平成18年9月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇 3 番(五日市王君) 質問に先立ちまして、先週土、日の災害において被災されました県民の皆様に、まずは心からお見舞いを申し上げます。
 改めまして、民主・県民会議の五日市王でございます。
 2月26日の初当選以来、現職で在任期間が一番短いにもかかわらず、こんなにも早く登壇の機会を与えていただきました寛大なる先輩議員各位に心から感謝を申し上げます。
 なお、さきの先輩議員の質問において答弁の出たものもございますが、その部分は簡潔に御答弁いただければと思います。
 さて私は、平成9年から8年9カ月間、住民に一番身近な市議会議員として活動させていただき、この基礎的自治体である市町村が強くなることが地方自治行政の最も理想的な姿であると肌で感じてまいりました。特にも市町村の役割は、住民ニーズを的確に把握し、そのニーズに合わせ政策をスピーディーに実現するという責任があるため、今のような国、県、市町村の3階建てシステムでは非効率かつむだが多く、市町村に対する権限、財源、人間の大幅な移譲は大胆に行われる必要があると考えます。そして、これから訪れる少子・高齢化の人口減少社会では、官の役割は可能な限り縮小し、浮いた分は借金返済や社会保障などの行政サービスに振り分け、民間でできることは民間で、と同時に、民間がやらないことだけを官がやるという発想転換が必要で、また、市町村でできることは市町村で、と同時に、市町村ができないことだけを国、県がやるという発想に転換していく時期に来ていると考えます。高度経済成長とともに肥大化してきた行政システムは、本来の役割である福祉の向上の枠を大きく超え、今や民間がやるべき分野にまで進出し、あげく官と民が競争するという、経済原理を踏み外した、あってはならない暴挙をあちらこちらで繰り返し、結果、民はつぶれるが官はつぶれないの言葉どおり、官はたとえ経営難に陥っても親方日の丸が出航し、税金による穴埋めが行われるという例には枚挙にいとまがございません。このことは、規制緩和などを推進し、民の力を伸ばし、結果、税収を上げるという本来の官の役割とは逆であり、本末転倒以外の何物でもございません。そろそろここで一度立ちどまる必要があります。そして、民間や市町村を信頼し、県の役割は限りなく縮小に向かうというシステム大改革が必要であり、このことがなければ真の地方主権は永遠に訪れないと考えます。この観点を基本的な考えとしながら、以下、項目に沿って質問をいたします。
 最初に、道州制についてお伺いいたします。
 安倍新総理は、道州制に3年で道筋をつけると発言し、担当大臣を設置いたしました。また、これまで北東北知事サミットや3県の職員レベルなどでもその実現に向けた取り組みがなされてきたところです。問題は、道州制後の州のあり方やビジョンが示されていないことにあります。財政難や非効率という理由だけでただ単に3県が合体しただけや市町村に権限や財源を移しただけではその効果というものは期待できず、余り意味は持たないものと考えます。要は一国二制度を認めるかどうかにすべてがかかっております。
 そこでビジョンの提言です。北東北3県の人口は約400万人、域内総生産は約12兆5、000億円、県民所得は平均240万円前後といったところであります。この規模と同じ国を探してみますとニュージーランドで、人口約400万人、GDP約8兆円、国民所得約180万円となっております。どちらが心の豊かな生活を送っているかは一概には言えませんが、要は、北東北3県を一つの州とした場合、海外の1国に値する規模や可能性が大いにあるということであります。つまり、この日本の中にも、国の支配から逃れ、政策や法律に独自性を持った州が存在し、その独自性を発揮することにより暮らしやすさを実践、アピールし、移住者や定住者を確保するとともに、交流人口をふやすなどして経済的に自立していく姿こそが新しい自治の形として最も望ましいと考えます。この実現のためには一国二制度の実現が不可欠であり、逆に、これがなければ道州制も絵にかいたもちにしかならないと思います。今後の日本のあるべき姿あるいは県の目指すべき姿として重要なビジョンになるだけに、知事は道州制に対する将来ビジョンをどのように描いているのか、お伺いいたします。
 次に、越県合併について質問いたします。
 先日、八戸市議会において、八戸市の岩手県への編入の可能性について議論がなされたようであります。この背景には、青森県立施設の津軽地方への優遇に対する不満があるのではないかとの新聞報道でしたが、歴史的に見ても、八戸を含む青森県南と岩手県は南部藩として一体で、特にも馬淵川流域の市町村は現在も住民レベルでの交流が盛んであります。我が二戸地方においても買い物などは盛岡ではなく八戸に行く場合も多く、25万人都市である八戸市の存在は、距離的にも文化的にも、さらには経済的にも盛岡よりも身近な都市として親しくおつき合いをさせていただいているところでございます。また、青森県三八地方からは県立二戸病院へ通う人も多く、生活者レベルでは切っても切れない交流がございます。こういった現実を背景に、ことし7月に八戸、久慈、二戸の三圏域連携懇談会が発足いたしましたが、知事は、越県合併の可能性についてどのようにお考えなのかをお伺いいたします。
 次に、国、県、市町村の役割分担についてお伺いします。
 現在の行政システムは、国、県、市町村の3階建てシステムで運営されており、国は小さな政府を、また、市町村は自立を目指し、日夜血のにじむような努力がなされているものと思います。さて、県の目指すべき姿は何なのか。国が脳で県は手足であるならば、その存在は限りなく縮小すべきであり、政策集団であるならもっと現場に入るべきと考えます。この辺がはっきりしていないため、県は中2階と言われるゆえんであります。結論を言えば、国は外交、国防、社会保障、災害、インフラ、義務教育に重点を置くべきであり、県は、岩手県の場合は、高等教育、医療、警察に重点を置き、残りはすべて市町村に移管するというくらいの大改革が必要であると考えます。事務は市町村が行い、最終決定は知事が出すという中途半端な権限の移譲や、結局口を出す財源の移譲は責任の所在をあいまいにするだけではなく、住民ニーズにスピーディーに対応するという本来の行政の使命からもほど遠いものになります。
 そこで、現在のように今ある権限の何を移譲するかの議論ではなく、各市町村にとってどの権限が必要なのかを最初に議論することが大事であり、必要なものは権限と財源をすべて移譲し、口を出さないようにするべきであります。そのことが結果、市町村の自立と責任につながるものと思いますが、県の役割についての認識と大幅な権限、財源移譲についての見解をお伺いいたします。
 次に、市町村各種計画に対する支援についてお伺いいたします。
 各市町村では、下水道や区画整理事業など生活者に密着したインフラ整備を数年計画で推し進めているものと思います。ところが、バブル崩壊からその財政事情は一転し、今となっては、当初計画の数十年にわたる先延ばしに悩む自治体も多いはずであります。特にもインフラ整備が十分に整っていない県北地区では、我々の世代でも、生きている間に下水道や区画整理などの恩恵を受けるのは非常に厳しい現状下にあります。これらへの支援に県は積極的に乗り出すべきと考えますが、お考えをお伺いいたします。
 また県は、ことし4月、岩手県における自主的な市町村の合併の推進に関する構想を策定し、今後も必要な支援を行うとありますが、2009年度までの新合併特例法期限までに合併に向け動き出す自治体に対してどのような支援策を考えているのか、お伺いいたします。
 次に、県北・沿岸振興策についてお伺いします。
 県では、ことし1月、県北・沿岸振興本部を立ち上げ、現在、各振興局ごとに地域振興ビジョンを策定中であり、間もなく成案ができ上がるものと思います。これまで、県政の重要課題である均衡ある県土の発展を実現するために県北・沿岸に目を向けていただいたことに関しましては敬意を表するものであります。
 さて、間もなくでき上がる成案について、それを実現していくためには財政的な裏づけがなければなりません。各事業が固まりつつある今、計画期間である22年度までの5カ年での総投資額と各ビジョンごとの予算額をお示ししていただきたいと思います。
 また、県南・県央と県北・沿岸の人口比は7対3にあることから、全県的な基準ではなく、県北・沿岸だけの基準や規制緩和を行うべきと考えます。例えば、市町村合併推進への特別支援や地域の特性を生かした特色ある学校づくりなど、産業振興以外の分野でも集中的な投資が必要と思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、県北の観光振興についてお伺いいたします。
 平成20年の平泉世界遺産登録に向けて着実に準備が進んでいるものと思います。さて、お隣青森県では、三内丸山などの縄文遺跡群を世界文化遺産への登録を目指すとのことで、現在その準備を進めているようであります。平泉が登録されれば、北東北では、1993年の世界自然遺産である白神山地に次ぐものであり、さらに今後、三内丸山が登録されれば、まさに北東北3県で三つの世界遺産めぐりが実現でき、国内だけではなく、海外からの誘客も期待できる一大観光地への可能性を秘めております。その意味でも、平泉から岩手県を縦断し、三内丸山、さらには白神山地という観光ルートは大いに期待できる世界遺産ルートであり、今からそのルート確立の準備を進めていくべきと考えます。
 そこで、県北地方の名所旧跡などの掘り起こしとPRに力を入れるとともに、観光やまちづくりの分野での専門家の派遣や養成をすることが必要と思いますが、どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
 次に、振興局の再編についてお伺いいたします。
 今年度から振興局再編が行われ、県北広域振興局に関しては可能な限り早期に広域振興局体制に移行できるよう努めるとし、おおむね10年後には一つになるとのことであります。この方針が出されてすぐに二戸、久慈の両地域では水面下で綱引き合戦が繰り広げられ、さまざまな憶測が駆けめぐっております。これから確実にやってくる人口減少社会や地方分権型社会では、行政機関は効率性や利便性の観点から一極集中させるべきであり、点在させるのは非効率かつ行政コストがかかり過ぎると考えますが、こうなると、二戸に取られたとか久慈に持っていかれたの議論に終始し、振興局の存在そのものの必要性や役割があいまいなものになってしまう心配があります。
 そこで企画理事に、まず先行して広域振興局を実施している県南広域振興局のメリット、デメリットについてお伺いいたします。まだ半年しかたっていませんが、県民の反応や課題、改善点を現時点でどのようにとらえているのか、お伺いいたします。
 また、今後の議論のあり方として、久慈、二戸のどちらに広域振興局を置くかという議論ではなく、振興局は何をなすべきかの議論を先に行うべきであり、その上で、必要な役割のみを各振興局に残し、統合を目指すべきと考えます。特にも、向こう5カ年は県北・沿岸振興の地域ビジョンを実現することが最大の任務になることから、部署割りの再編にとどまらず、政策分野ごとの再編も視野に入れるべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 さらに、市町村への権限移譲や財源移譲が進めば自然と振興局の役割も減り、そのことはむしろ歓迎すべきであり、そういった議論を地元自治体と積極的に行っていくべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、競馬組合の実態と今後の方向性についてお伺いいたします。
 毎日のように新聞紙上を騒がせ、今議会でも焦点の一つになっている競馬組合の問題ですが、競馬を構成する自治体やテレトラックのある自治体以外の県民には、その議論の中身や組合の実態がどうなっているのか見当もつかない住民が多いように思います。要は、そもそもなぜこうなったのかという原点がわからない県民が圧倒的に多いような気がします。この先続けるもやめるも、多くの県民の知恵を結集し、理解と協力を求めていくためには徹底した情報公開が必要不可欠であり、まして新改革計画案のように多額の税金を投入するとなればなおさらのことであります。また、今後、県議会としての経営に対する責任は限りなく大きくなるものと思います。
 そこで、以下質問をいたします。
 まず、そもそもなぜこれだけの負債があるのかをお伺いいたします。その原因は、オーロパークの建設費当初236億円が404億円に膨らんだことが大きな要因とされていますが、この差額の168億円は一体何に使われたのかお伺いします。私の感じている限り、このことが県民の一番の関心事でありますので、県民にわかるように説明をいただきたいと思います。
 次に、再建に向け不退転の覚悟の割には、その本気度が伝わってきません。特にも、ことし5月に設立された岩手競馬関連産業労働組合の関係者が給料削減についてこれでは生活できないと発言したことは、血へどを吐いて働き、苦しいながらも税金を納めている一般県民の感情を逆なでするものであり、こういった意識では県民の信頼を得ることは非常に難しいと考えます。少なくとも現場関係者は、県民に対し、給料なんて要らない、そのくらいの覚悟で頑張って、いつかは県民に恩返しするのでチャンスをくれぐらいのことを言わずして、不退転の覚悟は聞いてあきれます。
 ただ一つ考えなければならないのは、ことし9月に存廃基準を定め、それを年度末には判断するというのは余りにも急ぎ過ぎで、これでは経営改善に向けた努力期間が短過ぎます。少なくとも二、三年は借金に対する利子補給などの支援にとどめ、関係者一丸となって経営改善に向け努力するチャンスを与えるべきと思いますが、いかがでしょうか。また、経営陣には民間やJRAなどからプロに来てもらい、これまでの発想を転換していくことこそ第一に必要と思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、県境産廃についてお伺いいたします。
 岩手、青森の県境産廃不法投棄に関しましては、知事初め関係部局の御尽力により、青森県に先んじて全量撤去の方向で着実に原状回復への取り組みがなされておりますことに対しまして、まずは敬意と感謝を申し上げます。
 さて、これまで地元自治体から要望の出されておりました青森県側の農事組合法人和平高原開発農場の調査についてお伺いいたします。
 この牧野への不法投棄の疑念は、地元市議会での特別委員会でも関心が強く、これまで岩手、青森両県知事に対し、再三にわたり調査の要望を行ってまいりました。この地は県境不法投棄現場に隣接する土地でもあり、地元住民並びに馬淵川流域住民も不安を抱えていることから、一刻も早い調査を切望しており、その実施に向け青森県側への働きかけを強化していただきたいのですが、これまでの経緯と今後の対応についてお伺いいたします。
 次に、教育先進県への取り組みについてお伺いいたします。
 昨今の日本社会の現状を見るに、さまざまな凶悪犯罪や事件、事故が後を絶ちません。親が子を殺し、子が親を殺すといった事件や、幼い子供を巻き込む殺人事件や飲酒運転、さらには、人の規範となるべき教員や公務員、政治家などの不正、不祥事など、毎日のように世間を騒がせ、多くの日本人はこのまではいかんとの共通の思いを抱いているものと思います。また、平成18年実施の県の施策に関する県民意識調査でも、犯罪への不安が少ない地域社会の実現は重要度が高いようであります。
 こうした犯罪の凶悪化やモラルの低下、犯罪者の低年齢化はなぜ起きるのか。石原慎太郎氏の言葉をかりれば、魂の劣化、つまり物質的な豊かさを追求し過ぎたため心が貧しくなったことが大きな一因であると考えます。これらの問題を放置すれば、住民が一番望む安心・安全な暮らしは崩壊し、警察や住民は常に犯罪への過剰対応に走り、その結果、規制と管理の不自由社会ができ上がるという悪循環に陥り、あげくには小学生がランドセルに防犯ブザーをぶら下げるといった、先進国としては恥とも言えるほど治安の悪化を招いている現状は何とも嘆かわしい限りであります。
 これらの問題を解決するとき、犯罪防止の手段を尽くすと同時に、犯罪を起こさない社会を実現することが重要であります。そのためには、国家百年の計である人間教育が最優先課題であり、これを実現するためには、政治の役割、特にも教育の役割は非常に大きくかつ責任重大であると考えます。また、折しも教育現場においては、ゆとり教育から端を発した学力低下や過剰な平等主義による競争心や闘争心の欠如、道徳教育の衰退により善悪の判断ができないなどという子供がふえております。まさに教育の危機であります。そして、教育の危機は教育の危機にとどまらず、人類の危機でもあるのです。
 かつてアメリカでは現在の日本のような状況に陥りました。時のレーガン大統領は、危機に立つ国家を発表し、道徳教育を徹底したと言われております。我が岩手県もこういった現状にもっと危機感を持ち、魂の教育に力を入れるべきと考えます。
 そこで、幼児期から義務教育期にかけての道徳教育の徹底と、未来を担う人材には働く楽しみや厳しさを体感してもらう職業教育、さらには、納税や政治、行政の仕組みを教える暮らし教育にも力を入れるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、県立高校の将来ビジョンについてお伺いいたします。
 県では、平成17年に県立高校新整備計画の後期5カ年計画を策定し、その計画に基づき、順次実施がなされていくものと思います。今9月定例会においても関連議案が提案され、地元福岡工業高校の都市工学科の募集停止にはPTAや同窓会からもその存続を求める声が上がり、知事や教育長には要望書が、県議会には二戸市民の約3分の1に当たる1万名余りの署名つきで請願が出されているところであります。また、地元市議会では存続を求める意見書が採択されたとも聞いております。この背景には、来年度からの募集停止は聞いていない、説明不足だというもので、将来的には工業高校そのものがなくなるとの強い危機感に端を発したものでありますが、この背景を踏まえ、3点質問いたします。
 1点目は、聞いていない、説明不足だというPTAや同窓会に対する教育委員会としての見解と、これまでの一連の経緯についてお伺いいたします。
 2点目は、今回の都市工学科募集停止について、地元PTAや企業などが来年度の生徒確保や就職先の確保といった努力をなす場合、存続は可能かどうかお伺いいたします。
 3点目は、県立高校新整備計画では、計画策定後も引き続き生徒、保護者、地域住民と十分議論しながら検討していくとのことであり、今後、二戸地区での統廃合なども予定されていることから、地域の教育は地域で担うという原則のもと、各ブロックごとに県教委、市教委、学校、保護者、PTA、地域有識者などで組織する検討委員会を立ち上げ、地域にとってどのような高校のあり方がいいのかを検討する場を設ける必要があると思いますが、見解をお伺いいたします。
 次に、二戸警察署の早期移転についてお伺いいたします。
 これまで地元二戸市からも何度も要望がある二戸警察署の移転について、その必要性や緊急性は御承知のとおりと思います。建物の老朽化や駐車場の狭さは言うに及ばず、何と優良運転手の免許更新の講習は受付窓口で行うという低サービスぶりです。一刻も早い新築移転が望まれますが、その方向についてお伺いいたします。
 以上で質問を終わりますが、私の地元二戸市にゆかりの深い瀬戸内寂聴氏は、みずからの著書の中で、人間がほかの動物と違うところは何か。それは心に誇りを持つことです。生まれた土地や国に誇りを持つことです。ところが、今の日本は非常にだめな国になっています。なぜ日本がだめになったのか。それは、偉いと言われた人がみんな悪いことをするからですと述べております。また、田中舘愛橘博士の知人であるアインシュタイン博士は、世界は危険でいっぱいだ、なぜなら、それは悪事を働く者がいるからというのではなく、それを見て見ぬふりをする人がいるからだと述べております。今ほど権力者と言われる人たちの信頼が失墜し、生活者である住民が憂い、嘆いている時代はなかったのではないでしょうか。美しい国も平成維新もその目指すところは、国家の誇りを取り戻し、世界に尊敬される国づくりであり、それを子供たちに引き継ぐことにあります。私もこの目的達成のため、微力ながら精進努力してまいる覚悟をここにお誓いし、初の一般質問を終わらせていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 五日市王議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、道州制につきましては、第28次地方制度調査会におきまして検討が行われ、本年2月に、地方分権を推進するという観点に立って、広域自治体の見直しにより国と地方の双方の政府を再構築するものである、このような答申を行ったところであります。一方、この道州制につきましては、古くから道州を国の出先機関と位置づけ、中央集権を強化するような議論も聞かれるところでございます。全国知事会の道州制の特別委員会では、ことし6月に、この道州を都道府県にかわる地方自治体と位置づけた分権型社会における広域自治体のあり方を取りまとめまして、その中で、国からの大半の権限移譲や経済規模等の基礎的条件の均衡化により、自立性が高まった道州が質の高い行政サービスを提供する地域経営を競うことにより、東京一極集中を是正し、各地に複数の多極創造力拠点が形成される、このような姿を描いているところでございます。
 道州制につきましては、ただいま議員からの御提言のような、道州が独自の法律制定権を持ついわゆる連邦制的な考え方もございまして、今後、具体的な制度の検討に当たりましては、地方分権の立場に立ち、あらゆる選択肢を視野に入れて国民的な幅広い議論が行われていくことが重要である、このように考えます。
 次に、越県合併の可能性についてでございます。
 本年4月末に策定いたしました岩手県における自主的な市町村の合併の推進に関する構想におきましては、御案内の圏域における県境を越えた合併は示していないところでございます。まず制度的には、都道府県の境界にわたる市町村の新設合併につきまして、従来は特別の法律の制定が必要なものでございましたが、平成17年の地方自治法の一部改正によりまして、編入合併と同様に、関係市町村及び都道府県議会の議決を経た申請に基づき、総務大臣が決定する手続が新たに整備されたところでございます。
 当該圏域につきましては、過般の広域振興圏の見直しにおきましても圏域間の有機的な連携の意義を位置づけたところでございまして、古くは藩政時代から今日に至るまで、産業経済の面はもちろんのこと、生活文化、日常生活の面においても密接な関係にあるところでございます。
 とはいいながら、県境を越えて市町村合併に至るには、県内の合併の場合よりも時間をかけて十分議論を深めていくことが必要である、このように考えておりまして、当該地域においては、広域観光開発を初めとする産業振興や災害時の防災協力体制等の構築を目指して、三圏域連携懇談会による広域的な連携・協力が緒についたところでございまして、県としては、まず、こうした取り組みの支援に努めていきたい、このように考えます。
 それから、国、県、市町村の役割分担についてのお尋ねでございます。
 地方分権が進展する中で、地域の真の自立を実現していくためには、住民のニーズを的確に把握できる立場にございます基礎的自治体たる市町村が、住民の参画のもとに、教育や福祉、まちづくりなど、住民に身近な行政サービスをみずからの判断と責任において総合的に提供することができる、いわゆる市町村中心の行政システムを構築することが必要であります。
 一方、県においては、市町村がなし得ないようなもの、市町村の枠組みを超えた広域的な産業振興や雇用対策、社会資本の整備、環境保全、災害対策などでございますが、このような市町村がなし得ない広域的かつ専門的な行政サービスを提供する役割を担うことになるものと認識をします。
 このような役割分担を基本的な前提として、市町村合併の促進や県からの権限の大胆な移譲などによりまして、市町村の行財政基盤の充実強化を進めることが重要と考えます。
 そのためには、市町村の規模や能力に応じて、市町村が要望する権限はもちろんのことでありますが、住民サービスの向上につながる権限、地域の自己完結性が一層高められるような権限を、必要な財源とともにできる限り市町村に移譲していきたい、このように考えます。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画理事酒井俊巳君登壇〕
〇企画理事(酒井俊巳君) 県南広域振興局のメリット、デメリット並びに県民の反応及び課題等についてのお尋ねでございます。
 県南広域振興局は、圏域全体の戦略的な広域行政を一体的・効率的に推進するために設置したというものでございまして、こうした設置の目的・ねらいが実現されることそのものがメリットと言えると考えてございます。
 現在、県南広域振興局におきましては、広域振興局長、それから総合支局長等で構成する最高の意思決定機関として経営戦略会議というものを設置いたしておりまして、一体となりまして重要な取り組みについて協議・意思決定を行っております。
 また、県南圏域が共通して抱える広域課題の解決を図るため、本局、総合支局、行政センターが一体となったチームを編成するなどして、本局を中心に、組織的にマンパワーを集中できる体制が構築されております。現時点では、なおこれまでの地方振興局を継承しているという組織構造上の若干の課題もございますけれども、総じて言えば、まさに広域行政を戦略的に推進できる組織となりつつある、メリットが発揮されつつあると考えております。
 県民の反応、課題等に関しては、現在、市町や県民の方々の意見について、総合支局等を通じて調査、聴取するとともに、職員アンケートも実施しておりまして、こういったものをもとに評価・検証作業を行っているところでございます。
 本局、総合支局に集約化した業務等について、従来と比較して、地域によっては距離や所要時間が増加したといった利便性の低下を指摘されているものもございますが、いずれ、評価・検証作業の結果を待ちまして、特に改善を必要とされる事項、既に対応しているものもございますけれども、いずれ広域振興局を設置した意義や目的を損なわないという前提の中で、今後、所要の改善を進めていきたいと思っております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 下水道事業や土地区画整理事業への支援についてでございます。
 市町村が事業主体であります下水道事業への県の支援につきましては、財政力の弱い過疎地域の市町村において、県代行事業を実施しております。また、公共下水道を行っている市町村に対しまして、処理場や管渠の事業費の2.5%から3%を下水道事業債償還基金に補助しており、今後とも、下水道が効率的に整備されるよう支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 市町村施行の土地区画整理事業につきましては、施行区域内の県道整備に要する事業費に対しまして17.5%の県費補助を行うとともに、事業の早期完成に向け、既存の国庫補助事業に加え、区画道路等へのまちづくり交付金の導入など、国の支援制度の有効活用を助言しております。
 また、事業推進に当たりましては、地域住民の理解と協力が不可欠であることから、事業の仕組みや整備の見通しなどについて住民の合意が得られるよう、あわせて助言しているところでございます。
 今後とも、下水道や土地区画整理の事業費の確保に努めるとともに、市町村との連携を密にし、引き続き、市町村への支援を行ってまいりたいと考えてございます。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) まず、市町村への支援についてでありますが、市町村財政については、平成23年度における国と地方のプライマリーバランスの黒字化に向けた歳出・歳入一体改革の推進など、当面厳しい状況が継続するものと見込まれるところであり、合併したか否かにかかわらず、行財政改革の取り組みは、一層推進していかなければならないものと考えております。
 行財政改革に積極的に取り組む市町村に対しては、普通交付税の算定におきまして、行財政改革の取り組みが反映される制度、いわゆる行革インセンティブ算定が平成17年度に創設されたところでございまして、努力した市町村が報われる制度が強化されております。
 これを平成18年度の追加需要額ベースで見ますと、歳出削減や徴税強化の取り組みなどにつきましては7、800万円余、それから、行革努力の実績を新産業の創出等の地域振興関係経費に充てるといったような場合の増加需要額ベースで見ますと20億7、000万円余となってございます。
 県としては、各市町村の持続可能な行財政運営確立のため、国から要請されております定員管理の適正化や事務事業の見直しを内容とする平成17年度から21年度までの集中改革プランの策定に当たりまして、各市町村にそれぞれの行財政事情に応じた助言を行うとともに、行財政改革の進捗状況を定期的にフォローアップする等、適切に支援してまいりたいと考えております。
 次に、合併に向け動き出す自治体に対しての支援についてでありますが、県としては、本年4月に策定した岩手県における自主的な市町村の合併の推進に関する構想を一つのたたき台といたしまして、それぞれの市町村で方向性を見出していただくことを期待いたしておりますが、まず、各市町村におけるセミナーの開催などにより、合併すればこそ可能になる各市町村の強みを生かし合うような産業振興や新しいまちづくりなど、今後の市町村のあり方を考える上で必要な情報をわかりやすく、積極的に提供していくとともに、各地域で振興局等が中心となった意見交換を行うなど、コーディネーターとして支援してきているところでございます。
 特にも、合併を目指すこととした市町村に対しましては、当該合併構想に基づきまして、新岩手県市町村合併支援プランを策定し、積極的に支援していくこととしております。
 具体的には、市町村の将来像等に係る調査研究や普及啓発事業に対して、地域活性化事業調整費対象事業として優先採択するほか、関係市町村からの依頼に基づきまして、合併協議会委員、幹事会幹事、あるいは法定協議会の事務局などとして、専門的な知識を有する県職員を派遣していくこととしております。
 県としては、今後ともこのような支援のもとで、合併を促進してまいる考えであります。
 次に、県北・沿岸振興策についての今後の見通しと予算措置の基本的な考え方についてでありますが、県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向において示した取り組み工程表では、平成22年度が最終年度である県総合計画との整合性も踏まえ、地域との意見交換等を踏まえまして、平成22年度までの取り組みについて盛り込んだものでございます。
 今後策定する地域振興ビジョンにおきましても、同様の観点から、産業振興以外の分野につきましても、工程表を取りまとめることといたしております。
 そのような中での予算措置の基本的な考え方でありますが、これらの工程表に盛り込む取り組みは、地域が一体となって進行管理をし、適時見直しを行いながら、時には取り組みを追加する、あるいは変更等を行うということといたしていることや、また、本年8月に公表した県の中期財政見通しにおきましては、平成19年度から22年度までの4年間で約2、579億円の財源不足が見込まれるなど、極めて厳しい財政環境が見通されているところでございます。
 このようなことから、総投資額等はお示しできかねますが、県北・沿岸振興の取り組みにつきましては、毎年度の予算編成過程でしっかり議論し、必要な予算を確保した上で、着実に取り組みを進めてまいる考えであります。
 次に、産業振興以外の分野での集中的な投資についてでありますが、県北・沿岸圏域の振興を図るためには、これまでの施策や既存の制度の枠にとらわれることなく、大胆かつ多様な取り組みを展開していくことが重要であると考えているところであります。
 産業振興分野におきましては、例えば、平成18年度当初予算におきまして中小企業振興特別資金を創設したところであり、今般の補正予算におきまして、その融資枠を大幅に拡大するほか、新たな事業に取り組む意欲的な起業家を育成するため、県北・沿岸地域起業化支援事業費補助金も創設するなど、県北・沿岸圏域を対象とする支援を一層強化することとしております。
 また、産業振興以外の分野でも、キャリア教育を進め、勤労観及び職業観を育成しながら若者の定住を促進していくこととしているほか、団塊の世代の地域への定住を求めて、新日鉄関係者をターゲットにしたネットワークの構築とモデルツアーなどへの支援などを、強力に進めていくこととしております。
 今後におきましても、県北・沿岸圏域の地域特性に着目したさまざまな振興施策を、積極的に進めていく考えであります。
 次に、振興局の再編に当たっての政策分野ごとの再編についてでありますが、本年4月の広域生活圏の見直しと広域振興圏の設定は、県政の重要課題である産業振興の成果を着実に上げる等の観点から行ったものでございまして、特にも県北・沿岸圏域については、各圏域ごとに策定する地域振興ビジョンに基づき、重点的に取り組むこととしております。
 そのため、この地域振興ビジョンを着実に実行し、成果を確かなものとするための観点に立って、組織のあり方だけではなく、政策分野に応じた事務事業の集約化等についても検討し、その結果を今後の振興局の再編や体制に生かしていくべきものと考えておるところでございます。
 次に、地元自治体との議論についてでありますが、今後、地方分権改革の進展により地方の自由度が増大していく中にあって、市町村の機能が格段に強化され、これに伴って、県の総合出先機関である振興局の役割も見直されるべきものと認識いたしております。
 こうした状況を踏まえ、ことしの7月、県と8市町の職員による国と地方のあり方検討会を立ち上げまして、広域自治体である県と基礎的自治体である市町村のあり方・役割分担などを検討課題として、活発な協議を重ねてきたところでございますけれども、こうした取り組みを初めといたしまして、今後とも、地方自治や行政のあり方などにつきまして、市町村と積極的に議論を深め、その成果を今後の振興局再編にも生かしてまいりたいと考えているものでございます。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) 県北地域の観光振興についてでありますが、この地域の経済の活性化を図る上で観光産業の振興は大変重要であると認識しており、これまでも、観光ガイドの養成や穀彩王国の推進を通じました観光資源の掘り起こしなどに取り組んできたところであります。
 また、今般、県北沿岸観光産業振興チームを設置するなど、体制の強化を図り、現在、地域の関係者と意見を交換しながら、県北地域における観光産業のアクションプランを作成しているところであります。
 このプランの作成を通じまして、県北地域の観光産業のビジネスモデルの構築に向けた仕組みづくりを進めたいと考えており、平泉の世界遺産登録と連動した広域的な観光や食を中心とした体験型観光、地域の歴史・文化を生かした目的性の高い旅行商品の造成や情報発信、さらには地域の主体的な取り組みを促進するためのアドバイザーの派遣や専門性の高いコーディネーターの育成・確保など、各主体の役割や手順などにつて具体的に取りまとめたいと考えているところであります。
 今年度は、地域の民間主体によるツアーの造成やグリーンツーリズム受け入れ態勢の整備など、既に動き出しているところでありますが、その結果をもプランに反映しながら、今後におきましても、県北地域の豊かな観光資源を最大限生かし、また、地域の方々との協働の中で観光産業の振興に取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) 競馬組合の実態と今後の方向性についてでございます。
 まず、競馬組合の負債の状況でございますが、競馬組合は、長期的な発売額の減少や盛岡競馬場整備等の設備投資負担などを要因といたしまして、資金収支不足となり、これを民間金融機関と構成団体からの一時借入金で賄っている状況であり、この残高が平成17年度末で142億円となっております。それから、盛岡競馬場整備等のために発行した起債の残高が、平成17年度末で153億円となっております。
 また、お尋ねのございました盛岡競馬場の建設費の増加要因についてでございますが、軟弱地盤や岩盤地層による工法の変更、芝走路の設置、それから埋蔵文化財の調査範囲の拡大などによる造成関係事業費の増加が約77億円、それから、ファン関連施設の機能拡充などによる建築関係事業費の増加が約71億円、そして公共上下水道の利用への変更などによる増加が約20億円と伺っております。
 次に、経営改善に向けた努力期間を設けて、その間は利子補給などで対応してはどうかということについてでございますが、これまで競馬組合は、数次にわたって経営計画を策定し、コスト削減と発売の拡大によって、自助努力による債務の解消に努めてきたところでございますが、多額の債務の累積や発売金額の大幅な低下によりまして、累積赤字が年々増加してきたところでございます。
 このため、事業存廃の基準を設定し、退路を断って、平成19年度以降は新たな赤字が発生しない経営に切りかえることとし、従来の経営改革の基本的な考え方を大きく変更した新計画案が示されたものでございまして、この方針のもとでは、民間金融機関からの借り入れを続けることを前提とした準備期間等を設けることは困難と考えられるところでございます。
 次に、外部人材の活用についてでございますが、現在の競馬組合の置かれた状況を考えますと、まずもって、平成19年度以降に新たな赤字が発生しない仕組みに切りかえることが最優先の課題であると認識いたしておりますが、その改革が実現した後の競馬組合の人的体制のあり方につきましては、競馬組合の人件費負担との関係等も踏まえながら、適切に検討していくべきものと考えております。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) 県境産廃についてでありますが、県境不法投棄現場に隣接する牧野は、過去に汚泥等が肥料として埋め立てられたところであり、有害な廃棄物の不法投棄も懸念されるということで、二戸市が中心となって、青森県や当該組合に対して土壌調査を要望してきたところであります。
 これに対し、青森県は、平成15年度以降、調査費を予算措置しているものの、土地所有者である農事組合から、風評被害のおそれがあるなどとして同意が得られず、またボーリングなどの調査方法についても調整がつかず、要望どおりの調査が実現していない状況にあります。
 この間、二戸市では、青森県に対して調査の実現を継続的に要望し、本年8月には、二戸市議会も青森県知事に要望書を提出したと聞いております。
 また、本県に対しましても、8月に調査の実現についての支援要請がありまして、県としては、速やかに青森県に趣旨を伝えて、実現に向けた取り組みを申し入れたところでございますが、進展には結びついていない状況にございます。
 今後の対応といたしましては、県としても地元の要望が理解できますので、地元が納得できる適切な調査がなされるよう、引き続き、機会をとらえて青森県に対して調査の実現を働きかけてまいりたいと考えております。
 なお、本県としても、当初から、当該牧野からの浸出水が流入する沢水の調査を行ってきておりまして、これまで特に異常は認められていないところでありますが、今後とも調査を継続しながら、注意深く見守っていきたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、教育先進県への取り組みについてですが、さまざまな状況下において、人間としてどのように生きていくべきかを考える力の育成は、善悪の適切な判断力や態度などを養う道徳教育はもとより、自己実現に向けた確かな勤労観や職業観を育てるキャリア教育、社会の仕組みの正しい理解とその一員としての社会貢献の精神を学ぶ教科の学習など、多様な教育活動の中で培われるものと考えております。
 そこで、道徳教育では、一部の子供たちに自己中心的な考え方による行動も見られますことから、幼児期から道徳性の芽生えが培われるように、幼稚園教育などの日常生活の中で繰り返し指導し、また、学校教育においては、道徳の時間を中心として、善悪を判断する力などを培う取り組みを進めているところであり、今後ともその充実を図っていきたい、このように考えております。
 また、暮らし教育では、社会科の学習で多くのことを学んでおりますが、身につけた力を子供たちが自分の生活や生き方に生かしていくということが大切であり、今後とも、日常生活と関連づけた学習指導を心がけるように指導してまいりたいと考えております。
 さらに、職業教育では、キャリア教育という考え方による取り組みがスタートして間もないところでございますが、子供たちの職業に対する興味や関心を高めて、職場体験などを通じ、職業を正しく理解して、目標を確かなものとするよう、小学校から、子供たちの発達段階に応じた系統的なキャリア教育を学校、産業界、関係行政機関が一体となって展開してまいりたいと考えております。
 このような学習の機会を通して、次代を担っていく子供たちにぜひ身につけてほしい心や考え方を発達段階に応じてしっかり指導するとともに、家庭や地域と一体となってはぐくんでまいりたいと考えております。
 次に、福岡工業高校の都市工学科募集停止の経緯についてですが、昨年度、都市工学科の志願者が16名となり、欠員の状況等から都市工学科の募集停止の可能性について、学校からPTAや同窓会の関係者にも説明しておりましたが、県教育委員会としては、もう1年間状況の推移を見守ることとして、募集停止を見送ったところでございます。
 しかし、今年度は都市工学科の志願者がさらに減少し、学校全体としても1学級相当の39名の欠員を生じたこと、また、二戸地区の県立高校全体の欠員状況は3クラス以上の123名であり、来年度の中学校卒業予定者にも変化がないことから、大幅な欠員の状況は変わらないものと見込んでおります。
 このようなことから、この計画案を取りまとめ、8月に公表した後に、二戸市からの問い合わせ等に対して、2回市を訪問して説明し、一定の御理解をいただいたほか、同窓会やPTAの方々に改編理由などを説明するなど、公表後も地元に対する説明に努めてきたところでございます。
 次に、都市工学科の存続可能性についてですが、今年度の福岡工業高校全体の入学者数が、120名の定員に対して81名であり2学級分の志願者となっていること、最近3カ年の志願状況や求人状況の推移を見ると、その動向に改善が見られないこと、また、ただいま申し上げましたように、二戸地区の中学校卒業予定者数にも変化がないこと、二戸地区の県立高校全体で大幅な欠員が生じていることなどから、来年度以降も都市工学科の志願者の増加は見込めないところでございます。
 このような状況から、産業界の求人等の動向に対応すべく、機械システム科と電気情報システム科を充実強化することで、地域の産業振興に貢献する専門高校として発展させていきたいと考えております。
 次に、各ブロックごとの検討委員会の設置についてですが、高校の統廃合などの再編の際には、後期計画に定める基準に沿って、地元市町村や市町村教育委員会、PTAなどの地域の関係者により、統合か分校かを検討していただき、その後、県教育委員会が、関係する市町村などの行政機関を初め、対象となる高校の校長、PTA、同窓会など関係者による整備検討委員会を組織し、当該校の教育内容やそれに沿ったカリキュラム、また、校名や校歌などにつきまして具体的な整備の方向を検討していただくことにしております。
   〔警察本部長山下史雄君登壇〕
〇警察本部長(山下史雄君) 二戸警察署についてのお尋ねでございますが、二戸警察署は、昭和46年3月に建築以来35年を経過しており、施設の老朽化、狭隘化が著しいほか、十分な来客用駐車スペースもないことから、優先的に建てかえる必要があると認識しております。議員御承知のとおり、現行の行財政構造改革プログラムにより、警察署整備事業につきましては平成18年度まで凍結されているところでございます。二戸警察署の建てかえにつきましては、平成19年度からの新たな行財政構造改革プログラムの枠組みの中で、早期の整備が図られるように関係当局と協議を行っているところでございます。
〇 3 番(五日市王君) それでは、何点か再質問をさせていただきます。
 まず知事に、いわゆるこの国のあり方とか県のあり方とか市町村のあり方、そういった観点でお伺いしたいと思います。
 先ほどの御答弁ですと、いわゆる制度論、例えば道州制に関しては国の出先なのか道州制なのかという議論がある、それはわかります。その後の越県合併に関しても、いわゆる制度的にはどうこうということはわかります。私が聞きたかったのはそういうことではなくて、知事がどのように道州制に関してはビジョンを考えているかということをお聞きしたかったということでございます。つまり、国の出先でいいんだという考え方なのか、いや、連邦制みたいに一国二制度を行っていくべきだとか、知事はどういうふうにこの道州制を考えているかということをお伺いしたかったということであります。
 先ほど亀卦川議員の質問の中でも岩手のイメージというのがあったと思います。私はたまたまニュージーランドを出したんですが、そのイメージに合うのは何となくニュージーランドなのかなと思って出しました。ニュージーランドは、国民所得が大体180万円ぐらいなんです。それでも、例えば生活していく中では日本よりも大きな家に住んでいたり、いろんな娯楽なんかももっと安くできたりというような国であります。つまり、日本はどんどん県民所得を上げよう上げよう、この努力は必要と思いますが、もう一方で、やはりコストダウンということをもっと考えていかなければいけないと思っております。つまり、180万円ぐらいの所得でも十分に心豊かに暮らしている国もある。だけども日本は、格差はありますが、平均で240万円としてもなかなか心豊かに暮らしていけていないような気がしております。ですから、そういう心豊かに、180万円ぐらいでも十分暮らしていけるんだよというのがこの日本の中にも私はあってもいいと思っているんです。そのためにはやっぱり一国二制度というのが必要で、課税権とかそういったものを全部含めて、この地域でそういう暮らしができますよ、どうぞほかの州、都会からでも移住してください、そういうような都市があってもいいのではないかと、実はそういう夢を持っておりまして質問をさせていただいたのでございまして、その辺を知事はどういうふうに思っているのか、お伺いしたいと思います。
 あと、その役割分担という件に関してですが、いずれ市町村は合併でかなりまとまりました、十分、不十分はあるでしょうが。そうなってきたときに、必ず次は県の役割というのが問われると思います。そうなったときに、私も合併を経験しておりますが、結局、合併するときの最大の抵抗勢力というのはやっぱり首長さんだったり議会であったり、役所の方々なんです、実は。住民の方に一生懸命説明しても、住民の方はちょっとよくわからないです。だから、合併というのは、基本的に住民のコンセンサスを得ることも大事ですが、やっぱりトップダウンというのが必要で、トップがビジョンを示すということが一番重要だと思います。そうなったときに、県の合併となったときに、これは市町村の合併とまた全然違うわけでありまして、相当な抵抗勢力というのも予想されていくと思うんです。相当これは私、難題になると思うんですが、ただ、今の政権が道州制も議論に入れるということでありますので、当然この議論はしていかなければいけないものだと私も思っていますし、するべき議論だと思っております。その辺も踏まえて、県の役割というのが今後本当に、先ほど広域的な、とか専門的な社会資本整備などいろいろ言われましたが、本当にこれが県がやるべきことなのか、市町村でできないことなのかというのは、やはりきちんともっと議論していくべきなのではないかなと思います。その点もお伺いしたいと思います。
 教育長に工業高校の件についてお伺いいたしたいと思います。
 いずれ公表後も地元に説明をしてありますし、1年間見送ったということを御答弁なされたんですが、地元は、1年間見送ったと思っていないところに実はその認識のずれがございまして、地元は、1年間見送ったことによってもうその話がなくなったと思っているんですね、実は、この請願者の皆さんは。そこで、結局いきなり来たんだと、いきなりことし言われたんだというようなお話でございます。その前からそういった減らしますよという議論がなされたようでございますが、そのことも結局何も知らなかったということなんですね。いきなり来たもので、いや、やっぱり何とか存続していい人材を育てていきたいという思いが当然ありますので、じゃ、PTAも同窓会も、今回生徒を集めましょう、そして企業の皆さんにもちゃんと就職も世話してもらいましょう、そのぐらいの強い思いで実は今回請願の活動をしております。ですから、いきなり減らされる、今決まってしまうというような状況であるので大変困っているわけなんですが、そういった地元の皆さんの熱い思いが今非常に強くございまして、ぜひ何とか、まずは1年様子を見てもらえないかというようなお話を強く私も承っているところでございます。そういった声を聞いて教育長どう思われたか、その辺の御所見をお伺いしたいと思います。
 それともう一つ、警察署の関係についてお伺いいたします。
 先ほど本部長からるる御説明をいただきましてありがとうございます。平成19年度からの行財政プログラムの中で考えていくということでございまして、その件に関しまして総務部長の方に1点お伺いしたいわけでございますけれども、いずれ箱物凍結ということでございまして、ただ、警察署とかの場合は、いわゆる私たちが想像する、例えばアイーナとかそういったものの箱物とはやはりちょっとこれは役割が違うのではないかと思っておりまして、同列に扱うものではないのではないのかと。やっぱり地域の生命とか安心・安全を守るという大切な役割の警察署でございますので、そこは一緒くたにするということではなくて、やはり平成19年度からなるべく早期に建てかえていくべきであろうと、実はそのように思っているところでございまして、まずはやはり土地の確保であるとか、そういったことからでも順次進めていく必要があると思うんですが、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
〇知事(増田寛也君) 何点か御質問がありましたのでお答え申し上げますが、まず、道州制についてでありますが、私は、道州については国の出先機関として扱うのではなくて、やはり地方自治体として扱うと。したがって独自の議会も持つような形になると思いますが、ただし、連邦制というのは憲法の改正――改憲を伴うわけでありますが、これは現実的には大変難しい話であると。別途改憲の議論は他の条文のところでいろいろございますが、そうした点について、そうした点というのは、道州制などについて憲法改正で連邦制にするといったようなことについての国民の議論というのは成熟していない。これはまた、地方自治の長い歴史的な背景がないとそういったものは成り立たないと思いますので、したがいまして、現行の憲法内ででき得るものという条件が必要だろうと。したがって、私は三層制で、国と道州、それから基礎自治体、そして地方自治体としてそれぞれの道州を取り扱うというようなものが地方分権の立場に立って、いい姿ではないかと思いますが、これは国民的な議論をかなり慎重にしていく必要があると考えております。
 それから、一国二制度ということで、それはまさに連邦制のような考え方であると思いますが、このことについては、やはり各国連邦制をとっている国家というのは、それぞれの一つの国内に独立の自治体を長く歴史的に持っている。これはアメリカの州もそうですしドイツの州もそうでありますが、そういったような歴史的な背景があります。したがって、先ほど所得との関係でニュージーランドを一つの例としてお話しになっておられましたけれども、やはり一国二制度のような、あるいは一国多制度にわたるようなものの先駆けとして、今、特区の制度、構造改革特区なり何なりの制度がありますが、ああいう中で、必ずしも全国一律で律しなくてもいいようなものが多々あるように私も思いますので、そうしたものを積み上げていくという、ある程度の歴史的な積み上げというものをしていく上で、やはりそれぞれの地域のライフスタイルなり住まい方ということを考えていく必要があるのではないか。やはりそれだけの自治の歴史を一方でまた積み上げていく必要があるのではないか、こういうふうに思います。
 それから3点目として、特に県の合併に絡んでのお話がございました。県の合併自体は私は余り積極的ではありませんで、やはりスケールメリットで規模を大きくするというよりは、国からの権限移譲あるいは県が持っているものを市町村に移譲するというような、できるだけ住民に近いような権限移譲を伴うような仕組みが必要である、そこが道州制につながっていくゆえんだろうと思いますけれども、そういったもので考えていく必要があると思いますが、そういった場合に、先ほど議員がお話しになったように、市町村が一方で合併がかなり進められていく中で、県の役割は一体何だろうかということは、これから将来に向けてよく考えていく必要がある、そこは私も同じような考え方に立っております。その上で、今現実にそれぞれの基礎自治体が果たしている役割などを考えますと、やはり産業振興ですとか雇用対策、それから社会資本整備、環境保全、災害対策といった分野は、これは住民の皆さん方からの意向でも出ておりますし、また、産業関係者の意向あるいは国のさまざまな検討などにおいても明らかになってきておりますが、やはり、今考えられている、あるいは今行われている市町村の枠組みを超えて経済的な圏域というのはかなり広域に広がっておりますので、私が先ほど申し上げましたような例については、やはり今の基礎自治体ではなかなかなし得ない部分で、なおかつ県としても、従来余りしっかりとした取り組みがなされていなかった分野、したがって、今後、広域的な自治体としてより力を入れていくべき分野ではないかということで先ほど申し上げたものであります。国がやるには余りにも圏域が大きかったり、あるいは国が行うよりは、住民により近い広域の自治体が行うのに適する分野ではないかということで、今の現状の県と市町村の役割分担、権限配分の前提の上で申し上げたということでございます。
 これからかなり先の将来にわたって基礎自治体がさらに行財政能力を強めるということになりますと、今申し上げましたうちのある一定の部分は基礎自治体でも十分に機能を果たすことができる、こういう時代がまた来るかもしれませんが、現状のところでいいますと、基礎自治体間もかなり強弱に差があるといったような事情もございますので、先ほど例示で申し上げましたようなことは、広域自治体である県が、あるいは道州がしっかりと役割を果たす、あるいは非常に大きな基礎自治体、政令市とか中核市ぐらいがやる場合にも県がしっかりとサポート、支援をするといったようなことで、やはりこうした分野は県の役割というのは大変大きなものがあるのではないか、こういうことでございます。
〇教育長(照井崇君) 地元の皆様方の福岡工業高校に寄せる熱い思いにつきましては深く感謝を申し上げます。
 昨年からの経過につきまして、私どもと地元の皆様方との間に受けとめ方に差異があったというお話を聞き、私もちょっと驚いております。今のお話をお聞きしますと、やはり私どもの地元の皆さん方に対する説明がまだまだ十分でなかったのかなと。私どもとすれば、後期計画における学級数の取り扱い――これは学科改編も含みますけれども――、これについての考え方なり、それから、地元の高校の現状というものについて、やはり校長が日ごろからしっかりとPTAの皆様を初め地元の方々によく御説明し、御理解をいただける努力、これがやっぱり必要というふうに考えますので、今後そのようにしっかりやっていきたいと思います。
〇総務部長(川窪俊広君) 二戸警察署の建てかえの件でございますけれども、確かに新規事業とは異なりまして、警察署を初めといたしまして、既存の建物、施設につきましては、いずれの時期にかは更新を考えていかなければならないという性格のものでございますので、警察署を初めといたしまして、さまざまな県が建設をし、活用しております施設につきましては、計画的な更新ということにつきまして検討していかなければならないものと存じております。
 一方、当面の財源の苦しさにつきましては御案内のとおりでございまして、そうした財政状況の厳しさの中での調整ということになってまいりますので、それぞれ最小限の範囲で効率的に事業を執行していくということを前提としつつ、優先度、また、緊急性というようなものを見きわめていく必要があるかと考えております。そういった優先度や緊急性を考えていく際には、建物の古さ、また、利便性の低さ等のほか、建物の耐震性が十分あるかというようなことにつきましても議論をしていく必要があると考えておりまして、いずれにいたしましても、次期の行財政構造改革プログラムに関する議論の中で、総務部といたしましてもそれぞれの施設の事情をよくお伺いしながら検討してまいりたいと考えております。
〇 3 番(五日市王君) 教育長にもう一度お伺いします。
 こちらのそういった経緯というものは御理解をいただけたと思います。最後の言葉で、校長が説明するのが足りなかったんじゃないかというような話で、今後気をつけますということなんですが、それはもう気をつけてもらいたいですし、ちゃんとだれがどう説明していくかという部分をきちんと組み立てて住民の方にお知らせしていかないと毎回毎回こういうことになると思います。結局、校長が説明しなかったから気をつけますということではなくて、そういう思いがあるんですということなんです。先ほど言いました。そういうのにはどう対応するのですかということをお聞きしたかったわけです。その点についてもう一度お願いします。
〇教育長(照井崇君) 私ども昨年策定いたしましたこの後期計画について、まだそういうことでなかなか十分に御理解いただけていない面もあるようでございますので、私どもとしては、いろんな機会を通じまして、それぞれの地域でこの考え方について今後しっかりと説明をしていき、御理解をいただくように努めてまいりたいと考えております。
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
 
日程第 2  認定第 1 号平成17年度岩手県立病院等事業会計決算から日程第47 議案第31号公立大学法人岩手県立大学が徴収する料金の上限の変更の認可に関し議決を求めることについてまで
〇議長(伊藤勢至君) この際、日程第2、認定第1号から日程第47、議案第31号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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