平成12年2月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇48番(菊池雄光君) 社会民主党の菊池雄光でございます。通告に従って一般質問を行います。
 最初に、経済及び財政についてお伺いいたします。
 好調なアメリカの経済は、今月で108カ月も拡大を持続しているということでございます。しかし、このアメリカ経済も、10年くらい前までは大恐慌の懸念が言われるほどの重症になって、大変な時代がかなり長期に及んだことは周知のとおりでございます。自由経済、市場経済社会では、経済の好不況の循環は宿命ではないでしょうか。もちろん、これに対する経済対策は素早く、的確に行われなければなりません。
 我が国でも、バブル景気とか円高景気と言われた超大型景気があって、1986年──昭和61年から、1991年──平成3年9月ころまで約5年8カ月、68カ月も続きました。戦後最長と言われたいざなぎ景気を抜いた長期の景気拡大の時代が10年ほど前まであったわけであります。この時期、我が国経済は円高に支えられ設備投資が旺盛であって、いわゆる金余り、株とか債券、土地の資産高騰を生み出して異常な事態になっておりました。
 政府日銀は、89年に4回にわたる公定歩合の引き上げを行い、90年初めにはいわゆるトリプル安が生じましたが景気拡大は持続し、90年8月には公定歩合を6%に引き上げ、ついに10月ごろから株価の暴落に始まって、バブル破綻の諸現象が一挙に露呈し今日に至っております。
 このバブル崩壊は、不況の拡大を初め後遺症が数多くあります。何といっても、我が国が経済大国と言われ、その象徴であった金融機関が脆弱であったということが露呈されました。信金とか農業団体を初め証券会社、そして大手の都市銀行までが不良債権を抱えて経営が危うくなり、大幅な公的資金を投入するということになりました。
 これに対し政府日銀は、かつてバブル阻止のために公定歩合を引き上げ、それが効果があったと見たのか今度は数次にわたって公定歩合を引き下げ、いまや預金金利などはただ同然になりました。老後の生活を考え、一生懸命働いて預金をしてその金利をあてにしてきた高齢者は大変気の毒であります。さらに、長期化する不況回復のために、政府は県・市町村も動員して大型の公共投資を行ってきました。
 平成不況と言われる平成4年以降、我が国の公共投資は欧米先進国で最も高いと言われるフランスが対GDP比で3%台でありますが、その倍以上の7%前後で推移をしてきております。県や市町村の財源は、ほとんど地方債であります。この地方債は、後年度交付税で見てもらうからといっても、全部見てもらうわけではありません。平成10年度末の国債及び地方債残高は645兆円と、先進国では間もなくイタリアを抜いて最高の債務国、借金国となります。その他失業者の増大とか消費購買力の低下など、後遺症は枚挙にいとまがありませんが、政府は、この経済対策を相変わらず公定歩合の引き下げとか公共事業の拡大というケインズ的な処方で乗り切ろうとしております。この借金のツケを後世代に残す解決方法は、愚策であって成功しないと思います。
 私どもは、今アメリカの好調な経済、それをなし遂げた経済対策、そしてアジアの新興工業国などの景気回復に見られるように、思い切った経済の時代を先取りした構造改革によって我が国も経済を立て直すべきであると思うのですが、知事の所見をただしたいと思います。
 次に、本県の経済ですが、バブル崩壊後の本県経済は個人消費の低迷や失業率、求人倍率の悪化は国と同様でありますが、経済成長率については平成9年度、23年ぶりにマイナス成長となりましたが、平成4年度以降、平成7年度を除き毎年度全国平均を上回り、また、1人当たりの県民所得も昭和61年度まで全国平均の70%台であったのが、平成6年度から85%を上回る水準に達しました。指標の上では不況でも、本県の県民所得は高い水準を確保したということはどのように評価されるべきでありましょうか。
 一方、本県の基幹産業である農林漁業の総生産は低迷の一途をたどっています。1985年度──昭和60年度までは、この1次産業の県内総生産に占める構成比は10%を超えておりましたが、10年後の95年度──平成7年度以降5%台の前半であります。平成9年度、農業は3.9%と4%を割り、漁業も0.8%であります。これを基盤とする農家や漁家の経済は、当然、農業や漁業だけでは成り立ちません。
 私は以前にも申し上げましたが、規模の拡大という戦略だけでは、現実の問題として農業を守るという展望は出てこないのではないかと思います。知事は、主業型農家の加速度は増大と言っておりますが、本当にできるでしょうか。これは裏返せば、副業型、自給型農家の切り捨てとなります。むしろ、兼業で農業・農村を守るという地域の2次・3次産業の経済発展と呼応した農業の活性化を考える必要があると思いますが、いかがですか。
 次に、地域格差の問題でございます。
 本県の格差の前提となる地域割としては、従来、県央内陸、県北、三陸沿岸の3地区をとらえてきましたが、最近では県都盛岡を中心とした県央、そして花北から一関に至る北上川流域、それに県北、沿岸の4地域ということになるのではないでしょうか。この地域割では、経済発展の著しい地域は北上川流域で、逆に立ちおくれているのは県北、沿岸ということになります。しかし、この県経済の格差解消というのは単純に均等化するというのではなく、伸びている地域は伸びてもらって県経済の牽引力になってもらう。そして、沿岸や県北の発展にはインフラ整備を初め、その地域環境に対応した改革と創造によって着実に産業経済の発展を図るよう、新しい総合計画の中で均衡のある県土の発展を図るべきであると思いますが、いかがですか。
 次に、地方分権体制の確立という観点から、財政問題について伺います。
 マスコミの報道によりますと、政府の地方分権推進委員会は、ことしの7月の活動期限までに地方分権を推進する上での最大の課題である国と地方自治体の税財源の配分について意見を取りまとめるということになっております。当然のことでありますが、税財源の配分は地方分権体制の確立に役立つように行われなければならないと思います。そのためには、特に岩手県のように税源が貧弱で財政力の弱い団体は、税財源の配分が、均衡ある国土の発展という見地から、公正、公平に行われるように運動する必要があると思います。国と地方の経費負担区分は、おおよそ防衛とか外交とかは国が、国民生活に密着する福祉とか教育は地方といった分け方になっておりますが、その仕事を積み上げた比率は、現在おおむね1対2、つまり、経費は国が1、地方が2になると言われております。もちろん、この状況は年度によって不変のものではありませんが、そうなれば、税収は国税が1で地方税が2ということになりますが、単純にそうするわけにはいきません。それは、地方では税や経済力が偏在しているからです。偏っているからでございます。地方団体には、税源が豊富で財政力が強い団体もあれば、税源が乏しくて財政力の弱い団体もあります。そういった中で、税率も行政水準も、日本全国ほぼ一定の水準に確保する必要があります。
 岩手県の県民が平成9年度に納めた国税は、仙台国税局の調査によりますと約2、700億円、県税は1、300億円、市町村税は1、500億円、全部で5、500億円余でございます。これに対し、平成9年度の県と県内市町村の歳出決算額の合計は1兆5、600億円余であります。つまり、県民の納めたすべての税金の約3倍を県及び市町村が投資的経費、経常経費として使っているということでございます。県民の納めた国税、県税、市税、市町村税全部を例えば県の行政に使っても、県の歳出額がこの年度約9、000億円ですから、県の財政は成り立ちません。したがって、岩手のような経済的に弱い県は新たな地方税収に期待するのではなく、現行制度では地方交付税とか地方譲与税のように、国税の一部を地方団体固有の財源とする調整財源の強化を図るような方向が、本県のような場合、適切な税財源配分の方向ではないでしょうか、知事の所見を伺います。
 次に、新しい岩手21世紀のシナリオとして総合計画が策定されました。私は、この総合計画に関連いたしまして、従来及び将来にわたる幾つかの大型プロジェクトの推進について、知事の考えをお聞きしたいと思います。
 第1点は、大規模電源開発、特に原子力発電所の建設についてであります。
 昭和44年7月、千田県政の時代ですが、岩手県勢発展計画の中で、沿岸部に新鋭火力発電所及び原子力発電所の建設を検討することが県政の課題として明記されました。そしてこれと軌を一にするように、昭和50年代の初め、東北電力は種市に石油火力発電所を、電源開発株式会社は田老町に原子力発電所を建設することをほとんど同じ時期に発表いたしました。私どもは、種市の火力発電所は別として、当時、非常に安全性に疑問のある原子力発電所の建設を、世界の三大漁場と言われる三陸沿岸に建設することはやめるべきであるとして反対をしてきました。しかし、千田県政の県勢発展計画から中村県政の昭和55年の総合発展計画、工藤県政の平成3年11月策定の3県総と、この方針は踏襲をされてまいりました。
 増田県政になって、平成8年6月に3県総の後期計画がつくられ、エネルギー開発についてはソフトエネルギー、地域エネルギー開発利用促進事業が中心となって、大規模電源開発、原子力発電所の建設検討という政策課題はなくなりました。今度の新総合計画も、環境と人に優しいソフトエネルギーの開発に重点が置かれ、原子力のようなハードなエネルギーについては何一つ触れられておりません。私どもは、この政策転換は当然のこととして高く評価するものでございます。今後、エネルギー政策はソフトエネルギー、地域エネルギーと言われる新エネルギーの開発に重点を置き、三陸は水産業を中心として観光や海洋開発など、環境と調和のとれた開発を志向すべきであると思いますが、改めて所見を伺います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、先般、この総合計画の説明会が釜石地方振興局で行われた際に私は知事にも申し上げましたが、釜石生活圏の中にある北上山系に特異な地勢条件を備え、貴重な可能性を持っている貞任、和山、新山といった広大な高原地帯があります。面積は約3、000ヘクタールとか5、000ヘクタールと言われておりますけれども、今、そこにいろいろなプロジェクトが重なっております。例えば、県と遠野市、釜石市は宇宙航空産業基地をつくると、こういうことを県の総合計画、市の発展計画で示しております。しかし、県は平成元年3月、この高原地帯の和山牧場及び貞任山口牧場を、さんりく・リアス・リゾートのしゃくなげの里という重点地域に設定して、観光レクリエーションリゾートの拠点とする計画を立てております。貞任、和山の大部分を占める計画面積は約3、000ヘクタールですが、この地域指定は県が策定し国が承認しております。
 一方、一昨年ころからこの和山地区にかなり大規模な風力発電を建設し、岩手の電力供給率を高め地域経済の発展にも資するということで、メインとなる企業も決まって、市も地元も大きな期待を寄せております。この風力発電の事業主体は、構想として和山地区だけではなく、新山、貞任も含め100基を超える風力発電の基数で、5万とか10万キロワットの発電を目指しているようでございます。しかし、国、県の今申し上げましたような計画もあり、特に宇宙航空基地は推進機関も設立され誘致運動も継続されております。このスペースプレーンという滑走路を使って、水平に離着陸できる完全再使用型の有人宇宙輸送機はいつごろ完成するでしょうか。
 我が国の宇宙開発の最有力機種でありますH2型ロケットは、最近引き続き2回も打ち上げに失敗をしており、また、宇宙科学研究所のM5型天文衛星も、ことしの2月に打ち上げに失敗をしました。ロケットでなくて、飛行機に人を乗せて安全に定期的に大気圏と宇宙を往復する飛行機の実現は至難であると思いますが、仮にこの飛行機が完成しても、旅客を乗せて離着陸する空港が世界の大陸の主要な都市に建設され、旅客や貨物の運賃コストで、需要があって十分採算がとれるものなのでしょうか。貞任、和山、新山の標高の高低差は200メートルないし300メートルございます。これに5、000メートル級の水平の滑走路をつくるとなると、非常に困難でございます。理論的には可能でしょうが、環境破壊のおそれがあります。環境アセスに類する調査も必要ではないでしょうか。
 現在、県に岩手県宇宙航空開発推進協議会という産学官の提携による推進協議会があり、調査研究、広報活動等が行われております。このような研究・啓発の機関は大いに結構ですが、今の段階で具体的に地域を特定して、この事業を長期展望とはいえ、行政計画に取り入れることは問題があると私は思います。結局、この地域は風力発電や放牧地、観光リゾートなどの自然を生かしたソフトな開発で発展を図るべきだと思いますが、いかがですか。
 次に、長期展望にある高速交通システムの導入、国際ハブ空港の誘致についてでございます。
 ハブ空港の定義は特にありませんけれども、一つは、周囲に空港があって放射線状に伸びる航空ネットワークの形が整えられ、その中心となる拠点空港であるということ。24時間運用が可能で、少なくとも4、000メートル以上の滑走路が複数あること。東北産業活性化センターのまとめた整備構想では、4、500メートル滑走路2本、空港面積2、400ヘクタールとなっております。当然、国際空港であることなどの要件が必要であります。岩手では、どう考えても半世紀以内にそのような要件は出てこないと私は思います。
 これは次元の異なる提起でございますが、花巻空港の利用率は平成10年度は前年度より落ち込んだと、ことしは若干伸びるだろうと言われておりますが、苦戦を強いられております。現実的にも、この空港の整備及び花巻空港臨空都市構想の実現に県は重点を置くべきであると思いますが、いかがですか。
 次に、当面する県政課題として男女平等参画社会推進体制の整備についてお伺いをいたします。
 これについては、前回、同僚議員から質疑がありました。私は雇用問題を中心に質問をいたします。
 今、我が国には300万人を超える失業者があると言われております。そして、この雇用問題が当面する重要な課題であります。同時に、中長期的な問題としては、少子・高齢化社会がこのまま進行しますと、厚生省の人口問題研究所などのシミュレーションによりますと、現在約8、700万人もあります生産年齢人口は、西暦2050年には5、500万人と3、200万人も減少いたします。老年人口はやや横ばいですが、年少人口は現在の約2、000万人から1、300万人と、700万人も減少いたします。深刻な労働力人口の減少となって、我が国の経済や産業発展の阻害要因となります。
 昨年6月、男女共同参画社会基本法が制定されました。総務庁などでは、なぜ、今、男女共同参画社会が必要かという理由として、民主主義の成熟とか両性の平等な人権の確立といったことが基本的な課題としてありますけれども、同時に、労働力としての女性の能力を生かすと、あるいは我が国の持続的な発展に必要な人材を確保するため、女性の職場進出に期待するということが挙げられております。事実、我が国の女性労働力率は、先進国の中では高い方とは言えません。また、就業希望はかなりありますが、実現されておりません。私は、このような雇用の男女同権という視点から次の点を伺います。
 この基本法による男女平等推進体制を整備するため、県は男女共同参画計画の策定をしなければならないということになっております。市町村は策定するよう努力すると、こういうふうになっております。県では、この法律に基づくプランを策定しているところでありますけれども、この計画策定に当たっては、労使代表とか各界有識者による協議会のようなものを設置して、広く意見が反映できるように配慮されているものなのでしょうか。また、市町村の計画策定に対してはどのような考えで対応しているのでしょうか。さらに、県は条例の制定についてはどう考えておりますか、お伺いいたします。
 次に、介護保険の問題点について伺います。
 既に同僚議員からかなり質疑、意見が出されておりますが、私は、当面の最大の問題は、昨年来、与党内の事情もあって、政府の方針が揺らいでおります。介護保険者は、そのことを憂慮しております。例えば、有力な与党の政治家が、当初、介護保険制度は社会的介護体制を整えるという根本的な理念であったものを、家庭介護を温存するかのような発言を繰り返したり、保険料や保険財源の変更が言われたり、そうでなくても準備期間が極めて不十分であった市町村や保険事業者は、不安を抱いているように見受けられます。県として、これらに十分な指導、支援体制が必要であると思いますが、振興局を含めた県の人的、組織的体制は十分でしょうか。
 次に、低所得者がみずからの介護の必要度に応じて、自由に介護サービスを購入することができるかという問題です。低所得者対策は、既に国から幾つか打ち出されておりますが、これを受けての県・市町村の独自の対策は見えないようでございます、いかがでしょうか。
 2点目は、サービス供給の地域偏在を克服して、県民ひとしく制度の恩恵に浴することができるかという問題でございます。
 地域偏在の問題は、県北とか沿岸及び県西部豪雪地帯で深刻な問題でございますが、そうした地域で事業展開をする業者に対し、市町村は一定の対策を講じていると思いますけれども、県は県内サービスの平準化のため、どのような対策を考えているのでしょうか。
 以上をもって、壇上からの質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕

〇知事(増田寛也君) 菊池雄光議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、我が国経済の立て直しということについてお尋ねがございましたが、グローバリゼーションの進展、経済社会の成熟化に伴う知恵の時代への移行、そして少子・高齢化と人口減少時代の到来、地球規模でのいわゆる環境制約の強まりなど国内外の歴史的潮流が大きく変化をする中で、我が国の経済社会システムがこうした新しい状況に適合しなくなってきておりまして、バブル崩壊後の長期にわたる経済停滞などが生じてきているというところでございます。
 政府では、これらの問題が、従来、我が国に深く根づいてきた行動規範や、また、欧米へのキャッチアップ型経済成長の中で形成されてまいりました経済社会システムに起因するものであって、個別分野での対症療法的な改革では、そういった改革のみで解決できるものではないとの認識に立って、これに根本から対処して日本経済を新生させる発展基盤を築くと、こういう考え方で、昨年の7月に、経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針というものを策定したところでございます。この中身をいろいろ見てみますと、この中に今後、この今申し上げました方針に基づいて、透明で公正な市場の確立、それから地方分権の推進など、さまざまな分野で諸制度、慣行の改革や規制の緩和、撤廃が進められるということとともに、我が国経済のダイナミズムの源泉としてのいわゆる考える力、創造力を駆使した中小企業、ベンチャー企業の振興ですとか、21世紀の発展基盤として不可欠な情報化の飛躍的推進のための取り組みということがこの中に盛り込まれております。情報通信ネットワークの高速、大容量化といったようなことを初めとしたさまざまな情報化施策が盛り込まれておりますし、いわゆるハード、ソフト両面からの経済改革ということがこの中に入っているところでございまして、こうした取り組みが積極的に行われて、そして構造改革が着実に進められることによって、経済社会全体での効率性が高まるとともに、個人の能力を最大限に発揮できる経済社会が形成されて、新しい経済成長の姿が実現するということを期待しているところでございます。
 次に、今後の適切な税財源の配分のあり方についてでございますけれども、まさしく今新たな実行段階を迎える地方分権時代にありまして、地方公共団体が、それぞれの地域の実情に応じて、受益と負担の態様を明確にしながら、自主的、主体的に施策を展開することができるよう、自己決定、そして自己責任という、いわば地方自治の本旨に基づいた、いわゆる歳入面における地方自治を確立することが目指すべき方向であると、このように考えております。まず、その基本としては、地方税につきましては、地方における歳出規模と地方税収入の乖離があるわけですけれども、この乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、その充実確保を図るべきものと考えておりまして、その場合においては、国、地方を通ずる税体系のあり方を踏まえながらも、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築が必要であると考えております。
 また、一方では、個々の地方公共団体の産業構造等の違いなどから、今お話しございましたとおり本県の場合には経済の力というのが弱いわけでございますので、税源の偏在を完全に解消することは、現実にはやはり困難な面があると、このように見込まれますので、これからの時代にあっても、財政力のいかんにかかわらず、個々の地方公共団体が計画的に一定水準の行政運営を行うことを可能とするような財政の調整、そして財源保障としての地方交付税というものは、今の地方財政において不可欠な制度であると、このように考えております。
 したがって、地方税とともに地方分権時代を支えるこの地方交付税制度につきましては、県としても、交付税率の引き上げなどその充実強化を図ると、そして地方固有の税財源を強化するということが必要だということで、以前より国にその実現を要望してきているところでございますし、こうしたことは地方公共団体の長年の悲願でもあるわけでございますが、今後におきましても、全国知事会などを通じて強く働きかけていく考えでございます。
 次に、今後のエネルギー政策と三陸地域の開発についてでございますけれども、エネルギー政策につきましては、国において現在、エネルギーの安定確保、そして経済成長の維持、持続可能な地球環境への対応を基本として、とりわけ環境面への対策として新エネルギーの活用に本格的に取り組み始めているところでございます。本県におきましては、従来から水力発電や地熱蒸気による発電など、地域のいわゆる自然エネルギーの開発利用と有効利用ということを長年にかけて進めてきたところでございますし、さらに今後、太陽光、風力など環境負荷の小さい新エネルギーを積極的に導入するために、岩手県新エネルギービジョンというものを策定して、本県の地域特性を十分に生かしながら、クリーンエネルギー岩手の実現を目指して、県有施設への太陽光発電の導入や企業局での風力発電への取り組みといったことからまず始めて、県、市町村、事業者、県民が一体となって新エネルギーの活用を積極的に進めてきているところでありますし、またこれからもそうした方向をさらに強めていきたいと考えております。三陸地域におきましても、和山、貞任、新山などの高原地帯を中心とした風力発電など、地域の特性に合った新エネルギーの開発と利用の促進にさらに努めたいと考えております。
 また、最近の技術の進展、環境への配慮ということから、燃料電池や風力発電など新エネルギーによる分散型発電の重要性ということが高まりつつあります。1カ所に巨大な施設をつくってそこから送電をするということではなくて、もっと小型のものを分散型にしてそして発電を考えていくといったような、その考え方の重要性が高まりつつあるわけでありますので、今後ともこうしたエネルギーの情勢変化に対応しながら、環境の世紀と言われる21世紀に向けて、総合的なエネルギーの開発利用を促進したいと考えております。
 なお、三陸地域の開発につきましては、三陸の雄大な自然景観や豊かな海洋資源を生かしますとともに、次代に引き継ぐべき豊かな自然環境との共生に配慮しながら、持続的な発展を可能とする取り組みを一層進める必要がありますので、世界有数の漁場を有する三陸地域におきましては、つくり育てる漁業の推進、ハセップ方式の導入による水産業の振興のほか、すぐれた自然や景観を生かして、グリーン・ツーリズムなどによる観光の振興、さらには三陸地域に集積しております大学や学術研究機関の連携による海洋研究の推進、これは国連大学と東大の海洋研、北里大学、それから水産技術センターなどが連携をとって国際的な海洋研究を推進するようなことを試み始めておりますが、こういったことなど、地域の特性を生かし、環境と調和のとれた振興に努めていきたいと、このように考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕

〇企画振興部長(渡辺勲君) まず、県民所得の評価についてでございます。平成3年度から平成9年度までの本県経済は、製造業が、一般機械、電気機械を中心に好調だったことや、建設業が、公共工事、住宅建設の伸びにより堅調であったことなどから、年度平均の実質経済成長率が2.9%と全国第1位の伸びを示しているところでございます。このことから、県民の所得水準は、平成3年度には1人当たり国民所得の80%であったものが、平成9年度には85.3%と、着実に向上してきたものでございます。このように本県の県民所得が向上してきておりますのは、これまで高速交通幹線を初めとする総合的交通網などの基盤整備や先端技術産業の立地、各種試験研究機関の整備などを進め、産業経済活動の活性化を促進してきたことにもよるものと考えておりますが、全国の水準と比較いたしますと、いまだなお低い状況にありますことから、引き続き県民所得の向上に努めていかなければならないものと認識をしてございます。
 次に、県土の均衡ある発展についてでございます。
 県北・沿岸地域と内陸部がともに発展していくためには、それぞれの地域が、その発展可能性を最大限に引き出し、個性や特性を生かした魅力ある地域づくりを進めるとともに、人、モノ、情報の大きな流れを生み出す交通と情報のネットワークを形成することにより、地域間の交流と連携を促進し、広域的、一体的な発展につなげていくことが重要であると考えております。
 岩手県総合計画におきましては、こうした基本的考え方を地域デザインとして提案いたしました。また、これまで県北・沿岸地域の発展を阻んできた距離、地形、気候などの要因を壁としてとらえ、これを克服するための施策をさまざまな壁を乗り越える課題対応プロジェクトとして明確に位置づけ、重点的かつ効率的に展開していくことといたしてございます。このため、地域活性化事業調整費や新たに創設する市町村総合補助金による自主的で特色ある地域づくりの促進などを通じて、地域の魅力を高めるとともに、東北横断自動車道釜石秋田線、三陸縦貫自動車道等の交通ネットワークの整備や、いわて情報ハイウェイなどの情報ネットワークの構築を進め、地域間の交流、連携を一層促進してまいりたいと考えております。
 内陸部の産業集積の効果を広く県内各地に波及させていく一方、こうした取り組みにより、県北・沿岸地域が県内外との交流の促進を通じて、産業、観光、地域づくり活動などさまざまな分野において新たな役割を担うなど、それぞれの地域がその可能性を生かして活力を高め、ひいては総体としての県土全体の発展につながっていくものと考えております。
 次に、宇宙航空産業基地と和山、貞任、新山地区の開発についてでございます。この地域は、県の構想として平成元年に策定されたさんりく・リアス・リゾート構想のエリア内に含まれますとともに、新エネルギーの導入を促進するため風力発電の事業化計画が進められている地域でもございます。この地域の振興につきましては、その有する豊かな自然や美しい景観などの地域特性との調和を図りながら進めることを基本として、今後導入が計画されている風力発電につきましても、新エネルギーとしての利用に加え、新たな観光資源としての活用も期待されるものと考えております。
 なお、この地域を候補地として平成3年に策定いたしました宇宙航空産業基地構想につきましては、21世紀の主要産業と見込まれます宇宙航空産業の拠点の形成を目的に、長期的な視野のもとで本県の産業振興、科学技術の振興を図ろうとするもので、平成5年に岩手県宇宙航空開発推進協議会を設立し、宇宙航空分野に関する研究開発施設等の誘致活動や普及啓発活動に取り組んでまいりました。この構想の前提となる、いわゆるスペースプレーンの開発実現には相当長期間を要するものと考えられますが、宇宙関連産業の将来性にかんがみ、総合計画において2010年を越え次代につなぐ構想として位置づけているものでございます。なお、この構想が実現し、基地の開発が行われる際には、環境との調和に十分配慮しなければならないものと考えてございます。
 次に、国際ハブ空港の誘致についてでございます。国際ハブ空港は、現在の国の空港整備の方針におきましては、後背圏の経済力を背景とした航空需要が大きい大都市圏に設置することが適切なものとして、我が国では、成田、関西、中部の各国際空港がこれに位置づけられておりますが、将来、次世代の超音速旅客機の実用化の段階におきましては、ただいま申し上げましたこれらの空港の拡張では物理的、空間的条件から対応できないという事態が生ずることも考えられるところでございます。その場合、本県には空間的な立地の可能性はありますことから、総合計画において2010年を越え次代につなぐ構想に位置づけたところでございまして、今後の国の航空政策や超音速旅客機の開発の動向などを注視しながら、長期的な課題として取り組んでまいります。
 一方、花巻空港の拡張整備事業につきましては、国際チャーター便の直行範囲の拡大、冬季における就航率の改善など、今後本県が国内外との交流の拡大や地域経済の振興を図っていく上で必要不可欠なものであり、この事業を着実に推進してまいります。
 また、花巻空港臨空都市構想に基づき、拡張整備後の空港機能を最大限に活用した地域づくりを総合的、計画的に進めますとともに、空港機能の県下全域への波及を促進させるため、空港への交通アクセスの改善や各種情報媒体の活用など、ハード、ソフト両面にわたる施策を積極的に推進してまいります。
 県といたしましては、花巻空港の整備の着実な推進と臨空都市構想の実現に重点を置いた取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
   〔農政部長佐藤徳兵衛君登壇〕

〇農政部長(佐藤徳兵衛君) 地域の2次、3次産業と呼応した農業の活性化についてでありますが、21世紀の本県農業は、岩手ならではの特色ある資源を積極的に生かしながら、多様な消費者ニーズにこたえ得る、米、園芸、畜産のバランスのとれた農業主産県として一層の振興を図っていくことが必要であります。
 我が国の総合食料供給基地としての役割を担う上で、主要農産物の産地づくりを進めるためには、自信と誇りを持って、みずからの農業経営に取り組み、産地づくりの中心的な担い手となる主業型農家の育成が不可欠であります。このため、こうした主業型農家への農地の利用集積を通じて、経営基盤の強化が図られるよう施策の重点的な配置に努めてまいる考えであります。
 さらに、主業型農家を中心に、地域の実情に応じ、副業型農家、自給的農家、さらには非農家も含めた地域の話し合いのもとに、土地、労働力などの資源を高度に活用し、地域の人々が一体となって取り組む地域ぐるみ農業を一層推進してまいります。
 また、近年、県内各地において農村女性グループなどが、食品産業や観光産業などと連携しながら、農産物の加工販売や産直施設の開設運営、さらには農家民宿や農村レストランへの取り組みなど、さまざまな企業活動が活発化してきております。したがいまして、耕地面積がそう多くない中山間地域などにおいては、御提言のように、農業を核としながら、地域全体で付加価値をつくり出すアグリビジネスの振興を図るなど、2次、3次産業と呼応した創意と工夫にあふれた地域づくりを進めることは極めて魅力的であり、こうした主体的な取り組みに対しても積極的に支援を行い、本県農業、農村の活性化を図ってまいりたいと考えております。
   〔生活環境部長村上勝治君登壇〕

〇生活環境部長(村上勝治君) 男女共同参画社会の推進体制の整備についてでありますが、新しいいわて男女共同参画プラン、これは仮称でございますけれども、このプランの策定に当たっての意見聴取につきましては、2、000人の成人男女を対象とした無作為抽出による県民の皆さんの意識調査を実施したほか、素案の段階から公表いたしまして県民の皆さんから意見を聞くこととし、具体的には、県のホームページに掲載いたしますとともに、市町村や女性団体、女性リーダー等から意見をお伺いする機会を設けたところであります。
 また、県の女性施策に関して協議を行うために、女性施策懇談会というものがございますが、これは設置されておりますけれども、これは学識経験者、労働組合を含む関係団体、経営者団体、子育て・介護関係団体等の代表22名で構成しているものでございますが、ここにおきまして新しいプランについて、ことしは3回会議を設けまして検討してきたところでございます。さらに、この懇談会の中に小委員会を設けまして、この小委員会も2回開催いたしまして、県民の皆さんの幅広い意見をいただきながら策定を進めてきたところでございます。
 次に、市町村の計画策定につきましてでありますが、基本法では、その策定を努力義務にとどめておりますが、男女共同参画社会の推進は、県民一人一人の認識と取り組みなくしては、その実現は難しいということから、県民の皆さんに最も身近な市町村の果たすべき役割、これは極めて重要であると考えております。しかしながら、計画の策定を検討している市町村はふえてはおりますけれども、現在策定済みの市町村は3市のみでございます。これは全国平均や東北各県平均と比較して少ない状況にございます。このため、プランの目標年次であります平成22年度までに、県内の全市町村が計画を策定するという目標を掲げまして、今後プランの説明会や会議の場等を通じまして、市町村の取り組みを要請し、連携しながら策定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、条例の制定につきましては、基本法では、国、地方公共団体、そして国民の責務を明らかにした上で、それを実効あらしめるために、都道府県に対しまして具体的な行動計画の策定を義務づけているものであります。したがいまして、さらに条例を制定するか否かの判断に当たりましては、基本法の規定を超えて条例で本県独自に規定する内容の有無、それから条例化を検討している首都圏の団体がございますけれども、全国一の核家族世帯比率とか、それから平均通勤時間の長さによる仕事と家庭の両立が困難であるという、そういう地域事情の有無、これに似たような地域事情の有無、さらには県民や企業、民間団体等の理解を得ていく方法としまして、果たしてこの条例が最善の方法であるかなど、十分に検討する必要があるものと考えております。
 県といたしましては、まずもって他県に先駆けて基本法で義務づけられております県の基本計画を策定することとしまして、幅広く県民の皆さんの御意見をお伺いするとともに、全国的には例の少ない52というさまざまな分野にわたります本県の地域特性を踏まえた数値目標、これを設定しているわけですが、その達成に向けて各般の取り組みを総合的かつ計画的に進めることによって、男女共同参画社会の実現を目指してまいりたいというふうに考えております。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) 介護保険制度についてでありますが、本年4月からの制度施行に向け、県におきましては、保険者である市町村や介護サービス事業者などが円滑かつ適切に準備を進められるよう、本庁に介護保険システム整備監を設置するとともに、地方振興局においては、保健・医療と福祉のセクションを統合し、一体的かつ効果的に市町村等を支援できる体制として保健福祉企画課を設け、また限られた期間の中で作業を行うため作業準備に遺漏なきよう、県独自に作成した詳細な作業項目や作業点検事項を盛り込んだ進行点検表を定期的に市町村に示すとともに、県で作成した市町村介護保険事業計画や必要な条例のひな型などをソフト面で県独自の工夫も凝らしながら、現体制においてきめ細やかな指導支援に尽くしているところであります。
 次に、低所得者に対する対策についてでありますが、県におきましては、低所得者の負担軽減措置を適切に講ずるよう国に要望し、一定程度制度に反映され、その具体策が示されたところであり、まずこれらの軽減措置が適切に活用されるよう、県民や市町村、事業者などに周知するとともに、これらの事業を実施する市町村等を支援していくことが必要と考えております。
 また、介護保険制度が円滑に運営されるためには、要介護者にとってふさわしいサービスが提供されることが重要であることから、県におきましては、当初より山村、僻地など介護サービスの確保が困難な地域への対策が必要と考え、市町村が適切な介護保険事業計画を策定できるよう支援するとともに、訪問介護職員養成事業の実施や、訪問看護のサテライト──出張所でありますが、この出張所の設置等を促進するほか、事業者団体を育成し、介護サービスの不足が生じたときに市町村が相談できるような仕組みをつくりながら、介護サービスの空白地帯ができる限り生じないようサービス基盤の整備を促進してまいります。

〇48番(菊池雄光君) ただいま日本経済に関する知事の見解を承ったところでございますけれども、どうも知事が認識をしているように、あるいは期待しているように日本経済の再生対策というものが進んでいないわけです。今、我が国の経済対策というのは、御承知のとおりビッグバンとかリストラとかそういう横文字なんですが、これに象徴されますように大合理化、大型合併、こういう人減らし合理化が中心で企業の生き残りが図られるということで、最も重要な雇用とか個人消費の拡大といったような問題は行われておらない。こういったようなところに私は問題があると思うわけです。それで、最近、通産省の諮問機関であります産業構造審議会は、今月までに21世紀経済産業政策のビジョンというものを最終答申するということでマスコミなどに報道されておりますが、これによりますと、少子・高齢化の進展とか財政構造の悪化から、日本経済は現状のままですと2025年までの成長率は平均でマイナスに転じると、こういうふうに指摘しております。そのために、産業構造の改革が最大の急務であるとして、それが実現されれば今後、四半世紀で実質年2%程度の経済成長が達成できると、こういう指摘をして、その具体的な将来の産業群として、高齢者の需要にこたえる産業として高齢社会産業、この市場規模は年間155兆円程度、それから、環境保全、公害防止などの環境産業、この市場規模は60兆円、それにファッション系、レジャー系などの感性産業──感情の感に性格の性を書きますけれども──この市場規模は73兆円などが上げられて、特に保健、医療、福祉などの福祉高齢社会産業などに大きく依拠しているというところに特徴があるわけでございます。1960年代には重化学工業、1970代からは知識集約型産業への転換を図り、90年代にはゆとり、豊かさのある生活を目指してきた政府の産業経済政策のビジョンが大きな転換を図ろうとしていると。結局は、雇用の拡大と個人消費の増大を産業経済の構造改革によって達成しようと、こういう最終答申が出されるということで、我々としてもこれが現状の我が国の経済再生の道ではないかと、こういうふうに思うんですが、これに対する見解をお伺いいたします。
 それから、さっき部長から説明があったんですが、総合計画の問題でちょっと部長の方に伺っておきますが、長期行政計画を策定する場合、いろんなスタイルがあると思うんですよ。今度の計画は知事が先頭に立っていろいろやっておりますけれども、例えば昭和44年9月13日に、都道府県知事に自治省行政局長の通達がありました。この通達は、この年に地方自治法の一部改正があって、市町村は長期計画の基本構想については議会の議決を経なければならないと、こういうことになったと。その基本構想の策定に当たりまして、自治省が示した策定要領の中に次のような項目があるんですね。客観的、科学的な資料をもとにして、当該地域社会の実態に応じた現実性のあるものを構想として取り入れるべきであると、こういうふうに示している。つまり、現実性のない夢みたいな計画は構想として取り入れるべきでないと、こういうふうに言っているんですね。もちろん、これは今日、地方分権の時代ですから、政府の通達に拘束される必要はないと言われるかもしれませんが、理にかなうものがあれば、その指針は尊重されるべきだと私は思うんです。そしてこの通達は、市町村長には県から出ているはずですが、これに対してのお考えをお聞きします。
   〔商工労働観光部長合田武君登壇〕

〇商工労働観光部長(合田武君) 産業構造審議会の小委員会において検討が進められておりますいわゆる21世紀経済産業ビジョンについてでありますが、この小委員会では、21世紀初頭の四半世紀における経済産業政策のあり方について幅広い観点から論議が進められております。現段階ではビジョンの全容は明らかになっておりませんが、小委員会におきましては、今後の経済産業政策の目指す姿として競争力のある多参画社会を掲げ、国際的にも競争力のある供給基盤を持ち、高齢者も含め、個々人がみずからの希望と能力を生かせる多様な就業・社会参画機会が幅広く創出された社会の形成についてそれぞれ提言されております。
 具体的には、この中で高齢者、女性等への就業・社会参画機会を提供していくことが、将来への希望、社会参画に基づく充足感などから、消費を刺激し需要を生み出す厚い市場を根づかせる力となるなどと、示唆に富んだ議論がなされているところと聞いております。今後、これらの議論がさらに深められ、新しいビジョンが策定されることとなりますが、本県産業経済の発展方向を見きわめていく上でも大いに参考になるものと期待されますので、県といたしましては、その動向を注視してまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕

〇企画振興部長(渡辺勲君) 市町村が基本構想を策定する場合の要領についてでございます。
 お話しの通知、要領でございますが、市町村の基本構想策定要領、これが自治省から昭和44年の9月に示されまして、県では基本構想が円滑に策定されるよう、同年の10月に各市町村あて通知しているところでございます。各市町村におきましてはこの要領を参考とし、総合的かつ計画的な行政運営を図っていくために、将来ビジョンとしての基本構想を議会の議決を経て定め、この構想に基づいて行政の各分野における計画の策定や具体的な諸施策を展開しているものと承知いたしてございます。

〇48番(菊池雄光君) なんか、わからないです。
 進めますが、介護保険制度に対する市町村の姿勢は、地方分権の試金石と言われております。市町村が行った介護保険制度の説明会など、住民対話の状況を県はどのように評価されているのですか。
 また、市町村が制定する介護保険条例は、それぞれ個性と特徴を裏打ちした内容であってほしいと思いますが、県は分権・自治の観点から、条例制定にどのような助言・指導をされているのか伺います。
 次に、保険者である市町村は、国、県に対し所要の要望をしておりますが、特に低所得者の保険料や利用者負担の軽減を図るために支援制度を創設されたいとか、国の調整交付金5%、これの拡充強化を図られたいという要望が強いんですが、県はこれをどのように受けとめて対応しておるのかお伺いしたいと思います。
 それから最後になりますけれども、今、企画振興部長のお話し、さっきもそうですけれども、恐らく私の質問が悪いんでしょうが、ちょっと答えが合わないですね。
 最後に申し上げておきますが、2010年を超えるプロジェクトについてであります。この宇宙航空基地とかハブ空港については、先ほど申し上げましたように宇宙航空開発推進協議会とか東北活性化センターといった推進・調査研究の団体などもございます。ハブ空港については、平成8年、同僚議員から推進の立場で質疑もございました。
 そういうこともありましたので一言申し上げておきますが、知事演述あるいは代表質問の答弁で、知事は、科学技術の振興に並々ならぬ決意を示しておられる。このことに私は敬意を表し大いに賛同するものであります。しかし、現代の巨大な科学技術の完成、例えば21世紀最も期待されている核融合とか超電導、あるいは宇宙開発とか海洋開発、これらはだれかが発明をするという現象で開発されるのではなくて、膨大なすそ野、分野の結集によって完成するものでございます。その一端を岩手でも担っていくために、基礎的学問や技術の研修を積極的に展開していく、これが地方における科学技術の振興ということではないかと思います。
 宇宙航空基地とかハブ空港をつくるというのは科学技術の振興ということではなくて、完成された科学技術によってこれを建設し、それを国民や人類が利活用するということで国家的プロジェクトでございます。どこにつくるかという基準は、この空港に投資される建設費用、ランニングコスト、これを利用する需要があるのかなどなど、その可能性があるかという問題でございます。私は、これを推進することが誤っているとかやめるべきだと言っているのではありません。まだまだ不明の問題がありますから、それを行政計画に取り入れることが問題だと言っているのであります。
 この問題だけではございません。新しい総合計画の2010年を超え次代につなぐ構想は、県議会においても県民においても十分なコンセンサスが得られていないと私は思いますが、近い将来、見直しをする必要があると思いますが、いかがですか。
   〔保健福祉部長関山昌人君登壇〕

〇保健福祉部長(関山昌人君) 市町村の住民対話の評価についてでありますが、県においては、介護保険事業計画の策定に当たって、住民参加のもとに作成するよう市町村に強く働きかけており、住民参加型の仕組みづくりが行われてきたあらわれと考えております。
 介護保険条例につきましては、市町村が自治の原則のもとに自主的に制定されることが基本と考えております。このため、県は、市町村等が国の条例準則を参考としながら、地域の実情を踏まえて条例を制定できるよう、準則の解説や考え方などを示すなどの助言を行っております。
 市町村の要望に対する対応についてでありますが、県といたしましては、今まで介護保険制度上改善すべき点について機会をとらえて国に要請し、その改善を図ってきたところでありますが、まず、介護保険制度を施行させ、その後の制度の実施状況や市町村の保険財政運営状況等を見守ってまいりたいと考えております。
 なお、今後、制度上の改善が必要であれば、国に要請してまいりたいと考えております。
   〔企画振興部長渡辺勲君登壇〕

〇企画振興部長(渡辺勲君) 2010年を超え次代につなぐ構想について、その考え方等についてでありますが、この構想は国等のプロジェクトと密接に関連しながら長期的に取り組んでいくべき課題であるとか、あるいは現在の科学技術のレベル、そういったものでは実現は困難であるといったものの、これからの科学技術の進歩やあるいは経済社会の変化等によって取り組むことが可能となるような課題、そういった課題につきましても、新しい岩手づくりを進めるに当たって、長期的にその実現に向け、その可能性を追求すべきものとしてとらえられるものをここに掲げ、この計画の中に掲げたものでございます。
 今後、経済社会の動きやあるいは新たな手法の創設等々、現時点では予測できないような事情も生ずることも考えられますので、計画の着実な推進に努めながらも、この計画を硬直的な、固定的なものとはせずに、さまざまな状況の変化等に柔軟に対応していかなければならないものというふうに考えてございます。


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