平成18年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇31番(及川幸子君) 民主・県民会議の及川幸子でございます。
 県議会議員になり、8回目の登壇の機会を与えていただきました。心から感謝を申し上げながら、まず、県政における知事の姿勢についてお伺いいたします。
 我が国における我が岩手は、まだまだ、いえ、限りなく可能性を秘めたすばらしい県土であります。しかし、岩手らしさ、岩手の特性を生かした振興策が打ち出されていても、なかなかその成果が見えてこないのが現状のように思います。
 新年を迎え、年頭より国内は、耐震強度偽装問題、ホテル東横イン不正改造問題、ライブドア問題など、どれもこれも国民を愚弄した腹立たしい事件が横行し、また、例年にない積雪で多くのとうとい生命が奪われ、建物の損傷、道路の寸断と、対応に追われる各地の状況が報道されております。
 これでもか、これでもかと、悪いニュースが続く中、ホットな話題が県民に夢と感動を与えてくれました。けさ、すばらしいニュースが届きました。日本初の金メダルをとった荒川静香選手の感動の画像。つらいことがあってもあきらめない、いつかいいことがある。彼女の華麗な姿、印象深かったですね。
 そしてもう一つの感動は、1月7日行われたサッカーの全国高校選手権大会。遠野高校は決勝進出には至らなかったとはいえ、45年ぶりの準決勝進出をなし遂げ、選手たちの熱く燃えたプレーに、心から絶賛の拍手を送ったものです。1、000人もの応援団の熱狂が画面から伝わるとき、思わず大声で声援を送ったのは、多くの県民だったことでしょう。
 知事も、岩手県のトップの遂行者として、心からの声援を送られたことは当然のことと思いますが、東京・国立競技場へ足を運ばれていたのでしょうか。地元遠野市から、大型バス22台で、市民応援団と同校の生徒たち800人が夜行バスで応援に行ったことを知り、全国に岩手県あり、遠野高校ありと名を知らしめたことに、何かしら温かい気持ちになったものです。今後においても、全国の中で、岩手県としての確かな位置づけができることに、率先して県のリーダー増田知事は取り組むべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、常々問題となって取り上げられる天下りについてお伺いいたします。
 国会においては、さきに国家公務員の天下り問題が民主党によって質疑されました。昨年4月から今までの国家公務員の天下りが2万2、093人で、国から天下り先の団体へ、補助金なとどして5兆5、395億円が交付されていることが示されました。そんなとき、余り日を置かないうちに、防衛施設庁発注工事の談合事件で、財団法人防衛施設技術協会の歴代理事長と常務理事、計19人全員が、建設関連会社に天下っていたことが判明しました。この天下りという言葉は、どうもいい感じのしない、嫌われている言葉であり、その意味も、天から国土に下ること、下の者の意向や都合を考えない上からの一方的な押しつけ。特に官庁で、退職後の幹部などを民間会社や団体などに受け入れさせることとあります。
 知事は常々、官から民へと標榜するとき、岩手県における天下りについてどのようにお考えになり、国の状況についてどのように思われるのでしょうか。
 また、リストラや定年後の再就職が困難な民間企業の方々のためにも、県は、率先して天下りをやめる方針を打ち出すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、医療問題についてお伺いいたします。
 昨年11月に、盛岡市太田地区への移転新築を予定している河南病院に、県内初のがん早期発見に有効性が確認されているPETの導入が決まりました。県民からの早期導入が叫ばれ、県議会においても取り上げられるなど期待が大きかったことだけに、一日も早い開設が待たれます。知事は、既に県外において受診されたのでしょうか。県民に要望されても、財政的に導入が困難である現況の中で、県立病院が果たすべき役割を民間病院が導入を表明したことは、時宜を得た取り組みでありました。県としても、何らかの形でこの取り組みに対しての協力や指導が必要であろうと思うのですが、いかがでしょうか。
 また、県立病院や岩手医大への導入の予定はあるのでしょうか。導入した場合の連携をどのように考えているのでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、平成18年度予算についてお伺いいたします。
 平成18年度当初予算案は、前年度当初を3.6%下回る7、398億6、200万円となり、5年連続マイナスの緊縮予算となりました。歳出は、義務的経費が50%を占め、投資的経費の普通建設事業費は、公共事業をさらに厳しく見直し、前年度比19.1%減の1、334億9、600万円。本県の基幹産業である建設業界の涙を誘う予算となりました。
 バブル経済後の我が国の経済対策や、財源不足のため発行した財源対策債などの元利償還金の増加で、公債費の占める割合も21.6%を占め、前年度比1.9ポイント上回り、この公債費はこれからもどんどんふえていく予算編成となることは確実でありましょう。
 県債残高は、平成17年度末1兆4、045億円が初めて減少に転じ、平成18年度末で1兆3、918億円となり、127億円県債が減少することは一定の評価に値しますが、依然、県民1人当たりの借金は100万円を超える厳しい状況であり、その緊縮予算の陰には、計画を先延ばしされた地域からの熱い声が聞こえてくるようです。
 予算編成に当たり、重点施策として、産業振興、人づくり、人口減少社会への対応、地域力の発揮を掲げている中で、産業振興の中の観光振興とは、まさに岩手のよさを全国に発信されていいはずです。その岩手の玄関である花巻空港新ターミナルビルの着工を2年間延期することを、知事は2月6日打ち出しました。観光振興を重要施策と考えるとき、なぜ、知事は42億円の新ビルの計画を10億円台半ばまで緊縮したのでしょうか。まず、この点をお伺いいたします。
 利用客が伸びていないと建設につなげることは難しいとコメントをいたしたようですが、5年先送りになる本事業は、地元に理解が得られているのでしょうか。新空港計画は、今まで何回も何回も回を重ね、さまざまな意見を取り入れて進められてきました。反対意見がありながらの県の計画であったはずですが、この計画は甘かったのでしょうか、知事にお伺いいたします。
 3年前の2月定例会で、私は、財政の逼迫した時期に、盛岡駅西口複合施設の建設を進めるのかという多くの意見が寄せられていることを述べました。つまり、緊急性はどうなのか。他のあいている施設利用、競馬会館の利用等を述べたのですが、その声を聞こえぬまま、駅周辺の混雑したビルの間に、とうとう200億円余りをかけた施設がオープンいたします。
 そこでお伺いいたしますが、自立に向けた基盤を強化するための施策の四つの事項は、18年度予算編成に当たりどれだけ反映されたのでしょうか。緊急性、効率性、必要性をどれだけ重視された予算編成でしょうか。また、歳出抑制ばかりの数値で出されておりますが、確実な歳入増、つまり、自主財源の確保をどのように考えていかれるのか、知事にお伺いいたします。
 次に、公共事業費削減と建設業対策についてお伺いいたします。
 県内の建設投資額は、ピークだった10年前の6割台に落ち込んでおりますが、建設業許可業者数は、10年前の平成8年4、759社あったものが平成17年3月末の調査では5、083社と、本県は324社ふえております。仕事が減っているのに事業者数がふえる。このことから見ても、早急に何らかの対策をとらなければならないと思うのですが、いかがでしょうか。県として、公共事業費削減に伴う県内建設業に対する指導をどのようにされているのか、お伺いいたします。
 また、仕事がない状況の中で、運転資金を回すために採算度外視の低価格落札も見られますが、競争ばかりが激しくなり、調査基準価格も下回る入札が多発している現状ではないでしょうか。県の現状認識と入札適正化についてどのように取り組まれていくのか、お伺いいたします。
 また、昨年は、突然の公正取引委員会の調査を受けた建設業91社に談合疑惑が浮上し、いまだ解決し得ない状況で、県内の経済への影響も懸念されますが、県はどのような指導をしてきたのでしょうか、お伺いいたします。
 1件も受注しない44社も取り調べを受けることになり、一体なぜと、疑問だけが残る問題であります。
 去る2月1日から3日まで、県土整備委員会では、鳥取県、島根県へ調査に行ってまいりました。建設業界に対して、新分野進出の施策を講じている先進県である両県の状況でありますが、島根県においては、土木総務課へ新分野進出支援等の建設産業対策室を設置。支援策を平成15年から18年までの4年間、積極的、集中的に行っておりました。結果的に、建設業許可業者数はふえているものの、新分野進出等の動きも出ており、社会福祉施設の運営、中心市街地のショッピング空きビルへグループホーム施設の開設を3月に予定している建設会社の担当の方は、運営状況を詳細に説明しておりました。
 農業分野進出では、栄養豊富な自然薯栽培の現地視察をしてまいりました。島根県では、建設業者の行う新分野進出のための事業化、市場化の可能性の調査や、研究等に対する助成金として1社当たり50万円を上限として助成するなど、さまざまな取り組みを実施しておりましたが、本県での新分野進出の現況と支援策をお示しください。
 次に、県は、平成9年度に事務事業評価を導入して以来、さまざまな評価制度を導入し、施策事業の一層の重点化、効率化を進めるに当たって、政策等の評価のプロセスをより明らかにしてきたところでありますが、その結果、説明は十分になされているのでしょうか。公共事業評価結果を踏まえて、予算編成時に不採択になった事業等について熱望してきた地域の人たちへ、どのような説明をしてきているのか、その状況をお示しください。
 公共事業評価の対象とならない事業であっても、必要性、緊急性があることを、昨年、地域の要望の中で知りました。10年以上も前から河川の維持修繕として市から県へ上げていた事項ですが、全く音さたもなく年数だけがたってきた中、河川の草刈りなど地区民が年に2回、全員で清掃事業をしてまいりました。流れてきた土砂で川底が1メートルも高くなった場所は、草が生い茂っていたのです。地元住民30名、振興局土木部長以下職員、水沢市の担当職員総勢40名集まり、河川の少ない水の流れを見ながら方策を話し合いました。腰の曲がったおばあちゃんも、手押し車を押し参加していました。
 おら、若い人達勤めさ行ってっから、夜中ずっとここさ来て水番してるのっしゃ。朝までずっと水番してるのっしゃ。この言葉と、米づくりをしている41戸の農家の方々の熱い思いが行政を動かしました。田んぼに水が上がらない。これは農政部の方へと足を運びましたが、河川事業の位置づけで、振興局土木部一本での対応となったわけですが、現地に足を運び地域の声を聞く地方振興局に対して、頭の下がる思いがしたものです。
 地方振興局における対応の一例を申し述べましたが、地方振興局再編で、新年度から水沢は県南広域振興局の拠点となりますが、大所帯となる地域のさまざまな声をどのように受けとめ、これまでのきめ細かいサービスを提供しようとしていくのか、お伺いいたします。
 次に、岩手競馬問題についてお伺いいたします。
 岩手競馬は、昨年度末に、県、当時の水沢市、盛岡市の各構成団体の議会でもさまざまな議論が交わされ、それらも踏まえながら岩手県競馬組合改訂実行計画を策定され、その再建に向けて新たな一歩を踏み出しました。
 その岩手競馬の1年を発売実績の推移で顧みますと、1月時点では約291億円、計画目標に対して97%であり、3月に予定されている特別開催は残しているものの、目標にはいま一歩のところで届かないのではないかと懸念されます。このほか、テレトラックの民間委託、資産売却、インターネット販売やコンピューター更新の準備など、平成17年度に計画したものの中には、計画どおり進捗したもの、しなかったものがあり、改善を求められております。17年度を総括して計画の進捗状況をどのように評価しているのか、まずお伺いいたします。
 また、知事は、昨年、岩手競馬の再建に向けた取り組みを始めるに当たり、17年度、18年度で、再生に向けた道筋をつけたいとの考え方を示されました。18年度はまさに重要な年となります。この重要な年に向けてどのような決意で臨む考えなのか、改めてお伺いいたします。
 岩手競馬の方向性に関するさまざまな議論の中には、発売状況が思わしくない水沢競馬場は廃止すべきではないかとの意見もあるやに聞いておりますが、現時点で、2場体制から1場体制に仕組みを変えることについてどのように考えているのか、お伺いいたします。
 さきの2月補正予算等に係る重要案件説明会を受け、私は、競馬組合は構成団体からの融資、300億円に達する借入金を重く受けとめ、2、800人余りの雇用の場の確保の視点からも、再生に向けて真剣に取り組んでいただきたいのですが、管理者として知事に、今後の体制、方策をお示しいただきたいと思います。
 また、改善することの第一に、経費削減が盛り込まれておりますが、まだまだその努力が足りないと思うのですが、いかがでしょうか。誘客はしたが、売り上げにつながらず今後の対応と述べておりましたが、誘客と売り上げの増額をつなげるための取り組みをお示しください。
 次に、少子化対策についてお伺いいたします。
 昨年、会派における海外視察で、スウェーデンの福祉政策の取り組みを学んでまいりました。働く親が安心して子育てのできる環境づくりを国を挙げて取り組む姿に、訪れただれもが目を見張りました。保健・医療サービスは18歳まで無料、480日間の育児休業、大学教育まで教育費無料等、特にも、ゼロ歳から1歳まで親が子育てをする期間、親の給与8割支給等は、子供を産み育てやすい環境づくりが実践されていることを示しております。スウェーデン方式をすべて取り入れることは国の仕組みを変えなければならないことで、なかなか早急に取り組むことはできませんが、少子化対策として、岩手県として、安心して子供を産み育てられるための施策を打ち出していかなければなりません。少子化の要因として、晩婚化、未婚化、結婚をしても子育てにお金がかかり過ぎて子供を産めないことなどが挙げられます。県において、少子化対策について、男性の育児参加を促進する新たな事業を挙げておりますが、そこには、働く場側との理解を得る点での問題が生じると思うのですが、いかがでしょうか。その取り組みの内容をあわせてお示しください。
 以前から、私は、働く親のために駅前保育所の設置を求めておりますが、なかなか進んでおりません。中心市街地の空き店舗を利用した保育所の分園の設置を積極的に推進すべきと思うのですが、このことは知事演述でも述べられておられるわけですが、述べるだけではなく、既存の施設を利用した早急な子育て支援策を望みますがいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、医師確保対策についてお伺いいたします。
 地域での小児科医、産婦人科医の病院配置の様子を見ますと、決して子供を産み育てやすい環境ではないようです。小児科、産婦人科、両方ともない市町村が、平成16年度では34市町村に及んでおりました。6割弱の地域が、お産であれ子供の病気であれ、隣町まで走らなければなりません。もし、隣町で受診できないときがあったとしたら、4年前の一関で起きた、病院で診察が受けられず子供の命が失われた痛ましい事故が起こり得るのです。人口10万人を抱える花巻市の産科医不足は、ことしもまた深刻です。平成16年の出産数合計は800人程であり、それに対して産科医1人という実情を知るとき、少子化対策も花巻市においてはなかなか解決策が見出せないと思いますが、この現実に県としてどのように取り組まれていくのか、お伺いいたします。
 北上病院との統合が決まっている花巻厚生病院での産科医師対策はどうなっているのでしょうか。平成18年度の小児科、産婦人科ゼロ地区に対する対策はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
 県立病院が不可能であれば、民間病院での小児科、産婦人科に頼むなどして強力な体制をとっていくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 一関の痛ましい事故を受けて、国でも小児科医師対策をとったようですが、国からの指導はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
 新しい生命を誕生させてくれる医師、1人で診られる患者の数には限度があるはずです。土日も休めない医師の現状を見るとき、早急な取り組みを望むものであります。
 次に、農政問題についてお伺いいたします。
 国では、平成19年度から品目横断的政策を導入し、補助対象を認定農業者等、担い手及び農業生産法人等に集約する方向が示されました。そこで、認定農業者の拡大、さらには、担い手の育成と確保が求められるわけですが、平成18年度における数値目標は確実に達成できるのか、ここでは対象とならない小規模兼業農家への対応を含めてお伺いいたします。
 基盤整備を進める中で、財政難を理由として工事を一時休止した地区も今まで見受けられましたが、今後、農業の生産性向上のために重要施策である基盤整備の推進強化をどのように図っていかれるのか、お伺いいたします。
 本県の2005年産米の県南ひとめぼれが、米の食味ランキングで最高位の特Aに評価されました。これは11回目の特A評価で、米づくり農家に自信を与えました。売れる米づくり、ブランド米の全国発信に大いに取り組んでいただきたいと思うのですが、県として誇れる11回目の特Aランキングの県南ひとめぼれを、本県特産品として今後どのような売り込みをされていくのでしょうか。また、世界に向けた岩手ブランド米の販路拡大についてもお示しください。
 BSEの発生でとまっていた北米産牛肉について、政府は約2年ぶりの輸入再開を決めましたが、店頭に並んだとしても、私はこれまでと同様に、その肉をどうしてもスーパーのかごに入れることはできなかったでしょう。いえ、私ばかりではなく、多くの主婦の方々もそうだったと思います。本当に大丈夫なのと疑う気持ちがずばり当たり、消費者を裏切った品々が再び店頭に並ぶことはありませんでした。県として、国に対して意見書を提出しているようですが、国民に対しての安全・安心な食品の確保をさらに強く訴えていくべきと考えるものであります。そして、輸入牛肉に対する不安が高まっている今こそ、いわて牛の振興を図っていくべきと考えますが、18年度の生産促進、販路拡大の取り組みをお示しください。
 最後に、教育問題についてお伺いいたします。
 県教委における新年度予算は前年度比1.5%減でありますが、一般会計に占める割合は20.6%で、前年度に比べ0.4ポイントふえており、県民の強い要望であった30人学級への取り組みの一歩として、少人数学級導入に踏み切っていただきました。運動に参加している一人として、心から感謝申し上げたいと思います。
 人づくりに欠くことのできない教育の充実は、学習指導面、学力向上においても期待をされているところでありますが、去る1月10日から3日間、私は教育問題研究会視察で、福岡県筑紫野中学校を視察してまいりました。基礎学力向上に向けた取り組みの成果が出て、県下でも屈指の名門校でありますが、生徒自身の服装の乱れもなく、授業に集中し明るく元気にあいさつする姿に、指導力のよさを感じてまいりました。教師側に学習指導計画・実施・評価表を提出させ、教師と校長との個々の面談を重ねていること、また、校長は時間のある限り、教室の授業の様子を見て回ることを徹底しておりました。
 そこでお伺いいたしますが、本県における成績向上に向けた取り組みをお示しください。
 1月に行われた大学入試センター試験の自己採点で、本県高校生の総合成績が全国最下位だったことが報道されましたが、小中学生のうちの基礎学力をつけることが重要と考えますが、いかがでしょうか。少人数学級を、昨年、数校モデル的に実施され、その成果のもとに18年度からの少人数学級の取り組みを1年生に実践されました。また、知事は、去る16日の県議会本会議において、35人学級を小学校1年生に導入し、順次2年生への拡充についても検討していくと、心強い所信を表明しております。私は、その取り組みを踏まえ、一日も早い30人学級の実現を望み、どの子も進んで学習ができる環境づくりを今後も取り組んでほしいと思うのです。それについての御所見をお伺いいたします。
 そしてまた、成績向上と同時に取り組まれている大変重要な心をはぐくむ教育の実践はどのようになっているのでしょうか。
 私は、2月16日の新聞の掲載記事を見て愕然としてしまいました。その内容とは、東京の無職少年3人が、母校の小学校で飼育していたウサギを持ち去り、ウサギをサッカーボールがわりにして、子供たちが優しい心で飼育していたウサギをけり殺してしまった悲しい事件の内容でした。3人の無職少年のうち1人は、途中で、涙を流しながら、やめてくれ、やめてくれと叫んでいたそうです。そういう心の片隅に、温かい心を持った少年がまだまだたくさんいるのです。この世に生命を受けた少年たちに、一体何があったというのでしょう。もう一度心をはぐくむ教育を見詰め直し、生命のとうとさ、人を慈しむ心、人を愛する心を失うことがない社会を強く、強く望み、私の質問を終わります。
 御清聴いただきましてありがとうございます。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 及川幸子議員の御質問にお答え申し上げます。
 ことしの正月に、遠野高校が全国高校サッカー選手権大会におきまして全国ベスト4という快挙を達成したことに賛美の拍手を惜しまないものでございます。また、サッカーというスポーツを通じまして、遠野のみならず、岩手の名を全国にとどろかせたということは、県民の皆様方と同じく、ひとしおの感激も覚えたところでございます。
 この準決勝の行われました1月7日は、私は、県内での業務のために試合場には参りませんでしたけれども、この岩手の地から大きな声援を送っていたところでございます。
 全国の中で、岩手県としての位置づけをさらに確かなものとしていくために、さまざまな岩手ならではのすぐれた資源、特徴ある取り組みといったものを、私みずからも先頭に立って、あらゆる機会をとらえて発信していきたい、このように考えているところでございます。
 次に、天下りの問題についてでありますが、公務員の再就職のあり方については、職業選択の自由や人材の有効活用といった点に留意しながら、職務の公正な執行の確保という観点から、行政に対する信頼を損ねることのないように、その適正化に努めることが重要であると考えております。
 国の場合の、省庁のあっせんによるいわゆる天下りは、その詳細を把握しておりませんが、一般論としては、天下り先での高額な報酬及び退職金並びに高齢雇用、さらには官と民の不明瞭な関係などが批判されている、このように認識しております。
 一方、本県におきましては、出資等法人から役員に就任する県退職者の推薦依頼がありました場合には、平成16年1月からは、こちらからの推薦は行わず、原則として、当該団体の事業内容等を勘案の上、岩手県退職予定者人材バンクの登録者の情報提供にとどめておりますほか、退職後に関連団体へ再就職する場合は、在職時よりも低い報酬、そして、退職金も平成14年4月以降は廃止するよう指導徹底をしているところでございます。
 また、民間企業等への再就職ということもあるわけでございますが、こちらにつきましては、透明性と公平性の確保を図るために、先ほど申し上げました人材バンクを活用し登録者の情報を提供することとしておりますほか、総括課長級以上の退職者については、在職中に密接な関係のあった営利企業への再就職は2年間自粛するように要請を行っておりますほか、外部からの職務に関する働きかけに対する取扱要領を内部で定めておりまして、県退職者が在職時の地位等を利用した不正な働きかけがないように、その防止に努めているところでございます。
 県職員の各団体等への再就職につきましては、今後とも、職業選択の自由等を尊重しつつも、行政に対する信頼を損ねることのないように、その一層の適正化に努めてまいります。
 次に、PET整備についてのお尋ねでございますが、まず、私がPETを受診したことがあるかどうかということでございますが、私自身は、県外において1度検査を受けた経験がございます。
 河南病院へのPET整備に対する県の指導でありますが、河南病院側で予定しております平成18年11月の開設並びに適正な運用に向けて、医療法を初め、関係法令上の観点から指導を行っているところでございまして、今後とも、県としても必要な指導・助言を行っていくこととしております。
 また、県立病院や岩手医大への導入等についてでございますが、このPET検査装置につきましては、県立病院で、今、導入に向けた検討を進めることとしておりますほか、岩手医科大学でも導入の意向を持っている、このように聞いております。
 県では、こうしたことを受けまして、平成17年5月にPET検診センター整備に関する検討会を開催いたしまして、今後の本県のPET整備のあり方について検討を行ったところでございます。この検討におきましては、この導入の初期投資や運営経費、また、採算上の問題、相当程度の患者数が求められることへの対応といった幾つかの課題が挙げられたところでありますが、今後、がん医療における医療連携体制の構築も視野に入れながら、PET検査装置の導入を前提に、岩手医科大学、県医師会等と引き続き検討を進めていく考えでございます。
 次に、いわて花巻空港の新ターミナルビル整備を延期したことについてのお尋ねでございますが、このいわて花巻空港の新ターミナルビルにつきましては、これまで、設計等に係る委員会での検討やパブリックコメントを経て計画を策定してまいりました。また、大規模事業評価専門委員会の審議をいただいたところでございます。その上で、整備・運営の主体となります空港ターミナルビル株式会社の自立的な経営が見通せる計画とすることが必要でございまして、建設事業費や財源など整備計画を見直すために整備時期を延期することとしたものでございます。
 この計画につきまして、地元からは早期の着手について要望をいただいているところでございまして、整備計画を見直す必要性につきまして、地元の皆様方に御理解をいただけるように今後も説明を尽くしてまいりたいと考えております。
 次に、平成18年度予算についての考え方でございますが、本格的な人口減少社会への移行や地方分権改革の進展、そして、地域経済の厳しい状況などを踏まえまして、より一層自立に向けた基盤を強化していかなければならない、こういう考え方に立ちまして、自立の礎となる力強い地域産業の振興を初め、地域を担う人づくり、人口減少社会への対応、地域力を生かした取り組みの促進、この四つを重点的に進める政策分野として、今回、予算を編成したものでございます。
 この重点施策を推進していくために、まず、産業の振興におきましては、ものづくり産業や農林水産業の振興など、グローバル化に対応し、広域的な視点による地域産業の振興に向けた取り組み、人づくりでは、産業人材の育成や学校教育の充実など、地域経済社会を支える人材の確保・育成に向けた取り組み、人口減少社会への対応では、子育て支援の充実や、女性の就労と子育ての両立が図られる雇用環境の整備、団塊世代の活用促進など、中長期的視点に立った取り組み、地域力の発揮では、環境、介護などさまざまな分野で地域コミュニティの力が最大限に生かされる取り組み、こうした施策に特に意を用いて予算編成を行ったところでございます。県財政が今極めて厳しい状況にございますので、徹底した選択と集中が不可避である、このように考えておりまして、このたびの予算編成に当たりましても、政策評価の結果を踏まえて、緊急性や重要性、そして効率性も十分に考慮するなどによりまして事業の一層の重点化を図ったところでございます。
 また、自主財源の確保についての所見が求められておりますが、地域経済の活性化による税源の涵養ということで、今後、成長が見込まれる分野の企業誘致や地域からの起業による産業育成、中小企業の経営革新に向けた取り組みへの支援など、地域経済の活性化策等を推進して税財源が確保されるように、今後努めていく考えでございまして、こうした考え方に立って、特に今回の予算におきましては、40の政策における21世紀型の新しい産業先進県の中のいわて自動車産業集積プロジェクトや特定区域産業活性化プロジェクトなどに重点的に予算を措置しております。
 また、新税の導入や県税収入の確保の観点から申し上げますと、いわての森林づくり県民税の創設のほか、法人県民税の超過課税を継続実施いたしますとともに、滞納整理の推進や徴収対策の促進などにより、引き続き県税収入の確保に努めることといたしております。
 次に、岩手競馬の経営に関する問題でございまして、改訂実行計画の進捗状況の評価でございます。主な取り組みのうち、売り上げの関係につきましては、開幕当初、万全の体制がとれませんで低迷いたしておりましたが、その後、回復してまいりまして、11月には計画比で99%まで達したわけでございますが、12月の降雪によるレースの中止や日程変更などが影響いたしまして、その以降低迷をいたしました。特別開催4日間を残してはおりますが、計画した299億円に対して291億円という厳しい状況にございます。一方、本場の入場者数は前年比105%と前年度を上回っておりまして、売り上げと誘客の動向が一致しておらず、営業や優良馬の確保という面で不足があったもの、このようにとらえております。
 また、コスト削減は、計画した16億円にほぼ見合う削減ができる見通しでございますが、項目別に見ると、テレトラックの賃借料の削減が不十分になるなど、今後さらなるコスト削減に取り組むことが必要と考えております。
 さらに、資産売却は、テレトラックつがる、旧盛岡競馬場跡地等は実現いたしましたが、競馬会館の売却は平成18年度になるものと見込まれておりまして、一定のめどは立ちましたものの、当初計画どおりの売却の実現は困難になっている状況でございます。
 平成17年度計画の進捗状況は以上のとおりでございまして、競馬事業関係者や競馬組合職員の努力により一定の成果を上げることはできましたものの、目標達成と言える水準に達しなかったことは、まだまだ努力が不足していたところでございまして、遺憾に思っているところでございます。
 次に、来年度に向けた決意でございますが、平成17年度は、コスト削減と資産売却によって運営資金を確保しつつ18年度に向けた準備を進める期間でありましたのに対して、18年度は、17年度での準備を踏まえて、新たにインターネット発売の導入、新たなかけ式の追加、広域場外発売の拡大という発売関係の新たな取り組みを展開し、岩手競馬の将来に向けた確固たる基盤をつくり上げる年と認識しておりまして、ぜひとも岩手競馬の再生に向けた道筋をつけられるよう、全力で取り組む決意でございます。
 1場体制の仕組みの変更についてでございますが、この競馬場の体制につきましては、改訂実行計画の策定に先立って1場体制も含めて検討しておりまして、現行水準の開催日数を確保する場合には、1場体制は競馬組合の財務状況では対応が難しいとの結論を得て2場体制を前提としているところでございまして、現況におきましては2場体制が岩手競馬の再生に資するもの、このように考えております。
 今後の体制と方策についてでございますが、まず、今後の体制につきましては、現場での事業推進を担っております競馬振興公社の組織につきまして、営業を専門に担当する部署の新設など、執行体制の明確化、強化を図ることとしておりますが、さらに、全体としての県からの支援強化を図ることを考えております。
 また、経費の削減につきましては、競争関係報償費を除く固定的な経費を見ますと、平成15年度に比べ、18年度予算では40%ほど減少しておりますが、18年度におきましても、さらに徹底した経費の見直しをするために、プロジェクトチームを設置いたしまして、発売、清掃の人員配置や走路メンテナンスの材料や方法などの見直し検討を行い、年度の前半には成果を出せるように取り組みを進めることとしております。
 さらに、誘客と売り上げとの関連づけにつきましては、誘客対象を明確にした営業活動の実施、イベント企画や会場配置の見直しによりまして、来場していただきました皆さん方の投票券購入への誘導、リピーターや初心者など来場者の属性に着目した投票券購入のインセンティブの向上など、競馬場に来場したお客様に投票券を購入していただけるような営業の展開を図ることといたしております。
 平成18年度は、岩手競馬の将来に向けた確固たる基盤をつくり上げる年であると認識しておりまして、諸課題の解決に万全を期して岩手競馬の再生を図っていく考えでございます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕
〇県土整備部長(橋本義春君) 公共事業費削減等建設業対策についてのお尋ねであります。
 まず、公共事業費削減に伴う県内建設業に対する指導についてでございますが、県はこれまで、県内各地で開催する地域巡回懇談会等を通じまして、県財政の見通しや県営工事の将来予測について積極的に周知を図りますとともに、建設業が将来にわたって公共事業に過度に依存しない体質の強化を図ることの必要性を説明してきたところでございます。また、建設業協会が設置した経営支援センターと連携し、みずから新分野、新事業に進出するなど経営体質の強化に意欲的に取り組む県内の企業に対しまして重点的な支援を行ってきたところでございます。
 しかしながら、今後、さらなる公共事業の削減が見込まれますことから、来年度には、本庁に総合支援本部、振興局等に総合相談センターの立ち上げを予定するなど、全県的な支援体制を整備することとしたところでございます。
 次に、公正取引委員会の調査を受けた建設業者に対する県の指導についてでございますが、県は、これまでも業界団体等に対し、機会あるごとに企業倫理の確立や独占禁止法等の関係法令の遵守等について要請しますとともに、平成15年度に策定しました建設業振興緊急アクションプログラムにおいても、建設業団体みずから率先して法令遵守と法令違反の再発防止のための仕組みづくりに取り組むことを重点課題として位置づけまして、業界全体のモラルの向上に取り組んできたところでございます。
 こうした状況下において、多数の企業が公正取引委員会から排除勧告を受けたことは、まことに遺憾なことであると感じております。現在は、公正取引委員会において行われている審判の経過を注視しているところでございます。
 次に、本県の新分野進出の現況についてでございますが、経営支援センターと連携して取り組んだ案件としましては、平成18年1月末現在で16社19件となっており、現時点で研究会を立ち上げるなど具体的な動きのあるものを含めますと44社27件となっております。
 また、支援策については、経営支援センターが実施する経営革新講座への参加やアドバイザー派遣、複数企業の共同研究等に対する補助など、企業が真に必要とする要請にこたえてきたところであります。また、今年度、新たに県において、新分野進出等に意欲的、先進的に取り組む企業を対象とした表彰制度を創設しまして、今月、15社を表彰したところであります。
 来年度は、これらの事業に加えまして、本庁の総合支援本部と振興局等の総合相談センターが一体となりまして、全県的に建設業総合対策事業に取り組むこととしております。
 最後に、予算編成時に不採択になった事業等について、地域の皆様へどのような説明をしているかということについてでございますが、県土整備部の事業で不採択となった箇所につきましては、改めて地域への説明を行っていないところでありますけれども、地元市町村との打ち合わせ等において説明しているほか、地域懇談会等や地域からの問い合わせがあった場合には説明を行っております。
 なお、事業の採択、不採択につきましては、当初予算案の公表時に、ホームページへの掲載や行政情報センター及び振興局の行政情報サブセンターに配架し、県民の皆様に公表をしているところでございます。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕
〇総務部長(時澤忠君) 公共事業費削減と建設業対策に関しまして、県の現状認識と入札適正化についてでございます。
 低入札価格調査制度を採用しております設計額1億円以上の工事につきまして、調査基準価格を下回り低入札価格調査の対象となった工事件数は、普通会計で申し上げますと、平成15年度22件、平成16年度21件、平成17年度は現時点で23件となっておりまして、年々工事量が減少する中、県営建設工事をめぐる受注環境は厳しくなっているものと認識しております。
 県では、採算を度外視しましたような過度な安価受注を排除する観点から、平成16年1月に低入札価格調査の抜本的な見直しを行いまして、履行保証割合の引き上げ、前払い金の引き下げ、ペナルティーの強化などを実施いたしまして、また、昨年9月には、下請事業者へのしわ寄せ防止、品質確保の徹底のため、直接工事費の失格基準の見直し、一般管理費等への失格基準の新設、配置技術者の増員の見直しを行ったところであります。
 今後とも、低入札価格調査制度の厳格な運用に努める一方、平成18年度のできるだけ早い時期に、いわゆる品質確保法の趣旨を踏まえました総合評価落札方式を試行することといたしておりまして、価格のみによる競争のほか、価格及び品質が総合的にすぐれた内容の契約がなされるよう入札制度を整備してまいることといたしております。
   〔地域振興部長山口和彦君登壇〕
〇地域振興部長(山口和彦君) 県南広域振興局のサービス提供等についてのお尋ねでございます。
 県南広域振興局は、所管する圏域の面積、職員数とも相当大きな組織となりますことから、広域振興局長以下の職員が、常に現場に足を運び、地域の要望や御意見を伺うという現場主義を徹底していく所存でございます。
 広域振興局全体の企画調整を行う経営企画部が、保健福祉環境部や農林部、土木部、各総合支局などの中心になって、こうした住民の皆さんの声の把握に努め、広域振興局がみずから企画する施策や事業に生かしていくこととしております。
 それから、サービスを提供する体制としましては、旅券の発給や県税の収納などの窓口対応、それから、県政全般に対する相談や消費生活相談など相談受け付け、災害等の緊急時の初動対応や、道路、河川の維持管理など現地での対応が必要な業務等については総合支局、行政センターで実施し、現在のサービス水準を維持していくこととしております。
 また、圏域内の各地域の課題につきましては、これまでのとおり、それぞれの総合支局が現場主義に立って地域の皆さんの御要望や御意見を伺い、きめ細かいサービスを提供していくこととしております。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 男性の育児参加の促進と働く場側の理解の関係でございますが、男性の育児参加を進め、女性の家事、育児の負担軽減を図っていくためには、働き方の見直しなどにより、男女がともに家事や子育てに参加できる雇用環境をつくっていくことが重要と考えておりまして、そのためには、働く場側である事業主の理解の上に立った労働条件の改善等が課題であると考えております。
 このため、新たに中小企業団体等と連携いたしまして、民間企業における次世代育成支援対策推進のための事業主行動計画策定を支援していくこととしておりまして、今年度は、この行動計画策定上、支障となる点などにつきまして、県内の中小企業814社を対象に現在調査を行っているところでございます。
 来年度は、この調査の結果をもとにいたしまして、全国トップクラスの事業主行動計画策定率を目指し、企業へ行動計画策定を働きかけてまいりますほか、企業トップとのトークセッションの開催などを通じ、企業の理解を得ながら、働く場の改善も含めた子育てに優しい岩手県を目指していくこととしております。
 次に、保育所分園の設置の推進についてでございますが、保育所分園は、既存の保育所の機能を活用しながら、別な場所に保育室を新たに設置し、受け入れ定員の拡大を図るものでございます。分園の設置には、保護者の願いの一つでもございます職場の近くに保育所を設置するという保職接近を実現できるというメリットがございまして、県では、その設置を推進することといたしております。
 このため、平成18年度に待機児童解消プラスワン事業を創設し、保育所分園の設置を支援することとしております。この事業は、市街地の空き店舗などを活用して保育所分園を設置しようとする民間保育所に対し、市町村とともに建物の改修費の一部を補助する事業であり、特に保育ニーズの高い市町村、具体的には盛岡市でありますとか釜石市でありますとか待機児童の多い市町村でございますが、こうした市町村による取り組みを積極的かつ強力に支援してまいることとしております。
 次に、小児科、産婦人科の医師確保対策に関してでございますが、まず、花巻市の産科医不足に対する取り組みについてでございますが、県といたしましては、県医師会及び県産婦人科医会の御協力をいただきながら産婦人科医の確保に努めてきたところでございまして、さきにお亡くなりになりました産婦人科医の医院継承が円滑に行われるよう、医療法上の手続などについて御指導申し上げているところでございます。その結果、花巻市の支援もいただきながら、本年4月には、現在閉鎖中の医院を開業する見通しとなったと伺っているところでございます。
 次に、小児科、産婦人科ゼロ地区に対する支援についてでございますが、県はこれまで岩手県医師確保対策アクションプランによる医師確保対策を実施しておりますほか、今般、小児科医及び産科医の確保の一環といたしまして、市町村医師養成事業において、小児科及び産婦人科を選択した場合には義務履行期間を1年間短縮することとしたところでございます。
 ただ、小児科・産婦人科医師の不足は全国的な問題でございまして、公的な病院のみならず、民間の病院においても医師不足の状況が深刻となっているところでございます。こうした中において、国から、当面の対応といたしまして、小児科、産婦人科の医療資源の集約化、重点化の推進が示されているところでございます。
 県としては、県土の広さなど本県の特性をも考慮しながら、医師養成機関でございます岩手医科大学を初め、関係者の御意見を伺いながら、新たに策定する医療計画にその方針を示すよう検討していくこととしております。
 次に、平成14年9月に一関市で発生いたしました非常に不幸な事件の後の国の対応等についてでございますが、国においては、小児救急体制の充実を図ることが必要だということで、国庫補助事業を創設するなど、小児科医師不足を補う支援が実施されてきているところでございます。
 県では、こうした国の施策に対応いたしまして、不足している小児科医を少しでも補うことができるよう、内科医等を対象とした小児初期救急の研修を全医療圏で実施しているところでございます。
 また、県内17病院を情報ネットワークで結びまして、当直医等──必ずしも小児科のお医者さんとは限らないわけでございますので、当直医等が画像通信による小児科専門医の診断助言を受けられる小児救急医療遠隔システムを平成15年度に構築し、平成16年9月から運用開始しております。このほか、小児科勤務経験のある看護師によるこども電話相談を、県医師会の御協力により平成16年10月から運用開始しておりまして、平成16年度は6カ月間で967件、平成17年度はこの1月までの10カ月間で1、866件と、多くの相談をいただいているところでございます。
 今後、こうした取り組みを進めながら、小児救急医療体制を確保してまいりたいと考えております。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕
〇医療局長(法貴敬君) 花巻厚生病院の産婦人科医師の確保についてでありますが、県立病院では、産婦人科医師の確保の困難性にかんがみ、当面は二次保健医療ごとの広域基幹病院に複数体制で医師を配置して、圏域の産婦人科医療を担うこととしており、9病院に23人の産婦人科医師を配置しているところであります。
 岩手中部保健医療圏においては、県立北上病院に常勤医師を配置し、圏域の産婦人科医療の確保に努めてまいりたいと考えております。
 花巻厚生病院については、産婦人科医師の確保が非常に困難でありますので、引き続き週3日の診療応援体制を整備することにより、対応してまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕
〇農林水産部長(今泉敏朗君) 品目横断的経営安定対策の対象となる担い手の確保・育成についてでありますが、県では、平成19年産から導入される品目横断的経営安定対策に誘導する対象として、平成18年1月末現在で、個別経営体約3、000経営体、集落営農組織約400組織をリストアップし、これらの担い手に対する農地利用集積支援や集落営農組織に対する経理の一元化の指導を重点的に実施し、確実に経営安定対策の対象となるよう支援しているところであります。
 また、小規模兼業農家への対応についてでありますが、平成18年度中に特定農業団体や農業生産法人を目指している事例や、これまで組織がなかった集落で新たな生産組合を設立することとした中山間地域の集落など、小規模兼業農家を含めた集落営農の組織化に向けた具体的な動きが出てきております。
 今後も、全県的にこうした動きを加速してまいりたいと考えております。
 次に、基盤整備の推進強化についてでありますが、これまでも、予算の重点化に加えて、工事費の節減や効果の早期発現上、まとまった面積を単年度で整備することが必要な場合には、他地区の面整備を一時的に休止してでも、一気に実施するなどの効率化を図りながら圃場整備を推進してきたところであります。
 今後におきましても、いわてNNスタンダードを初めとしたこれまでの取り組みや、低水圧パイプラインの導入といった整備手法の見直しなど、一層のコスト縮減に加え、新規採択の抑制も考慮に入れながら事業継続地区の整備を推進し、事業効果の早期発現に努めてまいります。
 次に、県南ひとめぼれの販売対策と米の輸出についてでありますが、ひとめぼれは、本県産米の8割を取り扱っておる大手米卸業者から高い評価を得ているものの、県外の小売店を含め、一般消費者までの浸透度が低いことが課題と考えております。
 今後におきましては、大手米卸業者と連携した小売店への売り込みや、ひとめぼれを使用している外食・中食業者に原料原産地表示を要請するなど、総合的な販売対策を講じてまいりたいと考えております。
 米の輸出につきましては、昨年初めて江刺金札米ひとめぼれを台湾に試験的に輸出をし、台北市内の高級デパートで試食販売したところ、台湾産米の最高級品の2倍近い価格であったにもかかわらず好調な売れ行きを見せ、輸出の可能性が見えてきたと考えております。
 今後におきましては、生産者団体が行う台湾への本格輸出に向けて販売促進活動を支援し、販路の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、いわて牛の振興についてでありますが、本県の黒毛和種の出荷頭数は、これまでの畜産振興の取り組みの成果もありまして、ここ数年、年間約2万頭前後で推移しており、このうち9、000頭前後を東京食肉市場に出荷しております。これは、東京食肉市場における和牛の屠畜頭数の約16%を占め、全国一のシェアとなっており、市場関係者からは、質の高い肉用牛を安定的に供給する産地として、高い評価を得ているところであります。
 平成18年度におきましても、引き続き優良牛の確保、経営対策などにより安定的な生産出荷に取り組み、東京食肉市場を初め、県内外の市場などでの銘柄牛産地としての地位を生かしながら、安全・安心で質の高い牛肉を消費者に提供してまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、小中学校における成績向上の取り組みについてですが、各学校においては、子供たちが、どの時期に何を身につけるのかを明確にした年間指導計画に基づいて毎日の授業を行っております。授業では、子供たちが基礎・基本を身につけることができたかを把握しながら、つまずきが認められる場合には再度学習する機会を設けるなど、その解消に努めているところです。さらに、子供たちの実情に応じて、授業時間外に漢字や英単語の習得でありますとか、計算力の向上などにも取り組んでいるところです。
 また、県教育委員会では、学習定着度状況調査により明らかになった、必ずしも定着が十分でない学習内容については、教員の授業力を向上するための教員研修を実施するとともに、担当指導主事が各学校を訪問し、直接指導をするなどしているところです。
 次に、基礎学力をつけることについてですが、基礎学力をつけるには、何よりも子供たちが新しい発見や気づきを体験しながら、学ぶ楽しさを感じ、知的好奇心を持って学習に取り組み、その達成感を味わうことが大切であると考えております。このため、各学校においては、子供の興味・関心を高めるための授業の工夫や改善などに一層努めるよう指導してまいります。
 さらに、地域のボランティアの皆様の御協力をいただいて、放課後を活用した補充授業や中学校における数学、英語の学力向上のための選択教科の時間の活用など、さまざまな工夫を凝らしながら、子供たちの基礎学力の定着を図ってまいりたいと考えております。
 次に、少人数学級の導入についてですが、少人数指導と少人数学級についての総合教育センターによる2年間の研究により、それぞれの特性や効果が明らかになりました。特に、少人数学級については、小学校入門期における基本的生活習慣や学習習慣の確立に効果が見られたことから、平成18年度から、小学校1年生に35人学級を導入することとしたところです。
 小学校1年生において、35人学級が導入される県内30校においては、1学級に18人から30人程度の学級が実現することとなります。また、その他の学校の30人を超える学級においても、2学級に1人の割合で、すこやかサポート非常勤講師を配置することによりまして、実質的に30人以下の規模の学級が実現することとなり、県内の小学校1年生の全学級できめ細かな指導を進める環境が整うこととなります。今後においては、35人学級を順次2年生へ拡充することについて検討してまいります。
 これからも、本県の少人数教育は、少人数指導と少人数学級、それに、すこやかサポート非常勤講師の配置により、子供たち一人一人に対するきめ細かな指導の充実を図りながら、どの子も進んで学習できる環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、心をはぐくむ教育の実践についてですが、学校教育においては、社会の中でたくましく生きていく力、すなわち、確かな学力、豊かな人間性、健康や体力のバランスのとれた力を育てることが重要であり、とりわけ、豊かな人間性、すなわち、心をはぐくむ教育は、調和のとれた人間形成を目指す上で欠くことのできないものであります。
 各学校においては、豊かな人間性をはぐくむため、総合的な学習の時間や道徳の時間などを活用し、小学校においては、動植物を育てることや福祉施設への訪問、中学校や高等学校においては、介護体験や乳幼児との触れ合い体験、地域への奉仕活動などを実施し、他人を思いやり慈しむ心や、自然を愛し美しいものに感動する心などを育てているところです。子供たちの中には、命の大切さや他人を思いやることなど、頭では理解していてもなかなか行動に移すことのできない子もおりますので、今後、教育活動全体を通じて体験活動などをさらに充実させ、子供たちが自分の判断により正しい行動ができるよう、指導してまいります。
〇31番(及川幸子君) それぞれの質問に対しての答弁をありがとうございました。
 知事に絞って再質問をさせていただきます。
 県政における知事の姿勢についてお伺いしたわけですが、遠野高校のサッカー、そのときの知事の様子をお聞きしました。大きな声援を送ったというのは、画像の前で送ったのか、どこかの部屋で送ったのか、ニュースの結果を聞いて、その後感動したのかわかりませんけれども、予定があったということですが、私が言わんとすることは、そのように、県の中で、全国の中で、岩手県として大きな位置を占めるべきすばらしいことの試合に、知事がどのような思いで岩手県遠野高校頑張れと、準決勝に向けて声援を送られていたのか、県政の遂行者としての知事のお気持ちを確認したかったわけですが、知事がさまざまな県政の中で推し進めていることに、国政の中でそして県政の中において合併推進が進められてまいりました。平成17年度は宮古市、八幡平市、一関市、遠野市、西和賀町、平成18年度、花巻市、洋野町、二戸市、盛岡市、そして2月20日誕生したばかりの我が奥州市。開庁式においては午前8時、晴天の中で職員が勢ぞろいいたしました。奥州市庁舎前で、多くの職員の前で、知事の祝辞が読み上げられましたが、それは残念ながら代読で、地方振興局の局長がなさったわけでございます。
 そこで、私は知事に求めます。
 地域の人々が今までの市町村へ別れを告げ、時には涙の中で閉式が行われました。それぞれの育ってきた市町村に別れを告げて新市に思いを託した開庁式のその日、知事は午前9時15分──予定を見させていただきましたが、中国医科大学の医師の訪問を知事室で受けておりますね。
 合併に至るまでの経過、時には怒り、時には悲しみ、人と人との心を揺るがした合併の道のり。合併した今も、まだ、しこりの残る人々がいるのです。知事は、合併は人ごとだったのでしょうか。そういう人々の気持ちを、どれだけわかっていたのでしょうか。なぜ地域に顔を出し、合併した市町村へ喜びの声をかけてやれなかったのでしょうか。
 この平成17年度、18年度合併したそれぞれの町村に聞きますと、市に聞きますと、知事の出席はされていなかったようでございます。知事のその胸のうちをお聞かせください。1カ所に出れば全部出なければならない、それならまずいだろうという、そういう思いなのか。合併したのは市町村であって、県の指導は側面からだよと、そういうのでしょうか。ぜひ、その点をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、花巻空港整備計画ですが、知事は、再三、産業振興の中の観光振興策を何度も繰り返されて述べております。そして先ほどの答弁によりますと、地域の振興、産業振興、そういうところでずっとずっと述べているわけですが、中小企業の振興、地域の経済が活性化できる、そういうことを述べられるならば、岩手の玄関口である花巻空港があの状態では、産業の振興、そして全国から岩手に呼び起こすことができるのでしょうか。海外のお客様を、今誘客する運動が展開されております。そういう国外に向けたお客様を、どのようにして花巻空港へお呼びできるのでしょうか。そして、岩手のよさを呼び起こすことができるのでしょうか。こういう状態でありますと、他県にすべてお客様がとられてしまいます。観光客がとられてしまいます。知事の今まで計画されたこと、余りにも唐突過ぎた変更計画。地元の人は納得いかないと思います。もう一度知事の御答弁をお願いいたします。
〇知事(増田寛也君) お答え申し上げますが、まず合併の関係でございますけれども、県内各地域で新しい市、ないしは町が誕生しているわけでございますが、新しい門出でございますし、それには旧市町村の閉庁といったようなことも伴うものでありまして、地域にとりまして、大変大きなそれぞれの節目であろうと、このように考えるわけであります。これまでに開催をされましたそういう新しい市の門出に当たりましては、私は、合併記念式典というのがそれぞれの地域で開催をされますので、そちらの方に出席をしてお祝いを述べると、こういうことで対応をいたしているところでございまして、八幡平市、一関市、遠野市、それから盛岡市というところで式典、そして祝賀会が行われておりますが、そうしたところでお祝いを述べさせていただいております。宮古市だけ出席をしてございませんが、この合併記念式典がちょうど全国のスポレク祭と重なりましたものですから、副知事と手分けをいたしまして、私は全国スポレク祭の方に顔を出させていただいたところでございます。
 今後も幾つか予定をされるようでございまして、当然のことながら、業務につきましては他の業務との内容の吟味をして考えてまいりますので、その日程等の都合によりましては出席いたしかねるものも出てくるかもしれませんけれども、極力、そうした新しい門出のお祝いの席には県の人間が出て、でき得れば私が出てお祝い申し上げるということで対応していきたいというふうに思っております。
 それから、いわて花巻空港の整備の関係で、これは県の観光振興策の一つの拠点であることは今お話しのとおりでございます。当然、この整備を延期するということによりまして、観光の関係につきまして、特に海外からの観光客の受け入れにつきまして支障が出てくる可能性、懸念が予想されております。海外につきまして、特に台湾からのお客様につきましては、今、航空会社の中で機材を今のものよりも大きな機材に切りかえる動きがあるので、直接的にはそこに影響が出てくるかということが懸念をされます。
 国内につきましては、一方で、今、別の意味で新たな誘客のための戦略を立てなければいけないということを考えているわけでございまして、これにはかなり今後お金も投じていかなければならないと思っておりますので、そのことも含めて、今少し時間をいただいて、また新たな観光振興につながる策を立てたいと。
 それから、海外の関係につきましては、他の航空会社で花巻空港に入る機材を使って送客をしていただける方のところの掘り起こしを行うと同時に、これにつきましても、また私どもの方で、今の入っております例えば台湾から来ておりますお客様への魅力の売り込み、PRをして、他県の空港に入りましても、必ず岩手県の方にはお客様を送客をしていただけるだけの県内の観光地の魅力がございますので、そうした誘客活動をすることによって、観光振興に影響の出ないようにしていきたいと、このように考えているところでございます。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、佐々木俊夫君。
   〔51番佐々木俊夫君登壇〕(拍手)

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