平成12年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。県政の重要課題、県民の切実な要求実現について質問いたします。
 まず第1に、県財政の危機的状況とその構造的ゆがみの問題であります。
 来年度県予算は8、963億円余で、昨年6月現計と比べても0.7%、66億円増となる史上最高の大型予算であります。増田知事は定例記者会見で、今回の予算について、ぜい肉を落とした筋肉がもりもりついているような予算、緊縮型の予算と述べていますが、これまでの異常な公共事業大盤振る舞いの予算を総額でさらに上回る内容となっているのに、ぜい肉を落とした緊縮型の予算となぜ言えるのでしょうか。特に、公共事業の総額は2、970億円で、昨年とほぼ横ばい。県単独事業は、そのうち1、246億円で6.5%も増加しています。その結果、来年度末の県債残高はついに1兆2、000億円を超えました。これは、県民1人当たり約85万円の借金です。公債費も初めて1、000億円を超え1、089億円余、前年比で11.1%も増加しています。これは毎日約3億円の借金を返済することになります。
 知事に質問しますが、総額8、963億円余の予算は、これまでの異常な大型開発、公共事業優先で、県民に借金を押しつけてきた予算と同じではないでしょうか。違うというなら、何が違っているのか示していただきたい。
 また、今回の県予算は、645兆円という世界一の借金大国となった小渕自自公政権の破滅型の公共事業優先、財政破綻のやり方に追随するものではないでしょうか。
 こうした予算編成となった背景には、昨年8月策定された岩手県総合計画があります。これには、新しい施策も一部盛り込まれているものの、事業計画で前期7年間で4兆2、000億円の総事業費、そのうち投資的事業、いわゆる公共事業はその87%、3兆6、800億円にも及ぶものであります。これは年平均6、000億円、公共事業の規模は5、260億円となるものであります。
 増田知事は一昨年、知事講話などで、国の経済対策に極めてまじめにおつき合いしてきた結果、県債残高9、000億円と、年間の予算額を超える今の財政状況を招いてきている、右肩上がりの発想を、今、脱却しなければならないと述べていました。私は、この発言を注目して、その具体化と実行を求めてきましたが、県の総合計画は、まさにこれまで以上の右肩上がりの公共事業優先の計画となったのではないでしょうか。県財政の破綻は、増田県政のもとで加速されました。県債残高はこの5年間で6、679億円から1兆2、017億円へ5、338億円も増加し、1.8倍となったのであります。知事は、この責任と財政再建をどのように考えているか、お聞きいたします。
 県財政破綻の最大の原因は、公共事業の異常な拡大にあることは明らかであります。この10年間に、普通建設事業は約2、000億円、構成比30%から、98年度では3、467億円、構成比37.6%と、額で1、500億円増、1.5倍、構成比でも約10%近くふやされました。特に県単事業は580億円から1、414億円へ、2.4倍にもふやされたのであります。公共事業優先のこの構造的ゆがみをただして、予算の主役を公共事業から福祉、暮らし、教育に転換すべきと考えますがいかがでしょうか。
 公共事業をふやし続けても、景気回復に結びつかないどころか、雇用の減少となっているのではないでしょうか。県内における公共事業費と就労者数の推移を85年度、90年度、98年度の公共工事着工統計年度報より示していただきたい。
 第2に、大型開発、公共事業の見直しについて質問いたします。
 盛岡駅西口に、県は200億円から220億円の事業費をかけて、多機能型複合ビルを建設しようとしています。これは、さきにビル建設ありきで、ビルの中心は全国にも例のない図書情報総合センターを組み込むというものであります。深刻な県財政のもとで、大型ビルを建設する緊急性はどこにあるのでしょうか。全国に例のない図書館の機能を持つ図書情報総合センターを組み入れたのはなぜでしょうか。採算性を考えない公共施設としたのはなぜでしょうか。200億円の事業費は、利子償還分を含めると幾らになるでしょうか。その管理運営費、維持費の見通しも示していただきたい。
 すこやか子どもランドは総事業費58億円で、一戸町奥中山地域に建設の計画で、来年度予算にも9億円余が盛り込まれています。火山灰土の軟弱な地盤の上に、都市部から離れた地域で大型児童館を建設する緊急性、重要性はどういうことでしょうか。年間約13万7、000人の利用者を見込んでいますが、毎年13万人余が利用するという根拠はあるのでしょうか。財政の分野でどのような査定、検証がなされたのか示していただきたい。また、償還分の利息を含めると事業総額はどうなるでしょうか。維持管理費についても示していただきたい。
 私は、深刻な県財政の危機、年間予算を大幅に上回る県債残高を抱えている現状では、このような不要不急と思われる大型開発は少なくとも凍結をして慎重に検討、見直しすべきと思いますが、いかがでしょうか。
 胆沢ダムの基本計画の変更について、県知事の異議がないという議案が本日提出されることになっています。この基本計画の変更は、当初事業費1、360億円が2、440億円と1、080億円も増加するものであります。これによって、岩手県の負担は新たに100億円増加します。見直すというなら、当初計画の1、360億円の巨大なダムが本当に必要なのかを検討すべきではないでしょうか。
 また、この10年間で農地は減反で減少をし、基盤整備も進んでいます。現在使用している農業用水の1.7倍もの必要水量は、見直すべきではないでしょうか。水道用水もここ5年間を見ると横ばいで、自己水源で間に合っています。なぜ巨大ダムに頼らなければならないか、見直すべきではないでしょうか。
 今、世界の流れは、巨大ダムの時代は終わったと言われています。環境首都を目指すというなら、国言いなりの胆沢ダムの無謀な計画変更の見直しこそ求めるべきではないでしょうか。
 大規模林道川井住田線は、この間の猛禽類のモニタリング調査で、計画路線上にレッドデータブックに絶滅危惧種とされているクマタカが3つがいも生息していることが明らかになりました。森林開発公団も、ルートの見直しやトンネル化を検討するとしていますが、開設工事が続けられています。環境を県政の柱に据え、レッドデータブックをまとめようとする県が、こうした工事の継続を許していいのでしょうか。少なくとも、工事を凍結し、工事と工事後の影響を含めた科学的な環境アセスメントを実施すべきではないでしょうか。
 第3に、雇用危機の打開と中小企業対策についてお聞きします。
 緊急地域特別対策事業の今年度の実績は、当初の計画に対して実人員でどう見込まれているのでしょうか。一部に、学生アルバイトを活用したり、奨励金やお祝い金に使用されるなどの趣旨から離れた実態も指摘されていますが、なぜこのような事態が起きたのでしょうか。来年度の事業として6億円余が計上されていますが、雇用実人員の見込みはどうでしょうか。事業実施に当たって、求職者の要望やアンケート調査などは実施したのでしょうか。
 雇用対策の決め手は、残業時間の短縮であります。県内労働者は1人年平均124時間の残業を行っていますが、これを解消するだけで県内2万8、000人の雇用に相当します。県の雇用対策として残業の解消を働きかけるべきと思いますが、どう取り組まれているでしょうか。特に、数字にはあらわれないサービス残業の根絶は、政府自身が重大な犯罪行為と認めているように、直ちに解決すべき問題であります。県は率先して、県職員の1人平均年間120時間のサービス残業を解消して雇用増に結びつけるべきと考えますが、いかがでしょうか。具体的に県職員のサービス残業は、何人の雇用に相当するのでしょうか。
 雇用を守る上で、大企業のリストラ、誘致企業のリストラへの規制が求められています。東芝、富士通、NECなど、県内に進出している大企業は地域経済で大きな役割を果たしていますが、内部留保をため込む一方で人員を削減し、地元からの新採用を減らしています。実態をどう把握しているでしょうか。
 最近、誘致企業の撤退、工場閉鎖が相次いでいますが、その共通した特徴は、生産拠点を海外に移していることであります。こうした一方的な撤退、工場閉鎖を許すことなく、整理、解雇4条件を徹底させ、労働者の雇用と権利を守る取り組みを強めるべきと考えますが、どう取り組まれているでしょうか。雇用を拡大する上でも、企業数の99%、従業員数の79.5%を占める中小企業対策を強化することは極めて重要であります。来年度予算の中小企業対策は、総額、比率、金融対策を除く額と比率、これはどうなっているでしょうか。本県経済の産業を牽引する原動力にふさわしいものとなっているでしょうか。
 官公需の県内中小企業発注比率の今年度見通しはどうでしょうか。昨年度は76.9%でありました。全国的には福井県が94%、石川県、北海道、山梨県、福島県、青森県が85%以上、秋田県も82.3%となっています。本県でも、10%高めるだけで約280億円の仕事を地元中小企業にふやすことができます。少なくとも私は、85%以上に官公需の地元中小企業向けを高める目標で取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。また、昨年の本会議での私の質問の答弁に対して、発注比率が高まるようさらに努力するとの答弁がありましたが、具体的にどう努力されてきたのでありましょうか。
 日栄や商工ファンドなどの悪徳商法による商工ローン被害が全国で60万人、県内でも広がっていますが、実態をどう把握されているでしょうか。県として重大なことは、知事登録のノンバンクであります。日栄や商工ファンドとほとんど変わらないやり方で、過剰貸し付け、40%の高金利、違法まがいの取り立て、根保証問題など、目に余る事態が見受けられますけれども、県としてどう実態を把握し、監査などを指導しているのでしょうか。悪質な業者については、知事登録を取り消すべきと考えますが、どうでしょうか。
 次に、介護保険の準備状況と緊急に求められている改善すべき課題について質問いたします。
 実施まであと20日余りとなりましたが、2月末の介護認定の状況、ケアプランの作成状況はどうなっているでしょうか。4月実施に間に合わない市町村が生まれかねないと思われますが、どうでしょうか。
 1月末の要介護度分布を見ると非該当、いわゆる自立と判定された在宅の高齢者が県平均12.1%となっています。全国平均が3.2%ですから、岩手県の自立判定率が高いと思われます。その理由は何でしょうか。介護保険制度は、制度発足に当たって国の負担割合を大幅に引き下げた結果、高齢者と国民に重い負担を強いる過酷な制度となりました。一方で、1、000人を超える特養ホームの入所待機者に見られるように、介護サービス基盤の整備が立ちおくれ、5年後の計画も602名の施設サービス必要数の増しか見込まれていません。これでは、入所待機者も入れない、新たに希望する人は全く入れない、こういう貧困な事業計画になっているんじゃないでしょうか。
 私は第1に、保険料、利用料を払えない低所得者に対する減免制度を一時しのぎではなく恒久対策として確立すべきと思いますが、県はどう考え、対応しようとしているのでしょうか。県の介護保険事業支援計画案に対する県内での懇談会や県民からの減免の要望に対して、県は事業実施段階で検討するとしていますが、どういう内容でしょうか。
 第2に、介護認定された高齢者が必要なサービスが受けられる介護サービス基盤の整備を優先して実施することであります。特に、これまでのサービスが後退しない対策が必要です。特養ホームの入所待機者は、昨年の9月末で1、063人でありました。これは、申請をかなり抑制された数だと思います。この入所待機者は介護保険の実施によって解消されるのでしょうか。
   〔議長退席、副議長着席〕
 私は、県内の特養ホームの方々に実情を聞いてきましたが、入所待機者は変わらず、新たに介護認定を受け高齢者の入所相談が寄せられているということでした。これでは、介護保険の実施とともに、特養ホームに入所したくても入所できない方は逆に大幅にふえるのではないでしょうか。来年度の特養ホームの設置計画と具体的な建設の見通し、老人保健施設の計画と建設の見通し、また、県の計画の見直しについて示していただきたい。
 介護保険は在宅重視と言われてきましたが、逆にサービスが後退して在宅介護が成り立たない、こういう事態も予測されます。これまで在宅介護で頑張ってきた高齢者はショートステイを積極的に利用してきました。98年度のショートステイ利用実人員は4、461人、年間利用日数は平均41.3日、1回当たりの利用日数は11日となっています。ところが、介護保険になると、毎月1週間のサービスを受けられるのは介護度が5の最重度の高齢者だけであります。介護度3、4でも半年間で3週間、21日、介護度1、2では2週間、14日しか最大受けられなくなります。介護者が病気などで介護ができなくなると、自費でショートステイのサービスを受けなければならなくなりますが、改善の措置をとるべきではないでしょうか。
 第3の問題は、自立と判定された高齢者の対策であります。これまでの介護サービスが引き続き受けられるよう、全市町村で福祉サービスの計画と体制を確立すべきと考えますが、12事業がどう具体化されているのか、また、福祉サービスの場合の高齢者の負担はどうなるのか示していただきたいと思います。
 次に、少子化対策についてお聞きします。
 岩手県少子化に関する意識調査によると、出生率の低下の原因として挙げられている第1は、子育てや教育にお金がかかり過ぎる、男性64.2%、女性63.2%ということです。子育ての不安や悩みの第1も、子育てにお金がかかる、男性52.4%、女性49.3%となっています。深刻な不況も相まって、子育ての経済的負担が少子化の大きな要因となっていることは明らかであります。
 有効な少子化対策として、私は、乳幼児の医療費助成を就学前まで拡充すべきと思いますが、いかがでしょうか。隣の秋田県が、全国に先駆けて来年度から就学前までの医療費助成を実施します。県都の盛岡市も、来年度から就学前までの助成を実施します。既に県内では16市町村に広がっており、さらに拡大する状況であります。県としても、総合計画、岩手県保健福祉計画では、結の心・子育て環境日本一を目指すとしています。今こそ就学前までの医療費助成を真剣に検討し、実施すべきではないでしょうか。
 高過ぎる保育料の軽減も切実な課題であります。東北各県の保育料軽減率を見ると、秋田県が44.8%、青森県が36.4%、山形県が27.0%で、岩手県は最低の23.4%です。秋田県、青森県の軽減率が高いのは、県として第3子の保育料無料化を実施しているからであります。既に県内では、市町村が第3子無料化を実施して成果を上げています。県として保育料第3子無料化を実施すべきではないでしょうか。
 環境問題についてお聞きします。
 一昨日の新聞報道で、盛岡・紫波地区環境施設組合における一般廃棄物、焼却灰、燃え殻等の不適正処理問題が明らかにされました。この間の経過と県の対応について示していただきたい。
 次に、教育問題について質問いたします。
 県立高等学校新整備計画が1月24日明らかにされました。昨年5月に新整備計画案が明らかにされて以来、かつてない規模で県内各地から見直し、反対の要望と運動が展開されました。県議会でも活発に議論され、昨年9月県議会では、県民の理解が十分得られていないとして、県民の理解を得られる計画の策定に特段の努力を求めるとする決議も採択されました。これまで何市町村、何団体から見直し等の要望、陳情がなされたのでしょうか。その要望はどのように最終計画に反映されたのか示していただきたい。
 また、計画は一部の見直しにとどまっていますが、県教委の計画に対して、了解、合意していない市町村とその理由について示していただきたいと思います。
 私は、県教委による県立高等学校新整備計画は、県民の世論と運動を反映して花巻農業と北上農業の統合による専門高校を存続させることは評価いたします。しかし、ほとんどは当初の計画案どおりの内容となっています。県民の理解が得られたと言いがたいものと考えますが、いかがでしょうか。
 紫波高校と一戸高校の総合学科への転換については、現在でも地元自治体が強く見直しを求めています。広田水産高校の水産学科についても存続の要望が続いています。引き続き市町村や地域から反対の声と運動があっても、この計画は強行されるのでしょうか。
 県立高校の再編・統廃合計画の最大の問題点は、この計画が学校と地域の現場からの実践と努力、検討から出発せずに、文部省の教育改革プログラムに基づいて、高校のさらなる多様化、高校間格差を拡大する上からの計画の押しつけになっていることであります。計画を作成する上で、現場からの改革の検討はどうなされたのでしょうか。なされないとすれば、なぜでしょうか。増田県政は、現場重視、現場で物事を考え、解決する姿勢を示していますが、県教育委員会は、現場重視の立場をなぜとらなかったのでしょうか。
 文部省は、現在、全国に3校しかない中高一貫教育を選択的に全国500校に広げようとしています。県教委も文部省の委嘱を受け中高一貫教育研究会議で検討し、報告書案では、連携型の中高一貫教育を推進することが適当であるとしています。さらに、中高一貫教育においては総合学科等の高等学校が望ましいとしています。選択的に一部に中高一貫教育校を導入することは、中学校の段階から生徒を選別し、受験競争を小学校段階にまで持ち込むものではないでしょうか。中高一貫教育の導入は、戦後民主教育の単線型の学校体系を戦前のような複線型に根本的に変更するものであり、その弊害ははかり知れません。
 県教委は、中高一貫の教育校をいつまでに導入しようと考えているのでしょうか。その際、高校は総合学科を導入しようとするのでしょうか。新整備計画との関連を含め、示していただきたいと思います。
 今、子供たちが高校に求めていることは、進学率が97%を超え、生徒が減少している中で、受験競争のない、希望者全員が入学できる高校、身近な地域で学ぶ喜びが培える高校ではないでしょうか。また、生徒が減少するこの時期にこそ30人学級を実現し、行き届いた教育と地域と結びついた高校を守り、発展させることではないでしょうか。高校で30人学級を実現すれば385学級増加し、90学級削減しようとする高校の再編・統廃合計画は基本的に必要なくなるものであります。県教委は、こうした子供たち、父母の願いにどうこたえるつもりか。小中学校を含め、30人学級の実現について、向こう10年間どういう見通しを持っているのか示していただきたいと思います。
 次に、米軍機F16の釜石への墜落事故から1年余が経過しましたが、米軍機による危険な低空飛行訓練の中止を求める課題について質問いたします。
 増田県政は、この間、米軍機の事故報告書を仮訳、公表し、北海道東北知事会でも米軍機の低空飛行訓練の中止を求める決議を上げるなど、積極的な対応を行ってきました。1月23日の米軍機墜落事故1周年を記念する釜石シンポジウムには、増田知事、山内県議会議長がメッセージを寄せられ、高知、広島、北海道、東北各県から参加した400名を超える参加者を大きく激励し、県民の共同を広げる機会となりました。
 改めてお聞きしますが、昨年の墜落事故を起こした際の在日米軍の演習通報では、演習の内容と区域はどう県に通知されていたのでしょうか。
 米軍機事故報告書では、事故機の訓練ルートと訓練内容は具体的にどうなっていたでしょうか。
 墜落事故を起こした米軍三沢基地配備の第35戦闘航空団の任務、役割、これまでのAクラスの重大事故の状況についてどう把握されているのでしょうか。
 事故報告書で明らかとなったF16戦闘機による低空飛行訓練は、日米安保条約と日米地位協定にも反する無謀、無法な、そして県民の生命と安全にかかわるものだと思いますが、いかが受けとめていますか。
 米軍機の無法で危険な低空飛行訓練を中止させるためには、県民の世論と運動を一層発展させるとともに、東北、北海道各県との共同を発展させることが必要だと考えます。ことしの4月15日から16日に、岩手県と同様墜落事故のあった高知県本山町で米軍機の低空飛行訓練の中止を求める第2回全国交流集会が開催されます。岩手県にも参加の御案内があると思いますが、積極的に参加すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 知事の政治姿勢にかかわってお聞きいたします。
 知事選任の海区調整委員会会長の鈴木甚左エ門氏は、昨年、みずから組合長を務めていた大沢漁協から除名されました。さらに、県漁連理事選任に関して、漁協組合員の圧倒的多数の賛同によって解任を求められました。私は、知事の選任は、その趣旨からいっても、昨年の一連の事態と圧倒的多数の漁民の世論と運動からいっても正しくなかった。極めて政治的な選任だったと思われますが、どうでしょうか。誤りは直ちに直すべきではないでしょうか。県民にわかりやすい県政を唱えるなら、この問題をあいまいにせず、決着をつけるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、県警本部長にお聞きいたします。
 神奈川県警に続いて、最近、新潟県警と警察官僚の重大な不祥事が引き起こされましたが、どう受けとめているでしょうか。
 岩手県警に対する特別監察は、いつ、どういう目的、内容で実施されたか示していただきたい。
 県警本部の情報公開はいまだ実施されていませんけれども、どう検討され、いつごろから実施される見通しか示していただきたい。
 以上で私の一般質問を終わります。答弁によっては再質問を行います。御清聴ありがとうございました。
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、当初予算についてでございますが、本県財政は、県税収入などが伸び悩む一方で、公債費などの義務的経費が増嵩するなど厳しい環境が続いております。こうした中で、平成12年度の予算編成につきましては、中期財政見通しを踏まえながら、財政の健全化に最善の努力を傾注いたしまして、また、岩手県総合計画に盛り込まれた環境、ひと、情報を中心に、これからの新しい岩手の方向に対応したさまざまな分野の施策の芽出しということを行いますとともに、また、この4月から施行されます介護保険制度の円滑な導入や地方分権の推進といった現下の最重要課題にも積極的に対応するということで編成を行ったものでございます。
 こうした編成に当たりましては、県債の発行を抑制いたしますとともに、限られた財源を効果的に活用するということで、事務事業評価などの評価手法に基づいて、緊急度と優先度の高い施策を厳選したところでございまして、特に公共事業についていろいろお話ございましたが、こうした公共事業につきましては、新規箇所を抑制して142カ所ほど減らし、継続事業にそれを積むといったようなことで、その継続事業の大幅な進捗を図るなどによりまして特に重点化に努めたところでございます。
 次に、県債残高と今後の財政運営についてでございますが、県債残高の増加した要因は、大きく分けて二つあると思っております。
 一つには、本県において、活力に満ちた地域社会づくりということで、これまで立ちおくれておりました生活、産業両面にわたる基盤の整備を積極的に推進してきたことによるものでございまして、特にも、平成4年度以降の国の経済対策なども活用しながら、本県にとって効果的な公共事業を推進してきたことや、東北新幹線の盛岡以北の整備や県立大学の開設を初めとする県政の重要課題に対応した県単独事業などについて、後年度の償還財源に交付税措置のある県債を活用しながら実施してきたことによるものでございます。
 以上が第1点目でございますし、大きく分けて二つ目の方でございますが、それは、平成6年度以降の地方財源不足や、住民税等の恒久減税といった措置が行われたんですが、その減収補てんのため、地方財政全体の対策として財源対策債を発行してきたということによるものと考えております。この財源対策債については、将来的には国によりその償還が約束されているというものでございますが、そうしたことによって公債の発行残高がふえてきたということによります。
 今後の財政運営についてでございますが、中期財政見通しを踏まえて、資産と負債の関係をやはり明らかにする必要があると思っておりまして、このために、平成13年度に本格導入するバランスシートなどのいわゆる発生主義会計方式の考え方による分析の成果を取り入れながら、中長期的な見通しのもとに、適切な財政運営に努めるということが必要だろうと思いますし、国に対しては、地方財源不足対策としての地方債の発行はできるだけ抑制する、避けるということで、やはり本筋は地方一般財源の充実強化が図られることが必要でありますので、そうした充実強化が図られるよう強く働きかけたいと、このように考えております。
 次に、鈴木甚左エ門氏の海区漁業調整委員会委員の選任について、今、お尋ねがございましたが、平成8年に知事選任委員ということで人選をしたわけでございますが、この際には、本県漁業を取り巻く環境がますます厳しくなっているということを考慮して、漁業に関して豊富な経験を有しておりますし、全国の漁業団体の役員も経験されているということで鈴木氏を選任させていただいたところでございます。鈴木氏には、その豊富な経験を生かし、任期が本年の8月までということでございますので、そうした任期を全うしていただきたいと考えております。
 また、次期委員の選任ということがまたその際に起こるわけでございますが、次期委員の選任に当たりましては、この海区漁業調整委員会の設置目的や役割、また、その時点における本県漁業の状況などを総合的に勘案しながら厳正に人選をいたしたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承お願いいたします。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕

〇総務部長(武居丈二君) まず、予算の主役を福祉、暮らし、教育へ転換することについてでございます。
 平成12年度当初予算では、岩手県総合計画に盛り込まれました重要課題である環境、ひと、情報を中心に、快適で安心して暮らせる社会、あるいは個性が生かされ、共に歩む社会など五つの社会の実現に向けまして、主要な施策につきまして重点的な配分に努めたところでございまして、今後ともその着実な展開を図ってまいりたいと考えております。
 また、県民の快適で健康な暮らしを支えるための基礎的な条件である生活あるいは産業基盤の整備につきましては今後とも必要であると考えておりますので、事務事業の評価制度などを活用しながら、より重点的、効率的に取り組んでまいる考えであります。
 次に、大型開発の見直しについてでありますが、総合計画に盛り込まれました各種プロジェクトにつきましては、県民の方々の御意見をお聞きしながら、事業評価や将来の財政負担も考慮し、十分な検討を加えながら進めているものであります。
 今後におきましても、総合計画の着実な推進、それから、一方で中期財政見通しを踏まえました適切な財政運営の確保、こういった両面の要請にこたえられるよう最善の努力を傾注してまいる考えであります。
 次に、県職員の超過勤務の解消と雇用増についてでありますが、職員数につきましては、厳しい行財政環境のもと、最小の経費で最大の効果を上げるべく、不断に事務事業の見直しを行い、事務の簡素化、効率化を図り、また、超過勤務の縮減にも努めながら、極力その増加を抑制しているところでございまして、職員の超過勤務の問題を雇用の増に直ちに結びつけて考えることにつきましては適当ではないのではないかと考えているところでございます。
 次に、米軍機F16の墜落事故に関連しました質問について幾つかございました。
 まず、事故発生時の演習通報の内容と区域につきましては、三沢対地訓練地域において空対地射爆撃訓練を、それから、北部本州空戦区域などにおきまして空対空訓練をそれぞれ行う旨の内容となっておりました。
 次に、事故機の訓練ルートと訓練内容につきましては、事故機は、基地を離陸した後、二、三のポイントを通過し模擬地上襲撃訓練を実施し、引き続き他の飛行中隊との空対空迎撃訓練を行う予定だったとされているところでございます。
 次に、三沢基地所属の第35戦闘航空団の任務、役割についてでございますが、政府見解等によりますと、日米安全保障条約の目的達成という枠組みの中で任務等が行われているものと理解しているところでございます。
 また、事故の発生状況についてお尋ねがございましたが、本県で発生しました墜落事故──これは昭和63年9月に川井村で発生してございますが──、それから釜石で起こった事故、これがF16による事故であると承知しているところでございます。
 次に、米軍機による低空飛行訓練をどうとらえているかについてでありますが、低空飛行訓練につきましては、住民生活の安全にかかわる大変重要な問題であると考えておりまして、これまでにも県として、単独で、あるいは先ほど御質問にもございましたように、本県から呼びかけまして北海道東北地方知事会として、住民生活に影響を与える低空飛行訓練等の中止を含めた安全対策の徹底につきまして国に対して要望してきたところでございまして、今後も引き続き同様の認識に立って対応してまいりたいと考えております。
 次に、高知県で開催される第2回全国交流会への対応についてでありますが、本県におきましては、先ほども申し上げましたように、昨年10月に北海道東北地方知事会議において、共通の課題を持つ道県で連携して対応していこうということで要望を行ったところでございまして、本県といたしましては、今後におきましても引き続き北海道東北地方知事会を中心に行動してまいりたいと考えているところでございます。
   〔土木部長中山隆君登壇〕

〇土木部長(中山隆君) まず、県内におきます公共事業費と就労者数の推移についてでございますが、建設省の建設経済局の公共工事着工統計年度報によりますと、公共工事の総工事費評価額でございますが、85年度で1、600億2、400万円、90年度で2、428億400万円、98年度で3、255億9、400万円、労働者延べ就業予定数でございますが、1日当たり換算いたしまして、85年度で2万2、500人、90年度で2万8、500人、98年度で1万9、200人となっております。
 次に、胆沢ダムの基本計画の変更についてでございますが、北上川流域の治水対策は、昭和16年から多目的ダム群による洪水調節を骨子とする治水事業が進められてまいりました。しかし、戦後、カスリン、アイオン台風等で甚大な水害を受けまして、さらに、流域の発展に伴いまして、洪水被害は増加の傾向にありました。こういったことから、国におきまして、昭和48年に、北上川の治水安全度の向上を図るため、北上川水系工事実施基本計画を改定したところでございます。
 それによりますと、胆沢ダムは、北上川上流のダム群の一つとして、一関遊水地とともに北上川の治水対策上のかなめとして位置づけられております。そして、その基本計画でございますが、平成元年10月に本議会の同意を得て建設が進められてきたところでございます。特にも、昭和56年、平成2年、それから、平成10年8月末の豪雨による洪水が頻発しておりまして、その被害額も甚大でありますことから、早期完成を図る必要があると考えているところでございます。
 農業用水につきましては、圃場整備等の基盤整備による用排水路の分離や湿田の解消等による増加と転作による用水量の減少を見込んだものでございます。胆沢平野地域では恒常的な農業用水不足に悩まされており、例年、番水、取水制限等を余儀なくされている現状にあり、安定した水源の早期確保が望まれております。
 また、水道用水につきましては、平成10年度に胆江広域水道企業団が水需要予測を見直した結果、水道普及率の上昇による給水人口の増加や水洗化等の生活様式の向上により、既存の自己水源だけでは、例えば平成26年度には1日当たり約3万立方メートル、平成40年度におきましては1日当たり約4万3、500立方メートルの不足が見込まれますことから、安定水源への転換を含めまして胆沢ダムへの利水参加が必要と考えているところでございます。
 このように、日本で有数の、東北一の北上川の治水対策、それから、発展を遂げます胆江地域におきます水源の確保は喫緊の課題であり、現計画規模は必要であると考えており、県といたしましても、引き続き事業推進に必要な予算の確保と早期完成を強く国に働きかけてまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕

〇企画振興部長(渡辺勲君) 盛岡駅西口の複合施設の整備についてでございます。
 この多機能型複合施設は、岩手県総合計画の理念を具体化し、21世紀の新しい岩手づくりを進めるための拠点として早期の整備が必要であることに加え、導入する施設につきましても、図書情報総合センター、国際交流センターなど既存施設の狭隘化や老朽化が顕著な施設であるほか、新しい行政ニーズに対応し、県民の皆さんの活動拠点となる県民活動支援総合センターや高次都市機能の充実を図るためのコンベンション施設など、いずれも早期に整備が必要なものでございます。
 それから、図書情報総合センターにつきましては、この西口地区が交通の結節点であることによる多くの県民の幅広い利用や複合施設内の他の施設との相乗効果が期待されるほか、複合施設として一体的に整備することにより、建設費と維持管理費の大幅な軽減が図られるなどの効果が見込まれること等々から、これに導入することとしたところでございます。
 また、この施設は、広く県民が集う県民利用型の多機能型複合施設として整備しようとするものでございまして、こうしたことから公共施設を主体に構成したところでございます。
 事業費についてでございますが、可能な限り、交付税措置のある優良な県債の導入に努め、仮に建設事業費を200億円として現行の金利水準など一定の償還条件で試算いたしますと、おおむね220億円になるものと見込んでございます。
 それから、維持管理費についてでありますが、類似施設の実績等をもとに算出いたしますと、概算で年間5億8、000万円程度となるものと見込んでおります。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) まず、仮称すこやか子どもランド整備事業の見直しについてでありますが、今後、少子化が進行する中で、子供同士の交流の機会の減少、子供の自主性や社会性がはぐくまれにくくなるなど、子供自身の健やかな成長への影響が懸念されており、子供が健全に育つ環境づくりが喫緊の課題となっております。
 こうした状況を踏まえ、児童健全育成の先駆的な取り組みや遊びの指導者の育成などにより、全県的な健全育成活動の向上を図っていくことなどが必要であることから、仮称すこやか子どもランドを整備することとしたものであります。利用者見込み数は、平成7年度に実施いたしました県内の小中学校等を対象とした利用意向調査などをもとに、年間約13万7、000人と概算で推定を行ったものであり、さらに魅力ある施設となるよう、現在、運営方法等について有識者等からなる検討会を設け検討しております。
 整備に当たっては、自然環境との一体感や隣接の施設の状況等も考慮しながら、屋内スケート場や温泉施設を取りやめるなど、一部施設の見直しを行ったところであります。
 総事業費については、県債の利息の発行時の金利情勢等にもよりますが、現行の金利水準など、一定の償還条件で試算するとおおむね65億円と見込んでおりますが、可能な限り交付税措置のある優良な県債の活用に努めてまいりたいと考えております。
 維持管理費については、現在、概算で年間1億円から2億円程度と推計しておりますが、昨年11月に設置した運営検討委員会での意見等も聞きながら、極力経費の削減を図ってまいりたいと考えております。
 次に、介護保険制度についてでありますが、2月末現在で要介護認定申請見込み者のうち、審査が終了した者の割合は約73%、在宅の要介護認定申請見込み者のうち、居宅介護支援事業者にケアプランの作成を依頼している者の割合は約35%となっております。県といたしましては、準備の最終段階に当たり、介護保険制度が円滑に施行されるよう、市町村と一体となって努力をしてまいります。
 また、本県における要介護認定の自立者の割合は、在宅の要介護認定申請者について全国平均より高くなっておりますが、その主な理由としては、これまで積極的にデイサービス等を利用してきた比較的自立度の高い方々が要介護認定申請をしているためではないかと考えております。
 低所得者における保険料、利用者負担の減免等については、その軽減が図られるよう国に要望してきたところ、一定程度制度に反映され、その具体策が示されたところであり、まず、これらの軽減措置が適切に運用されるよう県民や市町村等に周知するとともに、これらの事業を実施する市町村等を支援していくことが必要と考えております。
 また、来年度の特別養護老人ホーム及び老人保健施設の設置計画と具体的建設の見通しにつきましては、市町村介護保険事業計画を踏まえこれらの整備計画を立てており、市町村の取り組み状況もあり、特別養護老人ホームは計画見込み5、020床に対し4、774床、老人保健施設は4、900床に対し4、789床が整備予定となっております。
 なお、昨年でありますが12月末現在の施設等入所されていない在宅の待機者は213人であり、来年度、特別養護老人ホームは290床増床となるので、入所が必要な方々の定員は確保される見込みとなっております。
 介護保険によるショートステイの利用限度日数につきましては、介護保険制度施行後の利用状況等を見て、必要があれば国に要望してまいります。
 また、自立と判定された高齢者が介護予防や生活支援サービスを受けられるよう、県におきましては、市町村に高齢者保健福祉計画のひな型を示しながら、必要な支援をしているところであります。
 なお、利用者負担については、介護保険サービスと類似する事業は、介護保険と同率程度の負担を求めることが基本となっております。
 次に、少子化対策についてでありますが、乳幼児医療費助成につきましては、平成10年8月から2歳引き上げて4歳未満児までとしたところであり、また、子育て環境の整備につきましては、県民の多様な保育ニーズに対応するため、県単独ですこやか保育支援事業を創設するなど、保育サービスの充実に努めているところであります。
 乳幼児医療費助成の拡充や保育料の第3子無料化については、少子化対策としての施策の効果等も勘案しながら慎重に対応すべきものと考えております。
   〔林業水産部長佐藤克郎君登壇〕

〇林業水産部長(佐藤克郎君) 大規模林道川井住田線についてでありますが、事業主体の緑資源公団が平成9年から行っているクマタカ等猛禽類のモニタリング調査、これは環境庁のマニュアルに従った手法により繁殖状況の調査や行動圏あるいは高利用域、営巣中心域などについて解析が行われているものであり、県といたしましては、猛禽類に関する調査として適切に実施されているものと考えているところであります。また、公団では、これらの調査結果に基づき、工事の実施時期への配慮や車両の運行方法等、工事計画の工夫により環境に配慮した工事を実施していると認識をいたしております。
 公団では、稜線部の植生の連続性の確保や土石流危険渓流への影響を回避するため、ルートの見直しやトンネル化を検討していると聞いておりますが、そのルートや工法等が見直され、具体的な計画変更に当たりましては猛禽類に関する影響について調査するなど、環境に対して十分配慮するよう要請してまいりたいというふうに考えております。
   〔商工労働観光部長合田武君登壇〕

〇商工労働観光部長(合田武君) まず、緊急地域雇用特別基金事業についてでありますが、平成11年度の実雇用予定者数は、当初計画で県・市町村事業あわせて2、700人強となっております。現時点では、まだ実績報告が提出されておりませんが、ほぼ同様に推移するものと見込んでおります。また、来年度計画における実雇用予定者数は、県・市町村事業あわせて2、500人強となっております。この事業は、昨年7月の臨時国会で予算措置されたものでございますが、県といたしましては早急に事業を実施し、県内における雇用機会を創出すべきとの観点からいち早く情報収集に努め、市町村に対する説明会を行ったところでございますが、制度の趣旨の徹底が不十分だったことや、市町村にあっては初めての労働環境の事業でもあり、一部に不適切な事例も生じたものと考えております。
 なお、事業の実施に当たっては、直接的には求職者の要望やアンケート調査などは実施しておりませんが、可能な限り公共職業安定所を通じて、求職者の意向に沿うよう指導しているところであります。
 次に、労働者の残業の解消についてでありますが、毎月勤労統計調査によりますと、県内の労働者1人当たりの所定外労働時間は、平成10年度は前年度と比較すると14時間減少しております。県といたしましては、今後とも関係機関との密接な連携を図りながら、労働時間短縮に向けて普及啓発活動を一層推進し、労働者の福祉の向上に努めてまいる考えであります。
 次に、県内に進出している大企業の人員削減、新規雇用などの実態についてでありますが、従業員規模300人以上の企業における過去3年間の人員削減は、3件で111人となっております。また、新規雇用につきましては、全体として新規雇用を差し控える傾向にあり、新卒者の採用数も年々減少しているやに聞いているところでございます。
 次に、企業の撤退、工場閉鎖等に伴う従業員の解雇問題についてでありますが、あらゆる労働者は労働基準法等により雇用等の労働条件は守られるべきものと認識しております。県といたしましては、不幸にして閉鎖等が避けられない場合であっても、企業主に対し従業員の削減を最小限にとどめることや、再就職について第一義的には企業側で解決することなどを強く要請しているところでございます。
 次に、来年度の中小企業対策に関する予算案についてでございますが、商工費の中で特に関係の深いものを積み上げてみますと、一般会計ベースで731億円余、歳出合計に対する構成比は8.2%で、このうち金融対策を除いた経費は71億円余、構成比では0.8%となっております。
 なお、歳出予算に占める商工費の割合を見ますと、本県は東北平均を上回る状況であります。
 次に、県の官公需の県内発注率についてでありますが、今年度の数値につきましては、年度途中でもあることから、現時点では見通しがつかめないでいるところでございます。
 目標設定につきましては、工事の種類等によりまして発注比率が変動をしやすい要素があることから、その意義は薄いものと考えております。
 なお、中小企業向けの発注比率を高めるために、各部局におきまして分離・分割発注に鋭意取り組んでいるとともに、岩手県中小企業団体中央会を通じまして、中小企業向けの発注情報の提供を行ってきたところであります。
 次に、県内の商工ローン被害の実態についてでありますが、日栄や商工ファンドなど、問題となっているいわゆる商工ローン業者は国登録の業者であり、国に照会いたしましてもその詳細がつかめていないことから、県としてもその実態を把握できない状況にあります。
 また、知事登録の貸金業者の実態把握につきましては、県において、貸金業規制法に基づく立入検査をすべての業者に対し原則3年に1度実施しておりますが、特に苦情の多い業者に対しては毎年検査を行い、法令等の遵守について強く指導しているところであります。さらに、県としては、問題のある業者に違法な事実が確認された場合においては、県警など関係機関との連携を図りながら、厳正に対処することとしております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕

〇生活環境部長(村上勝治君) 盛岡・紫波地区環境施設組合の一般廃棄物の処理問題についてでありますが、焼却灰等の保管につきましては、盛岡保健所が平成11年7月7日に、また、木くずの野焼きは本年2月3日にそれぞれ発見したといいましょうか、見つけまして、その場で組合に対して口頭指摘をいたし、その後改善が図られないために報告を求めたものであります。廃棄物処理法では、今回のような一般廃棄物の処理につきましては、市町村がみずから処理基準を遵守すべきであることを定めております。
 県といたしましては、市町村等に対して、一般廃棄物の処理方法の改善命令等を命じる立場にはございませんが、監督権限のある矢巾町に対しまして改善が必要である旨、法律上の用語として技術的援助と言いますけれども、情報提供を行ったものであります。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕

〇教育長(大隅英喜君) まず、県立高等学校新整備計画についてでありますが、要望や陳情につきましては、昨年5月の整備計画案公表以来、10市町村、18団体あわせて延べ45回の要望や陳情をいただいたところであり、これらの御意見と各地域の説明会等でちょうだいした御意見をも勘案して計画案を検証し、このたびの計画を策定したものであります。
 この新整備計画についてはおおむね御理解は得られたものと考えておりますが、なお幾つかの地域にあっては御意見のあるところであり、これは新しいタイプの高等学校について懸念をお持ちのこと、地域の教育の維持発展、子供たちの教育の充実という願いをともに持ちながらも、その具体の進め方、方法論において完全に一致しないことなどによるものと認識しているものであります。
 計画の推進に当たりましては、地域の方々の御意見をも伺いながら、新しい高等学校の整備に取り組んでいくものであり、そうした学校づくりの中で今後とも引き続き十分な御理解が得られるよう、努めてまいりたいと考えております。
 計画作成に当たっての現場からの改革の検討についてでありますけれども、県教育委員会といたしましては、整備計画の検討に先立って、中学生とその保護者の進路志望を調査し学校等から意見を聞くとともに、学識経験者、行政関係者、産業界代表などに委嘱して県立高等学校長期構想検討委員会を組織し、この委員会においてこれからの高等教育のあり方について検討する中で、県内9ブロックでの懇談会を開催して御意見を伺い、また、職員団体の代表者を招いて意見を聞いたところであります。
 整備計画案公表後におきましては、地域や学校で開催した説明会における御意見等も参考とし、全県的な観点に立ち、これからの高校生にとって望ましい教育環境を整備するため、十分検討を加えこのたびの新整備計画を策定したものであります。
 次に、中高一貫教育についてでありますが、これは6年間を計画的、継続的に教育する仕組みを整え、ゆとりのある安定的な学校生活の中で、生徒がその個性を伸ばす教育を展開しようとするものであり、現行の学校制度と並置することで、生徒や保護者の選択の幅を広げようとするものであります。
 中学校への入学に際しては、高等教育学校や併設型の中高一貫教育においても学力検査は行わず、面接や作文、小学校からの調査書、抽選等の方法で、受験競争の低年齢化を招かないよう工夫されるものであります。
 本県における中高一貫教育につきましては、現在、岩手県中高一貫教育研究会議における検討を行っておりますが、さらにまた研究推進校での実践研究も進めているところでありまして、その報告を受けまして、総合学科など接続する高校のあり方や今後における高校整備計画との関連などを含め、今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、30人学級についてのお尋ねでありますが、現在、国においては教職員配置のあり方等に関する調査研究協力者会議を設置して、40人学級やチームティーチングの効果など、現行の教職員配置改善計画の成果と課題につきまして検討を進めております。その検討結果に基づき、平成13年度から新たな教職員配置施策に着手できるよう、準備を進めていると聞き及んでおります。
 県教育委員会といたしましては、このような国の動向を踏まえ、教育環境の整備を適切に行ってまいりたいと考えております。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕

〇警察本部長(出原健三君) 初めに、不祥事案の防止対策についてお答えいたします。
 昨年秋の神奈川県警を初め新潟県警の不祥事案など、警察の不祥事が続いて発生したことは、まことに残念なことであります。県警察といたしましては、昨年末に不祥事が発生し、県民の皆様の信頼を損ねたことを深く反省するとともに、他県での不祥事例を教訓として、不祥事案の再発防止に努めているところであります。
 次に、特別監察についてでありますが、昨年の12月24日、警察本部と盛岡西警察署が東北管区警察局総務部長以下7名による特別監察を受けております。警察本部においては午前9時30分から午後3時まで、その後盛岡西警察署において午後5時過ぎまで、不祥事案防止対策としての職務倫理教養の実施状況を初め、業務管理や職員に対する身上把握と指導状況、各種対策の推進状況についての観察を受けたところであります。
 次に、県警察の情報公開についてでありますが、警察活動が円滑に運営されるためには、県民の皆様の理解と協力が不可欠であり、その意味からも情報公開の重要性については十分に認識しているところであります。
 一方、警察業務の全国的統一性、一体性の観点から、情報公開の仕組みや時期などについては全国的に整合を図る必要があると考えているところであります。
 このようなことから、平成10年12月の条例改正の際、岩手県公文書公開審査会は、公安委員会・警察を実施機関に加えることとしながらも、国の制度との均衡等に配意することが適当であるとの意見書を提出しており、この意見書を受けて実施機関に含まれなかったものと認識しております。
 県警察といたしましては、国や他県警察の制度との整合性や警察業務の特殊性から生ずる公開による県民生活への影響などについて検討するとともに、意見書の趣旨を踏まえ、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行後、速やかに適切な情報公開を実施できるよう準備を進めているところであります。

〇23番(斉藤信君) 大変簡潔でしたけれども、残念ながらかみ合わない答弁が多かったので再質問をさせていただきたい。
 第1は、県政推進の基本問題について私は伺いたいと思います。
 この間、公共事業を大幅にふやしてきた。構成比で10%、額で1、500億円ですよ。その結果、増田県政の5年間で6、000億円近い県債がふえた。1.8倍です。私はこの点で、増田知事が一昨年に言っていた右肩上がりの経済はもう続かないんだと、右肩上がりの県政は進まないんだと、そう言っていた言動というのは変わってしまったのか、その点で二つ聞きたい。
 一つは、645兆円の国、地方の借金。小渕政権は世界一の借金大国になったと言っています。ところが、財政再建の計画は一つも示さない。国のこの645兆円の借金をふやし続けるやり方について、知事はどうお考えでしょうか。
 もう一つは、今回の県の総合計画は、この自自公政権に追随するものではないか。1兆2、000億円も借金を抱え、本当なら節約しなければならない。支出を減らさなくちゃならない。それなのに、総合計画は4兆2、000億円、年間6、000億円の事業を進める右肩上がりの計画になっているんじゃないでしょうか。そういうやり方で本当に県民の暮らし、福祉が守れるのか、財政再建が守れるのか、このことを私は増田知事にお聞きしたい。
 例えば、盛岡市は最近第三次総合計画後期実施計画を明らかにしましたが、当初の見込みより44.1%マイナスの計画にしました。私はこういう点では、増田県政と盛岡市政というのは本当に今の深刻な財政危機に対する対応が違ったと、大幅に違ったと。増田県政のやり方というのは、自自公直結の追随の破滅型の推進になるのではないか。
 第2に、こういう公共事業拡大型のやり方が雇用に結びつかない、中小企業の仕事にも結びつかない。
 私の質問に対して、例えば1985年、公共事業、岩手県に投資された公共事業は1、600億円だったと。そして就労者は2万2、500人だったと。1998年、公共工事額は3、256億円、ほぼ2倍にふえました。就労者は1万9、200人ですよ。公共事業が2倍にふえて、就労者は逆に15年前よりも減っている。なぜかといいますと、この公共事業がどれだけの企業にどう発注されているか。資本金別の発注推移を見ますと、1985年、資本金5、000万円未満のいわゆる中小企業に47.7%、資本金1億円の大企業には31.1%でした。これが1998年になりますと、5、000万円未満の中小企業には32.6%、1億円以上の大企業には46.8%。公共事業がふえて、そのほとんどが大企業向けの公共事業になった。これ岩手県の話ですよ。私はこういう公共事業の拡大路線、ゼネコン型の公共事業投資計画を根本的に改める必要があるのではないか、この点で増田知事はこの実態をどう考えているか。
 そして、もう一つ私は聞きたい。財政再建対策ですけれども、昨年の財政の中期見通しというのは、財政の再建策にならないものでした。私は、本当に見て驚いたのですけれども、例えば県債発行額は増え続ける、県債残高も増え続けるという計画ですよ。一昨年、最初につくった中期財政見通しは、県債発行額も減らす、県債残高も減らすというまじめなものでした。ところが、去年たった1年間で見直したら、借金はふやす、そして借金残高もどんどんふやすという、そういう中期見通しじゃないですか。これは財政再建策にならない。いつになったら県債発行額を減らすのか、県債残高が減るのか、このことを示していただきたい。そうしないと小渕首相と同じになる。
 次に、介護保険の問題について、今、保健福祉部長から答弁がありました。簡潔に、私、聞きたいんですけれども、一つは、低所得者対策の問題です。
 私、特養ホームの方々に聞きました。実は、社会福祉法人は特別に減免できるという規定があるんです。やられますかと聞いたら、やらざるを得ないと。保険料、利用料を払えない方がいるからやらざるを得ないと言うんです。しかし、この社会福祉法人の減免というのは若干の補助があるだけで、ほぼ3分の2は社会福祉法人の自腹ですよ。これで民間と競争しろということになったら、社会福祉法人は競争に勝てるんでしょうか。そういう点で、この保険料、利用料の減免については一時しのぎではない根本的対策が必要だ。社会福祉法人が減免をやる場合には、私は、社会福祉法人に自腹を切らせるようなやり方ではなくて、県や市町村がしっかりと対策をとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 施設サービスの問題で、保健福祉部長は、在宅の待機者が213人で、来年度290床ふえるから大丈夫だと言いました。しかし、介護保険というのは、今、病院にいるけれども、認められたら特養ホームに入りたい、こういう方がいるから介護保険をやったんですよ。今までの推移を見ますと、500人台から1、000人を超えるような入所待機者になっているんです。毎年、何カ所も特養ホームを建設しても入所待機者は減らなかったというのが実態でしょう。こういう小学生のような算術では入所待機者は減りませんよ。そして、5年間で600人しかふやさないんだから、こういう形では、介護認定で3だ、4になった、だったら特養ホームに入りたい、こういう方々が入れない計画じゃないでしょうか。私はそのことを聞いているので、心配ないと本当に答えられるのか示していただきたい。
 ショートステイの問題は在宅福祉のかなめです。私も紹介しましたように、ショートステイ、大体1人当たり年間41.3日使っていますが、利用者1人当たりの月間利用数、これを見ますと、例えば1週間以上既に利用している市町村が10市町村です。介護度5でなければ受けられないような週4日以上使っている市町村は28市町村あるんです。こういう市町村は、介護保険になったら受けられなくなる。私は、そういう点で、今、ショートステイを受けている方々が引き続き受けられて、在宅福祉が支援されるような体制が必要だと思うけれども、例えば湯田町では、介護保険では足りないので、月8日間町単独で措置する、こういう対策をとっていますね。私は全県的にも共通する状況があると思うんです。こういう改善策も必要ではないでしょうか。
 次に、ごみ問題についてお聞きしたいと思います。
 盛岡・紫波の環境組合の焼却灰、燃え殻等の野積みの問題でありますけれども、平成4年から野積みされていた。平成4年からなぜ野積みされていたのか。その時点の処分計画はあったのか、ないのか。岩手県はなぜ昨年まで気づかなかったのか。焼却灰、燃え殻というのは、ダイオキシン発生の8割を占めると言われていますよ。私は、これが平成4年から放置されていたということは重大問題だと思う。そういう点で、当初のこの組合の処分計画、そして、なぜ岩手県が、盛岡保健所が今まで気づかなかったかという問題、そのことを示していただきたい。
 同時に、住民にとって一番切実なのはダイオキシン汚染です。組合はダイオキシン調査をやっているんでしょうか。周辺の土壌調査、周辺の住民の健康調査が私は緊急に必要だと思うけれども、部長の言葉をかりれば、技術的指導、これが必要なんじゃないでしょうか。そのことをお聞きします。
 教育長、高校再編統廃合計画、私は、具体的に反対の、いまだ了解していないところは幾らあるかと聞きました。自治体名でなくてもいいから、市町村数で答えていただきたい。皆さんが陳情して、しかし受け入れられなかった何自治体がいまだに了解していないのか。そして重要なことは、やっぱり地域と学校が対立する、地域と県教委が対立するということは正しくない。あくまでも話し合いによって地域が納得する高校をつくるべきだ。そういう点で、今、現状がどうなっていて、この了解を得られていない市町村や地域に対して県教委はどう臨まれるのか、このことを示していただきたい。
 最後に、県警本部長、答弁をいただきましたが、私が大変気になるのは、新潟県警と関東管区警察局長が2カ月の減給処分とか、処分なしとか。実は去年の12月に、江刺署の巡査長が3次会までやって、残念ながら暴行事件を起こして逮捕されたその日に懲戒免職です。一般警察官はこのように厳しく処分されている。それなのに、全国を時めく全国的な重大事件が発生したときに、温泉ホテルで飲み食いしてかけマージャンをして朝にはビールを飲んでいた。公用車を使って観光旅行もしていた。私は、こういう方々がまともに処分されないというのは、いわば現場警察官の士気にかかわる問題じゃないかと思います。私は、そういう点で、本部長、現場警察官の士気にかかわらないように警察庁に声を上げるべきだと思います。本当にこれでは一般警察官は浮かばれませんよ。そういう点で、もう一度この点についてお聞きします。
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 今、斉藤議員からいろいろお話がございましたので、基本的なところは私がお答えして、幾つか部長の方から答弁をさせたいと思います。
 今の政府の経済政策、自自公政権による経済政策についてのお考えを聞き、どうかということでしたが、645兆円という借金を抱えての経済政策、経済運営をしているわけですが、昨日もこの議場で議論がございましたとおり、昨年の7月に新たな経済新生政策というのをまとめて、その中で抜本的な構造改革を推進して新しい時代にふさわしい政策を展開していくというようなことで、今、取り組んでいるわけでございまして、こうした効果が着実に我が国経済全体の再生、そして、再建を図ることにつながっていくということについて期待もし、注目もしているところでございます。
 我が県の昨年つくりました総合計画についていろいろお話がございましたが、前期の7カ年の計画で4兆2、000億円、そのうち投資的経費が3兆6、800億円ということで、単年度当たりにいたしますと5、260億円ということでございますが、議員は公共事業ということでお話しになってございましたけれども、いわゆるハード事業とソフト事業と大きく分けたときの投資的事業が、今、申し上げましたように年間で5、260億円ということで、すべて必ずしも公共事業で行われるわけではございません。非公共の事業でいろいろ行われるものもございますので、そういう意味では、必ずしもすべて公共事業で行われているわけではないんですが、それ以前の、いわゆる三県総のときと比べますと、三県総自体は単年度で見ますと、こうした投資的な事業が5、800億円近くございましたので、必ずしも右肩上がりということではなくて、時代時代、これからの時代を見据えて、計画の全体の構成を考えながら、こうしたハード、ソフトそれぞれの事業をこの計画の中に盛り込んだものでございます。
 公共事業について、それ自体いろいろ、今、議員の方からお話がございましたが、やはり私思いますに、公共事業自体は、それぞれの地域が自立的に発展していくための基礎的な、そして社会的な条件を整備する上で、まだ本県におきまして極めて重要な役割を果たしているものでございます。もちろんこの厳しい財政環境でございますので、当然スクラップ・アンド・ビルドという原則を当てはめることも必要だろうと思いますし、事務事業評価システムなどによって、その公共事業の中身について見直しをするということも必要だろうと思います。緊急度、優先度の高い事業に集中的に投資するといったいろいろなやり方の工夫が必要なんだろうと思いますけれども、私としては、こういった総合計画の今の数字、そして内容を確実に達成するという意味からも、地域みずからの選択と責任で地域が元気を出して魅力的な地域づくりを進めるためにも、こうした真に必要な社会資本の整備に積極的に取り組んでいきたいと、このように考えているところでございます。
   〔総務部長武居丈二君登壇〕

〇総務部長(武居丈二君) 中期財政見通しにつきまして、一昨年策定した中期財政見通しを変えているということに関連しての御質問がございました。
 私ども財政を預かる者の使命といたしまして、財政の健全性の確保というものは大変重要だと考えております。しかしながら、一昨年策定した中期財政見通しは、まだ岩手県の総合計画を策定する前のものでございました。その後、国におきましても、景気回復ということで、財政構造改革を凍結して積極的な経済対策を打ち出したということで、県財政をめぐる環境が大きく変わってきたということもございます。
 そういった中で、先ほども申し上げましたが、財政健全性の確保ということと総合計画の着実な推進という両面の要請にこたえていかなければいけないということで新しい中期財政見通しを策定したわけですが、その大前提としまして、一昨年に策定しました中期財政見通しにおきまして、平成12年度の健全化目標というものを設定しております。これは3点ございましたが、歳出規模を抑制すること、それから、12年度における当初段階で県債依存度を財源対策債除きで10%未満に抑えるということ、それから、主要3基金の残高を700億円確保すること。こういったことを一つ一つクリアしながらこれからの財政運営の道筋をつけていかなくてはいけないということで、これまで中期財政見通しを作成し、平成12年度の当初予算を作成してきているところでございます。
 もとより、県債につきましては私どもの次の世代にも負担が及ぶものでございますので、世代間の負担をどういうふうに考えていくかということも大変重要な問題だと考えております。今後、その必要性に応じまして、優良起債等も活用しながら、適切に活用していくということが大変重要になってくると考えてございますので、バランスシートというものをまた別途検討してございますけれども、発生主義会計に基づきまして、起債を使いまして投資されました施設、こういったものにつきましての分析の成果ということも取り入れていかなくてはいけないと考えてございますし、財源対策債という観点からは、地方全体の地方財政対策の中で、分権もどんどん進んでまいりますので、地方一般財源をさらに一層充実確保していただくということも大変重要になってまいりますので、国に対しても積極的にさらに強く要望してまいりたいと考えてございます。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) 介護保険制度における低所得者に対する社会福祉法人の減免措置の制度についてでありますが、この制度の趣旨は、低所得者のうちで極めて厳しい状況にある方について、社会的に役割のある社会福祉法人等による負担を基本として、利用者の負担の減免を行おうとするものであります。
 この社会福祉法人に対しては、助成の対象として、社会福祉法人等が利用者負担を減免した総額のうち、当該法人が本来受領すべき利用者負担収入に対する一定割合を超えた部分として、その当該法人の収入状況も踏まえて、その2分の1以下の範囲内で行うことができるものであります。こういった制度等を活用していただき、社会福祉法人が低所得者の方々に対して適切な介護サービスの提供というものを行っていただきたいと思っております。
 次に、施設サービスの整備ということでありますが、この施設介護サービスにつきましては、市町村がお立てになっております介護保険事業計画に基づいて、県で介護保険事業支援計画を策定し、それに基づいて整備をしようとするものであります。この整備に当たりましては、その市町村において立てられた施設数というのがございますので、そういった施設ニーズが反映され、そしてでき上がったものではないかと思っております。
 このような計画につきましては、着実にその計画達成に向けて努力してまいりたいと思っておりますし、また、特養待機者につきましては、先ほど申し上げましたように、在宅の213名といった方は、他の施設に入っていらっしゃらない方でございます。こういった方々がいらっしゃるわけでありまして、こういった方々が213名であり、こういった方々を吸収し得るような定員数を整備していこうということであります。
 ショートステイの取り扱いにつきましては、このショートステイの利用限度日数というものについては、市町村においても法定給付以外に市町村の特別事業ということの活用もできるわけであります。こういったことで、市町村独自の事業もその特性を踏まえておやりになっていただくことも仕組みとして可能になっております。
 したがいまして、こういった制度の活用を行っていただくことによって、私どもとしては、その利用状況を見て、必要があれば国に対して要望してまいりたいということであります。
    〔生活環境部長村上勝治君登壇〕

〇生活環境部長(村上勝治君) まず、平成4年度から、なぜ野積みされていたかということでございますが、環境施設組合におきましては、当初、昭和43年に設置いたしました旧処分場の埋立地が終了したということで、その平成4年9月から、新しい処分場が整備されました平成9年3月まで、この間保管したと聞いております。
 それから、問題となった処分計画を承知しているかということでございますが、当方ではこの処分計画は承知いたしておりません。
 それから、野積みに気がつかなかったかということでございますけれども、先ほども答弁申し上げましたけれども、廃掃法の趣旨は、市町村がみずから処分基準を遵守し、適正な処理に努めるという原則がございますので、適正に処理されているものと理解いたしております。
 それから、ダイオキシンの汚染調査についてですが、3月6日現在、当該場所におきましての調査を実施したという話はまだ聞いておりません。調査の実施主体は組合になるわけでございますけども、県といたしましても、必要であれば技術的な援助をいたしてまいりたいと思っております。
   〔教育長大隅英喜君登壇〕

〇教育長(大隅英喜君) 県立高等学校新整備計画につきましては、陸前高田市長から教育長あてに当該地域の水産高校についての見直しを行ってほしい旨の文書をいただいております。
 教育委員会といたしましては、今後も地域と十分話し合いを行いまして、計画書にも書いてありますとおり、十分理解を得た上で実施してまいりたいと考えているところでございます。
   〔警察本部長出原健三君登壇〕

〇警察本部長(出原健三君) 新潟県警本部長等と江刺署員の処分に不均衡があるのではないかとの御質問でございますが、まず、本県の江刺署員の行為は、まことに残念ではありますが、相手方に暴行を加えて負傷させたという刑罰法令に触れるものであり、本県の警察職員懲戒審査委員会において厳正に審査し、処分を決定したものであります。一線の職員に対しましては、厳正に対処するだけではなく、一方で思いやりといたわりの心を持って指導し、士気の高揚に努めていきたいと考えております。
 なお、新潟県警本部長等の処分につきましては、任命権者である国家公安委員会の判断で決定したものであり、私の立場から申し上げるべきものではないと考えますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
   

〇副議長(吉田洋治君) この際暫時休憩いたします。
   午後3時59分 休 憩
   

出席議員(49名)
1  番  及 川   敦 君
2  番  飯 沢   匡 君
3  番  樋 下 正 信 君
4  番  照 井 昭 二 君
5  番  柳 村 岩 見 君
6  番  小野寺 研 一 君
7  番  工 藤 大 輔 君
8  番  川 村 農 夫 君
9  番  佐々木 順 一 君
10  番  佐 藤 力 男 君
11  番  及 川 幸 子 君
12  番  阿 部 静 子 君
13  番  阿 部 富 雄 君
14  番  田 村   誠 君
15  番  岩 城   明 君
16  番  中屋敷   十 君
17  番  千 葉   伝 君
18  番  佐々木 大 和 君
19  番  水 上 信 宏 君
20  番  阿 部 敏 雄 君
21  番  川 口 民 一 君
22  番  小野寺   好 君
23  番  斉 藤   信 君
24  番  伊 沢 昌 弘 君
25  番  田 村 正 彦 君
26  番  上 澤 義 主 君
27  番  瀬 川   滋 君
28  番  藤 原 泰次郎 君
29  番  船 越 賢太郎 君
30  番  谷 藤 裕 明 君
31  番  菊 池   勲 君
33  番  黄川田   徹 君
32  番  佐々木 一 榮 君
34  番  伊 藤 勢 至 君
35  番  高 橋 賢 輔 君
36  番  小 原 宣 良 君
38  番  千 葉   浩 君
39  番  吉 田 洋 治 君
40  番  工 藤   篤 君
41  番  菅 原 温 士 君
43  番  山 内 隆 文 君
44  番  折 居 明 広 君
45  番  村 上 惠 三 君
46  番  藤 原 良 信 君
47  番  及 川 幸 郎 君
48  番  菊 池 雄 光 君
49  番  佐々木 俊 夫 君
50  番  那須川 健 一 君
51  番  吉 田   秀 君

欠席議員(2名)
42  番  佐 藤 正 春 君
37  番  長谷川 忠 久 君
   

説明のため出席した者
休憩前に同じ
   

職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
   

午後3時19分 再 開

〇副議長(吉田洋治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第2、一般質問を継続いたします。小野寺好君。
   〔22番小野寺好君登壇〕


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