・自立支援センターを設置し、就業相談員2名を配置して、母子家庭や父子家庭等に対する就業支援を行っているところでございまして、平成16年度の相談延べ件数は390件ほどとなっております。
 こうした就業支援におきましては公共職業安定所との連携が非常に大事でございまして、先ほど申し上げました母子自立支援員等が公共職業安定所と連携して求人情報の把握をしたり、その情報を母子家庭等へ提供する、あるいは母子家庭の相談者とこの公共職業安定所に同行して訪問するなど、連携した取り組みに努めているところでございます。
 父子家庭に対する支援についてでございますが、基本的には、母子家庭と同様に母子自立支援相談員によるさまざまな相談とか、就業・自立支援センターの相談員による相談援助あるいは弁護士による特別相談の実施、家庭生活支援員の派遣といった支援の仕組みはあるわけでございますが、しかし、実際の活用事例を見ますと極めて低調となっております。これは、父子家庭の側に抵抗感があるということもございますし、あるいは、県としての啓発普及が十分ではないのではないかといった課題もあると考えているところでございます。
 父子家庭に対する支援も非常に重要だと考えておりまして、今後は、関係機関の連携により、各種支援事業の周知の強化、それから父子家庭等に係る就業の情報提供や就労支援の円滑化のため、公共職業安定所や民間団体等で構成するひとり親自立促進連絡会議の開催、これを年度内には開催したいと思っておりますが、そういった場を通じまして、一層の支援に努めてまいりたいと考えております。
 次に、少子化対策における母子家庭の位置づけについてでございますが、母子家庭、父子家庭についても社会を構成する家族の形態として重要なものとしてとらえ、いわて子どもプランの中に盛り込んだところでございます。
 このプランの中では、相談機能の充実、就業支援対策の充実、子育て支援や家庭環境の整備といった、五つを柱として計画を推進することとしております。
 次に、釜石市民病院の関係でございますが、国から規制緩和の方向が示されているわけでございまして、県としては、こうした規制緩和の内容、条件等をよく見ながら、医療法上の取り扱い等にも配慮しながら、また、国とも十分に協議しながら、釜石市の御相談に乗りながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
 それから、統合までの経営安定あるいは統合後に継承する債務の関係でございますが、基本的には釜石市が平成17年2月に協定書を締結した際に、負債とか財産につきましては、釜石市がみずからの責任において処理するといったことが明確に定められているところでございまして、基本的にはこの協定に沿って、釜石市において対応していただく必要があるのではないかと考えておりますが、市が承継することになる債務などの処理について、御相談に対応してまいりたいと考えております。
 それから、規制緩和の時期についてでございますが、私どもも関心を持っておりまして国にも問い合わせておりますが、平成18年度中に規制緩和を行うという方針は出されているようですけれども、具体的な時期について現時点では確定していないという回答を得ているところでございます。今後とも引き続き情報収集に努め、必要な情報を提供してまいりたいと思っております。県としても、再編統合に間に合うよう、早期の規制緩和を国に働きかけてまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、私立学校事務の教育委員会への移管でございます。
 私立学校につきましては、私人の寄附財産等による設立、運営を原則としておりまして、建学の精神、独自の校風が尊重されるといいました、公立学校にはない特性を有しておりまして、この特性に配慮しその自主性を尊重する観点から、その所管につきましては、私立学校法等の関係法令の規定により教育委員会ではなくて、都道府県知事が所管することとされておりまして、本県では総務部が所管をいたしております。
 議員の御指摘もありましたが、秋田県や長野県では、私立学校に関する事務を教育委員会が補助執行している例がございますが、一方、青森県や岐阜県など、私学の独自性に基づく多様な教育の推進や公立学校との競合、競争といった観点から、逆に教育委員会への補助執行を取りやめた県もございます。
 したがいまして、教育委員会への移管につきましては、単に事務上の事務の処理という面からだけ見ますと大きな障害となる事項はないと考えられますが、やはり私立学校法等の趣旨や公立学校との競合、競争との観点、さらには、事務の対象でございます私学関係者の意向を踏まえながら慎重に検討すべきものと考えております。
 総務部といたしましては、私立学校と公立学校とが公教育におけるそれぞれの役割を果たしながら、あすの岩手を担う人材を育成することが肝要と考えておりまして、今後、課題の協議等さまざまな場面におきまして、教育委員会との一層の連携強化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、沿岸地域への投資的経費の予算額と配分率でございます。
 平成17年度当初予算におけます久慈、宮古、釜石及び大船渡地方振興局管内の投資的経費は404億7、300万円でございます。県全体の24.5%となっているものでございます。この投資的経費の配分割合につきましては、あらかじめ計画を定めて調整しているというものではございませんで、予算編成の結果によるものでございまして、来年度の予算配分のお尋ねがございましたが、来年度予算につきましては、現在まさに編成作業を行っている段階でございますので、現時点ではお示しできる段階ではございませんので、御了承いただきたいと思います。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕

〇県土整備部長(橋本義春君) 釜石港港湾計画変更の概要と地域振興への意義についてでありますが、釜石港の公共岸壁は現在7.5メートルの岸壁1バースしかなく、埠頭用地も手狭になっておりますことから、平成19年度の供用開始を目指しまして、水深11メートル岸壁と水深7.5メートルの耐震強化岸壁及び公共埠頭の整備を進めているところであります。
 現在、同港では関東自動車工業の完成自動車を年間約1万5、000台積み出しておりますが、本年10月に同社が年間10万台の増産計画を打ち出したことによりまして、完成車の積み出しや車体製造用薄板鋼板等資材の陸揚げの増加に加えまして、仙人峠道路などの整備の進展によりまして新たな取扱貨物の増加が見込まれているところであります。
 当面は現有施設に加えまして、平成19年度に供用開始します施設の利用促進を図ることによりまして、物流の拠点として地域の振興に寄与することになりますが、今後の取扱貨物の増加に対して速やかな対応が可能となりますように、将来の展望を見据えて、新たに水深10メートル岸壁と、2.4ヘクタールの埠頭用地造成を位置づけた釜石港港湾計画を、去る11月28日、国の交通政策審議会第16回港湾分科会に諮り承認をいただいたところでございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 経営所得安定対策の実施についてのお尋ねについてであります。
 沿岸地域は経営規模が小さく、個別経営だけを見れば、今般の品目横断的経営安定対策の展開が難しい条件下にあるということは事実であります。しかし、個別経営の枠を超えて、それぞれの役割を担う営農の地域的な組織化ということを進めていけば生産性を高めることができ、沿岸地域においても安定的、効率的な経営体の確保は可能であると考えております。
 既に県内には、集落を超えて一体的に中山間地帯においてそういった営農を進めているという事例がございます。その事例の場合に、その3集落が集合し、100ヘクタールの農地を担い手が一括管理して効率のよい集落農場制を確立、実践しているというものでございます。
 沿岸地域にありましても、既に集落営農を実践している地域もありますことから、集落ビジョンの実践に向けての話し合いを通じ、幾つかの集落が結びついて新たな営農・生産体制を組織化することによって、強固な農業が構築されることが可能だと考えております。
 そのためには、このような具体例を示しながら丁寧な説明を行うことで、農業者の皆さんに十分な理解を得られるように今後も努めてまいりたい、このように考えております。
 次に、漁業担い手の育成確保に向けた所得向上についてのお尋ねについてであります。
 これまで県といたしましては、養殖業の従事者減少に対応した養殖漁場の再編や、災害に強い養殖漁場を造成することで、生産性の向上を図ること。小型魚の保護などを行う資源管理型漁業の推進や主要魚種の秋サケを初め、アワビ、ヒラメなどの種苗放流による、つくり育てる漁業を推進することで、担い手の所得向上に努めてきたところであります。
 今後におきましては、これまでのこうした取り組みに加え、意欲と能力のある担い手へさらに漁場を集積し、経営規模の拡大を促す取り組みの推進。さらに、これまで弱かった生産物の加工などを含めた付加価値向上や販路開拓などについて、商工労働観光部と一体となって支援していくなどの取り組みを、漁協と一体となって推進し、担い手の所得向上に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、水産技術センターの研究成果と現在の取り組み及び現場への反映についてのお尋ねでありますが、近年の主な成果とその反映状況は、例えばマツカワの種苗生産技術、冷凍生ワカメ及びイクラ卵膜硬化防止技術の普及・指導による生産量の増加、あるいは商品の付加価値向上、ホタテガイ貝毒の毒化予測、生ウニの衛生管理技術の取り組みによって食の安全安心の確立、こういったことにそれぞれ反映され所得向上に寄与していると考えております。
 現在、ミズダコなどの資源管理の推進、アワビ、ウニの餌料対策、ナマコ種苗生産技術開発、簡易鮮度測定技術開発などに取り組んでおります。これらはいずれも技術的な面からの漁業者の支援、あるいはつくり育てる漁業などの生産物の多様化であり、こういったことに寄与することでさらに所得向上につなげていきたい、このように考えております。
 次に、間伐材の利用促進についてでありますが、整備により生じました間伐材を有効活用しながら、森林資源の循環利用を図ることは林業の活性化などに結びつき、施策展開を図る上で不可欠であります。このため、現場で活用し残った材については、チップや合板原料などとして循環利用を図りたいと考えているところであります。
 ただ、税の対象はあくまでもやはり森林整備というところに限定したいと考えておりまして、集積した材の循環利用を図る部分につきましては、既存制度の中で、今後その活用の仕組みというものを別途考えてまいりたい、このように考えております。
 次に、意見の政策への反映についてでありますが、地域説明会では、13会場で521人の方に参加いただき、延べ73件にわたる御意見をいただきました。素案では、多岐にわたる施策案をお示ししましたが、県民の方々からは、納得できる使い方をしてほしい、この制度を有効に進めてほしいなど、効果を実感できる施策にとの御意見を踏まえ、森林整備の緊急性も勘案し、人工林の針広混交林への転換を特に重点化して実施することということで今回の案をまとめたものでございます。このたびの案につきましては、ホームページへの掲載のほか、報道機関を通じて県民の皆様にお知らせするとともに、さまざまな関係団体等へ説明を行っておるところであります。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕

〇地域振興部長(山口和彦君) 地上デジタル放送に関するお尋ねにお答えします。
 初めに、地上デジタルへの期待感と今後の取り組みについてでございます。
 地上デジタル放送は、議員御指摘のように、データ放送、サーバー型放送あるいは携帯端末向けのワンセグサービスといったような高度な機能を有しております。データ放送というのは、ニュースや気象情報など生活に役立つ情報を提供するサービスでございますし、それからサーバー型放送というのは、放送番組や情報を一たん視聴者宅のサーバーに蓄積することによりまして、個人の嗜好や関心に合わせた視聴を可能にするサービスでございます。それから、携帯端末向けのワンセグサービスといいますのは、携帯型テレビを携帯型テレビ受信機で移動しながらでもきれいな映像を受信できるサービス、こういうものでございます。いずれ、こういう高度な機能を有しております。
 このような機能は、学校教育や生涯教育といった教育分野、電子申請などの行政サービス分野での活用が考えられるほか、特に防災面では、近い将来確実に起こるとされている宮城県沖地震等による大津波発生時の避難情報の携帯端末向け緊急放送や、避難場所情報あるいは安否情報の提供などの活用が考えられているところでございます。
 県としましては、地上デジタル放送を本県情報化推進の大きな契機ととらえまして、このような放送と通信の融合した高度な機能を生かしたサービスの実現について、今後、県内市町村や放送事業者等と連携しながら研究してまいりたいと考えております。
 次に、携帯電話不感地帯の解消についてでございます。
 県では、平成15年度に策定しました高度情報化アクションプランにおきまして、17年度までの3カ年間で24カ所の不感地域の解消を目指したものでございますが、今年度、目標どおりの達成をする見込みでございます。しかしながら、本県ではいまだ携帯電話不感地域が多くて、市町村からも新たな解消要望箇所が挙げられていますことから、引き続き、その通信事業者に対してサービスエリアの拡大を要望していくとともに、市町村と協力しながら不感地域の解消に取り組んでまいります。
 なお、御質問にございました地上デジタル放送の受信環境の整備が、すぐ携帯電話の不感地域解消につながるとの情報は得ておりませんが、今後、技術的な可能性について情報を収集してまいりたいと考えております。
   〔教育委員会委員長安藤厚君登壇〕

〇教育委員会委員長(安藤厚君) 教える喜びと教師としての職業に誇りが持てる学校づくりについて、岩手の教育の現状と今後の取り組みについてのお尋ねでございますが、御指摘のとおり、子供が学ぶことに喜びを感じる学校づくりには、まずもって、教師自身が、教師という職業に誇りを持って、教える喜びを持つことが重要と考えております。
 岩手の多くの教師は、教育者としての使命感、子供たちの成長・発達についての深い理解、子供たちに対する教育的愛情を持って職務に専念しており、また、教科等に関する専門的知識、幅広く豊かな教養、これらを基盤とした実践的指導力を身につけるため、絶えざる研修に努めていると認識いたしております。
 教師の教える喜びは、子供たちの、授業がわかった、授業が楽しいという喜びに支えられている場合が多いものであります。また、教師としての誇りは、学習指導や生徒指導において、真正面から子供と向き合い、子供にしっかりとした指導や支援を行っているという自負心に支えられているものであり、このことが認められたとき、みずからの誇りとなるものであります。
 このような、教師としての本来の喜びや誇りを教師に持たせるためには、まず、教師としての本来の職務に専念できるよう、教育職場環境を見直して、多忙化の解消に努め、教師が子供たちと触れ合う時間をより一層確保できるように支援していきたいと考えております。さらに、子供たちが学習への意欲や関心を高め、授業がわかった、授業が楽しいという喜びを持ち、達成感や成就感を持つことのできる授業を目指し、教師の授業力の向上に積極的に取り組んでまいります。
 今後は、このような子供たちとの触れ合い、わかる授業づくりを学校経営の中心に位置づけ、教師自身が教える喜びを持ち、教師としての職業に誇りが持てる学校づくりを積極的に支援してまいります。
   

〇議長(伊藤勢至君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) まず、私立学校業務の事務の教育委員会への移管についてですが、教育委員会は、公立学校の設置者である地方自治体の機関として、法令の定めるところにより、その所管する公立学校について、設置者としての権限を行使する立場にあります。一方、私立学校に対する知事の権限は、私立学校の設置者に対する所轄庁としての権限を行使する立場にあります。
 したがいまして、公立学校の設置者の権限を行使する教育委員会が、同じ立場にある私立学校に対し、所轄庁としての権限を行使する立場に立つことは、制度的になじまないということから、本県においては法の趣旨にのっとり、知事が所管しているところでございます。
 例えば、高校の入学者の定員については、公立学校と私立学校は競合関係にあります。教育委員会が、所轄庁として私立学校に対する許認可等の権限を行使することは、私学関係者の立場から見ますと、公平を欠くことになるものと受け取られかねません。
 私立学校については、その自主性を尊重すべきとされておりますことから、所轄庁の権限の内容としても、教育委員会が公立学校に対して有しているような教育指導面の権限は含まれておりませんので、教育委員会へ私立学校関係事務を移管することについては、慎重に検討する必要があるものと考えております。
 次に、幼保一元化に関する有識者による検討委員会の設置についてでございますが、幼保一元化施設については、現在、保健福祉部、総務部及び教育委員会で構成する幼保一元化推進検討会において、そのあり方について検討を重ねているところでございます。幼保一元化施設は、平成18年度中に総合施設として法整備が予定されており、幼稚園と保育所の機能をあわせ持つ新たな施設として、真にそれを必要とする地域で徐々に設置されていくものと考えております。
 当面は、関係部局との連携を一層強化しながら、職員の研修や幼児教育の研究など、教育委員会としての役割を積極的に果たしてまいりたいと考えております。外部の有識者の方々による検討委員会などの設置につきましては、今後、国の動向なども十分に見きわめながら、検討してまいりたいと考えております。
 次に、教員の多忙化についてでございますが、昨年の10月、県立学校を対象に実施した教員の勤務実態調査によりますと、平日の勤務時間外に3割近い教員が事務的な業務や部活動指導などに2時間以上従事しているほか、7割以上の教員が仕事を家に持ち帰っていること、また、5割近い教員が土日のいずれかを部活動指導や課外・補習などの業務に従事していることが明らかになりました。
 こうした実態を踏まえ、教員が意欲を持って教育活動に取り組めるように、また、生徒と接する時間をできるだけ多く確保できるようにするためには、教育委員会と学校が一体となって教員の多忙化の解消に向けた取り組みを積極的に進める必要があると考えております。
 このため、教頭や職員団体の代表、教育委員会の職員で構成する多忙化問題検討委員会を6月に設置しまして、現在、多忙化解消に向けた具体的方策を検討中であり、年内をめどに提言を取りまとめることとしています。また、県立学校のすべての校長を初め、教頭や教員の皆さんからも学校現場の勤務実態を直接伺い、多忙化解消に向けた具体的な意見や提言をいただいたところです。
 このような意見や提言を踏まえ、早速、今年度後半から各学校ごとに、教職員で構成する改善のための推進チームを編成し、校内の多忙化解消に向けて、会議のあり方でありますとか事務処理の見直しを進めているところです。教育委員会事務局においても学校を対象にした会議や研修、調査などの実態について、現在調査中であり、この結果を踏まえ、できるだけ速やかに会議のあり方などの見直しを行うことにしております。
 さらに、小・中学校につきましても、市町村教育委員会と連携しながら、教員の勤務実態調査を今年度内に実施することとしておりまして、その実態を把握した上で、具体的な改善策を講じていきたいと考えております。
 教育委員会としては、教員が児童生徒と向き合うための時間や教科指導のための時間をできるだけ多く確保できるように、引き続き学校現場と協力して多忙化の解消に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、コミュニティ・スクールについてですが、本県では、現在、学校評議員の設置や外部評価の実施と公表、さらには学校公開の実施などによりまして開かれた学校づくりを推進し、家庭や地域の御意見を学校運営に適切に反映させるよう努めているところでございます。また、40の政策において、地域に開かれた新しい学校づくりとして、地域の住民等が参画して運営を行うコミュニティ・スクールを導入するとうたっておりまして、これは、保護者や地域の声を学校運営に直接反映させ、保護者、地域、学校、教育委員会が一体となって、よりよい学校をつくり上げていくことを目指すものでございます。
 国においては、昨年、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が改正されて、このコミュニティ・スクールの設置が可能となりました。また、今年度から、文部科学省のコミュニティ・スクール推進事業が始まりまして、本県においては、この事業を委嘱された岩泉小学校と岩泉中学校において、保護者、地域代表、教職員による推進委員会を設置し、地域に開かれた信頼される学校づくりの推進を目的とした学校運営協議会のあり方について検討しているところでございます。このコミュニティ・スクールは、すべての公立学校に導入が可能でございますが、とりわけ地域に密着している小・中学校が最もふさわしいものと考えております。そして、従来から保護者や地域の皆さんが学校の教育活動に熱心に参加している地域において導入することによりまして、そのニーズをより的確に反映させていくことが可能になるものと考えられます。
 今後、岩泉町でのこの研究の成果を踏まえまして、各市町村教育委員会において、それぞれの地域や学校の事情などを考慮しながら、このコミュニティ・スクールの導入に取り組んでいただきたいと考えております。

〇7番(野田武則君) ただいまは知事初め、関係部局長の皆さんから御答弁をいただきました。特に教育委員会委員長からも御答弁をいただきまして感謝を申し上げたいと思います。
 時間も経過しておりますので、1点だけ質問させていただきたいと思いますが、先ほど保健福祉部長の方から子育てプランにつきまして説明をいただきました。以前、子育てプランに母子家庭の項目を加えてほしい、こういうお願いをしたところが、今年度のプランの見直しに当たりまして加えていただきまして、それは大変評価したいと思います。しかし、少子化対策というのは大変重要な課題だと思います。先ほど知事の方からも答弁がありましたけれども、少子化対策ということになりますと、単に子育てにかかわる結婚の問題とか、さまざまな課題があるわけでございますが、なぜ少子化対策のプランとして、全体像を把握したプランとしての少子化対策がないのか。それはまことに不思議できわまりないわけです。わざわざ子育てというプランの中に母子家庭の問題も入れなければならないという、非常にちぐはぐといいますか、狭い考えではないか、こう思うわけでございまして、少子化対策、重要な課題だと思うのであれば、ぜひ今後の岩手県の少子化対策のためのプランをつくるべきではないかと思いますので、その点だけ御所見をいただいて質問を終わりにしたいと思います。

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) ここの少子化に係るプランでございますけれども、基本方針として、男女がともに家庭や子育てに夢を持ち、次世代を担う子供たちが健やかに育つ環境づくりということで、総体を見てつくったという意識を私どもは持っております。社会の視点で家庭や子育てを社会全体で支えていくとか、あるいは親の視点で安心して子供を産み育てられるとか、あるいは子供の視点で子供が健やかに育っていけるといったような三つの視点を入れて、九つの基本方針をもとにしてつくっているところでございます。そうした中に母子家庭等の自立の促進といったことも一緒に重要な柱の一つとして入れ込んだということになっております。そういうことから、範囲が狭いのではないかということでございますけれども、現在、私どもが実際に子育て支援、少子化対策の中でやって有効な政策として、あるいは施策としてやっていける分野については幅広く盛り込んでいると考えております。


前へ 次へ