平成18年9月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(高橋雪文君) 自由民主クラブの高橋雪文でございます。自由民主クラブを代表いたしまして、緊急質問をさせていただきます。
 富山県の県立高校で必修科目とされていた世界史、地理、日本史などの一部授業を実施しなかった問題を受け、岩手県の県立高校でも同様な事例があることがただいまの報告で明らかになりました。
 受験シーズンを間近に控えた高校3年生のみならず、県内の県立高校生、父兄、全国の大学、就職先などに影響を与える大きな問題だと言えます。今後、本日の17時以降、その詳細について事実がわかると思いますが、岩手県の教育行政の信頼を大きく損なうことであり、その対策を考える上で幾つか質問をしたいと思います。
 まずは、現在までにわかっている該当学校数、並びに現在在学中で、対象になるだろうと思われる生徒数を明らかにしていただきたいと思います。
 また、来年3月に卒業見込みの対象者は卒業できるのかどうか。これについては先ほども御答弁がありましたが、できるだけ卒業できるように努めていただきたい、かように思うわけでございます。そして、履修科目については、学習指導要領に定められた一定の拘束力があると言われていますが、県教育委員会は、その点についてどのように考えておられるのでしょうか。今回のような事例では、このままでは卒業したと認定できるのかどうか、質問をいたします。
 また、以前から、先ほどの議論では4年ほど前ということでございますけれども、このような事例があるということですが、今の、現在の調べている状況から、いつごろから行われているのか、はっきりさせていただきたいと思います。その対象となる卒業生は何人ぐらいになるのか、その卒業生は正式な卒業生と認められるものか、文部科学省などの見解などがありましたらお知らせいただきたいと思います。
 また、先ほども佐々木博議員から御指摘がありましたが、その卒業した対象者は、大学に入ったり予備校に通ったり、就職した者もいるわけでございます。その対象者は卒業資格が本当にあるのかどうか、それを明確にお伝えいただきたいと思います。そして、その対象者の扱い、どのようにその対象者に報告をし、さらには、大学や職場に対してどのような報告をするのか、お知らせいただきたいと思います。
 次に、正式に卒業するために履修の追加が必要と思われますが、これらの該当者に対して今後どのように対応するのか、お知らせいただきたいと思います。
 次に、富山県の県立高校では、実際にはとっていない必修科目を履修していたように指導要録を作成し、虚偽報告をしていたと言われております。岩手県においては、どのように取り扱われ、教育委員会にはどのような報告がなされたのでしょうか。また、大学や就職企業に対する成績表はどのように記載してあったのか、お知らせください。
 今回、報道等によりますと、複数校が対象となっているようでございます。複数校あるということの点を見ても、教育委員会はこの事実をある程度知っていたのではないかと思われますが、その事実を知っていたのでしょうか、お知らせください。
 一般には、学校長に運営上の責任があると言われておりますが、その責任所在はどこにあると考えておられるのでしょうか、現段階の教育委員会の考えをお知らせください。
 何よりも必要なのは、今後どうするかでございます。今後、教育委員会は、各高校に対してどのような指導をしていかれるのでしょうか、その抜本的な対策方法についてお知らせいただきたいと思います。
 以上、質問を終わらせていただきますが、今回の事件は、岩手県のみならず、全国に影響を与える問題であり、教育界の信用を低下させるものであります。早急に事実関係を明らかにし、信頼回復に、岩手県、この行政すべてを挙げて取り組まなければならないことであります。
 今後の活動において、適切な処理をしっかり行うことを期待して、質問を終わらせていただきます。御清聴いただきましてありがとうございました。
〇教育長(照井崇君) 8点ほど御質問がございました。
 まず、1点目の、現在までわかっている該当学校数等でございますが、現在までわかっているのは盛岡第一高等学校です。それ以外あるかどうか、現在調査中でございます。
 次に、来年3月に卒業見込みの対象者は卒業できるのかどうかということですが、いずれ卒業できるように、必履修科目を履修させるよう、授業時間を確保して確実に卒業ができるように、学校で全力を挙げて取り組むよう指導してまいります。
 それから三つ目に、学習指導要領の関係の御質問でございますが、学習指導要領は法的拘束力がございます。したがいまして、各高校におきましては、学習指導要領に沿って学習指導計画を立てる必要があります。いずれ、今後、各学校に対し、必ずこの学習指導要領に沿って授業等を編成するよう指導してまいります。
 それから、今回の事例で卒業したと認定できるのかどうかにつきましては、今申し上げましたけれども、必要な単位数、これが卒業者全員修得しているのかどうか、これらがしっかりなされているのかどうか、そこら辺までを確認しながら進めてまいりますが、この必履修科目との関係については、もう一度その辺しっかり確認の上、対応していきたいと考えております。
 それから、以前からこのような事例があるのではないかと、いつごろから行われているかというような御質問でございますが、これについては、そういうことで調査中でございます。
 それから、卒業生等に対する説明等でございますが、これについては、そういった法的な、その辺問題がないかどうか等しっかり確認して、きちんと説明してまいりたいと思います。
 それから、大学や企業に対する成績表、これについては現在調査中でございます。
 それから、正式に卒業するために履修の追加が必要ではないかということですが、これにつきましても、在校生については、そういうことで確実に卒業できるように適切に対応してまいります。
 それから、7番目の富山県の事例等でも虚偽報告ということなんですが、いずれ、盛岡一高の場合も履修していたというような報告を受けていますので、これはまさに事実と異なっております。教育委員会は、この事実を知っていたかということですが、本日まで、全くその事実はわかりませんでした。
 それから、この責任ということですが、これは、学校のトップである校長にまずあるというふうに考えております。
 それから、最後に、今後どのような指導をするのかということですが、いずれ、先ほど申し上げたように、学習指導要領にきちんと沿って、厳正に対応するよう指導してまいります。
〇10番(高橋雪文君) ありがとうございました。非常に混乱している中で、情報も不十分で、ないということで、非常に御苦労されているという点は理解できますが、二つほど再質問をさせていただきたいと思います。
 一つ目は、今、3年生は受験シーズンである。それに対して、今まで学校の運営上の過失で新たに負担を強いるということは、果たしてどんなものかということがあります。その点については今後とも協議しなければならないと思うんですが、やはり受験を控えている学生にとって今一番重要なことは、私は受験だと思うんです。それに対して、やっぱりある程度配慮も必要だろう、そういう努力をしていかなければならないだろうと。履修というところは、確かに法的な根拠もありますし、やらなければならないことでありますけれども、その点もぜひ考慮いただいて、カリキュラムをしっかりとやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、今回の問題は、やはり学習指導要領に定められている、一定の拘束がある、その法の範疇を越えて、独自の判断で教育が進んでいるというところにも大きな問題があるのではないかというふうに思います。特に、指導要録というものがございまして、それに対して虚偽報告をしている。また、履修していない科目にもかかわらず、大学や就職企業に対する成績表など、多分、これにどう記載しているかは今後でしょうけれども、いわゆるその中でも虚偽がある可能性がある。こういうところを考えていくと、やはり教育委員会としては非常に重要な問題をはらんでいるんだということをぜひとも認識していただきたいと思いますし、その点についてどのように考えておられますでしょうか。そして、先ほど、教育委員会はその事実を知らなかったということでありますけれども、やはり1校だけではなくて複数校が対象になっている可能性があるということ。そして、教育委員会の人事交流で先生方も頻繁に交流しているわけですから、その中で、やはりある程度の情報なりは入っていたのではないかというふうにも私は感じるところであります。いずれにせよ、その辺もきちっと精査をしていただいて、今後対応していただきたいと思うわけでございますが、この虚偽ということに対してどのような見解があるか、その点をお知らせいただきたいと思います。
〇教育長(照井崇君) まず、受験生に対する配慮ということですが、いずれ、やはりこの問題は、まず何といっても生徒、保護者の皆様の御理解を得ることが必要かと思います。ですから、各学校においては、まずは今回のこうした事態、問題がどういうものであったのか、どういう背景からこういうことがされてきたのか、その辺をきちんとよく説明し、そして、今後については、やはり生徒や保護者の御意見も十分お聞きして、特に、子供のためになるといいますか、子供にとってどういう今後の対応が一番ベターなのか、ベストなのか、そこをしっかり考えて対応していただくよう指導してまいります。
 それから、二つ目の虚偽の報告ということですが、これは絶対あってはならないことであります。とりわけ学校は子供たちに、うそはいけない、悪いことをしてはいけないとそもそも教えているところが、そういう虚偽の報告をするということは、これはもうあってはならないことであります。
 私どもとしても、いずれ、こうした問題がほかにもないかどうか、今後とも各校長等にしっかりとその辺をお聞きして、二度とこういうことがないよう指導してまいりたいと考えております。
〇10番(高橋雪文君) 先ほど、学習指導要領の中で一定の拘束力があるというふうにお話をしまして、そのとおりであるということを受けました。
 それで、先ほども照井教育長の方から、必修科目については云々、これから調査ということで、74単位以上あれば、まず卒業できるのではないかということでありますけれども、その点がやはり非常にあいまいであろうと。そこをきちっとしておかないと、多分、これからの卒業に向かう生徒も、もう卒業した方々も、やはりどこに基準があるのかわからない。もしかすると卒業対象にならない可能性も十分あるわけであります。その辺、法と、単位もしくは履修科目、この点について改めてお聞きしたいと思いますが、どのような認識を持っておられるのか、教えていただければと思います。
〇教育長(照井崇君) 学習指導要領の解説によりますと、高校の場合は、卒業までに修得させる単位数、これは74単位以上とされております。それで、この必履修科目と卒業に必要な単位数の関係でございますが、解説によれば、学校においては、必履修科目は当然ですが、必ず教えなければならないのですが、この必履修科目の単位を必ず修得することが、必要な74単位の中に含めるべきこととはされていないというふうな解説があります。すなわち、履修することと、卒業までに必要な単位の、何といいますか、修得ですね、これが解説によれば、必ずしも含めるべきこととはされていないというふうなことになっておりますので、ここを文部科学省等の見解もきちっと把握して、いずれ対応していきたいと思います。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、伊沢昌弘君。
   〔37番伊沢昌弘君登壇〕

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