平成18年9月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号、第4号に反対の討論を行います。
 認定第4号は、2005年度岩手県一般会計決算であります。これは、増田県政の3期12年の実績を問うものでありました。一言で言うなら、1兆4、000億円を超える県債残高、競馬組合事業の破綻に見られるように、完全に行き詰まった県政だったと言わなければなりません。
 反対する第1の理由は、小泉構造改革路線のもとで、急速に広がった貧困と格差拡大を容認する県政となったことであります。今、ワーキングプアが重大な社会問題となっています。これは、どんなに働いても貧困から抜け出せない人たちであります。その根本に派遣や請負、期間工やパートなどの非正規雇用の拡大があります。青年の2人に1人、女性の2人に1人が非正社員であります。
 私はこの間、県内最大の誘致企業である関東自動車岩手工場おける非正規雇用の実態を取り上げてきました。9月県議会においてやっと、従業員が2、850人で、正規社員が1、400人弱であることが明らかになりました。この間、1、000人を超える採用がありましたが、ほとんどは1年雇用の期間工であります。その実態は、昼夜2交代勤務で、残業がなければ月18万円という悲惨なものであります。今回、期間工から年間40人以上正社員に採用することが示されました。ささやかな一歩前進ですが、県内誘致企業における非正規雇用の実態を明らかにして、正規社員への登用を力強く進めるべきであります。
 また、派遣・請負などの劣悪な労働条件の改善に取り組み、偽装請負などの無法を一掃することも緊急の課題であります。就職支援相談員やジョブカフェへの取り組みは一層拡充すべきであります。
 介護保険の改悪や障害者自立支援法は、弱い者いじめ、弱肉強食の政治の典型であります。介護施設入所者は、食事代、居住費代が全額負担となって、既に56人が退所を余儀なくされています。10月からは、千数百人の介護度1以下の軽度要介護者の方々から介護ベッドや車いすがはぎ取られました。障害者への応益1割負担の押しつけによって、既に33人の障害者が、入所施設、通所施設、グループホームから退所させられました。福祉施設に通所する障害児は実に11倍の負担増となっています。
 ところが、増田県政は、全国7都府県、240を超える市区町村で軽減策が実施されているにもかかわらず、何の軽減策も講じようとせず、冷たい国の政治に追随をしています。
 住民税が5倍、10倍となる大増税が、今、県民を襲っています。さらに国保税、介護保険料の雪だるま式の負担増で、県民の痛みと怒りは頂点に達しています。年金生活者の高齢者は、幼いころ、国のために死ねと教えられ、今度は役に立たないから死ねと2度も同じことを言われたような気がすると訴えています。国保税の滞納者は3万6、900世帯を超え、1、234世帯から保険証が取り上げられています。まさに低所得者と弱者が社会保障から排除される重大な事態が広がっているのであります。地方自治体・県政の目的は、住民の命と暮らしを守ることであります。国の悪政から県民の福祉を守ることこそ、今、一番求められていることではないでしょうか。
 反対する第2の理由は、7割の農家を切り捨てる品目横断的経営安定対策を国に追随して進めていることであります。これは、これまですべての農家を対象に行ってきた価格保証を廃止し、一部の大規模農家だけに所得対策を制限しようとするものであります。実際、県が目標にしている農家は、個別農家で3、000戸、集落営農組織で400組織、その農家総数は2万1、000戸で、農家全体の3割にすぎません。7割の農家と農地を切り捨てるやり方では、地域の農業も農村も守れないことは明らかであります。兼業農家を含め意欲のあるすべての農家を支援し、地域農業を守る本来の集落営農を進めるべきであります。
 反対する第3の理由は、学校と教育に混乱をもたらす教育行政の問題であります。増田知事の指示のもとで、何の準備も仕組みもなく、1万4、000人の全教職員を対象に、新昇給制度、成果主義賃金制度を導入しようとしていますが、これは、チームワークと協力・共同によって進められている教育を破壊し、教員をばらばらに分断・差別するものであります。職員団体はもとより、校長会、市町村教育長からも強い危惧と反対の声が上がっているのは当然のことであります。また、こうした協議を非公開で、密室で進めていることも異常なことであります。成果主義賃金制度は民間でも失敗が明らかになっているもので、学校と教育に混乱をもたらすやり方は根本から改めるべきであります。
 いじめ問題と、それへの対応の不十分さも明らかになりました。県立一関一高への併設型中・高一貫校の導入も突然示されましたが、小・中学校からの受験競争を一層激化させ、高校の多様化と格差を拡大するものであり、一方的に進めるべきではありません。
 県内の複数の県立高校で必要な授業が行われていなかったことは、受験競争のゆがみとして許されないことであります。教育行政の役割は教育条件の整備であり、県民が強く求めている30人学級、少人数学級こそ実施すべきであります。
 反対する第4の理由は、競馬組合の破綻であります。
 競馬組合は、平成11年度から8年連続して経常的収支で赤字となり、その総額は155億円を超えます。地方財政に貢献すべき競馬組合事業は既に破綻していたのであります。2年前の競馬組合改訂実行計画も、38億円を超える赤字を拡大するなど、二重の破綻に陥っているのであります。さらに、新たな競馬組合改革計画を示して、330億円の構成団体による融資の方針を示しましたが、驚くべき責任回避と問題の先送りでしかありません。競馬組合改革計画には、実行される具体的保証も内容もありません。330億円の融資には、返済計画も、返済の見通しもないものであります。増田知事は、こうした競馬組合の破綻の責任をとるべきであります。そして、破綻のスキームを検討すべきであります。雇用と地域経済対策を言うなら、規模を縮小して、一場体制へのソフトランディングを真剣に検討すべきであります。また、これまで競馬議会に議員を出してきた政党・会派の責任も重大であります。
 反対する第5の理由は、増田県政の12年間の結果として、深刻な県財政の破綻を招いたことであります。県債残高は普通会計ベースでは1兆4、537億円で、県民1人当たり105万円となるものであります。県財政の破綻によって必要な福祉の対策も講じることができず、公共事業費も、増田知事の公約である平成3年度の水準どころか、20年以上前の水準まで落ち込んでしまっているのであります。重大なことは、こうした県財政の危機的状況のもとでも、530億円の簗川ダムや164億円の津付ダムなどの不要不急の大型開発は推進しようとしていることであります。
 さらに、岩手マネジメントシステムと称して19人の特命課長を配置し、コンサルタントへの異常な癒着というべき取り組みには2億円を超える経費をかけていることであります。こうしたむだ遣いこそ一掃すべきであります。
 警察本部の捜査報償費は、一昨年と比べて5割以上も減額となりましたが、そのまともな理由は明らかになりませんでした。裏金疑惑が依然消えません。
 市町村合併の上からの押しつけも行うべきではありません。
 認定第1号は、2006年度岩手県立病院等事業会計決算であります。
 県立病院は、言うまでもなく、医師、看護師等の献身的努力によって、県民の命と健康を守る重要な役割を果たしています。しかしながら、解決すべき問題も少なくありません。
 第1の問題は、紫波病院、花泉病院の診療所化を、地元自治体や医師会、地域住民などの合意もなく強行したことであります。その結果、それぞれの病院で、院長経験者を含め2人、合わせて4人の貴重な医師が退職してしまいました。また、花泉病院の場合は、改築直後の磐井病院との統合となったこともあり、十分な医師の体制もとれず、現段階では、病院のとき以上の赤字となっていることであります。入院患者も、それぞれ11人から13人と大幅に削減されました。救急でも、検査が必要な患者には対応できず、地域医療の縮小と後退が強いられています。大迫病院の診療所化には、地域住民の人口を超える8、000人の署名が寄せられています。あくまでも関係者、地域住民の合意と納得を得て進めるべきであります。
 第2の問題は、深刻な医師不足と看護師の増員問題であります。医師不足の根本には、政府の地域医療の実態を見ない医師過剰論がありますが、県下にあまねく医療の均てんをという県立病院の創業の精神に立って、地域の医療を守るべきであります。
 私は、中央病院の看護師の増員と2人夜勤の解消を求めました。看護師基準の改訂によって、看護師確保競争と言うべき事態が生まれています。中央病院のような急性期病院では入退院の患者が多く、重症患者を対象としており、医療の安全という点でも看護師の増員が強く求められています。2人夜勤の解消は当然のことです。中央病院の看護師の有給休暇取得は平均9.1日であります。年次休暇が取れる勤務体制をとるべきであります。また、医療の職場に成果主義賃金制度は導入すべきではありません。
 第3に、むだと浪費の解消であります。医療器械の入札では100%に近いものが多く、不自然な随意契約も少なくありません。北上・花巻厚生の統合病院建設の入札結果は平米当たりで31万円と、やっと国立病院並みに下がりました。これまでのむだ遣いが明らかになったのであります。
 以上申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(伊藤勢至君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号及び認定第4号を一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立多数であります。よって、認定第1号及び認定第4号は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第2号、認定第3号及び認定第5号から認定第15号までを一括して採決いたします。
 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(伊藤勢至君) 起立全員であります。よって、認定第2号、認定第3号及び認定第5号から認定第15号までは、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 
   日程第16 議員派遣の件
〇議長(伊藤勢至君) 次に、日程第16、議員派遣の件を議題といたします。
 
〔参照〕
 議事日程第7号中 日程第16 議員派遣の件の議員派遣一覧
派遣の目的 派遣場所 期 間 派 遣 議 員
第6回都道府県議会議員研究交流大会
東京都
平成18年11月10日から
平成18年11月11日まで
渡辺 幸貫 議員
佐々木一榮 議員
大宮 惇幸 議員
野田 武則 議員
関根 敏伸 議員
小野寺研一 議員
樋下 正信 議員
嵯峨 壱朗 議員
飯澤  匡 議員
高橋 博之 議員
 
〇議長(伊藤勢至君) お諮りいたします。本件は、お手元に配付いたしました1件についてでありますが、会議規則第114条の2第1項の規定により議員を派遣いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 
〇議長(伊藤勢至君) 教育長から、発言の申し出があります。また、議員から緊急質問の申し出がありますので、これについて、取り扱いを協議するため、議会運営委員会を開催いたしますので、暫時休憩いたします。
   午後 2 時19分 休 憩
 
出席議員(47名)
1  番 高  橋  博  之 君
2  番 亀卦川   富  夫 君
3  番 五日市      王 君
4  番 小田島   峰  雄 君
5  番 三  浦  陽  子 君
6  番 中  平     均 君
7  番 ザ・グレート・サスケ 君
8  番 木戸口   英  司 君
9  番 高  橋  比奈子  君
10  番 高  橋  雪  文 君
11  番 嵯  峨  壱  朗 君
13  番 柳  村  典  秀 君
14  番 飯  澤     匡 君
15  番 関  根  敏  伸 君
16  番 野  田  武  則 君
17  番 平  野  ユキ子  君
18  番 大  宮  惇  幸 君
19  番 千  葉  康一郎  君
20  番 新居田   弘  文 君
21  番 平     澄  芳 君
22  番 工  藤  勝  子 君
23  番 平  沼     健 君
25  番 阿  部  富  雄 君
26  番 斉  藤     信 君
27  番 田  村     誠 君
28  番 工  藤  大  輔 君
29  番 川  村  農  夫 君
30  番 佐々木   順  一 君
31  番 佐々木      博 君
32  番 及  川  幸  子 君
33  番 樋  下  正  信 君
34  番 柳  村  岩  見 君
35  番 小野寺   研  一 君
36  番 小野寺      好 君
37  番 伊  沢  昌  弘 君
38  番 小  原  宣  良 君
39  番 阿  部  敏  雄 君
40  番 吉  田  昭  彦 君
41  番 佐々木   一  榮 君
42  番 伊  藤  勢  至 君
43  番 渡  辺  幸  貫 君
44  番 高  橋  賢  輔 君
45  番 千  葉     伝 君
46  番 佐々木   大  和 君
47  番 藤  原  泰次郎  君
48  番 菊  池     勲 君
49  番 藤  原  良  信 君
欠席議員(2名)
50  番 佐  藤  正  春 君
51  番 佐々木   俊  夫 君
 
説明のため出席した者
休憩前に同じ
 
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
 
午後3時2分再開
〇議長(伊藤勢至君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、県立高等学校における必履修科目の未履修について、教育長から発言を求められておりますので、発言を許します。照井教育長。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) このたび、富山県立高岡南高等学校で、世界史、地理、日本史の必履修科目の一部を履修していない生徒がいる旨の報道がありましたが、本県においても、同様の事例があることが判明いたしました。このことは、学習指導要領の定めに反するものであり、あってはならないことであり、まことに遺憾であります。生徒、保護者の皆様を初め県民の皆様方に、心から深くおわびを申し上げます。
 現時点で掌握している事実は、富山県立高岡南高等学校のニュース報道を受け、けさ、盛岡第一高等学校から、取材を受けた旨県教育委員会に報告があり、盛岡第一高等学校においても、必履修科目である世界史、地理、日本史の一部を履修していない生徒がいること、また、県教育委員会に対しては、必履修科目を履修しているように報告されていることであります。このため、現在、全県立高等学校に対し、このような事例がないかどうか、その実態を調査中であります。
 この調査は、本日、15時ごろをめどに集約の予定です。集約次第、その内容をよく精査の上、17時ごろをめどに、その実態、なぜこのような運用に至ったのか、その理由や背景、今後の対応等について県民の皆様方に発表したいと考えております。
 今後、このようなことがないよう、各県立高等学校に対し、指導の徹底を図ってまいります。
〇議長(伊藤勢至君) この際、お諮りいたします。
 県立高等学校における必履修科目の未履修の件について、佐々木博君、高橋雪文君、伊沢昌弘君、斉藤信君、小野寺好君及び阿部富雄君から緊急質問の通告があります。これらの諸君の緊急質問に同意の上、この際、日程に追加し、発言を許すことに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(伊藤勢至君) 御異議なしと認めます。よって、佐々木博君、高橋雪文君、伊沢昌弘君、斉藤信君、小野寺好君及び阿部富雄君の緊急質問に同意の上、この際、日程に追加し、発言を許すことに決定いたしました。佐々木博君。
   〔31番佐々木博君登壇〕

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