平成18年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇45番(千葉伝君) 自由民主クラブの千葉伝でございます。
 一般質問の機会をいただき感謝申し上げます。
 質問に入る前に、私は、平成7年4月に初当選以来、3期11年が過ぎようとしているところでありますが、来年度3期目も最終年度を迎えるに当たり、私が日ごろ感じていること、知事の県政運営に対する私なりの考え方を申し述べたいと思います。
 今、地方を取り巻く経済・社会情勢は、少子・高齢社会を迎え、経済のグローバル化なども進展しており、こうしたことを見きわめ、県民生活の向上、地域の発展に結びつける施策を展開しなければならないわけであります。
 増田知事は、さきの知事演述において、県政の今後の方向性あるいは決意を大筋で述べられておりますが、その中で、新たに四つの広域圏を設定し、各地域の産業振興の強化に取り組むとしていることについて、これはすなわち、地域格差を今まで以上に拡大させることにつながるのではないかという懸念を感じております。既に県内の地域格差が存在することを考えれば、県北・沿岸における産業基盤、社会基盤の整備については、予算や事業面で他の地域の2倍も3倍も強力に推進する必要があるものと考えます。
 また、行財政改革の推進に当たって、市町村合併が行われた地域では住民サービスの向上が実際に機能し、あるいは評価されるまで数年、またはそれ以上の年限が必要と思われる中で、広域振興局の体制整備等についても同時に進行させようとすることは、県及び市町村職員の対応のおくれや、行政サービスの低下なども懸念されるところであり、そうしたことにならないよう、適切な対応を望むものであります。
 次に、知事の姿勢については、これまでもさまざまな見方がされているところであります。県民の中には、若くして知事になり、国の三位一体改革を含め、さまざまな制度改革等に積極的に提言する頼もしい知事と映る一方、行財政改革推進等における効率主義、成果主義が余りにも強く、県民への痛みの内容が職種によってアンバランスではないか、余りにも外交面の行動が目立ち、県民の目線と離れているのではないか、もっと現下の県民生活の向上、すなわち内政面に力を入れるべきではないか、などといった声も少なからず聞こえるところであります。
 さらには、行政組織内からも、組織の広域化等、組織機構の見直しに矢継ぎ早の対応を求められる結果、なかなかしっかりと腰を据えた仕事ができないという声も聞くところであります。今後、地方分権改革に関し、県と市町村との役割分担の明確化、権限移譲、市町村の行財政基盤の強化、合併推進などを図っていく上では、市町村と十分に議論を深めながら進めていただくとともに、最も重要なこととして、県民の十分な理解と認識、さらには内部行政組織の声なども聞き入れながら推進されるよう望むものであります。私は、こうしたみずからの考えに基づき、今後も議会において、ただすべきところはただし、知事に是々非々の立場で取り組んでいくつもりであります。
 それでは、順次質問をさせていただきます。
 まず、初めに本県の来年度予算の考え方についてお伺いいたします。
 平成18年度当初予算の質疑においては代表質問を初め、これまでそれぞれ質疑がなされているところでありますが、私からも別な視点から質問をいたします。
 第1に、歳入歳出の状況についてでありますが、平成17年12月6日閣議決定された国の平成18年度予算編成の基本方針では、我が国の経済・財政と構造改革の推進として、我が国経済は、企業部門の好調さが家計部門に波及しており、世界経済が着実に回復する中、地域によっては、ばらつきが見られるものの、国内、民間需要中心の緩やかな回復が続くと見込まれること。物価は依然として緩やかなデフレ状況にあるが、実体経済が緩やかに回復する中、政府の日本銀行と一体となった政策努力の強化、拡充により、デフレ脱却に向けた着実な進展が見込まれる一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響も考慮する必要があること。公債依存度が41.8%に及び、高齢化の進展等に伴う諸経費の増大等、歳入歳出構造はますます硬直化してきており、基礎的財政収支の黒字化に向けて、歳入歳出両面において思い切った見直しを進め、将来世代に責任が持てる財政を確立する必要があるなどとし、歳入歳出一体改革に力強く踏み出すとしております。
 こうしたことを踏まえ、増田知事は、本県の経済・財政状況などをどうとらえ、本県の財政収支をどのように進めようとしているのか、基本的な考え方をお伺いいたします。
 さらに、来年度当初予算についても知事の基本的な考え方に基づいて編成されたものと考えますが、本格的な人口の減少、超高齢化社会への移行期、三位一体改革の一定の成果等を踏まえた上で、編成に当たり政策の優先度をどのような判断で決定し、特色をどこに、どのように位置づけて取り組もうとしているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、行財政構造改革プログラムの取組状況についてお伺いします。
 県では、自立・参画・創造による持続的地域づくりを理念とした、岩手県総合計画を基本方針とし、みんなで創る夢県土いわての実現に取り組まれておりますが、この計画では、平成22年を目標に、夢県土いわてを実現するためには、しっかりとした行財政基盤をつくり上げ、自立した地域社会の形成を進める必要があるとし、そのために当面、平成15年度から18年度までの4年間に特に重点的に取り組むべき40の政策を掲げるとともに、10年先、20年先を見据え、県民が安心して暮らせる地域社会を実現していくため、行財政改革を進める方策として行財政構造改革プログラムを策定し、これまで取り組んできていると承知しております。
 県の行財政を取り巻く環境は、ますます厳しさを増してきていることから、より効果的、効率的な事業推進を図り、これまで以上に行政サービスの質の維持、向上が望まれるところでありますが、来年度、このプログラムの最終年度を迎えるに当たり、これまでの取組状況を踏まえ、どのように取り進めるおつもりなのか、お伺いします。
 次に、環境問題についてお伺いします。
 私たちの住む岩手は自然豊かな広大な県土に恵まれ、自然景観、きれいな水や空気、豊かですぐれた文化、風土の環境の中、これらの有形、無形の恵みは先人たちの努力により今日まで継承され、私たちの生活を豊かなものにしているところであります。しかし、一方では、私たちの身近なところから地球規模に至るまで、さまざまな環境の問題が明らかになってきております。このような中で、県民一人一人が環境に対する意識を高め、よりよい環境とはどうあればいいのか、あるいはその実現にはどうすればよいのか、みんなで考える必要性が高まってきております。
 そもそも環境問題は、現在、地球規模の問題であるとともに、国内、県内どこに住んでいても環境の破壊あるいは保存、さらには開発という点において、一人一人にとっても無縁の問題ではあり得ません。今や、自然環境や人間のつくり出した人工環境に至るまで、環境という言葉も非常に多く流布されているわけでありますが、この環境に関連して環境教育、環境学習についてお伺いします。
 いわての環境ホームページによりますと、現在、県は、岩手県環境学習推進基本方針案をまとめ、本年1月17日から2月17日までの間、パブリックコメントを実施し、3月末までには決定する予定としております。現在示されている方針案は、平成5年に策定された現行の基本方針の改訂版であり、現行方針策定後10年以上もの期間が経過し、この間の状況の変化等もあることから、改訂が必要なことは論をまたないところであります。既にこの改訂作業もまとめの段階に入っていることを踏まえ、お伺いしてまいります。
 私たちは地球の環境の中で生きております。私たちは人間という生物としてほかの生物とともにこの地球上で生きており、お互いとうとい命を持つ存在として尊重し合うべきものであり、一方で、他の生物の命に依存して生きていることを自覚することも必要であります。私は、環境教育、環境学習の基本は、草木を含む生きとし生けるものすべての命をとうとぶこと、命をいとおしむ心を持つことにあるのではないかと考えております。そのためにも、県として、まず環境に関する基本理念、基本認識を明らかにし、新たな環境学習推進基本方針にも明記すべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、このたびの改訂版は10数年ぶりの改訂となるわけでありますが、この間、青森県との県境における産業廃棄物の不法投棄事案の発生や、温室効果ガスの排出削減量を定めた京都議定書が平成17年2月に発効するなど、平成5年の策定当時には思いも及ばなかったことが出現してきております。こうしたことを背景に基本方針の改訂がなされるわけでありますが、県では、このたびの改訂案の特徴をどのように位置づけしておられるのか、お伺いいたします。
 環境問題の最後に、本年4月1日から盛岡駅西口に設置される岩手県民情報交流センターアイーナ内に開設される環境学習交流センターは、本県の環境学習や環境保全活動の一大拠点となるものと期待しておりますが、その運営に当たっては一にかかって、県民の理解と協力が必要であると考えます。NPO団体等との連携・協働についてはどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
 次に、県立福祉施設の民間移管等についてお伺いします。
 県では、昨年3月に取りまとめられた、県立社会福祉施設改革プランに基づき、入所型施設12カ所、利用型施設5カ所の合計17カ所の県立福祉施設について、民間移管等について検討、または具体的な手続を進めていると承知しております。これらの県立福祉施設は、民間の社会福祉施設が少なかった時代から、社会福祉のニーズが多様化した現在に至るまで、長期にわたり福祉の分野で大きな役割を担ってきたわけですが、その背景には単に福祉サービスの民間の担い手が不足していたということだけではなく、県という公的な機関が施設の運営に直接、間接に強く関与しているという、いわば安心感もあわせて利用者に提供してきたことも重要であったものと考えます。
 このたびの民間移管等の動きについては、福祉ニーズの増大、多様化への対応、さまざまな規制緩和、官民の役割分担の見直し等の情勢の変化を受けてのものと認識しております。しかし、施設の入所者、利用者にとっては、現在それぞれの施設が提供しているサービスを受ける機会が確保されるのか、サービスのレベルもさらなる向上が図られていくのか、さらには、サービスを受けるために従来より負担が増大することはないのか、といったさまざまな不安があるのではないかと懸念するものであります。移管等によって民間の機関・団体が運営するにしても、県立社会福祉施設がこれまで提供してきた安心感まで失うような移管等とならないよう、県としても、単に運営から手を引き財政的な措置にとどまることなく、今後も施設の運営に十分にかかわっていく責任があるものと考えます。
 そこで、お伺いしますが、施設の民間移管等を行う場合、施設が提供していくサービスの維持やサービスレベルのさらなる向上のため、県として施設の運営に具体的にどのような形で関与しようとしているのでしょうか。
 また、施設の移管等を受けた機関・団体等により、仮にも不適切な運営が行われたり、利用者の負担が不当に増大したりすることのないよう、チェックする体制もこれまで以上に確保する必要があるものと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、農業の問題についてお伺いします。
 本県の基幹産業と位置づけられている農林水産業をめぐる社会情勢については、本県のみならず、全国的にも人口減少、高齢化の進行、グローバル化による国内外の競争激化、農林水産業の構造改革、地域経済の低迷、潤いと安らぎある農山漁村とその環境への関心の高まりなど、状況が多様に変化しております。こうした状況下にあって、本県農業の振興に当たり、県においては、米、畜産、園芸、花卉を中心に、地域特性を生かした作目を選定するなどの、いわゆる岩手らしさを生かした産地づくりに、自立した担い手の育成に、都市と農村の交流の展開に、農林業の持つ資源の保全や資源循環型社会の確立にと、多くの課題に取り組んでおられるものと承知しております。
 このような中、来年度、県として特に力を入れる重点施策の一つに、自立した担い手の確保育成の推進を掲げ、集落営農組織の育成の加速化、力強い経営体の確保育成、担い手育成基盤等の整備を進めると伺っております。こうした中、農林水産省においては、将来にわたって農業を支える一定規模以上の担い手に、助成金や農地を集約しようとする経営所得安定対策等大綱のもと、農政改革推進本部を設置し、その中で農業助成金を従来の農産品目別から複数品目共通へ再編する品目横断的経営安定対策を、これまでの全農家対象から担い手へ絞り込むとのことでありますが、こうした動きを踏まえ、本県農業の担い手確保に当たって、どのように取り組まれるおつもりなのでしょうか。
 また、農業の振興の柱として、米、畜産、園芸、花卉の部門において、岩手らしさを生かした産地づくりをどのように展開しようとしておられるのでしょうか、あわせてお伺いします。
 次に、農業問題に関連してもう一点お伺いいたします。
 増田知事は、さきの知事演述の中で、重点的に取り組む施策として、産業の振興において、農林水産業から食品製造業、外食産業、観光産業などの関連産業までを一つの食産業としてとらえ、大学、行政、民間、金融機関が一体となった戦略的な食産業振興支援の仕組みを構築するとしておられますが、その仕組みについて、特にも農林水産業との連携方法について、具体的にどのように進めようとしておられるのか、お伺いいたします。
 次に、エコパーク平庭高原の整備事業についてお伺いします。
 旧九戸郡山形村及び岩手郡葛巻町に位置し、ツツジ、シラカバ林、紅葉、スキー場など、自然に恵まれた平庭高原地域に、グリーンツーリズム、自然体験型修学旅行誘致等を促進するために、平成9年に基本構想を策定して以来、平成12年に基本設計策定、平成15年に実施設計を策定したエコパーク平庭高原整備事業は、県の行財政構造改革プログラムの策定により、大規模事業の見直しがなされた結果、事業内容を変更し、総事業費を約39億円から約17億円へと削減され、さらに平成18年度に予定されていたオープン時期も1年繰り延べられ、平成19年度のオープン予定になるなど、大幅に事業計画が変更されたと承知しております。
 本事業については、地域の食文化や山村文化などを体験し、交流することを通じ、地域の有形、無形の資源を活用した協働の社会づくりを推進するものとして、また、県が施設をつくり運営は地元が行う、いわゆる公設民営の本県の先駆けとなる事業として、増田知事が大々的に公表され、地元葛巻町、旧山形村はもとより県内から注目されている事業と認識しております。
 そこで、本事業のこれまでの経過を改めてお示しいただくとともに、本事業の実施計画の内容に今後さらなる変更が行われるようなことはないのか、お伺いいたします。
 また、整備に関する具体的なスケジュールと今後の事業の進め方について、どのようにお考えなのか、お伺いします。
 次に、道路整備についてお伺いします。
 今、財政上の厳しさを抱える中にあって、県として地方、特に県北・沿岸圏域の振興をいかに図っていくかが問われているものと承知しております。このような中、県では本年1月4日、県北・沿岸振興本部を設置し、今後の県北・沿岸圏域の産業振興に具体的な取り組みを進めていくとしたところであります。これは裏を返せば、これまで余り光が当てられてこなかったところにようやく本格的に目を向けたのかと思うところもありますが、その推進を強く望むものであることには変わりはないところであります。
 私は、これまでも議会の場においてたびたび道路整備について取り上げ、広い県土を有する本県においてバランスのとれた地域の振興、発展のためには、本県の背骨とも言える国道4号、あるいは県都盛岡市と地方を結ぶ90分構想などに関連した質問をしてまいりました。国道4号、国道281号、国道282号は、それぞれの地域の交流・連携や観光振興に、ひいては地方の産業振興にも寄与するという大きな役割を果たしている重要な路線であります。しかしながら、国道4号の盛岡以北の4車線化を初め、これらの道路の整備はおくれている状況にあると言わざるを得ず、その結果として、日常的な交通渋滞を引き起こしていることはもちろん、盛岡都市圏と盛岡以北の各市町村の産業振興や交流・連携にとっても大きな支障となっております。
 そこで、お伺いしますが、国道4号茨島-分れ間の4車線化及び渋民バイパスの進捗状況はどうなっているのでしょうか。
 国道281号の歩道整備、葛巻バイパス及び平庭トンネルの見通しはどうなっているのでしょうか。
 さらには、国道282号一本木バイパス及び西根バイパスの進捗状況と整備の今後の見通しについてもお伺いいたします。
 次に、スポーツの振興についてお伺いします。
 本県スポーツの振興については、県民一人一人に楽しさや活力を与えることを目的とした生涯スポーツの振興と、各種スポーツ競技大会への参加、競技力向上に向けた競技スポーツの振興とに大別されるわけでありますが、特にも競技スポーツについては、それぞれの種目において選手が上位入賞を目指し、汗を流し、健闘している姿に胸を打たれるものを感じております。また、本県選手が他県と競い、一つでも上位の成績が得られるような環境づくりや施設整備に県として鋭意取り組んでおられることについても敬意を表するところであります。
 しかしながら、私は正直なところ、最近の国体や各種全国大会における本県の成績については、余り芳しくないと感じている一人であります。国体の天皇杯順位に関して言えば、この3カ年で平成15年37位、平成16年39位、平成17年42位と、順位が年々下がっている状況にあります。
 また、このたびイタリア・トリノで行われた冬季オリンピック大会にも、本県出身者は出場しておらず、雪国岩手として残念に思うところであります。なお、本県出身のオリンピック選手については、1998年の冬季長野大会に出場して以降、夏季大会も含めて今回の冬季トリノ大会まで、4大会続けて出場選手がない状況が続いているとのことであります。このように本県スポーツの競技力がいま一つ高まっていない要因について、教育委員会としてもいろいろな角度から分析し、その対応策を講じておられると承知しております。
 昨年10月の決算特別委員会の私の質疑の際には、本県のスポーツ競技力が高まらない要因として、東北6県比較において財政面、強化費には余り差がないが、競技スポーツを支援する有力な企業が県内に少なくなったこと、それぞれの職場から集まる合同チームの練習環境を整備することが困難になっていることなどを挙げておられました。私は、以前から本県スポーツの競技力向上、選手強化、指導員の配置等、総合的な対策は当然必要と考えていたところでありますが、少子時代を迎え、また、本県がおよそ10年後、平成28年において次期国体の開催を目指していくのであれば、現在の選手層をより厚くし、競技力を向上させるためにも、今こそ新たな視点での方策を考えるべき時期にあると思うものであります。
 そこで、お伺いしますが、最近のインターハイ、国体等の競技成績を踏まえた本県のスポーツ振興に関する取り組みの現状はどのようになっているのでしょうか。
 また、平成18年度予算においてスポーツ振興関連の予算はどのようになっているのでしょうか。
 あわせて本県スポーツ振興に関する基本的な考え方と今後の取組方針についてお伺いします。
 最後に、次期国体開催への取組状況もあわせてお示し願います。
 以上で私の一般質問を終わらせていただきますが、答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 千葉伝議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、本県の経済状況についての考え方でありますが、本県の経済は、主要経済指標の動きなどから低迷状態が長引き、厳しい状況が続いているが緩やかに持ち直している状況であり、大都市圏に見られるような順調な景気回復の動きとは大きく異なっているものと、このように認識をしております。また、県内の各地域におきましても、電子部品関連産業の好調を受けまして、有効求人倍率が上昇している地域がある一方で、いまだ好転の兆しが弱い地域もあるなど、いわゆるばらつきが見られるものと、このように判断をしております。
 次に、本県の財政状況でありますが、歳入面では、県税収入はこうした経済動向などを踏まえると、今後、大きな伸びが期待できないことに加えまして、国庫支出金や地方交付税など国に依存する財源が減少するものと、このように見込まれております。
 歳出面では、公共事業や大規模施設整備事業の抑制に努めてはおりますが、過去の経済対策等のために発行した県債の償還額が依然として高水準にございまして、いわゆる財政構造の硬直化が進行するなど、厳しい状況にあると、このように認識をしております。
 今後の財政収支の基本的な考え方でありますが、まず、持続可能な行財政構造を構築するために、プライマリーバランスの均衡を維持しながら、組織・職員体制のさらなるスリム化や、県政全般にわたる分野を超えての選択と集中という、この取り組みを行うほか、歳出規模の見直しを進めて、身の丈に合った予算規模としていくことを基本に据えつつ、一方で、県税収入の確保や県有未利用資産の活用などの歳入確保にも努力をしていく考えでございます。
 この中で、特にも、自動車関連産業の育成と、この産業の牽引役として岩手のものづくり産業を活性化させていくということが、特に大事なことであります。また、農林水産業と食品製造業や外食産業を、一つの食産業として展開していくことや、観光振興などに重点化を図っておりまして、今後、こうしたことにより、税財源の確保が図られるように努めていく考えであります。
 次に、来年度予算の政策の優先度の考え方でありますが、来年度予算に当たりましては、人口減少社会への対応、地域産業の振興、地域を担う人づくり、そして地域力を生かした取り組みと、この四つの重点政策分野を定めて、その選択におきましては、政策評価結果を踏まえて、緊急性、重要性、優先度を決定したところであります。
 まず、第1番目の人口減少社会への対応ですけれども、これは、中長期的な視点に立って、子育て支援の充実、女性の就業と子育ての両立が図られる雇用環境の整備、団塊の世代が持つ知識・経験を次の世代へ円滑に移転する仕組みの創設などの取り組みを進めることとしております。
 地域産業の振興につきましては、地域経済の活力が停滞することが懸念されますので、その基盤となる産業のなお一層の振興を図るわけですが、今申し上げました自動車関連産業などのものづくり産業の集積・促進を強力に推進していく考えであります。
 また、地域を担う人づくりでありますが、このためには、産業人材の育成が不可欠と、このように考えられまして、産学官のネットワークによるものづくり人材育成や、農林水産業における担い手の確保・育成を図ることとしております。
 そして、地域力を生かした取り組みですが、これは、地域を担う個人の集合体でございます地域コミュニティーが地域課題を解決していくと、このようなことが求められますので、環境、介護、防犯などのさまざまな分野において、こうした地域コミュニティーの力が最大限に生かされる取り組みを支援していく考えでございます。
 次に、行財政構造改革プログラムの取組状況についてのお尋ねでございますが、これは、平成15年10月にプログラムを策定いたしまして、その後改革に取り組んできたわけでございます。これまで、職員の削減、給与の減額、そして公共事業などの投資的経費の見直しなど、プログラムに盛り込みました計画を上回る歳出削減を行ってまいりましたし、一方で、県税収入の確保、県有未利用資産の有効活用などの歳入の確保を推進するほか、民間手法を活用した業務改善、いわゆるIMS──いわてマネジメントシステムの取り組みですが、こうした業務改善や指定管理者制度の導入などによって、行政のサービスの質の向上にも取り組んだところであります。しかし、平成19年度以降、一層厳しい財政状況が予想されますので、今後、県の予算規模を7、000億円程度、そして知事部局の職員数を4、000人程度の規模にしていくという、一層のスリム化を軸にした次のプログラムの策定が必要と考えておりまして、したがいまして、今年度、18年度は、現在のプログラムの仕上げの年度であるという、こういうことと同時に、19年度以降の次のプログラムへの橋渡しとなるように、なお一層のコスト削減と行政サービスの質の向上の取り組みを強化することとしておりまして、具体的に3点ばかり申し上げますと、本庁の各部局と振興局に特命課長を配しまして、民間手法も活用しながら、すべての事務事業に徹底的な改善、効率化の取り組みを行う。また、予算編成を政策優先配分方式に転換をすることによりまして、全庁的な視点に立ってさらに選択と集中を強力に進める。また、出資法人などについては、運営評価制度や外部経営調査の実施などを行って、こうした出資法人の改革を引き続き強化をする、こうしたことを行っていく考えであります。
 次に、環境問題でありますが、環境についての基本理念と基本認識についてお尋ねいただいておりますが、この環境の保全と創造は、私は、県民が豊かな自然、文化の中で生かされていることを認識して、恵み豊かな環境と共生する地域社会の構築を目指して、すべての県民の参加と連携・協力によって行われなければならない、このように考えております。
 このため、県民の皆さん方お一人お一人の環境に配慮した行動を求めますとともに、県民、事業者、NPO、そして行政と、こうした官のパートナーシップのもとで、持続可能な循環型社会の構築を進めて、この本県の持っております豊かな環境の恵みというものを、将来の世代に引き継いでいけるように取り組んでいるところでございます。
 昨今、動物の虐待がございましたり、幼い子供の命が簡単に奪われたりするなど、命を軽んずる悲しむべき出来事が続いておりまして、このような状況の中で、命ある生き物で構成される生態系の一員であるということを理解し、実感させることができるこの環境学習は、命を大切にする心をはぐくむ上で極めて重要であると、このように考えております。
 そのため、今見直しを行っております環境学習推進基本方針におきまして、環境資源の有する多様な価値について認識をはぐくむこと、また、自然環境との触れ合いを通じ、自然を慈しむ豊かな感性と命を大切に思う心をはぐくむこと、こうしたことなどを理念として掲げ取り組むこととしているところでございます。
 次に、農業問題の中で食産業振興ということについてお尋ねでありますが、この具体的な進め方についてでありますけれども、支援の組織としては、県の商工労働観光部に専任の特命課長を配置して、農林水産部、商工労働観光部を主体とする部局横断のチームを設置して、ここを核として各分野に精通した専門家、県内外の有力企業、岩手大学や試験研究機関、金融機関などによる食産業支援のためのネットワークを早急に構築することとしております。このネットワークのメンバーを軸として、県北・沿岸地域を中心に、生産者や生産者団体、地場企業等のそれぞれの課題に応じた支援を行うこととしておりまして、具体的には、今後の成長が期待できる一定規模以上の地場企業や、生産規模の拡大や販路拡大に意欲的に取り組んでいる生産者などを対象に、密着して経営全般に関する改善指導、そして県内外の有力企業との取引支援を行うということ。次に、ヤマブドウを初め海藻、雑穀などを対象として、その生産者と県内の食品製造業との原材料の安定供給のための取引支援や、健康食品等の研究開発支援、観光・外食分野での活用促進、企業誘致等を推進して、本県の特徴ある農林水産資源を活用した産業クラスターを形成すること。また、各地域におきまして、振興局や市町村等が支援をしております地域の主体的な取り組みによる新しい食産業の芽の事業化支援、こうしたことに取り組んでいくこととしております。
 こうした取り組みを通じて、農林水産業を初めとする本県の食産業全体の高付加価値化を実現して、それを通じ、地域経済の活性化と雇用の創出拡大に結びつけていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔環境生活部長千葉弘君登壇〕
〇環境生活部長(千葉弘君) 環境学習推進基本方針の特徴についてでありますが、環境学習の取り組みは、生活のさまざまな場面で、また、継続的に取り組むことが重要でありますことから、基本方針では、まず、身近な環境や環境問題への関心を高める、そして、興味・関心を持ったことについて学び、自然環境のすばらしさや環境問題の本質などについて理解するとともに、問題解決に向けた技能を身につける、さらに、これらを実際の生活の中で行動につなげていくというような、それぞれの段階に応じ目標を設定しているところであります。また、環境学習は、さまざまな生活の場で取り組まれることが必要でありますことから、家庭、地域、学校、職場といったそれぞれの場での取り組みを、その他の場の取り組みに活動を広げていくということを促すとともに、県民、事業者、行政など、学習を進める上での役割を明らかにすることといたしてございます。
 また、実際の体験、あるいは身近にある地域の素材を生かしていくことが学習する上で効果的でありますことから、本県で発生した県境産業廃棄物不法投棄事案への対応、あるいは旧松尾鉱山の坑廃水処理による北上川の清流化、また、豊かな自然を背景としたグリーンツーリズムの取り組みなど、本県が抱える環境課題などを素材として学習を進めていくことといたしております。
 次に、環境学習交流センターにおけるNPO団体等との連携・協働についてでありますが、この4月にオープンする環境学習交流センターを環境学習の活動拠点として位置づけまして、環境に関する情報の収集・提供や各地域のさまざまな生活の場で行われる学習、あるいは環境保全活動の支援を行うことといたしております。
 この環境学習交流センターの運営につきましては、県民やNPO団体との連携を促進するため、環境保全活動などに多くの実績があり、岩手県地球温暖化防止活動推進センターの指定を受けておりますNPO法人環境パートナーシップいわてに業務を委託する予定といたしているところでありまして、今後、県民やNPO団体とのさらなる連携・協働の促進が図られるものと期待いたしております。
 また、センターの運営に当たりましては、幅広く県民の意見を反映させるため、環境活動実践者あるいはNPOなどで構成する運営協議会を設置することとしておりまして、広く県民との情報共有を図りながら運営してまいりたいというふうに考えてございます。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 県立社会福祉施設の民間移管後の県の関与についてでございますが、本年4月から岩手県社会福祉事業団等に移管いたします入所型8施設につきましては、基本的に、今後、他の民間施設と同様に、それぞれの法人の特性を生かした自主的な運営を行っていただくことになるものでございます。県としては、今般の民間移管に当たりましては、何よりも入所している方々に対するサービス水準を維持することが重要であるというふうに考えているところでございます。そのため、移管先法人との間で十分な協議を行いまして円滑な移管に努めておりますほか、移管後におきましては、福祉サービス第三者評価制度や苦情解決システムなどを通じて、サービスの質の維持・向上が図られるよう指導してまいりたいと考えております。
 また、岩手県社会福祉事業団につきましては、利用者に対する処遇水準の維持という観点から、自立的な経営に移行するまでの一定の期間、県として必要な支援を行うこととしております。
 次に、民間移管後の県のチェック体制でございますが、利用者の負担額についての御心配が多いわけでございますけれども、この利用者の負担額につきましては、国の基準などによりまして、県立、民間施設を問わず同額とされているところでございます。したがいまして、移管することに伴う利用者の負担増といったものはないものでございます。また、利用者や御家族の意思に反するような寄附を求めてはならないことともしております。これらのことも含め、移管後、適正な運営がなされますよう、必要に応じ、指導監査を実施してまいりたいと考えております。
 また、指定管理者制度に移行する5施設につきましても、制度導入後、定期的な業務報告により、施設管理運営が適切に行われているかを確認するほか、必要に応じて立入調査を行うことなどにより、公共性の確保と利用者へのサービス低下を招かないよう、施設設置者として県の責任を果たしてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕
〇農林水産部長(今泉敏朗君) 本県農業の担い手の確保についてでありますが、集落におきましては、平成15年度から取り組んできた集落ビジョンの策定作業を通じて、個別経営体中心で進めるか集落経営体を目指すかについて話し合いが行われてきたところであります。この中で、個別経営体中心で進めるとした集落に対しましては、個別経営体の経営改善に向けたきめ細やかな相談活動を初め、農地の利用集積、機械・施設の整備の支援などを通じて、認定農業者の育成に取り組んでいるところであります。
 また、集落営農を目指すとした集落に対しましては、農地の利用集積や生産技術の高度化、アグリビジネス・アドバイザーの派遣による農産物の加工や販売活動の促進に関する支援、さらに、集落営農の組織化に向けた合意形成を支援する集落コーディネーターや経理の一元化を指導する税理士の派遣などの支援を通じて、集落経営の育成に取り組んでいるところであります。
 こうした取り組みを通じまして、本県の農業を担う、真に効率的、安定的な経営体を一つでも多く確保・育成してまいりたいと考えております。
 次に、岩手らしさを生かした産地づくりの展開についてでありますが、本県は、これまでも多様な立地条件を生かし、適地適作を基本に生産振興を図り、米、園芸、畜産のバランスのとれた多品目複合産地として発展してきたところであります。
 今後の岩手らしい産地づくりを考えるに当たりましては、消費者重視、市場重視の視点に立ち、本県の特色である耕種と畜産の連携による土づくりを基本とし、夏季冷涼な気象条件を生かした低農薬栽培、全国トップクラスの栽培履歴記帳率、全国に先駆けて導入した牛肉トレーサビリティーシステムなど、岩手としての強みを十分に生かしながら、バランスのとれた、しかも厚みのある多品目複合産地化に取り組むことが重要であると考えております。そのためには、園芸作物の夏秋期に偏った生産出荷から、冬場のハウス栽培などによる複数品目のリレー出荷を、地域内だけではなく県内全体に広げるとともに、本県オリジナル品種のリンドウや小菊、県有種雄牛を活用した優良牛の生産などを組み合わせた高品質な農畜産物の生産の拡大に取り組み、安定的に消費者や市場に提供できる体制整備を進めることが必要であると考えております。
 既に、レタスでは平場と高冷地間のリレー出荷、促成アスパラガスや寒じめホウレンソウでは冬場のハウス栽培、リンドウでは極わせ品種による出荷時期の拡大などの取り組みを始めておりまして、こうした取り組みを一層広げることによりまして、岩手らしさを生かした厚みのある多品目複合産地の形成に取り組んでまいります。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕
〇地域振興部長(山口和彦君) エコパーク平庭高原についてでありますが、エコパーク平庭高原整備事業のこれまでの経過でありますけれども、この事業は平成9年3月に基本構想を策定し、その後、平成11年度に策定しました岩手県総合計画に位置づけ、環境の視点に立った美しいくにづくりプロジェクトを具現化するための事業として、平成12年1月に基本計画、平成15年3月に実施計画を策定、事業の具体化に向けて検討を進めてきたものでございます。
 平成15年10月に策定されました岩手県行財政構造改革プログラムでは、中核施設のオープン年度を平成18年度から19年度に繰り延べし、平成16年度当初予算の編成過程で、約17億2、000万円に総事業費を精査したものでございます。今般、平庭地域全体の入り込み数等を踏まえ、葛巻町、山形村が積極的に取り組んでいるグリーンツーリズムや自然体験型修学旅行の誘致の弾みとなり、既存施設との連携や有効活用を図ることで、より高い相乗効果が期待できる施設を優先して整備する観点から、総事業費を約6億円に見直したものでございます。
 整備スケジュールについては、平成18年度に用地造成、平成19年度に建築工事を行い、同年度中の完成を目指し事業を進めてまいります。
 今後は、この平庭地域が豊かな自然や特色ある食文化などの地域資源を生かしたグリーンツーリズムや修学旅行のメッカとして、また、四季を通じた体験メニューの創出による通年型交流エリアとして、県内外の多くの方々にこの地域を訪れていただくなど、交流人口の増大、地域産業の活性化に寄与するよう、地元葛巻町、山形村の関係者の方々と一体となって、エリア全体の魅力を高め、利用者の拡大に努めてまいります。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕
〇県土整備部長(橋本義春君) 道路整備についてでありますけれども、まず、国道4号茨島-分れ間の4車線化及び渋民バイパスの進捗状況についてでありますが、国道4号の茨島から分れ間の4車線化につきましては、国からは昨年9月に、平成18年度に都市計画審議会に諮ると、それを目指していると聞いているところでございましたが、その準備作業がややおくれているとの情報がありまして、改めて、国に対して早期の事務処理を申し入れたところでございます。県としては、今後とも、早期事業着手を要請してまいります。
 また、渋民バイパスは、計画延長約5.6キロメートルのうち、平成16年度に盛岡側から北へ2.5キロメートルの区間につきましては暫定2車線で供用開始し、現在、残りの区間について用地買収及び埋蔵文化財調査を実施していると聞いています。県としては、本バイパスの整備促進について、引き続き国に働きかけてまいります。
 次に、国道281号の歩道整備、葛巻バイパス及び平庭トンネルの見通しについてでございますが、歩道の整備に当たっては、通学路や事故多発区間など、緊急性の高い箇所から順次整備を進めております。国道281号については、今年度、葛巻町堀の内地内の歩道橋整備を行うため地元説明会等を行ったところでありまして、平成18年度は用地を取得し、一部工事に着手することとしております。
 葛巻バイパスについては、現道が町の中心部を通過しておりまして、人家が連担し、歩道が未整備であることなど円滑な交通に支障を来たしており、整備が必要であると認識しております。
 また、平庭トンネルについては、平成13年度にパブリックインボルブメントを導入して調査ルートを公表し、これまで岩手県環境影響評価条例に基づき手続を進めてきたところであります。平成18年度は、準備書の公告、縦覧を予定しております。
 両地区の事業化につきましては、県全体の道路整備計画の中で、公共事業予算の動向等も見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、国道282号一本木バイパス及び西根バイパスの進捗状況についてですが、国道282号一本木バイパスについては、現在、用地取得と改良工事を進めておりまして、平成17年度末の進捗率は約77%になっております。今後は、一部難航しております用地の取得に努めますとともに、引き続き工事の進捗を図ってまいります。
 西根バイパスにつきましては、これまでに一般県道岩手大更線から南側の第1期工事区間4.5キロメートルについて工事を進めてきておりまして、既に2.3キロメートルを供用したところでございます。引き続き、残る区間につきましても、早期供用に向けて工事を推進してまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、スポーツ振興に関する取り組みの現状についてですが、本県の競技スポーツは、近年の国体やインターハイなどの全国規模の大会において、少年は健闘しているものの、成年は総じて低迷している状況にあります。
 競技力の向上については、これまでも、国内トップレベルの優秀指導者の招聘による県内指導者の養成、競技団体やクラブチームに対する強化費の支援など、選手及び指導者の育成・強化に努めてきているところです。また、ジュニア層の競技力の一層の向上を図るため、高い競技レベルにある韓国チームとの交流試合なども実施しているところです。
 次に、平成18年度のスポーツ振興関連予算についてですが、競技力向上については、不振の成年層の対策として、企業、大学における競技スポーツクラブ等に対する活動支援の充実や、ジュニア層の一層の育成強化を図るための事業の実施など、前年度比0.6%増の1億2、500万円余を計上しているところです。
 次に、スポーツ振興に関する基本的考え方と今後の取り組み方針ですが、スポーツは生活に潤いを与え、あすの活力を生み出す源であり、心身とも豊かで健康的な生活を送る上で、欠かすことのできない文化であると認識しております。中でも、県民に夢と感動を与える競技スポーツの振興は、特に重要であると考えております。
 今後は、成年層の対策としては、優秀選手を育成するため、県内大学と連携して企業やスポーツクラブなどへの指導者の派遣や、企業などの理解と協力をいただきながら優秀選手の受け皿づくりなど、競技力向上のための環境づくりを進めていきたいと考えております。
 また、ジュニア層のさらなる強化対策としては、平成18年度から公立学校にスポーツ特別強化校とスポーツ強化推進校を指定し、優秀指導者を長期間配置したいと考えております。
 次に、次期国体開催への取組状況についてですが、本県での次期国体開催については、今後、その開催方式や運営方法などについて検討していくこととなりますが、現在、日本体育協会では国体運営の簡素効率化を図るため、さまざまな改革の取り組みを進めているところであり、それらの状況も十分踏まえながら、北東北3県の広域開催や近接県の競技施設の活用の可能性、また、今後の財政状況の見通しなどを総合的に勘案して、その開催の方向性を出していきたいと考えております。
 また、次期国体開催に向けて競技力の一層の向上を図るため、科学的見地からのトレーニング方法を導入しながら、ジュニア期からの一貫した指導体制の確立を図るとともに、スポーツ医・科学サポートシステムを構築し、優秀な競技者を育成する仕組みづくりの検討などを進めていきたいと考えております。
〇45番(千葉伝君) ただいまは私の一般質問に対し、それぞれ御答弁をいただきありがとうございます。
 1点スポーツ振興についての再質問をいたします。
 先ほどの質問に対し、教育長からそれぞれの項目に対し御答弁をいただきました。その中で、それぞれ選手の育成強化あるいは指導員も含めた取り組み、それぞれ来年度の予算を含めてお聞きいたしました。ただ、次期国体に向けての取り組みということで、先ほどの答弁、これまでの答弁と余り変わらないような感じに受けとめたわけでありますが、もう少し積極的な答弁を期待したところであります。
 そこで、国内スポーツ大会の最大イベントであります国体においては、これまでの開催県は、開催年のかなり前から施設整備あるいは種目ごとの強化策、指導員の養成あるいは選手の育成に取り組んで大きな成果を上げていることは承知のとおりであります。次期国体に向けた取り組みに、まだ岩手県として明確な方針がないというふうに受けとめたわけでありますが、こういったことが微妙に最近の国体の成績が低位に甘んじている要因になっていると申せば言い過ぎでしょうか。仮に平成28年を目標とすれば、あと約10年後であります。現在の小学生が高校、大学、一般の主力選手という立場になるわけでありますが、県内の各体育協会を初め、スポーツ少年団、中学校、高等学校、大学、一般において、各種目ごとに今からしっかりと目標を定めて、その強化策、指導員養成等に取り組む必要を強く感じるところであります。
 そこで、本県の体育協会の会長でもあり、日ごろ各種スポーツ大会、体育関係の会議等に出席する機会の多い知事に、国体開催にかける意気込みと、スポーツ振興に対する考え方を改めてお伺いいたします。
〇知事(増田寛也君) お答え申し上げます。
 まず、国体の開催についてでありますが、この国体は、スポーツの振興、とりわけ競技力の向上に大変大きな役割を果たすと考えます。2巡目国体の開催につきましては、順番から申し上げますと岩手県の開催の順番は平成28年になると考えているわけでありますが、先般、この2巡目国体開催に向けての意識調査というものを行いましたところ、県民の8割以上の皆さん方が本県の開催を望んでいるということがございまして、今後の財政状況の見通しなども勘案して、これまでの先例では、開催のおおむね10年前に開催要望書というものを日体協に出しているということがございますので、本県では平成19年度の早い時期に本県への国体開催誘致の方向性を出したいと考えております。
 それから、2点目のスポーツ振興についての考え方ということでのお尋ねでございますが、この競技スポーツの振興でございますけれども、その中で、とりわけ本県出身選手が全国大会や国際大会で活躍をするということになりますと、県民の自信と誇りにもつながりますし、県勢──県の勢いの躍進に大きく資すると考えております。
 しかし、今お話ございましたとおり、アテネ、トリノのオリンピックで本県出身選手というものが出なかったわけでありますし、国体などでも今低迷をしているということがございますので、まず国際大会などにおいても、トップレベルで戦える優秀な競技者を少しでも多く輩出をしていきたい。そのためにジュニア期からの長期的なスパンでの優秀選手の育成が大きな課題であると思っております。
 今後、これまでの強化事業というものをいま一度見直しして、今申し上げましたジュニア期から一貫した指導体制の確立を図りたい。そして、先ほど申し上げました平成28年の次期国体ということもございますので、次期国体の開催も見据えながら、将来、日本を代表するアスリートの育成に努めていきたい、このように考えております。
〇45番(千葉伝君) 知事、御答弁ありがとうございました。
 本県が、オリンピック選手が4大会輩出されていない、本質で私申し上げたわけでありますが、ただ、世界の中でトップを目指す、こういう話になりますとかなり厳しいのは十分私は承知しております。そういった中で、今、知事から御答弁あったように、私どもの岩手県において、あるいは世界、あるいは国内において本県選手がいろんな種目で活躍する、こういう場面が多くなる。あるいはそういった場合には岩手県民がすべからく応援する。いわゆるその一つの共通の認識のもとで共有する感動を得られる。こういうことがあるのがスポーツだと私は思います。知事の御答弁にもぜひそういったことで、これからの国体に向け、あるいは世界の分野においても、岩手県からの選手がそういった場面で活躍するような場面をぜひ欲しい、こういうことで伺いました。私も同じ考えであります。ぜひ知事には、この今の御答弁を踏まえて、先頭に立って頑張っていただきたいと思います。
 それから、国体については教育長あるいは知事の答弁で、およそ10年前と、こういうことで来年度に手を正式に挙げたい、こういう答弁だとお聞きしました。いずれ、この国体に向けての岩手県の各種目において選手層を厚くする、あるいは各種目においてそれぞれ関係する人たちが一丸となって取り組む、こういうことを考えれば、ぜひそういった、早目に対応していく、こういうことで知事以下、関係の皆さんのさらなる発奮をお願いして、私の再質問にかえさせていただきます。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、佐々木順一君。
   〔29番佐々木順一君登壇〕(拍手)

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