平成18年9月定例会 第21回岩手県議会定例会会議録

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〇39番(阿部敏雄君) 民主・県民会議の阿部敏雄でございます。
 このたび、先輩・同僚議員各位の御配慮をいただき、7回目の一般質問に登壇させていただきました。心から感謝を申し上げ、通告に従い順次質問をいたします。知事初め、執行部の皆様には、明瞭な答弁をお願いいたします。
 まず最初に、小泉内閣の評価と安倍新内閣への期待についてであります。
 9月26日、小泉内閣に幕が下ろされました。自民党をぶっ壊すと訴えて小泉政権が誕生したのは、5年前のことであります。どん底状態と言われた景気が、今や拡大局面を連続し、戦後最長のいざなぎ景気を超える状況と言われておりますが、大多数の国民には好景気は遠い存在であります。
 8月、東北の有権者を対象とした世論調査では、地域経済が後退しているとの回答が6割以上と、地方の景気回復の実感は、依然乏しい状況にあります。
 経済協力開発機構は、7月20日、日本経済の現状を分析した対日経済審査報告書を発表しております。
 報告書は、日本における相対的貧困層の割合を、先進国でアメリカに次いで2番目で、不平等の度合いが増していると指摘しております。その理由として、景気低迷で正社員が減り、賃金の安い非正社員がふえたと挙げております。格差拡大は、所得の低い世帯の子供たちの教育水準の低下などを招くおそれがあると懸念を表明するとともに、非正社員への社会保険の適用の拡大や、低所得者への財政支援の強化などを提言しております。
 小泉前首相は、競争社会における機会均等を強調しておりましたが、現実は、強い者と弱い者が同じ土俵で戦っており、大多数を占めていた中間層がどんどんずり落ちて、格差が広がっているとも言われております。ヒルズ族など、勝ち組の華やかな生活がある一方、多額の借金で苦しむ家庭や、生活保護世帯の急上昇という実態もあります。
 厚生労働省の統計によりますと、全国の生活保護世帯は、平成18年2月現在で、10年前の1.7倍の約106万世帯となっております。自殺者が3万人以上の国、サラ金で苦しむ人々の現実を知りながら、25%以上の特例金利を認める法改正をごり押しする政府関係者、こんなことでいいのかと思われてなりません。
 高齢者や低所得者等への増税や医療制度改革などは、小泉改革の大きな遺産とも高齢者受難の時代とも報じられております。郵政民営化法案には、異常なまでの執念とリーダーシップを発揮した小泉首相。地方にできることは地方にと、かけ声の勇ましかった聖域なき構造改革の目玉の地方分権。国の財政再建の論理だけが先行した三位一体改革。国と地方の役割や地方の声はどうなるでしょうか。
 知事は、小泉内閣の5年をどう評価しておられるでしょうか。また、小泉内閣を継承された安倍新内閣に何を期待し、どういう対峙をされるでしょうか、伺います。
 次に、全国知事会についてお伺いをいたします。
 全国知事会は、分権改革の進め方をめぐって不協和音が表面化しているとのことであります。7月上旬、松江市で開催された全国知事会では、ポスト小泉政権に向けて次の分権改革の戦略を議論したとのことでありますが、会議では、税源移譲や地方交付税に関しても消極的な発言が相次ぎ、知事会は、総務省のちょうちん持ちになっていると批判した知事もあったとのことであります。小泉内閣が華々しく掲げた国から地方へとの三位一体改革も、補助率の引き下げを中心に調整され、地方の自由度が高まらない結果となりました。宮城県の浅野前知事や片山鳥取県知事とともに、改革派知事として活躍してこられた増田知事には、国に対して地方の視点から存分なる対応を期待するものであります。闘う知事会の現状と今後の対応について、知事の御認識をお伺いいたします。
 次に、地方分権の推進についてお伺いをいたします。
 去る6月、全国知事会など、地方6団体が地方自治法の意見提出権を行使して、政府に、新地方分権推進法の制定や国と地方が協議する場の法制化、あるいは、地方の意見を政府の政策立案や執行に反映させるための地方行財政会議の設置や、地方交付税が地方の固有財源であることを明確にするための地方共有税への名称の変更など、7項目を内容とする地方分権に関する意見を提出いたしました。これに対する政府回答は、地方6団体の提言に直接的に答えず、7月に閣議決定された経済財政運営と構造改革に関する基本方針、いわゆる小泉内閣が退陣の間際に示した2006年骨太の方針を引用するに過ぎない、不誠実なものでありました。関係法令の一括見直しとの表現も、見直しの方法や手順も示されず、また、国と地方の協議の場の法制化も、適時必要な機会を設けて意見交換していくとの、あいまいな表現で棚上げにされたのであります。
 また、さきに行われた自民党総裁選では、総理大臣になられた安倍さんを初めとする候補者のいずれも、90年以来、大きな政治課題とされてきた地方分権改革の推進を政策の基軸に据えず、新聞報道では、地方分権改革は、いつの間にか地方間の格差縮小に変えられたなどの論評もあります。地方分権を地方の立場から進める基本的な手段まで無視する政府のやり方は、知事会や地方に対する挑戦とも受けとられますが、増田知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、新型交付税制度の導入についてお伺いをいたします。
 7月7日、政府が出した骨太方針は、地方交付税の総額抑制や減額しない方針が出されたということで、地方6団体は、地方財政の円滑な運営に資すると評価するコメントを発表したとの報道がありました。骨太方針では、地方交付税の個別自治体への配分方法について、算定の簡素化を図ると明記し、竹中総務相が打ち出した、人口と面積を主要な算定基準とする新型交付税構想の導入に向けた布石を打ったと言われております。知事は、新型交付税の導入をどう評価されておられるのでしょうか。
 地方交付税制度は、本来の機能である財源調整機能や財源保障機能を発揮するため公平に配分されることが重要であり、中央と地方とに新たな財源上の格差を生み出すような制度では、問題があります。ある県では、新型交付税制度の導入を前提に試算したところ、面積の広大な北海道や人口が集中する神奈川県などは増加するが、逆に300億円近く減額となる県を含め、30程度の県で減少するとの結果であったと報じております。交付税の依存度が高い自治体ほど、影響を強く受けるというものであります。新制度は、今後具体化されてくると思われますが、人口と面積による配分方法を再検証し、交付税への依存度の高い地方の実情や、高齢化や過疎化の問題など、最低限の行政水準を維持する具体の政治設計に力を注いでいただきたいと考えます。知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、新昇給制度の導入についてお伺いをいたします。
 県では、昨年の人事委員会勧告を受け、今年度から新昇給制度を導入しておりますが、学校現場においては、学校長との協議の難航から、教育長は9月8日の定例記者会見で、12月の勤勉手当支給時は、金額に反映させない試行の必要性も含めて検討するとの考えを明らかにしました。また、県教委と学校長との検討会で、新昇給制度を成果主義に基づく制度ではないとし、一律の運用が批判された特別昇給だけ改めることを強調するなど、評価色を消したとの報道もありました。
 当初、県の人勧を受けて、業務の成果を給与に反映させる目的での導入であったと思いますが、人勧による新昇給制度について、教育長はどのような考え、必要性から試行を検討しているのでしょうか。
 また、もともと公務員が一律に特別昇給することへの国民、県民の批判を受けて昇給制度を改革しようとしたものであり、その評価制度導入の趣旨やメリットを現場の職員や関係者が理解し、制度運用の客観性や公平性を担保し、さらには、評価者と被評価者、上司と部下とのコミュニケーションと信頼関係に立った検討を期待する次第であります。
 教育長の十分な話し合いをしながら検討するとの姿勢は十分に理解できるところでありますが、公務員の昇給制度を改善すべきという多くの県民の期待もあります。制度導入に当たっての教育長の考えをお伺いいたします。
 次に、建設業対策についてお伺いをいたします。
 県は、4月に発表した建設業対策中期戦略プランは、平成22年度を目標として、業種転換や民間市場への転換を進め、過度に公共事業に依存しない建設業への構造改革を図ることを目指して策定されました。本県の建設投資額がピークであった平成8年度の1兆700億円が、目標年度の平成22年度には約5、000億円と半分以下、また、1万人以上が余剰人員となるとの予測に立って、経営基盤強化支援や企業合併・連携支援、さらには業種転換支援や縮小・撤退支援など、本庁及び地方振興局が一体となって、建設業総合対策事業を創設し取り組むこととしております。
 ところで、この総合対策事業を実効性あるものにするためには、計画と現状の隙間を埋め、計画側と現場の意識を同一方向に向けることが重要であります。また、プランには、企業合併や業種転換、縮小・撤退など、建設業で働く方々の大きな痛みを伴う改革案が盛られており、現状認識に立てばやむを得ない面もありますが、温かな対応を切にお願いする次第であります。
 そこで伺いますが、プラン策定から約半年が経過しました。プランに沿ってどのような取り組みを行ってきたのか、また、今後の課題をどのようにとらえてその解決に向けて取り組むつもりか、お聞かせを願います。
 次に、企業局の今後の経営方針についてお伺いをいたします。
 先般、今後の経営形態について、企業局から、現行の地方公営企業方式により事業を継続していくことが適当であるとの検討結果が報告されたところであります。私は、企業局事業が、これまで県の地域経済の発展に果たしてきた役割は、非常に大きいものがあったと考えております。電気事業においては、県内の電力安定供給や農業用水の確保などに貢献してきましたし、工業用水道事業においても、企業立地を促進するための基盤整備の一環として、工業用水の安定供給を行うことにより、県内産業、経済、県民経済の発展に寄与してきました。
 また、県政課題が山積している中にあって、企業局は両事業とも着実に実績を上げております。特に、電気事業における地域貢献や県財政への貢献などは、地方公営企業方式のもとで、弾力的に運用することによって可能になるものであります。したがって、私としては、今回の企業局の方針に賛意を表するものであります。しかしながら、電気事業においては、平成12年3月から始まった電力小売の自由化は、その後、段階的に自由化範囲の拡大が進められており、さらに平成19年度からは、一般家庭を含む完全自由化の検討がなされる予定と聞いております。こうした状況を踏まえると、市場は低コスト化に向かっていくものと考えられることから、今後の電気事業への影響について懸念されるところであります。
 また、工業用水道事業においては、計画どおりの企業誘致がなされなかったことなどから、大量の未売水及び累積欠損金を抱えることになり、現在、経営は厳しい状況にあります。このことから、財務体質の改善及び未売水の対応として、平成24年度に入畑ダムの一部水利権を農業用水へ転用すると伺っているところであります。
 一方、新たな企業誘致の話もあり、その際、新たな水源の確保などが必要になってくるものと思われますが、安定経営のためには、新規の水需要に積極的にこたえていくことが必要だろうと思います。
 そこでお尋ねをいたします。このような事業環境の変化に対し、企業局長として、今後どのような方針で経営に臨むつもりなのか、お示し願います。
 次に、県北・沿岸地域振興についてお伺いをいたします。
 先般策定された県北・沿岸圏域における産業振興の基本方針は、県北・沿岸圏域を俯瞰した、初めての総合的地域振興策としての方向性を示したものであります。しかし、すばらしい計画やビジョンも実行され、成果を挙げて初めて評価されるものであります。優位な資源を持ちながら、地理的な面やインフラ整備のおくれ、地域経済の低迷、人口減少や高齢化など、地域活力の低下等により停滞を余儀なくされてきた県北・沿岸圏域の振興策の展開に当たっては、長期的視点に立って粘り強く、多様な事業をトータル的にマネジメントしながら、戦略的かつ持続的につくり育てていくことが重要であります。基本方針は、広域振興圏ごとに策定される地域振興ビジョンに具体的に位置づけられていくわけですが、今後の見通しと予算措置の基本的な考えをお示し願います。
 また、計画の実現に当たっては、地域や関係の機関が連携・協力していく地域の結束力が重要であり、それをつなぐキーパーソンの役割が重要であると考えます。それは、現場におり地域の発展を熱く語られる人間であります。その意味で、地方振興局職員の果たす役割は極めて重要であると考えます。キーパーソンを発掘し育て、みずからキーパーソンとなる職員が必要であります。今こそ、総合計画の理念の一つである地元学の精神を生かしていただきたいと思います。地域振興ビジョンを成功に導くための重要な視点及び戦略について、知事にお伺いをいたします。
 次に、沿岸漁業の振興についてであります。
 本県の沿岸漁業は、平成16年度は生産量及び生産額とも前年度を上回り、特に生産額では約20%、約50億円の増加と明るい見通しではありますが、漁業就業者や経営体の減少、就業者の高齢化や低所得による漁業後継者の減少など、沿岸漁業が抱える基本的問題は、相変わらず厳しい状況であります。
 県は、先般、県北・沿岸圏域における産業振興の基本方針を策定しておりますが、沿岸漁業の課題をどのように認識され、課題解決の具体的方針をどのようにお考えでしょうか、お聞かせを願います。
 次に、漁業協同組合の経営問題についてお伺いをいたします。
 本県の漁協経営は、定置漁業の収益で購買等の他事業の赤字を補う構造となっております。昨年度は、前年度に比較して当期損失計上組合は減少する状況にありましたが、今年度は、漁業資材や原油等の高騰の影響もあり、状況は厳しいと予測されており、依然として財務体質の弱体化が進んでおります。
 漁協の系統組織では、平成16年に岩手県漁協強化計画を作成するとともに、計画的な経営改善に取り組んでおりますが、なお一層、県の指導・支援が必要な状況であります。
 そこでお伺いします。県は、漁協の経営状況をどのように認識し、今後どのように財務体質の強化を図っていくつもりなのかをお示し願います。
 次に、県立釜石病院と釜石市民病院との統合に関連してお伺いをいたします。
 医療局では、来年4月の統合に向けて、県立釜石病院の増築や職員の移行問題等に鋭意取り組まれており、感謝を申し上げる次第であります。統合後は、地域医療の体制や規模が大幅に縮小することから、釜石・大槌地域内の利用者サービスの維持・向上のために、よりきめ細かな診療対応や交通アクセス確保のための特段の配慮が必要と考えております。
 これまで、医療局には、統合問題に関連して粘り強く丁寧な対応をいただいてきておりますが、今後とも、医療の連携や医師確保、これには当然、私の地元であります県立大槌病院の医師確保という大事なことも含まれますが、こういった地域医療充実のため、一層の御努力をお願いする次第であります。医療局長の御見解をお伺いいたします。
 次に、高齢者対策についてお伺いをいたします。
 冒頭、高齢者に負担を強いる医療制度改革等を、小泉改革の大きな遺産であり、高齢者の受難の時代との新聞報道を紹介しました。例えば、本年度の税制改正では、65歳以上に適用されていた住民税の老年者控除の48万円の廃止や、所得125万円以下の非課税措置が廃止され、さらには、公的年金等の控除も見直され、急激な税負担の増加が高齢者や低所得者の生活を非常に厳しい状況にしております。また、来年度は定率減税が全廃となり、さらに平成20年度には、70歳から74歳の医療費自己負担の増、75歳以上に新たな医療保険料の負担など、高齢者や低所得者の負担増社会を迎えております。
 厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、高齢者世帯の約6割は公的年金だけで暮らし、約5割は250万円未満であり、高齢者世帯では半数以上が、生活が苦しい状況にあるとのことであります。県は、本県の高齢者負担増の現状と負担のシミュレーションを把握しているのでしょうか。県の方策とあわせてお伺いをいたします。
 次に、治安対策についてお伺いをいたします。
 最近の事件を見ますと、従来、犯罪とは無縁な地域で、突然、凶悪事件等が発生していることに驚きます。私は、北東北3県は、その風土から、犯罪に対する意識が低く、警察に頼りきりの感があるのではないかと危惧しております。
 県議会では、治安対策を取り上げると、県警本部長は決まって、関係機関・団体との連携強化で答弁を結ばれますが、関係機関の動きは積極的なのでしょうか。私は、犯罪予防には、自治体や民間の果たす役割が重要であり、関係機関や団体による犯罪を発生させない環境づくりが必要であると考えております。
 例えば、私の住む釜石・大槌地域では、本年7月から青色回転灯を装置した、いわゆる青パトが交番や駐在所と情報交換をしながら、防犯パトロールを行っております。この活動後、地域における8月中の刑法犯の発生は、対前年比で19%も減少し、さらに減少を続けており、また、海水浴場での水難事故やトラブルの発生も皆無と聞いております。すべてを防犯パトロールの成果と断定できませんが、住民や観光客の目に訴える活動が着実に成果を上げていると認識しております。自治体や民間の積極的な活動により、地域の防犯意識の高揚や警察活動への支援が図られ、治安回復の大きな波が形づくられると考えておりますが、市町村単位の活動や施策には限界もあります。
 先般、生活安全条例の制定に関する県の環境生活企画室長のコメントが地元紙に掲載されておりました。私は、常々、警察とは別に、前に述べたような市町村単位の防犯活動を統括し、情報の共有化や財政面を支援する部門の設置や安全な暮らしを実現するため、条例の制定が必要と考えておりました。治安の回復や維持を警察で行うことは、既に限界に達していると言われております。治安は、県民生活の安全な暮らしの実現のため、医療、福祉と並ぶ県政の重要な課題であり、県の積極的な対応を要望するものであります。
 平成14年、大阪府安全なまちづくり条例が制定され、現在、33の都道府県で同趣旨の条例が制定され、東北では、平成16年に秋田県が、ことしは青森県、宮城県が条例を制定し、新たな治安対策に取り組んでおります。このような状況を知事はどのようにお考えでしょうか。警察主導型ではない犯罪予防や条例策定について、具体的対応をお聞かせ願います。
 次に、警察本部長にお尋ねをします。
 ここ数年の県内の犯罪情勢や交通事故の発生状況はどうなっているのでしょうか。日ごろの治安対策に取り組んでいる中での現状認識と今後の目標設定についても、あわせてお聞かせを願います。
 次に、道路整備の推進についてお伺いをいたします。
 最初に、東北横断自動車道釜石秋田線、通称釜石自動車道の整備についてであります。
 当該道路は、平成14年に東和-花巻間が開通し、宮守-東和間及び遠野-宮守間の2区間が新直轄方式で整備されております。さらに仙人峠道路も順調に整備が進むなど、釜石自動車道の全体像が姿をあらわしてきました。知事を初め、関係者の皆様の御努力に感謝を申し上げる次第であります。
 申すまでもなく、釜石自動車道は、釜石市と県内陸部を結ぶ横軸大動脈であり、地方拠点法に基づく三陸地方拠点都市地域の整備や、北東北地域連携軸構想を推進する上で極めて重要な路線であります。当該路線の整備によって、交通隘路の解消や安全性が確保されるとともに、道路と港湾が有機的に連携し、物流の効率化が図られ、地域の産業、経済の活性化や災害時における防災道路としても重要な役割が期待されております。つきましては、釜石自動車道の宮守-東和間及び遠野-宮守間の整備の促進及び釜石-遠野間の整備計画区間への早期格上げ、さらには、仙人峠道路の年度内開通の御努力と今後の見通しをお示し願います。
 次に、三陸縦貫自動車道の釜石山田道路についてお伺いをいたします。
 当該道路は、両石町水海及び鵜住居地区で用地買収が進められ、平成18年度には両石トンネル化に着手し、さらに本年度中には、主要地方道釜石遠野線と立体交差するボックス工事にも着手することが予定されるなど順調に推移しており、関係者の皆様の御努力に感謝を申し上げる次第であります。
 当該道路は、釜石市と三陸沿岸地域や仙台・首都圏とを結ぶ大動脈であると同時に、三陸沿岸の各都市間の連携強化を図るための生命線でもあり、その整備は、道路・港湾を核とした三陸沿岸の物流の充実や観光開発につながる重要な路線であります。釜石・大槌地域の切実な願いでもあります釜石山田道路の早期整備、特にも交通渋滞が慢性化している鵜住居-両石間の早期整備及び大船渡-釜石間の整備計画区間への早期格上げについて、特段の御努力と今後の見通しについてお伺いをいたします。
 最後に、地元の土坂峠の整備についてお伺いします。
 私は、過去6回の一般質問において、この土坂峠の整備についてただしてまいりました。これは、地元住民の60年間の長い歴史の要望事項であります。本路線は、大槌町内から土坂峠を経由して川井村道又で国道340号に接続し、さらに国道106号を経由して盛岡市に至る重要な路線であるとともに、国道45号及び国道106号などの基幹道路を補完する路線として、災害対策基本法に基づく緊急輸送道路に指定された路線であります。しかし、大槌町金沢から土坂峠を経由して川井村道又に至る区間は、現在1車線で急勾配、急カーブが連続し、特に冬期間の通行に支障を来している状況であり、大槌町及び近隣市町村は、土坂峠のトンネル化による抜本的改良を強く要望しております。県では、地域の要望を踏まえ、平成12年度の地質調査や用地測量に始まり、積極的に整備を進めてきたとのことであり、心から感謝を申し上げるものであります。一層の整備促進に向けた御努力をお願いしますとともに、現在の取組状況、今後の見通しをお聞かせ願いたいと思います。
 また、先般、県土整備委員会の調査で、立丸峠の調査の後土坂峠に寄っていただきまして、自民党の菊池勲議員から力強い御支援をいただきましたことに、この場から感謝を申し上げ、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
 
〇議長(伊藤勢至君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
 
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 阿部敏雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、小泉内閣の評価と安倍新内閣への期待というお尋ねでございます。小泉前首相は、構造改革と財政再建に同時に取り組む方針を明確にして、官邸主導により、官から民へ、国から地方へというこれまで手つかずだった改革に取り組んだ、このことについて評価ができるものと思っております。しかしながら、例えば三位一体改革の取り組みは、改革自体がやはり中途半端に終わっているなど、成果がいまだあらわれずに改革の途上にあるものがございます。さらに、都市と地方の格差の問題もございます。こうしたことでございましたので、安倍新内閣には、先ほど柳村議員への答弁でも申し上げたわけですが、地方の活力や創意工夫を引き出して、改革と成長のプラスの成果が地方にもしっかりと及ぶような仕組みづくりに真正面から取り組んでいただきたい、このように考えております。私ども地方の立場としては、分権改革を推進する観点から、国・地方との協議の場で、6団体が政府と対峙をして、分権改革の歩みが緩むことのないように働きかけをしていく考えでございます。
 それから、全国知事会の現状と今後の対応ですが、これはやはり全国知事会として今後の分権改革の推進に向けて戦略の練り直しが必要であると、このように思います。第1期の三位一体改革については、やはり総額としての補助金改革や税源移譲に焦点が当たってしまったところがございまして、今後は、国と地方がどういう役割分担で仕事を進めるべきか、各政策分野ごとに徹底した見直しを行って、分権改革のビジョンを国と地方でしっかりと共有した上で議論を深めていく必要があると、このように考えております。知事会として、こういう考え方に立って、やはり6団体の結束を踏まえながらリーダーシップを発揮していくべきものと、このように認識をしています。
 それから、政府の最近の対応が知事会や地方に対する挑戦とも受け取れるが、私の見解はいかがかというお尋ねでございまして、ことしの政府の骨太方針を見ますと、地方分権改革は、それまでのような独立した柱立てではなくて、歳出改革の1項目という取り扱いに埋没させられてしまった、そういう形になっております。また、今、議員が御指摘のとおり、地方6団体が政府に提出した意見書への回答については、この骨太方針の内容の域を出なかったところでもあります。こうしたことから、地方分権の理念、推進方針等を定めた新たな地方分権推進法を制定して、その理念をお互いに共有して、また、国と地方の役割分担を個別の政策分野ごとに見直しをして、そして中央省庁の権限の地方への移譲ということについて道筋をつけることが必要と考えております。今申し上げましたこの新地方分権推進法につきましては、先日の参議院本会議で安倍総理が今の臨時国会に提出する意向を示しておりますので、今後は、その早期成立を図って、その上で分権改革への議論を進めていくことが重要と考えております。
 それから、新型交付税についてでありますが、まず、現行の交付税につきましては、算定方法の複雑さや国の政策誘導に用いられたこと、こういった問題が指摘をされておりますので、その透明性を高めるということについては一定の評価ができるというふうに認識しています。一方で、どのような地域でも基本的な行政サービスを住民に提供できるように財源を保障するというのが地方交付税制度本来の機能でございまして、この機能は堅持すべきであります。したがって、各地域の地理的・社会的な状況等が的確に反映されるような算定方法とすべきものと認識をしております。したがって、具体的な制度設計に当たっては、地方が必ず参画して進めていく必要があると考えておりまして、去る9月22日に知事会の方から総務省に対して、今申し上げましたような提言を含めて、交付税算定の見直しについて申し入れをしたところであります。その後、先月の25日に総務省から示されました新型交付税の試案によりますと、おおむねこうした点は反映されているようでありますが、今後も引き続き具体化の作業を注視していく考えでございます。
 次に、県北・沿岸振興につきまして、地域振興ビジョンを成功に導くための視点、戦略についてお尋ねがございました。ビジョンを成功に導くためには、市町村、それから我々県、また地域にある各種団体それぞれ、そして住民が連携・協力することが重要でありまして、ビジョン策定に当たって、地域との協働という視点から、意見交換あるいはワークショップを実施して、関係者が目標やそれぞれの果たすべき役割についての認識を共有するための取り組みを今重ねてきております。また、ビジョン策定後は、今度は具体の取り組みの進行管理が重要と、このように考えておりまして、産業分野におきましては、各地方振興局ごとに産業団体関係者や企業の責任者、それから学識経験者、市町村関係者などで構成する地域産業戦略会議というものを設置して、そして地域が一体となって進行管理していく仕組みを構築することとしております。保健、福祉、教育など地域社会を支える産業分野以外のそれぞれの分野の取り組みにつきましても同様な仕組みを構築して、そしてビジョンの確実な実行につなげていきたい、このように考えております。
 さらに、こうした取り組みを進めるに当たりまして、今、議員から御指摘ございましたが、地域のキーパーソンの果たす役割が極めて重要でございますので、そのためにキーパーソンを中心とした活動を地域とともに支援していく、振興局もさらにその地域の一員として積極的に活動に参加する、こういうことで取り組んでいきたいと考えております。
 最後に治安対策についてでありますが、犯罪のない安全で安心な地域社会を実現していくということは県民共通の願いでございまして、県民のアンケートでもこのことがはっきりとあらわれております。最近、全国的にも女性や子供が巻き込まれる事件の発生というものを背景に、県内におきまして、地域住民による防犯パトロール等の自主的な取り組みが進められてきておりまして、こうしたコミュニティーの力を生かした活動は極めて重要であると、このように考えております。こうした取り組みを全県的に広めますとともに、県民の安全確保を担う行政がその役割を果たしながら、事業者の参加と協力も得て、県を挙げた安全・安心なまちづくりを進めていく必要がある、このように考えておりまして、先般開催いたしました有識者による懇話会、これは県でこうした点について有識者の懇話会を設置しているわけですが、この懇話会から提言もいただきまして、そうした提言も踏まえながら、今申し上げましたようなことのよりどころとなる条例を制定することとしておりまして、この条例につきましては来年2月の県議会定例会に提案する方向で、今、鋭意作業を進めているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 建設業対策中期戦略プランの取り組みについてでありますが、これまで各振興局に設置した総合相談センターにおいて、岩手県建設業協会の経営支援センターと連携を図りながら、建設企業への説明会の開催や個別相談に応じているほか、新分野進出の意向調査や地域の実情に応じた調査研究の支援などに取り組んでおります。また、今年度の新規事業といたしまして、環境や福祉分野などへの新分野進出に意欲的に取り組む企業9社に対しまして、製品開発や販路開拓などに要する経費について支援を行っております。
 今後の取り組みについてでありますが、建設企業が、技術力、経営基盤強化や新分野進出などに向けてより一層実効ある取り組みを展開できるよう支援していくことが課題だと考えております。このため、経営相談を希望する建設企業に対しましては、中小企業診断士や税理士などのアドバイザーを派遣する国の制度を積極的に活用するほか、経営支援センターのコーディネーターによる、より具体的、実践的な指導・助言を積極的に行ってまいります。また、新分野進出や新技術、新工法の開発などに取り組む建設企業を資金面から支援するため、今議会に融資制度の創設を提案しております。さらに支援策をより多角的に検討を行い、実効ある施策を構築していくため、本年8月、新たに建設業界と有識者による岩手県建設業懇話会を設置したところであり、懇話会から御提言をいただきながら、プランの推進に向けて一層の取り組みを行ってまいりたいと考えております。
 次に、道路整備についてでございます。東北横断自動車道釜石秋田線の整備についてでありますが、宮守から東和間につきましては、国において昨年度からトンネル工事や橋梁工事、埋蔵文化財調査などを進めており、また、県では、今年度も引き続き国からの委託を受け積極的に用地取得に努めております。遠野から宮守間につきましては、現在、用地調査に向けた設計を進めていると伺っております。これら両区間の整備の促進及び釜石から遠野間の整備計画格上げにつきましては、今後とも沿線の自治体と連携を図りながら、国に対して強く要望してまいります。また、国及び県が施行しております仙人峠道路につきましては、今年度末の供用開始に向け、鋭意整備を進めております。
 次に、三陸縦貫自動車道の釜石山田道路についてでありますが、国では釜石山田道路の全体計画区間23キロメートルのうち、特に交通渋滞の著しい水海から鵜住居間の延長4.6キロメートルを先行して整備を進めています。今年度は用地買収を進めているほか、両石トンネルや両石高架橋工事などを促進しており、県では、一般県道水海大渡線をインターチェンジのアクセス道路として、国と調整を図りながら測量調査などを進めているところであります。
 今後の見通しについてでありますが、国ではこの水海から鵜住居間につきましては、平成22年度の供用を目指して整備を進めており、県といたしましては、引き続き事業中の区間の整備促進はもとより、大船渡から釜石間の整備計画区間への早期格上げにつきまして、沿線の自治体と連携を図りながら、国に強く働きかけてまいりたいと考えております。
 最後に、土坂峠道路の取り組み状況及び今後の見通しについてでございますが、計画延長約5.2キロメートルの区間のうち、早期に整備効果が発現できる現道拡幅区間は約1、100メートルあります。このうち約600メートル区間につきましては、この9月末に完成したところであります。残る500メートル区間につきましても、来年度から引き続き整備を進めてまいりたいと考えております。トンネル部分を含む区間の整備につきましては、県全体の道路整備計画の中で、道路予算の動向も見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
   〔企業局長岩渕良昭君登壇〕
〇企業局長(岩渕良昭君) 今後の企業局の経営方針についてでありますが、電力自由化の進展等事業環境の変化の中にあって、今後とも水力発電を中心とするクリーンな電力と良質な工業用水を安定的に供給するとともに、新エネルギーの導入促進や環境保全活動への支援等を通じて地域社会に貢献していくことが重要であります。このため、現行の地方公営企業方式の事業執行や資金調達、運用面等における機動性・弾力性をさらに有効に生かし、また、中期経営計画などの目標管理を着実に遂行しながら一層の経営効率化を進め、経営基盤を強化してまいりたいと考えております。
 電力自由化の対応につきましては、これに伴い各電力会社とも電気料金の引き下げを行ってきていることから、今後とも売電単価の引き下げ要請が強まるものと予想されるので、中期経営計画に基づく職員数の削減や外部委託の活用などにより徹底したコスト削減を図るとともに、東北電力株式会社との卸供給契約を長期的・安定的に持続していきたいと考えております。
 工業用水道事業につきましては、大量の未売水や累積欠損金を抱えており、経営状況は厳しいものがあることから、引き続き新規水需要の開拓や水利権の転用、高利率企業債の繰り上げ償還による累積欠損金の圧縮に取り組んでいくこととしております。また、新たに水需要が生じた場合には、新たな施設の整備や水利権の確保について、関係部局と連携しながら対応してまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長藤尾善一君登壇〕
〇地域振興部長(藤尾善一君) 県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向の今後の見通しと予算措置の基本的な考え方についてでありますが、この基本方向は、県北・沿岸圏域の振興を進めるに当たり、特に重要な産業振興に関する基本的な考え方と具体の取り組みについてまとめたものであり、今後、広域振興圏ごとに策定する地域振興ビジョンの産業分野の内容となるものであります。さらに、地域との意見交換やワークショップを実施するなど地域との協働という視点に立ち、地域社会を支える保健、福祉、教育など産業以外の分野も含む地域振興ビジョンを策定していく考えであります。
 また、県北・沿岸振興に関する予算措置の基本的な考え方でありますが、工程表に掲げた具体的な取り組みは、地域との意見交換を重ね、県、市町村や産業関係者等がそれぞれ役割分担を明確にし、共通の目標を設定し、連携して進めるということを基本として作成したものでございます。このようなことから、県としては、今後とも厳しい財政状況が見込まれるところでありますが、着実な取り組みにより成果を確かなものとするため、工程表の進行管理を適切に行いながら、必要な予算を確保していくよう努めてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、沿岸漁業の振興についてでございますが、沿岸漁業は、資源の減少や就業者の減少、魚価の低迷等により生産額が減少する中で、担い手の確保育成と水産物の付加価値向上、さらには販売力の強化が重要な課題であると考えてございます。このため、県といたしましては、漁協の地域営漁計画の策定と実行の支援による意欲ある漁業者への漁場集積の促進、増殖事業の改善によるサケの回帰率の向上やナマコ等の養殖新品種の開発、漁協と水産加工業者との連携や産学官の連携促進による新商品の開発、契約栽培等の促進やウニ等の畜養システム開発による販売力の強化、さらには商談会や物産展等の開催による中国市場への輸出の促進などを通じて、本県沿岸漁業の一層の振興に努めてまいりたいと考えております。
 次に、漁業協同組合の経営問題についてでございますが、平成17年度は、各漁協の経営改善努力や秋サケ価格の回復などにより、県内27漁協のうち黒字決算となった組合は、前年度から4漁協ふえまして17となってございますが、自営定置漁業の低迷など厳しい経営環境の中で、なお一層の経営の合理化に取り組んでいく必要があるものと考えております。このようなことから、県といたしましては、漁協みずからの経営改善の取り組みを支援するため、多額の累積欠損金を有する漁協への利子補給の実施や、事業部門別収支の改善に向けて、個々の漁協の状況に応じた現地指導を強化しているところでございます。また、漁協系統組織が主体的に取り組んでおります漁協合併につきましても、各地域における協議が十分に行われるよう積極的にこれを支援し、今後とも漁協の経営基盤強化に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
   〔医療局長法貴敬君登壇〕
〇医療局長(法貴敬君) 県立釜石病院と釜石市民病院との統合についてでありますが、これまで統合による患者の増加に対応するため、外来診察室の増設、救急処置部門の拡張、手術室の増設などの増築工事を行うとともに、駐車場拡張工事により患者の利便性の向上を図ってきたところであり、職員については、釜石市民病院の職員を平成17年度から平成19年度の3年間で受け入れることとしており、本年度までに医師4人、看護師37人、医療技術員6人を受け入れたところであります。
 また、統合後の県立釜石病院の地域医療充実への対応についてでありますが、引き続き関係大学への医師派遣要請や臨床研修医の積極的な受け入れなどを通じて医師確保に努めながら、地域からより利用されやすい病院になるよう努めるとともに、県立釜石病院が急性期病院としての性格が強まることから、平成19年4月に開設が予定されている釜石のぞみ病院の慢性期医療、リハビリテーション医療との連携を進めるとともに、地域総合病院であります県立大槌病院とのさらなる連携を図り、医療連携の充実に努めながら地域医療の確保に努めてまいる所存であります。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 本県の高齢者負担増の現状と負担のシミュレーションについてでございますが、まず、税及び保険料について、公的年金等収入のみの65歳以上の夫婦世帯をモデルに制度改正の影響を、県民税、市町村民税、所得税、国民健康保険税、介護保険料について推計いたしますと、負担額合計で、平成17年度の23万7、500円であったものが、18年度には32万2、100円、19年度以降は32万7、600円となるというふうに推計しております。なお、平成18年度及び19年度の2カ年は、こうした税及び保険料の負担の増加に対応して激変緩和措置が講じられるということになっておりまして、先ほど事例といたしました世帯モデルで試算いたしますと、18年度は約6万円ほどが緩和されて26万2、700円ほど、19年度は4万円ほどが緩和されて28万7、000円ほどの負担額となるものと試算しております。
 次に、医療保険制度の見直しによります医療費の負担増についてでございますが、平成20年度におきましては、70歳から74歳の自己負担割合が1割から2割に引き上げられることとなっておりまして、国民健康保険の被保険者について試算いたしますと、1人当たりおおむね年額3万3、000円の増となる見込みとなっております。また、同年からの後期高齢者医療制度の創設に伴いまして、75歳以上の方につきましては、新たに保険給付費の1割相当額を保険料として負担することになります。そういたしますと、1人当たりおおむね年額6万1、000円の負担が生じる見込みとなっております。
 県の対応でございますが、こうした改革は、現役世代と高齢者間の負担の公平を確保し、持続可能な制度を構築するためになされるものとされておりまして、県としては、激変緩和措置や低所得者に対する負担軽減などについて適切に運営されるよう、市町村等を助言してまいりたいと考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) 新昇給制度についてですが、職員の勤務実績をより適切に反映した昇給制度、勤勉手当制度を整備するとの昨年の県人事委員会勧告を受け、本年4月から導入された新昇給制度は、年1回の普通昇給に当たる部分はこれまでどおりとし、従来の特別昇給に当たる部分については、職務の取り組み状況や達成状況を踏まえ加算しようとするものです。また、勤勉手当についてもこれまでどおり支給されますが、その支給に当たっては、同様に職務の取り組み状況や達成状況を踏まえて、さらに加算しようとするものです。
 学校教育は、教職員相互の連携・協力のもとで教育活動が行われていることなどから、新昇給制度の運用については、試行の実施により、学校の実態に合った運用の方法や内容などについて検証を行い、その検証結果を踏まえて、必要な見直しや改善を行いながら進めるよう、多くの学校関係者から意見が寄せられております。そこで、この新昇給制度を円滑に実施するため、現在、試行の実施も含めて、その具体的な運用方法等の検討を行っているところです。
 県のこの新昇給制度は、民間企業などで行われている職員個々の業務の実績を評価し、それに応じて給与決定を行ういわゆる成果主義的な賃金制度を学校現場に持ち込むものではないことを、すべての教職員、市町村教育委員会の関係者の方々に十分御理解いただく必要があるとともに、この制度の実施により、教職員一人一人の自己啓発を促し、資質向上が図られるとともに、学校における教育活動や教育力の一層の充実と向上につなげていきたいと考えております。
 また、その実施に当たっては、学校現場の実態に合った仕組みにするとともに、一人一人の教職員にとって公平で納得できるものとなるようにすることが大事であると考えております。このため、現在、市町村教育長、校長会の代表者などから御意見を伺っているほか、各学校長や職員団体等に対し、引き続き説明会や意見交換等を行い、制度のより一層の周知、理解に努めているところです。県教育委員会としては、教育関係者の方々の御理解のもとに、できるだけ早期にこの制度が本格実施できるよう全力で取り組んでまいります。
   〔警察本部長山下史雄君登壇〕
〇警察本部長(山下史雄君) 県内の犯罪情勢等についてでございますが、刑法犯の認知件数は平成14年以降4年連続して減少しているところでありますが、比較的治安が安定していた昭和50年代当初の年間8、000件台に比較しまして、現在は1万件を超える高水準で推移しております。さらに、本年に入り、高校生による母親殺害事件、一関市や洋野町での強盗殺人事件など、かつて見られなかったような凶悪な事件が相次いで発生するとともに、女性・子供を対象とした性犯罪が多発するなど、極めて憂慮すべき状況にございます。また、交通事故発生状況につきましては、死者数は平成14年以降4年連続で減少しておりますが、全国に比較して減少幅が小さく、また、死者数に占める高齢者の割合が約50%と全国に比べて高いなど、予断を許さない状況にございます。
 このような状況のもと、県民が求める安全で安心して暮らせる社会の実現を図ることが、今まさに県警察に課せられた最大の課題であるとの認識のもと、治安回復の目標として、平成22年までに、犯罪の発生率を昭和50年代当初の水準まで引き下げること、交通事故死者数を年間83人以下、人身事故を5、000件以下に減少させることを掲げ、総合的な治安対策を強力に推進してまいる所存でございます。
 
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後 5 時23分 散 会

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