平成18年9月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇34番(柳村岩見君) 議席番号34番、自由民主クラブの柳村岩見でございます。先輩・同僚議員の御配慮によりまして一般質問の機会をいただきましたことに、心より感謝を申し上げます。
 通告に従い質問してまいりますが、詳細に通告いたしておりますので、明快な御答弁をお願い申し上げます。
 まず、三つの出来事について知事の所感をお尋ねしておきたいと思います。
 9月6日、秋篠宮妃紀子様には男子を御出産。皇室での男子誕生は秋篠宮様以来41年ぶりとのことも加わって、日本全国で祝賀ムードとなりました。秋篠宮殿下妃殿下は5回も来県されており、岩手県民の喜びもひとしお、心よりお祝いを申し上げる次第であります。御命名の儀では悠仁親王殿下と命名され、昨今の何かと気ぜわしい世相の中で心が和み、時が限りなく続くさまを予感させ、ゆっくりと落ちついた気持ちにさせられました。伊藤議長が既に岩手県議会を代表して電報をもって祝意を表し、慶祝の記帳と、お手元に賀詞を奉呈されておりますし、知事も祝意を表すとともに談話を発表しておられますが、ここで改めて所感をお尋ねしておきたいと思います。
 9月14日、世界遺産条約関係省庁連絡会議が開催され、平泉の文化遺産を、平泉-浄土思想を基調とする文化的景観として、国連教育科学文化機構ユネスコの世界文化遺産に推薦することを正式に決定いたしました。このことは、再来年の登録に向け手続的に大きく前進し、平泉の評価の場が日本国内から世界の場へ移ったものであります。世界文化遺産登録に向けて取り組んでおられる県、関係市町村、関係者にとって朗報でありました。関係者各位に敬意を表しますとともにお喜びを申し上げたいと思います。知事の所感を改めてお聞きしておきたいと思います。
 3候補が立候補した自由民主党総裁選挙は、9月20日、全国党員・党友票の開票と、ドント方式による各都道府県割り当て票の投票と、議員票投開票が行われ、安倍晋三候補が第21代自由民主党総裁に当選いたしました。26日には両院において首班指名選挙が行われ、その結果、安倍晋三氏が第90代首相に指名され、同日、組閣が行われ、自公連立安倍新内閣が誕生いたしました。
 知事は、政治家としてどのような目で総裁選挙、安倍新内閣の誕生を見ておられたのでしょうか。一連の流れの中には幾つかの特徴を見出すことができますが、それを含めて、安倍新内閣に岩手県知事として望まれることについてお尋ねをしておきます。
 増田知事の1期目の状況を私は直接は知りません。一県民として、ひいては滝沢村議会議員の目で知事の仕事ぶりを見ておりました。1期目の知事は、新しい岩手県の指導者、執行者として意欲にあふれ、集中力に満ちて仕事に取り組んでおられたと思います。そして、2期目には、先輩・同僚議員の皆さんとともに、県外出張が多過ぎる、もっとしっかりと県政課題に取り組んでほしいと一般質問をし、所感をお尋ねしたことがありました。そして、3期目の残任期間6カ月余となった今、総合的に見て、今日までの中で最も集中して、県政課題に沿って、その解決への方法や検討の指示を出されながら仕事をされておられると思います。それは、県北・沿岸圏域の産業振興に関する体制の整備、そのための新組織体制の人事配置、医師確保対策室を設置したこと、地方税滞納整理機構を設置したこと、新しい岩手県競馬組合改革計画(案)において、存廃基準の設定や、存続に支障となる借入金に返済基金の造成、そのスキームを示されたことなどにあらわれていると思います。増田知事の現在の仕事に取り組む姿勢、思いについてお聞かせをいただいておきたいと思います。
 新しい岩手競馬組合改革計画(案)が組合議会臨時会に示されました。その内容を見ますと、何点かの新しい計画が示されております。初めて存廃基準が設定され、基準の中に、年度途中であっても、年度を通じて経常損益の収支均衡を達成する見込みがないようであれば廃止とあり、いかにも即廃止のように聞こえますが、実際はそのような時点で廃止を決断し告知をして、一定期間後に廃止するということになるのだろうと思います。
 そこでお尋ねをいたしますが、存廃基準を設定された背景、内容、地方公共団体の一部事務組合が廃止されるときのルールの順にお答えを願いたいと存じます。
 一方、存続には長期、短期の債務負担を構成団体からの低利息の融資に切りかえる必要があるとし、構成団体が330億円の基金を造成し、その基金より融資を受けるとしております。この融資がなければ岩手競馬の存続は考えられませんし、存廃基準そのものも成立しない関係にあると思います。構成団体への融資要請に至った考え方と融資スキームについてお尋ねをしておきます。構成団体の基金造成で、それぞれの割合が、利益配分ルールが損失負担割合の場合も同じと言えばそれまでですが、それぞれの基金造成に積み立てるべき金額は実際どうなりますか、確認しておきたいと思います。
 さらに、基金積み立ての議論の入り口にあって、県が他構成団体の積立額の一部を肩がわりすると判断されておりますが、その経緯はどういうことか、お尋ねをいたします。新しい岩手県競馬組合改革計画において、競馬関係者、馬主会、調騎会、厩務会員で構成する岩手県競馬組合運営協議会を設置し、調整するとしていることは至極当然であります。
 一方、この事態で、この段階で関係金融機関のアクションが全く見られないのはどういうことからでしょうか。それぞれに法のもとにあり、ルールもあるところであり、そのことを承知していないわけではありませんが、金融機関全体には国民に負担を求め、理解を超えた支援が行われてきた歴史もあるところであります。現状の中で何ができるかという協議も必要であり、要請をする必要もあると思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
 新しい岩手県競馬組合改革計画(案)が今後どのような日程で成案になるのか、県議会への成案としての説明、議決が必要と考えられる事項、議案として提案する時期についてお尋ねをしておきたいと思います。
 県北・沿岸地域の振興を図るため、平成18年1月4日、県北・沿岸振興本部を設置。現在、県北・沿岸圏域における産業振興の基本方針をおよそ10月末から11月上旬の成案に向けて取りまとめ中であります。これは、県内四つの圏域ごとにまとめる地域振興ビジョンの県北圏域、沿岸圏域の二つのビジョンとも関連するものであり、立派な成案を期待するものであります。
 一方、県北・沿岸振興における産業振興の基本方針に沿って個別具体の取り組みを推進していくために、新たな組織体制を整備するとともに人事配置を行ったところであります。これらの対応は、人事は別としても、副知事を本部長として取り組んでおられると思います。県北・沿岸振興においては、産業振興や観光振興が大きく取り上げられておりますが、その実現には道路網の整備促進が重要であると考えるところであります。現在、岩手県内で高速自動車国道、一般国道の自動車専用道路、地域高規格道路のそれぞれの路線の計画や整備が進められております。特に、県北・沿岸にかかわるものとしては、高速自動車国道として東北横断自動車道釜石秋田線、一般国道の自動車専用道路として三陸縦貫自動車道、八戸・久慈自動車道、地域高規格道路として三陸北縦貫道路、宮古盛岡横断道路などがあります。これらの計画、整備道路は、岩手県内の路線延長が長いこともありますが、隣接県の整備状況に比べて大きく整備がおくれている状況であります。東北横断自動車道釜石秋田線の整備では、直轄負担率として岩手県が約1割の負担であり、沿岸市町村には負担金はありません。三陸縦貫自動車道や八戸・久慈自動車道では16.7%の負担率で、市町村には同様にありません。県北・沿岸振興と社会資本整備を一緒くたにするつもりはありませんが、これらの整備は負担が少ないことでもあり、整備促進は意味深いものがあります。整備のおくれとあわせて御認識をお尋ねいたします。
 県北・沿岸振興を考えるとき、知事は、これらの整備について今まで以上の努力が必要ではないでしょうか。時には関係省庁に、また政権与党に、別のときは県選出の国会議員の皆さんに機会をとらえて要望していかなければならないと思います。増田知事の今後一層の努力に対する決意についてお尋ねをいたしたいと思います。
 次に、9月補正予算についてお尋ねをいたします。補正予算は大きくは四つに分類することができると思います。昨年からの異常低温に伴う道路の凍上災の災害復旧対策への約52億円が計上されております。今回の凍上災は、従来の採択要件では採択に至らない状況であったものを、自由民主党の東北衆参両院議員協議会が、東北地方の景気回復感が乏しい中、画一的であってはならないとして政府・与党に働きかけ、10年確率凍結指数を超える低温により発生した災害を採択基準に定めるに至って実現したものであります。凍上災査定作業は9月上旬より進められておりますが、査定計画、今後のスケジュール、現在の採択状況、発注方針、発注の見通しについてお尋ねをいたします。
 凍上災害の予算算出は簡単ではありません。調査額、過去10年の平均申請率、過去10年平均決定率を初め初年度配分率や事務費とともに当初予算の災害復旧費を一部充当することとの関係があります。加えて、今回の補正予算には、凍上災には漏れた県道等を道路維持管理として施工する修繕費約10億円が盛り込まれ、結果として不足額を9月補正に52億円計上しております。この流れをわかりやすくお聞かせ願いたいと思います。
 県北・沿岸振興対策として、中小企業向けの無担保・無保証の貸付金の年度融資枠を10億円から70億円に拡大するとして16億円を措置しております。現在の融資枠がどのように利用されているかと、預託方式による融資と思いますが、今回の増額の基本的考え方についてお尋ねをしたいと思います。
 建設業者が他産業へ進出したり、新工法技術を開発する際の貸付金4億円が計上されていますが、これも貸付金であり、県北・沿岸振興、建設業振興といえば貸付金しか方法がないのでしょうか。これらの補正予算と連動して行う施策との関係について、それぞれの担当部より御答弁をいただきたいと思います。
 日本の農業は、今、何度目かの大変革期にあると思います。そのことは農業県岩手にとってなおさら重要課題としてとらえておく必要があります。平成19年度から始まる経営所得安定対策としての品目横断的経営安定対策と、農地・水・環境保全向上対策はぜひ成功させなければなりません。世界各国の農業はそれぞれにグローバル経済社会に組み込まれており、日本農業におけるこうした政策の成功、不成功は、世界においての優位性が確保できるか、十数年のおくれをもたらすか、緊張感を持つところであります。
 岩手県における品目横断的経営安定対策の取り組みについてでありますが、現状はどうなっておられるのでしょうか。同安定対策の中身とともにお聞かせいただきたいと思います。
 秋まき麦を作付する農業者は、9月1日から11月30日までに加入申請を行う必要がありますが、その方法と現状についてお尋ねをいたします。
 一方で、この安定対策では、来年のスタートに間に合わない農業者、全く対象とならない農業者のフォローが重要であります。対象となった農業者のスタートと対象外農業者を同時に考えることは至難なことでありますが、そのシステムと現状についてお尋ねをいたします。
 農地・水・環境保全向上対策は、政策に至る農地・農業用水等の現状理解はそのとおりでありますが、実際の取り組みでは大変わかりにくいものがあります。平成18年度で、全国約600地区においてモデル的な支援を行うなど準備を進めておりますが、安定対策の内容とともに岩手県内3カ所のモデル地区の現状と課題をお尋ねをいたします。この対策事業は県予算、市町村予算が伴うわけですが、19年度スタートはどのようになるのでしょうか、見通しについてお尋ねをしたいと思います。
 次に、建設業振興対策についてお尋ねをいたします。
 岩手の建設業は、現在、ピーク時に比べ、平成16年度は40.4%減少し、公共事業関係費も44.8%減少しております。また、平成18年度の岩手県公共事業関係費に至ってはピーク時に比べ67%も減少し、大変な経営環境にあります。岩手県内の建設業の現状認識と、県内産業への位置づけについてお尋ねをいたします。
 建設業に対する支援策の概要について依頼調査をいたしました。支援策全体として建設業対策中期戦略プランにまとめられていると思いますが、建設業総合相談センターの取り組みの関係では、センター設置の目的の中に中期戦略プランの啓発が入っているという流れが欲しかったと思います。建設業総合相談センターの現在の相談状況と、建設業対策中期戦略プランの概要とともに建設業界への啓発方針についてお尋ねをいたします。
 岩手県建設産業団体連合会と岩手県建設業協会は、9月15日、県に対し5項目を要望しております。具体的には公共事業の早期発注、補正での凍上災関係予算の確保、効果的な総合評価落札方式の実現のために技術点の割合引き上げ、地域貢献に参画している会員が入札に参加し、落札できる入札契約制度の実現、予定価格の事前公表の廃止、低入札価格調査制度の基準や価格の適正設定、県営工事執行体制の適正化、新分野進出などの支援となっております。知事は、要望を受けてのコメントの中で、具体的な提言を早く検討し、取り入れるべきものは取り入れ、新しい建設業のあり方を模索していきたいと答えておりますが、具体的にはどのようなことになるのでしょうか。これらの要望をどのように受けとめ、こたえていかれるのかについてお尋ねをしたいと思います。
 これらの要望の中には、古くから要望されている事項、補正予算で措置されているもの、また、県内建設業者91社が公正取引委員会より排除勧告されたことを受け、県営工事請負資格を持つ全建設業者に対してとられた当面の措置の昨年9月の入札制度改編に対することも入っております。改編では、予定価格は全工事で公表、指名業者が受注希望型指名競争入札30社、指名競争入札20社に拡大され、入札時工事内訳書の提出が義務づけられたこと。電子入札も早められました。指名業者の拡大により各社の受注機会が拡大されるかに思われましたが、近隣振興局管内業者との競合と指名通知への対応、工事内訳書の作成等業務内容が増大するばかりで、実際は工事量の減少とともに受注機会が減る結果となっていると思います。当面の措置とされた入札制度改編の今後についてお尋ねをしたいと思います。
 飲酒運転は、飲酒によるドライバーの判断力、運転能力の低下により車が凶器と化し、人命にかかわる重大な事故を誘発することとなり、被害者、遺族はもとより、飲酒運転の当事者、その家族など多くの人に悲しみ、怒り、そして絶望を生み出すことから、長年にわたり国民、警察、関係団体などが、その根絶に向けての地道な取り組みが続けられており、車社会における私たちの課題であります。しかしながら、飲酒運転による重大事故は後を絶ちません。福岡県で福岡市職員が飲酒の上に車を運転し、一家5人の乗る車に追突。3人の幼い命が犠牲となるという痛ましい事故が発生し、これを契機に全国的に飲酒運転が大きな社会問題として取り上げられるようになりました。マスコミ報道によって飲酒運転による事故、検挙件数が増大傾向に映りますが、平成13年の危険運転致死傷罪新設や、平成14年の酒気帯び運転の摘発対象となる呼気中のアルコール濃度が大幅に引き下げられた道路交通法施行令改正の厳罰化後の推移、先月実施された飲酒運転取り締まり強化週間における全国及び岩手県内の取り締まり状況、秋の全国交通安全運動期間中の状況等あわせてお尋ねをいたします。警察庁では飲酒運転抑止対策の強化について検討を始められたとのことですが、その内容と、岩手県警としての取り組みについてお尋ねをいたします。
 飲酒運転による事故や検挙のニュースバリューが高まる中、各種団体から飲酒運転追放誓約書が提出されております。飲酒運転の追放が県民の間から盛り上がることは大歓迎であります。追放誓約書の提出の状況と、今後、岩手県警の交通安全施策にどのように生かし、位置づけられていかれるかについてお尋ねをしたいと思いますし、それとともに交通安全施策全体への取り組みについて、県警本部長としての決意をお聞かせいただきたいと思います。
 以上をもって私の一般質問を終わります。答弁次第では再質問をさせていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 柳村岩見議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、このたびの悠仁親王殿下の御誕生についてでありますが、このことは、私を初め多くの県民の喜びでございまして、心から慶祝の意を表したいと存じます。御命名に当たりましては、ゆったりとした気持ちで長く久しく人生を歩まれるようにというお気持ちが込められていると伺いました。秋篠宮同妃両殿下の我が子に託す願いと深い愛情を感じるものでございます。悠仁親王殿下におかれましては、健やかに御成長されますとともに、皇室のますますの御繁栄をお祈り申し上げたいと存じます。
 次に、平泉の文化遺産登録の政府推薦がございまして、その関係でございます。平泉の文化遺産につきましては、7月の文化庁における推薦決定に引き続きまして、9月の世界遺産条約関係省庁連絡会議におきまして、政府として推薦決定がなされまして、これを受けて、9月27日には、推薦書のうち、写真、スライドなどを除きました、いわゆる暫定版がユネスコに提出をされたところでございます。関係者の皆様方のこれまでの御協力に感謝を申し上げますとともに、県民の皆様方とともに喜びを分かち合いたいと思います。
 このように、世界遺産登録が次第に現実のものになりつつありますが、ユネスコへの推薦書正本の提出、これは来年の1月を予定していると聞いております。この推薦書正本の提出や、イコモスという国際機関による現地調査等の事務も残されております。このイコモスという国際機関による現地調査は、来年の秋ごろに予定をされているというふうに聞いておりますが、こうした大事な事務もまだ残されておりますので、万全の準備を行って、平成20年の登録に向けた文化庁、関係市町等との連携を図りながら、適切に対応していく考えでございます。
 今後、世界遺産の適正な保存管理のあり方の検討はもとより、国際化をも視野に入れた広域観光を初め、伝統産業や農林水産業等との連携による、すそ野の広い産業の振興、世界遺産を生かした地域づくりなど、世界遺産の積極的な活用について、東北各県との連携も深めながら、地域の方々や関係機関ともども、取り組んでいく考えであります。
 次に、安倍新内閣の誕生についてでございますが、今回の総裁選挙では、3人の候補者の方々がそれぞれ政権構想を掲げて議論を闘わせたところでございますして、多少政策の違いがわかりにくかったとの印象もありましたけれども、しかし、政策本位の選挙に近づいていると、こういう実感を持ったところであります。
 また、各候補者の政策につきましては、小泉内閣が5年半で行ってまいりましたさまざまな改革について、今後、それらをどのように受け継ぎ、または見直しをしていくのかということについて、私も関心を持って見てきたところでございます。その結果誕生いたしました安倍新内閣には、地方の活力や創意工夫を引き出して、改革と成長のプラスの効果が地方にもしっかりと及ぶような仕組みづくりに、ぜひ真正面から取り組んでいただきたいと。このためにも、まずもって、地方分権をさらに進めるということが必要でございますので、こうしたことに、内閣を挙げて積極的に取り組むことを期待しているところでございます。
 次に、私の知事としての残任期間の仕事に対する姿勢ということでございまして、これまで県政課題の解決に向けて、全力で取り組んできたつもりでございますが、今後におきましても、市町村合併や市町村への大幅な権限移譲の推進など、市町村中心の行政の仕組みを構築するということがございます。また、人口減少などの地域経済動向を踏まえて、さきに策定をした産業成長戦略に基づきまして、地域経済の基盤づくりを着実に進めるということ、特に経済基盤が弱い県北・沿岸地域につきましては、特色ある農林水産資源を活用した食産業の振興などの取り組みを強力に推進する必要がございます。さらには、今、当議会などでもさまざま御質問をいただいております岩手競馬の再建の問題や、林業公社などのいわゆる県出資等法人改革を初めとする行財政構造改革の取り組みをさらに推進するといった大きな問題もございます。こうした事柄に、全力を傾けていく決意でございます。
 次に、県北・沿岸振興における高速自動車国道の整備についてのお尋ねでございます。
 沿岸と内陸を結ぶ横断軸でございます東北横断自動車道釜石秋田線、それから沿岸地域の縦断軸であります三陸縦貫自動車道、八戸・久慈自動車道、そして三陸北縦貫道路と、この高速交通ネットワークの整備というのは、効率的な物流を確保して産業の振興を支えるとともに、活力ある地域社会の形成を図る上で重要なことと、このように認識をしています。しかし、これらの整備状況は、今議員から御指摘も賜りましたが、隣県に比較をいたしまして、それぞれの道路、供用延長の割合がまだ低い状況にございます。そうしたこともございますので、政府の予算提言、あるいは政府の予算要望や、個別に機会あるごとに、その促進方を国に強く要望してきたところでございます。
 今後も、整備中の区間は早期完成、それからそのほか残る区間につきましては、まず一刻も早く事業化にこぎつけるということにつきまして、国等に強く働きかけをしてまいりたいと、そして全力を挙げて取り組んでいきたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、新しい岩手県競馬組合改革計画(案)についてでございますが、競馬事業存廃の基準設定の背景につきましては、競馬組合が盛岡競馬場整備等の設備投資負担や長期的な発売額の減少などを要因として資金収支不足となり、平成17年度末で、一時借入金と起債をあわせて295億円の借入金があること。このような中で、発売額の推移を見ますと、当面、発売の大幅な拡大は期待できず、起債等の償還は困難な見通しで、現状のまま推移すれば、資金不足により、競馬事業の継続が困難な状況になるものと見込まれること。そして、万が一、競馬事業を廃止した場合、競馬組合の債務等の支払いが構成団体にとって極めて大きな財政負担になるほか、競馬関係者の雇用問題等の発生や経済効果の喪失といった地域経済の影響など、地域への影響も極めて大きいと考えられることなどを考慮すれば、収支が均衡し赤字が拡大しないこと、これを条件に、できる限りの手だてを講じて競馬事業を継続することが、廃止に伴う大きな財政負担の発生を防ぎ、雇用の場の提供や地域経済に貢献することになるとの認識のもとに、収支均衡を基本とする競馬事業存廃の基準を設定しようとするものでございます。
 この事業存廃の基準の主な内容は、各年度において、年度を通じて経常損益で黒字又は収支均衡をすること、それから、競馬関係者等で構成する運営協議会を設置し、年2回、半期ごとに収支状況を検証し、収支均衡を図るための調整を実施することでございまして、平成19年4月以降は、この基準に従って、構成団体の長が競馬事業の存廃を決定するものでございます。
 また、一部事務組合の廃止のルールについてでございますが、地方自治法では、一部事務組合を解散しようとするときは構成団体間で調整し、各構成団体議会の議決を得た上で、総務大臣に届け出ることとなっております。
 次に、構成団体融資についてでございますが、競馬組合は、競馬事業存廃の基準を設定することで、これまでのような金融機関から融資は困難になるというふうに見込まれ、また、多額の借入金に係る支払い利息が収支を圧迫していることに加え、当面、発売の大幅な拡大を期待できないことから、起債等の償還は困難な見通しであり、万が一、競馬事業を廃止した場合、構成団体の財政や地域の雇用、経済への影響も極めて大きいと考えられます。
 このような状況を抜本的に改めるためには、過去の借入金に起因する負担について、構成団体が一定の役割を果たす必要があると考えておりまして、そのための仕組みとして、構成団体からの融資に切りかえようとするものでございます。
 また、この融資スキームは、各構成団体に新たな運用型基金を設置し、その基金の運用として競馬組合に融資し、競馬組合の抱える長期・短期の債務全額を繰上げ償還しようとするものでございまして、これにより、支払い利息の低減と収支状況に応じた元金の弾力的な償還といった効果を期待しているものでございます。
 次に、構成団体の基金造成についてでございますが、今回の融資スキームが、競馬事業の廃止も視野に入れた存廃基準の設定と一体のものでございまして、県といたしましては、これまで各構成団体が利益金の配分を受けてきた割合であり、損失が生じた場合に分賦を行う割合として、競馬組合規約で定めている割合によることが適当と考えておりますが、奥州市及び盛岡市との合意の上で決定しなければならない問題でございますことから、具体的には、今後、両市の考えをよく伺いながら、構成団体間で協議していくことになるものと考えております。
 次に、基金積み立てに際して県が貸し付けを行うことについてでございますが、競馬事業存廃の基準を設定し、競馬組合と競馬関係者が一体となって収支均衡を実現していく取り組みとあわせて、構成団体としても一致協力して、構成団体融資という形で一定の役割を果たしながら岩手競馬の再生を目指していく必要がございますが、平成19年度から競馬事業存廃の基準により運営されますことから、平成18年度末に基金を造成し、速やかに新しい融資スキームに移行する必要があることや、構成団体融資の金額が多額になることから、奥州市、盛岡市の基金造成の際には、両市の行財政運営に大きな支障が生じないためにも、両市が自己資金で基金を造成し切れない不足額について、県から貸し付けることによって、構成団体融資の実現を図る必要があると考えてございます。
 次に、関係金融機関への協議・要請ついてでございますが、金融機関とは、これまでもトップ同士の話し合いも含め、交渉を重ねながら、地方債の引き受け、一時借入金の融資や支払い利息の取り扱いなど、可能な限り競馬組合にとって有利な条件での融資の実現を図ってきたところでございます。しかしながら、新計画(案)にございますとおり、競馬事業存廃の基準を設定し、収支が均衡し赤字が拡大しないことを条件として競馬事業を継続する場合は、金融機関からの融資が事業の継続を前提としておりますことから、これまでのように融資を受けることは困難と考えておりますが、払い戻しなどのために、準備金といったような短期的な資金につきましては、引き続き融資が受けられるよう、金融機関と調整していく必要があると考えてございます。
 次に、新計画(案)が成案となる日程、県議会への提案時期についてでございますが、競馬組合では、新しい岩手県競馬組合改革計画(案)について、構成団体議会等でいただいた御意見や、コスト削減に係る交渉経過なども踏まえながら11月を目標に取りまとめ、競馬組合議会に議案として提案する意向と聞いております。
 また、新計画(案)が競馬組合議会での承認を受けた場合には、できる限り速やかに県議会にその内容を御説明させていただく機会を設けていただくとともに、競馬組合の構成団体である奥州市、盛岡市との連携も図りながら、新計画の融資スキームに係る新たな基金条例案や関連予算案の検討を進め、平成19年2月定例会に関係議案を提案し、御審議をいただくことになるものと考えてございます。
 次に、農業振興についてのお尋ねでございます。
 まず、品目横断的経営安定対策についてでございますが、この対策は、加入対象を一定規模以上の認定農業者と集落営農に絞り、米、麦、大豆などの土地利用型作物を対象として、諸外国との生産条件格差、これを是正する交付金や、販売収入が下落した際の収入減少分を補てんする交付金を交付することにより、担い手の経営の安定を図ろうとするものでございます。
 本県におきましては、個別経営体や集落営農組織が確実に制度に加入できるように、市町村や農協等と連携を図りながら、約400名の集落コーディネーターを配置し、集落営農の合意形成を支援しているところでございまして、8月末時点では、個別経営体が約2、500、集落営農組織が約340、農家数では約2万1、600戸の加入が見込まれているところでございます。これによりまして、小麦、大豆につきましては、販売農家の作付面積のほとんどをカバーできる見込みとなってございます。
 次に、秋まき麦の加入申請の方法と現状についてでございますが、この加入申請につきましては、農業者が直接、東北農政局岩手農政事務所に申請を行うこととされてございますが、農業者の負担を軽減する観点から、農協等による代理申請も可能とされているところでございます。
 平成19年産秋まき麦の加入状況でございますが、現在農作業の繁忙期であることなどから、9月29日現在の加入申請数は16経営体となってございます。県といたしましては、今後、稲刈りの終了を待って、市町村、農協等と連携を図りながら、期限内の加入の促進に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、平成19年産からの対策の対象とならない農業者への支援についてでございますが、これらの方々につきましては、関係機関・団体等と連携を図りながら、引き続き、平成20年産からの品目横断的経営安定対策への加入を促進するとともに、担い手以外の農家を対象に、米の価格下落時の価格補てんを目的として、平成19年度から新設されます稲作構造改革促進交付金や転作作目の産地づくりを促進する産地づくり交付金、さらには、平場と中山間地域との農業生産条件の不利を補正する中山間地域等直接支払交付金などを活用して、支援に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、農地・水・環境保全向上対策についてでございますが、この対策は、地域において、農地・水・環境の良好な保全と質的向上を図るため、市町村と活動組織が協定を締結し、自治会やNPOなど多様な主体の参画を得て、非農家も含めた地域ぐるみでの農地、農業用水等の保全向上を図る共同活動や、地域の環境保全に向けて化学肥料や農薬の使用を大幅に減らす先進的な営農活動などの取り組みを支援するものでございます。
 本年度実施しております県内3カ所のモデル地区におきましては、非農家を含めた活動組織が設立され、農業用水路や農道の補修、ビオトープの整備による生態系保全などの共同活動の実践を通じ、農地・水・環境の良好な保全と質的な向上が図られておりますが、今後、こうした取り組みの効果をさらに高めていくためには、非農家への施策の一層の周知や、活動組織の体制強化などが課題と考えてございます。
 次に、農地・水・環境保全対策の平成19年度に向けた見通しについてでありますが、現在、国の概算要求で示された対策の内容を踏まえまして、市町村を通じて事業要望量の調査を行っているところでございます。
 県といたしましては、これまでも、この対策の実施に係る地方財政措置を国へ要望してまいりましたが、現時点ではその具体的な内容が示されておりませんことから、現在実施しております要望量調査の結果、さらには、国の具体的な地方財政措置の内容を踏まえまして、19年度の対応について市町村と協議の上、適切に対応してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 道路の凍上災の災害査定につきましては、9月上旬から10月中旬まで計5回予定されております。このうち、9月末までに既に3回実施され、県、市町村合計で955件、約179億円の災害報告のうち、625件、約80億円余が決定されました。今週実施中の査定も含めて、残り2回の査定で決定される予定であります。
 復旧工事につきましては、災害査定が終了した箇所ごとに順次発注準備を進めており、10月中には、一部の工事を発注できる見通しであります。今後、早期発注により、道路利用者の安全確保に努めてまいります。
 また、凍上災に係る補正予算額につきましては、国からの初年度配分額、これ85%になると思いますが、それに過去の災害での国への災害報告額に対する国庫負担申請額や災害査定決定額を参考に算出しますと、今年度分の凍上災の所要額は、約53億円となると見込んでおります。これに平成18年度当初予算に計上されております災害復旧費のうち、実施済み及び今後の災害対応分を除いた約12億円を凍上災に充当することとし、不足額約41億円と凍上災に係る調査費約1億円、あわせまして計42億円余を計上しました。さらに、凍上災に該当しなかった地区等の道路維持修繕費として、約10億円を計上しております。
 次に、建設業に対する貸付金についてでありますが、岩手建設業経営革新特別資金貸付金は、新分野進出や新技術、新工法の開発などに取り組む建設企業に対し、所要資金の円滑な供給を行うことにより、公共事業に過度に依存しない経営体への転換を支援するとともに、県内地域経済の振興と雇用の安定に資するものであります。
 県としましては、各振興局に設置した総合相談センターにおいて、建設企業からの個別相談に応じているほか、岩手県建設業協会の経営支援センターと密接に連携を図りながら、新分野進出に係る意向調査や、地域の実情に応じた調査研究の取り組み支援、製品開発や販路開拓などに要する経費の支援などに取り組んでいるところでありますが、このたびの新たな融資制度を活用し、事業化につながるように、より多角的で実効ある対策に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県内建設業に対する現状認識についてでありますが、公共事業の引き続く減少や民間景気動向等を背景として、県内建設投資がピーク時から約4割減少するなど、本県建設業を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、また、倒産を余儀なくされる企業も出るなど、企業経営者の方々の改善に向けた努力にもかかわらず、総じて、極めて厳しい経営状況にあるものと認識してございます。
 このような状況において、県内建設業は、平成16年度の県内総生産に占める割合が7.3%、就業人口に占める建設業従事者の割合は11.9%となっており、地域経済や雇用に与える影響が大きく、加えて、災害時の緊急対応における役割も大きいことなどから、重要な産業であると認識しております。
 次に、建設業総合相談センターの相談状況についてでありますが、相談実績はこの9月末までに39社、47件となっており、相談内容は、農業や環境、福祉などの分野に関する相談のほか、今年度創設した建設業新分野進出等支援対策事業費補助金に関する相談などとなっております。
 また、建設業対策中期戦略プランについてでありますが、今後、県内建設投資額が引き続き減少していくと大胆に仮定をし、平成22年度の建設投資額を約5、000億円、建設業事業所数及び従業者数をそれぞれ5、000社、5万人と推計した上で、技術力、経営基盤強化や経営多角化、業種転換等の視点から、総合的な建設業対策に取り組むことにしております。
 建設業界への啓発についてでありますが、これまで県内13地域で地域巡回懇談会を開催したほか、振興局において説明会を開催するなど、プランの周知を行ってきたところであり、今後も、ワークショップの開催やアンケートの実施などにより、一層の周知に努めてまいりたいと考えております。
 次に、岩手県建設産業団体連合会等からの要望への対応についてでありますが、公共事業の早期発注につきましては、県土整備部としましては、平成18年度の上半期契約目標率を82%と定め、計画的な事業執行に取り組んでおります。また、総合評価落札方式の技術点の引き上げにつきましては、今年度の施行結果や、国や他県の実施状況などを調査の上、検討してまいりたいと考えております。
 さらに、県営建設工事の執行体制につきましては、これまでも適切な対応に努めてきたところでありますが、今後とも、必要な改善に努めながら、一層適切に対応してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) 県北・沿岸振興資金の利用状況と今回の融資枠の増額の考え方についてでありますが、まず、利用状況につきましては、平成18年8月末時点で63件、17億7、300万円となっております。
 なお、当初融資枠を超えた分につきましては、県単融資制度の他資金の貸付金の枠内で調整を行い、資金需要に対応したところであります。
 本資金の業種別利用状況でありますが、製造業が約半分を占め、次いで建設業、小売業の順となっております。
 また、利用企業の事業計画といたしましては、販路拡大に伴う売り上げの増加や雇用の増加に取り組むものが多く、これに係る事業資金として本資金が活用されております。県では、6月、9月に利用企業へのヒアリングを実施し、利用状況や資金ニーズの把握に努める等フォローアップを行ったところでありますが、利用企業からは、新事業への取り組みや設備の更新に係る資金調達について担保余力がなく苦慮していたところ、本資金により、資金調達が可能になった等の意見をいただいているところでございます。
 今回の融資枠の増額につきましては、既に当初融資枠10億円を超えていること、本資金に対して県北・沿岸地域の中小企業者の高い資金需要があることから、これらのニーズに十分に対応して、同地域の産業振興を図っていこうとするものであります。
 年間融資枠の増額につきましては、当該資金の月平均融資実績等をもとに、最近の景気回復の動きを反映して、設備資金・運転資金への需要が旺盛であることや、年末・年度末の資金需要は、年度当初に比較して増加する傾向にあること等の状況を勘案し、年間融資枠を設定したところであります。
 次に、貸付金以外の県北・沿岸振興策についてでございます。9月補正予算では、県北・沿岸地域において新たに事業を開始する起業化支援に向けた補助や、起業家育成塾の開催等を内容とする県北・沿岸地域起業化支援事業費を新規に計上しているところであります。また、先月には企業立地推進課に県北・沿岸企業立地推進チームを新たに設置したほか、食産業、観光産業の振興につきましても組織体制を強化したところでありますが、企業誘致のさらなる促進はもとより、今般の補正予算に計上しております県北・沿岸振興資金や補助事業の活用によりまして、企業の販路拡大等を通じた企業経営の強化、意欲ある企業の掘り起こしや育成支援など、特にも企業の育成と強化に向けて取り組んでまいる考えであります。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 建設業関係団体からの要望についてでございますが、御要望のうち、入札契約制度の改善に関する要望といたしましては、地域貢献活動を行っている企業の取り扱いや、低入札価格調査制度のあり方などにつきまして要望をいただいておりますけれども、これらにつきましては、総合評価落札方式の運用実績や、低価格での入札の発生状況などを踏まえながら、現行の入札制度が採用されている趣旨との整合性を保ちつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、入札制度の今後のあり方についてでございますが、昨年の6月に県内建設業者91社に対する排除勧告がなされたことを踏まえまして、県といたしましては、入札契約適正化の視点として、競争性、透明性、公正性の確保、談合等不正行為の排除の徹底、価格と品質にすぐれた調達、技術と経営にすぐれた建設業の四つを掲げまして、入札制度改善に取り組むこととしたところでございます。昨年9月に行いました当面の措置は、この四つの視点を踏まえまして、より競争性を高めるとともに、談合等不正行為につながる機会を減らすという観点から、入札制度改善の一環として、指名業者数の上限拡大、予定価格の事前公表及び電子入札の対象範囲の拡大を行う一方で、ダンピング受注対策といたしまして低入札価格調査のさらなる強化などを行ったところでございます。
 排除勧告に係る審判が係属中でございますので、県といたしましては、その動向を注視してまいりますとともに、談合等不正行為の根絶に向け、より競争性、透明性、公平性、公正性を確保し、また、いわゆる品質確保法や、本年5月に閣議決定されました入札契約適正化指針の趣旨等も踏まえまして、さらなる入札制度の改善に向けて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
   〔警察本部長山下史雄君登壇〕
〇警察本部長(山下史雄君) 飲酒運転対策についてでございますが、初めに、飲酒運転の状況につきましては、議員御指摘の平成13年から14年にかけての厳罰化措置により、交通死亡事故に占める飲酒運転の割合は、全国、本県とも減少傾向に推移しておりましたが、いずれも昨年から増加に転じております。このような状況の中で、9月に実施した全国一斉の飲酒運転取り締まり強化週間中においては、全国では4、383人、当県におきましては39人が飲酒運転で検挙されております。また、秋の全国交通安全運動期間中においては、全国では3、856人、当県では18人が飲酒運転で検挙されております。
 次に、飲酒運転抑止対策の強化につきましては、現在、警察庁において、飲酒運転に対する制裁の強化、ひき逃げに対する罰則の引き上げについて検討されていると承知をしております。県警察といたしましては、飲酒運転に対する取り締まりを今後一層強化するとともに、運転者のみならず運転者への酒類の提供や飲酒を勧めたりする行為、飲酒していることを知りながら車の運転を依頼する行為などの悪質な行為についても厳正に捜査することとしております。あわせて、関係機関・団体と連携をして飲酒運転根絶に向けた啓発活動を推進してまいります。
 最後に、飲酒運転追放誓約書の提出状況につきましては、現在までのところ、自治体、事業所等182団体、4万7、561通の誓約書の提出を受けております。飲酒運転追放宣言や誓約書につきましては、各団体における飲酒運転防止意識の高揚の面で効果も大きいことから、今後とも積極的に推進してまいりたいと考えております。県警察におきましては、悲惨な交通事故を防止するため、飲酒運転を初めとする悪質、危険な違反の取り締まりの強化とともに、関係機関・団体と連携をした交通安全教室や道路交通環境の整備といった諸対策を強力に推進してまいる所存でございます。
〇34番(柳村岩見君) 平成3年に滝沢村議会に議席をいただいて初めての一般質問に臨むに当たり、自治法施行後の第16代岩手県議会議長故藤根順衛先生に心構えを伺ったことがありました。先生いわく、七、八分にしておきなさいと御指導いただいたところであります。この世界、一寸先はやみであります。ましてや信頼を欠いた質問も答弁も回し過ぎると思っているところであります。そこで優しく質問いたしましたし、それぞれお尋ねをいたしたところは私の気にかかる部分であります。お酌み取りをいただきたいと思います。
 知事に2点、再質問をさせていただきます。
 現在の岩手競馬の状況をもたらした原因は、売り上げ増加、黒字、競馬の持つ華やかさの中で、趣味嗜好の多様化による売り上げが減少することを予測できずに、盛岡競馬場新設に多額の投資をしたこと。出始めた赤字を、まだありもしない翌年の売り上げで繰り上げ充用するという手法を許したことなどが大きなものと思います。提案、議決の過程において、その責任は、管理者、競馬組合議会、岩手県議会それぞれにあると思います。そして、現段階において、存続するにしても、廃止するにしても、競馬組合が持つ借入金の存在が問題になっているのだと思います。借入金返済のために構成団体が330億円の融資をすることは、融資が返ってくる来ないの議論を超えて責任があるという立場に立っております。こういう理解でよろしいのですか。知事が県民に理解を求める言葉として、どういう言葉の内容になりますか、再度お聞かせ願いたいと思います。
 県内の建設業の経営状況は尋常ならざるものがあります。その時々の政策や施策によって翻弄されている建設業、業界の中で、外でのかかわり合いの中で時々起きる不祥事で苦悩する建設業であります。知事は記者会見で、福島談合に関する質問に、公共事業の入札制度について透明性を高める必要があり、入札制度を見直す努力をしていかなければならないと答えております。少し違うのではないでしょうか。透明性のある制度と、お願いしてはならないことをお願いする人がいて、受けてはならないお願いを受ける人がいるというそのことは、それぞれ別々のことであります。どんどん入札制度を複雑にして、そして透明性が上がったり、入札談合や同疑惑が減るとの関係は別と私は思います。知事は、岩手県内の建設業に対して激励も必要でありますし、体質改善あるいはまたコンプライアンスも求めていく必要もあると存じます。そのお考えについてお聞かせを願いたいと思います。
〇知事(増田寛也君) 2点についてお答え申し上げます。
 まず、岩手競馬組合の関係であります。構成団体が融資をするということのスキームを提案しているわけでありますが、これは、組合が現在の状況のまま推移するとした場合には、競馬事業を継続していくことが資金的には困難だという状況にあるわけですが、さりとて、万が一、この事業を廃止いたしますと、構成団体に求められる債務等の支払いが極めて大きな財政負担をもたらすということ。それから、競馬関係者の雇用問題が発生するということ。そして、さらには地域全体の経済効果の喪失といった影響が出てくる。こういうことで総体としての地域への影響が極めて大きい。これは先ほども申し上げましたが、そういうことになってしまうということであります。
 そこで、私としては、この融資をお願いするというスキームを今提案しているわけでありますが、この融資スキームの考え方、すなわち事業の廃止の、先ほど申し上げました甚大な影響というものも考慮しながら、構成団体に大きな負担を強いるという事態を避けるための方策として提案しているものだということ。それから、この競馬組合というのは、県の事務の一部を処理しているいわゆる一部事務組合というものでございまして、この競馬で生じた利益、損失というのは、構成団体に配分・分賦される制度というものはもう既に決まっているということであって、そうした一部事務組合が既に多額の債務を背負ってしまった状況にあるということで、それを前提としての対応が今求められている。こういうことにつきまして、県民の皆様方に十分に説明をして、そして岩手競馬の再生に向けて御理解と御協力をお願いしていきたいということでございます。今のこの2点の部分、この考え方について繰り返し御説明をして、御理解を求めていきたいと考えております。
 2点目の建設業振興対策でございまして、これは、今、議員から御指摘がございましたとおり、やはり建設業界に対しての激励ですとか、あるいは一方で体質改善といったような努力を求めることが必要であると思っております。
 第1点目の振興対策という観点から言いますと、4月に中期の戦略プランというのを設けて、それに基づいて、今、振興局に相談支援体制をつくりまして、あと、建設業協会の方で経営支援センターというものがございまして、そちらで今さまざまな経営支援の事業を実施していますので、そういったところで今の経営体質を強化・改善をしたり、新分野に出ていくときの相談や支援をしたり、さらには、今回の議会にもお願いしてありますけれども、新たに新分野進出に係る補助金制度を創設したり、融資制度を新たにつくるといったようなことで、建設業の経営革新の取り組みを今後も積極的に支援をしていきたい。特に今議会には県単の融資制度創設を提案しておりますので、ぜひ御理解をいただいて、今申し上げましたような制度を組み合わせながら、実効ある対策に努めていきたいと思っております。
 それから、体質改善、コンプライアンスの関係でありますが、これは建設業協会の方で関係法令の遵守などさらなる倫理向上に向けて特別委員会を設置して、今、そちらの方で活動を展開しております。県内各地で研修会を実施して、その活動を展開している、このように伺っております。やはりこうした体質改善、コンプライアンスは、業界みずからの努力によって確立していくものというふうに思いますので、そうした活動の上でコンプライアンスが一層定着して、企業倫理の向上が図られていくことを期待しているところでございます。
 
〇副議長(藤原泰次郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後 4 時 4 分 休 憩
 
出席議員(47名)
1  番 高  橋  博  之 君
2  番 亀卦川   富  夫 君
3  番 五日市      王 君
4  番 小田島   峰  雄 君
5  番 三  浦  陽  子 君
6  番 中  平     均 君
7  番 ザ・グレート・サスケ 君
8  番 木戸口   英  司 君
9  番 高  橋  比奈子  君
10  番 高  橋  雪  文 君
11  番 嵯  峨  壱  朗 君
14  番 飯  澤     匡 君
15  番 関  根  敏  伸 君
16  番 野  田  武  則 君
17  番 平  野  ユキ子  君
18  番 大  宮  惇  幸 君
19  番 千  葉  康一郎  君
20  番 新居田   弘  文 君
21  番 平     澄  芳 君
22  番 工  藤  勝  子 君
23  番 平  沼     健 君
25  番 阿  部  富  雄 君
26  番 斉  藤     信 君
27  番 田  村     誠 君
28  番 工  藤  大  輔 君
29  番 川  村  農  夫 君
30  番 佐々木   順  一 君
31  番 佐々木      博 君
32  番 及  川  幸  子 君
33  番 樋  下  正  信 君
34  番 柳  村  岩  見 君
35  番 小野寺   研  一 君
36  番 小野寺      好 君
37  番 伊  沢  昌  弘 君
38  番 小  原  宣  良 君
39  番 阿  部  敏  雄 君
40  番 吉  田  昭  彦 君
41  番 佐々木   一  榮 君
42  番 伊  藤  勢  至 君
43  番 渡  辺  幸  貫 君
44  番 高  橋  賢  輔 君
45  番 千  葉     伝 君
46  番 佐々木   大  和 君
47  番 藤  原  泰次郎  君
48  番 菊  池     勲 君
49  番 藤  原  良  信 君
51  番 佐々木   俊  夫 君
欠席議員(2名)
13  番 柳  村  典  秀 君
50  番 佐  藤  正  春 君
 
説明のため出席した者
休憩前に同じ
 
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
 
午後4時18分再開
〇議長(伊藤勢至君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。阿部敏雄君。
   〔39番阿部敏雄君登壇〕(拍手)

前へ 次へ