平成18年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇36番(小野寺好君) 公明党の小野寺好であります。
 格差社会におけるセーフティネットの必要性を念頭に、通告しておりました事項について順に質問いたします。
 平成18年度の県予算は財政難が一層色濃くなっておりますが、最初に、県の財政見通しについて伺います。
 これまでも県財政を心配した質問に対しては、国の経済対策に呼応したことによる負債や、東北新幹線、県立大学、県立美術館等々の建設によるものであり、やむを得なかったと答弁されてきましたが、さらに、県林業公社、県農業公社、県肉牛生産公社、県競馬組合等も暗い影を落としております。本来、国の許可を得て起こした借金であり、これは、地方交付税などで国が地方債の面倒を見る約束になっているものもありますが、いずれ、今年度末の国債と地方の長期債務の残高合計はおよそ740兆円になると言われており、このような状況では、国の財布をどこまで当てにできるか、保証の限りではありません。しかも、政府の経済財政運営の基本方針策定に向けて、総務大臣の私的懇談会とはいえ、自治体の破綻法制を検討し始めているとの報道もあり、不安をかき立てております。首長のかじ取りが失敗し、地方公共団体が破綻した場合、まじめに納税してきた住民の怒りははかり知れません。地方主権の確立云々するには、まず、傾いた財政を健全化させなければならないと思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。県は、600億円の財源不足が4年間続くと言われますが、地方財政再建特別措置法との関係はいかがでしょうか。仮の話ですが、財政再建団体になるということは、住民生活にどのような影響が出ることになるものなのか、お尋ねいたします。
 財政健全化のためには、まずは歳出見直しや事業の削減、むだの排除が重要となりますが、事業の要・不要、民間への委託、他の行政機関への移譲等、事業の徹底した仕分けが有効であります。民間のシンクタンク構想日本が熱心にこれを推奨しており、岩手県は平成12年からこうした事業仕分けを推進しているとされています。知事は昨年12月19日、国の事業仕分け、民の目による官のリストラをテーマにした構想日本の東京でのJ.Iフォーラムにも出演されており、事業仕分けにいち早く着手した県ということになっていますが、外からの高い評価に若干違和感を覚えたりいたしますが、事業仕分けのこれまでの取り組みと成果、今後の展望をお伺いいたします。
 次に、地域格差について伺います。
 財政難による帰結として、当然、むだの排除、効率的な行政運営が進められることになります。かつて、どんなことでも政府に頼ってきましたが、今では、小さな政府を目指しているため、地方のことは地方で対応しなければなりません。県においても同様で、義務的経費も投資的支出も抑制傾向にならざるを得ず、小規模町村といった人口過疎地域の整備は簡単には望めません。効果・効率を考えれば、基盤整備などに地域格差が生ずることは否定できず、課題は、不利益をいかに小さくするかであります。
 このごろ、田舎暮らしを礼賛する報道もありますが、義務教育を受けさせるまではともかく、現在のような国民皆保険、皆年金制度のもとで、山間地などで生活をして、国保税、年金保険料を現金納付するのは大変なことで、さらに子供の大学進学となると、その資金をどうすれば工面できるのでしょうか。社会保険料関係の納付について、本県の自営業者、農業者等のおよその状況を把握しておりましたら、お示しいただきたいと思います。こうした貨幣経済、生活の利便性志向を考えれば、県内における都市部への人口移動をとめることができるかどうか心配されますが、いかがお考えでしょうか、お尋ねいたします。
 所得、教育、医療等多くの面で、県都盛岡と他地域との格差は歴然としていますが、盛岡の中における格差もあります。盛岡では国家公務員、地方公務員、大学を含む教職員、医療従事者、その他サービス業等、第3次産業の就業者が80%以上となっており、不景気と言われるような状況でも、公務員等がしっかり消費を支えております。しかし、物を生産する力がある都市ではありませんので、県都盛岡における製造業などの産業育成によって、満遍なく所得向上を図る必要があります。過日の知事答弁に、新年度に盛岡の広域的産業振興のための特命課長を配置するとありましたが、少し具体的な内容をお伺いしたいと思います。
 また、北東北3県の県庁所在地に共通した課題として、生活困窮世帯の増加現象が指摘できます。特に、ニート、フリーターなどの増加も反映し、若年者世代間の所得格差、生活格差は後世に暗い影を落とすことになると懸念されますが、盛岡の難しさについていかがお考えでしょうか。さまざまな自由化のもとでは、競争についていけない場合のフォローが大事であり、職を失ったとしても、再び就業できる体制づくりを行政が担うべきであります。昨年12月の本県の有効求人倍率は0.7倍で、全国平均を0.3ポイント下回っていますが、盛岡広域を見た場合、雇用状況はどうなっているか、盛岡への人口移動の是非についての知事のお考えを伺います。
 恒産なければ恒心なしと言いますが、安定した生業がなければ人心が荒廃し、世情が乱れます。割れ窓理論の例もありますが、希薄な犯罪意識の結果と思われる自転車盗難、低額な窃盗犯が続発し、やがて強盗、殺人、放火等の凶悪犯罪を誘発することが懸念されます。国立大学の学生による銀行強盗、県立高校の生徒による殺人、中学生の火炎瓶事件、二十の子による死体遺棄など将来のある若者の事件、認知症高齢者からの高額な資産かすめ取り事件など、盛岡における近年の犯罪発生の内容が変化しているように感じられます。犯罪の背景、態様が変化しているとすれば、これに即応した警察活動が必要と考えますが、赴任して間もない本部長に申しわけありませんが、県警察はどのように判断し、対応しているか伺います。
 全国ニュースにされる防衛施設庁やライブドア事件と、これら私どもの身近に発生した事件とは根っこの部分、つまり根本的原因は共通していると思いますが、知事は、こうした節操のない事件、悪化した治安の状況をいかにお考えでしょうか、お伺いいたします。
 次に、市町村合併について伺います。
 強い者同士がさらに強くなろうとする合併、財政規模の脆弱な者同士が生き残りをかけた合併、合併はしたものの、さほどの規模とはならない合併、合併したくてもできない町村等々さまざまなパターンがあり、それぞれの立場で悩んでおります。このようなとき、去る2月20日、県市町村合併推進審議会から知事に答申がなされました。この答申についての盛岡広域の首長さんたちのコメントは、うちの町が自立を目指すスタンスは変わらないとか、合併新法で知事から勧告を受けるとは思っていない、あるいは自立の方針は変わっていないなどとなっておりました。これを聞いて、改めて、なぜ合併が必要なのか、県は町村と話し合いをしなければならないと感じた次第でございます。交通や情報通信事情の変化、日常生活圏の一体化、10年、20年後の展望等を考えた場合、複数の市町村に対する県のかかわりは非常に重要でありますが、第2段階に入った広域市町村の合併に対する県の方針、かかわり方の程度をお伺いいたします。
 次に、ドクターヘリの導入について伺います。
 医師の絶対数の不足、偏在による医療過疎は長年の課題であり、地方都市においてさえ解消されていません。さらに、事故、急病の際の救急医療の地域格差は深刻な状況にあります。ドイツでは、事案覚知から15分以内に初期治療を開始するという15分ルールで救急医療を行っていると聞きますが、盛岡市内ならともかく、広大な本県にあっては、遠隔地の住民であるがゆえに、助かる命も助からないということもあるのではないかと思われます。まして、冬期間の雪道という悪条件の場合、救急車では搬送しない方がいいということもあります。当面、こんなときは防災ヘリに頼るしかありません。平成8年3月に、全長17メートルの15人乗りヘリコプターを6億3、000万円で購入し、年間維持費約3億円で、市町村派遣の隊員で運航している防災ヘリひめかみがありますが、本来の目的が消防・防災活動であり、救急は後から可能になった付随業務であります。さきの決算特別委員会において、平成16年度のひめかみの災害救急出動回数は71回で、うち救急出動は23件と伺いました。他県の防災ヘリでは、救急の場合は、器材の積みかえや搭乗する人数、体重の確認など、事前にファックスで手続を要すると聞きましたが、ひめかみの場合も同じでしょうか。少ない回数の付随業務のために、本来の消防・防災活動に支障が出ないか心配いたします。
 一方、ドクターヘリは救急専用です。これは、救急医療機器等を装備したヘリコプターを救命救急センターに常駐させ、出動要請に基づき救急医療専門医と看護師が同乗して救急現場に向かい、現場から医療機関まで搬送中も救命医療を行うことのできる専用ヘリコプターを言い、出動要請から通常3分以内に離陸いたします。1分1秒を争う事故等の重傷多重外傷、心筋梗塞、脳卒中などに対し、救命率向上、重度後遺症の削減に有効であります。山村、沿岸、高速道路での救急医療、安定した搬送、受け入れ先病院とのスムーズな連携などが可能になり、救急医療の地域格差是正、災害発生時の迅速な対応が期待されます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 厚生労働省のドクターヘリ導入促進事業により、現在、1道8県10拠点で運航されております。福島県が来年秋の導入に向けて準備を進めていますが、私は昨年11月、脳神経外科医でもあります渡辺孝男参議院議員らとともに札幌の手稲渓仁会病院のドクターヘリの事業運営を視察いたしました。ここでは、2年半に及ぶテスト期間を経て、昨年4月から本格的な運航を開始しております。消防司令室の判断で要請があれば3分で離陸し、車で2時間かかる距離も15分で行く。ドクターヘリの必要があるかどうか怪しい、心配だ、しかし、すぐ飛ぶ。結果として重篤でなく、救急車で間に合う場合もあるが、軽症でよかったとよい方に理解する。悪天候で飛べないケースはそんなにないと言い、4人乗りで小回りがきき、直径40メートルの広さがあればおりることができます。機体はリースで、年1億6、000万円の経費。計算上の1回の飛行実績の経費は平均24万円ですが、救急車同様、本人の負担はなく、国と道で半分ずつの負担となっております。出動は月50件を想定しているが、平均30ないし40件の出動にとどまっているとのことでありました。
 質問のための説明が長くなりましたが、高度救命救急センターの受け入れ能力、岩手医大病院の協力が得られるかどうか、経費を捻出できるか等を勘案し、ドクターヘリ導入に対する知事のお考えをお伺いいたします。
 私は以前は、本県での医師不足の状態で新たに仕事をふやすようなことはできないと思いましたが、事前調査や視察をして、考えが変わりました。事故や心筋梗塞、脳卒中などで、今までは助かるはずのなかった人が毎日1人か2人、社会復帰できることは大変なことであります。これによる恩恵は、1回の出動経費24万円どころではありません。競馬組合や県出資法人等の救済に何十億円も提供していますが、このドクターヘリの年間経費は1億6、000万円であります。前向きな御答弁を期待いたします。
 次に、がん対策について伺います。
 平成15年の資料ですが、人口10万人当たりのがんによる全国の死亡者数は245人ですが、本県の場合は273人と少し多くなっております。国立がんセンターによりますと、我が国のがんによる死亡は年間30万人に達し、高齢化に伴いさらに増加すると危惧するとしております。がんは細胞分裂の失敗によるもので、高齢化が原因となる場合が多く、がんは老化の一種であるため、長生きすればいつかはがんになるとも言われます。がん対策については県議会でも何度も取り上げられ、先日も、陽電子放射断層撮影装置PETの導入について県の方針が示されたところであります。しかし、がんの発見や放射線治療を行う高度な医療機器と、がんの専門医の配置は限られた地域になり、どこに住んでいても、いつでも質の高い医療を受けることができるわけではありません。生活習慣改善などによる予防の強化、前にも伺いましたマンモグラフィーや、今話題のPETなどによる早期発見、そして、がん治療専門医の確保と現場医師の研修機会の提供等についての全国レベルと岩手県との比較はどうなっているか、お伺いいたします。
 また、地域がん診療拠点病院の機能強化と診療連携の推進、情報提供体制の整備が必要でありますが、二次医療圏に1カ所程度の地域がん診療拠点病院の整備を期待したいと思いますが、現状はいかがでしょうか。
 治癒できないがんもあり、患者の痛みを和らげる緩和医療への取り組みが本県でも求められております。悪者扱いされるモルヒネなどによる対症療法やメンタル療法も重要であります。難病等の不治の病を宣告されて絶望に陥った患者に対して、それでも生きる意欲を沸き立たせるにはどうするか。患者・家族への相談支援機能の強化には、医師や看護師以外のボランティアの存在も大切と思いますが、どのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。また、訪問看護師による在宅医療はどの程度対応可能でしょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、日本司法支援センターの活用について伺います。
 これまでの日本の社会は、できるだけ警察や裁判所の世話にならないようにする、争いのない世間体をつくり、また行政も、どちらかというと紛争の未然防止を目指した過度な事前規制社会でしたが、近年では大胆な規制緩和が進み、競争の激化によって生じた問題の事後調整社会へと転換してきております。テレビなどで連発されている訴えてやるの言葉に象徴されるいわゆるアメリカ的訴訟社会に移行してきています。さらに、法律に疎い若年者、高齢者をねらい撃ちにしているがごときネット被害、カード破産、リフォーム詐欺なども急増しております。先日のニュースでは、昨年の振り込め詐欺による全国の被害者は2万4、200人、232億円、1人平均約100万円であります。このように報道されておりました。学問を修めた者は、勉学の機会に恵まれなかった人のために知識を役立てるべきでありますが、逆に法律の網をくぐって、その法律を悪用して弱者からお金を巻き上げている現状にあります。
 公明党は、コンビニ感覚で気軽に立ち寄れる法律相談所の設置を主張してまいりましたが、司法制度改革の一環として、この4月から日本司法支援センターが発足し、10月からサービスを開始する予定となっており、私どもの求めていたローカフェと目指すものは同じであります。
 法務省は、地方公共団体や弁護士会等の協力を得て相談窓口を開設し、本県にもその事務所が盛岡に設立されますが、地方の実情を的確に反映させるために地方準備会が設けられることになっており、この準備会には地方公共団体も参加し、県の総務部長もメンバーになっていますが、順調に進んでいるかどうか、お尋ねいたします。これによって、盛岡以外の弁護士過疎地問題の解消になるか、県民生活センターや地方振興局との連携はどうするのか等について、これから予定している県の対応を伺います。
 日本司法支援センターでは、住民からの相談に対し、情報提供業務における具体的連携の形態として、1、関係機関への相互紹介、2、紹介先への連絡、3、訪問予約の手配、4、相談内容を紹介先に通知、5、相談先への予約取りなどを想定していると伺いましたが、先日、盛岡で開催されました日本司法支援センター岩手地方準備会の意見交換会に同僚議員数名と参加いたしましたが、同センターから協力を求められた場合、地方自治体の窓口業務の多くは関係機関の紹介にとどまり、一々相談内容を聞いたり、都合を確認し、訪問先を手配したりすることはできないだろうと、担当する市職員たちが言っておりました。しかし、これでは本来の機能を発揮できるとは思えませんが、県の判断と対応、司法支援センターをどう活用するかについてお伺いいたします。
 次に、デュアル・モード・ヴィークル(DMV)について伺います。
 本県の抱えている三陸鉄道とIGRいわて銀河鉄道は、マイカーの普及や人口減社会という現状の前に、厳しい経営を余儀なくされています。経営改善、合理化にも限界があり、また、沿線住民、自治体の負担にも限界があります。同じような状況にあるJR北海道では、少人数輸送に見合った車両の開発を進めて、経営改善に努めており、本県にとって参考になると思いますので、デュアル・モード・ヴィークルの導入に向けた検討の見通しを伺います。
 このマイクロバスを改良した車両は、道路上では普通のバスと同様にゴムタイヤで走行し、鉄路軌道では、モードスイッチを入れることにより、前輪ゴムタイヤを浮かせて、かわりに鉄製車輪をおろして軌道を確保し、後輪ゴムタイヤの駆動力で走行する仕組みになっております。これには数分を要するだけだと言います。乗客の目的地の多くは、特定の学校や病院、観光地に限られると言いますので、鉄道駅で乗ったお客さんは、切り離された車両が道路を走行することによって、乗りかえなしに目的地に着くことができます。ディーゼル車両の購入費が1億3、000万円であるのに対し、改造マイクロバスは1台2、000万円、そして燃料費は4分の1であるとJR北海道では発表しております。
 いいことづくめではありますが、鉄路走行時には鉄道法、道路走行時には道路交通法の適用、その他関係法令等のハードルがあり、これには安全基準、運転士・整備士の資格や免許等々課題があります。ただ、1月15日にJR北海道苗穂工場を視察し、このデュアル・モード・ヴィークルに試乗した北側国土交通大臣は、DMVの早期実現化への期待を述べ、安いコストでできるので、北海道はもちろん、全国の過疎地域を走る鉄道に利用できると実感した。全国的にニーズはあると思うとコメントし、実用化を踏まえた関係法令の改正については、一番大事な安全確保ができる仕組みづくりをしながら、できるだけ早く検討したいと述べております。大いに期待できると思います。北海道ばかりではなく、本州の自治体関係者など、既に2、000人ほどが試乗に訪れたとも報道されています。三鉄やIGRの存続と経費節減に悩んでいる本県としては、DMVの実用化を見込んで導入に向けた検討をすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 最後に、高校教育について伺います。
 昨年の春、本県の高等学校等進学率は、これまで最高の98.7%を記録いたしました。心身ともに大きく成長していく高校時代に、さらに学力をつけて大学を目指すとか、スポーツ競技力を強化して全国レベルで競いたいとか、芸術文化等をきわめたいなど、夢を抱いて高校の門をくぐっているかと思います。その一方、志半ばで中途退学者が出るのは残念であり、本人と家族の苦悩に心を痛めますが、県立高校の中途退学者の最近の状況はいかがでしょうか。かつて、生徒の意向を最大限に尊重した柔軟な対応を求めて質問いたしましたが、その後の対応はいかがでしょうか。
 また、平成17年の本県の大学等進学者数は5、233人で、進学率はこれまで最高の34.4%を記録しましたが、全国平均は47.3%で、東北では最下位にあります。大学進学を本気で支援するのであれば、中学校の段階でしっかりとした基礎学力をつけなければなりませんが、高校に入ってくる生徒たちの学力について、県教育委員会の現状認識をお伺いいたします。また、高校に入ってから大学進学を希望する場合もありますし、専門学科高校から苦労して大学に進む例もありますが、このような場合の支援はいかがでしょうか。
 県教委は、大学進学率向上に努めており、平成19年には35%にしたいと学力向上プロジェクトなどに取り組んでおります。例えば平成17年度は、進学目標達成推進事業として20の県立高校に事業費を補助いたしました。学ぶ環境の地域格差解消が目的となっており、なるほどと思う反面、業者と生徒の利害が一致するとはいえ、この事業は大手予備校、進学塾の外部講師に安易に頼り過ぎているのではないでしょうか。県立高校の教師の実力、プライドはどうしたのかと思いますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 あわせて、大手予備校の本県への積極的な進出、これを迎え撃つ地元学習塾の、少子化の中での子供、保護者を惑わす熾烈な競争に対する所見をお聞かせいただきたいと思います。
 盛岡地域のように、募集定員を100人ほど上回る高校が幾つもある反面、募集定員にはるかに届かない高校も幾つかあるというアンバランスをこれからどうするのか。かつて、高校再編に向けて県教委が中学生に対して行ったアンケートでは普通科志望が多数を占めていましたが、本県においては、専門学科高校の重要性が力説され、バランスをとってきたところであります。しかし、依然として普通科に進みたかったが、やむなく専門学科高校に入った生徒も多いのではないかと思いますが、現状はいかがでしょうか。
 こうした高校再編の経過をたどりながらも、専門学科高校のうち、水産関係の応募者をどうふやしていくか、農業高校で学びながら他産業に就職するという実態をどうするか、にわかに自動車産業に仕向けられる工業高校は、実質的対応ができるのか等についていろいろと取り組まれていると思いますが、今後の展望をお尋ねいたします。
 最後に、間もなく大量離職時代が来ると心配されていますが、本県の教員の年齢分布や採用予定数の増減及び指導力不足の教員の年代等についてもお知らせいただきたいと思います。
 総括的に知事にお伺いいたしますが、大学進学の意義・目的をどうとらえているか。その上で、現実の本県の学力と経済力について、知事の認識と対策をお伺いしたいと思います。
 以上、登壇しての質問を終わります。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小野寺好議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方の自主的・自立的な行財政運営を促進するために、従来の中央に依存してまいりました財政運営から、税収などの実力ベースでの歳入規模に見合った財政運営の転換を強く意識していく必要がある、このように考えておりまして、このため、行財政構造改革プログラムを初めといたしました各種の取り組みを進めまして、財政の健全化、すなわち持続可能な行財政構造の構築に取り組んできたところでございます。
 また、地方財政再建特別措置法との関係でございますが、仮に単年度で600億円の赤字となりました場合には、赤字比率が標準財政規模の5%以上となりますので、法に基づいた国の指導・監督下での再建、または起債などの一定の制限下での自主再建を行うことになります。いずれの場合におきましても、県債の発行が抑制されまして、公共事業などの建設工事が大幅に削減をされますほかに、医療・福祉などの分野で県が独自に行っております施策、国の基準を超えて行っている施策――これは県単の医療費助成制度などでございます――、こうした施策がほとんど実施できなくなる可能性があるなど、本県の経済や県民生活に急激かつ甚大な影響が出ることは避けられない、このように考えます。
 これらのことを踏まえて、来年度予算につきましては、主要3基金の取り崩しに頼らず、県債残高をふやさない、いわゆるプライマリーバランスの均衡を達成することを目標にして財政運営の基本として編成をいたしました。また、平成19年度以降も身の丈に合った歳出構造を確立して、持続的な行財政構造を構築する第一歩として、限られた財源の重点的かつ効果的な活用をしていきたいと考えております。
 今後ともプライマリーバランスの均衡を維持しながら、将来の世代に過大な負担を残さない健全な財政構造を構築していきたいと考えております。
 次に、事業仕分けについてでございます。
 平成14年に、県と市町村の役割分担の見直し、厳しい財政状況を踏まえた徹底した歳出削減、こうした問題意識のもとで、民間の政策研究機関の協力を得まして、県の若手職員と市町村職員や他県の職員が一緒になりましていわゆる事業の仕分けというものを実施いたしました。その実施結果は、引き続き県が実施すべきものが約5割、市町村が実施すべきものが約3割などとなったところであります。その成果は、市町村への権限移譲の推進、そして、平成15年度に策定いたしました行財政構造改革プログラムで取り組んでおります優先度の低い事務事業の縮減、指定管理者制度の導入などの推進に反映いたしました。
 今後とも、基礎自治体でございます市町村を強化する観点から、市町村へ移譲すべき事務の範囲をさらに広げて一層の権限移譲を進めますほか、安定した行財政基盤を構築できるように、すべての事務事業の徹底的な改善、効率化、そして、業務の民間委託の推進などにも取り組んでいきたいと考えております。
 次に、地域格差で、まず、都市部への人口移動ということですが、2030年に県央、県南の両広域振興圏に県人口の約8割が集中する、こう予測されます。また、県北、沿岸の両広域振興圏では、2000年から約3割前後人口が減少ということでございまして、特に県北・沿岸地域で続く大幅な社会減に歯どめをかけることが県政の喫緊の課題でございます。
 そうした中で、やはり県北・沿岸地域に力強い地域産業基盤を構築することが最も重要で、地域資源をできるだけ生かした形で産業振興の取り組みを強化して雇用の創出を図っていく。また、そうした地域での地域コミュニティーの力を生かした子育て、介護、防災など地域課題の解決に向けた取り組みを積極的に支援する、こうしたことを行っていきたいと考えております。
 盛岡への人口移動の是非でありますが、昨年の国勢調査の速報値でありますが、盛岡広域の人口は、2000年に比べわずかの減少――0.3%と言われております――で、盛岡市も0.7%減となっていますが、紫波、矢巾、滝沢では増加でありますので、盛岡市近郊と北上市周辺だけが県内において人口が増加している地域、このようになります。この要因として、都市部に就業の機会が多いことと、生活の利便性などを求める人の増加などが考えられます。
 当地域におきましてこの傾向は今後も続くものと予測されるわけでありますが、こうした人口の集中は、経済や文化活動を活発化する反面、生産と生活の拠点として都市機能の高度化や都市基盤の充実が求められまして、住宅や交通などの住民ニーズにこたえるための新たな行政需要が発生するもの、このように予測されます。一方で、都市部に人口を送り出す側の地域にありましては、人口減少社会の中でより過疎化が進行して地域社会の活力が低下することが懸念されます。このため、先ほど申し上げました地域資源を生かした産業振興ということ、そして、地域間交流の促進、また、地域特性を生かした地域づくりの支援、こういうところに積極的に取り組む考えであります。
 また、治安の状況でありますが、昨今、県下において少年による事件を含めまして悪質・凶悪な事件が相次いで発生しておりまして、このことに深い憂慮を覚えております。
 最近における治安の悪化の要因でございます。これには、今、一般的には、国民の規範意識の低下、地域における連帯意識の希薄化、少年を取り巻く環境の悪化等が指摘されていますが、こうした状況は、結いの精神に支えられております本県においても確実に進行しているのではないか、このような印象を持っています。
 私としても、良好な治安の維持は社会発展の基盤であるとの認識のもとに、治安対策を県政の重要課題の一つとして取り組んでいく考えでございまして、具体的には、警察によるパトロールの強化や空き交番対策を推進するとともに、住民参加・体験型の防犯教室の開催、大学生ボランティアによる非行少年のよりどころの確保など、こうした地域力を生かした新たな取り組みを推進して、地域における多様な防犯ニーズに対応していく考えであります。
 市町村合併についてでありますが、これにつきましては、先般、市町村合併推進審議会から答申をいただきましたので、この答申内容を十分に尊重いたします。パブリックコメント等を通じて県民の意見も今後いただきながら、4月末までに県としての合併の推進に関する構想ということでまとめます。そして、この構想を策定いたしました後は、地域説明会、シンポジウムなどを開催するほか、厳しさを増す市町村行財政の現状や将来見通しについての情報提供などを積極的に行いまして、合併の必要性について広く県民の理解を深めていきたい。そして、それとともに、それぞれの地域で市町村の今後のあり方について議論が深められるように必要な支援をしていくこととしております。
 県としては、個々の市町村の行財政能力が向上して、市町村中心の行政が可能となるような体制への移行を目指していきたい、このように考えておりますので、合併新法の期限でございます平成21年度までを一つの区切りとして市町村合併を推進する考えでございます。
 次に、ドクターヘリの導入についてでございますが、まず、今の防災ヘリによる救急活動に際しましては、消防機関から岩手県防災航空センターに対しまして、電話またはファクス――ファクスだけではなくて電話も受け付けておりまして――で救急現場、救急患者の状況、ヘリポートの場所、そして、必要資器材等の情報について連絡をすることとなっております。
 また、高度救命救急センターへのドクターヘリの導入についてでありますが、このドクターヘリは、治療開始時間や搬送時間の短縮により死亡を27%減少させたと推定できるとの研究報告がなされており、救急患者に対する救命率の向上に効果がある、このように考えております。
 本県での導入に当たりまして、幾つか課題があります。原則として救命救急センターに配備するということになっておりますので、本県の場合には高度救命救急センターは岩手医科大学附属病院でございまして、ここに配備することが望ましいものの、隣接するヘリポート及び格納庫等の確保が物理的に困難という問題があります。また、医師が不足する中での救急専門医や看護師等の常駐医療スタッフの確保が困難である、こうした課題がございます。
 このような中で、本県では、当面の対策として、訓練を受けた救急隊員が搭乗している御案内の防災ヘリの活用が有効、こういうことを考えて救急出動や転院搬送にも使用してまいりました。年間の運航実績が20ないし30件程度でございまして、さらに活用の余地があると見込まれますので、その活用を関係機関に啓発しているところでございます。
 ドクターヘリにつきましては、さきに述べたような課題がございますものの、既にドクターヘリを導入している他県の状況の情報収集に努めてまいります。そして、本県におけるドクターヘリの導入の可能性につきまして引き続き検討していく考えであります。
 次に、大学進学の意義、目的、そして本県の学力等についてのお尋ねでございますが、大学進学の意義、目的ですが、子供たちが、自分の個性を磨き、変化の激しい時代にたくましく柔軟に対応し、将来、その夢や目標を実現できるように、高度な専門的知識や技術、より高い資質などを身につけるために大学に進学することは大きな意義がある、このように考えております。
 本県大学志願者の学力については、公的なデータというのは教育委員会の方では持ち合わせておりませんけれども、本年1月実施の大学入試センター試験の自己採点の平均点によりますと、これは大手予備校のデータによるわけでございますが、この予備校のデータを見ますと全国の下位にございまして、高校における学力向上が大きな課題になっております。このため、大学志願者がその目標を達成できるよう、各高校の学力向上に向けたさまざまな取り組みを支援していきたいと考えております。
 しかし、大学進学を目指す子供たちの中には、家庭の経済事情によりまして進路変更を余儀なくされるケースもございます。現在、大学生を支援する奨学金制度の主なものとして、日本学生支援機構の奨学金を貸す制度がございます。さらに、多くの大学におきまして、入学金や授業料減免あるいは独自の奨学金貸与制度を設けておりますので、経済的な支援を必要とする学生に対しての手当てというものはおおむね整っているもの、このように理解しております。
 これからも、大学志願者にこうした制度を積極的に活用していただくように、よく周知を徹底してまいりたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いします。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 地域格差に関連いたしまして、社会保険料の納付状況についてでございますが、県において所管しております社会保険関係は国保税のみでございまして、この国保税も、給与所得者とそれ以外の方について区分して把握しておりませんので、総額でお示しいたしますと、平成16年度における本県の国保税の調定額は約400億1、000万円、納入額は約368億5、000万円となっておりまして、収納率は92.11%となっております。これは、平成15年度に比較いたしまして0.27%低下しているところでございます。
 なお、平成16年度における全国の収納率、これは速報値でございますが90.09%となっておりまして、本県は全国よりも2.02%高くなっているといった状況でございます。
 次に、盛岡市における生活保護世帯の状況でございますが、全国と同様に高齢化の進展や景気の低迷を反映しまして、盛岡市の保護率は、平成12年度の5.4パーミルから17年12月末で10.2パーミルに上昇し、約2倍となっております。ちなみに、この間の県内の保護率は5.2パーミルから7.8パーミルと1.5倍となっており、盛岡市は岩手県全体の平均を上回る大きな伸びとなっている状況でございます。
 この被保護世帯の特徴を見ますと、就労が困難な状況にある母子世帯や傷病者世帯が伸びているほか、稼動年齢層にある方を多く含む世帯の保護率も増加しているといったような状況にございます。
 県としましては、県民生活のセーフティネットでございます生活保護制度の適切な運用に努めるとともに、盛岡市を初め、県内各市と連携を図りながら、ハローワークなどとも連携した就労支援など、被保護世帯の自立に向けた取り組みを強化してまいりたいと考えております。
 次に、がん対策についてですが、全国比較についてのお尋ねですが、全国比較が可能な項目はお尋ねのあった中で非常に少ないのでございますが、全国比較の可能な検診受診率につきましては、本県としてもまだまだ向上の必要性はあるところではございますが、すべてのがん検診において全国水準を上回っているところでございます。特に、乳がん検診につきましては、全市町村でマンモグラフィー併用検診が実施されておりまして、平成15年度の乳がん検診受診者に占めるマンモグラフィー併用検診受診者の割合は全国14位となっております。
 それから、PET検査装置については、今後も導入を視野に入れた検討を進めることとしております。
 がん治療専門医についてのお尋ねもございましたが、このがん治療専門医といったものは、それぞれの学会において医師が個々に認定を取得しているといったところでございまして、県としてはその取得状況を把握していないところでございます。
 また、現場医師の研修につきましても、医療機関、医師会、学会等でそれぞれ実施されているところでございまして、全国比較できるデータはないものでございます。
 県としては、がん看護に係る中堅の看護師を対象としたがん看護研修、がん検診に従事する医師等の研修、がん診療施設情報ネットワークを通じた症例検討などの取り組みを実施しているところでございます。
 次に、地域がん診療拠点病院の現状についてでございますが、地域がん診療拠点病院は、国において、がん医療水準の均てん化を図るといったことのため、二次医療圏に1カ所程度を目安として整備されたところでございます。本県では、平成15年12月に県立中央病院がこの指定を受けております。その後、国においては、拠点病院機能のさらなる充実強化を図るため、新たな拠点病院の指定を凍結した上で指定要件の見直し作業に入ったことから、県としてもこの動向を見守ってきたところでございます。
 本年2月、厚生労働省から院内がん登録の義務化などを内容とする新たな整備指針が示されたところでございまして、地域がん診療連携拠点病院として制度の再構築がなされたところでございます。
 県としては、この方針を踏まえながら、新たな医療計画の策定に向けた取り組みの中で、本県にとって望ましいがん医療の提供体制の構築に向け検討していきたいと考えております。
 次に、相談支援機能強化におけるボランティアの役割についてでございますが、ボランティアについては、御指摘のとおり、特に末期がん患者の精神面のケアの観点、あるいは生活の質の向上といった観点から、その活動は重要なものと考えております。ボランティアの方々の自発性を尊重しながらも、基本的には、患者や、その御家族の環境、人間性等も十分に考慮し、医療関係者等とのかかわりについても配慮したきめ細やかな対応が必要になるものと考えているところでございます。
 それから、緩和治療への訪問看護師の対応についてでございますが、本県でも、在宅における緩和ケアにつきましては、訪問看護師を初め、往診可能なかかりつけ医、さらには訪問薬剤師、ホームヘルパー等のチームによるケアがなされておりまして、こうしたチームによるケアに対して、県立中央病院を初め、県立の中核病院がさまざまな支援を行っているところでございます。こうした在宅での緩和ケアに積極的に取り組んでいる地域もございまして、訪問診療や訪問看護を利用しながら、住みなれた自宅で最期をみとられる方もいらっしゃるところでございます。こうしたチームケアにおける訪問看護師の役割は大きいものと伺っているところでございます。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕
〇地域振興部長(山口和彦君) 盛岡地方振興局の産業振興の特命課長についてでございます。
 盛岡地方振興局におきましては、県央広域振興圏の地域特性を生かした産業振興施策を推進するため、平成18年度新たに産業振興特命課長1名を配置し、体制を強化することとしております。
 この特命課長は、特に大学や試験研究機関が持つ研究シーズと地元企業のニーズのマッチングや地元農林水産物の活用などによって、地域の中核的な企業や地場産業などが取り組む新商品、新技術の開発や販路の拡大を支援し、その集積や拡大を進めながら産業の振興を図っていくものでございます。また、県央の広域振興圏全体の視点で、すぐれた自然環境や都市機能などの地域資源を活用した広域的な観光振興等にも取り組むこととしております。現場主義に立って、盛岡都市圏が抱える地域課題に機動的に対応しながら、1次から3次産業までのバランスのとれた産業の育成に努めていくものでございます。
 続きまして、三陸鉄道やIGRいわて銀河鉄道へのデュアル・モード・ヴィークル、いわゆるDMVの導入についてであります。
 この新しいシステムにつきましては、お話のありましたようなメリットが期待されるものの、三陸鉄道におきましては、その線路のほとんどが高架または築堤となっております。ということで、道路と線路が交差する踏切も南北リアス線――北と南の両方のリアス線でそれぞれ1カ所しかございません。そういうことから、DMVの出入りが困難な状況にございます。
 それから、IGRいわて銀河鉄道につきましては、頻繁に貨物列車が走行しておりますこと、また、1日当たり約1万3、000人の利用があり、通常の旅客車両による運行が必要であることから、これらの列車と走行性能が大きく異なるDMVが同一線路上を走行することは、安全性の確保やダイヤ編成の上で困難な面があるものと考えております。
 こうしたことから、DMVの実際の運行に当たりましては、安全性確保のための運行システムの整備とか、あるいは既存の鉄道ダイヤとの調整、それから、定員の拡大等の諸課題の解決が必要になるものと思われます。JR北海道における今後の研究開発の状況や鉄道法、道路交通法、道路運送法等の法規制面の整備の動向を注視してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕
〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) 盛岡地域の雇用状況についてのお尋ねでございます。
 平成17年12月――一番新しい数字でございますが――と平成16年12月――1年前と比較いたしますと、盛岡地域での有効求職者数が減少している一方で、求人の方が増加しているということでございます。このため、盛岡地域の有効求人倍率は、これはパートを含んででございますが、原数値で0.76倍ということでございまして、1年前が0.68倍でございましたので、0.08ポイント改善をしているということでございます。県平均が0.75でございますので、これより若干高い。他の地域と比較しますと、北上地域が1.55倍、水沢地域が1.01倍ということでございまして、その次に高い数値になっているということでございます。
 一方、新規高卒者の平成17年12月末現在での就職内定状況を見ますと、盛岡地域は56.3%、県平均が76.2%でございますので、大幅に下回ってございます。この原因には、生徒数が絶対的に多いということもあろうかというふうには思いますけれども、いわゆる高校生が希望する職種と求人側の方の職種のずれ、いわゆるミスマッチというのが他の地域に比べて大きいと言えるのかなと思っております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕
〇総務部長(時澤忠君) 日本司法支援センターに関しまして、まず、準備状況でございます。
 日本司法支援センターは全国に地方事務所を設置することといたしておりまして、盛岡市内にも事務所を設置するために、法務省、弁護士会、司法書士会を初め、県、市町村等によりまして岩手地方準備会というものを組織いたしております。平成16年11月以来、これまで3回の準備会が開催されるなど、設立に向けて着実に準備が進められているものでございます。
 過疎地域の問題についてでございますが、本県では、この2月1日現在で岩手弁護士会に62名の弁護士が在籍しておりますが、盛岡市に40名、一関市5名、水沢市4名となっているなど、偏在している状況でございます。
 日本司法支援センターにおきましては、弁護士等がいない、いわゆる司法過疎地域に司法過疎地域事務所を設置いたしまして、弁護士を駐在させることを計画いたしております。岩手地方準備会におきましては、久慈市と大船渡市に過疎地域事務所を設置することについて法務省に要望しているところでございまして、県といたしましても、司法過疎地域の解消が図られるように支援をしていきたいと考えているところでございます。
 関係機関との連携確保でございますが、これまで住民からの法律相談等につきましては、国、地方公共団体、弁護士会等がそれぞれの専門分野ごとに対応してきたところでございまして、専門分野以外の相談につきましては、相談先の紹介等が十分でなかった面があります。今般の日本司法支援センターにおきましては、相談者の相談内容に応じて最も適切な関係機関等を紹介するなどの情報提供業務を行うこととしております。この情報提供に当たりましては、関係機関の具体的な連携のあり方が問題となります。現在、岩手地方準備会において協議中でございますが、県といたしましては、県民生活センターなど県の各機関と市町村等が密接に連携を図ることが大切であると考えておりまして、相談者の利便性というものを十分に考慮しながら、相談内容や相談者の意向に応じて最も適切なものとなるよう協議を進めてまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、高校中途退学の状況についてですが、平成16年度の県立高校における中途退学者数は477人、全生徒数に占める割合は1.25%で、平成12年度の862人、2.02%をピークとして4年連続で減少しています。
 中途退学の主な理由は、高校生活や授業に興味、意欲がわかない、人間関係がうまく保てないなどの学校生活・学業不適応が最も多く205人で全体の約43%、次いで、就職を希望、別の高校への入学を希望などの進路変更が161人で約34%となっています。
 変更後の進路については、中途退学時における希望としては、就職――これはアルバイトも含みます――が241人で約51%、次いで、他の高校への再入学が88人で約18%などとなっております。
 次に、高校中途退学への対応についてですが、これまでも各学校では魅力ある学校づくりを進めるとともに、高校一日体験入学や中学校訪問による情報交換を実施するなど、高校と中学校が連携した進路指導の充実に努めてきているところです。高校入学後には、生徒が充実感を持って学校生活を送れるよう、わかる授業や参加する授業の工夫、改善を推進しているほか、生徒一人一人に対するきめ細かな対応ができるよう、カウンセリング研修の内容を充実させて教員の教育相談の資質向上を図っているところです。また、生徒が目的意識を持って生活できるよう、総合的な学習の時間などを活用した職業講話や実際の産業現場で生徒が就業体験を行うインターンシップなどを充実させることで、学習意欲を高め、望ましい勤労観、職業観の育成を図っているところです。
 次に、高校へ入学する生徒の学力についてですが、昨年10月に実施した学習定着度状況調査においては、中学校3年生の期待正答率を75%と設定したところですが、国語、社会、数学、理科、英語の5教科すべてにおいて、この期待正答率を下回る結果となったことから、基礎基本が定着しているとは言いがたく、とりわけ数学と英語は不十分な状況にあり、基礎的・基本的な内容を十分身につけないまま高校に入学してくる生徒もいるところです。
 そこで、平成18年度においては、全県立高校において、入学者が中学校までの基礎的・基本的な内容を十分身につけているかどうか把握するため、全員を対象として、5教科の学習定着度状況調査を実施することとしております。この調査結果につきましては、内容をよく分析し、そこで明らかになった課題を十分踏まえながら、生徒一人一人の習熟度に応じた指導の徹底、生徒一人一人の進路希望に応じた指導の充実、授業の改善に向けた教員研修の拡充など、その後の各高校における教科指導の取り組みに生かし、生徒一人一人の学力向上と進路希望の実現につなげていきたいと考えております。
 次に、大学進学希望者への支援についてですが、高校入学後に大学進学を希望する生徒に対しては、生徒一人一人の進路希望の実現のために、習熟度別授業や課外授業、さらには個別指導など、生徒の志望に応じたきめ細かな指導を行っているところです。
 また、専門高校においては、専門科目を中心に教育課程を編成しておりますが、大学への進学を希望する生徒にも対応するため、進学に必要な普通科目を選択できるような教育課程を弾力的に編成しております。そして、通常の授業に加えて、放課後や長期休業中の課外授業や添削指導を実施するなど、生徒一人一人に応じたきめ細かな指導を行っております。さらに、大学のオープンキャンパスや高大連携推進事業などにも専門高校生の参加を積極的に進め、大学に対する理解や進学意欲の向上を図っているところです。
 また、地元大学等に対して、専門高校からの推薦枠の設置や拡大を要請するとともに、専門高校の特性を生かして、資格を取得した生徒に推薦入試やAO入試の受験を進めるなど、各学校において、それぞれの生徒の進学希望の実現に向けて努力しているところです。
 次に、外部講師等の活用についてですが、大学進学は、生徒と教員の不断の努力によってなし遂げられるものであり、各高校の教員は、自信と誇りを持って日々の教育活動に専念しているものと考えております。しかし、今日、大学入試をめぐる状況は、毎年のように入試制度や入試科目の変更など目まぐるしく変化しており、また、生徒の進路希望も多様化し、その希望先が全国に及んでいることから、各高校においては、最新の入試に関する情報をいち早く入手し、それに基づいて適切なカリキュラムを編成し、また、より効果的な指導法を導入して、生徒の進路希望に適切に対応していくことが必要です。
 そこで、他県の先駆的な取り組みに学んだり、大学や予備校などから講師を招いて、進学のための講演会を開催したり、長期休業中に課外授業を実施することは、教師にとっては先進的な指導法を学ぶ機会となり、また、生徒にとってはより実践的な学習方法を学ぶ機会となるなど、生徒、教員双方にとって有益なものと考えております。このような取り組みは、各高校が、生徒一人一人の進学希望を実現するために効果的であると判断し、行っているところですが、進学指導は、あくまでも教師による日々の授業こそが基本となるものであり、こうした外部講師等の活用は、学校の授業を補完するものとして位置づけられるものと考えております。このように進学指導は、各高校における日々の授業こそがベースとなるものであり、生徒が学習塾等を利用するのは、学校の授業を補完するためのものと考えております。
 次に、応募状況のアンバランスについてですが、平成17年の公立高校入試においては、多数の不合格者が出た高校があった一方で、同じ学区の中で1学級相当以上の定員割れを生じた高校もあったことから、平成18年度の生徒募集に当たっては、生徒のニーズが高い高校を1学級増とする一方、1学級相当の定員割れを生じた高校については学級数を減じたところです。今後とも、中学校卒業予定者数の状況、高校進学希望者の志望動向、各高校の定員充足状況などを勘案しながら、毎年度、配置学級数を調整してまいります。
 次に、普通科の設置割合についてですが、平成15年度に実施した中学生の進路希望に関するアンケート結果によれば、普通科への希望比率は64.4%、また、普通科目だけを選択することもできる総合学科への希望比率は7.6%で、その合計は72%となっております。一方、平成18年度における普通科の定員割合は58.8%、総合学科の定員割合は11.2%、その合計は70%で、希望比率にほぼ近い値となっています。普通科に限らず、学科の設置に関しては、生徒の志望動向などを踏まえて設定しているところですが、中学生がしっかりとした目的意識を持って高校に入学し、高校で十分な学力を身につけ、将来の進路希望の実現が図られるよう、今後、中学校と高校の教員間の進路指導に関する意見交換や、中学生の高校1日体験入学、高校教員の中学校への出前授業の実施など、生徒の進路指導に関して、これまで以上に中学校との連携を強めてまいりたいと考えております。
 次に、専門学科高校の充実についてですが、本県においては、ものづくり産業や農林水産業などの産業を支える人材の育成が急務であり、農業高校、水産高校、工業高校などの専門学科高校の果たす役割はますます重要であり、また、期待されているところです。
 そこで、生徒・保護者や、地域・産業界のニーズにしっかりとこたえていくことができるよう、毎年、学科の配置やカリキュラム編成などを見直し、また、教育内容を充実し、生徒が進んで進学を希望するよう、一層の魅力づくりに努めてまいりたいと考えております。
 農業高校や水産高校については、農林水産業の担い手や、食品製造業や外食産業、観光産業などの関連産業を支える人材の育成に重点を置き、各地域の産業の特性を踏まえながら、生産から加工、流通、消費まで広く学び、将来、産業社会で幅広く活躍できるよう、教育内容の一層の充実に努めていきたいと考えております。
 また、工業高校については、自動車関連産業を初めものづくり産業を支える人材の育成に重点を置き、自動車工学コースや専攻科の設置など教育体制を整えて、ものづくり産業社会で活躍するエキスパートを養成できるよう、教育内容の一層の充実に努めていきたいと考えております。
 次に、本県の教員の年齢分布についてですが、5歳ごとの年代別教員構成割合で見ますと、県立学校では、35歳から39歳までの教員が最も多く、全体の17%を占めていますが、20歳代を除くその他の年代も13%台から16%台までの間となっており、年代によって大きなばらつきは見られないところです。
 一方、小・中学校では、40歳から44歳までの教員が最も多く、全体の22.5%を占めているほか、この前後の年代もそれぞれ約20%を占めており、20歳代や50歳代と比較して、30歳代後半から40歳代までの教員の構成割合が高くなっております。
 また、指導力不足の教員の年代についてですが、平成15年度から導入した指導力不足等教員に関する人事管理システムにおいて、これまで3年間で計9人の教員に対して指導力向上研修を実施していますが、その年代別内訳は、30歳代が6人、40歳代が3人となっております。
   〔警察本部長山下史雄君登壇〕
〇警察本部長(山下史雄君) 本県における刑法犯の認知件数は平成14年以降減少傾向にあり、盛岡市内における件数も同様の傾向にございます。しかしながら、その内容を見ると、議員御指摘のとおり、最近、県民の安全を脅かす殺人や金融機関対象の強盗事件等が相次いで発生をしており、少年事件につきましても、かつて見られないような悪質な犯行形態の事件が、本年に入って、県下また盛岡市内においても続発しております。こうした状況に対し、県警察としては、凶悪・悪質な事件に対する検挙活動に重点的に取り組むとともに、制服警察官によるパトロール活動の強化、金融機関、事業所等と連携した実践的な防犯訓練の実施、地域住民に対する安全情報の発信等の未然防止活動を強力に推進してまいります。特に、少年非行につきましては、再非行率が3割を超える高水準で推移しているのが本県の特徴であることから、補導活動を強化するとともに、学校、教育委員会、ボランティア等と連携をした再犯防止、立ち直り支援活動を実施してまいる所存です。
〇36番(小野寺好君) かなり時間が経過しまして、皆さんお疲れのようなので、一つだけ。
 1週間ほど前に厚生労働省で心疾患・脳血管疾患死亡統計を出していまして、心疾患で男性の死亡率の高いベストスリーが青森、愛媛、岩手。脳血管疾患の方でトップスリーが青森、岩手、秋田。こういったものが出ていまして、北東北3県に共通しているのは、広い県土、お医者さんが少ない、そういったことで助かる命が助からなかったのではないかと。そういうことで、さっきのようなドクターヘリというふうな考えが出てくるかと思うんですが、そこまでこれは出てないんですが、保健福祉部長は、この辺、どのように分析というか、お考えなのか、お聞きしたいと思います。
 あと、ヘリポートのお話が知事の方からありましたけれども、よそ様の財産でちょっと申しわけないんですが、岩手医大の教養部ですね、いずれ移転するとなると、あの広い駐車場を、ちょっと自動車を寄せていただければスペースができるんじゃないかなと、そんなふうに思っていましたが、いかがでしょうか。
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 死亡統計につきましては、確かに岩手県が非常に高くなっているという状況にございます。その原因についてはいろいろあろうかと思いますが、こうした死亡統計の数値と、ドクターヘリを運航した場合の対象になる方、あるいはそうした場合の救命率といったものの関係は必ずしも明らかではないのではないかというふうに考えておりますが、いずれにしましても、本県の疾病の状況でありますとか、それから地域中核病院の役割とか機能も考慮しました疾病ごとの医療連携体制のあり方なども含めながら、ドクターヘリの導入の可能性について検討してまいりたいと考えております。
 それから、ヘリポートの件につきましては、やはり運航安全上からいろいろな制約があるのではないかなと考えておりまして、具体的に医大の教養部がどうのこうのというのは全く今まで検討してきておりません。原則として、高度救命救急センターに近接もしくは隣接するといったような条件があったやに記憶しておりますので、そうした場合に、あのぐらいの距離がどうなのかといったような課題も出てくるのではないかなと考えております。
   
〇副議長(藤原泰次郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後 3 時49分 休 憩
   
出席議員(47名)
1  番 五日市     王 君
2  番 高  橋  博  之 君
4  番 小田島  峰  雄 君
5  番 三  浦  陽  子 君
6  番 中  平     均 君
7  番 ザ・グレート・サスケ 君
8  番 木戸口  英  司 君
9  番 高  橋  比奈子 君
10  番 高  橋  雪  文 君
11  番 嵯  峨  壱  朗 君
13  番 柳  村  典  秀 君
14  番 飯  澤     匡 君
15  番 関  根  敏  伸 君
16  番 野  田  武  則 君
17  番 平  野  ユキ子 君
18  番 大  宮  惇  幸 君
19  番 千  葉  康一郎 君
20  番 新居田  弘  文 君
21  番 平     澄  芳 君
22  番 工  藤  勝  子 君
23  番 平  沼     健 君
25  番 阿  部  富  雄 君
26  番 斉  藤     信 君
27  番 田  村     誠 君
28  番 工  藤  大  輔 君
29  番 川  村  農  夫 君
30  番 佐々木  順  一 君
31  番 佐々木     博 君
32  番 及  川  幸  子 君
33  番 樋  下  正  信 君
34  番 柳  村  岩  見 君
35  番 小野寺  研  一 君
36  番 小野寺     好 君
37  番 伊  沢  昌  弘 君
38  番 小  原  宣  良 君
39  番 阿  部  敏  雄 君
40  番 吉  田  昭  彦 君
41  番 佐々木  一  榮 君
42  番 伊  藤  勢  至 君
43  番 渡  辺  幸  貫 君
44  番 高  橋  賢  輔 君
45  番 千  葉     伝 君
46  番 佐々木  大  和 君
47  番 藤  原  泰次郎 君
48  番 菊  池     勲 君
49  番 藤  原  良  信 君
51  番 佐々木  俊  夫 君
欠席議員(2名)
3  番 亀卦川  富  夫 君
50  番 佐  藤  正  春 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後4時4分 再 開
〇副議長(藤原泰次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第4、一般質問を継続いたします。阿部富雄君。
   〔25番阿部富雄君登壇〕(拍手)

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