平成18年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成18年3月13日(月)
   
1開会  午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事課長 駿  河     勉
  議事課長補佐 千  田  利  之
  主任主査 保  原  良  和
  主      査 小  船     進
  主      査 福  田  清  喜
  主      査 佐々木  ユ  カ
  主      査 渡  辺  謙  一
  主      査 安  藤  知  行
1説明員
  教育委員会委員長 安  藤     厚
  教育長 照  井     崇
  教育次長兼全国
  スポーツ・レクリ
  エーション祭 小  川  明  彦
  推進室長
  教育次長兼高校
  改革推進室長兼
  県立埋蔵文化財 遠  藤  洋  一
  センター所長
  総務課総括課長 千  田     永
  教職員課総括課長 青  木  俊  明
  小中学校人事
  担当課長 熊  谷  雅  英
  県立学校人事
  担当課長 山  田  市  雄
  学校教育課
  総括課長 佐々木  修  一
  学校財務課
  総括課長 千  葉  勇  人
  生涯学習文化課
  総括課長兼
  県立埋蔵文化財 渡  邉     淳
  センター副所長
  文化財・世界遺産
  担当課長兼
  県立埋蔵文化財 中  村  英  俊
  センター副所長
  スポーツ健康課
  総括課長 高  橋  光  彦
  高校改革推進監 藤  原  忠  雄
  全国スポーツ・レ
  クリエーション祭 高  橋     保
  推進監
  警察本部長 山  下  史  雄
  警務部長 山  手  康  男
  生活安全部長 小川口     弘
  刑事部長 吉  村     浩
  交通部長 小野寺  英  一
  警備部長 細  田  敬  一
  警務部参事官兼
  首席監察官 菊  地  啓  一
  警務部参事官兼
  警務課長 小  舘  欣  康
  生活安全部参事官
  兼生活安全企画 齋  藤  忠  利
  課      長
  刑事部参事官兼
  刑事企画課長 船  野     透
  刑事部参事官兼
  捜査第一課長 遠  藤  貞  造
  交通部参事官兼
  交通企画課長 及  川  正  文
  警備部参事官兼
  公安課長 渡  辺  一  好
  総務課長 吉  田  尚  邦
  会計課長 元  吉  尚  登
  指導監査室長 金  野  順  一
  少年課長 千  田  敏  信
  予算調製課
  総括課長 菅  野  洋  樹
   
〇工藤大輔委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第25号、議案第35号から議案第39号まで、議案第41号から議案第48号まで、議案第51号、議案第53号及び議案第54号の以上38件を一括議題といたします。
 本日は、教育委員会及び警察本部関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 これより教育委員会関係の審査に入るわけでありますが、教育行政施策について、教育委員会委員長から発言を求められておりますので、発言を許すこととし、その後、教育長から教育委員会関係の説明を求め、質疑に入ることにいたしたいと思います。
〇安藤教育委員会委員長 教育委員会所管の予算について御審議をいただくに当たりまして、平成18年度の教育行政推進の基本的な考え方について申し上げます。
 近年、本県教育を取り巻く環境は、国際化、情報化、科学技術の進展や少子・高齢化の進行など著しく変化してきておりますが、私は、あすの岩手を担う子供たちは、こうした変化に的確かつ柔軟に対応できるとともに、豊かな人間性を持ち、多様な個性や価値観をお互いに尊重し認め合いながら、たくましくみずから新しい時代を切り開いていってほしいと願っております。そのため、子供たちに、確かな学力、豊かな心、そしてすこやかな体を、バランスよくはぐくむことにより、生きる力を身につけ、何事にも積極果敢に挑戦する若者に育てていく必要があると考えております。
 また、地方分権や教育改革などの進展により、地方がそれぞれの地域の教育の現状や課題等を踏まえながら、地域の教育はどうあるべきか、そのあり方をみずから考え、それに基づき地域独自の教育施策を展開していくことが、これまで以上に求められております。
 本県におきましても、地域や学校の現状と課題をしっかりとらえた上で、生徒や保護者、地域のニーズにこたえ、地域に根差した独自の教育行政を推進していく必要があるものと考えております。とりわけ、子供たちに基礎・基本の徹底を図り、生きる力を身につけさせる学力向上は、本県の最重要課題の一つであると認識しており、学力向上プロジェクトを中心に、さまざまな施策を展開しているところでありますが、平成18年度は、特に小・中学校、高等学校を通じての授業改善のための教員研修の充実や医師確保等の県政の課題にこたえるための人材育成等、本県独自の取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。
 以下、教育施策の重点事項について説明申し上げ、予算の主な内容については教育長から説明申し上げます。
 第1は、学校教育の充実についてであります。
 まず、少人数教育の充実と学力向上の推進についてでありますが、これからの変化の激しい社会において教育に求められているのは、子供たちが、とりわけ基礎的な知識、技能を徹底して習得し、それを活用しながら、みずから学び、考え、主体的に判断して行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、すなわち、確かな学力を確実に身につけさせ、生きる力をはぐくむことであります。そのためには、子供たち一人一人の理解や習熟の程度などに応じたきめ細かな指導を行うとともに、監察や実験、調査、研究などの体験的、問題解決的な学習を充実することにより、子供たちに基礎的、基本的な内容を確実に身につけさせ、生きる力をはぐくむ教育の充実に努めていきたいと考えております。
 このため、学力向上プロジェクトを中心にして、学習定着度状況調査の結果明らかになった課題等を踏まえながら、少人数指導、少人数学級、すこやかサポート非常勤講師の配置による少人数教育の充実、子供たち一人一人の学習到達度に応じた事後指導の徹底、大学進学を目指す生徒への指導の充実と支援、授業の改善に向けた教員研修の拡充、中学校、高等学校における数学と英語を中心とする指導主事による訪問指導の充実、医師確保等の県政の課題に対応した人材育成の取り組みなど、学力向上に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、キャリア教育の充実についてでありますが、私は、子供たちには、いつも大きな夢や目標を持ち、強い信念と気概で、その夢や目標の実現に向け、粘り強くチャレンジしていくことを期待しております。子供たちが、小さいときから将来の目標をしっかり持って、その目標を実現できるように努力することが何より大切であると考えます。
 そこで、主として小学校においては、職業に対する興味や関心を高め、将来の夢や目標を持つよう、中学校においては、職場見学や職場体験などを通じ職業を正しく理解して、目標を確かなものとするよう、高等学校においては、勤労、職業への理解を深め、自分の将来を設計し、進路計画を立てることができるように、子供たちの発達段階に応じた組織的、系統的なキャリア教育を産業界の協力をいただきながら推進してまいります。
 次に、学校不適応対策の推進についてでありますが、私は、すべての子供たちが、どの子もどの子も、毎日、元気に明るく登校し、充実した学校生活を送ることができるよう、その環境を整えていくことが何より大切であると考えます。
 そこで、不登校などへの対応については、すべての教職員が、普段から、児童生徒や保護者と十分コミュニケーションをとり、児童生徒一人一人の状況を的確に把握するとともに、スクールカウンセラーなどの相談機能を充実し、児童生徒の状況に応じて、きめ細かに対応してまいります。特に、中学校1年生で増加する不登校、いわゆる中1ギャップの解消に向けて重点的に取り組んでまいります。
 次に、特別支援教育の推進についてでありますが、私は、障害のある子もない子も、すべての児童生徒の学力の向上や豊かな心の教育の充実を目指していく上で、特別支援教育は、障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するという視点に立って進める必要があると考えております。
 そこで、児童生徒一人一人のニーズに応じたきめ細かな支援を行うことを基本に、盲・聾・養護学校においては、地域における特別支援教育のセンターとしての機能の一層の充実を図るとともに、小・中学校の通常学級に通う障害のある児童生徒や養護学校の医療的ケアを必要とする子供たちに対する支援に努めてまいります。
 次に、児童生徒の体力向上についてでありますが、体力は、あらゆる活動の源であり、健康な生活を営む上でも、また、物事に取り組む意欲や気力といった精神面の充実にも深くかかわっており、生きる力の極めて重要な要素であります。しかし、岩手の子供たちの体力・運動能力は、近年、低下傾向にありますことから、子供たちが運動やスポーツに親しみ、進んで参加するよう、小・中学校の指導方法の改善を図りながら、体力・運動能力の向上に向けた取り組みを進めてまいります。
 第2は、文化・スポーツの振興についてであります。
 まず、平泉の文化遺産の世界遺産登録推進についてでありますが、平泉の文化遺産は、岩手が世界に誇り得る貴重な文化遺産であり、県民共有の財産として世界遺産登録の実現をなし遂げることは、私たち県民の一層の自信と誇りにつながるものと考えております。平成18年度においては、この平泉の文化遺産の価値を国際的な見地から評価していただくための国際会議を開催し、7月には、国に推薦書を提出できるよう、準備を進めてまいります。
 次に、競技スポーツの強化についてでありますが、県民に夢と感動を与える競技スポーツについては、ジュニア層の強化を重点に、中学校における指導者のレベルアップや、高等学校における指導者の長期間の配置、国内外の高い競技力を有するチームとの交流などにより、競技力の一層の向上を図ってまいります。
 最後になりますが、子供たちは、学校はもとより、家庭からも、地域からも、さまざまなことを学びながら生きる力を培っております。そこで、学校、家庭、地域、行政がお互いに力をあわせて、子供たちを知、徳、体のバランスのとれた、心豊かでたくましい人に育てていくことが必要であります。幸い、本県には学校、家庭、地域、行政、子供がそれぞれの役割と責任を果たしながら、一体となって地域の教育課題に取り組む教育振興運動が各地で展開されております。
 また、昨年は、議員の皆様の発議により、いわて教育の日が制定されました。このいわて教育の日の制定を一つの契機として、県民の皆様が、総ぐるみでこの教育振興運動に参画され、岩手の心豊かな人づくりに積極的に取り組んでいただきますよう、お願い申し上げる次第であります。
 以上、平成18年度の教育施策の重点事項について申し上げましたが、本県の教育の一層の充実と発展に向け、委員の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
〇工藤大輔委員長 次に、教育長から教育委員会関係の説明を求めます。
〇照井教育長 平成18年度における教育委員会予算につきましては、地域や学校の現状や課題とニーズ、また、政策評価結果や、県が平成18年度に特に重点的に取り組む政策の方向などを踏まえて調整を行ったところです。
 平成18年度の教育施策の重点事項については、ただいま教育委員長から説明申し上げましたが、学校教育の充実と文化・スポーツの振興を主要な柱とし、これらの施策の着実な実施により、すべての子供たちに豊かな教育が行き届き、心豊かでたくましい人づくりを推進してまいりたいと考えております。
 重点事項の一つ目の大きな柱である学校教育の充実についてですが、少人数教育の充実と学力向上の推進、キャリア教育の充実、学校不適応対策の推進、特別支援教育の推進、児童生徒の体力向上の五つの項目に特に力を入れてまいります。
 二つ目の大きな柱は、文化・スポーツの振興です。
 文化の振興については、特に平泉の文化遺産の世界遺産登録を最重点施策として取り組むこととしております。スポーツの振興については、特に競技スポーツの強化対策として、ジュニア層の強化を重点に競技力の向上を図ってまいります。
 以上が、教育施策の重点事項の概要であります。
 次に、平成18年度岩手県一般会計予算のうち、教育委員会関係について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の8ページをお開き願います。議案第1号平成18年度岩手県一般会計予算ですが、第1表歳入歳出予算の歳出の表中、教育委員会が所管する予算は、10款教育費の1項教育総務費から7項保健体育費までと、9ページの11款災害復旧費のうち3項教育施設災害復旧費をあわせた、総額1、527億6、522万円余であります。これを前年度当初予算額と比較しますと23億9、914万円余、率にして1.5%の減となっております。
 各項目ごとの内容につきましては、便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げます。予算に関する説明書の207ページをお開き願います。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事項を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 10款教育費1項教育総務費1目教育委員会費は、教育委員会の運営に要する経費です。207ページから208ページにわたる2目事務局費は、事務局の管理運営に要する経費、児童生徒の保護者向けの広報紙の発行などの教育広報活動に要する経費、関係県が共同で設置している日本の次世代リーダー養成塾への高校生派遣に要する経費、外国語指導や地域のスポーツ指導の支援を行う外国青年招致事業に要する経費です。また、いわて教育の日推進事業費は、いわて教育の日の記念行事等の開催に要する経費です。208ページをお開き願います。3目教職員人事費は、教職員の人事管理に要する経費のほか、児童手当、退職手当などに要する経費です。
 なお、説明欄の下から3行目の教職員互助会補助は、補助対象事業の見直しにより、平成17年度まで実施してきた職員の福利増進関係の事業について、知事部局と同様に廃止したことから、前年度と比較して6、700万円余の減額となっております。
 208ページから209ページにわたる4目教育指導費は、教職員の研修、児童生徒の不登校や問題行動などへの対策、盲・聾・養護学校の特別支援教育及び高校生の就職支援対策並びに学習定着度状況調査などの学力向上対策などに要する経費です。その主な内容としては、208ページの説明欄の2行目の授業力ブラッシュアッププラン推進費は、小・中学校教員に加え、新たに高等学校教員の指導力向上対策として、県内10地区で11教科の研修を実施しようとするものです。209ページの説明欄の5行目の児童生徒健全育成推進費は、特に中学校に入学して不登校が増加するいわゆる中1ギャップ解消のための予算を新規に計上したほか、スクールカウンセラーの配置では、新たに拠点校方式を導入し、拠点校に配置したスクールカウンセラーが近隣の学校にも訪問指導を行うことにより、配置校の拡大を図ろうとするものです。209ページの説明欄の中ほどの特別支援教育推進事業費は、通常学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の充実を図るため、特殊学級が設置されていない小・中学校への非常勤職員の配置に要する経費や医療的ケアを必要とする児童生徒のために、盲・聾・養護学校への看護師の配置に要する経費のほか、小・中学校でのLD(学習障害)、高機能自閉症等の児童生徒への指導充実に要する経費、さらに新たに県立高等学校における特別支援教育コーディネーターの養成に要する経費です。1行飛びまして、新規事業の小中高キャリア教育地域ぐるみ推進事業は、児童生徒の勤労観、職業観を育成するため、小学校から発達段階に応じた組織的、系統的なキャリア教育を学校、産業界、関係行政機関が一体となって推進するため、研究指定校における進路講演会や職場体験の開催などに要する経費です。次の高校生キャリアアップ支援事業は、就職を希望する生徒に対する職業観、勤労観の育成や、ビジネスマナーの習得などのキャリアアップのための3講座を実施するとともに、保護者の就職に対する意識向上を図るため、新たに保護者向けの講演会や事業所見学会を実施しようとするものです。3行飛びまして、新規事業、県政課題貢献人材育成事業費は、県政課題である地域医療を担う医師や弁護士、研究者など、将来の本県を支える人材を育成するため、進学希望者の特に多い県立高等学校6校を対象として、生徒の医学部や難関大学・学部への進学希望を実現できるよう、各高校の取り組みの支援に要する経費です。また、次の新規事業、県北沿岸地域人材育成事業費は、県北・沿岸地域の特に大学進学希望者の多い県立高等学校5校を対象として、将来の県北・沿岸地域の産業振興や地域づくりを担う人材を育成するために、高い専門知識、技術を習得するための大学進学が実現できるよう、各高校の取り組みの支援に要する経費です。次の新規事業地域おさらい教室支援事業費は、児童生徒の学力向上を図るため、小学校、中学校のモデル校において、地域のボランティアの皆様の御協力をいただいて行う課外授業の実施に要する経費です。次の指導運営費は、学習定着度状況調査の実施に要する経費のほか、文部科学省からの委嘱事業などの実施に要する経費です。また、学力向上対策として、小・中学校生を対象として実施している学習定着度状況調査を高校1年生にも拡大して実施することとしております。209ページから210ページにわたる5目教育センター費は、教職員の研修などに要する経費のほか、総合教育センターの管理運営に要する経費です。210ページをお開き願います。6目幼稚園費は、こまくさ幼稚園の管理運営に要する経費です。211ページの7目恩給及び退職年金費は、恩給及び扶助料等です。
 212ページをお開き願います。2項小学校費1目教職員費は、小学校教職員の人件費、旅費などのほか、初任者が校外研修で不在時の授業を担当、または、指導教員が初任者の校内研修を実施する際に、指導教員の授業を代替するための非常勤講師の配置に要する経費です。
 なお、説明欄の1行目の教職員費は、小学校1年生に35人学級を導入するために必要となる教員の配置に要する経費が含まれております。また、少人数指導のためのすこやかサポート推進事業費は、多人数複式学級への非常勤講師の配置について、平成18年度においては、14人の複式学級にも拡大して実施しようとするものです。
 213ページの3項中学校費1目教職員費は、中学校教職員の人件費、旅費などのほか、初任者が校外研修で不在時の授業を担当、または、指導教員が初任者の校内研修を実施する際に、指導教員の授業を代替するための非常勤講師の配置に要する経費です。
 214ページをお開き願います。4項高等学校費1目高等学校総務費は、高等学校教職員の人権費、旅費などの経費のほか、説明欄の3行目の高等学校教育改革推進費は、併設型中高一貫教育校の導入に向けた検討やコミュニティースクールの導入支援のために要する経費及び平成17年度に策定した県立高等学校新整備計画(後期計画)に基づき、県立高等学校の整備推進に要する経費です。また、次の新規事業、ものづくり専攻科整備検討事業費は、もりづくり産業を支えるエキスパートを育成するため、専攻科の設置の検討に要する経費です。214ページから215ページにわたる2目全日制高等学校管理費及び3目定時制高等学校管理費は、それぞれ各高等学校の管理運営等に要する経費です。215ページから216ページにわたる4目教育振興費は、高等学校における備品設備などの整備充実、農業・水産業教育などの実験実習に要する経費のほか、216ページの6行目の緊急奨学対策事業費補助は、不況等により家計の苦しい世帯の高校生を対象とした奨学資金への補助であり、次の高校奨学事業費補助は、独立行政法人日本学生支援機構から交付される貸付原資をもとに、高校生を対象とした奨学資金及び事務費などへの補助であり、それぞれ財団法人岩手育英奨学会への補助に要する経費です。216ページから217ページにわたる5目学校建設費は、高等学校の建物等施設整備に要する経費です。説明欄1行目の校舎建設事業費は、一関第一高等学校及び大船渡高等学校の改築工事を実施するほか、高等学校の再編整備関係では、新たに一戸高等学校及び釜石南高等学校の改築工事に着手、また、(仮称)気仙地区総合的専門高等学校、(仮称)釜石地区総合的専門高等学校、(仮称)江刺地区高等学校の3校の改築設計等に着手することとしております。産業教育施設建設事業費は、平成18年度から大原商業高等学校と統合する大東高等学校の産業教育施設棟新築工事に要する経費、体育館建設事業費は、遠野高等学校第一体育館の改築工事の実施等に要する経費であり、校地整備事業費は、紫波総合高等学校において工事を継続するほか、新たに盛岡第二高等学校において工事に着手することとしております。校舎大規模改造事業費は、福岡工業高等学校ほか5校において、教室棟、産業教育施設棟及び屋内運動場の耐震補強改修のため、新規着工に要する経費であります。また、水沢商業高等学校ほか13校において、校舎や屋内運動場の耐震診断を実施することとしております。このほか、校舎、教職員住宅等の整備、維持管理に要する経費を計上しております。217ページの6目通信教育費は、通信教育の管理運営に要する経費です。
 218ページをお開き願います。5項特殊学校費1目盲聾学校費は、盲学校及び聾学校教職員の人件費等の管理運営に要する経費、初任者が校外研修で不在時の授業を担当、または、指導教員が初任者の校内研修を実施する際に、指導教員の授業を代替するための非常勤講師の配置に要する経費及び施設の整備や維持管理に要する経費です。219ページから220ページにわたる2目養護学校費は、養護学校教職員の人件費などの管理運営に要する経費、初任者が校外研修で不在時の授業を担当、または、指導教員が初任者の校内研修を実施する際に、指導教員の授業を代替するための非常勤講師の配置に要する経費及び施設の整備や維持管理に要する経費です。
 221ページをお開き願います。6項社会教育費1目社会教育総務費は、社会教育関係職員の人件費のほか、子供の読書活動推進及び広域学習サービス体制整備など、多様化、高度化する県民ニーズに対応する生涯学習推進に要する経費、次代を担う子供たちを心豊かでたくましく育成するため、テレビ放送などによる情報提供、電話相談などを実施する家庭教育推進に要する経費、生涯学習推進センター並びに青少年の家管理運営及び施設整備に要する経費です。2目視聴覚教育費は、視聴覚教育の指導者養成等に要する経費です。222ページをお開き願います。3目文化財保護費は、指定文化財の保存・修理への補助などの文化財保護の推進や特別天然記念物カモシカの食害防止対策及び県立埋蔵文化財センターの管理運営に要する経費等です。また、説明欄の中ほどの柳之御所遺跡整備調査事業費は、国指定史跡柳之御所遺跡の史跡整備を促進するため、学術調査を行うほか、史跡公園整備のための園池工事実施等に要する経費であり、柳之御所遺跡土地公有化事業費は、遺跡地内の民有地の取得に要する経費です。次の世界遺産登録推進事業費は、平泉の文化遺産の平成20年の世界遺産登録に向けて全県を挙げて機運の醸成を図るため、パネル展の開催など各種普及啓発事業などを行うとともに、平成18年にユネスコ世界遺産委員会へ提出する推薦書の作成等に要する経費です。また、平泉の文化遺産の価値を国際的な見地から評価していただくため、6月に専門家国際会議の開催を予定しており、その会議開催に要する経費も計上しております。222ページから223ページにわたる4目芸術文化振興費は、青少年へのすぐれた芸術鑑賞機会の提供、全国高等学校総合文化祭参加への補助、県中学校総合文化祭開催への補助などの芸術文化振興に要する経費、岩手芸術祭の開催に要する経費、高校生の文化部活動の技量向上を図るための技術講習会などを開催する高校生カルチャーキャンプ事業の実施に要する経費のほか、県民会館の管理運営に要する経費等です。223ページの5目図書館費は、盛岡駅西口のいわて県民情報交流センター内に移転した県立図書館の管理運営に要する経費です。223ページから224ページにわたる6目博物館費は、県立博物館の管理運営及び施設整備に要する経費です。このうち、施設整備費は、敷地内にある重要文化財旧佐々木家住宅の保存修理工事等の実施に要する経費です。224ページをお開き願います。7目美術館費は、県立美術館の管理運営に要する経費です。
 225ページの7項保健体育費1目保健体育総務費は、保健体育関係職員の人件費のほか、児童生徒の保健管理に要する経費や指導運営に要する経費です。225ページから226ページにわたる2目体育振興費は、生涯スポーツの振興に要する経費、国体への本県選手団の派遣経費、児童生徒の体力・運動能力の向上対策に要する経費、各種体育大会への選手の派遣に要する経費の補助及び競技力向上のための事業実施に要する経費です。その主な内容としては、説明欄の2行目の生涯スポーツ推進費は、県内市町村に総合型スポーツクラブの創設・育成を支援するための経費や、高田松原野外活動センターでの研修事業の実施に要する経費等です。次の全国スポーツ・レクリェーション祭参加推進事業費補助は、10月に鳥取県で開催される第19回全国スポーツ・レクリェーション祭への選手、役員を派遣する岩手県生涯スポーツ推進協議会に対する補助に要する経費です。226ページをお開き願います。説明欄1行目の運動大好き岩手っ子育成事業は、運動スポーツ好きの児童生徒の育成と体力・運動能力の向上を図るため、体育・スポーツ活動の実践校として、小・中学校54校を指定し、指導者研修会の開催や岩手大学による小学校への訪問指導を行うこととしております。また、指導用のビデオを公立の全小学校に配布することとしております。説明欄の下から6行目の競技力向上対策事業費は、国体選手等強化対策、ジュニア選手強化対策、及び日韓スポーツ交流事業などの実施に要する経費です。3目体育施設費は、県営体育施設の管理運営に要する経費及び県営運動公園登はん競技場改修工事のほか3工事など、県営体育施設等の整備等に要する経費です。
 次に、ページを飛んでいただきまして234ページをお開き願います。11款災害復旧費3項教育施設災害復旧費1目学校施設災害復旧費は、県立学校施設に災害が発生した場合の復旧に要する経費です。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。議案その1に戻りまして14ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、教育委員会で所管する事業は、№41の校舎建設事業の1件です。これは、釜石南高等学校及び一戸高等学校の校舎改築に要する債務であり、工期が翌年度以降にわたることから、期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものです。
 以上で予算関係議案の説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇工藤大輔委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇吉田昭彦委員 先ほど教育委員長演述並びに今議会冒頭の知事演述におきまして、地域を支える人づくりの施策の中で、学力向上を本県の最重要課題の一つとして位置づけ、各種の学力向上のプロジェクトを展開されようとしておりますが、そこで学力向上にかかわりまして2点お伺いします。
 まずもって、地域おさらい教室支援事業、これは新規施策として290万円の計上で、非常に少ない額ではありますが、児童生徒の学力向上を図るための一環として、教員、OB等のボランティアによる課外授業との説明がありましたが、その実施方法、形態、内容について示していただきたいと思います。
 それから二つ目、県北沿岸地域人材育成事業並びに県政課題貢献人材育成事業が新規重点施策として示されておりますが、1校当たり300万円という計算になりそうでありますが、どのような事業内容を計画し、その成果をどのように想定されておるか、お伺いいたします。
〇佐々木学校教育課総括課長 まず、お尋ねのございました地域おさらい教室支援事業についてでございますが、この事業は、今年度実施いたしましたこれからの岩手の教育を考える懇話会の中で、本県児童生徒には、放課後の時間等を使って学習する場所が必要ではないかという御提言をいただいたこと。また、学習定着度状況調査の結果等を踏まえまして、小・中学校の児童生徒の学習定着度を一層高めることが必要であるということから実施するものでございまして、地域ボランティアの皆様方の御協力を得て、教員との連携を図りながら、児童生徒の学習支援を行って、地域の児童生徒の学力向上を図ることをねらいとした事業でございます。
 実施方法についてでございますが、平成18年度は、沿岸・県北地域の市町村を中心として委託させていただきまして、市町村とモデル校が連携しながら、小学校では、中学年及び高学年、中学校では、第1学年から第3学年までを対象に実施する予定でございます。
 内容でございますが、学習定着度状況調査で明らかになっている課題を踏まえまして、小学校では国語、算数、中学校では国語、数学、英語、これらを中心とした教科の学習を支援することを予定しているところでございます。教室の開催は週2回程度予定しておりまして、1回につきまして2時間程度を予定させていただいております。
 なお、年間、大体30週から35週を想定いたしまして、総時間数としては120時間から140時間程度実施をする予定でございます。
 次に、県北沿岸地域人材育成事業並びに県政課題貢献人材育成事業についてでございますが、まず事業の趣旨について申し上げますと、県北沿岸地域人材育成事業は、将来の県北・沿岸地域の産業興振、地域づくりを担う人材を育成するために、生徒が希望する高い専門的知識を習得するための大学進学等を実現できるように、学校の取り組みを支援するというものでございます。
 また、県政課題貢献人材育成事業は、本県の課題であります地域医療を担う医師や県民の暮らしを守る活動をする弁護士、あるいは先端的で高度な技能を持つ研究・技術者等、将来の本県を支える人材を育成するため、生徒が医学部等の難関大学・学部への進学希望を実現できるように、学校の取り組みを支援しようとするものでございます。
 事業の計画でございますが、本事業は生徒一人一人の大学進学希望を実現するために、各学校がそれぞれ取り組みを計画して行うものでございます。各学校における取り組みとしては、三つ大きく考えているところでございます。
 まず第1点目は、生徒の意識高揚あるいは啓発ということでございます。これらは、当該の学校の教諭はもちろん、外部講師による進学講演会や大学訪問の実施によってなし遂げたいというふうに考えております。
 2点目は、生徒の学力向上でございます。これにつきましても、当該学校の教員並びに外部講師による課外、小論文講座、あるいはサテライト講座、これはいわゆる予備校等が実施しているサテライト講座でございますが、そういうようなものを導入するということを考えております。
 それから、3点目といたしましては、教員の授業力の向上でございます。これにつきましては、先進校の視察あるいは予備校等が主催する教員研修等への参加、外部講師による教員向け小論文指導講座等の実施を考えているわけでございます。
 これらの事業の実施に当たりましては、事業実施校が合同して開催する特別講座や学習合宿等を企画するとともに、近隣の他の学校や県内の各地の学校へも参加を呼びかけまして、広域的な取り組みになるように配慮したいと考えております。
 また、その成果をどのように想定しているかということでございますが、各高校が設定した目標とその取り組みを支援することにより、生徒の意識高揚や学力の向上を一層図るとともに、教員の進路指導、教科指導全般の指導力を高めて、生徒の持つ高い進路目標を実現させることによって、将来の本県を支える人材を育成できるものと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員長 執行部に申し上げますが、答弁は簡潔にまた明瞭にされるように求めます。
〇吉田昭彦委員 懇切丁寧な説明ありがとうございました。
 地域おさらい教室支援事業でありますが、学力向上という観点でのお取り組み、大変敬意を表するわけでありますが、あわせて、いろいろ防災それから福祉関連においても、地域でのいわゆるキョウドウ、ともに仕事をするという協働ですが、そういう形に変わっておるわけでありますので、あわせて食育等もいろいろ言われておりますけれども、このボランティアの方々を活用しての学力向上、地域の中で、その地域の産業なりそれから歴史、伝統、そういうものについて、小学校段階でいろいろ教え込むということは大変重要ではないかと私思うわけでありますが、多分、総合学習でやっておりますという答えが返ってくるのではないかと思いますが、もっと体系的にそういう形の教育を小学校段階で地域をわかってもらうと、産業なり歴史、伝統をわかってもらうと、そういうことをぜひこのおさらい教室の中で取り組むと効果が大きくなるんではないかと、そのように思うわけでありますが、この点に関してお伺いいたします。
 それから、先ほどの県北沿岸地域人材育成事業、県政課題貢献人材育成事業、非常にすばらしい取り組みということで、私、これは敬意を表するわけでありますが、ただ、県北沿岸の人材育成とそれから県政課題貢献人材育成ということで、区分けをされているのがどういう意味合いなのか。これはやっている内容は、多分先ほどのお答えによりますと、どちらも同じような形態で取り組まれるというふうに私理解をいたしましたけれども、今、県北・沿岸振興が際立って言われているので、こういう形の区分けをされたのかなと勝手に理解をしたわけでありますが、その県北沿岸人材育成と、それから県政課題の人材育成と区分けした趣旨がどういうところにねらいがあったのか、それをお伺いしたいわけでありますが、その際に、こういう事業を、さらに11校から適用校を拡大するお考えがあるかどうか、その点についてお伺いいたします。
〇佐々木学校教育課総括課長 初めに、地域ボランティアの活用でございますけれども、これにつきましては、御指摘いただきましたように今回は学習指導の方でございますが、これまでも総合学習等で地域の文化等を教えていただける、そういうボランティアの方々にお手伝いをいただいてきたところでございますので、今回の学習指導のための人材とともに、あわせて考えてまいりたいと思っております。
 それから、県北地域並びに県政課題の人材育成事業を二つに分けた理由でございますけれども、先ほど委員おっしゃいましたとおり、県北・沿岸地域の人材の育成ということが一つの大きな課題となっているところから、そういう観点もございました。
 それから、もう一つの理由でございますけれども、先ほど目的の違いで申し上げたわけでございますが、実施方法にも若干違いがございます。まず、沿岸県北地域の方でございますけれども、これは交通事情等によりまして、各校が合同でいろいろな事業をするというのは非常に難しいということから、単独事業が中心にならざるを得ない。それに対して、県政課題の方のいわゆる沿線地区の方でございますけれども、これは複数校の合同の取り組みが可能というような、取り組みの仕方の違いがまずございます。それから、県政課題の方では、医学部等のこういう難関の学部等にも対応できるように区分したといいますか、生徒の進学の目的に合わせた講座をかなり細かく設定したいと考えているところでございます。
 それから、最後でございますけれども、外部の大学の先生でございますとか予備校の講師の先生でございますとかをお呼びしたいという場合でも、なかなか沿岸・県北地域の場合には交通事情等もございまして、長期間そういうことを実施するということが難しいということもございまして、沿岸・県北地域につきましては、サテライト事業のためのハード・ソフトの整備などを考えているわけでございます。それに対しまして、県政課題の方につきましては、外部講師による講座が中心になるものと考えております。
〇吉田昭彦委員 それでは、もう一点お伺いいたします。
 併設型中高一貫校導入の取り組みについてお伺いいたします。
 昨年の7月に県立高等学校新整備計画の成案が公表されたことに伴いまして、昨年9月に岩手県新しいタイプの学校に関する検討委員会の設置によって、協議、検討され、その内容が1月30日の同検討委員会で報告書案として示され、検討委員会で協議されたと伺っております。そのことを踏まえて、いずれ最終報告書として教育長に提出することになると思うわけでありますが、そこでお伺いいたします。
 検討委員会での協議経過と、意見、提言を踏まえての検討委員会での意見集約の方途、最終報告書の内容はどうなっているかお伺いいたします。
 それから、検討委員会での報告を踏まえての開設までの検討課題とスケジュールについてお伺いいたします。
〇藤原高校改革推進監 お尋ねの新しいタイプの学校に関する検討委員会での検討経過と報告内容についてでありますが、この検討委員会は、昨年9月に第1回を開催し、以来、先月まで6回開催してきたところであります。また、これに先立ちまして、この委員会の前身である岩手県中高一貫教育検討委員会が、平成15年7月から継続して調査検討を行ってきております。本県における中高一貫教育校としては、併設型が望ましいのではないかとの方向性を確認し、昨年9月からの現在の委員会において検討を重ねてきたところでございます。検討委員会では、併設型中高一貫教育校やコミュニティースクールといった岩手県における新しいタイプの学校について、専門的な観点や幅広い見地から調査検討を行い、その結果を教育長に報告するものでございます。報告書の内容につきましては、現在、委員長、副委員長が取りまとめを行っているところでございます。
 また、その中身について、モデルタイプについてですが、三つのタイプがその討論の中では出てございます。一つ目は、次世代リーダー育成タイプ。二つ目は、芸術・スポーツ・語学タイプ。三つ目は、中山間地域の担い手育成タイプというこの三つでございます。
 この三つのタイプは、全国の中高一貫教育併設型に主に見られるものでございまして、これらをたたき台として検討をいただいたものであります。これらの中で、本県の医師や弁護士の不足を解消するなど、将来の岩手県に貢献できる人材や、芸術やスポーツのような育成に時間のかかる分野のスペシャリストの育成も必要であることから、1番の次世代リーダー育成タイプをベースに、2番目の芸術・スポーツ・語学タイプを加味したタイプが望ましいのではないかという方向に集約されたところでございます。
 また、三つ目の中山間地域の担い手育成タイプについては、導入地域における児童生徒や保護者にとって学校選択の幅を狭めることや、望ましい学校規模の確保が困難と考えられることから、本県で導入するタイプとしては、適切ではないとの意見が委員会の大勢でありました。
 今後のスケジュールについてでありますが、今月中に検討委員会から県教育委員会に対し報告をいただく予定でありまして、その後、来年度、18年は県教育委員会として併設型中高一貫教育の導入の決定、公表、そして19年、20年度には、開校の準備、そして21年度の開校に向けて準備を進めたい、このように考えているところでございます。
〇吉田昭彦委員 モデルタイプについての説明、検討経過もお答えありましたが、そのことでお伺いいたします。
 平成17年度の全国の設置校数は42都道府県に173校設置をされて、そのうち32都道府県で複数設置をしていると伺っておりますが、本県は御案内のように、面積的にも、また、今回の広域振興圏の設置から見ていろいろ地域地域の特徴があるわけでありますが、そういう観点を加味した場合は、1校に集約するのが本県にとっていいのか、連携型で葛巻、軽米においてモデル的にやっておられるのと同様に、そういう形態で併設型も各地に配置をして検討するということも今後の検討過程の中で重要なことではないかと思いますが、その点に関してもう一度お伺いします。
〇藤原高校改革推進監 併設型中高一貫教育というのは、6年間の一貫教育を基本としながら、既存の中学校、高校のよさも取り入れた柔軟な仕組みでありまして、これまで本県における連携型中高一貫教育の成果を踏まえ、新たに導入するタイプとして、併設型がふさわしいということで討論を進めてきたところでございます。
 そして導入につきましては、委員の皆様からも、通学が容易な沿線部にまず1校を導入することが適当であろうと、このような意見集約がございました。そして、導入後の成果と課題の検証を十分に行いながら、次の導入について検討することが適当であると、このような討論内容でございました。
〇吉田昭彦委員 決して地域エゴで申し上げるわけではありませんが、やっぱり全県1校となると、そういう答えに集約されるのではないかと思うわけでありますが、しかし、教育の機会均等なりそれぞれの地域の特性に合わせて新しい形態の高校教育、中等教育を考えるということからすれば、もっと考え方を幅広く、いろんな地域で検討するということが重要ではないかと思うわけであります。
 そこで、通学を前提とするということになっているようでありますが、それぞれの形態で、それら寮制もあってもいいのではないかなという考えも出てくるんではないかと思いますが、そこで、今回の岩手県新しいタイプの学校に関する検討委員会の前に、岩手県中高一貫教育検討委員会が設置をされて、その中でもいろいろ検討された経緯があるようであります。その中では、県民への十分な周知と合意形成、準備期間の十分な確保、地域的なバランスを図って中等教育の充実を図るべしというような報告内容になっていると伺っておりますが、このようなことも考え合わせた上で、今後2年間、いろんな角度から検討されて導入、開設をされると伺いましたけれども、この検討期間内に、果たして沿線1カ所でいいのか、それとも地域地域の特徴に合わせて配置をモデル的に検討することも必要なのか、その点についてもいろいろ検討すべきではないかなと、そのように思うわけでありますが、教育長、いかがでしょうか。
〇照井教育長 委員会からは、今、担当課長が説明申し上げましたように、まずは1校これを整備して、その運営等の検証を経て次の展開というふうなことでございますので、いずれ、私どもとしても、まずはこの1校の整備に全力で取り組みますが、その後の展開等については、それとあわせて検討してまいりたいというふうに考えております。
〇佐々木順一委員 県北地域の人材育成事業についてお伺いします。
 県北・沿岸地域を特定されておりますが、県南、県央には人材育成は必要ないということなのかどうか、まず1点聞きますし、それから、一定の地域に特定の事業を導入されるということは、教育に関してですが、教育の機会均等という考え方に反するような感じも受けますが、この点、どのように考え方を整理されているのか、手短にお伺いいたします。
〇佐々木学校教育課総括課長 まず、県央部でございますけれども、先ほどの県政課題貢献人材育成事業の6校につきましては県央部の学校を指定しているほか、他の大学進学希望者がいる学校等も巻き込みながら広域的な事業を行いたいというふうに考えているところでございます。
 もう一点でございますけれども、教育の機会均等という観点から事業を集中するのはどうかということでございますが、先ほど申し上げました他校も巻き込んでということがもう一つございます。それから、この二つの事業のほかに進学目標達成推進事業というものがございまして、これらは、この11校を除いた学校につきまして、希望により、1校当たり平均すれば約90万円程度のそういう大学進学等への取り組みの支援をしたいというふうに考えておりますので、大学進学希望者に対する支援は広く行われるものというふうに考えております。
〇嵯峨壱朗委員 関連させていただきます。
 私は、県北沿岸地域人材育成事業対象校の出身でございますけれども、そういった意味で言うと、対象にしていただいて感謝申し上げたいと思います。
 先ほど説明を聞いておりましたけれども、この県政課題と県北沿岸との事業内容の説明と、そして差異の説明をしておりましたけれども、それだけですと、なぜ分ける必要があるのかという、その部分がちょっと理解できない。これは課長では答えられないと思うんですけれども、もっと違った理由があるんじゃないですか。広域的にばらばらだからどうこうという問題だけじゃないんじゃないか、こうやって見ると。明らかに、どう見ても進学校と、ちょっと進学校と、その違いだけじゃないですか。そうじゃないですか、背景には。どうですか、教育長。
〇照井教育長 今、県政の最大の課題としては、県北・沿岸地域の振興、とりわけ産業を興して経済を活性化して地域の活力を高めるということが私どもに課せられた課題でございます。その場合に、そうした将来の地域の産業を支える人材を、私どもは、基礎部分といいましょうか、支えるということで、将来、例えば県北・沿岸地域で起業、業を興すとか、あるいはそうした専門的技術等を持って誘致企業で中心となって働いていただくとか、いずれ、一つにはそういうことを目的に考えております。
 それから、県政課題の方については、例として先ほど挙げましたが、医師を目指す子供たちを見ますと、どちらかといえば、こちらの東北本線沿線地域に在学している生徒に多ございます。ですから、そういったことなどもいろいろ見まして、それでこういうふうに二つに分けたものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 その発想だとすれば、じゃ、県北・沿岸地域の人たちは地元に残って地元の企業のために稼げというふうにも最初の説明だと理解できますし、あと、後段の説明ですと、むしろ医師の少ない、弁護士の少ない、そういった地域じゃないですか、この沿岸・県北というのは。そして、久慈高校もそうですけれども、医者になる人も結構いますよ。教育長の出身の県政課題貢献人材育成事業対象校ではないですけどもね、やはり背景にはそういった意識があるんじゃないですかね。分けるということが私は理解できない。目的は、子供たちがどういう進路にするかというのは学校で決めることじゃないですからね。ちょっと発想に、何というかな、先ほど佐々木順一委員の方から話がありましたけれども、機会均等も含めて、平たく言うと差別的な発想があるんじゃないですか、どこかに背景として。わからないではないけれども。これを分ける理由が、私はやっぱりよくわからない、その説明だと。
〇照井教育長 この二つですが、それぞれの地域地域の抱えている課題、地域の皆様のニーズ等がそれぞれございます。それから、もちろん在学生のそうした将来に対する進路の希望等もそれぞれございます。そうした背景などを踏まえて、二つにこのように組んでみたものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 子供たちは、地域の課題解決とかニーズにこたえるために勉強しているわけじゃないんですよ。それは全然違いますよ。まあ、そういうこともあるでしょうけれども、自分はこれからどうしようか、自分の未来のために勉強しているわけですよ。それをこういうふうに、今の教育長の発想だと、やはり疑問を持たざるを得ないです、私は。変だと思いますよ、発想が。もう一回ちゃんと説明してもらわなきゃ困る。
〇照井教育長 学校教育の目的でございますが、これは改めて申し上げるまでもなく、人格の完成、心豊かでたくましい人間形成を目指して、子供たち一人一人が自己実現を図れるように支援していくということであろうかと思います。しかし、一方で地域からは教育に対して、将来の地域を支えたり、地域の発展とか振興に貢献する人材を育成してほしいという要望・期待もまた大きいものがございます。そこで、地域づくりというものの基本は人づくりであるという認識のもとに、地域に有用な人材を育成するということも教育の大きな役割であるというふうに考えます。特に、これからの人口減少社会で地域の発展を考えた場合には、先ほど申し上げました産業を興して地域経済の活性化を図って、その地域の活力を高めていくということがやはり重要であろうというふうに考えます。また、子供たちも、やはりそうした専門的な知識とか技術を身につけて、将来、社会で活躍し、貢献したいという希望を持っております。そのような地域や生徒のニーズとか、地域のそういった課題、特性を踏まえて、そうした地域の皆さんなり生徒の期待にこたえていけるように、この事業を組んでみたものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 全く納得できないですけれども、一生懸命頑張ってやってください。お願いします。
〇佐々木一榮委員 ちょっと経過についてお伺いしたいと思いますが、実は県北・沿岸振興本部で、昨年の12月だと思いますけれども、この二つの事業を、新年度新規でこうやって掲げるに当たって、17年度に他の執行部、知事部局とどのように調整をし、また、これは教育委員会の発想なのか、どのようにしてこの事業自体が出てきたものなのか、この経過についてお伺いしたいと思います。
〇照井教育長 この事業につきましては、いわゆる政策形成プロジェクトの議論・協議で、やはりそれぞれの子供たちの自己実現ももちろんですけれども、地域のそうした課題に何とかこたえられる、将来の地域を支えるそうした人材の育成をやはり教育サイドからも進めていかなければならないと。もちろん、ものづくり等は商工労働観光部等とも一緒にまたそれはそれでやっていきますけれども、その基礎であるまず教育の部分、ここをしっかりと充実して、そして、そうした人材を育成していこうということでこの事業を提案するものでございます。
〇佐々木一榮委員 さっき言いましたように、県北・沿岸、振興局再編に絡んで議論が12月議会ということになりますけれども、その後、ですから、その政策形成プロジェクトの会議で、人材育成で弁護士または医師確保もこれまで議論があったとおりでありますが、県北・沿岸の振興ということが出てきたのは、はっきり言って、つい最近のことなんです。ですから、そのプロジェクトを経て、教育委員会では、これを教育委員会の事業として挙げるのに内部でどのような議論をされてこられたのでしょうか。また、そのほかの有識者の方々、いろんな検討会なり、そういったところでは議論はなかったのでしょうか。
〇照井教育長 私どもは、冒頭申し上げましたけれども、これまで各学校の課題、ニーズ、もちろん地域の課題も、学校に対してどういう要望・希望を持っているのか、それらを昨年春からいろいろ直接校長先生などからもお聞きしたところです。そうしましたら、やはり地域からは高校に対する期待がいろいろあるわけですが、その中で、先ほどの例えば医師の確保のために医学部に希望する生徒の進路を確実に実現できるよう、そういうような教育の充実を求める声であるとか、あるいは産業のそうした振興を図る上で高度な技術・知識等を有する人材等がなかなか地域に不足しているので、そういった人材を育ててほしいとか、いろいろございました。それらを踏まえて、また、県の方の大きな政策の方向であるただいまの県北・沿岸地域あるいは県政課題等にこたえられるように、そういうことで秋から検討を進めてきて、そして、ただいまの政策形成プロジェクトで議論して御提案しているものでございます。
〇佐々木一榮委員 先ほど嵯峨委員から、久慈高校からも医師が結構出ているという話がありましたけれども、県央・県南6校を絞ったり、県北・沿岸でそういった形で決めるよりも、県内全域で、例えば医師なら医師、弁護士なら弁護士――久慈は弁護士もいないんですね。そういった意味でも、そういう分野別というか、専門分野別に、例えば県全体で県教委が専門家、リーダーを育てていく。それから、当然大学の推薦も含めていろんな指導を強力にやっていくという考え方は途中でなかったんでしょうか。
〇照井教育長 ただいまの御指摘の点でございますが、いずれ、私どもとすれば、この事業は1校の取り組みだけにとどまらないで、今御指摘のありましたように、例えば医師を目指す生徒、医学部に進学する生徒向けのそうした講座等を長期休業中などにどこかで開設して、それに全県から参加できるような工夫なども、今、各高校にお願いしているところでございます。
〇伊沢昌弘委員 私もこの関係で御質問させてください。
 今、教育長の説明の最後、すべての学校がいろんなそういったものができるということであれば、なぜ11校、それもなぜ県央部は県政課題に必要な医師という部分を入れてやっているかと。県北・沿岸にかかわらず、佐々木順一委員が最初の関連で、中央だって工学を含めたいろんなものが必要ですよと、こういうのがあるわけです。私はその辺の御所見を聞きたいのと、それから、これは11校で割ると1校300万円の計算ですね。すべてというのではあれば、工業高校を含めての部分と、それから進学をやっている普通高校、総合学科高校等々いろいろあると思うんですが、やっぱり別ないろんな意味で全県がわかるような形でやるべきじゃないでしょうか。11校に絞ったというのは、一般質問の中でも、差別をやっぱり助長するんじゃないかという部分があったんですけれども、その辺について私も理解できないので、御所見をいただきたいと思います。
〇照井教育長 決してこの取り組みは学校間のそうした取り扱いに差異をつけようということではございませんで、それぞれの地域、学校のそうした課題、ニーズをまず十分踏まえて、その上で何が最も効果的なのかということでいろいろ検討させていただきました。それで特に、たまたま医師の例が出ていますが、沿岸・県北地域で医師のそういうあれはしないということではなくて、ですから、県北・沿岸地域の学校でも医師を目指す方々への何かコース別のそういう指導を充実するとか、当然、そういうことも各学校では、もし需要があれば、できます。いずれ、各学校のそうした今のようなニーズ等を踏まえてやるんですが、決してその学校だけでそういうことでとどまるのではなくて、周辺の同じ医学部を目指す子が、地域のほかの高校にもいれば、その子供やあるいは指導する先生方にも呼びかけて、その地域なりで一緒にやっていこうということです。
〇伊沢昌弘委員 簡潔にというのは十分承知しているんですが、聞かせてください。
 県政課題貢献人材育成と県北沿岸、これは5校と6校に分けたというふうに私たちは承知しているんですが、今のお話ですと、分けないんですか。分けてなくて、とりあえず11校をこの部分に含めてやるというのであれば、今の教育長の御説明はストンと落ちるんですよ。そこはどうなんですか。分けるべきでないと私は思っているんです。今のような話であれば、すべての県立の高校が、いろんなサテライト、衛星放送等々を使ってやるよというのであれば、何も11校に限る必要はないんじゃないかなと。ただ、設備の面でお金がかかる。1校300万円だけ、いわばそういう受像装置ができるとかというふうな形であるのであれば理解をするんですが、とすれば、5校、6校に区分をするべき必要はないと私は思うし、今後、予算をつけながら、将来的に全部の高校に広げるという話であれば私は理解するんですけれども、いかがですか。
〇照井教育長 今の分けた関係でございますが、何度も繰り返しになりますけれども、地域のニーズとか課題をまず踏まえたということ。それで、取り組む中身的には確かに共通するものがございますけれども、やはりそれぞれのニーズに合った特色ある指導をするには、例えば今、例などに出ている医師を目指すあれについては、やはりそれ向けの例えば授業の中身などもちょっと違ってくるというようなことで、そうした希望者の特に多いところにそういった部分の役割をお願いして、そしてほかの高校でもそういった希望をする子がいる場合には、その子も参加できるような、そういう方途を考えているものでございます。
〇伊沢昌弘委員 全然イメージはわかりません。私はやっぱり分けるべきでないというのと、それから、分けてないというのであれば、そういうスキームを書いた、もしあれでしたら、資料をいただけませんでしょうか。前にももらっているとすれば大変恐縮なんですけれども、今いろいろ議論されているのは、5校、6校に分けるべきでないと私も思いますけれども、それらの考えと、すべての高校ができるんだというふうな意味でとれるのかどうか。なぜ11校なのか、そこの部分も含めたものをぜひいただきたいと思いますけれども、委員長、お取り計らい願います。
〇工藤大輔委員長 執行部と確認しまして処理をしたいと思いますので、御了承ください。
〇佐々木大和委員 みんな関連が出ましたけれども、申しわけありません。
 県北・沿岸地域の高校の就職状況を見ますと、ほとんど地元就職がないということで、県内であれば、比較的行っているのが、やはり北上周辺の工業団地が多いわけですけれども、そういう実態を考えますと、高校の現状からいくと、そこの地域で望んでいるものが、そのままの今の提案のような人材育成のときに、県北・沿岸振興の対象の農林漁業とか観光とかという分野がテーマになっていますけれども、その他の部分でいきますと、やはりいざ就職というときにはほかの地域に出てしまう。そうすると、目的の人材育成ではないのではないか。人材供給のための教育に変わる危険性がある。実際は有効求人倍率を見た場合に、地域で対応できるところまで行ってないのが実態ですね。そうなれば、地域で望む人材というのは起業家です。事業を生み出す人の方を求めているんです。そこに今のような提案で絞っていくと、そのような人材が育つとはとても考えられない。ぜひそこは検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇照井教育長 先ほども申し上げましたけれども、いずれ、県北・沿岸地域について、今後、産業振興ビジョンなどをつくって、沿岸・県北地域のそうした産業の振興、活性化を図るためいろいろ諸施策を推進してまいりますが、委員が御指摘のような、そうした産業を興す、起業できる、例えばそういう能力などを養うためにやはり大学に進学したいという希望をする子供がおりますので、そうした子供たちのそうした進路が実現できるように、この取り組みを支援しようというものでございます。
〇佐々木大和委員 いずれ、その課題は県政課題として明確なわけですので、そういう意味では、中学生、高校生にも県政課題を認識してもらう。そして、その教育をした成果によって起業家が生まれてくるという段階があるんだろうと思うんです。そういう意味で、私どもは前に提案したことがあるんですが、パブリックスクールの話が教育委員会から出ていますけれども、チャータースクールをやっぱり取り上げる時期が来ているんじゃないか。目的を持った学校、そういう意味ではこのチャータースクールは、私どももアメリカの視察の際にその報告の中でしているわけですけれども、今みたいに岩手県が県政課題を明確に持って、そしてまた医師とか弁護士とか、そういう教育もしなければならない。まさにチャータースクールの出番ではないかと。そういう教育方法をやはり教育委員会でもっともっと柔軟に検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇藤原高校改革推進監 先ほども申しましたとおり、新しいタイプの高校ということで、中高一貫教育のほか、現在はコミュニティスクールについては調査・研究を岩泉町において進めさせていただいているところでございます。委員御指摘のチャータースクール等につきましては、今後とも検討してまいりたい、このように考えております。
〇工藤勝子委員 地域おさらい教室支援事業についてお聞きしようと思っていましたけれども、吉田委員から詳しくお聞きになりまして、御説明もありましたので省きたいと思いますけれども、若干、ちょっと疑問に思った点を質問させていただきたいと思います。
 これは、やはり学力向上のためにこの支援事業をしようということだろうと思っておりました。ですけれども、小学校では国語と算数、中学校においては国語、数学、英語に絞るというような御答弁だったんですが、質問に対して、総合学習というような方向に検討もしたいというお話がございましたけれども、この点について、絞るならきちっと絞ってやってほしいという私の意見であります。それで、この点について、また総合学習の方に転向しようとしているのかというようなことを聞いてみたいと思いますし、本日の教育委員長の演述におきましても、ここの中からゆとりという言葉が一つも出てまいりませんでした。ということで、ゆとり教育から、今度はこういうまた方向転換をしようとしているのかというような点についてお聞きしたいと思います。
〇佐々木学校教育課総括課長 まず、お尋ねのございました総合学習との関連でございますが、先ほどの私の説明がちょっと舌足らずだったんだと思いますけれども、総合学習の中でこういう学習活動、おさらいについてやるということではございません。先ほども御指摘いただきましたように、現在は地域の歴史でございますとか地理・文化、そういうようなものを教えてくださいますボランティアの方々を、小・中学校、高校とも地域の方から学校に来ていただいておりまして、ある程度の数になっておりますけれども、今回は教科指導ということでございまして、これもまたさまざまな、数学とか国語に限らず、いろいろな地域学習について知見をお持ちの方々ではないかと思いますので、今回、そういう学習活動のボランティアで集まっていただける方々も、今、総合学習で活躍していただいているボランティアの方々と一緒に、今後さまざまな学校教育活動にお手伝いをいただけるようなボランティアのデータベースといいますか、そういうことを考えていきたいというふうに申し述べたわけでございまして、総合学習の時間にこういうおさらい学習というような教科の学習を入れるということではございません。
 それから、ゆとり教育との関係でございますが、現在、ゆとりの中で基礎・基本をしっかりと身につける、確かな学力を身につけるということが課題となっているわけでございます。この基本的な方向は誤っているものではございませんで、私どもは、この週5日制の土曜・日曜を基本的には地域に返すという形のそういう方向は誤ってはいないと思いますが、しかしながら、基礎・基本を身につけるという部分で具体的にどのような方策をとれば確かな学力が身につくのか、そういうようなことを検討しているわけでございまして、その一つの方策として、やはり岩手県の子供たちは、これは調査でも明らかになっておりますが、特に小学校時代は家庭学習の時間も全国と余り違いはないんでございますけれども、特に中学校2年生以上になりますと家庭学習の時間が極端に減るというようなこともございますので、そういうようなところを、こういう地域のおさらい教室等で支援することによって改善を図ることで、確かな学力が身についていくものというふうに考えているわけでございます。
〇工藤勝子委員 地域の歴史とか文化を研究している人たちが入ってきまして、こういうおさらい教室をして、確かに学力が伸びるかなというような疑問点を私は持っているところでもあります。ですから、何に目的をきちっと絞ってやるのか、本当に地域学習をするのか、そういう歴史や文化を、地域のものを学ぶのか。そうではなくて、やっぱりきちっと放課後を利用しておさらいをさせて学力の向上の方に結びつけようとしているのか、その方向をきちっと見定める必要があるんじゃないかなと、私はそう思います。ですので、その点についてもう一度聞きますし、もう一点、通告はしておりませんけれども、高校再編によって本校に統合される学校が出てきます。例えば遠野の情報ビジネスの宮守分校が遠野高校に統合されることに計画がされております。あそこの校舎があいてくるわけですね。本校に統合することによって、あそこのすばらしい景観に建っている整備された校舎があいてくる。多分、県内にもそういうところが出てくると思うんですが、その点について、例えばそういうところの今後の活用とか利用の仕方を検討段階に入っているでしょうか、その点をお聞きしたいと思います。
〇佐々木学校教育課総括課長 地域おさらい教室につきましては、これは学習指導に特化したものでございまして、地域学習はここではいたしません。
〇千葉学校財務課総括課長 高校再編、高校の統合等に伴う跡地利用でございますけれども、原則的には、その地域の活性化に資するよう地元市町村と相談しながら検討していくということにしております。これまで高校再編で廃校となりました校舎、分校も含めまして6校ございます。旧千厩高校、岩泉高校小川校、黒沢尻南高校、一関農業高校、久慈商業高校、久慈水産高校の6校ございます。このうち、既に譲渡等を行いまして活用されているのが岩泉高校の小川校と黒沢尻南高校の2校ございまして、現在、久慈商業高校について、久慈市から、近くの中学校を移転して使いたいという要請がございまして、その方向で手続を進めているところでございます。こういった形で統合後も、県民の貴重な財産でございますので、地元と相談しながら有効活用を図られるように努めてまいりたい、こういう形で進めておるところでございます。
〇工藤勝子委員 そうすれば、遠野市、地域との話し合いの中で、宮守のあそこの情報ビジネス校の検討はまだしてないということでよろしいですね。
〇千葉学校財務課総括課長 計画には統合ということで載っておりますけれども、具体的なところを検討委員会等で相談していくということになっていくと思いますので、それらの過程で検討されていくということで、まだ具体的に相談は地元とはしておりません。
〇工藤勝子委員 それでは、提案をして御所見をお聞きしたいと思うんですけれども、例えば遠野地区で養護、結局、障害を持った子供たちが花巻、釜石、盛岡の方で教育を受けている状況であります。そうすると、両親たちの送迎の負担もあるようでございますけれども、やはりそういう地域の子供たちが、地域で、生まれたところで両親のもとから通園できる、そういうシステムづくりというのは非常に大事ではないかなと。小さなところで、そういう障害を持った子供たちが本当に自分の地域で暮らすということが非常に望ましいと思うんですね。ですから、例えばそういうあいたところの校舎を、今度、そこの教育を養護学校みたいな形、分室でもいいですけど、やっていただいて、さらにそこで教育を受けながら技術を磨いて、さらにそこで作業所みたいな社会参加ができるような一貫したことをやっていただきたいと思うんですけれども、宮守の情報ビジネス校のそういう考えについて、ちょっと御所感をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇佐々木学校教育課総括課長 現在、県教育委員会では、盲・聾・養護学校の再編整備計画に係る検討を進めているところでございますが、その中で、一部の地域につきましては、小・中学校の空き教室を活用した分教室の設置などにつきましてもいろいろ検討しているところでございます。したがいまして、そういう小・中学校の空き教室を活用した分教室にするのか、あるいはそういう県立学校のあいた施設の活用の方がいいのかというようなことにつきましては、今後、該当する市町村との協議を行ってまいりたいというふうに思います。
〇工藤勝子委員 ぜひ、岩手型みたいな形で、こういう子供たちにも光の当たるような教育、そして自立に向けて社会参加できるような方向に御検討をお願いしながら、終わりたいと思います。
〇新居田弘文委員 3点ほどお伺いします。
 一つ目は、県教委では新年度から県立高校に副校長及び指導担当教頭を設置するというようなことで新聞に報道されておりますが、従前の教頭制に何か問題があったのか、あるいは反省すべき点があったのか。あわせて、新しい制度によりましてどのような点に期待を込めているのか、その辺についてお伺いします。
 二つ目は、学力向上対策について伺います。新年度予算でもいろんなメニューを掲げて取り組みの姿勢が出ておりますが、今月7日、岩手、宮城、和歌山、福岡の4県で実施した統一学力テストの結果が公表されております。小学校の5年と中学校の2年生が対象でありますが、正答率では、小学生は4教科すべてが最高となったものの、中学生は数学、英語は最下位であったというようなことで公表されておりますが、まず、県教委ではこの点をどのように分析して評価されていますか。そして、学力向上のための今後の対応について御所見を伺いたいと思います。
 なお、昨年の高校入試の結果の状況等、あるいは学習定着度調査等にもあらわれておりますように、特に本県では数学、英語が他県に比べて非常に低いというようなことでもありますので、その点をお伺いします。
〇青木教職員課総括課長 副校長、それから指導担当教頭についてのお尋ねでございます。
 まず、副校長についてでございますが、これは、従前の県立学校の教頭の名称を副校長といたしまして、あわせて校長に集中している権限の一部を副校長に委譲しようというものでございますが、その背景でございますけれども、現状では、県立学校におきましては校長に権限が集中しているということで、校長は出張が多くて不在がちであるということで、書類の決裁等の事務が滞って教職員の多忙化の一因になっているということがございます。また、校長が多忙であることから、校長がマネジメントの業務に集中できなくなっているということがございまして、副校長制を導入することによりまして校長から教頭への権限を大幅に委譲することによりまして、学校の判断、対応のスピードを速め、組織的で機動的な学校運営ができる組織体制をつくっていきたいというふうに考えているものでございます。
 その具体的な効果といたしましては、まず、教頭につきまして、学校経営を担う管理職としての権限の拡大を図るということで、学校組織における経営能力の向上を図るということと、機動的・効率的な学校運営を進めることができるというものがございます。
 2点目としましては、教頭に対して校長権限を大幅に委譲するということで校長の多忙な業務を軽減し、校長が学校のマネジメント業務に集中することができる。
 3点目としては、その権限拡大ということで、現在の教頭が主体的かつ自立的な判断で対応することができるようになるというような効果が期待されるものでございます。
 次に、指導担当の教頭についてでございますが、これは、高い専門性に裏づけられた卓越した指導力を有する教員を教頭として処遇し、生徒への教科指導ですとか部活動等の指導に当たるとともに、そのすぐれた指導力を有する分野につきまして他の教員に対する指導・助言に当たろうというものでございます。あわせて、その教頭につきましては、副校長と同じく教頭としての位置づけということでございますけれども、マネジメントを担当しないということ、教える力ですとか指導力を重視するということから、副校長の名称ではなく教頭の名称をそのまま使用するということを考えているものでございます。
 その背景といたしましては、本県におきましては、高い専門性に裏づけられましたこういう指導力を有する教員に対して相応の処遇を行い、その指導力を生かして他の教員に対して指導・助言を行うという制度がございません。ですから、こういった制度を導入いたしまして、教員の意欲の一層の向上を図るということと、学校における指導力の一層の充実を図ろうということで考えているものでございます。
 その効果としては、具体的に3点ほど期待される効果がございます。
 1点目としては、管理職にならずに生徒に教えることに専念している指導力にすぐれた教員について、管理職に準じた処遇の改善を図るということで、教員としての意欲を一層高めることができる。
 2点目としましては、指導力のすぐれた教員が管理職となって授業から離れるということによる学校の教育力の減退を避けることができる。
 3点目としましては、指導力のすぐれた教員から他の教員に対し、その指導方法のノウハウ等を伝授することによりまして、教員全体の指導力の向上につなげることができる、そういったような効果を期待しているところでございます。
〇佐々木学校教育課総括課長 まず、お尋ねのございました4県統一学力テストの結果でございますけれども、地方分権研究会の分析によりますと、各県、この4県の正答率の間には大きな差というものは認められないという発表がなされております。本県におきましては、小学校5年生のすべての教科において、中学校2年生の国語、社会、理科の3教科につきましては、正答率が他県に比較しまして上回っております。しかしながら、中学校2年生の数学、英語の2教科の正答率は最下位となっているところでございます。昨年度に比較いたしまして、中学校の社会と理科は回復傾向にございますが、数学及び英語は期待正答率よりも下回っている問題数が多いということ、それから、全般的に中学校の正答率は、昨年同様、小学校より低い状況にあると言えると考えております。
 今後の学力向上の対策でございますけれども、まず1点目に、正答率の低い問題につきまして、児童生徒が改めて再学習ができるような時間の確保、こういうものに努めてまいりたいというふうに考えております。
 2点目でございますけれども、特に数学と英語につきましては、授業の改善に向けました教員研修を実施したいと考えております。
 それから、教員研修の中身でございますけれども、一つは、教育事務所が主催して数名のチームをつくりまして、英語、数学の効果的な指導のプランをつくるということ。もう一つは、数学と英語の学力向上担当の指導主事が中学校を訪問いたしまして、直接授業に関する指導を行って教員の指導力の向上を図りたいというふうに考えております。
 また、4点目としまして、少人数指導などにより、児童生徒一人一人に対してきめ細かな指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
〇新居田弘文委員 ありがとうございました。副校長あるいは指導担当教頭についていろいろ説明がありましたが、ただ管理の御理解にとどまらないで、学力向上につながるような取り組みをお願いしたいと思います。
 それから、今説明がありました学力向上対策についてでございますが、実はことしの1月11日、県議会教育問題研究会の調査活動の一環としまして、福岡県の筑紫野市立筑紫野南中学校を訪問する機会がありました。授業参観に引き続きまして同校で取り組んでおります学力向上プランの説明がありましたが、本当に静かな授業態度あるいはいろんな教科の取り組み等、いろいろ説明がありましたが、その内容によりますと、全国的な学力定着度調査というものの中で、特に1年生では国語、社会、数学、理科の4教科、2年から3年は英語を加えた5教科すべての平均得点が、全国平均に比べまして10ポイントないし20ポイント以上の成績で、特にも英語につきましては20ポイントから25ポイントぐらいの高い成績で推移しているような説明がございました。非常に参考になる取り組みだということで感心してまいりましたが、その中で紹介されましたのは、いわゆる教師の授業に取り組む態度あるいは熱意、指導方法について、教師間のいろんな評価もありますが、加えまして保護者とか、あるいは生徒本人からの評価制度も導入しているということで、行った先生方もそれぞれびっくりしましたというか、その熱意のほどに感心したわけでございますが、岩手県でもいろいろ先生の指導力アップのためには取り組んでおりますが、このような評価制度も取り入れる非常に大きな参考になるのではないかなという印象を持って帰ってきたわけですが、その辺について、事務局も参加して、多分報告もいただいていると思いますが、教育委員会としまして、その辺の評価なり見解についてお伺いしたいと思います。
〇佐々木学校教育課総括課長 筑紫野南中学校の取り組みにつきましては以前から話には聞いておりましたけれども、先日の先生方の調査の結果を受けまして、その資料もいただきまして、つぶさに検討させていただきましたが、非常に見習う点が多い取り組みをなさっているというふうに思っております。一つ、二つの取り組みではなくて、生徒指導から進路指導、学習指導まで一貫して非常にきめ細かい取り組みを行っている学校でございまして、なかなか全国にもそう多くはない取り組みをなさっている学校ではないかなというふうに考えております。
 その中で、特に今御指摘のございました先生同士の授業の評価をなさっているとか、あるいは生徒、あるいは保護者の方々から、その先生の授業を評価するという制度、こういうようなことを非常に活発に行っているということを伺いました。本県の取り組みでも、一部そういうことをやるようになっておりますが、まだまだ十分ではございませんので、そういうようなところに、私どもも今後、教員の評価につきましても、授業の評価でございますけれども、これについても取り組んでまいりたいというふうに考えております。
〇青木教職員課総括課長 教職員の資質向上の面につきまして私から御答弁申し上げますが、筑紫野市のこのような取り組みは、教員がみずからの教育活動を振り返り、その資質・能力を向上させるというためにその目標を掲げて、それを自分で評価する手法ということで導入しているものというふうに受けとめているところでございます。
 本県の取り組みでございますけれども、今年度の後半からでございますが、教員自身の教育活動の目標ですとかその振り返りについて、校長との対話によりまして指導・助言を受ける仕組みとしまして、教育活動支援・育成プログラムというふうに申しておりますが、こういった仕組みを県立学校に試行的に導入してございまして、来年度から本格的に導入したいということで進めているところでございます。
 このような教員の人材育成、資質向上のためには、教員がみずから目標を掲げ、さらにみずからその教育活動を客観的に振り返る。それを、校長や同僚教員からの指導・助言を受けながら改善を進めていくということが重要であるというふうに考えておりますことから、このような教育活動支援・育成プログラムというような取り組みを今後とも充実させていきたいというふうに考えておるところでございます。
〇新居田弘文委員 今、いろいろお話がありましたように、後半は取り組むということですので、ぜひ効果の出るような取り組みを期待しております。
 最後になりますが、スポーツの振興についてお伺いします。
 県は、県民に夢と感動を与える県民スポーツに力を注ぐとしておりまして、先ほど、教育委員長の演述の中にも触れられておりました。その中で、国の制度としてスポーツ交流員制度があり、あるいはその中で県内の高校にも外国人指導員を受け入れ、具体の指導を受けていると聞いておりますが、今までの受け入れの実態とその成果はどういうふうになったのか、簡単で結構でございますが、お聞きしたいと思います。
 また、新たにスタートする岩手県スポーツ特別強化指定校制度についてですが、高校生の選手強化、競技力向上のための有効な制度であると思っております。特色ある学校づくりにも有益であると考えておりますが、18年度の指定校予定を見ますと、応募方式と言いながら地域的に偏在していないのか、あるいはもう少し小規模高校にもその機会が与えられないのか、その辺について御所見をお伺いしたいと思います。
〇高橋スポーツ健康課総括課長 ただいま質問のありました一つはスポーツ国際交流員の招致に関係する部分についてでございますけれども、現在の配置状況は、不来方高校にハンドボールでもって韓国から招聘してございますし、沼宮内高校にはホッケー競技でもって同様に韓国から指導者を招聘してございます。さらには前沢高校にバドミントンでもってインドネシアから指導者を招聘しております。その後につきましては、セーリング、ヨットの関係で宮古高校の方に指導者をニュージーランドから招聘して配置するということで予定してございます。今の競技はいずれも国体、インターハイ等で大活躍をしてくれまして、本県の競技力向上のまさに中心的な役割をしていただいておるということもございまして、SEAのスポーツ国際交流員の制度の有効性を認識しているところでございます。
 それから、もう一点のスポーツ特別強化指定校並びにスポーツ強化推進校制度についてでございますが、もう既にスポーツ特別強化指定校につきましては20部ほど教育長が記者会見して公表いたしまして、新聞等でも発表してございますが、現在、それとあわせましてスポーツ強化推進校という公募制のものを募っているところでございます。2月末で締め切りさせていただきまして、それぞれ基準を満たして、意欲のある学校、競技が名乗りを上げてきてございます。現在、その選考の作業中ということで、間もなく、強化推進校と優秀な指導者をあわせて選考いたしまして公表できるというふうに考えてございますが、いずれ、それぞれ選定条件をクリアして、あとは意欲を持って、学校の特色を出してというふうな形で応募してきているところもございますので、そういうところを総合的に勘案して選定されるということになろうかと思います。その中にはいわゆる小規模校と言われるような高校も応募してきてございますので、いずれ、公表をお待ちいただいて御判断していただければというふうに考えてございます。どうぞよろしくお願いいたします。
〇飯澤匡委員 ちょっと確認だけさせていただきます。
 新居田委員の質問の中で、副校長制度のこれから来年度の取り組みについてですが、教頭に校長から権限委譲すると。具体的にはどのようなことを権限委譲するのか、これは確認の第1点と、それから、今まで校長会という中で、対外的なものが多過ぎて自分の高校のマネジメントができないというような話が出た中でのこういうお話になったのかどうか、その2点をまず確認させていただきたいと思います。
〇佐々木学校教育課総括課長 具体的な副校長への権限の委譲の中身でございますけれども、まず、具体的には、校長には学校経営計画の策定とか、教育目標の決定でございますとか、入学許可者の決定、あるいは非常勤職員の任免など重要な事項、副校長には、教務に係る一般的な事項の決定でございますとか、職員の日常の服務監督、休暇の承認でございますとか、旅行命令いわゆる出張の承認でございますとか、このあたりが非常に多いわけでございますが、こういう日常の服務監督、それから部活動等の計画の決定、寄宿舎の管理運営等に当たることにより、校長のかなりの事務が低減できるというふうに考えているところでございます。
〇青木教職員課総括課長 副校長制とその権限委譲の関係でございますけれども、本年度でございますが、合計で20回以上にわたりまして県立学校の校長、教頭、教諭等と私どもの教育長及び教育次長との意見交換会を行ってきたところでございます。その中におきまして、県立学校におきましては校長に権限が集中しており、例えばPTA会費等の相当な数に上ります生徒徴収金に係る会計、これをいわゆる私費会計というふうに呼んでございますけれども、そういったものの支出の決済ですとか、部活動指導手当等の支給に係る確認等の事務ですとか、あるいは全教職員の旅行命令及び旅行完結確認に至るまで、校務の全般について校長の決裁が必要であるということで、校長は出張等で不在になることが多くて、多忙のために事務処理がおくれることが多いというようなお話をいただいております。校長の権限を教頭等の教職員に対して大幅に委譲してほしいというような意見や要望が数多く出されたという事情がございます。
〇工藤大輔委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後 0 時 休 憩
   午後 1 時 3 分 再 開
〇伊沢昌弘副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇嵯峨壱朗委員 私の認識が違うのであれば、そう言っていただければいいんですけれども、最近の県の考え方の中で、人材育成という考え方の中で、これは一定の評価はしますけれどもという前提のもとです。産業界とかの企業に求められる人材を、県がみずから積極的に養成しているというふうな感じがするんです。これは一定の意味があるかと思っておりますけれども、そういったことが本来の教育という観点から見た場合にどうなのかなというのが、最近気になっておりました。
 午前中の教育長の予算の説明の前段で、県が重点的に取り組む政策の方向性を考えながらというふうなことがございましたけれども、その点で、こういった認識が、私の認識が違うといえば違っていいんですけれども、ちょっとそういう感じがしていたので、気になるので、そういった点での教育長の見解をお聞かせ願えればと思います。
〇照井教育長 午前中の答弁と重複するかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
 私は、学校教育の目的というのは人格の完成、心豊かでたくましい人間形成を目指して、子供たち一人一人が自己実現を図れるように支援していくということにあると思います。一方で、地域からは、教育に対して将来のそういう地域を支え、地域の発展に貢献できる、そういう人材を育成してほしいという期待も、また大変大きいものがございます。そこで、やはり地域づくりの基本というのは人づくりであるということを基本認識のもとに、地域にとって、有用な人材を育成するということも、教育の大きな役割の一つであると認識しています。
 近年、技術革新とか産業構造の変化とかで、地域からは、そういう地域の産業を担う高度な専門的な知識とか技術とか技能を持っている、そういう人材であるとか、あるいは幅広い知識、技術を持っていろんな経済社会の変化に柔軟に対応できるような、そういう人材の育成というのが求められています。そして、子供たち自身も、そうした専門的な知識とか技術などを身につけて、将来、そうした社会で活躍することを希望しているところです。このため、やはり地域や生徒の皆さんのそうしたニーズとか地域のいろんな事情、産業であればそういった特性とかそういったものなども踏まえて、将来の地域を担う、地域の振興、発展を担う人づくりを進めて、地域のそうした期待にこたえるのが、教育に携わる我々の責務と考えております。
〇嵯峨壱朗委員 今教育長から説明いただいた、そういった点も確かにあるかと思っております。そうした中で、やはり忘れてはいけないのは、例えば関東自動車を新たにつくるような人材とか、例えば、そういった意味で本来であればもっと、何というか、即戦力もいいんですけれども、これから何かを生み出していくとかというふうな、そういった視点もぜひ中に入れていかなければだめじゃないかという気がしているんです。その点もぜひお聞かせをいただきたい。
 それともう一つ、久慈東高校の一連の不祥事というんですか、そういったことについてちょっとお聞かせ願いたいんですけれども、本年度の入試の実施要綱が外部に流出したという記事が出ておりましたけれども、これは実際に合否には関係ないということなそうですけれども、昨年度も、期末試験の答案の一部が紛失したという事故があったんですね。今年度のこういったことを受けて、流出の経緯、その原因を徹底的に調査し、厳正に対処したいというコメントをしているようですけれども、その後どういうふうな、調査した結果、今どういうところに至っているかお聞かせ願いたいと思います。
〇照井教育長 前段の方の、やはり私ども教育に携わる者は、子供たちのそうした進路、これを実現できるように支援していくということが最も基本であると考えます。そのときに、将来みずから業を起こす、起業するとか、そういうたくましい人材に育ってほしいということで、いろいろ小さいときからきちんと将来に対する目標を持って、そしてその目標に向かって努力していくと、そういうことが大切であり、私ども教育に携わる者はそれをしっかりと支え、サポートしていくということで、今後、特にキャリア教育などの充実により一層努めてまいりたいと、このように考えております。
〇佐々木学校教育課総括課長 久慈東高等学校における入学者選抜についての内部資料の流出についてでございますが、経緯でございますけれども、既に新聞報道にあったとおりでございますが、3月6日の学力検査前の日でございますけれども、会場の準備をしている間に、職員の一人がどこか校内に置き忘れたのではないかという可能性が、現在のところでは一番強いのではないかと思います。その後、外部に流出した経緯はわかりませんが、3月7日に、夕方6時10分ごろ、学校教育課に、久慈市内の中学校3年生の保護者と名乗る男の方から、入試前日に、久慈東高校へ受験会場の下見に行った受験予定の3年生が、面接順番等を記載したプリントを校舎の中で拾って、見た後に捨てたと言っているという内容の電話がございました。これを受けまして、学校教育課では、直ちに校長に対しまして、そのような内部資料を紛失した職員がいないかどうか調査するよう指示をいたしましたが、6時を過ぎておりましたので帰宅してしまった職員がかなりおりまして、一斉の調査はできなかったようでございます。そこで、3月8日の水曜日の、これは検査の2日目でございますが、校長が朝会で職員に聞きましたけれども、お昼ごろに、職員の一人が紛失したことを申し出たということでございます。当該職員は、資料が見当たらなかったため探しておって、校長への報告がおくれたということでございました。そういうことをしている間でございますが、同じ3月8日の午後に、岩手日報の久慈支局にこの内部資料が郵送されてきたということで、この支局の職員の方が久慈東高校長に面会を求めてまいりまして、その郵送物を持って来校され、校長がその郵送物を見て、久慈東高校の内部資料に間違いないということを確認したというのが経緯でございます。
 この資料は、入試業務の運営のためのものでございまして、合否に直接影響するような資料ではなく、入学者選抜学力検査そのものは問題になることはないと考えておりますが、しかしながら、このような内部資料の流出につきましては、同校において、昨年、定期考査の答案用紙が紛失するというようなこともございましたので、なぜこのようなことが起きたのか、調査をしてまいりたいと考えておりますが、現在、3月15日が県立高校の合格発表の日でございまして、採点、集計並びに選抜の会議が続いているところでございまして、校内に入りましての本格的な調査というものはできない状況にございますので、合格発表の3月15日以降、本格的に調査をいたしたいと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 15日以降に内部の調査も含めてということで、私は新聞の情報でしか聞いておりませんが、そういった形で、徹底的に調査をすると理解していいんですね。
〇佐々木学校教育課総括課長 先ほども申し上げましたように、紛失したことは確かでございますが、それが学校の外に出たのはなぜかということにつきまして、徹底して調査してまいりたいと思います。
〇千葉康一郎委員 私から二、三点質問をさせていただきたいと思ったんですが、実は午前中に高校再編に伴う廃校の利活用、それから処分計画並びに県立盲・聾・養護学校の件につきまして工藤勝子委員の方から質問がありましたので、これは省略をいたしたいと思います。
 ただ、その中で1点だけお聞きいたしますけれども、高校再編整備計画の前期計画中、高校の環境整備の件なんですが、未整備の施設があるのかないのか。あるとすれば、どういうものが未整備となっているか、その辺をお伺いしたいと思います。
〇千葉学校財務課総括課長 再編整備に伴う施設整備関係、環境も含めてでございますけれども、大体、再編時に検討委員会等で検討された事項を計画的に整備してきておりまして、ただ、千厩高校のグラウンド、あそこは当時二つグラウンドがありまして、一つの方を転用して校舎を建てて、現在一つ使っているということで、将来的なグラウンドを整備する必要があるということで考えているところはございます。
〇千葉康一郎委員 千厩高校のグラウンド整備のことが出ましたのでお伺いしますけれども、いずれこの件につきましては、前に一般質問等でも申し上げました。千厩高校は統廃合、この整備計画が前期第1号でございます。統合してから間もなく5年を経過しようとしておりますが、いまだにグラウンドが整備されておりません。これは、前にも申し上げましたけれども、生徒は旧千厩高校、廃校になった高校のグラウンド、そこまでは約2キロちょっとあるんですけれども、そこに通って体育授業等を行っておるという状況でございます。そこまで行くには、一つは時間のロスもございましょうし、それから、交通事故という問題も考えられるわけです。そういうことが危惧されるわけでございます。したがって、地元としても、一日も早くグラウンド整備をしていただきたいということがあるわけでございますので、この計画が進まない理由というのは、財政的な問題が一番だろうと思いますけれども、できるだけやっていただきたいと。それから、その後、統合してもなかなか整備が進まないものがあるとすれば、教育環境の整備という観点から、ぜひこれは全県的に進めていただかなければならないと私は思っております。
 千厩高校のグラウンドがなぜここまで延びてきておるのか、計画にのっていないのか、その辺をお伺いしたいと思います。
〇千葉学校財務課総括課長 千厩高校のグラウンド整備でございますけれども、平成14年の統合時、クラブ活動で野球部が旧校舎の方を使いまして、他のサッカー部等、これは従前どおり新校舎のグラウンドを使うという計画でスタートしておりますけれども、現在は、新校舎よりも旧校舎の方のグラウンドが広いというようなことがございまして、サッカー部も含め、ほとんどのクラブが――学校の方から聞きますと1.2キロほどということですけれども、旧校舎の方を使って活動しているという実態にございます。
 そこで、グラウンドの今後の整備ですけれども、生徒の利用実態がこのようにあることに加えまして、校内に整備するとしますと農地を転用せざるを得ないというようなこと、それから、それに伴って農業の実習を含めた教育活動をどのようにしていくのがよいか、それからまた、委員御指摘のとおり、整備には多額の経費がかかりますので財政状況はどうか、さらには、旧校舎の全体の跡地利用をどのように活用していくかというようなところを総合的に考慮しながら、さらに検討してまいります。
〇千葉康一郎委員 今、お答えをお聞きしたわけですけれども、事情がわからないわけではございません。ですが、やはり高校教育、これを確かなものにするためには高校内で進めていくべきであろうと思いますので、この辺については、今後、一日も早く実現されるように、これはお願いをしたいと思います。
 次に、文化財保護推進費に関連しまして、平泉の文化遺産、これをユネスコの世界遺産登録への実現のための普及啓発事業、これについてお伺いしたいと思いますが、この事業、今後どのように進めるかということでございます。
 まず、総括質疑の中で、佐々木一榮委員が、100万都市仙台に設立されました岩手を応援する会の鬼の手会というのがあるんですが、そこの件でいろいろ質問されたんですが、観光面について、観光というか、この面について私の方から質問したいんですが、世界遺産登録への運動、これを鬼の手会が宮城県内に広める宣伝活動を行っているわけでございます。岩手ユネスコ協会の連盟会長である安藤教育委員長は、鬼の手会が応援しているこの活動をどう受けとめ評価されておるのか、教育委員長からまずお伺いしたいと思います。
〇安藤教育委員会委員長 平泉の文化遺産の世界遺産登録に関連しまして、仙台でつくられております鬼の手会の活動に関する所感についてのお尋ねでございますけれども、この岩手を応援する鬼の手会は、平成16年5月に発足して以来、仙台市民に対して、平泉の文化遺産の世界遺産登録を積極的にアピールしていただいているところでございます。それが岩手県にゆかりのある方々が、県外において広報活動を展開されているというところに大きな意味があるのではないかと考えておるわけでございますが、これは本県の風土、人情の魅力を示すものとして大変うれしいことでもあり、また、ありがたいことだと、こんなふうに思っております。
 鬼の手会の結成のきっかけをつくった事務局を担当しておられますのは、元本県の商工労働観光部の次長を務められました小野寺彰さんという方なわけですけれども、現在は、仙台ユネスコ協会の理事長をお務めでございまして、私もそういう面で親しくおつき合いをいただいておる方でございます。そういう点で、大変心強く、また心から感謝を申し上げておるところでございます。
 このきずなを今後もますます強めていきたいと考えておるわけでございますけれども、本県としての世界遺産登録への取り進めにつきましては、冒頭の教育委員長の演述の中でも触れましたけれども、現在、官民挙げて取り組んでいるところでございまして、今後ともまたよろしく御指導いただきたいと、このように思います。
〇千葉康一郎委員 この鬼の手会以外にも、仙台には在仙岩手県人会なりあるいは仙台のユネスコ協会もあるわけでございますが、こういう団体が世界遺産登録、これはやっぱり仙台で応援しているわけですが、この鬼の手会を含めてこれらの諸団体との連携を図りながら、100万都市仙台あるいは仙台圏への広報活動を展開、これからどんどんやっていただきたい。それから、仙台以外に東北各県人会等があると思いますけれども、そういうところへ広報活動をしていただきまして、何とか登録実現に向けてひとつお願いをしたいと。
 そこで、教育委員会の先ほど説明ございましたが、もうちょっと詳しく今後の取り組みあるいは方針をお聞きしたいと思います。
〇中村文化財・世界遺産担当課長 平泉の文化遺産の世界遺産登録に絡みまして、仙台圏への広報活動の方針等といったことでございますけれども、これまで仙台圏への広報活動といたしましては、仙台市の旅行代理店と連携を図りながら、修学旅行で平泉を訪れる生徒たちにパンフレット等を配布して、事前勉強の機会に資するというようなことをやって取り組みをしてきたところでございます。
 また、世界遺産登録をより確実なものにしていくためには、県内はもとより、県外からも多くの御支援をいただきながら進めていくことが重要であると考えているところでございまして、今後、平泉の文化遺産を広く県外に周知していく上では、仙台圏に対する普及啓発は非常に重要なものと認識しているところでございます。このため、今後とも、鬼の手会を初めとしまして、在仙岩手県人会、仙台ユネスコ協会などの関係団体と相互に連携を図るとともに、県の商工労働観光部や平泉町とも協力しながら、平泉の文化遺産を紹介するパンフレットの配布を初めとしまして、ビデオの上映やパネル展の開催などを行いますほか、鬼の手会の総会などの機会を活用いたしまして、本県の世界遺産登録にかかわっている学識経験者の方々の御協力もいただきながら、平泉をアピールするための講演などを実施することも検討してまいりたいと考えてございます。
 今、御指摘もございましたように、また、仙台圏のみにとどまらず、その他東北各県の御支援もいただくというようなスタンスもあわせて持ちながら、普及活動を充実させてまいりたいと考えているところでございます。
 なお、本年12月に、仙台市で、仙台ユネスコ協会主催の設立60周年記念事業として、ユネスコの世界遺産展が開催される予定でございまして、それらも連携して協力しながらアピールしてまいりたいと考えております。
〇千葉康一郎委員 いずれ、平成20年の登録に向けて、大いに頑張っていただきたいということを申し上げまして、終わります。
〇高橋雪文委員 私からは、大きく3点についてお聞かせいただきたいと思います。
 まず最初に、教育委員長の演述に関しまして二つほどお聞かせいただきたいと思います。
 まず、今回要旨をお聞きしまして、中1ギャップというような言葉が出ました。初めて私は聞いた言葉でありまして、イメージはよくわかるんですけれども、予算書の中でも、2億円余りの予算配分をこの事業で計上もしていると。この実情についてわかりませんので、その実情についてお知らせいただきたいと思います。
 そして、もう一つでございますが、学校、家庭、地域、行政が連携した心豊かな人づくりということでありますが、近年、弱い者が暴力で子供たちを加害するというような、そういう犯罪が非常にふえておりまして、子供を持っている私にとっても、非常に不安を持つものであります。
 先般、このはばたけいわてっ子というところで、特集で、教育委員会、いろいろ対応していただいていると、非常に感謝を申し上げたいと思うわけでありますけれども、これに対する取り組み、もう少し具体的に教えていただければと思います。
〇佐々木学校教育課総括課長 まず、中1ギャップのことについてでございますが、これは、小学生までは不登校の児童数がそれほど多くないのでございますけれども、中学1年生になった途端に、およそ3倍から4倍ぐらいまで増加するという現象を指しまして、中1ギャップと呼んでおります。
 本県におきましては、平成16年度のデータでございますが、例えば小学校6年生の段階で、60名という不登校児童の生徒数が報告されておりますけれども、これが同年、中学校1年生では219名と、3倍以上の不登校児が発生するというような状況でございます。これの解消をするために、次年度、特にも中学校入学者につきまして手厚く指導するとともに、小学校と中学校の連携を図りまして、中1ギャップの発生数を抑えていきたいと考えているところでございます。
 それから、次に、子供たちを守る取り組みについてでございますけれども、学校の安全確保につきましては、家庭あるいは地域それから関係機関・団体との連携が必要であることはもちろんでございます。今年度は、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業というものを奥州市と矢巾町で実施しております。この事業は、防犯の専門家あるいは警察官OB等を、スクールガードと呼んでおりますが、地域学校安全指導員に委嘱いたしまして、学校の巡回指導等に携わっていただけるスクールガード、これもまたスクールガードという組織を編成いたしまして、子供たちを守るというような事業を展開しておりますが、来年度につきましては、これを県内のすべての市町村、すべての小学校を対象にして実施したいと考えております。
 それから、携帯電話、パソコン等のITを活用いたしまして、不審者情報を初めとする、子供の安全に関する情報を地域で効果的に使っていただくための調査、研究も行いたいと考えているところでございます。
 いずれ、今後一層、学校、警察、地域の関係団体が連携いたしまして、不審者情報を共有することや、防犯教室、防犯訓練などの取り組みを推進して、児童生徒の危険予測の能力や、あるいは危険回避能力を高めるように努めてまいりたいと考えております。
〇高橋雪文委員 中1ギャップですけれども、その理由、一番多い理由などがあれば教えていただきたいと思います。
 また、スクールガードについては、ぜひ推進をしていただきたいと思うわけでありますけれども、地域の実施主体、こういうものとの連携も実は非常に重要になってくるのではないかと。地域に知っている人たちの目があるというのは非常に重要であって、そういう地域のコミュニティーが、この犯罪防止に非常に役立つという実例もあるわけでありますが、この対応についてはどのようにお考えなのか、お示しいただきたいと思います。
〇佐々木学校教育課総括課長 まず、中1ギャップでございますけれども、中学生になって不登校状態になる子供の数が多くなる直接のきっかけでございますが、これは、小学校までは不登校状態になる直接のきっかけで一番大きな理由は、本人に起因するという部分と、それから親子関係をめぐる問題というのが、この二つが小学校の場合には非常に多ございますが、中学校になりますと、トップに来るのが、友人関係をめぐる問題になるという調査結果が出ております。小学校にはなかった部活動でございますとか、そういうような活動も入ってまいりまして、やはり同級生あるいは上級生とのそういう関係をめぐるさまざまなストレスも起因しているのかなというふうに思っているところでございます。
 それから、地域のコミュニティーづくりでございますが、これは、作年度末に全国で発生いたしましたさまざまな事件を受けまして、現在、小学校区単位でそれぞれ、特にもPTAの方々、それから地域の老人会の方々、それから商店会の方々、こういうような方々を中心に、特にPTAが積極的に、そういう子供たちの安全を守るための取り組みを展開しているところでございます。
〇高橋雪文委員 それでは、次の項目に入りたいと思います。
 何度か決算、予算の中で、私、学校現場における性教育についてお聞きしておりますけれども、前回の決算特別委員会で、今後検討委員会などをつくったりパンフレット、リーフレット、その中で検討していきたいというお話もございました。その後どのような形で推移して、今年度どのように取り組んでいかれるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
〇高橋スポーツ健康課総括課長 平成17年9月に、本県の小・中学校及び盲・聾・養護学校の小学部、中学部を対象に、性に関する指導についての調査を行い、その後、その結果を取りまとめ、学校で保有しております性教育教材の使用状況などを把握することができました。また、小学校、中学校とも、9割以上が、児童生徒の反応や感想などを把握しながら、指導を行っていることなどもわかりました。一方、発達段階に応じて指導を行う際の基準をどのようにとらえればよいのかわからないなどの声もありました。
 その調査結果に基づきまして、平成18年2月に、各市町村教育委員会及び小・中学校に対しまして、児童生徒の発達段階を考慮すること、保護者の十分な理解を得ながら進めることなど、適切な指導を行うよう、再度、周知徹底を図ったところでございます。
 また、本県としましても、調査の結果に基づきまして、文部科学省が作成しました資料や他県の例などを参考とし、専門家――県医師会を初めとする関係者の助言等もいただきながら、現在、本県独自のリーフレットの作成を進めておりまして、18年度早々に、小・中学校及び県立学校に配布したいと考えているところでございます。
〇高橋雪文委員 先般、1年間ほどこの問題でお話をさせていただいていたんですが、非常に現場でも混乱があると。ここでしか言っていないことでありまして、余り公にしていかないという、そういう思いでやってきたわけでございますけれども、それでもかなり混乱があるということで、やっぱりこの基準を明確にしていくということが大事だろうと。そこから性教育についてもいろいろと議論をしながら、形を変えていきながらそして進んでいくんだろうと思いますので、ぜひお願いしたいところでございます。
 それでは三つ目でございますが、心の教育、道徳、倫理についてお話をさせていただきたいと思います。
 近年、被害者となる子供たちも多いわけでございますけれども、加害者となる場合も非常に多くなっている。特に、本県の中学生、高校生による犯罪などがふえてきていると。都市型の問題だということで言われていたわけでありますけれども、この東北地区の岩手県においても、このようなゆゆしき事件が非常にあると。
 また、1月に行われました盛岡市の成人式、この場でも、非常に混乱を来して全国的に盛岡の、岩手県の教育は非常に揺れているわけでございますけれども、この件につきまして、県の教育委員会としての取り組み、これをどのように考えておられるのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
〇佐々木学校教育課総括課長 県としての取り組みについてでございますが、人間としての基本的な倫理観、あるいは規範意識を醸成することが大切だとまず第一に考えておりまして、小・中学校の道徳の授業を一層進めるとともに、家庭や地域と連携した道徳教育の推進、あるいはさまざまな体験活動を通じまして、子供たちのストレスに対する抵抗力を高める、こういうことをいたしまして、生徒個々に応じたきめ細かな指導を充実させていきたいと考えております。
〇高橋雪文委員 今の答えを聞いて、納得できるような答えであったかというのは、ぜひ教育委員会の皆様方にも感じていただきたいところであります。要は、私は危機感が教育委員会全体に欠けているのではないかと強く思います。
 一方で、教職員の不祥事、こういうものがいまだになくならない。特に、お酒を飲んで運転をするというのが軽犯罪なのかどうかはわかりませんけれども、その認識に対して、非常に低い認識を持っておられるような現状があります。ここも教育に携わる人、間違いも当然教師としてもあるのはそれはわかりますけれども、やはり教師の倫理、道徳についても、もう一度議論するべき課題であろうと。危機管理も含めて、こういうものに対してどのように考え、どのように取り組んでいくのか、それを少しお話しいただきたいと思います。
〇青木教職員課総括課長 教職員の不祥事に関連をいたしまして、道徳・倫理観の形成についてでございますけれども、児童生徒、保護者、県民の学校教育に対する信頼や理解、期待にこたえていくためには、教職員一人一人に、教育公務員として求められる道徳・倫理観の徹底を図ることが極めて重要であるということから、これまでも、各種会議ですとか通知等により、繰り返し指導の徹底を図ってきたところでございます。特に、今年度からは、学校や教職員が自律的に、継続的にモラル向上に取り組むように、コンプライアンス──法令等遵守、推進体制の構築に努めてきたところでございます。しかしながら、ただいま委員御指摘のございましたとおり、1月に盛岡市内の中学校の教員が酒気帯び運転で検挙されるということなど、不祥事が依然として発生しているということで、教職員一人一人に対するこうした規範意識の徹底を図る取り組みがまだ十分に徹底をしていなかったのではないかと受けとめているところでございます。このため、教職員のそういう倫理観を徹底するためには、職場風土の醸成ですとか教職員の意識改革が必要でございまして、とりわけ学校長の役割が重要であるということから、学校長のリーダーシップのもと、繰り返し、まさに繰り返し教職員一人一人への意識づけを図っていく、徹底していくことが必要だろうと考えてございます。
 また、教職員が、日常の業務を遂行する過程でとるべき行動の指針となる岩手県教職員コンプライアンス・マニュアルというものを年度内に策定をいたしまして、教職員一人一人が、自分の行動、姿勢についてチェックするチェックシート、そういったものによって自己検証を行うことなどを通じまして、教職員の自覚を一層促していくこととしてございます。
 さらには、採用後の研修における服務ですとか公務員倫理に関する研修につきましても、これまで諸規程の理解を中心に研修を行ってきたわけでございますが、それだけではなくて、いわゆる社会規範ですとか社会のルールの遵守というところまで踏み込んだコンプライアンスの内容ですとか、社会人としての心構え、そういったことも研修の中に含めて、研修を充実させていきたいと考えているところでございます。
 このような取り組みを通じまして、教職員としての倫理観、規範意識のさらなる徹底を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋雪文委員 この心の教育、道徳、倫理というのは、非常に難しい問題であろうというふうには思うわけでありますけれども、やはり指導する教職員の道徳・倫理観がしっかり形成していなければ、やはり子供たちがその倫理、道徳の形成が実現するかというと、これは非常に難しいと思うわけであります。この辺を真剣に考えなければ、例えばいい教材があったとしても、それはなかなか子供たちに伝わらないと。
 例えば、文部科学省が、実はこの問題に積極的に提言をしていると。その一つが、心のノートというものでありまして、この心のノート、私も拝見させていただきましたが、非常に突っ込んだ内容であって、非常におもしろい。私はぜひとも普及して実現してもらいたいと、そういう内容であります。その心のノートの利用実績、そして教員の考え方、一部ではこれはよくないみたいなもので反対している方々もいるようでございますけれども、やはりこういうものを文部科学省、学習指導要領、そういうものに即して、こういう倫理、道徳を子供たちに伝えるならば、しっかりとその教職員がその認識を持ってこの問題に当たらなければならない。その辺をどのように考えておられるのか、お知らせをいただきたいと思います。
〇佐々木学校教育課総括課長 心のノートのことでございますけれども、まず、どのように利用されているかということでございますが、本年1月に、県教育委員会が行いました道徳教育の推進状況についての調査によりますと、この心のノートは、すべての学校において学校の計画に沿って利用されているところでございますが、学級別で見ますと96.9%という利用状況でございます。
 その利用の場面でございますが、道徳の時間はもちろんでございますが、そのほかに各教科、特別活動、総合的な学習の時間等において利用されているものでございます。
 各学校においては、この心のノートを年間計画に位置づけて、日常の活動や体験活動と関連させながら、子供たちの実態や家庭環境等にも配慮しながら使用をしているところでございます。
 具体的に申し上げますと、道徳の時間に補助的な資料の一部として使用して、自分の考えをまとめさせたり、あるいは日常生活のさまざまな場面で自由に書き込ませたりしておりますし、家庭に持ち帰らせて保護者と一緒に読んだり、話し合ったり、書き込んだりしながら、家族とともに生き方を見詰める機会にするなど、子供たちの心の育成に役立てているところでございます。
 96.9%の利用率ということでございますが、3.1%利用できていない学級があるわけでございますが、特殊学級などさまざまな事情もございまして100%にはなっておりませんが、先ほど委員御指摘がありましたように、文部科学省からは、積極的にこれを利用して心の教育に利用するようにということでございますので、私どもといたしましても、各学校には、これを利用した道徳教育について推進するように、お話をさせていただいているところでございます。
〇高橋雪文委員 長くなりましたが、最後でございます。
 この心のノートの利用実績、非常に高くて安心をいたしました。ただ、教師の教え方によって教え方が不十分であったり、あとはばらばらであったり、いろんな問題も含めてあるわけであります。今後ぜひとも研さんをしながら、互いに交流をしながら、いい使い方を徹底していただいて、心の問題、これ非常に難しくて1足す1は2を教える問題ではないので、その辺の工夫をぜひとも鋭意交流をしながら、いいものにしていただきたいと思うわけであります。
 また、子供たちの倫理・道徳形成には、こういうペーパーのようなものだけでは決して育たない。例えば課外授業のクラブ活動とかそういうものの人対人、教師対生徒、そういう本当に心の接点からしか、実は本当の意味での倫理、道徳というのは生まれないのだろうと思うわけであります。今、ただクラブの管理をしていればいいとか、そういう単なる仕事的な指導もされている方もおられるようでありますので、その辺も含めて、ぜひとも心の教育、道徳、倫理の形成に当たって邁進していただきたい。危機意識を持って邁進していただきたいと思いますので、最後に教育長の御所見をお聞かせいただいて終わらせていただきますが、もう一点、つけ加えてですけれども、コンプライアンスとかチャレンジとか横文字が非常に多いのが気になるので、その点もつけ加えておきたいと思います。
〇照井教育長 心の教育は何度も申し上げておりますけれども、知、徳、体、心豊かでたくましい人間を育てていくときの一つの大きな要素でありますので、この充実にはしっかり、御指摘のあったような危機意識なりを持って、授業なども工夫改善し、また、体験活動など、こういったものなども多く取り入れながら充実したものにしてまいりたいと思います。
 それから、横文字の関係等については、確かに物によってはまだ一般的になじんでいない場合もあるものもありますので、どなたにでもわかるような言い方に今後、いろいろありますけれども考えていきたいと思います。
〇平野ユキ子委員 私からは2点お伺いしたいと思います。
 1点目は、前にもお伺いしたことがあるのですが、県民の声でもう一度問い合わせがございましたので、再度伺わせていただきます。
 県の中学校体育連盟の総合体育大会への参加規約の見直しについてなんですけれども、昨年2月議会の中で、県の中総体への生徒の引率を教員に限定していることについて現況に合わないと、少子化に伴って個人競技に取り組むような生徒がいる中、教員の引率を維持するのは厳しいという状況、そしてまた、父兄からの声もあって、代理引率を認めるような形への規約の改定をお願いしたところでございます。その後、前向きに進んでいるとは伺っておりますが、その後の経緯と今後の方向性といったものをお聞かせ願います。
〇高橋スポーツ健康課総括課長 中体連主催の対外試合におけます参加規程の見直しのその後の動きについてでありますが、県中体連では、引き続き検討しました結果、平成17年11月の評議員会におきまして、引率者は任意保険に加入することや、参加に当たっては、校長の承認と市町村教育委員会の同意を要することなどを盛り込んだ参加規程の特例を設けまして、外部指導者の引率を認めることを承認しております。
 なお、その取り扱いの詳細につきましては、18年5月の評議員会で提案される予定であると聞いてございます。
〇平野ユキ子委員 ありがとうございます。早速に迅速にかつ適切な柔軟なる対応をいただきまして、まことにありがとうございます。全国大会や東北大会では既に認められていることで、時代の趨勢でもあり、こういった柔軟な対応というのは今後も望まれるところですが、ただいまのお話にございましたように、万が一の責任分担というのは、きちっとしておく必要があると思います。学校側だけとか、あるいは父兄側だけが責められるということがないように、責任分担を応分になるように決めた上で、ぜひ今後とも、これは地域力を生かした開かれた学校を目指すことになると思いますので、よろしくお願いしたいと存じます。これは、これにとどめておきます。
 次の2点目に移らせていただきますが、幼保一元化の総合施設のこども園の窓口の一本化につきましてお伺いいたします。
 先日、幼保一元化の総合施設、今年度から始まるモデル事業ですが、こども園につきまして総務部の審査の中で質問させていただきましたけれども、大変前向きな御答弁をいただいたと認識しております。その際、窓口の一本化が必要とする声があるということをお話しいたしましたが、その窓口がどこになるかという部分についてはそこでは出なかったんですが、これはこういう声があるということでお話をさせていただきますが、お伺いいたします。
 もし窓口が一本化された場合、教育委員会で窓口を受けてほしいという声もあるのですが、今窓口は御承知のとおり、総務あるいは保健福祉、教育委員会と三つに分かれていますが、これを幼児教育という観点から、教育上の観点から教育委員会で受けたら整合性が図られるのではないかという、そういう声がございますので、この意見につきまして教育長の御見解をお伺いいたします。
〇照井教育長 ただいま窓口の一元化につきましては知事からもお答え申し上げておりますけれども、このこども園といいますか、総合施設の数がだんだんふえて、やはりどうしてもこの場合は一本化した方がいいんじゃないかと、そういう声が高まったらその辺を考えていくということで、県の方でそうした統一的な見解をとって進めているところでございます。
〇平野ユキ子委員 余り今の御答弁ではお答えになっていないように感じるのですが、これからのことですから明確なことは言えないかとは存じますけれども、そしてまた、教育委員会で受けるというのは、制度上の大変難しい部分もあるかとは思いますけれども、そういう教育上の観点からということにつきましての教育長の御見解を再度お伺いいたします。
〇照井教育長 いずれ、これについては、今お話がありましたいろんな制度的な面でそれぞれまた課題もあるわけです。それで、まずは私ども教育委員会としては、総合施設における教育を携わる部分、ここの職員の研修の充実であるとか、あるいは幼児教育の研究部分、この辺などにまずは当面は力を入れていきたいと、そういうことによって、私どもの教育委員会としての役割を果たしていきたいと考えております。
〇平野ユキ子委員 実はこども園というのは、私立幼稚園がやるのが一番メリットがあると思われるんですね、そのあり方から考えて。今年度始まった場合に、そのあり方を見て、私立幼稚園で申請をする幼稚園がふえるのではないかと想定されるわけです。そういった状況にかんがみまして、窓口は多分一本化しなければならないという方向性でいくのではないかと思われるわけです。その中でこういう意見が出ているということにつきまして、教育長の御見解をお伺いしたかったのですが、いかがでしょうか。もし、あれであれば、お答えできる範囲までで結構ですので。
〇照井教育長 今の窓口の一本化の関係については、そういうことで、県としてはそうした総合施設がどれだけ設置されていくのか、その辺の状況を見た上で、窓口の一本化の検討もしていくということにしていますけれども、他県の例などを見ますと、教育委員会サイドで担当しているところもありますし、福祉サイドなどで担当しているところもあります。そうしたよその県のその辺の取り組みの状況などもいろいろ研究させていただいて、今後の窓口の一本化の検討に当たって、その辺参考にさせていただきたいと思います。
〇高橋比奈子委員 3点質問させていただきます。
 まず、平泉の世界遺産についてなんですが、222ページにさまざまな予算があり、現場の方々が一生懸命対応していらっしゃるのに敬意を表させていただきます。
 私の所属するNPOで、有用微生物群を使って、毛越寺の無量光院の跡のマツノザイセンチュウの入った松を、伐採を県がした後に助けるお手伝いをさせていただいたり、また、去年は、柳之御所の、県の職員の方が残された桜がこの工事の際に枯れてしまったということで、この桜を、地元の方々や東京のNPOの方々と一緒に助けるなどの御協力をさせていただいてきましたが、その中で、平泉の方々が、この整備に当たっては、道路がよくなり堤防ができて非常に便利になったと言っているんですが、東京などで活動している世界遺産にしようという会の方々は、コンクリートで固める方向は世界遺産に登録するのに逆行するのではないかと、こういう意見を国交省や県にお話ししているというのを私も何度もお聞きしているんです。それで、自然のままでいたらいいんじゃないかというような、東京方面の方々のNPOからの意見も届いていると思うんですが、予算いっぱいついていますが、今後のこの平泉の世界遺産に向けての方向性、あわせて世界遺産登録、まず第一歩はことしの7月とお聞きしているんですが、この登録の感触というのはどんなふうにとらえているかをお伺いしたいと思います。
〇中村文化財・世界遺産担当課長 高橋委員におかれましては、さまざまの平泉の世界遺産に対しまして御理解、御協力いただいております。本当にありがとうございます。
 景観に対する配慮等でのコンクリートのそういったお話があったところでございますけれども、現在あるものにつきましては、正直言って、すぐ取り壊してどうのこうというわけにはいかないのでございますが、そういった配慮につきましては、文化財保護法や市町村の景観条例を初め河川法や都市計画法など関連する法律との調整を図りながら、世界遺産としてのふさわしい景観の形成を図ることとしておるところでございます。また、今後整備が予定されておりますところの開発行為などにつきましては、今申し上げましたような法律に基づきまして、必要に応じまして開発事業者等を適切に誘導しながら、良好な景観の形成を目指してまいりたいというふうに認識しているところでございます。
 なお、この景観のことが世界遺産に影響していないかというようなこともあったわけでございますが、文化庁の方にも現地にいろいろ来ていただきながら、その景観等も相談しながら進めてございまして、ことし7月の推薦書提出に向けまして特段問題等を指摘されてございませんので、順調に推移しているものと認識しているところでございます。
 なお、予算の関係の中で事業のお話もちょっとあったかと思うのでございますけれども、今年度におきましては、県内向けといたしましては、平泉の郷土館におきまして平泉の文化遺産を紹介するパネル展を開催したり、盛岡地区におきましては講演会を開催、また、県内の鉄道でありますJR、IGR、三陸鉄道等におきましてもPRを展開してまいりたいというふうに考えているところでございます。(高橋比奈子委員「登録に向けた感触をお聞かせください。」と呼ぶ)
〇伊沢昌弘副委員長 登録に向けた感触は。
〇中村文化財・世界遺産担当課長 先ほども申し上げように、問題ないという認識でございまして、大丈夫だという感触を得ているところでございます。
〇伊沢昌弘副委員長 手を挙げてから話をしてください。
〇高橋比奈子委員 大丈夫だということで、これはきっといけるという意気込みではないかというふうに伺いましたが、関係者の方は本当に一生懸命やられているので、ユネスコ協会にも私は所属しておりまして、今度、全国大会も岩手県であるやに聞いておりまして、ここも大変バックアップしていただいているように思っておりますので、官民挙げて御一緒に登録に向けて頑張れればと思います。この件は、ぜひ今後も頑張ってくださいということで、次に行きたいと思います。
 209ページに、先ほど教育長の説明で、障害児が希望する学校に入れるようにということで、去年に引き続きLD、ADHDなどの児童に対しての予算がついているんですが、県の方々が、もう4年目ですか、5年目ですか、取り組んでいらっしゃることに非常に敬意を表しておりますが、この点で2点。
 一つは、盛岡市などは、私はずっと進めてまいりまして、取り組んでいるんですが、現在取り組んでいない市町村がありますよね。今後、こことどういうふうに連携をとられていくのかというのが1点。
 それから、身体障害者の方を含めて、希望する学校に障害児が通学できないということが現在もあるのか。これは以前あったという認識からお聞きしているんですが、現状がどうなのか。来年度はこれに対してはそういうことがないのか、どういう対応かという点をお伺いします。
〇佐々木学校教育課総括課長 まず初めに、LD児等が通常学級で学習する、それを保障するための予算等についてでございますが、本来、ADHD児あるいはLD児等は通常の学級で学習するのが基本でございます。しかしながら、障害児学級がない学校では、そういうような子供たちに対する知識理解のある教員が配置されてないという状況が見られますので、LD児等が入っている通常学級では、これも時と場合によってでございますけれども、指導するのが大変だ、困難だというような状況が見られるわけでございまして、そういう学校に、現在、かがやきプランということで非常勤講師を配置しているものでございます。市町村によっては独自に配置しているところもございますが、やはり市町村の財政事情等から、こういうような通常学級にそういう子がいる場合でも非常勤講師を独自につけるというのがなかなか難しいというふうに言われておりまして、現在、県の方である程度非常勤の講師を配置させていただいているわけでございますが、今後、市町村に働きかけを行いまして、非常に効果があると言われている事業でございますので、市町村の理解を得てまいりたいというふうに考えております。
 次に、障害のある児童生徒の就学先についてでございますが、まず、県教育委員会といたしましては、障害のある児童生徒に対しましては、一人一人のニーズに応じた適切な教育を行うことを基本にいたしまして、盲・聾・養護学校や小・中学校における特殊学級等の整備に努めているわけでございます。
 御指摘のございました肢体不自由児に対応する学校・学級につきましては、現在、県立の養護学校が2校設置されておりますし、市町村立の小・中学校には、小学校2校、中学校1校、計3校に肢体不自由児のための特殊学級が設置されております。障害のある児童生徒のそういう市町村立の小・中学校への入学につきましては、各市町村に設置されております就学指導委員会の場で総合的な視点から検討いたしまして、さらに保護者等の意向を確認しながら市町村教育委員会が決定することになっております。したがいまして、障害のある児童生徒を小・中学校に受け入れる場合、必要な施設設備の設置等につきましては、基本的には市町村の責任のもとで行われているものでございます。県の教育委員会といたしましても、適切な就学指導と入学後の十分な教育が行われるように市町村教育委員会の理解を求めていきたいと思いますし、市町村就学指導委員会の機能の充実を今後も働きかけていきたいというふうに考えております。
〇高橋比奈子委員 大変御努力されているというのがよくわかりまして、もう一度確認ですけれども、希望する学校に入れない事例というのを私はこれまでは聞いておりまして、その施設整備がされてないということで、やっぱり環境が整っていないという理由で断られたケースが何人もあるということをお聞きしているんですね。この施設整備に関しましては、私は担当が環境福祉ですので、福祉の方ではお話をさせていただいているんですが、例えば上田中学校にはエレベーターがなくても車いすの生徒さんが通っていて、その方々をみんなで生徒たちがサポートしたと。そして卒業して、本当に今仕事もできているという児童さんなんかもいらっしゃるんですね。ですから、施設整備ということは、児童生徒、教師、みんなでカバーできる点で、またそれが、そういう児童さんが一緒にいて、みんなで協力して卒業したんだよというのは本当にいい、心の面でも、すべての面でもすばらしいことだと思うんです。こういうこともしっかりバックアップできるような形で県に今後取り組んでいただきたいという点を1点お聞きします。
 そして、次の質問に入っていいですか。ここでやめた方がいいですか。
〇伊沢昌弘副委員長 続けてください。
〇高橋比奈子委員(続) では、次の質問に入らせていただきます。今の点は、一応御回答をお願いいたします。
 次の質問は、退職された教員の方や現職の教員の方、また行政関係者の方々から、児童生徒に給食よりも親または家族などの手づくりのお弁当を持たせることが子供たちにとって一番いいのではという声が、私や同僚議員などに届いております。県教委へのお弁当にしてはどうかという働きかけがこれまでなかったか、また、このようなお考えについてはどのように思われるかという御見解を、これは教育長に伺いたいと思います。
〇佐々木学校教育課総括課長 障害のある子供たちの就学に係る施設整備についてでございますが、先ほども若干申し上げましたが、障害のある児童生徒が市町村立の小・中学校に入る場合には、基本的にはこの市町村が責任を持って施設整備等を行うということになっております。それで、先ほど委員が御指摘になられたように、市町村も財政事情等なかなか厳しい状況がございまして、保護者、子供の願いに沿い切れないというケースも若干あるということは事実でございます。こういうところにつきましては、私どもも、その子供の願い等を十分にお聞きしながら、県の養護学校ではだめなのかというようなことにつきましても再三働きかけをしながら、保護者の理解をいただきながら、最終的に就学する学校を決めているところでございます。
 それから、一つ訂正させていただきますが、先ほど、かがやきプランの説明の中で、私は、LD児等が通常の学級に入っているときに、非常に指導が大変な場合、非常勤講師を配置しているケースがこのプランの中であると申し上げましたが、正しくは非常勤職員でございますので、訂正させていただきます。
〇高橋スポーツ健康課総括課長 これまでの弁当に関しましての働きかけということについてですが、弁当の日の設定を考えてはどうかという御意見をいただいたことがございます。
 それから、弁当についてどのように考えているかについてでありますが、親や家族が直接手をかけた愛情のこもった手づくり弁当は、親子のきずなや家族のきずなが深められ、食べ物を大切にする心や感謝の心を養う大切な食育の一つというふうに考えられます。また、子供たちを取り巻くさまざまな問題は、食を通して改善できるものもあると言われており、愛情弁当は、その解決策の一つというふうに考えられるものと思ってございます。
〇高橋比奈子委員 まず、県の養護学校ではどうかということをお薦めしているというのを父兄の方は受け入れてもらえない、自分の要望どおりじゃないという苦情を私の方に何度もいろんな方からお聞きしております。養護学校に本人たちが希望しているのか、それとも近くの学校に近所の人と一緒に通うのかという選択は、養護学校へ行ってくださいというのではなく、ぜひいろいろな御配慮ができるように市町村と連携をとっていただきたいという要望をまず言わせていただきます。
 それから、お弁当については大変前向きな御答弁で、これに関しましては賛否両論があるのはよく存じております。ただ、私は、今お話をされたように、さまざまな解決策の一つになるだろうと。それから、食というものの大事さということを今御答弁をいただきましたが、このネックとなっているのは学校給食法があると思うんですね。給食をやりなさいという給食法があります。ところが、この給食法というのは1889年に山形で始まって、その背景は、食べ物がない、貧困、食材不足でした。このために本当にたくさんの人たちが力を合わせて子供たちにちゃんと御飯を食べさせようということで始まったのが給食です。すばらしい取り組みです。ところが現在の問題点は貧困とか食材不足ではなく、食の乱れ、ニート、フリーター、非行、暴力、虐待、そして餓死をしている子供たちが世界にたくさんいるはずなのに食品を焼却しているという日本の問題点。ですから、給食を実施する市町村とともに、今後この学校給食法について、お弁当、子供たちの給食というものをどうするのかというのを話し合いをする時期に来ているのではないか。こういうことを国へも、市町村へも呼びかけをしていただきたいと私は思いますが、この件についてどう思われるか。
 それから、現在の市町村教育委員会の予算のうち、これは実行しているのが市町村ですから、給食費が占める割合の平均をご存じでしたら、お知らせいただきたいと思います。
〇高橋スポーツ健康課総括課長 まず、学校給食は当番活動から始まりまして、みんなで同じものを食することにより生きた教材として活用しながら、栄養バランスの学習、望ましい食生活・食習慣の形成、そして好ましい人間関係を体得させる場としての役割を果たしております。学校給食に弁当をどのように取り入れるかにつきましては、児童生徒、教師、保護者等の意見を聞きながら、児童生徒の実態や地域の実情に応じた望ましい学校給食のあり方について考えていただくよう、実施主体である市町村に働きかけてまいりたいというふうに考えております。
 それから、2点目の各市町村におけます給食費の割合の平均につきましては、データとしては把握してございません。
〇高橋比奈子委員 私は盛岡市で調べさせていただいたんですが、教育委員会の予算の大体10分の1ぐらいを使っていたんじゃないかというふうに思うんですね。ですから、今、国、県、市町村ともお年寄りに対しての予算が多くで、子供に対する予算は非常に少ないという点を考えますと、この財政難の中で子育て支援の予算をふやしてほしいという要望としては、給食というのにこれだけのお金をうんと使っていくのが本当に子供たちのためなのか。そして、その中では給食ということを、お弁当を持っていけない子供たちへの対応もあると思うんですね。この点をやっぱりしっかりしながら、これは対応していかなければいけない。今は、歌ではやっているようにオンリーワン、みんなで同じじゃない、それぞれみんな個性豊かでという時代ですので、全員が同じものを食べるというものから、やはりできれば子供たちも一緒につくったり、考えたり、自分の健康をどうするかという食に関しては、本当に真剣に考えていく必要があるということを私は思っております。特に盛岡のアンケートを特別委員会でとったときには、お弁当の方がいいという子供たちが若干多いんですね。ですから、こういうことも踏まえながら、ぜひ全県下でこういう活動を展開してほしい。特に予算の中でいわて教育の日推進事業費などがありますので、こういう教育の日の中でこういうことを検討していただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。ちなみに私は20年間お弁当をつくり続けておりまして、つくるということが、今の親が学校給食で育った親ですので、お弁当をつくるということになじみがないんですね。ですから、ここも網羅するような政策がなければ、お弁当をつくり続けるというのはとても大変であるということも認識しておりますので、これもあわせて推奨していっていただきたいと思います。今の教育の日の中でこういうことを進めていただけないかという点をお伺いして、終わらせていただきたいと思います。
〇高橋スポーツ健康課総括課長 弁当についてでございますが、年に数回または月に1回、弁当の日を設定している市町村や、あるいは学校等もあるというふうに聞いてございます。また、盛岡市においては中学校の給食の導入に際しまして、生徒、教師、父兄等の意見に十分配慮し、選択性による学校給食を導入する方向で進めているというような情報も入ってございます。
 県としましては、先ほども申し上げましたように、学校給食の意義を踏まえまして、児童生徒の実態や地域の実情に応じた創意工夫など、望ましい学校給食のあり方について考えていただくように市町村に働きかけてまいりたいというふうに考えてございます。
〇関根敏伸委員 私からは1点だけお伺いをさせていただきます。
 先ほど、県北・沿岸地域における人材においてもいろいろ議論されましたが、地域と教育ということに関連をいたしまして、特に小・中学校教員の人事異動方針のあり方と地域密着型の学力向上につきまして若干お尋ねをさせていただきたいと思っています。
 まず、前段といたしまして、岩手県内の小・中学校の教員数と男女比はどのようになっているか。また、女性教員が結婚・出産後、職場復帰をしている状況はどのようになっているか、これについてお知らせいただきたいと思います。
〇熊谷小中学校人事担当課長 県内の小・中学校の教員数と男女比についてでございますが、教諭についてですが、合計6、642人おります。うち男性が2、941人、女性が3、701人ということで、パーセントであらわしますと、男性が44.3%、女性が55.7%ということになっております。
 それから、女性教員の結婚・出産後の職場復帰の状況ということでございますが、平成16年の資料になりますが、結婚した女性は82人でありまして、うち結婚を理由に辞職した者は4名であると把握しております。
 それから、16年度に出産した女性教員ですが、164名おりまして、うち出産を機に辞職したという教員はなく、その後すぐ復帰をしております。
〇関根敏伸委員 どうもありがとうございました。結婚・出産後の職場復帰が意外というか、非常に高いので、私はある意味喜んでおるわけでございますが、それで、続けて質問いたしますが、岩手県の場合は、小・中学校教員の人事異動方針はいわゆる全県を対象として行われているようでありますけれども、遠隔地赴任というのが実態として生じてくるわけでございますが、この遠隔地赴任の実態と職場復帰の状況は、関連は非常にないなというふうに私は思いますが、通告しておりますので、育児休暇と職場復帰の状況と遠隔地赴任の状況、あるいは学力と遠隔地赴任との関連性などは何らかの形でとらえていらっしゃるかどうか、ここをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
〇熊谷小中学校人事担当課長 遠隔地赴任の実態ということですが、遠隔地といいましても、教員が生活根拠地を離れて赴任している実態というふうにとらえて、二つの資料でございますが、一つは、平成17年度の単身赴任手当を受給している教職員でございますが、595人が単身赴任手当を受給しているということで、全教職員の6.4%ということになっております。もう一つ別な角度といいますか、教諭と養護教諭の中で別居している者が347名おります。その割合は4.8%ということになっております。
 先ほどの育児休業と職場復帰との関係でございますが、これは全員復帰しておることから、遠隔地赴任との特段の関連はないものと考えております。
 それから、遠隔地赴任と学力との関係についてでございますが、教員が生活根拠地として希望している者が多い地域と少ない地域というのがございますが、その地域で比べて、学習定着度状況調査で調べてみたところ、多少の差はあるものの、大きな差とはなっておりません。このことから、全県交流による教員の異動は学力の差にはつながっていないのではないかと考えております。
〇関根敏伸委員 どうもありがとうございました。両方の面で、私は質問しながらも安心をしておりますが、それで、再度続けるわけですけれども、東北6県の中で全県を異動対象にしているのは岩手と福島だけというふうに理解をしているんですが、全国的にこれがどのような傾向にあるのかをちょっと教えていただきたい。
 そしてまた、全県異動をしている主な理由は何か。今後、例えばですが、他県であれば教育事務所管内の異動というのを主な人事方針にしているようですが、教育事務所管内あるいは現在進められている例えば広域生活圏内での異動とか、そういったものにつきまして、いわゆる長所と短所をしっかりとした形で整理をして、長期的展望に立って検討していく必要性もあるのではないかと私は個人的に考えているんですが、そういったものに対してのお考えはいかがな状況か、ちょっと教えていただきたいと思います。
〇熊谷小中学校人事担当課長 岩手、福島のような全県異動の全国の傾向でございますが、北海道とか福島のように面積の広い道県とか、鹿児島、沖縄のような離島の多い県などでは、やはり全県交流の人事異動をしているというふうに聞いているところでございます。
 それから、全県異動の理由でございますが、やはり全県的教育水準の向上であるとか、教育の機会均等であるとか、教員の資質向上、学校の活性化ということでございます。
 それから、今のような全県交流ではなくて、教育事務所管内とか広域生活圏内での人事異動をしてはどうか、それについての検討はどうかというふうなことでございますが、教育事務所あるいは広域生活圏で限定して人事異動を実施した場合は、やはり遠距離の転勤とか通勤とかが必要なくなって、安定した生活設計の中で教員が教育に打ち込むというメリットは考えられるかとは思います。しかし、教員の生活希望地に自宅があるとか、そういうことでの地域のアンバランスが年々大きくなってきておりまして、そのことから地域によっては出身者が少ないといいますか、欠員を生じるような地域というふうなこともありまして、全県的に希望の不均衡は生じているところでありまして、現行の人事異動要領に沿ったこれまでの全県交流というのはやはり成果を上げているし、今後も必要になってくるというふうに思っておりますが、今、市町村合併とか地方振興局の再編等がございまして、教育事務所の枠組みも変わってきております。そういうふうなことから、今後、長期的展望と全県的な視野に立って人事異動のあり方については検討してまいりたいというふうに思っております。
〇関根敏伸委員 ありがとうございました。全県異動が悪いという視点で言っているわけじゃなくて、比較的少数であるというのが明らかになったわけですが、それぞれ制度ですから、長所も短所も恐らくあるのだろうと思っております。それぞれの都道府県の考え方で異動方針は決められることだと思っております。ただ、気になりますのは、教師のいわゆる居住地と赴任地との希望がどんどん誤差が出てきているというような状況もあります。以前いただいた資料ですと、高校教員の場合は約8割が盛岡から一関の沿線上に住まいをしているというような実態がある。また、小・中学校教員でもそういった傾向がますます強まりつつあるということを見て、この傾向が長いこと続くと、この誤差はますます広まっていくんだろうなというふうに思っておりまして、県北・沿岸に根差した教員を育成していくという視点から考えると、長期間にわたって地域とか地域の子供たちに与える影響が果たしてどのように出てくるのかということを考える必要もあるのではないのかなというふうに私は考えております。あわせて教員の学習力アップということになるでしょうが、遠隔地に赴任する時間的・精神的ないろんな負担ということを考えたときと、授業力アップに費やす時間的な、精神的な余裕のいろんな影響でありますとか、あと、先ほど女性の離職の状況は非常に少ないので安心いたしましたが、今後ますます女性教員の割合が高くなったときに、優秀な女性教員が結婚や出産で離職することがやっぱり非常に大きな痛手になるわけですから、そういったことを考えたときに、今からいろんな意味で長期的展望で、今すぐやりなさいというわけじゃなくて、5年、10年先の教育的な部分から考えて、検討を加えていくべきなのかなというふうにも考えるものではございますが、その辺、もし教育長の御所見がありましたら、聞かせていただきたいと思います。
〇照井教育長 ただいま御指摘をいただきましたもろもろの点、これらも含めて、やはり今後の岩手県の教員の異動はどうあったらいいのか、その辺、長期的あるいは全県的視野に立って今後検討を進めてまいりたいと思います。
〇小野寺好委員 人事異動に関連してなんですけれども、間もなく3月の末になれば新聞に細かい字で3ページにも4ページにもわたって出るんですが、それを一々全部見たり、覚えたりとかできないので、医療局とか県職員の場合はきちんとした名簿があるんですが、教員の人事権を持っている県教委は、こういった教職員の学校ごとの名簿はなぜつくってないんでしょうか。
〇青木教職員課総括課長 教職員の学校ごとの名簿についてでございますけれども、教育委員会におきまして、内部・外部用としてのそれぞれの名簿を作成してこなかった経緯は明確ではございませんけれども、県教育委員会が任命します教職員は現在でも1万4、000人を超えるという数でございますし、市町村立小・中学校が六百数十校、県立学校が90校というふうに数多くに上っておりまして、名簿の作成に膨大な費用ですとか時間を要すること、また、既に外部団体において独自に作成していた名簿があったということから、教育委員会として名簿を作成・販売してこなかったものというふうに思っております。知事部局におきましては、岩手県職員録を内部用のものとして作成して庁内に配付してございますけれども、外部への販売につきましては、人事課の許諾のもとで外部団体が販売しているというふうに承知をしてございます。
 また、保護者や地域住民が必要とする各学校の教職員に関する情報につきましては、それぞれの学校から学校要覧等で周知をされているところでございます。しかし、ただいま委員からもお話がございました教職員名簿を求める声というのがございますので、名簿を作成している外部団体と私どもと協議をしてみたいというふうに考えているところでございます。
〇小野寺好委員 今、外部団体と言っていますけれども、実際は職員組合の方で毎年つくっているわけですが、それは一般には絶対売らない。通し番号をつけて厳格にやっていると。今、住所と電話番号、そういったものを記載しないもので、どの先生が今度どこに行っているか、場合によってはちょっと要注意の先生が行った場合にとかということで利益はあるわけですよ。職員組合の計算は、もくろみというか、それはそれとして、やっぱり県教委として一般県民に、どこの学校にだれがいるという名簿を出すぐらいのことは当然やるべきじゃないかなと思いますが、これは担当課長じゃなくて教育委員長、いかがでしょう。
〇安藤教育委員会委員長 ただいまの御意見、非常に共感する部分もございます。実際、そういうものが配付されれば大変便利だというふうには思いますけれども、ただ、最近は個人情報の保護ということが非常に神経質になっている部分もございまして、例えば職員録をいろんな団体で出しているものもございますけれども、その場合には、お名前だけは載っているんですが、電話番号、住所は一切載ってないということになりますと、利用価値が非常に低いわけでございます。そういうことで、今現在やっているであろうと思われますのは、当該の学校につきましては、そういうふうな名簿は各学校でつくっているはずでございますので、ただ、全県のものを教育委員会で直ちに配付するというのは、いろいろクリアしなきゃならない関門がございますので、これはやっぱり慎重に検討させていただくしかないかなとしか感想としては申し上げられませんけれども、以上でございます。
〇小野寺好委員 教育委員長、直近の今の17年度の名簿って知ってますか。どういう内容になっているか、ご存じないんじゃないですか。
〇伊沢昌弘副委員長 質問の趣旨はわかりますか。
〇安藤教育委員会委員長 ただいまの御質問は、17年度についてはやっておらないのではないかというお話でございますか。あるいは出しているものが余り役に立たないものになっているのではないかという御質問だったでしょうか。
〇小野寺好委員 さっきの御答弁で、住所とか電話番号が載っていなければ意味がないんじゃないかみたいなお話でしたけれども、そうじゃなくて、どこの学校に何という先生がいるか、それだけで本当に有効だと思うんですが、実際、今の17年度のそっちの団体で出している名簿をごらんになったことがありますか。どういう内容か、ご存じでしょうか。
〇安藤教育委員会委員長 いろんな団体があると思いますけれども、私どもが学事職員録と呼んでいますものには、住所、氏名、そして電話番号まで書いてある部分と、お名前だけの部分とあるものがございます。含まれているのが、必ずしも小・中・高だけではなくて大学も入っています。それから、私立の学校の大半も、私立大学も入っています。したがいまして、かなりアンバランスな形で現在のところは配付、流布しているのではないか、こんなふうに思います。
〇阿部富雄委員 それでは、三つの事項についてお聞きいたします。
 まず一つは、県教委は市町村教育長へ学校給食用牛乳の使用済みパックの処理について、平成18年度から原則として学校が行うように通知をいたしております。
 そこでお聞きしますけれども、環境負荷、リサイクルを考えれば、供給形態、価格の問題もありますけれども、できる限り瓶容器への切りかえを業者や関係機関に働きかけるべきですが、いかがでしょうか。
 それから、学校へはさまざまな取り組みが要請されているというふうに聞いております。紙容器のリサイクル導入は繁忙化に拍車をかけるとの指摘もありますが、どう受けとめていらっしゃるのか。
 3点目は、リサイクルは学校の事情で異なると思いますけれども、判断は学校ごとに行うというふうに受けとめてよろしいのか、お聞きいたします。
〇高橋スポーツ健康課総括課長 まず、1点目の関係機関に働きかけるべきではないかという件につきましては、学校給食用牛乳につきましては農林水産省の補助事業であるため、県の農林水産部で入札をし、業者選定を行っております。できる限り保護者負担を少なくするため厳しい価格設定となっており、瓶容器、紙容器の供給形態を特定せずに入札を行っております。紙容器は瓶容器に比べ製造・輸送コストが安く抑えられ、衛生管理が容易であるなどの理由から全国的に普及しており、本県におきましても、現在、供給業者13社のうち12社が紙容器で供給しておりますけれども、瓶容器用の製造ラインやコスト等の面から、今後、瓶容器への切りかえは難しい状況にあるというふうに聞いております。
 2点目につきましては、現在、使用済み紙容器につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律におきまして、排出者である学校がみずからの責任において適正に処理しなければならないとされておりまして、国におきましても、学校給食用牛乳供給対策の運用の見直しの中で、学校の負担により行うべきものとの見解が示されております。その結果、処理業者へ依頼している学校と、学校でリサイクルしている学校などがあります。県教育委員会といたしましては、リサイクル導入しているのではなく、学校においては排出者として使用済み紙容器の処理を行うよう指導しているものでございます。
 それから、3点目につきましてですが、廃棄物処理など環境問題に対する関心が高まりまして、資源循環型社会の構築に向けましたさまざまな取り組みが行われている中、環境教育の一環として紙容器のリサイクルに取り組む動きが全国の学校で広まりつつあり、本県におきましても、市町村教育委員会や学校現場においては、環境教育の実践として使用済み紙容器をリサイクルしているところもございます。県教育委員会といたしましても、それぞれの市町村教育委員会及び学校の判断、取り組みを尊重したいというふうに考えてございます。
〇阿部富雄委員 今の学校給食用牛乳の紙パックへの移行の問題についてはわかっていました。問題は、農林水産省の補助事業でやって、岩手県の場合は農林水産部が一括して入札している。こういうことだから難しいんだという表現でありますけれども、農林水産部はそんな言い方をしていないんですよね。いいですか。競争原理を厳格に適用して、できる限り保護者の負担を安くしたいということは言っています、確かに。だけれども、瓶容器と紙容器の両方供給可能な業者については、各区域いわゆる市町村の要望になるべく沿うように配慮するよう求めていると言っているわけです。ですから、市町村教育委員会が瓶容器にしてくださいと言えば、それに供給可能なように配慮しているということですね。さっき、供給形態については、13社のうち12社が紙容器だと言っていますけれども、中身を見れば、13社のうち5社は瓶容器可能な業者なんですよね。そういうことはご存じだと思いますけれども、ただ、若干値段は高くなるかもしれません。そういう実態もあるわけです。さっき後段でお話しされましたけれども、いわゆるリサイクルだとか環境負荷の問題を考えれば、学校の紙容器のリサイクルをするんだと言いますけれども、岩手県は環境首都ということを言って、できる限り環境負荷をかけないとか、リサイクルをしましょう、こういう言い方を知事を初めやっているわけですね。出口で抑えなければ、やっぱり私はだめだと思うんですよ。学校という現場で紙パックというものを抑えていかないことには、いつになっても環境負荷だとかリサイクルの問題というのはなかなか浸透しない。ですから、できる限り学校の段階で瓶容器に切りかえをしていくという姿勢が必要だと思うんですけれども、そういうことについてはどのようにお考えでしょうか。
〇高橋スポーツ健康課総括課長 先ほども申し上げましたように、学校給食用の牛乳につきましては、農林水産省の補助事業という観点から農林水産部の方で入札をして業者選定を行っているということでございます。
 瓶容器と紙容器の方で、御指摘のございましたように、業者によっては瓶容器でやれるというふうなこともあると。しかしながら、割高になるということでございまして、ただ、そこをできるだけ価格設定を抑えるために厳しい価格設定にならざるを得ないというふうなことは聞いてございます。そして、県の教育委員会といたしましては、いずれ、それぞれの市町村教育委員会及び学校の判断、取り組みを尊重するということで、現在は指導に当たっているところでございます。
〇阿部富雄委員 それ以上のことはないかもしれませんけれども、農林水産省の補助だといったって、幾ら補助が来ているかわかりますか。農畜産振興機構いわゆる昔の畜産振興事業団が変わっただけですけれども、これから1本当たり、まあ、1袋と言ってもよろしいでしょうが、輸送費として70銭しか来てないんですよ。そういう実態をやっぱりきちっとまずとらえてもらうということが必要ですし、それから、全学校で紙パックを使うとすると、幾らになるかわかりますよね。13万六千何ぼあるんですよ、子供の数が。13万六千何ぼという紙パックが毎日のようにあふれ出るという実態なんですよ。ですから、そこはきちっと数字をとらえながら対応してもらいたいということです。ここは指摘だけにとどめておきます。
 次に、県南の県立高校で運動部の監督が恒常的に暴力を伴う指導を続けているとの相談あるいは告発があります。県教委が事実関係を調査し、適切に対処すること、被害に遭った生徒への心の傷を取り除く配慮、フォローすることを求めてきましたが、いまだに対応されていません。県教委は事実をどう把握しているのか。そして、どう対応を行ってきたのか、お聞きいたします。
〇照井教育長 御指摘をいただきました部活動指導上の問題でございます。昨年の12月に校長から、監督の指導方法について以前から改善を求めているのに、一向に改善されていないとの、そういう抗議が保護者からあった旨の報告が県教育委員会にございました。また、本年1月には、その保護者の方が県教育委員会に指導方法を改善させるよう求めてまいりました。そこで、県教育委員会では調査いたしましたところ、行き過ぎた指導があったことを確認いたしてございます。その後、現在までさらに詳細な調査を進めてきたところでございます。教員の部活動指導におけるいわば暴力的な指導や威圧的な言動・暴言などは、これは絶対にあってはならないことでございまして、今回の件は教育的な配慮を欠くもので、まことに遺憾であり、生徒、保護者の皆様に謹んで心からおわびを申し上げます。
 県教育委員会では、当該教員そして校長に対しまして強く反省を求め、直ちに指導方法を改善するとともに、退部した生徒を含めて、行き過ぎた指導を受けた生徒に対し、学校生活に支障がないように、心のケアに十分配慮するように指導したところでございます。学校におきましては、当該教員に対しまして、当分の間、部活動指導の停止を命じまして、強く反省を求めたところでございます。また、退部した生徒を含めまして行き過ぎた指導を受けた生徒への心のケアにつきましては、養護教諭、教育相談担当、担任、学年団などが連携しながら、相談しやすい雰囲気づくりや、学習指導等を含めた学校生活におけるきめ細やかな指導等に配慮するよう努めているところでございます。
〇阿部富雄委員 ちょっと内容的に余りにも簡単に教育長は報告といいますか、答弁されましたけれども、具体の内容についてお聞きしていきますね。
 さっきから、教員のいわゆる道徳の問題であるとか批判の問題は厳しくやります、やりますと言っても、依然としてこういうことが繰り返され続けているわけですよね。特に問題のあった学校では、学校長には昨年8月から保護者が、暴力を振るいながらやっている、これでいいのか、そういう問題提起をし、暴力をしないで指導するようにということを言ってきました。9月、10月、12月、そして1月にも同じようなことを指摘してきましたけれども、一向に校長からは有効な対応がとられてこなかった。一体、学校長には県教委としてどのような指導・管理を行ってきたのか、お聞きします。
 2番目は、問題を指摘されている教諭は恒常的に暴力を行っていたと言われています。前任校でも同様な行為が行われていたと言われていますし、また、所属する団体からも注意処分を受けていると言われておりますが、事実はどう把握されているのでしょうか。
 それから、県教委の問題でありますけれども、県教委は問題を把握した時点で、今答弁がありましたように、問題とされる教諭を部活動の指導禁止にしたこと、事実関係の究明を指示したことは当然のことであります。しかし、校長の調査が要領を得ず、長期にわたり事実関係が把握されなかったこと。校長は報告で、保護者との話し合いで問題が解決したとしておりましたけれども、いまだなお、この問題については解決されていないのです。県教委が適切な対応や指示ができなかったことが長期化させたのではないでしょうか。県教委はこの間の対応に問題があったというふうに受けとめていらっしゃるのか、お聞きします。
 それから、被害を受けた生徒へのケアの問題、今、答弁がございました。しかし、今までやってきたことは、担任や、問題を指摘されている教師が声をかけ合っていこうという、こういうことをやっているわけですね。加害者に被害者をケアさせるという、こういう異常なことがありますか。現場だとか教育委員会に、この種問題に対する意識が欠けているのではないかなというふうに私は思いますが、どのように受けとめますか。
〇山田県立学校人事担当課長 県南の運動部の問題についてでありますけれども、まず、学校長に昨年8月から保護者からの抗議があって、ここまで長引いてきたということにつきましては、所属長の管理監督という面から責任は大変重く、当該教諭の服務上の措置とともに厳正に対処したいなというふうに思っております。直接こちらの方に学校長の方から連絡があったのは昨年の12月、そして保護者の方から県教委の方に訴えがありましたのは1月でございました。そこから詰めて対応したつもりではございましたけれども、ただ、やはり所属長の認識の甘さもあった、あるいは監督のこれまでの反省が不十分だったということもありまして、今まで長引いてしまったことを大変申しわけなく思っております。
 それから、恒常的な指導だという御指摘もありましたけれども、前任校での話につきましては、部活動指導に熱心の余り、そのような傾向があったやには聞いておりますけれども、いわゆる体罰的なというふうな形での、処分という形では行われておりませんでした。
 それから、生徒へのケアのことでございますが、その前に、所属団体からの注意につきましては、ちょっと把握しておらないところでございます。
 それから、生徒へのケアでございますが、やめた生徒の理由は、部活動の時間に通学上なかなかついていけなかったとか、あるいは勉強との両立になかなか苦しんでいたとか、やめた理由もさまざまでありました。もちろん中には厳しい練習についていけなかったというふうな理由を述べた生徒もおりましたが、いずれ、そういう生徒のケアにつきましては、監督が廊下で会えば、やはりやめたわけでございますので、監督としてもその後の学校生活をかなり心配しているという気持ちから、元気でやっているかとか、新しいクラブで頑張っているかとか、勉強の方はどうだとか、そういった声がけはしているようでございまして、監督以外にも養護教諭とか、担任とか、新しい部の顧問等が、でるだけそういう心の傷を引きずらないような形でケアをしているというところでございます。
 これまでのこういう事態を招いた私どもの責任ということでございますけれども、それを受けて、今まで保護者から改善要望等がなされて、私どもも学校を訪問して調査し、確認してきたところでございますが、あわせて、もちろん学校長、監督に対しても指導方法の改善等については強く注意してきたところでございます。今後は、学校において適切な対応をするよう指導するということが我々の責務であるというふうに考えておりますし、また、新年度に当たりましては、部活動が勝利至上主義にならないで、生徒一人一人がいきいきと活動して、部活動が楽しい、そのように思えるような指導、また生徒の可能性を十分引き出すことができるような、そういう支援体制を整えることができるように学校を指導してまいりたいというふうに考えております。
〇伊沢昌弘副委員長 阿部富雄委員にお伺いします。この件について、まだありますか。
〇阿部富雄委員 あります。
〇伊沢昌弘副委員長 では、阿部富雄委員。
〇阿部富雄委員 私は、今回の問題が部員1人ぐらいの問題であれば、これは指導する側も個人的に感情が高ぶってやったということもあり得るかもしれません。しかし、あなた方が把握しているように8人もですよ、生徒が同じことを言っているわけですよ。今の答弁を聞いたって、本当に教育委員会が事実を把握しているかどうか、私は疑問に思うんです。
 では、聞きますけれども、事故報告書の中の事故発生状況及び原因というところを見てみますと、こういう言い方で書いているわけですね。平成16年度中は暴言や暴力的指導の事実はないとしている。しかし、本人のてんまつ書では、平成16年度から17年度にかけて部員に対して暴力的な行為を行ったと言っているんですよ。何ですか、この調査報告というのは、おかしいんじゃないですか。
 それから、生徒の告発によれば、髪の毛を引っ張る、砂をかける、たたく、殴る、けるは当たり前で、あざもできましたと言っているんですよ。長期にわたり暴力行為をやっていたということが、この話の中からうかがえるんじゃないですか。やっぱり事実関係はきちっと把握すべきですよ。
 それから、同じく事故発生状況及び原因のところの報告書を見ると、退部した生徒は、所属する部に対して特別な感じは持っていない、こういうふうに報告を書いてきているわけですね。本当にそうですか。2月8日に教育相談係が聞き取った調査の内容を見てください。楽しい部のイメージを考えていたので、勝つことにこだわる部とのギャップがあった。精神的に、先生の考え方を押しつけられると、自分の中で納得がいかなかった。心の底では少しひっかかる。心の奥に気まずさがある。こういう生徒の声というのは一体どういうふうに受けとめるんですか。余りにもこの調査報告はでたらめじゃないですか。だれのための教育なんですか。だれのための事故調査なんですか。きちっと事実関係を把握してくださいよ。やっぱりこういうことというのは、今回の問題というのは、現場いわゆる学校も、県教委も暴力に対する認識の甘さ、管理・指導が欠けていた、私はこのように思うんです。その裏には、やっぱり教育委員会の中にお互いにかばい合う、物事を隠す、こういう体質があらわれているんじゃないですか。その部分については担当の方からお聞きいたします。
 次に教育長にお聞きしますけれども、学校内での暴力行為というのは古くから言われ続けて、きょうに至ってもまだ根絶されていない、こういう状況ですね。教育長自身はコンプライアンスということをずっと言い続けてきました。もとの教育長は、学校の暴力で結果的に責任を取って辞任をしているわけです。そのぐらい、やっぱり暴力に対する事態というのは重さがあるということをきちっと受けとめることが必要だと私は思うんです。教育長自身の責任もさることながら、今回を機に、やっぱり校内から暴力はなくすということをきちっと取り組むべきじゃないんですか。教育長が今の立場に来たというのは、教育界のビッグバンをやるためだというふうに私は思っているんですよ。そういう自分の重責をきちっとわきまえないで、ただ部下から上がってきたことだけをうのみにしてやるということ自体、私は問題だと思うんですが、どのように考えて対応されていくのか、お聞きします。
〇照井教育長 教育の場でそうした暴力的行動等、これは絶対あってはならないことであり、私ども教育に携わる者全員、それをしっかりと心にとめて教育に携わっていかなければならない、このように考えております。
 ただいま委員からいろいろ御指摘ございましたけれども、やはり開かれた学校、地域から信頼・支持される学校づくりを進めるためには、これに限らないんですけれども、これまで見過ごされてきたようなものなども一つ一つ点検して、風通しのいい、何より子供たち本意で、子供たちの視点に立って、子供たちがあしたも元気に学校に行きたいなというような学校づくりに努めていかなければならないと私自身心に誓ったところでございます。今後さらに、全教職員に対して、この点について指導の徹底を図ってまいります。
〇山田県立学校人事担当課長 当該教員による暴力的な指導あるいは暴言等を伴う指導については、確かに平成16年の夏ごろから見られた傾向でありまして、委員御指摘の16年における暴言とか暴力的な指導の事実はないという記載につきましては誤りなのかというふうに認識しております。(「とってもでたらめだな、だめだぞ、大問題だ」と呼ぶ者あり)
 それから、やめた生徒の気持ち等につきましても、2年生で6人やめているわけなんですけれども、やめた理由等については、学校の教員、教育相談担当とか養護教諭を動員しまして一人一人確認しましたし、それから、父兄の方につきましては校長が直接電話による聞き取り等で確認したところでございまして、中には、先ほども申しましたが、練習についていけない、あるいは勉強面でなかなか大変だ、あるいは自分の考えていた部のイメージとのギャップがあった、それから、今でも心の底では多少ひっかかるものもあるというふうなコメントも残しているのも事実でございます。
〇青木教職員課総括課長 学校から事故報告が過日提出されてございます。これは、委員御指摘のとおりでございますが、私どもといたしましても、事実の内容について詳細に把握した上で、行き過ぎた指導を行った教員、さらには管理監督者である校長に対する服務上の措置については、早急かつ厳正に対処してまいる考えでございます。
〇伊沢昌弘副委員長 阿部富雄委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
 阿部富雄委員、御了承願います。
   午後 3 時 8 分 休 憩
   午後 3 時25分 再 開
〇工藤大輔委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 本日、午前の審査において、伊沢昌弘委員から求めのありました資料につきましては、お手元に配付いたしておりますので、御了承を願います。
 また、本資料に関して、佐々木学校教育課総括課長から発言を求められておりますので、後刻、これを許します。
[参照] 注)配布資料はA3横形式
大学進学支援事業一覧
大学進学支援に係る事業の違いについて
〇工藤大輔委員長 質疑を続行いたします。
〇阿部富雄委員 先ほどの校内の暴力のことについては、事実関係をきちっと把握して、現場長、当該教員については厳しい対応をとるということでありますから、それはそれでいいんですが、これが起きてきた背景というものを、私はきちっとつかんでもらいたいということですよ。それは何かというと、県教委がきちっとしていないからこうなるんじゃないですか。個々の教員については、現場長がきちっと責任を持つんでしょ。現場長については、教育委員会がきちっと責任を持たなければ、また同じことが起きるんじゃないですか。やっぱりそういう体質をきちっと変えていかないとだめだと、また同じような問題が何回も起きてきますよと、こういうことを私は指摘しているんですけれども、それについてお伺いをしたいと思います。
〇照井教育長 今御指摘ございました点については、私どもしっかり肝に銘じ、今後、そうした学校の抱えているいろんな課題、状況、背景、こういったものを今後つぶさに調査して、厳正に指導してまいりたいと存じます。
〇阿部富雄委員 厳正に対応してまいるというのは、県教委の組織体制なり指導力、管理能力も含めてという、そういうふうに理解してよろしいんですか。
〇照井教育長 私ども、そうした体制も含めてでございます。
〇阿部富雄委員 わかりました。じゃ、これ以上お話は申し上げません。これからの対応を見守って、もしまた問題があれば指摘をしたいと思います。
 次に、殺人、放火、火炎瓶の投げつけなど、青少年犯罪が多発しています。その原因はさまざまあると思いますけれども、家庭あるいは学校がそれぞれの役割を果たしていない、これが起因するのではないかと思っています。
 そこでお聞きいたしますけれども、本来家庭の問題に起因するような場合、学校はどのように指導、関与しているのか、お聞きします。
 二つ目、問題を起こした子供について、小・中学校ではどう対応しているのでしょうか。同じく高校では、どのように対応されているのか、お聞きします。
 三つ目、さきの放火、殺人事件などでは、学校の処分というのはどのように行われているのか、お聞きします。
 少年犯罪については、事件が起きるたびに厳しく罰則をすればいいと、こういう議論も常に起きてくるわけでありますけれども、必ずしも厳しくしたから問題が解決するということには私はならないという一面があると思います。
 そこで、お聞きいたしますが、窃盗だとか暴力事件となって警察が関与した件数は何件ぐらいあるのでしょうか。それから、学校で退学処分になったものは何件か。それから、退学処分という名を借りて自主退学という形に追い込んでいるケースもあると思いますが、そうした自主退学というのは何件ぐらいあるのかお聞きいたします。
〇佐々木学校教育課総括課長 まず、問題行動を起こした児童生徒への学校の対応並びに原因が家庭に起因する場合の学校の関与についてお話を申し上げたいと思います。
 まず、児童生徒が非行等の問題を起こした場合には、当該生徒に対し口頭で注意を与えるほかに、家庭訪問等を通じまして、家庭での生活習慣、しつけなどに問題がある場合には、保護者とその改善について話し合うなど、学校と家庭が連携して、当該児童生徒の指導に当たっているところでございます。
 また、小・中学校におきましては、学校の秩序を維持、また、他の児童生徒の教育を受ける権利を保障するという観点から、当該児童生徒に対して出席停止を命ずることがございます。
 なお、従来から問題行動を繰り返したり、重大な非行を起こした児童生徒につきましては、児童相談所や警察等の関係機関と連携して、指導に当たっているところでございます。
 また、高等学校におきましては、校長により懲戒処分ができることとされておりまして、問題行動を繰り返したり、重大な非行を起こした生徒には、当該生徒への家庭と連携した指導はもとより、校長による訓告、停学、退学といった処分を行う場合がございます。
 次に、親子・夫婦関係にかかわる問題や経済的な問題など、家庭の問題に起因するような場合についてでございますが、こういう場合につきましては、状況に応じて、民生委員等と連絡をとりながら対応をさせていただいているところでございます。
 三つ目の、さきに起こりました放火あるいは殺人事件に関する学校の処分でございますけれども、2件とも退学処分となっているところでございます。
 次に、少年犯罪への対応でございますが、窃盗や暴力事件となって警察が関与した件数についてでございます。学校教育課に報告があったもので、小・中・高等学校の合計の数字で申し上げますが、平成16年度1年間で36件、それから今年度、17年度は3月10日現在で45件となっております。
 次に、高等学校における退学処分者数、それから自主退学者数でございますが、平成16年度は、この自主退学につきましてはさまざまな理由がございますけれども、犯罪とは限りませんが、問題行動を原因とした自主退学者数について述べさせていただきます。
 平成16年度は、処分としての、懲戒としての退学処分はゼロでございました。自主退学は26件となっております。それから、今年度、17年12月末現在で懲戒による退学処分は1件、自主退学は23件となっているところでございます。
〇阿部富雄委員 そこで、教育という名前に隠れて、この種の問題行動に対する対応が緩慢になっているのではないかと私は思っているんですね。罰を重くしろという意味で言っているのではないんですけれども、学校の指導の範囲を超えた場合にどういう対策をとるべきか、今お話がありました。だけれども、個々のケースで、本当にそういう形で子供たちに対応されているのかという、そういう問題がありますし、それから、そういうものを放置しておいた場合に、他の児童だとか生徒に対する影響も考えなければならない。子供や生徒にきちっと説明できるような対応をやるべきじゃないですか。そして、問題を起こした児童生徒への配慮もあると思いますけれども、きちっとした対応といいますか、毅然とした姿勢を示すということも私はあってしかるべきだと思っているんです。
 今必要なことは、非行を抑制する、出さないようにするということですね。非行を出さないようにするという取り組み。不幸にして、そういう不幸が起きた場合には再発を防止する、立ち直り支援を強化するという、こういう取り組みが行われていくということが必要なわけでありますけれども、残念ながら、教育現場にはこういうプロセスといいますか、マニュアルといいますか、そういうものがきちんと確立されていないところに私は問題を大きくしていく部分があったのではないかと思いますが、その点についてはどのようにお考えか、お尋ねいたします。
〇佐々木学校教育課総括課長 問題を起こした児童生徒の指導や処分につきましては、これまで各学校におきまして教員による十分な事実確認を経まして、非行の軽重、本人の反省状況、他の児童生徒への影響、過去の事例等を踏まえまして、校長が判断して行ってまいったところでございます。が、昨今、これまで予想しなかったような事件が発生しておりますことから、現在、当課において、生徒の指導や処分のあり方につきまして、検討を行っているところでございます。
〇工藤大輔委員長 それでは、先ほど資料に関して申しましたが、この件に関しまして発言を許します。
〇佐々木学校教育課総括課長 それでは、よろしくお願いをいたします。
 お配りさせていただきましたのは、A3横の大学進学支援事業一覧というものと、A4縦の大学進学支援に係る事業の違いについてという二つの資料でございます。
 初めに、A3横の資料でございますが、これは18年度に予定しております県北沿岸地域人材育成事業、それから県政課題貢献人材育成事業、それから進学目標達成推進事業、この三つにつきまして、それぞれ目的、現状認識、対応の方向、事業の概要等をまとめたものでございます。それで、ここの中身につきましては、先ほど口頭で説明させていただきましたので、A4縦の資料で説明をさせていただきたいと思います。
 二つの事業の大きな違いでございます。
 まず、1番に現状を書いてございますが、平成17年度は、A3資料の一番右側にございます進学目標達成事業というものを推進しておりまして、大学進学希望者の多い20校について支援をしているところでございます。ほかの、この20校以外につきましては、模擬試験の受験料と同様に、例えば大学の先生に講義に来ていただくとか、予備校の講師に来ていただくとかという場合には、保護者のいわゆる私費負担という形で実施しているところでございます。
 17年度、この事業、進学目標達成推進事業を実施しながら、17年度、今年度に、各高等学校の学校長から意見を聴取したわけでございますけれども、その際に、2、3にお示しするような御意見をいただいております。
 まず、県北・沿岸地域の各高等学校長からの意見でございますが、中学校段階、つまり高校入試で入ってくる段階で、成績が優秀な子供たちがいるんだけれども、この割合が高校3年段階で下がってしまう傾向が見られると。その理由として、次にお示ししておりますアとイが挙げられました。一つは、当該地域に塾、図書館、予備校あるいは子供部屋等の学習環境が十分整っていないという状況もある。それから、イといたしまして、高等学校に、大学等の入試問題集でございますとか、あるいは過去の出題問題を集めた資料などの学習教材が不足していると。そのため、生徒に学校で学習する環境を整備してほしいという要望が寄せられたわけでございます。
 まとめますと、県北・沿岸地域の校長からは、進学指導に対する基盤整備がまだ不十分であると、こういう声が寄せられたと私ども思っているわけでございます。
 それから、この沿線地区でございますけれども、そこの各校長からは、基盤としてはある程度の整備はできているわけだけれども、次のような実態があると言われました。
 まず、基盤は整備できているんだけれども、医学部でございますとか難易度の高い大学・学部等に進学させるためには、より細かい指導が必要だと。そのために、さまざま私費といいますか、個人負担で保護者に御負担をいただきまして、予備校あるいは大学の先生方に来ていただいて講座を開くというようなこともやっている。このために、生徒保護者の負担が非常に大きくなっているというようなこともございまして、生徒の進学希望別に応じたきめ細やかな指導が期待されているというのがこの地区であるという御意見をいただいております。
 まとめますと、基盤はある程度できているんだけれども、より細かい指導の実現が生徒の進学先の実現を、進路希望を実現するためには、そういうことが必要だというようなことでございました。
 そこで、二つでございますが、これらは学校長並びにそれは子供たち保護者のニーズを踏まえた御意見でございますので、こういうニーズを基盤として、この二つは違うところから発生してきているというふうにとらえまして、二つに分けたものでございます。
 二つの事業とも、子供たちの進学目標を達成したいという願いを実現するために学校を支援するためのものでございますが、ニーズの違いから、それから行う事業の違いから二つに分けたものでございます。御理解をちょうだいいたしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
〇工藤大輔委員長 本件について質疑がある場合は、この後に指名する委員の質疑において、または最後に挙手の上行われるようにお願いいたしたいと思います。
〇平沼健委員 私、3点質問いたします。
 通告書を出しておりますけれども、逆に3番目の方から質問をしたいと思っております。
 一つは、過日新聞に出ておりましたし、きょう、また各委員からも質問がございましたけれども、県立高校に副校長を新設するということが出ております。これの副校長をつくる経過というか、その辺も質問したかったんですが、先ほどのお話が出ましたので、これは結構なんですが、要するに、今聞いていますと、校長の職務分掌、職務が過密というか、多い。そのために副校長を入れて分担をするというようなことに聞いたんですが、従来は、それは校長と教頭という2人の方が分割して担当してきたわけですね。これは、私、別に賛成とか反対とかというつもりじゃないんですけれども、このことと、2年前に民間校長を2名登用しましたですね。その2名を登用された校長先生がどうなったのか、その辺。
 それから、今回こういう副校長をつくるに当たって、そういう2人の民間出身の校長先生がどういうふうに考えておったのか、どういうふうな意見なのか、もしあればその辺も伺いたいと思っておりました。
 こういう問題、こういう副校長をつくるというときに、常任委員会で説明というか、そういうものが出てこないんですが、常任委員会で取り上げるというのは何か規約があって、この程度のものはいいよとか、新聞に載ってから議員がみんな知るというか、そういうことでいいのかどうなのか、その辺も含めて、まずここまでお願いしたいと思うんですが。
〇山田県立学校人事担当課長 民間人校長の件でございますけれども、一昨年、本県としては初めて民間人校長2名を任用いたしました。ことしで2年目になるわけですが、この2年間、2人の校長による学校経営手法というのは、いずれも地域と連携しながら、生徒や保護者のニーズに応じた教育推進計画、これを窓口に作成いたしまして、教職員の意識改革にも取り組んでいただきながら、具体的な数値目標とか行動目標等を設定しまして、学校経営品質向上運動にも積極的に取り組んでいただきまして、大いに成果を上げているところでございます。
 具体的なところと申しますと、まず、生徒と教職員に対しての二つに分けて、かいつまんで御説明申し上げたいと思いますが、まず、生徒に対しましては、企業の人事担当者等を呼びまして、実務授業等を通じまして、企業が求める人材について生徒とそれから教職員ともにそれを実感させて、そしてさらに教育課程とか授業のあり方等を改善しまして、生徒の多様なニーズにこたえてきたと。
 それから、フリーター、ニートの問題もありますので、生徒の就職先の定着状況、これは離職状況も入りますが、それから就労態度の追跡調査を行いまして、就職指導にそれを活用したと。両校とも、ほかの学校よりも早目に就職内定率100%を達成したとか、あるいは1年未満の離職率も両校ともかなり激減したと、そういった成果。そして小・中学校と連携しまして、地域全体で学力を上げようという推進をしているところでございます。
 それから、教職員に対しましては、日本経営品質賞の手法に基づいた、いわゆるPDCAサイクルを意識した学校経営を展開していると。
 それから、生徒による授業評価を導入しまして、教員の授業改善も図ってきたと。これによって、教職員の研修意欲が高まって、さまざまな研修への参加希望がふえてきたというところが成果であります。
 このような2人の校長による学校経営は、生徒とか地域、それから教職員の意識にも大きな影響を与えておりまして、ほかの学校にも大いに参考になるところが多く、任用の効果は上がりつつあると認識しているところでございます。
〇佐々木学校教育課総括課長 副校長につきまして、副校長への権限委譲について、この民間人校長から何か意見を聞いていないかというお尋ねでございますけれども、3月1日にすべての校長、教頭に対しまして、今こういう規則改正を考えているという事務連絡を発出いたしまして、その後、教頭協議会並びに校長協会の──校長協会は県内を11の支部、支会と呼んでおりますが、支会に分けておりまして、この校長協会の11の支会長に対しまして口頭で、さらに文書送付だけではなくて説明をさせていただきました。その際、当番支会の支会長が千厩高校の民間人校長でございます池田校長でございますが、いろいろお話をいたしましたが、既に池田校長は、教頭への権限委譲をかなり進めておりまして、校長の負担を少なくしてさまざまな先生方との話し合いでございますとか、あるいは学校の自己評価でございますとか、そういうものに取り組んでいるのだというようなお話をいただいたところでございます。
〇青木教職員課総括課長 副校長制について常任委員会での説明がないというようなお話でございましたが、この内容につきましては、学校の校長と教頭との内部の権限委譲の関係の問題として私ども整理をして検討を進めてございまして、最終的には、教頭を副校長に名称を変えるというようなところでの扱いということで内部で検討してきたものでございます。その結果、結果的に常任委員会での説明等を申し上げる機会を失してしまったというところが正直なところでございます。
〇平沼健委員 今のお話で、教頭を副校長というお話を今しましたけれども、新聞等で見ますと、教頭、校長の間に副校長という、そういう意味合いが強いんじゃないでしょうか。それで、教頭は教頭でという、いろんなすぐれた方というか、技能にすぐれたとか、そういう方が教頭とか、そんなように新聞で受けたんですが。ですから、そのようなことがあるからやっぱり委員会で話をしてほしいわけですよね。これは、ひとつお願いでございます。
 それで、これに関連して、2年前に民間の校長先生を2人登用したと。それで、今のお話を聞きますと、結構いいですよと、効果がありましたよということですので、そのポストの関係で、副校長というポストをつくって、そこに民間の副校長という人をこれから何人かでも登用していくんだというような、そのようなお考えも隅にはあるんですか、そこをひとつ。
〇青木教職員課総括課長 副校長につきましては、先ほど来申し上げている趣旨で導入をしようということで考えているものでございまして、その成果を見ながら、今後の対応については検討していくべきものと考えているところでございます。
 民間人のポストとして採用するかどうかというお尋ねでございますけれども、そういったことも含めて、まずは副校長制を実施して、その成果を見きわめて、その後、そういったことについて必要かどうかということを含めながら検討していく必要があると考えているところでございます。
〇平沼健委員 わかりました。できればそういうふうに、非常にいい方向だということですので、1回やそこらで終わるんじゃパフォーマンスと見られてもしょうがないわけですので、これは引き続きそういう方向でやっていければと私は思います。
 次、2番目なんですが、教育事務所について若干お尋ねいたします。
 各広域に教育事務所がございます。これは県からのいろいろな仕事をしているんですけれども、今、県内でも市町村合併が随分進んできておりますし、また、振興局の再編成ということがございます。そういうような環境が随分変わろうとしてきていますね。教育委員会の形を見ますと、県の本庁にある教育委員会、皆さん方、それから教育事務所、今度は各市町村には教育委員会というのがございますね。その辺が、いろんなこういう今の時代の変化、これからの変化ということもとらえながら見ていきますと、従来でもお互いにラップしている部分が相当あるんですよね。だから、私は、中間にある教育事務所は要らないということじゃないですよ。じゃなくて、そういうようなことも踏まえながら、本庁の教育委員会それから教育事務所、各市町村の教育委員会、この辺の形をこれから早急に考え直す必要があるんじゃないのかと思っているんですが、その辺はいかがお考えでしょうか。
〇青木教職員課総括課長 教育事務所につきましては、市町村合併の進展に伴いまして、ことしの4月から教育事務所を12事務所から10事務所に再編をいたしまして、職員を集約配置をいたしまして効率的な執行体制にするとともに、業務の専門性を高めながら、市町村教育委員会や学校現場に対する指導・助言の充実を図ることとしているところでございます。
 昨年の10月ですけれども、中教審の答申がございまして、その中で学校や市町村が義務教育の実施主体として、地域の実情に応じた教育を実現できるよう、市町村や学校に権限委譲を進めるとともに、県は、広域人事など、市町村間の調整や小規模市町村に対する支援に重点化していくことが求められているというふうにされたところでございます。このことから、中教審答申で示されました県と市町村との今後の役割分担の方向性を踏まえつつ、次期行革プログラムの検討に際しまして、教育委員会の組織の見直しを進めていきたいと考えてございますが、その中で、ただいま御提言をいただきました趣旨の内容も含めながら、教育事務所の今後のあり方について検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇平沼健委員 わかりました。これ提案ですけれども、県の教育委員会と各市町村の自治体の教育委員会というのは、これは本当に密接な関係というか、もっともっと近づいた方がいいと思うんですね。そのためには、せっかくの教育事務所ですから、そこの機能というものを相当数、人と一緒に、出向でもいいんですが、市町村の教育委員会に出向していくとか、そのような形をとりながらもっともっと近づけるような、そのような政策を私は提案したいと思っておりました。これはこれで結構です。
 委員長、最後に、3番目ですけれども、これは先ほど来多くの委員からの指摘がございました凶悪犯罪の低年齢化というか、そういうようなことが先ほどからお話に出てきております。その中で、それを受けて、先ほど説明いただいた教育委員会委員長の演述の中にそのことが網羅されております。やっぱり凶悪犯罪というか、すべてのものが、学校教育もそうですけれども、私は基本的には家庭教育というか、そこに一番大きな問題と言ったらあれですけれども、そこが一番大きいなと思っておる人間でございまして、学校、家庭、地域行政というのがお互いにそれを形づくるというか、そういうふうなことをちょっと思っているんですけれども、そこで、こういう犯罪、それから不登校を含めて教職員の皆さん方が、先生方が大変なことで今やっております。御苦労されています。普段から児童生徒や保護者と十分コミュニケーションをとるというか、児童生徒一人一人の状況を的確に把握すると、こういうふうにうたっています。これは全くこのとおりでしてね、こういうようなことを受けて、実は3月3日の日に知事が記者会見されていますね。その中で、知事は、この件について、県の教育委員会でいろんな形を今考えて、それを提案したいというか、そのような意味のことを話していましたけれども、これについて従来の形とはまた別なというか、加算してというか、何か新しい考え方というか、もしそういうことがあるのであればお聞かせ願いたいんですが、これをもって私終わりますけれども。
〇佐々木学校教育課総括課長 今後の対応として今までと違った取り組みというお尋ねでございますが、最近の中高生の非行の実態を見ますと、家庭を外部からサポートする必要があると思われるようなケースも見られますことから、教育委員会と保健福祉部との、つまり、福祉サイドとの連携が必要であると考えておりまして、今後、具体的にこの二つの部局で検討を進めることにしているところでございます。これがまず第1点でございます。
 それから、第2点目でございますが、学校、教育委員会、警察、児童相談所、市町村の福祉担当課等の関係機関が連携してチームを組みまして、問題行動を何回も繰り返し起こしている児童生徒を指導・支援するためのシステムといたしまして、現在、サポートチーム等地域支援システムというものを、盛岡市、紫波町、北上市、久慈市で実施しておりますが、この4市町で実施している中身をさらに充実を図るとともに、その成果を他の地域へも普及させたいと考えております。これまで以上に地域の関係機関と連携を図りながら、児童生徒の健全育成に努めてまいりたいと思っております。
〇工藤大輔委員長 次に、斉藤信委員の質疑となりますが、同委員から、資料を使用して質疑ということで配付を許可されたい旨の申し出があります。当職においてこれを許可いたしたいと思いますので、これより事務局をして配付させますので、御了承を願います。
[参照]
資料-1
資料-2
資料-3
〇斉藤信委員 今、配付中なので、若干議論もされていますが、副校長と指導担当教頭の配置の問題について、大変異常な進め方であります。中身も極めてあいまいでありますので、私は県の教育委員会が発出した文書も示して質問をしたいと思います。
 3月1日付で、県教委はまだ決定もされていない県立高校への副校長、指導担当の教頭の設置を県立学校あてに事務連絡という形で通知をいたしました。これは、いつ、どこで、どのように検討されてきたものなのか。これが第1点です。
 第2点は、副校長、指導担当の教頭の新たな設置は、3月17日の教育委員会議定例会で議決の予定とされているものであります。決定されてもいないのに、3月6日付で、教育長名で、県立学校における教頭(指導担当)の候補者の推薦について依頼通知、これを県立学校長などに通知をしています。これは完全な越権行為、教育委員会議を無視した行為ということになるのではないでしょうか。
 副校長、指導担当の教頭を新たに設置する決定は、3月17日の教育委員会議であります。今の時期はどういう時期か。県立高校の入試の時期であります。15日は合格発表の時期です。県立高校で一番忙しい、一番緊張感のある時期であります。こういうときに、決定もされていない通知を出して、指導担当教頭の推薦も行えという、私は本当にこれは無謀なものではないのか。
 例えば、同じような、スーパーティーチャーのような配置というのは、ほかの県でも最近やられています。大阪の場合は、昨年の7月15日に、こういう中身を提示して議論もして進めています。神奈川県も、9月13日に教育委員会議で決定をして、総括教諭という、新しいこういう職務の設置を進めています。岩手県教委は3月17日に決めて、4月1日から実施するというんですね。私は、これ自身大変異常なことではないのか、まず最初にここからお聞きをします。
〇青木教職員課総括課 副校長、指導担当教頭の設置についてでございますが、まず、検討の経過でございますけれども、午前中の答弁でも御説明申し上げましたが、副校長につきましては、本年度20回以上に渡って行ってまいりました県立学校の校長、教頭、教諭等と教育長、教育次長との意見交換会におきまして、校長の権限を教頭などの教職員に対し大幅に委譲してほしいとの意見・要望が多く出されたところでございます。さらには、県立学校の教頭、教職員団体の代表者等で構成する多忙化問題検討委員会がございますが、昨年12月にまとめられた多忙化の解消に向けた提言の中で、決裁の見直し等の提言を受けたものでございます。こういったことを受けて、その実現を図るために検討を進めてきたものでございます。
 また、指導教頭につきましては、昨年の3月、教職員の人材育成に関する検討委員会、これは外部の有識者で構成する委員会でございますが、その中で、教員として資質能力にすぐれている者に相応の処遇を行う制度を導入するよう提言をいただいたところでございまして、これにつきましては、昨年の4月の教育委員会議において御説明を申し上げておりまして、当時の安藤委員からも、指導力にすぐれた教育の処遇について検討すべきであるとの御意見をいただいたところでございまして、そういったところを踏まえながら検討を進めてきたところでございます。
 このような検討経緯を踏まえまして、これらの設置につきまして、これまで教育委員協議会の場において説明をいたしてございまして、設置の基本的な方針につきましては、方針の確認をいただいてきたところでございます。
 3月6日付の通知文書につきましては、そのように既に方針が定まっているものに係る準備行為ということで、各学校長に対して制度の趣旨を理解いただくとともに、候補者の推薦をお願いしたものでございます。
 それから、4月の実施ということは無謀ではないかというお尋ねでございますが、ただいま申し上げたとおり、趣旨につきましては学校現場にも既に一定の理解が得られているものと認識しているところでございまして、学校現場に対してもこれからも十分な説明を行いながら、4月の実施に向けて努力してまいりたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 驚くべき答弁ですよ。教頭先生への権限の委譲という議論もあったかもしれない。しかし、副校長という形で、どういう権限をどういうふうに委譲するかという議論は全くされていないと思いますね。ましてや、指導担当教頭というのは、全く新しい提起なんですよ。
 私は校長先生の話も何人か聞きましたが、校長会議にもそんな議題は出なかった。突然のことでびっくりした。校長先生、こう言っているんですよ。指導担当教頭という、この新しい提案については校長会議では1回も出ていない、説明もされていない。これ、事実ですよ。少なくとも、指導担当教頭というのは新しい職籍ですから、こういうことについて校長会議で議論したなんて、うそでしょう。ちゃんとあなた方、答弁正確にしてくださいよ。
 大体、私はさっき他県の話をしたけれども、他県は半年前にこういう方向を出して、きちんと決めて、それから推薦して新しい年度に合わせているんですよ。中身にいろいろ問題があっても、手続的にはそうです。岩手県は、3月17日に正式に決めるんですよ。決めるまでは決まっていないんですよ。
 例えば、3月1日付の事務連絡見てください。5行目ですけれども――正式には、3月の教育委員会議定例会(3月17日)での議決後に、通知します。また、併せて、副校長の設置等に係る資料及び……、(素案であり、校長の権限委譲に係る分を整理したもの)――ですと。その前に――(改正内容は変更となる場合もあります)。――と書いているんですよ、ちゃんと。あくまでも素案の段階で、この通知をしたことがいいか悪いかというのも問題ですよ、3月1日に。何も議論されていないものを出したんですから。
 2枚目見てください。3月6日付。これ教職第961号というのはどういう性格のものですか。この依頼は、私はそれなりの権限のある依頼通知だと思うんですよ。この文書を見ますと――優れた指導力を有する教諭の中から選考により任用することとしました。――しましたですよ、これ。決まっていないのに。――つきましては、貴職において適任と認める者がある場合には、平成18年3月17日までに、別紙様式により推薦くださるようお願いします。――17日に決めるんですよ。17日に決めるのに、17日まで推薦してくださいと。完全に、これ、あれじゃないですか。決まっていないものを決まったものとして通知しているんじゃないですか。
 県立高校が高校入試で一番忙しい、一番緊張感のあるこういう時期に、あなた方は3月1日と6日にこういう通知出したんですよ。だから、校長先生はこんなのは1回も聞いていないと、校長会議でも議論になっていないと言っているんですよ。この通知の意味、性格、これ正しいんですか。
〇青木教職員課総括課長 先ほども御答弁申し上げましたとおり、その方針につきましては、教育委員協議会の場において御説明を申し上げ、その方針については確認をいただいているところでございまして、自主的な方針については、その内容で進んでいるというものでございます。17日の教育委員会議におきましては、具体的な管理運営規則等の内容について正式に議決をいただくという、最後の手続として考えているものでございます。そういった経過がございまして、既に決まっている、方針として定められている内容について準備行為ということで、私どもから各学校に対して通知を出しているというものでございます。
〇斉藤信委員 教職第961号は教育長の名前ですから、教育長にお聞きしたい。
 いいですか。これは任用することとしましたという決定文書ですよ。あなた、これをまともな文書だと思いますか。この教職第961号というのは、どういう性格のものですか。
 安藤教育委員長にお聞きしたい。教育委員協議会でこれは議論になったと。県立高校の校長先生が相談も受けていない、協議もされていない、説明もされていない。安藤先生も県立高校の校長先生をやったでしょう。そういうものを、校長先生と相談もしない、協議もしないで決められるものですか。この3月の、年度末の高校入試の時期の厳しいときに、きちんと責任持って答えてください。(発言する者あり)
 いや、教育長だよ。教育長の通知じゃないか、何言っているんだ。
〇照井教育長 この副校長の設置につきましては、ただいま課長から説明申し上げたとおりでございますが、教育委員会として、その方向については各委員の皆様から御理解をいただいているところでございますので、実際、4月からの運用に当たりまして、準備行為として各校長先生方にその辺の周知と、それから具体の候補者の推薦をお願いしておく必要があるということで、この通知を発出したものでございます。(斉藤信委員「通知の性格を言ってください」と呼ぶ)
 この通知の性格は、いわば各県立学校長に対する教育委員会の考え方、これについてのいわば連絡という性格のものでございます。
〇安藤教育委員会委員長 斉藤委員にお答えを申し上げます。
 教育委員協議会での意思統一を出した後に、3月17日に正式な定例会が開催されますので、そこで決定をするという意思統一はいたしております。
 実は、定例会の日程も変更になりまして、実はもう少し前に行われる予定だったわけですけれども、諸般の状況がございまして17日に延びたという経緯もございます。したがって、本来であれば、もう少し前になされておれば問題はなかったかなというふうな反省はいたしておりますけれども、私自身は、先ほどの担当課長からのお話にもありましたとおり、教育委員会議の席上で、これはスーパーティーチャー的なことについての発言をいたした経緯がございまして、実は私が県立学校の校長をやっていた時代にいつも思っていましたのは、優秀な教員の待遇改善というのは、管理職になりませんとなかなか待遇改善ができないわけであります。しかし、教員の中には、必ずしも管理職でいった方がいいと、周囲から見て、この方は生徒に指導するような、これはクラブの指導もありますしもちろん勉強面もあるわけですけれども、そういう方向でいく方がいいのではないかという教員もいるわけであります。
 こういう例を引いて大変恐れ多いわけでありますけれども、例えば国語教育で言いますと大村はま先生という方が……。
〇工藤大輔委員長 教育委員長に申し上げます。質問のみに答えてください。
〇安藤教育委員長(続) はい。そういう例もございますので、したがって、スーパーティーチャー的なことが必要ではないかということを申し上げた経緯もございます。
 副校長については、これも私の県立学校の校長の経験から言って、やはり権限委譲は大幅に行われていった方がいいというふうな考えを持っておりましたので、この流れ自体についてはこれでよろしいのではないかと、こんなふうな態度をとったということでございます。
〇斉藤信委員 安藤委員長、私の質問に答えていないのがあるんですね。
 いいですか。こんな大事な問題を当該の県立学校長の意見も聞かないで、校長会議でも議題にも出さないで、こんなどたばたで決めていいんですかと言っているんです、私は。重大な問題なんですよ。副校長の問題は、これは権限の委譲、名称は変わる、待遇は変わらないんだと思いますけれども、指導担当教頭というのは、全く新しい職籍なんですよ。これが県立学校の管理運営の中でどういう役割を果たすのかということもいろいろあります。
 私は安藤委員長にもう一回聞きたい。こういう大事な問題、当該の学校長の意見を聞かないで決めるつもりですか。それでいいんですか。
 教育長。今、通知の二つの中身を私聞きました。いいですか。3月1日付は事務連絡なんです。これは管理運営規則をこのように変える予定ですという、3月1日のときにこんなの出していいのかということはあるけれども、これは事務連絡です。しかし、3月6日付は違うんですよ。これは通知文書、指示文書でしょ。決まっていないのに。17日までに推薦してくださいと。本当に驚くべき暴挙ですよ、これは。その違いについてまた改めてお聞きします。
〇照井教育長 3月1日付のものは、いずれこういう方向で検討を進めているということの事務連絡でございます。
 それから、6日の方は、これが導入された場合に候補者、具体的にどういう方がふさわしいのか、その推薦を依頼したものでございます。(斉藤信委員「決まっていないのに指示したということでしょ。指示文書でしょ」と呼ぶ)
 方向については、そういうことで教育委員各位の理解をといいますか、経た上で進めているものでございます。
〇安藤教育委員会委員長 一番忙しい時期ということは当然そのとおりでございますけれども、新しい事業を始めるには、やはり年度半ばということにはなりませんので、できればやはり4月1日からスタートした方がよろしいという、私の判断が働いたことも事実でございます。
〇工藤大輔委員長 教育委員長、先ほどの斉藤信委員の質問は、十分校長先生等としっかり話をして決めたのかどうかと、意見を聞かなくてもよいのかというようなことであったと思いますので、それにつきましての御答弁願います。
〇安藤教育委員会委員長 校長会議への働きかけ並びに事情聴取等については、これは教育委員会事務局で担当してやるわけでございますので、我々の方は方針を決定するわけでございます。したがって、私の考え方あるいは教育委員各位の考え方としては、4月1日をもってこれをスタートさせるということでよろしいのではないかと、こういう判断をしたわけでございます。
〇斉藤信委員 私は安藤教育委員長の答弁というのは……。
〇工藤大輔委員長 済みません、補足説明があるそうですので、説明をさせます。
〇佐々木学校教育課総括課長 3月1日に私の名前で文書を発出させていただいたわけでございますが、その後、先ほども少し申し上げましたけれども、校長協会の会長並びにその文書を出す前にも二度、会長のところには行って説明をしておりますが、文書を発出した後、各支会ごとに校長先生方は検討をさまざまされますので、支会長のところにすべて連絡を入れまして詳しく御説明をしたところでございます。その折に、11名の支会長から、特にも反対するというような──当然、反対するとかしないとかというような立場ではないということをどなたもおっしゃっておられます。それから、既に、非常に校長の決裁が余りにも多いということで、先ほど池田校長の例も挙げましたが、他の校長、支会長の中にも、来年度から教頭と話し合って、かなり権限の委譲をしなければならないというふうに考えているところだというお話をされた校長もおられたわけでございます。そういうふうな働きかけといいますか、説明は各支会長にしているところでございまして、文書について疑義が、さまざま質問がある場合には、支会長から十分に説明していただくようにお願いをしたところでございます。
〇斉藤信委員 今の答弁、全くどたばたなんですよ。あなた方が方針を決める前に意見を聞かなきゃだめなのです。大体方針を決めてからどたばたで、校長会議を開けないからやったんでしょう。そういうやり方でいいのかと私言っているんですよ。答弁すればするほど矛盾が拡大するんですよ。そして3月6日の通知は、全くこれは異常ですよ。
 それで、私は副校長と指導担当教頭という問題の性格はちょっと違うと思っていますよ。教頭の権限を拡大するということは、それは一理あるかもしれない。しかし、指導担当教頭ということになると全く新しい職籍で、これは県立高校の全体の学校の管理運営にかかわるもので、だから私は問題にしているのです。
 それで、二つ目の資料を見てほしいんですが、選考要領。指導担当の教頭というのは、どのように選考されるのか。いわば第2条にですね、高い専門性に裏付けられた卓越した指導力により、生徒にとってわかる授業を展開し、生徒の意欲を引き出して、生徒に着実に力をつけさせている教諭、又は卓越した指導力により、部活動等において、生徒の能力を高い次元まで向上させ、優れた成績をあげている教諭と、2種類あるということですね。
 いわば、卓越した指導力、そしてもう一つは、部活動での実績です。これ、どっちも実績が問われているんですよ。恐らく大学進学がうまくいっているとか、試験の成績でその教科だけがよかったとか、部活動でもそうでしょう。インターハイとか国体とかで優秀な成績をおさめているということが実績として評価されるんでしょう。しかし、第3条以降、これがどのような手続で選ばれるかというと、みんな教育長なんですよ。教育長は、適任者の推薦を依頼する。第4条は、教育長は、候補者の推薦があったときは、学校長その他教育研究会等の方々から意見を求める。第5条は、推薦のあった候補者については、書類審査を行い、教育長が面接する。全部教育長なんです、これ。集団的にこういうものを検討するんでなくて、全部教育長の権限で依頼し、書類審査し面接して決める。私は選考の手続も極めて異常だと思いますよ、これは。
 それで、第4条には、県立学校長とあわせて岩手県高等学校教育研究会、盲・聾・養護学校連絡協議会、高等学校体育連盟、野球連盟、文化連盟とありますけれども、これ以外はないわけですね。これ以外のさまざまなものもあると思うけれども、ここに限定した理由は何でしょうか。すべて教育長の権限で推薦も面接も決定もやるという、こういう仕組みで本当に適正な評価がされるのでしょうか。
〇工藤大輔委員長 斉藤信委員に申し上げます。委員は当該委員でありますので、これからの質疑はより簡潔に行いますよう、議事進行に御協力を願いたいと思います。(斉藤信委員「了解」と呼ぶ)
〇小川教育次長 何点か御疑問に思われた点についてお答え申し上げます。
 今、すべてが教育長ということになっているというお話でございましたが、こういう規程類につきましては、例えば知事の規則等もそうですが、権限の主体が出てまいりますので、教育長がすべて決めるということではなくて、規程の書き方として教育長となっている手続的なものでございます。いわゆる機関が表示されるということでございます。
 それから、目的でございますが、教科に秀でた人を登用しようとするもの、つまり、管理主事とか指導主事とか、従来のそういう役職というような位置づけじゃなくて、学校の先生として一番能力を発揮している人たちをどうやって発掘するかということですから、学校長さんとかだけではなくて、団体とかそういうところからもよく聞きたいということでございます。
 もともとさかのぼりますと、これは多忙化の解消と、そういう優秀な教員の処遇ということを二つの目的として考えた制度でございます。ですから、当初は、教頭として全部やりたいと。ですから、教頭試験とか教頭推薦があったものの中から選ぶと。つまり、教育委員会の方で選考するという前提で進んでおりました。ですから、教頭任用につきましては全く人事行為でございますので、年度末に県教委の方で発令して、この人を教頭にするという格好で決まるものでございます。ただ、途中で校長先生方から権限を大幅におろしてほしいということがありまして、そのため校長先生の要望にこたえて、教頭先生の方に大幅に権限をおろした場合に、これ、名称が教頭先生から変わるだけなんですが、教頭先生がもし指導の担当の教頭さんがいた場合にわからないと、外から。学校の管理運営について言われた場合にわからないということで、それでは本当に数人ですが、そういう指導教頭がいた場合に、どっちの教頭さんが担当するかわからないということで、他県等の例を見まして、こういう学校の経営に当たる方は副校長という方がいいんじゃないかということで、教頭先生方のモチベーションを高めるということも加えまして、副校長と名称を変えるとしたことでございます。ですから、新たに何か職を大きく設置するとか、他県のように主幹とか、そういう管理体制を強めようとか、そういう意図は全くございません。あくまでも、教頭さんは権限をおろして副校長さんになると。その教頭さんに任用していた一部のごく数名ですが、指導に当たっていただきたい先生を今後少しずつふやしていきたいと。ですから、当面、1人か2人でスタートしたいと思っておりますが、そういう先生について、私どもだけで任用してはやっぱりまずいということで、団体とか校長会にも年度末ぎりぎりでございますが、お聞きしたいということでやったことでございます。
〇斉藤信委員 いずれ、全くどたばたで中身も定かでないんです。それで、私余りたくさん聞きませんが、じゃ、来年度何人の指導担当教頭を採用する予定ですか。予算化されているんですか。
 それと、この指導担当教頭というのは、みずから授業もやるが、ほかの先生も指導する、ほかの学校の先生も指導する。今までやっていた授業は恐らく半分ぐらいになるでしょう。しかし、定数は変えないというんですよ。そうすると、現場で授業をする先生の数、足りなくなるじゃないですか。それはどういうふうになっているんですか。
〇青木教職員課総括課長 来年度の任用につきましては、ただいま小川次長から御答弁申し上げたとおり、一、二名程度、少数の人間を任用してまいりたいと考えてございますが、その指導担当教頭につきましては、一般教員の定数の中で措置をするということで考えているものでございます。通常の授業を持っていただく、つまりその指導力を直接授業で発揮してもらうということを考えございますので、そういう意味で、前述の指導担当教頭も教壇に立つという前提で考えて、定数の中でそれを考えていく、教員定数の中でそれを含めていくということで考えているわけでございまして、それに伴いまして他の教職員が不足するということはないというふうに考えているところでございます。
〇斉藤信委員 答弁になってないんですよ。いいですか、指導担当教頭というのは、みずから授業するだけじゃなく、例えば同じ教科の先生を指導する、ほかの学校の先生も指導するとなっているんですよ。クラブ活動に秀でた先生もそうですよ。私は、例えば物理の先生で物理はすばらしいが、しかし、それだけで指導担当教頭でいいのか。国語の指導ができるわけじゃない、数学の指導ができるわけじゃないでしょう。物理のことしかできませんよね。バスケットで秀でた先生がいる。しかし、じゃ、バスケット以外の指導ができるかといえば、できないですよ。私は、そういう点でいけば、中身についてだってもっと慎重に検討すべきことがあると思う。ただ、あなた方が言おうとしているのは、定数内でそういうことをやろうとしたら、授業をする先生が少なくなるし、来年度、各学校に何名、この指導担当教頭を設置するんですか。予算化があるでしょう、ちゃんと。そして、定数をふやさないとしたら、授業のしわ寄せはどこに行きますか。
〇小川教育次長 来年度の予定としては全県で一、二名という予定でございます。先ほど授業の話が出ましたが、例えば音楽で日本でも有数な先生がいるようなケースについては、そういう方が、夏休みとかそういうときに各地区の学校をめぐって、例えば音楽の指導のあり方とか授業等を見たり、クラブの指導等を見たりして指導してあげるとか、そういうふうな位置づけでございますので、授業等について影響等はまず出ないと思っています。ただ、先生方もふだんから教科圏で相当動いてございます。これは、小・中学校の場合は指導主事の先生方が各教育事務所におりまして各学校を回れるんですが、県立の場合には教育事務所に高等教育部門がありませんので、全県を回るのは県庁の学校教育課の職員が回っています。現場が非常に手薄になっております。ですから、各地区ごとに、例えば科目の秀でた先生が数人いらっしゃれば、そこで指導してもらえるんじゃないかと。これは将来構想でございますが、いずれ、そういうふうに指導の能力を持っている方について各地区で活用できないかということでやっておりますので、授業等について支障等を出すものとは考えておりません。
〇斉藤信委員 これで終わりますけどね、安藤教育委員長、今の話で、いいですか、来年度、一、二名、指導担当教頭を決めるというんでしょう。そんなものを何で慌てて議論もしないでやらなきゃだめなんですか。もう少しこの指導担当教頭の本当の必要性も、そしてその役割も、やっぱり校長会の先生方と議論する、労働組合とも議論する、意見も聞く、きちんと議論して決めたらいいじゃないですか。主任制を決めるときに3年間もめたじゃないですか。そういうことをあなた方は繰り返してはならないと思うんですよ。やっぱり一つ一つのあなた方が大事だと思ったことがみんなに理解されなかったら、制度としては定着しないんですよ。
 最後に安藤教育委員長に、この進め方について、もっと慎重に、教育委員会が労働組合とも話をする、校長会とも話をするというふうに進めるべきだと思いますが、いかがですか。
〇安藤教育委員会委員長 ただいまの御意見を十分受けとめながら、必要な手だてはとりながら、4月1日の実施に向けて取り進めを行いたいと、かように思います。よろしくお願いいたします。
〇工藤大輔委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇川村農夫委員 大学進学支援に係る事業の違いとか、県北沿岸人材育成とか課題貢献人材育成という議論がいろいろなされたわけでありますが、私は逆の視点から質問いたします。
 教育委員長演述の中で、3ページ目に(1)から(6)までありますが、特に(5)中学、高校で数学、英語を中心とする云々とありますが、今、岩手でものづくり産業振興を標榜している中で、産業振興対策特別委員会での調査におきまして、その講師から、実業高校を卒業する生徒、就職してきた人材の中で、小学校5年生程度の国語、算数が理解できない若者が多い。働く現場で最低限小学5年の国語力が必要だ。その力があれば、新聞を読むことができ、自分の考えを言うことができ、人の話を聞くことができる。口頭でのマニュアルについても何とか解読できる。その力がないと、企業側でも人材として評価できない。岩手に人材を求めることが難しくなるとさえ言われております。また、算数においても、小学校5年の力がないと、工業高校や実業専門高校の授業についていけないまま卒業してくる。要は、技術学力が身についていないということになります。実業高校の中でも、その基礎学力の補習といいますか、高校に来てから、そういった基礎的学習の補習に時間を割いているという話も聞きますが、英語力に入る前に、読み・書き・そろばん、読み・書き・算数です。ここに係る確実な基礎学力、基本をマスターさせることこそ大事だと思うのですが、現状をどうとらえているのか、具体的にどう取り組むか、考えはいかがか。そしてまた、中学の授業の中でそこをクリアする手だては考えているのか、お尋ねいたします。
〇佐々木学校教育課総括課長 ただいま御指摘いただきました件でございますけれども、小学校、中学校レベルの国語、算数・数学の力の基礎・基本の育成が必要だということでございますが、全くそのとおりだというふうに受けとめております。従来、私どもは、学習定着度状況調査は県で独自にやっておりますし、先ほどお答えいたしました4県統一の学力テストの結果で、特に県の学習定着度状況調査では、小学校も中学校も本年度の平均正答率では予定していた正答率に達しているというようなお話をさせていただいているわけでございますが、平均正答率というのはあくまでも平均でございまして、それよりも成績のいい子もいれば、学習定着度がまだまだという子もいるわけでございます。私どもが実施しております学習定着度状況調査は、一人一人の子供たちがどの問題でつまずいているかということが、当該学校では小学校も中学校もわかるようなテストでございますので、この学校では、一人一人のつまずきをしっかり把握して指導するように努めてまいりたいというふうに思っております。あくまでも平均正答率というのは目安でございまして、各学校においては一人一人を見るように指導してまいりたいと思います。特にも、こういうような学習定着度のまだまだ満足できる状態ではないということがございまして、次年度に予定をさせていただいておりますおさらい教室というような事業も企画をさせていただいたわけでございまして、18年度は県北・沿岸を中心に限られた数しかできないわけでございますけれども、今後、成果を見ながら、これを拡大していきたいというふうに考えているところでございます。
〇川村農夫委員 いずれ、高校に行ってからの登校拒否の原因にもなりかねないわけですよね。小学校5年の算数がわからないのに、工業高校の技術的な数学を講義されてもわからない。こういうことのないように、やはり平均点じゃなくて、今お答えの中にもありましたけれども、まず、中学校に行ったら、小学校の部分を6割、7割きちんとクリアさせるというような教育の方法をしっかりとやっていただきたいというふうに思います。ぜひ力を注いでいただきたいと思いますが、教育長、御答弁をお願いします。
〇照井教育長 いずれ、学力向上は私どもも教育の最重要課題の一つであると考えておりまして、一人一人の子供たちの状況に応じた、今ありました事後の徹底とか、あるいは習熟度別とか、希望別とか、そういうきめ細かな対応で、ただいま御指摘いただいたような点を何とかクリアしていくように頑張っていきたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 先ほどの資料について一つだけ。
 県北沿岸人材の一番下のところです。──取組例、進学のための教員の指導力向上、教員向けの予備校講習会──、これを読んでいると、指導力のない先生が県北・沿岸に来ているんですかねという感じなんです、どう見ても。その時点でもちょっと、これは予備校の講習会というから生徒が受けるのかと思ったら、先生が指導力向上のために受けると。これはどう理解すればいいんでしょうか。
〇佐々木学校教育課総括課長 ただいまの御指摘でございますけれども、予備校あるいは大学の先生方による講義、講演でございますが、生徒向けのものも予定しておりますし、それから、県立高校の教員向けの講義も予定しているところでございます。近年の大学入試でございますが、毎年のように制度が目まぐるしく……。(嵯峨壱朗委員「そんなことじゃない」と呼ぶ)
〇工藤大輔委員長 答弁をまず簡潔にしてからにしてください。まず答弁してください。続けてどうぞ。
〇佐々木学校教育課総括課長(続) 若い先生方も非常に多ございますので、すべての先生方がそういう大学進学に向けた講義あるいは授業ができるようにする必要もあるというふうに考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 よくわかりましたが、そういう意味じゃないんです、私が聞いたのは。それはそのとおりですよ、若い先生もいるんだから。ところが、取組例として、なぜ県北沿岸地域人材育成事業の取組例のところだけ書いてあるかということを聞いているわけです。そういうことを聞いているわけです。
〇小川教育次長 すみません。県の人事の仕組みとして、新しい先生方が、例えば県の内陸部の学校にまず最初配置されまして、それから県北と沿岸部に若い間に出るケースが結構多ございます。そうしますと、そこからまた戻ってきて、いろんな進学校とかで進学のスキルといいますか、そういうものを学ぶわけですが、県北・沿岸部は割と若い先生の割合が高いんですね。ですから、そういう先生方に早いうちにどういうことが必要かということを勉強してもらうために、ここは特に特出ししているわけです。ですから、ここが劣るということじゃなくて、若い先生方に早く勉強していただくということです。
〇嵯峨壱朗委員 ということは、県北・沿岸地域というんですか、その周辺部には常に経験の少ない先生方が行っているというふうな理解ということですね、今の説明だと。
〇山田県立学校人事担当課長 先ほど小川次長からも説明がありましたが、どちらかというと、本線沿いの方は大きな学校が多いですし、そして、県北・沿岸部はどちらかというと小規模校も多いわけでございます。それで、初任者を配置する場合は、同じ教科の教員が多い学校の方が育つというところがあります。小規模校の方に初任者を配置しますと、同じ教科の先生になかなか教えられるチャンスがやはり少ない、ほかの先生の授業を見ることもなかなか少ないということで、中規模校以上の学校にできるだけ配置するようにしております。それが三、四年しますと県北・沿岸に赴任するケースが多くなりまして、どうしても若い教員が県北・沿岸には本線沿いよりは比較的率として高いと。そういった教員がまた異動で進学経験を発揮するためには、二つ目の学校でより一層進学指導に向けての実力をつけなければならないということで、ここに特出しされたものというふうに思います。
〇嵯峨壱朗委員 大体何かわかってきたんですけど、私も小さいころ聞いたのは、何で勉強ができないか、今わかったってどうにもなりませんけれども。ああ、なるほどそうだったのかなと思って聞きましたけれども、うわさでは聞いたことがあったけど、新任の先生とか、若い先生が遠い方に先に行ってどうこうというのは、やっぱりそのとおりだったんだなと思いましたので、自分のことも再認識させていただきました。
 それで、だとすれば、そういうところにもやっぱり原因があるのかもしれません。これが高校だけじゃなくて小・中の問題として、そう思います。小川次長、違いますか。何か意見があったら言ってください。小川次長に聞きたいです。
〇小川教育次長 今、担当課長から申し上げたことは、新任者を入れるときに、育てるためには大規模校に入れた方が育ちやすいと。その大規模校というのは割と沿線の方に多いんですね。ですから、そこで3年ぐらいやってから、次に初任地3年の後に県北・沿岸部とか行き来します。そうすると、どうしても割合とすればそっちが若い人が高くなる。最初から沿岸部に若い人を入れますと、そっちでは最初は学べない。最初の3年間は学べないというのは、同じ科目の先生がいっぱいいらっしゃらないので、いろんな先生から教わって先生は育っていきますので、そのためにやっぱり沿線部の大規模校、各学年8クラスとか6クラスあるような学校に任用して、その方が次は沿岸部に行ったときに、そちらで一生懸命勉強したいけれども、やっぱりそこには教える方が少ないから、いろんな予備校の先生とかを頼んで、戻ってきて大規模校でもう一回進学指導とかをして勉強する前に、一度そっちでもやりましょうということで力を入れたものです。
〇小原宣良委員 大学進学支援事業の一覧をいただきました。一般質問でも伺った点で恐縮なんですが、改めて伺います。これは受けとめ方によっては、本県の教育方針の一大転換ではないかというふうにも受け取れる、そういう要素を持っていると思います。
 一つお伺いしますのは、かつて学歴社会を考え直そうという機運がありました。これは、日経連、経団連など経営者団体でもそうした機運がございました。今でもあろうかとは思いますが、この学歴社会というものについてどのように考えているかという点が一つは出てくる。もちろん私も、大学に行ってさらに勉強したいという子供たちについて、大いにそれを支援して、その希望をかなえてやるということは大事なことです。各学校においても大事なことですね。しかし、そのことについて、対象高校を特定して発表しております、どこそこと。11校ですね。そういう部分について、確かにその大学進学の率は高いとは思うんだけれども、しかし、それは全県の高校の中で、そうした子供、大学進学を目指そうと思って頑張っている生徒については、これをしっかり支援するということが前提になきゃいけない、基本的に。その上で、こうした方策あるいは大学進学支援事業ということであっても、これはあくまでも補完的な取り組みですね。高校教育の中で、これが主たるものでは決してない。補完の事業である。しかも、今、11校に特定したということが誤解を招くという部分を持っているわけですが、基本的にはすべての高校生あるいは子供たちが大学進学を希望したときには、先生方も教育委員会もそれを支援する、そういうことなのだろうと思うんですよ。そういう意味で、学歴社会を考え、見直そうという機運が一方であった。そういうものについてどう考え、かつ希望する熱意にあふれる子供たちをどう支援するかということを両立させていく姿勢というものが教育委員会に求められているんだろうと私は思うんですね。
 同時に、この地域に定着して、まさに地域生活の中で働き、地域を支えている岩手の子供たち、これも大事な存在なんですよ。これは専門高校の皆さんを初めもちろん普通高校の皆さんでもそうです。地域に定着しながら、ともに地域を支えているそうした子供たち、これも大事な大事な存在なんですね。そこのバランスが両々相まって、子供たちが妙なひがみや、そうした格差、格付を教育委員会からつけられちゃったというふうに思わない、ここのところをしっかりとやっていくことが、今求められているんだと思うんですよ。この点について改めて伺います。どう考えますか。
〇佐々木学校教育課総括課長 ただいま委員御指摘ありましたように、かつて学歴社会の弊害というものが非常に重大視されたわけでございますけれども、現在はどうかということでございますが、当時は、高等教育を受ける、上級学校に進学する人数も非常に少ないということもございました。現在は、全国的に見れば、もう間もなくおよそ半分ぐらいの方々は短大、四大に進学するというような時代になっておりまして、大学に入ったからといって、単純にそのままそこで学んだことが社会に出てから通用するものではないということは、日本の国民だれしもが認識しているところではないかと思っております。単に大学に行くということが目的ではなくて、いかにそこで十分に知識・技能を身につけ、自分を磨いて、そして社会に貢献できる人材になるか、自分の夢、希望を実現するために大学に行って努力するということが大事だというふうに変わってきているものと考えております。そういう意味で、現在、中学校においても、高等学校においても、大学・短大等に進学する子供たちにはそのように指導しておりますし、私どもとしては、そのような指導をしている高等学校を、それから大学・短大等に進学しようとしている子供たち、さらには県で今必要とされております医師になろうというような子供たちを支援したいというふうに考えているところでございます。
〇小原宣良委員 一方で、これまでの高校教育の中で先生方の教え方が悪かったというのか、ちょっと不足があったということを補完するということなのか。今までの一定の成果の上に、教職員の努力という上に、さらにそれを補完していくということでこの事業を位置づけるのかということで、今頑張っている教職員の皆さん方の受けとめ方というのもある意味違ってくるんだと思うんですね。ちょっとした言い回しの部分で言うと、これはすごくデリケートだと思いますよ。
 そういう意味で教育長にお伺いしますが、ぜひ、教職員の皆さんも含めて、今、県民あるいは私たちも、この事業に対して、格付をしたのではないかという疑問が私はありまして、一般質問でもお聞きをした。なお、まだその部分については残っているんですよ、気持ちの上では。しかし、そこのところを、そうじゃなくて、大学に行く人も頑張らせる、地域で働く人たちも頑張らせる、こういう高校教育であってほしいという願いは持っております。そういう教職員の皆さん方が本気になって、よし、これからも頑張っていこうというふうに思える方針というか、考え方を現場にはきっちり伝える必要があると思いますよ。いかがですか。
〇照井教育長 すべて私ども教育に携わる者は、子供たち一人一人の将来に対する夢とか目標を実現できるように支援していくことが役割だというふうに考えております。それで、現場の教員は一人一人やはりその目標に向かって、みんな自信と誇りを持って一生懸命励んでいるというふうに理解しております。その上で、さらに子供たちのニーズも多様化していますので、そうした子供たち一人一人のニーズにきめ細かに対応していく必要があるのではないかということで、今回、御提案している特に大学進学を目指す子供たちには、こうした事業等を通じてそれを補完してやる。それから、もちろん専門高校の子供たちには、またそちらはそちらで、例えばほかの事業がございますけれども、そういうもので支援する。また、ほかの普通高校の方もそうした別の事業、メニューを用意してございますので、いずれにしろ、すべての岩手の子供たち、高校生にひとしくそうした教育の条件を整理して、一人一人がそういうことで将来の目標を実現できるように、教育委員会、学校現場挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木一榮委員 いただいた資料にちょっと関連して、格差といいますか、お伺いしたいと思います。例えば県北沿岸地域人材育成事業を見ますと、対応方向で難関大学・学部とあります。下の事業概要には、難関大学・学部の合格者と国公立大学の合格者数、真ん中に来まして、県政課題の方は医学部や難関大学・学部とあります。医学部にも難関の大学と入りやすい医学部があると私は思うんですけれども、なぜかこういうふうになっている。下の指標は医学部また難関大学。この難関大学・学部というのはどういうイメージをされているんでしょうか。例えば事業対象校が、当然、県北・沿岸もここに5校決まっています。それから、県政課題が6校決まっている。両方に難関大学・学部とありますけれども、これはそれぞれの学校によって、当然ながらその動向も違うと思うんですけれども、こういう難関大学・学部のイメージは、これが逆に格差といいますか、そういった部分で、各学校でこれは非常に混乱するんじゃないかなというように私は思うんですが、その考え方はいかがなものでしょうか。
〇佐々木学校教育課総括課長 それぞれの高等学校におきましては、いわゆる難関と言われる学部・大学という――ここではどこどこというふうに具体例は挙げられませんけれども、各学校においては入るのが非常に難しいといいますか、そういう大学・学部については把握しているわけでございます。医学部というのを特出ししておりますけれども、特にも、県政課題貢献人材育成事業の対象高校として挙げたこの6校につきましては、こういう医学部等への合格者数が、何年か分を見ますと、比較的多いというような学校と考えていただきたいと思いますが、医学部につきましては、ここ数年さまざまな事情があるのでございますけれども、国公立、私立に限らず、どこの大学の医学部も入るのが非常に大変になっているということが実情でございます。
〇伊沢昌弘委員 資料を出していただきたいということでお願いをした関係で、若干質問させてください。
 私は、お願いをして資料をいただきたいと言ったのは、この大きな資料に三つのくくりがある。いろんな事業がありますよ、すべて同じですよというふうなことで、教育長から先ほど御答弁をいただいたと思っています。特筆してこれだけやるんじゃないということで、一番右側、15校で1、350万円の予算の中で、17年から始めた進学目標達成推進事業だということになっています。40%が進学を目指して、合格が35%だと。5%が足りないというのが全体だと思うんですね。それを埋めるために、左の方に二つのくくりで新たな事業を展開しましょうと。予備校の先生を呼んできて、いわば点数が取れる授業をやっぱりやっていこうと。これまでもやってきた部分を県がお金を出して個人負担を下げるという崇高な、そういう趣旨でこれをやったというふうに私も理解しています。とすれば、この三つの事業、どこが違うんですか。くくる必要はないんじゃないのというのが私は言いたくて、この資料を出してくれと言ったんです。県北・沿岸でも、中央でも、11校の中に入る中学生は、それぞれ中学校でも勉強して入ると思います。そして、この現状の中で、県北・沿岸だと高校で点数が伸びないと。だから、その部分をやらせるんだというので、新たなところの学校に目指すということに書いているんですが、そうは言っても、全体の中で4割の受験者しかいないわけです。6割の部分はどうするんだというところも含めて見ていかなきゃならないと思います。
 それから、真ん中には弁護士とかいろんな部分を書いています。他県に行って弁護士の勉強をしなきゃない。岩手にはありません。お医者さんをつくるということで、岩手の中で入れるのは、多分、岩手医大に入れようということだと思います。確かに、先週の審議の中でも、枠をつくったけれども、岩手医大にも入れない子がいる。推薦をしても入れないよというのがある。それを救うという意味からいけば、真ん中のこの6校のところからやるということはわからないわけじゃありませんけれども、県北・沿岸から受けさせる、それも含めて、撤廃をしながら全体を上げる。そして、特にも補習みたいな形でこの先生方を呼んでくるのであれば、分ける必要はないんじゃないかなというふうに思うんです。その辺はいかがでしょうか。言ってる意味、全然だめですか、私のは。
〇佐々木学校教育課総括課長 先ほど、大学進学支援に係る事業の違いのところでも御説明をさせていただきましたけれども、それぞれの事業の、根本的にどういうところから出てきたか、どういうような学習環境を整えてやらなければならないか、そのためにはどのようなことをしなければならないかというようなことがそれぞれに異なるということから、私どもといたしましては、区分をして実施させていただければというふうに思います。確かに、例えばある学校に本当に医学部に行きたいという子が1人しかいないというような学校も、もしかすればあるかもしれません。そういうような場合は、例えばこういう県政課題貢献人材育成事業に参加するというようなことも、これは呼びかけますけれども、それは学校全体が取り組むのではなくて、その子については、やはり県政課題貢献人材育成事業を実施する対象校のところの授業に参加させるというような形でやるということでございまして、各学校独自の取り組みとしては、やはり分けた方がわかりやすく進めやすいのではないかというふうに考えているところでございます。
〇伊沢昌弘委員 教育委員長の演述の中にも、改めて教育向上を目指すということで、先ほど川村委員が言いましたけれども、3ページに、いろんな学力向上に向けて取り組んでいくというのがあります。しかし、もっと大事なのは、やっぱり2ページにありますように、確かな学力、生きる力をはぐくむんだという部分からいけば、余りにも突出して英才教育をやるのかというふうに私はとるんですよ。そして、学校の先生方も今まで頑張ってきた、受験勉強もさせてきた、35%まで大学に行けるようになったじゃないかと。全国46位かもしれません。でも、こういう部分で、今、全国で予備校が岩手県には少ないと思います。だから、予備校の先生を呼んできてやるんだ、点数を取らせればいいんだというふうな形になるということは、余りにも特化をしない方がいいんじゃないかということで私は申し上げてきました。同じ答弁が来ると思いますので、この辺は改めて教育委員会の中でぜひ御検討もいただきたいものだと。何たってこのとおりやるというのであれば、これは管理運営事項、そして予算を通すのは私たちの議会の方でやりますから、これは決して多い額ではないと思います、本当の意味から。先ほど来言っているいろんな副校長、そして指導担当教頭をつくって、新たな部分、これは照合する部分があるかもしれませんけれども、そういうことよりは、全体の中で教育水準が上がるということをぜひ目指していただきたいと御要望申し上げて、終わります。
〇工藤大輔委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤大輔委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。
 教育委員会の皆様は退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、10分間ほど休憩をいたしたいと思います。
   午後 5 時 3 分 休 憩
   午後 5 時17分 再 開
〇伊沢昌弘副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 警察本部長から警察本部関係の説明を求めます。
〇山下警察本部長 平成18年度予算並びに岩手県公安委員会の管理に属する事務手数料条例の一部を改正する条例について御説明を申し上げます。
 初めに、警察本部における予算編成の考え方について御説明を申し上げます。
 昨年の県内の治安情勢を顧みますと、刑法犯認知件数が4年連続して減少しているものの、県民が大きな不安を感じる金融機関、店舗対象の強盗事件、悪質な少年事件等が発生をするとともに、振り込め詐欺など身近な知能犯罪が増加傾向にあります。また、交通死亡事故の発生状況は全国的に大きな減少傾向にある中、当県は微減にとどまり、交通事故死者に占める高齢者の割合も高原状態で推移するなど、交通環境についても予断を許さない状況が続いているところであります。
 このような情勢を踏まえまして、平成18年度は、治安日本一いわての実現のため、その活動重点を、昨年に引き続き、犯罪の防止と総合的な交通安全対策の推進として、岩手県警察の運営重点とあわせて、地域社会と連携しながら各種施策を推進し、県民の安全な暮らしの実現に努める考えであります。
 次に、平成18年度警察費当初予算について御説明を申し上げます。
 岩手県議会定例会議案その1の8ページをお開き願います。一般会計歳出の第9款警察費の総額は、297億5、129万5、000円であります。これを項別に見ますと、第1項警察管理費が272億2、264万9、000円、第2項警察活動費は25億2、864万6、000円であります。
 次に、目別予算の内容について御説明を申し上げます。お手元の予算に関する説明書によりまして、主なものについて御説明をいたします。
 202ページをお開き願います。第1項警察管理費第1目公安委員会費は、808万1、000円であります。その内容は、公安委員会の運営に必要な活動経費及び委員報酬であります。第2目警察本部費は、253億8、940万4、000円であります。その内容は、岩手県警察の運営に必要な経費であり、警察職員の給料、職員手当、交番相談員、警察安全相談員等の非常勤職員報酬、共済費などの人件費が主なものであります。この中には、平成18年度に増員される警察官20名の経費も含まれております。203ページをお開き願います。第3目装備費は、3億5、117万8、000円であります。その内容は、犯罪捜査、災害対策などに的確に対応するための警察装備に必要な経費であり、車両の購入費及び車両、警備船、航空機の維持管理費が主なものであります。第4目警察施設費は、8億3、206万1、000円であります。その内容は、治安の基盤をなす警察施設の整備、維持管理に要する経費であります。この中には、老朽・狭隘化が著しい機動隊庁舎を移転するための経費、交番等の建設事業費及び警察署、警察待機宿舎の修繕費などがあります。204ページをお開き願います。第5目運転免許費は、5億7、059万2、000円であります。その内容は、自動車運転免許の取得、更新、行政処分などに関する運転免許行政のための経費であります。この中には、本年5月開設予定の盛岡運転免許センター関係経費、道路交通法の一部改正による運転免許制度の見直しに係る大型免許技能試験車両の購入、改造経費も含まれております。第6目恩給及び退職年金費は、7、133万3、000円であります。
 205ページをお開き願います。第2項警察活動費第1目一般警察活動費は、6億3、342万9、000円であります。その内容は、通信指令、警察通信維持費、地域警察活動経費、機動隊活動経費など、警察活動運営に必要な経費が主なものであります。第2目刑事警察費は、2億9、192万1、000円であります。その内容は、少年非行防止及び銃器、薬物事犯対策等保安警察に必要な経費並びに犯罪捜査に必要な経費であります。206ページをお開き願います。第3目交通指導取締費は、16億329万6、000円であります。その内容は、交通指導取締活動、交通安全施設整備など交通警察に必要な経費であります。交通安全施設整備につきましては、総合的な計画のもとに、交通管制区域の拡大整備、交通信号機の改良などを行い、交通事故防止と交通の円滑化を図ろうとするものであります。また、平成18年6月から違法駐車対策事業として実施予定の駐車違反確認事務を民間に委託する経費、放置駐車違反管理システム機器の賃借料などが含まれております。
 以上で、平成18年度予算に係る説明を終わらせていただきます。
 続きまして、議案第48号岩手県公安委員会の管理に属する事務手数料条例の一部を改正する条例について説明をさせていただきます。
 議案書は岩手県議会定例会議案その2の358ページをお開き願います。
 まず、改正の趣旨について申し上げます。これは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律──以下、風適法と御説明させていただきますが──風適法の一部改正に伴い、性風俗関連特殊営業を営む者が営業所等に備えつけることとされた届出確認書の交付について、その手数料を新たに徴収しようとするものであります。
 次に、条例案の内容について御説明申し上げます。
 その1は、性風俗関連特殊営業を新たに営もうとする者に対する届出確認書交付手数料であります。これは、風適法の一部を改正する法律の附則に規定をされております既得権営業者に対する届出確認書交付手数料も含んでおります。風適法施行後、性風俗関連特殊営業のうち、新たに店舗型性風俗特殊営業及び店舗型電話異性紹介営業を営もうとする者につきましては、店舗型営業届出確認書交付手数料として1万1、900円を徴収するものであります。また、無店舗型性風俗特殊営業のうち、受付所を開設しようとする者については、無店舗型営業(受付所)届出確認書交付手数料として3、400円と8、500円に受付所の数を乗じて得た額との合計額を徴収するものであります。さらに、無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、無店舗型電話異性紹介営業及び改正風適法の附則により既得権により営業を営もうとする者については、無店舗型等営業又は改正法附則届出確認書交付手数料として3、400円を徴収するものであります。
 その2は、営業変更届出確認書の交付手数料であります。これは、現に営業している性風俗関連特殊営業者が、営業所の所在地や代表者の氏名等に変更が生じたときに、その変更事項について届出書の提出があった場合に変更届出確認書を交付するための手数料で、無店舗型性風俗特殊営業者のうち変更に係る事項が受付所の新設に係るものである場合には、無店舗型営業変更(受付所新設)届出確認書交付手数料として1、900円と8、200円に当該新設に係る受付所の数を乗じて得た額との合計額を徴収するものであります。受付所新設以外の変更事項の届け出に関しましては、営業変更届出確認書交付手数料として1、500円を徴収するものであります。
 その3は、届出確認書の再交付手数料であります。これは、性風俗関連特殊営業者が汚損、紛失等により届出確認書の再交付を受けるための手数料で、営業届出確認書再交付手数料として1、200円を徴収するものであります。
 なお、ただいま御説明を申し上げましたそれぞれの手数料の金額につきましては、地方公共団体の手数料の標準に関する政令により定められた金額でございます。
 最後に、施行期日についてであります。
 手数料条例につきましては、風適法の一部を改正する法律の施行日である本年5月1日から施行しようとするものでございます。
 以上のとおりでございますので、よろしく御審議いただきますようお願いを申し上げます。
〇伊沢昌弘副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇平野ユキ子委員 私からは2点お伺いしたいと思います。
 まず1点目は、これ、いろいろ声が出ていることなんですけれども、青少年を取り巻く有害環境の実態とその対策についてお伺いいたします。
 先ほど青少年犯罪につきましては教育委員会でも質疑が取り交わされたところでございますけれども、教育の問題もありますが、今は青少年を取り巻く環境は著しく悪化しており、全国各地にいわばミニ歌舞伎町といったような状況が出てきていると言えるのではないでしょうか。
 ここ岩手の県都の盛岡でも、繁華街には風俗エステ店などの店が軒を並べるようになり、外国人女性による客引きなどが目につくようになりまして、旧来の盛岡の町並みを知る者としては、非常に嘆かわしいと思われるのですが、こういった状況が青少年に与える影響は著しいものがあるという声が聞かれております。売春とか買春、それから年少者の雇用、外国人不法就労など、はた目には犯罪行為の温床のように感じられるとの声が各所より私のところに聞こえてきておりまして、それについてお伺いしたいところでございますが、有害環境としてのピンクチラシというのは条例によって一掃されたところでございますけれども、一方で、ピンクチラシの特集版のような雑誌が出回っております。いわば、風俗情報誌とでも言いましょうか、それも岩手県版といったような雑誌がコンビニエンスストアなどで、だれでも、若年者でも容易に買うことができる状況が近ごろ出てきておりまして、青少年の環境を考える有識者の方々からは、何とかならないかとの声が出ているところです。現実に、高い報酬で誘われた女子学生もいたという、この部分がこれまでとまたちょっと違う部分かなと。就職情報誌ですので、さらに実際に高い報酬で誘われる女子学生もいたとの報告もありました。かなり身近な問題ではないかなと思われます。
 こういったことは、だれでも手に入るという販売方法にも一考を要するのではないかと思われますけれども、そこで警察本部にお伺いしたいのは、こういった青少年を取り巻く有害環境の実態、そしてこれらの浄化のため、どのような対策を講じておられるのか、お聞かせください。
〇小川口生活安全部長 それでは、青少年を取り巻く有害環境の実態と、その対策についてお答えいたします。
 最初に、青少年を取り巻く有害環境の実態につきましては、少年のたまり場となっているゲームセンター、カラオケボックス、深夜営業店、それから性非行を助長する出会い系サイト、テレホンクラブ、アダルトショップ、ラブホテル、さらに少年の性的感情を著しく刺激したり、残虐性や粗暴性を助長するおそれのある有害な図書類、映画、ビデオ、ピンクビラなどが少年の健全育成に悪影響を及ぼしていると認められるところであります。このため、これらの実態を踏まえまして、県警察としては、少年警察の重点実施項目に有害環境浄化対策の推進を掲げ、関係機関・団体との連携を図りながら諸対策を推進しておりますが、少年の補導活動として、ゲームセンターやカラオケボックスなど、少年のたまり場になりやすい場所への補導活動の強化と経営者への指導を実施しております。また、有害となり得る対象への立ち入りや指導取り締まりといたしましては、深夜営業店や風俗営業店に対する立ち入りの強化をし、年少者雇用や児童買春などの少年の福祉を害する犯罪の取り締まりを推進し、昨年は年少者雇用事件を2件、児童買春などの事件を9件検挙しております。さらに、公衆電話ボックス等に無差別に貼付されていたピンクビラにつきましても、この2月1日に施行された改正迷惑防止条例によりまして、貼付・所持を禁止しているところであり、先般、盛岡市内において電話ボックス内に貼付した者2名を検挙したところであります。
 次に、広報啓発活動といたしまして、出会い系サイトなどの危険性についての中学、高校などにおける非行防止教室の開催や、地域での各種懇談会での広報活動を実施しておりますし、コンビニ店等に対して有害な図書類の販売、陳列方法・場所の指定などの要請を行っております。
 今後も、関係機関・団体、地域と連携を図りながら、少年の有害環境の浄化に努めてまいる所存であります。
〇平野ユキ子委員 その雑誌というのは実はここに持ってきているんですけれども、この雑誌は、中はそういった就職情報も満載してありまして、しかしながら、ただいま御答弁にありました有害図書に指定するというのはなかなか難しい、要するにピンクチラシ、今おっしゃいましたように、2月の条例施行によりとられたのがまたここに入ってきているような状況かなとも思われるような雑誌なわけです。かといって、有害図書に指定できるまででもないという、要するにイタチごっこの部分があって大変難しいんですが、これは確かに犯罪以前の問題であって、取り締まるところはこれまでどおりに今の御答弁ですとなっておりますけれども、一方では、DVとかストーカーなどという犯罪以前のものを防ぐという体制が実は最近整ってきております。DVとかストーカーのように、犯罪が起こるかもしれないという状況を訴えて、警察は、それまでそういう法規制がなかったものですから手を出すことができず、重大な殺人とか事件に結びついたということから、見直しを求める国民の声によって、その犯罪以前の訴えを聞くというような法体制が整備されてきたところでもございます。要は、このような有害環境をどのようにして浄化をしていくか、浄化することが必要だという地域住民の危惧、それから憂慮の声があるということなんです。この点に関して、取り締まるという部分は今のところあれでしょうけれども、こういった状況があるという声、住民の声をお届けしますが、それに関しまして警察本部長の御見解をお聞かせください。
〇山下警察本部長 先ほど部長の方から御答弁申し上げましたように、この少年を取り巻く有害環境、さまざまな形態がございます。私は一番大切なのは、そういった有害な環境というものを、少年たちに直接触れさせないということをきちんと峻別をするということが大事だと思います。したがって、御答弁申し上げましたように、いろいろな法規制がございます。そういった法規制、犯罪に触れるというものについては厳格に取り締まるということももちろん大事で、これはきちんとやっていきたいと思っておりますが、ただいま委員御指摘のように、やはりそれだけでは立ち行かない部分もあろうかと思います。まさにそういった地域の声、それから例えば今御指摘の雑誌というようなことになりますと、そういう出版物についてどのように考えるかということについては、これはなかなか警察だけでということはまいらないかと思います。有害図書の指定、あるいは有害図書に至らなくても必ずしも好ましくないというような声については、それぞれの、例えば事業者の方々、書店の方々、あるいは関係行政機関等で連携をしながら、そこはタイアップをしてやっていかなければいけないと思っております。
 いずれにいたしましても、私ども違法なものについてはきちんと取り締まっていく。あわせて、そうした有害と思われるようなものについてはいろんな形態がありますけれども、その形態ごとに関係するさまざまな機関・団体、地域の方々、あるいは親御さんの声、あるいは学校の先生方の声と、こういったものも十分連携をさせていただきながら、しっかりと対策をとっていきたいと思っております。
〇平野ユキ子委員 心強い御答弁ありがとうございます。やはり地域と連携して犯罪を未然に防ぐという、そういう形が大事ではないかなと思います。
 それで、これは通告していなかったので正確な数字はわからないと思いますけれども、ただいま議案第48号で、ちょうどたまたま風俗営業の手数料の一部を改正する条例についての御説明がありました。これの動き、正確な数字はともかくとしまして、今は店舗型営業、届け出営業というのは、風俗業に関してはできないというふうに聞いていますので、先ほど既得権とおっしゃいました。ですから、無店舗の営業に関しての収入の部分で、ここ数年ふえているのかどうということを、もしわかればお聞かせください。
〇齋藤参事官兼生活安全企画課長 正確な数字はちょっと把握しておりませんけれども、去年から変わっておりませんのでふえていないと思います。
〇平野ユキ子委員 1年ではちょっとあれなんで、この雑誌は結構前から出ているらしいので、ここ数年、今急に申し上げましたので、後で数字がわかれば教えていただきたいと思います。
 この雑誌は、二、三百円でだれでも手に入るんです。コンビニエンスストアに行けばすぐ手に入ります。その販売方法も一考を要するのではないかなと、先ほども申し上げましたけれども、こういう状況があるということを踏まえて、警護に当たっていただければとも思います。これは御答弁は必要ございません。
 次に、通称青パトと呼ばれる民間で使える青色回転灯、パトロールのときに使う青色回転灯の自主防犯パトール車の普及状況について伺いたいと思います。
 平成16年12月定例会の一般質問におきまして、その経緯などについて私お伺いしたところでございますが、この運用が開始されてから1年以上経過しております。今の治安の再生には、ただいま本部長もおっしゃいました地域の力も必要です。警察の力もさることながら、地域住民の方々が連携して犯罪防止に取り組むという地域力というものが必要とされているところです。この地域力のバロメーターの一つでもあります青パトの普及状況をお聞かせください。
 前に報道されておりまして、普及しているのかなというような報道もありましたので、その状況をお聞かせください。
 また、今展開されている民間の方々による自主防犯活動の状況についても、県警で把握している範囲で結構ですので、お聞かせ願いたいと思います。
〇小川口生活安全部長 最初に、青色回転灯装備車両、いわゆる青パトの普及状況について申し上げます。
 地域の方々による自主防犯活動を活性化させる施策の一つとして、16年12月1日から証明申請の受付を行い、青色回転灯装備車両による自主防犯パトロールが行われております。その普及状況について、本年3月7日現在、県内においては民間防犯ボランティア団体24団体が規制緩和の認定を受け、48台の車両に青色回転灯を装着して自主防犯活動を積極的に行っていただいておりますし、現在8団体、9台についての証明申請がなされているところであります。
 県警察といたしましても、自主防犯活動が積極的に行われるよう、引き続き市町村に対する働きかけや民間防犯ボランティア団体に対する支援を行うこととしております。
 次に、現在展開されている民間による自主防犯活動の状況についてでありますが、平成17年12月末現在において、県警察で把握している民間防犯ボランティア団体は83団体であり、平成16年12月末と比較しまして、24団体増加しております。地域における防犯パトロールや通学路などおいて、子供の安全を守るための活動を行っていただいているところであります。
 警察といたしましては、民間防犯ボランティア団体の自主防犯活動を支援することとし、今年度は警察庁の施策として、県内4地区が地域安全ステーションモデル地区として指定を受けておりますほか、平成18年度においても現在公募を行い、警察庁に推薦することとしております。
 県の施策としては、平成15年度から平成17年度までの間、盛岡市内の3交番管内について、犯罪発生実態の分析やボランティア団体の活動の支援を行っておりますが、平成18年度はこれをさらに拡充することとして、平成18年度予算に計上させていただいております。その内容は、県内8カ所を公募などの方法によって岩手版地域安全ステーションモデル地区に指定し、防犯ボランティア団体に対して、青色回転灯を初めとする各種防犯パトロール資器材の支援を行うこととしており、このような施策により警察と地域が連携し、安全で安心な地域の実現を図っていくこととしております。
〇齋藤参事官兼生活安全企画課長 先ほどの手数料の関係、ちょっと訂正させていただきます。
 今回の手数料につきましては、今回の条例の改正で5月1日から行われるものでございまして、これまでの手数料はございません。そのように訂正させていただきます。
〇平野ユキ子委員 それについては後ほどということで、治安の再生には警察力もさることながら、地域住民が連携して防犯に取り組むという今の青色回転灯の普及状況をお聞きしまして、少し安心いたしました。これからも引き続き防犯のために、御尽力していただきたいと思います。
 ありがとうございました。
〇伊沢昌弘副委員長 この際、山下警察本部長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇山下警察本部長 先ほど冒頭の私御説明を申し上げる際に、手数料条例の説明の際、営業変更の届出確認書の交付手数料の金額につきまして、本来であれば1、900円と8、500円と申し上げなければならないところを、8、200円というふうに誤って申し上げました。訂正をさせていただくとともに、おわびを申し上げます。
〇小野寺研一委員 2点についてお尋ねをしたいと思います。
 県警の施設整備といいますか、まずこれ第1点としてお伺いをいたしたいと思いますが、警察署あるいは交番、それから駐在所、そういう施設いろいろと更新をしていくというふうなことが毎年あるわけでございますけれども、たくさんになりますので一つに限ってお尋ねをします。
 前にも、ここに菅野課長おいでになりますので、総務部の財政担当にお話をしましたが、二戸署の新築移転、このことを6年前に私質問をして、毎年毎年やってきたわけでございますけれども、なかなか財政悪化の一途をたどっておりましたので、進捗の状況は極めて不透明といいますか、そういうことであります。県警としては、二戸署の新築移転の関係、どのような形で進めておられるのか、あるいは進めようとしておられるのか、まずその点をお聞きいたします。
〇山手警務部長 ただいまの御質問でございますが、二戸警察署、昭和46年3月に建築以来35年を経過しております。施設も老朽化、狭隘化が著しいほか、十分な来客用駐車スペースもないことから、二戸警察署を優先的に建てかえる必要があるという認識を持っております。しかしながら、現行の岩手県行財政構造改革プログラムによりまして、警察署整備事業につきましても平成18年度まで凍結されております。したがいまして、関係当局との協議も現在のところなされていないのが現状でございます。
〇小野寺研一委員 18年度までの凍結、そういうことは私も聞いたことがございます。ただ、19年度から着手をしますよと、こういうこともお伺いをしているんです、前の警務部長のとき。ですから、財政の悪化がそうだと、こういうことで予算調整課長、そういう回答、この間されたんです。ただ、どこまでもそれで引き延ばしをしていくというふうなことは許されるものじゃないだろうと。もし、県警本部の方で、環境を、どうしても移転必要、あるいはそういうふうなことを思っているときには、19年度の着手、そういうことには凍結が解除になったときに、18年ということでございますので、19年に恐らく再考されて着手のあれが出てくるんだろうと思いますので、そのときに県警とすればどんな形でこれを進めていこうとするのか、見通しは全く立っていないんですか。その辺はいかがなんですか。
〇山手警務部長 ただいまの御指摘でございますが、二戸警察署のいわゆる新築につきましては、これまでもいろいろな形で陳情を受けております。それで、手前どもも全体として、いわゆる治安対策上、非常に重要な地域であると。これは県境にも接しているということから、その必要性は十分に認識しておりますし、また、重要性についてもまた分析しているところでございます。
 このような状況で、これまで建物につきましては凍結ということでございますが、内部につきましてはその重要性にかんがみまして、いろいろな形での体制を強化しております。例えば、警察署長を参事官ポストに格上げするとか、副署長に格上げする等々の可能な限りの努力はさせていただいているところでございます。
 委員御質問のことでございますが、解除後のことにつきましては、今後の県下警察署の整備計画ということでございますので、地域住民の利便性、あと事件、事故、あと治安に及ぼす影響、そういったものを総合的に勘案しながら、今後検討を進めてまいりたいということでございます。
〇小野寺研一委員 わかりました。菅野課長、19年度にはぜひお願いをしたいと、こういうことですので、私もこれからぜひお願いをしますので、よろしくお願いを申し上げます。
 もう一点、振り込め詐欺とかあるいはやみ金融、それから人名録、そういうことの更新とか何とかでえらいトラブルが起きております。私も経験あるんです。最後まで突っ張って、2年もやられましたけれども、それでもやはり警察の名前がどっかに出て、それを二度とこういうふうなことにはお答えできませんと、かかわりを持ちませんというふうなことを郵送してからぴたっとそれがとまったと。ですから、私は相談があった場合には、警察として何らかの印というんでしょうか、例えば書類でも送ってきたときには、岩手県警でもないんでしょうが、とにかくどこの、交番でもいいんです、そういうふうなところの相談を受けたときには、そういうふうなところの名前、そういうふうなのがあれば、相手はもう、それを完全にストップさせるんです。ですから、その辺もよくお調べになってといいますか、相談には適切に対応をしていただきたいと、そう思いますが、どうなんでしょう。今の皆さんの考え方といいますか、そういうふうなこと。
〇山手警務部長 ただいま、悪質商法等に関する相談の対応方策ということでの御質問ということでお答えをさせていただきます。
 実は平成16年の相談件数がピークに達したという状況でございますが、17年、若干の減少を見ております。その減少の中身はすべて振り込め詐欺や悪質商法が中心となっております。具体的な数字、今持ち合わせておりませんので申し上げられませんが、そういった中で、これまでいろいろな形で、ケース・バイ・ケースで対応しているところでございます。警察に相談を受けた場合、必ず警察の相談員もしくは警察官が、わかるものであれば直接相手方に電話をしてそれでとめるという積極的な対応をしております。しかしながら、一番効果的な対応、これは事件化ということでございますので、相談窓口に来たものにつきましてはすべて事件化にするという観点から、吟味をいたしまして、厳格に対応しているというのが現状でございます。
 そういうことで、今後も引き続きまして、県民の方々の不安を除去するために、そういったものにつきましては的確に対応していきたいと考えております。
〇小野寺研一委員 非常に対応がうまく行き届いているというのはよく聞きます。これからもひとつ、手口が巧妙になっておりますので、ますます被害者といいますか、そういう難題を振りかけられた者はどうしたらいいか、本当に真っ白になってしまうというふうな状況にありますので、適当なアドバイスあるいは相手に対してそういうふうなことをぜひ、今まで以上に親切にひとつ御指導をお願いをしたい。よろしくお願いをしまして終わります。
〇飯澤匡委員 交通安全対策に関して御質問いたします。できるだけ要領よくしますので、御答弁もよろしくお願いします。
 先ほど本部長よりも交通事故の率については微減であるというような報告を得まして、確かに以前よりは減っているかと思うんですが、特に最近、非常に運転をするマナーが悪いというような現況を私も散見をしているところでございます。それに関連してお伺いします。
 交通事故の形態別の事故率、例えば接触何%、追突何%。警察に届けがあったものがどの程度であるのか、まずお伺いするとともに、この事故率についてここ数年の趨勢が変化しているかどうか、それについてまずお伺いをします。
〇小野寺交通部長 最初に交通事故の形態についてお答えいたします。
 交通事故の形態は、人対車、車対車、車単独、それから列車事故に分類されておりまして、平成17年の人身事故5、766件のうち、車対車の事故が最も多く4、846件、次いで人対車の事故が515件、車単独が404件、列車との事故が1件ということになっております。さらに、車対車の事故については、追突、出会い頭、それから正面衝突事故等に分類されておりまして、追突事故は、昨年は2、069件発生しておりまして、前年比でマイナス50件です。人身事故の35.9%を占めております。このうち死亡事故は5件で6名の方が亡くなっております。それから、出会い頭事故は1、428件発生しておりまして、前年比でマイナス165件と。人身事故の24.8%を占めていまして、このうち死亡事故は13件で16名の方が亡くなっています。それから、正面衝突事故は369件発生していまして、前年比でマイナス13件、人身事故の6.4%を占めております。このうち死亡事故は22件で、23名の方が亡くなっております。正面衝突事故が最近はふえてきましたが、昨年は前年比でかなり減っております。ただ、出会い頭とか追突事故につきましては、そう余り変わっていないということです。事故全体につきましても、昨年は5、766件ということで、前年より200件ぐらい減っています。
〇飯澤匡委員 それでは追突、先ほども答弁ありましたが、35.9%ということで大変多いんです。これは第一起因者が追突するということで追突という事件になるんですが、実は前に走っている車が最近シグナルを出さなかったり、それからブレーキランプより後にシグナルを出したり、そういう件が非常に多いように私は報告を受けております。
 今、正しい交通を守る県民運動ということで、こういう交通安全対策の協議会を通じて具体的に問題点を浮き彫りにして、例えば早目のライト点灯であるとか、これはすばらしい取り組みの中でやっていると思うんですが、どうもこういうふうな各団体の実施機関の実施要綱を見ますと、いわゆるマンネリになっているのがあるのではないか。御提言申し上げますが、そのような具体的な事例を、非常に今シグナルを出すのは恐らく飾りになっているといいますか、おろそかになっているというのをもう一度点検をするといいますか、これは一つの事例ですが、もう一度安全運転センターなりそれから自動車教習所なり、そういう具体的な指示をしながら交通安全対策を進めるということが必要じゃないかと思うんですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
〇小野寺交通部長 今、委員おっしゃったとおり、確かにマナーが悪いのがふえているように感じております。それで、指導取り締り等を強化しておりますが、実は指定の自動車学校を活用してやっているのがありますので、それをちょっと御紹介させていただきます。
 まず、免許の停止処分、これを受けた者に対する行政処分者講習を初め、免許を取得してから1年以内に合計点数3点以上の違反をした者に対する初心運転者講習というのがあります。それから、軽微な違反をして累積点数が6点に達した者に対する違反者講習等の法定講習を実施しております。さらに、地域の交通安全教育センターとしての指定自動車教習所──自動車学校ですね、これを活用しての高齢ドライバー教室とか、高校生の原付講習やペーパードライバー教室、女性を含む一般運転者に対する交通安全教室を実施して、運転免許取得後における運転者の安全意識の向上や運転技能等について再教育的な講習を行っているという状況です。
 昨年は、県内の指定自動車教習所31校において524回、1万2、283人を対象に実施しております。このほかに、基本的に主要幹線道路における交通指導取り締まりを強化しましてやっているほか、関係機関・団体と連携した街頭活動や広報啓発活動を実施して、追突事故を含めた交通事故の防止を図っているという状況にございます。
〇飯澤匡委員 これ、協議会の中でもいろんな観点からやっているわけですが、やはりさらに掘り下げてこれからもやっていただきたいと思いますし、特に適性診断、これについてはもっとさらに県民の下に下ろして、そして具体的な指示をしながら交通事故を起こさないようにといいますか、そして事故に巻き込まれないようにという、こういう新たな視点も必要ではないかというふうに思いますので、今後の取り組みについてひとつ御提言を申し上げて、これからも交通事故が少しでも少なくなるようにお願いを申し上げて、質問を終わります。
〇ザ・グレート・サスケ委員 私から自殺に関して1点だけお尋ねいたしたいと思います。
 生活安全企画課では、県における自殺死亡者数のデータを大分詳細に公表なさっているようで、その取り組みには非常に敬意を表する次第でございます。
 そこで、盛岡には社会福祉法人盛岡いのちの電話というところがあるんですが、ここと情報の共有ですとか、そういった協力体制のようなもの、そういった取り組みはなされておりますでしょうか。また、18年度もなされるおつもりはございますでしょうか、お尋ねいたします。
〇小川口生活安全部長 社会福祉法人盛岡いのちの電話と情報共有などの連携がなされているかという御質問でございますが、自殺については、残された家族の苦しみを含め、今大きな社会問題となっております。そのような中で、いのちの電話は、孤独で悩める一人一人の方のお話をしっかり聞き、自殺の芽を一つでも多く摘むための活動をボランティアで続けられております。その活動には、県警察としても大いに敬意を表するものでございます。
 盛岡いのちの電話の相談に当たっては、相談者のみならず、相談担当者も匿名で話し合うなど、プライバシー保護に最大限配慮されておられると承知しております。したがって、基本的には、その個別の相談内容などについて、警察と情報を共有するということはいたしておりません。
 警察においては、自殺に関する相談を含め、幅広く安全、安心に関する相談を受けており、その内容に応じ現場対応をしたり、相談者に対しさまざまなアドバイスをさせていただくとともに、より専門的な相談を受けたいという方には、それぞれの専門の相談窓口を教示させていただいております。盛岡いのちの電話も、そうした窓口の一つとして教示させていただいております。
 私ども県警察といたしましても、自殺は大きな社会問題の一つであるとの共通認識のもと、警察安全相談などの業務を通じまして、警察としての責務を果たしてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 3点ありますので一つずつ、交通信号機の設置問題について。
 交通信号機の設置の要望件数と設置状況、これ新規、移設それぞれ、この5年間の推移を示していただきたい。激減していると思いますが、その激減している理由は何でしょうか。
 二つ目、平成18年度、来年度の予算額と設置件数はどうなるでしょうか。
 三つ目、これは具体例なんですけれども、国道281号の久慈市川貫地内の横断歩道への歩行者用信号機の設置問題、これは一度県議会に請願が出された経過がありました。個別案件ですから、これ取り下げということになったのですけれども、この付近は交通事故が多発して死者も出ていると。また新たな犠牲者が出ないと信号機はつけられないのかと、こういう声が改めて寄せられました。私は県民の安全にかかわる、こういう要望の強い信号機の設置というものは、こういうものこそ予算をきちっとつけて増設すべきでないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇小野寺交通部長 最初に、平成13年度から17年度までの交通信号機設置の要望件数と設置状況についてお答えいたします。
 平成13年度は、要望件数170件、設置数は40基。すべてが新設で設置率は23.5%となっております。平成14年度は、要望件数78件、設置数は64基と、すべてが新設で設置率は82.1%。平成15年度は、要望件数68件、設置数は13基で、その内訳は、新規が8基、移設が5基、設置率は19.1%です。16年度は、要望件数が58件、設置数は16基で、その内訳は、新規が7基、移設が9基、設置率は27.6%でございます。17年度は、要望件数53件、設置数は16基で、その内訳は、新規が8基、移設も8基で、設置率は30.2%となっており、平均の設置率は34.9%になっております。
 それから、次に交通信号機設置事業費でありますが、13年度は2億4、900万円余、14年度は3億3、300万円余、15年度は1億800万円余、16年度は8、500万円余、17年度は見込みなんですが、7、600万円余となっております。
 このように、交通信号機の設置事業費が平成15年以降減少となった理由につきましては、平成15年度から推進している岩手県行財政構造改革プログラムの趣旨を踏まえ、事業内容の厳選とスクラップ・アンド・ビルドを念頭に置きまして、真に効果的な事業に絞り込んで整備を推進した結果によるものでございます。
 また、平成14年度の事業費が特に多かった理由につきましては、当時、政府の緊急プログラムに基づく景気浮揚策として信号機の新設や特定事業が組み込まれ、本県においても、信号機の新設等に補正予算が認められたことによるものです。
 それから、次に平成18年度の交通信号機の設置予算と設置数についてお答えいたします。
 平成18年度に新たに設置する交通信号機の経費につきましては、12基分の1億5、800万円余となっております。内訳は、新規が11基と移設が1基となっております。
 最後に、久慈市内の歩行者用ボタン信号機の設置要望についてお答えいたします。
 委員御指摘の久慈市川貫地内には、歩行者用押しボタン信号機のない横断歩道が設置されております。当該横断歩道への歩行者用押しボタン信号機の設置につきましては、平成15年の7月に県議会に請願がなされ、総務委員会において審議継続のところ、同年11月に、同請願は撤回されたものと承知しております。
 それから、県警察といたしましては、平成15年に当該横断歩道の道路環境、交通流・量、交通事故の発生状況について調査したところでありますが、横断歩行者に係る人身交通事故につきましては、当該横断歩道付近において、平成10年に1件の死亡事故が発生しておりますが、その後、現在まで人身事故等の発生は見ていないところであります。
 交通信号機の設置は、渋滞緩和による道路交通の円滑化、交通事故の抑止に高い効果を発揮しております。しかしながら、限られた予算の中で、必要な信号機の整備拡充を図らなければならないことから、整備に当たりましては、全県的な観点から、既設信号機の更新事業との調整をしつつ、スクラップ・アンド・ビルドを念頭に置き、真に必要な信号機の機種や箇所を厳選して設置しているところでございますので、御理解をお願いしたいと思います。
〇斉藤信委員 平成15年からもう激減という状況で、その理由を聞いたら、県の行財政構造改革だと。私は、見直すところ、違うんじゃないかと。県民の安全にかかわる、まさにこれ切実な問題ですよ。命にかかわる問題ですから、こういうところを切り刻むようでは、本当に私は県民犠牲の改革だと言わなくちゃならない。幸い来年度は1億5、800万円で若干増額のようですので、ぜひこれは、ここに予算担当課長もいますけれども、こういうものをこんなに大幅に削減しちゃならないということを指摘をしておきたいと思います。
 二つ目に、やみ金被害と警察安全相談についてお聞きします。
 警察安全相談の状況とこの間の推移、警察の対応、体制はどうなっているのか。
 二つ目に、やみ金被害の相談状況と対応、検挙の状況はどうなっているか。
 三つ目、最高裁判決にあるように、貸金業の届け出もないやみ金融は元本も返金する必要がないと、これ最高裁判決であります。私は、こうした相談に対しては、被害者をふやさない毅然とした対応を県警としてもやるべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇山手警務部長 警察安全相談の状況と推移、さらに警察の対応、体制についてでございますが、まず警察安全相談の受理件数でございます。
 先ほども御答弁申し上げましたとおり、平成13年以降、年々増加傾向を示しておりましたが、平成17年に入りまして、その受理件数は2万7、208件と、一昨年と比べますとマイナス21.5%、件数にして7、444件の減少を見ております。減少した主な相談内容でございますが、これは、架空請求、オレオレ詐欺等の振り込め詐欺に関する相談でありまして、その減少要因としましては、警察により取り締まりの強化、あとは被害防止広報が県民の方々に広く浸透した結果と考えております。しかし、依然として相談件数は高い水準にございます。引き続き、事件化を含め適切に対応してまいりたいと考えております。
 相談体制についてでございます。警察本部県民課と各警察署に警察安全相談係を配置しておるほか、県民課と相談受理件数の多い8警察署につきましては、専門的知識を有する退職警察官12名を警察安全相談員として配置するなどして、体制の整備強化を図っているところでございます。
 なお、警察の所管外の相談も多く寄せられることから、県内全域において相談関係機関等とのネットワークを構築しまして、緊密な連携を図り対応しているところでございます。
 次に、やみ金被害者の相談状況についての対応でございます。平成17年中のやみ金融に関する相談件数1、183件、平成16年度の2、788件に対しまして、1、605件の減少を見ております。統計を取り始めた平成15年に比べましても、2割以下に減少しているところでございます。これは、警察の取り締まりの強化に加えまして、やみ金融の実態が広く認識され、利用する人自体が減少した結果であると考えております。
 寄せられるやみ金融相談の対応につきましては、ケース・バイ・ケースでございます。事件検挙のほか、個別事情に応じまして相談者への助言、やみ金融業者に対する警告、さらに弁護士会等の関係機関・団体と連携しながら、早期解決に努めているところでございます。
〇小川口生活安全部長 やみ金融事犯の検挙状況についてお答えいたします。
 平成17年中の検挙は2事件、4人で、一昨年に比べ検挙した事件数は同数でありますが、検挙人員は5人減少しております。検挙事件の内容としては、県外から転入した貸金業者や暴力団組員らが県知事の登録を受けないで営業を行い、高金利で貸し付けをしたやみ金融事犯で、貸金業規制法違反並びに出資法違反で検挙したものであります。
 次に、やみ金融被害の拡大防止のための警察の対応についてお答えいたします。
 警察では、これまで、県民の平穏な生活を保護するため、やみ金融事犯の取り締まりの強化に努めているところであり、平成15年8月から警察本部内に、岩手県警察ヤミ金融事犯取締本部を設置し、組織の総合力を発揮したやみ金融対策を推進しているところであります。
 今後とも、やみ金融の違法行為に対しましては積極的に事件化を図り、検挙する厳しい方針で対処してまいる所存であります。
 また、やみ金融被害への適切な対応を図るため、東北財務局盛岡財務事務所、岩手県商工労働観光部及び岩手県貸金業協会などの関係機関・団体と緊密に連携を図りながら、広報啓発活動を行っているところであり、今後とも連携を一層強化してまいる所存であります。
〇斉藤信委員 やみ金被害については、相談件数は大幅に減っているようですけれども、被害者が減ったという話は余り聞かないので、特にやみ金というのはそもそも違法業者ですから、元金も返さなくていいというのが最高裁判決ですので、きちんとこういうことを被害者にも知らせて警察も毅然とした対応をやっていただきたい。
 次、3番目でございます。捜査費、捜査報償費について。
 一つは、国費の捜査費、県費の捜査報償費は、何に使われているのか、使途基準と具体的な主な内訳を示していただきたい。
 二つ目、一般捜査費と捜査諸雑費の内容、実績はどうなっているか、16年度決算で示していただきたい。
 捜査諸雑費はいつから導入されたのか。どのように現金が捜査員に渡されているのか。
 三番目、捜査報償費の場合、謝礼金、謝礼品の購入、接触に伴う飲食費等の件数、支出額割合はおおむねどうなっているか。協力者への謝礼は金額に基準があるのか。1件当たりの平均的な金額はどうなっているか。
〇山手警務部長 捜査費及び捜査用報償費は、犯罪の捜査等に従事する職員の活動のための諸経費及び協力者等に対する諸経費で、その性質上、緊急を要しまたは秘密を要するため、通常の支出手続を経ていては警察活動上支障を来す場合に使用できる経費でございます。現金経理が認められている経費ということでございます。
 具体的な使途例でございます。捜査協力者、情報提供者に対する謝礼、捜査協力者、情報提供者との接触に際して必要となる交通費等、あとは聞き込み、張り込み、尾行等に際して必要となる交通費、通信費等でございます。
 二つ目の御質問でございますが、県警察としましては、一般捜査費と捜査諸雑費の内訳について集約はしておりません。捜査諸雑費は、捜査員が日常の捜査活動において使用する小額で多頻度にわたる経費をいいます。捜査費取扱者である所属長が捜査諸雑費の執行が予想される捜査員に対しまして、あらかじめ捜査諸雑費を交付しておき、捜査活動中において、捜査員の判断により、1件当たりおおむね3、000円程度の範囲で適宜執行させ、精算をさせているものでございます。
 従来、捜査費は必要の都度捜査員に交付してきたところでございますが、捜査活動中における捜査費の適宜執行の確保、捜査員の自己負担の解消、あわせて捜査費経理事務の軽減を図るため、平成13年度から捜査費諸雑費制度を導入したものでございます。
 三つ目の御質問でございますが、捜査用報償費については、捜査協力者、情報提供者に対する謝礼のほか、捜査協力者、情報提供者との接触に際して必要となる交通費等、聞き込み、張り込み、追尾等に際して必要となる交通費、通信費等さまざまな用途があり、事件によって、その内容、割合はまちまちでございます。県警察としましては、そうした用途による分析は行っていないことから、お尋ねの件数、支出額及び割合については把握していないところでございます。
 四つ目の御質問でございます。協力者の謝礼は金額に基準があるのか、1件当たりの平均値ということでございますが、協力者への謝礼の金額についての基準でございますが、特に定めはございません。ただし、捜査諸雑費で執行できる金額は、1件あたりおおむね3、000円程度の範囲内で執行するという基準を定めております。また、一般捜査費につきましては、事案に応じてそれぞれ執行をしているという現状でございます。
 次に、1件当たりの平均的な金額についての御質問でございますが、捜査費の執行については、それぞれの事案の内容、捜査協力者及び協力度合いなどによりましても異なりますので、1件当たりの執行についての金額の平均については把握をしていないところでございます。
〇斉藤信委員 それでは、捜査費、捜査報償費、特に捜査報償費にかかわりますけれども、一般捜査費と捜査諸雑費というのがある。捜査諸雑費というのは平成13年度から導入されたと。1件当たり3、000円の範囲で、まあ、つかみ金ですね、これは。つかみ金を捜査員に渡していると。大体、これはどういう基準で渡すんですか。毎月だと思いますけどね、それが5、000円なのか、1万円なのか。幾ら使うかわからないわけだから、これはつかみ金ですからね。捜査諸雑費というのは、どういう形で、どういう基準で、いわゆる警察でいけば副署長、県警本部でいけば課長となると思いますけれども、どういう基準で毎月これは渡されているのか、示していただきたい。
 それと、捜査協力者に対する謝礼ですね。実は最近、不正が明らかになった高知県で、監査委員が特別監査をして、その内容を詳しく報告をしています。これは悉皆調査です。これを見ますと、謝礼金というのは一般捜査費の支出になっていて、全体の捜査報償費の61%を占めています。ですから、捜査報償費の6割以上は私は謝礼金ではないかと。捜査諸雑費は、高知の場合は31%ですよ。3、000円以下の細かい菓子折りとかジュースとかたばこ、商品券、喫茶代、タクシー代、パチンコ代――パチンコ代もあるから本当にやるのかなと思いますけどね。大体同じような基準で使われていると思うので、一般捜査費、捜査諸雑費というのは、そのように高知と同じような形の支出をしているのかと。そして、高知の場合は平均3万円です、謝礼金は。捜査協力者に対する謝礼金は、幅はいろいろありますよ。しかし、平均3万円ですけれども、全然わからないんですか。これだけ問題になっていて、謝礼金がどう支出されているか、わかるでしょう。
〇山手警務部長 ただいま、高知の例を出していろいろと御質問でございますが、まず、高知県警のことにつきましては新聞報道で承知している範囲で承知をしております。
 次に、捜査諸雑費の執行の具体的な方法でございますが、これはいわゆる最高3、000円以内ということで執行を事前に許されております。つかみ金というお言葉でございますが、そのお言葉は適切ではない。あくまでも月々の捜査予定がございます。その予定に応じて必要となるものはある程度の見積もりを立てまして、少額の頻度でそれはお渡しをするということでございます。したがいまして、1万円の場合もあれば3、000円の場合もありますし、2、000円の場合もあるし、5、000円の場合もあるということでございます。それは、そのとき、その場所、その人間の、捜査員の捜査のいわゆる範囲、そういうもので決定されるものでございます。したがって、捜査指揮の一環としてなされるものでございます。
 次に、協力者謝礼ということでございますけれども、協力者の謝礼はいろいろとケース・バイ・ケースでございまして、ただ、諸雑費で執行する場合、例えば今のパチンコの例でございますが、これはよく我々の対象とする方々はパチンコに逃げ込む、もしくはパチンコで時間をつぶすという方が結構多ございます。そういった場合に、外で張り込むというのは非常に不自然な形でございます。そうしますと、勢い中に入りまして嫌々パチンコをするということも考えられるわけでございます。そういった意味合いで、それに必要な経費でございます。
〇斉藤信委員 私は、金額からいって、協力者に対する謝礼というのは一般捜査費の支出になっているのではないかと。3、000円が基本的上限の諸雑費では対応できないのではないか。これは高知の実態からいっても平均3万円ですから、多いのは5万、10万もあるんですよ。本当に使われたかどうは別ですよ。不正というふうに指摘されていますからね、高知は。だから、そこをちょっと確認をしたいと思うんです。捜査協力者に対する謝礼というのは一般捜査費で支出されているんじゃないですかと。それは平均3万円程度と言われているが、岩手県警はどうですかと。ちゃんと答えてくださいよ。
 それで、次に、私は一般質問でも平成16年度に捜査報償費が大幅に減額したと。15年度から16年度、45%に減ったんですよ、捜査報償費は。国費の捜査費も4、557万円から3、304万円に3割減りました。私は、1年間でこんなに大幅に減るということは異常なことだと思います。特別な理由がなければ起きないことです。それで本会議で本部長に聞きました。ところがね、その理由が全然具体的じゃないんですよ。言われたのは、捜査を取り巻く環境の変化とその年度の事案発生状況。しかし、平成16年度を見ますと、捜査を取り巻く環境の変化ってないんです。事案発生状況の変化も大きくはないんです。刑法犯の発生状況、凶悪犯の発生状況、15年度と16年度で大きな変化はないですよ。それなのに、いいですか、今、社会的問題になったから、この捜査報償費は使えなくなった、国費の捜査費も使えなくなったというのが実態ではないですか。これだけ大幅に減った具体的な、みんながわかるような理由を指摘してください。
 平成17年度に実施された監査によりますと、平成16年度分は県警本部で1、053件、123万5、000円の監査が行われました。これは1件当たり1、173円です。本当にわずかなお金しか出てない。警察署分は772件で82万2、788円、1件当たり1、065円、平成17年度分になると、1、735件で1件当たり670円ですよ。こんな細かい使い方をしているのか、僕は不思議でならない。この1、000円前後の支出が多数を占めているのかどうかね。本当につまらない買い物をしているんじゃないかと思わせるような中身ですね。
 捜査員の監査の際の聴取には、私は、警察関係者の立ち会いはすべきでないと思います。実は、高知県の監査で不正が明らかになったのは捜査員の供述なんですよ。いわば、鉛筆書きしていたのを隠されたとか、白紙の領収書に料金を書いたとか、捜査協力者の名前は電話帳で調べて書いたとか、そういう捜査員の350人の供述が根拠になって、不正という摘発がやられたんですね。高知は1対1でやったんですよ、立ち会いを入れないで。私は、だから、本当に厳正な監査という点でいけば、監視員がいるような監査ではない、そういうやり方をすべきではないかと。この間、北海道、愛媛、福岡、それら5道県警で不正が認められて、12億813万円が返還をされています。私は、全国と同じ警察の仕組みで、岩手県警も同じような仕組みになっているのではないか、疑惑は濃厚なのではないかと思いますが、全国と岩手が違うというなら、何が違うか。同じ仕組みだというなら、やっぱりこの減った分はまともに使われてなかったのではないか、そのことをお聞きしたい。
〇山手警務部長 ただいまの質問、順を追ってお答えいたします。
 初めに、質問を一つ聞き逃しまして大変申しわけございませんでした。
 いわゆる捜査協力の分で、高知の場合、平均3万円という御指摘でございますが、これはどういう数字であるか、私は承知しておりません。当県において申し上げますと、先ほど来申し上げておりますが、捜査の規模、捜査の対象となる者、情報提供をする方の地位、情報提供の情報内容のいわゆる正確さ、そういったもろもろのことがございますので、そういうものをすべて勘案いたしまして、捜査謝礼というような形で支出するわけでございます。そういった点で、平均的に云々というような、平均的に数値を出すということは当県ではいたしておりません。
 次に、いわゆる捜査費の減少理由でございますが、これは具体的にということでございますので、若干具体的にお話をさせていただきます。
 警察改革を踏まえまして、警察安全相談業務、これらの件数が平成16年中におきまして前年を上回る3万4、000件余りということで増加をいたしました。その内容も、最近における悪質商法に関することが非常に多いということで、1件1件相談内容を受け、それに対しまして解決策等々を教示するということで、そういった内容も含めまして相談内容も非常に複雑多岐にわたっておりますので、そういった観点から非常に時間がかかる親切な対応をしているということでございます。先ほどの御答弁でも、事件化を視野に置いた聞き取りということになりますと、通り一遍の聞き取りではなかなかできません。何遍か電話をやりとりしながら、その実態を把握し、これが事件になるのか、ならないのか。ならない場合には、どのようないわゆる救済方法があるのか、そこまで検討するということでございまして、この件数はやはり高水準で推移していることから、なかなか警察の業務の負担につながっているということでございます。
 次に、これも具体的に申し上げますと、刑法犯認知件数も、16年中は約1万3、000件と依然として高水準で推移しております。それで、最近の犯罪の傾向でございますが、犯罪が発生しますと、直ちに初動捜査を展開しなければならないということでございます。また、精密司法の要請ということで、かなり実況見分等も詳細にやる必要があるということでいきますと、これについても時間また捜査員もとられるということでございます。そういったことから、今現在、警察署で起きていることは継続的な捜査が十分にできない。初動捜査が行われて全部駆り出されるということで、旧来の捜査手法の一つでありますいわゆる自分の畑を耕す、そういったいろいろな情報源を開拓するという時間がなかなかとれないという現象があらわれておる次第でございます。こういった観点から、捜査用報償費が減少した具体的な理由は、今まで述べた内容とあわせまして、ここにあるというふうに考えております。
 次に、捜査費が非常に細かいという御指摘でございました。委員御指摘の数値につきましては、県監査委員が監査を行う中で独自に集計した数字でございまして、その範囲、内容については警察としては承知しておりません。しかし、県警察としましては適正に監査を受け、その結果についてもおおむね良好とされているところでございます。捜査用報償費につきましては、これまでも話していますとおり、情報提供者に対する謝礼のほかに、その情報提供者との接触に際して必要となるいろいろな接触費、あとは聞き込み、張り込み、追尾、追跡ですね、そういった場合の交通費、通信費等、捜査に従事する捜査員の活動に必要な経費がさまざまな用途で使われております。事件によって、またその内容、割合もまちまちであるということでございます。
 余りにも少額ということでございますので、例えて申し上げますと、例えば張り込み中、もしくは尾行中に携帯電話において警察署に連絡をとるという携帯電話、これは1件当たり数十円程度の場合もございます。そういったものを全部含めました数字として挙げられるわけでございます。したがいまして、県警察としては、そういった少額という御指摘につきましては、もろもろの捜査活動に使われているということで御理解をいただきたいというふうに考えております。
 次に、いわゆる立ち会いのことでございます。監査委員の方が監査する場に立ち会うということでございますが、委員御指摘の監視とか、そういったことではございません。これは、監査委員の質疑等に効率的に対応する、監査を円滑に進めるために必要最小限の範囲内で立ち会いをしているものでございます。捜査員からの聞き取りも含めまして、会計課員が立ち会っているというのが監査の現場でございます。監査委員に協力するとともに、限られた時間内に円滑に行うということで、立ち会いについては必要なものと考えております。
 最後の御質問でございますが、高知県監査委員による特別監査結果につきましては、これは新聞報道の範囲でしか承知しておりません。また、北海道、愛媛及び福岡県警の一所属におきましては、特定の年度におきまして捜査費の不適正な執行があったことは承知をしております。捜査費等を含め予算を適正に執行することは、警察活動に対する県民の理解と協力を得る上でも必要なことと認識しているところでございまして、これまでも各種の検査、監査等に対応しているとともに適正な会計経理の改善に努めてきたところでございます。今後とも引き続きその徹底を期してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 警察らしからぬ根拠のない答弁でした。というのはね、大幅に捜査報償費が減額した理由を、今、具体的に二つ指摘しましたね。警察安全相談、これは平成16年は3万4、652件。じゃ、前年はどうか。3万3、087件あるんですよ。そんなに急激に全然ふえてないんですよ。平成17年になると、これはまだ途中なんですけれども、2万7、000件ぐらいですよね。そんなに捜査報償費が半分以下に減るような変化はないんですよ。刑法犯、平成16年は1万2、885件でしたが、平成15年は1万3、686件なんですよ。いわば平成15年の方が多かったんですね。平成16年は少ないんですよね。本来ならもっと余裕があって捜査報償費を使えるわけじゃないですか。あなたの具体的な理由というのは全く根拠がないですよ。全く根拠がない、残念ながら。
 それで、私は、例えば謝礼金で言いますと、大体もう監査も、謝礼金の協力者について、氏名、住所を皆さん明らかにしたと言っている。しかし、これは確認してないんです。もらったという確認をしてない。さまざまな謝礼品を買った、お土産も買った。店舗の確認をしていない。
〇伊沢昌弘副委員長 質問をしてください。
〇斉藤信委員(続) こういう中身を聞くんです、今。協力者と食事をした。店舗の領収書は出されたけど、この店舗の確認をされてない。実は高知は、これを確認したら不正だったということがわかったんですよ。捜査協力者はほとんどいませんよ。実際にやったところは全部です。北海道も愛媛も高知も、実際に当たったところはほとんどないです。店舗もほとんどうそです。そういう点で、県警としてはそういう確認をしていますか。その領収書が、その店舗が本当に出した領収書だということを県警としては確認しているのか。捜査協力者に出しているというけれども、例えば別の監察なら監察のところで検証しているということはありますか。二つだよ、聞いたのは。
〇山手警務部長 ただいまの御質問にお答えします。なお、その前に、一部語弊があるような答弁もしたかと思いますので、訂正というか、つけ加えさせていただきますが、いわゆる捜査謝礼金につきましては一般捜査費でも執行いたしますが、当然、諸雑費においても執行は可能でございますので、現実に執行はされているところでございます。
 次に、私のいわゆる減少の理由が根拠がないという御指摘でございますが、少し私も説明下手でございますので、なかなかお耳に届かなかったことを反省しながら、御説明申し上げます。
 件数で下がった、したがってということでございますが、いわゆるその件数そのものよりも内容の変化ということもまた事実としてございます。例えて申し上げますと、振り込め詐欺とか架空請求、そういったものは数年前までは、はがきに金を振り込め、この一報でいわゆる被害に遭った方々がいるわけです。これに対しまして、我々の対応の仕方としまして、それは無視しなさいというような形である程度その被害を防止することができた。その次に、現在行われているのは、非常にお金をかけたパンフレット、しかも東京地方裁判所何々、まさに現実としてあるような名称を使いながらの犯行を敢行するわけです。そういった場合に、相談を受けた人間が、それを見破り、最終的にこれはうそであるという確定をするまでに、今までは、もうあり得もしない名前ですので最初から判断できるんですが、これが1日、2日、3日、照会をかける場合もございます。そういった観点から、一つ一つ質が変わってきておりますので、そういった意味合いにおきまして、非常に捜査環境そのものが変わってきているというのが私の答弁の内容でございます。
 次に、協力者との関係でございますけれども、捜査員というのは協力者に対しまして、警察に協力しているという事実は漏らさないという前提で協力を得ているものでございまして、その信頼関係があってこそ、情報提供を初めとする各種の協力の確保ができるということでございます。そのため、捜査協力者の存在は部内におきましても極めて慎重に取り扱っておりまして、知り得る者を限定して、その保護措置を徹底しているところであります。こうしたことから、何人もその協力者に協力の有無の確認を行うことは、当該捜査員との信頼関係を損ねる、以後捜査において協力が得られなくなるなど捜査活動に重大な支障を及ぼすということで、監査に際しても御理解をいただいているところでございます。したがいまして、内部の監査におきましても捜査員の聞き取りでございまして、それ以上の確認はいたしておりません。
 また、飲食店等の裏づけということでございますが、この飲食店等につきましても、協力者と密接な関係を有する場合もありまして、そういった場合に、協力者と同様に極めて慎重な取り扱いをしているというのが現状でございます。いずれにしましても、監査委員の監査方法につきましては、県、監査委員事務局と協議の上、今後とも適切に対応してまいるというところでございます。
〇斉藤信委員 警察相談活動は確かに3万3、000件ふえていますけれども、これはちゃんと部署がはっきりして対応しているんですよ。相談員も配置しているわけですよ。それが理由で捜査報償費が使えなくなったなんていう理由に全然ならないですよ。そして、店舗にしたってね、お土産品を買って、お店の確認も捜査協力者の関係でできないなんていうのは、結局、確認したらおっかないことが出るからでしょう。いずれにしても、県警におけるこの捜査費の裏金疑惑は、私のところには、残念ながら匿名だけれども、具体的にこういう形で裏金をつくっているという告発が何件か来ていますよ。私は情報公開でやったけれども、真っ黒な資料しか来ないので裏がとれないけれども、これまでの質問で疑惑はますます深まったと、このことを指摘して、終わります。
〇伊沢昌弘副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇伊沢昌弘副委員長 質疑がないようでありますので、これで警察本部関係の質疑を終わります。
 警察本部の皆さんは御退席されて結構でございます。御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後 6 時41分 散 会

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