平成17年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(川村農夫君) 民主・県民会議の川村農夫でございます。
 通告に従い、順次質問を行います。
 まず初めに、知事の今後の県政にかける取り組み姿勢についてお伺いします。
 増田知事が岩手のかじ取りを担って、はや11年を経過しようとしております。その間に行われた夢県土いわてのスローガンのもとの各種施策は、確かに昔とは違った新鮮味を伴い、知事のフレッシュなマスクがそれを増幅して、県民皆、新しく生まれ変わる岩手を胸に抱きました。身近な県政、対話の県政を前面に押し出し、県内くまなく歩きながら、知事直結の民意反映を印象づける行動でありました。しかし、平成11年に私が議席をいただいてきたころより、経済成長もマイナススパイラルの時期に突入し、21世紀へのシナリオもむなしくはためくだけの政情を迎えてしまいました。確かに知事は、トレーサビリティーシステムの導入、北東北連携知事サミットの提唱実践や環境首都宣言など、これまでの岩手には耳にできなかった提案と行動を起こしてまいりました。
 一方、過去の遺物と言ってしまうべきか、信頼のベールに包まれた盲点だったのか、森のトレー問題や競馬組合の問題、さらには出資法人の債務超過など、知事の管理監督責任に言及せざるを得ない数々の難問が噴出してきました。今になって、一体、増田知事はどうしてしまったんだろう、そんな虚脱感が県民の中に広がっております。小泉総理の改革を止めるなが、本当の意味での三位一体改革を着実に実行していたなら、そして、経済対策がアメリカ志向一辺倒でなかったなら、日本の回復はもっと岩手に力をよみがえらせることができたと言いたいのではないでしょうか。そして、今度提出されております広域振興局再編についても、残り任期1年の状況で、結果責任を保証しない再編計画は、まただれかが始末役をしろと言っているようにもとらえることができます。岩手の大地にしっかりと立ち、責任を明確に示す増田知事を私は期待するのですが、がんばらない宣言以来、頑張る増田知事か、頑張れない増田知事か、今後の取り組みについて熱い御答弁を期待するものであります。
 次に、総合政策室の立場で見る県政評価についてお伺いします。
 まず、出資法人への評価についてでありますが、森のトレー問題や競馬組合問題、林業公社や農業公社、住宅供給公社のほか各種出資法人などの経営悪化や存続の可否が取りざたされております。総合政策室の出資法人等への見方、政策の視点からはどのような評価が下されているのか、お知らせ願います。
 次に、地方振興局再編についてでありますが、地域間格差の是正と均衡ある県勢の発展を県政の重要課題とする本県では、縦割り機関によるセクショナリズムを排除し、総合的な行政主体である市町村との緊密な連携のもとに、地域に根差し、その特性を生かした地域振興のための諸施策を総合的かつ強力に推進していくことを求められました。昭和58年12月に行財政運営の体制整備に係る基本方策についてと題する報告書を行政改革懇話会から受けております。その一節に、出先機関は県行政の第一線機関として県民生活に直接的なかかわりが多いことを考慮し、次の3点に配慮する必要を記しております。
 統廃合等の整備に当たっては、地域性と地域住民の利便を考慮し、弾力的に対処すること。現地処理機能を強化するとともに、地域振興機能を実効あるものとするため、権限の大幅委譲等、所要の処置を講ずること。本庁機構の整備と相まって、改革の効果が本庁、出先を通じ一体的に発揮できるよう考慮すること。この提言を受けて、九つの広域生活圏をもとに、地域の地理的、自然的、経済的条件の違い、さらには住民利便の観点から総合的に検討し、12地方振興局を設置することを昭和60年12月議会で可決し、昭和61年4月1日に地方振興局が設置されております。その後、土木事務所と保健所の統合が平成9年4月に行われ、振興局土木部、振興局保健福祉環境部となり、平成13年4月には農業改良普及センターが統合されました。さらに、企画総務部門の改組として、振興局の企画調整機能の強化を図り、本庁と一体となった事務管理を行うため、商工労政を担当する職と企画調整を担当する職を統合するとともに、入札業務を土木部から移管し、総務部を企画総務部に改称しております。この間、昭和60年から本年まで、振興局は1、210人から2、078人に増員される中、県職員全体では5、300人余から4、700人余に五百数十人減少しております。振興局の成果と課題としては、地域活性化事業調整費や市町村総合補助金を創設し、職員の能力向上も図りながら、現場主義による個性ある地域振興に努めてきたという評価があります。
 一方、国から市町村に至る中央集権的な縦割り型の行政システムのもとでは、地方振興局で完結できる施策や事業も限られてきておるとのことであります。業務の完結性が十分でない。企画・立案機能が県庁に集中している。より広域的視点での企画・立案が困難。予算権限、組織権限が限定されている。振興局各部の業務が本庁の縦割りになりやすいということであります。
 そこで、今議会に提出された広域振興局再編の件でありますが、行政サービス向上の観点から、産業振興という緊急重大課題を正面に打ち出したものへと大きく質を異にしております。県南広域振興圏と県央、県北、沿岸のセパレーツスタートも、まだまだ県民に提示できる内容が練り上がってはいません。展開施策の具体が見えないのであります。県から市町村への権限移譲、財源移譲がまだはっきりしておりません。合併問題との整合性も解決し切れないと思える点もあります。二重構造モデルに、今後の展開が示されないままでは、判断のしようがありません。県内町村会からも、時間をかけて慎重な検討を望むという要望書が提出されております。
 私の考える本庁と振興局と市町村は、将来、振興局はなくする。市町村の行政能力を向上させ、権限を移譲して、市町村と県庁が直接協議やヒアリングを交わすようにすべきであり、ITの活用による情報通信で、業務のスピーディーな推進とコストの削減を図ることが可能であります。本庁は、部門の専門家の集団として、まさにチームによる専門的課題解決の集団であり、地方支援のプロ集団であるべきであります。
 一方、現地指導や現場判断が必要不可欠となる保健、農業普及、土木等は、振興局または現在の合同庁舎に残すべきであると考えます。また、産業振興特命は、企画総務と同列でその任を果たし、振興局を統括すれば、およその機能は果たせるのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。行政執行体制として、走り陣立ては責任ある執行体制、自治体の姿とは言えないのではないでしょうか。
 次に、総合政策室の自己評価についてでありますが、同室は、発足以来、政策評価と政策の総合的な企画・立案を精力的に担ってきたわけであります。まさに県職員、県民から衆目を集めるところであります。総合政策室が担ってきた今までの業務を振り返ってみて、知事からの評点はいかほどに認識しているのでしょうか。また、県における行財政構造改革への貢献度は、自己採点でいかほどを得点できているのか、その認識を示していただきたいと思います。
 私にはよくわからない部分でありますが、総合政策室の企画が、全庁的合意の獲得にどのように動いているのか。部局横断的に意見集約が本当になされているのか。本音での意見交換が十分なされているのか。政策評価システムとその手法が職員にどのように周知され、評価獲得にどのように利用されているのか。将軍様の御直参としてイエスマンだけの集団になってはいないか。戦う頭脳集団に対してふさわしくない言葉を並べてしまいましたが、自己評価は、意地悪な人間にも納得されるものでなくてはいけません。自信にあふれた自己評価をお伺いいたします。
 次に、あわせて総務部の機能強化について幾つか質問いたします。
 総合政策室の政策評価や各事業においては、事業評価委員会の評価順位によって事業を執行していると思います。また、各部局横断的に調整や対応に奔走していると、影の役者に御慰労を申し上げたいのですが、現状の総合政策室と総務部の関係は、わかりやすく言うと、どう表現されるのでしょうか。
 次に、昨年の会計決算を見ますと、繰越額270億円余があります。今や平成6年度に逆戻りした10年前の予算規模で、県内経済が低迷し、雇用状況の悪化が重大な問題とされているときに、この繰越額270億円余が市場に回ったなら、波及効果もあわせると300億円にもなる金を出し惜しみしているように、県民からは不満の声が寄せられております。予算執行を着実に遂行するように、各部門に進行管理を徹底させる総務部の毅然とした姿勢が必要と考えるのですが、いかがでしょうか。
 残業手当に関して言えば、昨年度より減少し、23%になったなど、いかにも上等な答えに聞こえますが、予算を執行できないで繰り越して経済波及効果を阻害し、わらをもつかむ思いの中小企業経営者の身になった執行を真剣に考えない、そう言われても言いわけできない実態がこの県庁の中に巣くっているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。いかなるときも事件、異常事態、醜態の後始末は総務部長が一番先におわび役を担い、事態収拾に努めているではありませんか。権威を持ってしっかりと経営管理を行っていただきたいと思います。各部局にしっかりと目を光らせて、貴重な予算をもっと効果的に、タイムリーに執行していくよう総合力を発揮して取り組んでほしいのですが、この期待に対するお答えをお聞かせください。
 その一つで、屋外の工事や事業に係る予算の執行について、冬期間の作業を極力避けるような、前倒し発注による適期の施工に配慮した発注時期の遵守を徹底すべきだと思うのですが、具体的な決意のほどを期待して、答弁を待ちたいと思います。
 もう一点、総務部の職員管理についての視点を伺います。
 ハインリッヒの法則というのがあります。1事故の後ろには329の予備軍がいるということです。1人の重傷事故または大災害が発生すると、その周辺に29人のかすり傷程度の経験者がいる。さらにその背後に300人のヒヤリ・ハッとしたことのある人がいる。現象面は330分の1の確率でしか見えないということであります。こうした職員の体験や意識においても、十分に実情を引き出しながら、危機管理や就労環境の向上に努めていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、談合防止に向けた入札制度改革についてお伺いします。
 県内の建設業者91社が談合組織を通じて受注調整を繰り返したとされる問題で、1月16日、第2回目の審判が行われます。国土交通省の橋梁談合47社などもあり、国の入札制度改革も注目しなければなりません。国は、指名競争入札をすべて廃止するとして、2億円以上の工事に一般競争を拡大し、2億円未満の工事では工事希望型競争入札を取り入れ、通常の指名入札を廃止することにしていくようであります。工事希望型競争入札は、10ないし20数社程度から技術資料の提出を受け、入札条件を満たした企業のすべてに入札参加を認めるという方式であります。従来は、技術資料提出後に発注者が指名業者を10社程度絞り込んでいましたが、新方式ではすべての企業に入札参加の機会を与えるというもので、通常の指名競争入札は災害など緊急の工事発注に限定するとしているようであります。指名競争入札の廃止は、受注者側にも利点がありますが、発注者間の権利・義務関係の改善が図られることや、片務的契約は指名競争入札が大きな要因であります。こうした観点から、地方自治体も工事希望型競争入札に足並みをそろえるのではないかと推測するわけですが、県の方針はどの程度まで検討が進んでいるのか、お聞かせください。また、この場合、総務部の所管では技術資料の判断が難しいことになりますが、現業部に戻すことは考えないでしょうか、この点についてお答えください。
 次に、国の農業政策と本県の農業農村振興策についてお伺いします。
 農村活性化条例の施行とともに、岩手農業・農村の特色を発揮したふるさとの再生に夢を膨らますものであります。国の施策とは別に、本県の農業・農村の特徴を生かした農業所得や食料自給率の向上に向けた展望を期待するものであります。農林水産部今泉部長の岩手農業者に向けての熱いメッセージをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、教育施策についてお伺いします。
 まず、胎児教育についてでありますが、私立幼稚園振興大会での講演を聞きまして、その中から中・高の保健体育あるいは道徳教育の中に取り入れていただきたいと願うものから、一端を述べさせていただきます。
 胎児は4カ月目で五感が形成され、5カ月目からは人間としての五感が完成するとのことです。お母さんのおなかに強い光を当てると手で目隠しをする。管で苦い液を口元に垂らすと横を向き、甘い液を垂らすと舌なめずりをする。お母さんがしょっちゅう話している人のことは、生まれた後でも覚えている。胎児のときから名前をつけて名前で話しかけることによって自己を認識し、子供として成長していく。生まれてすぐ視力は40センチ程度の距離を見ることができ、母乳を吸っては母の顔を必ず見詰めて母親を認識する。胎児段階での子供の姿に感動してきましたし、非常に感銘深い、医学的にも検証されているお話でした。そうした新しい命の芽生えと、おなかの中で人間として生きている営み、こうしたことのとうとさを性徴期に、あるいは思春期や高校生の保健体育の授業に、医学的・教育的視点から取り入れて意識を高めていくことが大きな成果につながると思うのであります。この会場にいらしたお母さん方も初めて聞く方が多かったようで、まだまだ社会的には広まっていない、認知されていない事象かもしれません。青少年の性モラルの向上や少子化の課題、児童虐待などの解消に少なからず効果を見込めるものと思うのですが、専門医の方と、あるいは養護教諭の研究テーマとして取り上げながら、導入に向けて検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 初めての出会いと感動をいただきましたこの振興大会・講演会の主催者は、我が佐々木博議員であったことを申し添えておきます。
 次に、食育についてでありますが、食育基本法の制定に伴い、本県の食の教育について伺います。
 食料生産県として、地産地消や安全・安心な食料生産を目指し、早くからの取り組みを行ってきたことは御承知のとおりであります。学校教育現場における食育について、これまでの取り組み成果と今後の展開についてお考えを伺います。農村活性化条例の中に盛り込まれている農業理解の掘り下げを学校の食育の中でどのように取り組まれようとしているのか、お聞かせください。
 次に、教育費の負担軽減についてお伺いします。
 少子化の要因として、子供を欲しくないと答えた人の理由は、第1位、教育費・養育費の負担が大きいから65.4%、第2位、子育てが容易でないから50%となっております。学習費総額を町村の人口規模別で見ますと、学校教育費、学校給食費とも人口規模が小さい地方ほど高くなって、学校外活動費は人口規模が大きくなる都市部ほど高くなっております。こうしたときの本県の取り組みは、人口規模が小さく、学校教育費、学校給食費ともに私費負担が高い傾向があり、人口減少が進むほど顕著にこの岩手ではあらわれてきます。よって、学校教育費、学校給食費ともに私費負担が大きい部分に、県として教育費用軽減の施策展開が望まれますが、お考えはいかがでしょうか。農業食料県として、学校給食費に地産地消推進県の意地を示すことが、間接的に教育費負担軽減につながるような展開を期待するものですが、いかがでしょうか。
 次に、特色を際立たせる高校入試制度の導入についてであります。本年9月下旬、福島県立若松商業高校の校長が、全国レベルを誇る剣道部をシンボルとした文武両道教育を宣言し、剣道部の有望選手が集まるように入試制度の変更も目指す考えを示しました。剣道部強化のために入試で特別枠を設けるなどの制度変更の検討や、優秀な指導者の育成、会津地方以外からも集まる部員の生活面での後押しを具体化させて、学校の魅力を高める考えのようであります。
 本県高校スポーツ界の振興に、現在このような取り組みをしているところがありますでしょうか。かねてから特色ある高校づくりについては何度か各議員から提案がなされているところでありますが、福島県のこの取り組みのように、学校のイメージアップを図り、スポーツ・学力両面を向上させようとする取り組みは、本県の高校改革の方向とも異なった意気込みを感じるものであります。この若松商業高校では、簿記や情報処理などの検定取得者が少ないことに気がつき、その取得者向上を目指し、大学進学も向上させるよう、剣道部を中心に部活動が活発化し、運動だけでなく勉強も一生懸命する雰囲気をつくれればと、職業教育、進学ともに専門性をも高めていく方向を強く感じることができます。岩手の高校にも特色を際立たせる高校が築かれていくよう期待するものでありますが、教育長のお考えはいかがでしょうか。
 次に、高校再編についてでありますが、教育行政と振興局再編のテーマともなっております産業振興とは、高校再編の目指したものに十分な整合性がとれていると判断されるのでしょうか。教育の視点がすべて広域生活圏の産業振興構想に合致しなければならないとは言いませんが、全くかけ離れたものであってはいけないと思います。練り込み、練り上げが足りないと言わざるを得ません。所感をお伺いいたします。
 次に、障害者福祉と自立支援法についてお伺いします。
 2003年4月から導入された障害者支援費制度は、施行初年度より財政上の問題を抱えつつ、社会福祉基礎構造改革によって転換された措置から契約、施設から在宅への動きが定着してきたところであります。しかし、今特別国会において障害者自立支援法が成立し、平成18年4月から施行されますが、障害者施策が大きく転換することとなりました。同法律は、支援費制度下でたびたび生じた財源不足を解消するため、国と都道府県の負担を義務化する一方、障害者サービス利用に応じて利用料を負担する応益負担を導入することとなっており、施設から地域へ、自立及び社会参加をキーワードに広がりつつあった日本の障害者福祉を大きく後退させかねないと、障害当事者の懸念は高まっております。障害者福祉を充実することは、現在、障害を持って生活をされている方々に限定されたものではなく、みずからの責任の有無にかかわらず安心の暮らしが確立できる、そのことに通ずるものであります。サービス利用の自己負担に当たっては、障害者の収入状況を勘案し、低所得者向けの負担軽減、免除を有効に活用することや、重度の障害を持ち、長時間サービスを必要とするものについては、サービスを十分に確保することとサービス提供体制の基盤整備に努めることが重要であります。保健福祉部の対応方針、より前進的福祉の展開を強く期待するものでありますが、お考えを伺います。
 次に、医師確保対策についてお伺いします。
 岩手県に限らず医師不足を重要課題とする都道府県、自治体が多いことは、知事の全国知事会での要望項目にも優先されているとおり、非常に深刻な問題であります。これは私の全くの私見でありますが、学生1人当たりの医師養成経費を調べてみたところ、国立大学では私立大学に比べて年間一千二百数十万円の国費が多く投入されております。よって、国費投入分を国あるいは地方の自治体病院に還元していく制度を義務づけていくよう、国策として検討していかなければならないと考えるのです。自国の医師で、自国の国民の健康と生命、そして子供を安心して産める環境をつくり上げていくことが困難になっていく現実があります。自治医科大学だけの養成では追いつかない現状にあります。岩手からこうした発案をしていき、全国の医師不足に悩む自治体と連携しながら、さらなる解消策に取り組んでいくことを切に要望するものでありますが、知事の御所見はいかがでしょうか。
 最後に、商工団体合併の現状についてお伺いします。
 平成14年4月、岩手県商工会連合会、商工会議所代表、岩手県、学識経験者で構成する広域的実施体制に関する検討委員会でマスタープランの素案が示され、商工会議所との併存を要望しましたが、同年12月、1市町村1商工団体が決定されたところであります。市町村合併があり、その地区内の商工団体が広域連携についての検討組織を設置した場合は、2年間県補助金を削減しない、設置しない場合には、1市町村に1団体であった場合の補助額を超過する額について、初年度10%から6年後は100%まで段階的に削減、減額されるというものであります。
 他県は併存をも可としているのに対し、長野県及び本県のみが統合することとされております。このことについて、県の基本的姿勢をお伺いいたします。
 以上、執行部当局におかれましては、簡潔な元気ある答弁を期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 川村農夫議員の御質問にお答え申し上げます。
 私の今後の県政にかける取り組み姿勢についてということで、まずお尋ねがございました。
 これまでの取り組みについて申し上げますと、この10年間で、地方分権改革の大きな流れの中で、地域みずからの判断と責任で自立的な行財政運営ができる仕組みの実現に向けて取り組んできたところでございます。
 今後でありますけれども、こうした自立した地域あるいは社会を形成していくために、市町村合併を推進したり、市町村への大幅な権限移譲を進めることによりまして、住民に最も近い基礎自治体でございます市町村の創意工夫が生かされるような仕組みを早期につくり上げていきたい。
 また、急激な人口減少社会の到来の中で本県経済が自立するために、自前の産業をしっかりと育てていくことが必要でございまして、振興局の見直しなどを行いながら、自動車関連産業を初めとするものづくり産業の集積を促進していきたい、農林水産物のブランド化、高付加価値化を推進する、そして、観光振興などにも全力を傾注していきたい。こうした産業振興に取り組んでいきたいと考えております。
 また、岩手競馬の再建問題、農業公社、林業公社に代表されます出資法人の見直しの問題です。過去から先送りされてきて、現在喫緊の課題となっているものについても、私のこの任期の中で、解決への確かな道筋をつけていきたいと考えております。
 今後、次期の行財政構造改革プログラムの策定作業に早急に着手しなければいけないと思っておりますが、平成19年以降に見込まれる多額の財源不足というものがございまして、この財源不足を解消するために、県財政の健全化に向けて、県職員定数の削減も含めて、歳出予算規模を見直すなど、聖域を設けずにこうした問題に真っ正面から取り組んでいく覚悟でございまして、こうした取り組みの、あるいは県政課題の解決に全力を挙げて取り組んでいく覚悟でございます。
 次に、振興局の再編の問題でございます。3点ございまして、まず、県南先行ということについてのお尋ねでございます。
 この県南を先行させるに当たりまして、各圏域ごとの特性の違いを十分に踏まえて、それぞれの地域に適した県の組織体制を段階的に整備しようという考え方に立っておりまして、今後、県の大きな機能を集中していかなければならない地域産業強化の観点では、その市町村合併や産業の集積が進んでいる県南地域において、こうした振興局体制の移行開始をして、早期に成果を上げて、その上で、本県全体の産業経済の底上げを図ることを期待しているわけでございます。
 また、平成18年度スタート、来年度すぐにスタートしたいと申し上げているわけですが、今回の見直しは、広く言いますと、市町村中心の行政の確立を目指す、こういうことでございます。このことについて、仮に今見直しを行わないということになりますと、市町村への権限移譲を進めて、そして、県と市町村との役割を大きく見直しをして、行政サービスの大部分を市町村に担っていただきまして、県は、広域的・専門的な業務に特化する、こうした県と市町村との役割を大きく見直す契機あるいはきっかけを失ってしまって、こうした部分が先延ばしになるおそれがある、このことを懸念しているわけでございます。
 また、本県では、一方で、先般の国勢調査の速報を見ましても、予想を上回るスピードで人口減少が進んできておりまして、急速に少子・高齢化が進んでいく中では、地域経済の縮小というものが県民生活に甚大な影響を及ぼすおそれがある、このことを懸念しております。
 首都圏や仙台などでは、こうした意味では人口減少の不安のない地域でございまして、こうした人口減少の不安のない、東北でも仙台など、こうした地域との格差が再び拡大することを強く懸念もいたしております。
 このため、私は、県の今後の最重要課題でございます産業の振興に全力を挙げて取り組みまして、県民の雇用や所得を確保して、暮らしを支える税収基盤を確保していきたい、将来に向けて県民生活の維持・向上を図っていけるように、確実な成果を上げていかなければならない、このように考えております。
 こうしたことから、一刻も早いスタートが必要と判断しておりまして、平成18年度からの見直しをスタートさせるものでございます。
 産業振興の取り組みなんですが、これは、広域的な視点により設定された圏域の中で、振興局が、やはり市町村との連携を強化しながら、所管する圏域全体を十分に掌握して、しっかりとした、また明確な目標を定めて、地域のさまざまな資源、技術、人材を結集し、民間の活力を最大限に引き出した戦略的な産業振興に取り組んでいく考えでございます。
 次に、組織の関係で、総務部の機能強化ということで、現状の総合政策室と総務部の関係についてお尋ねがございました。
 総合政策室は、知事であります私のトップマネジメントを支えて、戦略的な視点で政策を企画立案・推進する、そうした中心的な役割を担っております。
 また、総務部は、今の総合政策室や他の事業実施部門の業務が効率的かつ円滑に進むように、財源や人材など、限られた経営資源の配分を通じてこれを支援、調整する、いわゆるサポート部門としての役割を担っているということでございます。
 今後とも、県全体として取り組むべき政策、この実効性が確保されるように、総合政策室と総務部が、今申し上げましたような役割の中で、これまで以上に有機的にお互いに連携を図って、そして、政策を実現する資源である予算、そして人を適正に投入する仕組みをしっかりとつくり上げることで、自立に向けた県の戦略的な政策を推進できる体制を構築してまいりたいと考えております。
 医師確保対策についてであります。
 これは、県政の最重要課題の一つとしてとらえまして、これまでも国、特に3省に対してですが、直接、大臣も含めて働きかけをしてまいりました。
 こうした地方からの働きかけを受けまして、国では、ことしの8月ですが、医師確保総合対策というものを緊急に打ち出しました。これは、厚生労働省、総務省、文部科学省、あと防衛庁、これは防衛医大の関係がありまして防衛庁も入っておりますが、そこで地域医療に関する関係省庁連絡会議というものを設置して、そして、医師確保についての具体的な取り組みについて検討を進めて、緊急対策を打ち出したものであります。
 この中にこういう文言が盛り込まれております。「へき地など地域医療への従事、協力に関する医師の責務の明確化」ということでございまして、国でも、医師の地域医療へのかかわりが重要な課題であると認識していると私どもは理解しております。
 また、これまで要望してまいりました事項、それから国の総合対策が実効あるものとなりますように、先月17日ですが、自治体病院危機突破全国大会を開催いたしまして、ここで全国自治体病院の開設者協議会、それから全国知事会など、関係9団体の連名で、国等による自治体病院に対する諸施策が適切に講じられるよう決議いたしますとともに、自治体病院議員連盟役員会に対して支援を要請したところであります。
 その内容を申し上げますと、大学医学部入学定員の地域偏在の見直しと地域枠の拡大、それから、都市部の大学や病院との連携についての国のあっせん、調整などのほか、本県からの提案事項としても、医師偏在が著しい地域における県による医師の採用と配置に対する行財政的支援など、こうしたことを強く要請したわけであります。
 県としては、今後もこうした全国自治体病院開設者協議会などの関係団体と十分に連携を図りながら、さらにこうした問題についての働きかけを行っていきたい、そして、その実現を期したい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いいたします。
   〔総合政策室長相澤徹君登壇〕

〇総合政策室長(相澤徹君) まず、県出資等法人の評価についてでございますけれども、それぞれの法人が、これまで県民サービスの維持・向上、あるいは産業の振興など、さまざまな分野において一定の成果を上げてきたものと認識しているところでございます。
 しかし、社会経済情勢など、経営環境の変化に適切に対応することができなかった法人もあり、県出資等法人が最も効果的に質の高いサービスを提供するとともに、その経営が将来にわたって県民の負担を招くことがないようにするとの観点から、平成15年12月、岩手県出資等法人改革推進プランを策定いたしまして、各法人の使命や経営状況等を踏まえて、それぞれの法人のあり方の方向づけを行ったところであります。
 このうち、肉牛生産公社や林業公社、住宅供給公社など7法人については、施策推進上の使命を終えた法人ということで、廃止対象法人として位置づけ、整理を進めているところでございます。
 また、農業公社やクリーンいわて事業団など7法人につきましては、業務の抜本的な見直しを行い、早急に経営改善に取り組む必要があるということから、経営改善を要する法人として位置づけ、すべての法人について、経営改善計画を策定するなど、経営の改善に取り組んでいるところでございます。
 県出資等法人につきましては、法人経営に対する県としての取り組みの問題、すなわち、県の施策における法人の役割の明確化、法人の経営課題の的確な把握、時期を逸することのない適切な指導監督などについて、種々課題があったものと認識しているところでございまして、こうしたことから、平成16年度から、運営評価制度の導入や外部の専門調査機関による外部経営調査の実施を行っております。
 こういう中で、県と法人がともに徹底して課題を洗い出し確実な改革につなげるよう、取り組みを進めているところでございます。
 改革はまだ道半ばの状況にございますが、極めて厳しい行財政環境のもと、法人を取り巻く厳しい経営環境も踏まえて、問題を先送りすることなく徹底した改革を進めてまいりたい、このように考えております。
 次に、総合政策室の自己評価についてでございます。
 総合政策室は、全庁的な政策立案機能の強化を図り、トップマネジメントが十分に発揮できるよう総合的な視点で政策を企画立案・推進する、そういう中心的な役割を果たすために、平成13年度に設置されたものでございます。
 これまで、総合計画の推進のための施策の決定を行う政策評価・推進会議の運営、三位一体改革への対応、条例化による政策評価システムの確立、北東北3県等の広域連携の推進、あるいは県政情報の発信など、県内外の社会経済情勢に的確に対応し、全庁的な視点で政策の推進を図ってきたところであります。
 特に、県の行財政構造改革の推進につきましては、各部局との一体的な取り組みの結果、職員の削減、公共事業等投資的経費の見直し、事務事業の廃止・縮小など、総体としてプログラム計画を上回るスリム化等を進めてきたところでございます。
 具体的に評点を問われるとしたならば及第点の範囲内にあるとは思われますが、しかしながら、今後、財政環境の厳しさが増す中、出資等法人の改革、各部局が施策や事業の有効性を競い合う政策優先型の予算配分方式の構築、及びこれを支えるための政策評価機能の強化など、当面、多岐にわたり取り組むべき課題が山積しているものと認識しております。
 人口減少、少子・高齢化社会への移行、地方分権改革の進展、グローバル化の進行など、大きな構造変革が進む中、当室に課せられた使命は大変大きいものがあると考えているところでございまして、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕

〇総務部長(時澤忠君) まず、予算の効率的な執行につきまして、繰り越しにつきまして御指摘がございました。
 年度内の事業完了が不可能な事由が生じた場合に、財源とともに事業を翌年度に繰り越すという繰越制度でございますが、これは、法律上認められているものではございますが、多額の繰り越しが経常的に発生している、このことは、予算上も望ましいことではないものでございます。したがいまして、このことがないように、適切な予算計上と執行に努める必要があると考えております。
 このため、まず、予算計上に当たりましては、事業ごとに年度内に執行が可能かどうか、こういった視点での検討を十分に行いまして事業量の適正化を図る、そして、事業の執行に当たりましても、あらかじめ執行計画を定めまして、これによる計画的な進捗を図ること等によりまして、繰越額の圧縮に努めていきたいと考えております。
 総務部といたしましても、各部の支援を通じまして、予算の適正な執行が行われますよう努力してまいりたいと考えております。
 次に、適期の施工に配慮しました発注時期の遵守でございます。
 公共工事につきましては、これまでも、事業所管部局におきまして、あらかじめ施行計画を定めまして、これによります計画的な進捗を図ってきておりますし、総務部といたしましても、事業所管部局と連携いたしまして、翌年度の予算を見越しまして、可能な範囲で当該年度の補正におきまして歳出なしで債務負担行為を設定する、いわゆるゼロ国債、ゼロ県債と言っておりますが、こういったものの活用によりまして、前倒しで発注事務を取り進めてまいりました。
 また、総合政策室におきまして、公共事業の上半期の目標契約率を定めまして、その進捗管理を行ってきております。
 さらに事務的な面で申し上げますと、逐次、部局長が決裁できる工事金額の引き上げを行ってきておりまして、このようなことによりまして、円滑な発注ができるように努めてきております。
 総務部といたしましても、今後も、こうした各部局との連携を一層深めまして、また、当部におきましては、入札も所管をしておりますので、適正な入札事務の執行も含めまして、計画的な工事発注を促進してまいりたいと考えております。
 次に、職員管理に対する姿勢でございます。
 ハインリッヒの法則が示しますとおり、1件の重大事件の裏には、やはり多数の事故、そしてその後ろには、さらに膨大な数の問題となるような事案が潜んでいるというふうに私どもも考えておりまして、重大な事故や問題が生じた場合には、その背景、原因、発生過程、こういった点を明らかにし、十分な対策を講じることが重要であると考えております。
 このため、これまでも事故や不祥事が発生した場合には、再び同じような事案が起こることのないように、その原因等を究明いたしまして、県庁全体の業務プロセスの検証を行いまして、必要に応じて再発防止策を講じております。直近の例で申し上げますと、昨年、北東北観光センター協議会での公金費消事案というものがございました。これにつきましては、再発防止の観点から、全庁的に公金に係る内部牽制システムが機能しているかどうか、こういったことにつきましてプロセスの検証を実施し、必要な改善を行ったところでございます。
 さらに、重大事故等の発生を未然に防止するためには、風通しのよい職場環境の醸成が肝要であると考えております。所属長と職員の面接を通じまして、職員育成の観点から、業務処理上の問題点や課題等についての認識を共有するなど、職員と上司の対話が活発に行われるような職場風土の改善に努めているところでございます。
 今後も、県民の信頼にこたえられますように、こうした取り組みを強化いたしまして、不祥事や事故の発生防止等の危機管理対策の充実や職場環境の改善に努めてまいりたいと考えております。
 次に、談合防止に向けた入札制度改革でございます。
 本年6月に県内建設業者91社に対します排除勧告がなされたところでございます。この排除勧告を受けまして、9月から、当面の措置といたしまして、指名業者数の上限、予定価格の事前公表の対象範囲及び電子入札の対象範囲の拡大をする一方で、ダンピング受注対策として、低入札価格調査のさらなる強化、積算を伴わない安易な入札を防止するための工事費内訳書の徴収を実施したところでございます。
 県といたしましては、今後、この排除勧告に係ります第2回目の審判の動向を注視した上で、談合等不正行為の根絶に向けまして、国や他県の例というものも参考にいたしまして、より競争性、透明性を高めていきたいと考えておりますし、一方、いわゆる品質確保法の趣旨をも踏まえまして、総合評価落札方式等、価格以外の要素を含めた総合的な価値によります競争もなされますような入札制度を構築してまいりたいと考えております。
 また、入札の担当部局につきましては、工事所管部局とは別にしまして、相互牽制作用を有効に働かせることによりまして、透明性、中立・公正性を確保するということが必要だと考えております。したがいまして、価格以外の要素を含めました入札の導入に当たりましては、技術資料の審査等技術的な視点が重要になってまいりますので、工事所管部局との役割分担・連携につきまして、十分検討してまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕

〇農林水産部長(今泉敏朗君) 国の農業政策と本県の農業農村振興策についてのお尋ねについてでありますが、近年、県内におきましては、地域全体での農業経営の取り組みや、集落ぐるみでの多面的機能の発揮に向けた共同活動などの取り組みが顕在化してきております。
 こうした動きは、生産者が集落での組織的な取り組みによってみずからの活路を切り開こうとする意欲のあらわれであり、相互扶助の精神である結いの心が、この取り組みの基盤にはあると考えております。
 国におきましては、一律的な農政が見直され、施策の対象が明確化された担い手に絞り込まれるなど、まさに農業・農村は大きな転機を迎えているわけでありますが、この大きな転機にあって、本県の農業・農村が将来に向けて維持・発展していくためには、今回の対策をてこに、小規模・兼業農家もそれぞれの役割を担う集落営農、言いかえれば組織的な営農を進めていくことで、生産性の向上が図られ、農業所得や食料自給率を高めることが可能になると考えております。
 また、地域力を余すところなく引き出し、最大限に生かしながらこの組織的営農に取り組むことが、集落的機能を維持し農村社会を活性化していくことにつながると考えております。
 このように、生産者と農村社会というものは、農業生産を支える車の両輪と考えておりまして、岩手県には、こうした高い潜在力を秘める生産者、農村社会が、まだ豊富にあるというふうに私ども受けとめております。
 今後とも、みずからの活路を切り開こうとする意欲ある担い手の努力が報われるよう、しっかり後押ししていくこと、このことによりまして農業所得の向上、さらには農村活性化条例の目指すふるさとの実現につながるように努めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕

〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 障害者自立支援法についてでございますけれども、障害者自立支援法の円滑な施行と障害者サービスのさらなる向上のため、県としては、次のような対応を進めてまいりたいと考えております。
 まず、来年4月の施行までの対応でございますが、新しい制度でございますので、この新しい制度の周知、それから、市町村における相談支援体制の整備など、サービス利用支援の仕組みづくり、それから、ケアマネジメント従事者や市町村審査会委員、認定調査員に対する研修の実施、市町村における利用者負担の減免の手続などについて、市町村に取り組みスケジュールを示すなどにより支援し、着実に準備してまいりたいと考えております。
 特にも、低所得の方の利用者負担に係る事項につきましては、各市町村が必要な対応を的確に行えるよう努めてまいりたいと考えております。
 障害者サービスの向上のためには、御指摘がございましたように、その提供基盤の整備が非常に重要となってきております。来年4月の施行時期までにもその整備に努めてまいることとしておりますが、平成18年度におきましては、障害者ニーズの把握と、それに基づいた必要なサービス確保を図るための県、市町村における障害福祉計画の策定、あるいは作業所や施設の新制度体系への円滑な移行支援などに努めることとしております。
 こうした対応におきましては、関係団体の方も含め、障害のある方々の御意見も十分に伺ってまいることとしており、障害のある方々が、必要とするサービスを円滑に利用しながら、地域の中で安心して生活できるよう、市町村とも連携しながら、しっかりと取り組みを進めてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕

〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) 商工団体合併についての県の基本姿勢についてでありますが、商工会と商工会議所の併存につきまして、長野県及び本県のみが統合するという話でございますが、全国的に市町村合併がこのように大規模に進んだ状況下にありましては、いずれ他の都道府県におきましても、この問題は避けて通れない課題ではないかと考えているところでございます。
 本県の商工団体は、小規模な組織体制の団体が多いわけでございますが、これらの商工団体は、その存立基盤でございます商工業者の数、あるいはそれぞれの会員数が減少しておりまして、財務基盤が今後一層弱体化することが予想されるわけでございますが、こうした中で、会員である事業者の皆様方のニーズというものが多様化してございます。これに対して的確に対応するには、やはり一定規模以上の専門性を有した指導体制の充実、マンパワーの集約というものが課題となっているところでございまして、このためには、商工団体の合併ということは不可避の状況と認識しているところでございます。
 こうした実態の中で、県内においては市町村合併が進んだわけでございますが、県において1市町村1商工団体、つまり商工団体合併を進める理由は、まず、現行の商工会法及び商工会議所法、いずれの法におきましても、原則、1市町村1商工団体というふうにされていることがございます。それから、地域における商工業の振興を図るためには、市町村行政と商工団体が両輪となって一体的に商工業の振興のための対策を推進することが適当と考えるわけでございますが、複数の類似した団体が存在することは、この場合の阻害要因となる可能性もあるというふうに考えているところでございます。また、複数の商工団体が存在した場合、市町村は同じなんだけれども、事業所が所在しているところによって団体が異なるというふうなことなどもございます。さらに、県内には既に商工会議所、商工会が合併した団体があるわけでございます。また、今後合併をする商工団体もあるわけでございますが、その団体と比べますと、合併しない商工団体の方が、結果として手厚い人件費の補助を受けるということになりまして、団体間での公平性が損なわれるというふうに考えているところでございまして、こうした観点から、商工会、商工会議所を問わず、一つの地域の商工団体、経済団体として統合し、地域の商工業者のニーズにこたえていくのが必要だというふうなことでございます。いずれ、こうした方向でそれぞれの地域で十分に議論を尽くしていただきたいというふうに考えているところでございます。
   〔教育長照井崇君登壇〕

〇教育長(照井崇君) まず、胎児教育についてですが、現在、学校においては、生徒の発達段階に応じて生命の誕生や命のとうとさなどを指導しているところですが、胎児については、高等学校の保健体育科や家庭科において、学習指導要領に基づき、妊娠中の胎児の健康・安全を守ることをねらいとして、胎児の発育状態と母体の変化や喫煙・飲酒、薬の服用を避けるなど、妊娠中の健康管理の必要性について指導しております。近年、胎児の研究が進み、胎児が早い段階から外界の光や音を感受していることもわかってきており、胎児に対する教育の必要性も言われているところです。胎児教育すなわち胎教は、妊娠中に子供を慈しみ、保護するとともに、将来にわたっての子供の健全な成長・発達を考えるなど、親としての自覚や責任を強く意識する上で大切なものであり、その必要性について、思春期や高校生の段階から理解を深めることは、生命の尊厳や人間尊重の意識を高める上で重要であると認識いたしております。そのため、学校教育の中でどのような段階で、どのような内容を教えていくのかなどについて、今後、専門家の御意見も伺いながら研究してまいりたいと考えております。
 次に、食育についてですが、現在、小・中学校において、食育は、給食の時間、各教科、総合的な学習の時間、学校行事など学校教育活動全体の中で、望ましい食習慣の形成や栄養バランスのとれた食事のとり方、食料の生産や流通の仕組みなどについて学ぶとともに、農業体験活動を通じて生産の喜びを味わい、また、地域で培われた食文化を理解し、郷土への関心を深めているところです。特に本年度は、さまざまな体験を通じて食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができるようにするため、食育推進プロジェクトを推進いたしているところでございますが、教育委員会においては、食の安全安心親子探検隊事業を実施して、親子がともに生産や流通の現場を訪問し、食の安全性や地域の食文化について理解を深めているところです。こうした食育を通じ、子供たちは安全な食料を生産するための工夫の努力を理解したり、地元食材のすばらしさを認識し、これからの食生活を改善しようとする努力が見られ、また、食べ物を大事にしようとする心がはぐくまれてきております。今後は、食育を児童生徒の理解力に応じ、学校の年間指導計画の中でしっかりと位置づけるとともに、家庭や地域の方々との連携をこれまで以上に密にしながら食育の一層の充実に努め、子供たち一人一人が正しい食事のあり方や望ましい食習慣を身につけ、食事を通じてみずからの健康管理ができるようにしてまいりたいと考えております。
 さらに、子供たちに、食料の生産・供給を担っている農村や農業に対する理解や関心を一層深めてもらうため、地域の食の専門家や生産者の方々などの御協力をいただきながら、子供たちの農村生活の体験の機会をふやしていきたいと考えております。
 次に、教育費の負担軽減についてですが、文部科学省の平成14年度子どもの学習費調査報告書によりますと、学校教育費や学校給食費は人口規模が大きくなるほど低くなる傾向にあり、逆に、学校外活動費は人口規模が大きくなるほど高くなる傾向が見られます。この調査報告書では、その要因は明らかにされておりませんが、一つの要因として、人口規模が大きい場合は、学用品などの学校教育費や学校給食費が共同購入などによって1人当たりの経費が低くなり、学習塾などの学校外活動費に支出されているものと考えられます。逆に人口規模が小さい場合には1人当たりの経費が高くなり、学校外活動費に余り支出されていないものと考えられます。小・中学校の場合、市町村においては教材や食材の共同購入や共同調理、民間委託など工夫を凝らしながら、できるだけ負担の軽減に取り組んでいるものと考えております。高校の場合は、授業料や教科書など、さらに保護者の負担が増加することから、経済的に修学が困難な生徒に対しては、授業料の減免や育英奨学金の貸与などを行っているところです。保護者の負担軽減につきましては、基本的にはそれぞれの設置者が地域や個々の学校の実情に応じて対応していくものと考えますが、県教育委員会としても、市町村教育委員会に対し負担軽減の先進的な取り組み事例などを情報提供するなどしながら、負担軽減に向けて一緒になって取り組んでまいりたいと考えております。
 また、学校給食における地産地消の推進については、それぞれの地域において、市町村の給食関係者と生産者、生産団体、流通関係者が連携し、農協と給食センターが協定を結び、地元産食材を優先して利用したり、通いコンテナを輸送に使用して資材費の軽減を図るなど、県産食材供給の仕組みづくりを進めているところですが、今後、農林水産部と一層連携を密にしながら、学校給食における地産地消をさらに推進し、教育費の負担軽減につながるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、特色を際立たせる高校入試制度の導入についてですが、現在、各高校においては、地域の方々の御支援・御協力をいただきながら、それぞれ魅力ある学校づくりに努めているところですが、県教育委員会といたしましても、夢と活力あふれる学校づくり支援事業や進学目標達成推進事業により、さらには教科指導や部活動指導などに実績のある教員を配置することにより、こうした各高校の取り組みを支援しているところです。また、各高校が、その特色づくりを進めるに当たって、その学校にふさわしい生徒を選抜できるよう、多様な方法を取り入れた入試を2年前から実施しているところです。しかしながら、現在の入試制度は、従前に比べて学校裁量の部分が少なくなり、特色ある学校づくりが思うようにできないなどの意見もあることから、本年9月に県立高校入試改善検討委員会を設置し、現在、入試方法の改善に向けて検討を重ねているところです。具体的には、生徒募集に当たり、各高校がスポーツや芸術など学校独自の特色や求める生徒像を明示した上で、生徒が自己の適性や興味・関心に合わせて志望できる自己推薦入試の導入などについて議論されております。今後、この検討委員会の答申を踏まえ、さらには県民の皆様からも御意見をいただきながら、来年度早期をめどに入試選抜の改善案をお示しし、各高校が一層特色のある学校づくりができるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、高校再編についてですが、このたびの後期計画の策定に当たりましては、専門高校については、地域企業などのニーズをできるだけ反映させるとともに、県の産業振興施策との整合性にも留意したところです。また、広い県土を有する本県は、地域ごとに産業構造や事情が異なることから、それらの点についても配慮したところです。このような観点から、専門高校につきましては、これからの地域経済の確実な発展に向け、各地域の特性を生かした産業を支える人材を育成するため、県内各地に適切に配置することとしたところです。具体的には、例えば北上川流域における自動車関連産業や、宮古地区におけるコネクター、金型産業などの地域のものづくり産業を支える人材を育成するため、工業高校を県内7カ所に、また、環境・リサイクル産業が集積しつつある気仙地区や釜石地区には、関連する分野の幅広い知識や技術・技能を習得できる総合的な専門高校を、商業やサービス業、情報産業などが集積している盛岡、水沢、宮古地区には商業高校をそれぞれ設置することとしたところです。このように、このたびの後期計画は、県の産業振興施策の方向性を踏まえるとともに、地域の産業構造などにも配慮しながら策定したところでございます。

〇27番(川村農夫君) いろいろ御答弁、ありがとうございました。
 振興局再編問題について、二、三点ほどお伺いしますし、教育の問題についても1点お伺いしたいと思います。
 実は、例えば合併によって新市のいろんな組織体制づくりというのがこれから集中的に行われていくことと思います。特に18年度。そうしたときに、時を同じくして県南広域振興局といいますか、広域圏の振興局を設置するということの意味、18年度から始めなければならないという意味、この点について若干疑問が残るわけであります。そしてまた18年度中は、例えば県南において準備室で総合的に練り上げていく時間としての体制はとれないのか、それではどうしても遅いのかといった観点から御質問したいと思います。
 それから、もう一点、県南広域振興局のあるべき管理者の姿、その人材、そしてその体制に向ける幹部人材は、県の中で前々から準備、育成してきてあるのかという点についてもお聞かせいただきたいと思います。
 それから、教育長に伺いますが、産業教育という点でありますが、特にも県北広域圏は農林水産物に対する付加価値を高めるなど、そういった産業を推進していくということでいろいろ御答弁されておりますが、県北の高校を見ていきましても、食品は宮古水産だけであります。そして、農業科を持った高校は県北には見当たらないわけであります。そうしたその地域、これからの産業振興策と高校におけるその目的に合った学科の設置という点が、今、整合してないと見れるのではないかと思います。これによって高校の再々編がなされるのか、そういった観点から御質問したいと思います。
 以上です。

〇知事(増田寛也君) 川村議員の再度の御質問にお答え申し上げたいと思います。私の方からは振興局の再編の関係で御答弁申し上げます。
 一つは、ちょうど合併が一方で進んでいるときに、こういう形をとることがどうなのかと。例えば今お話がありました準備室のようなものを設けて、1年ということになるかもしれませんが、そこでさらに練り上げてはどうか、こういう御趣旨かと思います。今、県南地域の市町村の方で合併が行われた、あるいは行われつつあるわけですが、この振興局の再編につきましては、ことし、市町村の方とも随分説明会、協議を重ねてまいりました。そして、市長あるいは町村長ともいろいろお話をして、まず、おおむね御理解いただいたところでございまして、行政の職員はある種プロ同士でありますので、そういった一方で合併の事務が進められておりますが、県と市町村との間でどういう業務がこれから必要になってくるのかどうか。きのうも申し上げましたように、例えば土地移動の開発許可ですとか農地転用許可権限、これは前々から市町村が望んでいるものでございまして、そうしたものについてのおおよその目測はそれぞれ自治体でついておりますので、そうしたことについて、今、市町村の方とそういう話を進めている最中でございまして、そういったことで混乱が生じるとは考えにくいというふうに思っています。むしろ、1年間、そういった形で先延ばしをすることによる、産業振興などに向けてこれからまさに機を逃さずにやっていくその時間のロスを大変懸念しておりまして、今、それだけ事態が、やはり地域間競争の時代でありますし、人口減少といったような、そういう事実も明らかになっている中で、今こそ、このきっかけを次のスタートに向けて体制の整備をスタートさせていくべきではないか。ここは、このようなことが一つの契機となって、行政というのはもう全体としてそれを受けて走り出しているところでありますので、むしろ、一刻も早く産業振興のビジョンを描いて、そして産業振興の手を打っていきたい、こういう強い思いを持っているところでございます。
 振興局の幹部の体制、人事でありますけれども、これについては、長い間、そういった人材を育成してきているということではなくて、今ある中から、当然、適切な人材を選んでいかなければならないわけでありますが、それだけの重要な局でありますので、私は、特に広域振興局の局長につきましては本庁の部局長以上と申し上げております。本庁の部局長以上となると、部局長か副知事かということになるわけですが、そういった振興局として自立的に機能できる、判断できるだけの能力を兼ね備えた人材、これは県庁内にいるわけでございまして、そういう中の人材をしっかりと充てて、そして期待をされる業務をそこでしっかりとこなせるような、そういう体制にしていきたい。当然のことながら、それに伴います振興局の部長人事等も、それだけの機能の重さをかんがみた配置にして進めていくべきである、このように考えております。

〇教育長(照井崇君) 先ほどもお答えいたしましたように、このたびの高校再編の後期計画におきましては、県の産業振興施策の方向性も踏まえまして、それとの整合性を図りながら策定したところでございますが、ただいま議員から御指摘のありました県北地区の総合学科高校である久慈東高校と一戸高校には、農林業関係とか食物の関係のコースが設置されているところでございます。今後、新しい広域生活圏ごとに地域振興ビジョンを策定しまして、産業振興の方向性を示していくこととしておりますけれども、当教育委員会といたしましても、その方向性というものをしっかりと踏まえまして、また、その地域の方々や産業界の方々などの御意見も伺いながら、専門高校や総合学科高校の学科であるとかカリキュラムに、こうした方向性なり意見を適切に反映させてまいりたいと、このように考えております。


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