平成18年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇30番(佐々木博君) 民主・県民会議の佐々木博です。
 通告に従い、当面する県政課題を中心に順次質問しますので、簡潔で明快な答弁をよろしくお願いします。
 なお、前壇者と一部重複をする点については、あらかじめ御了承を賜りたいと存じます。
 最初に、平成18年度当初予算に関連して何点か伺います。
 三位一体の改革により国の補助負担金が4兆円削減され、3兆円が地方に税源移譲されました。当初のもくろみどおり、地方の自由裁量で使える税源が移譲されたのであれば、1兆円の削減分も地方の創意工夫で克服できたかもしれません。しかしながら、国の補助負担金の削減は、そのほとんどが補助率の引き下げによるものであり、地方に税源が移譲されたといっても、大部分が裁量の余地がないものであります。したがって、平成18年度の予算編成に当たり、影響が相当あったと思われるのですが、具体的にお示しください。
 さて、予算規模は7、398億6、200万円で、前年度当初予算より270億円、率にして3.6%下回り、これで平成14年度から5年連続当初予算が前年度を下回る結果となりました。ピークであった平成13年度当初予算と比較しますと、13年度は予算規模が9、027億8、200万円でしたから、5年前と比較して、金額で1、629億2、000万円、率にして18%下回ることとなります。さらに、歳出の内訳を見ると、平成13年度では投資的経費は2、809億5、700万円でしたから、5年前と比べて、投資的経費は金額にして1、405億4、600万円減少、すなわち半減することになります。わずか5年の間にこれだけ急激に投資的経費が削減されると多方面に悪影響を及ぼすのは当然で、花巻空港第2ターミナルビルの建設延期も大きな論議を呼んでおりますが、特にも大きな影響をもろにこうむっているのが県内の建設業者であります。
 県は、本年度創設した建設業構造改革推進事業に引き続き、平成18年度は建設業総合対策事業を創設し、建設業者の新分野進出、業種転換等への支援や雇用対策を総合的に実施するとしていますが、農業分野に進出した建設業者の話を伺っても、その実態はなかなか厳しく、事がそう順調に運ぶとはとても思えません。県内の建設業者は、雇用の受け皿として大きな役割を担ってきたのですが、もう限界だとの声が聞こえてきます。県は、雇用対策を県政の最重要課題としていますが、公共事業費の削減が雇用に与える影響や建設業者へのダメージをどうとらえているのか、御所見をお伺いします。
 ところで知事は、適正な予算規模は7、000億円程度と発言されたと伺っておりますが、これは、平成19年度から22年度までの中期財政見通しにおいて単年度約600億円の歳入不足が見込まれること等を考慮してのことと思われます。しかしながら、適切な財政規模とは、予算規模ではなく、投資的経費を幾ら確保できるかによるのではないでしょうか。特にも岩手は社会基盤の整備がおくれており、投資的経費として最低2、000億円程度は確保することが望ましい予算と考えるものでありますが、知事の御所見をお伺いします。
 また、義務的経費のうち人件費については、職員体制のスリム化や管理職手当の減額措置などにより抑制に努めていることは評価するものでありますが、関連して、知事の退職金について伺います。
 今定例会に知事と副知事の退職手当の支給割合を減額する条例案が提案されておりますが、そもそも4年の任期ごとに退職金が支給されるということが県民感情にはそぐわないのではないでしょうか。退職金は長年の勤労に対する報償的給与であり、それゆえ所得税等の軽減措置が認められているものであります。しかしながら、最近は退職金も給与の一部とみなされ、将来、退職金として一時金で支給を受けるか、あるいは、最初からその分も含んだ給与として支給を受けるか、それを社員に選択させる会社もあります。4年という任期を考えると、知事の退職金はまさしく給与そのものと言えます。知事は激務であり、それにふさわしい報酬とすることにいささかの異存もありませんが、退職金制度については再考の余地があるのではないでしょうか。隣の村井宮城県知事は、退職金廃止に向け、今議会に知事等の退職手当の特例に関する条例を提案したようですが、知事の御所見をお伺いします。
 次に、所得格差と地方財政について伺います。
 東京都の平成18年度一般会計当初予算は5年ぶりに6兆円台の大台を回復し、対前年度比5.4%増の6兆1、720億円となりました。景気回復により、都税が前年度対比5.9%増の4兆5、028億円と2、520億円も伸びたことが大きな要因で、改めて首都圏における景気回復を実感させられるのでありますが、同時に、三位一体の改革の結果、今年度は税源移譲の全額が所得譲与税によって措置されていることから、東京都における所得譲与税と国庫補助負担金減額分との差額を見てみますと、350億円のプラスとなっております。本県では、所得譲与税は225億円余とありますが、スリム化及び交付金化の対象となっている補助金の影響分を除いた国庫補助負担金の減額分は幾らで、所得譲与税との差額はマイナスになっていると思われますが、それがどの程度の額になっているのかお伺いします。
 また、この税源移譲は、平成18年度の税制改正によって、来年度からは所得税から個人住民税への恒久措置として行われますが、これにより、東京都のように人口が多く、高額所得者が多いところはますます豊かになり、マイナスとなる本県との格差は開く一方ではないでしょうか。これが三位一体の結果と言われると釈然としませんが、知事の御所見をお伺いします。
 また、地方が期待する地方交付税についても、本来の財源調整機能が期待できる状況にはありません。竹中総務大臣の私的懇談会、地方分権21世紀ビジョン懇談会が発足し、1月12日に初会合が開かれましたが、国と地方の10年後のあるべき姿を議論し、それに向けて具体的な制度設計を行う方針を確認し、地方交付税の抜本的見直しと自治体の破綻法制の整備の検討を決めたと報じられております。また、懇談会では、首長、管理職、議員などに債務を返済させるべきだとの意見が出たとも報じられております。地方交付税の財源保障機能を弱めるだけの改革では地方債のデフォルトが起こり、財政力の弱い自治体では資金調達もできなくなる可能性が出てまいりますが、自治体の破綻法制の整備も含め、強い者と弱い者の差別を明確にする改革の方向性について知事はどうお考えか、御所見をお伺いします。
 また、地域間の格差拡大と同時に個人の所得格差も広がっており、先日の新聞報道によると、東京都足立区では、公立小・中学校に通う約4万7、000人の児童生徒のうち、4割強が文房具代や給食費などの援助を区から受けている。区の支援基準は他区と比べてむしろ厳しいが、保護者の所得が低下し、自前で負担できない世帯がふえているとの記事が掲載されておりました。数字の多さにびっくりしたのですが、本県の状況はいかがでしょうか。本県の小・中学校の児童生徒で就学援助を受けている人数と比率、さらにはその推移、並びに公私立の高校生で授業料の減免を受けている人数とその比率、推移についてお伺いします。また、あわせて、本県の生活保護受給者数とその推移についてもお示し願います。
 先日の朝日新聞の世論調査によると、所得などの格差が拡大したと見る人は全体の71%で、そのうちの49%の人が格差拡大は小泉首相の政策に関係があると答えております。小泉改革は、強い者と弱い者を明確に区別し、弱者を切り捨てるものだとの批判がありますが、知事は、小泉構造改革にどのような御所見をお持ちか、お伺いします。
 次に、県央広域振興圏と盛岡地方振興局の今後の見通しについて伺います。
 本年4月から、今までの9広域生活圏が見直され、新たに4広域振興圏となり、県南広域振興圏においては、奥州市に権限が強化された広域振興局の本局が配置されます。
 一方、県央広域振興圏においては、盛岡地方振興局1局体制にもかかわらず、今後の見通しがはっきりしておりません。県の説明によれば、県央広域生活圏については、今後、盛岡市が中核市への移行を目指すという他の圏域とは異なる状況があることから、他の圏域のように広域振興局を設置する形態ではなく、中核市を中心とする市町村主体の広域行政の展開も考えられるとし、盛岡市の中核市としての機能強化の状況などを踏まえつつ、改めて広域行政の体制等について検討を進めていくとされています。しかしながら、盛岡市は、平成20年度に中核市への移行を目指してはいますが、中核市として、保健、福祉、環境など市民生活に密着した分野の権限を県から移譲を受けてもなお相当数の県の権限の分野は残りますし、盛岡市以外の県央広域振興圏の市町村と県との関係は、他の広域振興圏の市町村と何ら変わるところがないはずであります。したがって、盛岡市の中核市移行と盛岡地方振興局の権限を強化して広域振興局とすることとは別個の問題と考えますが、知事の御所見をお伺いします。
 ところで、この2月17日、県市町村合併推進審議会は、県が示した素案と同じ広域圏のまとまりを基本とした8つの枠組みを新たな市町村合併の構想として知事に答申しました。この答申では、県央広域振興圏については、盛岡市、雫石町、滝沢村、紫波町、矢巾町と八幡平市、葛巻町、岩手町をそれぞれ一つの組み合わせとしており、県央広域振興圏を2つの市とする構想であります。あるいは、この答申どおりの合併の実現を待って盛岡地方振興局を広域振興局とするお考えなのでしょうか。
 しかし、もしそうだとするなら、盛岡市も八幡平市も合併したばかりで、さらには合併に至った経緯等を考えあわせますと、当面は新市として融和と発展に努めることに精いっぱいであり、構想どおりの新たな合併を今求めることは酷だと思うのであります。県央広域振興圏の発展、とりわけ産業振興のためには、産学官連携による知識集約型産業とともに、自動車関連産業等の整備・誘致も必要で、その実現には県と中核市たる盛岡市の強力な連携が必要であり、そのためにも、早期に盛岡地方振興局の権限を強めて広域振興局体制にすることが求められると思いますが、知事の御所見をお伺いします。
 次に、建築確認申請について伺います。
 建築確認については、姉歯建築士による耐震偽装が発覚して以来、大きな社会問題となっております。しかも、最初は姉歯やヒューザー、木村建設など特定の関係者の問題と思われていたものが、次々とそれら関係者以外の建物にも耐震強度が不足するものが発見されるなどの広がりを見せ、しかも、それを見落としていたのが民間の検査機関だけではなく、各自治体でも見落としていたという事実が国民の建築確認制度への信頼感を大きく揺るがしているのであります。
 県は、国交省の指示により県内の建築物の調査を行い、構造計算書の偽装はなかった旨公表しておりますが、どこまでの範囲の建築物の調査を行ったのか、具体的にお示しください。
 また、構造計算は、一級建築士の中でも特殊な分野で、人材が不足していると言われており、それは民間のみならず各自治体においても同様で、人材不足のために形式的なチェックしかしてこなかったことが今回の事態を招いたとも言われておりますが、本県において構造計算書の審査に精通した職員は何人ほどいるのか、そして、確認業務の体制は万全と言えるのか、お伺いします。
 ところで、規制緩和により建築基準法が改正され、1999年から民間の指定確認検査機関も建築確認業務ができることとなりました。その後、短期間の間にシェアを伸ばしていると聞いておりますが、民間検査機関の確認業務における全国でのシェアと本県におけるシェアがどの程度になっているのか、お示し願います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、民間検査機関には建設会社や住宅メーカーが出資した会社が多く、例えば、業界最大手の日本ERIの主要株主には、ミサワホーム、大和ハウス、パナホーム、三井ホーム、積水化学工業等がいるように、多くの民間検査機関には建設会社の資本が入っていますし、それらの会社からの出向者も少なくないと伺っております。これでは、自社の物件を身内の検査機関が確認するようなもので、公平な検査が確実に行われるのか危惧するものでありますが、この点についての県の御所見をお伺いします。
 さて、確認申請は、もちろん法規に適合するかどうかを審査するものでありますが、実際には法規以外のことも加味されて審査されてきたというのが実態であります。例えば盛岡市では、都市景観として岩手山の稜線を切らないように高さ制限を求めていますが、これは条例ではなく、行政指導と話し合いで行われてきました。条例では憲法違反のおそれがあるからであります。しかしながら、このような事情を知らない民間の検査機関が法規上問題ないということで高層の建物を許してしまえば、今までの盛岡市の努力は水泡に帰し、協力してきた市民は落胆するに相違ありません。また、マンション等を建設するには、敷地が幅員4メートル以上の道路に接していなければなりませんが、県も盛岡市も、その道路の途中が4メートルない場合は、安全等の観点から建設を認めてきませんでした。しかしながら、他の自治体ではこの場合認めているところもあるようで、解釈上はどちらも成り立つと言われております。したがって、民間検査機関が確認申請を認めても違法とは言えず、同じ条件で断念した人との間で不平等が生じるという困ったことになってしまいます。
 民間検査機関のシェアが今後も伸びることが想定される以上、このような事態を避ける対策が必要と思われますが、県の御見解をお聞かせください。
 次に、岩手県肉牛生産公社について伺います。
 同公社は、昭和43年、県内における土地資源を活用し、放牧を主体とした大規模肉牛増殖事業を行い、優良な肉用子牛の県内農家への供給による肉用牛生産基盤の拡大と農家所得の向上に寄与する目的で設立されたのでありますが、設立以来、事業損益では一度も黒字を出すことができず、平成15年12月に策定された岩手県出資等法人改革推進プランで、多額の累積欠損金や借入金を抱えており、経営改善が望めないことから、平成17年度末をめどに解散することとされたものであります。この間、施設整備費、利子補給金、事業費補助として合計34億7、400万円余の補助金と11億4、000万円の県出資金、合計で46億1、400万円が投じられ、しかも、歴代知事、副知事が理事長を務めながらこのような結果に至ったことについて、県はどう責任を認識しているのか、お伺いします。
 また、家畜改良事業はともかく、繁殖事業や飼育事業は本来民間で行うべき事業で、同公社がかかわるべきではなかったと思うのですが、いかがでしょうか。あわせて御所見をお伺いします。
 さて、県は、同公社に経営改善のための運転資金として、今年度16億5、200万円余の短期貸し付けを行っていますが、返済期限の3月31日までに返済できる見込みがないことから、貸付金の財源を一般財源に振りかえる2月補正が提案される予定であり、問題は、公社の解散処理スキームによれば、この貸付金も債権放棄の対象になっていることであります。
 この貸付金は平成7年度が最初だったようですが、平成15年度の当初予算では9億8、100万円余だったものが、翌16年度では16億2、700万円余と、6億4、500万円余もふえております。15年12月の出資等法人改革推進プランで解散が決まるほど経営内容が悪く、しかも解散が決まった後に貸付金をふやすということは、まさしく放漫経営そのものと思えるのですが、この理由をお伺いします。
 また、この解散処理のスキームは、他の出資者には出資金の放棄以外の負担は求めず、あとはすべて県の負担で処理するというものですが、どうして他の出資者には負担を求めないのでしょうか。納得できないのですが、その理由をお尋ねします。
 私は、肉牛生産公社に限らず、県出資法人には、最後は県が面倒を見てくれるといった甘えがほかの出資者も含めてあり、それがこのようなスキームになった大きな要因と思うのであります。しかしながら、そのような甘えは当然許されるものでなく、また、そのような財政状況にもありません。また、棚卸資産に計上されている牛の評価はもっと高いはずだとの声もあります。他の出資者の協力が得られないなら、原則に従って破産で処理すべきものと思うのですが、県の御所見をお伺いします。
 次に、岩手競馬について伺います。
 知事が継続できるかどうか2カ年で見きわめると言った、その改訂実行計画2年目の競馬組合予算が2月14日の競馬議会において1票差で可決されました。しかし、その後、知事は記者会見で、改訂実行計画の内容については、その見直しの必要があるのかどうかよく考えていきたいと発言され、さらに、昨日の高橋賢輔議員の質問に対し、見直しを指示したと答弁されています。競馬議会でのいろいろな議論を通じて、知事自身がこの改訂実行計画の実現可能性に不安を感じたからではないかと思われますが、いかがでしょうか、お答え願います。
 農水省では、現在の地方競馬の問題点として、主催者ごとに馬や厩舎を抱える高コスト体質、県域等に限られる商圏、主催者ごとのばらばらな日程によるファンの取り合い、限られた馬のレースによるおもしろみに欠けた興行などが赤字経営を招いているととらえ、地方競馬を改革するため、地方競馬全国協会を組織変更して地方共同法人化し、効率的な日程調整など開催日数の見直しにより、供給過剰の是正、主催者間の競業の回避を目指そうとしておりますが、これは、改訂実行計画で、できる限り開催日数を確保して売り上げを伸ばそうとしている岩手競馬とは全く逆の方向であります。中央では、土日開催はJRAだけでよいという意見もあるほどです。
 また、改訂実行計画の目玉としているインターネット販売についても、平成17年5月からネットバンク決済システムの導入をして先行している南関東4場の会員数の拡大及び購買単価の伸びを見ると、会員数については、導入前が約10万人、導入後の直近で約11万6、000人となっており、購買単価については、導入前が8ないし9、000円、導入後の直近で1万5、000円となっております。また、平成21年度の計画を見ても、会員数で13万人、購買単価で1万3、000円と見込んでおり、急激に伸びる計画は立てていません。また、本年4月から岩手競馬が参画するオッズパークの前身のD-NETでも、同じ平成21年度の計画では、会員数で5万5、000人、購買単価では1万2、000円しか見込んでいないのであります。ひとり岩手競馬のみがネット販売で急激に伸びるとはとても思えないのでありますが、管理者でもある知事の御所見をお伺いします。
 私は、かねてより改訂実行計画の売り上げ見通しが過大であることを指摘してまいりましたが、来年度の売り上げには、町中場外の売り上げや共同場外負担金収入など、本年度実現しなかったJRAレースの受託販売と同様にほとんどその内容が固まっていないものが含まれており、かつ、本年度を27億円も上回る売り上げ見込みを立てていることから、本年度以上に目標達成は難しいのではないかと危惧するものであります。
 売り上げを過大に計上すれば、それだけリストラが甘くて済みますから計画としては楽なのですが、これがこの改訂実行計画の最大の欠陥であります。本気で競馬を存続させようというのであれば、本年度よりさらに売り上げが10%程度下回ることを想定して、それでも収支均衡に持っていけるよう、時間もありませんから早急に改訂実行計画の見直しを行い、徹底したリストラを遂行するしか道はないと考えますが、早期見直しに向けての管理者でもある知事の決意をお伺いします。
 最後に、県立高校の学区制について伺います。
 学区とは、特定の高校への入学志願者の過度の集中を避け、高校教育の機会の均等を図り、生徒の就学、通学の適正を図るため、就学希望者が就学すべきその所管に属する高校を指定した区域とされており、本県では、昭和24年に21学区が設けられたのが最初であります。その後、この学区制は何度か見直され、平成16年度からは8学区、学区外許容率は10%とされております。また、学区については、以前は地方教育行政の組織及び運営に関する法律第50条により定めることとされておりましたが、平成14年1月に学区を規定する第50条が規制緩和の観点から削除されたため、学区制についての法的根拠が現在はありません。
 私は、以前からこの学区制については廃止すべきであると商工文教委員会等で主張してまいりましたが、本年1月に開催された県立高校入試改善検討委員会においては、現状のままでよく、存続の意見が多かったと伺っております。
 第1に伺いますが、平成16年度に学区制の見直しをした際、学区外許容率を15%から10%に減らしています。規制緩和の流れに反してまで学区外許容率を減らした理由とは何だったのでしょうか。
 第2に、例年、学区外許容率を超えて志願者が集まるのは盛岡一高だけで、現実には、学区制は盛岡一高の入試対策だとも聞いておりますが、どうでしょうか。
 また、学区外から盛岡一高に進学を希望する生徒で、開業医の子弟等、経済的に恵まれている者は、中学の段階で盛岡市内に引っ越したり寄宿したりして学区制を免れて高校受験に臨んでおり、学区外の狭い枠で受験しているのはむしろ経済的に恵まれない家庭の子弟が多く、経済格差による逆差別が生じているとの指摘がありますが、県教委はこうした実態を把握されているでしょうか。
 第3に、学区制は普通科のみで、専門高校や総合学科には規制がないのもおかしな話であります。先ほども話題に上りましたが、ことしの正月は、遠野高校のサッカー部の全国大会での活躍で県内は大いに盛り上がりました。その影響で、本年は遠野高校でサッカーをやりたいという学区外志願者が多いと聞いておりますが、県内のサッカーといえば盛岡商業と遠野高校が双璧なわけであります。盛岡商業には学区制がないから県内一円どこからでも平等に入学できるが、遠野には学区制という規制があるというのでは説明がつかないと思うのですが、いかがでしょうか。
 公立、市立を問わず、県内の各高校には、学業やスポーツでの伝統や特色があります。受験生の側から見れば、できるだけ幅広い範囲で志望校を選択できる方が望ましいのです。学区制については廃止すべきと考えますが、教育長の御所見をお伺いして、私の一般質問を終わります。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐々木博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、平成18年度当初予算につきまして、適正な財政規模についてのお尋ねでございますが、この18年度の一般的な予算規模につきましては、その時々の経済、財政状況によって異なってくるものでございますので、適正な予算規模について、一概に、この規模、この水準といったもので言い切れない面もございますが、さきの演述で、およそ7、000億円程度の予算規模を目指すといたしましたのは、現在の歳入構造から算定をいたしました場合に、やりくりによらない実力ベースの歳入規模に見合った歳出構造を目指す、一つの目安となる予算規模としてあえて申し上げたものでございます。現在、本県におきましては、公債費の増嵩が県財政の圧迫要因となっておりまして、今後、県債残高を減少させていくことを第一に考え、プライマリーバランスの均衡に留意しながら、後年度の財政運営を行うことが必要と考えております。
 このように、本県の財政構造を勘案した場合に、平成19年度以降もさらなる歳出規模の見直しを進め、身の丈に合った予算規模となるように、これまでの取り組みを継続させ、持続する安定した財政基盤の構築が必要と考えているところでございます。したがいまして、投資的経費についても見直しの例外ではなく、その規模を今後増加させていくことは現状においては困難であると、このように考えております。
 次に、特別職の退職手当についてでございますが、議員御提案の内容も含めまして、その見直しにつきましてはさまざまな議論があることを承知いたしております。また、宮城県におきましては、財政危機に対応して、給料の減額にかえて知事等の退職手当を時限的に支給しないとする特例条例を県議会に提出をしたと、このように聞いているところでございます。
 特別職の退職手当について申し上げますと、民間企業でいいますと、役員の退職手当に相当するものと考えられること、さらに特別職につきましては、任期中の功労に対する報償という性格が強いと言われていることなどから、全国の自治体におきまして、特別職の任期の満了時に退職手当を支給する制度が設けられているものと、このように私は認識をしているものでございます。
 私といたしましては、県民の皆さんからも納得が得られるよう、与えられました任期の中で、職務の遂行に今後とも全力を尽くしていく所存でございます。
 次に、所得格差と地方財政についてでございますが、所得税から個人住民税への税源移譲につきましては、個人住民税のうち、所得割の税率について、現行で5%から13%までとされているものを、一律10%とすることによって行われるものでございます。
 税源移譲に伴う本県と東京都との税収の格差につきまして、平成15年度の状況と税源移譲後の状況とを推計により比較をいたしますと、1人当たりの税収では、県民税で2.4倍でありましたものが2.3倍に、市町村民税では、2.8倍であったものが2.3倍にそれぞれ縮小をいたしております。このように、10%の比例税率化による税源移譲には偏在の是正効果がございますので、税収格差はある程度縮小する方向にきいてくるものでございますが、依然として存在をする格差につきましては、地方交付税の財源調整機能により適切に補てんされるべきものと、このように考えております。
 また、総務大臣の私的懇談会が、地方交付税制度の抜本的な見直しについて今検討していることについてでございますが、この懇談会では、地方交付税制度の抜本的な見直しにつきまして、新聞記事などによりますと、交付税制度の簡素化の議論と絡めて、人口だけを基準に配分をする財源保障の範囲の見直しなど、やや一方的な論調が見られているところでございます。この懇談会の議論が、国の財政再建に偏った交付税削減ありきの一方的な議論とならないように、注視をしていく必要があるものと認識をしております。
 交付税による財源保障の裏返しとして、国が法令等により地方に事務事業を義務づけているのが現状でありまして、今後、分権社会のビジョンはどうあるべきか、そして、これを踏まえた国、地方の役割分担と税源配分はどうあるべきかといった本質的な議論が必要と認識をしておりまして、この総務大臣の地方分権21世紀ビジョン懇談会と同時期に、地方6団体では、新地方分権構想検討委員会を立ち上げて、今後の分権改革推進に向けての検討を進めているところでございます。この委員会と総務大臣の懇談会が率直に双方で意見を主張しながら、よりよい分権社会のビジョンを取りまとめていくことが重要と認識をしております。
 また、自治体破綻法制の整備についてでありますが、分権の行きつく先としては、自治体の責任が重視されるものと認識をしておりますが、しかし、現状におきましては、自治体がその責任をとれるだけの分権──これは歳入の自治も含めてでありますが、自治体がその責任をとれるだけの分権がなされているとは言いがたいと、このように考えております。
 次に、所得格差の拡大についての世論調査の結果などについてのお尋ねでございます。
 小泉内閣がこれまで進めてまいりました構造改革政策によりまして、所得などの格差が拡大したかどうかにつきましては、これは論者によりましても意見が分かれるところでございまして、判断は難しいものと考えておりますが、市場経済の社会においては、競争により所得に一定の格差が出ることは避けることができないものと考えておりまして、小泉内閣では、これまで規制緩和など市場重視の政策をとってきたことから、そうしたことが世論調査の結果にもあらわれたものと認識をしております。
 例えば、倒産などにより失業した人でも、職業訓練などの必要な支援を受けて再就職できるようにするなど、何度でも挑戦できるような柔軟な社会をつくり上げ、所得の格差が固定化することのないような仕組みが必要であると考えますし、また、真に助けを必要としている人には、社会保障を初めとして、官民が協働して支えるようなセーフティネットを整えることが極めて重要であると、このように認識をしております。
 次に、県央広域振興圏と盛岡地方振興局の今後の見通しについてでありますが、今回行いました広域生活圏と地方振興局の見直しは、近接・補完性の原理に基づいて、県と市町村との役割分担を見直して、市町村中心の分権型社会の構築を目指すことが大きな目的の一つとなっております。このうち、県央広域振興圏につきましては、盛岡市が現在中核市への移行を目指しておりますが、中核市へ移行した際には、法定事務として保健衛生に関する事務を初め、福祉、都市計画、環境保全など広範囲な業務が県から移管をされますほか、県としては、段階的に盛岡地方振興局が行っている業務の大部分を盛岡市が担えるよう、法定の業務以外についても権限移譲を積極的に進めていく考えでございます。
 このような中核市としての盛岡市への権限移譲の進展を踏まえました場合には、さらには今後の市町村合併の進展も想定した場合には、この県央広域振興圏におきましては、将来的に中核市を中心とする市町村主体の広域行政の展開も十分に考えられるところと、このように考えております。そして、このような展開に伴って、地方分権が目指す市町村中心の行政システムが構築されていくという望ましい姿の実現も期待をされるところでございます。これに応じて、県の役割も大幅に縮小していくことになりますので、盛岡市の中核市への移行と県の広域行政のあり方は密接な関係があると、このように考えておりまして、県では、県央圏域における盛岡市の中核市への移行や今後の合併を支援しながら、改めて広域行政の体制等について検討をしていく考えでございます。
 また、産業振興につきましても、段階を踏みつつ、将来的には、盛岡を中心として周辺市町村が連携して、広域的な観点から主体的な取り組みを行っていくことが望ましいと考えております。一例を挙げますと、既に、盛岡市では、岩手大学等の連携により産学官連携研究センターを設置して、新技術の研究開発、また、研究開発型企業の立地促進などに向けて戦略的な取り組みを開始すると伺っておりまして、今後、このような政策展開が一層活発化していくことを期待しております。
 こうした今申し上げました将来展望を踏まえつつも、当面は、県として、盛岡市を初めとする周辺の市町村との連携のもとで、この広域的な産業振興の取り組みを県として強化することが重要と認識をしておりまして、そのため、来年度から盛岡地方振興局に産業振興特命課長を新たに配置するなど、体制の強化を図る考えでございます。
 次に、岩手県肉牛生産公社についてでありますが、この公社は、設立いたしました昭和40年代の初め、本県畜産業の発展と農家所得の向上を目指し、県が中心となって設立をいたしました。当時は、公社設立による肉用牛生産は行政、とりわけ、県主導で取り組まなければならなかった事業でございまして、本県の肉用牛生産基盤の確立、今日の全国有数の肉用牛主産県としての地位確立に大きく貢献をしたものと認識をしております。その後、公社は、平成3年度に、一時期14億円余りございました累積欠損金を一たん解消しましたが、その後の牛肉の輸入自由化、大口産直取引の中止、BSEの発生などを受けまして、数次にわたる経営改善計画を策定して対応してきましたが、平成5年度以降、累積欠損金が増加をいたしたところであります。結果として、この累積欠損金を解消するに至らず、今回、法人を解散せざるを得ない事態に至ったところでありまして、公社運営を主導してまいりました県として、その責任を重く受けとめているところでございます。
 次に、岩手競馬について、改訂実行計画の実現可能性についてでございますが、平成18年度の競馬組合の計画及び予算は、改訂実行計画の平成17年度の進捗等の諸状況を踏まえながら、修正すべきは修正して立案したものであり、インターネット発売の導入、新たな賭け式の追加、広域場外発売の拡大など、18年度の新たな取り組みを着実に推進し、競馬の再生の道筋がつけられるように最善の努力を尽くしていきたいと考えております。
 しかし、さきに開かれた競馬組合議会で、議員の方々から、改訂実行計画を見直すべきなどの御意見をいただいたことは重く受けとめておりまして、競馬組合に対し、改訂実行計画の見直しの必要性につきまして、構成団体も含めて議論を始めるように指示をしたところでございまして、その議論の状況や18年度からの新たな取り組みの状況も見きわめながら、適切に対応していく考えであります。
 次に、インターネット発売についてでありますが、改訂実行計画策定当時、地方競馬では、南関東の4主催者がインターネットを活用した勝馬投票券の発売を開始したばかりの時期でありまして、参考とできる事例がなかったことから、改訂実行計画では、インターネット業者の会員数をもとにインターネット発売の売り上げを推計したところでございます。平成18年度は、岩手競馬もインターネット業者に委託して発売を開始する予定でありますが、民間業者に委託する初めての事例であること、全国の地方競馬主催者が参加をいたしますもので、広い地域の競馬ファンになじみのあるネットワークシステムであること、さらに、インターネット銀行を利用した決済システムの導入で利便性が向上し利用者が拡大をしていることなど、プロモーションなどの営業面や利用者拡大の面で期待ができるものと、このように考えております。
 将来に向けてどの程度の発売規模が見込まれるのかにつきましては、4月以降に、一定期間発売実績を見定め、他の事例もよく検証しながらそれらを踏まえて対応すべきものと、このように認識をしております。
 次に、競馬存続についての決意についてのお尋ねでございますが、私は、売り上げの拡大と、一方で経費の削減が相まって岩手競馬の再生が図られるものと、このように考えております。したがいまして、経費の削減については、競争関係報償費を除く固定的な経費を見ますと、15年度に比べ18年度予算では約40%減少しておりますが、引き続き徹底した経費の見直しをするためプロジェクトチームを設置し検討を進め、18年度前半で成果を出せるように取り組むこととしております。
 また、売り上げの拡大についても、18年度から新たに取り組む売り上げの拡大のための方策が、計画している水準に達するよう最大限努力をし、そして、その上で岩手競馬再生の道筋をつけていきたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕
〇総務部長(時澤忠君) 三位一体改革国庫補助負担金改革の影響でございます。
 平成15年度以降、累次の基本方針に基づいて行われました国庫補助負担金改革の本県財政への影響額、スリム化の改革や交付金の影響を除きました税源移譲に結びつくものの影響額でございますが、平成18年度当初予算ベースで試算をいたしますと、国庫補助金等の減、約238億円と見込んでおります。このうち、単なる国の負担率の引き下げという地方の自由度や裁量の拡大につながらない手法がとられたものの影響額は124億円と、影響額全体の50%を超えるものと試算をしているものでございます。
 次に、三位一体改革によります国庫補助負担金の削減額と所得譲与税との差額でございます。
 国庫補助負担金改革に伴い減となります国庫補助負担金の額、先ほど申し上げましたように平成18年度当初予算ベースで約238億円と試算をしております。一方で、国庫補助負担金等の改革に伴いまして一般財源所要額が増加をいたします。これが306億円と試算をいたしておりまして、平成18年度所得譲与税の額が約225億円でございまして、これに比較して、一般財源所要額の方が80億円程度上回る状況というふうに見込んでいるものでございます。
 国では、廃止・移譲されます施設整備費補助金に係ります施設整備につきましては、特別の地方債によります財源措置を講ずることといたしておりますほか、税源移譲に伴う財政力格差拡大につきましては、当面、税源移譲分を地方交付税の基準財政収入額に100%算入することとしておりまして、適切に交付税措置されるものと考えているところでございます。
   〔総合雇用対策局長長葭常紀君登壇〕
〇総合雇用対策局長(長葭常紀君) 公共事業費の削減が雇用に与える影響等についてでありますが、県の公共事業費の削減が雇用にどう影響を及ぼしたかという実態を把握することはなかなか難しいところでありますが、総務省の事業所・企業統計調査による平成13年度と直近の16年度との比較では、本県の建設業の事業所数では281事業所が減少し、建設業の従業者数では9、912人の減少となっておりまして、建設投資額全体が減ったことによる影響が出ているものと推測されます。
 また、県が平成15年度から岩手県建設業協会会員を対象に実施しております建設業雇用状況アンケート調査によりますと、人件費の抑制や事業縮小等、徹底した経費削減を挙げる企業が多く、県内建設業の経営環境は、一段と厳しさを増しているものと認識しております。一方で、技術者の人材育成や新分野進出などによる経営体質の強化を図ろうとする企業も多く見られますことから、いずれ、建設業は地域雇用の重要な受け皿となっておりますので、元気を出していただきたいというふうに考えております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 本県の生活保護受給者数の推移でございますが、保護率で見ました場合に、平成9年度が過去最低となってございまして、保護受給者は4、806世帯、7、031人、保護率は5.0パーミルでございました。その後、増加に転じまして、昨年の12月末では7、610世帯、1万870人、保護率が7.8パーミルとなっているところでございます。
 なお、平成17年12月末における全国の保護率は11.6パーミルとなっております。本県の保護率は、全国の3分の2程度の水準となっております。
   
〇議長(伊藤勢至君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕
〇県土整備部長(橋本義春君) 建築確認申請についての御質問でございます。
 まず、国土交通省の指示による県内建築物の耐震強度調査の範囲についてでございますが、県と盛岡市が平成17年10月までに建築確認を行った建築物のうち、大臣認定の構造計算プログラムを使用し、かつ、資料が保存されているもの、これは571件でございますが、すべてについて調査を行っております。また、国土交通省からの情報提供がありました株式会社総合経営研究所が関与しました県内の4物件については、県及び盛岡市において検証を行い、改ざんがないことを確認しております。
 次に、構造計算に精通した職員の数と建築確認業務の体制についてでございますが、本県の検査におきましては、複数の者が構造計算書を含むすべての事項について審査をする体制をとっております。
 建築確認の構造審査は、設計者が設計した図書のチェックを行い、入力データや計算結果の妥当性を確認するものでありまして、構造計算の再計算は行っておりません。
 審査は、審査に必要な知識を備えていることを判定します建築基準適合判定資格者検定に合格した職員が実施しております。県では、現在22名の有資格者がこの業務に当たっておりまして、建築確認行政の体制は確保されていると考えております。
 次に、指定確認検査機関のシェアについてでございますが、平成16年度における全国の建築確認件数は、確認済証発行ベースで75万2、536件のうち、指定確認検査機関での建築確認件数は41万8、871件で55.7%となっております。また、岩手県の建築確認件数は9、619件ありまして、そのうち指定確認検査機関での建築確認件数は1、205件、12.5%となっております。
 次に、建設会社等が出資した民間検査機関の検査の公平性についてでございますが、平成17年度現在、岩手県内を業務区域としている指定確認検査機関は、国土交通大臣の指定機関が5機関、岩手県知事の指定機関が1機関ございます。指定確認検査機関の指定を受けるためには、国が定めました指定確認検査機関指定準則に基づきまして、設計、工事監理、建設、不動産業等を行わないこと、また、代表者や担当役員が関係します設計、工事監理、施工等を行う建築物についての確認検査を行わないことなどが条件につけられておりまして、これらのことを遵守することによって、公正、中立性が担保されておりますことから、本県においても、これら指定確認検査機関の確認検査は適正に行われていると考えております。
 最後に、民間検査機関の建築確認検査結果によって生ずる不平等の回避対策でございますが、例えば盛岡市では、確認に当たって都市景観形成建築等指導要綱など、配慮すべき法令等について事前に申請者側に調整するよう指導しておりまして、民間の指定確認検査機関が確認を行う場合にありましても、これらの法令等に配慮するよう周知しているというふうに聞いているところであります。
 また、岩手県内においては、建築基準法施行条例によりまして、一定規模以上の建築物を建築する場合には、幅員4メートル以上の道路に4メートル以上接しなければならない旨規定されておりますが、その運用につきましては、県と市と統一的に調整しつつ実施してきたところであります。民間の指定確認検査機関に対しましても、こうした運用を説明し、協力を求めているところでございます。
 今後、民間の指定確認検査機関の確認件数が増加することが予測されることに伴いまして、県としても、民間の指定確認検査機関に対する指導要綱等の遵守、協力や運用等の調整を図っていくことが必要と考えておりまして、今後、関係者間の意見交換等を行うなど、理解を求めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕
〇農林水産部長(今泉敏朗君) 肉牛生産公社についてお答えいたします。
 繁殖事業や肥育事業に公社がかかわったことについてでございますが、繁殖事業につきましては、公社設立の目的である、県内農家に優良子牛を供給し、肉牛飼育農家の経営規模の拡大を図るために行ったものであります。
 肥育事業につきましては、公社の財務内容の改善が最大の課題であったことから、繁殖事業で増加した累積欠損金の解消を図るため昭和51年度から開始したもので、肥育事業により、平成3年度に一たん累積欠損金を解消しております。また、肥育事業のうち、日本短角種につきましては、県内産地における首都圏での大口産直取引を支援するため、秋子生産による通年出荷体制の確立に協力するなどのために行ってきたものであります。
 このように、繁殖事業、肥育事業ともそれぞれ目的を持って取り組んできたものであり、その時々においてその役割を果たしたものと認識しております。
 次に、貸付金を増額したことについてでございますが、平成16年度から県貸付金が増加した理由は、公社は、15年度までは県のほかに県信連からも運転資金を借り入れしていたものを、金利負担軽減策として、県信連からの短期借り入れをとめ、これ以上公社の赤字をふやさない方策の一つとして県の貸し付けに一本化したことによるものであります。
 次に、他の出資者に負担を求めないことについてでありますが、県としては、公社解散に向けた処理スキームの協議検討の場や、公社の理事会、総会の場で、県以外の出資者に対し、出資比率に応じた負担について再三要請してきたところであります。しかし、出資者からは、出資金の放棄はやむを得ないが、それを超えた新たな負担は難しい。県が主体的に進めてきた事業であり、債務超過分は県が全額負担し、破産せず任意整理で進めるべき。累積欠損金を抱えている状況から、出資額を超えた負担は経営的に困難。全国、または東北一円の組織であり、地域の個別事情への対応は困難などの意向が示され、最終的に出資金の放棄以上の負担が困難とされたところであります。県が中心となって公社を設立し、事業運営を指導してきた経緯、公社が県内の肉牛生産振興に果たしてきた役割、公社臨時総会の結果などから、県が公社の債務を負担せざるを得ないと判断したものであります。
 次に、解散整理方法についての県の所見についてでございますが、肉牛生産公社を法的整理、いわゆる破産とした場合、これまで県主導で設立し、運営指導してきた公社事業のために土地を提供し、協力していただいた地権者に牧場施設を処分できないまま放置することになる可能性が高いこと、牧場施設が放置された場合、最終的に県にその撤去を求められるおそれがあること、牧場施設の処分方法によっては国庫補助金の返還が必要となる場合があること、家畜改良事業など、引き続き県が責任を持って行うこととしている事業が円滑に実施できなくなる可能性があることなど、影響が多方面に及ぶこと。また、県主導で事業運営を進めてきたことなどを総合的に勘案すると、地権者、関係者に極力負担をかけず、かつ将来において県の負担を最小限に抑えることが可能となることから、任意整理により解散することが妥当と判断したものであります。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、就学援助と授業料減免の状況についてですが、小・中学校で就学援助を受けている児童生徒は、平成16年度は、在学生12万2、999人のうち8、237人で、比率では6.7%と、前年度に比べ0.5ポイント増加しています。また、公立及び私立高校で授業料の減免を受けている生徒は、平成18年1月現在で、在学生4万3、994人のうち2、765人で、比率では6.3%と、前年度に比べ0.3ポイント増加しております。
 次に、高校の学区制についてですが、本県においては、特定の高校への入学志願者の過度の集中を避け、また、遠距離通学による生徒の負担を軽減するため、普通科について、通学区域、いわゆる学区を定めているところですが、近年、進学率の上昇や生徒の進路希望の多様化が進んでいることから、学校選択の幅を拡大する必要が生じていること、公共交通機関の発達などにより通学可能区域が拡大していること、市町村により学校の選択幅に不均衡が生じており、受験機会の均等を図る必要があることなどから、平成16年度入試からそれまでの19学区を8学区に改め、あわせて学区外許容率についても、それまでの15%を10%に改めたところです。
 この学区外許容率を引き下げた理由ですが、19学区を8学区に改めたことによって、それぞれの学区のエリアが拡大し、それまで学区外となっていた地域の志願者が学区内に包含されるケースが生じることとなることから、過去のデータから推計し、学区外許容率を引き下げたものです。
 次に、学区制は、特定高校の入試対策ではないかということですが、学区制は、ただいま申し上げたように、特定の高校への入学志願者の過度の集中を避け、また、遠距離通学による生徒の負担を軽減するため設けられているものです。
 なお、御指摘の高校も含め、東北本線沿線地域の一部の高校やスポーツなどに特色のある高校においても学区外入学志願者の割合が比較的高い傾向が見られます。
 次に、恵まれた子は中学から盛岡に来ているのではないかということですが、特定の高校への入学志願を前提とした転居等の状況については、プライバシーにかかわることでもあり、その実態を正確に把握することはなかなか困難であり、掌握いたしてございません。
 次に、専門学科高校に学区を設けない理由ですが、専門学科高校は、地域の産業構造や特性を考慮しながら設置されており、各学校の専門学科ごとに特色ある教育内容となっているため、本県では学区を定めていないところです。
 学区に関する所見ということですが、学区制のあり方につきましては県民の間でさまざまな御意見があるところですが、現在、県立高校入試改善検討委員会において、そのあり方についても検討をいただいているところでございますので、今後、その報告を踏まえて適切に判断してまいりたいと考えております。
〇30番(佐々木博君) 再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、知事に伺いますけれども、来年度の予算なんか見ていますと、知事じゃないですけれども、やっぱり本当に産業を興して県税収入を高めなければいけないなと、そういう思いがいたします。地財計画ですとかなり税収が伸びていますけれども、岩手県は伸びていません。それを補うぐらいの地方交付税がもう来る状態じゃないですよね。ですから、本当にそう思います。
 東京都の一般会計なんか見ていると大変うらやましくなる限りなんですが、ただ、三位一体の改革に向けては、本当に知事も全国の先頭に立って一生懸命頑張られたわけであります。しかし、結果的には、所得税が個人住民税にかわって分配されるということ、そして、ことし所得譲与税と、それから、先ほどの質問のとおりなんですけれども補助金負担金の削減額とか見ていますと、やはり交付税がちゃんと機能をしないと、富めるところはますますよくなっていますし、そうじゃないところはやっぱり厳しいという状態がずっと続くんだろうというふうに思います。
 ただ、今、三位一体の改革も、何といいますか、一段落というか、その後余り活発な議論もありませんし、4兆円を削減して3兆円税源移譲したんだということで、何か今はむしろ地方交付税を今度は一生懸命抑えよう、削減しよう、そういった動きばかりが目立つような気がしているんです。例えば、本県でも、藤沢町なんか今非常に財政的に厳しいということが新聞報道されていますけれども、ああいったところがますます出てくるだろうと思うんです、私は。今一番残念なのは、削減の話ばかりで、地方に税源を移譲するという話が最近ほとんどなくなっているんですね。こういったことでは何のための三位一体だったのかと、本当にそう思いますので、ぜひとももう一度ジャッキを巻き直して徹底的に闘うという姿勢で取り組んでいただきたいと思いますけれども、まず、その辺についての御所見をお伺いしたいというふうに思います。
 それから、競馬ですけれども、今議会でもまた27億円の、要するに短期貸し付けの予算が計上されていますけれども、やはり私は、常々申し上げていますけれども、絶対売り上げ過大だと思うんです。とにかく地方競馬は毎年毎年売り上げが下がっているんですから、JRAも下がっているんですから、岩手競馬だけ売り上げが伸びる、それも27億円も伸びるという前提で計画を組むということ自体が私はむちゃだと思っているんです。例えば、今年度だって去年より大分売り上げを減らして――同額じゃないですよ――、減らしたものも達成できないんですからね。
 中央に参りましても、実はこの間農水省の方にも行っていろいろ調査してまいりましたけれども、本当に供給が過剰だと。ですから、共同法人化してむしろ開催日数を減らしたいというのが農水省等の考え方ですから、そういう中にあって、開催日数を目いっぱい確保して売り上げを伸ばす計画というのは全く無謀だと私は思います。
 それから、見直しされるのはいいんですが、平成18年度の推移を見ながらなんて言われてたんじゃ、18年度に結論を出すのに全然間に合わないと思うんです。もっともっと私はスピーディーにやっていただかなきゃいけないと思うし、それから、どういった改訂計画の見直しがされるかというのが、私個人的に言わせてもらえば、27億円の融資に賛成できるかどうか、やっぱりそれが一つの判断基準ですよ。それがないままに推移を見ながらなんて言われたら、本当に判断できませんよ。そのことだけは申し上げたいと思います。
 それから、ここに紙があります。これは農水省でもらってきた紙ですけれども、実は、さっき私が申し上げた平成21年度のインターネットの計画値というのがこの資料なんです。今、ジャパネットバンク、要するにJRAも南関東もそこに口座を設けて同じ人がやっているんですよ、競馬。今度、オッズパークでしたか、それも同じです。だから、入る方というのは、既にJRAとか南関東に入会している方々がついでにオッズパークにも入ろうかなと。独自で5万5、000人も21年に入ってくれるのなら少しはいいんですけれども、みんな重複しているんですよね。しかも岩手県民でジャパネットバンクに口座を持っている人はほとんどいませんし、加えて、岩手県の銀行口座じゃだめなんですね、山形銀行はいいようですけれども、そういった問題もあるんですよ。
 正直申し上げまして、中央でインターネットについてお話をしたときに、岩手競馬の場合、将来的には20億円ぐらいが可能じゃないかというお話をされました。だけど、改訂実行計画では80億円ですから、やはり私は、客観的に見ても非常に過大だと思う。
 それで、とにかくリストラを徹底的にやる計画をつくってみて、リストラしても間に合わなかったら、やっぱりその時点で解散の決断をしなきゃいけないですよ。それぐらいの意気込みでやっぱり徹底的にリストラに取り組まなければ、私は県民の理解も得られないし、存続の道は途絶えると思います。
 ですから、そういったことで、本当に早急に、できれば27億円の融資の判断をできるような、早期にそういった見直し案をお示ししていただきたい、そのように思います。
 それから、農水部長に伺いますけれども、あなたは先ほど、県信連からの金利負担を助けるために県が融資の肩がわりをしたと言いましたけれども、同じことをあなたは昨年の競馬議会でも言っているんですよ。負担を助けるために県が肩がわりしたと。平成15年12月に解散することを決めているんでしょう。その後でしょう、6億何ぼお金をふやしたのは。これは肩がわりですよ、金利減免じゃなくて。県信連はもう金を引き揚げたかったから、それを負担しただけじゃないですか。違いますか。
 それから、例えば今度の処理のスキームですけれども、県信連は長期の貸付金があるんですよね。それは返済することにしているわけでしょう。長期の貸付金は返済して、そして、県の分だけは債権放棄。やっぱり公平じゃないというような感じがするんですけれども、どうですか。
 加えて、牛の売買ですけれども、これは公設市場があるわけですから、きちんと公設市場で売るべきなんですよ。何か話し合いであいまいな金額で売るというのはよくありませんよ。やはりきちんとルールどおりに処理することが私は非常に大切だと思います。
 それから、加えて、余り言いたくありませんが、退職金、実は、7割ぐらいの引き当てをしているんですよね。そして、不足額も計上されているけれども、勤めている方には大変お気の毒だけれども、民間企業で倒産したら退職金はないですよ。せめて引き当ての7割、それぐらいまでは、それはお気の毒だし、いいと思いますけれども、さらにそれを上乗せして支給するということは、倒産のスキームとしては余りにも甘えていると思う。
 今、本当に民間業者は大変で、御承知でしょうけれども、本当に大変な思いをしているんですよ。こんな、公設市場も通さない、お互いにまあまあで任意整理をやるなんてことは、私は許されないと思います。しかも、破産に持っていけば迷惑がかかるとおっしゃっていますけれども、もちろん迷惑はかかります。だけど、今までそれを放置してきた責任がやっぱりあるんだから、それはやはりやむを得ないんじゃないですか。いずれ、県の出資法人は肉牛生産公社だけではなく、最後は県に面倒を見てもらえるというそういった甘えがあるし、それは県だけじゃなくて、ほかの出資者も、最後は県に面倒を見てもらえるという甘えがあると思うんですね。それがこういうスキームになっていると思いますけれども、私は、やっぱり今の県財政を考えたって、それからまだまだ心配な公社もいっぱいありますし、こういうスキームで悪例を残すべきではない。やはり原則に従って、こうなったら破産で処理する方が私はいいと思いますけれども、改めて御所見を伺います。
〇知事(増田寛也君) 2点、今、私の方にお尋ねがございましたのでお答え申し上げますが、まず、第1点の、三位一体改革、あるいはまた、今行われようとしている交付税改革の関係でございますが、交付税は地方にとりまして大変重要な機能を果たしておりますので、これが安易な形で、その制度の趣旨に反する方向で見直しがなされないように、そしてまた、三位一体改革のねらっております、地方分権の中で地方税財源を分権するという、その本来の趣旨、税源移譲をさらに地方に進めていくということが今後も取り組みとして政府もしっかりと行うような強い働きかけを今後していきたいと。そのためにも、地方6団体で戦略を練り、そして取り組みを進めていく、その一員としてしっかりやりたいというふうに考えています。
 それから、次の競馬組合の関係でございますが、先ほど申し上げましたように、見直しを指示したわけでありますが、その内容は、あらゆる項目について適切に見直しをするように指示しております。今、議員からお話がございました売り上げにつきましても、ある程度事業を実施しますとその後の傾向がわかってくると思いますので、その売り上げの問題、それから、先ほどの質問の中にもございました町中場外ですとか、そうしたものの売り上げなども見込んでおりますが、それが今の地域の状況を踏まえて、本当に今後もそれを推進することが可能かどうかも含めて売り上げについては指示をしております。
 また、資産売却については、テレトラックを、県北のものを売却の考え方がございますが、それが将来的に本当に売却が経営に利するのか、資産を維持しつつ経営を改善することがいいのかも含めて、そうした売り上げについてのことも今見直しの項目に入れております。
 あと、大事なことは、今お話ございましたコスト削減のことでありまして、これについては、先ほどの答弁の中で一部申し上げたわけでございますが、トラックの材料のみならず、やはり体制も含めて、よくコスト削減について、本当に自助努力をきわめるように指示をしておりますので、そうした内容についてもう一度よく見直しを競馬組合でしたいというふうに考えています。
 これは、改訂実行計画が競馬議会で議決をいただいているという重みのある計画でありますので、当然見直しに当たっては、他の構成団体とよく協議をして見直しを行うことにいたしたいと思いますが、また、競馬議会を新年度になりましてから開催をお願いいたしまして、その中で、議会の議員の皆様方とも、以前に議決をいただいておりますので、よくまたお話をお聞きする必要があると思っております。
 また、インターネット売り上げの実績などもよく見ていく必要がございますので、そうした売り上げの新しい試みについて、ある程度実績がわかり、どういう傾向になるか判断できる時期になりましてから、その改訂実行計画の見直しの内容について競馬議会の中で十分に御審議をいただきたい、このように考えているところでございます。
〇農林水産部長(今泉敏朗君) 五つほど御質問がございましたのでお答え申し上げます。
 一つは県信連の関係でございますけれども、それは県信連が引き揚げるということではなくて、やはり公社の赤字をこれ以上ふやさないという、その方策の一つとして無利子で不足を貸し付けることにしたというものでございます。当時、信連は、大体0.67から0.54ぐらいの金利を取っていましたので、その分の負担軽減をするということで行ったものでございます。
 次に、長期貸付金の返済を求めないのかということでございますが、信連は公社の定期預金を長期借入金の担保としてございまして、仮に債権放棄してくれと言えば、担保権、そこを行使すると思います。結果として、多分そこの分であいた分が最終的にはまた何らかの形で県の負担に戻ってくるのかなというふうに考えているところでございます。
 次に、牛を公設市場で売るべきではないかということでございますが、確かに子牛、肥育牛を含めて結構な数がおるわけでございますけれども、実は、月齢がまちまちでございます。例えば、今、肥育牛で一番上の月齢というのは大体26月ぐらいのところでございまして、こういったところで一番高く売れるのは月齢が29月ぐらいなんだということになりますと、実はまたそこまで置かなくちゃいけないというものがあります。ですから、こういうばらばらな月齢というものを果たしてぼんと市場に出したときに、本当に正当な価格で売れるのかどうかという問題もございますし、また一方で、まとまった数が出ていったときに、かえって市場がそれでもって急落するということもあるんじゃないだろうかというふうに考えてございます。
 したがいまして、私どもああいった形で委員会をつくって、そこの中での評価ということでお話し申し上げたわけでございますが、いずれ、牛の売却につきましては、私どもといたしましても、今回の処理スキームの中でも唯一現金化できる部分でございますので、適正で、しかも公正な価格で売れるように、かつ、そのプロセスも透明度の高いものにということはやっぱりやっていかなくちゃいけないというふうに考えているところでございます。
 次に、退職金の話でございますけれども、実は公社の理事会の中でもそういう意見は出てございまして、そこのところはやはり、大変今の職員には申しわけないわけでありますけれども、やはり積み上げた額でということで理事会としての意思決定はできているというふうに私は理解してございます。
 それから、任意整理ではなくて、やはり原則にのっとって法的整理ではないのかというお話でございますが、確かに管財人を選定いたしまして手続に入っていった方が客観的であり公正的だという意見はあるわけでございますけれども、ただ、コストと時間がかかります。それと、管財人にある意味でげたを預けるということになりますので、果たして私どもが考えているような形での清算というものができるのかどうか、私は非常に不透明だというふうに思ってございます。仮に牧場の施設が目的どおりの処分ができなければ、恐らく補助金の返還という話も出てきますでしょうし、先ほど議員から御質問のありました牛の問題につきましても、じゃあ、適正価格で売れるまで保管しようとなりますと、今度はその保管料をだれが払うんだ、管理費をどうするんだという話が出てきます。そうすると、結局それがすべて清算費用の中で賄われるということになりますと、やはり結果として今私どもが考えている16億5、000万何がしを超えてしまうことになってしまうんじゃないだろうかというふうに考えているわけでございます。
 したがいまして、その両方を十分私ども比較考慮した上で、やはり今回は任意整理でいく方が円滑に、かつ円満に事務を処理していけるのではないだろうかということでこうした方法を選んだということをひとつ御理解いただきたいと思います。
〇30番(佐々木博君) まず、知事に伺いますけれども、競馬組合の再建実行計画の見直しについてでありますが、先ほども申し上げましたように、やはり今議会で27億円の融資案件を審査する一つの判断材料だというふうに私は思います。本当に売り上げが減でもリストラでやっていけるかどうかというのが私は非常に大きな判断材料になるというふうに思っておりますので、やはりこれは急いでいただかなければいけないと思いますが、どうでしょうか。
 それから、農水部長に申し上げますが、間違いなく金利の減免だったとおっしゃいましたけれども、既に解散することが決まっているところにお金を融資したということは、戻ってくると思わないでしょう。民間企業だったら背任行為ですよ、本当に。これは税金だから出せたんですよ。自分のお金で出せるでしょうか。
 私は、破産にすることによっていろいろそういった御心配もあると。任意整理でうまくいくということはわかります。わかりますけれども、こういった問題は、やはり第三者が間に入って、きっちり公正にやった方がいい。だから破産にすべきだと私は思いますけれども、どうでしょうか。やはり6億何ぼ、じゃあ融資した責任というのは、だれが、どうとるんですか。
〇知事(増田寛也君) 競馬の関係についてお答え申し上げます。
 確かに内容についての見直し、いろいろ多岐にわたるんですが、できるだけ早く真剣にきちっとやらなければいけない、こういう認識でおります。
 一方で、構成団体との中での話し合いが大変重要でございまして、実は、先般の競馬議会でもいろいろ議員の皆様方に御迷惑をおかけしましたが、奥州市が今ちょうど合併した直後でございまして、トップの市長さんがまだきちっと決まっていないといったような状況もございまして、なかなか実態として奥州市さんとの話ができづらいという状況もございますのと、それから、あと、やはり、まず、今の改訂実行計画がございますので、順番とすれば、競馬議会の中でいろいろ御議論いただいた上でそれぞれの議会の方にも御説明するというのが順番ではないかということもございまして、中での、県としての準備作業はいろいろできるところを進めていきたいというふうには思っておりますが、議会なりへ表明しますのは、またそういったことを踏まえて、内容について順次明らかにできるものは明らかにしていきたい、このように考えているところでございます。
〇農林水産部長(今泉敏朗君) 平成15年12月に行革推進プランでもって解散の方向ということが決められたわけでありますが、まだその時点で、公社としてはっきり解散の意思を有するというか、そこを決めていなかったということがございます。仮に解散の方向が出され、それに向けて手続をとっていく、準備を進めていくということにしましても、例えば改良事業の事業継承先の問題、あるいは牧場施設の処分をどうするのかという問題、あるいは職員の再就職先をどうするんだという問題、いずれ解決に時間を要する問題が種々ございます。それとあわせて累積欠損金の処理方法をどうしていくんだというようなこともございます。そういったものがすべて定まらない段階ではやはり解散ということには持っていけないわけでございまして、やはりその間は県としてそこを支援する必要があるだろうという判断で貸し付けを行ったというものでございます。かつ、できるだけ解散時に当たって経費が膨らんでいないようにするためにということで、信連にかわって県が短期借り入れの分を肩がわりしたということでございます。
 それと、どちらがいいか、法的整理か任意整理かということは、さまざま、そこのプロセスにどう取り組んでいくかという問題だろうというふうに私理解しております。やはり最終的に一つの組織がなくなるということは、職員の問題も含めて大変地域社会に大きな影響を及ぼすわけでありまして、私はなるべく円滑に、かつ円満な方法でやはりそこの処理をすべきだろうというふうに思っております。そういったことを総合的に勘案して、私どもとしては任意整理の方法をとらせていただいたということでございます。
 いずれ、これをきちんと仕上げて、周囲に影響を残さないような形で整理するということが私の責務だというふうに考えております。
   
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後 5 時29分 散 会

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