平成18年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(佐々木順一君) 民主・県民会議の佐々木順一でございます。
 私は、全住民を代表いたしまして、また、民主党の一員の立場から一般質問を行うものでありますが、質問に先立ちまして、一連の補欠選挙で当選を果たされました小田島峰雄、高橋博之両議員、並びにきのう二戸第一選挙区で勝利をおさめられました五日市王当選者に心からお喜びを申し上げ、一層の御活躍をお祈り申し上げたいと思います。
 それでは、順次お尋ねさせていただきますが、特にも、政治的答弁をされる知事におかれましては、ぜひ明快、かつ深みと味わいのあるものとなることを御期待申し上げたいと思います。
 初めに、三位一体改革に関連し国と地方の協議の場の位置づけと今後の取り組みについてお伺いいたします。
 3年半に及ぶ1期目の改革劇は、義務教育国庫負担問題の迷走ぶり、あるいは法定受託事務と明確に規定されていながらも、児童手当や児童扶養手当の国の負担率引き下げに地方が同意したことなどを見るまでもなく、本来の目的から遠くかけ離れたものになるなど、結果として、国と地方の権限と資金の争奪戦に終始したことは極めて残念なことであります。
 また、当初は、知事会を中心に約9兆円に及ぶ補助金廃止案を策定するなど、具体的提案を示しながら国に詰め寄るなど一定の迫力もありましたが、後半は首相の指導力に頼り切るかのように微妙に変化し、頼りの闘う知事会も要請する知事会に変質したかのような印象を受けたのは、私ばかりではないものと思っております。
 これは結果論でありますが、分権改革を肉づけするために国と地方の協議の場を通じ現場の実態と分権の行財政論理を駆使して、教育や社会保障などについて国と地方の新しい関係を提案するべきであったと思います。この協議の場については、一昨年12月の一般質問で私は、あらゆる手段を駆使し法制化すべきと申し上げたことは御承知のことと思いますが、知事からは、政府の対応を見ながら、可能な限り制度化されるよう考えていきたいとのいわば受け身の答弁であり、明確に意志を伴ったものとは言いがたいものでありました。
 もとより、内政の政策立案に地方が参加することに対し政府部内や与党内に抵抗があることは承知しておりますし、各省庁がこの協議の場をまともな政策合意の場とはみなさずに、専ら地方側のガス抜きの場として利用するなど軽視してきたとの指摘も聞こえてまいります。ついては、この協議の場が本当に十分に役割を果たしたのかどうかの検証を徹底して行い、今後は実効性と対等性のある制度化を伴った協議の場にすべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 引き続きお伺いいたします。次の舞台は、政府が6月に策定する2006年版骨太方針であり、既に自治体破綻法の整備なども取りざたされているところでありますが、特にも地方交付税制度の財源保障機能の取り扱いを含め、地方財政の改革が焦点化することは確実視されており、これまで以上に意見の対立が先鋭化することは目に見えております。もちろん財政再建の道筋を構想する必要はありますが、今の政府の小さな政府志向のみの考え方では今回と同じ轍を踏むことになりますし、油断をすると地域の人々の暮らしを支える分権とは無縁の改革に走り出すおそれも否定できないところがあります。
 地方分権は中央から与えられるものではなく、地方が勝ち取るものとするならば、また、知事の心の中に地方政府の確立のためにあらゆる手段を駆使するとの強い意志があるとするならば、風穴があいたという一定の評価に甘んずることなく、早急に地方6団体を中心に、地方の現場が抱えるさまざまな問題意識と論理を結集させ、例えば地方交付税の再設計から、分権改革に究極的に必要な第2次省庁再編の姿や憲法改正論議に地方自治をどう位置づけるかなども含め、まさに包括的、網羅的に制度改革の研究を強化し、国と地方の協議の場においてその成果を果敢に提案すべきと考えるものであります。また、仮にこの協議の場で行き詰まった場合には、地方自治法に規定されている政府と国会に対する地方団体の意見提出権を行使することも考えられるわけでありますが、いずれにしろ第2期改革では、どういう戦略を立て分権の実を上げていかれるのか、みずからの覚悟の披瀝も含めお伺いいたします。
 次に、財政全般と行財政構造改革プログラムについてお伺いいたします。
 県の財政の中期収支の見通し、いわゆるあらあらの収支見通しによると、当初の4年間における歳入歳出ギャップが150億円であったものが、今回の試算では725億円にまで膨らむ見通しになるとともに、明年度だけでも196億円が見込まれる一方、主要3基金からの繰り入れなど、財政調整などによるやりくりも限界に来ていることが明らかになったところでありますが、特にも平成19年度以降4年間に毎年564億円から623億円の歳入歳出ギャップが生ずる見通しとなり、しかも、この間の準用財政再建団体転落ラインを単年度180億円程度と見込むなど、本県の準用財政再建団体への転落が現実味を帯びてきております。
 県財政がこのような深刻な事態に至った要因は、交付税ショック、新幹線など特定の引き継ぎ課題に財源を投入せざるを得なかったことは、それなりに理解を示すものでありますが、それにしても結果として財政見通しや財政規律が甘かったとのそしりは免れないところであります。ついては、知事はこのような危機的状況を招いたことに対し、どのような痛痒を感じておられるのか、県民への説明責任を求めるものであります。
 引き続きお伺いいたしますが、県はこの厳しい局面を打開するため、7、000億円程度への財政規模の縮小、4、000人程度への知事部局職員の削減などを打ち出しており、今後においても、財源確保、コスト削減、施策、事業の集中・選択など、量的削減に向け不断の努力を傾けるべきことは当然のこととしながらも、最も大事な事柄は、ただ単に痛みを県民に求めるばかりではなく、県は県民に対し何を提供し確保していくのか、また、どの部分を質的に高めていくのか、さらには、改革達成に向けどのような協力を県民に求めようとしているのかなどプログラムの改革の先、すなわち今、県民が強いられている我慢の先にある県の将来像を明確に示す必要があると考えます。
 知事は、ある報道のインタビューで本県の将来像については、高負担を求めることをにじませながら、北欧型社会からヒントを得ながら岩手型の社会を考えたいと述べたとお聞きしておりますが、北欧と言ってもさまざま国がありますし、具体的にどの国のいかなる仕組みを描いておられるのか、スローガン的表現では説得力に欠けますので、先ほど私が指摘した事項を含め本県の将来像について論理的に御説明をいただきたいと思います。
 同時に、今、県民が甘受している痛みの受忍の限界というものをどう把握されているのか、あわせてお伺いをいたします。
 さらに、知事は、先般の演述で、これからの岩手の進むべき方向の中で、国の言う小さな政府という方針のみでは血の通った地方自治は実現しませんと断言しましたが、政府が進めている小さな政府構想は冷徹ということなのでしょうか。また、血の通った自治とはどういうことを指すのか、具体的にお伺いいたします。
 次に、BSE対策に関連し米国産牛肉の輸入再停止問題についてお伺いいたします。
 過般の抜き打ち検査で米国産輸入牛肉に特定危険部位が混入されていることが確認され、輸入が再停止されました。当初から懸念されていた事態が現実のものとなり、国民の生命、健康をないがしろにし、輸入再開を急いだ政府の責任は極めて重大なものがあります。このこと自体まことに遺憾なことであるにもかかわらず、これに追い打ちをかけるように先般、原因不明の歩行困難牛20頭が昨年食肉処理されていたことも明らかになるなど、米国におけるBSE対策の信頼性が根本から揺らぐという深刻な事態をもたらしております。また、国会の審議を通じ、政府が再開決定前の現地調査を行っていなかったことも明らかになるなど、まさに日米両政府の拙速な対応によって、食の安心・安全に関する国民の不信感は、今や頂点に達していると言っても決して過言ではない状況になっております。
 ついては、ずさんきわまりない一連の政府の対応をどうとらえておられるのか、知事の御見解をお伺いいたします。
 特にも全国に先駆けて全頭検査の導入を実施するなど、BSE対策には殊のほか厳しく対応してきた本県でもあることから、この際、政府に目に見える形で厳重に抗議の意思を示すとともに、食の安心・安全の確保の観点から牛肉加工品への原産地表示の義務化なども含め、厳格な再発防止策の徹底を強く求めるべきと考えますが、あわせて御見解をお伺いいたします。
 次に、いわて花巻空港の整備について多角的にお伺いいたします。
 空港を抱える新花巻市は本年1月1日に発足、去る2月5日には新市長も誕生するなど体制づくりが着実に行われているところでありますが、この投開票日の朝、報道を通じ間接的ながら県から極めて衝撃的な祝意をちょうだいいたしました。すなわち、花巻空港新ターミナルビル着工の2カ年延期という、まことにもってありがたくない暗いメッセージであります。
 ついては、意図的に投票日に焦点を当て情報を特定報道機関に提供されたとは思いませんが、この出来事は、選挙の公平さを損なうおそれがあることから、情報管理の徹底を強く求めるものでありますが、まずはこのことについて何か御所見があればお聞かせ願います。
 引き続きお伺いいたしますが、新花巻市においては空港利用促進協議会を中心に、これまで官民一体となって旅客数の大幅確保に血のにじむような努力を傾けてきております。特にも昨年の2、500メートル滑走路の供用開始を契機に台湾からの国際チャーター便による旅客数も飛躍的な伸びを見せるなど、新花巻市としては国際化に対応した空港として一日も早く整備が完了し、地域経済の発展に大きく寄与されることを期待しておりましたが、今回の延期措置により多くの方々は県の見通しの甘さに不信感を募らせており、市民の中からは、競馬組合に27億円、肉牛生産公社に16億円つぎ込むよりは、未来への投資として空港関連につぎ込む方が価値があるのにといった、過激ながらももっともな発言も聞こえてきております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 一方、知事は、今回の延期の理由として、利用者数の伸び悩みと大規模事業評価専門委員会の指摘を強調されておりますが、これでは利用促進協議会などの努力が不足しているとも聞こえますし、そもそも大規模事業評価専門委員会は、県の資金貸し付けのあり方に関し慎重な検討を求めており、工事の実施は妥当と位置づけております。いわば経営見通しについてのみの指摘であることから、性質的には政策的課題ではなく行政上の技術的問題と言えるのではないでしょうか。
 したがいまして、本来であれば、知事は、困難な理由を県民に語るのではなく、早期完成に向けて知恵を出すことに心を砕くべきであり、かつ事務方にそれを督励すべきであります。しかも延期の理由を財源の調達や利用者数の低迷に置きかえる論理の設定は、責任の所在や本質的論議を遠ざけることになり理解しにくいところがあります。また、空港の将来構想については、知事の意志が全く見えないことも極めて残念なことであります。
 ついては、知事は、県民との契約を果たすことが政治家の責務であるとするならば、この延期措置の撤回を前提に再考を求めるものでありますが、御見解をお伺いいたします。
 また、なぜ2年間も検討期間を必要とされるのか、明快な根拠をお示し願います。
 同時に、知事は、いわて花巻空港をどうしようとお考えなのか、将来ビジョンについても明確な御見解をお伺いいたします。
 関連し県土整備部長と商工労働観光部長にお伺いいたします。
 初めに、県土整備部長にお尋ねいたしますが、大規模事業評価専門委員会が取りまとめた意見について、どのような御見解をお持ちなのか、お聞きいたします。
 また、総合計画には花巻空港の機能強化の一環として、ターミナル機能を含むサービスなどの導入が掲げられていることから、今回の予算編成に当たっては当然優先的に予算要求されたものと思いますが、どのような論理性を持って折衝に当たられたのか、あわせてお尋ねいたします。
 また、商工労働観光部長にお尋ねいたしますが、着実に進展してまいりましたいわて花巻空港と台湾を結ぶチャーター便の7割を就航させてきた航空会社が、機種をより輸送能力の大きいものに切りかえてきていることに伴い、輸送力を増したチャーター便は秋田、青森空港を利用してきており、4月以降の台湾からの本県への観光客が激減する見通しにあります。これは、現在のいわて花巻空港の機能では大型機の就航が困難であることが原因であり、押しなべて観光関係者は、台湾からの客の減少に懸念を示しております。
 一方、知事は演述の中で観光については、経済波及効果が高く、地域経済の活性化につながる重要な産業との認識を示されるとともに、世界遺産登録に向けた取り組みとも連動し、平泉の文化遺産を東北の歴史・文化の核としての観光資源にまで高め、力強く国内外に情報発信していくと強調されております。世界遺産の決定は2年後であります。この効果を最大限引き出し、もって知事演述の実効性を確保しようとするならば、2年後の着手では遅過ぎるのではないでしょうか。
 ついては、観光政策展開上いわて花巻空港整備の必要性をどのように考えているのか、また、今回の延期措置が本県の総合産業としての期待の高い観光振興にどのような支障を来すと考えているのか、御見解をお伺いいたします。
 次に、知事演述に盛り込まれている重点的に取り組む課題についてお伺いいたします。
 演述では、競馬組合、肉牛生産公社、住宅供給公社、並びに林業公社の具体的法人名を掲げ、将来に先送りすることなく、現時点において解決の道筋をつけるべく全力を挙げると表明されたところであります。このうち競馬組合、肉牛生産公社の諸問題につきましては、過日の佐々木博議員などの一般質問を通じさらに問題点などが明確になったところであり、今後、両課題の疑問については、後日開催される各種委員会の質疑を通じさらに議論が深まっていくものと思いますが、前年度から議論されてまいりました競馬組合への融資問題、そして今回の肉牛生産公社に関する債権放棄及び歳入欠陥を穴埋めするための一般財源への振りかえ措置などに見られるように、いずれも県の対応は、結果として、最初に予算措置ありきから始まり、理屈は後からやってくるような手法をとられてきております。
 すなわち、最終的、具体的な処理スキームあるいは改善計画など最も重視すべき事柄が、いずれも不十分なまま提示されるなど、結果として後回しにされてきていることは、まさに本末転倒、極めて遺憾なことであることを指摘したいと思います。議会にも調査機関を設置しているわけでありますので、県は十分な情報提供を行った後、入念な説明を踏まえた確たる論理に基づく原案を取りまとめ、それから議会に正式提案すべきものと思います。
 また、債権放棄を伴う処理策は、額の多寡はともかく直近においてはいこいの村、その前はポニースクールもそうでありました。今回で3回目であります。いわば前例から何一つ県は教訓を学んでいないと指摘されても弁解の余地はないものと思いますし、何よりも、県民の税金を安易につぎ込むような処理方法が前例となることだけは避けなければならないところであります。いずれにしろ、処理策の検討を開始する前に、事態を深刻なまでに悪化させた厳しい反省からスタートすることが物事の出発点であり、その上に立って、県民の負担を最小限にとどめること、そして政策遂行上の役割がまだ残っているのであれば、最小限かつ自立的に事業展開を行うことのできる方法を真剣に考え出すことなどに意を用いるべきではないでしょうか。
 さまざま指摘をさせていただきましたが、競馬問題、肉牛生産公社問題のこれまでの議会との議論を通じ、知事は、どのような教訓をつかみ、それを残る二つの法人の解決に向けてどのように生かされるお考えなのか、お伺いいたします。
 引き続きお伺いいたしますが、県が定めた県出資等法人改革推進プラン等では、住宅供給公社については平成20年度までに廃止、林業公社については平成19年度を目途に廃止と位置づけられております。このように、最終目標は既に定められていることから、残るは、廃止の枠組みをどう定めるかということになりますが、私は、今後の議論を混迷させないためにも、また、深みのある議論を行うためにも、これら二つの法人の整理方針については、知事御自身が、今現在念頭に置かれている基本的な処理方針とその枠組み、あるいはそのスキームの公表の時期などについて明らかにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 初めに知事の意思ありき、ここからが議論の出発点であると思いますが、御見解をお伺いいたします。
 なお、今回議論になっております肉牛生産公社につきましては、改革推進プランでは、県委託の家畜改良事業等、真に必要な事業については類似団体などに引き継ぐ方向で整理するとありますが、これを明記された理由について確認をさせていただきます。
 次に、雑穀の振興についてお伺いいたします。
 先般、本県が日本一の雑穀王国であることを県内外に情報発信することをねらいとして、雑穀再発見フォーラムが開催され、安全で安心できる雑穀を消費者に届けることや、本県ならではの雑穀を取り入れた食文化を岩手から発信することなどを盛り込んだ、日本一の雑穀王国・いわて宣言を採択、これを受け、主催者側を代表し、知事は、県としてもさらに発展するよう努力する旨、約束されたとお聞きしております。ついては、知事の意を体し、消費の拡大を中心にどのような具体的振興策を展開されるお考えなのか、農林水産部長の御見解をお伺いいたします。
 次に、いわゆる森林税の導入、地方振興局及び広域生活圏の見直しに関しお伺いいたします。
 これら関係条例は、過般の12月定例会において、いわての森林づくり県民税条例については2項目、地方振興局設置条例及びいわゆる生活圏の再編関係については、それぞれ4項目の意見を付し可決したところでありますが、明年度予算などにこれらの附帯意見がどのように反映されたのか、その措置状況について確認をさせていただきます。
 また、異例ではありましたが、執行部側に、提案に至る過程が拙速であり、十分な説明がなされたとは言いがたい。この点を十分反省されたいとの指摘もさせていただきましたが、この点、どのように受けとめておられるのか、お伺いいたします。
 次に、治安の維持について県警本部長にお伺いいたします。
 本県の治安は4年連続で犯罪が減少するなど、数字の上では回復傾向にあります。しかしながら、重要犯罪、重要窃盗犯の検挙率については年々減少傾向にあったものが、近年は回復傾向を示しているものの、それでもピーク時に比べると依然として低い状況にあります。
 一方、関係機関の全国的調査によると、子供が犠牲となる凶悪事件の多発、カード犯罪、振り込め詐欺の激増など、悪質な犯罪の広がりに多くの人々が不安を募らせていることが明らかになっております。こうした意識は、犯罪の凶悪化あるいは検挙率の低下などによって、肌で感じるいわゆる体感治安の悪化を人々が深刻に感じているあらわれであると思いますが、いずれにしろ、安全神話が大きく揺らいでいることだけは避けようのない事実であることから、一刻も早い治安の再生が求められております。ついては、地域の安全確保を含め、本県の治安の維持・増進に向け、どのような指揮をとられるのか、お伺いいたします。
 また、検挙率の低下は警察力の限界を示すものなのでしょうか。高水準の検挙率の維持に努めなければ、犯罪抑止力の弱体化を印象づけることになり、このことが犯罪を誘発するおそれもあることから、早急な改善を求めるものでありますが、お考えをお示し願います。
 最後に、知事の進退の表明時期などについてお伺いいたします。
 知事は、かねがね、みずからの任期を3ないし4期までと明言されるとともに、年頭の記者会見では、進退の表明時期については年末が妥当と述べたと言われておりますが、私は、政治家の出処進退はハイレベルの政治問題であることから、予告なし、ある日突然、瞬時にして行うべきものと思っております。したがいまして、第三者が軽々にただすものではなく、逆に予告するものでもないものと思っておりましたが、知事みずから、この問題に少しずつ言及されてきていることから、やむなくお尋ねするものでありますが、どのような条件が整えば正式表明に至るのでしょうか、その条件の中身についてお伺いいたします。
 関連しお伺いいたしますが、私は7年前の一般質問で、首長の多選禁止問題についてお尋ねしたことがありましたけれども、今でもそうでありますが、立法措置によって首長の多選を禁止する法律行為は、法的にも問題なしとされているところであり、唯一残っている事柄は、国会がこの立法化作業に着手するかどうかのみとなっております。この考え方は、権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗するとの歴史の教訓に倣うものであることは論を待たないところであり、既に埼玉県では、知事提案で多選自粛条例を制定、これ以外にも、国内では2市1町1区で首長の同様な条例が制定されているところであります。ついては、全国の事例なども踏まえ、都道府県知事の任期の制限についてどのような御見解をお持ちなのか、お伺いいたします。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐々木順一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、三位一体改革につきまして、国と地方の協議の場の位置づけについてのお尋ねでございます。
 この協議の場は、地方側の要請に基づいて設置をされまして、実施回数14回にわたったわけでありますが、特に補助金の見直しにつきましては、地方6団体側と省庁側で激しい意見の応酬もあったわけでございます。このように、国、地方が同じテーブルに着いて対峙をして、両者が議論を積み重ねたということにつきましては、一定の意味があったというふうに受けとめておりますが、しかし、これをいつ開催し、何を協議テーマにするかといったようなことの主導権は国が握っているものでありまして、真に対等の立場で運営できなかったということに、この限界を感じているところであります。
 今後、この協議の場を地方の意見を国の意思決定過程に反映させる協議機関としての性格を持たせるために、国民の支持というものが背後になければ、いかようにしても制度化ができませんので、こうした国民世論の支持というものを得ながら、政府に働きかけていく考えであります。
 次に、第2期改革の戦略についてということでありますが、今後の分権改革のあり方については、今、全国知事会の中で検討を進めておりますし、また、その中では道州制や地方自治に関する憲法問題についても、今、考え方を取りまとめているところであります。また、それぞれの地方団体などにおきましても、税財政のあり方について検討がなされているというふうに聞いておりますが、さらに、地方6団体が協力して新地方分権構想検討委員会というのを共同設置して、その中でビジョンや分権改革の進め方の戦略といったようなものについても、今検討を進めているという段階にございます。
 こうした取り組みを進めることを通じて、地方6団体の意思統一を図り、やはりここも多くの国民の皆さん方の理解、支持をいただきながら、分権改革をさらに前に進めていきたいと。そのために、私も全力を挙げて取り組んでいく覚悟でございます。
 次に、財政全般の問題についてでありますが、まず、財政の今の危機的状況ついての認識でございます。
 これまでの財政運営につきましては、公共事業を中心とした景気対策重視の身の丈を超えた予算編成を行ってきたということ、それから、国の認識、方針を安易に受け入れて、これに追随した財政運営を行ってきたことによりまして、現在の今の県財政状況に至ったということについて率直に反省をしているところでございます。
 こうしたことを踏まえて、三位一体改革などの動きにも関与してきたわけでありますが、従来の中央に依存してまいりました財政運営から、税収などの真に実力ベースでの歳入規模に沿った形での財政運営への転換というものを強く意識していく必要があると、このように考えております。
 平成18年度予算編成に当たりましても、主要3基金の取り崩しに頼らずに、また県債残高をふやさない、プライマリーバランスの均衡を達成する、こういうことを財政運営の基本として編成してまいりましたが、19年度以降におきましても、プライマリーバランスの均衡を維持しつつ、将来に過大な負担を残さない、健全、かつ、持続的な財政構造を構築することが私の使命でございまして、そうした使命を果たしていきたいと考えております。
 次に、本県の将来像と県民の皆さん方の感ずる痛みということですが、まず本県の将来像ですけれども、これは、今の状況として人口減少が急激に進んでいる、そして高齢化が加速をしている、分権改革やグローバル化も進展している、こうした時代の大きな転換期の中で、その先にある地域社会の姿、本県が目指すべき姿をしっかりと構築して、それを県民に示していくことが重要であるというふうに考えます。
 現在、次期行革プログラムについて検討していますが、その中で、今申し上げました目指すべき姿というものの具体像について提示をする必要がございまして、今、中でさまざまな角度から議論を行っているわけでありますが、現時点で私が思い描いております将来像というのは、まず、自立の礎となる確かな産業経済基盤が本県において築かれ、その上で、社会的に弱い立場にある方々への必要かつ十分なセーフティネットが構築されている社会ということでございまして、こうした社会を実現するためには、これらに適切に対応し得る大きさの行政経営体が、住民の積極的な参画によりまして自立的な行財政運営を行うことができる、そのような体制をつくり上げることが必要と、こういうふうに考えております。
 とりわけ、今、小さな政府ということがよく言われるんですが、小さな政府の考えのもと、市場経済を通じた経済的な効率性が重視をされているわけでありますが、市場経済のみにゆだねることができない分野とか、地域が現実に存在するということを勘案しますと、効率性と公平性、競争と協力が融合したバランスのとれた社会を目指していく必要があると考えます。このため、産業構造を転換して高度な地域社会を実現し、そして国民の合意のもとで、国民負担率もかなり高いという現実があるわけですが、質の高い福祉・教育サービスなどが提供され、民主的な政治行政システムが成熟している北欧型の社会から、高福祉・高負担型社会という側面だけにとらわれないさまざまなヒントを得ることができると、このように思料しております。
 県民の痛みの受忍の限界というお尋ねでございますが、今、地域の経済そして雇用情勢や県財政を取り巻く厳しい状況ということが現実にございますので、こうしたことを背景として、地域社会全体にある種の閉塞感、そして県民の中には将来を十分に見通せないことに対する不安感などが漂っていると、こういうふうに推察をしております。こうした閉塞感や不安感をできるだけ軽減していくために、安定した行財政基盤をつくり上げると同時に、やはり力強い産業経済基盤の構築とそして成長を県が支援をすると、こういう考え方が重要であると思います。
 また、今後の地域社会を考えていく上では、官と民、そして国と地方の役割分担のあり方はもとより、さらに受益と負担という関係も明らかにしていく必要がございますので、次期行革プログラムの中では、先ほど申し上げました地域社会が目指すべき姿とあわせて、今申し上げました点についてもより一層明確な形で示したいと、このように考えております。
 また、血の通った自治というのはどういうことかということですが、簡単に申し上げますと大きく二つの考え方に整理されると考えておりまして、第一には、住民に身近で真に必要とされる行政サービスやその内容、水準というのは住民に最も近いところで決定されるということが一つ、それから二つ目として、住民と行政が顔の見える関係で、今申し上げました受益と負担のあり方を明確にして、地域にある地域コミュニティーの力を生かした取り組みも含めて、だれがそうしたサービスの主体をどのような形で担うかという視点によって、一番いい組み合わせというものを選択をしていくと、こういうことではないかと思います。したがって、市場競争原理などを背景とした小さな政府がねらっております最低限の行政サービスということでは、必ずしも十分とは言えない場合が想定をされますので、住民選択の自由度を高めながら、一方でセーフティネットを構築するなど、やはりみずからの責任そして判断において、必要な行政サービスが提供できる仕組みというものが特に地方の自治の場合には重要と、このように考えております。
 次に、米国産牛肉の輸入再停止の問題でありますが、これは、今回食品安全委員会の答申から短期間で、また、政府による事前調査がなされずに輸入を再開されたことは、消費者の不安を招いたものと考えておりまして、さらに、再開後の本年1月20日に特定危険部位の混入という事態がございまして、これは日本向け輸出プログラムの遵守が前提となっているアメリカ側の検査体制が不十分ということでございまして、食の安全・安心に対する消費者の信頼を根底から崩すもので遺憾なものであったと、このように考えております。
 再発防止の徹底を図る必要があるわけでありまして、県としても、混入判明後、直ちに農林水産大臣そして厚生労働大臣に対しまして、事実関係、問題点などの徹底的な原因究明とその情報の公開、輸入再開を検討するに当たっては、すべての施設について現地査察を実施して輸出プログラムの実効性を担保すること、そして、輸入再開後は定期的に検証を行うこと、このことについて強く申し入れをしたところでございます。
 なお、輸入牛肉については、既に原産地表示というものが義務づけられておりますが、本年10月から、これは一定の牛肉加工品についても義務づけがなされることになっております。今後、その運用実態を把握して県民の食の安全・安心を確保する観点から、必要な提言を行っていく考えでございます。
 次に、いわて花巻空港の関係でありまして、まず初めに、情報管理の徹底を図れというお話でございました。このいわて花巻空港ターミナルビルの案件も含めて、県として、当初予算案の公表日前に報道機関の方に情報提供したという事実はございませんが、いずれにしても、今後とも適正な情報管理には努めていかなければならないものと、このように考えております。
 また、ターミナルビルの着工延期についてでございますけれども、このターミナルビルは、基本的に空港ターミナルビル株式会社が主体となって整備、運営していく施設でございまして、整備に当たっては、将来にわたってビル会社の自立的な経営が見通せる計画であることが特に必要なものと考えております。このため、県の財政が極めて厳しい状況にある中で、空港の利用者数が伸び悩み、大規模事業評価専門委員会における附帯意見──ビル会社に対する県の貸し付けのあり方については慎重に検討するべきと、このような附帯意見を踏まえて、建設事業費の縮減、そして財源などの整備計画を見直すために整備時期を延期したものでございます。
 検討期間に2年間を必要とする根拠を問われておりますが、今後、利用促進による効果があらわれ、また、整備計画を見直すために2年程度の期間が必要であると、このように見込んでいるものでございます。
 また、この空港の将来ビジョンでございますが、いわて花巻空港は、本県の国際化の進展や地域間交流の活発化に対応していくための高速交通ネットワークを構成する交通基盤として重要な社会資本でありまして、人、もの、情報の交流拠点として、本県の経済、各分野の発展のポテンシャルを高め、県勢の総合的な発展に必要な施設であると、このように認識しています。このため、今後も利用促進に努めるとともに着実に整備を進めて、この空港の機能を充実していく考えでございます。
 次に、知事演述の重要課題への取り組みということで、まず、競馬問題、肉牛生産公社問題からの教訓をどのように受けとめたのかという御質問でございます。
 この競馬組合、肉牛生産公社関係の課題解決に向けましては、競馬組合におきましては、競馬組合議会、構成団体との議論を通じて、また、肉牛生産公社につきましては、理事会等の場での話し合いを経て、課題解決に向けた方策を取りまとめ御提案を申し上げたところでございます。しかしながら、競馬組合の改訂実行計画や肉牛生産公社の解散処理方針につきまして、多くの御意見をいただいている状況を踏まえますと、特にこのような困難な問題につきましては、その基本的な対応方針などについて、手順を踏みながら、より多くの機会をとらえて御意見をいただくように努めることが重要と、このように認識をしております。
 林業公社や住宅供給公社の課題解決に向けましては、県としての考え方をできるだけ早く公表して、広く議論を重ね、御理解をいただきながら対応方針を見出していく考えでございます。
 そして、この住宅供給公社、林業公社の基本的な処理方針でございますが、まず、住宅供給公社につきましては、平成20年度の解散に向けまして、すべての保有資産の処分を基本的な処理方針とする岩手県住宅供給公社整理・経営計画(案)を策定いたしました。これは平成16年9月に理事会に報告しているわけでありますが、この計画案を策定して、これに基づき、資産処分などについて、今、鋭意取り組んでいるところでございます。
 また、林業公社につきましては、平成19年度を目途に県有林と公社営林を一体化し、林業公社を解散という方向で今考えておりますが、その中で、県、市町村の貸付債権については債権を保全する方向で行うと。農林漁業金融公庫の債務につきましては、一元化により県が債務引き受けをし、約定に沿って計画的な償還を行う。林業公社営林の取り扱いについては、既にある県有林の管理体制に一元化をして将来にわたり維持管理を行う、このような処理方針のもとに、現在、これらの具体的な内容を検討しているところでありまして、年内を目途にそれらをお示ししたいと考えております。
 次に、知事選への対応の表明時期とそれから多選問題についてのお尋ねでございます。
 まず、知事選への対応、表明時期でありますが、知事として県政運営について有権者から負託を受けておりまして、任期中は、多くの県政課題に対応するために、職務に全力投球することが何よりも大事なことであると、このように考えておりまして、こうした考え方に立って適切な時期というものを判断すべきと、このように考えております。
 また、都道府県知事の任期の制限についてでありますが、知事の多選というのは、行政の硬直化やマンネリ化を招くなどの弊害を生じるおそれがあると考えているわけでありますが、その是非を法律や条例で制限を加えるのではなく、最終的には、有権者が選挙における投票行動によって判断すべきものと、このように考えているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕
〇県土整備部長(橋本義春君) いわて花巻空港の整備に係る大規模事業評価専門委員会が取りまとめた意見についてでございますけれども、答申では、まず事業実施とした県の評価は妥当と認められましたので、事業の必要性、規模と費用との妥当性について理解が得られたものと考えております。
 三つの附帯意見がございますが、そのうちビル会社への貸し付けのあり方については、慎重に検討することとの意見につきましては、県が出資し、公共性が高い旅客施設を経営する会社であっても、県の無利子貸し付けに対する県民の見方は極めて厳しいと改めて感じたところでございます。また、ビル会社の一層の経営努力を促進することについては、ビル会社とともに知恵を出していくことを是としたところでございます。
 次に、新ターミナルビルの予算要求でございますが、いわて花巻空港は、人、もの、情報の交流拠点として県勢の総合的な発展に必要な施設であり、その機能を充実するため、重点的に整備に取り組むべきものと認識をしております。
 利用促進と空港整備の両方を担当する部局としましては、現在、定期便とチャーター便等がふくそうするときなど、ロビーなどが混雑したり、また、ユニバーサルデザインに対応できていない、一部の中型航空機材に対応できないなど、利便性や機能性の問題が顕在化する中で、花巻空港の整備事業の効果を早期に発現することが必要であるとの考えに立って、予算要求に臨んだところでございます。
 しかし、一方で、ビル建設は、当初計画において財源の多くを県の支援で賄う予定にしており、大規模事業評価専門委員会の附帯意見にもありますとおり、ビル会社の自立的な経営を担保することが最も根幹にかかわる極めて重要なことでありますことから、いま一度、整備計画を見直す必要があるとの最終的な判断に至ったものであります。
   〔商工労働観光部長酒井俊巳君登壇〕
〇商工労働観光部長(酒井俊巳君) 観光政策上の花巻空港整備の必要性と、それから今回の延期措置に係る観光振興上の支障ということでございます。
 いわて花巻空港は、国内につきましては、特に関西より南といいますかあるいは西といいますか、そういう地域から県内内陸部はもとより、三陸沿岸地域への誘客を図る上で重要な玄関口というふうに考えてございます。
 また、現在、海外との定期便を持たない本県にありましては、とりわけ、国際チャーター便の誘致を図るということで、外国人観光客を誘客する有効な手段というふうに考えてございまして、そうした需要を取り込む重要な拠点だというふうに考えております。
 それから、延期措置による支障ということでございますが、台湾からの旅行者が大変多いわけでございますけれども、通常、チャーター便で花巻空港に到着後、県内の宿泊施設に、到着した日、それから出発する日それぞれ1泊し、2泊というのが代表的なパターンでございます。これが、青森なり秋田なりの隣県の空港を離発着するチャーター便ということになりますと、宿泊は1泊程度となるのではないか。また、周辺に観光・お土産施設もございますので、そうした部分への影響は少なからず出てくるものと考えるところでございます。
 いずれ影響はないと言えないわけではございますけれども、今後の対応策として、既に昨年の12月、それから本年1月にチャーター便を就航してございます台湾の航空会社3社及び旅行会社への訪問活動、観光説明会などを実施しておりまして、既に成果が出ているところでございます。また、18年度、台湾からの誘客を図るため、同じく航空会社、旅行エージェント、マスコミ等の本県への招聘を行いまして、旅行商品化を強く促すというようなことを行いたいと考えてございます。いずれ影響がございましても最小限のものにしたいと考えておるところでございます。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕
〇農林水産部長(今泉敏朗君) 家畜改良事業の引き継ぎが法人改革推進プランに明記された理由についてでありますが、家畜改良事業は、家畜改良増殖法において国及び県が行うべき業務とされており、家畜の遺伝的な能力の向上を図ることにより、低コストで高品質な畜産物を市場に安定供給する上での基礎となるもので、食肉市場における岩手県の高い評価を今後も維持向上していく上で欠かせないものと考えております。法人改革推進プランにおいて同事業を類似団体に引き継ぐこととされているのは、仮に県が直接実施するとすれば、施設整備を新たに用意する必要があること、事業に使用する牛を新たに導入する必要があること、牛を飼養管理する要員を新たに確保する必要があることなど、県として新たな費用が発生することが避けられないことからであり、公社解散後この事業を類似団体に円滑に引き継ぐことが不可欠と考えているところであります。
 次に、雑穀の振興についてであります。
 本県では、平成15年度から生産者と協同しながら本格的に雑穀振興に取り組み、フォーラムの開催による生産者と卸売業者、加工業者などとの交流促進、雑穀を精白やブレンドする調製施設の整備、雑穀ミックスや五穀ラーメンなど加工品開発の促進に努めてきた結果、雑穀主産地としての土台づくりができたものと認識しております。
 今後は、さらに在来種の中から選別した優良系統の普及や、生産履歴の記帳推進により他産地との差別化を図ることに加えて、食産業との連携による雑穀の高次加工、地域の食文化や伝統を生かした特色ある雑穀料理を提供する農家レストラン、収穫作業体験など産地ツアーの取り組みなどの強化を図ってまいりたいと考えております。こうした取り組みの積み重ねによって、岩手の雑穀を日本のスタンダードとして自他ともに認める地位に押し上げてまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕
〇総務部長(時澤忠君) いわての森林づくり県民条例の附帯意見への対応でございます。
 まず、税制度の必要性、使途等について県民の理解を得るよう努めることとの附帯意見につきましては、条例制定後、市町村への説明会や関係団体に対する個別の協力要請を行ったほか、新聞紙上での広報を実施いたしました。また、年度内に全戸配布のいわてグラフ、県政テレビやラジオなどの広報媒体を使ったお知らせを実施するほか、リーフレットの作成、配布による広報を実施する予定でございます。なお、県のホームページに導入に至る考えや検討経緯につきまして、その議論と資料の一切を掲載し、県民の理解が促進されるよう努めているところでございます。
 また、附帯意見の森林の公益的機能の維持増進のための制度創設について国に働きかけることにつきましては、条例可決後、直ちに農林水産大臣ほかに対しまして、多様で健全な森林を育成するための森林・林業政策の構築とその財源の確保について政策提言を実施したところでございます。
 この税の円滑な運用と定着のためには、県民の理解と協力が不可欠であると認識をしております。今後におきましても、制度創設の趣旨等が県民に十分に理解され、この税の目的が十分に達せられますよう、さまざまな媒体を活用しながら県民広報に努めてまいりたいと考えております。また、国に対しましても、森林の公益的機能の維持増進のための制度創設につきまして、機会あるごとに粘り強く働きかけていきたいと考えております。
   〔総合政策室長相澤徹君登壇〕
〇総合政策室長(相澤徹君) まず、地方振興局再編等の関連条例に関する附帯意見について、現時点の取組状況を御説明申し上げます。
 県北・沿岸地域の振興を可及的速やかに進めることという附帯意見につきましては、1月4日に県北・沿岸振興本部を立ち上げ、まず平成18年度において早急に取り組むべき事項を部局横断的に検討し、圏域の中小企業への融資制度の創設など所要の措置を講じたところでございます。
 広域振興圏の振興方法等の具体的内容を早急かつ明確に示すこと等の附帯意見につきましては、現在これまで行ってきた施策、事業等の検証作業に取り組んでいるところであり、これを踏まえて産業振興等の基本的な方向を定め、雇用創出などの具体的な目標を掲げた地域振興ビジョンを策定し、本格的な取り組みを開始してまいります。その際、附帯意見の趣旨を踏まえて、これまでの広域生活圏で目標としてきた各種の生活環境整備にも十分留意をしてまいります。
 権限移譲に当たっては、市町村の意向を十分に踏まえて迅速に措置することという附帯意見につきましては、遠野市や一関市などを中心に移譲の検討が進み、これまで移譲済みの218種類の事務が来年度には488種類の事務に大幅に増加する見込みであり、今後とも市町村との協議を十分に深めながら進めてまいります。
 県南圏域以外にも早急に広域振興局を設置することという附帯意見につきましては、広域振興圏をベースにした産業振興の強化と合併の推進によりしっかりと地域を支援し、早急に広域振興局体制への移行を開始できるように取り組んでまいります。
 提案に至る過程についての反省をという御指摘についてでありますが、地方分権改革等変革の時代にあっては、行政にもスピードが要求されるものと考えておりますが、今回の再編を進めるに当たっては市町村と県の役割分担のあり方についての説明が十分ではなかったことなど、県議会からの指摘を真摯に受けとめなければならないと考えているところであり、今後、市町村との認識を共有化しつつ、これからの取り組みを円滑に進めることができるよう努力してまいりたい、このように考えております。
   〔警察本部長山下史雄君登壇〕
〇警察本部長(山下史雄君) 治安向上に向けた指揮方針についてでございますが、県民のための力強い警察の確立を本年における県警察の基本姿勢に掲げ、犯罪の検挙と未然防止の両面からの諸活動を強力に推進し、県民の皆様が安全で安心して暮らせる社会の実現に努めてまいる所存です。
 具体的には、犯罪の検挙につきましては、今般、暴力団等による組織犯罪の取り締まりを担当する組織犯罪対策課を新設するとともに、重要窃盗犯、振り込め詐欺等県民に身近な犯罪に係る捜査体制を強化するなどして、検挙、取り締まりを強力に推進してまいります。
 また、犯罪の未然防止につきましては、本部地域課に自動車警ら隊を新設するなど制服警察官によるパトロール活動を強化するとともに、民間ボランティアの方々等と協働した防犯パトロールの実施、県民の防犯対策に役立つ安全情報の積極的な発信など、地域住民、関係機関、団体等と連携した活動を推進してまいります。
 次に、検挙率についてのお尋ねですが、犯罪の広域化、組織化、IT化等に伴い捜査環境が年々厳しくなる中、検挙率の低下が見られたところですが、組織の総力を挙げて取り組んだ結果、昨年は重要犯罪が72%、重要窃盗犯が59%と、過去5年間では最高の検挙率となったところであります。
 県警察といたしましては、今後ともこうした厳しい捜査環境に対応するため、DNA型鑑定の高度化、各種捜査支援システムの整備、また、大量退職時代を見据えた優秀な捜査員の育成などにより捜査力の向上に努め、検挙活動を一層強力に推進し、県民の皆様の体感治安の改善に全力を挙げて取り組んでまいります。
〇29番(佐々木順一君) 空港問題について知事にお伺いします。
 ターミナルビルの着工凍結の即時早期解除を期待して質問しましたが、答えは残念ながら内容的には、空港になぞらえるわけではありませんが超低空飛行でありました。このまま放置しますと失速するおそれもありますので、墜落を回避するためにもやっぱり検討に向けてスピードアップ、努力しなければならないと思うのです。2年間というのは何か長い感じがしますので、ある意味では、さまざまな県のやれる努力を私は求めたいと思います。
 例えば、利用者の低迷が障害であるとするならば、県の利用促進協議会の名誉会長は知事であります。のみならず県観光協会の会長でもあります。したがいまして、名誉を捨てて、いわば会長に就任して県が主導的に利用者獲得にやっぱり心血を注ぐという努力が求められるのではないかなと思います。他県では、福島もあるいは長野も知事みずから利用促進協議会の会長に就任されているわけでありますので、やはり利用者獲得に県が旗振りをやるべきではないかな、こう思います。
 それから、ターミナルビルの関係ですが、資金難ということであれば、県内外に浄財を求めるとか、そういったことも検討の対象にはなるのではないかな、こう思っております。知事も事あるごとに、金がなければ知恵を出すと、知恵がなければ汗をかけと、汗さえもかけなければ邪魔はするなと、たしか常々そう言っておりましたので、2年間何もしないとなれば、まさにこれは邪魔に値すると思いますので、いずれ利用者獲得を含めて、この検討期間の短縮に向けて県は今後どういう努力をされるのか、それをお伺いしたいと思います。
〇知事(増田寛也君) お答えを申し上げますが、まず検討期間の短縮の関係でありますが、これは早急に私どもも事業費や財源などの整備計画をまず見直しをしたい。それから、あと今お話がございました利用促進策、これも強化をする必要がございまして、これもこうした事ごとについて早急に立ち上がっていかなければならないと思っております。
 利用促進の関係でありますが、まずこちらの方は今、旅行代理店にさまざまな旅行商品の企画、販売といったようなことを依頼しているわけですけれども、そこでの岩手の情報ですとか空港の情報、旅行商品の情報といったものを今まで以上に提供して、いいものをつくっていくその取り組みをさらに強化をしていきたいということ。それから、一般の利用者を対象にした情報提供ということも考えられますし、それから何よりも私が大事だと思っていますのは、やはりダイヤをもっと利用しやすいような形で変える。願わくば増便まで持っていく必要があるわけですが、そうしたダイヤ改善に向けた検討、これが大事なので、既に航空会社との意見交換はもう開始をしました。私も先般、運航しております航空会社の幹部と会いましたけれども、航空会社との意見交換を始めて、そして特に早急にダイヤ等の改善に向けた検討を強化していきたい。このことを考えております。
 それで、今御提案のあった利用促進協議会、その名誉会長に私、今なっているのですが、会長に就任したらどうかという話、それから浄財の確保、これは一つの御提言としてお伺いをしておきますが、今御提言をお聞きして思いましたのは、利用促進の関係ですので、やはりどうしても官がやると、今まで発想が非常に硬直化するとか、発想が限界があるということを盛んに今までも言われておりましたのと、それから、どうしても官が主体になると安易に税金に頼り過ぎるという話があったので、私は特に、後者の方は別にしても、前者の方については広く民間の発想をうまく活用していくことが大事なので、民間が主体で、しかし県が今まで以上にバックアップするいい体制ができればと思います。各県のたしか利用促進協議会も知事が会長に就任しているものもありますし、経済界のトップが就任しているものもありますし、さまざまいろいろあるようですから、そこの活動の状況などもよく見たいと思いますが、でき得れば本当に民間の多様な豊富な発想を官がしっかりとバックアップするようなそういう形になればと思います。
 それから、浄財の確保もいろいろそういうことも含めて可能であれば、私どもも財政的にも大変助かりますので、そういう機運があればいいなと思いますが、なかなか空港のビルの場合にはそういった浄財の確保につながるような動きというのは、なかなかほかでも見られていないようではあるんですけれども、岩手の花巻空港の場合には、県土が大変広いので、県南の人はどうしても地理的に仙台に行くような人もいらっしゃったり、それからあと県北は八戸に行くような人があったりということで、なかなか難しいところもあるものですから、そこで結局はかなりの税金投入でこの空港を支えていくということがやっぱり大事だろうと思うのです。ですから、仮に浄財の確保が、本当に今、経済状況が厳しい中で可能であれば私も大いに取り入れたいと思いますが、基本的には県民の許しの、理解の得られる範囲の中での税金投入、ただし、それは大規模評価委員会などからのいろいろな御指摘を受けないような形のやり方を考えていくということが必要かと思います。
 それから、あともう一つ、整備計画の見直しの方につきましては、これは設計会社とか建設会社など民間の知見も取り入れて、どこまで安くできるか、こちらも速やかに事業費を精査して、一刻も早くきちっとした計画をまとめたい、このように考えております。
〇29番(佐々木順一君) 御答弁ありがとうございました。
 いずれ2年間は、これは感じなわけでありますが、今、理屈はわかりましたが、やっぱり花巻空港は名称も花巻からいわてを、名前をつけたわけでありますから、岩手県の共有の公共財産でありますので、全県民挙げてさまざまな運動を展開するような機運をやっぱり県はつくらなければならない、こう思っております。ましてや空の玄関と言われて久しいわけでありますから、一般の家でも玄関がきれいでなければ、使い勝手がよくなければお客さんは来ないわけでありますし、ましてや飛行機はスピードでありますから、やっぱりスピードが伴うような整備をしないとそれだけの効果が上がらない、こう思います。
 知事の持ち味は、かつて、今もそうでありますが、大胆でありましたから、ぜひ大胆にやっていただきたいと思っております。大胆にやって2年間延長だと言われれば身もふたもないわけでありますが、いずれ今任期中ぐらいに一定のめどを出していただくような努力をぜひ重ねていただきたいと思いますが、再度答弁を求めまして再々質問を終わりたいと思います。
〇知事(増田寛也君) これはまさに県の空港でありまして、一花巻市なり周辺の自治体だけが熱心になる性格のものではなく、また、県の高速交通体系の中で重要な位置づけを占めておりますので、この整備に向けて、そして利用促進に向けて全力を挙げて取り組んでいきたい、このように考えております。
   
〇副議長(藤原泰次郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後 3 時25分 休 憩
   
出席議員(46名)
1  番 高  橋  博  之 君
2  番 亀卦川  富  夫 君
3  番 小田島  峰  雄 君
4  番 三  浦  陽  子 君
5  番 中  平     均 君
6  番 ザ・グレート・サスケ 君
7  番 木戸口  英  司 君
8  番 関  根  敏  伸 君
9  番 高  橋  比奈子 君
10  番 高  橋  雪  文 君
11  番 嵯  峨  壱  朗 君
13  番 柳  村  典  秀 君
14  番 飯  澤     匡 君
15  番 田  村     誠 君
16  番 野  田  武  則 君
17  番 平  野  ユキ子 君
18  番 大  宮  惇  幸 君
19  番 千  葉  康一郎 君
20  番 新居田  弘  文 君
21  番 平     澄  芳 君
22  番 工  藤  勝  子 君
23  番 平  沼     健 君
25  番 阿  部  富  雄 君
26  番 斉  藤     信 君
27  番 工  藤  大  輔 君
28  番 川  村  農  夫 君
29  番 佐々木  順  一 君
30  番 佐々木     博 君
31  番 及  川  幸  子 君
33  番 樋  下  正  信 君
34  番 柳  村  岩  見 君
35  番 小野寺  研  一 君
36  番 小野寺     好 君
37  番 伊  沢  昌  弘 君
38  番 小  原  宣  良 君
39  番 吉  田  昭  彦 君
40  番 佐々木  一  榮 君
41  番 伊  藤  勢  至 君
42  番 渡  辺  幸  貫 君
43  番 高  橋  賢  輔 君
44  番 藤  原  良  信 君
45  番 千  葉     伝 君
46  番 佐々木  大  和 君
47  番 藤  原  泰次郎 君
48  番 菊  池     勲 君
51  番 佐々木  俊  夫 君
欠席議員(2名)
32  番 阿  部  敏  雄 君
50  番 佐  藤  正  春 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後3時45分 再 開
〇副議長(藤原泰次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。高橋比奈子さん。
   〔9番高橋比奈子君登壇〕(拍手)

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