平成18年12月定例会 第22回岩手県議会定例会会議録

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〇41番(佐々木一榮君) 民主・県民会議の佐々木一榮であります。
 今定例会に任期最後の質問の機会を与えていただきましたことを、先輩・同僚議員に感謝を申し上げながら、順次質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 去る10月30日午後3時、増田知事は緊急の記者会見を開き、知事を目指した当初から、長くても3期12年を一つの区切りにしたいと考えていたと、知事職引退理由を説明されました。私自身、平成6年、増田知事が当時の建設省を退官され、岩手県知事選挙に立候補を表明された後、私も初めての県議選出馬であり、知事御本人のみならず、奥様の満喜さんともあいさつ回りに終始した日もあったことを思い出し、正直、複雑な胸中であります。特にも御尊父である増田盛先生が岩手の出身とはいえ、お二人は東京での生活が長く、大変な決意を持たれた選挙戦だったろうと拝察させていただいておりました。奥様が疲労から点滴を打ちながら選挙活動に臨まれたことや、唯一夕食が主人との安らぎの時間とのことで、あいさつ回りをこなしながらも、知事の好きな夕食のメニューを気にされていたことが、つい先日のように思い出されます。
 1期目の増田県政は、まさに国政とのねじれの中でさまざまな質問攻勢から始まり、激戦の選挙だっただけに、大変なかじ取りであったことは、多くの県民の記憶に残っていることと思います。その後、知事は、政党との距離を等距離に置く全方位外交に転換し、前回の知事選挙では政党推薦を受けず、3選を果たされました。全国的には改革派知事として知られ、残念ながら落選したとはいえ、全国知事会会長選挙に立候補され、知事会では地方分権推進特別委員長、国においては郵政民営化委員を務めております。当選間もない知事にはできることではなく、ある程度の経験と実績が、その職務を全うするにふさわしいとのことからの就任だったのではないでしょうか。確かに、最近の地方で起きている事件は、地方分権の推進にブレーキをかけるような残念な事態でありますが、知事の勇退の一番の理由とした多選禁止についての基本的考え方を改めてお伺いするとともに、これから国と地方の関係を考えたとき、知事職につこうとする方々にどのような期待を持っておられるのでしょうか。
 知事は、残された半年の間に、12年間の総仕上げを行う覚悟を持って、県政に取り組むための環境を整備したいとのことでありますが、具体的にはどのような環境整備に取り組まれるのでしょうか。
 この後の質問にて具体的県政課題についてお尋ねいたしますが、御自身も、教育立県を目指された工藤前知事から知事職を引き継がれたわけでありますが、マニフェストの重視がされようとしている今、行政の継続性をどのようにお考えでしょうか。
 あわせて、先ほど質問にもありましたが、開催されました第3回ローカル・マニフェスト検証大会で、増田知事の評価は、対象6首長の中で2番目に高い好成績でありました。部の垣根を越えた連携や県政のスピード化、地方分権を視野に挑戦的な公約を作成し、計画・実施・評価のサイクルを定着させたなど、内部的改革が特に高い評価を得ましたが、政策評価の公開は、わかりやすさ、使いやすさなど工夫が足りないとの指摘を受け、政策のうち、環境や情報、安心して暮らせる社会などの分野はおくれているとされ、減点材料となったようですが、これから御自身が検証されようとしておられるわけでありますが、この検証大会の評価をどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
 また、高い評価を受けた内部改革でありますが、知事は、東京や岐阜のコンサルタント会社と随意契約を結び、知事部局のみならず教育現場でも行政品質向上運動を強力に進めてまいられ、この4年間の委託料・謝礼は総額1億5、400万円に上っています。
 そこで、まずお伺いいたしますが、費用対効果の観点から、知事は、この多額の支出と成果をどのように認識されていらっしゃるでしょうか。岐阜の人と経営研究所には、行政経営推進事業として1、434万円、教育品質向上セミナー講師への謝礼金として500万円支払われておりますが、その内容、効果について、知事及び現場の観点から総合政策室長、教育長にもその評価についてお伺いいたします。また、このコンサルタント会社は岐阜県庁の人事まで相談を受け、指導されていたとも伺っておりますが、本県においてもそのような事実はあるのでしょうか。県の新体制にも関係することでありますので、この際、あわせてお伺いいたします。
 私は、知事は確かに勇退は表明されましたが、何かの形で岩手に今後とも貢献してほしいという県民は多いのではないかと思います。マニフェスト選挙は増田知事が全国に先駆けて行ったものであり、現在は各種選挙でマニフェストが話題となっています。
 そこでお尋ねいたしますが、知事選に立候補予定されている方の中で、政治理念・政策・マニフェストが増田知事の考えに最も近い方がいらした場合、知事は県民に、先ほどの行政の継続性の意味からも、御自身の、候補者のマニフェストに対する考え方を明確にすべきと思いますが、いかがでしょうか。
 知事は、来春の知事選については後継者はいないとしながらも、県議選については、従来気持ちを同じくしてやってきた方からそういった要請があれば、最大限協力したいと思っていると述べられておりますが、気持ちを同じくやってきたという意味はどういう意味でしょうか、お尋ねいたします。
 知事は、3期目の知事選に当たり、政治の師は現民主党代表の小沢一郎氏と明言されておりました。今般、とりあえずは地方政界から退かれる決断をされた今も、そのお考えに変わりはないでしょうか。増田知事がかつてマイクを握り選挙応援をし、当選に導いた小沢代表と今日まで歩まれてきた民主党県連代表の達増拓也衆議院議員が来春の知事選挙に出馬表明されておりますが、増田知事は当選当時、全国最年少の43歳、達増拓也氏42歳に対しまして、期待することがあれば御披瀝いただきたいと思います。
 次に、懸案として決着と方向性を明確にしていただきたく、ここでは競馬組合問題以外の点についてお伺いいたします。
 まず、会計検査院の指摘により、林野庁から県に対し国庫補助金約12億8、000万円、現在残高約8億5、300万円の全額返還命令の出ているいわゆる森のトレー事案についてであります。
 一昨年1月、私自身も総務委員会に所属し、農林水産委員会との連合審査会において、この事案の経過について、当時の組合設立関係者、県担当者、生産機械メーカーの担当者を参考人と招致し、それぞれの立場からの御意見を伺い、質疑を行った経過がありましたが、正直、その時点から、私は訴訟を起こしても敗訴するだろうとの認識を持ち、現在もその考え方は変わっておりません。多少、メーカー側に瑕疵があったといたしても、いわて森のトレー生産協同組合がトリニティ工業に対して求めている総額25億5、000万円の損害賠償には勝訴できる要因は少ないと考えます。しかしながら、既に裁判は始まっているわけでありますから、この点は触れないといたしまして、一昨年5月と7月に口頭弁論が開かれて以来、非公開の弁論準備手続が11回行われておりますが、今後のスケジュール、見込みはどうなっているのでしょうか。裁判の長期化による1日約26万円とも言われる延滞金は計算上約3億500万円となりますが、この延滞金については林野庁とどのような協議になっているでしょうか。
 あわせて、住民監査請求について伺います。
 私の亡くなりました父の高校の先輩であり、県議会においては大先輩に当たられます佐藤正春議員が、平成16年から18年にかけ3回、県費からの支出は違法として、返還と執行停止を求める住民監査請求を行い、県監査委員は、16年に請求却下、17年は棄却いたしましたが、県、久慈市、組合の責任分担を明確にとの意見をつけ、ことし6月の却下の際は、費用負担割合が明確にされていないことについてはまことに遺憾、引き続き合意に向けた一層の努力を強く望むと異例の意見をつけております。
 そこで、まず監査委員にお尋ねいたしますが、3回の請求に関する却下と棄却の経過と、新たに本年つけられました異例の附帯意見はどういう認識から行われたのでしょうか。また、県の久慈市との協議状況をどのように把握され、指導されていくのでしょうか。また、知事は監査委員の意見をどう受けとめられ、任期中には最低限解決すべき問題と思いますが、この負担割合協議はいつ決着を見るのでしょうか、お尋ねいたします。恐らく、裁判の決着は知事退任後と思われますが、この際、この森のトレー訴訟敗訴の場合の責任について、だれが負うべきとお考えでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、県内景気認識と今後の見通しについてお尋ねいたします。
 太田経済財政担当大臣は、景気の拡大局面が続いているとの認識を示した11月の月例経済報告を発表いたしました。平成14年2月に始まった今回の景気拡大は、戦後最長の58カ月となり、昭和40年11月から昭和45年7月、57カ月のいざなぎ景気を超えたとされています。しかしながら、今回の景気拡大は、好調な輸出や設備投資に支えられた企業部門が牽引し、人件費の抑制など、リストラを背景としていて家計への波及が遅いため、多くの国民には実感が乏しいという特徴があり、特にも、都市と地方、大企業と中小企業の景況感の格差はますます拡大の様相であります。大手企業の出先がよくとも、県内の多くが中小企業のため、県民が実感を得ていないのではないでしょうか。
 関東自動車を初めとする自動車関連産業や情報技術関連分野は好調であり、有効求人倍率も改善傾向ではあるものの、所得は下降傾向にあります。個人消費は冷え込んでおり、乗用車の新車登録台数や大型小売店の販売額も前年を下回っております。県は、このような状況をどう認識しておられ、本県の景気回復基調は、いつごろ見えてくるとお考えでしょうか。
 また、岩手経済研究所の調査によりますと、ことし7月のゼロ金利政策解除の影響についても、今後はマイナス影響があるとした企業の割合が62.6%とも報告されています。その影響の具体的な内容としては、支払い金利の増加による収支への影響が83.1%、資金調達面への影響が25.4%、設備投資計画への影響が23.9%と、先行き不透明感が増しています。県では、このような県内中小企業を取り巻く金融状況についてどのように把握され、また、セーフティネットを含む支援策をどのように進めていくお考えか、お尋ねいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、県財政についてお伺いいたします。
 県は、平成15年度、4年間で1、750億円の財源不足が生じるとして行財政構造改革プログラムを策定し、人件費、公共事業を初めとする投資的経費の削減に努めてまいりました。本年8月に、骨太の方針2006を踏まえ、平成19年度から4年間の中期収支見通しを算定し、健全財政を保つには、毎年610億円から700億円、2、579億円の財源不足が発生すると試算されておりますが、策定中と言われるポスト行財政構造改革プログラムはいつごろ発表される予定なのか、お尋ねしたいと思います。
 また、企業会計における県立病院の平成17年度決算ベースで117億8、600万円、工業用水道事業の3億6、900万円の累積欠損金、また、県出資法人13法人の40億円の累積欠損金など、この際、すべての連結決算状況把握をして、最悪のケースを想定した新プログラムの策定も検討をすべきと思いますが、いかがでしょうか。
 平成18年度でさえ、公共事業費は前年度比14%減、逆に義務的経費は50%を超えた状況であります。2月定例会の予算特別委員会の私の総括質疑の御答弁で、今年度予算は、19年度以降も見据えて持続可能な行財政構造の構築に向けた一歩としたいということで、主要3基金の取り崩しに頼らない、そして県債残高をふやさない、そういったことを財政運営の基本として、限られた財源の重点的、効率的な活用により予算を編成したとされ、今後3年は、大体7、000億円程度の予算規模とされています。しかしながら、半年たって、県は、財政健全化のため3基金の取り崩しは行わないとしていながら、競馬組合の巨額負債を整理するために、構成3団体が融資する際の財源として、財政調整基金など3基金を取り崩そうとしています。
 知事は、各県の状況を見てもかなりの県が取り崩していると、さきの9月定例会で答弁されております。先月15日も、千島列島でマグニチュード8.1と推定される地震があり、津波による避難警報、注意報も沿岸部に発令され、県内の避難指示・勧告は4市町村で約1万1、300世帯に上りました。近い将来、宮城沖地震も想定されています。阪神・淡路大震災を経験した兵庫県、中越地震に見舞われた新潟県財政は、災害発生により厳しい財政運営を強いられています。
 総務部長は、条例に従って基金を取り崩し、本来目的に沿った経費に充当する。その経費に充てることになっていた一般財源を活用して、融資のための新基金を造成したい。法律上問題はないと説明をされましたが、災害を想定した治水・治山事業、防波堤や防潮堤を初め避難対策も、公共事業費の大幅削減によりままならない状況下で、県民にどう説明されるのでしょうか、お尋ねいたします。
 あわせて、緊急時の一定のボリュームは残したいとされていますが、どの程度想定されているのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、高校必修の履修漏れ問題についてお伺いいたします。
 文部科学省は、先月22日現在、履修漏れのあった高校が全国で663校、補修の必要な3年生は10万4、202人、全体の9%に上るという調査結果を発表いたしました。
 まず、そこでお尋ねいたしますが、県内の公立、私立の状況は現在どうなっていますでしょうか。また、全国の未履修高校数に占める本県の割合は、生徒数を含めどのような状況でしょうか、その対応状況についてもお尋ねいたします。
 9月定例会最終日の緊急質問に対し教育長は、未履修問題について、一貫して、県教育委員会は知らなかった。責任は、学校長にあると答弁されてきました。しかしながら、10月31日開催された学校長会議では、その発言を撤回されたと伺っておりますが、県議会本会議の議事録に、しっかり残されている問題でもありますので、再度、教育長から、責任の所在と、今後、生徒の不安がないよう取り組まれるという、明確な御答弁をいただきたいと思います。
 今まで質問させていただきましたことにつきまして、県立高校の校長経験者で現場に精通していらっしゃる県教育委員長の見解をお伺いいたします。
 まず、未履修問題についての認識と、本県のみならず、全国的に起きた今回の問題の背景にあるものを、どうとらえていらっしゃるでしょうか。複雑な社会構造も要因と考えますが、最終的な責任の所在をどう認識しておられるでしょうか。このような、あってはならないことが全国的に起きたわけであり、本県は全国よりその比率が高いわけでありますが、この教訓を生かし、今後の岩手の教育行政に望まれること、また、あるべき姿を次代を担う子供たちの将来を見据え、どのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、併設型中高一貫校についてお尋ねいたします。
 県では、平成21年4月の開校を目指して、一関一高を中心に検討を進めることとし、先月29日の一関市川崎町に始まり、県内10カ所で小・中学校長及び保護者の代表を対象に、併設型中高一貫校に関する説明会を開催するとしています。
 そこで、改めてお尋ねいたしますが、この一貫校の理念、目的、また、他地域からも一貫校の要請があった中で、一関一高に導入を検討するに至った経過をお知らせいただきたいと思います。
 仄聞するところによりますと、学生寮は設けないとのことでありますが、全県募集の観点からも、全寮制などの議論は行われなかったのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、社会的に大きな問題になっておりますいじめについてお尋ねいたします。
 文部科学大臣に被害を直接訴え、自殺を予告するなどの手紙が届くなど、ついこの間まで、だれもが考えもしなかったことだと思います。学校に毎日送り出す側の親。自分の学校には、クラスには、間違ってもいじめはないと確信する教師。確かにいじめ問題は昔からあったと思いますし、私自身も、子供のころいじめを受けた経験はあります。しかしながら、現在のいじめは、起こる要因を特定できず、複雑多岐になっております。まず、真っ先に、教育現場の真の実態を把握することが肝要と考えます。
 いじめがあるかないかを記名式で子供にアンケートをとれば、まじめに書いた子供がチクッたと言われ、いじめに遭うようなことでは、全くナンセンスとしか言いようがありません。教育長は、このような事態を重く受けとめ、学校、市町村教育委員会ごとに対応を総点検して、県内の学校からいじめを根絶できるよう、全力で取り組みたいと述べていらっしゃいますが、まず、県内の現状をどのように認識されておられるでしょうか。先生自体がいじめともとれる言動で訓告処分を受けるなど、生徒側だけでなく、教師の側にもその問題意識の徹底が必要と考えますが、どのように対処していかれるお考えでしょうか。
 今後のいじめ問題の具体的対応施策についてもお伺いいたします。
 次に、平泉の世界遺産登録についてお尋ねいたします。
 去る9月14日、政府が世界遺産条約関係省庁連絡会議を開催し、平泉の文化遺産を、平泉-浄土思想を基調とする文化的景観として、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産、文化遺産に推薦することを正式に決定し、平成20年の登録に向けた手続は大きく前進し、平泉の評価の場が国内から海外に移ることは、地元平泉町のみならず、余り明るい話題のない昨今、岩手県民の大きな喜びとするところであります。平成13年の暫定リスト登載以来のこれまでの地元初め関係者の皆様の御努力に、深く敬意を表するものであります。
 この世界遺産登録は、平泉の文化遺産を人類全体の宝として保護し、後世に伝えていくことが一番の目的であることは、今さら言うまでもありませんが、同時に、今後の岩手の観光産業を初め、地域経済の活性化等、その期待には無限の創造が生まれてくると確信いたしております。しかしながら、一方で、景観も含め抱える課題も大きく、その対応には総力を挙げて取り組んでいかなければならないと考えます。
 そこで何点かお尋ねいたします。
 まず、景観の保全の観点からお伺いいたします。
 昨年1月、平泉町は景観条例を施行し、10月には景観法に基づき景観行政団体となるなど、世界遺産を視野に景観保全の取り組みに力を注ぎ、町のプロジェクトチームの、町の景観づくりのメンバーと連携をとり、違反広告物の取り締まりにも取り組んできています。一昨年からの県の指導もあり、違反広告物については撤去や移転により改善されるとはいえ、課題は残っております。県の屋外広告物条例には、適用除外があることも難しさの要因ともされていますが、県の景観保全の基本的考え方をお尋ねいたします。
 また、かねてより懸案となっております金鶏山中腹の鉄塔問題については、現在、事業者とどの程度の協議の進捗状況でしょうか、あわせてお伺いいたします。
 コアゾーン、核心地域の一つである骨寺村荘園遺跡の景観保全についてお尋ねいたします。
 この地域の高齢化比率が高く、農業後継者の問題や、昔からの水田であるため作業効率も低く、何世紀も前の地形がそのまま残っていることはすばらしいと評価を受けても、うれしさの一方で、営農を考えると不安もあると聞いております。そういった意味では、さまざまな案内板や解説施設という、ハード部分に問題はないと思いますが、景観の保全には、かなりの財政支援がないと休耕地ができるなど、課題は残されております。現在、地元でも協議会等で議論されておりますが、県としては、どのような具体的支援策をお考えでしょうか。国の支援策の要請なり、特区要請なり、手だては考えられないものでしょうか、お伺いいたします。
 次に、地域限定通訳案内士についてお伺いいたします。
 平泉町では、新年度新規要望として、地域限定の通訳ガイドの資格を県に制度化するよう要望していますが、現在、県においては、通訳ガイドの需要や受験者などの調査を進めているとお聞きしております。制度導入に当たっては、試験問題の作成、試験の運営等のほか、出題ベースとなるテキストの作成、登録後の活動を支援するためのスキルアップ研修の実施、外国人観光客とのマッチングシステムの整備、団体の組織化に向けた支援など、地域限定通訳士試験ガイドラインに定める国土交通省の同意基準を満たすための事業もあるとされております。
 そこでお尋ねいたしますが、本県における制度導入の課題をどのようにとらえていらっしゃるでしょうか。導入に係る経営試算はどの程度になっているでしょうか。また、他県等における導入に向けた検討状況は現在どのようになっており、本県はいつごろをめどに導入予定なのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、児童虐待についてお伺いいたします。
 全国の児童相談所が対応した昨年の児童虐待は、過去最多の3万4、472件に上り、今年度上半期に警察が検挙した児童虐待事件は120件と、過去最悪となっております。本県においても、児童虐待の相談の受理件数は平成17年度274件と、前年度比20.7%の増加を見ています。児童相談所職員が訪問しても、ドアを閉めて子供に会わせない親も少なくなく、暴力を振るう親もいると聞きます。警察庁は、児童虐待が疑われる場合は、子供の安全確保を最優先し、家庭にも積極的に立ち入る通達を都道府県警察に出し、暴行や殺人未遂など、あらゆる罪名を適用し、厳正に捜査するよう求めております。また、これに合わせ、厚生労働省も、都道府県の児童相談所に連携強化を求める通達を出しております。先月22日には、初めて県と県警の連絡会議が開かれたと伺っております。
 そこで、県民の良識を代表して、警察の仕事に県民の考えを反映させる役割を担っておられる公安委員会委員長は、今回の警察庁の通達をどう認識され岩手県の警察行政に反映させていこうとお考えか、現在の児童虐待の認識も含め、お尋ねいたします。
 先月7日には、盛岡東署に児童虐待による障害容疑で逮捕者も出ております。そこで、警察本部長にお伺いいたしますが、県と県警の連絡会議を、今後どのように充実強化していかれるお考えでしょうか。
 また、未然防止には地域住民の協力体制が不可欠となりますが、どのように周知を図っていくお考えでしょうか、あわせてお尋ねいたします。
 また、2月定例会予算特別委員会の総括質疑で、この件に関連し、学校や通学路での子供の安全確保を目指した本県独自条例の制定の考え方をお尋ねしたところ、知事からは、先進県、もう既に条例制定をしている県を参考にしながら、条例制定について検討を進めていきたいとの答弁をいただきましたが、現在の検討状況と条例提案時期についてお尋ねいたします。
 最後に、競馬組合問題についてお伺いいたします。
 さきに開催されました競馬組合議会では、330億円に上る融資を含む新しい実行計画をめぐり、その実効性について議論されました。特にも、賞典費削減に伴う競走馬確保への危惧、映像設備の4億1、000万円にかかわる経費削減の実効性、他場の馬券販売が岩手競馬に与える影響が議論され、そして、何よりも融資を受けようとする330億円が、ほとんど返還見込みのないことが明らかにされました。このことにより、私は、競馬組合議会に提案された原案は、存続計画と廃止案との二本立てで論じられるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 先ほど財政に関連してお尋ねいたしましたが、県民の高い感心のあることでありますから、残された2月までの間、管理者である知事初め、副管理者である盛岡、奥州両市長は、競馬組合議会の議決を受け、今まで以上に、県民、市民に説明責任を果たすべきと思います。
 最近、問題が多く明らかになっていますが、本県においては、やらせではない正常な形でのタウンミーティングの開催を望むものでありますが、開催のお考えはありますでしょうか、お伺いいたします。
 増田知事の、今後、任期満了までの力強いリーダーシップに御期待申し上げますとともに、ますますの御活躍を衷心より御祈念申し上げ、以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 佐々木一榮議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、知事の政治姿勢、多選禁止の考え方についてお尋ねがございました。
 私は、過去におきまして他県に勤務をした経験もございます。そうしたことも踏まえまして申し上げますと、知事が当選を重ねるにつれて、特に多選と言われるようなその段階に入ってくるに従いまして、周辺の人々が、知事に意見を言いにくくなるような土壌が形成をされて、行政の硬直化やマンネリ化を招くという意味で弊害が大きい、このように考えております。したがいまして、みずからの出処進退については、先ほども申し上げましたが、強い自制の精神を持って、絶えず自戒をして、多選の弊害を戒めることが大事であると考えておりまして、私も多選となる時期より前に退くこととしたところでございます。
 今後、知事職を目指す方々への期待ということでございますが、何よりも県政執行の最高責任者でありますので、常に県民の視点に立って、県民福祉の向上のための政策運営に全力を尽くすことが最も重要な責務である、このように考えます。同時に、今、時代が大きな転換期を迎えておりまして、知事が地域経営の最高の責任者という立場でもございますので、地域の視点や住民福祉の視点を踏まえて、我が国全体の構造改革の方向づけにも、何らかの形で関与し影響力を発揮していく、こういう役割も求められているのではないか、このように考えているところであります。
 次に、12年間の総仕上げに向けた環境整備ということをさきの記者会見で申し上げました。これは、次の知事選挙に対しての私の去就に関するさまざまな憶測を払拭して、残る6カ月間、県政課題に全力投球できるようにしてまいりますと、環境を整えますという意味で不出馬を表明したということが、まさにそのことに当たるわけでありまして、この不出馬を表明した後、残り任期ちょうど6カ月、今の時点では5カ月を少し欠けるわけでありますが、この間に、さきに策定をいたしました産業成長戦略に基づく地域経済の基盤づくり、県北・沿岸地域での産業振興の取り組みなど、それから当然岩手競馬の再生など、残された課題に全力を傾けていく覚悟であります。
 また、マニフェストとそれから行政の継続性についての関係でございますが、知事の政策の継続性について申し上げますと、次の知事選挙では、当然、各候補者には、できるだけ具体的なマニフェストをお示しいただきたいというふうに思います。そして、それぞれの候補者みずからの考え方、判断、そして社会経済情勢の変化を踏まえて、私の政策を引き継ぐものあるいは変更するもの、それぞれ適切に判断をした上で、基本的な政策をマニフェストとしてしっかりと位置づけて、選挙で県民の審判を受けていただく必要がある、このように考えるわけでありまして、その結果として、変更される政策もあろうかと思います。継続される政策もあろうかと思いますが、その点、最終的な是非の判断は県民の皆さん方が投票を通じて行うもの、こういう関係になるというふうに思っております。
 それから、先般、東京の早稲田大学で、ローカル・マニフェストの検証大会ということがございました。その中で、私のマニフェストについては、目標に対する達成度が低いものがあるものの、取り組み全般としては高い評価をいただいたと、このように受けとめております。
 この大会での評価、特に私のマニフェストその後の実行過程で、足らざる点につきましては私も率直にその指摘を受けつつ、残された任期におきまして、目標達成に全力を挙げて取り組んでいく考えでございます。
 それから、行政品質向上運動について、外部コンサルタントを活用してございます。この点でございますが、私どもの仕事、質の高い仕事を提供していくために、まずもって、職員の意識改革や能力開発を一層進めていくことが重要だと思っておりまして、このような観点から、行政品質向上運動を起点として、いわゆるいわてマネジメントシステム──IMSなどの一連の取り組みを推進してまいりました。この推進に当たっては、県民の視点に立った顧客本位の改革が必要でございまして、そのために、すぐれた民間の経営管理手法などを本県に合った形で定着させていくことが効果的であると、こういう判断で外部コンサルタントを活用したところであります。その成果として、県の組織全体に、みずからの仕事を絶えず見直して改革するという意識が職員に浸透してきておりまして、政策立案能力の向上を初めとして、業務運営の効率化、県民対応の改善、コストダウンなど、具体的な成果があらわれてきている、このように考えております。
 また、この中で、人と経営研究所というコンサルタントに委託をしてございますが、これに対しては、幹部職員のリーダーシップ研修を特に委託しております。顧客視点に基づく業務運営の定着、さらには業務方針を起点としたPDCAサイクルの導入、それから幹部と部下とのコミュニケーションの充実、改革改善運動の推進等における部局長等のリーダーシップの向上としてその成果が出てきている、このように考えております。
 このコンサルタント会社が、岐阜県で人事の相談を受けていたかどうかということの詳細は、状況は私も承知してございませんが、本県においては、人事に関し相談をしたことも指導を受けたということもないものでございます。
 それから、知事選候補者のマニフェストについて、私が評価なりを申し上げるかどうかということでお尋ねがございました。
 先ほど申し上げましたとおり、やはり次の知事選挙で各候補者がマニフェストを示して、活発な政策論争を経て、県民の皆さん方が立派なリーダーを選ぶということが大切であるというふうに思っております。その中での私の立場でありますが、私は1人の有権者として示されたマニフェストを見て、私なりの投票行動を判断する、こういう立場にあると、このように考えておりまして、仮に自分の考え方に近いマニフェストを掲げる候補者がいた場合でも、現職知事という立場もございまして、実質的な後継指名にもなりかねないということもございますので、特定の方のマニフェストに対して、評価を申し上げる考えはないものでございます。
 それから、県議選への対応でございますが、記者会見で申し上げました、気持ちを同じくやってきた方々と申し上げた意味がどういうことかというお尋ねでございます。
 政治の世界でございますが、議場にはさらに多くの先輩の皆さん方もおられるわけでございますが、この政治の世界には、やはり情と理という面がございまして、必ずしも理念だけでは律し切れない。しかし、政治理念が大変大事である。しかし、その理念だけでは律し切れずに、情ということも大変大切な要素である、このように、この間の経験からも思っておりまして、やはり気持ちを同じくしてやってきた方というのは、この情と理を共有しながら県勢の発展に努めてきた方と、解説すれば、このような意味で申し上げたものでございます。
 それからあと1点、小沢民主党代表への思いとそれから達増拓也衆議院議員への期待というお話がございました。
 小沢民主党代表が私の政治の師であるという、その考え方は変わりはないものでございます。また、達増衆議院議員が次の知事選挙に立候補を表明されているということでございますが、この達増衆議院議員お1人だけに期待を申し上げるわけにはいかないわけでございますが、やはり知事選に次立候補されるという意思を示されている皆さん方には、まず、具体的な政策を取りまとめたマニフェストを県民の皆さん方に示していただいて、選挙において県民が判断できるような環境をぜひつくっていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
 次に、森のトレー問題でございます。この森のトレーの訴訟費用の負担につきまして、監査委員の方から意見をいただいております。この意見、2回いただいてございますが、それぞれについてこの監査意見については非常に重く受けとめておりまして、最大限尊重し実現を図っていかなければらない、このように考えておりますので、私自身も、久慈市長と直接お会いをして協議を行うなど、今、費用負担割合の早期合意に向けて鋭意協議を重ねてございます。負担割合について、今現在まだ合意に至っていないわけでございますが、久慈市の方でも訴訟の重要性については十分認識をして、連携して訴訟に取り組んでおりますので、今年度内に負担割合が合意できるように、さらに努力を続けてまいります。
 また、敗訴の場合の責任ということでございますが、県では、もちろん勝訴に向けて鋭意取り組んでいるわけでございますが、訴訟が終結をして、仮に敗訴した場合の責任のあり方については、県それから久慈市、そして組合のそれぞれの立場での対応が必要になってくるものと考えてございます。今は残された任期において、補助金回収のための最大限の努力として全力を挙げて勝訴に向けて取り組んでいきたい、このように考えております。
 それから、県内景気認識と中小企業支援ということでございますが、本県経済、輸送用機械や一般機械を中心とする製造業が牽引することによって、緩やかではありますが、持ち直しの動きが続いている、このように認識をしています。しかし、こうした景気回復の動きが所得や消費にまで及んでいない。また、中小企業を中心とした県内企業の業況感もこのところ足踏み状態となっているということ、総じて回復の実感に乏しいものとなっている、このように考えております。今後、自動車関連産業の生産拡大などにより県内経済の持ち直しの動きがさらに強まり、その効果が雇用や所得に反映されて、結果として、地域の小売業やサービス業の活性化が図られるように、私としてあらゆる政策努力を惜しむことなく、全力を傾注していく決意でございまして、その結果、できるだけ早期に県民や中小企業の皆さんが景気回復を確かなものとして実感できるように期待をしているところであります。
 競馬組合問題でございますが、競馬組合議会への新計画原案の提示につきましては、これは、廃止の場合も含めたあらゆる選択肢を私ども内部で検討いたしながら、この計画策定を進めてまいりました。この新計画案を提案するに当たりましても、広く御議論いただく趣旨で、仮に岩手競馬を廃止した場合の地域経済等への影響や、その場合の必要となる経費の試算などを計画の中にお示しをしているわけでございまして、両面からの検討を行った上で、今回の新計画原案の提示というふうに至ったものでございます。
 その中で、両案を比較検討した際には、競馬事業を廃止した場合に、競馬関係者の雇用問題、地域経済への影響、そして構成団体への大きな財政負担といったようなこと、これらがございましたので、新計画に盛られておりますとおり、収支が均衡して赤字が拡大しないということを条件に、できる限りの手だてを尽くして競馬事業を継続していくということが最善と考えまして、新しい計画案の提案に至ったということでございます。
 最後に、競馬組合問題についてのタウンミーティングの開催というお話でございまして、この問題について、広く県民や市民の皆様の御理解と御協力をいただくことが不可欠である、このように考えます。これまでの間、記者会見などでマスメディアを通じて、新しい計画の趣旨・内容を説明したほか、ホームページ、それから概要版の作成・配布といったようなことで、理解を深めていただく取り組みを進めているところでございますが、今後も、できる限り新計画を県民・市民の皆様に御理解いただけるような機会を設けることについて検討していきたい、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総合政策室長相澤徹君登壇〕
〇総合政策室長(相澤徹君) まず、人と経営研究所への委託の効果についてでありますけれども、先ほど知事が答弁申し上げたとおりでございまして、部局長級の幹部職員を対象とした、リーターシップ向上のための研修業務を委託してきているところでございます。
 その具体的な成果についてでありますけれども、一例で申し上げますと、各部局長が毎年度初めに1年間の業務方針を作成しております。その方針につきましては、従来は、いわば理念的で観念的なレベルにとどまっていたという側面がございましたけれども、このリーダーシップの研修を通じて、まずもって各部局長がそれぞれの組織の役割、県民のニーズ、主要な課題の目標などを部下職員に示す重要性の理解を深め、部局長みずからが具体的に内容を定める、そういう形に変わってきたこと。また、この業務方針を部下職員との対話を通じて共有した中で、各職員がその方針の内容を十分に理解して個々の業務を執行していく、こういう仕事の流れが定着してきたことなど、大きな変化があったというふうに考えているところであります。
 また、コストダウンの面について申し上げますと、部局長の強いリーダーシップのもとで、業務面の効率化の一層の推進、さらには各政策分野における施策の選択と集中に努めた結果、この3年間で、知事部局の総職員数の約8%、400名強に当たりますが、この純減、1人当たりの超過勤務時間の約40%の削減などを実現し、効果が上がってきているものと、このように考えております。
 次に、新しい行財政構造改革プログラムの公表時期についてでありますけれども、このプログラムの策定・公表につきましては、来年度の第1・四半期に、新しい政策推進プランと一体的に案として公表し、県民の皆様や関係団体・市町村などの御意見を伺った上で、来年度の半ばごろをめどに策定をしたい、このように考えております。
 また、このプログラムにおきましては、普通会計部門の改革のみならず、県立病院のあり方や改革の方向性の検討、工業用水道事業における累積欠損金の解消に向けた取り組み方策、さらには、県の出資等法人の経営が将来にわたって県民の過大な負担を招くことがないような経営改善方策などについても十分視野に入れて、検討作業を行っているところであります。具体的な検討に当たりましては、連結対象となる出資等法人を拡大した形で、先般公表申し上げました平成17年度連結バランスシートの状況を参考としながら、また、御提言のあった視点も踏まえつつ、公営企業や県出資等法人を取り巻く環境の変化や、その財務状況もしっかりと見通した上で、新しい行財政構造改革プログラムの策定に取り組んでまいりたい、このように考えております。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、森のトレー問題の裁判の今後の見込みについてでございますが、この裁判は、裁判所の訴訟指揮のもとで、現在、争点整理が行われているところでございまして、次回は、1月下旬に12回目の弁論準備手続が予定されております。今後につきましては、裁判の展開次第でございまして、その見込みについて申し上げることは困難な状況にございますが、現状からいたしまして、裁判の終結までにはまだ時間を要するものと考えております。
 次に、延滞金に係る林野庁との協議についてでございますが、平成15年11月の知事と林野庁長官との協議におきまして、林野庁から、補助金の一部返還、その後の補助金の回収に最大限の努力をすれば、延滞金の免除について林野庁としてできる限りの対応を行うという考え方が示されたところでございます。この協議結果に基づきまして、林野庁から、補助金返還のために岩手県のとった措置等に関する報告を定期的に行うようにとの指示があり、県は、平成16年2月から、毎月、訴訟等に関する取り組みについて報告し、林野庁は、この報告により、逐次、本県の対応状況を確認しているところでございます。
 次に、骨寺村荘園遺跡の景観保全についてでございますが、一関市が今年度中に策定することといたしております骨寺村荘園遺跡整備基本計画におきましては、水田経営を基盤とする農村集落の持続可能な地域づくりを目的に掲げ、景観に配慮しながら、農作業の効率化を図るための農地整備などが盛り込まれる予定となってございます。また、県におきましても、平成17年度から骨寺村荘園遺跡田園景観整備事業を実施いたしておりまして、地元農家の意向を確認しながら、部分的な畦畔の撤去や耕作道の配置の工夫など、景観の変更を最小限にとどめた整備計画の作成を進めているところでございます。したがいまして、この事業の成果や一関市の基本計画の内容を踏まえ、関係部局と連携を図りながら、国庫補助事業の導入を検討するとともに、必要に応じ、新たな支援措置等を国に対して要望してまいりたいと考えてございます。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) 県内中小企業を取り巻く金融状況についてでありますが、東北財務局盛岡財務事務所の岩手県内経済情勢報告によりますと、県内3地方銀行の企業向け貸出金残高は、本年8月末時点で、サービス業や運輸通信業で設備・運転資金とも前年を上回っているものの、全体では昨年同月比1.7%減となっており、全体として低調に推移している状況にございます。また、貸出金利につきましては、ゼロ金利政策の解除後、貸出金利の指標となる短期プライムレートが引き上げられるなど、小幅ながら上昇している状況にあります。
 一方、県の制度融資におきましては、10月末時点の実績が、融資実行額全体で昨年同月比の114.5%となっており、中でも、商工観光振興資金におきましては、設備資金が161.0%、運転資金が174.5%、このようになっております。この要因といたしましては、変動金利が上昇傾向にある中で、制度融資の金利が市中金利に比べて低利であるとともに長期の固定金利であることから、制度融資の利用につながっているものと考えております。
 県といたしましては、今後とも引き続き県内中小企業の金融環境の把握に努めるとともに、制度融資等各種施策資金を用意し、特にも経営安定対策として設けている中小企業経営安定資金により円滑に資金供給が行われるよう、金融機関、岩手県信用保証協会等関係機関と連携し、取り組んでまいる考えでございます。
 次に、地域限定通訳案内士の制度導入についてであります。
 まず、制度導入の課題につきましては、試験の実施に当たりまして、地域限定通訳案内士試験ガイドラインに定める国土交通大臣の同意基準を満たす必要がございます。その中でも、案内士に対します研修体制の確立や、外国人観光客へ案内士を紹介するための仕組みづくりなどについて、試験の実施準備と並行して取り組む必要があり、これらへのしっかりとした対応が求められているものと考えているところでございます。
 また、試験実施に要する経費につきましては、国家試験である通訳案内士の経費などを参考とした場合、受験者数にもよりますが、おおむね300万円前後と考えており、これに案内士のスキルアップ等々の研修事業、こういったものの経費が加わる形になるものと考えております。
 本県での制度導入についてでありますが、本県におきましては、通訳案内士、国家試験による資格者でございますが、この登録者が9名と少ないこと、また、平成20年には平泉の世界文化遺産登録が予定される中にありまして、本県への外国人観光客の増加が見込まれることから、当制度の平成19年度からの導入、試験の実施につきましては、外国語につきましては国の通訳案内士試験と同一のもので実施する必要がありますので、9月ごろの試験実施を想定いたしまして、現在検討を進めているところでございます。
 なお、他県等の状況でありますが、本年11月時点の国土交通省の調査によりますと、平成19年度からの制度導入に向けて検討しております県は、本県を除いて、沖縄県、長崎県、静岡県の3県となっており、また、北海道・東北6県の状況につきましては、北海道と宮城県が平成20年度以降の制度導入に向けて検討を行っている、このように聞いているところでございます。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 基金の取り崩しについてのお尋ねでございますが、競馬組合への融資によりまして主要3基金の残高が減った場合には、災害などを含めました突発事態に備える余力がその分だけ弱くなることは確かでございますけれども、そうした厳しい財政環境の中にありましても、事業の一層の厳選に努めながら、防災関連事業などの真に必要な事業については、適切に進めていくことが必要と認識しているところでございます。また、大規模な災害が発生した場合の対応につきましては、国庫補助金や災害復旧事業債など、災害対応のための各種の財政措置を最大限に活用することで対応していきたいと思いますけれども、必要な場合には、主要3基金を活用し、なお不足する際には、その他の特定目的基金からの転用なども含めてさまざまな方策を検討し、所要の財源を確保していくことを考えたいと存じます。
 また、基金残高につきましては、災害に限りませんで、緊急的な財政需要に備えることは必要でございまして、基金残高は多い方が望ましいわけでございますけれども、最近の極めて厳しい財政状況を踏まえて考えますと、主要3基金について、どの程度の基金残高を将来に向け安定的に確保できるかを見通すのは難しいのが実情でございます。真に必要な事業ややむを得ざる支出、収支不足への対応等の結果といたしまして、主要3基金の残高が減少する方向にあることは避けられない状況でございますけれども、いずれにしても、不断の行財政改革の取り組みを進め、少しでも多くの基金残高を維持できるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、未履修問題のうち、私立高校の未履修の状況及び全国に占める割合等についてでございます。
 県内の私立高校13校中4校で、履修させていない、いわゆる未履修の状況が生じている3年生の生徒数は371名となっており、本県の私立高校の3年生の生徒数の中の16.2%でございます。また、文部科学省が11月22日に公表したデータによりますと、全国の私立高校で未履修のあった高校が292校、生徒数では4万3、214名となっておりまして、先ほど申し上げました本県の私立高校の状況が占めております対全国比は、学校数で見て1.4%、生徒数で0.9%、これはいずれも私立の高校の中での全国比ということでございますが、そういう状況でございます。
 県の対応状況につきましては、各学校に対して未履修の状況について調査を行い、その結果を公表したほか、未履修のあった学校につきまして、文部科学省からの通知に基づいて適切に補充授業等を実施するとともに、生徒や保護者に対して十分な説明を行うよう指導してきたところでございます。今後においても、該当する高校の取り組みを確認しながら、3年生の卒業認定に支障が出ないように適切に指導してまいりたいと存じます。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 景観についてのお尋ねがございました。岩手の美しい景観と町並みを維持・創出していくため、屋外広告物法に基づき県では屋外広告物条例を定め、規制や指導を行っておりますが、なお多くの違反広告物が確認されております。このため、去る11月、平泉の世界文化遺産登録に向けまして、関係市町及び関係団体による屋外広告物適正化会議を開催し、関係機関が連携・協力して屋外広告物の適正化に重点的に取り組んでいるところであります。
 なお、景観行政団体である平泉町は、今後、文化的景観にふさわしい独自の条例を検討することとしており、適用除外の取り扱いなどについても、地域の実情を踏まえて検討すべきものと考えており、県としては、平泉町が文化的景観にふさわしい条例を制定できるよう、積極的に支援することとしております。
   〔環境生活部長菊池秀一君登壇〕
〇環境生活部長(菊池秀一君) 子供の安全確保を目指した条例についてでありますが、学校や通学路での子供の安全確保など、犯罪のない安全で安心なまちづくりを推進するため、条例案を2月県議会定例会に提案すべく、現在作業を進めているところでございます。
 これまでの作業といたしましては、有識者による懇話会を設置いたしまして、今後の方策等についてさまざまな観点から意見、提言をいただくとともに、10月27日から1カ月間、条例案の骨子についてパブリックコメントを実施したほか、市町村や関係機関・団体を対象とした説明会を、県内4地区において5回開催したところでございます。現在、これらを通じて得た意見などを踏まえまして、最終的な詰めを行っている段階でございますが、条例の基本的な考え方といたしましては、家庭、学校、地域が連携して一体となって、地域コミュニティーの力を生かしながら、子供の安全確保対策を進めることを重要な柱に位置づけたいと考えております。
 また、具体的な内容といたしましては、通学路等における安全確保のための指針の策定、犯罪に遭わないようにする教育の充実、さらには子供の見守り等の県民の自主的な活動の促進などを盛り込む方向で検討を進めているところでございます。
   〔教育委員会委員長安藤厚君登壇〕
〇教育委員会委員長(安藤厚君) 未履修問題と責任の所在についてのお尋ねでございますけれども、私立の学校については先ほど総務部長からの答弁がございました。私の方からは県立学校について申し上げたいと存じます。
 このたび、本県の多くの県立学校における必履修科目の未履修により、生徒や保護者、県民の皆様、進学先の大学等や就職先の企業など多くの関係者に多大な御迷惑、御心配をおかけいたしましたことを心からおわびを申し上げます。
 この問題発生の原因・背景については現在調査中でございますが、かつて高等学校の現場を預かった者といたしましては、まず、学校週5日制の導入があるのではないかと考えております。授業時間数が削減された中で、生徒の進路希望を達成するための授業時間数の確保が難しい状況になり、また、大学入試制度の多様化・弾力化が高等学校の教育課程に与えた影響も大きかったと考えております。
 このような状況の中で、学習指導要領の方針と学校現場が抱える個々の生徒の進路希望の達成という現実の間にギャップが生じてきているなど、今回の問題の背景には構造的な側面もあり、種々な要因が複合して発生したと考えております。
 今回の問題は、生徒や保護者の期待にこたえ、生徒の進学希望を実現させたいという各学校の思いから行われたものであります。しかし、受験指導を意識し過ぎて、高校教育の本質を忘れた指導を行ってしまったことに基本的な誤りがあったと考えておりますが、教育委員会がその実態を把握できず、適切な指導ができなかったことにも問題があったと考えております。したがって、責任の所在については、学校現場のみならず、教育委員会全体にあるものと考えております。
 次に、今後の岩手の教育についてでありますが、今回の問題を契機に、高校教育に求められるものは何かについて、根本から論議を深める必要があると考えております。本来、高等学校での教育は、みずから学び、みずから考える力を培うことを基本的なねらいとし、さまざまな教科・科目の学習を通して確かな学力を身につけさせるとともに、部活動や学校行事等を通して、協調性や責任感などの将来の社会人として必要な資質を育て、それらを基盤として進路目標の達成を図るものであります。今回の問題を教訓に、教育の本質を見失うことなく、長い目で見て、子供たちがどのような知識や教養を身につけて社会に出ていくべきなのか、また、将来日本を支えていく人材を育てるために必要な教育とは何なのかということを、改めて教育の原点に戻って考えていくことが重要であると考えております。
   〔教育長照井崇君登壇〕
〇教育長(照井崇君) まず、教育品質向上セミナーについてですが、近年、教育を取り巻くさまざまな環境の変化に伴い、教育現場では多くの課題を抱えておりますが、児童生徒や保護者、地域住民の学校教育に対するニーズにこたえ、より質の高い教育サービスを提供できるような学校運営が重要となっています。そのため、よりよい学校経営などについて教職員一人一人が考え、教職員間で話し合い、意識を共有することによって、持続的に、かつ自律的に変革していく学校づくりを目指し、平成17年度から教育品質向上運動に取り組んでおります。この運動の基本的な考え方、枠組みなどについて、学校現場の理解を促進するため、人と経営研究所から講師を招き、リーダーシップの視点を中心にした内容で、県立学校のキーマンである副校長等を対象に教育品質向上セミナーを開催しております。このセミナーの実施により大きく変わったことは、学校、教職員の間に、最も重視すべきは児童生徒、保護者、地域住民であるという意識が強く定着してきていることであります。学校組織がその機能を十分に発揮するために、管理職の役割とは何か、児童生徒、保護者等の学校に対するニーズを踏まえた学校経営とはどういうものなのかなどの意識改革が図られ、学校経営に生かされ始めていると評価しています。
 具体的には、対話が十分に行われる職場づくりのための教育活動支援・育成プログラムの導入や、児童生徒、保護者などのニーズを踏まえた課題、目標、展開方法などを明確にした学校経営計画の策定、さらには、教職員の多忙化を解消し、児童生徒と向き合う時間を確保するために、行事の精選、校務分掌や会議の見直し、部活動の休養日の設定などに取り組んでいるところです。また、学校現場をサポートする事務局においても意識改革や改善活動は着実に進んできており、例えば、今年度上半期の超過勤務の実績は、この取り組みを始める前の一昨年度同期と比較して約42%減少し、約3、400万円の経費が節減されているものと試算しております。こうした改善により削減された時間は、指導主事の学校訪問をふやすなど、学校現場の教育活動の支援強化に向けられており、さらに、引き続き改善による効率的な事務の執行に努めながら、新たな教育施策の展開など、教育サービスの一層の向上に努めてまいります。
 今後は、市町村教育委員会の理解を得ながら、小・中学校にも、この教育品質向上運動の取り組みを促し、県全体の教育の質の一層の向上に努めてまいります。
 次に、必履修科目の未履修の状況についてですが、本県の公立高校、これは盛岡市立高校を含みます。79校のうち、履修漏れがあった高校は32校、40.5%であり、補修の必要な3年生は4、085人、34.0%です。
 文部科学省が11月20日現在で11月22日に公表したデータによりますと、全国の未履修高校数663校のうち、公立高校371校に占める本県の公立高校の割合は8.6%です。また、全国の補修の必要な3年生10万4、202人のうち、公立高校生6万988人に占める本県の生徒の割合は6.7%です。
 県教育委員会としては、何よりもまず、在校生、卒業生、保護者の不安の解消を最優先に考えて対応することとし、該当高校に対しては、未履修の状況と今後の対応策について速やかに説明を行うこと。生徒の負担軽減のための措置を示し、特に3年生の卒業や進学等に万全の手だてを講じること。具体的には、大学等の受験や就職試験に支障を来さぬよう、補充授業の実施期間や内容の検討に当たっては生徒や保護者の希望等を聞きながら、その負担を極力軽減するよう努めること。補充授業の一部をレポートで代替できること。卒業に必要な74単位の修得が見込まれる場合には、地歴科B科目をA科目に変更してもよいこと。補充授業計画を初め、教育課程・教科書の変更など、今後の手続を適切に行うこと。卒業生については、本人には責めがないことから、卒業認定を取り消す必要はないこと。大学や就職先企業等に対し、十分に経緯の説明を行うとともに、進学希望先や就職希望先に既に調査書を提出している場合は早急に連絡し、正しいものに差しかえることなどを指導してきました。
 その後、11月2日に、文部科学省から、補充授業の軽減策、卒業者や調査書の取り扱いなどに関する方針が示されましたが、その内容は、これまで県教育委員会が指導してきた内容とほぼ同様のものであり、各学校においては、特に大きな問題は生じていない状況にあります。
 次に、責任の所在と今後の取り組みについてですが、このたびの未履修問題については、現在、その原因や背景を調査中であり、今後、責任の所在を明らかにしたいと考えておりますが、現段階においては、今回の問題点は、学校が県教育委員会にあらかじめ届け出た教育課程と異なる授業を行い、届け出た教育課程どおり実施したとの事実と異なる報告を行ったことと、県教育委員会が、その実態を把握できなかったことであると考えております。
 さきの9月定例会においては、事実と異なる報告の責任は校長にまずあると考えている旨、答弁いたしましたが、その後の調査で、すべての学校において、生徒の進路実現を第一に考えてこのようなことを行ったということなどが明らかになってきたことから、去る10月31日開催の県立学校長会議において、この問題は学校現場のみならず、県教育委員会全体の問題ととらえ、その責任を痛感していると述べたものです。
 県教育委員会としては、ただいま申し上げましたように、何よりもまず、在校生や卒業生、保護者の方々の不安解消のため、各学校に対して、生徒の負担軽減のための具体的な措置等の方針を示し、補充授業の実施時期や内容についても、生徒の負担を極力軽減するよう指導するとともに、補充授業の担当教員の確保などの措置を講じて、各学校の取り組みを支援しているところです。各学校においては、生徒や保護者の方々の理解をいただきながら、生徒の希望等に合わせた補充計画を策定し、現在、補充授業を行っているところですが、特に3年生が来春確実に卒業できるよう、万全を期していきたいと考えています。
 次に、併設型中高一貫校についてですが、その理念は、6年間の計画的、継続的な教育活動を展開することにより、生徒の個性や才能を一層伸ばし、豊かな人間性や社会性を育成するものであり、また、その目的は、生徒や保護者が、これまでの中学校、高等学校に加えて、6年間の中高一貫教育をも選択することができようにするものです。
 検討の経緯についてですが、本年3月の新しいタイプの学校に関する検討委員会の提言内容を踏まえ、県教育委員会としては、入試のない6年間の一貫した教育のもと、将来の進路目標が明確で、より深く学びたい子供たちのニーズに対応する学校を準備し、さらには、本県の課題である医師や弁護士などの不足を解消し、将来の岩手県に貢献できる人材の育成を目指すこととし、この設置理念に当てはまると考えられる県立高校17校に対して、併設型の導入についての意向を聴取したところ、一関一高から、将来のリーダーにふさわしい人材育成を目指すという本校の建学の精神等に合致し、導入について可能性が高いとの回答があったことから、一関一高を中心に検討を進めることとしたところです。
 次に、この併設型中高一貫校への寮の設置についてですが、検討委員会からは、通学が困難な生徒のための寮の整備も考えられるが、中学生の発達段階にあっては家庭の役割が極めて重要であり、小学校6年生に自宅から通学できない学校の選択を求めることについては、慎重に検討すべきであるとの報告をいただいております。そこで、県教育委員会としては、併設型中学校を選択する生徒にとっては家庭の役割が極めて重要であると考え、寮の整備は考えておりません。
 次に、いじめの問題についてですが、平成17年度のいじめの1校当たりの発生件数は、全国に比べ少ない状況ではありますが、いじめはあること自体が問題であり、学校、教育委員会、保護者、地域を含めたすべての人々が、いじめは人間として絶対に許されない行為であるという共通認識に立ち、一体となってその根絶に向け、重点的に取り組むべき喫緊の重要課題であると考えています。
 いじめを許さない学校・学級づくりを進めるに当たっては、児童生徒一人一人を大切にする教職員の意識や日常的な態度が重要であり、教職員の何げない言動が児童生徒に大きな影響力を持つことから、その点に十分配慮して児童生徒を指導するよう、各学校に徹底するとともに、児童生徒への接し方やきめ細かな対応の仕方、いじめが発生した場合の解決に向けての対処方法などについての研修を実施するなど、その充実に努めているところです。
 今後、県教育委員会では、各学校におけるアンケート等の実施による早期の実態の把握と迅速かつ適切な対応、いじめ問題に対応する電話等の相談窓口の増設や、スクールカウンセラーなどの相談員の配置拡充による相談体制の充実、いじめの問題に対して効果のあった指導事例集等の作成とその有効活用、児童会や生徒会活動などを通じての児童生徒による自主的ないじめを許さない学級づくり・学校づくり、学校が、いじめの問題についてその指導指針等を積極的に発信し、家庭、地域と情報を共有しながら、一体となって取り組む体制づくりなどを推進し、保護者や地域の方々の御理解、御協力をいただきながら、いじめの根絶に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えています。
 次に、平泉文化遺産の世界遺産登録についてですが、世界遺産のコアゾーン候補地内の鉄塔の存在は、世界遺産登録の審査において、その取り扱いを指摘されることが懸念されますが、一方で、この鉄塔は、生活に必要な電力を安定供給するために、欠かせない設備でもあると認識しております。
 この鉄塔の取り扱いについては、これまで地元平泉町や文化庁と協議を続けてきましたが、現在、移設、埋設など、その具体的な方法について技術的可能性を事業者に相談しているところです。今後、事業者の考え方なども踏まえ、地元や文化庁と協議しながら、最善の方法を検討してまいりたいと考えております。
 また、来年秋ごろに予定されているイコモスの現地調査においては、この鉄塔についての現状認識と事業者との折衝状況、今後の取り扱い等について十分に説明の上、御理解をいただけるよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
   〔代表監査委員菊池武利君登壇〕
〇代表監査委員(菊池武利君) 森のトレー問題に関してのお尋ねが3点ありました。第1点は、過去3回の住民監査請求に関する却下あるいは棄却の経過についてであります。
 まず、1回目の請求は平成16年3月でありました。県が国に返還しました国庫補助金返還金4億2、600万円余について、知事に返還を求めるものでありましたが、措置請求書には、支出を不当とする理由あるいは事実が具体的に示されておりませんでした。つまり、住民監査請求の要件が具備されていないものとして、却下したものであります。
 また、2回目の請求は、平成16年度に、県が組合に支出しました損害賠償請求訴訟に係る訴訟費用負担金に対する返還と、同負担金に係る平成17年度予算の執行停止の請求でありました。監査の結果、これらは違法又は不当な公金の支出に当たらないと認められ、棄却したものであります。
 3回目の請求は、訴訟費用負担金及びこれに附帯する事務費に係る平成18年度予算の執行停止の請求でありますが、監査の結果、請求内容が前回の監査請求と財務会計上、同一の行為に対する請求でありました。これは、同一住民が同一の財務会計上の行為又は怠る事実を対象として再度の住民監査請求をすることは許されないとする昭和62年の最高裁判例を踏まえると、適法な請求とは認められず、却下したものであります。
 次に、監査委員の附帯意見についてでありますが、監査委員としては、本年の住民監査請求は適法な請求とは認められないとして却下したものでありますが、県が最終的に支出すべき負担割合が、明確な理由が示されないまま長期間確定されない状況にあることは好ましくないとする監査委員の一致した考えによって、意見を付したものであります。
 最後になりますが、協議の状況をどのように把握し指導していくかについてでありますが、監査委員として報告を求めるようなことは考えておりません。監査委員としては、住民監査請求に当たり、付した監査意見を十分考慮して業務を遂行されるよう、期待するものであります。
   〔公安委員会委員長藤原博君登壇〕
〇公安委員会委員長(藤原博君) 児童虐待の問題についてお答えいたします。
 全国的に児童虐待による痛ましい事件が増加しており、私自身、大変痛ましく思っております。この問題が極めて深刻な状況にあり、本来、子供を保護すべき親やその成長を温かく見守るべき家族が、どのような事情があるにせよ、将来ある子供の命、体を損なう児童虐待は、決して許されるものではないと認識しております。
 先般、警察庁から、児童虐待への対応について通達が出されました。本通達では、児童虐待の早期発見と被害児童の早期保護は、児童の生命・身体の保護という警察本来の責務であることを基本認識として、児童の安全の確認及び安全の確保を最優先とした対応の徹底、児童の保護に向けた関係機関との連携の強化、厳正な捜査と被害児童の支援、情報の集約と組織としての的確な対応について示されたところであります。本県警察においても本通達を徹底すべく、諸対策を推進していると承知しております。
 公安委員会といたしましては、県民の負託にこたえるべく、児童虐待の未然防止に向け、県警察を督励してまいりたいと考えております。
   〔警察本部長山下史雄君登壇〕
〇警察本部長(山下史雄君) 児童虐待の防止に関する連絡会議及び地域住民に対する周知についてお答えをいたします。
 警察庁及び厚生労働省の通達を受けて、先月、児童虐待に係る県と県警察の連絡会議を開催したところであります。本連絡会議は、児童の安全の確認及び安全の確保を最優先とした対応等に関する情報の共有という観点から実施したもので、当面する諸課題について協議し、さらなる連携の強化を確認したものでございます。
 今後、相互の一層の緊密な連携を図り、事例を踏まえた検討会等を随時開催するなどして、諸対策を充実強化してまいりたいと考えております。
 地域住民に対する周知についてでありますが、県警察といたしましては、警察本部のホームページに、厚生労働省・内閣府主唱の児童虐待防止推進月間を紹介する児童虐待に関するコーナーを掲載したほか、広報啓発用ポスター、パンフレット、交番等で発行するミニ広報紙を配布するなど、積極的な広報啓発活動を実施して、地域住民の方々の協力をいただくこととしております。
 今後、県警察といたしましては、児童虐待に対する取り組みを少年保護対策の最重要課題の一つとして位置づけ、地域住民に対する情報発信の充実や児童相談所、市町村等の関係機関との緊密な連携を図り、児童の生命・身体の保護のための万全な措置を講じてまいりたいと考えております。
〇41番(佐々木一榮君) 御答弁ありがとうございました。
 大分時間も経過しておりますけれども、4点ほどちょっとお伺いします。簡潔な御答弁で結構でございます。
 まず1番目に、県財政についてでありますけれども、再質問をさせていただきますが、今、夕張市が非常に全国的に大きな問題になっていますけれども、財政再建団体に陥るということは、これは防がなければならない問題でありまして、そのためには、主要3基金の取り崩しに頼らず、県債残高をふやさないという、本来の基本政策というものを私は持続すべきだというふうに思っております。ただ、今回の330億円の競馬組合の融資ということは、これは県の方針転換というふうに思っておりまして、これは県財政が厳しいという中での先ほど申し述べました方針というのは、大方の県民の合意を得ているわけでありますが、今回の方針転換については、恐らく県民も非常に大きな不安を持っていると思います。実際のところ、現場に行ってみますと、福祉分野ですとか医療分野ですとか教育分野、また、農業分野もそうでありますが、どんどんとにかく予算を削られているような状況下の中で、これをどう県民に説明していくのか。これは財政の県の方針転換であるということを明確に県民に説明するべきというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
 それから2番目に、中高一貫校の関係でありますが、先ほど、寮については生徒の小学校6年生というお話がありましたが、これは通学不可能な生徒に対する配慮というのはどのようにお考えでしょうか、お尋ねします。
 それから3番目に、地域限定通訳案内士、これ新規要望でありましたけれども、もう来年度から沖縄、静岡ですか、それから長崎と同時に進めていただけるということで、全国に先駆けて、非常に私はうれしく思い、感謝をしております。岩手県の生徒の、子供の英語力というのは全国最下位と言われていますから、何とかこの制度がそういった英語力向上の起爆剤になればいいなと思っておりますけれども、そういった観点から、受験資格、これはどのようにお考えか、お尋ねしておきたいと思います。
 最後に、競馬組合の問題についてお伺いいたします。
 これはさきに示されました存廃基準を満たせなかった場合は直ちに廃止だという方針でありますから、当然ながら、廃止前提のシナリオが示されるのが本来だと考えます。
 先ほど2、500人の雇用、大きな雇用ということで経済の問題のお話がありましたけれども、岩手競馬に携わっている人数で、100%競馬で生計を立てている関係者というのは、騎手、調教師、厩務員、競馬組合、公社職員がその対照であると考えます。そのほかの方々は、100%競馬ということではなくて、何らかほかの仕事もしながら、請負なりどういう形かで競馬組合に関係しているという認識であります。
 県負担割合が分賦割合以上の負担額になることは、現在の盛岡市長、それから奥州市長もさまざまな機会に発言されていることは事実であります。やはりここは存続を前提にしても、廃止した場合のシミュレーションというものを示すべきではないか。当然ながら、廃止した場合には、資産も残ってきますし、その資産売却も含めて、廃止のバランスシートを考えるべきと思います。
 多くの競馬ファンを抱えた水沢の1場体制というものを、これまで2場原則でありますが、これは私は検討すべきであったと。ちょっと遅いですが、やっぱりもう既に2年前から検討すべきであったなという思いがしております。
 先ほど知事は、勇退表明についての質問に対して御答弁いただきましたけれども、勇退される知事がつくられました管理者として策定された計画でありますから、これを、要は、今年度の競馬終了と同時に始まる競走馬の確保、この不安にも私はつながっていくのではないかなと考えております。
 先ほど言いました、両市の分賦割合に見合った融資が不可能という問題もありますし、さまざまこれから両方で財政面、それから融資の問題、返還の問題、本当に短期間で解決していかなければいけない問題が大きい。条例の変更もしなければだめだという話を総務部長の方もされておりますけれども、先ほど千葉伝議員から、今後のスケジュールというお話がありまして、できるだけ早くというお話がありましたが、県議会側からの議論の流れから言いますと、去る9月5日に臨時会を開催させていただいて、ここで競馬組合の集中審議もさせていただきましたけれども、2月に示されても、恐らく1月に閉会中の常任委員会がありますが、骨格予算の定例会が恐らく2月15日かその辺に招集になると思います。予算特別委員会は当然7日間しか開けませんし、その段階で提案されて、県議会がゆとりを持ってこれを議論するという時間が、非常に厳しいというように私は思っております。せめて、これ年内に両市長とそれから県の方針、それからスキーム、これはやっぱり12月までに出していただいて、我々県議会も1月になったらすぐ議論を始められるような形にしていきませんと、非常に結論づけするのは難しいと思いますけれども、12月いっぱいに出すということは無理でしょうか、お尋ねいたします。
〇知事(増田寛也君) 私の方から、財政運営の考え方についてのお尋ねと、それからあと競馬についてのお尋ね、この点についてお答え申し上げたいと思います。
 まず、県財政の運営の基本方針についてお尋ねがございました。従来からこの県財政については、歳入に見合った歳出構造に切りかえていくと。持続可能な行財政構造ということを申しておりましたので、その流れの中で、できるだけ基金の取り崩しに頼らないようにしていこうと、その話が出てきております。
 それからもう一つ、さまざまなその時々の県民ニーズ、あるいは財政需要というものが生じてきていますので、それを提供していくという観点から、歳入に見合った歳出構造ということと、それから、時々の財政需要との両者のバランスで県財政を運営してきたと。特に、できるだけ基金の取り崩しに頼らないようにしていこうと、こういうことを主眼に行ってきたわけであります。この点は、今後もこうした方針は維持していきたいと思っているわけでありますが、やはりその中で今申し上げました後者の方、必要な財政需要に対しては、それはそれとしてやはり対応していかなければならない、こういうことがございまして、今回も3基金の取り崩しをその中で考えていかなければならない、そういった財政需要が出てきている、こういうことを御説明申し上げているところであります。
 やはりここは、特に競馬の問題について、競馬の融資の考え方をよく議会の皆さん方あるいは広く県民の皆さん方に御説明をして、理解が得られるということが大事でございますので、先ほど本質問の方でもございましたが、私どももそうした場の設定をどういう形で設定すればいいか、今検討しているところでございますので、基金の取り崩しを行ってまでも対応しなければいけない財政需要だというところを、きちんと説明していきたいというふうに考えております。
 その上で、競馬についてのお話でございますが、2点御質問がございました。
 まず、廃止した場合のシミュレーションということでございました。これは、今さまざまな前提条件を置きまして、債務や廃止に伴う費用として372億円という額をお示ししてございます。今、申し上げましたとおり、資産処分状況などによってこの数字がいろいろ前後するものですから、そういう中で、一定の条件を置いている数字でございまして、今現在は、他の廃止になりました競馬の状況も子細に調べているわけでございますが、今のところお示しできるものとしては、この372億円という数字というふうに考えております。こうした372億円と試算される債務が一時に構成団体に求められるというふうに考えますので、規約で定めております分賦割合で試算をいたしますと、県として205億円程度、それから奥州市が93億円程度、盛岡市は74億円程度ということでございまして、各構成団体にとって極めて大きな財政負担が生じる、このように申し上げているところでございます。
 それから、そのことも含めまして、対応策として融資スキームというのを提案したわけでございますが、それについて、両市への県からの融資割合も含めた全体の組合に対しての融資等、決めなければいけないことが今後も多くございます。それにつきましては、今後、順次、お互いに協議をし合って、具体化をしていきたいというふうに思っているところでございますが、やはり各構成団体、これは県それから両市の18年度の決算見込みとかそれから19年度の財政運営の見通し、県は骨格予算でございますが、肉づけ部分についてもどういうことが可能なのか、今内々に事務的にいろいろな財政需要等の検討を行っております。
 それから、大きく来年度予算の動向、それから地財対策の状況といったことがまだつかめておりませんで、これも踏まえませんと、来年度、19年度以降の各構成団体の財政運営の見通しというのがつけられない、こういうことでございますので、どうしてもこれは年を越えて1月、しかも地財等の状況については1月20日ごろに各公共団体に示されるということになりますので、そういった時期まで待たざるを得ないような状況にございます。しかし、構成団体同士の話し合いはもう既に進めておりまして、そういった外部から入ってまいります状況も含めて、早急にできるだけ早くというふうに先ほど申し上げましたが、融資スキーム全体を取りまとめることに努めてまいりたい。
 先ほど、2月定例会の前に議員の皆さん方への説明の場は設けるというふうに申し上げたわけですが、今この時点ですとそれがいつになるのか、なかなか日にちまで申しづらいところでございますが、できるだけ早期にスキームを取りまとめまして、そうした場の設定につなげていきたい、このように考えております。
   〔商工労働観光部長阿部健君登壇〕
〇商工労働観光部長(阿部健君) 地域限定通訳案内士の受験資格についてのお尋ねでございます。
 この受験資格につきましては、この定める試験ガイドライン、この中で示されておりますが、国の通訳案内士、この試験と同じように、年齢、学歴、国籍等関係なく、だれでも受験ができるということになっております。
 なお、試験につきましては、外国語、それから地域限定になりますと、今度は岩手県の文化、歴史、そういったものがございますけれども、外国語の試験につきましては、先ほど申し上げましたとおり、国の通訳案内士の試験と同様の問題を使いまして、それで、国と同一基準による合否判定という形になりますので、国の試験と同程度の水準が求められるというものでございます。こういったことがありますが、ぜひ、県内のいろんな方々に多数受験をいただけるように、実施に当たりましては周知等に努めてまいりたい、このように考えております。
〇教育長(照井崇君) 中高一貫校の寮の整備の関係でございますが、併設型の中学校の入学資格といたしまして、通学時間の制限というものは特に設けない予定でございますが、中学生は、先ほどもお答えしましたように、四肢が急激に発達する段階にあります。したがって、生徒の肉体的あるいは精神的な負担というものを考慮する必要がございまして、やはり通学時間には一定の配慮等も必要であるというふうに考えています。それで、この中高一貫校につきましては、将来的に、広い県土という本県の事情にかんがみ、複数校の設置を考えておりまして、まずはその1校目を開校し、毎年度、その成果とか課題を速やかに検証しながら、いずれ、全県的な視野に立って、順次といいますか、今後、2校目について設置するような方向で考えているところでございます。
〇副議長(藤原泰次郎君) この際、暫時休憩いたします。
   午後 4 時 8 分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 高  橋  博  之 君
2  番 亀卦川   富  夫 君
3  番 五日市      王 君
4  番 小田島   峰  雄 君
5  番 三  浦  陽  子 君
6  番 中  平     均 君
7  番 ザ・グレート・サスケ 君
8  番 木戸口   英  司 君
9  番 高  橋  比奈子  君
10  番 高  橋  雪  文 君
11  番 嵯  峨  壱  朗 君
14  番 飯  澤     匡 君
15  番 関  根  敏  伸 君
16  番 野  田  武  則 君
17  番 平  野  ユキ子  君
18  番 大  宮  惇  幸 君
19  番 千  葉  康一郎  君
20  番 新居田   弘  文 君
21  番 平     澄  芳 君
22  番 工  藤  勝  子 君
23  番 平  沼     健 君
25  番 阿  部  富  雄 君
26  番 斉  藤     信 君
27  番 田  村     誠 君
28  番 工  藤  大  輔 君
29  番 川  村  農  夫 君
30  番 佐々木   順  一 君
31  番 佐々木      博 君
32  番 及  川  幸  子 君
33  番 樋  下  正  信 君
34  番 柳  村  岩  見 君
35  番 小野寺   研  一 君
36  番 小野寺      好 君
38  番 伊  沢  昌  弘 君
39  番 小  原  宣  良 君
40  番 阿  部  敏  雄 君
41  番 佐々木   一  榮 君
42  番 伊  藤  勢  至 君
43  番 渡  辺  幸  貫 君
44  番 高  橋  賢  輔 君
45  番 千  葉     伝 君
46  番 佐々木   大  和 君
47  番 藤  原  泰次郎  君
48  番 菊  池     勲 君
51  番 佐々木   俊  夫 君
欠席議員(2名)
49  番 藤  原  良  信 君
50  番 佐  藤  正  春 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時25分再開
〇副議長(藤原泰次郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。川村農夫君。
   〔29番川村農夫君登壇〕(拍手)

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