平成18年12月定例会 第22回岩手県議会定例会会議録

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〇45番(千葉伝君) 自由民主クラブの千葉伝でございます。
 本定例会におきまして、任期最後の質問の機会をいただきましたことに対して感謝を申し上げ、通告に従い、順次質問をさせていただきますので、知事を初め当局の誠意ある答弁をお願いいたします。
 質問に入る前に、私は、増田知事同様、平成7年4月の統一選挙で県議に初当選以来、3期12年を経過しようとしておりますが、この間、私は、地域はもちろん県政全般を通じ、自然に恵まれたこの岩手に生まれてよかった、岩手で育ってよかった、岩手に来てよかったと思われるよう、県民だれもが誇れる岩手を目指し、地域住民や多くの県民の意思を酌み取り、議会活動を通じ、県政に反映すべく努力をしてきたと思っております。
 その一つとして、私は、自民クラブ会派を通じ、県内全市町村あるいは各分野の代表等から要望をお聞きし、地域課題や県政課題については知事に、また、本県に必要な予算要望、政策提言については国の主要大臣、関係省庁へ直接出向くなど、あらゆる機会を通じ県政課題の解決に向け活動し、県民や県政全般に対し、少なからずの成果、貢献をしているものと思っております。
 さらには、自民党岩手県連の中で、平成15年の統一選挙で岩手県版マニフェストを策定し、これに基づき政策活動を展開してきたところでありますが、このマニフェストの取り組みについては、先般行われましたローカル・マニフェスト推進地方議員連盟主催によるマニフェスト大賞グランプリを、我が会派と民主・県民会派、政和会派ともども岩手県議会として受賞しましたが、それぞれの取り組みが評価されたものと思っております。
 私ども自民クラブ会派では、現在、そのマニフェストを検証中であり、来春の統一選挙に向け、政府・自民党の政権与党の立場での国政レベルのマニフェストと連動させ、真に県民から理解され、信頼される地方議会会派としてのローカル・マニフェストを掲示したいと考えております。
 それでは、質問に入ります。
 まず最初に、去る10月30日、突然発表されました増田知事の引退表明についてお伺いします。
 増田知事はこれまで県民党的立場で、地方重視、県民本位の県政を推進してきていると思うところでありますが、3期12年の中で、特に最近では、地方分権推進の旗振り役として、国と地方の財政を見直す三位一体改革の推進、あるいは21世紀臨調の副代表、そして改革派知事として期待され、また、スローライフ、環境首都等を掲げ、本県の知名度向上に貢献され、岩手を引っ張るリーダーとして高く評価される一方、3期目に当たってマニフェストを掲げ、取り組んできている中で、山積する課題を解決しないまま身を引くのは無責任ではないかという声もあります。
 県政課題は、地方分権への取り組み、県・市町村合併のほか、1兆4、000億円に上る県債を抱える財政、産業振興、雇用対策、県北・沿岸振興を含む県内格差など多くの問題を抱え、中でも岩手競馬が瀬戸際にある中で、10月30日、突然に来春の知事選不出馬を表明されたのであります。4期目の知事の手腕に期待していた県民の多くは残念と思っていると推察するところであります。新聞、テレビ等マスコミを通じ、ある程度承知しておりますが、これまでの増田県政をどう評価、総括した上で、次期知事選に出馬しない決意をされたのか、改めてお伺いします。
 次に、誇れるいわて40の政策について伺います。
 過日開催されました第3回ローカル・マニフェスト検証大会で、増田知事の評価は100点満点の88点と高い評価を受けました。この大会は、来年4月の統一地方選を前に行われる検証大会であることから、4年間の成果を問うための評価として位置づけられ、評価は大きく3項目について行われました。
 1点目が、マニフェストを実行するにふさわしい行政システムが確立できているか。2点目が、マニフェストに掲げた内容を着実に実行できているか。3点目が、マニフェストの取り組み全般についてであります。
 この大会で、知事は、マニフェストの取り組みについての報告の中で、40の政策の進捗はおおむね順調。全体の4分の3以上の目標が達成度80%以上であり、これまでのおくれについては回復してきていると報告しております。この40の政策は、平成15年度から平成18年度までの4年間に、総合計画の推進のため重点的に取り組むべき政策を、誇れるいわて40の政策として政策化されたものですが、18年度で終了となることから、新たにポスト40の政策の策定作業を進めていると聞いております。増田知事は今期で知事職を退くことを表明しておりますが、知事のマニフェストを県の政策とした40の政策についてお伺いします。
 まず、知事は、現時点における40の政策の達成状況をどのように評価されているのでしょうか。また、ポスト40の政策の策定に当たって、基本的な課題認識と今後の方向性をどのように考えているのでしょうか。そして、次の県のリーダーとなる方にどのように引き継ごうとしているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、平成19年度予算編成の基本方針についてお伺いします。
 国においては、平成19年度予算について、経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006で示された今後5年間の新たな改革に向けた出発点となる重要な予算と位置づけ、これまでの財政健全化の努力を今後とも継続するとし、引き続き歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、歳出の抑制と、所管を越えた予算配分の重点化・効率化を実施するとしているところであり、地方財政についても、国の歳出の徹底した見直しと歩調を合わせつつ、地方団体の自助努力を促していくことを進め、地方公務員人件費、地方単独事業等の徹底した見直しを行い、地方財政計画の歳出規模を引き続き抑制することとしています。
 このような中にあって、本県においては、ことし8月に公表した中期財政見通しによると、平成19年度以降、毎年度610億から700億円の財源不足が見込まれるなど、非常に厳しい財政状況にあることから、平成19年度予算編成に当たって、本年10月に副知事名で全庁に発した平成19年度の予算編成についての中で、政策評価結果に基づき、政策の優先度に応じた財源の最適配分を図り、一層の選択と集中を進めるとともに、さらなる創意と工夫を凝らすなど、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めるとしておりますが、具体的に、どのような視点で選択と集中を進めていこうと考えているのか。
 また、平成19年度当初予算は骨格予算として編成し、新規、政策的な予算は新しい知事のもとで、来年度の6月に肉づけをすることとなると思われますが、新しい知事には、どのような視点で政策を盛り込んでもらいたいのか、どのようにバトンタッチしようと考えているのか、知事の所見をお伺いします。
 さらに、平成19年度の予算編成に当たっては、政策の優先度に応じた最適配分を図るため、一部予算編成方法を見直したと聞いておりますが、これまでの予算編成方法の総括と、今回見直しした内容、期待される効果についてお伺いします。
 次に、広域振興圏別の地域振興についてお伺いします。
 地方分権について、県は九つの広域生活圏による区域設定から四つの広域振興圏に再編し、今後、広域行政を進めるとしていますが、具体的にどういう方向を目指しているのでしょうか。市町村中心の行政システムを構築し、県は、広域振興圏において産業の振興に力を注ぐなど、地域の自立が必要だと思いますが、地方分権に対する知事の理念をお伺いします。
 本年4月から、県南広域振興圏では広域振興局体制への移行をスタートしておりますが、県南広域振興局設置の意義や目標の達成状況はどのようになっているのでしょうか。また、さまざまな課題も見えてきていると思いますが、来年度、どのように取り組んでいくのか、具体的な政策の方向性をお伺いします。
 また、沿岸、県北、県央の各広域振興圏では、これまでと同じく地方振興局を配置しておりますが、昨年12月定例会で可決された地方振興局設置条例の一部を改正する条例に対しましては、総務委員会から、県南広域振興局以外の広域振興局についても、可能な限り早期に設置するよう全力を挙げて取り組むこととの附帯意見が付されているところでありますが、知事は、これをどう受けとめ、今後、どのように地方振興局の再編を進めていくつもりなのか、お考えをお伺いします。
 また、県北・沿岸振興を重点的に推進していただくことは大変喜ばしいことではありますが、盛岡を中心とした県央部の推進についてはどう考えているのか、お伺いします。
 次に、東北新幹線新青森開業に伴う並行在来線対策についてお伺いします。
 現在の並行在来線盛岡-八戸間は、IGRいわて銀河鉄道が盛岡-目時間82キロ、青い森鉄道が目時-八戸間約26キロを営業しておりますが、列車の運行管理に必要不可欠な指令システムについては、IGRがJR東日本盛岡支社の一部を借り、IGRがJRの中央装置に接続する形で、青森側から委託を受けた目時-八戸間を含む盛岡-八戸間を管理していると伺っております。2010年度に見込まれている東北新幹線新青森駅開業に伴い、青森県は独自に構築する方針を決めたと聞いておりますが、新たな指令システムの構築は、IGRにとって厳しい経営が続く中での新たな負担となるものであります。IGRが新たな指令システムを構築するとした場合、最大で20億円以上の設備投資が必要となる可能性があるとも聞いております。
 そこでお伺いしますが、そもそもIGRの開業当時において、IGRが独自に新たな指令システムを構築しなければならない時期が来るということは想定されておられたのでしょうか。また、でき得るのであれば、青森県またはJR東日本との共同使用が望ましいのではないかと考えますが、その見込みはいかがでしょうか。また、IGRが独自に新たな指令システムを構築するとした場合、どの程度の額になると見込んでおられるのか。この金額の中には、JR貨物等の負担分も含まれているものと思われますが、今後、どのように取り組んでいかれるおつもりなのか、その方向についてもあわせてお聞かせ願います。
 次に、危機管理対策についてお伺いします。
 初めに、県の地震津波対策についてであります。
 去る10月6日から9日にかけて低気圧が猛烈に発達しながら関東の南海上から三陸沖に進んだ影響で、海岸では暴風や猛烈なしけとなり、本県においても、港湾・漁業施設を中心に甚大な被害をこうむり、今さらながら自然災害の驚異を思い知らされたところであり、被害に遭われた方にお見舞い申し上げますとともに、一刻も早い復旧がなされることをお祈り申し上げます。
 さて、喫緊に想定される地震に宮城県沖地震があります。宮城県沖地震の発生率については、国の地震調査研究推進本部は、平成14年に、今後30年間に99%の確率で発生するとの評価を行っていますが、現在もその評価は変わっておらず、その発生までの時間的な余裕がなく、早急に地震津波対策に取り組む必要があります。国においては、平成16年3月に、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法を制定し、東北・北海道沖を震源とする地震津波への対策に努めておりますが、県の宮城県沖地震に対する地震津波対策について、市町村への支援を含め、どのように取り組んでいるのか、お伺いします。
 次に、人と動物に関係した感染症の対策についてお伺いします。
 最初に、牛海綿状脳症、BSEについてでありますが、BSEに感染した牛が国内で最初に確認されたのは2001年9月であり、ことしで丸5年経過しており、この間、本年の9頭の確認も含めて、現在まで計30頭になっていると承知しております。今ではパニックこそ起きていないわけですが、のど元過ぎれば何とかという言葉もありますが、これまで、国内、県内において、食の安全・安心の確保のため、日々、BSE封じの対策に携わっている関係者の御苦労に敬意を表するところであります。
 こうした中、2003年12月、米国での初感染牛の確認により、直ちに国内への輸入禁止措置がとられ、2005年8月には、国内の屠畜検査の対象牛は21カ月齢以上とされましたが、本県初め都道府県は、消費者への安全・安心の確保のため、従来どおり、全頭検査を自主的に継続している中、本年7月、米国産牛肉が輸入再開されたところであります。
 そこでお伺いしますが、本県のBSE対策の取り組み状況とあわせて米国産牛肉の輸入再開による県内畜産への影響はどうなっているのか、お伺いします。
 次に、高病原性鳥インフルエンザについてであります。国内では、一昨年は山口県、大分県、京都府で発生、昨年は茨城県を中心に発生を見たことは記憶に新しいところであります。また、海外では依然として東南アジアを初めとしてロシア、欧州、中東、アフリカなど40カ国を超える広範囲で蔓延の拡大が見られ、こうした中、隣国韓国において、つい最近、11月23日に肉用種鶏場1万3、000羽飼養規模での発生が確認されましたが、再度、日本での発生が懸念されるところであります。
 そこでお伺いしますが、本県の高病原性鳥インフルエンザ対策の取り組み状況についてはどうなっているのでしょうか。
 次に、狂犬病についてであります。
 つい最近、本年11月にフィリピンで犬にかまれた京都市と横浜市の男性が国内で相次いで狂犬病を発症し、1人死亡、1人は重篤となっており、国内では、海外渡航者として36年ぶりに患者が発生したと報じられたところであります。狂犬病は、発症してしまうと100%死亡する感染症であり、国内では1920年代には年間200人を超える死亡例がありましたが、その後、野犬対策や犬のワクチン接種等により、ほとんど感染がなくなった後、戦後再び増加したため、1950年に新たに狂犬病予防法が制定され、犬の登録とワクチン接種の義務化等により、1957年以降国内から一掃され、現在に至っているものと承知しております。
 しかしながら、世界においては、世界保健機構、WHOの2004年推計で、インド1、700人、フィリピン3、000人、中国200人と、アジア諸国、アフリカ、中近東、中南米、北米で合わせて約5万5、000人の狂犬病による死者があると報告されている中、日本から毎年1、700万人以上の海外渡航者があり、その約半数がアジアの狂犬病発生国であること、また、日本へ寄港する船から犬が上陸したり、また、最近のペットブームを背景に、日本には毎年1万頭以上が輸入され、人がかまれる事故も毎年6、000件を超える届け出があると報告されており、いつ狂犬病が発生してもおかしくない状況にあったこと。
 一方、狂犬病予防法で義務づけられている予防注射を、飼い主が知らなかったり、室内犬の飼い主が無関心だったりと、病気の怖さについて一般的に関心が低い状況にあり、予防対策や予防注射の実施率の低さが懸念されるところであります。本県においても、今回の事故を契機に、改めて狂犬病の対策を徹底する必要があると考えるものであります。
 そこでお伺いしますが、本県の狂犬病対策の取り組み状況はどうなっているのでしょうか。
 次に、農業振興についてお伺いします。
 県においては、変化に飛んだ地形や多様な気象条件を生かし、適地適作を基本とした米、畜産、園芸のバランスのとれた産地づくりや、すぐれた担い手の確保・育成、さらには都市と農村の交流などによる活力ある農村社会の形成や、農業の持つ資源の保全など、多くの課題に取り組んでいると承知しております。
 このような中にあって、農業を取り巻く環境は、輸入農産物の増加や、少子・高齢化社会の進行などによる消費者ニーズの変化、食の安全・安心に対する関心の高まりなど、大きく変化してきております。本県農業の発展を図るためには、こうした変化に対応できるすぐれた担い手の確保・育成が重要課題であります。
 そこでお伺いしますが、担い手対策について、国においては、平成19年度予算から、これまでの全農家を対象とした対策にかわって、一定の要件を満たす生産者や組織に対象を絞った品目横断的経営安定対策の導入が進められておりますが、この対策への取り組みの状況はどうなっているのか。また、担い手の確保・育成について、残された課題は何か。それを踏まえ、今後、県ではどのようなことに重点的に取り組む考えなのか、お伺いします。
 次に、農畜産物の生産対策についてお伺いします。
 まず、水田農業についてでありますが、稲作は、米の消費の減少を受けて、生産調整が年々拡大されているにもかかわらず、依然として米価が低迷しており、担い手農家を中心として、米で食える安定した生産構造と低コスト化を早急に実現していかなければならないと思います。また、米の生産調整が水田の3分の1強を占める中で、水田における麦・大豆作についても、一定の所得が得られるようにするため重要な品目であると考えます。こうした状況を踏まえて、本県の水稲に麦・大豆を加えた水田を利用した土地利用型作物について、収益性の向上のためにどのような取り組みをしていこうとしているのか、お伺いします。
 次に、園芸についてでありますが、本県の園芸は、昭和50年代から平成初期にかけて、雨よけホウレンソウやレタス、リンドウなど、今日の本県農業の中核をなす産地が各地で拡大され、当時は、本県園芸の勢いはまさに東北の中でも突出していたと記憶しておりましたが、近年では、担い手不足や高齢化に加え、輸入野菜等の急増などから生産額も頭打ちの状況にあります。また、最近では販売額の落ち込みの著しい産地も出てきていると聞いております。私は、こうした閉塞状況を打破するには、やはり所得形成力のある園芸振興が極めて重要であると思っているところでありますが、この園芸振興に対する基本的な考え方と、その生産振興を県はどのように進めようとしているのか、お伺いします。とりわけ、県の重点課題としている県北・沿岸振興の観点からも、冬から春に出荷されるいわゆる冬春期の農業振興、特に、この時期の野菜振興を積極的に進めるべきと考えますが、県では、冬春野菜の振興をどのように進めようとしているのか、お伺いします。
 次に、肉用牛振興についてお伺いします。
 本県の肉用牛生産は、飼養頭数、産出額ともに全国トップクラスの地位にあり、本県農業の基軸であります。中山間地域の振興を図っていく上で、本県が有する豊富な粗飼料基盤を生かした肉用牛振興が重要でありますが、特にも、アメリカ産牛肉の輸入停止を契機に、子牛価格、枝肉価格ともに堅調に推移しており、この機会をとらえ、肉用牛の増頭につなげていくことが重要であると考えているところであります。私自身、先般、生産者を初め関係機関・団体が一堂に結集し、開催されたいわて肉用牛生産振興大会に出席しましたが、生産者の増頭への熱い思いを改めて感じたところであります。
 そこでお伺いしますが、今年度からいわて肉用牛増頭運動がスタートしたところでありますが、増頭に向け、地域ではどういう特徴的な動きがあるのか。また、県として、増頭を着実に図るためにどのような取り組みをしていこうとしているのか、お伺いします。
 次に、競馬組合問題についてお伺いします。
 さきの競馬組合議会で新しい岩手県競馬組合改革計画が承認されました。ただ、成案と言うには、まだ大枠の段階で不確定要素が多過ぎる印象はありますが、今後、岩手競馬の再生に向けた取り組みをさらに進める必要があると考えるところであります。
 そこでお伺いしますが、管理者である知事は、残された任期の中で、どのような姿勢で取り組んでいくおつもりなのか、お伺いします。また、新しい岩手県競馬組合改革計画の中では、融資額、利息の支払い、元金返済ルートは示されましたが、示されなかった構成団体の負担割合、県から奥州市、盛岡市両市への融資について、どのように検討を進め、いつ融資スキームの全体を明らかにするつもりなのか、お伺いします。
 また、新計画の融資スキームでは、長期・短期債務の全額330億円の融資を構成団体に要請するとされております。この構成団体融資の多くは金融機関からの融資分でありますが、これまで金融機関は、競馬組合から利息という形で多くの収益を得てきたことを考え合わせると、金融機関が民間企業の再建で行っているような債務の減免とするような形で、岩手競馬の再建に向けて、金融機関に対しさらに強く協力を要請すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、道路整備についてお伺いします。
 私は、これまでも議会の場において、広い県土を有する本県においてバランスのとれた地域の振興、発展のためには、本県の背骨とも言える国道4号、あるいは県都盛岡市と地方を結ぶ90分構想など、早期道路整備の必要性について質問をしてまいりました。本年2月の定例会でも同様の質問をしましたが、国道4号、国道281号、国道282号は、各地域の中心都市を結び、地域の交流・連携や観光振興に、ひいては地方の産業振興にも寄与するという大きな役割を果たしている重要な路線であります。しかしながら、盛岡以北の国道4号を初め、これらの整備状況は、交通量に見合った車線の確保やバイパスの整備がおくれている状況にあるため、その結果、日常的な交通渋滞を引き起こし、国道としての機能が確保されず、盛岡都市圏と盛岡以北の各市町村の産業振興や交流・連携にとって大きな支障となっております。
 そこで、本年2月定例会以降の進捗状況についてお伺いします。国道4号茨島-分レ間の4車線化及び渋民バイパスの進捗状況はどうなっているのでしょうか。国道281号の歩道整備、葛巻バイパス及び平庭トンネルの見通しはどうなっているのでしょうか。さらには、国道282号一本木バイパス及び西根バイパスの進捗状況と整備の今後の見通しはどうなっているのでしょうか。
 増田県政の評価について、来年度以降に真の評価が出るものもあるわけですが、知事は、不出馬表明の会見で、残された課題の解決に向けて全力を尽くすことを話されました。任期満了まで、残り半年を切りましたが、強い責任感を持って、山積する課題にけじめをつけていただくことに期待を申し上げ、私のこの場の質問を終わらせていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 千葉伝議員の御質問にお答え申し上げます。
 私が知事に就任以来、この11年余の間におきまして、特に前半は、東北新幹線や高速道路、県立大学等といった公共資本の整備を進めてまいりまして、県民生活基盤の充実に努めました。後半におきましては、こうした基盤を生かしながら、民間の活力や地域の潜在力を引き出すような、いわゆるソフト施策を中心とした取り組みを進めてきたところであります。特に3期目におきましては、県政の総仕上げといたしまして、私のマニェストを県として政策化をしたいわゆる40の政策を軸にいたしまして、自動車関連産業を核としたものづくり産業の集積促進や、地域コミュニティーの力を生かしたご近所介護ステーションの普及を初めとする、岩手ならではの活力ある個性豊かな地域づくりの推進に努めましたほか、行財政構造改革プログラムに基づきまして、歳入・歳出全般にわたる改革にも取り組みました。財政運営において、プライマリーバランスの黒字化を本年度達成したところであります。
 40の政策につきましては、既に評価・検証をして、その結果を毎年公表しているところございますが、そのもととなりました私の3期目の当選時のマニフェストにつきましては、私自身が、来年2月を目途に、評価・検証をしてその結果を公表したい、このように考えております。
 一方で、私は知事を目指しました当初から、多選による弊害を意識しておりました。長くとも、3期を区切りと考えていたところでございます。知事の職にある者として、みずからの出処進退については強い自制の精神を持って絶えず自戒をして、多選の弊害を戒めることが大事であると考えていたところでございまして、したがいまして、来年の知事選挙には出馬をせず、現在の任期を全うすることをもって、知事職から退くということを、先般、表明したものでございます。今後は、残された県政課題に全力を傾注していく考えであります。
 40の政策の達成状況についてでありますが、最終年度でございます本年度は、平成17年度までの評価結果を踏まえて、特におくれている項目、具体的には青森県境の不法投棄産業廃棄物の撤去や、介護福祉サービスの充実などについて重点的に取り組んでいるところでございまして、平成18年度末時点、すなわち、来年3月の今年度末の時点におきましては、平成17年度末時点よりも全体として達成状況はさらに向上すると、このように見込んでいるところであります。
 それから、ポスト40の政策、いわゆる新しい政策推進プランについてでありますが、今、本県は、少子化の進行に伴いまして、本格的な人口減少社会、高齢社会に突入しておりまして、一方では、分権型社会への移行に向けた改革が進んでいる中におきまして、地域の自立度を高めることが重要課題である、このように考えております。特に、地域の自立に向けた産業経済基盤の構築や、高齢社会などに対応するためのセーフティネットの構築などを、その基本的な方向として位置づける必要がある、このように考えております。
 こうした基本方向に基づく政策を推進していくためには、やはり市町村中心の行政システムを構築していくとともに、県と県民との連携・協働の仕組みも強化していくことが不可欠でありまして、こうした視点を踏まえながら、豊かな自然や結いの精神といった、岩手らしさを生かした地域づくりのあり方について幅広く検討していく必要がある、このように考えております。
 このような新しい政策推進プランの策定に向けた大枠の論点につきましては、私として、新しい知事にお伝えをしたい、このように考えております。
 今のお答えとも多少ダブりますが、平成11年度の予算編成についての選択と集中の視点でありますけれども、来年度の予算編成につきましては、地域の経済的自立の礎となる力強い産業経済基盤の構築やセーフティネットの構築、この両面が重要な視点と考えております。また、これに加えて、ものづくりや医療系人材などの地域を支える人づくり、本県の豊かな環境の保全・創造といった分野も欠くことのできない視点、このように考えておりまして、この選択と集中を進めるに当たっての視点については、肉づけ予算となる来年度の6月補正予算案を編成される新しい知事にお伝えしたい、このように考えております。
 次に、広域振興圏別の地域振興でございますが、この新しい広域振興圏の設定で私が目指している方向性は次の二つであります。
 一つは、市町村中心の行政システムを構築することによって、市町村がしっかりとした行財政基盤を持ち、身近な行政サービスをきめ細かく、総合的に直接提供できる地域社会を実現すること。一方で、四つの広域圏ごとの特質を生かしながら、県としては、広域的機能を十分に発揮をする、これが方向性の一つ。
 それから二つ目は、産業を振興することによって、雇用や所得、税収を確保することにより、医療や福祉、危機管理対策など、県民生活の維持・向上を図る、この2点でございます。
 地方分権に対する私の理念でありますが、分権改革のもと、住民の受益と負担の関係を明確にしながら、地方みずからが分権型社会に向けた道筋をしっかりとつくっていく取り組みが必要でありまして、また、人口減少、少子・高齢化に対応するため地域経済を強化するとともに、地域コミュニティーを生かした地域づくりによって、県民生活の維持・向上を図っていく必要がございます。こうしたことから、新しい広域振興圏ごとに、現場主義に立脚した完結性の高い広域行政を目指し、今後とも取り組んでいく考えでございます。
 それから、地方振興局再編の進め方でありますが、昨年の12月定例会における総務委員会の附帯意見については、重く受けとめております。まず、この広域振興局体制に向けては、市町村の行財政基盤の強化を進める必要があって、今、合併の推進に関する構想を示すなどによりまして、この点について取り組みを進めておりますし、また、市町村への権限移譲、さらには、人的派遣制度を導入することによって、こうした市町村中心の行政システム、さらなる推進を図っております。また、地域経済の強化のための産業全般の底上げが必要でありまして、産業成長戦略や県北・沿岸圏域の産業振興の基本方向を策定して、産学官金との緊密な連携を図りながら、確実な成果をもたらすよう取り組みを進めております。こうした取り組みを積み重ねて、早期の広域振興局体制への移行を、今、目指しているところであります。
 盛岡を中心とした県央部の推進でございますが、県都盛岡を中心としたこの県央振興圏でありますが、学術研究機関の活用によって、本県全体の産業の活性化への支援、そして新産業の創出、多様な農業の産地形成、あるいは北東北広域観光の玄関口、こういったことなどの機能、役割がこの地域は求められていると。そこで、今、圏域内の市町村、大学、企業と連携をして、こうした産業振興に向けた具体的な取り組みなどを行っております。
 今後とも、こうした点での取り組みをさらに加速させていきたいというふうに思っておりますが、なお、この地域の今後の広域行政の体制につきましては、盛岡市が中核市に移行をする、そして中核市を中心とした市町村主体の広域行政の展開なども考えられますので、県では、盛岡市への権限移譲を積極的に進めて、中核市としての機能強化を支援するとともに、その状況を踏まえながら、この県央部の振興について、さらに取り組みを進めていく考えであります。
 次に、IGRいわて銀河鉄道の関係でありまして、ここが独自に新たな指令システムを構築する、こういうことが今検討されているわけでございますが、この新しい指令システムを構築しなければならない点についての想定でございます。
 この点につきましては、新幹線の新青森開業時期を当初は2012年と見込んでおりましたので、この2012年、平成24年に開業時期を見込みまして、その時点で指令システム等の整備が必要となる、このように想定をしていたものでございます。
 なお、指令システム構築の経費につきましては、この青森開業が具体化した段階で、改めて県と沿線市町村が連携して対応することとされていたものでございます。
 青森県またJR東日本との指令システムの共同使用についてでありますが、これにつきましては、平成13年3月に、岩手県、青森県のそれぞれとJR東日本の間で確認書を交わしておりまして、1社1システムの原則により、東北新幹線新青森開業時においてはPRC、これは自動列車制御システムでございますが、この中央装置の共同使用及び第三セクター指令員の常駐について解消を基本に見直しを行うもの、このようにされていたものでございまして、本県として独自システムを構築することが基本である、こういうことについては、本県として理解をしていたところでございます。
 青森県では、この点について、まず、営業区間に見合った独自システムの構築によって、運行の安全性をみずから責任を持って確保できる。また、主要施設を青森市に集中配置することによって、災害時等の対応や効率的な運営のための体制が確保できること、こういった理由から、この確認書に基づいて、独自の指令システムを構築することとしたと聞いておりまして、こうした青森県の考え方について一定の理解はできるものでございます。本県としては、鉄道事業者それぞれが指令システムを構築することが基本であるとはいえ、コスト面を考慮しますと、共同使用が可能なものについてはできるだけ共同使用をすべき、このように考えております。
 盛岡-八戸間は、従来、JR東日本において、東北本線の一部として一元管理されてきた中で、5社の列車が走行しております。JR東日本、それからJR北海道、JR貨物、青い森鉄道、そして我がIGRでございますが、この5社の列車が走行してきたものが、経営分離後においてそれぞれのシステムによる管理となることや、新たなシステム構築には多額の投資が必要になることなどから、やはりできるだけ共同使用によって、安全面の確保を図りつつ設備更新費用の節減を図る方策がないか、今、JR東日本と協議をしているところでございます。
 そして、この額でございますが、現時点でIGRが独自システムを構築する場合どの程度の額になるか、こういうお尋ねがございましたが、JR東日本から分離するか否かのほか、仮に分離する場合においても、可能な限り費用負担を圧縮する方向で対応すべきとの観点に立って、今、JR東日本そして青森県と協議を重ねていかなければならないと考えておりまして、こうしたことから、現時点で、どの程度の設備投資額が必要となるかについて明確にお答えできる段階には至っていないものでございますが、今後、JR東日本、青森県、JR貨物、国土交通省など関係機関との間で、安全面、費用負担面での協議を続けて、本県にとりまして最善の方向を選択していきたい、このように考えております。
 最後に、岩手競馬についてでありますが、再生に向けた取り組みでございます。この岩手競馬を私の任期中にきちんと方向づけたいという思いで取り組んでおりまして、過去の債務については、構成団体が一定の役割を果たす融資スキームを実行して、再生に向けた枠組みをしっかりと構築する必要がある、このように考えます。このため、さきの競馬組合議会で承認をいただきました事業存廃の基準や、構成団体融資などを軸といたします新しい岩手県競馬組合改革計画を、県議会を初めとする構成団体議会、競馬関係者、県民、市民の皆様に十分御説明をし、御理解をいただきながら、再生に向けた道筋をつけることができるように、全力を尽くしてまいります。
 融資スキームの全体像でございますが、これは先般お示しをしたところでございますが、構成団体ごとの融資割合や県から両市への融資についてはまだでございまして、これは各構成団体の平成18年度決算見込み、19年度以降の財政運営の見通し、さらには、国の19年度予算の動向、地財対策の動向も踏まえながら協議を進めることとしてございます。こうした協議を踏まえて、来年1月中に融資スキームを取りまとめることとしておりまして、2月定例会の前に、議員の皆様に説明の場を設けてまいりたいと考えております。これとあわせて、この融資スキームに係る新たな基金条例案や関連予算案の作成を進め、各構成団体に2月定例議会で御審議をいただきたいと考えてございます。
 金融機関への債務減免要請についてでございますが、金融機関とはこれまでも交渉を重ねつつ、地方債の引き受け、一時借入金の融資や支払い利息の取り扱いなど、可能な限り、競馬組合にとって有利な条件での融資の実現を図ってきたところでございますが、競馬組合は、御案内のとおり、地方自治法に規定する一部事務組合でございまして、他の地方公共団体と同様、金融機関等に対して、民間企業の再建等で行われる債務の減免を求めることは制度上想定されておらず、したがいまして、地方公共団体である競馬組合が金融機関に対して債務の減免を求めることは、現行の地方財政制度上、できないものでございます。さらに、金融機関に対する債務減免の要請は、競馬組合のみならず、地方公共団体である県や市町村の起債、ひいては一時借り入れの引き受けにも影響を及ぼすことが懸念をされるところでございまして、その意味でも、債務の減免要請は難しいものと、このように考えてございます。
 その他のお尋ねにつきましては、企画理事及び関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いいたします。
   〔企画理事酒井俊巳君登壇〕
〇企画理事(酒井俊巳君) 県南広域振興局設置の意義や目標の達成状況についてのお尋ねでございます。
 県南広域振興局設置の意義は、広域振興圏を設定したねらいでございます分権型社会の構築と、産業の振興による自立した地域社会の構築に向けて、圏域の一体的かつ効率的な広域行政を戦略的に展開していくことと認識しているところでございます。このため、県南広域振興局においては、分権型社会の構築のかなめとなる市町村中心の行政システムの構築に向けて、特に市町への権限移譲を重点的に進めることとし、県南圏域、九つの市町で、1、000事務の移譲を目標に設定をしたところでございます。市町との協議の場をすべての総合支局に設置し検討を進め、現在、最終の調整段階ではございますが、目標の1、000事務は達成する見込みでございます。
 また、産業振興による地域経済の強化につきましては、県南圏域の各産業を取り巻く外部環境の変化に的確に適応し、各産業が成長・発展するための方向性を明らかにするため、県南広域振興圏産業振興戦略というものの策定の作業を進めてまいりましたが、今月中には、その戦略を策定する予定といたしております。
 この戦略の検討を通じまして、工業の分野では、ものづくり基盤技術の一層の集積を進めるなど、総合的な技術力の強化がさらに必要であること。農業の分野では、米価の動向等に左右されない安定的な所得を確保するための園芸や畜産など、高収益作物の導入拡大のほか、食産業など他産業との連携による高付加価値化が必要であることなど、県南圏域におけるそれぞれの産業の課題も明らかになったところでございます。このため、来年度には、県南広域圏内の市町への一層の権限移譲を進めるとともに、産業振興に当たっては、策定した戦略を基軸に据えた各分野の課題解決に向けた取り組みを、着実に推進してまいりたいと考えております。
   〔総務部長川窪俊広君登壇〕
〇総務部長(川窪俊広君) 予算編成方法についてでございますが、18年度までの予算編成方法は、より現場に近い各部局に予算枠を配分し、各部局が主体となって予算編成を行うということ、また、政策形成プロジェクト等を通じまして、各部局間での政策の競争を行うことなどによりまして、政策形成能力の向上を図るものでございまして、また、これは結果として、各部局間の予算のシェアの固定化の回避にも資するものと考えているところでございます。
 今般、こうした基本的な考え方に加えまして、厳しい財政状況を踏まえ、限られた財源の中で、今まで以上に、全庁的な視点からの財源配分の調整が可能となるように見直しを行うこととしたところでございまして、具体的には、部局予算枠の一部を持ち寄り、全庁で調整する予算枠を設けることを通じまして、部局の枠を超えた財源の再配分を行いやすくし、今後の県としての政策決定におけるより一層の選択と集中を可能とすることを目指しているところでございます。
 次に、県の地震津波対策についてでございます。
 ハード面におきましては、これまでも防潮堤の整備、避難施設の耐震化等を順次進めるとともに、今年度は、情報伝達手段である防災行政情報通信ネットワークの次世代化等に取り組んでおります。ソフト面の対策といたしましては、住民みずからが速やかに避難行動をとることが被害の軽減につながることから、地震・津波による被害想定の調査や、津波浸水予測図の作成などを通じまして市町村の避難対策を支援するほか、小・中学生向けの地震津波防災教材を作成するなど、防災教育の充実を図り、自助の意識の浸透を図っているところでございます。
 また、地域を守る共助の役割を担う自主防災組織につきまして、その体制や活動状況の調査・検証を行っており、災害発生時にその機能が十分発揮されるよう、市町村や消防機関と連携して、さらなる育成強化に努めてまいりたいと存じます。
 さらに、県を初めとする関係機関の防災対応能力の向上を図るべく、総合防災訓練や発災時の状況に即応した行動訓練を計画的に実施するなど、市町村や消防、警察、自衛隊等との連携の強化を図りながら、能力向上を進めたいと考えております。
 こうした自助、共助、公助、それぞれの分野での防災体制の一層の充実が図られますよう、今後とも総合的な取り組みを進めてまいりたいと存じます。
   〔農林水産部長高前田寿幸君登壇〕
〇農林水産部長(高前田寿幸君) まず、BSE対策の取り組み状況についてでございますが、本県におきましては、議員御指摘のとおり、屠畜場における全頭を対象としたBSE検査を行っているほか、家畜保健衛生所が24カ月齢以上の死亡牛全頭を対象にBSE検査を実施するとともに、飼料を通しての感染を防止するため、牛用飼料について抽出検査を実施しているところでございます。
 本県といたしましては、今後とも、こうした検査の実施により、BSE対策に万全を期し、食の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、米国産牛肉の輸入再開による影響についてでございますが、輸入再開後の8月以降も、輸入牛肉と競合する乳用種去勢牛も含め、枝肉相場は堅調に推移しており、また、県内の子牛価格も、11月には黒毛和種子牛が過去最高価格を記録したほか、乳用雄子牛等も堅調に推移しており、現時点では、輸入再開の影響はほとんどないものと考えております。
 次に、高病原性鳥インフルエンザ対策についてでありますが、県といたしましては、市町村や関係団体と連携し、飼養衛生管理対策の指導や異常発見時の早期通報の徹底、花巻空港での入国者に対する靴底の消毒、毎月のモニタリング検査などを実施し、鳥インフルエンザの侵入防止や監視の強化を図っているところでございます。
 また、万が一発生した場合に備えて、初動防疫に必要な資材を備蓄しているほか、養鶏主産地での図上訓練や家畜保健衛生所における診断技術研修会の実施、さらには、隣接県が共同して防疫措置をとるために必要な連携の強化などを図っているところでございます。
 なお、今般の韓国での発生を受け、生産者及び関係機関・団体に対して、飼養衛生管理の再点検を行うよう改めて指導したところであり、今後とも、本県の地域経済を支える養鶏産地を守るため、防疫対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、品目横断的経営安定対策の取り組み状況についてでありますが、これまで、県といたしましては、個別経営体や集落営農組織が確実に制度加入できるよう、市町村や農協と連携を図りながら、集落営農の合意形成などを支援してきたところであり、10月末時点では、個別経営体で約2、500、集落営農組織で約340の加入が見込まれております。また、秋まき麦につきましては、その加入申請期限である11月末現在でございますが、販売を目的とする麦の作付面積の99%の加入申請があったところであります。
 次に、担い手の確保・育成に向けての課題についてでございますが、引き続き小規模農家も一定の役割を持って参加する集落営農組織の育成を進めるとともに、新たに担い手として位置づけられた個別経営体や集落営農組織の経営管理能力の向上を図ることが重要であると考えております。このため、集落営農の組織化に向けて、県内全域に配置している集落コーディネーターを中心として、集落の合意形成を促進するとともに、経営の多角化や組織の法人化を着実に進めるための専門家による指導など、集落の課題に応じたきめ細やかな支援を行っていくことといたしております。
 また、個別経営体の育成を図るため、市町村や農協等との連携のもと、認定農業者に誘導すべき担い手をリストアップするとともに、経営改善計画の策定を集中的に支援する担い手の育成・確保に向けた緊急行動、これを展開しているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みにより、本県農業を担う効率的、安定的な経営体の確保・育成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、土地利用型作物の振興についてでありますが、農産物価格が低迷している中で、土地利用型作物の収益性の向上を図るためには、経営規模の拡大と生産コストの低減が重要でございまして、また、特に麦、大豆につきましては、収量と品質の向上が課題となっております。このため、担い手への農地や農作業の集積等により大規模経営体を育成するとともに、生産資材費の低減や集落営農を契機とした効率の高い機械化体系への移行などにより、総合的なコストの低減を図ることといたしております。
 さらに、特に稲作につきましては、労働時間の大幅な短縮が可能な直播技術の導入や、消費者等への販売促進活動を強化するとともに、麦・大豆につきましては、本年6月に設置いたしました県・農業団体で構成する麦・大豆収益性向上対策チームによる単収向上技術の普及や優良品種の導入、さらには、県内外の実需者との連携強化などを推進し、土地利用型作物の収益性の向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、園芸振興についてでございますが、米の生産調整が拡大され、米価が低迷する中で、農業生産の拡大を図るためには、園芸や畜産を戦略部門として位置づけ、その振興を図ることが極めて重要でございまして、特に園芸につきましては、消費者重視、市場重視の視点に立ち、本県の特色である耕種と畜産の連携による土づくりを基本として、夏季冷涼な気象条件を活用した栽培などにより、岩手らしさを生かした多品目複合産地の形成に取り組むことが重要であると考えております。このため、本県の特色である豊富な有機物資源や気象条件を生かしながら、産地づくりをリードする担い手の育成や、生産部会と普及センターが連携した技術指導体制の強化、さらには四季なりイチゴなど新品種の導入による出荷時期の拡大や、量販店等との契約取引の拡大などにより、岩手らしい厚みのある産地づくりを推進してまいりたいと考えております。
 次に、冬春野菜の振興についてでございますが、冬春野菜は、夏秋野菜との組み合わせによりまして、冬場の労働力を有効に活用し、農家の所得の向上に資する有望な品目と考えており、これまで本県では、厳しい寒さを利用した寒締めホウレンソウや促成アスパラガスなどの産地化を図ってきたところでございます。この結果、平成17年の栽培面積は、県全体で120ヘクタールと3年前の2倍に増加をいたしております。本年も約20ヘクタールの増加が見込まれるなど、着実に生産が拡大してきております。今後におきましても、引き続き市町村や農協等との連携を図りながら、新規生産者の確保と、徹底した技術指導に努めるとともに、収益性の高い冬春菌床しいたけなどの新たな戦略品目の導入、さらには、契約栽培の促進や消費者へのPRによる販路の拡大に積極的に取り組み、県北・沿岸を初め県内全域で冬春野菜の産地化を一層加速化させてまいりたいと考えております。
 次に、肉用牛の振興についてのお尋ねでございます。肉用牛の増頭や飼養管理の省力化に向けた特徴的な動きについてでありますが、県内におきましては、奥州市等におけるキャトルセンターを活用した飼養規模の拡大や、一関市等での転作田への放牧による飼養管理の省力化、さらには岩泉町などでの日本短角種を対象とした粗飼料多給肥育の実証など、地域の資源を生かした新たな取り組みが始まっております。県といたしましては、こうした地域の取り組みを支援するため、補助事業等を活用したキャトルセンターの計画的な整備や飼料生産請負組織の育成、さらには転作田への放牧施設の整備等を促進するとともに、輸入飼料に依存しない短角牛の自給飼料多給肥育の推進や、ブランド確立のための優良な県有種雄牛の造成などにより、安定的な生産出荷に取り組むこととしているところでございます。
   〔保健福祉部長赤羽卓朗君登壇〕
〇保健福祉部長(赤羽卓朗君) 狂犬病対策についてでございますが、狂犬病の予防対策では、飼い主の登録と予防注射の2点が最も重要と考えておりまして、県としては、これらの事務を所管しております市町村に対し、確実な実施について助言指導を行ってきているところでございます。また、県民の狂犬病に対する関心を高めるため、狂犬病に関する知識の啓発を図る各種広報媒体の利用とか、保健所に、獣医師である狂犬病予防員を配置し、飼い主への指導や、未登録・未注射犬の捕獲抑留に努めているところでございます。
 予防注射の接種率、これは登録頭数に対する注射頭数の割合でございますが、全国平均の74%に比較して約88%となっておりますが、引き続き、県獣医師会の御協力をいただきながら、関係者による定例会議の開催や注射データの共有化等により、接種率の一層の向上に努めてまいりたいと考えております。
 なお、海外渡航者が狂犬病の流行する国で動物にかまれた場合には、暴露後ワクチンの接種が重要でありますことから、その対応等につきましては、県医師会等の関係機関に対し周知を図っているところでございます。こうした取り組みを通じ、狂犬病予防対策を着実に進めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長西畑雅司君登壇〕
〇県土整備部長(西畑雅司君) 道路についてのお尋ねがございました。国道4号茨島から分レ間の4車線化についてでございますけれども、去る11月22日に国から都市計画の協議を受け、都市計画決定に向けた手続に着手したところであります。今後、早期に都市計画決定ができるよう、国や関係市町村の協力を得ながら手続を進めてまいります。
 次に、渋民バイパスでございますが、計画延長約5.6キロメートルのうち、まだ着工していない区間3.1キロメートルにつきまして、埋蔵文化財の発掘調査が昨年度の約15%から約75%に大幅に進んだほか、工事着手に向けた詳細設計などを実施していると伺っております。県といたしましては、茨島-分レ間の早期の事業着手と渋民バイパスの整備促進につきまして、引き続き国に働きかけてまいります。
 次に、国道281号の歩道整備でございます。今年度は、葛巻町堀の内橋におきまして、歩道を添架するため、橋台の工事に着手したところであり、順次工事を進めることとしております。
 葛巻バイパスにつきましては、現道が町の中心部を通過しており、人家が連檐し、歩道が未設置であることなど、円滑な交通に支障を来しており、整備が必要であると認識しております。
 平庭トンネルにつきましては、今年度は環境影響評価準備書を作成しているところでございます。
 葛巻バイパス及び平庭トンネルの事業化につきましては、県全体の道路整備計画の中で、交通量の推移や公共事業予算の動向を見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、国道282号一本木バイパスでございますが、平成18年度は橋梁工事や改良工事などを進めており、今後は、一部難航しております用地の取得に努めるとともに、引き続き工事の進捗を図ってまいります。
 西根バイパスにつきましては、第1期工事区間4.5キロメートルのうち、まだ供用していない2.2キロメートルの区間の改良工事や舗装工事などを進めており、今後は、第1期工事区間全体の早期供用に努めるとともに、北側の第2期工事区間についても、来年度から測量及び設計などの調査をできるよう進めてまいりたいと考えてございます。
〇45番(千葉伝君) ただいまは、私の質問に対し、増田知事以下担当部長から丁寧な御答弁をいただきました。ありがとうございます。
 1点だけ、競馬問題について再質問をさせていただきたいと思います。
 岩手競馬の存廃問題につきましては、いかに競馬ファンに魅力あるレースを提供するかといったこと、それ以上に、現在、競馬組合が抱えている巨額の負債の整理に大きく左右されるということは自明のことと思うところであります。すなわち、今後、約330億円の融資の是非が大きな課題となってくるわけであり、知事には、残された任期の中で、取り組み姿勢をただいまお聞きしたところであります。その中で、任期中に一定の方向を示すということ、そしてまた、新計画の融資のスキームについては2月議会までに示したいとの答弁をいただいたところであります。ただ、依然としてその融資スキームの全体像が示されていないということになるわけで、私どもの県議会、あるいは構成団体であります盛岡市、奥州市両市にとっても、そこが前に進まない、いわゆる議論が前に進まないんじゃないか、こういうふうに思うところであります。したがって、県民に負担を求める融資のスキームということなわけで、可能な限り、そのスキームを早く示す必要があろうと思うところであります。そこで、2月までにという部分を、少しでも早く示すというふうなお考えがあるかどうか、改めてお伺いしたいと思います。
 もう一つは、知事が地方競馬に取り組むということの中で、今回の新改革計画案が示されたわけであります。そういった中で、これから存続するという方向で示しているということでありますが、この中身は、雇用問題あるいは地域経済への影響、あるいは構成団体との協議といったこと、そしてまた、最終的には存続させるにも融資としての県民の負担、あるいは万一やめるといった場合、これもまたそれに対しての県民の税金の投入ということであります。そういったことの中で、知事が何としても続けるスキームというようなことを示したというふうに思っております。
 そこで、これまで県民、私ども議会に対しても、そこのところの考え方、いわゆる税金の投入を最小にするやり方、それがベストの方策だと、こういうふうに知事はお考えだと思うところであります。したがって、現在、それからこれからということの取り組みの部分の私の質問の中で、その部分をちょっと私は聞き漏らしたかもしれません。改めて、そこの部分のお考えをお聞きしたいと思います。この2点であります。
 以上です。
〇知事(増田寛也君) お答え申し上げます。
 競馬組合の問題については、県民の皆様方、そしてまた議員の皆様方に大変御心配をおかけしておりまして、大変申しわけなく思っているところでございますが、現状のままで推移いたしますと、岩手競馬の事業の継続が困難になるという状況に今来ているところであります。しかし、この事業の継続が困難だということで事業を廃止いたしますと、雇用問題の発生、経済効果の喪失といった地域経済への影響も含めまして大変大きな影響、また、極めて深刻な財政負担の問題というものが生ずるわけでございまして、むしろ、これは競馬事業を廃止するよりも、そうした影響を考慮すれば、収支が均衡して赤字が拡大しないということを条件に、でき得る限りの手だてを講じて事業を継続させる方が負担が少なく、最善の方策である、このように判断をいたしまして、競馬組合議会の方に新しい計画を先般提案をしたものでございます。もう一度繰り返しになりますが、事業を継続するに際して融資が必要になると私どもは判断しておりますので、これはまたこれで大変大きな議論を呼ぶものと、このように考えるわけでありますが、しかし、廃止をした場合には、それ以上にさらに深刻な費用負担の問題、さらには地域経済に与える悪影響などがございますので、事業を継続しつつ、しかし、収支が均衡して赤字が拡大しないなどの存廃条件をはっきりと明確化することの方がとり得る最善の方策、このように判断をして、先般、競馬組合の新しい改革計画を提案させていただきました。今後は、これが最善の方策と考えておりますので、議会あるいは県民の皆様方に十分御理解をいただけるように努めていきたい、このように考えております。
 また、そのためにも、融資の幾つかの点については明らかにいたしましたが、今、議員の方からお話がございました融資スキームの全体、特に構成団体間の負担なども含めた融資スキームの全体像をお示ししなければいけないということでございまして、これについては、各構成団体の状況も十分踏まえる必要がありまして、その点も踏まえて調整を進めていかなければならないと思っておりますが、今御指摘のように、この点についても、大変重要なポイントでございますので、でき得る限り速やかに明らかにできるように努力をしてまいりたい、このように考えております。
〇45番(千葉伝君) ありがとうございます。でき得る限りという答弁、いろいろと相手のあること、こういうようなこともわかります。2月議会直前で示されるということであれば、なかなかそれに対する論議というのはかからない、こういうふうに思います。そういうようなことも含めて、改めてというか、お願いは、できるだけ早くということを進めていただきたいと思います。いずれ、知事にとっては今任期最後ということであります。私も一般質問の最後にお話しさせていただきましたが、最後の最後まで、この競馬問題というのは、私は、やっぱり県民あるいは私どもにとっても大変大きな課題というふうに思っております。その他の県政課題も多くあるわけですが、ぜひとも、やめるまでに一定の方向を示していただきたい、こういうふうにお願いして、再質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
〇議長(伊藤勢至君) 次に、佐々木一榮君。
   〔41番佐々木一榮君登壇〕(拍手)

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