平成18年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇51番(佐々木俊夫君) 自由民主クラブの佐々木俊夫でございます。
 通告に従い、順次質問をいたします。
 まず初めに、増田知事の所見についてお伺いいたします。
 過去5年間で1、600億円、18%の減、前年対比3.6%減の本年度7、398億円余りの超緊縮予算案が提出されました。政策実現と財政体質改善の両立を目指す厳しい予算編成の御労苦に敬意を表します。
 増田知事は就任以来、まさに東奔西走、粉骨砕身の努力を続けてこられました。歴代知事の中で、これほどに県内くまなく巡回し、各界各層、多くの県民と真摯に対話をされてこられた知事は、私の経験にはありません。しかし、私はこの2006年の輝かしい元旦に、地元有力紙を見て驚きました。
 それによりますと、1995年に増田知事が初めて就任されたときの評価率は72.4%でありましたが、その後評価率は上昇基調で、2002年には実に91.9%となり、超圧倒的な支持評価率を記録しました。しかるに、3年後のことしは29ポイント下落して、62.9%になったと報じていることであります。
 とかく世論は移ろいやすい、そういう傾向にありますが、私がショックを受けましたのは、その記事にかぶせて、某NPO法人理事長が、県民の92.2%が生活不安を感じている実態からすれば知事の支持率はそれでも高過ぎる。リーダーたる者、10年で目標達成できない責任は大きいと批判していることであります。このことについて、増田知事の率直な御所見、または反論があればお伺いいたします。
 次に、県特別職報酬を全国の最下位水準に減額しようとすることの根拠についてお伺いいたします。
 本年1月13日の県報酬等審議会に提案されたときの知事等県幹部の報酬額は、全国最下位のものでありました。その後、2月20日現在で若干変わりましたので、新しい資料で質問いたします。
 今回の改定案を全国と比較してみますときに、給料、報酬について、知事は現在31位から41位に減額、副知事37位から42位に、出納長45位に、議長、副議長も45位、議員がようやく40位となっております。そして知事の退職手当についてですが、全廃する宮城県知事は特別として、本県知事は、現在の全国トップクラスから、一挙に東北の最低水準にしようとしております。このたびの報酬等審議会で、担当課長が、山形県にも改定の動きはあるとしながらも、本県の最下位水準ぶりを強調しているのであります。まさに、岩手県は財政窮乏県であることは事実でありますが、議員報酬の40位はさて置いて、何ゆえに知事等最高幹部の給料を全国最下位の水準に下げようとするのか、下げなければならないのか。このベースダウンは自虐的、懲罰的とまでは言いませんが、県民にむなしさ、わびしさ感を与え、県幹部が県勢発展への気力、意欲を失ってしまったのではないかと、県民に落胆感を与えるのではないかと思われてなりません。全国最下位の水準にするその理由と根拠、意図をお示しいただきたいと思います。
 次に、県北・沿岸振興本部についてお伺いいたします。
 増田知事が改革知事を名乗り、全国的リーダーとして活躍して名声を博し、対話をモットーに県内を巡回活動しているのに、県北・沿岸は年々過疎化が進み、所得が減退し、したがって、そこの住民は違和感を持ち、疎外感を募らせ、冷え切った気持ちになっていたのであります。しかるところ、このたび積年の県政課題に取り組む姿勢を表明して、県北・沿岸振興本部を設置し直ちに行動に移されたことは、地域住民から高い評価を得ているのであります。この課題は、県政を揺るがす最大の課題でありますから、絶対に羊頭狗肉に終わってはならないのであります。私は、この際、あえてお伺いいたしますが、振興本部の理念と今後の展望については知事から、対策の計画内容とその具体策については副知事より詳細に御説明ください。
 次に、道州制と市町村合併のあり方についてお伺いいたします。
 政府の地方制度調査会が、今月末に道州制実現について総理大臣に答申を出すと伝えられております。既に九州では7県の知事と経済界が検討委員会を発足させたとか、北海道は、道州特区として認定を得るために知事が積極的に行動を開始したとも伝えられます。地方制度調査会は、関係する都道府県の協議によっては先行実施する案も考えていると報道され、いよいよ現実味を帯びてまいりました。
 道州制度の実施は、まず、都道府県を廃止すること、そして、市町村が広域合併して強化されることが前提で成り立つものと思います。本県では、本年3月には58市町村が35市町村になりますが、今後の基礎的自治体のあり方について検討するために、合併特例新法のもとに、昨年8月に岩手県市町村合併推進審議会を設置して諮問されました。審議会は、6回の審議を経て去る20日に答申がなされましたが、それによりますと、県下35市町村を14市町に再編する構想であります。これは慎重にあらゆるデータを駆使しての構想のようですが、この答申を受けた知事として、これをどのように評価され、その実現についてどのように取り組まれますか。
 2月16日の本会議での知事演述で、知事は、全国の先駆者として、北海道、東北各県と連携して一つの顔を持った広域圏化を図り、道州制を意識して取り組むと述べているのであります。市町村合併の基本は自主性でありますが、知事は、この審議会答申を画餅に終わらせないために、新法で勧告権が与えられている立場も踏まえて、道州制と本県の市町村合併のあり方について知事の御見解をお示しください。
 次に、防災対策条例制定と防災諸対策についてお伺いいたします。
 今議会の知事演述の冒頭で、防災対策の必要性を強調された知事の時代認識は正しいと思います。一昨年、30万人余りの犠牲者を出したスマトラ島沖地震は典型的な人災であり、過去に大きな地震と津波被害を経験しながら、後世に伝承して国家として災害対策をしてこなかった結果と言われております。日本では、もともと地震国としてその経験が伝承され、その対策が代々為政者の重要課題として蓄積されてまいりました。しかし、日本海中部地震のとき、教師がその場におりながら、小学生が海岸に出て遭難したのは学習不足の典型であります。
 そこで私は、今後、本県で発生すると予測されるあらゆる災害対策に万全を期すため、速やかに防災対策基本条例の制定を提案いたします。先日、中央防災会議の専門調査会が、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震での北海道、東北の太平洋で発生が予想される八つの大規模地震被害の想定報告書を発表しました。その中で、30年以内に99%と発生確率の高い宮城県沖地震の場合で、最悪に予想して2万1、000棟の全壊、290人が死亡する。明治29年の三陸地震では約2万2、000人の死者、行方不明者が出たのでありますが、現在、同じ規模のマグニチュード8.5の地震が起こると、岩手県では最大22メートルの津波に襲われ、死者2、100人となり、海水浴シーズンであれば、陸前高田市の海水浴場だけで800人の死亡が予測される大災害になると発表しております。平成7年の阪神・淡路大震災は直下型で約6、500人の死者が出ましたし、中央防災会議は、首都直下型で最悪1万2、000人の死者が出ると予測しておりますが、それらの地域と本県の居住人口密度で比較するとき、本県の予想死亡率は異常な高さであります。
 県では、既に災害対策基本法に基づく岩手県防災会議を設置して岩手県地域防災計画を定めておりますが、これらは総じて行政機関のなすべき対策が中心であります。災害発生時に最も大事なことは、住民みずからの自衛であり、近隣相互に助け合う共助、そして、行政機関の対策の三者が巧みに連携し合うことが大事であります。いわゆる自助、共助、公助の三つの連携体制が平常時から確立されていなければなりません。
   〔議長退席、副議長着席〕
 知事が今議会冒頭の演述で述べているとおり、本県はすぐれた住民相互支援の精神に富んだ地域力を持っているのでありますから、その地域力を災害対策に発揮させることは大きな対策成果が期待できると思います。
 そこで私は、すべての災害を対象として、災害予防と事後対策について、県及び市町村等行政機関と民間事業所、県民、防災組織それぞれの責務と役割を明確にする条例化を提案するものであります。既に先進的には、東京都、愛知県、三重県及び岐阜県等が条例化しておりますが、これは地震対策であります。香川県では、自然・人災すべてを想定して、行政機関、県民と事業者及び自主防災組織の役割と責務について、平成18年度中に条例化を検討中と聞き及んでおります。災害被害の多い本県として、率先して総合的防災対策条例が必要と思いますが、基本的認識については知事から、具体的対応については担当部長の考えをお示しいただきたいと思います。
 次に、防災訓練のあり方と参加者増加対策についてであります。
 県では、去る1月17日に水沢市で防災訓練を実施しました。毎年、関東大震災のあった9月1日にも県内都市部持ち回りで実施し、県下の市町村でもそれぞれ日を定めてさまざまに趣向を凝らして実施し、成果を上げております。また、河川を抱える水害経験地帯ではそれぞれ水防訓練を、海岸の津波経験地帯では、3、000人余りの死者が出た昭和三陸地震津波の3月3日、さらには5月24日のチリ津波を記念してそれぞれに実施している例もあります。
 訓練は、それぞれの地域で最も強い被害経験のある日に行うことが多くの成果を上げることができると思いますが、しかし、最近の訓練参加者は総じて年々低下しているのが実態であります。仙台市の民間会社の調査によれば、東北6県の調査で、90%が地震をおそれ、60%が火災をおそれ、50%が風水害をおそれているが、防災訓練に参加したのは約18%しかなく、最も参加率が高い岩手県でも30%と報告されております。
 私は、先ほど災害対策に自助努力の必要性を訴えましたが、訓練参加率は自助努力の重要な指標と思います。特に私が痛感いたしますことは、将来に向けて学習すべき、そして、災害弱者である小・中学生の参加が激減していることであります。これは、学校における防災教育の必要性を端的にあらわしているものであり、教育委員会の指導方針と今後の見解をもこの際お聞きいたします。
 そこで提案いたしますが、県下一斉に統一日を定めて、県民総参加で防災訓練と関連行事を行うことが一層のインパクトと学習効果が期待されると思いますが、いかがでしょうか。昨年、福岡県西方沖地震を経験した福岡県では、3月を防災月間と定めて、県民総参加でイベントや防災訓練を集中的に実施することになったと聞き及んでおりますが、先進的参考事例であると思います。
 次に、学校及び避難指定公共建築物の耐震化率と防潮堤など防災施設の整備、改善と緊急避難路確保についてでありますが、まず、登校時に災害弱者が密集している小・中学校、そして、避難場所として想定されている公共建築施設の耐震化率の問題であります。
 文部科学省調査によれば、学校施設の耐震化率は、平成17年4月1日現在の全国平均で51.8%であるのに対し、本県は49.3%と聞きますが、これら建築物の耐震化率の現況及び今後の改善対策の見通しについてお伺いいたします。
 さらに、津波対策として有用で期待されている防潮堤の未整備地区解消と老朽化問題についてお伺いいたします。
 これは、先人たちが長年膨大な費用と努力で建設してまいりましたが、いまだ多くの未整備地区があり、住民が危険にさらされている一方、既設の箇所にも老朽化が心配されているところがあります。河川のはんらんによる被害責任が争われた例がありますが、過去の津波の実態から被害が予想されているにもかかわらず、対策ができていなかったことによる損害に対する賠償責任、管理責任はどのようになるのでしょうか。これら施設の今後の整備計画とともに御見解をお伺いいたします。
 さらに、緊急事態発生時の避難路対策はおろそかにできない課題であります。その対策現況と課題についてお知らせください。
 次に、教育諸問題についてお伺いいたします。
 国と地方の税財政改革、いわゆる三位一体改革の焦点になったのが義務教育費国庫負担金問題であります。学校教育法では、市町村に小・中学校の設置を義務づけ、財源は原則として自治体に求めるが、教職員の給与は市町村立学校職員給与負担法で都道府県の負担とし、義務教育費国庫負担法によって国がその2分の1を負担するのが法の定めであります。しかるに地方6団体は、教育地方分権を掲げ、中学校の教員給与費の国負担分2分の1の税源を地方に移管することを厳しく要求しました。これに対し、中央教育審議会は、8カ月の間41回の審議をし、要求どおり税源移譲すれば、40都道府県で現在の国庫負担額より税源移譲額が減り都道府県の財政負担がふえるので、地方公共団体の財政力の格差で教育格差が生ずるおそれがある。そもそも財政格差のある地方からの要請で現行の国の2分の1の負担制度ができたもので、教職員給与費を保証し、教育に専念させるためのすぐれた現行制度は維持されるべきであると答申をしました。しかし結果は、11月30日の政府・与党合意によって、8、500億円の財源移譲を実施するが、中学校分と小学校分との合計の3分の2を地方が負担し、国は3分の1を負担することになったのであります。
 この間における増田知事は、リーダーとして勇躍奮闘されたことは歴史に残る活躍であります。この成果によって、本県の義務教育が地方分権の角度からどのように変革が期待されるのでしょうか。地方の負担がふえると中教審が警告いたしましたが、本県のその額はいかほどになりましょうか。
 教員の人件費について、文部科学省は平成16年度から総額裁量制を導入してきましたが、今日までに本県ではこれをどのように利活用して、どのような成果を上げたのでしょうか、上げなかったのでしょうか、お伺いします。
 現在の小・中学校は市町村立で、市町村教育委員会の管轄下に運営されております。一方、教職員人事権は県教育委員会にあります。中教審はさらにこの問題を取り上げ、義務教育における構造改革には市町村と学校の権限と責任拡大が必要である。よって、教職員の人事権を都道府県から市町村に移管することが望ましい。教育の結果は国の責任で行うとあります。都道府県教育委員会は中二階的存在になるのかと思えてなりませんが、現在の県教育委員会と市町村教育委員会との関係を含めて、この人事権移譲の考え方について教育委員長にお伺いいたします。
 次に、学力向上施策についてお伺いいたします。
 学校教育の最終目標は、人格の陶冶と学力向上であります。中教審は、国際的な大競争時代の今日、義務教育の質向上は国家戦略として取り組む必要がある。国際的な我が国の学力調査結果によれば、成績中位層が減り、低位層が増加し、読解力、記述力など低下傾向にあるとしており、また、2003年実施の経済協力開発機構――OECDによる学習到達度調査結果によれば、日本は世界のトップレベルから脱落し、深刻なのは算数と理科で、特に勉強意欲は最低レベルとしていることであります。また、増田知事を含む8県知事でつくっている地方分権研究会が平成16年度に実施した統一学力テスト結果では、参加した岩手、宮城、和歌山、福岡4県の平均に対し、本県の小学校5年生では国語、社会、算数、理科のすべてにおいて4県平均を上回り、中学2年の数学と英語が若干低いとされておりますが、実際の本県学力の実態をどのように把握されておりましょうか。
 昨今、ゆとり教育は緩み教育ではないか、学力低下の元凶ではないかとの厳しい批判があります。東京都台東区教育委員会は、区の教育指針からゆとりある教育活動を削除することに決めたと聞きます。
 先ほど及川幸子議員も触れられましたが、私たち県議会教育問題研究会では、去る1月10日から福岡県教育委員会を訪問して、学力向上に取り組んでいる実態を勉強してまいりました。福岡県の対策は、私が先ほど述べた、本県も参加した4県テストの結果がきっかけのように感じましたが、福岡県では、県学力向上推進会議を設置し、県下を8地区に分けて推進会議を結成して猛烈な迫力で行動に移しておりました。少人数指導、習熟度別指導、20人学級の教育特区申請、特に、率先垂範・燃える教師と資質向上のための研究等々多様な取り組みで、既に成果が上がっているとのことであります。同県穂波町では、町内すべての小学校で、放課後午後6時まで、土曜日は正午または午後6時まで、全児童を対象にしてこどもマナビ塾を開設して、地域住民の協力を得て、学力向上、共働き家庭への育児支援、児童の帰宅安全対策をあわせて図っているとのことで、示唆に富んだ活動をしております。
 本県教育委員会の多忙化問題検討委員会が指摘しているように、本県現場の教師は極めて多忙で、じっくりゆとりを持って教育に取り組めない実態にあり、教師に多くの負担がかかりますが、学力向上問題は早急に取り組まなければならない重要課題であります。そもそもゆとり教育は、詰め込み教育の反省に基づき、内容を絞り、基礎学力をしかも自発的に学ぶことをねらって導入された教育理念でありますが、本県は今後、この理念と学力向上をどのように両立させていくのか、あわせて教育長にお伺いいたします。
 さらに、少人数学級の導入について伺います。
 この問題は、議会でも長年論議されてまいりました。東北では最後の導入になりましたが、ようやく新年度から小学校1年生に限って35人学級を導入する計画とのことであり、評価いたします。既に特区制度を導入して20人学級を目指している県もあると聞きますが、今後の本県の長期展望についてお示しください。
 次に、漁業協同組合合併支援についてお伺いいたします。
 漁協系統団体は、27の漁業協同組合を平成19年度末までに県内1漁協に合併統合するために、対策本部を設置して鋭意努力しております。県でも推進支援チームを設置し、平成17年度は4、800万円の関連予算を計上しておりますが、最終合併の前段になる本年度末までの市町村単位の11漁協化も、4地区漁協は達成したが、7地区23漁協の合併は難しい状況にあり、前途多難と聞きます。そもそもこの合併問題は、漁協組織が自発的に計画し、自主的に取り組んできたことでありますが、組合員の高齢化と後継者難が著しく進む現況下で、今後の漁協のあり方として放置できない重要課題であります。
 漁協と農協は、現在、それぞれ経済団体としてそれぞれの協同組合法によって結成されておりますが、根本的に違うのは、農協が農地所有者と従業者の営農のための経済団体であるのに対し、漁業協同組合は、そもそも明治維新後、漁業権管理団体として発足し、現在でも県から免許された漁業権管理を重要な業務としながら経済行為をしている団体であります。漁業権免許は重要な知事権限であり、その漁業権をめぐって血が流れる厳しい歴史があり、県と漁協が一体となってそれを解決し、本県漁業の基盤を支えてきたのであります。
 今、その重要な役割を持っている漁協の合併が進まない最大の理由は、一部漁協に多額の累積欠損金、不良債権があり、財務格差が著しく、自力で解決することは極めて困難となっていることであります。水産県岩手として、漁業権を免許して県下の有用資源たる魚介類の漁獲による漁民生活の安定と今後の漁業行政をスムーズに進め県政発展を図るためには、財務問題でとんざ寸前のこの合併問題について、県が積極的支援に出動すべき最終段階に来ていると思います。決断と決意のほどをお示しいただきたいと思います。
 最後に、指定管理者制度についてお伺いいたします。
 昨年スタートした県公会堂を初めとして、本県ではいよいよ48施設が新年度から指定管理者による運営が始まります。この制度の採用によって約2億円の県費が節約になるとのことであります。この制度の目的は、民間活力を利用して、経費節減はもちろんでありますが、これら施設の有効利用を図ろうとするものであります。
 先般、私たち総務委員会が訪問調査した香川県では、既にスタートした施設の管理委託に当たって、その施設の利用者が計画を超えて利用した場合には奨励金を交付し、計画に達しなかった場合には委託費の一部を返還させる制度を導入しております。本県にはない奨励制度でありますが、民間活力と経営努力を促すには一つの有効な制度と思います。本県でも検討してしかるべきと思いますが、いかがでありましょうか、お伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。答弁次第では再質問があるかと思います。終わります。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐々木俊夫議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私の県政への評価、私への評価、支持率についてでございますが、この支持率につきましては、その高低についてさまざまな評価があると承知しているところでございますけれども、このたびの世論調査結果におきまして、将来像が見えにくい、政策がわかりづらいという御批判について真摯に受けとめるべきもの、このように考えておりまして、今後、策定を予定いたしております次期行財政構造改革プログラムや、新たに設定いたしました四つの広域圏の振興ビジョンにおいて、県が目指す将来の姿、そして、それを実現していくための取り組みを明確な形で示していきたいと考えているところでございます。
 平成18年度におきましては、総合計画の目標達成に向けて、40の政策の総仕上げに全力で取り組んでいく所存であります。
 次に、私を初めとする特別職の給料、報酬についてのお尋ねでございますが、これまでにも、この特別職の給料、報酬につきましては、一般職の給与改定等を踏まえて、必要に応じて見直しを行ってきたところでございます。
 今般、一般職の給料につきましては、人事委員会勧告を踏まえて、平成18年度から4.8%の引き下げを行う、いわゆる給与構造改革を行うこととしておりますので、特別職の報酬、給料につきましても見直しが必要と判断して、岩手県特別職報酬等審議会条例に基づいて、審議会に諮問し、答申をいただいたものでございます。この答申では、現下の県政を取り巻く情勢を勘案した上で、特別職の報酬、給料につきまして、前回――これは平成7年でございますが――改定以降の一般職の給与改定率がマイナス4.73%であることを踏まえ、この一般職の給与改定率により見直しを行うことが適当であるとされました。この答申を受けて所要の改定を行おうとしているものでございます。
 もう一つの、私の退職手当の方の関係でございますが、これは、かねて当議会においても表明をしているところでございますが、他県との均衡から見直しが必要と考えていたところでございますが、今般、あわせて審議会に諮問いたしました。東北他県におきまして、本県――岩手県よりも低い支給割合を用いております県――山形、福島などを参考に支給割合を引き下げるということで、これは80%から65%に引き下げることとしたわけでございますが、この率が適当との答申をいただき、改定をしようとするものでございます。
 今回の改定内容は、全国的な比較をいたしますと最下位水準となるものでございますが、本県の財政状況等を総合的に考慮すれば、おおむね適正なものである、このように考えているところでございます。
 次に、県北・沿岸振興本部の理念ということのお尋ねでございます。
 県北・沿岸圏域におきましては、2000年と比較いたしまして、2030年には総人口が約31%、人数にいたしまして12万1、000人の減少、高齢化率は約39%に上ると予測されておりまして、他の圏域に比べて、人口減少、高齢化による地域経済の縮小が懸念され、地域が安定的に発展するための基盤をしっかりと構築していくことが県政の重要課題と認識しているところでございます。
 最近の動向を見ましても、ここ数年、年間2、500ないし3、000人規模で人口の社会減が続いておりまして、これに歯どめをかけることが喫緊の課題となっております。一方で、この県北・沿岸圏域におきましては、すぐれた農林水産や観光資源を有しているものの、その高付加価値化など地域の産業振興に向けては、いまだ持てる力を十分に発揮していないということがございますので、今後におきましては、これらの資源をしっかりとした形での展開に取り組んでいく必要がある、このように考えております。
 このようなことから、市町村や産業関係者等と連携をしながら、地方振興局とともに本庁が部局横断的に取り組んで早急に成果を上げていく必要がありまして、1月に副知事を本部長とする振興本部を設置し、平成18年度当初予算におきましても、関係の産業振興予算を計上したところでございます。
 本部におきましては、これまでの県の施策や事業の検証を踏まえて今年度中に産業振興の基本的な方向を明らかにすることとしておりまして、また、来年度においては、地域と協働して地域振興ビジョンを策定し、その中で、雇用創出を初めとする産業振興の目標を具体的に設定をして、その実現に向けて、特に民間の力を最大限に生かす形で地域とともに取り組んでいくこととしております。こうした県北・沿岸地域にお住まいの県民の皆さんが、誇りと自信を持って暮らし続けることができるように、この振興本部を中心に、県としてしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 次に、市町村合併についてのお尋ねでございますが、岩手県市町村合併推進審議会の答申をいただいたところでありますが、県は、この答申を十分に尊重し、今後パブリックコメント等の手続を通じて、県民の皆さんの意見を聞きながら、4月末までに自主的な市町村の合併の推進に関する構想を策定することとしております。構想の策定後は、合併の必要性について広く県民の理解が深められるように地域説明会、シンポジウムの開催、地方行財政の現状や見通しについての情報提供を行いまして、それぞれの地域の取り組みを支援しながら、合併新法の期限であります平成21年度までを一つの区切りとして、市町村合併を推進する考えであります。
 道州制とこの市町村合併のあり方についてでありますが、我が国の地方行政は、今後、基礎的自治体である市町村が住民の生活に直接かかわる事務を行いまして、市町村の範囲を超えた広域的な事務につきましては広域自治体が担っていく、いわゆる近接・補完性の原理に基づいた制度に改革をされるべきと考えております。道州制が構築をされた場合に市町村に対して大幅な権限移譲が行われることになりますので、より自立性の高い行財政運営が求められ、市町村、基礎的自治体に一定の規模と能力が必要となる、このように考えられますので、各市町村におきまして、道州制の議論にも注視しながら合併について真剣に議論していただきたい、このように考えております。
 県の防災対策に関してのお尋ねでございますが、県の地域防災計画におきましては、県、市町村、防災関係機関、県民それぞれの責務を定めておりまして、地域防災計画に基づき、防災知識の普及、防災訓練の実施、災害等の応急対策を市町村や防災関係機関と協力して実施することといたしております。災害に対する防災意識が、ともすれば風化しやすいことや、想定をされております宮城県沖地震・津波に対する防災意識を高めていく必要がございますので、まず、喫緊の課題であるこの宮城県沖地震・津波対策に全力を傾注していくとともに、県民の防災意識の醸成に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、条例の制定につきましては、他県の状況、条例制定の経緯、そして運用、実効性をよく調査をし、今後研究してまいりたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔副知事竹内重德君登壇〕
〇副知事(竹内重徳君) 県北・沿岸振興に係る対策の計画内容とその具体策についてでございますが、現在、県北・沿岸振興本部におきましては、これまで行ってきた施策、事業等の検証と、それを踏まえた地域振興の基本的な方向を検討しているところでございまして、具体的な振興策は今後策定していく予定といたしております。中でも、最も重要な取り組みは、暮らしの下支え、基盤となる産業の振興でございまして、その第一は、民間活力を最大限発揮できる仕組みを早期に整備すること、二つ目は、蓄積された社会資本を十分に活用すること、三つ目は、産業振興のためのソフト施策と社会資本整備を一体的に進めることによって明らかな効果が予見される場合は、これを十分に見きわめた上で集中的に取り組むことの3点と考えております。
 また、県北・沿岸圏域の今後の産業振興の大きな柱は、地域の資源、強みを十分生かすことと認識しておりまして、その第1点目は、すぐれた農林水産資源の徹底した高付加価値を目指した食産業の振興を図ること、二つ目は、中核となる製造業など、地域で持続的に雇用の場を確保し得るものづくり産業の振興を図ること、三つ目は、さらなる地域資源の掘り起こしと地域連携による地域素材を活用した観光の振興を図ることと考えております。こうした中で、平成18年度当初予算におきましては、これらの取り組みを具体化していくため、補助、融資、県税の減免をセットにした企業誘致制度の創設や、中小企業への融資制度の創設、一次産品の販売戦略、商品開発といった食産業振興のための支援策など、所要の措置を講じたところでございます。
 今後とも、県北・沿岸圏域の暮らしの維持・向上のため、本部の責任を十分果たせるよう、全力を挙げて努めてまいりたいと考えております。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕
〇総務部長(時澤忠君) まず、総合的防災対策条例の制定でございます。
 この条例の制定につきましては、先ほど知事が御答弁申し上げましたように、他県の状況等を調査・研究してまいりたいと考えておりますが、近い将来起こることとされております宮城県沖地震を考えますと、防災意識の醸成が喫緊の課題というふうに認識をしておりまして、条例の制定がこうした機運の高まりにつながることが望ましいというふうに考えております。このような観点から、条例制定過程、あるいは実効性につきまして十分に研究をしてまいりたいと考えております。
 次に、県内防災訓練の一斉化についてでございます。
 本県は、広大な面積と地理的特性によりまして災害リスクが異なっております。火山、風水害、地震、津波などの災害リスクに対応いたしまして、具体的対応を進め備えていく必要があると考えております。そのため、総合防災訓練におきましても、その地域ごとの災害リスクを想定した訓練を、防災関係機関や地域住民の参加・協力のもとに、総合的、実践的な訓練を持ち回りで実施をしているところでございます。他県におきましては、防災月間を定めまして、その期間中に防災訓練や関連イベントを集中的に実施をいたしたり、複数の市町村の参加を得て防災訓練を実施している例もございます。
 現在、県では、防災意識を高揚するための防災訓練のあり方につきまして、他県の事例等を参考にしながら、検討を行っております。御提案の趣旨も踏まえまして、市町村、防災関係機関との協議などによりまして、具体的な見直しを進めてまいることといたしております。
 防災教育につきましては、現在、小中学生向けの津波防災学習教材の開発に取り組んでおります。宮古市教育委員会の協力を得まして、その教材を使って公開授業を行うこととしております。平成18年度はこの教材の普及啓発に努めるなど、津波防災教育を充実させていくことといたしております。
 次に、本県公共施設の耐震診断の状況及び改修状況でございます。
 平成17年4月1日現在の県、市町村の公共施設は、8、462棟ございます。昭和56年6月1日の建築基準法の改正前に建築されました施設は、そのうちの3、973棟、47%ございます。この3、973棟のうち、867棟につきまして耐震診断が実施をされております。耐震診断の結果、改修の必要がない344棟と改修済みの87棟と、今年度改修中の39棟あわせました470棟が耐震化済みとなる見込みでございます。公共施設全体として建築基準法改正後の基準で建設されました施設と改修済みの施設、これをあわせますと耐震基準に適合する施設となりますが、これが平成17年度末で58.6%でございます。前回、平成15年度の調査と比較をいたしまして、5.8%の増となっているものでございます。
 この公共施設の耐震診断あるいは耐震改修につきましては、それぞれ設置主体におきまして計画的に実施されるものと考えております。新潟県中越地震の反省点を踏まえまして、災害対策本部機能や避難所として活用される施設につきましては、早期、重点的に耐震化されるよう取り組んでいく必要があると考えているところでございます。
 次に、避難路の整備でございます。
 津波を想定いたしました沿岸部の避難路につきましては、平成9年に整備をいたしました津波浸水実績図をもとに各市町村において指定されてきたわけでございますが、県では、平成16年に、現在の地形、構造物に合わせました浸水状況や津波到達時間を推定いたしました津波浸水予測図を公表したところでございまして、これを受けまして、現在、市町村では、地域住民との連携のもとに地域ごとのマップを作成し、これに伴い、これまで指定をいたしております避難路の見直しを行っております。県におきましては、津波到達前に短時間で避難することや、安全性、機能性などの観点に立ちまして早期に見直しが図られますよう、市町村を指導・助言しているところでございます。
 この地域の防災力を高めていくためには、防災関係機関の取り組みはもちろん、家庭、地域でのいわゆる自助、共助としての取り組みを進めて、災害に備えていく必要があると考えておりまして、そのため、地域住民の方々に対しまして、避難路を実際に歩いて確認をしていただくことや、地域の防災訓練あるいは学習会への参加などをしていただくことが重要であるというふうに考えておりまして、緊急時の迅速な避難行動に結びつくような意識の高揚を図っていきたいと考えているところでございます。
 続きまして、指定管理者制度についてでございます。
 香川県におきまして採用しております報奨金制度は、施設の使用料を直接県の収入とする施設の一部において採用しているものでございまして、基本的な考え方といたしまして、利用者数が増加いたしますと、それに応じて人件費、消耗品、役務費等の経費がかさむということで、増加に伴う必要経費を補てんするためのものというふうに伺っております。
 指定管理者制度の効果を上げるための方策といたしましては、施設の利用料金が直接管理者の収入となります利用料金制度というのもございます。この制度は、指定管理者の努力や工夫によりまして、利用料金収入を増加させることが指定管理者の利益に直結をいたしますので、インセンティブがより働きやすい制度となっているものでございます。
 本県におきましては、今年度から指定管理者制度を導入しております公会堂を初め、平成18年度から指定管理者制度を導入することとしております47施設のうち35施設におきまして、利用料金制度を取り入れる予定となっているものでございます。
 御提案のありました報奨金制度につきましては、利用実績がふえることは県の収入増にもなるということで財政的なメリットもございますので、利用料金制をとらない施設におけます経営努力を促す仕組みとして検討してまいりたいというふうに考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕
〇県土整備部長(橋本義春君) 防潮堤の未整備地区が津波被害を受けた場合の責任についてでございますけれども、海岸は河川と同様にいわゆる自然公物で、元来、災害の危険性をはらんでおりまして、その管理は、財政上あるいは社会的な制約等のもとで、対策を必要とするそれぞれの地区について必要性、緊急性を比較しつつ、安全性を高めていくものと考えられております。したがいまして、未整備であることだけをもって賠償責任や管理責任が管理者にあるとすることはできないと考えられております。
 また、施設の老朽化につきましては、現在行っております月1回の防潮堤等の点検結果に基づきまして、緊急を要する箇所については随時補修等を行っているところであり、今後とも、施設の適切な維持管理に努めてまいりたいと考えております。
 未整備地区の今後の整備計画についてでございますが、未整備地区の海岸は、市町村が管理している海岸も含めまして17カ所あります。それぞれの施設計画について検討しているところであります。
 今後の整備に当たっては、現在実施中の14カ所の完成に向けて取り組んでいくとともに、未整備箇所については、順次整備手法も含めて、地域の皆様と合意形成が図れるように努めてまいりたいと考えております。
 また、施設が整備されている地域におきましても、計画津波高さより低い箇所があることや、現在の計画高さを上回る津波が襲来する可能性があることから、施設の有無にかかわらず避難することが重要であります。そのため、市町村や関係部局との連携を図りながら、地域住民の方々が参加し、避難路や避難場所などの課題、あるいは標識設置場所の検討などを行います地域の安全・安心促進基本計画の作成など、ソフト対策を組み合わせた総合的な津波対策に努めてまいります。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕
〇農林水産部長(今泉敏朗君) 漁業協同組合合併支援についてお答えします。
 現在、漁協系統が主体的に取り組んでおります県1漁協及びその前段の11拠点漁協の円滑な構築は、県北・沿岸地域の振興を図る上で重要なことと考えております。また、その合併協議が進まない要因の一つが、累積欠損金の扱いにあることは認識してございます。これにつきましては、昨年9月の県下組合長会議におきまして、累積欠損金は、基本的に自助と共助の考え方のもとに、まず漁協の自己責任により解消することとし、これで解消できない場合には、地区内の他の漁協の理解と協力のもとに、また、地区内で解消できない場合には、他地区の理解と協力のもとに解消するとの方針で臨むこととしたと伺っております。したがいまして、まずはこの方針の趣旨にのっとり、経営改善に引き続き取り組んでいただくことが大事ではないかと考えており、県といたしましては、当面、漁協の財務改善の取り組みをこれまで以上に強力に支援する、このような取り組みをしっかりと行ってまいりたいと考えております。
   〔教育委員会委員長安藤厚君登壇〕
〇教育委員会委員長(安藤厚君) 教育の諸問題についてのお尋ねにお答えを申し上げます。
 まず、義務教育費国庫負担金の負担割合の変更により、本県の義務教育が地方分権の角度からどのように変革が期待されるのかというお尋ねでございますが、義務教育費国庫負担金問題は、義務教育分野における地方の裁量と責任を大幅に拡大するという地方分権改革の趣旨に基づき、中央教育審議会等の場において協議が行われてきたものでありますが、昨年11月の政府・与党合意において、義務教育制度については、その根幹を維持し、義務教育費国庫負担制度を堅持するとの方針のもと、その負担割合が変更された形で決着したところでございます。この負担割合の変更は、国と地方との関係では、これまでの制度の仕組みと基本的には変わらないものの、こうした協議の過程等を通じて、地方独自の工夫や住民の声を反映させて、自治体の裁量と責任において義務教育の充実を図ろうとする機運が高まってきており、そうした地域に根差した特色ある教育の展開が期待されるところでございます。
 次に、義務教育費国庫負担金の負担割合の変更に伴う本県の負担額についてでございますが、義務教育費国庫負担金の国庫負担率が2分の1から3分の1へ引き下げられたことに伴い、平成18年度当初予算ベースで、一般財源の負担が119億円余増加するものと見込んでおります。
 なお、負担増については、所得譲与税及び地方交付税によって措置されることとなっております。
 次に、総額裁量制の成果についてでございますが、現在、この総額裁量制を有効に活用し、児童生徒一人一人に行き届いた指導を進めるため、1日7時間勤務を原則とする非常勤講師を配置し、習熟度別学習やチームティーチングなどに取り組んでいるところであります。こうした取り組みにより、本県の実情に応じたきめ細かな指導の充実が図られているところでございます。また、平成18年度から予定しております小学校1年生の35人学級の導入においても、この総額裁量制を活用して指導の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、教職員の人事権の市町村教育委員会への移譲の考え方についてでありますが、御指摘のとおり、小中学校の教職員は市町村職員であり、その服務監督権は市町村教育委員会にありますが、人事権は県教育委員会にあるなど、二元的な仕組みになっております。このため、地域や保護者などの声が市町村教育委員会を経て県教育委員会に寄せられており、県の教育行政にその声が迅速かつ十分に反映されがたい面があるほか、教職員が地域に根差す意識を持ちにくくなっているのではないかとの指摘もあるところでございます。もとより、教育委員会や学校現場では、より一層、児童生徒や保護者、地域住民に軸足を置いて開かれた運営を行っていく必要があり、地域の声が教育行政に十分反映されるべきであると考えております。そのためには、権限や責任も、より現場に近い市町村教育委員会に移譲される方向が望ましいと考えられ、昨年10月の中教審の答申、新しい時代の義務教育を創造するも、そのような考え方からなされたものと認識いたしております。
 その一方で、人事権が小規模な市町村に移譲された場合には、必要な人材の確保を維持できるか、人事交流の範囲が限定されることにより教員の経験の場が狭まり、教員の資質の維持・向上が図られるか、また、学校の活力が維持できるか、採用、昇任、転任などの人事関係事務により負担が増大しないか等々の課題があるものと考えられます。
 今後、このような課題について十分に検討した上で、国の制度改革が行われるべきであると考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、学校における防災教育の実施状況についてですが、各学校においては、地域の実情に応じて、特別活動や総合的な学習の時間などの中で消防署などとの連携のもと、危機意識を高めるための地震体験車両による地震体験、消火訓練や危険を予測して安全に行動するための避難訓練、さらには、地域の被災者の方々の体験談や自主防災関係者による防災の重要性の講話の聴講など、児童生徒の防災意識や災害時における適切な対応能力の向上に取り組んでいるところです。また、小中学校や高校の教職員を対象とした防災教育研修会を実施し、地震や津波に関する防災教育、災害時や事後の児童生徒の心のケアの大切さなどについて、啓発に努めているところでございます。
 次に、今後の取り組みについてですが、現在、各学校で実施している避難訓練は、ほとんどが火災を想定したものでありますことから、今後は、地震や津波を想定した訓練の実施も行うよう指導してまいります。
 また、宮古市における登下校時に津波警報が発令された際の避難場所を指定するなどの、そうした先進的な取り組み事例を紹介していくとともに、登下校時の地域安全マップづくりの際に、地震や津波が発生した際の避難場所も掲載することなどについて指導してまいります。
 今後とも、各市町村教育委員会や関係機関と密接な連携を図りながら、そして地域の皆様の御協力をいただきながら、防災教育の一層の充実に努めてまいります。
 次に、市町村立小中学校の耐震化の現況でありますが、本年度、市町村においては、盛岡市立城北小学校の耐震補強や釜石市立釜石中学校の新築など27棟の工事を終える予定であり、年度当初49.3%であった耐震化率は年度末には50.7%となり、全棟数1、878棟のうち953棟の耐震化が図られる見込みです。また、平成18年度は、八幡平市立松尾中学校など、22棟で耐震化の工事が行われる計画です。
 また、今後の改善計画でありますが、建築物の耐震改修の促進に関する法律が改正され1月に施行されましたが、県は、施行後1年以内をめどに、建築物の耐震改修の促進を図るための計画を定めることとされたことから、この計画の策定を通じて、小中学校も計画的に耐震改修を進めるよう、市町村を指導してまいります。
 次に、本県学力の実態についてですが、平成17年度4県統一学力テストの結果につきましては、現在、集計、分析中でありますが、平成16年度における本県正答率を4県平均正答率と比較してみますと、中学校の数学、英語がそれぞれ1ポイントずつ下回っています。特に、数学では応用問題の、また、英語では英作文の正答率が低い状況にあります。また、本県の問題別正答率を見ますと、小学校、中学校ともに、期待された正答率を下回る問題が多いことから、基礎・基本が必ずしも十分に定着しているとは言いがたく、とりわけ、中学校の数学と英語は不十分な状況にあります。
 このようなことから、学力向上、とりわけ、数学と英語の学力向上を最重要課題の一つとして位置づけ、4県統一学力テストの結果から明らかになった教育事務所ごとの課題に焦点を当て、授業の改善に向けた教員研修を実施するとともに、数学と英語の担当指導主事が中学校を訪問し、直接指導するなどにより、教員の指導力の一層の向上を図ってまいります。
 次に、ゆとり教育と学力向上についてですが、いわゆるゆとり教育は、完全学校週5日制のもとで、各学校が教育内容を厳選することにより時間的、精神的なゆとりを生み出し、そのゆとりを活用して、子供たち一人一人の理解や習熟の程度などに応じたきめ細かな指導を行うとともに、観察や実験、調査、研究などの体験的・問題解決的な学習を行うことにより、子供たちに基礎的・基本的な内容を確実に身につけさせ、みずから学び、みずから考える力を育成することを基本的なねらいとするものです。こうしたゆとりの中で、生きる力をはぐくむというその理念に誤りはないものの、それを実現するための具体的な手だてに課題があるものと考えております。
 そこで、今後、習熟度別学習指導や少人数指導、発展的な学習や補充的な学習などを充実しながら、読み・書き・計算などの基礎・基本を確実に定着させ、教えて考えさせる教育を基本として、みずから学び、みずから考え、行動する力を育成すること、キャリア教育プログラムの作成を通じて、将来の職業や生活への見通しを与えるなど、学ぶことや働くこと、生きることのとうとさを実感させる教育を充実し、学ぶ意欲を高めること、家庭と連携して、基本的な生活習慣、学習習慣を確立することなどを特に重視して、児童生徒一人一人の学習到達度などに応じたよりきめ細かな指導を行うとともに、教員の授業力を一層向上させるため、授業改善研修の拡充など、学力向上に向けて全力で取り組んでまいります。
 次に、少人数学級の長期展望についてですが、本県の少人数教育は、平成5年に少人数指導を導入し、チームティーチングや習熟度別学習など指導法の工夫改善を重ねながら進めてきたところです。その後、平成13年度から小学校1、2年にすこやかサポート非常勤講師を配置し、さらに平成16年からは、県内30校において少人数学級の研究を進めてきたところです。
 その結果、少人数学級においては、小学校入門期における基本的生活習慣や学習習慣の確立に効果が見られたことから、平成18年度から小学校1年生に35人学級を導入することとしたものです。この35人学級導入後は、すこやかサポート非常勤講師の配置と相まって、県内の小学校1年生の全学級で実質的に30人以下の学級が実現することとなります。
 今後は、35人学級を順次小学校2年生へ拡充することについて検討してまいります。
 また、基礎学力の向上には少人数指導がより効果があるという研究結果を受け、小学校3年生から中学校3年生までは、国からの加配教員を活用した少人数指導を中心に据えて取り組んでいきたいと考えております。
 このように、本県の少人数教育は、少人数指導と少人数学級、それにすこやかサポート非常勤講師の配置により、子供たち一人一人に対するきめ細かな指導の充実を図りながら、より一層学力の向上に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
   
〇副議長(藤原泰次郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後 3 時38分 休 憩
   
出席議員(47名)
1  番 高  橋  博  之 君
2  番 亀卦川  富  夫 君
3  番 小田島  峰  雄 君
4  番 三  浦  陽  子 君
5  番 中  平     均 君
6  番 ザ・グレート・サスケ 君
7  番 木戸口  英  司 君
8  番 関  根  敏  伸 君
9  番 高  橋  比奈子 君
10  番 高  橋  雪  文 君
11  番 嵯  峨  壱  朗 君
13  番 柳  村  典  秀 君
14  番 飯  澤     匡 君
15  番 田  村     誠 君
16  番 野  田  武  則 君
17  番 平  野  ユキ子 君
18  番 大  宮  惇  幸 君
19  番 千  葉  康一郎 君
20  番 新居田  弘  文 君
21  番 平     澄  芳 君
22  番 工  藤  勝  子 君
23  番 平  沼     健 君
25  番 阿  部  富  雄 君
26  番 斉  藤     信 君
27  番 工  藤  大  輔 君
28  番 川  村  農  夫 君
29  番 佐々木  順  一 君
30  番 佐々木     博 君
31  番 及  川  幸  子 君
32  番 阿  部  敏  雄 君
33  番 樋  下  正  信 君
34  番 柳  村  岩  見 君
35  番 小野寺  研  一 君
36  番 小野寺     好 君
37  番 伊  沢  昌  弘 君
38  番 小  原  宣  良 君
39  番 吉  田  昭  彦 君
40  番 佐々木  一  榮 君
41  番 伊  藤  勢  至 君
42  番 渡  辺  幸  貫 君
43  番 高  橋  賢  輔 君
44  番 藤  原  良  信 君
45  番 千  葉     伝 君
46  番 佐々木  大  和 君
47  番 藤  原  泰次郎 君
48  番 菊  池     勲 君
51  番 佐々木  俊  夫 君
欠席議員(1名)
50  番 佐  藤  正  春 君
   
説明のため出席した者
休憩前に同じ
   
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   
午後3時57分 再 開
〇副議長(藤原泰次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木博君。
   〔30番佐々木博君登壇〕(拍手)

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