平成18年9月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇31番(佐々木博君) ただいま教育長からも報告がありましたが、本県の県立高校において、学習指導要領で必修とされている科目の授業が行われていないということが、本日、昼、報道で知りました。
 昨日、富山県立高岡南高校で、現在の3年生の約8割に対し、学習指導要領で必修とされている世界史の授業が行われておらず、さらには、世界史を履修した生徒も、必修の日本史かあるいは地理を履修していなければならないのに、その履修を行っていないため、このままだと、3年生全員が卒業できないおそれがあるという報道があり、非常に驚いたばかりでありましたが、まさか本県においても同様の事態があろうとは、想像だにいたしませんでした。
 具体的に伺いますが、高校の地理、歴史では、学習指導要領で、世界史は必修、ほかに日本史か地理どちらかを選択し、あわせて2科目を履修しなければならないと定められているにもかかわらず、盛岡一高においては、地理、歴史の授業で、普通科の理系のクラスと理数科のクラスで1科目だけを生徒に選択させていたということであります。したがって、必要な授業を受けていなかった3年生192名は、このままでは卒業できないとのことであります。また、同様なことが、同校を含めて県内8校で行われているということも報じられておりますけれども、県教委は、この実態を現在どこまで把握されているのでしょうか。
 また、高校では、必要な科目は履修していると虚偽の報告をしていたということでありますが、県教委は、この事実について全く気づかなかったのか、お伺いをします。
 ところで、3年生は、卒業まであと5カ月を余すのみでございます。非常に時間のゆとりが少なくなっている中で、全員を卒業させるということは可能なのでしょうか。また、もし、卒業させるとしたら、そのためには、よほど無理したカリキュラムを組まなければならないと思うのでありますが、どういった対応が考えられるのか、お伺いをいたします。
 また、このことが、少なくとも4年前から行われていた旨報道されておりますが、もしそうであるならば、決められた科目を履修しないまま卒業した卒業生が相当数いるわけであります。その卒業生の卒業の効力はどうなるのか、影響がないのか、あわせて御所見をお伺いしたいというふうに思います。
 さらに伺いますが、今回はいわゆる社会科の科目でのごまかしがあったわけでございます。しかしながら、考えてみますと、他の科目でのごまかしというものも考えられないわけではありません。例えば、理科の科目の現在の必修というものはどのようになっているのでしょうか。そして、ごまかしの可能性はないものなのか、あわせてお知らせをいただきたいと思います。
 今回の報道によりますと、高岡南高校においては、受験に必要な科目に絞って勉強したいとの生徒からの希望を受け入れたために、こうなったというふうに報道されております。それが、決して正しいやり方ではないにしろ、生徒の希望があったということも、また事実なようであります。
 本県においては、こうしたごまかしが行われた場合、生徒からの要望があって行われたのか、あるいは、一切、生徒たちに知らせないまま行われたのか、大変大切な問題だと思いますが、どのように認識されているのか、あわせてお伺いをしたいというふうに思います。
 私は、今回このような事件が本当に、先ほどの教育長の報告のとおり、あってはならない事件が起きたことに対して、大変な憤りを感じておりますし、また、非常に残念に思っておりますが、さまざまな要因が考えられるだろうというふうに思っております。
 そして、そのうちの一つといたしまして、よく現場の声を聞くわけでありますが、学校が週5日制を導入してから授業時間の確保に大変厳しい思いをしているという、そういった声も聞くわけでございます。この週5日制が、今回のこういったごまかしの要因に、私は大きな要因となっているのではないかと思うところでありますが、この点についてどのように考えているか、あわせて御所見をお伺いして、緊急質問とさせていただきます。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) 何点か御質問がございましたが、まず、実態を把握しているかということでございますが、ただいま冒頭に申し上げましたように、詳しい実態、状況について現在調査中でございます。
 次に、在校生の卒業は大丈夫かということでございます。富山県立高岡南高校のように、今のままでは大変卒業に支障が出てまいりますので、この必履修科目を履修させるよう、授業時間を確保して卒業できるように、いずれ、全力で努めてまいります。
 それから次に、卒業した者の効力はどうかということでございますが、既に校長が修了を認定しておるわけですが、今後、これがどのような問題が出てくるのかどうか、これらについても各学校と──今は盛岡一高が判明しているわけですが、その高校にもその辺の事情をよく聞いて、今後、適切に対応するよう努めてまいります。
 それから、社会以外の科目でもそういった同様の例はないかということでございますが、いずれ、現在これは調査中でございます。
 それから、こうなった原因ということでございますが、盛岡一高の場合について聞いたところ、盛岡一高では、日本史や世界史などのいわば授業時間数、これが大変不足していて、どうも年間でこの教科書の全範囲を修了できないという、そういう事情があるということ。そのために、1科目を修了するのが精いっぱいであって、そこで受験科目に絞って対応してきたものと、このように聞いております。
 週5日制との関連については、今後学校側と、その背景にあるのかどうか、これについて詳しく聞いてみたいと思います。
〇31番(佐々木博君) まず、答弁漏れがあるんですが、理科の必修科目がどうなっているのかという質問をしていましたので、そのことについて御答弁をいただきたいというふうに思います。
 それから、大変突発事態でありまして、いろいろ情報収集されているのに時間がかかるということはよくわかりますが、しかしながら、報道機関はもう既に県内で8校あったとか報道されているわけですよね。ですから、慎重に調査をされているのだと思いますけれども、本当に異常事態でありますから、速やかに情報収集をして、スピーディーに対応していただいて、そして詳しく御報告いただけるように、お知らせいただけるように、ぜひともしていただきたいというふうに思います。
 それで、まず一つは、盛岡一高の場合、日本史だとか地理の授業時間の確保が難しかったというお話がございましたけれども、県内の学校、全部一緒だと思うんですよね、授業時間については。盛岡一高だけが私は授業時間の確保が難しかったわけではないだろうというふうに思います。
 学校現場のお話を聞いてきますと、週5日制になってから──授業以外のいろんな学校行事もあるわけですね。体育祭だとか文化祭だとか、いろんな行事がありますけれども、非常にそういった行事もしわ寄せが来ているし、授業時間の確保にも大変苦労しているというお話をかなりたくさんの方々から実は伺います。多分、私は小学校や中学校でもそうじゃないかなと思うんですが、いずれ、高校の現場の声を聞きますと、そういった声を実はかなり伺います。実態は、私はそのとおりじゃないかなというふうに思うんですね。実際、夏休みだとかそういったときにも、学校の先生方も補習をされたりして、結局授業時間が足りない分、先生方も一生懸命努力をされて補習で埋め合わせをされたり、そういったのが実態ではないかなというふうに思いますけれども、いずれ、私自身は、これ、週5日制が一つの大きな要因になっているのではないか。少なくとも、以前にこういったことがなかったとすれば、余計、そうなんじゃないかなというふうに思いますので、その辺はきちっと検証をしてみていただきたいと、そのように思います。
 それから、既に卒業した卒業生の卒業の効力ですけれども、今教育長、適切に対応されるとおっしゃいましたけれども、適切に対応されると言っても、具体的にどうなのかということは全然わかりません。普通考えますと、必修で履修しなければいけない科目の履修をしていなかったわけでありますから、下手すると卒業取り消しなんていうこともあり得る、話としては、可能性としてはあり得るんじゃないかというふうに思います。ただ、もしそんなことになりますと、もうそれぞれみんな、進学したりあるいは就職している方もいるかもしれませんけれども、大変な混乱を起こすと思うんですね。ですから、卒業の効力の取り消しというようなことは、私はあってはならないことだというふうに思いますけれども、しかしながら、そこもまだ確信が持てないわけでありますから、そのことについては、やはり卒業の効力の取り消しなどということにならないように、ぜひとも御努力をいただきたい、そのように思います。
 それからもう一つですが、在学生あるいは卒業生の話を今私言いましたけれども、私、一番実はこのことで悩んでいるのが、今浪人していて、来年また大学を目指そうとしている大学受験の浪人生の皆さん、この方々が今一生懸命、多分受験勉強に励んでいるんだろうと思いますけれども、一方で、卒業資格がどうなるかということを――在学生だったらまだ補習で可能性がありますけれども、その方々、本当に悩んでいると思うんですよ。それで時間がないわけですから、この卒業生の効力も余り時間をかけるわけにいかないと思いますので、できるだけ速やかに対応していただくように、これはぜひともお願いをしたいというふうに思います。
 以上であります。
〇教育長(照井崇君) まず一つ目の理科については、そういうことでその実態、調査中でございます。
 それから二つ目、いずれこれはスピーディーに対応します。
 それから、三つ目の週5日制等との背景等でございますが、これについては、いずれ学校とその辺の背景なり事情にこの辺の影響があるのかどうか、しっかりと聞き取ってみたいと思います。
 それから、四つ目の卒業生と必履修科目の関係なんですが、学習指導要領の解説によりますと、生徒は必ず必履修科目というものを履修しなければならないんですが、何か今は、それが単位のイコール修得ということではないようなんです。ですから、卒業の場合は必要な単位数を修得していればできるんですが、現在、74単位以上というふうになっているんですが、この辺の関係をいずれしっかりと調べて、検証して対応していきたいと思います。
 それから、在校生については確実に卒業できるよう、しっかりとこの辺は必履修科目、きちんと履修して卒業できるように努めてまいりたいと思います。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、高橋雪文君。
   〔10番高橋雪文君登壇〕

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