平成18年12月定例会 第22回岩手県議会定例会会議録

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〇 1 番(高橋博之君) 無所属の高橋博之でございます。
 このたび、初めての一般質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げ、早速質問に入りたいと思います。
 初めに、分権時代における二元代表制のあり方という観点から、議会と知事の関係について、知事にお伺いいたします。
 平成12年4月に施行された地方分権一括法により、機関委任事務が廃止され、国の自治体に対する指揮監督権が解消されました。さらに、国の省庁による通達全廃により、自治体は、法令自主解釈権を獲得したところであります。これらは、国と地方自治体の関係を従来の上下・主従の関係から対等・協力の関係に変えるものでありました。
 分権時代における地方自治体は、国にすべて伺いを立てるのではなく、自己決定・自己責任により自治体経営をしていかなくてはなりません。一方で、首長は、大きな権限を手に入れることになり、さらに、三位一体の改革によって財源をも獲得すれば、まさに絶大な権力を掌握することになります。
 他方、地方議会は、これまで機関委任事務制度のもとで、長年、執行機関優位が続き、首長が提案する議案はほとんど否決も修正もされないなど、首長の単なる追認機関になりがちだったことは否定できず、住民からは、執行機関の附属機関であるかのような誤解すら生んできたのではないかと思います。
 自治体の自己決定権の拡大に伴い、首長に対する監視・評価機能や立法機関として独自の政策条例の制定など、議会本来の責務を果たすことが一層要請されていると考えております。そもそも憲法第93条では、自治体の首長と議会議員の直接公選制が定められており、これに従い、地方自治体では、代表権を持つ二つの機関が自治を担う二元代表制をしいております。このことは、ともに住民を代表する首長と議会が、相互牽制と均衡によって、ある種の緊張関係を保ちながら、対等の機関として、自治体の運営の基本的なビジョンを決定し、その執行を監視し、より住民に近い視点から、議員提案条例など、政策提案を通して政策形成をしていく役割を担っているということでもあります。
 先日、地方議会の政策コンテストである第1回マニフェスト大賞において、本県議会の3会派がグランプリを受賞されましたが、審査委員からは、2003年に先輩方が提案、成立させた53年ぶりの政策的議員提案条例を皮切りに、知事との良好な緊張関係の構築により、二元代表制が効果的に機能し、議会の活動が県民利益に資したとの講評も聞かれました。こうした首長と議会の均衡と抑制の緊張関係は、両者の努力なくして構築することはできないものと考えます。
 そこで知事にお伺いいたしますが、今後の岩手県政において、この二元代表制をますます県民利益のため、効果的・永続的に機能させるため、知事の果たすべき責務についてどのようにお考えなのでしょうか。
 また、二元代表制のもとでは、首長と議会議員は、本来、国の議院内閣制に見られるような与野党関係は制度上存在せず、それぞれが住民の代表として対等な関係にあることを再認識する必要があると考えます。すなわち、各会派が知事に対し是々非々の姿勢で臨むことが、ひいては二元代表制をより効果的に機能させ、結果として、県民の利益に資するものと考えます。
 知事は、それぞれの任期において議会との関係を変化させてきたわけでありますが、この議会とのあるべき関係について、どのように感じられてきたのか、御所見をお伺いいたします。
 次に、官製談合防止についてお伺いいたします。
 福島県や和歌山県、宮崎県の各県で官製談合事件が相次ぎ、知事や県幹部が逮捕されるという異例の事態に発展しております。11月24日に東京で開催された全国知事会では、各知事から、統治能力が問われている、過去の実績をゼロにしかねない状況だなどと、地方分権の先行きを不安視する発言が噴出しました。
 地方分権改革の第2ステージの山場を迎えているこの時期に、こうした不祥事が続いたことは、我々地方にとって大きな痛手であり、国民の信頼を裏切ることになってしまった事態を重く受けとめなければなりません。本県もこの際、これを他山の石として、早急に官製談合防止策をさらに進めることが必要だと考えます。
 談合の大きな要因の一つとして挙げられているのが選挙であります。3県の談合事件における共通点も、選挙資金の用立てや対立候補に対する出馬断念の働きかけなど、明らかに知事選が絡んでいると見られています。選挙の際ののっぴきならない貸し借り関係というしがらみが、官製談合の温床になっていたことは明白であります。その意味で、知事を巻き込んだ今回の一連の談合事件は、直前の知事選挙のありようの反映という見方ができます。
 全国知事会は、公共調達システムの刷新を図る専門チームを設置しましたが、その座長である上田清司埼玉県知事は、底流には選挙があるとし、今後、知事選のあり方を議題にする可能性を示唆されております。また、このチームのメンバーである増田知事も、10月29日付の朝日新聞のアンケートに、一連の不祥事は、選挙での借りも一因と答えられております。
 そこで、知事に改めてお尋ねいたします。官製談合と選挙のかかわりに関し、知事は、みずからの政治姿勢としてどのように考え、これまでの選挙に際しどう対処してこられたのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 あわせて、具体的な官製談合防止策についてお聞きいたします。
 愛知県では12月から、官製談合にかかわった職員は、免職か停職の処分を下す不祥事の懲戒規定を新たに導入するとのことです。また、鳥取県では、予定価格に占める落札価格の割合が高いときは、談合の有無を調べる制度を検討中と聞いております。
 増田知事は、一般競争入札の拡大について言及されておりますが、本県として、談合にかかわった職員の処分や談合が疑われる場合の調査等の対応も含め、具体的にこれまでどのように取り組み、今後、官製談合を防止するためのさらなる対応策について、どのように考えられているのでしょうか。
 一般競争入札の拡大に対しては、安かろう、悪かろうとダンピングによる工事の品質の低下を懸念する声もあります。しかし、1、000万円以上の工事を原則一般競争入札としてきた宮城県の実績によれば、落札率の高い工事でも品質の悪いものは一定割合あり、その割合は落札率の低い工事と差はないとのことであります。だとすれば、問題は落札率の高低ではなく、品質管理の問題ということになるわけですが、本県では、この入札制度の改革を進める中で、この品質管理の問題についてどう考え、どう取り組むのかが重要と思われますが、公共工事の品質管理に向けての対応策についてお伺いいたします。
 いずれにせよ、選挙で建設業者に金、人、車、票を出してもらった知事では、業者に喜ばれない入札制度の改革を行えるのかどうか疑問であります。建設業者に頼らない選挙で当選された増田知事の任期中に、何としても改革をさらに進める必要があると考えますが、これらの点について御見解をお伺いいたします。
 次に、統合教育、いわゆる、ともに学ぶ教育について、教育長にお伺いいたします。
 花巻市東和町のとある小学校で、全盲の女の子が、専任教師を1人つけ、普通学級の児童とともに授業を受けていると聞き、先日、放課後時間に見学に行ってまいりましたが、その女の子が全盲だということを忘れるほど、ほかの児童と普通に戯れておりました。周囲の児童にとって、女の子は決して特別ではなく、クラスメートの一人という感覚で自然に接し、彼女が学校生活を送る上で必要な助けも、先生から言われてやるのではなく、みずから気づいたことをさりげなくやっているように見受けました。
 迎えに来た母親に、盲学校を選択しなかった理由を聞くと、ここで生まれ育ったので、近くにある小学校に通うものだと思っていたと答えられました。当たり前と言えば実に当たり前のことなのですが、この当たり前のことが通ってこなかったのが、これまでの我が国の障害児教育、あるいは障害者福祉ではなかったでしょうか。
 障害児は、盲・聾・養護学校で教育を受けるのが原則というのが文部科学省の基本的な考え方ですが、私は、本人あるいは御家族が普通学級への入学を希望するのであれば、たとえどんなに障害が重くとも、例外なく、専任教師を1人つけて入学させるべきではないかと考えます。
 確かに、盲・聾・養護学校は、少人数学級で、障害児教育の専門家である教師が、それぞれの障害態様に合わせた教育が受けられる、障害児にとって恵まれた教育環境と言えます。それでも、御家族にしてみれば、死ぬまでうちの子供に同様の待遇を与えてくれるならまだしも、卒業すれば実社会の中に戻される。そこから健常者とのつき合いが始まるのであれば、最初から小学校の教室で健常児とともに学ばせたいと考えるのも親心ではないでしょうか。
 本人にとっても、長時間をかけて地元以外の養護学校に通うことは、ハンディキャップと言えますし、みずからが暮らす地域に帰っても、近くに学友がいないことも同様と言えます。一方、健常児にとっても、子供のころから障害児とともに学ぶ経験により、支えを必要とする人に自然に手が差し伸べられるようになるなど、大きな効果も期待できるのではないでしょうか。
 さらに、昨今、子供のいじめや自殺の問題についても、いじめられている子供は、障害を持っているにもかかわらずひたむきに生きる級友の姿から、生きる勇気をもらい、生きることの重みを教えられるでしょう。
 本県では、改正学校教育法施行令で定められた認定就学制度を適用し、普通学級の児童とともに学ぶ障害児は、冒頭紹介しました全盲の児童と住田町の肢体不自由児の2人だけとのことであります。一方、事前協議により教育委員会が指定した特殊学級で学ぶ障害児は91人とのことですが、この中にも、普通学級でともに学ぶことを望む御家族、本人は少なくないものと推察いたします。
 そこでお伺いいたしますが、県教育委員会として、こうした統合教育及び障害児の普通学級就学を阻んでいる要因などをどのように認識しておられるのでしょうか。そもそも県教育委員会として、統合教育にどのような認識を持っておられるのか、御所見をお伺いいたします。
 宮城県では、県内の小・中学校のうち19校23人を対象に、障害児を普通学級で受け入れ、その教室に県単予算で補助教員1名を配置するモデル事業を平成17年度から実施しています。1人の障害児に1人の教員を配置するわけですから、お金はかかりますが、自分さえよければいいという利己的な子供や生きることに意味を見出せずに命を絶つ子供がふえている今だからこそ、意義のある事業だと考えます。実際に事業を導入した宮城県内の小学校からは、クラスメートが自発的に当番を決め、重度の知的障害者の登下校に付き添うようになったことや、学校からいじめがなくなったという報告もあります。
 健常児と障害児との統合教育は、今大きな問題となっている学校でのいじめをなくす特効薬の一つになるとも考えます。ぜひ本県におきましても、こうした事業を参考に、統合教育に積極的に取り組まれるよう提案いたしますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
 次に、水質保全についてお伺いいたします。
 岩手の水は、私たち県民の財産です。世界最高品質賞を受賞した龍泉洞の水を初め、早池峰霊水、仙人秘水など、飲料水そのものはもちろんのこと、食味ランキングで最高位の特Aを受賞した県南産のいわて純情米、平成12年、13年と2年連続で全国新酒鑑評会金賞率第1位の岩手の日本酒など、県内の産業にとって、私たちがふだん使う岩手の高品質な水は、いわてブランドの基本としてなくてはならないものです。
 この岩手の水は、県土のおよそ77%を占める森林と岩手山などの自然の地質によって守られていますが、県内ではかつて、工場、事業場、鉱山などによる河川の汚染の事例があります。一たん汚れた川を清流に戻すのは簡単ではありません。
 本県では、平成15年に岩手県ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例を制定し、森林の公益的機能の低下や閉鎖性水域の富栄養化に伴う水質の汚濁など、森、川、海を取り巻く環境問題に対する懸念から、これを未然に防止することを盛り込んでおりますが、この条例に基づく取り組み状況とこの条例が本県の水源保護にもたらした効果等の評価についてお伺いいたします。
 岩手の水に対する信頼を高め、県民の健康的な生活を維持するためにも、水が汚染される前に、未然にそれを防ぐ、未然防止型水質保全行政へと転換していく必要があると考えます。現在、岩手県には、地下水保全条例、水源保全条例など、水源保護に特化した条例はありません。水の国岩手として、水源をより効果的に守るため、水源地帯の開発や地下水の大量くみ上げ防止に対する新たな制度の創設、水源地帯における廃棄物の適正処理等をより厳しくチェックする機関・部署の創設等も検討する必要があると考えますが、この点に関する御所見をお伺いいたします。
 次に、早池峰山の環境保全についてお尋ねいたします。
 早池峰山は、植物分類・分布地理学上も貴重な地域であり、国の天然記念物指定等、多くの保護の網がかけられた国内屈指の地域として、その自然価値は、だれもが認めるところであります。
 この早池峰山周辺を中心に、南北朝時代から伝わる早池峰神楽は、国の重要無形民俗文化財第1号に指定されております。この早池峰神楽に見られる山岳信仰は、もともとは自然への畏敬の思想を起源とする、自然崇拝・アニミズム的信仰から発展したとされておりますが、今でも本県の一部には、祈願の登山に際し、肉体や精神を清浄にすることや、大木の伐採に際し、神酒と祈?を奉納する儀式、風習が存続しております。明治以降の西欧近代科学・技術の積極的導入にもかかわらず、こうしたアニミズム思想が残る社会を維持しているという点で、本県は、貴重な存在であります。
 私は、人間優位を前提とする近代科学や人間中心主義のユダヤ・キリスト教的な世界観を乗り越え、人間も多様な自然の一部であることを前提とした生活様式を確立しなければ、将来世代にわたって安全で安心な生活環境を享受することはできないと考えており、山岳信仰に見られるような自然畏敬の思想は、現在の環境保全思想にも相通じ、今後の環境問題を考える上でも有用であると考えます。
 そうした意味からも、環境首都を掲げる本県にとって象徴的存在とも言えるその早池峰山において、国の特別天然記念物である高山帯・森林植物群落の指定地域内を通る主要地方道紫波川井線により、周辺の亜高山帯樹木の立ち枯れ、高山植物帯での盗掘、踏み荒らしが恒常的に行われ、数種の絶滅が危惧されていることは、極めて遺憾であります。県においても、これまでマイカー規制などの対策をとられていますが、これだけで早池峰山の環境保全対策として十分と認識されているか、御所見をお伺いいたします。
 また、こうした事態を懸念し、平成15年に県議会に県道のルート変更などの検討を求める請願が提出され、当該県道のルート変更・整備について、早池峰国定公園の保護・保全対策のあり方など、幅広く検討を重ね総合的に判断するべきとの意見を付して採択されておりますが、その後、どのような検討、対応がなされてきたのでしょうか。
 そもそも2003年に早池峰山が世界自然遺産候補地の検討対象となった際、県当局からは、世界自然遺産登録がもたらすこととして、主要地方道紫波川井線の廃止・歩道化等の議論が強まるとの認識が示されていたと承知しております。しかし、その後、この点の議論が活発でない印象を持っておりますが、世界遺産候補からの落選により議論の必要性はなくなったとお考えでしょうか。
 早池峰山の環境保全には、車道の再自然化を自然再生事業として行い、迂回路を整備するなどのさらなる抜本的対策が必要と思いますが、この点について、改めて御所見をお伺いいたします。
 さらに、現在、早池峰山の東側において、猛禽類など貴重な野生動物の生息地域を通過する大規模林道の工事が大詰めを迎えております。この林道は、通常の林道よりも幅が広く設計され、林業従事者が使用する大型トラックによる木出し道路や災害時の代替道路として、既に一部供用されているとのことです。この林道の全面供用が始まれば、剣ケ峰コースからのアプローチが容易となることによるオーバーユースや、高山植物などの盗掘の増加や土砂災害などの影響も危惧されております。
 この大規模林道が環境に与える影響について、どう分析し、対応されているのかお伺いいたします。
 次に、遠野市における高レベル放射性廃棄物地層処分についてお尋ねいたします。
 去る11月29日、日本原子力開発機構が高レベル放射性廃棄物の地層処分にかかわる影響調査として、国内で唯一のボーリング調査を遠野市の猿ケ石川上流で計画していることが発覚いたしました。既に地表調査の実施を始めていたわけですが、事前に県や地元住民への説明はありませんでした。また、遠野市の正式な了承も得ずに調査を開始したとのことで、同機構の暴挙とも言える見切り発車に対し、怒りを禁じ得ません。同機構は、あくまでも学術調査のためという説明でありますが、最終処分場の選定につながりかねないとの不安はぬぐい去れません。
 同機構は、遠野市と県が調査の中止を表明したことを受けて、調査を凍結にすることを明らかにしました。同機構に調査を委託した経済産業省原子力安全・保安院は、今後も市や県に対して理解を求めていく方針とのことでありますが、県として、引き続き明確に反対の立場を貫かれる覚悟はあるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 調査先として検討されております遠野市附馬牛町上附馬牛地区は、豊かな自然環境が残り、どぶろく特区の発信源ともなりました。知事は、岩手は核捨て場にふさわしくないと怒りをあらわにされております。私も、その思いを共有するものですが、一方で、我々岩手県民も、電気を大量に消費する生活を送り、原子力政策の恩恵にあずかっていることもまた事実であり、県内での調査を中止させても、いずれかの県が引き受けなければ、原子力政策はやがて行き詰まることは自明であります。結局は、私たち日本人のライフスタイルそのものが問われていることにもなるわけですが、このことにつきまして、知事の御所見をお伺いいたします。
 最後に、いわて花巻空港新ターミナルビルについて、知事及び関係部局長にお伺いいたします。
 2003年公表のいわて花巻空港の需要予測によると、2010年に62万4、000人の利用客を見込んでおります。この需要予測は、2005年の新ターミナル地域の供用開始を前提にはじき出した数字ですが、実際の供用開始は2009年に4年延期されておりますから、その分、需要予測は過大になっているとは言えないでしょうか。また、そうだとすれば、この需要予測をもとに計算した費用便益から、事業は妥当だと判断した大規模事業評価委員会の答申にも疑問が生じますが、この点はどうお考えでしょうか。
 いずれ、新ターミナル地域の供用開始が4年延期された以上、それを前提にした需要予測の見直しを行うべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 1県1空港の必要性が議論され始めた昭和30年代後半は、高度経済成長期の真っただ中で、人口も経済も順調に発展していった時代でありましたが、今後、我が国は、人口減少社会、低成長時代を迎えます。1県1空港という考えは、時代にそぐわなくなったとは言えないでしょうか。
 我が国の地方空港は、明らかに供給過剰であります。競合相手の新幹線網も十分に整備が進み、大手航空会社も、規制緩和や石油高騰の影響で経営が圧迫されるなど、不採算路線からの撤退や減便の姿勢を強めております。こうした厳しい状況の中でも、県当局は、利用客数を伸ばすことは可能との考えを示しておりますが、その具体的な根拠をお示し願います。
 関連して、商工労働観光部長にお伺いいたします。
 いわて花巻空港の競争相手である仙台空港のアクセス鉄道開通が半年後に迫っております。これにより、仙台空港から仙台駅まで快速で17分、新幹線を使った仙台空港からの到達1時間圏は一関市にまで拡大し、利便性が飛躍的に向上することになるわけであります。
 この仙台空港アクセス鉄道開通による本県の観光に与えるプラスの影響とマイナスの影響について、どのように分析されていますでしょうか。それぞれ国内客と外国客に分けてお示しください。
 知事はかねてより、利用客数が50万人を超えなければ新ビル着工は難しいとの考えを示していますが、その考えに変わりはないでしょうか。
 さらに、総合政策室長にお伺いいたします。
 県では、政策等の評価に関する条例に基づき、事業着手後10年を経過する公共事業は、再評価を実施し、事業の継続が適当と認められない場合は事業を中止する制度を導入しております。
 空港整備事業は、2年後がちょうど事業着手後10年となりますが、あわせて新ビル建設事業についても、将来世代の負担にならないよう、いま一度新ビルの必要性について、県民も巻き込んだ議論を行い、改めて評価する必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 そもそも岩手県民にとって花巻空港とは何でしょうか。岩手県における花巻空港の位置づけが余りにもあいまいになっているような気がしてなりません。知事は、この点をどのようにお考えでしょうか。花巻の立地条件を考えれば、貨物空港としての役割を充実させていくことも一つの道ではないでしょうか。この点についての御所見もお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わりますが、答弁次第では再質問をさせていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 高橋博之議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、二元代表制についてでありますが、県民は、開かれた議会の場における真摯で活発な政策論議を望んでおりまして、知事と議会は、そうした県民の期待にこたえる重責をともに担っている、このように考えております。そうした意味で、私は、知事と議会は、二元代表制の意義とそれぞれの果たすべき責任を正しく理解して、分権時代にふさわしい真の岩手の自立に向けた合意形成を図るため、厳しくかつ協調し合いながら競い合っていく、そうした緊張感ある関係を確立していく必要がある、このように感じているところであります。私自身も、議会からの御要請も踏まえまして、予算・決算の特別委員会へ出席をして必要な説明を申し上げることや、決算審議時期の早期化に取り組みますとともに、提出予定議案等説明会など、その時々の重要な県政課題について御説明申し上げる機会をつくることなどによりまして、議員各位とのオープンで活発な政策論議を深めることに努めてきたところでございます。こうした取り組みについては、知事の責務として、今後とも充実させていくべきものと認識しております。
 また、本年6月の地方自治法の改正に盛り込まれませんでした議長への予算執行権の付与など、議会の権限強化に係る必要な法改正事項がございますが、これにつきましても、知事としてしっかりと支援をしていくべきものと、このように考えているところであります。
 次に、談合の関係でありますが、まず、官製談合と選挙のかかわりについてでございます。
 今般の他県における一連の官製談合については、やはり知事の選挙に起因している部分もあるのではないか、このように受けとめておりますが、私自身、これまで常にコンプライアンスをみずからの政治倫理の根底に置き、選挙も含め、透明性の高い行動と、公平な姿勢で臨んできたところでございます。
 また、この官製談合を防止するためのこれまでの取り組みでございますが、本県では、入札制度の改善、入札結果等の情報公開に努めますとともに、談合情報が仮にあった場合には、事情聴取や、入札の延期などの措置を実施いたしまして、公正取引委員会への通報等も行っているところでございます。また、官製談合を防止する観点から、いわゆる倫理条例の制定や、ОB職員からの口ききの防止を図っておりますほか、談合にかかわった職員に対しては、事案の内容に応じた懲戒処分を行うこととしているところでございます。
 さらなる今後の対策でございますが、今般、全国知事会で公共調達に関するプロジェクトチームというものを設置して、この防止策について、早急に検討して対応策を取りまとめる、こういうふうにしたわけでありまして、今、議員からお話のございましたとおり、私もその一員でございますので、職員の再就職の問題や、働きかけを受けた際の通報制度の強化なども含めまして、入札制度の公正性・透明性・競争性の向上や、官側の不正な関与の防止につながる仕組みについて、実効性のある案が取りまとめられるよう力を尽くしていきたい、このように考えます。
 また、このプロジェクトチームでの検討を踏まえまして、1月中を目途に、全国知事会として対応策を取りまとめる運びになると認識していますので、その内容に沿いまして、本県におきましても早急に必要な対応をとることといたしたい、このように考えます。
 次に、高レベル放射性廃棄物地層処分で、先般調査があったわけであります。この点についてでございますが、まず、本県の豊かな自然、良好な環境を将来の世代に引き継いでいくことは我々の大きな責務というふうに考えまして、岩手県に最終処分施設を受け入れる考えはないものでございます。したがいまして、学術的な調査とはいえ、将来の最終処分施設の候補地につながりかねないという不安がある調査につきましては、県として、遠野市との連携のもとに、今後、国や日本原子力研究開発機構からの働きかけがありましても、反対をしていく考えであります。
 次に、この関係につきまして、日本人のライフスタイルについて、どのように今後考えていくのかということでございます。
 まず、我が国における電力需要が年々増加している。それに伴いまして原子力への依存度も高まって、平成16年でございますが、国内の総発電量の29%を原子力が占めるまでになっている、こういう事実がございます。今般のような原子力に由来するさまざまな不安を低減するためには、何よりも電力の総需要の抑制が不可欠と考えまして、これまでの大量生産・大量消費、そして大量廃棄型の経済システムに支えられてきたライフスタイルを見直して、持続的な発展が可能な循環型の地域社会を構築していくことが求められている、このように考えます。
 このため、県民、事業者がエネルギー需要の抑制をみずからの課題としてとらえて、身近なところから取り組みを進め、それを積み重ねていくことが重要でございまして、県では、家庭や事業所における省エネルギー行動の実践、省エネ機器の導入などについて、さまざまな機会を通じて啓発に努めているところでございます。また、地域の資源を有効活用して、エネルギーの地産地消を目指すことが重要でございます。水力、風力、木質バイオマスなどのクリーンな自然エネルギーの利活用についても推進していきたい、このように考えております。
 最後に、いわて花巻空港新ターミナルビルについてでございますが、この空港の利用客数につきましては、産業や観光の振興を図る観点から、絶えず利用の促進に努めていかなければならない、このように認識しております。現在の国内線の利用につきましては、航空会社の使用機材、運航形態が変化していることなどの影響を受けて伸び悩んでおりますが、一方で、国際チャーター便については、外国からの中型機の機材が就航できずに他空港に回避をしている事態が発生している。また、ユニバーサルデザインに対応していないことなど、空港ターミナルの施設上の制約から影響が出ている、こういう実態でございます。このため、利用者数、特にも国内線の利用者数の動向のみで新ターミナルビルの着工の有無を判断するということではなくて、今後の国際線の見通しなども含めた総合的な観点から判断することが必要と、このように認識をしているところでございます。
 このいわて花巻空港の意義についてでございます。この空港は、本県の地域間交流の活発化や、国際化の進展に対応していくための高速交通ネットワークを構成する重要な社会資本でありまして、人・物・情報の交流拠点として、本県の経済を初め各分野のポテンシャルを高めて、県勢の総合的な発展に必要な施設、このような認識に立っております。このため、本県の空の玄関として、産業や観光の振興を支援するため、利用しやすい利便性の高い空港として機能の強化を図る必要があること。特に、長期的な県勢発展の観点から、今後、国際交流の活発化や国際観光の振興を図っていくためにも、海外からの国際チャーター便のニーズにこたえられる環境に改善していくことが必要である、このように考えます。
 それから、議員から御提案いただきました貨物空港としての役割でございますが、この貨物については、現在、旅客航空機の一部を使用して、航空郵便、工業部品、花卉などの輸送を行っているところでございまして、平成17年度の航空貨物の取扱量は1、477トンの実績となっております。現在の取扱量からすると、直ちに航空貨物の飛躍的な増加は見込まれてはおりませんが、今後の航空貨物の動向把握には十分努めていきたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 公共工事の品質確保についてのお尋ねがございました。県では、工事目的物の機能・性能が十分発揮されるよう、監督技術基準により請負業者の施工状況を適切に監督しながら、工事の品質の確保に努めているところでございます。特に、低入札価格調査対象工事につきましては、品質低下につながるおそれもあることから、一般工事と比較しまして、施工状況把握のための監督頻度をふやすなど、発注者として監督の強化に努めるとともに、検査においても経験豊富な職員を検査員とするなど、品質確保のため厳しく対応しているところでございます。また、請負業者に対しましては、配置技術者の増員を求めるなど、工事の品質確保の徹底を図っているところでございます。
 なお、昨年4月に施行された品確法においても、発注者の責務として、工事の監督や検査などの適切な実施が求められており、今後とも、法律の趣旨を踏まえ、公共工事の品質確保に一層努めてまいります。
 次に、いわて花巻空港に関してでございます。
 需要予測でございますが、平成14年度に実施しました需要予測は、平成13年度に国から示された国内航空需要予測の一層の精度向上についての通知を受けて、平成10年度に実施した需要予測の見直しを行ったものでありまして、その内容は、国内総生産の将来推計、県内総生産及び県別人口などの社会経済指標を用いて、国内旅客総流動量、地域間の旅客総流動量を推定し、これを競合する交通機関に配分する方法で花巻空港の需要を推定したものでございます。したがいまして、施設供用開始時期は、需要予測算定の際の変数とはなっておりません。ターミナルビルの建設の時期は需要予測の数値に影響を及ぼさないものであり、ターミナルビルの建設の延期を理由として需要予測を見直す必要はないものと考えてございます。
 大規模事業評価委員会の答申についてでございますが、平成17年度の事業実施とした県の評価は妥当との大規模事業評価委員会の答申につきましては、事業の必要性、妥当性について適正に御判断いただいたものと考えております。
 いわて花巻空港の利用者数は、航空会社の個々の事情、地域経済の動向、ダイヤの編成状況などさまざまな要因により、その時々に相応の影響を受けながら推移するものと考えてございます。このため、利用の促進を図る上では、利用者の需要に応じた便数やダイヤが提供され、利用者の利便性を高めていくことが必要と認識しており、誘致企業を初めとする産業界からの要望、就航先の旅行代理店等からの情報収集、海外航空会社からの観光需要の把握などに努め、これらを踏まえて、各種の利用促進事業や航空会社への働きかけに鋭意取り組んでいるところでございます。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) 水質の保全についてでありますが、まず、県のいわゆる森川海条例に基づく取り組み状況と効果につきましては、この条例に基づきまして、振興局単位に、地元住民や関係団体、事業者、NPOと行政機関で構成する協議会を設置いたしまして、流域ごとに基本計画を策定しながら、官民連携して環境保全活動に取り組んでいるところでございます。
 具体的には、地域の特性を生かし、創意工夫を凝らしながら、森林を守り育てる植樹活動や、地域の河川を対象とした水生生物の調査、河川・海岸の環境美化活動などを行っております。このような取り組みを通じまして、きれいな水の循環に対する地域住民の意識の醸成や、身近な河川を愛護する団体の活動の活発化、さらには水源地域における植樹や清掃の活動など、相応の効果が上がってきているものと考えております。こうした活動は、息の長い、幅広い取り組みが求められますことから、今後とも、住民や団体等の参加と協力をいただきながら、地域が主体となった活動として一層活発化するよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、水源をより効果的に守るための新たな制度と、機関・部署の創設等についてでございますが、水源を含む河川等の公共用水域の保全のため、県では、水質汚濁防止法に基づく事業所等の排出規制や、環境影響評価条例に基づく事前評価などの取り組みを進めてきたところでございます。その結果、平成17年度におきます環境基準の達成状況は、人の健康保護に関する項目では100%、川の汚れを示す生物化学的酸素要求量でも高い達成率となっておりまして、現在の制度のもとでも水源地域の水質保全につながっているものというふうに考えております。
 また、地下水の大量くみ上げ防止ということでございますが、その影響の範囲が限定されますことから、周辺地域の水利用状況を把握している市町村が、個々の事例に対応しながら規制していくことが効果的であるというふうに考えております。
 さらに、廃棄物の不適正処理は、水源地域にとどまらず、いかなる地域においても未然防止を図るとともに、早期の発見と対応が重要でありますことから、現在、本庁に適正処理指導を専門とする職員を2名配置するとともに、各振興局に11人の産廃Gメンを配置いたしまして、監視パトロールを常時実施しているところでございます。こうした対応を行っておりますことから、新たな部署等の創設については検討していないところでございますが、一貫した体制のもとでの指導・監視に一層努めてまいりたいと考えております。
 次に、早池峰山の環境保全についてですが、まず、早池峰山の環境保全対策につきましては、早池峰山は、固有種、希少種を含む多くの高山植物が生育するなど、本県を代表し、全国に誇れるすぐれた自然環境を有している地域であります。国定公園の指定を初めさまざまな保護地区等にも指定されているなど、自然保護のための法的規制が手厚く講じられている地域であり、このため、県としては、自然公園保護管理員を他の地区より重点的に配置しております。また、平成10年からは、登山シーズン中の交通混雑の解消や高山植物への影響の軽減、利用の分散化などを進めるために自動車利用適正化対策を講じておりますほか、高山植物を保護するための啓発や、移入種の駆除などの保全対策も講じております。また、平成14年からは、総合的な取り組みを図るための早池峰地域保全対策を講じることといたしまして、利用者みずからが自然への負荷の軽減を心がけるよう、マナーガイドの作成・配布、高山植物盗採防止パトロール、携帯トイレの普及などの各種保全対策を、官民連携して取り組んでいるところでございます。
 次に、県道のルート変更についてでありますが、平成16年3月の主要地方道紫波川井線のルート変更という県議会での請願採択を受けまして、県として、主要地方道紫波川井線のあり方について、関係市町村の意見を徴したところでございます。その結果では、現在ある車道の廃止は、地元としては受け入れることができないという意見が大勢を占めたところでございます。県としては、こうした地元市町村の意向を踏まえて検討した結果、迂回路の整備については、長期的な観点で対応していかざるを得ないという状況にありますことから、主要地方道紫波川井線は、当面は残すこととしたところでございます。
 次に、世界自然遺産登録と県道廃止等についてでございますが、平成15年の世界遺産の国内候補地選定に際して、早池峰山は、詳細検討対象地域には選ばれたものの、最終的に国内候補地には選ばれなかったものと承知しております。この選定過程で、県道の廃止・歩道化等の議論が予想されたところでございますが、候補地に選定されなかったことをもって、県道に関する以後の議論の必要性がなくなったというふうには考えていないものでございまして、引き続き、早池峰山の環境保全の観点から、関係者間で意見交換等を行っております。具体的には、県主催の保全対策を推進するための協議会、関係市町村や自然保護団体との意見交換、民間主導による早池峰フォーラムの場などを通じまして、県道の問題点や適切な管理のあり方などについて意見交換を行ってきているところでございます。
 次に、県道のさらなる抜本対策についてでございますが、早池峰山の環境保全を図る上で、道路のあり方をどう考え、どう進めていくかということは重要な課題でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、現在ある道路を廃止するということについての地元市町村の理解を得ることは難しく、また、迂回路の整備につきましても、厳しい財政状況の中にありましては、費用対効果などの面から、対応が難しい状況にございます。こうした現状にかんがみまして、当面は、環境への影響を緩和するため、交通混雑時の交通規制とシャトルバス運行などの自動車利用適正化対策を中心に対応することとしているところでございまして、車道のあり方につきましては、長期的な観点から、引き続き検討を行っていく必要があるものと考えております。
 次に、大規模林道が環境に与える影響についてでございますが、大規模林道は平成21年に全面供用が予定されておりますが、これに伴う環境への影響を考えた場合、まず、高桧山コースから早池峰山への登山者の増加の見通しということにつきましては、大規模林道から早池峰山までの距離が約10キロと長く、標高差も約1、000メートルありますことから、大幅な増加には至らないのではないかというふうに考えております。こため、早池峰山の高山植物の盗採の増加が直ちに懸念されるものというふうには考えておりませんが、大規模林道沿いの植物の盗採については懸念されますことから、利用者のマナー喚起やパトロールの実施などについて、地元の川井村を中心として防止対策を講じる必要があるものと考えております。
 また、土砂災害等の発生について懸念する声もございますが、事業者である独立行政法人緑資源機構において、発生防止に配慮したルートを選定し、適切な土砂流出防止工事を実施しているものというふうに認識しております。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) 仙台空港のアクセス鉄道開通の本県観光への影響についてであります。
 国内観光の面におきましては、仙台空港を利用する中部、関西、九州方面からの観光客につきましては、宮城県だけではなく、近隣県も含めまして周遊することが多いことから、平成20年に平泉の文化遺産の世界遺産登録が予定されている本県にとりましては、アクセスが改善されることによりましてプラスの影響が期待できるものと、このように考えているところでございます。
 それから、国際観光につきましては、本県を訪れている外国人観光客の客層は、花巻空港もしくは国際定期便を有する仙台空港など近隣の空港を玄関口とする台湾、香港、韓国、中国等の東アジアからの団体旅行客が中心でありますが、その旅行形態は、空港から大型バスで移動する団体・周遊型が主流であります。アクセス鉄道の開通による個人旅行客の増加というプラスの効果は期待されるものの、団体旅行については大きな影響はないものと、このように考えているところでございます。
 仙台空港におけるアクセス鉄道の開通を契機として観光客の誘客を促進するためには、仙台空港や花巻空港、あるいは新幹線等さまざまな交通手段を活用した広域観光モデルコースの設定、それらの効果的な情報発信、さらには東北6県での広域連携事業による仙台空港や仙台駅での案内機能の充実が必要であると考えておりまして、今後、これらの取り組みについて進めてまいりたいと考えているところでございます。
   〔総合政策室長相澤徹君登壇〕
〇総合政策室長(相澤徹君) 花巻空港新ターミナルビルの政策評価の関係についてお答えを申し上げます。
 新ターミナルビル整備事業につきましては、平成17年度に事前評価を行い、政策評価委員会において、事業の必要性などについて御検討いただいた上で、基本的に事業実施とした県の評価は妥当との答申をいただいたところであります。
 一方、県では、厳しい財政状況を踏まえ、一層の事業費の縮減等を図る必要があるという判断をいたしまして、現在、担当部で事業計画の見直しを進めている段階であります。今後は、見直しの内容を踏まえて、再度評価が必要かどうか、適切に判断をしてまいりたい、このように考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、統合教育及び障害児の普通学級への就学についてですが、障害のある子供と障害のない子供がともに学び、交流を深めることは、互いの望ましい成長・発達を促す上で極めて有意義であり、県教育委員会としても、平成13年に交流教育展開の手引を作成し、さまざまな機会を通じて各学校に対して取り組みを促しているところです。しかし、障害のある子供を通常学級に受け入れることについては、障害のある子供には特別な指導プログラムを用意するなど、一人一人のニーズに応じた早期からの一貫した専門的指導が不可欠でありますが、通常学級の指導体制では、その十分な対応が困難な場合が多いことや、受け入れのためには、施設の改修や専門的な指導を行うための人員配置を行う必要があることなどの課題があります。
 本県では、市町村就学指導委員会が、盲・聾・養護学校への就学が適切と判断した場合であっても、市町村教育委員会が受け入れのためのさまざまな条件が整っていると判断したケースや、養護学校などへの通学が特に困難なケース、保護者が地元の学校への就学を強く希望したケースなどについては、地元の小・中学校に受け入れているところです。本年度においては、特殊学級に91名、通常学級に16名が在籍しています。
 県教育委員会では、特殊学級の設置などによって、こうした課題に対応してきましたが、今後も、さまざまな条件が整えられ、小・中学校において適切な指導が行えると判断される場合には、市町村教育委員会と連携しながら、地域の学校に就学できるよう配慮してまいりたいと考えています。
 次に、宮城県におけるモデル事業の本県への導入についてですが、本県では、小・中学校の通常学級に在籍している障害のある児童生徒への学習面・生活面での支援を充実するため、平成16年度から特別支援教育かがやきプラン推進事業を実施しており、本年度は小学校35校、中学校5校に合計40名の非常勤職員を配置しています。また、本年2月の調査では、15市町村において独自に112名の支援員や介助員などを、障害のある児童生徒の学校生活を支援するため配置しているところです。今後も、市町村教育委員会と連携しながら、特別支援教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
〇 1 番(高橋博之君) 御答弁ありがとうございました。何点か再質問をさせていただきます。
 まず、早速、先ほどの統合教育について教育長にお聞きいたしますが、私が調べましたところ、普通学級での授業を希望するという本人あるいは御家族がいるにもかかわらず、事前協議の段階で教育委員会がちょっと厳しいということで、そこではじかれるというケースが大変多いというふうに聞いております。いろいろ理由を調べたら、健常児の親御さんの無理解ということが大きいようでありました。つまり、そういう障害を持っている子供が1人教室にいると、学力の低下につながるんじゃないか、授業の進捗度にマイナスの影響があるんじゃないかということを、健常児の親御さんが心配されているように聞いております。しかしながら、宮城県の事例を見てみますと、そういう子供が普通学級に入って、そのクラスの学力が低下した、こういう報告、事実は全くありません。むしろ成績が上がった、こういう報告すらあるわけです。
 先ほど教育長が、この統合教育について、極めて有意義であると、各学校に取り組むように促している、こういうお話を冒頭されたわけですけれども、全く現実にはそのようになっていないわけであります。ですから、ぜひ、そういう方針を県教委としてお持ちになるのであれば、やはりこの健常児の親御さんに対しての説得もしっかりとしていただきたい。ほかの親が反対しているから、これは学校としてもなかなかできない、こういうのが現実のようでありますから、ぜひそこは指導していただきたい、このように思うわけですが、御所見をお伺いいたします。
 それから、知事にお伺いいたしますが、二元代表制の関係でありますけれども、1期目、2期目、3期目と、知事も議会との関係をいろいろ変化させてきたわけですが、3期目におきましては、各政党から等距離を置きまして、全方位外交ということで県政運営のかじ取りをしてきたわけですが、1期目、2期目とそこのスタンスというか姿勢は、これ変わっているわけですが、そのスタンスの違いで、二元代表制のもとにおける県政運営の機能という意味で何か違いはあったのか、御所見をお伺いしたいと思います。
 それから、もう1点、これも知事にでありますけれども、遠野の高レベル放射性廃棄物の地層処分についてでありますが、二つ目の、日本人、我々のライフスタイルそのものが問われているのではないかということに対する御答弁がありましたが、結局、電力の総需要の抑制が必要だ、大量生産・大量消費というライフスタイル、こういったものも考え直していかなければならないだろうというお話があったわけです。
 本県として、全国47都道府県の中で、岩手県は自然エネルギーに力を入れているよ、こういったことが数字的に明らかであれば、これは遠野から出ていけと言っても説得力があると思うんです。ですから、ぜひ岩手県は、これは自然環境がやはり強みでありますから、こういったことは、今後も出てくると思うんですね。ですから、そのときに説得力を持つためにも、やはり自然エネルギーの促進というものをさらに強化していただきたいと思うわけですけれども、ここについての御所見をお伺いいたします。
 それから、環境生活部長に、早池峰山の環境保全についてお伺いいたしますが、県道の件でありますけれども、地元市町村の理解が得られないということで棚上げになっている、長期的視点に立って考えていく必要があるだろう、こういうお話でありましたが、仮に世界自然遺産の候補に残っていたら、恐らく県が指導的な立場に立って、あの県道の廃止、見直しという議論をやっていたと思うんですね。ところが、世界遺産に登録されないということで、一気にトーンダウンして、地元市町村の理解が得られない、こういうことを理由にして棚上げしているわけですけれども、先ほど、費用対効果の面からとおっしゃいましたが、この環境保全に関して言えば、費用対効果の面からだけでははかり切れない価値を守るというのが環境保全ということですから、このことについて、いま一度お考えをいただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 それから、最後に、花巻空港の関係でありますが、これは、商工労働観光部長になると思いますが、ことし、岩手県の花巻空港の場合、今、小型機のチャーター便の誘致をさらに進めているわけですが、それ以外の中型機については、ほかに逃げていってしまっている。これでは花巻、それから岩手県の経済、観光にマイナスじゃないか、このようなことが懸念されているわけであります。
 実際には、ことし上半期、確かに花巻空港の外国人利用客は前年度比で40何%ですから半減、半分になりました。激減でありますが、一方で、同じ時期、花巻市に訪れた、花巻温泉に宿泊した外国人利用客は増加しているわけであります。聞くところによりますと、これは温泉の皆様方の御努力でありまして、他県から入ってきた外国人利用客を引っ張ってきている、まさにすばらしい民間の企業努力だと思うわけですけれども、実際にそのような形で、逆に民間の企業努力を促して、本県の経済、観光に与えるマイナスの影響を回避している、こういう事実もあるわけです。
 ですから、国際チャーター便対応のために新ターミナルビル建設が必要だ、こういう理由が私にはなかなか理解できないわけでありますが、その点についての御所見もお伺いいたします。
〇知事(増田寛也君) 2点お尋ねがございましたので、私の方からお答え申し上げますが、まず、議会と、それから知事との関係、二元代表制との関係でございます。
 特に、私は3期、今、知事を務めているわけでありますが、1期目、2期目と、それから3期目とでは、大分、やはり議会の議員の皆さん方との、執行部との緊張関係が変わってきたのではないかと思っておりまして、特に、最近は私もマニフェストをつくって、マニフェスト起点で行政をやっていく、議会の各会派の方も4年前にマニフェストをつくられて、そういう試みをされ、また、その中で議会としての役割を発揮しようということで、さまざま議案についても調査をされる。私にとりましてはなかなか痛いことでありますが知事提案議案も否決されたということもありますし、そういった、やはりいい意味での、執行部が提案する議案をいろいろ審議をして、より県民にとっていい方向に変えていこう、そういうお互いの試みが、試行錯誤、こちらも試行錯誤でありますが、行われてきたのではないか、こんなふうに思っております。
 私自身もあえて、やはりそういった意味では、今後の地方自治、大きな権限をこれから各自治体が地方自治の現場で持ちながら、責任ある自治をしていかなければならないので、そういった適切な緊張関係というものを持っていかなければならないと思っておりますので、そのことを実践してきたということもございます。余り緊張関係を持ち過ぎますと、今度、長野県のようなことになってしまうので、それはどうかと思うんですが、やっぱり両者の適切な緊張関係というものを今後もお互い模索をしながら地方自治を進めていくということが大事ではないか、このように考えているわけであります。
 それから、あと、ライフスタイルの関係で、やはり岩手が、そういった意味では高い実践をしていくべきだというお話でございますが、例えばCO2の削減につきまして、県としての目標が1990年対比で8%削減という―国の場合には6%ということでありますが―高い目標を掲げております。現実には、まだ8%というのは少し先の目標になっていますけれども、ただ、他地域に比べますと、我が県のCO2の排出量は抑制されているということもございます。こうしたCO2の排出抑制につながる生活全般での、本当に小さな試みであっても、それが積み重なると大変大きな効果が出てきますので、そういう試みを各家庭にまで広げて、これを今後も実践していきたい。
 県も、そういう意味では一事業者の立場でありますので、ISO14001を取得して、毎年、例えば省エネなどに努めておりますが、それぞれ各職場で対前年でかなりの数の、数量的にもマイナスのいい効果を出しているところでございます。一事業者の立場としてモデルを示していく、それから県全体としての、例えばCO2排出抑制の試みを今後も効果的に進めていくような仕掛けづくりをするといったようなことで、先ほど言いましたように、原子力については、県としては、これを抑制的に対応していきたいと考えているわけでございますが、一方で、こうしたみずからの生活スタイルについてもよく目配りをして、今後の循環型社会形成の範となり得るような、そういう試みを実践していきたいと考えております。
〇環境生活部長(菊池秀一君) 早池峰山の道路の関係でございますが、やはり早池峰山の環境保全を考えるという意味で、道路についてどう考えていくかというのは、本当に重要な課題と考えております。
 そういうことでいろいろ検討はしているわけですけれども、先ほど申し上げましたように、なかなか今のように財政事情が大変厳しい状況の中にありまして、費用対効果、それから標高もかなり高いというようなこともあって、峠の関係とか、冬期通行の関係とか、さまざまな課題もあるものと考えております。
 そういった中で、なかなか短期的には難しい課題だということで、長期的な検討が今求められているものと思っておりますけれども、そういった中で、今とり得る効果的と思われる取り組みということで、先ほど申し上げましたような、自動車利用適正化対策等を中心とした取り組みを行っているところでございます。
 今後とも、県土整備部も所管しておりますので、そちらとも協議を進めながら、短期的にはなかなか難しいという状況にございますけれども、方向が何か見出せることがあるかどうか、また引き続き、県土整備部と協議してまいりたいと考えております。
〇商工労働観光部長(阿部健君) 花巻の新ターミナルビルについての御質問でございましたが、海外からの観光客の方につきましては、今お話がございましたとおり、台湾からのいわゆるチャーター便が中型機の関係で花巻空港に入れないという形で、かなり数が減っているわけですが、この分、別の航空会社が今入っている。それから、あとは、今お話がございましたが、花巻の宿泊関係、あるいは雫石、安比、そういったところの非常な御努力によりまして、あるいは海外のお客様に対する広域的な企画商品、そういった形で、岩手県を、ほかの県含めて多くの方々に回っていただいているという状況がございます。
 それで、今後、海外のお客様を多く迎えるという形になりますと、やはり花巻空港におきましても、中型機、そういった設備といったものは必要であると考えておりますし、これからより多くの海外の、東アジアの都市とのダイレクトのチャーター便は必要であると考えております。したがいまして、新しいターミナルビルにつきましても、そういった意味合いから含めて、やはり必要であると私は考えております。
〇教育長(照井崇君) ともに学ぶ教育についてでございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、障害のある子供と、それから障害のない子供の交流を深めることの意義とか、その効果などについては、これまでも各市町村教育委員会、各学校に趣旨を徹底して、その取り組みを促してきたところですが、ただいま御指摘のありました、障害のない子供たちの保護者の御理解、これがやはり大事でございますので、そうしたともに学ぶ意義、効果などを、その保護者の皆様方に十分御説明して、その御理解をいただけるように、引き続き、さらに各市町村教育委員会、学校を指導してまいりたいと思います。
〇議長(伊藤勢至君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第 2  議案第 1 号平成18年度岩手県一般会計補正予算(第3号)から日程第21 議案第20号保護の決定及び実施に関する事務の一部を委託することに関し議決を求めることについてまで
〇議長(伊藤勢至君) この際、日程第2、議案第1号から日程第21、議案第20号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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